説明

ナビゲーション装置

【課題】 表示画面上の任意の文字を拡大可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 道路地図及び文字を表示する表示手段19の表示画面24にタッチパネル25が配置されたナビゲーション装置10において、タッチパネル25への接触位置を検知する接触位置検出手段36と、接触位置検出手段36により検出された接触位置に対応する表示画面24上の文字を拡大する文字拡大手段38とを有する。また、文字拡大手段38は、接触位置検出手段36によって検出されるタッチパネル25への接触時間により、拡大される文字の拡大率を変化させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上の文字を拡大可能なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両等の位置を検出して、その車両の位置を道路地図と共に液晶モニタ等の表示手段の表示画面上に表示する車載型のナビゲーション装置が知られている。表示画面上には、地名等の文字も表示されるが、通常使用される7インチ程度の小型の表示画面では、その文字が小さくなり、視認が困難になる場合があった。そこで、例えば、特許文献1には、車両の停車中に文字や記号を拡大表示、又は代表的な文字や記号のみを表示するナビゲーション装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−170283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のナビゲーション装置では、停車中には文字や記号がすべて拡大表示され、表示画面が見難くなるという問題があった。また、代表的な文字や記号のみが拡大表示されるので、必要な文字が表示されるとは限らなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、表示画面上の任意の文字を拡大可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係るナビゲーション装置は、道路地図及び文字を表示する表示手段の表示画面にタッチパネルが配置されたナビゲーション装置において、
前記タッチパネルへの接触位置を検知する接触位置検出手段と、
前記接触位置検出手段により検出された接触位置に対応する前記表示画面上の文字を拡大する文字拡大手段とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るナビゲーション装置は、タッチパネルの接触位置検出手段と、検出された接触位置に対応する文字を拡大する文字拡大手段とを有するので、表示画面上の任意の文字を拡大することができる。また、文字拡大手段によって、文字の拡大率を変化させる場合には、拡大表示する文字をタッチパネルへの接触時間により任意の拡大率で表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置のブロック図、図2は同ナビゲーション装置の道路地図レイヤー、文字レイヤー、記号レイヤー、及び自車位置レイヤーの説明図、図3(A)は同ナビゲーション装置の表示画面の説明図、図3(B)、(C)はそれぞれ同ナビゲーション装置の表示手段上の文字が2倍、4倍に拡大された表示画面の説明図、図4(A)、(B)はそれぞれ同ナビゲーション装置のタッチパネルの側断面図、正面図である。
【0008】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置10について説明する。
ナビゲーション装置10は、自車(ナビゲーション装置10が搭載されている車両)の位置(現在地)を把握したり、経路検索機能によって、現在地から目的地までの道筋、距離、及び到着時刻等を表示する装置である。以下、詳しく説明する。
【0009】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、人工衛星からの情報を受信する図示しないGPS(Global Positioning System 、全地球測位システム)アンテナを備えたGPSユニット11、及びGPSアンテナで受信した情報を処理するコンピュータ12を有し、コンピュータ12による処理によって、自車位置を得ることができる。ナビゲーション装置10は、車両の動き及び傾きを検知するジャイロセンサー13及び車両の速度を測定する車速センサー14を有し、ジャイロセンサー13及び車速センサー14からの情報をコンピュータ12によって処理することにより、自車位置の測定精度をより高めている。
【0010】
GPSユニット11、ジャイロセンサー13、及び車速センサー14によって自車位置測定部15が構成されている。なお、自車位置測定部は、FM多重放送を利用して位置情報を補正するD−GPS、及び道路に設置されたビーコンから発せられる情報データを元に位置情報を補正するVICSのいずれか一方又は双方を併用して、自車位置の測定精度を更に高めてもよい。
【0011】
ナビゲーション装置10は、(1)道路を表す道路データ、河川や海等を表す水系データ、及び建物や陸地等を表す陸地データを含む道路地図情報と、(2)地名、交差点名及び施設名等を表す文字情報と、(3)建物(例えば、コンビニエンスストア、レストラン、銀行、及びガソリンスタンド)や道路標識等を示す記号情報とを含むナビゲーション情報が記録された記憶媒体の一例であるDVD−ROM16を有している。また、ナビゲーション装置10は、DVD−ROM16から情報を読み取得する情報取得手段の一例であるDVDドライブ17を有している。DVD−ROM16及びDVDドライブ17によって地図情報取得部18が構成される。
【0012】
なお、記憶媒体としては、ナビゲーション情報が記憶されているCD−ROM、ハードディスク、又はメモリーカードを使用してもよく、また、携帯電話等の通信手段によってナビゲーション情報を受信可能な車外に設置されたサーバであってもよい。
更に、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション情報に基づく、道路地図、文字、及び記号を表示する表示手段の一例である液晶モニタ19を有している。
【0013】
液晶モニタ19は、例えば、7V型ワイドTFTカラー液晶の表示画面24を備えている。また、表示画面24の総画素数は、例えば、336960画素であり、縦が468画素、横が720画素となっている。ここで、表示画面24の左下の点を座標(0,0)とし、右上の点を座標(467,719)とする。なお、表示手段としては、ブラウン管を使用したモニタでもよい。
【0014】
図2に示すように、コンピュータ12は、地図情報取得部18から得られたナビゲーション情報、すなわち、道路地図情報、文字情報、及び記号情報を基に、道路地図レイヤー20、文字レイヤー21、及び記号レイヤー22を作成すると共に、自車位置測定部15から得られた自車位置の情報を基に自車位置aを表す記号、例えば、本実施の形態では車両の進行方向が鋭角となった三角形が描画された自車位置レイヤー23を作成する。
【0015】
次に、コンピュータ12は、道路地図レイヤー20、記号レイヤー22、文字レイヤー21、及び自車位置レイヤー23の順にそれぞれの座標の位置関係が対応するように下から合成し、図3(A)に示すように液晶モニタ19の表示画面24に表示する。なお、上部のレイヤーの記号又は文字は、下部のレイヤーを不可視とする。例えば、記号レイヤー22及び文字レイヤー21にそれぞれ表示される記号と文字とが重なった際には、記号の上に文字が配置されるので、文字を優先的に表示することができる。また、表示画面24では、道路及び建物を平面的又は立体的に表示してもよい。
【0016】
液晶モニタ19の表示画面24には、タッチパネル25が配置されている。図4(A)、(B)に示すように、タッチパネル25は、液晶モニタ19の表示画面24の前面に配置される後部マイクロガラス板26と、後部マイクロガラス板26に所定の隙間を有して対向配置される前部マイクロガラス板27を有している。
【0017】
前部マイクロガラス板27の背面には第1の透明電極28が、後部マイクロガラス板26の前面には第2の透明電極29が、隙間を有して配置されている。また、第2の透明電極29の前面には、例えば、縦に10個、横に18個のドットスペーサー30が設けられている。更に、第1の透明電極28には、正面視して、その上部及び下部にそれぞれ第1及び第2の引き回し電極31、32が設けられ、第2の透明電極29には、正面視して、その左側及び右側にそれぞれ第3及び第4の引き回し電極33、34が設けられている。
【0018】
タッチパネル25は、前部マイクロガラス板27及び後部マイクロガラス板26の内側周囲に配置されるシール材35によって固定されている。なお、タッチパネルは、特開平9−50235号公報に記載されているように、表示画面の水平方向及び垂直方向にそれぞれ対向配置された発光ダイオードとフォトダイオードによって構成される光学式のものであってもよく、静電容量を利用するもの、又は抵抗値の変化を利用するものであってもよい。
【0019】
ここで、タッチパネル25の前部マイクロガラス板26の前面から圧力を受ける(タッチされる)と、タッチされた位置(タッチ位置)の近傍のドットスペーサー30のいずれか1つ、例えば、座標(390、210)にあるドットスペーサー30aを介して、第1及び第2の透明電極28、29が接触する。この際に、第1及び第2の透明電極28、29が接触する接触位置(390、210)にあるドットスペーサー30aを介して流れる電流は、第1〜第4の引き回し電極31〜35を介して、コンピュータ12内に設けられた接触位置を検知する接触位置検出手段36に送られる。接触手段検出手段36によって、タッチパネル25上の接触位置が検出される。
【0020】
コンピュータ12は、接触位置検出手段36によって検出された接触位置(390,210)に対応する液晶モニタ19の表示画面24上に文字があるか否かを検出する文字検出手段37を有している。文字検出手段37は、接触位置検出手段36によって検出された接触位置(390,210)と、文字レイヤー21上の文字の位置とを比較する。コンピュータ12内には、接触位置(x,y)及びその近傍(x±40,y±20)に文字がある場合に、この文字を拡大して表示画面24に表示する文字拡大手段38が設けられている。したがって、文字拡大手段38によって、座標(390±40,210±20)の範囲内にある文字、すなわち、「交差点b」が拡大表示される。なお、文字検出手段37による文字の検出の範囲は、座標(x±40,y±20)に限らず、他の文字と混同しない程度に広くても狭くても構わない。
【0021】
ここで、DVD−ROM16には、文字情報として「交差点b」等の文字が、それぞれ予め所定の大きさに拡大されたデータが記憶されている。文字検出手段37によって検出された文字は、文字拡大手段38によって、所定の拡大率のデータをDVD−ROM16から読み出して、表示画面24に表示する。更に、文字拡大手段38には、接触位置検出手段36によって検出されるタッチパネル25への接触時間を測定する図示しないタイマーが設けられ、タイマーにより計測される接触時間によって拡大される文字の拡大率を変化させることができる。この場合、使用者の見易い拡大率まで、文字を拡大することができる。更に、接触時間による文字の拡大率を使用者が決めるようにしてもよい。
【0022】
なお、文字拡大手段38は、タッチパネル25への接触時間による文字の拡大率を変化させずに、使用者が予め文字の拡大率を設定し、その拡大率で表示画面24上に文字を表示させる文字拡大率設定機能を設けてもよい。この場合には、使用者がタッチパネル25を1度タッチするだけで、文字を見易い大きさに拡大することができる。また、文字検出手段37によって検出された文字を表示画面24いっぱいに拡大表示してもよい。
【0023】
また、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10の操作を行う入力装置である無線式のリモコン39を有し、コンピュータ12にはリモコン39からの操作信号を受信する受信部40が設けられている。なお、リモコンは有線式でもよく、タッチパネル25によって、すべての操作を行う場合には、リモコンは必要とはしない。また、ナビゲーション装置10には、音声によって車両の進行方向(例えば、右折、又は左折等)を案内する図示しない音声案内機能も設けられている。
【0024】
次に、図3(A)〜(C)を参照して、ナビゲーション装置10の使用方法について説明する。
(1)まず、ナビゲーション装置10の液晶モニタ19の表示画面24は、図3(A)の状態にある。
【0025】
(2)ここで、表示画面24上の文字、例えば、「交差点b」をタッチパネル25の前面からタッチする。この場合には、「交差点b」の近傍、すなわち座標(390,210)にあるドットスペーサー30aを介して、第1及び第2の透明電極28、29が接触し、第1〜第4の引き回し電極31〜34から電流が接触位置検出手段36に送られる。接触位置検出手段36は、ドットスペーサー30aの近傍のタッチパネル25が圧力を受けたことを認識する。
【0026】
(3)文字検出手段37は、接触位置検出手段36によって得られた接触位置(390,210)の近傍、すなわち、座標(390±40,210±20)内に、文字があるか否かを文字レイヤー21を基に検出し、「交差点b」の文字があることを確認する。
(4)文字拡大手段38は、図3(B)に示すように、「交差点b」の文字を2倍に拡大したデータをDVD−ROM16から読み込み、1倍の「交差点b」の文字を2倍の「交差点b」の文字に置き換えて、表示画面24に表示する。
【0027】
(5)文字拡大手段38のタイマーによって、タッチパネル25のドットスペーサー30aが接触した時間が、2秒間を超えたのを検知した場合、文字拡大手段38は、図3(C)に示すように、「交差点b」の文字を4倍に拡大したデータをDVD−ROM16から読み込み、2倍の「交差点b」の文字を4倍の「交差点b」の文字に置き換えて、表示画面24に表示する。
【0028】
(6)更に、1秒間のタッチパネル25のドットスペーサー30aへの接触が続くと、図3(A)に示すように、「交差点b」の文字を1倍に戻し、更に1秒後には2倍に、また更に1秒後に4倍に拡大し、タッチパネル25のドットスペーサー30aへの接触が続く限り、これを繰り返すようになっている。タッチパネル25への接触を検知しなくなった場合には、その拡大率が確定し、その大きさで「交差点b」の文字を表示する。
【0029】
また、ドットスペーサー30aが接触した後、他のドットスペーサー30の近傍でタッチパネル25をタッチした場合には、「交差点b」の文字を1倍に戻し、接触した他のドットスペーサー30の位置に文字があるか否かを、文字検出手段37が検知して、その位置の文字を同様に拡大する。
【0030】
なお、文字の拡大率を一定の値(例えば、2倍)とし、時間による拡大率を変化させなくてもよい。ナビゲーション装置10では、接触時間による文字の拡大率を、接触した際に2倍、更に2秒後に4倍とし、以降、1秒毎に、1倍、2倍、4倍となるように繰り返しているが、時間に対応する文字の拡大率をいろいろ変化させてもよい。
【0031】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のナビゲーション装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態のナビゲーション装置において、タッチパネル上の文字をタッチした際に、音声によって案内してもよい。また、タッチパネル上の記号をタッチした際に、記号を拡大するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】同ナビゲーション装置の道路地図レイヤー、文字レイヤー、記号レイヤー、及び自車位置レイヤーの説明図である。
【図3】(A)は同ナビゲーション装置の表示画面の説明図、(B)、(C)はそれぞれ同ナビゲーション装置の表示手段上の文字が2倍、4倍に拡大された表示画面の説明図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ同ナビゲーション装置のタッチパネルの側断面図、正面図である。
【符号の説明】
【0033】
10:ナビゲーション装置、11:GPSユニット、12:コンピュータ、13:ジャイロセンサー、14:車速センサー、15:自車位置測定部、16:DVD−ROM、17:DVDドライブ、18:地図情報取得部、19:液晶モニタ、20:道路地図レイヤー、21:文字レイヤー、22:記号レイヤー、23:自車位置レイヤー、24:表示画面、25:タッチパネル、26:後部マイクロガラス板、27:前部マイクロガラス板、28:第1の透明電極、29:第2の透明電極、30、30a:ドットスペーサー、31:第1の引き回し電極、32:第2の引き回し電極、33:第3の引き回し電極、34:第4の引き回し電極、35:シール材、36:接触位置検出手段、37:文字検出手段、38:文字拡大手段、39:リモコン、40:受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図及び文字を表示する表示手段の表示画面にタッチパネルが配置されたナビゲーション装置において、
前記タッチパネルへの接触位置を検知する接触位置検出手段と、
前記接触位置検出手段により検出された接触位置に対応する前記表示画面上の文字を拡大する文字拡大手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、前記文字拡大手段は、前記接触位置検出手段によって検出される前記タッチパネルへの接触時間により、前記拡大される文字の拡大率を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記タッチパネルには、前後に隙間を有して配置された第1及び第2の透明電極が備えられ、前記接触位置検出手段は、前記第1及び第2の透明電極の接触により前記接触位置を検出することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−38573(P2006−38573A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217496(P2004−217496)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(500464621)
【出願人】(500464632)
【Fターム(参考)】