説明

トランスロケータータンパク質リガンド

本発明は、被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)発現を画像化する化合物および方法に関する。本発明はまた、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症の治療のための化合物および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)発現を画像化するための化合物および方法に関する。本発明はまた、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症の治療のための化合物および方法に関し、本明細書において、以下、本出願を参照して記載される。しかし、当然のことながら、本発明は、この特定の分野の用途に限定されない。
【背景技術】
【0002】
本明細書を通して、先行技術のいかなる考察も、このような先行技術が、当分野において広く知られている、または一般常識の一部を形成するということの承認と決して考えられるべきではない。
【0003】
トランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)は、以前は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)として知られ、アデニンヌクレオチド担体(ANC)(30kDa)および電位依存性アニオンチャネル(VDAC)(32kDa)とともに三量体複合体を形成し、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)を構築し得る。TSPOは、中枢型ベンゾジアゼピン受容体(CBR)とは、その別個の構造、生理学的機能およびミトコンドリアの外膜上の細胞内位置によって区別される。TSPOは、多数の生物学的プロセスに関与しているとされているが、その生理学的役割の他の態様は、まだ明らかになっていない。研究によって、TSPOは、ステロイド生合成の律速段階、免疫修飾、ポルフィリン輸送、カルシウムホメオスタシスおよびプログラム細胞死に関与しているとされている。
【0004】
TSPOは、神経膠芽腫(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)、多発性硬化症(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)、虚血性脳卒中(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)、ヘルペス脳炎(非特許文献12)、パーキンソン病(非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)、HIV(非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20)、筋萎縮性側索硬化症(非特許文献21)、皮質基底核変性症(非特許文献22、非特許文献23)、ハンチントン舞踏病(非特許文献24)、癌(非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27)、アルツハイマー病(非特許文献28、;非特許文献29)、鬱病(非特許文献30、非特許文献31)および癌、自己免疫疾患、感染性疾患および神経変性性疾患(非特許文献32)をはじめとする種々の疾患に関与しているとされている。TSPOのリガンドは、このような疾患の治療において有効であり得るとして広く認められている。
【0005】
TSPOは、肺、心臓および腎臓をはじめとする、ほとんどの末梢臓器中に高密度に分布されているが、正常脳実質中では最小にしか発現されない。ニューロン損傷または感染後、脳実質におけるTSPO発現は、劇的に増大する。In vitroオートラジオグラフィーおよび免疫組織化学は、この領域におけるTSPO結合の上昇は、活性化ミクログリアの出現と直接的に相関していると示した。最近、アルツハイマー病(AD)および多発性硬化症(MS)を患う患者におけるin vivo陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって、脳実質におけるTSPO結合は、活性化ミクログリア細胞に限定されていることが確認された。
【0006】
ミクログリアは、中枢神経系(CNS)の、主な免疫エフェクター細胞である。これらのマクロファージ様免疫細胞は、単球系統に由来すると考えられており、その主な役割は宿主防御および免疫監視にある。それらは、その微小環境における変化に対して高度に感受性であり、病的事象に応じて迅速に活性化型になる。このため、TSPOは、いくつかの神経変性障害の初期段階において初期炎症過程に最初に関連すると考えられている。
【0007】
ベンゾジアゼピン(ジアゼパムおよびRo5−4864)、イソキノリンカルボキサミド(PK11195)、インドールアセトアミド(FGIN−1−27)、フェノキシフェニル−アセトアミド(DAA1106)、ピラゾロピリミド(DPA−713)、ベンゾチアゼピンおよびイミダゾピリジンをはじめ、TSPOリガンドのいくつかのクラスが、過去数十年にわたって報告されてきた。また、いくつかのその他のクラスが開発されている。しかし、TSPOの生理学的役割および治療的役割、その正確な局在およびTSPOサブタイプの予想される存在を、より良好に特性決定するには、種々の結合特性および生物学的活性を有する、より広範囲のリガンドが必要である。
【0008】
イソキノリンカルボキサミド[11C](R)−PK11195は、TSPOの機能および発現を研究するための薬理学的プローブとして使用されている。AD、MSおよび多系統萎縮症(MSA)を有する患者において実施された、いくつかのPET研究によって、[11C](R)−PK11195を用いるin vivoでのTSPOの測定が、生存脳において実現可能であることが示された。[11C](R)−PK11195は、最も広く用いられているPET TSPOリガンドと見なされているが、悪いシグナル対ノイズ比しか示さず、低い脳透過性を示し、それが、最終的に、ミクログリア活性化のマーカーとしてのその感受性を低下させてきた。
【0009】
1998年に、TSPOの高度に選択的で、強力なリガンドとしてフェノキシフェニル−アセトアミド誘導体、DAA1106が報告された(非特許文献33)。DAA1106は、炭素−11(11C)を用いて標識され、げっ歯類および霊長類の脳両方において、そのin vivo動態を評価するためのPET研究において使用された(非特許文献34、非特許文献3)。[11C]DAA1106の結合は、サル後頭部皮質における[11C](R)−PK11195よりも4倍多いとわかり、このことは、その優れた脳透過性を示す。この化合物のフッ素−18(18F)類似体、すなわち、[18F]FEDAA1106も合成され、この類似体も、in vivoで、[11C]DAA1106と同様の結合特性を示す(非特許文献36)。しかし、[11C]DAA1106および[18F]FEDAA1106両方の結合は、不可逆的であるようであり、実際、脳からのその遅い排出は、それらが、定量的分析のための適した動態を有していない可能性があることを示す。
【0010】
非特許文献37には、TSPOリガンドPK11195は、キノリン酸を注射したラット層において、ミクログリア活性化および神経細胞死を低減すると報告されている。この論文に報告された結果は、活性化ミクログリアからの炎症反応は、線条体ニューロンに悪影響を及ぼし、従って、ミクログリアにおけるTSPOの薬理学的ターゲッティングは、神経疾患においてニューロンを保護する可能性が高いということを示唆する。
【0011】
より最近、特許文献1において、本出願人らは、リガンドとして2−アリールピラゾロ(1,5−α]ピリミジン−3−イルアセトアミド誘導体、特に、TSPOと高親和性で特異的に結合するDPA−714を示した。
【0012】
特許文献2には、末梢ベンゾジアゼピン受容体をターゲッティングするためのフッ素化リガンドが開示されている。
【0013】
in vivoでTSPO発現を画像化するために使用できる、脳動態が改善されたTSPOリガンドを同定することは、このようなリガンドは、いくつかの神経変性障害の最初の段階に関与する生化学的事象のカスケードをさらに調べるために利用できるであろうということで有利であり得る。また、脳動態が改善されたTSPOリガンドを同定することは、このようなリガンドが、神経変性障害の診断ツールおよび治療ツールとして働く可能性を有するので有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2007/134362
【特許文献2】国際出願WO2008/022396
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Pappataら、1991 J Nucl Med 32:1608−10
【非特許文献2】Veenmanら、2004 Biochem Pharmacol. 68(4):689−98
【非特許文献3】Levin、2005 Biochemistry 44(29):9924−35
【非特許文献4】Vowinckelら、1997 J Neurosci Res 50:345−53
【非特許文献5】Banatiら、2000 Brain 123(Pt 11):2321−37
【非特許文献6】Debruyneら、2003 Eur J Neurol 10:257−64
【非特許文献7】Versijptら、2005 Mult Scler 11:127−34
【非特許文献8】ChenおよびGuilarte、2006 Toxicol Sci. 91(2):532−9
【非特許文献9】Gerhardら、2000 Neuroreport;11:2957−60
【非特許文献10】Gerhardら、2005 Neuroimage 24:591−5
【非特許文献11】Priceら、2006 Stroke 37:1749−53
【非特許文献12】Cagninら、2001 Brain;124:2014−27
【非特許文献13】Cummingら、2001.Acta Neurol Scand 103:309−15
【非特許文献14】Cicchettiら、2002 Eur J Neurosci 15:991−8
【非特許文献15】Ouchiら、2005 57:168−75
【非特許文献16】Gerhardら、2006 Neurobiol Dis 21:404−12
【非特許文献17】Cummingら、2006 Synapse 59:418−26
【非特許文献18】Vennetiら、2004 J Clin Invest 113:981−9
【非特許文献19】Hammoudら、2005 J Neurovirol 11:346−55
【非特許文献20】Wileyら、2006 J Neurovirol 12:262−71
【非特許文献21】Turnerら、2004 Neurobiol Dis 15:601−9
【非特許文献22】Henkelら、2004 Mov Disord 19:817−21
【非特許文献23】Gerhardら、2004 Mov Disord 19:1221−6
【非特許文献24】Paveseら、2006 Neurology 66:1638−43
【非特許文献25】Hardwickら、2002 Cancer Genet Cytogenet.139(1):48−51
【非特許文献26】Papadopoulo V.2003 Ann Pharm Fr.61(1):30−50
【非特許文献27】Han Z.、2003 J Recept Signal Transduct Res. 23(2−3):225−38
【非特許文献28】Papadopoulo V.2003 Ann Pharm Fr. 61(1):30−50
【非特許文献29】Liら、2007 Biochem Pharmaco.73(4):491−503
【非特許文献30】Gavioli EC.、2003 Eur J Pharmacol.13;471(1):21−6
【非特許文献31】Kita A.2004 Br J Pharmacol. 142(7):1059−72
【非特許文献32】Galiegueら、2003 Curr Med Chem 10:1563−72
【非特許文献33】Chaki,S.;Funakoshi,T.;Yoshikawa,R.;Okuyama,S.;Okubo,T.;Nakazato,A.;Nagamine,M.;Tomisawa,K. European Journal of Pharmacology、1999、371、197−204
【非特許文献34】Zhang MR、Kida T、Noguchi Jら[11C]DAA1106:radiosynthesis and in vivo binding to peripheral benzodiazepine receptors in mouse brain. Nucl Med Biol 2003;30:513−519
【非特許文献35】Maeda J、Suhara T、Zhang MRら Novel peripheral benzodiazepine receptor ligand[11C]DAA1106 for PET:An imaging tool for glial cells in the brain. Synapse. 2004;52:283−291
【非特許文献36】Zhang MR、Maeda J、Ogawa Mら Development of a new radioligand、N−(5−fluoro−2−phenoxyphenyl)−N−(2−[18F]fluoroethyl−5−methoxybenzyl)acetamide、for PET imaging of peripheral benzodiazepine receptor in primate brain. J Med Chem.2004;47:2228−2235
【非特許文献37】Ryu JKら、Neurobiology of Disease、20(2005)550−561
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の一目的は、先行技術の不利点の少なくとも1つを克服または改善すること、または有用な代替法を提供することである。
【0017】
その好ましい形態では、本発明の目的は、被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)発現を画像化する化合物および方法を提供することである。その好ましい形態では、本発明の目的はまた、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症の治療のための化合物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、式(III)
【化1】

[式中、
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
またはR12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
19およびR21は、各々独立に、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
20は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
22は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数である]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物を提供する。
【0019】
20は、Hであることが好ましい。
【0020】
19およびR21は、各々独立に、C1−6アルキルであることが好ましい。R19およびR21は、各々独立に、メチルであることがより好ましい。
【0021】
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいOC1−6アルキルまたは置換されていてもよいアリールであることが好ましい。R14、R15、R17およびR18は、Hであることがより好ましい。
【0022】
16は、ハロ、OH、置換されていてもよいC1−6アルキルまたは置換されていてもよいOC1−6アルキルであることがさらにより好ましい。
【0023】
12およびR13は、各々独立に、C1−6アルキルであることが好ましい。R12およびR13は、各々独立に、エチルであることがより好ましい。
【0024】
16は、OCH、CH、Cl、Br、F、OH、OCHCHOTsまたはOCHCHFであることが好ましい。
【0025】
特定の実施形態では、R12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
19およびR21は、各々独立に、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
20はHであり;
22は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であることが好ましい。
【0026】
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
19およびR21は、各々独立に、C1−6アルキルであり;
20はHであり;
22は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であることが好ましい。
【0027】
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
19およびR21は、各々独立にメチルであり;
20は、Hであり;
22は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であることが好ましい。
【0028】
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいOC1−6アルキルまたは置換されていてもよいアリールであり;
19およびR21は、各々独立に、メチルであり;
20は、Hであることが好ましい。
【0029】
好ましくは、R12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R17およびR18は、Hであり;
16は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいOC1−6アルキルまたは置換されていてもよいアリールであり;
19およびR21は、各々独立に、メチルであり;
20は、Hであることが好ましい。
【0030】
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
またはR12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R17およびR18は、Hであり;
16は、ハロ、OH、置換されていてもよいC1−6アルキルまたは置換されていてもよいOC1−6アルキルであり;
19およびR21は、各々独立に、メチルであり;
20は、Hであることが好ましい。
【0031】
12およびR13は、各々独立に、C1−6アルキルであり;
14、R15、R17およびR18は、Hであり;
16は、ハロ、OH、置換されていてもよいC1−6アルキルまたは置換されていてもよいOC1−6アルキルであり;
19およびR21は、各々独立に、メチルであり;
20は、Hであることが好ましい。
【0032】
12およびR13は、各々独立に、エチルであり;
14、R15、R17およびR18は、Hであり;
16は、ハロ、OH、置換されていてもよいC1−6アルキルまたは置換されていてもよいOC1−6アルキルであり;
19およびR21は、各々独立に、メチルであり;
20は、Hであることがより好ましい。
【0033】
第1の態様による化合物は、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】


および
【化9】

からなる群またはそれらの塩または溶媒和物から選択されることが好ましい。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、式(IV)
【化10】

[式中、
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、O、NHおよびSからなる群から選択され;
I、J、KおよびLは、各々独立にCR31またはNであり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物を提供する。
【0035】
XはOであることが好ましい。
【0036】
Iが、Nであり、J、K、Lが、CR31であることが好ましい。I、J、KおよびLは、CR31であることが好ましい。各R31は独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであることが好ましい。
【0037】
25、R26、R28およびR29は、Hであることが好ましい。R33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0038】
27は、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシまたは置換されていてもよいアリールであることが好ましい。R27は、OH、CH、OCH、NO、F、Clまたはナフチルであることがより好ましい。R27は、F、ClまたはOCHであることが最も好ましい。
【0039】
23およびR24は、各々独立に、C1−6アルキルであることが好ましい。R23およびR24は、各々独立に、エチル、プロピルおよびi−プロピルからなる群から選択されることがより好ましい。
【0040】
第2の態様による化合物は、(R)−鏡像異性体であることが好ましい。
【0041】
特定の実施形態では、R23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、各々独立に、CR31またはNであり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。
【0042】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
Iは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。
【0043】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。
【0044】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。
【0045】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
27はH、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであることが好ましい。
【0046】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
27は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0047】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
27は、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシまたは置換されていてもよいアリールであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0048】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
27は、OH、CH、OCH、NO、F、Clまたはナフチルであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であり、Iは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0049】
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
27は、F、ClまたはOCHであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、Iは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0050】
23およびR24は、各々独立に、C1−6アルキルであり;
27は、F、ClまたはOCHであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0051】
23およびR24は、各々独立に、エチル、プロピルおよびi−プロピルからなる群から選択され;
27は、F、ClまたはOCHであり;
25、R26、R28およびR29は、Hであり;
Xは、Oであり;
I、J、KおよびLは、CR31であるか、またはIは、Nであり、J、K、Lは、CR31であり;
31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであり;
33、R34、R35およびR36は、Hであることがより好ましい。
【0052】
第2の態様による化合物は、
【0053】
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

および
【化17】

またはその塩または溶媒和物からなる群から選択されることが好ましい。
【0054】
第2の態様による化合物は、(R)−鏡像異性体であることが好ましい。
【0055】
当業者ならば、I、J、KおよびLは、各々独立に、任意の組合せのNまたはCR31であることは理解するであろう。I、J、KおよびLは、一緒にすると、任意の組合せの0、1、2、3または4個のN原子を含むことが好ましい。I、J、KおよびLは、一緒にすると、任意の組合せの0、1、2または3個のN原子を含むことがより好ましい。I、J、KおよびLは、一緒にすると、任意の組合せの0、1または2個のN原子を含むことがさらにより好ましい。I、J、KおよびLは、一緒にすると、任意の組合せの0または1個のN原子を含むことが最も好ましい。すなわち、Jが、Nであり、I、KおよびLが、各々独立に、CR31であることが好ましい。Kが、Nであり、I、JおよびLが、各々独立に、CR31であることが好ましい。Lが、Nであり、I、JおよびKが、各々独立に、CR31であることが好ましい。Iが、Nであり、J、KおよびLが、各々独立に、CR31であることが最も好ましい。I、J、KおよびLが、CR31であることが同様に好ましい。I、J、KおよびLが、CHであることがさらにより好ましい。I、KおよびLがCHであり、JがCR31であり、ここで、R31がハロである。I、J、KおよびLは、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいベンゼンまたはピリジン環を形成することが好ましい。好ましくは、環は、ハロで置換されていてもよい。より好ましくは、ハロはクロロである。
【0056】
第3の態様によれば、本発明は、式(IV)の化合物の製造における中間体として使用するための式(V)
【化18】

[式中、
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、O、NHおよびSからなる群から選択され;
I、J、KおよびLは、各々独立に、CR31またはNであり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物
(ただし、IがNである場合には、R27はメチルではない)
を提供する。
【0057】
XはOであることが好ましい。
【0058】
IがNであり、J、K、LがCR31であることが好ましい。I、J、KおよびLが、CR31であることが好ましい。各R31は、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルであることが好ましい。
【0059】
25、R26、R28およびR29は、Hであることが好ましい。R33、R34、R35およびR36は、Hであることが好ましい。
【0060】
27は、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシまたは置換されていてもよいアリールであることが好ましい。R27は、OH、CH、OCH、NO、F、Clまたはナフチルであることがより好ましい。R27は、F、ClまたはOCHであることが最も好ましい。
【0061】
第3の態様による化合物は、(R)−鏡像異性体であることが好ましい。
【0062】
第3の態様による化合物は、
【0063】
【化19】

【化20】

【化21】

および
【化22】

からなる群またはその塩または溶媒和物から選択されることが好ましい。
【0064】
第4の態様によれば、本発明は、放射性同位元素で放射標識した第1の態様または第2の態様による化合物を提供する。前記放射性同位元素は、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択されることが好ましい。放射性同位元素は、18Fであることがより好ましい。
【0065】
第5の態様によれば、本発明は、第1、第2または第4の態様による化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0066】
第6の態様によれば、本発明は、被験体に、第1、第2または第4の態様のうちいずれか1つによる化合物を投与することを含む、被験体において障害を診断する方法を提供する。本方法は、被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)を画像化することを含むことが好ましい。
本方法は、タンパク質の位置を示す像を得ることを含むことがより好ましい。
【0067】
化合物が、放射性同位元素で放射標識されている場合には、放射性同位元素は、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brからなる群から選択されることが好ましい。化合物が、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識され、像が、陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって得られることがより好ましい。化合物が、123Iで放射標識され、像がSPECT画像化によって得られることが好ましい。像を得、被験体の脳実質における化合物またはその塩のTSPO結合の程度を評価することが好ましい。
【0068】
障害は、神経変性障害、炎症または不安神経症であることが好ましい。
【0069】
障害は、以下からなる群から選択されることが好ましい:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患。被験体は、ヒトであることが好ましい。
【0070】
第7の態様によれば、本発明は、被験体において障害を診断するための薬剤の製造における、第1、第2または第4の態様による化合物の用途を提供する。
【0071】
障害を診断することは、被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)を画像化することを含むことが好ましい。化合物が放射性同位元素で放射標識される場合には、放射性同位元素は、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brからなる群から選択されることが好ましい。化合物が、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識され、トランスロケータータンパク質像が陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって得られることが好ましい。化合物が、123Iで放射標識され、トランスロケータータンパク質像がSPECT画像化によって得られることが好ましい。
【0072】
障害は、神経変性障害、炎症または不安神経症であることが好ましい。
【0073】
障害が、以下からなる群から選択されることが好ましい:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患。
【0074】
第8の態様によれば、本発明は、式(III)の化合物またはその塩または溶媒和物を調製する方法を提供し、この方法は、式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させることを含む
【化23】


[式中、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20およびR21は、第1の態様によって定義され、ここで、Yは、VIIと反応する脱離基である。Yは、ハロであることが好ましい。
【0075】
第9の態様によれば、本発明は、第8の態様の方法によって調製される場合に、式(III)の化合物を提供する。
【0076】
第10の態様によれば、本発明は、式(IV)の化合物またはその塩または溶媒和物を調製する方法を提供し、この方法は、式(V)の化合物を、式(VI)の化合物と反応させることを含む
【化24】

[式中、I、J、K、L、X、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R33、R34、R35およびR36は、第2の態様によって定義される]。
【0077】
第11の態様によれば、本発明は、第10の態様の方法によって製造される場合に、式(IV)の化合物を提供する。
【0078】
第12の態様によれば、本発明は、TSPO受容体と結合している場合に反応を誘発できる、第1、第2または第4の態様による化合物を提供する。
【0079】
第13の態様によれば、本発明は、被験体における障害の治療のための医薬の製造における、第1、第2または第4の態様による化合物の使用を提供する。障害は、哺乳類において、異常な密度のTSPO受容体を特徴とすることが好ましい。障害は、神経変性障害、炎症または不安神経症であることが好ましい。障害は、以下からなる群から選択されることが好ましい:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患。
【0080】
第14の態様によれば、本発明は、被験体に、第1、第2または第4の態様による化合物を投与することを含む、被験体において障害を治療する方法を提供する。障害は、哺乳類において、異常な密度のTSPO受容体を特徴とすることが好ましい。障害は、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症が好ましい。
【0081】
障害は、以下からなる群から選択されることが好ましい:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】脳中に照準を合わせた、横断面(上部)および部分的に切断された縦断面(下部)で示される、[18F]PDAZ−FEを投与されたラット、及び、PK 11195で前処理されており[18F]PDAZ−FEを投与されたラットから得られたMicroPET像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明の好ましい実施形態を、単に例として、添付の図を参照して記載する。
【0084】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、本記載および特許請求の範囲を通じて、語句「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包含的な意味で、すなわち、「含むがそれだけではない」という意味で解釈されるべきである。
【0085】
本明細書において、用語「アルキル」とは、直鎖、分岐または単環式または多環式アルキルを指す。一般に、アルキルは、C〜C10アルキル、例えば、1〜10個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル基は、1〜2、1〜4、1〜6、1〜8、1〜10、2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、4〜6、4〜8、4〜10、6〜8、6〜10または8〜10個の炭素原子を有し得る。アルキル基は、C〜Cアルキルであることが好ましい。
【0086】
直鎖および分岐アルキルの例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピルおよび1,1,2−トリメチルプロピルが挙げられる。
【0087】
環状アルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0088】
本明細書において、用語「アルコキシ」とは、式Oアルキルの基を指す。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシが挙げられる。一般に、アルコキシ(alkyoxy)とは、C〜C30アルコキシ、例えば、C〜C10アルコキシ、すなわち、1〜10個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルコキシ基である。アルコキシ基は、1〜2、1〜4、1〜6、1〜8、1〜10、2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、4〜6、4〜8、4〜10、6〜8、6〜10または8〜10個の炭素原子を有し得る。アルコキシは、C〜Cアルコキシであることがより好ましい。
【0089】
本明細書において、用語「アルケニル」とは、直鎖、分岐または環状アルケニルを指す。一般に、アルケニルとは、C〜C10アルケニル、例えば、2〜10個の炭素原子、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルケニル基である。アルケニル基は、2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、4〜6、4〜8、4〜10、6〜8、6〜10または8〜10個の炭素原子を有し得る。アルケニル基は、C〜Cアルケニルであることが好ましい。アルケニルの例として、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチルシクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタンジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。
【0090】
本明細書において、用語「アルキニル」とは、直鎖、分岐または環状アルキニルを指す。一般に、アルキニルは、C〜C10アルキニル、例えば、2〜10個の炭素原子、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキニル基である。アルキニル基は、2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、4〜6、4〜8、4〜10、6〜8、6〜10または8〜10個の炭素原子を有し得る。アルキニル基は、C〜Cアルキニルであることが好ましい。
【0091】
本明細書において、用語「アリール」とは、単一の、多核、共役または縮合芳香族炭化水素または芳香族複素環構造の遊離基を指す。アリール基は、4〜20個の炭素原子、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有することが好ましい。アリール基は、4〜6、4〜8、4〜10、4〜12、4〜14、4〜16、4〜18、4〜20、6〜8、6〜10、6〜12、6〜14、6〜16、6〜18、6〜20、8〜10、8〜12、8〜14、8〜16、8〜18、8〜20、10〜12、10〜14、10〜16、10〜18、10〜20、12〜14、12〜16、12〜18 12〜20、14〜16、14〜18、14〜20、16〜18、16〜20または18〜20個の炭素原子を有し得る。アリールは、C〜C12アリールであることが好ましい。アリールの例として、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、アズレニル、フェナントリル、ピレニルなどが挙げられる。芳香族残基の任意の利用可能な位置が、式(III)、(IV)または(V)の分子の残部との結合に使用され得る。
【0092】
アリールが複素環式芳香環構造を含む場合には、複素環構造は、N、OおよびSから独立に選択される、1〜4個のヘテロ原子を含み得る。芳香環構造中にヘテロ原子を含有するアリールは、「ヘテロアリール」と呼ばれる。
【0093】
本明細書において、用語「ヘテロアリール」とは、6〜20個の間の環原子を有する単一の、多核、共役および縮合芳香族基を指し、ここで、これらの環原子のうち1〜6、または1〜5または1〜4または1〜3または1または2個が、N、NH、OおよびSからなる群から独立に選択されるヘテロ原子である。ヘテロアリール基は、4〜6、4〜8、4〜10、4〜12、4〜14、4〜16、4〜18、6〜10、6〜12、6〜14、6〜16または6〜18個の炭素原子を有し得る。ヘテロアリール基は、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5または1〜6個のヘテロ原子を有し得る。ヘテロ原子は、NおよびNH、NおよびO、NHおよびO、NおよびS、NHおよびSならびにSおよびOからなる群から独立に選択され得る。このようなヘテロアリール基の例として、それだけには限らないが、ピリジル、チエニル、フリル、ピリル、インドリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。複素芳香族残基の任意の利用可能な位置が、式(III)、(IV)または(V)の分子の残部との結合に使用され得る。窒素含有ヘテロアリール基は、窒素で酸素原子によって置換され、N−オキシドを形成し得る。硫黄含有ヘテロアリール基は、硫黄で、1個または2個の酸素原子によって置換され、それぞれ、スルホキシドまたはスルホンを形成し得る。
【0094】
本明細書において、用語「ハロ」および「ハロゲン」は、ハロゲン基、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0095】
本明細書において、用語ポリエーテルとは、2個以上のエーテル基を有する基を意味する。ポリエーテルは、例えば、ハロで置換されていてもよい、式−(O(CH(CHCH[式中、aは1、2または3であり、bは2、3、4または5であり、cは0、1、2、3、4または5である]で示される基であり得る。
【0096】
nが整数である場合は、整数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることがさらにより好ましい。例えば、nは、1、2、3、4、5または6である。
【0097】
本明細書において、「置換されていてもよい」基の言及は、基が1個以上の置換基で置換されていてもよいということを意味する。例えば、特定の実施形態では、基は、1個以上のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基で置換されていてもよい。基は、ハロ、C−C10アルキルおよびO(C−C10アルキル)(ここで、C−C10アルキル基は、1個以上のハロ基で置換されていてもよい)からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいことがより好ましい。ハロはフルオロであることが好ましい。特定の実施形態では、基は、OTsで置換されていてもよい。基は、1個以上のフルオロ基で置換されていてもよいことがさらにより好ましい。当業者ならば、式(III)または式(IV)の化合物が、その後の放射標識のために任意の位置でフッ素化されてもよいということは容易に理解するであろう。
【0098】
本出願の枠組みでは、本発明による化合物は、そのすべての立体化学的異性体を本質的に含むものとする。用語「立体化学的異性体」とは、本明細書において、式(III)、(IV)または(V)の化合物が有し得るすべてのあり得る立体化学的異性体を規定する。特に記載のない限り、または示されない限り、化合物の化学的名称は、すべてのあり得る立体化学的異性体の混合物を表し、上記混合物は、基本的分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。さらに、特に、立体中心は、R−またはS−立体配置を有し得る;二価の環状(部分)飽和基の置換基は、シスまたはトランスいずれかの立体配置を有し得る。二重結合を包含する化合物は、上記二重結合でEまたはZ立体化学を有し得る。したがって、式(III)、(IV)または(V)の化合物のすべての立体化学的異性体が、本発明の範囲内に包含されるものとする。本明細書において、表記「」は、立体中心の存在を表すものとする。
【0099】
本発明者らは、驚くべきことに、放射性同位元素で放射標識された、式(III)および(IV)の化合物が、選択的TSPOリガンドであり、TSPO、従って、ミクログリア活性化の正確なin vivoマーカーとして使用できるということを見いだした。それにしたがって、これらの放射標識された化合物を使用して、いくつかの神経変性障害において神経病理学的事象を研究してもよく、また、これらを、このような障害の診断のための、およびこのような障害の進行をモニタリングするためのツールとして使用してもよい。
【0100】
本発明者らは、6,8−ジメチル置換を有する式(III)の化合物が、特に選択的TSPOリガンドであるということを見出した。すなわち、R19およびR21がメチルであり、R20がHである式(III)の化合物は、TSPOに対して高い結合親和性を示す。
【0101】
放射性同位元素は、熟練した受取人に公知の任意の適した放射性同位元素から選択され得、例えば、Handbook of Radiopharmaceuticals,Radiochemistry Applications,Michael WelschおよびCarol S. Redvanly編,John Wiley & Sons Ltd 2003;およびPET Chemistry,The Driving Force for Molecular Imaging. P.A. Schubiger、L.Lehmann、M.Friebe編、Springer 2007に列挙される放射性同位元素が挙げられる。放射性同位元素として、限定されるものではないが、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brおよび11Cが挙げられる。
【0102】
本明細書において、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brで「放射標識された」式(III)または(IV)の化合物とは、化合物上の任意の置換基が、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brで置換されていてもよいということを意味する。例えば、式(III)または(IV)中のR12〜R36のうち少なくとも1つは、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで置換されていてもよい。通常、R12〜R36の1つは、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brで置換されている。
【0103】
通常、式(III)または(IV)の化合物が、18F、76Br、124Iおよびまたは75Brで放射標識されている場合には、陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって像が得られる。通常、式(III)または(IV)の化合物が、123Iで放射標識されている場合には、単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)画像化によって像が得られる。
【0104】
文献には、いくつかのクラスのTSPOリガンドが記載されている。治療薬として有効である化合物は、必ずしも、画像化のために放射標識され、使用され得る化合物ではない。実際、治療的に使用される多数の薬物は、特定の標的に対して選択的ではなく、数種の標的と相互作用して治療効果を生じ得る。さらに、多数の治療薬は、通常、画像化に使用されるnM範囲の親和性を有さないが、μM範囲の親和性を有する。さらに、治療薬の代謝および親油性は、特に、画像化のためにトレーサーレベルで投与される場合は、薬物を画像化のために使用するのに不適当なものにし得る。
【0105】
本発明者らは、驚くべきことに、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択される放射性同位元素で放射標識された式(III)または(IV)の化合物を使用して、被験体においてTSPO、したがって、ミクログリア活性化を画像化してもよいということを見いだした。18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物は、TSPOの選択的リガンドであり、TSPOに対して高親和性を有する。
【0106】
18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択される放射性同位元素で放射標識された(III)および(IV)の化合物は、塩を形成し、このような化合物の塩は、本発明によって包含される。塩は、薬学的に許容されることが好ましいが、当然のことではあるが、製薬上許容されない塩も本発明の範囲内に入る。薬学的に許容される塩の例として、薬学的に許容される陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムの塩;薬学的に許容される無機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸の酸付加塩;または薬学的に許容される有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸の塩が挙げられる。
【0107】
式(III)または(IV)の化合物は、化合物中の水素またはハロ基を、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで置換するよう有機化合物を修飾するための、有機化学において公知の標準技術によって18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識されてもよい。
【0108】
あるいは、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択される放射性同位元素で放射標識された式(III)または(IV)の化合物は、式(III)または(IV)の化合物の合成において使用される、出発材料の1種において、または中間体、例えば、式(V)の中間体化合物において置換基として18F、123I、76Br、124Iまたは75Brを組み込むことによって調製されてもよい。
【0109】
18F、12376Br、124Iまたは75Brで放射標識された、式(III)または(IV)の化合物は、例えば、上記で定義されるが、R12〜R36のいずれか1つが、トシレート、メシレート、BrまたはIなどの脱離基で置換され、それによって、その脱離基で脂肪族求核置換反応が起こるのが可能となる式(III)または(IV)を有する化合物を調製することと、次いで、その化合物を、脂肪族求核置換反応が起こり、脱離基を18F、123I、76Br、124Iまたは75Brと置換する条件に付すことによって調製してもよい。例えば、脱離基がBrまたはトシレートである場合には、化合物を、アセトニトライト(acetonitrite)中、約80℃で10分間[18F]−kryptofix−K222複合体と反応させて、18Fで放射標識された式(III)または(IV)の化合物を形成してもよい。
【0110】
123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された、式(III)または(IV)の化合物はまた、上記で定義されるが、R12〜R36の1つが、スタンニル、シリルまたはハロゲンで置換されている(ハロゲン置換基は、通常、放射性同位元素とは異なっている)、式(III)または(IV)を有する化合物を形成することと、その化合物を、酸性培地中で、クロラミン−Tなどの酸化剤を使用する求電子置換反応に付して、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物を形成することとによって形成してもよい。いくつかの実施形態では、この反応は、室温で実施されてもよく、その他の実施形態では、反応混合物を約80℃〜100℃に加熱する。上記で定義されるが、R12〜R36の1つが、脱離基で置換されている、式(III)または(IV)の化合物は、脱離基を、R12〜R36の1つ上の置換基として組み込むための有機化学において公知の反応によって修飾されてもよい。
【0111】
例えば、特定の実施形態では、式(III)または(IV)の化合物は、トシルまたはフルオロ前駆体を使用してエトキシ基を介してフェニル置換基で放射標識されてもよく、あるいは、アセトアミド官能基は、トシルまたはフルオロ前駆体を使用することによって直接標識されてもよい。
【0112】
式(III)または(IV)の化合物は、18F(半減期110分)、123I(半減期13.2時間)、76Br(半減期16.2時間)、124I(半減期4.2日)または75Br(半減期1.6時間)で放射標識されてもよい。通常、式(III)または(IV)の化合物は、18Fで放射標識される。18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物は、1日で複数のスキャンを実施できるので、画像化のための臨床的意味において、相当に短い半減期を有する放射性同位元素で放射標識された化合物よりも実用的である。さらに、施設内にサイクロトロンを有さない病院/機関は、このような放射性リガンドを使用できるが、これは放射性リガンドは、現地外で調製し、輸送の間に活性の大幅な喪失を伴うことなく病院/機関に輸送できるからである。さらに、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで標識された化合物を用いれば、より長いスキャン(例えば、180分)を行うこともでき、このことは、それらを、ほとんどの生物学的プロセスの研究にとってより適当なものにする。
【0113】
18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物は、TSPOに対して高親和性および選択性を有し、被験体においてTSPOを画像化するために使用してよい。したがって、18F、12376Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物を用いて、被験体においてTSPOを研究してもよい。
【0114】
神経変性障害を有する被験体では、脳実質におけるTSPO発現は、神経変性障害を有していない被験体と比較して、劇的に増大している。したがって、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)および(IV)の化合物を用いて神経変性障害を調べてもよく、神経変性障害の進行を診断およびモニタリングするために使用してもよい。これらの化合物を使用して研究、診断またはモニタリングできる神経変性障害として、それだけには限らないが、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中および脳腫瘍が挙げられる。これらの障害の各々は、ニューロン損傷または感染と関連している。これらの化合物を使用して研究、診断またはモニタリングされ得るその他の障害として、それだけには限らないが、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫、感染症および神経変性性疾患が挙げられる。
【0115】
本発明によれば、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択される放射性同位元素で放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、被験体に投与する。式(III)または(IV)の化合物が、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識されている場合には、被験体中の放射性同位元素の位置、したがって、被験体中のTSPOの位置の像が、当技術分野で公知の従来技術を使用して陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって得られる。化合物が、123Iで放射標識されている場合には、被験体中の放射性同位元素の位置の像は、当技術分野で公知の従来技術を使用してSPECT画像化によって得られる。通常、PETおよびSPECT画像化の両方のために、データは、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与の直後に開始し、約40分以上継続する、従来のダイナミックまたはリストモード取得技術を使用して取得する。データ取得の完了時に、通常、データは処理され、各々が特定の時点での身体中の放射性同位元素の分布を表す、3D再構成の時系列を提供する。
【0116】
通常、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、非経口的に投与する。通常、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、静脈内注射または注入によって非経口的に投与する。通常、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、約5〜20mCi(185〜740MBq)の範囲の用量で投与する。
【0117】
通常、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、18F、123I、76Br、124Iまたは75Brで放射標識された式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することによって投与される。
【0118】
非経口投与用製剤は、通常、滅菌水または非水性溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態である。適した非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。適した水性担体として、水およびアルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液、例えば、生理食塩水および緩衝媒体が挙げられる。適した非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液が挙げられる。
【0119】
式(III)または(IV)の化合物の塩は、薬学的に許容されることが好ましいが、当然のことではあるが、製薬上許容されない塩も、本発明の範囲内に入る。式(III)または(IV)の化合物の製薬上許容されない塩はまた、式(III)または(IV)の化合物の薬学的に許容される塩の調製における中間体として使用されてもよい。薬学的に許容される塩の例として、薬学的に許容される陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムの塩;薬学的に許容される無機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸の酸付加塩;または薬学的に許容される有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸の塩が挙げられる。
【0120】
式(III)または(IV)の化合物は、TSPOに対して選択的であり、TSPOを活性化させ得る。TSPOの活性化は、ニューロステロイドの合成の増大と関連している。したがって、TSPOの活性化は、脳中のニューロステロイドの濃度を増大させ得る。プロゲステロンおよびデヒドロエピアンドロステロンをはじめとするこれらのニューロステロイドおよびそれらの代謝産物は、γ−アミノ酪酸(GABA)神経伝達を正に調節し、これが記憶およびストレス関連障害において治療的利益である非鎮静、抗不安効果につながる。式(III)または(IV)の化合物はまた、神経変性障害の治療のための神経保護薬として、抗炎症薬として、抗不安薬として使用されてもよい。
【0121】
したがって、別の態様では、本発明は、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症を治療する方法であって、被験体に式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。本方法によって治療され得る神経変性障害として、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中および脳腫瘍が挙げられる。式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、通常、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することによって投与される。
【0122】
別の態様では、本発明は、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0123】
本発明の組成物は、少なくとも1種の、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の薬学的に許容される担体、および場合により、その他の治療薬とともに含む。適した組成物として、経口、直腸、鼻腔、局所(口内および舌下を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適したものが挙げられる。本組成物は、単位投与形で提示され得、薬学の技術分野で周知の方法によって調製され得ることが好都合である。このような方法は、有効成分を、1種以上の副成分を構成する担体と関連させるステップを含む。通常、組成物は、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を液体担体、希釈剤、アジュバント、および/もしくは賦形剤と、または微粉化固体担体または両方と、均一に、密接に関連させること、次いで、必要に応じて、製品を成形することによって調製される。
【0124】
本明細書において用語「被験体」とは、任意の動物を指す。被験体は、哺乳類、例えば、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、被験体は、イヌまたはネコなどのコンパニオンアニマル、ウマ、ポニー、ロバ、ラバ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウシもしくはヒツジなどの家畜、または霊長類、ネコ科の動物、イヌ科の動物、ウシ科もしくは有蹄動物などの動物園の動物である。
【0125】
本明細書において、用語「治療上有効な量」とは、所望の治療応答をもたらすのに有効な化合物の量を指す。特定の「治療上有効な量」は、治療されている特定の条件、被験体の健康状態、治療される被験体の種類、治療期間、現在の治療の性質(あるとすれば)、および使用されている特定の製剤などの因子に応じて変わり、主治医ならば適当な治療上有効な量を決定することができるであろう。例えば、主治医は、その他の神経学的に活性な化合物の従来の投与量または動物実験の結果を考慮して、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩の適当な治療上有効な量を決定できる。いくつかの実施形態では、式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、約1〜約20mg/体重1kg/日の投与量で投与してもよい。
【0126】
本明細書において、「薬学的に許容される担体」とは、被験体に化合物を送達するための薬学的に許容される溶媒、沈殿防止剤またはビヒクルである。担体は、固体、液体またはガスを含めた任意の形態であり得、計画された投与方法を踏まえて選択される。担体は、生物学的にかどうかは別にして、望ましくないものではないという意味で「薬学的に許容される」、すなわち、担体は、被験体に、任意のまたは実質的な有害反応を引き起こさずに有効成分とともに投与され得る。
【0127】
式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口的に、局所的に、または非経口的に(例えば皮下注射によって、肺または鼻腔へのエアゾール投与によって、または静脈内、筋肉内、くも膜下腔内または頭蓋内注射または注入技術によって)、従来の非毒性の薬学的に許容される担体を含有する投与単位製剤で投与してよい。
【0128】
式(III)または(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、錠剤、水性または油性懸濁液、ロゼンジ剤、トローチ剤、散剤、顆粒剤、エマルジョン、カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤として経口投与してよい。経口使用のための組成物は、製薬上洗練された、美味な製剤を製造するために、甘味剤、矯味剤、着色剤、崩壊剤、滑沢剤、時間遅延剤(time delay agents)および保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含み得る。適した甘味料として、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテームまたはサッカリンが挙げられる。適した崩壊剤として、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸またはアガーが挙げられる。適した矯味剤として、ペパーミントオイル、ウィンターグリーンのオイル、チェリー、オレンジまたはラズベリーフレーバーが挙げられる。適した保存料として、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、αトコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。適した滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。適した時間遅延剤(time delay agent)としてモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0129】
非経口投与用製剤は、通常、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態である。適した非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。適した水性担体として、水およびアルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液、例えば、生理食塩水および緩衝媒体が挙げられる。適した非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液が挙げられる。保存料および例えば、抗菌剤、抗酸化物質、キレート化剤、増殖因子、不活性ガスなどといったその他の添加剤も存在し得る。
【0130】
通常、用語「治療すること」、「治療」などは、本明細書において、被験体が所望の薬理学的および/または生理学的効果を得るよう影響を及ぼすことを意味する。効果は、疾患もしくは障害またはその徴候もしくは症状を完全にまたは部分的に防ぐという観点で予防的であり得、および/または疾患または障害の部分的または完全な治癒という観点で治療的であり得る。本明細書において「治療すること」とは、脊椎動物、哺乳類、特に、ヒトにおける疾患または障害の任意の治療、または予防に及み、(a)疾患または障害にかかりやすい可能性があるが、疾患または障害を有するとはまだ診断されていない被験体において疾患または障害が発生するのを防ぐこと、(b)疾患または障害を阻害すること、すなわち、疾患または障害の進行を停止すること、または(c)疾患または障害の効果を軽減または寛解すること、すなわち、疾患または障害の効果の退縮を引き起こすことを含む。
【実施例】
【0131】
本発明の実施形態を、以下の限定するものではない実施例を参照することによって、以下に記載する。
【0132】
6,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(1)の調製
【0133】
【化25】

【0134】
スキーム1.
方法A
EtOH(30mL)中の4−アミノ−1,2,4−トリアゾール(1.00g、11.9mmol)の溶液に、2,4−ペンタンジオン(1.9g、11.9mmol)を加え、還流で、14時間加熱した。反応混合物を放冷し、次いで、溶媒を蒸発乾固させた。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてジクロロメタン/MeOH、20:1 v/v)によって精製すると、1(0.46g、26%)が、淡黄色の結晶として得られた;融点:106〜109℃;H NMR(CDCl,300 MHz)δ:2.54(s,3H),2.70(s,3H),6.81(s,1H),8.98(s,1H)。
【0135】
方法B
無水トルエン(25mL)中の、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール(5g、60mmol)の溶液に、2,4−ペンタンジオン(6.0g、60mmol)およびp−トルエンスルホン酸(0.06g、0.35mmol)を加え、Dean Starkトラップを使用して還流で、7時間加熱した。反応が完了すると、得られた黄色の透明な溶液を室温に放冷し、蒸発乾固させた。粗オイルを、CHClに溶解させ、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を単離し、無水NaSOで乾燥させ、蒸発乾固させると、純粋な生成物1(7.65g、87%)が、淡黄色の結晶として得られた。H NMR(CDCl,300MHz)δ:2.54(s,3H),2.70(s,3H)、6.81(s,1H),8.98(s,1H)。
【0136】
6,8−ジメチル−2−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−2−イウム(2)の調製
【0137】
【化26】

【0138】
スキーム2.
ニトロメタン(35mL)中の1(2.00g、13.5mmol)の溶液に、ブロモアセトフェノン(2.70g、13.5mmol)を加え、不活性雰囲気下、還流で2.5時間加熱した。反応混合物を放冷し、溶媒を蒸発乾固させると、赤色の粘着性オイルが得られた。粗オイルを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてCHCl/MeOH、7:1(v/v))によって精製すると、2(2.7g、75%)が、橙色の結晶として得られた;融点:189〜192℃。H NMR(CDCl3,300MHz)δ:2.70(s,6H),6.98(s,2H)、7.28(d,J=1.5Hz,1H),7.55(t,J=7.5Hz,2H),7.69(tt,J=1.2,7.4Hz,1H),8.08(d,J=1.2Hz,2H),11.89(s,1H).質量スペクトル:Cl、m/z268(M+1)。
【0139】
4,6−ジメチルピリダジン−3−アミン(3)の調製
【0140】
【化27】

【0141】
スキーム3.
20%NaOH水溶液(29.0mmol)中の、アルキル化塩2(2.58g、9.65mmol)の溶液を、還流で16時間加熱した。粗反応混合物を蒸発乾固させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてCHCl/MeOH、10:1(v/v))によって精製すると、3(1.1g、93%)が淡褐色の粉末として得られた;融点:123〜126℃。H NMR(CDCl、300MHz)δ:2.13(s,3H),2.50(s,3H),6.93(s,1H).質量スペクトル:Cl、m/z124(M+1)。
【0142】
化合物4a−eの合成のための一般手順
【0143】
【化28】

【0144】
スキーム4.
無水THF(100mL)中、適当なオキソブタン酸(24mmol)、ジエチルアミン(2.70mL、26.4mmol)、トリエチルアミン(13mL、36mmol)およびEEDQ(7.20g、28.8mmol)の溶液を、還流で一晩加熱した。反応混合物を放冷し、溶媒を真空除去した。残存する残渣を、希HCl(10%)を用いて酸性化し、次いで、希NaOH(5%)を用いて中和した。中性溶液を、水で洗浄し、CHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発させると、暗赤色のオイルが得られた。このオイルを0℃に冷却した。冷却したオイルに酢酸エチル(30mL)を加え、得られた結晶を濾過し、石油エーテルで洗浄すると、対応するアミド生成物が得られた。
【0145】
N,N−ジエチル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタンアミド(4a)の調製
【0146】
【化29】

【0147】
この化合物は、4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸(5.0g、24mmol)から、淡黄色の結晶として得られた;5.2g、83%;融点:59〜62℃。H NMR(CDCl、300MHz)δ:1.09−1.26(m,6H),2.76(t,J=6.9Hz,2H),3.30−3.41(m,6H),3.87(s,3H),6.93(d,J=9.0Hz,2H),8.00(d,J=9.0Hz,2H)。
【0148】
N,N−ジエチル−4−オキソ−4−p−トリルブタンアミド(4b)の調製
【0149】
【化30】

【0150】
この化合物は、4−オキソ−4−p−トリルブタン酸(4.6g、24mmol)から、淡黄色の結晶として得た;4.7g、80%;融点:63〜66℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.08−1.26(m,6H),2.41(s,3H),2.76(t,J=6.9Hz,2H),3.30−3.42(m,6H),7.25(d,J=8.4Hz,2H),7.93(d,J=8.4Hz,2H).
【0151】
4−(4−クロロフェニル)−N,N−ジエチル−4−オキソブタンアミド(4c)の調製
【0152】
【化31】

【0153】
この化合物は、4−(4−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸(5.1g、24mmol)から、淡褐色の結晶として得られた;5.3g、83%;融点:85〜88℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.08−1.26(m,6H),2.77(t,J=6.6Hz,2H),3.30−3.43(m,6H),7.43(d,J=6.9Hz,2H),7.96(d,J=6.9Hz,2H)。
【0154】
4−(4−ブロモフェニル)−N,N−ジエチル−4−オキソブタンアミド(4d)の調製
【0155】
【化32】

【0156】
この化合物は、4−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸(6.2g、24mmol)から、光沢のある、白色の結晶として得られた;6.0g、80%;融点:90〜93℃。H NMR(CDCl、300MHz)δ:1.08−1.26(m,6H),2.77(t,J=6.6Hz,2H),3.29−3.43(m,6H),7.59(d,J=6.6Hz,2H),7.89(d,J=6.6Hz,2H)。
【0157】
N,N−ジエチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタンアミド(4e)の調製
【0158】
【化33】

【0159】
この化合物は、4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸(4.7g、24mmol)から、濃橙色の結晶として得られた;5.1g、85%;融点:48〜51℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.08−1.26(m,6H),2.78(t,J=6.6Hz,2H),3.30−3.44(m,6H),7.09−7.15(m,2H),8.02−8.07(m,2H)。
【0160】
化合物5a−eの合成のための一般手順
0℃で、CHCl(〜20mL)中の、適したアミド4a−e(7.6mmol)の溶液に、臭素(0.4mL、7.6mmol)を、ゆっくりと加え、1時間撹拌した。次いで、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤として石油エーテル/酢酸エチル、50:50(v/v))によって精製すると、それぞれ臭素付加された生成物が得られた。
【0161】
【化34】

【0162】
スキーム5.(i)TEA、ジエチルアミン、THF、EEDQ、還流12時間;(ii)Br、CHCl、0℃1時間、室温一晩;(iii)DMF、還流24時間。
【0163】
3−ブロモ−N,N−ジエチル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタンアミド(5a)の調製
【0164】
【化35】

【0165】
4a(2g、7.6mmol)から得られた淡黄色のオイル;2.47g、95%。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.05−1.29(m,6H),3.00−3.58(m,6H),3.87(s,3H),5.62−5.78(m,1H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),8.04(d,J=9.0Hz,2H)。
【0166】
3−ブロモ−N,N−ジエチル−4−オキソ−4−p−トリルブタンアミド(5b)の調製
【0167】
【化36】

【0168】
4b(1.88g、7.6mmol)から得られた黄色のオイル;1.9g、78%。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.04−1.29(m,6H),2.41(s,3H),3.01−3.59(m,6H),5.65−5.79(m,1H),7.27(d,J=8.4Hz,2H),7.96(d,J=8.4Hz,2H)。
【0169】
3−ブロモ−4−(4−クロロフェニル)−N,N−ジエチル−4−オキソブタンアミド(5c)の調製
【0170】
【化37】

【0171】
4c(2.0g、7.6mmol)から得られた蛍光緑色オイル;2.36g、90%。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.04−1.29(m,6H),3.01−3.62(m,6H),5.59−5.67(m,1H),7.46(d,J=8.7Hz,2H),7.99(d,J=8.7Hz,2H)。
【0172】
3−ブロモ−4−(4−ブロモフェニル)−N,N−ジエチル−4−オキソブタンアミド(5d)の調製
【0173】
【化38】

【0174】
4d(3.75g、12mmol)から得られた淡黄色のオイル;4.12g、88%。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.04−1.28(m,6H),3.01−3.61(m,6H),5.56−5.61(m,1H),7.60−7.64(m,2H),7.89−7.94(m,2H)。
【0175】
3−ブロモ−N,N−ジエチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタンアミド(5e)の調製
【0176】
【化39】

【0177】
4e(1.58g、6.2mmol)から得られた淡黄色のオイル;1.72g、84%。H NMR (CDCl,300MHz)δ:1.04−1.29(m,6H),3.01−3.62(m,6H),5.92−5.64(m,1H),7.12−7.26(m,2H),8.06−8.12(m,2H)。
【0178】
化合物6a−eの合成のための一般手順
無水DMF(10mL)中の3(6.18mmol)の混合物に、無水DMF(10mL)中の臭素付加されたアミド5a−e(6.18mmol)の溶液を加え、不活性雰囲気下、還流で24時間加熱した。粗反応混合物を放冷し、蒸発乾固させ、溶出剤として酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、対応するジメチルイミダゾピリダジンが得られた。
【0179】
N,N−ジエチル−2−(2−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エタンアミド(6a)の調製
【0180】
【化40】

【0181】
5a(2.1g、6.18mmol)から得られた明褐色の結晶;1.2g、54%、融点:129〜131℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.16−1.32(m,6H),2.50(s,3H),2.65(s,3H),3.42−3.58(m,4H),3.84(s,3H),4.11(s,2H),6.71(s,1H),6.98(d,J=8.7Hz,2H),7.79(d,J=8.7Hz,2H);実測値:C,65.05;H,6.30;N,14.18。質量スペクトル:Cl、m/z367(M+1)。
【0182】
2−(6,8−ジメチル−2−p−トリルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)−N,N−ジエチルエタンアミド(6b)の調製
【0183】
【化41】

【0184】
5b(1.0g、2.9mmol)から得られた明褐色の結晶;0.50g、50%、融点:155〜158℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.32(m,6H),2.39(s,3H),2.43(s,3H),2.64(s,3H),3.44−3.55(m,4H),4.12(s,2H),6.70(s,1H),7.25(d,J=8.2Hz,2H),7.72(d,J=8.2Hz,2H);実測値:C,63.58;H,6.92;N,13.92。質量スペクトル:Cl、m/z351(M+1)。
【0185】
2−(2−(4−クロロフェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)−N,N−ジエチルエタンアミド(6c)の調製
【0186】
【化42】

【0187】
5c(0.95g、2.9mmol)から得られた明褐色の結晶;0.57g、53%、融点:162〜165℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.34(m,6H),2.50(s,3H),2.64(s,3H),3.44−3.57(m,4H),4.11(s,2H),6.73(s,1H),7.41(d,J=8.7Hz,2H),7.81(d,J=8.7Hz,2H);実測値:C,63.46;H,6.30;N,14.49。質量スペクトル:Cl、m/z371(M+1)。
【0188】
2−(2−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)−N,N−ジエチルアセトアミド(6d)の調製
【0189】
【化43】

【0190】
5d(1.00g、2.6mmol)から得られた明褐色の結晶;0.55g、51%、融点:171−175℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.34(m,6H),2.50(s,3H),2.64(s,3H),3.42−3.60(m,4H),4.10(s,2H),6.72(s,1H),7.56(d,J=8.7Hz,2H),7.75(d,J=8.7Hz,2H);実測値:C,57.47;H,5.50;N,12.87。質量スペクトル:Cl,m/z415(M+1)。
【0191】
N,N−ジエチル−2−(2−(4−フルオロフェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)アセトアミド(6e)の調製
【0192】
【化44】

【0193】
5e(0.67g,1.7mmol)から得られた明褐色の結晶;0.33g、55%、融点:139〜143℃。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.34(m,6H),2.50(s,3H),2.64(s,3H),3.42−3.60(m,4H),4.10(s,2H),6.71(s,1H),7.10−7.16(m,2H),7.82−7.87(m,2H);実測値:C,67.29;H,6.60;N,14.99。質量スペクトル:Cl,m/z355(M+1)。
【0194】
N,N−ジエチル−2−(2−(4−ヒドロキシフェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エタンアミド(7)の調製
【0195】
【化45】

【0196】
スキーム6.
方法A
0℃で、無水ジクロロメタン(40mL)中の、メトキシピリダジン6a(0.7g、1.9mmol)の溶液に、BBr(2.87mL、2.87mmol)を滴加した。0℃で1時間撹拌した後に、さらに1.5当量のBBr(2.87mL、2.87mmol)を滴加し、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、MeOH(〜20mL)を用いて反応混合物をクエンチし、蒸発乾固させた。得られた褐色の固体を、CHClで洗浄し、カラムクロマトグラフィー(溶出剤;ジクロロメタン/MeOH、10:1 v/v)によって精製すると、7(0.49g、1.4mmol)が、73%の収率で黄褐色の粉末として得られた、融点:266〜268℃。H NMR(DMSO,300MHz)δ:1.01−1.26(m,6H),2.44(s,3H),2.53(s,3H),3.24−3.55(m,4H),4.08(s,2H),6.82(d,J=8.7Hz,2H),6.94(s,1H),7.56(d,J=8.4Hz,2H);実測値:C,63.40;H,6.59;N,13.59。質量スペクトル:Cl,m/z353(M+1)。
【0197】
方法B
メトキシピリダジン6a(0.25g、0.68mmol)、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド(0.023g、0.068mmol)および45% HBr(4.5mL)の溶液を、一定撹拌下、100℃で7時間加熱した。反応混合物を、NaHCOを使用してpH8〜9に塩基性化し、CHClを用いて抽出した。有機層を集め、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製すると、7が得られた。
【0198】
2−(4−(3−(2−(ジエチルアミノ)−2−オキソエチル)−6,8−ジメチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル)フェノキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホナート(8)の調製
【0199】
【化46】

【0200】
方法A
無水DMF(10mL)中の7(176mg、0.5mmol)トリフェニルホスフィン(285mg、1.1mmol)およびトルエン−4−スルホン酸2−ヒドロキシ−エチルエステル(235mg、1.1mmol)の溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、0.21mL、1.1mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌し、次いで、真空濃縮した(95℃、20mbar)。得られた粗オイルを、CHCl(40mL)に溶解させ、水(3×20mL)で洗浄して、DMFの痕跡を除去した。有機層を単離し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてCHCl/MeOH、80:1 v/v)によって精製すると、8(10mg、0.018mmol)が、4%の収率で淡黄色の結晶として得られた。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.28(m,6H),2.45(s,3H),2.49(s,3H),2.63(s,3H),3.42−3.58(m,4H),4.10(s,2H),4.16−4.20(m,2H),4.37−4.40(m,2H),6.70(s,1H),6.85(d,J=6.9Hz,2H),7.34(d,J=7.8Hz,2H),7.76(d,J=6.9Hz,2H),7.84(d,J=7.8Hz,2H)。
【0201】
方法B
無水DMF(〜7mL)中の、水素化ナトリウム(0.05g、オイル中60%分散物、1.25mmol)に、無水DMF(〜7mL)中の、7(0.175g、0.50mmol)の溶液を加えた。0℃で1時間撹拌した後、エチレングリコールジ−p−トシレート(0.736g、2mmol)を、無水DMF(〜2mL)に溶解させ、主反応溶液にゆっくりと加えた。次いで、混合物を室温で12時間撹拌させ、その後、溶液を真空濃縮した(95℃、20mbar)。このようにして得られた樹脂を、ジクロロメタンで抽出し、塩化アンモニウムの飽和水溶液で2回洗浄した。次いで、有機層を水で4回洗浄し(あらゆる残存するDMFを除去し)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。得られた粗オイルを、溶出剤として酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、8(130mg、0.24mmol)が、47%の収率で、黄色の結晶として得られた;融点:120〜123℃;H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.28(m,6H),2.45(s,3H),2.49(s,3H),2.63(s,3H),3.42−3.58(m,4H),4.10(s,2H),4.16−4.20(m,2H),4.37−4.40(m,2H),6.70(s,1H),6.85(d,J=6.9Hz,2H),7.34(d,J=7.8Hz,2H),7.76(d,J=6.9Hz,2H),7.84(d,J=7.8Hz,2H);実測値:C,63.06;H,6.44;N,10.12。質量スペクトル:Cl,m/z551(M+1)。
【0202】
2−フルオロエチル−4−メチルベンゼンスルホナートの調製
【0203】
【化47】

【0204】
ピリジン(17mL、0.21モル)、p−トルエンスルホニルクロリド(3.57g、18.73mmol)およびフルオロエタノール(1mL、17.03mmol)の溶液を、アルゴン雰囲気下、0℃で1時間、さらに室温で14時間撹拌した。淡い透明な混合物を、氷水(〜30mL)を用いてクエンチし、未反応の塩化トシルをいずれも加水分解するよう5分間振盪させた。懸濁液を、酢酸エチル(〜15mL)を用いて抽出し、有機層に希硫酸(クラッシュアイスを含有する)を加えることによって過剰のピリジンを中和した。次いで、有機層を洗浄し、さらなる希硫酸(クラッシュアイスを含有する)、氷水、希水酸化カリウム(クラッシュアイスを含有する)を用いて、さらに再度、氷水を用いて洗浄した。この後、エーテル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空除去すると、2−フルオロエチル−4−メチルベンゼンスルホナート(1.40g、6.41mmol)が、38%の収率で、透明なオイルとして得られた。H NMR(CDCl,300MHz)δ:3.58(s,3H),4.19−4.31(m,2H),4.47−4.66(m,2H),7.36(d,J=8.4Hz,2H),7.80(d,J=8.4Hz,2H)。
【0205】
N,N−ジエチル−2−(2−(4−(2−フルオロエトキシ)フェニル)−6,8−ジメチルイミダゾ−[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エタンアミド(9、PDAZ−FE)の調製
【0206】
【化48】

【0207】
方法A
無水DMF(6mL)中、7(150mg、0.43mmol)、トリフェニルホスフィン(274mg、0.94mmol)および2−フルオロエタノール(60mg、0.94mmol)の溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、190mg、0.94mmol)を加えた。反応混合物を、室温で48時間撹拌し、次いで、真空濃縮した(95℃、20mbar)。得られた粗オイルを、CHCl(40mL)に溶解させ、水(3×20mL)で洗浄して、DMFの痕跡を除去した。有機層を単離し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(溶出剤としてCHCl/MeOH、80:1 v/v)によって精製すると、9(15mg、0.038mmol)が、9%の収率で淡黄色の結晶として得られた。H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.32(m,6H),2.49(s,3H),2.64(s,3H),3.42−3.58(m,4H),4.11(s,2H),4.26(dt,J=4,28Hz,2H),4.78(dt,J=4,47Hz,2H),6.70(s,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),7.79(d,J=9.0Hz,2H)。
【0208】
方法B
無水DMF(〜7mL)中、水素化ナトリウム(0.046g、オイル中60%分散物、1.14mmol)に、無水DMF(〜7mL)中、7(0.20g、0.57mmol)の溶液を加えた。0℃で1時間撹拌した後、主反応溶液に、無水DMF(〜2mL)中、2−フルオロエチル−4−メチルベンゼンスルホナート(0.125g、0.57mmol)の溶液をゆっくりと加えた。次いで、混合物を室温で12時間撹拌させ、その後、溶液を真空濃縮した(95℃、20mbar)。樹脂をジクロロメタンで抽出し、塩化アンモニウムの飽和溶液で2回洗浄した。次いで、有機層を水で4回洗浄し(あらゆる残存するDMFを除去し)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。得られた粗オイルを、溶出剤として酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、9(130mg、0.33mmol)が、58%の収率で黄色の結晶として得られた;融点:149−151℃;H NMR(CDCl,300MHz)δ:1.13−1.32(m,6H),2.49(s,3H),2.64(s,3H),3.42−3.58(m,4H),4.11(s,2H),4.26(dt,J=4,28Hz,2H),4.78(dt,J=4,47Hz,2H,),6.70(s,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),7.79(d,J=9.0Hz,2H);実測値:C,66.68;H,7.03;N,14.07。質量スペクトル:Cl,m/z399(M+1)。
【0209】
2.カルボン酸中間体の合成
【0210】
【化49】

【0211】
R=OH、CH、OCH、NO、F、Cl、ナフチル;R’=H、Cl;X=N、CH。
【0212】
スキーム7:試薬:(a)EtOH、HSO(b)N−ブロモスクシンイミド、ジベンゾイルペルオキシド(c)2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、氷酢酸(d)NaH(e)10%NaOH。
【0213】
化合物10〜16の合成のための一般手順
適当なフェニル酢酸10を、無水エタノールに溶解させ、触媒量の硫酸の存在下で還流して、エチルエステル11を製造した。次いで、エチルエステルを、等モル量の新たに再結晶化させたN−ブロモスクシンイミドおよび触媒量のベンゾイルペルオキシドを使用してクロロホルム中で24時間還流し、α−ブロモ−アリールエステル12を製造した。モル当量の2,5−ジメトキシ(dimethyoxy)テトラヒドロフラン(シス−およびトランス−異性体の混合物)を使用して、氷酢酸中で4時間、適当なアミノフェノール13を還流することによって、ピロール14を製造した(または、アミノピリジノールから調製してもよい)。次いで、ピロール14を、0℃、無水テトラヒドロフラン(THF)中で水素化ナトリウムを1時間使用することによってヒドロキシル位で脱プロトン化し、続いて、無水THF中で等モル量のα−ブロモ−アリールエステル12を一晩カップリングして、エチルエステル−アセトアミド15を製造した。対応する酸16へのエチルエステル15の加水分解は、エタノール/THF(1:1)中、10%水酸化ナトリウム溶液を使用し、室温で2時間撹拌しながら達成した。
【0214】
(4−メトキシ−フェニル)−(2−ピロール−1−イル−ピリジン−3−イルオキシ)−酢酸(16a)
【0215】
【化50】

【0216】
MS−ESI:m/z325.1(99%,M+1)。H−NMR(CDOD)δ3.84(3H,s),5.89(1H,s),6.31(2H,t,J=2.4Hz),6.96(2H,d,J=9Hz),7.22(1H,q),7.50(2H,d,J=9Hz),7.57(1H,d),7.74(2H,t,J=2.4Hz),8.06(1H,dd)。
【0217】
(4−メトキシ−フェニル)−(2−ピロール−1−イル−フェノキシ)−酢酸(16b)
【0218】
【化51】

【0219】
MS−ESI:m/z323.9(50%,M+1)。H−NMR(CDCl)δ3.79(3H,s),5.43(1H,s),6.34(2H,t),6.88(2H,d,J=8.7Hz),6.97(1H,d,J=2.3Hz),7.06(2H,t),7.07(1H,s),7.21(1H,d,J=2.3Hz),7.35(2H,d,J=8.7Hz),7.36(1H,s).CHN分析値C(計算値70.58、実測値67.34)、H(計算値5.30、実測値5.39)、N(計算値4.33 実測値4.12)。
【0220】
(4−フルオロ−フェニル)−(2−ピロール−1−イル−フェノキシ)−酢酸(16c)
【0221】
【化52】

【0222】
MS−ESI:m/z310.3(30%,M−1)。H−NMR(CDCl)δ5.46(1H,s),6.33(2H,t),6.96(1H,dd),7.03−7.05(3H,m),7.10(1H,dd),7.20(1H,dd),7.34(1H dd),7.38−7.44(3H,m).CHN分析値C(計算値69.45、実測値67.27)、H(計算値4.53、実測値4.53)、N(計算値4.50 実測値3.84)。
【0223】
(4−クロロ−2−ピロール−1−イル−フェノキシ)−(4−メトキシ−フェニル)−酢酸(16d)
【0224】
【化53】

【0225】
MS−ESI:m/z379.9(99%,M+1,ナトリウム塩として)。H−NMR(CDCl)δ3.79(3H,s),5.38(1H,s),6.31(2H,t),6.85(2H,d,J=9Hz),7.01(1H,d),7.05(2H,t),7.14(1H,dd),7.24(2H,d,J=9Hz),7.31(1H,d)。
【0226】
3.アセトアミドリガンドの合成
【0227】
【化54】

【0228】
R=OH、CH、OCH、NO、F、Cl、ナフチル;R’=H、Cl;X=N、CH。
【0229】
スキーム8:アセトアミド合成。試薬:EEDQ、TEA、DEA。
【0230】
アセトアミド化合物19の合成のための一般手順
カルボン酸16を、無水THFに溶解させ、これに、過剰の開始材2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリエチルアミンおよびジエチルアミンを加えた。反応物を8〜12時間還流し、TLCによって反応の完了をモニタリングし、アセトアミド19を製造した。
【0231】
N,N−ジエチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2−(2−ピロール−1−イル−ピリジン−3−イルオキシ)−アセトアミド(19a)
【0232】
【化55】

【0233】
MS−ESI:m/z380.0(35%,M+1)。H−NMR(CDCl)δ0.88(3H,t),1.09(3H,t),3.20(2H,q),3.35(2H,q),3.80(3H,s),5.65(1H,s),6.30(2H,t),6.89(2H,d,J=8.7Hz),7.05(1H,dd),7.33(1H,m),7.32(2H,d,J=8.7Hz),7.65(2H,t),8.11(1H,dd)。
【0234】
N,N−ジエチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2−(2−ピロール−1−イル−フェノキシ)−アセトアミド(19b)
【0235】
【化56】

【0236】
MS−ESI:m/z378.3(25%,M)。H−NMR(CDCl)δ0.75(3H,t),1.05(3H,t),3.21(2H,q),3.31(2H,q),3.79(3H,s),5.61(1H,s),6.32(2Hm t),6.84(2H,d,J=9Hz),7.05(2H,t),7.22(1H,m),7.27(1H,s),7.31(2H,d),7.34(2H,m)。
【0237】
2−(4−クロロ−2−ピロール−1−イル−フェノキシ)−N,N−ジエチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド(19d)
【0238】
【化57】

【0239】
MS−ESI:m/z412.3(92%,M)。H−NMR(CDCl)δ0.85(3H,t),1.05(3H,t),3.10(2H,q),3.76(2H,q),3.88(3H,s),5.50(1H,s),6.32(2H,t),6.86(3H,dd),7.06(2H,t),7.17(1H,d),7.22,(1H,s),7.31(1H,d),7.44(1H,d)。
【0240】
当然のことながら、上記のパラメータに対してわずかに改変を加えて、式(IV)の化合物を合成することは、当業者の能力の十分に範囲内である。例えば、反応時間、温度、モル比を変更することによって、適当な出発試薬を変更することによって。この経路によって合成されるさらなる化合物として、以下が挙げられる
【0241】
【化58】

【化59】

および
【化60】

【0242】
特に注目される別の化合物として、以下がある。
【化61】

【0243】
4.キラルカルボン酸16の分割
カルボン酸16は、J.Med.Chem.、1991、第34巻、第9号、2864に概説される一般手順によって分割できる。分割されたカルボン酸16は、スキーム8および9に例示されるように、アセトアミド化合物19の合成のための一般手順によってアセトアミドに転換できる。
【0244】
【化62】

【0245】
R=OH、CH、OCH、NO、F、Cl、ナフチル;R’=H、Cl;X=N、CH;
【0246】
R’’=
【化63】

または
【化64】

【0247】
スキーム9:試薬(a)塩化オキサリル、N−メチルピロリジン、(R)−(−)−パントラクトンまたはD−(+)−リボン酸−γ−ラクトン(b)2N HCl、AcOH(c)EEDQ、DEA、TEA。
【0248】
5.In Vitro結合親和性
3H−PK11195(比放射能322GBq/mmol)および3H−Ro 15−1788(比放射能311GBq/mmol)は、Dupont−New England Nuclearから購入した。結合研究のために、Trapani G.ら J Med Chem.1997;40:3109〜3118頁に記載されるようにではあるが、本明細書に記載されるようにわずかに改変を加えて、頸椎脱臼によって屠殺した雄のウィスターラットの腎臓からミトコンドリアを調整した。ガラスホモジナイザー中、テフロン(DuPont)内筒を用い、プロテアーゼ阻害剤(160mg/mLのベンズアミジン、200mg/mLのバシトラシンおよび20mg/mLの大豆トリプシン阻害剤)を含有する、20容積の氷冷50mM Tris−HCl(pH7.4)、0.32Mスクロースおよび1mM エチレンジアミン四酢酸(バッファーA)中で、腎臓をホモジナイズし、4℃、600gで10分間遠心分離した。得られた上清を4℃、10,000gで、10分間遠心分離した。ペレットを、20容積の氷冷バッファーAに懸濁し、4℃、10,000gで10分間遠心分離した。粗ミトコンドリアペレットを、アッセイの時間まで−20℃で凍結するか、または総容積0.5mL中、さまざまな濃度の試験化合物(0.1nM〜10mM)を含む、50mM Tris−HCl(pH7.4)(バッファーB)中、0.6nM 3H−PK11195とともに4℃で、90分間インキュベートした。インキュベーションは、氷冷バッファーBを用いて5mLに希釈することによって終結させ、このステップに、ガラスファイバーWhatman GF/Cフィルターを通した迅速な濾過を直ちに続けた。フィルターを、バッファーB(2.5mL)で洗浄し、66%効率でPackard1600TR液体シンチレーションカウンターを用いてフィルター上に保持される放射能の量を調べた。非標識1mM PK11195の存在下で、各サンプルについて非特異的結合を推定した。50%阻害濃度を求め、これまでに導かれた方程式によって解離定数(Ki)値を導いた(Cheng Y.ら Biochem Pharmacol.1973;22:3099〜3108頁)。タンパク質濃度は、標準物質としてウシ血清アルブミン(Sigma− Aldrich)を用い、Lowryらの方法(J Biol Chem.1951;193:265〜275頁)によって推定した。
【0249】
【表1】

【0250】
【表2】

【0251】
6.[18F]を用いる放射標識
【0252】
【化65】

【0253】
スキーム10:18Fを用いた放射標識。
当業者には当然であろうが、式(III)または(IV)の化合物は、化合物上の任意の位置で放射標識されてもよい。例えば、式(III)または(IV)の化合物は、トシルまたはフルオロ前駆体を使用して、エトキシ基を介してフェニル置換基で放射標識されてもよく、またはトシルまたはフルオロ前駆体を使用することによってアセトアミド官能基を直接標識してもよい。
【0254】
18F]PDAZ−FE(20)の放射合成
放射性同位元素製造。[18O(p、n)18F]核反応による、95%濃縮[18O]HOへの、25μAの電流および16.5MeV陽子ビームを使用した0.8mLシルバーボディーの水標的の照射によって、PETtraceサイクロトロン(GE Healthcare、Sweden)で担体を加えていない水性[18F]フッ化物イオンを製造した。
【0255】
K[18F]F−Kryptofix 2.2.2の調製。[18O]HO中の[18F]フッ化物を、GE TRACERlab FXF−Nシンセサイザーに移し、陰イオン交換樹脂(10mL 0.5M KCOで洗浄し、次いで、10mLの水ですすぎ、真空下、Nを用いて乾燥させることによって準備した、炭酸形態の、Sep−Pak Waters Accell(商標)Light QMAカートリッジに通した。次いで、溶出剤[KCO(4mg)、Kryptofix222(13mg)、滅菌水100μLおよびアセトニトリル(900μL)を含有する]を使用して、捕捉された[18F]フッ化物をSep−Pakカートリッジから溶出させ、反応容器に移し、次いで、ヘリウム流および真空下、70℃で加熱することによって蒸発させた。続いて、反応容器にアセトニトリル(1mL)を加え、真空下、120℃で加熱することによって蒸発乾固させた。
【0256】
18F]PDAZ−FEの調製および製剤。トシル前駆体(8、2mg)を、アセトニトリル(1mL)に溶解させ、無水K[18F]F−Kryptofix2.2.2複合体に加えた。混合物を、100℃で10分間反応させた。完了時に、反応混合物を滅菌水(1mL)で希釈し、別個の容器に移した。反応容器を滅菌水(0.5mL)ですすぎ、同じ容器に移した。次いで、全粗混合物(容器内に含まれる)を、HPLC Waters XTerra RP C−18(10μm、7.8×300mm)セミ逆相カラム(TRACERlab FXF−Nモジュールと同一ホットセル内に含まれる)に供した。0.1M NHAc(pH10):CHCN;(65:35、v:v)の移動相、流速4.0mL/分で、[18F]PDAZ−FEのtは、25分であった。滅菌水(40mL)を含有する丸底フラスコ中に、[18F] PDAZ−FEに対応する放射活性画分を集めた。続いて、この全溶液を、tC−18Sep−Pakカートリッジに通した。tC18捕捉され、放射標識された生成物を滅菌水(5mL)でさらにすすいだ。次いで、生成物を、EtOH(0.5mL)および滅菌水(5mL)を用いてtC18 Sep−Pakカートリッジから溶出させ、次いで、滅菌13mm Millipore GS 0.22μmフィルターを通して濾過し、10mL滅菌発熱物質不含バイアルに入れた。
【0257】
18F]PDAZ−FEの品質管理。比放射能および放射化学的純度の測定のために、既知容量および放射能の最終溶液のアリコートを、分析用逆相HPLCカラムPhenomenex Luna RP C−18カラム、(5μm、4.6×250mm)、1mL/分の流速のHO:TFA:ACN(65:0.01:35、v:v)の移動相に供した。これらの条件を用いて、[18F]PDAZ−FEは、6.2分の保持時間(t)を有していた。担体生成物に相当する、254nmで測定されたUV吸光度ピークの面積を、HPLCクロマトグラムで測定し(積分し)、質量とUV吸光度を関連付ける標準曲線と比較した。トシレート前駆体(化合物8)は、31.6分のtを示した。
【0258】
18F]PDAZ−FE正常ラットmicroPET研究
すべてのPETデータは、MicroPET Focus 220動物スキャナーを使用して取得した。まず、ラットをイソフルラン(Troy Laboratories Pty Ltd、Australia)ガス(導入用5%および維持用1〜4%)を使用して麻酔した。ラットの頭部を、動きアーチファクトを最小にするためにパースペクス定位フレーム(perspex stereotactic frame)を用いて固定した。吸収補正の目的で放出研究の直前に、頭部の(8分)透過スキャンのために57Coロッド供給源を使用した。100μLの滅菌水中、60MBqの[18F]PDAZ−FEの投与の直前に、リストモードでのPETデータの取得を開始し、60分間継続した。各研究の最後に、リストモードデータを、24フレームを含むダイナミックサイノグラムにソートした(10×30s、5×120sおよび9×300s)。ダイナミック3−D PETサイノグラムを、3D再投影(ズーム4.745)を用いて、128×128ボクセルを各々含む95の横断面切片に再構築した。各フレーム中の再構築したボクセル値は、注入時間に対する放射性崩壊について補正された、Bq/mLの単位であり、ボクセル寸法は、0.400×0.400×0.796cmであった。次いで、ボクセル値を、標準摂取値(SUV)の単位に、次いで、注入された用量%/mLに変換した。リガンド濃度の変動を表すTAC対時間を、脳全体について構成した。リストモード取得後、全身PETスキャンを、4種の異なるベッド位置で5分実施して、全身の総活性を決定した。すべてのデータに吸収補正、散乱補正および不感時間補正を適用した。
【0259】
第2の研究は、ラットを、[18F]PDAZ−FE(100μL滅菌水中、26MBq)の前にPK11195(3mg/kg)を用いて、5分間前処理することを含んでいた。PK11195および放射性リガンドの両方を、ラット尾静脈によって投与した。図1は、[18F]PDAZ−FEを投与されたラットの、およびPK11195を用いて前処理されている[18F]PDAZ−FEを投与されたラットの撮られたMircoPET像を示す。
【0260】
本発明を特定の実施例を参照して記載してきたが、当業者ならば、本発明は、多数のその他の形で具体化され得るということは理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)
【化1】

[式中、
12およびR13は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
またはR12およびR13は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
19およびR21は、各々独立に、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
20は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR22、(CHOR22または置換されていてもよいポリエーテルであり;
22は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数である]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物。
【請求項2】
前記R20がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R19およびR21が、各々独立に、C1−6アルキルである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記R19およびR21が、各々独立に、メチルである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記R14、R15、R16、R17およびR18が、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいOC1−6アルキルまたは置換されていてもよいアリールである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記R14、R15、R17およびR18が、Hである、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記R16が、ハロ、OH、置換されていてもよいC1−6アルキルまたは置換されていてもよいOC1−6アルキルである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記R12およびR13が、各々独立に、C1−6アルキルである、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記R12およびR13が、各々独立に、エチルである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
以下からなる群から選択される、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の化合物またはその塩または溶媒和物:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

および
【化9】

【請求項11】
式(IV)
【化10】

[式中、
23およびR24は、各々独立に、H、ベンジル、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、これらは各々、1以上のハロまたはC−Cアルキルで置換されていてもよく;
または、R23およびR24は、それらが結合する窒素と共に、置換されていてもよい、3ないし7環員を有する複素環を形成し;
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、O、NHおよびSからなる群から選択され;
I、J、KおよびLは、各々独立にCR31またはNであり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物。
【請求項12】
前記XがOである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記IがNであり、前記J、K、LがCR31である、請求項11または請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記I、J、KおよびLが、CR31である、請求項11または請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
前記各R31が、独立に、H、ハロまたは置換されていてもよいアルキルである、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記R25、R26、R28およびR29が、Hである、請求項11乃至請求項15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記R33、R34、R35およびR36が、Hである、請求項11乃至請求項16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
前記R27が、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシまたは置換されていてもよいアリールである、請求項11乃至請求項17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
前記R27が、OH、CH、OCH、NO、F、Clまたはナフチルである、請求項11乃至請求項18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
前記R27が、F、ClまたはOCHである、請求項11乃至請求項19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記R23およびR24が、各々独立に、C1−6アルキルである、請求項11乃至請求項20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
前記R23およびR24が、各々独立に、エチル、プロピルおよびi−プロピルからなる群から選択される、請求項11乃至請求項21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

および
【化17】

からなる群から選択される、請求項11乃至請求項22のいずれか1項に記載の化合物またはその塩または溶媒和物。
【請求項24】
前記化合物が、(R)−鏡像異性体である、請求項11乃至請求項23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
式(IV)の化合物の製造において中間体として使用するための式(V)
【化18】

[式中、
25、R26、R27、R28およびR29は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
30は、置換されていてもよいアルキルであり;
nは、1から6の整数であり;
Xは、O、NHおよびSからなる群から選択され;
I、J、KおよびLは、各々独立に、CR31またはNであり;
31は、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいNHC1−6アルキル、置換されていてもよいSC1−6アルキル、COOR30、(CHOR30または置換されていてもよいポリエーテルであり;
33、R34、R35およびR36は、各々独立に、H、ハロ、OH、NO、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである]
で示される化合物またはその塩または溶媒和物
(ただし、IがNである場合には、R27はメチルではない)。
【請求項26】
前記XがOである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
【化19】

【化20】

【化21】

および
【化22】

からなる群から選択される、請求項25または請求項26に記載の化合物またはその塩または溶媒和物。
【請求項28】
放射性同位元素で放射標識された、請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
前記放射性同位元素が、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brから選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記放射性同位元素が、18Fである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
請求項1乃至請求項24または請求項28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項32】
被験体において、障害を診断する方法であって、被験体に、請求項1乃至請求項24または請求項28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項33】
被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)(TSPO)を画像化することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質の位置を示す像を得ることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、放射性同位元素で放射標識され、前記放射性同位元素が、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brからなる群から選択される、請求項32乃至請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識され、前記像が、陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって得られる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が、123Iで放射標識され、前記像が、SPECT画像化によって得られる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記像を得て、被験体の脳実質における前記化合物またはその塩のTSPO結合の程度を評価する、請求項34乃至請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記障害が、神経変性障害、炎症または不安神経症である、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記被験体が、ヒトである、請求項32乃至請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
被験体において障害を診断するための薬剤の製造における、請求項1乃至請求項24または請求項28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物の用途。
【請求項43】
前記障害を診断することが、前記被験体においてトランスロケータータンパク質(18kDa)を画像化することを含む、請求項42に記載の用途。
【請求項44】
前記化合物が、放射性同位元素で放射標識され、前記放射性同位元素が、18F、123I、76Br、124Iおよび75Brからなる群から選択される、請求項42または請求項43に記載の用途。
【請求項45】
前記化合物が、18F、76Br、124Iまたは75Brで放射標識され、トランスロケータータンパク質像が、陽電子放射型断層撮影(PET)画像化によって得られる、請求項44に記載の用途。
【請求項46】
前記化合物が、123Iで放射標識され、トランスロケータータンパク質像が、SPECT画像化によって得られる、請求項44に記載の用途。
【請求項47】
前記障害が、神経変性障害、炎症または不安神経症である、請求項42に記載の用途。
【請求項48】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患からなる群から選択される、請求項42に記載の用途。
【請求項49】
式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させることを含む、
【化23】

[式中、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20およびR21は、請求項1乃至請求項9のいずれかによって定義され、Yは、VIIと反応する脱離基である]
式(III)の化合物、またはその塩または溶媒和物を調製する方法。
【請求項50】
前記Yがハロである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項49または請求項50の方法によって調製される場合の、式(III)の化合物。
【請求項52】
式(V)の化合物を、式(VI)の化合物と反応させることを含む、
【化24】

[式中、I、J、K、L、X、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R33、R34、R35およびR36は、請求項11乃至請求項22のいずれかによって定義される]
式(IV)の化合物、またはその塩または溶媒和物を調製する方法。
【請求項53】
請求項52の方法によって製造される、式(IV)の化合物。
【請求項54】
TSPO受容体と結合している場合に反応を誘発できる、請求項1乃至請求項24または28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
被験体における前記障害の治療のための医薬の製造における、請求項1乃至請求項24または28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物の用途。
【請求項56】
前記障害が、哺乳類における、異常な密度のTSPO受容体を特徴とする、請求項55に記載の用途。
【請求項57】
前記障害が、神経変性障害、炎症または不安神経症である、請求項55に記載の用途。
【請求項58】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患からなる群から選択される請求項55に記載の用途。
【請求項59】
被験体において障害を治療する方法であって、被験体に、請求項1乃至請求項24または請求項28乃至請求項30のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項60】
前記障害が、哺乳類における異常な密度のTSPO受容体を特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記障害が、被験体における神経変性障害、炎症または不安神経症である、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、多系統萎縮症、てんかん、脳症、卒中、脳腫瘍、不安神経症、ストレス、情緒障害または認知障害、神経膠芽腫、虚血性脳卒中、ヘルペス脳炎、HIV、筋萎縮性側索硬化症、皮質基底核変性症、癌、鬱病、自己免疫疾患および感染性疾患からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506487(P2011−506487A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538271(P2010−538271)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001781
【国際公開番号】WO2009/079683
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500026418)ザ・ユニバーシティ・オブ・シドニー (13)
【Fターム(参考)】