説明

デジタル画像符号化装置、デジタル画像符号化プログラム、デジタル画像符号化方法、及びデジタル画像復号化装置、デジタル画像復号化プログラム、並びにデジタル画像復号化方法

【課題】JPEG2000による処理において符号化に要する処理時間を大幅に短縮できる新規なデジタル画像符号化装置及び符号化プログラム並びに符号化方法の提供。
【解決手段】デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部を備え、前記ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とする。これによって、処理するビット数が大幅に減ってJPEG2000による処理において符号化に要する処理時間を大幅に短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー静止画像などの国際標準圧縮方式であるJPEG2000を利用したデジタル画像符号化装置、デジタル画像復号化プログラム、デジタル画像符号化方法、及びデジタル画像復号化装置、デジタル画像復号化プログラム、並びにデジタル画像復号化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタルカメラのカラー静止画像などの画像圧縮フォーマットとして標準的に用いられている「JPEG(Joint Photographic Expert Group)」は、離散コサイン変換(DCT)をベースとして、これにランレングス符号化やハフマン符号化を組み合わせた国際標準圧縮方式であるが、この「JPEG」は、圧縮率を高めていった場合にブロック状の符号化ひずみが目立ったり、不可逆圧縮方式であるため、一旦圧縮してしまうと元の画像と全く同じ画像が得られないなどといった欠点があることが知られている。
【0003】
これに対し、新しい画像圧縮方式である「JPEG2000」は、DCTの代わりに離散ウェーブレット変換(DWT)を使っているため、圧縮比を上げてもブロックひずみが現れない、可逆圧縮方式であるため、高い圧縮率を保持したまま完全な元の画像に展開できる、などといった優れた長所を有していることから、今後、デジタル画像を扱う様々な方面で最も注目される画像フォーマットとなってきている。
【0004】
しかしながら、このように従来の「JPEG」では得られない優れた長所を発揮する「JPEG2000」の場合は、圧縮及び展開処理に際して情報処理量が膨大となるため、処理速度が遅く、また、ハードウェアによる処理を行った場合では大メモリを消費するという問題がある。
このような問題を解決するために例えば以下の特許文献1では、ビットプレーン処理の前に必要なビットのみを切り出すことにより、ビットプレーン処理の時間や電力を削減するようにしている。また、以下の特許文献2では、ウェーブレット変換後の係数モデリング処理を行う係数モデリング処理部の後に、下位ビットプレーン置換部を設け、この下位ビットプレーン置換部によって下位ビットプレーンを全て「0」に置き換えることで処理量を減らして処理速度を高めたり、メモリ消費量を削減するようにしている。
【特許文献1】特開2004−15741号公報
【特許文献2】特開2004−40429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているような、不要なビットを切り捨てて必要なビットのみを切り出すことにより、ビットプレーン処理の時間や電力を削減するようにした方法では、不要なビットがなかった場合に処理の高速が図れず、また、この方法を「JPEG2000」に適用した場合、そもそも「JPEG2000」では不要ビットは処理していないため、高速化が図れない。
【0006】
一方、特許文献2に開示されているような、下位ビットプレーンを全て「0」に置き換えることで処理量を減らして処理速度を高めたり、メモリ消費量を削減する方法では、下位ビットプレーンを全て「0」に置き換える処理は、係数ビットモデリングの後であるため、ビットモデリングの種類によっては、処理時間は従来の「JPEG2000」と比べてさほど変わらない場合が多い。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、JPEG2000による処理において、符号化に要する処理時間を大幅に短縮することができる新規なデジタル画像符号化装置及びデジタル画像符号化プログラム並びにデジタル画像符号化方法を提供するものである。
また、本発明の目的は、JPEG2000による処理において、復号化に要する処理時間を大幅に短縮することができる新規なデジタル画像復号化装置及びデジタル画像復号化プログラム並びにデジタル画像復号化方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔形態1〕前記課題を解決するために形態1のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部を備え、前記ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減ってデータ量が大幅に減少する。この結果、その後の係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理負荷が大幅に減って符号化(いわゆるJPEG2000ファイル)を高速で実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0010】
なお、本形態で利用するJPEG2000についてその概要を以下に簡単に説明する。
このJPEG2000によるデジタル画像データの符号化処理は、大きく分けて、以下に示すように、1.DCレベルシフト処理と、2.コンポーネント変換(色変換)処理と、3.画像コンポーネントのタイル分割処理と、4.離散ウェーブレット変換処理と、5.量子化と、6.EBCOTと、7.レイヤー生成処理とから主に構成されている。
【0011】
1.DCレベルシフト処理
先ず、DCレベルシフトとは、DCオフセットの乗った入力信号に対し、DCオフセットを除去する処理のことである。すなわち、符号化処理ではDCオフセット値をもたない信号を入力対象として想定しているため、DCオフセット値を有する入力信号に対しては、最初にそのDCオフセット値を除いておく必要があるからである。例えば、原画像が24ビットのビットマップである場合は、3つのコンポーネント(R、G、B)が存在し、各コンポーネントは、「0〜255」の8ビット符号無し整数で表されるのでこれを「−127〜127」にレベルシフトして平均値を、例えば「0」とすることでDCオフセット値を除いておく。従って、このDCレベルシフトは、極性なしのコンポーネントサンプルに対してのみ適用され、最初から極性ありのコンポーネントサンプルの場合は、不要となる。なお、このDCレベルシフトが行われる位置は、図1などに示すように複数コンポーネントの場合はコンポーネント変換の前であり、単一のコンポーネントの場合には離散ウェーブレット変換の前である。なお、複数のコンポーネントでもコンポーネント変換を行わない場合もある。
【0012】
2.コンポーネント変換(色変換)
次に、コンポーネント変換とは、圧縮率を高めるためRGB色空間で入力された信号を線形変形によってYCbCr(または、YUV)色空間へ変換する処理のことである。この変換処理によってRGB信号間の相関を減少できることと、人間の視覚特性として色差(CbCr)のひずみに対する検知感度が低く、色差成分を輝度(Y)成分よりも大きく圧縮することができることにより、圧縮特性が向上する。なお、このコンポーネント変換には、可逆と非可逆があり、可逆コンポーネント変換(RCT:Reversible component Transformation)は、無ひずみ、または有ひずみ符号化のどちらにも使用できるが、非可逆コンポーネント変換(ICT:Irreversible component Transformation)は、有ひずみ符号化のみに使用される。また、デジタル画像データが、モノクロ画像のように色成分を含まない場合は、この処理を省略することも可能である。
【0013】
3.画像コンポーネントのタイル分割
コンポーネント変換された各コンポーネント画像は、重なり部分をもたない任意の大きさ、あるいは一部重なり部分をもつ任意の大きさの空間領域であるタイルに分割することができる。タイル分割は、各コンポーネント間で同じ相対位置で行われる。コンポーネント変換された画像をタイル分割したタイルコンポーネントは、互いに独立に符号化され符号化処理の基本的な単位となる。なお、DCレベルシフトを行う前の入力信号に対してこのようなタイル分割処理を行うこともある。また、画像全体に対して次の離散ウェーブレット変換を実施することも可能であり、この場合は、このようなタイル分割処理を省略することもできる。後述する実施の形態では、このタイル分割処理を省略した例で説明している。
【0014】
4.離散ウェーブレット変換
次に、離散ウェーブレット変換とは、各タイルコンポーネントの周波数成分を高周波成分と低周波成分に分割する。具体的には、例えば、まず、垂直成分(水平成分からでも良い。)に対し、低周波成分と高周波成分に分割する。次に、生成された垂直成分の低周波成分と高周波成分に対して、水平成分の分割を行う。これによって、垂直成分と水平成分共に低周波、垂直成分が高周波で水平成分が低周波、垂直成分が低周波で水平成分が高周波、さらに垂直成分と水平成分共に高周波である計4つのサブバンド係数が生成される。また、繰り返し離散ウェーブレット変換を行う場合は、低周波成分(高周波成分に対しても行う場合がある)に対して行う。なお、この離散ウェーブレット変換は、JPEGで利用されているDCT変換と同様に周波数成分の偏りを利用することは同様であるが、空間領域で解像度を変換する処理を繰り返すことによって多種類の空間解像度画像を容易に生成できる(解像度スケーラビリティ)ことがDCT変換と大きく異なる点である。また、圧縮特性に関しても特に低ビットレートにおいてDCT変換より優れている点がJPEG2000で採用された理由となっている。また、この変換処理に用いるウェーブレット変換フィルタには、実数型の9/7非可逆フィルタ(9/7 irreversible filter)と、整数型の5/3可逆フィルタ(5/3 reversible filter)の2つが定義されており、前者の方が符号化特性は良いが、使用できるのは非可逆圧縮のみである。
【0015】
5.量子化
量子化とは、離散ウェーブレット変換で生成されたサブバンド係数の精度をさらに削減する処理であり、サブバンド係数ごとに変えることができる。なお、前記整数型ウェーブレット変換フィルタを用いて可逆符号化を行う場合には、この処理は行わなく、後述する実施の形態ではこの処理を省略した例で説明している。
【0016】
6.EBCOT
EBCOT(Embedded block coding with optimal truncation)は、係数ビットモデリングと、エントロピー符号化である算術符号化の2段構成になっている。係数ビットモデリングとは、符号化効率を良くするために、グループ化するものでビットプレーン処理である。すなわち、ウェーブレット変換係数(サブバンド係数)は、多値信号であるのに対し、算術符号化の入力信号は「0」か「1」の2値信号であることから、多値のウェーブレット変換係数を算術符号化によって効率良く符号化できるように2値信号に変更する機能を果たすのが係数ビットモデリングである。この処理はウェーブレット変換係数を固定サイズのコードブロックに分割し、さらに各変換係数をビットプレーンに展開して、それぞれのビットプレーン上で符号化パスに基づいて算術符号化する手順から構成されている。
【0017】
7.レイヤー生成
レイヤー生成とは、EBCOTの算術符号化によって生成された圧縮データを画像品質への寄与度に応じて階層化することである。
【0018】
〔形態2〕また、形態2のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部を備え、前記係数ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするものである。
【0019】
このような構成によれば、前記形態1と同様に、離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減って、その後の係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理すべきデータ量が大幅に減少するため、符号化を高速で実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0020】
〔形態3〕また、形態3のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを高周波成分と低周波成分に分割してサブバンドごとの画像データを離散ウェーブレット係数に変換する離散ウェーブレット変換部と、当該離散ウェーブレット変換部で変換された後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部と、当該係数ビットシフト処理部でビットシフト処理されたウェーブレット係数に対して係数モデリング処理と算術符号化処理を行って圧縮データを生成するEBCOTと、当該EBCOTで生成された圧縮データを階層化するレイヤー生成部とを備え、前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するようになっていることを特徴とするものである。
【0021】
このような構成によれば、前記形態1と同様に、離散ウェーブレット変換部による離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減って、その後のEBCOTなどにおける係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理すべきデータ量が大幅に減少するため、符号化を高速で実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0022】
〔形態4〕また、形態4のデジタル画像符号化装置は、
形態1〜3のいずれかに記載のデジタル画像符号化装置において、前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、高周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするものである。
【0023】
このような構成によれば、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。すなわち、人間の視覚特性は、画像の高周波成分には鈍く低周波成分には敏感であるため、低周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するよりも、高周波成分を含むサブバンド係数に対して実施したほうが効果的に画像の劣化を抑えることができる。
【0024】
〔形態5〕また、形態5のデジタル画像符号化装置は、
形態1〜3のいずれかに記載のデジタル画像符号化装置において、前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに画質の寄与度を算出し、その寄与度に応じて前記サブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするものである。
【0025】
このような構成によれば、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、形態2と同様に前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。具体的には、前述したように人間の視覚特性は、画像の高周波成分には鈍く低周波成分には敏感であるため、低周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するよりも、高周波成分を含むサブバンド係数に対して実施すると共に、その高周波成分を含むサブバンド係数のなかでも画質の寄与度が異なるため、画質の寄与度が大きいサブバンド係数からはビットシフト数を少なくし、画質の寄与度が大きいサブバンド係数からはビットシフト数を多くすることで効果的に画像の劣化を抑えることができる。また、同様に、人間の視覚特性は、画像の色差成分には鈍く、輝度成分には敏感であるため、色差成分に対応するサブバンド係数からはビットシフト数を多くし、輝度成分に対応するサブバンド係数からはビットシフト処理をしないか、あるいはビットシフト数を少なくすることで効果的に画像の劣化を抑えることができる。
【0026】
〔形態6〕また、形態6のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対してビットシフト処理を実施する変換前ビットシフト処理部を備え、前記ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするものである。
【0027】
このような構成によれば、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。すなわち、通常、離散ウェーブレット変換では変換後のビット数は、変換前よりも多くなる。そのため、ビットシフト処理を離散ウェーブレット変換前に行うことによって離散ウェーブレット変換後の係数を効率的に減らすことが可能となり、高速に符号化を実現することができる。また、ハードウェアによって符号化する際の使用メモリ量を削減することができる。
【0028】
〔形態7〕また、形態7のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対してビットシフト処理を実施する変換前ビットシフト処理部を備え、前記ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするものである。
このような構成によれば、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0029】
〔形態8〕また、形態8のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データをビットシフトするビットシフト処理部と、当該ビットシフト処理部でビットシフトされたデジタル画像データを高周波成分と低周波成分に分割してサブバンドごとの画像データを離散ウェーブレット係数に変換する離散ウェーブレット変換部と、当該離散ウェーブレット変換部で変換されたウェーブレット係数に対して係数モデリング処理と算術符号化処理を行って圧縮データを生成するEBCOTと、当該EBCOTで生成された圧縮データを階層化するレイヤー生成部とを備え、前記ビットシフト処理部は、前記デジタル画像データをデータ記憶部から下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するようになっていることを特徴とするものである。
このような構成によれば、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0030】
〔形態9〕また、形態9のデジタル画像符号化装置は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、形態1〜5のいずれか1項に記載の係数ビットシフト処理部と、形態6〜8のいずれか1項に記載の変換前ビットシフト処理部とを備えたことを特徴とするものである。
これによって、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれビットシフト処理がなされて有効ビット数が減るため、形態1と同様に高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0031】
〔形態10〕また、形態10のデジタル画像符号化装置は、
形態1〜9のいずれかに記載のデジタル画像符号化装置において、前記離散ウェーブレット変換前に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間に変換するためのコンポーネント変換部を備えたことを特徴とするものである。
【0032】
これによって離散ウェーブレット変換前にデジタル画像データのコンポーネント変換処理が可能となるため、後のビットシフト処理において、前述したように人間の視覚ではその劣化が認識し難いコンポーネントに対して集中的にビットシフト処理を実施することができるため、より適切な符号化を実現することができる。
【0033】
〔形態11〕また、形態11のデジタル画像符号化装置は、
形態10に記載のデジタル画像符号化装置において、前記コンポーネント変換部は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とに変換する色変換処理を実施するようになっていることを特徴とするものである。
これによって画像の持っている情報を輝度成分に集中させて、人間の視覚特性上、鈍い色差成分に対してビットシフト処理することができるため、より適切な符号化を実現することができる。
【0034】
〔形態12〕また、形態12のデジタル画像復号化装置は、
形態1に記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化装置であって、前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数に対して、逆ビットシフト処理を実施する逆係数ビットシフト処理部を備え、前記逆ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするものである。
【0035】
これによって、形態1に記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データ(JPEG2000ファイル)を復号化することができるため、視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い画像を提供、または再生画質(圧縮率など)に応じた高品質な画像を提供することができる。
【0036】
〔形態13〕また、形態13のデジタル画像復号化装置は、
形態12に記載のデジタル画像復号化装置において、前記逆係数ビットシフト処理部は、前記符号化の際のビットシフト処理が前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、一部のサブバンド係数に対してのみ実施されているときは、前記ビットシフト処理が実施されたサブバンド係数に対してのみ実施するようになっていることを特徴とするものである。
これによって、符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0037】
〔形態14〕また、形態14のデジタル画像復号化装置は、
形態12に記載のデジタル画像復号化装置において、前記逆係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理が行われているときは、当該各ビットシフト処理に対応した前記逆ビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするものである。
これによって、形態13と同様に符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0038】
〔形態15〕また、形態15のデジタル画像復号化装置は、
形態8に記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化装置であって、前記離散ウェーブレット逆変換後のデジタル画像データに対して、逆ビットシフト処理を実施する逆ビットシフト処理部を備え、前記逆ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするものである。
【0039】
これによって、形態8に記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データを復号化することができるため、視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い画像を提供、または、再生画質(圧縮率など)に応じた高品質な画像を提供することができる。
【0040】
〔形態16〕また、形態16のデジタル画像復号化装置は、
離散ウェーブレット変換を用いて符号化されたデータを、離散ウェーブレット逆変換を用いて復号化する装置であって、形態12〜14のいずれかに記載の逆係数ビットシフト処理部と、形態15に記載の逆ビットシフト処理部とを備えたことを特徴とするものである。
これによって、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて有効ビット数が増えるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0041】
〔形態17〕また、形態17のデジタル画像復号化装置は、
形態12〜14のいずれかに記載のデジタル画像復号化装置において、前記離散ウェーブレット逆変換後に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間から人間の視覚特性に依存しない画像信号に変換するためのコンポーネント逆変換部を備えたことを特徴とするものである。
これによって、符号化前のデジタル画像データがRGB等の複数のコンポーネントからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の複数のコンポーネントからなるデジタル画像データに復号化することができる。
【0042】
〔形態18〕また、形態18のデジタル画像復号化装置は、
形態17に記載のデジタル画像復号化装置において、前記コンポーネント逆変換部は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とから画像信号に変換する処理を実施するようになっていることを特徴とするものである。
【0043】
これによって、ビットシフト処理前のデジタル画像データが輝度成分と色差成分とからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の輝度成分と、色差成分とからなる画像信号に変換して元のデジタル画像データに復号化することができる。
【0044】
〔形態19〕また、形態19のデジタル画像符号化方法は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするものである。
【0045】
これによって形態1と同様に、離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減って、その後の係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理すべきデータ量が大幅に減少するため、負荷が大幅に減って高速に符号化を実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0046】
〔形態20〕また、形態20のデジタル画像符号化方法は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするものである。
これによって形態1と同様に、係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理負荷が大幅に減って高速に符号化を実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0047】
〔形態21〕また、形態21のデジタル画像符号化方法は、
形態19または20に記載のデジタル画像符号化方法において、前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、高周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するものであることを特徴とするものである。
これによって、形態4と同様に高速に符号化を実現できると共に、前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。
【0048】
〔形態22〕また、形態22のデジタル画像符号化方法は、
形態19または20に記載のデジタル画像符号化方法において、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに画質の寄与度を算出し、その寄与度に応じて前記サブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理を実施するものであることを特徴とするものである。
これによって、形態5と同様に高速に符号化を実現できると共に、前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。
【0049】
〔形態23〕また、形態23のデジタル画像符号化方法は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対して前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成することを特徴とするものである。
これによって、形態6と同様に、高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0050】
〔形態24〕また、形態24のデジタル画像符号化方法は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対して前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成することを特徴とするものである。
これによって、形態4と同様に、高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0051】
〔形態25〕また、形態25のデジタル画像符号化方法は、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、形態19〜22のいずれかに記載の係数ビットシフト処理と、形態23または24に記載の変換前ビットシフト処理とを備えたことを特徴とするものである。
これによって、形態7と同様に、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれビットシフト処理がなされて有効ビット数が減るため、高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。
【0052】
〔形態26〕また、形態26のデジタル画像符号化方法は、
形態19〜25のいずれかに記載のデジタル画像符号化方法において、前記離散ウェーブレット変換前に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間に変換するコンポーネント変換処理を実施することを特徴とするものである。
これによって、形態8と同様に、離散ウェーブレット変換前にデジタル画像データのコンポーネント変換処理が可能となるため、後のビットシフト処理において、前述したように人間の視覚ではその劣化が認識し難いコンポーネントに対して集中的にビットシフト処理を実施することが可能となり、より適切な符号化を実現することができる。
【0053】
〔形態27〕また、形態27のデジタル画像符号化方法は、
形態19または20に記載のデジタル画像符号化方法において、前記コンポーネント変換処理は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とに変換する色変換処理であることを特徴とするものである。
これによって、形態9と同様に画像の持っている情報を輝度成分に集中させて、人間の視覚特性上、鈍い色差成分に対してビットシフト処理することができるため、より適切な符号化を実現することができる。
【0054】
〔形態28〕また、形態28のデジタル画像復号化方法は、
形態19または20に記載のデジタル画像符号化方法で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化方法であって、
前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数を上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするデジタル画像復号化方法。
【0055】
これによって、形態19または20に記載のデジタル画像符号化方法で符号化された符号化データをそのデータ量を損なうことなく復号化することができるため、視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い画像を提供、または、再生画質(圧縮率など)に応じた高品質な画像を提供することができる。
【0056】
〔形態29〕また、形態29のデジタル画像復号化方法は、
形態28に記載のデジタル画像復号化方法において、前記逆係数ビットシフト処理は、前記符号化の際のビットシフト処理が前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数のうち、一部のサブバンド係数に対してのみ実施されているときは、前記ビットシフト処理が実施されたサブバンド係数に対してのみ実施することを特徴とするものである。
これによって、符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0057】
〔形態30〕また、形態30のデジタル画像復号化方法は、
形態28に記載のデジタル画像復号化方法において、前記逆係数ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理が行われているときは、当該各ビットシフト処理に対応した前記逆ビットシフト処理を実施することを特徴とするものである。
これによって、符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0058】
〔形態31〕また、形態31のデジタル画像復号化方法は、
形態24に記載のデジタル画像符号化方法で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化方法であって、前記離散ウェーブレット逆変換後のデジタル画像データに対して、前記デジタル画像データを上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成することを特徴とするものである。
【0059】
これによって、形態24に記載のデジタル画像符号化方法で符号化された符号化データをそのデータ量を損なうことなく復号化することができるため、視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い画像を提供、または、再生画質(圧縮率など)に応じた高品質な画像を提供することができる。
【0060】
〔形態32〕また、形態32のデジタル画像復号化方法は、
離散ウェーブレット変換を用いて符号化されたデータを、離散ウェーブレット逆変換を用いて復号化する方法であって、形態28〜30のいずれかに記載の逆係数ビットシフト処理と、形態31に記載の逆ビットシフト処理とを備えたことを特徴とするものである。
これによって、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて有効ビット数が増えるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。
【0061】
〔形態33〕また、形態33のデジタル画像復号化方法は、
形態28〜32のいずれかに記載のデジタル画像復号化方法において、前記離散ウェーブレット逆変換後に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間から人間の視覚特性に依存しない画像信号に変換するためのコンポーネント逆変換処理を備えたことを特徴とするデジタル画像復号化装置。
これによって、符号化前のデジタル画像データがRGB等の複数のコンポーネントからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の複数のコンポーネントからなるデジタル画像データに復号化することができる。
【0062】
〔形態34〕また、形態34のデジタル画像復号化方法は、
形態33に記載のデジタル画像復号化方法において、前記コンポーネント逆変換処理は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とから画像信号に変換する色変換処理を実施することを特徴とするものである。
これによって、ビットシフト処理前のデジタル画像データが輝度成分と色差成分とからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の輝度成分と、色差成分とからなる画像信号に変換して元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化することができる。
【0063】
〔形態35〕また、形態35のデジタル画像符号化プログラムは、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するデジタル画像符号化プログラムであって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして下位ビットを廃棄する処理と、当該ビット廃棄処理後の残りのビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、をコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0064】
これによって形態1と同様に、離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減って、その後の係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理すべきデータ量が大幅に減少するため、負荷が大幅に減って高速に符号化を実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
また、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0065】
〔形態36〕また、形態36のデジタル画像符号化プログラムは、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するデジタル画像符号化プログラムであって、前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトする処理と、当該ビットシフト処理後の残りのビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、をコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0066】
これによって形態1と同様に、離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数の有効ビット数が減ってデータ量が大幅に減少するため、その後の係数ビットモデリング処理や算術符号化処理などの処理負荷が大幅に減って高速に符号化を実施することができると共に、ハードウェアで処理した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
また、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0067】
〔形態37〕また、形態37のデジタル画像符号化プログラムは、
形態35または36に記載のデジタル画像符号化プログラムにおいて、前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、高周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するものであることを特徴とするものである。
これによって、形態4と同様に高速に符号化を実現できると共に、前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0068】
〔形態38〕また、形態38のデジタル画像符号化プログラムは、
形態35または36に記載のデジタル画像符号化プログラムにおいて、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに画質の寄与度を算出し、その寄与度に応じて前記サブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理を実施するものであることを特徴とするものである。
【0069】
これによって、形態5と同様に高速に符号化を実現できると共に、前記ビットシフト処理に伴う画像の劣化を最小限に抑えることができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0070】
〔形態39〕また、形態39のデジタル画像符号化プログラムは、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するプログラムであって、前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対して前記デジタル画像データを上位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成する処理をコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0071】
これによって、形態6と同様に、高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0072】
〔形態40〕また、形態40のデジタル画像符号化プログラムは、
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するプログラムであって、形態35〜38のいずれかに記載の係数ビットシフト処理と、形態39に記載の変換前ビットシフト処理とをコンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0073】
これによって、形態7と同様に、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれビットシフト処理がなされて有効ビット数が減るため、高速に符号化を実現できると共に、使用メモリ量を削減することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0074】
〔形態41〕また、形態41のデジタル画像符号化プログラムは、
形態35〜40のいずれかに記載のデジタル画像符号化プログラムにおいて、前記離散ウェーブレット変換前に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間に変換するコンポーネント変換処理を実施することを特徴とするものである。
【0075】
これによって、形態8と同様に、離散ウェーブレット変換前にデジタル画像データのコンポーネント変換処理が可能となるため、後のビットシフト処理において、前述したように人間の視覚ではその劣化が認識し難いコンポーネントに対して集中的にビットシフト処理を実施することが可能となり、より適切な符号化を実現することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0076】
〔形態42〕また、形態42のデジタル画像符号化プログラムは、
形態41に記載のデジタル画像符号化プログラムにおいて、前記コンポーネント変換処理は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とに変換する色変換処理であることを特徴とするものである。
【0077】
これによって、形態9と同様に画像の持っている情報を輝度成分に集中させて、人間の視覚特性上、鈍い色差成分に対してビットシフト処理することができるため、より適切な符号化を実現することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0078】
〔形態43〕また、形態43のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態35〜42のいずれかに記載のデジタル画像符号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
これによって、CD−ROMやDVD−ROM、FD、半導体チップなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記形態35〜42のいずれかに記載のデジタル画像符号化プログラムをユーザなどの需用者に対して容易かつ確実に提供することができる。
【0079】
〔形態44〕また、形態44のデジタル画像復号化プログラムは、
形態38に記載のデジタル画像符号化プログラムで符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化プログラムであって、前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして下位ビットを廃棄する処理と、当該ビット廃棄処理後の残りのビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、をコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0080】
これによって、デジタル画像符号化プログラムで符号化された符号化データをそのデータ量を損なうことなく復号化することができるため、形態10と同様に、視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い画像を提供、または、再生画質(圧縮率など)に応じた高品質な画像を提供することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0081】
〔形態45〕また、形態45のデジタル画像復号化プログラムは、
形態44に記載のデジタル画像復号化プログラムにおいて、前記逆係数ビットシフト処理は、前記符号化の際のビットシフト処理が前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、一部のサブバンド係数に対してのみ実施されているときは、前記ビットシフト処理が実施されたサブバンド係数に対してのみ実施することを特徴とするものである。
【0082】
これによって、形態11と同様に、符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0083】
〔形態46〕また、形態46のデジタル画像復号化プログラムは、
形態44に記載のデジタル画像復号化プログラムにおいて、前記逆係数ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理が行われているときは、当該各ビットシフト処理に対応した前記逆ビットシフト処理を実施することを特徴とするものである。
【0084】
これによって、形態12と同様に符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0085】
〔形態47〕また、形態47のデジタル画像復号化プログラムは、
形態39に記載のデジタル画像符号化プログラムで符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化プログラムであって、前記離散ウェーブレット逆変換後のデジタル画像データに対して、前記デジタル画像データを上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトして下位ビット側に新たなビットを追加するビット追加処理と、当該ビット追加処理で追加された後の全ビットから新たなデジタル画像データを作成するデジタル画像データ作成手段とをコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0086】
これによって、デジタル画像符号化プログラムで符号化された符号化データをそのデータ量を損なうことなく復号化することができるため、形態13と同様に、符号化前のデジタル画像データに近いデータに復号化することができるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0087】
〔形態48〕また、形態48のデジタル画像復号化プログラムは、
離散ウェーブレット変換を用いて符号化されたデータを、離散ウェーブレット逆変換を用いて復号化するプログラムであって、形態44〜46のいずれかに記載の逆係数ビットシフト処理と、形態46に記載の逆ビットシフト処理とをコンピュータに実施させることを特徴とするものである。
【0088】
これによって、形態14と同様に、離散ウェーブレット変換処理の前後においてそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて有効ビット数が増えるため、原画像に近い画像の再生が可能となる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0089】
〔形態49〕また、形態49のデジタル画像復号化プログラムは、
形態44〜48のいずれかに記載のデジタル画像復号化プログラムにおいて、前記離散ウェーブレット逆変換後に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間から人間の視覚特性に依存しない画像信号に変換するためのコンポーネント逆変換処理を実施することを特徴とするものである。
【0090】
これによって、形態15と同様に、符号化前のデジタル画像データがRGB等の複数のコンポーネントからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の複数のコンポーネントからなるデジタル画像データに復号化することができる。また、形態29と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0091】
〔形態50〕また、形態50のデジタル画像復号化プログラムは、
形態38に記載のデジタル画像復号化プログラムにおいて、前記コンポーネント逆変換処理は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とから画像信号に変換する色変換処理を実施することを特徴とするものである。
【0092】
これによって、形態16と同様に、ビットシフト処理前のデジタル画像データが輝度成分と色差成分とからなる場合に、離散ウェーブレット変換処理の前後、またはいずれかにおいてにそれぞれ逆のビットシフト処理がなされて得られた画像データを元の輝度成分と、色差成分とからなる画像信号に変換して元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化することができる。また、形態35と同様に、コンピュータシステムを用いてソフトウェア上で実現することができるため、専用のハードウェアを作成して実現する場合に比べて容易かつ経済的に実現することができる。
【0093】
〔形態51〕また、形態43のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態44〜50のいずれかに記載のデジタル画像復号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
これによって、CD−ROMやDVD−ROM、FD、半導体チップなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記形態44〜50のいずれかに記載のデジタル画像復号化プログラムをユーザなどの需用者に対して容易かつ確実に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1〜図4は、本発明に係るデジタル画像符号化装置100、及びこのデジタル画像符号化装置100を用いたデジタル画像符号化方法、デジタル画像符号化プログラムに係る第1の実施の形態を示したものである。
図1に示すように、このデジタル画像符号化装置100は、DCレベルシフト処理部110と、コンポーネント変換部120と、離散ウェーブレット変換部130と、係数ビット処理部140と、EBCOT150と、レイヤー生成部160とから主に構成されている。
【0095】
このうち、係数ビット処理部140を除く他の構成は、前述したJPEG2000の符号化技術を用いた従来のデジタル画像符号化装置の基本構成とほぼ同様であり、本発明のデジタル画像符号化装置100は、これらの構成に加えて係数ビット処理部140を離散ウェーブレット変換部130とEBCOT150との間に新たに付設したことを特徴とするものである。
【0096】
以下、これら本発明のデジタル画像符号化装置100の各構成要素の機能、及びこのデジタル画像符号化装置100を用いたデジタル画像符号化方法について説明する。なお、係数ビット処理部140を除く他の構成の機能については、従来と同様であってその説明も既述したため、係数ビット処理部140の機能との関連についてのみ簡単に説明する。
符号化処理対象となるデジタル画像データ(BMPファイル等)は、先ずDCレベルシフト処理部110に入力されてウェーブレット変換の効率を向上させるためのDCレベルシフト変換処理が行われる。例えば、原画像が8ビットのコンポーネントであって、「0〜255」の符号無し整数で表される場合、これを「−127〜127」にレベルシフトして平均値を、例えば「0」とすることでDCオフセット値を除いておく。
【0097】
次に、このデジタル画像データがカラー画像データの場合には、DCレベル変換後に、コンポーネント変換部120に入力されてカラー画像データを効率良く圧縮するための色変換処理が行われる。例えば、入力画像信号がRGB信号の場合、輝度色差空間であるY、Cb、Cr色空間、またはYUV色空間への変換処理が行われる。
次に、このコンポーネント変換部120を経たデジタル画像データは、離散ウェーブレット変換部130に入力されて離散ウェーブレット順変換処理(FDWT:forward descrete wavelet Transform)が行われる。この離散ウェーブレット順変換の基本的な処理は、入力された原信号に対して低域通過(ローパス)フィルタリングと高域通過(ハイパス)フィルタリングを分解レベル数だけ適用し、ダウンサンプリングされた各サブバンド係数を出力するものである。
【0098】
図14は、原画像(A)を分解レベル数「1」、及び分解レベル「2」でそれぞれ分割したものであり、分割された各サブバンド信号(ウェーブレット係数)は、サブバンド分解のレベルを表すインディックスであるレベルと各サブバンドの空間周波数である「LL」、「HL」、「LH」、「HH」の4つの記号を組み合わせて表される。
例えば、サブバンド「0LL」は変換処理前の原画像に対応し、レベル1の場合はサブバンドLLに対して垂直方向、水平方向の順にフィルタリング処理を適用する。このとき、垂直方向、水平方向のそれぞれに対して低域通過フィルタ・広域通過フィルタの2つの選択が可能であるので、以下の4つのサブバンドが生成される。
【0099】
・サブバンドLL:垂直方向と水平方向共に低域通過フィルタリングを行い、2:1ダ ウンサンプリングした信号。
・サブバンドHL:垂直方向に低域通過フィルタリング、水平方向に高域通過フィルタ リングを行い、2:1ダウンサンプリングした信号。
・サブバンドLH:垂直方向に高域通過フィルタリング、水平方向に低域通過フィルタ リングを行い、2:1ダウンサンプリングした信号。
・サブバンドHH:垂直方向と水平方向共に高域通過フィルタリングを行い、2:1ダ ウンサンプリングした信号。
そして、図14(B)は、これらサブバンド「LL」、「HL」、「LH」、「HH」の分解レベル1の配置を示したものであり、図14(C)は、そのうちサブバンド「LL」に対してさらにサブバンド分割した分解レベル2の配置を示したものである。
【0100】
次に、このようにして離散ウェーブレット変換部130によって従来と同様な離散ウェーブレット順変換処理が行われた画像データは、本発明の特徴部分である係数ビットシフト処理部140に入力されて各信号(Y、Cb、Cr等)のウェーブレット係数一つ一つごと(1画素ごと)にビットシフト処理が行われることになる。
このビットシフト処理は、図2(a)に示すよう様に、サブバンド(レベル1及びレベル2)ごとに行うものであって、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成する処理である。
【0101】
図2は、レベル1のサブバンド「1LH」のなかのある4つの連続した画素を表示し、それぞれ画素に対して纏めて3ビット分づつメモリ上の係数記憶部180から下位ビット側にビットシフト処理した状態を示したものである。
例えば、図2(b)に示すように、処理単位となる各画素の画素値が8ビットで表示可能でそのうち下位から6ビットが有効ビットである場合、これを図2(c)に示すように、下位ビット側に3ビットだけシフトして下位ビット3ビットが廃棄された後、図2(d)に示すように、空白になった上位ビット側に3ビット分だけ、「0」ビットからなるビットプレーンを追加(補完)することで、有効ビットを6ビットから3ビットに減らすようにしたものである。
【0102】
そして、ある画素の画素値が例えば(00101001)で表示される41階調(2+2+2)である場合、これを3ビット分だけ係数記憶部180から下位ビットにシフトすることにより、下位の3ビット(001)が廃棄されて、(00000101(上位3ビットはビットプレーン))となり、5階調(2+2)まで画素値のデータ量が減少することになる。
【0103】
これによって、画像データ全体の有効ビット数が減って、図1に示すように、その後のEBCOT(係数ビットモデリング処理、算術符号化処理)150やレイヤー生成部160などで処理すべきデータ量が大幅に減少するため、負荷が大幅に減って符号化を高速で実施することができると共に、各処理を専用のハードウェアで実行した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることができる。
【0104】
また、このようなビットシフトの処理量は、各サブバンド係数に対して一律に行うよりも、図3に示すように、サブバンドの種類ごとに変えて実行することが望ましい。
すなわち、前述したように人間の視覚特性は、高周波成分よりも低周波成分に敏感で、また、色差成分(Cb、Cr)よりも輝度成分(Y)に敏感であることから周波数成分ごと、あるいはコンポーネントごとにビットシフトする数を増減すれば、ビットシフト処理によるデータ量の削減による人間の視覚による画像の劣化現象を最小限に抑えることができる。
【0105】
例えば、図3に示すように、人間の視覚特性に敏感な輝度成分(Y)のサブバンドに関しては、ビットシフト量を「0(なし)」か、最小限の「1」に抑えるのに対し、人間の視覚特性に鈍感な色差成分(Cb、Cr)については、高周波成分を含むサブバンド(1HL、1HH、1HL)についてはそれぞれ3ビット以上(特に高い周波数成分を含むサブバンド1HH及び2HHについては全部)、一部に低周波成分を含むサブバンド(2HL、2HL)については1ビット以上(低周波成分からなるサブバンド2LLついてはビットシフトなし)といった変則的なビットシフトを実行することで、データ量を大きく削減しても人間の視覚による画像の劣化現象の知覚を最小限に抑えることができる。
【0106】
そして、このようなビットシフト処理によってデータ量が削減されたサブバンド係数は、その後、従来と同様にEBCOT150に送られ、係数ビットモデリング処理により、コードブロックと呼ばれる小ブロックに分解される。コードブロック内のサブバンド係数はその大きさがMSBからLSBに向かってビットプレーン展開されて所定の符号化パスで符号化された後、算術符号化処理が行われる。そして、算術符号化処理は、この係数ビットモデリング処理で得られた符号列とコンテクスト情報を用いて、サブバンド係数をエントロピー符号化によってさらに無ひずみ圧縮してビットストリームを生成する。その後、このビットストリームは、レイヤー生成部160によって、画像品質を考慮してエンベデッド符号を構成するため、レイヤー(Layer)と呼ばれる単位にグループ化されてその符号が出力されることになる。なお、このEBCOT150以降の処理は、標準のJPEG2000の場合と何ら変わるところはない。
【0107】
なお、本発明のデジタル画像符号化装置100及びこのデジタル画像符号化装置100を用いたデジタル画像符号化方法、並びに次に述べるデジタル画像復号化装置200及びこのデジタル画像復号化装置200を用いたデジタル画像符号化方法を、パソコン(PC)などの汎用のコンピュータシステムを用いて実現する場合は、前述したDCレベルシフト処理部110と、コンポーネント変換部120と、離散ウェーブレット変換部130と、係数ビット処理部140と、EBCOT150と、レイヤー生成部160の機能を実現するデジタル画像符号化プログラム(ソフトウェア)と、図4に示すようなハードウェアとを組み合わせることによって容易に実現することができる。
【0108】
すなわち、このデジタル画像符号化装置100は、図4に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)20と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)30との間を、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなるバス40で接続すると共に、このバス40に入出力インターフェース(I/F)50を介して画像データを入出力するための画像データ入出力部60と、圧縮された符号データを入出力するための符号入出力部70を接続したものである。そして、電源が投入されると、ROM30に記憶されたデジタル画像符号化(復号化)プログラムがRAM20にロードされ、そのRAM20にロードされたデジタル画像符号化(復号化)プログラムの記述に従ってCPU10が逐次命令を実行することで各部の処理を高速で実行することになる。
【0109】
また、本発明はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の用途のために設計・製造されるLSIによっても実現することが可能であり、デジタルカメラなどの画像処理システムに組み込まれる場合は、このような形態で実現されることになる。
次に、図5〜図7は、前述した本発明に係るデジタル画像符号化装置100及びこのデジタル画像符号化装置100を用いたデジタル画像符号化方法(あるいはデジタル画像符号化プログラム)によって符号化されたデータを、元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するためのデジタル画像復号化装置200及びこのデジタル画像復号化装置200を用いたデジタル画像復号化方法に係る第1の実施の形態を示したものである。
【0110】
図5に示すように、このデジタル画像復号化装置200は、レイヤー逆生成部210と逆EBCOT220と、逆係数ビット処理部230と、離散ウェーブレット逆変換部240と、コンポーネント逆変換部250と、DCレベルシフト逆処理部260とから主に構成されている。
このうち、逆係数ビット処理部230を除く他の構成は、前述したJPEG2000の復号化技術を用いた従来のデジタル画像復号化装置の基本構成とほぼ同様であり、本発明のデジタル画像復号化装置200は、これらの構成に加えて逆係数ビット処理部230を離散ウェーブレット逆変換部240と逆EBCOT220との間に新たに付設したことを特徴とするものである。
【0111】
そして、このような構成をしたデジタル画像復号化装置200によって、前述した本発明に係るデジタル画像符号化装置100で符号化されたデータを復号化するためには、同図に示すように、先ず、符号データをレイヤー逆生成部210に入力してレイヤー生成処理前のデータに変換した後、逆EBCOT220に入力して算術符号化処理及び係数ビットモデリング処理前のサブバンド係数に戻した後、そのサブバンド係数を逆係数ビット処理部230に入力して図6に示すような逆ビットシフト処理を実行する。
【0112】
すなわち、この逆係数ビット処理部230における逆ビットシフト処理は、前記デジタル画像符号化装置100の係数ビットシフト処理部140で行われた下位ビット側へのビットシフト処理とは逆方向のビットシフト処理を実行するものであり、例えば、符号化時に前記係数ビットシフト処理部140で各画素の画素値について下位ビット側へ3ビットのビットシフト処理が行われた場合は、図6(a)から同図(b)に示すように、各画素のビット列を上位ビット側に3ビット分だけ逆ビットシフトし、上位3ビット、すなわち、符号時に追加された「0」ビットからなる3つのビットプレーンをそのまま破棄した後、空白となった下位3ビットに位置に新たな3つのビットプレーンを追加して「0」を埋める。これによって、各画素の有効ビット数が元の画素値と同じになり、元の画素値に極めて近い画素値に復元することができる。
【0113】
例えば、符号化時のビットシフト処理によって、5階調までデータ量が減少した画素値は、そのまま上位ビット側に3ビット分だけビットシフトすることにより、画素値が(00101000)となって、表示される階調が40階調となり、元の階調(41階調)とほぼ同様の画素値に復元することができる。
そして、このような逆係数ビット処理が行われたサブバンド係数は、その後、離散ウェーブレット逆変換部240、コンポーネント逆変換部250、DCレベルシフト逆処理部260を経て元の画像データに近い画像データに復元されて出力されることになる。
【0114】
これによって、符号化前の画像データとほぼ同じ、あるいは極めて近いデータ量の画像データに復号することが可能となり、符号化処理や復号化処理に際して殆ど画質劣化のない、高品質な画像データを得ることができる。
次に、図7は、本発明に係るデジタル画像符号化装置100に係る第2の実施の形態を示したものである。
【0115】
図示するように、このデジタル画像符号化装置100は、コンポーネント変換部120と、離散ウェーブレット変換部130との間に、前記係数ビット処理部140に相当するビットシフト処理部170を備えたものであり、前記第1の実施の形態と異なる点は、離散ウェーブレット変換処理後のサブバンド係数に対してビットシフト処理を実行するのではなく、離散ウェーブレット変換処理前に、コンポーネント変換処理された画像データに対してビットシフト処理を実行するようにしたものである。
【0116】
このように離散ウェーブレット変換処理前のコンポーネントデータ(画像データ)に対してビットシフト処理を実行すれば、離散ウェーブレット変換処理後に行う場合のようにサブバンドごとのきめ細かなビットシフト処理は困難であるが、コンポーネントごとに所定のビット処理を一律に実行することができるため、そのビットシフト処理に要する負荷や処理時間を短縮することが可能となり、より高速な符号化を達成することが可能となる。なお、このビットシフト処理部170によるビットシフト処理方法としては、人間の視覚特性に敏感な輝度成分(Y)に対しては、「1」ビット、あるいは一切ビット処理を行わず、人間の視覚特性に敏感な色差成分(Cb、Cr)に対しては、それぞれ「3」ビットずつビットシフトするなど、そのコンポーネントの特性に応じて変えることが望ましいことはいうまでもない。
【0117】
これによって、前記第1の実施の形態と同様に、画像データ全体の有効ビット数が減って、その後の離散ウェーブレット変換部130や、EBCOT150、レイヤー生成部160などで処理すべきデータ量が大幅に減少するため、負荷が大幅に減って符号化を高速で実施することができると共に、各処理を専用のハードウェアで実行した場合には、使用メモリ量も大幅に少なくすることが可能となる。
【0118】
一方、図8は、このようなデジタル画像符号化装置100によって符号化されたデータを専門に復号化するためのデジタル画像復号化装置200の第2の実施の形態を示したものであり、前述した第1の実施の形態のデジタル画像復号化装置200(図5)の逆係数ビットシフト処理部230に変えて、離散ウェーブレット逆変換部240と、コンポーネント逆変換部250との間に、逆ビットシフト処理部270を新たに備えたものである。
【0119】
従って、図7に示すようなデジタル画像符号化装置100によって一旦符号化されたデータは、レイヤー逆生成部210、逆EBCOT220、離散ウェーブレット逆変換部240を経てコンポーネントデータに復号された後、この逆ビットシフト処理部270によって逆のビットシフト処理がなされて元の画素値とほぼ同一の値まで復号化された後、コンポーネント逆変換部250及びDCレベルシフト逆処理部260を経て元の画像データに近いデジタル画像データに復号されることになる。
【0120】
なお、この逆ビットシフト処理部270における逆ビットシフト処理は、符号化時に行われたビットシフト処理とは全く逆の処理を実行することが元の画像に近い高品質な画像を復号するために肝要であり、各コンポーネントごとに異なるビットシフト処理を実行した場合は、コンポーネントごとにそのビットシフト処理とは、逆のビット処理を実行することが望ましい。
【0121】
また、逆ビットシフト処理した際に空白となった下位ビット領域に埋める(補完する)ビットの種類としては、「0」ビットだけに限らず、例えば、以下の式1に従って、ビットシフト数に応じて適宜「1」を補完するようにすれば、単に「0」を補完する場合よりも高画質の画像が得られることが経験的に判明している。
1の補完数=2N−1−1、但しNはビットシフト数…(1)
この式1によれば、図9(a)に示すように、補完数が1ビットの場合は、その補完領域に「0」を挿入することになるが、同図(b)及び(c)に示すように、補完数が2ビット及び3ビットの場合は、最下位ビット及び最下位から2つのビットが「1」となり、実際に、全ビット「0」を挿入した場合よりも、ごく僅かな差ではあるが、原画像により近い高品質な画像が復元される。
【0122】
また、実験の結果、この式1に基づくビット補完処理は、離散ウェーブレット逆変換前の逆ビットシフト処理に対して行うよりも、逆コンポーネント変換前の逆ビットシフトに対して行った方が良い結果が得られた。すなわち、逆コンポーネント変換前の逆ビットシフトに対して行った方が人間の視覚的には原画像に近い高品質の画像が得られた。
これによって、前記第1の実施の形態と同様に、符号化前の画像データと全く同じデータ量の画像データに復号することが可能となり、人間の視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い高品質な画像データを得ることができる。
【0123】
次に、図10は、本発明に係るデジタル画像符号化装置100に係る第3の実施の形態を示したものである。
図示するように、このデジタル画像符号化装置100は、コンポーネント変換部120と、離散ウェーブレット変換部130との間に、前記第2の実施の形態と同様に、ビット処理部170を備えると共に、離散ウェーブレット変換部130と、EBCOT150との間に、前記第1の実施の形態と同様に、係数ビット処理部140を備えたものであり、離散ウェーブレット変換処理前に各コンポーネントに対してビットシフト処理を実行可能すると共に、離散ウェーブレット変換処理後にサブバンド係数に対してそれぞれ適宜ビットシフト処理を実行可能としたものである。
【0124】
これによって、離散ウェーブレット変換処理の前後で各データに対してビットシフト処理が可能となり、画像の種類や画質に応じた最適な符号化を図ることができる。例えば、見かけの画質を多少損なっても高速な符号化を望む場合は、離散ウェーブレット変換処理前のコンポーネントに対するビットシフト処理のみを実行すれば、より高速な符号化が可能となり、また、見かけの画質を損なうことなく高圧縮率を望む場合は、離散ウェーブレット変換処理後の各サブバンド係数に対するきめ細かなビットシフト処理を実行することで所望の品質の符号化を実現することが可能となる。
【0125】
また、場合によっては、離散ウェーブレット変換処理の前後でそれぞれ所定のビットシフト処理を実行することも可能となり、画像の種類によっては、高速処理と高品質な符号化を両立できる場合もある。
そして、図11は、このようなデジタル画像符号化装置100によって符号化されたデータを専門に復号化するためのデジタル画像復号化装置200の第3の実施の形態を示したものであり、前述した第1の実施の形態のデジタル画像復号化装置200(図5)の逆係数ビットシフト処理部230に加えて、前記第2の実施の形態のように、離散ウェーブレット逆変換部240と、コンポーネント逆変換部250との間に、逆ビットシフト処理部270を備えたものである。
【0126】
従って、図10に示すようなデジタル画像符号化装置100によって一旦符号化されたデータは、レイヤー逆生成部210、逆EBCOT220を経てサブバンド係数に復号された後、前記図11のデジタル画像符号化装置100の係数ビットシフト処理部140によってサブバンド係数に対してビットシフト処理がされた場合は、係数ビットシフト処理部230によって逆のビットシフト処理が実行されて離散ウェーブレット変換処理前コンポーネントデータに復号される。
【0127】
その後、さらに、前記図10のデジタル画像符号化装置100のビットシフト処理部170によってコンポーネントデータに対してビットシフト処理がなされた場合は、逆ビットシフト処理部270によって逆のビットシフト処理が実行されてコンポーネント変換直後のデータに復号された後、コンポーネント逆変換部250、DCレベルシフト逆処理部260を経て元の画像データに近い画像データに復号されることになる。
【0128】
これによって、前記第1及び2の実施の形態と同様に、符号化前の画像データと全く同じデータ量の画像データに復号することが可能となり、人間の視覚的には元のデジタル画像データ(原画像:BMPファイル)とは殆ど変わらない、あるいは極めて近い高品質な画像データを得ることができる。
図12は、本実施の形態に係るデジタル画像符号化装置100及びこのデジタル画像符号化装置100を用いたデジタル画像符号化方法による、8つの画像(画像ファイル名、Ep_n1〜Ep_n8)の符号化処理時間の速度向上率を示したものである。
【0129】
ここで、速度向上率とは、標準のJPEG2000による符号化時間に比べて何%の符号化時間を要するかを示したものであり、また、ビットシフト処理は、図3に示すようにサブバンド係数ごとに変化させた方法によって行ったものである。
この結果、図から明らかなように、いずれの画像においても約50%程度の大幅な符号化時間の短縮が達成された。しかも、後述するような本発明に対応するデジタル画像符号化方法によって復号化された画像の品質と、標準のJPEG2000によって復号化された画像の品質とを比較したところ、人間の目視による判断では、両画像の品質の差は全く見られなかった。
【0130】
また、図13は、本実施の形態によって符号化された画像のファイルサイズと、標準のJPEG2000によって符号化された画像のファイルサイズに対する比率を示したものであり、本発明によって符号化された画像のファイルサイズは、標準のJPEG2000によって符号化された画像のファイルサイズに比べて、同じ画像品質ながら、約1/3〜1/5までコンパクトにすることができた。
【0131】
なお、本実施の形態のデジタル画像符号化処理においては、ビットシフト数が多いほど処理するデータ量が減って前記実施の形態よりも高速な符号化処理が可能となるが、その分、画質の低下が大きくなってくる。
また、図15は、Y、U、Vそれぞれのビットシフトによる画像のS/N比を示したものである。画像のS/N比とは、画質の指標であり、一般に大きい方が画像がきれいである。図15を見てわかるとおり、U、Vは、ほぼ同じ値であり、Yの低下が大きい。画像への寄与度の低い順番は以下の通りとなる。
【0132】
1.UV1ビット、2.UV2ビット、3.Y1ビット、4.UV3ビット、5.Y2ビット、6.UV4ビット、7.Y3ビット。
同図は1〜4番目までのビットシフトを示したものである。一般に、S/N比が45以上あれば、人間の目には画像の劣化がわからないといわれており、図示するように3番目のビットシフトまでなら、画像の劣化が殆ど見られないことがわかる。
【0133】
なお、前記のように一般的にはS/N比が45以上あれば、人間の目には画像の劣化が判断できないが、画像の種類によってはS/N比が45を下回る場合でも人間の目には画像の劣化が判断できない場合があることも実験により確認されている。
また、図16及び図17は、前述したような本発明に係るデジタル画像符号化装置100及びデジタル画像復号化装置200の実際の情報機器への適用例を示したものである。
【0134】
先ず、図16は、情報機器の1例として現在カメラ市場を席巻している従来のデジタルカメラ300の基本的な構成を示したものである。
すなわち、従来のデジタルカメラ300は、任意の画像を取得する画像取得部310と、取得した画像を保存しておく画像保存部320と、取得した画像を再生する画像再生部330と、取得した画像をUSBなどを介して他の記録媒体などに転送する画像転送部340などから主に構成されており、さらに、画像取得部310は、CCDなどの撮像素子などからなる画像撮影部311から、また、画像保存部320は、画像符号化部321と、画像保存部322とから、さらに、画像再生部330は、画像表示部331と、画像復号化部332とからなっている。
【0135】
そして、このような構成をした従来のデジタルカメラ300にあっては、画像保存部320の画像符号化部321として、本発明のデジタル画像符号化装置100を、また、画像再生部330の画像復号化部322として本発明のデジタル画像復号化装置200をそれぞれそのまま適用することが可能となる。
次に、図17は、情報機器の他の例としてホームシアターなどを実現するための拡大表示装置の1つであるプロジェクタ400の基本的な構成を示したものである。
【0136】
すなわち、従来のプロジェクタ400は、表示する画像データを受信する画像受信部410と、受信した画像データまたは画像保存部に予め保存されている画像データを復号化する画像復号化部420と、この画像復号化部420で復号化した画像を展開する画像展開部430と、この画像展開部430で展開した画像を表示するスクリーン表示部440とから主に構成されている。
【0137】
そして、このような構成をした従来のプロジェクタ400にあっては、JPEG200方式によって圧縮された圧縮画像データを復号化するための画像復号化部420として本発明のデジタル画像復号化装置200をそのまま適用することが可能となる。
このように本発明に係るデジタル画像符号化装置100及びデジタル画像復号化装置200は、従来の情報機器の画像符号化部及び画像復号化部としてそのまま適用することができるため、従来よりも符号化処理が高速で、かつ使用メモリ量も大幅に少ない情報処理機器を提供することが可能となる。
【0138】
また、本発明のデジタル画像符号化装置100及びデジタル画像復号化装置200の各手段は前記デジタルカメラ300やプロジェクタ400に組み込まれたコンピュータシステム、あるいはパソコンなどを用いたソフトウェア上で実現することが可能であり、そのコンピュータプログラムは、予め半導体ROMに記憶させた状態で製品中に組み込んだり、インターネットなどのネットワークを介して配信する他、図18に示すようにCD−ROMやDVD−ROM、FDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体Rを介することによって所望するユーザなどに対して容易に提供することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】デジタル画像符号化装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】符号化時のビットシフト処理の一例を示す概念図である。
【図3】輝度及び色差成分のサブバンドごとのビットシフト処理の例を示す図である。
【図4】デジタル画像符号化装置及びデジタル画像復号化装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】デジタル画像復号化装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図6】復号化時の逆ビットシフト処理の一例を示す概念図である。
【図7】デジタル画像符号化装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図8】デジタル画像復号化装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図9】第2の実施の形態に係る復号化時の逆ビットシフト処理の一例を示す概念図である。
【図10】デジタル画像符号化装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図11】デジタル画像復号化装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図12】標準のJPEG2000による符号化処理時間に対する本発明のデジタル画像符号化方法の速度向上率を示すグラフ図である。
【図13】本発明によって符号化された画像のファイルサイズと、標準のJPEG2000によって符号化された画像のファイルサイズに対する比率を示すグラフ図である。
【図14】離散ウェーブレット変換処理によって原画像をレベル1のサブバンドとレベル2のサブバンドに分割した状態を示す概念図である。
【図15】ビットシフト数とS/N比との関係を示すグラフ図である。
【図16】本発明に係るデジタル画像符号化装置及びデジタル画像復号化装置の実際の情報機器への適用例を示したブロック図である。
【図17】本発明に係るデジタル画像符号化装置及びデジタル画像復号化装置の実際の情報機器への適用例を示したブロック図である。
【図18】本発明に係るプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0140】
10…CPU、20…RAM、30…ROM、40…バス、50…インターフェース、60…画像データ入出力部、70…符号入出力部、100…デジタル画像符号化装置、110…DCレベルシフト処理部、120…コンポーネント変換部、130…離散ウェーブレット変換部、140…係数ビットシフト処理部、150…EBCOT(係数ビットモデリング、算術符号化)、160…レイヤー生成部、170…ビットシフト処理部、200…デジタル画像復号化装置、210…レイヤー逆生成部、220…逆EBCOT、230…逆係数ビットシフト部、240…離散ウェーブレット逆変換部、250…コンポーネント逆変換部、260…DCレベルシフト逆処理部、270…逆ビットシフト処理部、300…デジタルカメラ、310…画像取得部、311…画像撮影部、320…画像保存部、321…画像符号化部と、322…画像保存部、330…画像再生部、331…画像表示部、332…画像復号化部、340…画像転送部、400…プロジェクタ、410…画像受信部と、420…画像復号化部、430…画像展開部、440…スクリーン表示部、R…記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部を備え、
前記係数ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして下位ビットを廃棄し、有効ビット数を削減して新たなウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項2】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部を備え、
前記係数ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項3】
デジタル画像データを高周波成分と低周波成分に分割してサブバンドごとの画像データを離散ウェーブレット係数に変換する離散ウェーブレット変換部と、
当該離散ウェーブレット変換部で変換された後のウェーブレット係数に対してビットシフト処理を実施する係数ビットシフト処理部と、
当該係数ビットシフト処理部でビットシフト処理されたウェーブレット係数に対して係数モデリング処理と算術符号化処理を行って圧縮データを生成するEBCOTと、
当該EBCOTで生成された圧縮データを階層化するレイヤー生成部とを備え、
前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するようになっていることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデジタル画像符号化装置において、
前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、高周波成分を含むサブバンド係数に対して前記ビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデジタル画像符号化装置において、
前記係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数ごとに画質の寄与度を算出し、その寄与度に応じて前記サブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項6】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、
前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対してビットシフト処理を実施する変換前ビットシフト処理部を備え、
前記ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を削減して前記デジタルデータとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項7】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、
前記離散ウェーブレット変換前のデジタル画像データに対してビットシフト処理を実施する変換前ビットシフト処理部を備え、
前記ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記デジタルデータとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項8】
デジタル画像データをビットシフトするビットシフト処理部と、
当該ビットシフト処理部でビットシフトされたデジタル画像データを高周波成分と低周波成分に分割してサブバンドごとの画像データを離散ウェーブレット係数に変換する離散ウェーブレット変換部と、
当該離散ウェーブレット変換部で変換されたウェーブレット係数に対して係数モデリング処理と算術符号化処理を行って圧縮データを生成するEBCOTと、
当該EBCOTで生成された圧縮データを階層化するレイヤー生成部とを備え、
前記ビットシフト処理部は、前記デジタル画像データを下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビット数を削減して前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するようになっていることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項9】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する装置であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の係数ビットシフト処理部と、請求項6〜8のいずれか1項に記載の変換前ビットシフト処理部とを備えたことを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデジタル画像符号化装置において、
前記離散ウェーブレット変換前に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間に変換するためのコンポーネント変換部を備えたことを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項11】
請求項10に記載のデジタル画像符号化装置において、
前記コンポーネント変換部は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とに変換する色変換処理を実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像符号化装置。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれかに記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化装置であって、
前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数に対して、逆ビットシフト処理を実施する逆係数ビットシフト処理部を備え、
前記逆ビットシフト処理は、前記ウェーブレット係数を上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するものであることを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項13】
請求項12に記載のデジタル画像復号化装置において、
前記逆係数ビットシフト処理部は、前記符号化の際のビットシフト処理が前記ウェーブレット係数を構成する各サブバンド係数のうち、一部のサブバンド係数に対してのみ実施されているときは、前記ビットシフト処理が実施されたサブバンド係数に対してのみ実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項14】
請求項12に記載のデジタル画像復号化装置において、
前記逆係数ビットシフト処理部は、前記ウェーブレット係数を構成するサブバンド係数ごとに異なるビットシフト処理が行われているときは、当該各ビットシフト処理に対応した前記逆ビットシフト処理を実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項15】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のデジタル画像符号化装置で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化装置であって、
前記離散ウェーブレット逆変換後のデジタル画像データに対して、逆ビットシフト処理を実施する逆ビットシフト処理部を備え、
前記逆ビットシフト処理は、前記デジタル画像データを上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記デジタル画像データとは異なるデジタル画像データを作成するものであることを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項16】
離散ウェーブレット変換を用いて符号化されたデータを、離散ウェーブレット逆変換を用いて復号化する装置であって、
請求項12〜14のいずれか1項に記載の逆係数ビットシフト処理部と、請求項15に記載の逆ビットシフト処理部とを備えたことを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載のデジタル画像復号化装置において、
前記離散ウェーブレット逆変換後に、前記デジタル画像データを人間の視覚特性に依存した色空間から人間の視覚特性に依存しない画像信号に変換するためのコンポーネント逆変換部を備えたことを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項18】
請求項17に記載のデジタル画像復号化装置において、
前記コンポーネント逆変換部は、前記デジタル画像データを輝度成分と、色差成分とから画像信号に変換する色変換処理を実施するようになっていることを特徴とするデジタル画像復号化装置。
【請求項19】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトし、有効ビットを削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするデジタル画像符号化方法。
【請求項20】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化する方法であって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を係数記憶部から下位ビット側に所定ビット数だけシフトして、有効ビットを削減して前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするデジタル画像符号化方法。
【請求項21】
請求項20に記載のデジタル画像符号化方法で符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに近いデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化方法であって、
前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数をそのまま上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトし、有効ビット数を増加させて前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成することを特徴とするデジタル画像復号化方法。
【請求項22】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するデジタル画像符号化プログラムであって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を下位ビット側に所定ビット数だけシフトして下位ビットを廃棄する処理と、
当該ビット廃棄処理後の残りのビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、
をコンピュータに実施させることを特徴とするデジタル画像符号化プログラム。
【請求項23】
デジタル画像データを離散ウェーブレット変換を用いて符号化するデジタル画像符号化プログラムであって、
前記離散ウェーブレット変換後のウェーブレット係数を係数記憶部から下位ビット側に所定ビット数だけシフトする処理と、
当該ビットシフト処理後の残りのビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、
をコンピュータに実施させることを特徴とするデジタル画像符号化プログラム。
【請求項24】
請求項22または23に記載のデジタル画像符号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項25】
請求項23に記載のデジタル画像符号化プログラムで符号化された符号化データを離散ウェーブレット逆変換を用いて元のデジタル画像データに復号化するデジタル画像復号化プログラムであって、
前記離散ウェーブレット逆変換前のウェーブレット係数を上位ビット側に前記所定ビット数だけシフトして下位ビット側に新たなビットを追加する処理と、
当該ビット追加処理後の全ビットから前記ウェーブレット係数とは異なるウェーブレット係数を作成するウェーブレット係数作成処理と、
をコンピュータに実施させることを特徴とするデジタル画像復号化プログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のデジタル画像復号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−81152(P2006−81152A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188389(P2005−188389)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】