説明

ドア搬送装置

【課題】各種部品を取り付ける艤装作業エリアにおけるドアの搬送手段として活用できるドア搬送装置を提供する。
【解決手段】ドアハンガー9R,9Lには、その上部にのみ被支持部15a,15bが設けられ、ドア搬送用走行体40には、その左右両側に、ドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bのみを支持するドアハンガー支持部48a,48bが設けられ、この左右両側のドアハンガー支持部48a,48bにそれぞれドアハンガー9R,9Lが支持されたとき、上側が前記ドア搬送用走行体40で閉じられると共に左右両側がドア搬送用走行体40から垂下するドアハンガー9R,9Lで閉じられて、両ドアハンガー9R,9Lの間に、下側とドア搬送用走行体40の走行方向前後両側が開放された空間Sが形成され、各ドアハンガー9R,9Lには、前記空間Sに隣接する側とは反対の外側でドアDR,DLを支持するドア支持具11,12が設けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体から取り外したドアを搬送するドア搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドア搬送装置として、特許文献1に記載のように、ドア搬送ライン上を走行するドア搬送用走行体に、左右両側にドアハンガー支持部が設けられた吊下げ部材を着脱自在に吊り下げ、この吊下げ部材の左右両側のドアハンガー支持部にそれぞれドアハンガーを着脱自在に支持するように構成されたドア搬送装置が知られている。具体的に説明すると、前記吊り下げ部材の左右両側のドアハンガー支持部は、ドアハンガーの上端を引っ掛ける上側係止部と、当該ドアハンガーの下端を受け止める下側支持台部とから構成され、左右両側のドアハンガー支持部の下側支持台部どうしが水平連結部材によって互いに連結された構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−317881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された従来のドア搬送装置では、ドア搬送用走行体に吊り下げられて当該ドア搬送用走行体側のドアハンガー支持部を構成する吊下げ部材が、前記のように左右両側のドアハンガー支持部の下側支持台部どうしが水平連結部材によって互いに連結された構成であるため、この吊下げ部材を介してドア搬送用走行体の左右両側にドア(ドアハンガー)を支持させた状態では、その左右両側のドア(ドアハンガー)間の空間は、吊下げ部材(前記水平連結部材)によって床上の空間と遮断されており、ドア搬送用走行体の下側で左右両側のドア(ドアハンガー)間の空間を、ドアハンガーやドア搬送用走行体に対する保守作業のための通路や、このドア搬送装置で搬送されるドアに対して部品を取り付ける艤装作業エリアにおいて使用される部品供給台車の走行通路などとして活用することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るドア搬送設備を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載のドア搬送設備は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、ドア搬送ラインを走行するドア搬送用走行体40によって搬送されるドアハンガー9R,9Lには、その上部にのみ被支持部15a,15bが設けられ、ドア搬送用走行体40には、その左右両側に、ドアハンガー9R,9Lの前記被支持部15a,15bのみを支持するドアハンガー支持部48a,48bが設けられ、この左右両側のドアハンガー支持部48a,48bにそれぞれドアハンガー9R,9Lが支持されたとき、上側が前記ドア搬送用走行体40で閉じられると共に左右両側がドア搬送用走行体40から垂下するドアハンガー9R,9Lで閉じられて、両ドアハンガー9R,9Lの間に、下側とドア搬送用走行体40の走行方向前後両側が開放された空間Sが形成され、各ドアハンガー9R,9Lには、前記空間Sに隣接する側とは反対の外側でドアDR,DLを支持するドア支持具11,12が設けられた構成となっている。
【0006】
尚、上記本発明を実施するに際して、具体的には、請求項2に記載のように、前記ドアハンガー9R,9Lは、ドア搬送用走行体40のドアハンガー支持部48a,48bに支持された状態において、当該ドアハンガー9R,9Lに支持されたドアDR,DLの上端が、前記ドアハンガー支持部48a,48bを含むドア搬送用走行体40よりも下側になるように構成することができるし、請求項3に記載のように、前記各ドアハンガー9R,9Lには、前記被支持部15a,15bより上方に突出する被吊下げ部14a,14bを設けることができる。
【0007】
又、請求項4に記載のように、前記ドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bは、片側に前記ドア支持具11,12を備えた吊下げフレーム10の上端から前記ドア支持具11,12のある側とは反対側に片持ち状に突設し、前記ドア搬送用走行体40には、ドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bがドア搬送用走行体40のドアハンガー支持部48a,48bに支持されたとき、このドアハンガー9R,9Lの下部がドア搬送用走行体40の下側へ揺動するのを当該ドアハンガー9R,9Lの側面(被当接面20a)に当接して阻止する当接部52a,52bを設けることができる。この場合、請求項5に記載のように、前記ドア搬送用走行体40の当接部52a,52bは、このドア搬送用走行体40の走行方向と平行な支軸で軸支されたローラーから構成し、この当接部(ローラー)52a,52bが当接するドアハンガー9R,9Lの側面は、前記吊下げフレーム10に付設されたガイド部材20の垂直な被当接面20aで構成し、前記ガイド部材20の下端部には、前記当接部(ローラー)52a,52bを前記被当接面20aに導く傾斜案内面20bを設けることができる。
【0008】
更に、請求項6に記載のように、前記ドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bには、上向きに垂直ピン53を突設し、ドア搬送用走行体40のドアハンガー支持部48a,48bには、前記ドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bを支持したときに前記垂直ピン53が嵌合する被嵌合孔19を設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記請求項1に記載の本発明に係るドア搬送装置により、例えば車体搬送ライン上の車体から取り外した車体左右のドアをそれぞれドアハンガーに移載し、これらドアハンガーを、ドア搬送用走行体の左右両側にそれぞれ支持させて艤装作業エリアに送り込み、ドア搬送用走行体の左右両側にそれぞれ支持されている状態のドアに対して部品の取付けなど艤装作業を行い、艤装作業の終わったドアを、そのままドア搬送用走行体により再び車体搬送ライン上の元の車体へのドア取付け作業位置まで搬送することができるのであるが、特に本発明の構成によれば、ドア搬送用走行体の左右両側に支持された両ドアハンガーの間に、下側とドア搬送用走行体の走行方向前後両側が開放された空間が、当該空間に左右両ドアハンガーが直接隣接する状態で確保されているので、ドア搬送用走行体の床面上高さが、当該床面上に作業者が立つことができる高さになるように構成しておきさえすれば、ドア搬送用走行体の直下の床面上で左右両側のドアハンガーの間を、作業者通路として利用することができ、当該通路を利用して、ドアハンガーのドアが支持される外側とは反対の内側やドア搬送用走行体の下側に対する保守作業を容易且つ安全に行うことができる。又、ドアハンガーの構造によっては、支持されたドアのドアハンガーに面する側に対する艤装作業も可能になる。更に、前記通路を、艤装作業エリアにおける部品供給台車の走行通路としても利用することができるし、場合によっては前記通路に固定棚などの設備を設置して、床面の利用効率を高めることも可能である。
【0010】
尚、請求項2に記載の構成によれば、艤装作業エリアなどにおいて、ドア搬送用走行体の左右両側に支持されたドアハンガーの下端の床面上高さを低くして、当該ドアハンガーに支持されるドアの下辺から上辺までの全領域に対する艤装作業を容易に行えるように構成しても、ドア搬送用走行体の直下の床面上空間の高さを十分に高くすることができ、当該空間を保守作業用通路や台車走行通路などに利用する場合に好都合となる。
【0011】
又、請求項3に記載の構成によれば、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部から取り外したドアハンガーを別の補助コンベヤなどで吊り下げて搬送する場合に、ドアハンガーの被支持部より上方に突出する被吊下げ部を利用することができる。
【0012】
ドアハンガーにはその外側にドアが支持されるので、このドアを支持したドアハンガーを吊り下げるときは、ドアハンガーよりドアが支持される外側に寄った位置でドアハンガーを吊り下げることにより、ドアハンガーを鉛直に垂下させることができる。従って、請求項3に記載の被吊下げ部は、このようにドアハンガーより外側に張り出すように設けることになるが、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部に支持させるためにドアハンガーの上端部に設けられる被支持部をドアハンガーより外側に張り出すように設ける場合は、ドアハンガーより内側に位置するドア搬送用走行体から当該ドアハンガーを超えてその外側に延出するドアハンガー支持部を設けなければならず、構造が複雑になって実施が困難になる。
【0013】
然るに、請求項4に記載の構成によれば、ドアを支持する外側ではなく、ドアハンガーから内側に片持ち状に突設した被支持部をドア搬送用走行体のドアハンガー支持部で支持させる構成であるから、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部を簡単な構造で容易に構成することができる。このとき、支持されたドアハンガーは、外側にドアを支持することもあって、下端が内側へ揺動して傾いてしまうことになるが、このドアハンガーの傾動をドア搬送用走行体に設けた当接部で当て止めするので、ドアハンガーが左右横方向に揺れ動くことを防止できるだけでなく、当該ドアハンガーをドア搬送用走行体から垂直に垂下する姿勢に確実に保持することができるので、当該ドアハンガーに支持されたドアに対する艤装作業に悪影響が及ぶこともない。この場合、請求項5及び請求項6に記載の構成によれば、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部に対してドアハンガーを上下方向に移動させるだけで、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部に対するドアハンガーの着脱が行えるので、このドアハンガーの着脱を機械装置によって行わせることが容易になるばかりでなく、ドア搬送用走行体に対するドアハンガーの位置を確定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るドア搬送装置を利用したドア搬送設備の一利用形態を示す搬送経路のレイアウト図である。
【図2】ドアハンガーの側面図である。
【図3】ドアハンガーの平面図である。
【図4】A図は補助コンベヤの移動体にドアハンガーが吊り下げられた状態を示す一部切り欠き正面図、B図は移動体のドアハンガー吊下げ部の拡大縦断側面図である。
【図5】A図は補助コンベヤの移動体を示す側面図、B図は同移動体と駆動手段を示す一部切り欠き平面図、C図は同移動体のドアハンガー吊下げ部を示す拡大平面図である。
【図6】補助コンベヤの移動体にドアハンガーが吊り下げられた状態を示す側面図である。
【図7】本発明に係るドア搬送装置におけるドア搬送用走行体にドアハンガーが吊り下げられた状態を示す側面図と、同ドア搬送用走行体の要部を示す側面図である。
【図8】ドア搬送用走行体とこれに吊り下げられるドアハンガーとを示す平面図である。
【図9】ドア搬送用走行体とこれに吊り下げられるドアハンガーとを示す正面図である。
【図10】ドア取外し/取り外し作業エリアを示す正面図である。
【図11】昇降装置とこれに吊り下げられて昇降する、ドアハンガーを吊り下げた移動体を示す側面図である。
【図12】昇降装置とこれに吊り下げられて昇降する、ドアハンガーを吊り下げた移動体を示す正面図である。
【図13】ドア搬送用走行体と補助コンベヤの移動体との間のドアハンガー移載手段を、補助コンベヤの移動体側にドアハンガーが吊り下げられている状態で示す正面図である。
【図14】ドア搬送用走行体と補助コンベヤの移動体との間のドアハンガー移載手段を、ドア搬送用走行体側にドアハンガーが吊り下げられている状態で示す正面図である。
【図15】同上ドアハンガー移載部での、ドアハンガーを吊り下げた補助コンベヤの移動体を示す側面図である。
【図16】同上ドアハンガー移載部でのドア搬送用走行体昇降装置を、補助コンベヤの移動体を支持する昇降ガイドレールが下降限位置にある状態で示す側面図である。
【図17】同上ドアハンガー移載部でのドア搬送用走行体昇降装置を、補助コンベヤの移動体を支持する昇降ガイドレールが上昇限位置にある状態で示す側面図である。
【図18】昇降装置などに併設される移動体位置決め手段を示す側面図である。
【図19】ドア搬送用走行体昇降装置に併設される移動体位置決め手段を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係るドア搬送装置を利用したドア搬送設備全体の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1のレイアウト図において、1はドア取外し用車体搬送ライン、2はドア取付け用車体搬送ライン、3はドア取外し用車体搬送ライン1に設定されたドア取外し作業エリア、4はドア取付け用車体搬送ライン2に設定されたドア取付け作業エリア、5は取り外されたドアに対する艤装作業エリアである。ドア取外し用車体搬送ライン1とドア取付け用車体搬送ライン2とは、車体Bを床上作業レベルで支持搬送するフロアーコンベヤで構成されている。6は本発明に係るドア搬送装置であって、ドア取外し作業エリア3内から艤装作業エリア5内及びドア取付け作業エリア4内をこの順に経由して元のドア取外し作業エリア3内に戻る、床面上方適当高さのドア搬送ラインをドア搬送用走行体40が走行するオーバーヘッドコンベヤによって構成されている。
【0016】
ドア取外し作業エリア3とドア取付け作業エリア4においては、ドア取外し用車体搬送ライン1及びドア取付け用車体搬送ライン2の真上にドア搬送装置6の搬送ラインが互いに平行状態で且つ搬送方向が互いに逆向きとなるように配設されている。そしてドア取外し作業エリア3とドア取付け作業エリア4には、各車体搬送ライン1,2(ドア搬送装置6の搬送ライン)の左右両側に、それぞれ昇降装置7A,7Bと補助コンベヤ8A,8Bが配設されている。
【0017】
車体Bから取り外された右側ドアDRと左側ドアDLは、それぞれ右側ドア用のドアハンガー9Rと左側ドア用のドアハンガー9Lに分けて支持された状態で、昇降装置7A,7B、補助コンベヤ8A,8B、及びドア搬送装置6において取り扱われる。右側ドア用のドアハンガー9Rと左側ドア用のドアハンガー9Lは左右対称構造のものであって、図2〜図4に示すように、搬送方向と平行で垂直な矩形枠状の吊下げフレーム10の下端前後方向枠材10aから片側に突設されたドア底部支持具11と、吊下げフレーム10の前後両垂直枠材10b,10cから片側に突設されたドアヒンジ部支持具12とを介して、吊下げフレーム10の片側で前後一対の右側ドアDR又は左側ドアDLを、吊下げフレーム10と平行なほぼ垂直姿勢で脱着自在に支持する。吊下げフレーム10の上端前後方向枠材10dには、前後2個所において、左右両側に張り出す水平部材13a,13bが固着され、これら水平部材13a,13bのそれぞれに、被吊下げ部14a,14b、被支持部15a,15b、及び左右方向水平軸で軸支された左右一対のガイドローラー16a,16bが取り付けられている。
【0018】
前後一対の被吊下げ部14a,14bは、搬送方向と平行な軸体17を前後一対の支持板18間に架設して構成され、軸体17は、図4に示すように吊下げフレーム10を搬送方向の前後から見たとき、吊下げフレーム10の真上位置に対して当該吊下げフレーム10の片側で支持されるドアDR,DLのある側に変位した位置にあって、当該軸体17を吊り下げたとき、ドアDR,DLを支持する吊下げフレーム10が重力でほぼ鉛直に垂下するように構成されている。又、前後一対の被支持部15a,15bは、水平部材13a,13bの左右両端の内、吊下げフレーム10に対してドアDR,DLが支持される側とは反対側に延出する端部から前後方向に突設されたもので、上下方向に貫通する被嵌合孔19を備えている。更に、吊下げフレーム10の前後両垂直枠材10b,10cには、その上端部の左右両側の内、吊下げフレーム10に対して前記被支持部15が設けられている側に、垂直な被当接面20aを形成するガイド部材20が付設されている。このガイド部材20の下端部は、上端が前記被当接面20aにつながる傾斜案内面20bを備えている。
【0019】
補助コンベヤ8A,8Bは、同一構造のものであって、図4〜図6に示すように、床面上方適当高さに架設されたガイドレール21と、このガイドレール21に走行自在に支持された移動体22と、この移動体22を走行駆動する駆動手段23を備えたもので、移動体22は、ロードバー24とこのロードバー24を吊り下げる4つのトロリー25a〜25dから成るもので、ロードバー24は、短い前後両端ロードバー単体24a,24eと、中間の3つのロードバー単体24b〜24dを少なくとも水平方向には屈曲できるように連結して構成され、各トロリー25a〜25dは、各ロードバー単体24a〜24eの連結部を吊り下げるように配設されている。駆動手段23は、例えば前記ロードバー24の左右両側面を挟む摩擦駆動輪26とバックアップローラー27、及び摩擦駆動輪26を回転駆動するモーター28から成るものを利用することができる。このガイドレール21、移動体22、及び駆動手段23から成るオーバーヘッドコンベアは、従来周知のものであるから、詳細な説明は省く。
【0020】
前記移動体22には、ロードバー24の中央ロードバー単体24cの下側に前後一対のハンガー吊下げ部29a,29bが設けられている。これらハンガー吊下げ部29a,29bは、中央ロードバー単体24cの下側に連設された枠材30から左右の一側方に突設された上側開放のフック部材31で構成され、図4A,Bに示すように、このフック部材31が、前記ドアハンガー9R,9Lの前後一対の被吊下げ部14a,14bにおける前後一対の支持板18間に嵌合した状態で当該被吊下げ部14a,14bの軸体17に対し下側から上向きに嵌合して、被吊下げ部14a,14bを支持する。尚、前後一対のハンガー吊下げ部29a,29bには、前記フック部材31の上側解放部を開閉するストッパー32a,32bが併設されている。
【0021】
これらストッパー32a,32bは、図5Cに示すように、その長さ方向の中間部が前記枠材30に垂直支軸33の周りで前後水平方向に揺動自在に軸支された帯状板から成るもので、先端部が前記フック部材31の上側開放部を閉じる閉じ位置に、捩じりコイルスプリング34と制止部材35とで付勢保持され、後端部には垂直支軸で軸支されたカム従動ローラー36が取り付けられている。而して、図5B,Cに仮想線で示すように、移動体22の走行経路中のハンガー移載位置には、前記カム従動ローラー36を介してストッパー32a,32bを、前記フック部材31の上側開放部を開く解除位置に捩じりコイルスプリング34の付勢力に抗して切り換えるカムレール37が併設されている。又、移動体22には、枠材30の前端近傍位置の左右片側、即ち、枠材30に対してフック部材31が突設される側とは反対側に突出するように位置決め用被挟持部38が設けられている。この位置決め用被挟持部38は、垂直支軸で軸支されたローラーによって構成されている。
【0022】
次にドア搬送装置6の構成を図7〜図9に基づいて説明する。このドア搬送装置6は、床面上方適当高さに架設されたガイドレール39と、このガイドレール39に走行可能に支持されたドア搬送用走行体40と、このドア搬送用走行体40を走行させる駆動手段41とから構成されたオーバーヘッドコンベアによって構成されている。ドア搬送用走行体40は、ロードバー42とこのロードバー42を吊り下げる4つのトロリー43a〜43dから成るもので、ロードバー42は、短い前後両端ロードバー単体42a,42eと、中間の3つのロードバー単体42b〜42dを少なくとも水平方向には屈曲できるように連結して構成され、各トロリー43a〜43dは、各ロードバー単体42a〜42eの連結部を吊り下げるように配設されている。駆動手段41は、例えば前記ロードバー42の左右両側面を挟む摩擦駆動輪44とバックアップローラー45、及び摩擦駆動輪44を回転駆動するモーター46から成るものを利用することができる。このドア搬送用走行体40のロードバー42とトロリー43a〜43dから成る本体の構成は、基本的に前記補助コンベヤ8A,8Bの構成と同一であって、異なる点は、例えば艤装作業エリア5において、前後に隣接するドア搬送用走行体40を互いに連結して一体に走行させることができるように、連結手段47を備えている点にある。
【0023】
前記連結手段47は、前端のロードバー単体42aの先端から上向きに突設された被係止突起47aと、後端のロードバー単体42eの上側に上下揺動自在に軸支されて後方に延出する係止片47b、及びこの係止片47bの先端横側部に軸支されたカム従動ローラー47cから構成されたもので、図7に仮想線で示すように、前側のドア搬送用走行体40の係止片47bが後ろ側のドア搬送用走行体40の被係止突起47aに被さって係合することにより、前側のドア搬送用走行体40で後ろ側のドア搬送用走行体40を牽引駆動させることができるものである。前後のドア搬送用走行体40の連結を解く位置では、走行経路脇に配設されたカムレールを前側のドア搬送用走行体40の係止片47bのカム従動ローラー47cに作用させ、係止片47bを上動させることにより、後ろ側のドア搬送用走行体40の被係止突起47aから離脱させ、この状態で前側のドア搬送用走行体40を高速走行に切り換えることにより、前後の互いに連結されていたドア搬送用走行体40が互いに分離される。
【0024】
上記構成のドア搬送装置6のドア搬送用走行体40には、ロードバー42の内の中央ロードバー単体42cの下側の左右両側に、右側ドア用のドアハンガー9Rと左側ドア用のドアハンガー9Lとを、内側に吊下げフレーム10が位置すると共に外側にドアDR,DLが位置するように左右対称形に吊り下げるハンガー支持部48a,48bが設けられている。このハンガー支持部48a,48bは、中央ロードバー単体42cの下側中央位置に走行方向と平行な水平支軸49により幅方向の中央位置が揺動自在に吊り下げられた吊り枠50の左右両側部に設けられている。即ち、各ハンガー支持部48a,48bは、吊り枠50の前後両端から左右横向きに延出し且つ先端部においてドアハンガー9R,9Lの前後一対の被支持部15a,15bを支持する前後一対の支持部材51a,51bと、ドアハンガー9R,9Lの前後一対のガイド部材20の垂直な被当接面20aに転動自在に当接するように前後方向水平支軸により軸支されたローラーから成る前後一対の当接部52a,52bを備えている。前記各支持部材51a,51bには、支持するドアハンガー9R,9L側の被支持部15a,15bに設けられている前記被嵌合孔19に上向きに嵌合する垂直ピン53が設けられている。尚、前後一対の支持部材51a,51bの内、前側の支持部材51aには、その前側で当該支持部材51aと平行に位置する左右水平枠材54が連設され、前記前後一対の前記当接部(ローラー)52a,52bの内、前側の当接部(ローラー)52aは、前記左右水平枠材54の左右両端部に設けられ、更にこの左右水平枠材54の上側には、それぞれ左右水平支軸で軸支された左右一対の振れ止め用ガイドローラー55が設けられている。
【0025】
昇降装置7A,7Bは同一構造のものであって、図10〜図12に示すように、床面上に垂直に立設された昇降ガイド支柱56に沿って昇降駆動される昇降体57により、ドアハンガー9R,9Lを吊り下げて搬送する補助コンベヤ8A,8Bの移動体22を、当該補助コンベヤ8A,8Bとの間でドアハンガー9R,9Lを移載する上側の第一ドアハンガー移載位置L2と床側のドア積み/下ろし位置L1との間で昇降させるものである。当該昇降体57は、昇降ガイド支柱56の車体搬送ライン1,2に面する側に水平梁材57aを備えており、この水平梁材57aの下側に、前記移動体22を支持する昇降ガイドレール58が当該水平梁材57aと平行に架設されている。昇降体57の昇降駆動手段59としては、昇降ガイド支柱56内に遊嵌させた昇降バランスウエイト60と昇降体57とを互いに上下逆向きに昇降運動させるように昇降ガイド支柱56の上下両端間に掛張させた巻掛け伝動具(チエンやワイヤーロープなど)61をモーター62により駆動するようにした従来周知のものが利用できる。而して、昇降体57により昇降駆動される昇降ガイドレール58は、図12に示すように、上昇限位置である第一ドアハンガー移載位置L2において、補助コンベヤ8A,8Bのガイドレール21を接続するもので、当該ガイドレール21の分断された一部分で構成されている。
【0026】
昇降ガイドレール58を架設する昇降体57には、補助コンベヤ8A,8B側の移動体22を上手側から当該昇降ガイドレール58上の定位置まで引き込むと共に下手側へ送り出す駆動手段63、当該定位置で移動体22を位置決めする移動体位置決め手段64、昇降ガイドレール58上の移動体22から吊り下げられているドアハンガー9R,9Lの左右横方向の揺動を阻止する揺動阻止手段65、及び昇降ガイドレール58を、補助コンベヤ8A,8B側のガイドレール21に接続する上昇限位置、即ち、第一ドアハンガー移載位置L2にある状態でロックするロック手段66が併設されている。
【0027】
駆動手段63は、補助コンベヤ8A,8Bにおいて移動体22を走行駆動する駆動手段23と同一構成のものが使用されるので、同一の参照符号を付して説明は省く。移動体位置決め手段64は、例えば図18に示すように、移動体22に設けられている前記位置決め用被挟持部(ローラー)38を前後両側から挟持するように上下開閉自在に支軸67a,67bで軸支された前後一対の挟持片68a,68bと、両挟持片68a,68bが連動して開閉運動するように両挟持片68a,68bを互いに連動連結するリンク69と、片側の挟持片68bを開閉駆動するシリンダーユニット70とで構成されたものが利用できる。揺動阻止手段65は、図11及び図12に示すように、ドアハンガー9R,9Lの左右一対前後二組のガイドローラー16a,16bの上側に当接するように昇降体57に支持された左右一対の振れ止め用ガイドレール71a,71bで構成されている。ロック手段66は、この種の昇降装置において従来周知のものであって、図12に示すように、昇降体57の水平梁材57aの両端に付設された被嵌合部72a,72bと、補助コンベヤ8A,8B側のガイドレール21を支持する水平梁材73に、前記被嵌合部72a,72bに対し嵌合離脱自在に水平方向に出退移動自在に支持された可動嵌合部材74a,74bと、この可動嵌合部材74a,74bを駆動するシリンダーユニット75a,75bとから構成されている。
【0028】
前記補助コンベヤ8A,8Bは、図1及び図10に示すように、車体搬送ライン1,2の真上に当該車体搬送ライン1,2と平行に配設されたドア搬送装置6のドア搬送ラインと、昇降装置7A,7Bとの間を、移動体22が水平循環走行するように配設されているが、昇降装置7A,7Bに隣接する前記第一ドアハンガー移載位置L2を通る走行経路部に対し平行で且つ移動体22が逆向きに走行する走行経路部には、前記ドア搬送装置6のドア搬送ラインに隣接して、当該ドア搬送ライン上を走行するドア搬送用走行体40との間でドアハンガー9R,9Lを移載する第二ドアハンガー移載位置L3が設定されている。即ち、車体搬送ライン1,2の左右両側の各補助コンベヤ8A,8Bには、車体搬送ライン1,2の左右両側に隣接してそれぞれ前記第二ドアハンガー移載位置L3が設定されている。
【0029】
各補助コンベヤ8A,8Bの第二ドアハンガー移載位置L3で挟まれるドア搬送装置6のドア搬送ラインには、図10に示すように、当該ドア搬送ライン上の定位置でドア搬送用走行体40を昇降させるドア搬送用走行体昇降装置76が併設されている。このドア搬送用走行体昇降装置76を図13〜図17に基づいて説明すると、両補助コンベヤ8A,8Bの前記第二ドアハンガー移載位置L3を通るガイドレール21を支持するように床面上方適当高さに架設された架台枠77には、図16及び図17に示すように前後一対の昇降ガイド手段78a,78bを介して昇降自在に案内され且つ1つのシリンダーユニット79により昇降駆動される昇降フレーム80が吊り下げられ、この昇降フレーム80の下側に、前記ドア搬送用走行体40を支持して昇降する昇降ガイドレール81が架設されている。この昇降ガイドレール81は、上昇限位置において、ドア搬送装置6のガイドレール39を接続するもので、当該ガイドレール39の分断された一部分で構成されている。
【0030】
昇降ガイドレール81には、ドア搬送用走行体40を上手側から当該昇降ガイドレール81上の定位置まで引き込むと共に下手側へ送り出す駆動手段82、当該定位置でドア搬送用走行体40を位置決めするドア搬送用走行体位置決め手段83、及び昇降ガイドレール81を、ドア搬送装置6側のガイドレール39に接続する上昇限位置でロックするロック手段84が併設されている。
【0031】
駆動手段82は、ドア搬送装置6のドア搬送用走行体40を走行駆動する駆動手段41と同一のものが使用されるので、同一の参照符号を付して説明は省く。ドア搬送用走行体位置決め手段83は、例えば図19に示すように、ドア搬送用走行体40に設けられている左右一対の前記振れ止め用ガイドローラー55の1つを前後両側から挟持するように上下開閉自在に支軸85a,85bで軸支された前後一対の挟持片86a,86bと、両挟持片86a,86bが連動して開閉運動するように両挟持片86a,86bを互いに連動連結するリンク87と、片側の挟持片86bを開閉駆動するシリンダーユニット88とで構成されたものが利用できる。ロック手段84は、図16及び図17に示すように、昇降フレーム80の前後両端部に立設された柱材89a,89bの上端一側部に、左右方向水平支軸により軸支したローラーで構成された被支持部90a,90bと、前記架台枠77の前後両端部に、前記被支持部90a,90bを支持する突出位置と当該被支持部90a,90bから離れた退入位置との間で水平に出退移動自在に支持された可動支持部材91a,91bと、この可動支持部材91a,91bを駆動するシリンダーユニット92a,92bとから構成されている。尚、前記柱材89a,89bには、昇降ガイドレール81が下降限位置まで下げられたときに、前記架台枠77に設けられた支持部77a,77bに受け止められる被支持部93a,93bが突設されている。
【0032】
又、各補助コンベヤ8A,8Bの第二ドアハンガー移載位置L3には、図13〜図15に示すように、移動体22を上手側から当該第二ドアハンガー移載位置L3の定位置まで引き込むと共に下手側へ送り出す駆動手段94と、当該定位置で移動体22を位置決めする移動体位置決め手段95が併設されている。駆動手段94は、補助コンベヤ8A,8Bにおいて移動体22を走行駆動する駆動手段23と同一構成のものが使用されるので、同一の参照符号を付して説明は省く。移動体位置決め手段95は、昇降装置7A,7Bの昇降体57に設けられた移動体位置決め手段64と同一のものである(図18参照)。
【0033】
以上のように構成されたドア搬送設備の使用方法の概略を先ず説明すると、図1に示すように、左右両側にドアDR,DLが取り付けられた状態で塗装工程から送り出された車体Bは、ドア取外し用車体搬送ライン1のフロアーコンベヤによりドア取外し作業エリア3内所定位置まで搬送され、このドア取外し作業エリア3内において、ドア取外し用車体搬送ライン1の左右両側で作業者又はドア取外し用ロボットにより車体Bの左右両側からドアDR,DLが取り外され、ドアDR,DLが取り外された車体Bは、ドア取外し用車体搬送ライン1のフロアーコンベヤにより送り出される。
【0034】
一方、空のドアハンガー9R,9Lは、ドア搬送装置6のドア搬送用走行体40によりドア取外し作業エリア3内に送り込まれ、ここでドア搬送用走行体40から補助コンベヤ8A,8Bの移動体22に移され、当該移動体22により昇降装置7A,7Bまで搬送された後、当該昇降装置7A,7Bにより移動体22と共に床側のドア積み位置まで降ろされる。このドア積み位置に降ろされた空の右側ドア用のドアハンガー9R及び空の左側ドア用のドアハンガー9Lに、前記のように車体Bの左右両側から取り外された右側ドアDR及び左側ドアDLがそれぞれ積み込まれる。ドアハンガー9R,9Lを補助コンベヤ8A,8Bの移動体22に移して空になったドア搬送装置6のドア搬送用走行体40は、そのままドア取外し作業エリア3内の定位置で待機している。ドアDR,DLが積み込まれたドアハンガー9R,9Lは、移動体22と共に再び昇降装置7A,7Bで補助コンベヤ8A,8Bの搬送ラインに戻され、待機している空のドア搬送用走行体40に隣接する位置まで走行する。
【0035】
次に補助コンベヤ8A,8Bの移動体22から、ドアDR,DLが積み込まれたドアハンガー9R,9Lが、当該ドアハンガー9R,9Lをこのドア取外し作業エリア3内まで搬送した後に当該ドア取外し作業エリア3内で待機しているドア搬送用走行体40に戻される。これによって、車体Bの右側から取り外された右側ドアDRは、右側ドア用のドアハンガー9Rに支持された状態で、ドア取外し作業エリア3の右側ドアを取り扱う昇降装置7Aと補助コンベヤ8Aとを介して、空のドアハンガー9R,9Lをドア取外し作業エリア3内に搬送してきたドア搬送用走行体40の空の右側ドア用のドアハンガー9Rを支持していたハンガー支持部48aに積み込まれ、車体Bの左側から取り外された左側ドアDLは、左側ドア用のドアハンガー9Lに支持された状態で、ドア取外し作業エリア3の左側ドアを取り扱う昇降装置7Bと補助コンベヤ8Bとを介して、空のドアハンガー9R,9Lをドア取外し作業エリア3内に搬送してきたドア搬送用走行体40の空の左側ドア用のドアハンガー9Lを支持していたハンガー支持部48bに積み込まれることになる。
【0036】
左右両側のハンガー支持部48a,48bにおいて、それぞれドアDR,DLが積み込まれたドアハンガー9R,9Lを支持するドア搬送用走行体40は、艤装作業エリア5内に送り込まれ、この艤装作業エリア5内において、ドアDR,DLに対する艤装作業が行われる。この艤装作業は、ドア搬送用走行体40のハンガー支持部48a,48bに支持されているドアハンガー9R,9Lに積み込まれた状態のドアDR,DLに対して行われるので、この艤装作業エリア5内でのドア搬送用走行体40の走行レベルは、艤装作業が行い易いレベルまで下げられている。
【0037】
艤装作業済みのドアDR,DLを支持するドアハンガー9R,9Lは、図1に示すように、ドア搬送用走行体40の左右両側に支持された状態で、ドア取付け作業エリア4内の定位置まで搬送され、ここで左右両側の補助コンベヤ8A,8Bの移動体22に移載され、これら移動体22により昇降装置7A,7Bまで搬送された後、当該昇降装置7A,7Bにより床側のドア下ろし位置まで下ろされる。即ち、右側ドアDRを支持する右側ドア用のドアハンガー9Rは、床側のドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bの右側の補助コンベヤ8Aと昇降装置7Aとを介して、床側のドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bの右側のドア下ろし位置まで下ろされ、左側ドアDLを支持する左側ドア用のドアハンガー9Lは、床側のドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bの左側の補助コンベヤ8Bと昇降装置7Bとを介して、床側のドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bの左側のドア下ろし位置まで下ろされる。
【0038】
ドア取付け用車体搬送ライン2では、その左右両側のドア下ろし位置までドアハンガー9R,9Lに支持された状態で下ろされたドアDR,DLを取り付けるべき車体Bがドア取付け作業エリア4内の定位置まで搬送されているので、当該車体Bの左右両側で作業者又はドア取外し用ロボットにより、昇降装置7A,7Bにより床側のドア下ろし位置まで下げられているドアハンガー9R,9LからドアDR,DLを下ろす作業と、当該ドアDR,DLをドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bの左右両側に取り付ける作業が行われる。尚、ドア取外し用車体搬送ライン1とドア取付け用車体搬送ライン2とは、ドア取外し作業エリア3でドアDR,DLが取り外された車体Bが、その取り外されたドアDR,DLが艤装作業エリア5における艤装作業の後、ドア取付け作業エリア4に戻されるタイミングで、当該ドア取付け作業エリア4の定位置に送り込まれるように、互いに連続するように接続するか、又は両ライン1,2間で車体Bを移載する車体移載手段を介して接続することができる。
【0039】
ドア取付け作業エリア4において、上記のようにドアDR,DLが下ろされて空になったドアハンガー9R,9Lは、昇降装置7A,7B及び補助コンベヤ8A,8Bを経由して、これらドアハンガー9R,9Lを補助コンベヤ8A,8Bの移動体22に移載した後、そのままの位置で待機している空のドア搬送用走行体40に戻され、このドア搬送用走行体40により再びドア取外し作業エリア3に搬送され、このドア取外し作業エリア3内においてドア取外し用車体搬送ライン1上の車体Bから取り外されたドアDR,DLの艤装作業エリア5への搬送に供される。
【0040】
次に上記各装置における作用を具体的に説明すると、昇降装置7A,7Bは、先に説明した構成により、昇降駆動手段59により巻掛け伝動具61を正逆回動させて昇降体57を昇降ガイド支柱56に沿って昇降運動させることにより、当該昇降体57に支持された昇降ガイドレール58に乗り移っている補助コンベヤ8A,8Bの移動体22が、下降限位置であるドア積み/下ろし位置L1と上昇限位置である第一ドアハンガー移載位置L2との間を昇降移動することになる。このとき、図10に示すように、昇降ガイドレール58に乗り移っている補助コンベヤ8A,8Bの移動体22は、昇降ガイド支柱56に対しドア取外し用車体搬送ライン1又はドア取付け用車体搬送ライン2のある側を昇降し、当該移動体22のハンガー吊下げ部29a,29bに被吊下げ部14a,14bを介して吊り下げられているドアハンガー9R,9Lは、その吊下げフレーム10に対し昇降ガイド支柱56のある側とは反対側(ドア取外し用車体搬送ライン1又はドア取付け用車体搬送ライン2のある側)でドアDR,DLを支持している。このとき、図示のようにドアDR,DLは、そのドア内側面がドア取外し用車体搬送ライン1又はドア取付け用車体搬送ライン2のある側に面する向き、従って、ドア取外し用車体搬送ライン1又はドア取付け用車体搬送ライン2上の車体Bに取り付けられる向きとは内外逆向きで、ドアハンガー9R,9Lに支持される。
【0041】
又、ドアハンガー9R,9Lは、移動体22側のハンガー吊下げ部29a,29bのフック部材31に嵌合している軸体17を中心に左右横方向に揺動自在に吊り下げられているが、このドアハンガー9R,9Lを吊り下げている移動体22が昇降装置7A,7Bの昇降ガイドレール58上に乗り移っているときは、図11に示すように、昇降ガイドレール58に併設されている左右一対の振れ止め用ガイドレール71a,71bがドアハンガー9R,9L側のガイドローラー16a,16b上にあって、ドアハンガー9R,9Lが軸体17を中心に左右横方向に揺動するのを阻止している。
【0042】
更に、昇降ガイドレール58上の移動体22は、図11及び図12に示すように、昇降ガイドレール58の定位置で移動体位置決め手段64により位置決めされており、移動体22(ドアハンガー9R,9L)が昇降ガイドレール58の長さ方向に遊動することはない。移動体位置決め手段64は、図18に示すように、シリンダーユニット70のピストンロッド伸長動作により前後一対の挟持片68a,68bが閉動して、両挟持片68a,68b間で移動体22側の位置決め用被挟持部(垂直軸ローラー)38を前後両側から挟持するものであり、その挟持過程において移動体22を定位置に位置調整することができる。
【0043】
上記の振れ止め用ガイドレール71a,71bとガイドローラー16a,16bとによるドアハンガー9R,9Lに対する揺れ止め作用と移動体位置決め手段64による移動体22の位置決め作用とにより、昇降装置7A,7Bにより移動体22をドア積み/下ろし位置L1と第一ドアハンガー移載位置L2との間で昇降移動させる行程を安全に行わせることができる。
【0044】
更に、昇降装置7A,7Bにおいて、空のドアハンガー9R,9L又は艤装済みドアDR,DLを支持するドアハンガー9R,9Lを吊り下げた移動体22がドア積み/下ろし位置L1まで下降することになるが、このとき、図10及び図12に示すように、当該ドアハンガー9R,9Lの吊下げフレーム10における下端前後方向枠材10aの前後2箇所が、床面上に立設したハンガー振れ止め部材96a,96bの上端二股部97にそれぞれ嵌合して、ドアハンガー9R,9Lの下端部が左右横方向に揺れ動かないように構成しておくことにより、上記の振れ止め用ガイドレール71a,71bとガイドローラー16a,16bとによるドアハンガー9R,9Lに対する揺れ止め作用と相俟って、移動体22に吊り下げられたドアハンガー9R,9Lに対するドアDR,DLの積み込み作業又は下ろし作業を容易且つ安全に行える。
【0045】
昇降装置7A,7Bと補助コンベヤ8A,8Bとの間での、ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9L又は空のドアハンガー9R,9Lの移載は、次のように行われる。即ち、昇降装置7A,7Bの昇降体57(昇降ガイドレール58)を昇降駆動手段59により上昇移動させ、移動体22を床面上方所定高さの第一ドアハンガー移載位置L2まで上昇させる。この結果、図12に示すように、昇降装置7A,7B側の昇降ガイドレール58が補助コンベヤ8A,8Bのガイドレール21と接続するので、ロック手段66を作動させて昇降体57(昇降ガイドレール58)を第一ドアハンガー移載位置L2でロックする。即ち、前後両ロック手段66のシリンダーユニット75a,75bにより高さ固定状態の可動嵌合部材74a,74bを進出移動させ、その先端部を昇降体57(水平梁材57a)側の被嵌合部72a,72bに嵌合させ、昇降ガイドレール58が補助コンベヤ8A,8Bのガイドレール21と接続する状態で昇降体57をロックする。
【0046】
ロック手段66により昇降体57(昇降ガイドレール58)のロックが完了したならば、当該昇降体57側の駆動手段63を稼働させ、昇降ガイドレール58上の移動体22を補助コンベヤ8A,8Bの下手側のガイドレール21上へと送り出すか又は、上手側のガイドレール21から昇降ガイドレール58上に送り込まれる移動体22を定位置まで引き込ませる。勿論、昇降ガイドレール58上から移動体22を送り出すときは、その直前に、移動体位置決め手段64による移動体22の位置決めを解除し、昇降ガイドレール58上に移動体22を引き込んだときは、その直後に、引き込んだ移動体22を移動体位置決め手段64により定位置に位置決めすることになる。
【0047】
補助コンベヤ8A,8Bでのドアハンガー9R,9Lの搬送と、昇降装置7A,7Bでのドアハンガー9R,9Lの昇降に際しては、移動体22のハンガー吊下げ部29a,29bに併設されているストッパー32a,32bが、図4B及び図5Cに示すように、フック部材31の上側開放部を閉じる閉じ位置に捩じりコイルスプリング34の付勢力で保持されているので、ドアハンガー9R,9L側の被吊下げ部14a,14bにおける軸体17が移動体22側のハンガー吊下げ部29a,29bにおけるフック部材31から不測に外れる恐れはない。
【0048】
ドア取外し作業エリア3における補助コンベヤ8A,8Bの移動体22からドア搬送装置6のドア搬送用走行体40への、ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lの移載、又はドア取付け作業エリア4における補助コンベヤ8A,8Bの移動体22からドア搬送装置6のドア搬送用走行体40への空のドアハンガー9R,9Lの移載は、次のように行われる。即ち、ドア搬送装置6のドア搬送ライン上のドア搬送用走行体位置決め手段83の左右両側に設定された第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれる補助コンベヤ8A,8B側の移動体22は、当該第二ドアハンガー移載位置L3に併設の駆動手段94により所定位置まで引き込まれて停止し、その後、移動体位置決め手段95により定位置に位置調整されて固定される。この移動体位置決め手段95は、昇降装置7A,7Bに設けられている前記移動体位置決め手段64と同様に作用するものである。又、この第二ドアハンガー移載位置L3には、図13及び図14に示すように、カムレール37(図5B参照)が配設されており、移動体22がこの第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれると、当該移動体22のハンガー吊下げ部29a,29bに併設されているストッパー32a,32bが、図4B及び図5Cに仮想線で示すように、フック部材31の上側開放部から横側方に離れた解除位置に切り換えられる。
【0049】
一方、ドア搬送用走行体昇降装置76は、図17に示すように、シリンダーユニット79のピストンロッドの収縮運動により昇降フレーム80が上昇限位置まで上げられ、ドア搬送装置6のガイドレール39に昇降ガイドレール81が接続する状態で待機している。このとき、図示のようにロック手段84のシリンダーユニット92a,92bにより可動支持部材91a,91bが進出限位置に切り換えられ、当該可動支持部材91a,91bの先端が昇降フレーム80側の被支持部90a,90bを支持することにより、昇降ガイドレール81が上昇限位置に保持されている。
【0050】
このドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置に保持されている昇降ガイドレール81上の定位置までドア搬送装置6の空のドア搬送用走行体40が、上手側の駆動手段41と昇降ガイドレール81に併設の駆動手段82とにより送り込まれると、当該昇降ガイドレール81に併設のドア搬送用走行体位置決め手段83によりドア搬送用走行体40が定位置に位置決めされる。即ち、図19に示すように、シリンダーユニット88のピストンロッド伸長動作により前後一対の挟持片86a,86bが閉動して、両挟持片86a,86b間でドア搬送用走行体40側の振れ止め用ガイドローラー55を前後両側から挟持すると共に、その挟持過程においてドア搬送用走行体40を定位置に位置調整する。この後、図16に示すように、ロック手段84のシリンダーユニット92a,92bにより可動支持部材91a,91bが昇降フレーム80側の被支持部90a,90bから離脱する退入限位置に切り換えられた状態で、シリンダーユニット79のピストンロッドの伸長運動により昇降フレーム80が下降限位置まで下げられ、柱材89a,89bの被支持部93a,93bが架台枠77側の支持部77a,77bに受け止められ、昇降ガイドレール81が下降限位置に保持される。即ち、このドア搬送用走行体昇降装置76の昇降ガイドレール81の定位置に乗り移った空のドア搬送用走行体40は、その走行レベルから一定高さだけ下がった待機位置において待機することになる。
【0051】
上記のようにドア搬送用走行体昇降装置76の下降限位置にある昇降ガイドレール81上の定位置で待機する空のドア搬送用走行体40は、図13に示すように、その左右両側のハンガー支持部48a,48bが、当該空のドア搬送用走行体40の左右両側の第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれる補助コンベヤ8A,8B側の移動体22にそれぞれ吊り下げられているドアハンガー9R,9Lの被支持部15a,15bより下方に離れており、空のドア搬送用走行体40とドアハンガー9R,9Lを吊り下げた移動体22とが互いに干渉しない相対的に走行移動し得る状態にあるから、ドアハンガー9R,9Lをそれぞれ吊り下げている補助コンベヤ8A,8B側の移動体22を、空のドア搬送用走行体40が上記のように待機している第二ドアハンガー移載位置L3に送り込んで位置決めすることができる。
【0052】
而して、空のドア搬送用走行体40が待機している第二ドアハンガー移載位置L3に補助コンベヤ8A,8B側の移動体22を送り込んで、移動体位置決め手段95により位置決めしたならば、図17に示すように、ドア搬送用走行体昇降装置76の昇降ガイドレール81(昇降フレーム80)をシリンダーユニット79により上昇限位置まで上昇させる。この結果、図14に示すように、昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40の上昇過程において、左右両側の補助コンベヤ8A,8Bの第二ドアハンガー移載位置L3にある移動体22が吊り下げているドアハンガー9R,9Lが、ドア搬送用走行体40の左右両側のハンガー支持部48a,48bに移載される。即ち、図9に示すように、ハンガー支持部48a,48bの垂直ピン53がドアハンガー9R,9L側の被支持部15a,15bの被嵌合孔19に嵌合する状態で、ハンガー支持部48a,48bの支持部材51a,51bがドアハンガー9R,9L側の被支持部15a,15bを持ち上げる。このとき、ハンガー支持部48a,48bに併設された当接部(ローラー)52a,52bがドアハンガー9R,9L側の被当接面20aに当接してドアハンガー9R,9Lが内側に傾動するのを阻止するので、各ドアハンガー9R,9Lは、吊下げフレーム10がほぼ垂直に垂下する状態でドア搬送用走行体40の左右両側のハンガー支持部48a,48bに移載される。
【0053】
上記のようにしてドア搬送用走行体40の左右両側のハンガー支持部48a,48bにそれぞれ支持されたドアハンガー9R,9Lは、図9及び図14に示すように、その吊下げフレーム10の上端内側部のみでドア搬送用走行体40の左右両側に、ほぼ鉛直に垂下する状態で吊り下げられ、上側がハンガー支持部48a,48bを含むドア搬送用走行体40で閉じられると共に左右両側がドア搬送用走行体40から垂下するドアハンガー9R,9Lで閉じられて、両ドアハンガー9R,9Lの間に、下側とドア搬送用走行体40の走行方向前後両側が開放された空間Sが形成された状態になる。又、ドアハンガー9R,9Lで支持されるドアDR,DLの上端が、ハンガー支持部48a,48bを含むドア搬送用走行体40よりも下側に位置するように、ドアハンガー9R,9L及びドア搬送用走行体40が構成されている。
【0054】
而して、艤装作業エリア5内でのドアDR,DLに対する部品取付け作業に好都合なように、或いは、ドアハンガー9R,9Lやこれを支持するドア搬送用走行体40の保守作業に好都合なように、艤装作業エリア5などの特定エリアでは、ドアハンガー9R,9Lに支持されたドアDR,DLの下端が床面近くに位置するように、ドア搬送用走行体40の走行経路床面上高さが設定される。この状況において、両ドアハンガー9R,9Lの間には、床面上高さが十分に高い空間Sが確保でき、しかも当該空間Sは、下側とドア搬送用走行体40の走行方向前後両側が開放されているので、作業者は、ドア搬送用走行体40の左右両側で垂下する両ドアハンガー9R,9Lの間の床面上に立って、ドア搬送用走行体40の走行を停止させることなく必要な作業を行うことができる。又、前記両ドアハンガー9R,9Lの間の空間Sは、ドア搬送用走行体40の走行によって当該ドア搬送用走行体40の走行方向に沿った通路空間を形成することになるので、この通路空間を、艤装作業エリアにおける部品供給台車や作業者の通路として利用することができる。更に、必要に応じて、前記通路空間の床面上に固定棚などの設備を配設することも可能である。
【0055】
尚、図14及び図17に示すように、上記のように左右両側のハンガー支持部48a,48bでドアハンガー9R,9Lを吊り下げる状態のドア搬送用走行体40が昇降ガイドレール81(昇降フレーム80)により上昇限位置まで上昇したとき、吊り下げているドアハンガー9R,9Lの左右両側にあるガイドローラー16a,16bの内、内側に位置するガイドローラー16a,16bに被さるように当接する左右一対のガイドレール98a,98bを架設することができる。
【0056】
ドア取外し作業エリア3において、補助コンベヤ8A,8Bの移動体22からドア搬送装置6のドア搬送用走行体40への、ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lの移載が完了すれば、ドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にある昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40は、ドア搬送用走行体位置決め手段83による位置決めを解除した後、駆動手段82により下手側に送り出すと共に艤装作業エリア5へ走行させて、1台のドア搬送用走行体40に支持されたドアハンガー9R,9Lを介して車体1台分のドアDR,DLを艤装作業エリア5に送り込むことができる。一方、空になった補助コンベヤ8A,8B側の移動体22は、そのまま第二ドアハンガー移載位置L3で待機させ、次にドア搬送用走行体昇降装置76に送り込まれるドア搬送用走行体40から、後述するように空のドアハンガー9R,9Lを受け取らせる。
【0057】
ドア取付け作業エリア4において、補助コンベヤ8A,8Bの移動体22から空のドアハンガー9R,9Lを受け取ったドア搬送装置6のドア搬送用走行体40は、上記のようにドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にある昇降ガイドレール81から下手側に送り出すと共にドア取外し作業エリア3へ走行させて、ドア取外し作業エリア3へ空のドアハンガー9R,9Lを送り込むことができる。この空のドアハンガー9R,9Lが、前記のように第二ドアハンガー移載位置L3で待機している補助コンベヤ8A,8B側の空の移動体22に移載される。一方、空になった補助コンベヤ8A,8B側の移動体22は、そのまま第二ドアハンガー移載位置L3で待機させ、次にドア搬送用走行体昇降装置76に送り込まれるドア搬送用走行体40から、後述するようにドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lを受け取らせる。
【0058】
ドア取外し作業エリア3におけるドア搬送装置6のドア搬送用走行体40から補助コンベヤ8A,8Bの移動体22への空のドアハンガー9R,9Lの移載、又はドア取付け作業エリア4におけるドア搬送装置6のドア搬送用走行体40から補助コンベヤ8A,8Bの移動体22への、ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lの移載は、上記と逆の要領で行わせることができる。即ち、ドアハンガー9R,9Lを左右両側に支持したドア搬送用走行体40は、ドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にロック手段84でロックされている昇降ガイドレール81上の定位置まで駆動手段82により送り込まれると共に、ドア搬送用走行体位置決め手段83により位置決めされた状態で、ドア搬送ラインでの走行レベルと同一レベルで待機させる。
【0059】
一方、補助コンベヤ8A,8B側の空の移動体22は、上記のように駆動手段94により第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれるが、このとき、図14に示すように、空の移動体22のハンガー吊下げ部29a,29b(フック部材31)が、上記のようにドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にある昇降ガイドレール81上で待機しているドア搬送用走行体40の左右両側に支持されているドアハンガー9R,9Lの被吊下げ部14a,14bとその下方の水平部材13a,13bとの間の空間を移動することになるので、ドア搬送用走行体40の左右両側に支持されているドアハンガー9R,9Lと空の移動体22とが互いに干渉し合うことはない。従って、先に補助コンベヤ8A,8B側の空の移動体22を第二ドアハンガー移載位置L3に送り込んで待機させ、後からドア搬送装置6のドア搬送用走行体40をドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にある昇降ガイドレール81上に送り込むこともできる。尚、第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれた空の移動体22は、上記のように移動体位置決め手段95により定位置に位置決めされると共に、ハンガー吊下げ部29a,29bに併設のストッパー32a,32bがカムレール37により、図4B及び図5Cに実線で示す解除位置に切り換えられる。
【0060】
上記のように補助コンベヤ8A,8B側の空の移動体22を第二ドアハンガー移載位置L3の定位置に位置決めし、ドアハンガー9R,9Lを左右両側に支持したドア搬送装置6側のドア搬送用走行体40をドア搬送用走行体昇降装置76の上昇限位置にある昇降ガイドレール81上の定位置に位置決めしたならば、ドア搬送用走行体昇降装置76の昇降ガイドレール81を、先に説明した方法で下降限位置まで下降させると、当該昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40の下降の過程において、図13に示すように、当該ドア搬送用走行体40の左右両側に支持されているドアハンガー9R,9Lの被吊下げ部14a,14b(軸体17)が、空の移動体22のハンガー吊下げ部29a,29b(フック部材31)に嵌合し、その後、ドア搬送用走行体40側のハンガー支持部48a,48bがドアハンガー9R,9L側の被支持部15a,15bから下方に離間移動し、ドア搬送装置6側のドア搬送用走行体40の左右両側に支持されていたドアハンガー9R,9Lが補助コンベヤ8A,8B側の移動体22に移載される。
【0061】
ドア取外し作業エリア3において、ドア搬送装置6のドア搬送用走行体40から補助コンベヤ8A,8Bの移動体22への空のドアハンガー9R,9Lの移載が完了すれば、ドア搬送用走行体昇降装置76の下降限位置にある昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40は、そのまま待機させ、次に第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれてくる補助コンベヤ8A,8B側の移動体22から、先に説明したようにドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lを受け取らせる。空のドアハンガー9R,9Lを受け取った補助コンベヤ8A,8B側の移動体22は、移動体位置決め手段95による位置決めを解除した後、駆動手段94により下手側へ送り出し、第一ドアハンガー移載位置L2において昇降装置7A,7Bに移載し、この移動体22と共に空のドアハンガー9R,9Lを床側のドア積み込み位置へ送り込むことができる。
【0062】
ドア取付け作業エリア4において、ドア搬送装置6のドア搬送用走行体40から補助コンベヤ8A,8Bの移動体22への、ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lの移載が完了すれば、ドア搬送用走行体昇降装置76の下降限位置にある昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40は、そのまま待機させ、次に第二ドアハンガー移載位置L3に送り込まれてくる補助コンベヤ8A,8B側の移動体22から、先に説明したように空のドアハンガー9R,9Lを受け取らせる。ドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lを受け取った補助コンベヤ8A,8B側の移動体22は、上記のようにして下手側へ送り出し、第一ドアハンガー移載位置L2において昇降装置7A,7Bに移載し、この移動体22と共にドアDR,DLを支持したドアハンガー9R,9Lを床側のドア下ろし位置へ送り込むことができる。
【0063】
尚、補助コンベヤ8A,8Bの移動体22は、昇降装置7A,7Bに隣接する第一ドアハンガー移載位置L2から、ドア搬送用走行体昇降装置76の昇降ガイドレール81上のドア搬送用走行体40との間でドアハンガー9R,9Lの移載を行う第二ドアハンガー移載位置L3に至る走行経路において水平にUターンし、第一ドアハンガー移載位置L2での走行方向と第二ドアハンガー移載位置L3での走行方向とが互いに逆向きであるから、昇降装置7A,7Bの下降限位置であるドア積み/下ろし位置L1では、右側ドア用のドアハンガー9Rと左側ドア用のドアハンガー9Lの互いに対面する内側においてドアDR,DLを支持しているのに対し、第二ドアハンガー移載位置L3では、右側ドア用のドアハンガー9Rと左側ドア用のドアハンガー9Lとが背中合わせの状態になり、両ドアハンガー9R,9Lの外側にドアDR,DLが支持されている状態になる。従って、この両ドアハンガー9R,9Lが、両ドアハンガー9R,9Lの中間に位置するドア搬送用走行体40の左右両側のハンガー支持部48a,48bに移載されると、ドア搬送用走行体40の左右両側に支持されたドアハンガー9R,9Lの外側にドアDR,DLが位置することになり、しかも、先に説明したようにドアDR,DLは、そのドア内側面がドアハンガー9R,9Lから見て外向きになるように支持されるので、ドア搬送用走行体40で搬送されるドアDR,DLの主としてドア内側面に対する艤装作業が容易に行える。
【0064】
又、ドアハンガー9R,9Lは、その上端部の被支持部15a,15bのみでドア搬送用走行体40の左右両側のドアハンガー支持部48a,48bに支持されて、ほぼ垂直に垂下するものであるから、換言すれば、ドア搬送用走行体40側にドアハンガー9R,9Lの下端部を支持するか又は位置決めする支持部が設けられていないので、図14に示すように、ドア搬送用走行体40の左右両側に支持されたドアハンガー9R,9Lの中間で且つドア搬送用走行体40の下側に、保守作業や床面上を移動する部品台車などの通路に活用できる、床面と連なる空間を確保することができる。
【0065】
尚、上記実施形態は、本発明に係るドア搬送装置を利用したドア搬送設備の一例を示すものであって、本発明に係るドア搬送装置の利用形態が上記実施形態のものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のドア搬送装置は、自動車製造ラインにおいて、車体から取り外したドアを搬送する手段、特にドアに各種部品を取り付ける艤装作業エリアにおけるドアの搬送手段として活用できる。
【符号の説明】
【0067】
B 車体
DR,DL ドア
L1 ドア積み/下ろし位置
L2 第一ドアハンガー移載位置
L3 第二ドアハンガー移載位置
S ドアハンガー間の空間
1 ドア取外し用車体搬送ライン
2 ドア取付け用車体搬送ライン
3 ドア取外し作業エリア
4 ドア取付け作業エリア
5 艤装作業エリア
6 ドア搬送装置
7A,7B 昇降装置
8A,8B 補助コンベヤ
9R,9L ドアハンガー
10 吊下げフレーム
10a 下端前後方向枠材
11 ドア底部支持具
12 ドアヒンジ部支持具
14a,14b 被吊下げ部
15a,15b 被支持部
16a,16b ガイドローラー
17 軸体
18 前後一対の支持板
19 被嵌合孔
20 ガイド部材
20a 被当接面
21,39 ガイドレール
22 移動体
23,41,63,82,94 駆動手段
24,42 ロードバー
25a〜25d,43a〜43d トロリー
29a,29b ドアハンガー吊下げ部
31 フック部材
32a,32b ストッパー
37 ストッパー制御用カムレール
38 位置決め用被挟持部
40 ドア搬送用走行体
48a,48b ドアハンガー支持部
50 吊り枠
51a,51b 支持部材
52a,52b 当接部(ローラー)
53 垂直ピン
57 昇降体
58,81 昇降ガイドレール
59 昇降駆動手段
64,95 移動体位置決め手段
65 揺動阻止手段
66,84 ロック手段
71a,71b 振れ止め用ガイドレール
76 ドア搬送用走行体昇降装置
77 架台枠
78a,78b 昇降ガイド手段
79 シリンダーユニット
80 昇降フレーム
83 ドア搬送用走行体位置決め手段
96a,96b ドアハンガー振れ止め部材
97 上端二股部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア搬送ラインを走行するドア搬送用走行体によって搬送されるドアハンガーには、その上部にのみ被支持部が設けられ、ドア搬送用走行体には、その左右両側に、ドアハンガーの前記被支持部のみを支持するドアハンガー支持部が設けられ、この左右両側のドアハンガー支持部にそれぞれドアハンガーが支持されたとき、上側が前記ドア搬送用走行体で閉じられると共に左右両側がドア搬送用走行体から垂下するドアハンガーで閉じられて、両ドアハンガーの間に、下側とドア搬送用走行体の走行方向前後両側が開放された空間が形成され、各ドアハンガーには、前記空間に隣接する側とは反対の外側でドアを支持するドア支持具が設けられている、ドア搬送装置。
【請求項2】
前記ドアハンガーは、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部に支持された状態において、当該ドアハンガーに支持されたドアの上端が、前記ドアハンガー支持部を含むドア搬送用走行体よりも下側になるように構成されている、請求項1に記載のドア搬送装置。
【請求項3】
前記各ドアハンガーには、前記被支持部より上方に突出する被吊下げ部が設けられている、請求項1又は2に記載のドア搬送装置。
【請求項4】
前記ドアハンガーの被支持部は、片側に前記ドア支持具を備えた吊下げフレームの上端から前記ドア支持具のある側とは反対側に片持ち状に突設され、前記ドア搬送用走行体には、ドアハンガーの被支持部がドア搬送用走行体のドアハンガー支持部に支持されたとき、このドアハンガーの下部がドア搬送用走行体の下側へ揺動するのを当該ドアハンガーの側面に当接して阻止する当接部が設けられている、請求項1〜3の何れか1項に記載のドア搬送装置。
【請求項5】
前記ドア搬送用走行体の当接部は、このドア搬送用走行体の走行方向と平行な支軸で軸支されたローラーから構成され、この当接部が当接するドアハンガーの側面は、前記吊下げフレームに付設されたガイド部材の垂直な被当接面で構成され、前記ガイド部材の下端部には、前記ローラーを前記被当接面に導く傾斜案内面が設けられている、請求項4に記載のドア搬送装置。
【請求項6】
前記ドアハンガーの被支持部には、上向きに垂直ピンが突設され、ドア搬送用走行体のドアハンガー支持部には、前記ドアハンガーの被支持部を支持したときに前記垂直ピンが嵌合する被嵌合孔が設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載のドア搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−214577(P2010−214577A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67744(P2009−67744)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】