説明

ナビゲーション装置

【課題】 ユーザが訪れやすい多様な休憩施設をドライバーに案内する。
【解決手段】 出発地、目的地および出発時間を入力する入力装置20と、道路の接続状況を表現するネットワークデータとドライバーの休憩に利用可能な施設の位置データとからなる地図データを記憶する地図データベース30と、渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する渋滞推測部12と、ネットワークデータを参照して、出発時間に出発地を出発して目的地に到る経路を探索する経路探索部11と、経路探索部による探索結果に基づく経路の通行予定時間内に渋滞発生区間が含まれるときには、該経路上であって該渋滞発生区間より出発地寄りの施設が複数存在する休憩推奨地区を案内する休憩推奨地区案内部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を案内するナビゲーション装置に関し、特に、経路周辺の休憩に利用可能な施設を設定して案内する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバーが目的地までの経路上で休憩したい場合、経路上に交通渋滞が起こっているとその交通渋滞区間を避けて休憩ポイントを設定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、検索された休憩ポイントが交通渋滞区間内である場合に、この交通渋滞区間の前後の休憩ポイントを検索して新たな休憩ポイントとして設定するナビゲーション装置が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、交通渋滞区間を避けて休憩ポイントを設定するので、休憩したいけれども渋滞しているために休憩できないという事態の発生を防ぐことができる。
【0003】
また、例えば特許文献2には、車両を連続して運転している時間または距離に関する情報と渋滞状況や休憩箇所の混雑状況に関する情報とから渋滞状況を避けた混雑の少ない休憩案内を行うナビゲーション装置が開示されている。特許文献2に記載の技術によれば、交通渋滞区間を避けた混雑していない休憩箇所を案内することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−315905
【特許文献2】特開2006−177735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、例えば交通渋滞区間が有料道路上であった場合、案内される休憩ポイントは交通渋滞区間前後のサービスエリア(以下、SA)、パーキングエリア(以下、PA)に限定されることになり、通常、SA・PAから次のSA・PAまでは数十km離れているので、交通渋滞区間前後のSA・PAは休憩する車両が集中して混雑しやすい。したがって、特許文献1に記載のナビゲーション装置は混雑したSA・PAに案内する結果になりやすいという問題があった。
【0006】
また、上述した特許文献2に開示されたナビゲーション装置においても、例えば有料道路を通行している場合に交通渋滞が発生したときには、たとえ休憩箇所の混雑状況に関する情報を受信しても、有料道路が一般的にはSA・PA間の距離が離れているものであるため、結果的に混雑しているSA・PAしか検索できないという問題があった。
【0007】
また、昨今の施設データ等のコンテンツの充実により、休憩施設に関する情報は有料道路上のSA・PAだけでなく、一般道路における立ち寄ることが可能な見晴らしの良い公園や複合商業施設など多種多様である。また、ドライバーの嗜好も多種多様化している。特許文献1および2の技術では、ドライバーの多種多様化する要望を満足させるのに十分な休憩施設の案内ができないという問題があった。また特許文献1および2の技術では、ドライバーに提示される休憩施設は1つなので、ドライバーは渋滞が解消するまでの間、複数の休憩施設に立寄るための案内はできないため、1つの休憩施設に長居することになってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、ドライバーが渋滞につかまる前に立ち寄って休憩することが可能な施設を選択できるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るナビゲーション装置は、出発地、目的地および出発時間を入力する入力部と、道路の接続状況を表現するネットワークデータとドライバーの休憩に利用可能な施設の位置データとからなる地図データを記憶する地図データ記憶部と、渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する渋滞推測部と、前記ネットワークデータを参照して、前記出発時間に前記出発地を出発して前記目的地に到る経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部による探索結果に基づく前記経路の通行予定時間内に前記渋滞発生区間が含まれるときには、当該経路上であって当該渋滞発生区間より出発地寄りの前記施設が複数存在する休憩推奨地区を案内する休憩推奨地区案内部とを備えている。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定し、探索結果に基づく経路に渋滞発生区間が含まれるときには、この経路上であって渋滞発生区間より出発地寄りの休憩施設が複数存在する休憩推奨地区を案内するので、ドライバーにとっては複数の休憩施設から多種多様化する要望を満足させる休憩施設を選択できる効果がある。また、ドライバーにとっては渋滞が解消されるまでの間、複数の休憩施設に立寄れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置で使用される地図データの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の入力処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の渋滞推測処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の案内処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の休憩推奨地区生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の休憩推奨地区生成処理の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の休憩推奨地区生成処理の例の詳細を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の休憩推奨地区生成処理の変形例1における手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の休憩推奨地区生成処理の変形例2における手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1は、本発明における実施の形態に係るナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、演算装置10、入力装置20、GPS受信機21、測位センサ22、タイマ23、音声出力装置24、表示装置25、交通情報受信装置26、地図データベース30および地図データ受信装置31から構成されている。
【0013】
演算装置10は、例えばマイクロコンピュータであり、ナビゲーション装置1の全体を制御する。この演算装置10の詳細は後述する。入力装置20は、例えばタッチパネル、リモートコントローラ、操作ボタン、音声認識機能を有する音声入力装置などから構成されており、ドライバーが出発地、目的地および出発時間等を入力したり、ナビゲーション装置1に対して各種指示を与えるために使用される。この指示とはたとえば、休憩することの要求や、案内部13が提示している休憩に利用可能な施設(以下、休憩施設という)の候補からの選択である。GPS受信機21は、複数のGPS衛星からの電波を受信して自車位置を計測することができるGPS信号を生成し、演算装置10に送る。
【0014】
測位センサ22は、車両の相対位置および方位を検出する自律航法用センサとして使用される。この測位センサ22は、車両の回転角度を相対方位として検出する振動ジャイロ等の角度センサと、一定時間ごとに1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する距離センサとを備えている。角度センサの出力および距離センサの出力は、測位信号として演算装置10に送られる。
【0015】
タイマ23は、例えば時計機構から構成されており、時刻を計測する。このタイマ23が計測する時刻は、演算装置10によって読み取られる。音声出力装置24は、例えばスピーカから構成されており、演算装置10から送られてくる信号に従って、案内メッセージを音声で出力する。
【0016】
表示装置25は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されている。この表示装置25の画面には、演算装置10から送られてくる映像信号に従って、地図上に、目的地までの経路、目的地、休憩施設、休憩推奨地区、自車マーク等が重畳されて表示される。
【0017】
交通情報受信装置26は、例えば道路交通情報通信システム(以下、VICS:「Vehicle Information and Communication System」という)の受信機から構成されている。交通情報受信装置26は、FM多重放送網27の電波を介してVICSサーバ28に接続し、VICS情報を取得する。また、道路上の発信機から発信されるビーコン信号を受信することによってVICS情報を受信してもよい。VICS情報は、大半の高速道路と都市圏の一般道路を対象に、渋滞・工事などの情報を提供するほか、SA・PAの混雑状況など情報を含んでいる。交通情報受信装置26は、受信したVICS情報を演算装置10に送る。演算装置10は、このVICS情報に基づいて渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する。
【0018】
地図データベース30は、道路をノード・リンクで表現したネットワークデータおよび建物、河川、地表面および道路等の地物をポリゴン・ポリライン・代表点などのデータで表現した地物データで構成される。地図データベース30は、例えばハードディスク、ブルーレイディスク、DVDまたはCDといった記録媒体で形成されている。地図データベース30の詳細は後述する。
【0019】
地図データ受信装置31は、例えば通信ボードであり、インターネット回線32を介して地図サーバ33からネットワークデータおよび地物データを受信して、地図データベース30へ送信する。
【0020】
地図データベース30の詳細について、図2を用いて説明する。
地図データベース30は、道路の接続状態をノード・リンクで表現したネットワークデータと、建物、河川、地表面および道路等の地物をポリゴン・ポリライン・代表点などのデータで表現した地物データとで構成される地図データを記憶している。
【0021】
リンクデータは、リンクID、リンク形状、リンク種別、リンク距離、過去渋滞、制限速度、車線数などの属性を格納する。「リンクID」とは、各リンクの識別情報である。「リンク形状」は、リンクの形状を表す線が通過する点列を示している。「リンク種別」は有料道路と一般道路との道路の種類が格納され、一般道路にはさらに、国道、県道等の属性が格納されている。また、有料道路には有料道路名称等の属性が格納されている。「リンク距離」はリンクの距離である。「過去渋滞」は過去の渋滞に関する情報であり、過去の渋滞を季節・曜日・大型連休・時刻などに基づいて統計処理したデータであり、リンクごとに格納している。「制限速度」はリンクに対応する道路の制限速度である。「車線数」は道路の車線数である。なお、リンクデータにはリンクに接する休憩施設やリンクから所定距離以内に位置する休憩施設の地物IDを格納しておいてもよい。
【0022】
ノードデータは、ノードID、位置、規制などの各情報を格納する。「ノードID」は各ノードの識別情報である。「位置」は、緯度、経度などノードの座標値を格納する。「規制」は右左折禁止など、ノードの通行規制を格納する。
【0023】
地物データは、地物ID、種別、名称、評価、位置、設備、駐車場などの情報を格納する。「地物ID」は地物、景観スポットなどを表す識別情報である。「種別」は、店舗、レストランなどの地物の種類を表す情報や、海辺、川沿いなどの景観を表す情報を格納する。「名称」は地物や景観スポットなどの固有名詞である。「評価」は、人気や推奨度などを表す指標である。「評価」は、たとえば、ドライバーが当該地物、景観スポットを目的地として指定した頻度などに基づいて設定することが可能である。「位置」は、地物、景観スポットの座標値である。「設備」には、地物、景観スポットが有する設備に関する情報を格納している。たとえば、設備にはレストラン、トイレ、ATM、空調が備えられている情報が格納される。「設備」情報は、地物、景観スポットがドライバーの要望に合う場所か否かを判断するのに活用することができる。「駐車場」は駐車場の駐車可能台数に関する情報が格納されている。「駐車場」はドライバーが休憩するための駐車スペースが十分あるか否かの判断に利用される。また、VICS情報等により駐車場の混雑具合を推定する場合などにも利用できる。
【0024】
演算装置10は、経路探索部11、渋滞推測部12、案内部13から構成される。
【0025】
経路探索部11は、出発時間に出発地を出発して目的地に到る通行予定時間を含む経路を探索する。具体的には、経路探索部11は、地図データベース30のネットワークデータを参照し、GPS受信機21から送られてくるGPS信号および測位センサ22から送られてくる測位信号に基づき計算された現在位置を出発地とし、この出発地から、入力装置20から入力された目的地までの経路を算出する。また、経路探索部11は、タイマ23から読み取った現在時刻に基づいて経路における車両の通行予定時間を算出する。この場合の通行予定時間は、経路上の各点を通行する予定の時刻のリストや全経路の通過時間を示す。経路探索部11は算出した経路を案内部13へ送信し、通行予定時間を渋滞推測部12へ送信する。なお、経路探索部11は、ドライバーが休憩を要求した場合は、休憩施設を経由するような経路を設定する。
【0026】
渋滞推測部12は、渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する。具体的には、渋滞推測部12は、交通情報受信装置26から受信したVICS情報と、地図データに記憶されている過去渋滞の情報と、経路探索部11から受信した通行予定時間とに基づいて、渋滞発生区間を推測する。渋滞発生区間とは、通行予定時間における渋滞が発生している区間の始点および終点を推測したデータである。具体的には渋滞推測部12は、VICS情報に基づき現在発生している渋滞の区間をネットワーク上で表現し、そのネットワークに対応する過去渋滞の情報から渋滞の区間が時刻によってどのように変化するかを推測する。なお、本実施例において渋滞発生区間の始点とは、ある方向に車両が連なる状態の先頭車両の位置を表し、終点とは最後尾の車両の位置を表す。渋滞推測部12は、推測した渋滞発生区間を案内部13へ送信する。
【0027】
案内部13は、経路探索部11から受信した経路をドライバーに対して案内する。さらに、案内部13は、経路探索結果に基づく経路に渋滞発生区間が含まれるときには、その渋滞発生区間よりも出発地寄りの複数の施設が存在する休憩推奨地区を案内する休憩推奨地区案内部14を備える。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、現在位置から進行方向の経路上に渋滞推測部12から受信した渋滞発生区間が含まれるか否かを判定し、渋滞発生区間が含まれるときには経路周辺であって渋滞発生区間の終点よりも出発地寄りに位置する休憩施設を抽出する。休憩推奨地区案内部14は抽出した休憩施設から所定の基準に基づいて休憩推奨地区を生成し、ドライバーへ提示するため表示装置25や音声出力装置24等へ出力する。
【0028】
案内部13は、ドライバーがディスプレイで休憩推奨地区を参照して一または複数の休憩施設を選択した場合、この休憩施設を経由地とした経路を案内する。具体的には、案内部13は、地図データを参照して生成した地図上に、経路探索部11から送られてくる経路と現在位置に対応する自車マークとを重畳した画像を生成して表示装置25へ送る。これにより、表示装置25のディスプレイに、地図上に目的地または休憩施設までの経路と自車マークとが重畳された映像が表示される。また、案内部13は、地図データに含まれる案内情報に基づき音声信号を生成して音声出力装置24に送る。これにより、音声出力装置24から音声による案内メッセージが出力される。
【0029】
また、休憩推奨地区案内部14は、渋滞発生区間が経路上の有料道路区間である場合は、有料道路区間より出発地寄りの休憩施設を抽出する。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、渋滞推測部12から受信した渋滞発生区間に対応するリンクのリンク種別から有料道路か一般道路かを判定し、リンク種別が有料道路の場合、経路探索部11から受信した経路上であって、渋滞発生区間を含む有料道路が連続する区間より出発地寄りに位置する休憩施設を抽出する。休憩施設の抽出において、休憩推奨地区案内部14は一般道路については道路から所定範囲内の休憩施設を抽出しても良い。また、休憩推奨地区案内部14は休憩施設をネットワークデータに関連付け、経路に対応するネットワークデータから関連付いた休憩施設を抽出しても良い。
【0030】
休憩推奨地区案内部14は、抽出した休憩施設から、種々の基準により休憩推奨地区を生成する。休憩推奨地区案内部14は、たとえば休憩施設が密集している場合に優先して休憩推奨地区を生成しても良い。密集しているとは、所定範囲内に基準数以上の休憩施設が位置していることを表す。案内部13は、休憩推奨地区案内部14が生成した休憩推奨地区を表示装置25および音声出力装置24へ出力する。このように休憩施設が密集している休憩推奨地区を案内されることで、ドライバーは渋滞が解消されるまでの間に複数の休憩施設へ訪れることができるので、利便性が向上する。
【0031】
また、休憩推奨地区案内部14は、渋滞発生区間または有料道路区間までの距離が近い休憩施設から優先して休憩推奨地区を生成しても良い。渋滞発生区間までの距離とは、渋滞発生区間の終点から出発地寄りの休憩推奨地区までの距離である。有料道路区間までの距離とは渋滞発生区間が有料道路上である場合であって当該有料道路の経路上の始点から出発地寄りの休憩推奨地区までの距離である。休憩推奨地区案内部14は、経路探索部11が算出した経路から所定範囲内の休憩施設であって、渋滞発生区間の終点または有料道路の経路上の始点からの距離が近い休憩施設から優先して休憩推奨地区を生成する。案内部13は、休憩推奨地区案内部14が生成した休憩推奨地区を表示装置25および音声出力装置24へ出力する。このように、渋滞発生区間からの距離が近い休憩推奨地区を優先して生成し、案内することで、ドライバーは渋滞発生区間に近い場所で休憩をすることができ、渋滞発生区間の終点までの間に発生しうる新たな渋滞を回避することができる。
【0032】
次に、本実施例におけるナビゲーション装置100の処理手順について図3〜図7を用いて説明する。
【0033】
(全体処理)
全体処理として、図3のフローチャートを用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、入力処理として、入力装置20、GPS受信機21およびタイマ23は、経路を探索するために必要な目的地、出発地および現在時間を演算装置10に入力する(ステップS100)。次に、経路探索処理として、経路探索部11はネットワークデータを参照して、出発時間に出発地を出発して目的地に到る経路を探索する(ステップS200)。次に、渋滞区間推測処理として、渋滞推測部12は、VICS情報およびネットワークデータに基づき渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する(ステップS300)。次に、案内処理として、案内部13は、探索結果に基づく経路の通行予定時間内に渋滞発生区間が含まれるときに、休憩施設が複数存在する休憩推奨地区を案内する(ステップS400)。
【0034】
(入力処理)
ステップS100の入力処理について、図4を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、ドライバーが入力装置20のタッチパネルを操作することにより目的地を演算装置10に入力する処理を実施する(ステップS101)。ステップS101が終了すると、GPS受信機21が現在位置を検出し、検出した現在位置を出発地として演算装置10に入力する処理を実施する(ステップS102)。ステップS102が終了すると、タイマ23が検出した現在時間に関する情報を演算装置10に入力処理を実施し(ステップS103)、ステップS100の入力処理が終了する。
【0035】
(経路探索処理)
経路探索部11は、ステップS100で入力された目的地、出発地および現在時間に関する情報を受信し、ネットワークデータを参照して、現在時間である出発時間に出発地を出発して目的地に到る経路を探索する処理を実施する(ステップS200)。探索された経路の情報には、経路上の任意の地点における通行予定時間が含まれている。
【0036】
(渋滞推測処理)
ステップS300の渋滞推測処理について、図5を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、渋滞推測部12は交通情報受信装置26へ問合せて、VICS情報があるか否かを判定する処理を実施する(ステップS301)。交通情報受信装置26はFM多重放送網27の電波を介してVICSサーバから渋滞情報を含むVICS情報をリアルタイムに受信する。すなわち、渋滞推測部12は、交通情報受信装置26に問合せて、VICS情報が受信されているか否かを判定する。
【0037】
ステップS301において、交通情報受信装置26にVICS情報があると判定された場合は(ステップS301:Yes)、渋滞推測部12は交通情報受信装置26からVICS情報を受信する処理を実施する(ステップS302)。一方、ステップS301において、交通情報受信装置26にVICS情報がないと判定された場合は(ステップS301:No)、渋滞推測部12は渋滞推測処理を終了する。
【0038】
ステップS302が終了すると、渋滞推測部12は、渋滞発生区間を推測する処理を実施する(ステップS303)。渋滞推測部12は受信したVICS情報とリンクに記憶された過去の渋滞情報等とを参照し、渋滞発生区間を推測する。渋滞発生区間には、渋滞の始点の位置から終点の位置までに対応するリンクの情報および時間帯による渋滞の位置の推移を表すリンクの情報が含まれる。渋滞推測部12は推測した渋滞発生区間を案内部13へ送信して渋滞推測処理が終了する。
【0039】
(案内処理)
ステップS400の案内処理について、図6を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、案内部13は、休憩推奨地区案内部14において、経路と渋滞発生区間とが重複するか否かを判定する処理を実施する(ステップS401)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、渋滞推測部12によって推測された渋滞発生区間に対応するリンクが、経路探索部11によって探索された通過予定時間を含む経路に対応するリンクと重複するか否かの判定を行う。ステップS401において、経路と渋滞発生区間とが重複する場合(ステップS401:Yes)、休憩推奨地区案内部14は休憩推奨地区を生成する処理を実施する(ステップS402)。この休憩推奨地区生成処理については後に詳細に説明する。
一方、ステップS401において、経路と渋滞発生区間とが重複しない場合(ステップS401:No)、案内部13は経路案内処理(ステップS406)へ移行する。
【0040】
ステップS402が終了すると、案内部13は、生成した休憩推奨地区を案内する処理を実施する(ステップS403)。具体的には、案内部13は、所定の条件によって生成された休憩推奨地区を表示装置25および音声出力装置24に出力する。休憩推奨地区の案内は様々な態様で行われて良い。本実施例の場合、案内部13は、地図上に円形状の休憩推奨地区および休憩施設の位置を示すマークを重畳させてディスプレイに表示し、現在位置から表示した休憩推奨地区までの距離および方向や、休憩推奨地区に含まれる休憩施設の属性情報などを音声で紹介する態様とした。また、案内部13は、ステップS403において、この休憩推奨地区で休憩するか否かをドライバーに選択させる。本実施例の場合、案内部13は、ドライバーが「休憩する」を選択した場合、案内部13は、休憩施設を選択させるための休憩施設の一覧をディスプレイに表示し、ドライバーに選択を促す案内を音声で出力する。
【0041】
ステップS403が終了すると、案内部13は、ドライバーが休憩推奨地区内の休憩施設を選択したか否かを判定する処理を実施する(ステップS404)。
【0042】
ステップS404において、ドライバーが休憩施設を選択したと判定した場合(ステップS404:Yes)、経路探索部11は選択された休憩施設を経由地とする経路探索の処理を実施する(ステップS405)。具体的には、経路探索部11は、GPS受信機21および測位センサ22からの信号に基づき特定される現在位置から、選択された休憩施設の位置を経由して、目的地の位置まで到着する経路探索を行なうとともに、タイマ23からの信号に基づき探索した経路の通過予定時間を算出する。なお、休憩施設が複数選択された場合、経路探索部11は複数の休憩施設を経由地とする経路探索を行なう。
【0043】
一方、ステップS404において、ドライバーが休憩施設を選択しない場合(ステップS404:No)、案内部13は経路案内処理(ステップS406)へ移行する。
【0044】
ステップS405が終了すると、案内部13は経路案内処理を実施する(ステップS406)。具体的には、案内部13は、地図データを参照して生成した地図上に、経路探索部11から送られてくる経路と現在位置に対応する自車マークとを重畳した画像を生成して表示装置25へ送る。これにより、表示装置25のディスプレイに、地図上に目的地または休憩施設までの経路と自車マークとが重畳された映像が表示される。また、案内部13は、地図データに含まれる案内情報に基づき音声信号を生成して音声出力装置24に送る。これにより、音声出力装置24から音声による案内メッセージが出力される。
【0045】
(休憩推奨地区生成処理)
ステップS402の休憩推奨地区生成処理について、図7を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、案内部13は、休憩推奨地区案内部14において、渋滞発生区間が有料道路上か否かを判定する処理を実施する(ステップS501)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、渋滞発生区間に対応するネットワークデータのリンク種別を参照することで、この渋滞発生区間に対応するリンクが有料道路の属性を有するか否かを判定する。
【0046】
図8は、本実施例を説明するために、出発地Sから目的地Gまでの経路上の道路や渋滞発生区間、休憩施設等の概略を表している。出発地Sから目的地Gに到る経路KL1の内、有料道路TR1のインターチェンジIC1からインターチェンジIC2までが有料道路区間である。休憩推奨地区案内部14は渋滞推測部12から受信した渋滞発生区間T1が経路KL上の有料道路TR1と一部重複しているので、渋滞発生区間T1が有料道路上であると判定する。
【0047】
ステップS501において、渋滞発生区間が有料道路上である場合(ステップS501:Yes)、休憩推奨地区案内部14は、その有料道路区間より出発地寄りの休憩施設を抽出する処理を実施する(ステップS502)。具体的には、まず、休憩推奨地区案内部14は、経路探索部11が算出した経路に対応するリンクのリンク種別を参照し、渋滞が発生している有料道路の経路上の区間である有料道路区間を算出する。そして、休憩推奨地区案内部14は、出発地もしくは現在位置から算出した有料道路区間に至るまでの経路の所定範囲に位置する地物について駐車場の情報を参照してドライバーが休憩するための駐車スペースが十分あるものを休憩施設として抽出する。本実施例の場合、経路の所定範囲とは経路から半径2km以内の圏内を表す。
【0048】
たとえば、図8において、休憩推奨地区案内部14は、有料道路区間となるインターチェンジIC1より出発地寄りの休憩施設を抽出する。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、インターチェンジIC1よりも出発地よりであって、経路KL1に対応する一般道路CR1の所定範囲RA1に含まれる休憩施設を抽出する。本実施例の場合、所定範囲RA1は経路KL1から半径2kmの範囲であり、休憩推奨地区案内部14は、所定範囲RA1内に位置する休憩施設RS1〜RS20を抽出する。
【0049】
一方、ステップS501において、渋滞発生区間が有料道路上でない場合(ステップS501:No)、休憩推奨地区案内部14は、渋滞発生区間より出発地寄りの休憩施設を抽出する処理を実施する(ステップS503)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、出発地もしくは現在位置から渋滞発生区間の終点に至るまでの経路の所定範囲に位置する地物について駐車場の情報を参照してドライバーが休憩するための駐車スペースが十分あるものを休憩施設として抽出する。
【0050】
なお、休憩施設を抽出する範囲は、渋滞が解消するまでの時間、ドライバーの嗜好や要望および経路周辺の環境等によって種々の態様をとっても良い。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、経路から引いた垂線の距離が予め設定した閾値以下であるときを基準に休憩施設を抽出する範囲を特定しても良いし、経路からの到達時間が予め設定した閾値以下であるときを基準に休憩施設を抽出する範囲を特定しても良い。また、休憩推奨地区案内部14は、渋滞解消までの時間に応じて休憩施設を抽出する範囲を収縮しても良い。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、渋滞解消までの時間が長い場合、ドライバーは経路から遠くの休憩施設まで行けるので抽出する範囲を広くし、渋滞解消までの時間が短い場合、ドライバーは経路から近くの休憩施設までしか行けないので抽出する範囲を狭くしても良い。また、休憩推奨地区案内部14は、ドライバーの健康状態が悪い場合や運転時間が所定時間以上経過している場合には、経路上の道路から近い休憩施設を抽出するとしても良い。
【0051】
ステップS502およびステップS503が終了すると、休憩推奨地区案内部14は、休憩推奨地区の生成を休憩施設の密集優先で行なうか否かを判定する処理を実施する(ステップS504)。休憩推奨地区の生成を休憩施設の密集優先で行なうとは、所定範囲内に基準数以上の休憩施設が存在している休憩推奨地区を優先して生成する方式であることを表す。密集優先の設定は休憩推奨地区案内処理の度にディスプレイからユーザに選択させても良いし、予め設定されていても良い。
【0052】
ステップS504において、休憩推奨地区の生成を休憩施設の密集優先で行なう場合(ステップS504:Yes)、休憩推奨地区案内部14は休憩施設が密集している休憩推奨地区を優先して生成する処理を実施する(ステップS505)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、たとえば経路を中心とした半径2km圏内に5件以上の休憩施設が位置する場合、休憩施設が密集する地区であると判定し、この地区を休憩推奨地区として生成する。この判定は種々の態様があって良い。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設が4件以下であっても、抽出した休憩施設の属性が所定数以上の種別となる地区があればその地区を休憩施設が密集する地区であると判定しても良い。このようにすることで、ドライバーは休憩施設が密集する一つの地区で多様な休憩を行うことができる。
ステップS505が終了すると、案内部13は休憩推奨地区案内部14による休憩推奨地区生成処理を終了する。
【0053】
図9は、図8における出発地SからインターチェンジIC1を通過して渋滞発生区間T1に到達するまでの経路KL1付近を拡大して表示したものである。たとえば図9において、休憩推奨地区案内部14は、経路KL1に対応する道路CR1を中心とした半径2km圏内で、休憩施設が5件以上位置する地区があるか否かを判定する。図9の場合、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設RS7〜RS12が位置する地区および休憩施設RS13〜RS20が位置する地区において休憩施設が5件以上位置しているので、これらの地区を休憩施設が密集していると判定し、休憩推奨地区RT3および休憩推奨地区RT4を生成する。
【0054】
一方、ステップS504において、休憩推奨地区の生成を休憩施設の密集優先で行なわない場合(ステップS504:No)、休憩推奨地区案内部14は、休憩推奨地区の生成を渋滞区間までの距離優先で行なうか否かを判定する処理を実施する。(ステップS506)。休憩推奨地区の生成を渋滞区間までの距離で行なうとは、渋滞発生区間から出発地寄りで距離が近い休憩推奨地区を優先して生成する方式であることを表す。なお、本実施例において以下の処理は、ステップS501において渋滞発生区間が有料道路上である場合(ステップS501:Yes)で流れるものとする。すなわち、休憩推奨地区案内部14は休憩推奨地区の生成を有料道路区間までの距離で行なうか否かを判定するものとする。この距離優先の設定はディスプレイからユーザに選択させても良いし、予め設定されていても良い。
【0055】
ステップS506において、休憩推奨地区の生成を渋滞区間までの距離優先で行なうと判定した場合(ステップS506:Yes)、休憩推奨地区案内部14は、有料道路区間までの距離を優先して休憩推奨地区を生成する処理を実施する(ステップS507)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、ステップS502またはステップS503において抽出した休憩施設を検索し、基準数以上の休憩施設が位置する地区で有料道路区間から近い地区を優先的に休憩推奨地区として生成する。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、ステップS502において抽出した休憩施設のうち有料道路区間から半径2km圏内に3件以上が位置する地区がある場合、最も有料道路区間から近い地区を休憩推奨地区として生成する。
ステップS507が終了すると、案内部13は休憩推奨地区案内部14による休憩推奨地区生成処理を終了する。
【0056】
図9において、休憩推奨地区案内部14は、有料道路区間であるインターチェンジIC1から出発地寄りの休憩施設を検索する。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、インターチェンジIC1から現在位置(出発地S)までに位置する休憩施設RS1〜RS20を検索し、インターチェンジIC1から最も近い休憩施設RS1〜RS3を含む休憩推奨地区RT1を生成する。
【0057】
一方、ステップS506において、休憩推奨地区の生成を渋滞区間までの距離優先で行なわないと判定した場合(ステップS506:No)、休憩推奨地区案内部14は、ステップS502またはステップS503で抽出した休憩施設から休憩推奨地区を生成する処理を実施する(ステップS508)。休憩推奨地区案内部14は、抽出した休憩施設の位置座標に基づき、所定範囲に基準数の休憩施設が含まれる地区を休憩推奨地区として生成する。
ステップS508が終了すると、案内部13は休憩推奨地区案内部14による休憩推奨地区生成処理を終了する。
【0058】
たとえば、図9において、休憩推奨地区案内部14は、抽出した休憩施設RS1〜RS20において、半径2km圏内に3件以上の休憩施設を含む地区を検索する。この場合、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設RS1〜RS3を含む休憩推奨地区RT1、休憩施設RS4〜RS6を含む休憩推奨地区RT2、休憩施設RS7〜RS12を含む休憩推奨地区RT3および休憩施設RS13〜RS20を含む休憩推奨地区RT4を生成する。
【0059】
なお、本実施例において、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設が密集している休憩推奨地区をまず優先して生成し、その後に渋滞発生区間または有料道路区間から近距離の休憩推奨地区を生成していたが、処理の順番はこの限りではない。休憩推奨地区案内部14は、有料道路区間から近距離の休憩施設を含む休憩推奨地区を生成する処理をまず優先しても良い。
【0060】
また、休憩推奨地区案内部14は、ステップS504において、休憩施設が密集している地区が複数あった場合、有料道路区間から出発地寄りに最も近い地区を休憩推奨地区として生成しても良いし、複数の休憩推奨地区を生成しても良い。
たとえば図9において、休憩施設が密集している地区は休憩施設RS7〜RS12を含む地区および休憩施設RS13〜RS20を含む地区である。休憩推奨地区案内部14は、休憩施設RS7〜RS12を含む地区がインターチェンジIC1から出発地寄りに近いので、休憩施設RS7〜RS12を含む休憩推奨地区RT3を生成する。また、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設RS7〜RS12を含む休憩推奨地区RT3と休憩施設RS13〜RS20を含む休憩推奨地区RT4との両方を生成しても良い。
【0061】
(変形例1)
前述した実施例とは異なる例として、休憩推奨地区案内部14は抽出した休憩施設から所定の基準に基づき複数の休憩推奨地区を生成し、その中から所望の休憩推奨地区を選択する態様とすることも可能である。
変形例1の休憩推奨地区生成処理を図10のフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップS601からステップS603までの処理は、前述したステップS501からステップS503までの処理と同じなので説明を省略し、ステップS604以降の処理について以下に説明を行う。
【0062】
案内部13は、休憩推奨地区案内部14において、ステップS602およびステップS603が終了すると、抽出した休憩施設から休憩推奨地区を生成する処理を実施する(ステップS604)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、所定範囲内に所定数以上の抽出した休憩施設が含まれる場合、その休憩施設が含まれる範囲を休憩推奨地区として生成する。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、経路から半径2km円内に休憩施設が3以上位置する地区がある場合、その地区を休憩推奨地区として生成する。
【0063】
たとえば、図9において、休憩推奨地区案内部14は、抽出した休憩施設RS1〜RS20の位置に基づき、経路から半径2km円内に休憩施設が3以上位置する休憩推奨地区RT1〜RT4を生成する。
【0064】
ステップS604が終了すると、休憩推奨地区案内部14は、生成した休憩推奨地区の選択を密集優先で行なうか否かを判定する処理を実施する(ステップS605)。休憩推奨地区の選択を密集優先で行なうとは、所定範囲内に基準数以上の休憩施設が存在している休憩推奨地区を優先する方式であることを表す。密集優先の設定は休憩推奨地区案内処理の度にディスプレイからユーザに選択させても良いし、予め設定されていても良い。
【0065】
ステップS605において、休憩推奨地区の選択を密集優先で行なうと判定した場合(ステップS605:Yes)、休憩推奨地区案内部14は、ステップS604にて生成された休憩推奨地区のうち、休憩施設が密集している地区を選択する処理を実施する(ステップS606)。休憩推奨地区案内部14は、複数の休憩推奨地区のうち最も密集している休憩推奨地区を選択しても良いし、所定範囲内に基準数以上の休憩施設が存在する休憩推奨地区を複数選択しても良い。ステップS606が終了すると、休憩推奨地区案内部14はステップS607の処理へ移行する。
【0066】
たとえば、図9の場合、休憩推奨地区の選択を密集優先で行なうと判定した場合、休憩推奨地区案内部14は、生成された休憩推奨地区RT1〜RT4のうち、休憩施設が8件で最も密集している休憩推奨地区RT4を選択しても良いし、半径2km円内に基準数である5件以上の休憩施設が存在する休憩推奨地区RT3および休憩推奨地区RT4を選択しても良い。
【0067】
一方、ステップS605において、休憩推奨地区の選択を密集優先で行なわないと判定した場合(ステップS605:No)、休憩推奨地区案内部14は、有料道路区間までの距離の近さを優先して選択する処理を実施する(ステップS607)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、ステップS604で生成された休憩推奨地区の内、最も有料道路区間から近い休憩推奨地区を選択する。また、ステップS606で複数の休憩推奨地区を選択している場合は、休憩推奨地区案内部14は、密集している休憩推奨地区の内、最も有料道路区間から近い休憩推奨地区を選択する。
【0068】
たとえば、図9において、休憩推奨地区案内部14は、休憩推奨地区の選択を密集優先で行なう場合(ステップS605:Yes)、ステップS606で休憩推奨地区RT3および休憩推奨地区RT4が選択し、ステップS607で有料道路区間からの距離が近い休憩推奨地区RT3を選択する。また、休憩推奨地区の選択を密集優先で行わない場合(ステップS605:No)、ステップS604で生成した休憩推奨地区の内、有料道路区間から最も近い休憩推奨地区RT1を選択する。ステップS607が終了すると、休憩推奨地区案内部14は処理を終了する。
【0069】
以上、変形例1では、密集していてかつ渋滞発生区間まで最も近い休憩推奨地区を案内するので、ユーザは多様な休憩施設を選択でき、かつ新たに発生する渋滞に巻き込まれない休憩施設を選択できる効果がある。
【0070】
(変形例2)
前述した例とは異なる例として、休憩推奨地区案内部14は生成した休憩推奨地区内の休憩施設を休憩施設間の密集具合や渋滞区間までの距離および休憩の適正を評価し、評価の高い休憩推奨地区を選択する態様とすることも可能である。
変形例2の休憩推奨地区生成処理を図11のフローチャートを用いて説明する。
ステップS701からステップS704までの処理は、変形例1のステップS601からステップS604までの処理と同じなので説明を省略し、ステップS705以降の処理について以下に説明を行う。
【0071】
ステップS704が終了すると、休憩推奨地区案内部14は、生成した休憩推奨地区内の休憩施設を評価する処理を実施する(ステップS705)。具体的には、休憩推奨地区案内部14は、抽出した休憩施設の密集具合および渋滞発生区間までの距離によって評価を行なう。たとえば、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設の密集具合における評価として、ステップS702またはステップS703で抽出した全ての休憩施設について、所定範囲内に存在する休憩施設数に基づいた密集具合の評価ポイントを算出する。また、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設の渋滞発生区間までの距離における評価として、休憩施設の位置が、渋滞発生区間からの距離に基づいた距離適正の評価ポイントを算出する。なお、渋滞発生区間からの距離は経路上の距離である。また、渋滞発生区間が有料道路上である場合(ステップS701:Yes)、休憩推奨地区案内部14は有料道路区間からの距離によって評価を行なう。また、休憩推奨地区案内部14は、休憩施設に対応する地物データの「評価」、「設備」および「駐車場」の属性から休憩適正の評価ポイントを算出する。休憩適正は「評価」において高い指標を示す場合、「設備」において優れた景観スポットや空調、清潔なトイレなどを有する場合および「駐車場」において十分な駐車台数を有する場合などに高い数値が算出される。そして、休憩推奨地区案内部14は、ステップS702またはステップS703で抽出した全ての休憩施設についてこれら3つの評価ポイントを集計して休憩施設の評価ポイントを求め、さらに各休憩推奨地区について、各休憩推奨地区内に存在する休憩施設の評価ポイントを集計して休憩推奨地区の評価ポイントを求める。
【0072】
ステップS705が終了すると、休憩推奨地区案内部14は、ステップS704で生成した休憩推奨地区のうち、休憩推奨地区内に存在する休憩施設の評価ポイントの合計が最も高い休憩推奨地区を選択する処理を実施する(ステップS706)。図9に示す例では、休憩推奨地区案内部14は、密集具合の評価ポイントが特に効果的に評価され、休憩推奨地区RT4が選択される。
【0073】
ステップS706が終了すると、休憩推奨地区案内部14は、ステップS704で生成した休憩推奨地区をディスプレイに表示し、ユーザに休憩推奨地区を選択させる案内を提示する処理を実施する(ステップS707)。休憩推奨地区案内部14は、ディスプレイに表示する休憩推奨地区について、たとえばステップS705で評価した評価ポイントが最も高い休憩推奨地区を強調して表示する態様としても良い。
【0074】
以上、本実施例では休憩施設を密集の程度や渋滞発生区間までの距離などの評価を数値化して休憩推奨地区を評価しているので、一般的な評価に基づく最適な休憩推奨地区を選択できる効果がある。
【符号の説明】
【0075】
<符号の説明>
1・・・ナビゲーション装置
10・・・演算装置
11・・・経路探索部
12・・・渋滞推測部
13・・・案内部
14・・・休憩推奨地区案内部
20・・・入力装置
21・・・GPS受信機
22・・・測位センサ
23・・・タイマ
24・・・音声出力装置
25・・・表示装置
26・・・交通情報受信装置
27・・・FM多重放送網
28・・・VICSサーバ
30・・・地図データベース
31・・・地図データ受信装置
32・・・インターネット回線
33・・・地図サーバ
KL・・・経路
T1S・・・渋滞発生区間の始点
T1L・・・渋滞発生区間の終点
IC・・・・インターチェンジ
T・・・渋滞発生区間
CR・・・一般道路
TR・・・有料道路
RA・・・所定範囲
RS・・・休憩施設
RT・・・休憩推奨地区

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地、目的地および出発時間を入力する入力部と、
道路の接続状況を表現するネットワークデータとドライバーの休憩に利用可能な施設の位置データとからなる地図データを記憶する地図データ記憶部と、
渋滞状況の変化を推測して渋滞発生区間を決定する渋滞推測部と、
前記ネットワークデータを参照して、前記出発時間に前記出発地を出発して前記目的地に到る経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部による探索結果に基づく前記経路の通行予定時間内に前記渋滞発生区間が含まれるときには、当該経路上であって当該渋滞発生区間より出発地寄りの前記施設が複数存在する休憩推奨地区を案内する休憩推奨地区案内部と、
を備えたナビゲーション装置。

【請求項2】
前記ネットワークデータは有料道路の属性を認識するための情報を含み、
前記休憩推奨地区案内部は、前記渋滞発生区間が前記有料道路に対応する場合に、前記経路上であって当該有料道路区間よりも出発地寄りの前記休憩推奨地区を案内する
請求項1に記載のナビゲーション装置。

【請求項3】
前記休憩推奨地区案内部は、前記休憩推奨地区として前記施設が密集している地区を優先して案内する
請求項1または2に記載のナビゲーション装置。

【請求項4】
前記休憩推奨地区案内部は、前記休憩推奨地区として前記渋滞発生区間からの距離が近い地区を優先して案内する
請求項1〜3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−208030(P2012−208030A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74283(P2011−74283)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】