説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】 不必要なリルート処理を抑制することができ、また、ユーザに案内不足の印象を与えることのないナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置20は、ナビゲーション装置20の現在位置を検出する位置検出手段212と、第1案内手段217と、第2案内手段218と、第1判別手段219と、第2判別手段220と、を備え、第1判別手段219が、位置検出手段212が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、第1案内手段217が案内検経路からはずれたことを案内し、第2判別手段220が、位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、第2案内手段218がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段313がリルート処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの最適経路を探索して案内するナビゲーションシステム、ナビゲーション装置およびプログラムに関するものであり、特に、ナビゲーション装置の現在位置が案内経路からはずれた際のリルート(再探索)処理を、適切に開始または抑制できるようにしたナビゲーションシステム、ナビゲーション装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の運転者に出発地から目的地までの最適な経路を案内する車載用のナビゲーション装置が提供されている。従来のナビゲーション装置は、地図データを記録したCD−ROM又はICカード等の地図データ記憶装置と、ディスプレイ装置と、ジャイロ、GPS(Global Positioning System )及び車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する車両移動検出装置等を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図データ記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をディスプレイ装置上に描画すると共に、車両位置マーク(ロケーション)をディスプレイ画面に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
通常、このような車載用ナビゲーション装置には、運転者が所望の目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路案内機能が搭載されている。この経路誘導機能によれば、地図データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最もコストが小さい経路をダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って経路探索し、その探索した経路を案内経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に案内経路を他の道路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、車両が案内経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたときに、地図画像上の進路を変更すべき交差点に進路を示す矢印を描画して画面表示したりすることで目的地までの最適な経路を運転者が簡単に把握できるようにしている。
【0004】
上記の車載用のナビゲーション装置は、経路探索機能や地図データを持つスタンドアロン型のナビゲーション装置であるが、このようなナビゲーション装置はナビゲーションに必要な全ての機能を備えている必要があり、装置が大型化し価格も高いものとなっていた。近年の通信、情報処理技術の発展により車載用のナビゲーション装置にネットワークを介した通信機能を付加し経路探索サーバとデータ通信して案内経路データや地図データを取得するいわゆる通信型のナビゲーションシステムも普及してきている。更には、歩行者用のナビゲーションシステムとして携帯電話をナビゲーション端末としたシステムも実用化されている。
【0005】
歩行者ナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムにおける経路探索のための道路ネットワークは、例えば、道路が図6に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで道路ネットワークデータを構成している。すなわち、図6において、○印、◎印がノードを示し、◎印は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図6では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0006】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図6において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。図6ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至る可能な経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクスラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0007】
上記のような道路ネットワークのデータを用いて経路探索して得た出発地から目的地までの経路のうち、経路の累計コスト(距離または時間)が最小となる経路が最適な案内経路として決定され、案内経路データが作成される。案内経路データには、最適経路のデータの他に地図データ、ガイダンスデータが含まれ、案内経路データは必要に応じて案内データ記憶手段から読み出され表示手段に表示される。一般的には、ナビゲーション装置が有するGPS受信機を用いて測位したナビゲーション装置の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、ナビゲーション装置の現在位置を示すマークを重ね合わせ、該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。
【0008】
GPS受信機を用いて測位した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理や地図上の最も近い道路上に補正するマップマッチング処理が行われる。また、案内経路データに交差点などのガイダンスポイントが設定され、そのガイダンスポイントにおけるガイダンスとして音声ガイド(例えば、「この先、300m交差点です。左折して下さい」などの音声メッセージ)のデータが付加されている場合は、スピーカを介して音声メッセージを再生出力してユーザをガイドする。
【0009】
ところで、車載用のナビゲーション装置においては、移動速度が早く、運転操作を伴っているため、案内経路を走行中に案内経路上のガイダンスポイントで正しくガイダンスどおりの行動をとれないことがある。例えば、右折のガイダンスが行われたノード(ガイダンスポイント)の手前のノードで右折をしてしまったり、ガイダンスポイントを見過ごして通過してしまうこともある。ガイダンスポイントを見過ごして通過してしまった場合には、運転者の心理としては案内された経路に戻ろうとする意識が働き、通過したガイダンスポイントの先にある交差点ノードでガイダンスに従って右折をして案内経路に戻る運転操作を行ったりする。
【0010】
このような状態になると車両が案内経路からはずれた(逸脱した)ことになり、目的地までの最適経路を新たに探索して案内する必要が生じる。このため一般的な車載用ナビゲーション装置においては、車両が案内経路から逸脱したことを検出すると、車両の現在位置(案内経路でない道路を走行している現在の車両位置)を出発点とし、当初の目的地までの最適経路を再探索する機能を有している。この再探索の処理をリルート処理と称している。
【0011】
リルート処理を行うナビゲーション装置は、例えば、下記の特許文献1(特開平10−153446号公報)に開示されている。この特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、誘導経路から逸脱した場合に未通過である誘導経路上に戻るように経路の再計算を行なうリルート探索機能を有するナビゲーション装置において、探索終了点として次の立ち寄り点もしくは目的地を設定する工程と、探索開始点から探索終了点までの探索を行なう工程と、探索計算中に未通過誘導経路を発見したら探索を終了させる工程と、探索計算中に未通過誘導経路を発見できず、探索終了点までの探索を行なったら探索作業を終了する工程とからなるものである。
【0012】
すなわち、このナビゲーション装置は、誘導経路から逸脱した地点から、目的地までのリルート処理を行う際に、リルートする経路に車両が未通過の誘導経路が発見されたらリルート探索を終了し、未通過の誘導経路を発見せずに目的地までの経路を探索したらリルート処理を終了することにより、未通過の誘導経路に戻ることなくリルート処理するようにしたものであり、案内経路から一定の距離だけ逸脱したらリルートを開始するようにしている。
【0013】
ところで、車両が案内経路からはずれる場合としては、前述のようにガイダンスポイントでガイダンスどおりの行動がとれずに案内経路から逸脱するケースだけでなく、運転者の意志により案内経路をはずれるケースもある。例えば、案内経路からはずれたレストランやショッピングセンターなどに立ち寄って食事をしたり買い物をしたりするケース。あるいは、高速道路を走行中にサービスエリアに立ち寄るケースなどである。一般的には高速道路のサービスエリア内の道路ネットワークは探索用の道路ネットワークデータには組み込まれておらず、サービスエリアに立ち寄ると案内経路からはずれたと判断される場合も生ずる。
【0014】
下記の特許文献2(特開平10−281796)には、サービスエリアへの立ち寄りの場合にリルート処理を禁止するように構成した経路探索装置が開示されている。この特許文献2に開示された経路探索装置は、情報記憶部に記録された道路データと、測定された自車両の現在位置とを比較するマッチング演算を行う。マッチング演算の結果、自車両が存在すると認識された道路と、過去に走行してきた道路(走行軌跡)とを比較する。一致すれば、カウント値を1カウントアップし、そうでなければ、カウント値をクリアする。このカウント値の大小によってリルート許可フラグをセットまたはクリアし、このリルート許可フラグの状態によりリルートを行うか否か決定するように構成したものである。
【0015】
【特許文献1】特開平10−153446号公報(図1、図2、段落[0006]、[0012])
【特許文献2】特開平10−281796号公報(図1、図7、段落[0011]、[0087]〜[0088])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述したように、ナビゲーション装置が案内経路からはずれるケースとして、A.高速道路走行中にサービスエリアに入るケース。B.一般道路走行中に案内経路に沿ったあるいは案内経路からはずれた道路沿いのレストランやショッピングセンターに立ち寄るケース。C.GPSによる測位誤差に基づくマップマッチング処理において一時的に案内経路でない道路にマッチングされ経路をはずれるケースなどがある。
【0017】
一般的に上記AやBのケースのように運転者が案内経路からはずれることを意図して走行した場合は、後に案内経路に戻ることが運転者によって予定されているにもかかわらず自動的にリルート処理を行うことになる。リルート処理が必要以上に発生すると無駄な経路探索が実行されることになり経路探索の処理負荷が増大し、経路探索時間の遅延や経路探索サーバの過負荷によるダウンなどに至り好ましくない。また、リルート処理の結果、先に案内した経路と異なる案内経路が探索されユーザを混乱させ、現在位置から目的地までの経路探索を再度要求しなければならなくという不都合が生じる。
【0018】
前述のAのようなケースは、走行方向が決まっており車両がいずれ高速道路本線である案内経路に復帰することが明らかであるから、上記特許文献2に開示された経路探索装置のようにサービスエリアへの進入を検出してリルート処理を禁止することで上記の不都合を解決できると考えられる。また、前述のCのようなケースでは、通常のGPS受信状態では測位誤差がある程度の範囲内であり、経路をはずれてからリルート開始にいたるまでの距離や時間を適宜設定することにより無駄なリルート処理の減少を図ることも考えられる。
【0019】
しかしながら、前述のBのようなケースではレストランやシッピングセンターの進入路や駐車場が案内経路に戻る経路であるかどうかが不明であり、上記特許文献2のように案内経路に戻ることを前提としたリルート処理禁止(抑制)の方法ではリルート処理を抑制することができないという問題点が生じる。
【0020】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、案内経路をはずれて一定の距離(第1半径エリア)を超えた地点で案内経路からはずれたことを案内し、さらに一定の距離(第2半径エリア)を超えた地点でも案内経路からはずれていた場合にリルートを開始することにより前記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0021】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、不必要なリルート処理を抑制することができるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置およびプログラムを提供することを目的とし、また、ユーザに案内不足の印象を与えることのないナビゲーションシステム、ナビゲーション装置およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて道路ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索し、地図および案内経路をナビゲーション装置の表示手段に表示するナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備え、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内し、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段がリルート処理を開始するように構成したこと特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、位置記憶手段を備え、第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶し、
前記第2判別手段は、前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行うことを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行うことを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項4の何れかにかかる発明において、前記第2半径は前記第1半径より大きいか、等しいことを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行い、
前記第2判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在地点までの距離を算出し、該算出した距離を前記第1半径よりも大きい所定の第2半径と比較して前記判別を行うことを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項8にかかる発明は、
出発地から目的地までの案内経路を得て表示手段に案内経路を表示するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備え、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内し、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段がリルート処理を開始するように構成したことを特徴とする。
【0030】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項8にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、位置記憶手段を備え、第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶し、
前記第2判別手段は、前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行うことを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項8にかかる発明において、
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行うことを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項11にかかる発明は、請求項8にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項8ないし請求項11の何れかにかかる発明において、前記第2半径は前記第1半径より大きいか、等しいことを特徴とする。
【0034】
また、本願の請求項13にかかる発明は、請求項8にかかる発明において、
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行い、
前記第2判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在地点までの距離を算出し、該算出した距離を前記第1半径よりも大きい所定の第2半径と比較して前記判別を行うことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置システム。
【0035】
また、本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる発明において、
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする。
【0036】
また、本願の請求項15にかかる発明は、
出発地から目的地までの案内経路を得て表示手段に案内経路を表示するナビゲーション装置であって、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備えたナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別する第1判別手段としての機能を実行させ、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、案内検経路からはずれたことを案内する前記第1案内手段としての機能を実行させ、
前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別する第2判別手段としての機能を実行させ、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、リルート処理を開始することを案内する前記第2案内手段としての機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0037】
また、本願の請求項16にかかる発明は、請求項15にかかる発明において、
更に位置記憶手段を備えた前記ナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶する機能を実行させ、
前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行う第2判別手段としての機能を実行させることを特徴とする。
【0038】
また、本願の請求項17にかかる発明は、請求項15にかかる発明において、
更に経路復帰案内手段を備えた前記ナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段としての機能を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1にかかる発明においては、第1判別手段が、位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内し、第2判別手段が、位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段がリルート処理を開始する。
従って、ナビゲーション装置が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。
【0040】
また、請求項2ないし請求項3にかかる発明においては、第1判別手段が、位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として位置記憶手段に記憶し、第2判別手段は、位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行う。また、第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行う。
従って、ナビゲーション装置が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。
【0041】
また、請求項4にかかる発明においては、第1判別手段が、位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する。
従って、ナビゲーション装置が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。また、第2の一定距離走行する間に案内経路に戻れた場合には案内経路に復帰したことを案内するものであるから、きめ細かな案内ができユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。
【0042】
また、本願の請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし請求項4のいずれかにかかる発明において、第2半径は第1半径より大きいか、等しく設定したものであるから、案内経路からの一時的な立ち寄り、すなわち、案内経路から意識的にはずれてレストランやシッピングセンターなどへ一時的に立ち寄りする場合に適用することができるようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。また、第2の一定距離走行する間に案内経路に戻れた場合には案内経路に復帰したことを案内するものであるから、きめ細かな案内ができユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。
【0043】
本願の請求項6にかかる発明においては、第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行い、第2判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在地点までの距離を算出し、該算出した距離を前記第1半径よりも大きい所定の第2半径と比較して前記判別を行う。
このような構成によってもナビゲーション装置が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。
【0044】
また、請求項7にかかる発明においては、第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する。
従って、ナビゲーション装置が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができるようになる。また、第2の一定距離走行する間に案内経路に戻れた場合には案内経路に復帰したことを案内するものであるから、きめ細かな案内ができユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。
【0045】
請求項8ないし請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項7の発明にかかるナビゲーションシステムを構成するナビゲーション装置を提供することができるようになる。
【0046】
請求項15にかかる発明においては、請求項8にかかるナビゲーション装置を実現するプログラムを提供することができ、請求項16にかかる発明においては、請求項9にかかるナビゲーション装置を実現するプログラムを提供することができ、請求項17にかかる発明においては、請求項11または請求項14にかかるナビゲーション装置を実現するプログラムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施例においてナビゲーションシステムは携帯電話などをナビゲーション装置としネットワークを介して接続して経路探索と案内経路などの案内データを配信する経路探索サーバとからなるシステムを例に説明するが、本発明はこのようなナビゲーションシステムに限らず、スタンドアロンデ動作するナビゲーションシステムにも適用可能なものである。
【0048】
図1は、本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施例1におけるリルート処理を説明するための模式図である。図3は、案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。図4は、ナビゲーション装置が案内経路上を最後に走行していた地点をもとに判別エリアを設定する例を示す模式図である。図5は、本発明の実施例2において、案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。
【実施例1】
【0049】
本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステム10は、インターネットなどのネットワーク12を介して通信するナビゲーション装置20と、経路探索サーバ30と、を備えて構成されている。ナビゲーション装置20は、経路探索サーバ30に出発地と目的地などの経路探索条件を設定して経路探索要求を送信し、経路探索サーバ30は経路探索条件に従って、図6で説明した道路ネットワークデータを参照し最適経路を探索し、その最適経路のデータやガイダンスポイント、ガイダンスポイントにおけるガイダンスのデータを案内経路データに編集してナビゲーション装置20に配信する。
【0050】
ナビゲーション装置20は、制御ユニット211、位置検出手段212、マッチング処理手段213、案内データ記憶手段214、操作・表示手段215、通信手段216を有している。制御ユニット211は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・表示手段215は、数字やアルファベットキーやその他の機能キー、選択キー、表示ユニットなどからなり、表示ユニットに表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、数字やアルファベットキーを操作して経路探索の条件を入力するものである。通信手段216は、ネットワーク12を介して経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースである。出発地、目的地、出発日時、到着日時などの経路探索条件の設定はこの操作・表示手段215により行われる。
【0051】
位置検出手段212は、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理してナビゲーション装置20の現在位置(緯度・経度)を測位する。車載用のナビゲーション装置20の場合、位置検出手段212は、山間部、トンネル内などGPS衛星信号を受信できない場所での測位を補完するため、車両に搭載された加速度センサや舵角センサなどの信号を受信して移動速度、移動方向を検出して現在位置を算出する自律航法のための手段を含んで構成されている。通信手段216は、無線通信ユニットを含み、経路探索サーバ30と通信するためのものである。
【0052】
以上のナビゲーション装置20の構成要素は一般的なナビゲーション装置が有する要素であり、本実施例にかかるナビゲーション装置20は更に、第1案内手段217、第2案内手段218、第1判別手段219、第2判別手段220、位置記憶手段221を備えて構成されている。第1案内手段217はナビゲーション装置20が案内経路からはずれたことを音声や表示により案内するものであり、第2案内手段218はリルート処理を開始することを音声や表示により案内するものである。
【0053】
第1判別手段219は、位置検出手段212が検出した位置が検出案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別するものであり、これを判別すると第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内する。第2判別手段220は、位置検出手段が212検出した位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索サーバにリルート処理の開始を要求する。また、位置記憶手段221は、位置検出手段が検出した位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として記憶する。
【0054】
位置記憶手段221に記憶された第1位置は、ナビゲーション装置20がさらに移動し、位置記憶手段221に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて第2判別手段が前記の判別を行うために使用される。すなわち、第1位置はナビゲーション装置20が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えた地点であり、この地点からナビゲーション装置20が更に移動し、前記の第1位置を中心とした第2半径のエリアを超えたことによりリルート処理を開始するものである。
【0055】
経路探索サーバ30は、制御ユニット311、通信手段312、経路探索手段313、案内データ作成手段314、道路ネットワークDB315、操作・表示手段316を備えて構成されている。制御ユニット311は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどの記憶手段を備えており、これらの記憶手段に蓄積されたプログラムによって各部を制御する。通信手段312は、ナビゲーション装置20から経路探索要求を受信し、また、経路探索の結果である案内経路を含む案内データをナビゲーション装置20に配信するためのものであり、操作・表示手段316は数字やアルファベットキーやその他の機能キー、選択キー、表示ユニットなどからなり、経路探索サーバ30のモニタ操作やモニタ表示を行うものである。
【0056】
案内データ作成手段314は経路探索手段313が探索した最適経路のデータに基づいて案内経路データを含む案内データを作成してナビゲーション装置20に配信するものである。案内データには、経路探索手段313で探索された案内経路上の出発地、経路の屈曲点、交差点、目的地などのガイドポイントが設定され、それらのガイドポイントの位置座標(緯度・経度)、各ガイダンスポイントに関連する案内情報(直進や右左折のガイダンス情報が含まれる。ナビゲーション装置20は、この案内データを受信し、経路を表示し、ガイダンスポイントにおける案内を表示または音声で出力する。
【0057】
道路ネットワークDB315は、先に説明したように図6のような道路ネットワークデータを記憶したデータベースであり、経路探索手段313は出発地から目的地までの最適経路をダイクストラ法など周知の探索手法を用いて探索する。また、経路探索手段313はナビゲーション装置20からリルート処理の要求があると、ナビゲーション装置20から送られる現在位置を出発地として目的地までの最適経路を再探索する。そして、再探索の結果得られた新たな案内経路データは、前述と同様にしてナビゲーション装置20に配信される。
【0058】
以上説明した実施例1におけるリルート処理について図2に示す模式図を参照して説明する。図2は、本発明の実施例1におけるリルート処理を説明するための模式図である。図2において、ナビゲーション装置20は経路探索サーバ30に経路探索要求を送り、経路探索サーバ30からナビゲーション装置20に案内経路R1が配信され、ナビゲーション装置20はこの案内経路R1上を走行している。
【0059】
図2において、案内経路R1は、地点P1の交差点ノードで左折する経路であり、ナビゲーション装置20は現在位置が地点P1の所定距離だけ手前(例えば、50m手前)になると、左折の案内を出力する(例えば、50m先、左折です)。ところで、運転者が地点P1の交差点を見落としたり、左折車線への車線変更が間に合わずに直進してしまい案内経路でない経路R2を走行してしまうことがよく起こる。このような場合には、地点P1が経路上進んでいた最後の地点である。そして、第1判別手段219が第1半径L1の第1半径エリア(地点P1を中心に半径L1のエリアを超えた地点P2でナビゲーション装置20が案内経路R1からはずれたことを判別する。従来はこの時点でリルート処理が開始されるが、本発明ではこの時点では第1案内手段217が案内経路からはずれたことを案内(ガイダンス)するのみでリルート処理自体は未だ開始しない。そしてこの時点では地点P2の位置を位置記憶手段221に記憶しておく。
【0060】
運転者は案内経路からはずれたことが案内されると、交差点を曲がり損ねたことに気づくのでナビゲーション装置20に表示されている案内経路に復帰しようとする。従って、地点P1の次に左折できる交差点があれば左折を試みるのが一般的な行動である。そして、案内経路はずれを案内された地点P2から所定の第2半径のエリア(第2半径エリア)の範囲にある間に案内経路に復帰できれば、案内経路に戻りましたという案内をして何事もなかったかのように通常のナビゲーションに戻る。もし、この範囲内で案内経路に戻ることができず第2半径エリアを超えてしまったらリルートしますという案内を行ってリルート処理要求を発する。
【0061】
第2判別手段220は上記の判別を行うものであり、地点P2(案内経路をはずれたと判別された位置)を中心とする第2半径L2の第2半径エリアを超えてナビゲーション装置20が案内経路からはずれていることを判別する。この判別が行われると第2案内手段218がリルート処理を開始することを案内し、経路探索サーバ30にリルート処理要求を送る。これにより、経路探索サーバ30の経路探索手段313がナビゲーション装置20の現在位置を出発地として目的地までの経路を再探索するリルート処理を開始する。
【0062】
図2に示す例では、ナビゲーション装置20が地点P2の先の交差点を左折して第2半径L2の第2半径エリア内で案内経路R1に戻った場合を示している。この場合、第2判別手段220は、第2半径エリア内においてナビゲーション装置20の現在位置が案内経路上にあることを判別するとルート処理要求を発生しない。また、ナビゲーション装置20は、案内経路に戻ったことを案内するように構成することもできる。この案内を行う経路復帰案内手段は、図1のナビゲーション装置20では図示を省略している。
【0063】
このようなリルート処理の制御を案内経路からの一時的な立ち寄り、すなわち、案内経路から意識的にはずれてレストランやシッピングセンターなどへ一時的に立ち寄りする場合に適用することができる。図3は案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。例えば、図3のように案内経路R1から外れたところに立ち寄りたいレストランSがあるとする。レストランSの駐車場は、所定の距離以上案内経路から離れているので、「案内経路をはずれました」のアナウンスが行われる。ただし、このアナウンスは、運転者が重々承知の上のことなので、問題ではない。
【0064】
レストランSに到着してナビゲーション装置20の電源が一度落ちても、状態は保持されて、再度電源投入してもそのままの状態で案内は継続する。レストランSを出て、再度経路上に戻ると、「ルートに戻りました」のアナウンスが行われる。この様なケースでは、所用をすませた後、案内経路に戻るのでリルート処理は無駄になる。そこで、第1半径L1(第1の距離)より第2半径L2(第2の距離)の値を大きく設定しておくことが本発明の趣旨にかなう。図3の例では地点P1から地点P2の距離が第1半径L1であり、立ち寄り先のレストランSは第1半径L1の外にあるから、地点P2で案内経路からはずれたことが判別される。この地点P2から第2半径L2の第2半径エリアを第1半径エリアより大きくしてあるので、レストランSを出て案内経路に戻ると、案内経路に戻りましたとの案内がなされるだけでリルート処理が行われることはない。「ルートに戻りました」のアナウンスによって、運転者は、ナビゲーション装置20が正しく動作していることを知り安心感を得ることができ、きめ細かな案内がなされるのでユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。
【0065】
以上のようにリルート処理制御により、ナビゲーション装置20が案内経路をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができる。また、第2の一定距離走行する間に案内経路に戻れた場合には案内経路に復帰したことを案内するものであるから、きめ細かな案内ができユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。
【実施例2】
【0066】
上記第1の実施例ではナビゲーション装置20が第1半径エリアを超えて案内経路からはずれたと判別された地点P2を第2半径エリアの中心とした例を示したが、ナビゲーション装置20が案内経路上を最後に走行していた地点P1を中心として第1半径エリア、第2半径エリアを設定することもできる。図4はこの例を示す模式図である。なお、実施例2におけるナビゲーションシステムの構成は図1に示すナビゲーションシステム10の構成と同様の構成である。この場合、位置記憶手段221には地点P1の位置が記憶される。
【0067】
図4において、案内経路R1は、地点P1の交差点ノードで左折する経路であり、ナビゲーション装置20は現在位置が地点P1の所定距離だけ手前(例えば、50m手前)になると、左折の案内を出力する(例えば、50m先、左折です)。実施例1において述べたように運転者が地点P1の交差点を見落としたり、左折車線への車線変更が間に合わずに直進してしまい、案内経路でない経路R2を走行してしまうことがある。このような場合には、地点P1が経路上を走行していた最後の地点である。
【0068】
そして、第1判別手段219が第1半径L1の第1半径エリア(地点P1を中心に半径L1のエリアを超えた地点P2でナビゲーション装置20が案内経路R1からはずれたことを判別する。実施例1と同様にこの時点では第1案内手段217が案内経路R1からはずれたことを案内(ガイダンス)するのみでリルート処理自体は未だ開始しない。
【0069】
運転者は案内経路R1からはずれたことが案内されると、交差点を曲がり損ねたことに気づくのでナビゲーション装置20に表示されている案内経路R1に復帰しようとする。従って、P1の次に左折できる交差点があれば左折を試みるのが一般的な行動である。そして、案内経路R1からはずれことを案内された地点P2から所定の第2半径L3のエリア(第2半径エリア)の範囲にある間に案内経路R1に復帰できれば、案内経路に戻りましたという案内をして何事もなかったかのように通常のナビゲーションに戻る。もし、この範囲内で案内経路R1に戻ることができず第2半径エリアを超えてしまったらリルートしますという案内を行ってリルート処理要求を発する。
【0070】
以上の処理は実施例1と同様であるが、実施例2においては第2半径エリアの算出方法が実施例1と異なる。すなわち、実施例1においては経路はずれを判別した地点P2の位置を位置記憶手段221に記憶したが、実施例2においては最後に案内経路上を走行していた地点P1の位置を位置記憶手段221に記憶しておき、地点P1をもとに第2半径エリアを設定し、第1エリアの第1半径L1より第2エリアの第2半径L3の値を大きく設定しておくものである。
【0071】
従って、第2判別手段220は地点P1(最後にナビゲーション装置20が案内経路R1上を走行していた地点)を中心とする第2半径L3の第2エリアを超えてナビゲーション装置20が案内経路R1からはずれていることを判別する。この判別が行われると第2案内手段218がリルート処理を開始することを案内し、経路探索サーバ30にリルート処理要求を送る。これにより、経路探索サーバ30の経路探索手段313がナビゲーション装置20の現在位置を出発地として目的地までの経路を再探索するリルート処理を開始する。
【0072】
図3に示す例では図2の場合と同様、ナビゲーション装置20が地点P2の先の交差点を左折して第2半径L2の第2半径エリア内で案内経路R1に戻った場合を示している。この場合、第2判別手段220は、第2半径エリア内においてナビゲーション装置20の現在位置が案内経路R1上にあることを判別するとルート処理要求を発生しない。また、ナビゲーション装置20は、案内経路R1に戻ったことを案内するように構成することもできる。この案内を行う経路復帰案内手段は、図1のナビゲーション装置20では図示を省略している。
【0073】
本実施例2のリルート処理の制御も、一時的な立ち寄りに適用することができる。図5は、図3と同様に案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。すなわち、図5のように案内経路R1から外れたところに立ち寄りたいレストランSがあるとする。レストランSの駐車場は、所定の距離以上案内経路R1から離れているので、「案内経路をはずれました」のアナウンスが行われる。
【0074】
レストランSを出て、再度経路上に戻ると、「ルートに戻りました」のアナウンスが行われる。この様なケースでは、所用をすませた後案内経路R1に戻るのでリルート処理は無駄になる。図5では、第1半径L1、第2半径L2は地点P1を中心に設定されており、第1半径L1よりも第2半径L2が大きく設定してある。立ち寄り先のレストランSは第1半径の外にあるから、地点P2で案内経路R1からはずれたことが判別される。第2半径L2の第2半径エリアを第1半径エリアより大きくしてあるので、レストランSを出て案内経路R1に戻ると、案内経路に戻りましたとの案内がなされるだけでリルート処理が行われることはない。
【0075】
以上のように本発明によれば、リルート処理制御により、ナビゲーション装置20が案内経路R1をはずれ第1の一定の距離を走行すると案内経路をはずれたこと案内し、更に第2の一定距離を走行しても案内経路R1をはずれているときに初めてリルート処理を開始するようになり、無駄なリルート処理を抑制することができる。
案内経路R1からはずれても第1半径エリア未満の場合は、案内経路をはずれたことの案内すら行わないので、現在位置の測位誤差によるマッチング処理において一時的に付近の案内経路でない道路にマッチングした場合にもリルート処理を有効に抑制することができるようになる。
【0076】
また、高速道路でサービスエリアに立ち寄る場合においても、サービスエリアへの進入検出をすることなくリルート処理を抑制することができ、一般道路沿いのレストランやショッピングセンターなどへの一時立ち寄りにおける無駄なリルート処理を抑制することもできる。
また、第2半径エリアの範囲内で案内経路R1に戻れた場合には案内経路に復帰したことを案内するものであるから、きめ細かな案内ができユーザに案内不足の印象を与えることがなくなる。更に、リルート処理が抑制されるからリルート処理中に経路案内が出来なくなる状態も回避することができる。
【0077】
なお、GPSの信頼度を示すDOP値が大きい(制度が悪い)場合には測位誤差が大きくなると考えられるので、このようなナビゲーション装置20においては、第1半径、第2半径を大きめに設定するよう可変設定可能に構成してもよい。また、通信型のナビゲーションシステムだけでなく、スタンドアロンのナビゲーション装置、車載用ナビゲーション装置、歩行者用ナビゲーション装置を問わず適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1におけるリルート処理を説明するための模式図である。
【図3】案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。
【図4】ナビゲーション装置が案内経路上を最後に走行していた地点をもとに判別エリアを設定する例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例2において、案内経路からはずれた一時的立ち寄りのケースを説明するための模式図である。
【図6】一般的ないナビゲーションシステムにおいて経路探索に使用される道路ネットワークデータを説明する模式図である
【符号の説明】
【0079】
10・・・・ナビゲーションシステム
20・・・・ナビゲーション装置
211・・・制御ユニット
212・・・位置検出手段
213・・・マッチング処理手段
214・・・案内データ記憶手段
215・・・操作・表示手段
216・・・通信手段
217・・・第1案内手段
218・・・第2案内手段
219・・・第1判別手段
220・・・第2判別手段
221・・・位置記憶手段
30・・・・経路探索サーバ
311・・・制御ユニット
312・・・通信手段
313・・・経路探索手段
314・・・案内データ作成手段
315・・・道路ネットワークDB
316・・・操作・表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて道路ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索し、地図および案内経路をナビゲーション装置の表示手段に表示するナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備え、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内し、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段がリルート処理を開始するように構成したこと特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーション装置は更に、位置記憶手段を備え、第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶し、
前記第2判別手段は、前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記第2半径は前記第1半径より大きいか、等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行い、
前記第2判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在地点までの距離を算出し、該算出した距離を前記第1半径よりも大きい所定の第2半径と比較して前記判別を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
出発地から目的地までの案内経路を得て表示手段に案内経路を表示するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備え、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第1案内手段が案内検経路からはずれたことを案内し、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、前記第2案内手段がリルート処理を開始することを案内し、経路探索手段がリルート処理を開始するように構成したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
前記ナビゲーション装置は更に、位置記憶手段を備え、第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶し、
前記第2判別手段は、前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行うことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行うことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記第2半径は前記第1半径より大きいか、等しいことを特徴とする請求項8ないし請求項11の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記第1判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在位置までの距離を算出し、該算出した距離と所定の第1半径を比較して前記判別を行い、
前記第2判別手段は、案内経路上を最後に走行していた地点から現在位置検出手段が検出した現在地点までの距離を算出し、該算出した距離を前記第1半径よりも大きい所定の第2半径と比較して前記判別を行うことを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記ナビゲーション装置は更に、前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
出発地から目的地までの案内経路を得て表示手段に案内経路を表示するナビゲーション装置であって、ナビゲーション装置の現在位置を検出する位置検出手段と、第1案内手段と、第2案内手段と、第1判別手段と、第2判別手段と、を備えたナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別する第1判別手段としての機能を実行させ、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第1半径のエリアを超えたことを判別すると、案内検経路からはずれたことを案内する前記第1案内手段としての機能を実行させ、
前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別する第2判別手段としての機能を実行させ、
前記第2判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて所定の第2半径のエリアを超えたことを判別すると、リルート処理を開始することを案内する前記第2案内手段としての機能を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
更に位置記憶手段を備えた前記ナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した地点を第1位置として前記位置記憶手段に記憶する機能を実行させ、
前記位置記憶手段に記憶された第1位置を中心として所定の距離を第2半径とする第2半径エリアに基づいて前記判別を行う第2判別手段としての機能を実行させることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
更に経路復帰案内手段を備えた前記ナビゲーション装置を構成するコンピュータに、
前記第1判別手段が、前記位置検出手段が検出した現在位置が案内経路からはずれて第1半径のエリアを超えたことを判別した後、前記第2判別手段が、第2半径エリア内においてナビゲーション装置の現在位置が案内経路上にあることを判別すると、案内経路に復帰したことを案内する経路復帰案内手段としての機能を実行させることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−242703(P2006−242703A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57551(P2005−57551)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】