説明

ナビゲーション装置

【課題】走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両ナビゲーション装置は、衛星からの信号に基づいて自己の位置の測位と自己の移動速度の算出をする衛星測位部1と、衛星測位部1による位置の測位結果に基づいて車両用ナビゲーションを行う車両ナビゲーション部2と、加速度の測定をする加速度センサ4と、衛星測位部1の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、加速度センサ4の測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、操作キー6等の所定の入力部または所定の入力を有効にする入力制御部5とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や無線端末などの携帯端末装置に内蔵される車両ナビゲーション装置等の車両ナビゲーション装置にする。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global-Positioning-System)による測位技術は、軍事用途から民生用途への幅広い分野で実用化が進み、例えば自動車のナビゲーション装置として利用されている。近年は、ナビゲーション機能が携帯端末(携帯電話)にも標準装備されている。従来の車載ナビゲーション装置と異なり、携帯端末型のナビゲーション装置はドライバが手に持って操作できることから安全性が問題になる。ドライバが運転時に携帯端末を操作しないような法的規制による対策も実施されている。
【0003】
ドライバの安全性を確保するために、車両に固定された従来のカーナビゲーション装置では、車両に設置された車速センサの出力値を信号線を介してカーナビゲーション装置に入力して、静止中か走行中かを判定し、走行中はカーナビゲーション装置のユーザによるキー操作を無効にしていた。
【0004】
携帯端末のナビゲーション装置においては、乗車の度に車速センサの信号線を接続する手間がかかるため、車速センサを利用することは現実的ではない。そこで、車速センサの代わりに加速度センサを用いて、携帯端末(移動体)が走行しているときにはキー操作が無効になる機能を有するものがある。(例えば特許文献1参照。)
走行と静止(停止)の判定には、加速度センサを用いて行う方法がある。(例えば特許文献2参照)これは、加速度センサの出力信号の振幅が所定以下の場合に、静止であると判定する方法である。
【0005】
特許文献3に記載されているように、GPS衛星信号の周波数シフト量から移動物体の移動速度を算出する方法があるが、この移動速度の測定精度が低いため移動体の静止判定に利用することは実用的ではなかった。
【特許文献1】特開平8−285621号公報
【特許文献2】特開平8−043113号公報
【特許文献3】特開平4−121618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の加速度センサを用いた静止判定では、移動速度を、加速度がゼロでないことや加速度の変動量から判定していたため、一定速度の直進運動をしている場合に静止状態であると誤判定し、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまう場合があった。
【0007】
一方、走行中でないのに、ユーザが携帯端末を手に持った状態でキー操作を行うと、ユーザのキー操作などによって加速度センサの出力が変動するため、走行中であると誤って判定し、キー操作を無効にしてしまう場合があった。この場合、携帯端末の操作は固定台などに置いた状態に限定されてしまうので、ユーザにとってキー操作性が悪くなる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の車両ナビゲーション装置は、携帯可能な車両ナビゲーション装置において、衛星からの信号に基づいて自己の位置の測位と自己の移動速度の算出をする衛星測位部と、前記衛星測位部による位置の測位結果に基づいて車両用ナビゲーションを行う車両ナビゲーション部と、加速度の測定をする加速度センサと、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする入力制御部と、を有する構成とした。
【0010】
この構成により、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の車両ナビゲーション装置は、前記入力制御部は、起動後から最初の経路検索開始時又は最初の経路検索完了時までは、前記衛星測位部の算出した移動速度及び前記加速度センサの測定した加速度にかかわらず、所定の入力部または所定の入力を有効にし、最初の経路検索開始後又は最初の経路検索完了後は、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする構成とした。
【0012】
この構成により、最初の経路検索までは、ドライバ等のユーザが車両ナビゲーション装置を手に持って操作している程度の加速度が検出されても、最初の経路検索はすることができるので利便性を損なわずに、走行中のドライバ等のユーザは案内開始などの入力をすることはできなくなるので安全性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の車両ナビゲーション装置は、前記加速度センサは、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以上の場合に、オフになるものを含む。
【0014】
この構成により、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合を減らしつつ、低消費電力化を図ることができる。
【0015】
また、本発明の車両ナビゲーション装置は、前記加速度センサは、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以上の場合に、動作頻度を低くするものを含む。
【0016】
この構成により、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合を減らしつつ、低消費電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置(以下、簡単のため、単に、ナビゲーション装置という場合もある。)の概略構成図である。ここで、車両ナビゲーション装置は携帯可能な携帯端末であり、ポータブルナビゲーション(PND(Personal−Navigation−Devices))や携帯電話やその他の携帯端末である。なお、携帯型のナビゲーション装置は、車両走行時の車両ナビゲーション機能と、図示しない歩行時のナビゲーション機能(歩行ナビゲーション機能)の2種類の機能が搭載されていてもよい。歩行ナビゲーション機能は、携帯端末を手持ち状態で利用するのに対して、車両ナビゲーション機能は携帯端末を、固定台や充電台などを用いて車内に固定した状態で利用することが一般的である。
【0020】
本発明の実施の形態1では、車両ナビゲーション機能について、車内に固定した状態にあること前提に説明する。なお、歩行ナビゲーション機能は従来技術と同様なので詳細説明は省略する。
【0021】
本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置は、図1に示すように、衛星からの信号に基づいて自己の位置の測位と自己の移動速度の算出をする衛星測位部1と、衛星測位部1による位置の測位結果に基づいて車両用ナビゲーションを行う車両ナビゲーション部2と、加速度の測定をする加速度センサ4と、衛星測位部1の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、加速度センサ4の測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、操作キー6等の所定の入力部または所定の入力を有効にする入力制御部5とを有する。また、表示装置3を有する。また、これに加えて、本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置は、入力制御部が所定の入力部または所定の入力を有効としたときの自己の位置の測位結果を記憶する記憶部7を有してもよい。
【0022】
衛星測位部1は、GPS衛星などの測位衛星からの電波を受信し、これに基づいて自己の位置の測位と自己の移動速度の算出をする。ここで、自己の位置の情報としては、緯度経度の位置情報を算出する。
【0023】
車両ナビゲーション部2は、衛星測位部1で測定した緯度経度の位置情報をもとに、車両ナビゲーション動作を行う。ここで、車両ナビゲーション動作とは、ユーザが目的地を設定すると最適なルート検索を行ったり、表示装置3を通してルート案内をしたり、ユーザが知りたい地図や周辺情報を検索したり表示したりする機能をさしている。
【0024】
なお、従来の車内に固定されたカーナビゲーション装置では、ドライバの安全性を確保するために、車両に設置された車速センサの出力値を信号線を介してカーナビゲーション装置に入力して、静止中か走行中かを判定し、走行中はカーナビゲーション装置のキー操作を無効にしていた。一方、携帯端末のナビゲーション装置では、車両に乗車するたびに車速センサの信号線を接続する手間がかかるため、車速センサを利用することは現実的ではない。そこで、車速センサの代わりに加速度センサを用いて、携帯端末(移動体)が走行しているときにはキー操作を無効にすることが一般的である。
【0025】
これに対して、車両ナビゲーション部2は、車両の静止状態において、ユーザが地図や周辺情報を見たりルート検索を行うときは、操作キー6を用いて入力を行う。なお、入力部としては、操作キー6のようなキーだけでなく、タッチパネルやセンサを用いた入出力を行う入力部などであってもよい。
【0026】
加速度センサ4は、種々のものを用いることができる。ここでは、動加速度と重力加速度を検出するタイプの加速度センサを用いた場合について説明する。
【0027】
入力制御部5は、加速度センサ4の出力信号である移動速度情報から車両ナビゲーション装置が走行しているか、静止しているか、を判定するものである。走行中であると判定したときは、操作キー6が操作できないように無効にする。これにより、ドライバであるユーザが走行中においては車両ナビゲーション装置を操作できないようにするため、ドライバのモラルに依存することなく、安全性が確保できる。
【0028】
次に、本発明の実施の形態1の発明のポイントとなる静止判定方法について説明する。
【0029】
従来の加速度センサ4のみを用いた静止判定は、加速度がゼロでないことや変動量から判定していたため、一定速度の直進運動をしている移動体が静止であると誤判定する危険性があった。
【0030】
そこで、衛星測位部1において、衛星信号の周波数シフトから算出した移動体の移動速度を入力制御部5に入力し、加速度センサ4の出力結果と移動速度測定結果から静止判定を行う。
【0031】
次に、入力制御部5における、加速度情報と移動速度情報に基づいた静止判定方法について、詳細に説明する。
【0032】
図2(1)は、加速度センサ4で検出した加速度ベクトルaから重力加速度ベクトルgを引いたベクトルの絶対値Δaを縦軸に、時間tを横軸にしたグラフである。重力加速度ベクトルは、静止しているときの加速度センサの加速度ベクトルであり、携帯端末を車内に固定したあとに、ユーザが事前に測定するか、携帯端末が自動的に測定して保存しておく。車内に固定した状態で、車両が静止しているときに測定した加速度センサベクトルが重力加速度ベクトルである。
【0033】
なお、重力加速度の測定方法としては、加速度センサ出力を数十分から数時間の長時間にわたって繰り返し測定した結果を保存し、その値の平均をとったものを重力加速度ベクトルとすることもできる。
【0034】
静止状態の第一の候補としては、加速度Δaが所定値A1より小さい時間帯xを静止状態の第一の候補とする。図2(1)のグラフでは、静止状態の第一候補はx1、x2、x3、x4、x5である。
【0035】
図2(2)は、縦軸を衛星測位から算出される移動体の移動速度、横軸を時間としたときのグラフを示す。
【0036】
静止状態の第二の候補としては、移動体の移動速度が、所定値B1より小さい時間帯を第二の静止状態の候補yとする。図2(2)のグラフにおいては、第二の静止状態の候補はy1とy2である。
【0037】
次に、静止状態の第一の候補であって、かつ、静止状態の第二の候補である区間を算出し、これを静止状態として確定する。図2(2)のグラフにおいては、判定した静止状態はx1、x5のみとなる。
【0038】
なお、従来の加速度センサを用いた静止判定では、静止状態はx1、x2、x3、x4、x5であり、移動体が走行しているにも関わらず、例えばx2を静止状態と誤判定してしまっていた。これに対して、本実施の形態1のように、移動速度からわかる第二の静止状態の候補を組み合わせることで、誤判定を避けることができる。
【0039】
なお、衛星測位からわかる移動速度は測定精度が悪いので、第二の静止状態の候補だけでは、正確な静止判定はできない。従って、静止判定の基本的な部分は加速度センサを用いるが、移動速度の結果も利用することで、より精度の高い静止判定でできるところがポイントである。
【0040】
さらに、静止状態をより正確に判定するために、静止状態が所定時間T以上連続で続いた場合にのみ、静止と判定するようにしてもよい。加速度ベクトルΔaがゼロに近くなる場合が時折あったとしても、実際に車両が停止していると判定できるのは、ある程度長い時間に渡って加速度ベクトルΔaがゼロに近い場合であると考えられるからである。
図2の例において、このより正確な静止判定方法を適用すると、静止状態はx1のみとなる。
【0041】
図3は、本実施の形態の車両ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0042】
まず、車両ナビゲーション装置が起動される(ステップS1)。この状態では、入力制御部5は、衛星測位部1の算出した移動速度や加速度センサ4の測定した加速度の値にかかわらず、操作キー6等の所定の入力部または所定の入力を有効にする。このようにするのは、最初の経路検索までは、ドライバ等のユーザが車両ナビゲーション装置を手に持って操作している程度の加速度が検出されても、最初の経路検索をすることができるようにするためである。したがって、この状態で、操作キー6等の所定の入力部または所定の入力を用いて、経路検索などが行われる。このため、利便性を損なうことはない。
【0043】
経路検索開始又は完了後、静止判定機能がオンになる(ステップS2)。加速度センサの出力信号である加速度情報から判定した静止判定結果(ステップS3)が走行と判断された場合は、操作キーを無効にし(ステップS6)、ドライバ等のユーザが操作できないようにする。
【0044】
一方、静止判定結果(ステップS3)が静止のときは、衛星測位から算出した移動速度情報による静止判定(ステップS4)を行い、走行と判断された場合は、操作キーを無効にし(ステップS7)ドライバ等のユーザが操作できないようにする。
【0045】
一方、静止判定(ステップS4)が静止と判断された場合、および移動速度が不明の場合は、静止状態であると判断して、キー操作を有効とする(ステップS5)。
【0046】
すなわち、ステップS3及びステップS4により、入力制御部5は、衛星測位部1の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、加速度センサ4の測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする。
【0047】
車両ナビゲーション装置は、入力制御部5により、所定の入力部または所定の入力を有効にされた場合には案内開始などの入力を受け付け、入力を無効にされた場合には案内開始などの入力を受け付けない。このため、走行中のドライバ等のユーザは案内開始などの入力をすることができなくなるので安全性を高めることができる。
【0048】
なお、ステップS4において、移動速度が不明の場合とは、衛星が見えない場所にいた場合などを指し、このときは加速度センサのみの静止判定を行う。
【0049】
以下、車両ナビゲーション装置は、ステップS3からステップS6までの静止判定動作を常に繰り返し、静止か走行かを判断しながら、操作キーを制御する。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置によれば、従来の静止判定よりも正確な静止判定が可能となり、また、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供することができる。また、これにより、ドライバの安全性を高めることもできる。
【0051】
(実施の形態2)
加速度センサと移動速度の組み合わせによる静止判定方法の別の方法を実施の形態2として、次に説明する。
【0052】
実施の形態2の概略構成図と動作フローチャートは実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0053】
図4に本実施の形態2の加速度を用いた静止判定方法を示す。
【0054】
図4(1)は、加速度センサの加速度ベクトルの変動量bを縦軸に、時間tを横軸にしたグラフである。変動bが所定値A2より小さい時間帯xを静止状態の第一の候補とする。図示のグラフでは、静止状態の候補はx3とx4である。ここで変動量とは、加速度センサ出力値のばらつきを示すもので、例えば、現在の時間からある時間だけ過去の区間における加速度センサ出力データの離散データの標準偏差などである。
【0055】
図4(2)は、縦軸を衛星測位から算出される移動体の移動速度、横軸を時間としたグラフを示す。移動体の移動速度が、所定値B1より小さい時間帯を第二の静止状態の候補yとする。図示のグラフにおいては、第二の静止状態の候補はy1である。
【0056】
次に、xとyの重なり部分を算出し、これを静止状態として確定する。図示のグラフにおいては、判定した静止状態はx3のみとなる。
【0057】
さらに、静止状態をより正確に判定するために、実施の形態1と同様に、静止状態が所定時間T以上連続で続いた場合に、静止と判定することにしてもよい。
【0058】
実施の形態1と実施の形態2の静止判定の結果はほぼ同じとなるが、実施の形態2は、重力ベクトルがわからなくても判定できるという利点がある一方、変動量bを算出するために、標準偏差などを計算する必要があるため、信号処理量が多くなりCPUの占有時間が増えるとともに消費電力が大きくなるという欠点もある。
【0059】
(実施の形態3)
実施の形態3は、加速度センサと移動速度の組み合わせによる静止判定において、低消費電力を実現する方法である。
【0060】
実施の形態3の概略構成図と静止判定の動作フローチャートは実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0061】
図5(1)は、加速度センサベクトルaから重力加速度ベクトルgを引いたベクトルの絶対値Δaを縦軸に、時間tを横軸にしたグラフである。
【0062】
図5(2)は、縦軸を衛星測位から算出される移動体の移動速度、横軸を時間としたグラフを示す。移動体の移動速度が、所定値B2より大きい時間帯で、確実に走行していると思われる時間帯をzとする。図示のグラフにおいては、走行時間帯zはz1とz2である。
【0063】
z1とz2の時間帯では、加速度センサの電源をオフにすることで、加速度センサを常時動作させる必要がなくなり低消費電力が実現できる。
【0064】
特にB2をB1より大きくすることにより、確実に走行している時間帯のみ加速度センサをオフにするため、静止判定時間帯を検出し損なう確率が少なくなる。一方、低消費電力を重視する場合は、B2をB1以下にしてもよい。
【0065】
なお、上記の加速度センサの電源をオフにする代わりに、z1とz2の間の加速度センサによる測定頻度(動作頻度)を減らすことによっても、低消費電力化が実現できる。
【0066】
また、移動速度vの値が大きくなるに応じて加速度センサの測定頻度F(v)小さくする。すなわち、測定頻度F(v)をvに対する単調減少関数としても、同様の効果が得られる。
【0067】
以上により、加速度センサと移動速度を組み合わせた静止判定で、静止判定精度を高めるとともに、低消費電力も実現できる。
【0068】
(実施の形態4)
実施の形態4には、携帯型の車両ナビゲーション装置のユーザにとっての操作性を向上するための方法を示す。
【0069】
実施の形態3の概略構成図と静止判定の動作フローチャートは実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0070】
なお、本実施の形態4は、車両ナビゲーション機能に関するものであるが、上述の実施の形態1から3のように、携帯端末を固定台などを用いて車内に固定した状態のみで利用することを前提にはしていない。携帯端末の車両ナビゲーション機能において、手持ち状態での操作を許容することで操作性を向上させるものである。
【0071】
図6には、本実施の形態4の動作フローチャートを示す。
【0072】
車両ナビゲーションのアプリ起動(ステップS8)後、ルート検索が終了したあとに(ステップS9)静止判定機能をオンにする(ステップS10)。
【0073】
もしここで、従来のようにアプリ起動直後に静止判定を行い、走行時にキー操作を無効にする機能を動作させてしまうと、携帯型ナビゲーション装置を手持ち状態で操作することができなくなってしまう。携帯型ナビは通常、固定台などに固定したときよりも手持ち状態の方が操作性が高いのでユーザにとって不便である。
【0074】
従って、本実施の形態4では、ルート検索までは携帯型ナビゲーション装置を手持ち状態で操作することを許容するようにした。ルート検索後のルート案内の最中では、走行中は手持ち状態の操作を無効にしてもユーザにとって不便を感じない。
【0075】
次に、静止判定機能をオンにした(ステップS10)あと、静止判定結果(ステップS11)が“走行”の場合は、操作キーを無効にし(ステップS15)、静止判定(ステップS11)を繰り返す。ここで静止判定方法は、実施の形態1と2と同様である。
【0076】
静止判定結果(ステップS11)が“静止”になったときには、ナビゲーション装置の現在位置を静止位置として一時的にメモリに保存する(ステップS12)。
【0077】
なお、現在位置は衛星測位部を用いて測定する。ここで、ナビゲーション機能が動作している状態では、通常は衛星測位部で現在位置を定期的に常に計測し把握しているため、衛星測位部による現在位置を容易に知ることができる。
【0078】
次に、現在位置と、保存されている静止位置が、ほぼ同じであるかどうかを判定し(ステップS13)、ほぼ同じであれば、操作キーを有効にし(ステップS14)、判定S13を繰り返す。
【0079】
ここで、静止位置と現在位置がほぼ同じであることを判定するには、例えば、静止位置と現在位置の距離が所定距離以下であることを判断基準にすればよい。
【0080】
S13で静止位置と現在位置が異なると判定された場合には、車両が静止状態が走行状態になったと判断し、操作キーを無効にし(ステップS16)、S11からの動作を繰り返す。
【0081】
従来はステップS12とステップS13のステップが存在せず、静止判定が静止か走行かの判定(ステップS11)に応じて、操作キーを有効/無効の制御を行うだけだったが、このとき以下のような課題があった。
【0082】
車両が静止であることを判定すると操作キーが有効になるが、端末(携帯型ナビゲーション装置)を手持ち状態で操作できない。なぜなら、手持ち状態にしたときに加速度センサ出力が変動するため、走行中と誤判定してキー操作を無効にしてしまうからである。従って、端末を手持ちで操作できないことから、ユーザにとって不便であった。
【0083】
操作キーの制御を上述のように、静止位置と現在位置の比較判定と組み合わせで行うことで、静止位置と現在位置が同じであれば、車両が止まっていると判断して、端末を手持ち状態で操作することを許容することができる。
【0084】
以上により、携帯型ナビゲーション装置の手持ち状態での操作性を許容することで、安全性と操作性を両立するナビゲーション動作を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の車両ナビゲーション装置は、走行中であるのにキー操作を有効にしてしまったり、走行中でないのにキー操作を無効にしてしまうなどの不都合の少ない携帯可能な車両ナビゲーション装置を提供することができるので、携帯電話や無線端末などの携帯端末装置に内蔵される車両ナビゲーション装置等の車両ナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1の静止判定方法を説明するグラフ
【図3】本発明の実施の形態1の車両ナビゲーション装置の概略動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2の静止判定方法を説明するグラフ
【図5】本発明の実施の形態3の消費電力低減方法を説明するグラフ
【図6】本発明の実施の形態4の操作性改善方法の概略動作フローチャート
【符号の説明】
【0087】
1 衛星測位部
2 車両ナビゲーション部
3 表示装置
4 加速度センサ
5 静止判定部
6 操作キー
7 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な車両ナビゲーション装置において、
衛星からの信号に基づいて自己の位置の測位と自己の移動速度の算出をする衛星測位部と、
前記衛星測位部による位置の測位結果に基づいて車両用ナビゲーションを行う車両ナビゲーション部と、
加速度の測定をする加速度センサと、
前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする入力制御部と、
を有する車両ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力制御部は、起動後から最初の経路検索開始時又は最初の経路検索完了時までは、前記衛星測位部の算出した移動速度及び前記加速度センサの測定した加速度にかかわらず、所定の入力部または所定の入力を有効にし、最初の経路検索開始後又は最初の経路検索完了後は、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする車両ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記加速度センサは、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以上の場合に、オフになる、ことを特徴とする請求項1記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記加速度センサは、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以上の場合に、動作頻度を低くする、ことを特徴とする請求項1記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記入力制御部は、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの出力から重力加速度分を引いた加速度の絶対値が所定の加速度以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記入力制御部は、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下で、かつ、前記加速度センサの出力の変動量が所定値以下の場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記入力制御部は、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下の状態が所定時間継続し、かつ、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下の状態が所定時間継続した場合に、所定の入力部または所定の入力を有効にする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記入力制御部は、前記衛星測位部が測位をできない場合には、前記加速度センサの測定した加速度のみに基づいて、所定の入力部または所定の入力を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記入力制御部が所定の入力部または所定の入力を有効としたときの自己の位置の測位結果を記憶する記憶部を有し、
前記入力制御部は、前記記憶部に記憶された自己の位置の測位結果と、現在の自己の位置の測位結果との距離の差が所定値以下の状態が継続している場合には、所定の入力部または所定の入力を有効とする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記入力制御部は、前記車両ナビゲーション部のルート検索動作が終了した後に、前記衛星測位部の算出した移動速度が所定の速度以下でなく、又は、前記加速度センサの測定した加速度が所定の加速度以下でない場合に、所定の入力部または所定の入力を無効にする、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−257943(P2009−257943A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107672(P2008−107672)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】