説明

ドライブ映像要約装置

【課題】ドライブ経路の中での映像を、地図情報と関連させて映像の要約として記憶し、必要に応じて確認できるようにしたドライブ映像要約装置を提供する。
【解決手段】車両に設置したカメラにより映像を記録する映像記録手段11と、車両の走行方向の変化が所定の大きさ以上になったことを検出する走行方向変化検出手段5と、映像記録手段11により記録された映像情報から走行方向変化検出手段5による検出に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段6と、映像抽出手段6により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段11−1と、地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段3と、地図情報供給手段3により供給された車両の目的地までの地図情報と映像記憶手段11−1から読み出された複数の映像とを合成する要約作成手段と、要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用カメラからの映像情報を基にして所定の映像を切り出し利用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両に設置した車載用カメラに記憶された映像をもとにして事故発生時の状況を解明する装置が知られている(例えば下記の特許文献1参照)。この特許文献1には、あらかじめ記憶した事故の発生しやすい特定地点を道路標識などから認識し、走行中に特定地点での画像を記録する装置が開示されている。また、異常状態を検出するとその異常状態を同定するための標識付き運転データを記録する運転記録システムが知られている(例えば下記の特許文献2)。さらに、撮影した画像から道路標識や看板などを検出し、GPS(Global Positioning System)受信装置がなくとも車両が移動した経路や位置を特定するドライブレコーダも知られている(例えば下記の特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−63459号公報
【特許文献2】特開2007−66194号公報
【特許文献3】特開2007−172483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記いずれの従来技術においても、得られた映像情報を加工編集して利用者の便宜を図る点については検討がなされていない。すなわち、上記特許文献1及び特許文献2には、特定地点や異常状態に基づき画像情報などを記録するものであるが、記録された画像情報などの具体的な利用方法については検討がなされていない。また、特許文献3は、道路標識や看板などからGPS機能を補足するものであり、道路標識や看板などの認識方法について記載されている。これらの特許文献に開示されている画像処理技術を利用して画像を記録すれば、車両(移動体)が走行した全走行画像を記録する場合と比較して、記憶容量の節約となり、また、後で見る者の時間の節約となるが、それらを見やすく表示し、後で有効活用が出来るようにしておくことには検討がなされていない。
【0004】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、全体のドライブ経路の中で交差点での右折、左折など車両の走行方向の変化が大きい箇所や所定の文字・記号あるいは道路案内標識などの映像を、地図情報と関連させて映像の要約として記憶し、必要に応じてこの映像の要約を利用できるようにしたドライブ映像要約装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のドライブ映像要約装置は、車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、前記車両の走行方向の変化が所定の大きさ以上になったことを検出する走行方向変化検出手段と、前記映像記録手段により記録された映像情報から前記走行方向変化検出手段による検出に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段と、前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像とを合成する要約作成手段と、前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを有する。
【0006】
この構成により、車両の目的地までの走行経路において、カーブした道などでの映像を後で見ることができて、走行する際の安全性をチェックできる。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明のドライブ映像要約装置は、車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、前記映像記録手段に記録する映像からあらかじめ設定された文字又は記号を検出する文字記号検出手段と、前記映像記録手段により記録された映像情報から前記文字記号検出手段による検出に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段と、前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像とを合成する要約作成手段と、前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを有する。
【0008】
この構成により、あらかじめ設定した経由地や目的地が道路案内標識などに記載されている場合には、その場所での周囲の映像を記録し、これを後で参照することができる。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明のドライブ映像要約装置は、車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、前記映像記録手段に記録する映像から道路案内標識を検出する案内標識検出手段と、前記車両の走行方向の変化が所定の大きさ以上になったことを検出する走行方向変化検出手段と、前記案内標識検出手段によって道路案内標識を検出した直後の前記走行方向変化検出手段による走行方向の変化に基づいて前記映像記録手段により記録された映像情報から映像を切り出す映像抽出手段と、前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像及び前記案内標識検出手段により検出した道路案内標識とを合成する要約作成手段と、前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを有する。
【0010】
この構成により、あらかじめ設定した経由地や目的地に関連する交差点で車両が右折又は左折をした場合に、そのときの映像を道路案内標識とともに後で確認することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明のドライブ映像要約装置は、車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、利用者から前記映像記録手段に記録する映像から切り出す映像の指示を受け取る受付手段と、前記映像記録手段により記録された映像情報から前記受付手段の指示に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段と、前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出した複数の映像とを合成する要約作成手段と、前記要約作成手段により作成された合成画像を要約として表示する要約表示手段とを有する。
【0012】
この構成により、走行中に利用者が映像を切り出したい任意の地点を受付手段によって指示することができるため、走行中での景観などを記録することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るドライブ映像要約装置によれば、出発地点から目的地まで車両が走行した地図上の経路などを表示するとともに、途中の特定箇所で記録された映像も同時に画面上に表示させて要約を構成することとしたため、辿った経路の周囲の状況が映像で再現されて経路の確認が一層容易になる。また、再度、同じ経路を利用したい場合には、かかる要約を保存し、利用できるようにしておけばよく、経路全体の映像の記録を保存する場合に比べて、記憶容量を格段に少なく出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るドライブ映像要約装置の概要を示すブロック図である。本発明のドライブ映像要約装置では、主として、車両の前方周辺を撮影するために車両に設置されて映像信号を出力するカメラ1と、GPS受信機2による車両の現在の位置情報と地図情報供給手段3からの地図情報とに基づいて地図上での車両の現在位置に関する情報を出力するカーナビ4と、車両のハンドル舵角が所定角度以上に回転されたことを検知して走行方向の変化を検出する舵角検出器5とに基づいて、映像抽出処理部6がドライブ映像記憶部11から映像の切り出しを行う。
【0015】
また、カメラ1からは車両の走行中に撮影された映像信号が常時出力されており、案内標識検出部7であらかじめ記憶した標準画像とパターンマッチングを行ってこの映像信号に道路案内標識が含まれている場合は、道路案内標識の部分だけが切り出される。また、2値化処理部8によって多値画像の映像信号は2値化され、2値化された映像信号を文字記号認識部9によってあらかじめ設定された目的地などの文字や記号が含まれているかどうかの検出を行う。この際、カーナビ4からの交差点情報に基づいて車両が交差点まで所定の距離に達したときに道路案内標識の検出及び文字や記号の認識を開始することもできる。カメラ1から出力される映像信号は、常時、エンコーダ10により符号化されてドライブ映像記憶部11に少なくとも走行中の一定時間の映像が記憶される。すなわち、ドライブ映像記憶部11の一部はリングバッファ構造になっており、記憶された映像が切り出される度に記憶をクリアして新たな映像を記憶し、クリアされるまでの間の一定期間の映像が記憶される。道路案内標識などが検出される頻度を考慮すると20分乃至30分程度の映像が記憶できればよい。
【0016】
そして、映像抽出処理部6は、舵角検出器5、案内標識検出部7、文字記号認識部9からの走行方向の変化などの検出信号に基づき、ドライブ映像記憶部11に記憶された映像を切り出す。ここで、ドライブ映像記憶部11では、上述のようにカメラ1からの映像を常時記憶し映像が切り出される度にクリアするとともに、切り出された映像をドライブ映像記憶部11内の他の記憶部11−1に順次記憶して保存する。また、切り出される映像は、検出された時点での映像に限らず、検出される前に記憶されている映像を同時に切り出すことも可能である。例えば、右折又は左折するハンドルの舵角を検出した場合に所定時間前の映像も同時に切り出すようにすることができる。これにより、交差点での右折又は左折の前後の映像を表示することができる。また、文字情報記憶部12により走行距離や経過時間などの文字情報を映像に付加することもできる。
【0017】
そして、カーナビ4による車両の現在の位置情報と地図情報供給手段3による地図情報から走行した軌跡などを作成し、切り出された映像や文字情報とともに加工編集して映像の要約を作成することができる。すなわち、カーナビ4からの車両の位置情報と地図情報供給手段3からの地図情報をもとに走行した経路を軌跡などとして表示し、これに交差点などの特定の地点で切り出された映像や文字を合成してかかる合成映像を要約として表示する。これにより、出発地点から目的地までに検出された案内表示板のある映像や右折、左折時での映像などが軌跡などと共に表示されて、利用者は交差点などのチェックポイントでの映像を確認することができる。ここで、地図情報供給手段3は車両の外部との通信機能を用いて地図情報を得るものでも、また、車両自体があらかじめ固定メモリなどに記憶されて所有しているものであってもよい。そして、これらの切り出された映像を加工編修して要約表示とするための各種演算処理は、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行される。
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明のドライブ映像要約装置の動作を説明する。
【0019】
図2は、図1の映像抽出処理部6での処理の流れを示す図であり、図1及び図2を用いて以下に映像抽出処理部6の動作を説明する。
利用者は車両に設置したカーナビ4により経由地及び目的地を設定すると、車両の走行に伴って、カメラ1から車両の周囲の状況が映像としてドライブ映像記憶部11に記憶される。走行中に道路案内標識を案内標識検出部7で検出すると(S1)、映像を2値化処理し(S2)、経由地などに関連する文字や記号が含まれていないか認識を行う(S3)。関連する文字や記号が含まれている場合であって、この道路案内標識が検出された直後に(S1)、右折又は左折が検出されたときには(S5)、映像抽出処理部6により、ドライブ映像記憶部11に記憶された映像を切り出し、切り出した映像をその場所の名称及び緯度経度からなる座標位置と共にドライブ映像記憶部11内の別の記憶部11−1に移動させ保存する(S4)。ここで、切り出し箇所での名称は、カーナビ4による車両の現在の位置情報(緯度、経度)と地図情報供給手段3からの地図情報によって参照できる。これにより、目的地に関連する交差点での映像が切り出されることになる。このとき検出された案内標識を切り出された映像と合成することもできる。さらに、切り出された映像の中に右折又は左折した走行方向を示す矢印などを表示するようにしてもよい。これにより、交差点をどちらの方向に曲がったのかを同時に確認できる。なお、右折又は左折の検出は、カーナビ4の交差点情報により現在位置から次の交差点までの距離を計算し、所定の距離に達してからその後の舵角検出部5からの信号が所定値以上になったかどうかによって行うこともできる。また、走行方向の変化に拘わらず、道路案内標識を検出したときの映像を切り出すようにすることも可能である。
【0020】
さらに、橋や踏み切りの通過を検出したとき(S6)、有料道路入出口を検出したとき(S7)、行政界通過を検出したとき(S8)、駐車場に駐車したとき(S9)にも映像を切り出す(S4)ようにすることが可能である。なお、橋や踏み切り、有料道路入出口、行政界通過、駐車場に関する名称などの情報は、カーナビ4からの車両の現在位置情報と地図情報供給手段3からの地図情報によって知ることができる。
【0021】
ここで、切り出された映像を要約に使用する場合に、例えば、走行中に右折又は左折が繰り返されて切り出された映像が多数抽出されると、後述するように同時に表示されている地図の縮尺によっては表示する箇所が多すぎて表示できなくなるため、映像部分を縮尺に応じて縮小して表示する必要がある。また、映像を縮小すると映像として見にくくなるような場合には、表示する映像の数を減らして表示することが必要となるが、読み出される映像の選択の方法としては、一定時間を経過するごとに映像が表示されるように、表示する映像を間引いて読み出すようにするか、又は、事故が頻発している交差点を優先して表示するなどの優先度を考慮して表示できる数にする必要がある。また、映像を切り出した後に、車両の現在位置が目的地に対して近ずく方向に移動している場合は、評価を高くするような現在地から目標地点までの変化量による評価値をその切り出した映像に与えておき、例えば、交差点で目的地に近ずくように車両の方向を変えた場合を優先的に要約を作成するための映像として読み出されるようにすることもできる。この場合の車両方向は、舵角検出部5(図1)から検出し、映像を切り出す際にその変化量に基づく評価値を付与するようにしておき、要約を作成する際にはこの評価値に基づいて映像を読み出して、要約を作成することができる。
【0022】
一方、切り出される映像が少ないと予想される場合は、映像を記憶できる容量の範囲内で、一定時間経過するごとに映像を強制的に切り出すようにする機能を加えることができるようにしておけばよい。
【0023】
図3は、本発明に係るドライブ映像要約装置による要約表示の一実施例を示す図である。出発地点(S)から目的地(G)までの軌跡13が地図上(図示せず)に表されており、また、切り出された映像14、15、16、17、18、19、20、21は軌跡13上のそれぞれの映像が切り出されたときの地点に対応した位置に引出し線22、23、24、25、26、27、28、29と接続されている。すなわち、上記のドライブ映像記憶部11内の記憶部11−1(図1)に記憶されている複数の映像のうち座標位置(緯度、経度)が一致する映像と軌跡上の地点が引き出し線で結ばれる。図3に表示されている映像は同一の大きさであるが、事故の多発する交差点では映像を他よりも大きく表示させるようにしてもよい。映像14、15、16、17、18、19、20、21の下には、出発地点(S)からの走行距離と経過時間も併せて表示されている。また、各映像の一部分には切り出された道路案内標識30が表示されている。なお、図3に描かれている軌跡13は、地図情報と走行中の車両の位置情報とからカーナビ4(図1)によって作成されるものであり、車両の走行に伴って車両の位置(緯度、経度)を記憶してゆき、地図画面上で合成して表示される。また、軌跡13がよくわかるように、地図画面上に太い線などで描かれるように表示してもよい。
【0024】
ここで、表示画面上でのそれぞれの映像の配置は、映像間の距離、引出線の長さなどが所定の算出方法に従って演算され、決定される。具体的には、映像間については、他の映像との距離が近づけば斥力が働く関係にあり、映像同士が重ならないように計算される。また、引出線については、軌跡上の切り出し位置から映像までの距離が設定値以上に離れると、離れるに従って抵抗が大きくなる関係で演算され、設定された長さに近づくように決定される。軌跡上の切り出し位置からの引出線の方向は、あらかじめ設定された角度から外れるにつれて抵抗が大きくなるような関係で演算される。また、映像が軌跡と交わらないようにし、表示画面から出ないような制限も加えられている。
【0025】
各映像の周囲と引出線との接続位置は、数箇所があらかじめ設定されており、画像の向きを固定して、それらの最も軌跡上の切り出し位置に近いところが選択される。そして、すべての条件を満たすように、要約作成手段としてのCPU(図示せず)により演算処理を行って各映像の表示位置の整合をとり、表示画面上での映像の配置される位置が決定される。なお、表示される映像の数は、上記のように、地図の縮尺などに応じて選択することができ、異なった数を表示することができる。
【0026】
図4は、本発明に係るドライブ映像要約装置による要約表示の他の実施例を示す図である。縦軸31は出発地点(0km)から目的地までの車両の走行距離を示しており、出発地点から目的地までの間で、映像が切り出された箇所までの走行距離が車両の走行位置と地図情報とから計算されて表示されている。そして、各切り出し箇所での交差点32、踏み切り33、駐車場34などの名称及びその場所での表示35、36、37が縦軸31の走行距離に従って表されている。全部が表示しきれない場合は、スクロール又はページ送りして順次表示し、すべての切り出された箇所を参照することができる。切り出された映像が見たい場合は、表示35、36、37の箇所をクリックすることで、ドライブ映像記憶部11内の記憶部11−1(図1)に記憶され保存されている複数の切り出し映像からそれぞれのクリックされた箇所に対応する映像が読み出されて画面が切り替わり、切り出された映像が表示されるように、画面が階層構造にされている。なお、走行距離の表示に加えて出発地点からの経過時間も表示するようにしてもよい。さらに、車両の内部を撮影するカメラやマイクなども設置してこれらも同時に記録するようにしておけば、映像を切り出す時点での車内の映像や音声も確認することができる。そして、事故が発生したような場合には、このような走行の履歴を調べることで、発生原因の解明に役立たせることができる。
【0027】
また、上記の実施例では、ハンドルの舵角や道路案内標識などを自動的に検知して映像を切り出す処理について説明したが、これに限られず、走行中に利用者が映像を切り出したいときに映像の切り出しを指示できる受付手段を別に設けることができる。すなわち、走行中にこの指示を受け取ると映像抽出処理部6によりドライブ映像記憶部11に記憶される映像が切り出されて、切り出した映像をドライブ映像記憶部11内の別の記憶部11−1に記憶して保存するようにする。その後、切り出された映像は上記の図3又は図4で説明したのと同様にして要約表示をすることができる。ここで、受付手段からの指示内容を一旦記憶しておき、以降の指示内容に該当する映像をドライブ映像記憶部11に記憶したときに、再度映像を切り出すかどうかを利用者に確認を求め、切り出すことの確認がされた場合は、映像を切り出すとともに指示内容をそのまま保存し、以降の該当する映像が検出されるたびに記憶部11−1に記憶保存されるようにできる。これにより、利用者の確認後、利用者からの指示がなくとも自動的に指示内容に該当する映像の切り出しが行われ、要約が作成されることになる。また、ハンドルの舵角の検出に限らず、車両に搭載されている他の各種のセンサーからの検出信号に基づいて映像を切り出すようにすることも可能であり、これを利用者が任意に設定及び解除できるようにすることもできる。さらに、上記の実施例では、車両ごとに映像の要約を作成する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、各車両で得られた映像データ、GPS信号、舵角情報などの車両から得られる情報を無線ネットワークを経由するなどして、リモートのサーバにデータを送信し、サーバで演算処理するようにして、映像の要約を作成してもよい。
【0028】
図5は、本発明に係るドライブ映像要約装置を利用する一実施の形態を示すブロック図である。車両40、41、42、43はそれぞれ個別の車両で作成した映像要約を集中管理センター38のデータベース(DB)39に登録し、それぞれの車両は他の車両が作成して集中管理センター38にすでに登録している映像要約を、必要に応じて検索して参照することができる。このように登録されている映像要約を共有化することにより、同じ出発地点から同じ目的地に向かう場合、すでに作成されている映像要約を利用して、初めての経路であっても映像を確認しながら安心して走行することができる。また、複数の登録情報から最短経路を見つけることもできる。なお、車両と集中管理センターとの交信は、携帯端末などを利用することで実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のドライブ映像要約装置は、車両などの移動体による事故を解明するために、重要な運転記録として利用できるだけでなく、広く一般の需要者にも利用できるものであり、旅行用マップなどとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るドライブ映像要約装置の概要を示すブロック図である。
【図2】図1の映像抽出処理部での処理の流れを示す図である。
【図3】本発明に係るドライブ映像要約装置による要約表示の一実施例を示す図である。
【図4】本発明に係るドライブ映像要約装置による要約表示の他の実施例を示す図である。
【図5】本発明に係るドライブ映像要約装置を利用する一実施形態を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0031】
1 カメラ
2 GPS受信機
3 地図情報供給手段
4 カーナビ
5 舵角検出器
6 映像抽出処理部
7 案内標識検出部
8 2値化処理部
9 文字記号認識部
10 エンコーダ
11 ドライブ映像記憶部
12 文字情報記憶部
13 軌跡
14〜21 映像
22〜29 引出し線
30 道路案内標識
38 集中管理センター
39 データベース
40〜43 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、
前記車両の走行方向の変化が所定の大きさ以上になったことを検出する走行方向変化検出手段と、
前記映像記録手段により記録された映像情報から前記走行方向変化検出手段による検出に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段と、
前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、
前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、
前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像とを合成する要約作成手段と、
前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを、
有するドライブ映像要約装置。
【請求項2】
前記要約作成手段は前記走行方向変化検出手段から検出された走行方向に基づいて前記映像記憶手段から複数の映像を読み出し、読み出した複数の映像と前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報とを合成する請求項1記載のドライブ映像要約装置。
【請求項3】
前記要約作成手段は前記走行方向変化検出手段から検出された走行方向に基づいて前記車両の走行方向を示す画像を更に合成する請求項1又は2記載のドライブ映像要約装置。
【請求項4】
車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、
前記映像記録手段に記録する映像からあらかじめ設定された文字又は記号を検出する文字記号検出手段と、
前記映像記録手段により記録された映像情報から前記文字記号検出手段による検出に基づいて順次映像を切り出す映像抽出手段と、
前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、
前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、
前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像とを合成する要約作成手段と、
前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを、
有するドライブ映像要約装置。
【請求項5】
前記映像記憶手段は前記文字記号検出手段により検出された文字又は記号を更に保存し、前記要約作成手段は前記映像記憶手段から読み出された前記文字又は記号を更に合成する請求項4記載のドライブ映像要約装置。
【請求項6】
車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、
前記映像記録手段に記録する映像から道路案内標識を検出する案内標識検出手段と、
前記車両の走行方向の変化が所定の大きさ以上になったことを検出する走行方向変化検出手段と、
前記案内標識検出手段によって道路案内標識を検出した直後の前記走行方向変化検出手段による走行方向の変化に基づいて前記映像記録手段により記録された映像情報から映像を切り出す映像抽出手段と、
前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、
前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、
前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出された複数の映像及び前記案内標識検出手段により検出した道路案内標識とを合成する要約作成手段と、
前記要約作成手段により作成された合成映像を要約として表示する要約表示手段とを、
有するドライブ映像要約装置。
【請求項7】
前記要約作成手段は前記走行方向変化検出手段から検出された走行方向に基づいて前記映像記憶手段から複数の映像を読み出し、読み出した複数の映像と前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報及び前記案内標識検出手段により検出した道路案内標識とを合成する請求項6記載のドライブ映像要約装置。
【請求項8】
前記要約作成手段は前記走行方向変化検出手段から検出された走行方向に基づいて前記車両の走行方向を示す画像を更に合成する請求項6又は7記載のドライブ映像要約装置。
【請求項9】
車両に設置したカメラにより前記車両の走行に従って変化する前記車両の周囲の状況を示す映像を記録する映像記録手段と、
利用者から前記映像記録手段に記録する映像から切り出す映像の指示を受け取る受付手段と、
前記映像記録手段により記録された映像情報から前記受付手段の指示に基づいて映像を切り出す映像抽出手段と、
前記映像抽出手段により切り出した複数の映像を順次保存する映像記憶手段と、
前記車両の外部との通信機能を利用して得た地図情報又は前記車両に搭載されている記憶装置にあらかじめ記憶されている地図情報から前記車両の目的地までの地図情報を供給する地図情報供給手段と、
前記地図情報供給手段により供給された前記車両の目的地までの地図情報と前記映像記憶手段から読み出した複数の映像とを合成する要約作成手段と、
前記要約作成手段により作成された合成画像を要約として表示する要約表示手段とを、
有するドライブ映像要約装置。
【請求項10】
前記映像抽出手段は前記受付手段からの指示内容に該当する映像を前記映像記録手段に記録した映像から切り出すかどうかの判断を利用者に要求する確認手段を有し、前記確認手段により切り出す確認が得られたときは以降の該当する映像を切り出す請求項9記載のドライブ映像要約装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−246503(P2009−246503A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88110(P2008−88110)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】