説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の動作制御方法、およびナビゲーションプログラム

【課題】道路交通情報が取得できない場合であっても、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置10が、各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶部F4を備え、移動経路を探索し、探索された各移動経路における各道路の混雑度を渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出し、渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成し、渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出し、算出された混雑度に応じて、探索された各移動経路それぞれの移動時間を算出し、算出された各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の混雑度を示してユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置、ナビゲーション装置の動作制御方法、およびナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)により提供される、渋滞情報や交通規制情報などの交通状況を示す道路交通情報を受信して、受信した情報を経路誘導に利用するナビゲーション装置が多数提供されている。
【0003】
しかし、こうした道路交通情報の提供システムは、ある地点ごとの特定の道路区間の交通状況を収集して提供しているので、道路交通情報の提供対象である道路(情報提供道路)についての道路交通情報しか得ることができない。そのため、例えば情報提供道路の周辺道路(概ね平行している道路)であっても、情報提供道路でなければユーザは交通状況を把握することができなかった。
【0004】
そのため、道路交通情報の提供対象となっていない道路(否情報提供道路)についての道路交通情報を補完する技術として、例えば、交差点ごとに、交通情報を付加された道路のうち交差点から所定距離まで辿った範囲の道路の交通情報を補完元として、交通情報を付加されていない道路のうち交差点から所定距離まで辿った範囲の道路の交通情報を補完しようとするナビゲーション装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009―168576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のナビゲーション装置では、道路交通情報を補完するためには道路交通情報の補完元が必要であり、道路交通情報の送信元(例えば、VICSセンタ)から道路交通情報を受信するための機能を備えている必要があった。すなわち、例えば道路交通情報受信機(例えば、VICSにおけるVICS受信機)を備えていないナビゲーション装置では交通状況を踏まえた経路誘導ができなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消し、道路交通情報が取得できない場合であっても、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段と、出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索手段と、該移動経路探索手段によって探索された各移動経路における各道路の混雑度を前記渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出手段と、各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成手段と、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出手段と、前記予測混雑度算出手段及び前記推定混雑度算出手段それぞれによって算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出手段と、該移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導手段とを含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【0009】
上記の構成としたことで、道路交通情報が取得できない場合であっても、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようになる。
【0010】
前記移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間に応じて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定手段を含む構成とされていてもよい。
【0011】
前記移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間を表示する移動時間表示手段と、移動時間が表示された各移動経路の何れを誘導経路に決定するかを受け付ける誘導経路受付手段とを含む構成とされていてもよい。
【0012】
前記推定混雑度算出手段は、方向規制により進行方向が右折又は左折を含む車線に規制されている当該車線における進行方向先の関連道路の混雑度に応じて、各道路の混雑度を算出する構成とされていてもよい。
【0013】
前記渋滞予測情報における各道路の混雑時間情報として、混雑時間帯、混雑曜日、不明のいずれかが設定され、前記予測混雑度算出手段は、混雑時間情報として不明が設定されている道路については、混雑度算出不能であるものと判断する構成とされていてもよい。
【0014】
また、本発明のナビゲーション方法は、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置の動作制御方法であって、出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、該移動経路探索手処理にて探索した各移動経路における各道路の混雑度を各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段に記憶された当該渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出処理と、各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成処理と、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出処理と、前記予測混雑度算出処理及び前記推定混雑度算出処理にてそれぞれ算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出処理と、該移動時間算出処理にて算出した各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導処理とを含むことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のナビゲーションプログラムは、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導する処理を実行させるためのナビゲーションプログラムであって、コンピュータに、出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、該移動経路探索手処理にて探索した各移動経路における各道路の混雑度を各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段に記憶された当該渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出処理と、各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成処理と、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出処理と、前記予測混雑度算出処理及び前記推定混雑度算出処理にてそれぞれ算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出処理と、該移動時間算出処理にて算出した各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、道路交通情報が取得できない場合であっても、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置を用いたナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】渋滞予測情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】混雑度情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図5】混雑度推定情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図6】ナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。
【図7】車線と関連道路との関連性を説明するための説明図である。
【図8】混雑度表示画面の例を示す説明図である。
【図9】推奨車線案内処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置10を用いたナビゲーションシステム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション装置10と、自車位置測位装置50と、出力装置60と、入力装置70と、通信装置80とを含む。
【0020】
自車位置測位装置50は、移動体(この「移動体」は、ナビゲーション装置10自体や、このナビゲーション装置10とともに移動する車両や人間などの物体を含む概念である。以下、「車両」を例に説明する。)の現在位置を測定する装置であり、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を測定するGPSセンサや、車両の移動速度を計測する速度センサや加速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ、及び地磁気センサを利用した電子コンパスなど(以下、GPSユニットという)からなる。
【0021】
なお、GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0022】
また、自車位置測位装置50は、車両に搭載されており、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコードなどの処理を行い、ナビゲーション装置10へ出力する信号処理部を備える。
【0023】
出力装置60は、ナビゲーション装置10からの経路誘導情報や案内情報、広告情報など各種の情報を出力する装置であり、例えば画像情報を表示する画像表示装置(ディスプレイ装置、モニタ)61と、音声情報を音声出力する音声出力装置(スピーカ装置)62とを含む。画像表示装置61は、例えば地図情報と車両の現在位置情報とを表示画面上に表示するとともに、目的地までの最適な誘導経路を表示画面上に併せて表示することで、視覚によって移動経路の道順を報知する。また、音声出力装置62は、案内音声情報を音声出力することで、聴覚によって移動経路の道順を報知する。また、音声出力部62は、POI(Point Of Interest)情報や広告情報などが案内音声情報を含む場合に、それらを音声出力することでPOI情報が示す案内対象物に関する情報や広告情報をユーザに対して報知する。
【0024】
入力装置70は、受け付けた操作入力に応じて、ナビゲーション装置10に対して各種の指示を行うための装置である。本例においては、入力装置70は、例えば画像表示装置61の表示画面に表示される操作ボタン(タッチパネル)や押しボタンなどによって構成される。
【0025】
通信装置80は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、通信ネットワークに接続された管理サーバなどの外部の装置と情報の送受信を行うための機能を有する。具体的には、通信装置80は、通信処理部16と連動して、例えばBluetooth(登録商標)、3G(第3世代移動通信システム)、WiMAX(Worldwide Interoperability For Microwave
Access)、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11などの規格に準拠した通信システムによる通信を行う。
【0026】
ナビゲーション装置10は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成される。ナビゲーション装置10は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、ナビゲーション装置10の各構成要素を統制制御し、経路探索処理や経路誘導処理、情報検索処理を含む各種の処理を実行する機能を有する。DSPは、CPUとは別に音声処理や画像処理などの処理を実行する機能を有する。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、ナビゲーション装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。なお、これらの各種の機能は、一般のナビゲーション装置が備える公知の技術によって実現される。
【0027】
図2は、本例におけるナビゲーション装置10の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、ナビゲーション装置10は、制御部Cと、経路探索部11と、自車位置情報受付部12と、表示画面作成部13と、検索部14と、POI情報案内部15と、通信処理部16と、混雑度算出部17と、記憶部Fとを含む。なお、ナビゲーション装置10を構成する各部は、制御信号やデータ等を伝送するバスBに接続されている。
【0028】
制御部(情報処理部)Cは、CPU、ROM、RAMなどを具備し、記憶部Fに記憶されたコンピュータプログラム(ナビゲーションプログラム)に従い、ナビゲーション装置10の各構成要素を統制制御し、各種処理を実行するための機能を有する。
【0029】
経路探索部11は、出発位置(例えば、車両の現在位置)から目的地までの移動経路を導出する経路探索処理を行う。経路探索処理では、例えば、車両の乗員(以下、適宜「ユーザ」という。)からの目的地情報の入力を受け付けて、受け付けた目的地情報に基づいて目的地の位置情報を特定し、この目的地を参照して現在位置から目的地までの複数種類の移動経路(特に、設定された探索条件に応じた移動経路。以下、適宜「推奨移動経路」という。)を導出する処理を行う。なお、経路探索処理については公知の技術を用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
自車位置情報受付部12は、車両の現在位置情報を受け付けるための処理を行う。ここで、現在位置は、例えば緯度と経度により示される。本例においては、自車位置情報受付部12は、自車位置測位装置50により測定された現在位置情報を受け付けるものとする。
【0031】
表示画面作成部13は、ナビゲーション装置10を構成する各部から受け付けた情報に基づいて、画像表示装置61により出力する表示画面(画面データ)を作成する機能を有する。なお、本例において表示画面作成部13が作成する表示画面には、例えば、経路探索部11にて導出した推奨移動経路を含む道路地図からなるナビゲーション画面や、道路地図上に道路の混雑度を識別可能に表す混雑度表示画面などがある。
【0032】
検索部14は、制御部Cが実行する各種処理に応じて、記憶部Fに格納された種々の情報を検索する機能を有する。
【0033】
POI情報案内部15は、検索されたPOI情報や目的地に設定されたPOI情報に関する情報を、出力装置60により画像や音声として出力することでユーザに案内するための機能を有する。また、ユーザが、経路探索処理により導出された推奨移動経路に沿った移動を望む場合に、誘導経路情報記憶部F1に記憶された誘導経路情報に基づいて関連するPOI情報の案内(例えば、誘導経路に近接する施設などに関する情報の提供など)を行なうための処理を実行する機能を有する。
【0034】
通信処理部16は、通信装置80により、外部機器を介した音声通話やデータの送受信などを実行するための通信処理を実行する機能を有する。
【0035】
混雑度算出部17は、記憶部Fに記憶された各種情報に基づいて、所定の計算式や条件式などにより各道路の混雑具合を示す混雑度を算出する機能を有する。本例においては、混雑度算出部17は、渋滞予測情報に基づいて、道路の混雑度合いを5段階(順調、やや混雑、混雑、やや渋滞、渋滞)で示す混雑度を算出する。また、混雑度算出部17は、混雑度推定情報に基づいて、各道路の混雑度を推定する機能(すなわち、推定混雑度を算出する機能)を有する。なお、本例においては、混雑度推定情報に基づいて算出される道路の混雑度合いは、推定値(推定混雑度)として取り扱われるものとする。2種類の精度の異なる混雑度を用いて道路の混雑状況を考慮することにより、精度の高い状況把握ができるようになる。
【0036】
記憶部Fは、ROMやRAM等で構成され、ナビゲーション装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。本例における記憶部Fは、誘導経路情報記憶部F1と、地図情報記憶部F2と、POI情報記憶部F3と、渋滞予測情報記憶部F4と、混雑度情報記憶部F5と、混雑度推定情報記憶部F6とを含む。
【0037】
誘導経路情報記憶部F1は、経路探索部11が導出した推奨移動経路を示す推奨移動経路情報と、推奨移動経路のうち、ユーザを目的地まで誘導するために用いる誘導経路(例えば、導出した推奨移動経路のうちユーザにより選択された経路や、目的地までの移動に要する時間が最も短い経路として制御部Cにより選択された経路など)に関する誘導経路情報を記憶する記憶媒体である。なお、推奨移動経路情報や誘導経路情報としては、経路を特定するための道路情報の他、目的地に到着するまでの移動距離(道程)や、目的地への到着予想時間なども含まれるものとする。
【0038】
地図情報記憶部F2は、一定の経度幅と緯度幅で区切られた矩形状の範囲(メッシュ)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。地図情報は、地図情報記憶部F2に記憶されるほか、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。また、地図情報記憶部F2は、道路情報として、道路をノードとリンクで表して管理し、各道路に関して道路構成ノード情報と道路構成リンク情報とを位置情報と対応付けて記憶する。なお、本例において道路とは、リンクとノードにより示される経路であるものとする。また、ノードは、現実に存在する交差点だけでなく、長距離の道路を複数のリンクで表す場合のリンク同士の接続点を表す場合もあるものとする。また、本例においては、道路情報として、各道路を構成する車線の数と、各車線の方向規制(左折専用車線や右折専用車線などを含む。)と、各車線の関連道路とを示す情報が記憶されているものとする。各車線に対する関連道路の関連性については、後で詳しく説明する。
【0039】
POI情報記憶部F3は、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル、旅館といった店舗情報、有名な施設を示す施設情報、行楽地を示す行楽地情報といった案内対象物(店舗、施設、行楽地など)を示すPOI情報を記憶する記憶媒体である。本例におけるPOI情報は、施設などの案内対象物を一意に特定するためのPOI−IDと、施設などの案内対象物のジャンルと、施設名称と、住所と、緯度・経度と、電話番号と、ランキング(位)と、お勧め時期(時刻)と、紹介記事などが対応付けされた情報である。
【0040】
渋滞予測情報記憶部F4は、混雑度算出部17が道路の混雑度を算出するために用いる情報である渋滞予測情報を記憶する記憶媒体である。渋滞予測情報は、各道路の混雑時間情報(例えば、統計情報であり、道路が混雑する曜日や時間帯などを示す情報。)など、道路交通情報が取得できない場合に各道路の混雑具合を予測するために利用できると考えられる各種情報を含む。なお、本例における渋滞予測情報は、統計情報として予め記憶されたものや、ユーザにより入力された情報により構成されるものとする。
【0041】
図3は、渋滞予測情報記憶部F4における渋滞予測情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、渋滞予測情報は、道路を一意に特定するための道路ID毎に、車両の交通量と、道路構造(例えば、地表式や嵩上式など)と、道路上(または道路周辺)での事故(事故に限らず、工事やイベントなど道路の交通量に影響を与えると考えられるものであればよい)に関する情報とを含む。なお、道路が交差点を含む場合は、渋滞予測情報として交差点構造など(例えば、平面交差点や立体交差点など)を含む構成としてもよい。
【0042】
また、本例においては、交通量に関する情報として、混雑時間情報が記憶されているものとする。また、道路構造は地図情報とリンクして管理され、事故などの情報は、ユーザにより入力された場合に設定されるものとする。なお、事故などの情報の設定は、例えば事故が発生した住所が入力されたことに応じて、入力された住所が示す地点から所定の距離以内に位置する道路に対して設定される構成としてもよい。また、予め特定の地点が通行止めになった場合に影響を受けることが予測される道路を事故影響道路として設定しておき、入力された住所が特定の地点を示している場合に、事故関連道路に対して事故情報が設定される構成としてもよい。
【0043】
なお、渋滞予測情報記憶部F4に記憶される渋滞予測情報は、例えば通信処理部17により事故発生情報などを受信することにより更新可能な構成としてもよい。
【0044】
なお、渋滞予測情報として不明な項目がある場合には、その旨が記憶されるものとする。すなわち、本例においては、混雑時間情報が不明な場合には、「不明」な情報として記憶される。これは、例えば事故の発生の有無が入力されていない場合とは区別して管理されるすなわち、本例においては、例えば事故の発生情報が入力されるまで、各道路では事故が発生していないものとして管理される。
【0045】
混雑度情報記憶部F5は、推奨移動経路を構成する道路の混雑度を、予め規定された数値(本例においては1〜5)を用いて表す混雑度情報を記憶する記憶媒体である。なお、混雑度を算出する道路として、推奨移動経路に含まれる各交差点を中心とする所定距離範囲内の道路を含む構成としてもよい。
【0046】
図4は、混雑度情報記憶部F5における混雑度情報の格納状態の例を示す説明図である。図4に示すように、混雑度情報は、道路IDと混雑度とを含む。ここで、本例においては、渋滞予測情報から算出された混雑度と、混雑度推定情報に基づいて算出された混雑度(推定混雑度)とが識別されて記憶される。推定混雑度の算出方法については、後で詳しく説明する。なお、本例においては、推奨移動経路が複数ある場合には、推奨移動経路毎に混雑度情報が記憶されるものとする。
【0047】
混雑度推定情報記憶部F6は、道路の混雑度を推定するため(すなわち、推定混雑度を算出するため)に用いる混雑度推定情報を記憶する記憶媒体である。
【0048】
図5は、混雑度推定情報記憶部F6における混雑度推定情報の格納状態の例を示す説明図である。図5に示すように、混雑度推定情報は、混雑度の推定対象となる道路を特定する道路IDと、車線番号と、方向規制と、関連道路を特定するための関連道路IDとを含む。
【0049】
ここで、本例においては、混雑度の推定対象とする道路として、推奨移動経路を構成する道路のうち渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路を用いるものとする。また、車線番号とは、道路を構成する車線毎に設定される番号であり、方向規制と関連道路IDは車線番号毎に設定されるものとする。
【0050】
なお、推奨移動経路を構成する道路のうち、混雑度が算出された道路から所定距離範囲内に位置する道路を混雑度の推定対象として選択する構成としてもよいし、推奨移動経路に含まれる交差点周辺の道路であることを混雑度の推定対象として選択する構成としてもよい。
【0051】
次に、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置10の動作について図面を参照して説明する。なお、本発明に特にかかわらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0052】
図6は、ナビゲーション装置10が実行するナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。ナビゲーション処理では、ナビゲーション装置10が、車両の現在地とユーザにより入力された目的地とを結ぶ推奨移動経路を探索し、探索した推奨移動経路を構成する各道路の混雑度を算出してユーザに提供するための処理が行なわれる。
【0053】
ナビゲーション処理において、制御部Cは、経路探索部11により、経路探索処理を実行する(ステップS101)。なお、ここで実行する経路探索処理は、入力装置70を介した目的地の入力を受け付けて、車両の現在位置からの推奨移動経路を導出する一般的な経路探索処理である。また、制御部Cは、経路探索部11により、所定の検索条件(例えば、有料道路の有無や交差点の数など)に応じた1以上の推奨移動経路を探索する。
【0054】
経路探索処理により推奨移動経路を探索すると、制御部Cは、渋滞予測情報記憶部F4を参照して、推奨移動経路の渋滞予測情報(すなわち、推奨移動経路を構成する各道路に対応する渋滞予測情報)を確認する(ステップS102)。
【0055】
渋滞予測情報を確認すると、制御部Cは、混雑度算出部17により、確認した渋滞予測情報に応じて各道路の混雑度を算出する(ステップS103)。ここで、混雑度算出部17は、渋滞予測情報が設定されていない道路や、混雑時間情報として不明が設定されている道路については、混雑度算出不能であるものと判断する(すなわち、混雑度が不明な道路と判定する)。
【0056】
混雑度を算出し、算出した混雑度を混雑度情報記憶部F5に記憶すると、制御部Cは、推奨移動経路を構成する道路に、混雑度が不明な部分があるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、混雑度が不明な部分がないと判定すると(ステップS104のN)、制御部Cは、ステップS108に遷移する。なお、このとき制御部Cは、混雑度が不明な道路の合計距離が所定距離以下である場合には、混雑度が不明な部分がないと判定する構成としてもよい。
【0057】
一方、混雑度が不明な部分があると判定すると(ステップS104のY)、制御部Cは、推奨移動経路のうち渋滞予測情報に基づいて混雑度が算出されなかった道路を混雑度推定対象道路として選択する(ステップS105)。
【0058】
混雑度推定対象道路を選択すると、制御部Cは、選択した各道路を示す道路IDを混雑度推定情報記憶部F6に設定し、混雑度推定情報を作成する(ステップS106)。すなわち、制御部Cは、地図情報における道路情報を参照して各道路IDが示す道路に応じた車線数を特定し、特定した各車線の方向規制および関連道路を特定する。また、道路情報においては、各車線の方向規制に応じて車両が特定距離だけ進行した場合に走行することとなる道路が関連道路としてそれぞれの車線と対応付けされて記憶されているものとする。なお、道路情報において関連道路が記憶されていない車線がある場合、制御部Cが、車線における進行方向先の道路を関連道路として選択する構成としてもよい。
【0059】
図7は、車線と関連道路との関連性を説明するための説明図である。図7に示すように、混雑度推定対象道路S1を構成する車線N1〜N3において、例えば道路S1を走行する車両が右折した場合に走行することとなる道路S2が混雑している場合には、右折車線N3も混雑している可能性が高いといえる。そのため、車線N3の関連道路としては道路S2が記憶されることとなる。
【0060】
なお、道路S2に関して、渋滞予測情報に基づいて混雑度が算出されていない場合(または、制御部Cが改めて道路S2に関する渋滞予測情報を確認した場合に、渋滞予測情報に基づいて混雑度が算出できない場合)には、制御部Cは、車線N3の関連道路がないものと判断し、混雑度の推定ができないと判断するものとする。なお、混雑度の推定ができないと判断した場合に、制御部Cが、道路S2を走行した場合に到達することとなる道路に関しての渋滞予測情報を確認し、混雑度が算出できた場合には、算出した混雑度に基づいて車線N3の推定混雑度を算出する構成としてもよい。
【0061】
混雑度推定情報を作成すると、制御部Cは、混雑度算出部17により、記憶部Fに記憶された混雑度の推定規則に応じて、各道路の推定混雑度を算出する(ステップS107)。
【0062】
推定混雑度を算出すると、制御部Cは、表示画面作成部13により、混雑度表示画面を表示するための処理を行う(ステップS108)。
【0063】
図8は、画像表示装置61の表示画面に表示される混雑度表示画面の例を示す説明図である。図8に示すように、混雑度表示画面は、車両の現在位置Uと、目的地Pと、経路探索処理により探索された推奨移動経路101,102,103と、混雑度表示A1,A2,B1,B2とを含む。
【0064】
本例における混雑度表示は、ユーザが道路の混雑度を識別できるように表示される(本例においては、混雑度に応じて色彩が使い分けされる。)。また、本例における混雑度表示は、渋滞予測情報から算出された混雑度を示す混雑度表示A1,A2と、混雑度推定情報から算出された推定混雑度を示す混雑度表示B1,B2とが識別可能に表示される。具体的には、渋滞予測情報から算出された混雑度を示す混雑度表示A1,A2が、道路に沿った形状で表示され、推定混雑度を示す混雑度表示B1,B2が、道路の中間地点を中心とする円形(または楕円系)で表示される。また、本例においては、混雑度が4以上(すなわち、やや渋滞していると考えられる道路)の部分に混雑度表示が表示されるものとする。なお、混雑度を表示する道路の周辺に位置する道路について、その混雑度を予め道路情報として記憶された影響度に基づいて計算し、地図に混雑度合いを表示する構成としてもよい。
【0065】
混雑度表示画面を表示すると、制御部Cは、推奨移動経路毎に、混雑度を踏まえた到着予想時刻を算出する(ステップS109)。具体的には、制御部Cは、経路探索部11による経路探索処理にて推奨移動経路を構成する各道路の通過に要する時間(所要時間)を算出して記憶しておき、各道路の混雑度に応じて所要時間に所定の割合をかけることで混雑度を踏まえた所要時間を算出する。そして、制御部Cは、現在時刻に応じて到着予想時刻を算出する。
【0066】
到着予想時刻を算出すると、制御部Cは、到着予想時刻が一番早い経路(すなわち、移動時間が一番短い経路)を誘導経路に決定して、経路誘導を開始する(ステップS110)。
【0067】
経路誘導を開始すると、制御部Cは、後述する推奨車線案内処理を実行する(ステップS111)。推奨車線案内処理を実行すると、制御部Cは、車両の現在位置情報から車両が目的地に到着したか否かを判定し(ステップS112)、車両が目的地に到着したと判定した場合(ステップS112のY)、ここでの処理を終了する。一方、車両が目的地に到着していないと判定すると(ステップS112のN)、制御部Cは、ステップS111に遷移する。
【0068】
次いで、経路誘導の実行中にナビゲーション装置10が実行する推奨移動経路案内処理について、図面を参照して説明する。なお、本発明に特にかかわらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0069】
図9は、ナビゲーション装置10が実行する推奨車線案内処理の例を示すフローチャートである。推奨車線案内処理では、道路の混雑状況に応じた車線(例えば、より混雑していない車線)をユーザに案内するための処理が行われる。
【0070】
推奨車線案内処理において、制御部Cは、例えば所定の時間間隔などで定期的に車両の現在位置を確認し(ステップS201)、車両が片側2車線以上の道路を走行しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで、車両が片側2車線以上の道路を走行していないと判定すると(ステップS202のN)、制御部Cは、ナビゲーション処理のステップS112に遷移する(図6参照)。
【0071】
一方、車両が片側2車線以上の道路を走行していると判定すると(ステップS202のY)、制御部Cは、走行中の車線(現在位置から目的地に向けて特定距離だけ進んだ位置の誘導経路)が混雑しているか否かを判定する(ステップS203)。本例においては、制御部Cは、地図情報を参照して現在位置情報から車両が走行中の道路を特定し、特定した道路に対応する混雑度が4以上である場合に、車線が混雑していると判定する。なお、制御部Cが、入力装置70を介してユーザから走行中の車線が混雑している旨の情報の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0072】
ここで、走行中の車線が混雑していないと判定すると(ステップS203のN)、制御部Cは、ナビゲーション処理のステップS112に遷移する(図6参照)。一方、走行中の車線が混雑していると判定すると(ステップS203のY)、制御部Cは、車両が、現在時刻から所定時間前までに通知した推奨車線を走行していないか判定する(ステップS204)。ここで、車両が、所定時間前までに通知した推奨車線を走行していると判定すると(ステップS204のN)、制御部Cは、ナビゲーション処理のステップS112に遷移する(図6参照)。このような構成とすることにより、ユーザが認識している情報を何度も繰り返し提供してしまうことを防止することができるようになる。
【0073】
一方、車両が、所定時間前までに通知した推奨車線を走行していないと判定すると(ステップS204のY)、制御部Cは、誘導経路情報と混雑度情報に基づいて、推奨車線を決定する(ステップS205)。すなわち、例えば、車両が走行中の道路において右側の車線の混雑度が高くなる場合、制御部Cは、車両が右折をする必要がある交差点から所定距離だけ離れた位置までは左側の車線を推奨車線に決定する。なお、ここでの所定距離とは、ユーザが車線変更に要する距離であることが好ましい。
【0074】
推奨車線を決定すると、制御部Cは、車両が推奨車線を走行していないか判定する(ステップS206)。ここで、車両が推奨車線を走行していると判定すると(ステップS206のN)、制御部Cは、ナビゲーション処理のステップS112に遷移する(図6参照)。
【0075】
一方、車両が推奨車線を走行していないと判定すると(ステップS206のY)、制御部Cは、ユーザに対して推奨車線を通知して(ステップS207)、ここでの処理を終了し、ナビゲーション処理のステップS112に遷移する。
【0076】
なお、本例においては、制御部Cは、音声出力装置62による音声案内により、推奨車線をユーザに通知するものとする。すなわち、例えば現在位置が片側2車線で、次の交差点の進入車線が、3車線(左折または直進、直進専用、右折専用)の場合、右折先の道路の混雑度が所定の閾値よりも高いとき、制御部Cは、音声出力装置62により「右折側の混雑が予測されます。直進する場合、左側の車線を進んでください。」との音声案内が出力されるための処理を行う。また、各車線が同様に混雑することが予測される場合には、制御部Cは、「どちら側を進んでも混雑度は変わりません。」との音声案内が出力されるための処理を行う。なお、音声案内の内容はこれに限定されず、例えば、制御部Cが経路誘導を実行しているときは、進行方向が既に確定しているので、誘導経路に応じた音声案内を行うこととなる。なお、音声案内に用いる音声情報などは、記憶部Fに記憶されていることとする。
【0077】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、表示装置(例えば、画像表示装置61)の表示画面における地図上に移動体(例えば、車両)の現在位置を表示して移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置10が、各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶部F4を備え、出発地から目的地までの複数種類の移動経路(例えば、推奨移動経路)を探索し、探索された各移動経路における各道路の混雑度を渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出し、各道路の方向規制と各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報(例えば、混雑度推定情報記憶部F6に記憶される混雑度推定情報)を作成し、渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出し、算出された混雑度(例えば、渋滞予測情報から算出された混雑度と、混雑度推定情報から算出された混雑度(推定混雑度))に応じて、探索された各移動経路それぞれの移動時間(例えば、目的地への到着予想時刻)を算出し、算出された各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う構成としているので、道路交通情報が取得できない場合であっても、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようになる。
【0078】
すなわち、渋滞予測情報に基づいて道路の混雑具合を予測することができるので、交通状況を踏まえた経路誘導ができるようになる。
【0079】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、算出された各移動経路それぞれの移動時間(例えば、複数の推奨移動経路それぞれの到着予想時刻)に応じて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する構成としているので、道路の渋滞を考慮した上で最も早く目的地に到着するようにユーザを誘導できるようになる。
【0080】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10が、算出された各移動経路それぞれの移動時間(例えば、複数の推奨移動経路それぞれの到着予想時刻)を表示し、移動時間が表示された各移動経路の何れを誘導経路に決定するかを受け付ける構成としてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、方向規制により進行方向が右折又は左折を含む車線に規制されている車線における進行方向先の関連道路の混雑度に応じて、各道路の混雑度(例えば、各道路を構成する車線が複数ある場合には、車線毎の混雑度)を算出する構成としているので、ユーザに対して目的地までの走行に適した車線(例えば、推奨車線)を案内することができるようになる。なお、車線に関する情報と、曜日時間帯の混雑情報(例えば、混雑時間情報)の組み合わせで次の交差点までの車線を案内する構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、渋滞予測情報における各道路の混雑時間情報として、混雑時間帯、混雑曜日、不明のいずれかが設定され、混雑時間情報として不明が設定されている道路については、混雑度算出不能であるものと判断する構成としているので、精度の低い混雑度を算出してしまうことを防止することができるようになる。
【0083】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10の通信処理部1が、VICSセンタなどから道路交通情報を受信する機能を備えていても良い。この場合、混雑度の算出に道路交通情報が示す混雑状況を加味する構成とすることにより、精度の高い(すなわち、実際の状況に近い)混雑度を算定することができるようになる。また、道路交通情報と渋滞予測情報から算出される混雑度の精度が上がることにより、混雑度推定情報により算出される推定混雑度の精度を向上させることができるようになる。
【0084】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10が、所定の道路に関して、周辺道路の一部をいわゆる抜け道として記憶し、属性として使用判定情報(例えば、推奨移動経路を構成する道路の混雑度が抜け道に相当する道路の混雑度よりも2以上高い場合に、抜け道の使用を推奨するための情報)を登録しておく構成としてもよい。
【0085】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10が、ユーザによる混雑度表示画面の表示要求を受け付けて、位置情報(例えば、車両の現在位置)を中心にして一定の範囲に位置する道路の混雑度(推定混雑度を含む)を算出し、算出した混雑度に応じた混雑度表示画面を表示する構成としてもよい。このような構成とすることにより、目的地が決定していない場合であっても、ユーザに対して任意の道路の混雑度を提供することができるようになり、利便性を向上させることができる。
【0086】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、渋滞予測情報として各種情報の信頼度を含む構成としてもよい。この場合、例えばユーザにより入力された情報に関しては信頼度が高いものとして記憶し、情報の信頼度に応じて混雑度の算出結果への影響度が調節可能な構成であることが好ましい。
【0087】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10は、車両の現在位置から見て次に通過することとなる交差点を基準にして推奨車線を案内するだけでなく、例えば、複数後に通過する予定の交差点までの混雑度を考慮して、あまり車線変更をしないように推奨車線を通知する構成としてもよい。この場合、例えば制御部Cは、各車線を走行した場合に到達する道路の混雑度が所定値以下である場合には、推奨車線を誘導経路情報に基づいて決定する構成とすればよい。
【0088】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、渋滞予測情報として、幹線道路(国道、県道、主要道など交通情報の対象道路)の交通状況予測値(すなわち、渋滞予測情報)を登録するだけで道路の混雑度を算出することができるので、情報作成量(予め記憶部Fに記憶させておく必要がある情報や、混雑度を算出するために必要な情報などの量)が少なくてよい。また、混雑度の算出対象道路(例えば、推奨移動経路を構成する道路)と周辺道路(例えば、対象道路と概ね並んでいる道路)を対応させているので、情報作成量が少なくてよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車両の進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、電子地図の表示が可能なカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【符号の説明】
【0090】
B バス
C 制御部
F 記憶部
10 ナビゲーション装置
11 経路探索部
12 自車位置情報受付部
13 表示画面作成部
14 検索部
15 POI情報案内部
16 通信処理部
17 混雑度算出部
50 自車位置測位装置
60 出力装置
61 画像表示装置
62 音声出力装置
70 入力装置
80 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、
各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段と、
出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索手段と、
該移動経路探索手段によって探索された各移動経路における各道路の混雑度を前記渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出手段と、
各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成手段と、
前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出手段と、
前記予測混雑度算出手段及び前記推定混雑度算出手段それぞれによって算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出手段と、
該移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間に応じて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定手段を含む
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記移動時間算出手段によって算出された各移動経路それぞれの移動時間を表示する移動時間表示手段と、
移動時間が表示された各移動経路の何れを誘導経路に決定するかを受け付ける誘導経路受付手段とを含む
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推定混雑度算出手段は、方向規制により進行方向が右折又は左折を含む車線に規制されている当該車線における進行方向先の関連道路の混雑度に応じて、各道路の混雑度を算出する
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記渋滞予測情報における各道路の混雑時間情報として、混雑時間帯、混雑曜日、不明のいずれかが設定され、
前記予測混雑度算出手段は、混雑時間情報として不明が設定されている道路については、混雑度算出不能であるものと判断する
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置の動作制御方法であって、
出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、
該移動経路探索手処理にて探索した各移動経路における各道路の混雑度を各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段に記憶された当該渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出処理と、
各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成処理と、
前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出処理と、
前記予測混雑度算出処理及び前記推定混雑度算出処理にてそれぞれ算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出処理と、
該移動時間算出処理にて算出した各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導処理とを含む
ことを特徴とするナビゲーション装置の動作制御方法。
【請求項7】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導する処理を実行させるためのナビゲーションプログラムであって、
コンピュータに、
出発地から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、
該移動経路探索手処理にて探索した各移動経路における各道路の混雑度を各道路の混雑時間情報を含む渋滞予測情報を記憶する渋滞予測情報記憶手段に記憶された当該渋滞予測情報が混雑度算出可能に登録されている各道路について算出する予測混雑度算出処理と、
各道路の方向規制と当該各道路の関連道路とが対応付けされた関連道路情報を用いて、前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路についての混雑度を推定するための混雑度推定情報を作成する混雑度推定情報作成処理と、
前記渋滞予測情報によって混雑度が算出されなかった各道路の混雑度を前記混雑度推定情報に設定された方向規制と関連道路の混雑度に応じて算出する推定混雑度算出処理と、
前記予測混雑度算出処理及び前記推定混雑度算出処理にてそれぞれ算出された混雑度に応じて、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路それぞれの移動時間を算出する移動時間算出処理と、
該移動時間算出処理にて算出した各移動経路それぞれの移動時間に基づいて、決定された誘導経路を用いて経路誘導を行う経路誘導処理とを
実行させるためのナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196691(P2011−196691A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60471(P2010−60471)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】