説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地位置を特定する情報が複数個あった場合でも移動経路の各目的地の位置を決定し、経路情報を作成できること。
【解決手段】携帯端末との間でデータの送受信を行うためのデータ送受信部12と、携帯端末から住所録データを受信する住所録連携部と、予定表データを受信して管理する予定表連携部と、予定表データに示された予定について、1つの予定に対応する場所を特定するための情報を住所録データの中から検索して抽出し、抽出した1つまたは複数の情報を記録する候補場所特定情報記録部41と、それぞれの候補場所特定情報に対応する地図上の位置を特定する位置特定情報を取得する位置特定情報取得部42と、1つまたは複数の位置特定情報の中から1つの位置特定情報を選択する選択部43と、選択された位置特定情報に基づいて、移動経路の各目的地の位置を決定し、経路情報を管理する経路管理部17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに搭載されて目的地や経由地の経路情報を管理することが可能なナビゲーション装置に関し、特に、携帯電話やPDAなどに代表される携帯端末と連携して利用されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザである自動車の運転者の道路案内のために、カーナビゲーション装置が用いられている。カーナビゲーション装置において、ユーザが1つまたは複数の目的地(経由地も同等の意味を持つので、以下の本文では目的地に経由地も含む)を指定して経路情報を設定する際には、通常、住所や電話番号のように目的地に関する詳細な知識を要求される。運転中のユーザにとって、それが周知の目的地である場合には、そのような指定を車内で行うことにそれほど困難はない。しかし、カーナビゲーション装置の性質上、ユーザにとって不案内な場所を目的地として設定する場合が多い。そのため、多くの場合に、ユーザは目的地に関する情報を予め用意し、忘れないようにメモした紙などを車内に持ち込まなければならないため、面倒であった。
【0003】
そこで、携帯電話やPDAに代表される携帯端末とカーナビゲーション装置とを連携する機器連携を利用し、携帯端末側の予定表(スケジュール帳)や住所録(アドレス帳)に登録されたスケジュール情報やアドレス情報をカーナビゲーション装置の目的地の設定や最適経路検索に利用することが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−107174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上に述べた特許文献1によると、例えば、携帯端末のスケジュール情報に記載された、人名や場所名などの目的地名称を示す情報と、携帯端末のアドレス帳に記載された位置、郵便番号、住所、または電話番号などの目的地位置を特定するための情報とを用いて、カーナビゲーション装置で目的位置を特定して目的地や経由地を設定する。
【0005】
しかし、これによる目的地などの設定がうまく行われるためには、人名や場所名などの目的地名称によって目的地がただひとつに特定される場合に限られる。もしアドレス帳に同じ名称が複数個存在する場合には、目的地位置を特定する情報が複数個得られることとなり、目的地を確定することができないので、所望の結果を得ることができず、カーナビゲーション装置としては機能しない。また、アドレス帳に目的地位置を特定するための情報が含まれていない場合にも、所望の結果を得ることができず、やはりカーナビゲーション装置として機能しない。
【0006】
また、特許文献1を含めた従来の装置は、目的地設定のための携帯端末側の情報が、住所録とスケジュール帳に限定されているため、もし携帯端末側にそれら以外にカーナビゲーション装置と連携して目的地の設定が可能なサービスが追加されたとしても、利用することができないという事情もある。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、目的地位置を特定する情報が複数個あった場合でも移動経路に含まれる各目的地を決定し、経路情報を管理することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る装置は、経路情報を管理することが可能なナビゲーション装置であって、携帯端末との間でデータの送受信を行うためのデータ送受信部と、前記携帯端末から住所録データを受信して管理するための住所録連携部と、前記携帯端末から予定表データを受信して管理するための予定表連携部と、前記予定表データに示された予定について、1つの予定に対応する場所を特定するための情報を前記住所録データの中から検索して抽出し、抽出した1つまたは複数の情報を候補場所特定情報として記録する候補場所特定情報記録部と、それぞれの候補場所特定情報に対応する目的地の位置を特定する情報を、位置特定情報として取得する位置特定情報取得部と、1つまたは複数の位置特定情報の中から1つの位置特定情報を選択する選択部と、選択された位置特定情報に基づいて、移動経路の各目的地を決定し、経路情報を管理する経路管理部と、を有する。ここで、経路情報には、1つ以上の目的地が含まれ、少なくとも、各目的地の位置と立ち寄る順番が記録されている。
【0009】
好ましくは、前記経路管理部で管理される各目的地の位置情報を、前記選択部で選択されなかった位置特定情報に基づいて変更するための位置情報変更部を有する。
【0010】
また、前記経路管理部で管理される各目的地の位置情報を、ユーザの設定入力にしたがった位置特定情報に基づいて変更するためのユーザ設定部を有する。
【0011】
また、前記選択部は、それぞれの位置特定情報に基づいて、現在位置からそれぞれの位置までの距離を算出し、算出された距離が最も小さい位置特定情報を選択する。
【0012】
また、前記選択部は、それぞれの位置特定情報についてユーザとの音声による会話を行い、会話の内容に沿って位置特定情報を選択する。
【0013】
また、前記経路管理部で、携帯端末が切断された際に、ナビゲーション装置側の経路情報を削除する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、目的地位置を特定する情報が複数個あった場合でも、移動経路の各目的地の位置を決定し、経路情報を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係るナビゲーション装置3を含んだ情報連携システム1の機能的な構成を示すブロック図、図2は目的地特定部16の機能的な構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、情報連携システム1は、ナビゲーション装置3および携帯端末4からなる。
【0017】
ナビゲーション装置3は、自動車の運転席の周辺などに設置されるものであり、GPSを利用して獲得した位置情報に基づいて、自分の位置や目的地を画面の地図上に表示する。ナビゲーション装置3によって、設定された経路にしたがったユーザに対する経路案内が行われる。このようなナビゲーション機能それ自体については、カーナビゲーションシステムなどとして従来から知られている。
【0018】
携帯端末4は、携帯電話、PDA、ノートパソコン、またはスマートフォンなどのように、情報処理機能と通信機能を備えた端末装置である。ここでは、携帯端末4が携帯電話である場合を主として説明する。
【0019】
ナビゲーション装置3および携帯端末4は、それぞれ独立して機能を果たすことができるのであるが、これらの間で互いに通信を行って連携することによって、さらに高度な機能をユーザに提供することが可能である。以下詳しく説明する。
【0020】
図1に示すように、ナビゲーション装置3は、連携端末接続検出部11、データ送受信部12、利用可能携帯サービス検出部13、携帯実行中サービス検出部14、連携管理部15、目的地特定部16、経路管理部17、対話部18、およびサービス部19などを備える。
【0021】
連携端末接続検出部11は、ナビゲーション装置3に携帯端末4が接続されたかどうかを検出する。ナビゲーション装置3と携帯端末4との接続は、例えば、Bluetooth、赤外線通信、無線LANなどの無線通信により、またはケーブル接続などによる有線通信で行うことが可能である。
【0022】
データ送受信部12は、通信が確立した後に、携帯端末4との間でデータの送受信を行う。なお、Bluetoothによる場合は、Synchronization ProfileやGeneric Object Exchange Profileなどの標準プロトコルを用い、住所録や予定表などの種々のデータを送受信することができる。したがって、これによった場合には、通信相手の機器の種類やメーカなどに依存することなく、データの送受信を行うことができる。
【0023】
利用可能携帯サービス検出部13は、携帯端末4の側に備わったサービスのうち、ナビゲーション装置3の側から使用することの可能なサービスを検出する。
【0024】
携帯実行中サービス検出部14は、携帯端末4において現在実行中のサービスを検出する。そのようなサービスは、携帯端末4においてユーザが選択して実行させたサービスであり、携帯端末4において管理されている。例えば、携帯端末4でナビ(ナビゲーション)を行っているとき、携帯実行中サービス検出部14は、携帯端末4がナビをサービス中であることを検出する。これによって、携帯端末4におけるナビの続きを、ナビゲーション装置3に移し変えて実行を継続することが可能である。また、ユーザが携帯端末4で音楽を聞いているときは、そのことを検出し、音楽の再生をナビゲーション装置3に移し変えて出力する。また、携帯端末4で電話をかけているときには、そのことを検出し、電話での会話をハンズフリー装置に移し変えて継続可能とする。これによって、例えば、ユーザが、自宅から駐車場の自動車まで歩いているとき、自動車に乗ったとき、目的地の近辺に着いて客先まで歩いているときなど、これらの間においてサービスを中断させることなく、ナビゲーション装置3と携帯端末4とで連携しサービスをうまく継続させることが可能である。
【0025】
連携管理部15は、利用可能携帯サービス検出部13で検出された携帯端末4の側のサービスに連携して、それに対応した処理をナビゲーション装置3の側で行う。
【0026】
すなわち、連携管理部15には、住所録連携部21、予定表連携部22、およびナビ連携部23などが設けられている。住所録連携部21は、携帯端末4から住所録101のデータを受信して管理し、住所録101に応じた処理を行う。つまり、住所録連携部21によって、携帯端末4に保持されている住所録101と同じものを、ナビゲーション装置3において扱うことができる。同様に、予定表連携部22およびナビ連携部23も、携帯端末4から予定表102またはナビ104に関連するデータを受信して管理し、予定表102またはナビ104に応じた処理をそれぞれ行う。
【0027】
目的地特定部16は、目的地設定や経由地設定の候補が複数あった場合に、そのうちの1つを選択して特定する。
【0028】
すなわち、図2に示すように、目的地特定部16には、候補場所特定情報記録部41、位置特定情報取得部42、選択部43、優先順位表44、優先順位規則45、およびプロファイル46が設けられる。
【0029】
候補場所特定情報記録部41は、予定表102に示された予定について、1つの予定に対応する場所を特定するための情報、例えば人名、会社名、部署名、地名、駅名、郵便番号、電話番号、FAX番号などを住所録101の中から検索して抽出し、抽出した1つまたは複数の情報を候補場所特定情報KTJとして記録する。位置特定情報取得部42は、それぞれの候補場所特定情報KTJに対応する地図上の位置を特定する情報を、位置特定情報TTJとして取得する。
【0030】
選択部43は、1つまたは複数の候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJの中から1つの候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJを選択する。選択の際に、必要に応じて、優先順位表44、優先順位規則45、またはプロファイル46などを参照する。優先順位表44は、候補場所特定情報KTJで示される複数の候補場所についての優先順位を記録したものである。
【0031】
優先順位規則45は、複数の候補場所について、優先順位を決めて候補場所を絞るための規則を記録したものである。例えば、目的地のジャンルに応じて優先順位を決める場合に、「得られた候補場所が店と個人宅であった場合には店を優先させる」などである。このような規則(ルール)は、例えば、知識ベースとして保有しておいてもよく、使用によって学習させることも可能である。
【0032】
プロファイル46は、運転者(ユーザ)などの住所、勤務地、担当地域などを記録したものである。
【0033】
このように、選択部43は、候補場所特定情報記録部41によって複数の候補場所が抽出された場合に、種々の方法によって1つの候補場所に絞り込む。その方法の例を次に示す。
(1) プロファイル46を用いて候補場所を1つに絞り込む。
(2) そのときの自動車の現在地や到着予定時刻から候補場所を1つに絞り込む。
(3) その他の方法により候補場所を1つに絞り込む。
【0034】
さらに詳しくは、例えば次のとおりである。
(4) 複数の候補場所のうち、現在位置からの距離が近いところを選択する。
(5) ユーザの自宅からの距離が近いところを選択する。
(6) 現在位置からの到着時間が早いところを選択する。
(7) 優先順位に基づいて選択する。優先順位は、例えば、優先順位表44に予め設定されたものを用いる。または、携帯端末4の住所録101において設定された優先順位を用いる。
(8) 優先順位規則45に基づいて選択する。
(9) 過去の履歴データに基づいて選択する。例えば、最も最近にいったところを優先的に選択する。また、目的地となった頻度の高いところを優先的に選択する。そのような履歴データや頻度データは、目的地設定部20において記録して保持しておけばよい。
【0035】
経路管理部17は、経路情報を管理する。経路情報には、1つ以上の目的地が含まれ、少なくとも、各目的地の位置、立ち寄る順番、スケジュール上の立ち寄り時間が記録されている。
【0036】
経路管理部17は目的地設定部20を備える。目的地設定部20は、ナビゲーション装置3において、目的地や経由地の設定を自動的に行う。その際に、住所録連携部21、予定表連携部22、またはナビ連携部23などを利用することがある。
【0037】
また、経路管理部17は、ユーザが手動で目的地を設定するためのユーザ設定部24を備える。ユーザ設定部24は、例えば、表示部31で表示された地図上の位置情報を、ユーザの設定入力にしたがった位置特定情報TTJに基づいて変更する。その際に、候補場所特定情報記録部41によって抽出された候補場所をユーザに提示し、その中からユーザに選択してもらうことが可能である。また、候補場所がなかった場合に、住所または電話番号などの目的地位置を特定するための情報をユーザに入力してもらうことも可能である。ポインティングデバイスをユーザが操作して地図上で位置を直接に指定することも可能である。ナビゲーション装置3においてユーザにより設定された内容を携帯端末4に送信することによって、それを携帯端末4の住所録101に反映させるようにすることも可能である。
【0038】
なお、表示部31の画面上において、地図および選択された位置特定情報TTJが表示されるが、その画面の周辺部に、選択されなかった他の位置特定情報TTJを表示し、ユーザがその中から選択できるようにしてもよい。また、選択部43で用いる選択方法および用いた選択方法を示すメッセージを画面上に表示し、選択方法をユーザに選択させるようにしてもよい。また、そのような選択方法に優先順位を予めつけておいてもよい。
【0039】
対話部18は、ユーザと対話的な操作を行なってユーザの意思を取得するものであり、対話によってユーザが入力を行うことができる。すなわち、例えば、目的地特定部16において候補場所を1つに絞り込めなかった場合、または候補場所が1つもなかった場合などにおいて、ユーザとの対話処理によって1つの候補場所を特定することができる。また、対話によって、ユーザが候補場所を絞り込むための方法を選択したり、優先順位の指定などを行うことも可能である。
【0040】
サービス部19には、ナビゲーション部25が設けられている。ナビゲーション部25には、表示部31およびデータベース32が設けられている。
【0041】
表示部31は、LCDなどを用いたディスプレイ装置であり、選択された位置特定情報などに基づいて、画面上に地図を表示し、且つその地図上に位置情報を表示する。
【0042】
データベース32は、ナビゲーションを行うに必要なデータを格納している。例えば、住所、地名、郵便番号、電話番号などの場所や建物などを特定するための情報に対応した経度および緯度の情報を格納する。
【0043】
携帯端末4は、車載端末接続検出部51、データ送受信部52、連携管理部53、およびサービス部54などを備える。サービス部54には、住所録101、予定表102、通話103、ナビ104、および電子メール105などの機能が備わっている。
【0044】
車載端末接続検出部51は、携帯端末4がナビゲーション装置3に接続されたかどうかを検出する。データ送受信部52は、通信が確立した後に、ナビゲーション装置3との間でデータの送受信を行う。連携管理部53は、ナビゲーション装置3との連携に関連する情報および処理を管理する。また、携帯端末4において利用しているサービスを把握して管理する。
【0045】
サービス部54には、住所録101、予定表102、通話103、ナビ104、および電子メール105などの機能が備わっている。
【0046】
住所録101には、通常、個人名、会社名、部署名、地名、郵便番号、電話番号、FAX番号、電子メールアドレス、メモなどが記録される。
【0047】
予定表102には、通常、訪問したり待ち合わせすべき場所についての情報、つまり個人の名前、会社名、部署名、地名、または電話番号などの情報と、訪問日時についての情報とが関連付けられて記録される。
【0048】
通話103は、携帯端末4を携帯電話として機能させるサービスである。ナビ104は、携帯端末4を携帯電話を介してネットワークに接続し、携帯端末4単独でナビゲーション装置として機能させるサービスである。電子メール105は、ネットワークに接続して電子メールの送受信を行うサービスである。
【0049】
次に、情報連携システム1の動作および操作の例を説明する。
【0050】
ナビゲーション装置3および携帯端末4の電源がオンとなって動作中に、ユーザが携帯端末4を持って移動し、ナビゲーション装置3を搭載した自動車に近づく。これによって、ナビゲーション装置3と携帯端末4との間の通信接続が確立する。接続が一旦確立すると、ナビゲーション装置3の利用可能携帯サービス検出部13は、携帯端末4のサービス部54にあるサービスのうち、ナビゲーション装置3から利用可能なサービス、例えば住所録101および予定表102を検出し、携帯実行中サービス検出部14および連携管理部15に通知する。
【0051】
ナビゲーション装置3の携帯実行中サービス検出部14は、それら利用可能なサービスのうち、携帯端末4において現在実行中であるサービスを検出し、連携管理部15に通知する。なお、携帯端末4の利用状況によっては、現在実行中であるサービスが存在しない場合がある。
【0052】
利用可能なサービスを通知された連携管理部15は、そのサービスに対応するナビゲーション装置3の側の連携部、例えば、住所録101と対応する住所録連携部21および予定表102に対応する予定表連携部22を用いて、住所録101および予定表102を利用可能とする。具体的には、例えば、携帯端末4から住所録101および予定表102を転送させ、連携管理部15において処理可能とする。これらのサービスが連携管理部15において利用可能となると、その旨が目的地設定部20に通知される。
【0053】
目的地設定部20では、予定表連携部22を介して携帯端末4から取得した予定表102から、現在以降の予定について、人名や会社名など、目的地の場所を特定するための情報(候補場所特定情報KTJ)とその時間的な順序とを取得する。その際に、携帯端末4から取得した住所録101を参照する。そして、取得した候補場所特定情報KTJを目的地特定部16に送る。なお、携帯端末4との連携が可能になった段階で、目的地設定部20が予定表連携部22を介して携帯端末4から予定表102を取得するようにしておいてもよい。
【0054】
目的地特定部16では、送られてきた候補場所特定情報KTJについて、それぞれの候補場所特定情報KTJに対応する地図上の位置を特定する情報、つまり情報位置特定情報TTJを取得する。候補場所特定情報KTJから位置特定情報TTJを取得するに当たって、ナビゲーション部25に設けられたデータベース32を利用する。また、必要に応じて、住所録101の情報を利用する。このとき、1つの予定について複数の候補場所特定情報KTJがある場合には、それらの候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJの中から1つのみを選択する処理を行う。これについては後で詳しく説明する。
【0055】
目的地特定部16で各予定について1つの位置特定情報TTJが得られると、それを予定表102から得られた順序にしたがって、サービス部19のナビゲーション部25に送る。ナビゲーション部25において、位置特定情報TTJとその順序とに基づいて、地図上に現在位置から最終の予定の位置までの経路の設定を行う。
【0056】
なお、上の説明において、目的地設定部20では、予定表102から候補場所特定情報KTJを取得するとしたが、これに代えて、予定表102に記録された情報のうち人名や会社名など、目的地の場所を特定するための情報のみを取得し、候補場所特定情報KTJの取得は目的地特定部16において行うようにしてもよい。この場合は、目的地設定部20では予定表102のみを参照することで十分であり住所録101を参照する必要性はなく、目的地特定部16において住所録101を参照して候補場所特定情報KTJを取得すればよい。
【0057】
また、目的地設定部20において、ナビゲーション部25に経路を設定するとともに、予定表102を更新し、ナビゲーション装置3で管理される経路情報と携帯端末4側で管理されるスケジュール情報とを同一にするようにしてもよい。このとき、経路情報に、予定表102に記載されていた情報を合わせて記録するようにしておけば、予定を書き戻した場合でも、最初の予定表に記載した表記内容を失わずに書き戻すことができる。このようにしたときに、携帯端末接続検出部11において携帯電話の切り離しを検知し、経路管理部17の経路情報を削除するとともに、候補場所リストKTL、位置特定リストTTL、位置設定リストTSLなどに含まれる情報を削除し、ナビゲーション装置3に予定表に関係する情報を残さないようにしてもよい。
【0058】
次に、目的地特定部16における処理の例について、具体例を用いて説明する。
【0059】
図3は住所録101の例を示す図、図4は予定表102の例を示す図、図5は候補場所リストKTLの例を示す図、図6は位置特定リストTTLの例を示す図、図7は位置設定リストTSLの例を示す図である。
【0060】
本日が10月1日の朝であるとすると、図4に示す予定表102から、当日の予定を読み取り、その中から、目的地を示す情報を抽出する。図3の例では、9時に「大阪」「AA社」「aa様」、11時に「渡辺様」「関西」、14時30分に「BB社」「資材」が抽出される。
【0061】
これらに情報に基づいて、候補場所特定情報記録部41は、図3に示す住所録101を参照し、それぞれの予定の候補場所特定情報KTJを取得する。9時に「大阪」「AA社」「aa様」については、住所録101から唯一の候補場所特定情報KTJ、例えば「AA社」の住所が取得されたとする。位置特定情報取得部42は、「AA社」の住所に基づいて、データベース32を参照し、この住所に対応する位置特定情報TTJである緯度および経度を取得する。その結果が、図7に示す位置設定リストTSLの第1番に記録されている。なお、住所が不詳な場合には、郵便番号や電話番号などに対応して緯度および経度が取得される。
【0062】
次に、11時については、「渡辺様」「関西」に対応して、住所録101から「渡辺○○」「渡辺△△」「山田○○」の3つの候補場所特定情報KTJが取得される。つまり、「渡辺様」に対応して、2人の名前「渡辺○○」「渡辺△△」が、「関西」に対応して1人の名前「山田○○」が、それぞれ取得される。その結果が、図5に示す候補場所リストKTLである。
【0063】
候補場所リストKTLについて、それぞれの候補場所の位置特定情報TTJが、データベース32を参照して取得される。つまり、まず、「渡辺○○」について、その住所に対応する緯度および経度が取得され、同様に、「渡辺△△」「山田○○」についても、それらの住所に対応する緯度および経度が取得される。その結果が、図6に示す位置特定リストTTLである。なお、図6に示す位置特定リストTTLは、図5に示す候補場所リストKTLに追記したものでもよい。
【0064】
次に、選択部43は、3つの候補場所の中から1つの候補場所を選択する。選択に当たって、優先順位表44、優先順位規則45、またはプロファイル46などを参照する。
【0065】
例えば、上に述べた絞り込み方法(4)を適用し、現在位置からの距離が近いところを選択する場合では、まず、各候補場所の位置特定情報TTJとGPSによる現在位置(経度および緯度)とに基づいて、二者間の距離を算出する。算出は、それぞれの経度および緯度の差から容易に行える。そして、その距離の短いものから順に候補場所をソートし、最上位の候補場所を目的地として選択する。
【0066】
また、上に述べた絞り込み方法(5)を適用し、ユーザの自宅からの距離が近いところを選択する場合では、まず、プロファイル46を参照してユーザの自宅の住所を取得し、データベース32を参照して経度および緯度を取得する。そして、(4)の場合と同様にして各二者間の距離を算出する。
【0067】
また、上に述べた絞り込み方法(6)を適用し、現在位置からの到着時間が早いところを選択する場合では、各二者間の経路を地図情報に基づいて決定し、その経路の制限速度、距離、道路の状況、信号の個数などに基づいて所要時間を算出する。所要時間の最も少ない候補場所を選択する。
【0068】
また、上に述べた絞り込み方法(9)を適用し、最も最近にいったところを優先的に選択する場合では、目的地設定部20に保持された履歴データに基づいて、3つの候補場所のうちの最も最近に目的地として設定された候補場所を選択する。
【0069】
その他、候補場所の選択に当たって、種々の方法を採用することが可能である。また、上に述べたように、候補場所の選択をユーザによって修正し、また選択方法をユーザが決定することとしてよい。
【0070】
ここでの例では、「渡辺○○」が選択され、その結果が図7に示す位置設定リストTSLの第2番に記録されている。
【0071】
次に、14時30分については、「BB社」「資材」に対応して、住所録101から唯一の候補場所特定情報KTJ、例えば「BB社」の住所が取得されたとする。この住所に対応する緯度および経度が取得され、その結果が、図7に示す位置設定リストTSLの第3番に記録される。
【0072】
ナビゲーション部25において、得られた位置設定リストTSLに基づいて、地図上にそれぞれの位置が設定され、画面の地図上に表示される。
【0073】
次に、目的地特定部16における処理をフローチャートを参照して説明する。
【0074】
図8は位置特定情報取得処理を示すフローチャート、図9は位置特定情報取得処理の他の例を示すフローチャート、図10は選択処理の例を示すフローチャート、図11は選択処理の他の例を示すフローチャートである。
【0075】
図8において、候補場所リストKTLを作成する(#1)。候補場所リストKTLに記録されている要素が1つであれば(#2でイエス)、それを候補場所として決定する(#7)。要素が1つもなければ(#3でイエス)、ユーザによって候補場所の設定または決定を行う(#6)。要素が複数あれば(#2および3でノー)、その中から1つを選択する(#4)。ユーザによる修正が必要であれば(#5でイエス)、ユーザによって候補場所の設定または決定を行う(#6)。
【0076】
図9において、まず、候補場所リストKTLを作成する(#11)。候補場所リストKTLに記録されている要素を上から順に1つ取り出す(#12)。取り出した候補場所に位置特定情報TTJは含まれているかどうかを判断する(#13)。ステップ#13でイエスである場合には、その位置特定情報TTJを位置特定リストTTLに記録する(#14)。なお、ステップ#13および#14では、例えば、GPSを利用して携帯電話などから緯度および経度を取得できた場合に、これを位置特定情報TTJとしてそのまま用いる。
【0077】
ステップ#13でノーの場合に、住所情報がある場合に(#15でイエス)、住所情報から位置特定情報TTJを検索し、位置特定リストTTLに記録する(#16)。ステップ#15でノーの場合に、電話番号情報がある場合に(#17でイエス)、電話番号情報から位置特定情報TTJを検索し、位置特定リストTTLに記録する(#18)。ステップ#17でノーの場合に、名称から位置特定情報TTJを検索し、位置特定リストTTLに記録する(#19)。
【0078】
ステップ#11で作成した候補場所リストKTLについて全部の処理が終了するまでこれらを繰り返す(#20)。その後、位置特定リストTTLの要素が1つであった場合には(#21でイエス)、その1つの位置特定情報TTJを用いる。位置特定リストTTLの要素が複数あった場合には(#21でノー)、その中から1つに選択する処理を行う(#22)。
【0079】
図10において、GPSによって現在位置を取得する(#31)。位置特定リストTTLから各候補場所の位置特定情報TTJを取り出す(#32)。現在位置とそれぞれの位置特定情報TTJとの間の距離を算出し、位置特定情報TTJを距離の短い順にソートする(#33)。ソートされた位置特定リストTTLの先頭の候補場所を選択する(#34)。
【0080】
図11において、候補場所リストKTLが空でない場合に(#41でノー)、GPSによって現在位置を取得する(#42)。位置特定リストTTLから各候補場所の位置特定情報TTJを取り出す(#43)。現在位置とそれぞれの位置特定情報TTJとの間の距離を算出し、位置特定情報TTJを距離の短い順にソートする(#44)。ソートされた位置特定リストTTLの先頭の候補場所を選択する(#45)。候補場所リストKTLが空である場合に(#41でイエス)、目的地が見つからないことを目的地設定部20に通知する(#46)。目的地設定部20のユーザ設定部24は、ユーザに対して目的地の入力を要求する(#47)。これは、例えば、表示部31の画面にその旨のメッセージを表示し、または音声を出力することによって行われる。ユーザは、それに対応して、目的地を設定入力する。
【0081】
なお、ユーザによる入力または設定などは、ユーザによる操作パネルなどの操作、または音声によるナビゲーション装置3との対話などによって行われる。例えば、ユーザが画面上のタッチパネルによって直接に目的地の位置を指定する、操作パネルの操作によって位置特定情報TTJを入力する、住所などを入力する、またはナビゲーション部25に準備された検索入力画面にそって指示することなどである。
【0082】
次に、対話部18の構成例について説明する。
【0083】
図12は対話部18の構成の例を示すブロック図である。
【0084】
図12において、対話部18には、音声合成部26、音声認識部27、音声シナリオ作成部28、および文法作成部29などが設けられる。音声シナリオ作成部28には、作成されたシナリオ47が格納される。文法作成部29には、辞書48、ひな型49などが設けられる。
【0085】
音声合成部26は、シナリオ47に基づいて音声を合成して図示しないスピーカーから出力する。音声認識部27は、図示しないマイクから入力された音声信号を認識する。認識に当たって、辞書48およびひな型49を参照する。辞書48には、連携管理部15で用いられた住所録101または予定表102などに記録されていた語句が登録されている。それら登録された語句に基づいて音声認識が行われる。音声シナリオ作成部28は、上に述べた実施形態に沿って、候補場所の選択または設定、位置特定情報TTJの修正、その他のナビゲーション装置3または携帯端末4の動作または処理が行われるように、シナリオ47を作成する。シナリオ47の作成に、候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJなどが用いられる。シナリオ47として、例えば、「今日の予定の○○を目的地に設定しますか?」「携帯の目的地○○を車載機に設定しますか?」「候補場所の選択方法を選んでください」「候補場所の選択のための優先順位を変更しますか?」「優先順位の第1を指定してください」、その他の種々の文章などがある。このように、対話部18は、ユーザと対話的な操作を行なってユーザの意思を取得する。
【0086】
上の実施形態によると、目的地位置を特定する候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJが複数個あった場合でも、それらの中から1つの候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJを適切に自動選択することができ、それに基づいて地図上に位置情報を表示することができる。自動選択された位置特定情報TTJがユーザにとって適切でなかった場合には、ユーザによってそれを修正することができ、結果としてユーザにとって必要な位置特定情報TTJが選択される。また、候補場所特定情報KTJが1つもなかった場合でも、ユーザによる設定が行われ、適切な位置情報の表示が行われる。ユーザによる設定または選択の際に、それに関連する種々の情報が画面に表示され、または音声出力され、ユーザはそれらの情報を参照して設定を行うことができるので、適切な設定を迅速に行うことができる。
【0087】
上に述べた実施形態において、候補場所特定情報KTJまたは位置特定情報TTJが複数ある場合に、選択部43においてそれらのいずれを選択して1つに絞り込んでもよい。住所録101および予定表102として、種々の項目を有した種々のフォーマットのものが含まれる。
【0088】
上に述べた実施形態では、目的地特定部16および目的地設定部20などがナビゲーション部25とは別個に設けられた例を説明したが、目的地特定部16および目的地設定部20などがナビゲーション部25の内部に設けられた構成としてもよい。これらの構成については種々の形態をとりうる。
【0089】
上に述べた実施形態において、住所録101が携帯端末4に設けられているが、これとは別個の住所録をナビゲーション装置3に独自に設けておいてもよい。その場合に、候補場所特定情報KTJを住所録データの中から検索して抽出する場合に、ナビゲーション装置3または携帯端末4のいずれの住所録を優先させるかについて、優先順位を決めておけばよい。
【0090】
上の実施形態において、目的地特定部16および目的地設定部20の構成、処理内容、処理順序などは、上に述べた以外に種々変更することができる。目的地特定部16と目的地設定部20とを分ける必要は必ずしもない。その他、ナビゲーション装置3、携帯端末4、または情報連携システム1の全体または各部の構成、構造、個数、処理の内容または順序、画面の表示内容、音声の出力内容などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る情報連携システムの機能的な構成を示すブロック図である。
【図2】目的地特定部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】住所録の例を示す図である。
【図4】予定表の例を示す図である。
【図5】候補場所リストの例を示す図である。
【図6】位置特定リストの例を示す図である。
【図7】位置設定リストの例を示す図である。
【図8】位置特定情報取得処理を示すフローチャートである。
【図9】位置特定情報取得処理の他の例を示すフローチャートである。
【図10】選択処理の例を示すフローチャートである。
【図11】選択処理の他の例を示すフローチャートである。
【図12】対話部の構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
1 情報連携システム
3 ナビゲーション装置
4 携帯端末
12 データ送受信部
15 連携管理部
16 目的地特定部
17 経路管理部
18 対話部
19 サービス部
20 目的地設定部
21 住所録連携部
22 予定表連携部
23 ナビ連携部
41 候補場所特定情報記録部
42 位置特定情報取得部
43 選択部
44 優先順位表
45 優先順位規則
46 プロファイル
KTJ 候補場所特定情報
TTJ 位置特定情報
KTL 候補場所リスト
TTL 位置特定リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路情報を管理することが可能なナビゲーション装置であって、
携帯端末との間でデータの送受信を行うためのデータ送受信部と、
前記携帯端末から住所録データを受信して管理するための住所録連携部と、
前記携帯端末から予定表データを受信して管理するための予定表連携部と、
前記予定表データに示された予定について、1つの予定に対応する場所を特定するための情報を前記住所録データの中から検索して抽出し、抽出した1つまたは複数の情報を候補場所特定情報として記録する候補場所特定情報記録部と、
それぞれの候補場所特定情報に対応する目的地または経由地の位置を特定する情報を、位置特定情報として取得する位置特定情報取得部と、
1つまたは複数の位置特定情報の中から1つの位置特定情報を選択する選択部と、
選択された位置特定情報に基づいて、目的地や経由地の位置を決定し経路情報を管理する経路管理部と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路管理部で管理される目的地や経由地の各位置情報について、前記選択部で選択されなかった位置特定情報に基づいて変更するための位置情報変更部を有する、
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路管理部で管理される目的地や経由地の各位置情報について、ユーザの設定入力にしたがった位置特定情報に基づいて変更するためのユーザ設定部を有する、
請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記選択部は、それぞれの位置特定情報に基づいて、現在位置からそれぞれの位置までの距離を算出し、算出された距離が最も小さい位置特定情報を選択する、
請求項1ないし3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選択部は、それぞれの位置特定情報についてユーザとの音声による会話を行い、会話の内容に沿って位置特定情報を選択する、
請求項1ないし3のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−147439(P2007−147439A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342022(P2005−342022)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】