説明

ナビサーバ

【課題】車両の燃費向上の観点から適当な出発時間帯を車両のユーザに対して提供することができるナビサーバを提供する。
【解決手段】ナビサーバ1によれば、車両Qが走行するリンクおよびそのリンクを走行する時間帯に応じて燃費が変動することに鑑みて、複数の出発時間帯のそれぞれについて、車両Qが支援ルートRにしたがって出発位置P1から目的位置P2まで走行する際の燃費が燃費マトリクスに基づいて適当に予測されうる。そして、複数の出発時間帯のそれぞれについての合計予測燃費に関する燃費情報が車両Q等に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃費情報を管理するナビサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の目的地に所定の時刻に到着するために現在位置を何時に出発すればよいかを案内する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−089438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、車両が目的位置に予定時刻どおりに到着することのほか、車両が目的位置まで走行する際の燃費の向上も車両のユーザにとっては重要な関心事項である。
【0004】
そこで、本発明は、車両の燃費向上の観点から適当な出発時間帯を車両のユーザに対して提供することができるナビサーバを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明のナビサーバは、車両の燃費情報を管理するナビサーバであって、前記車両の燃費の変動要因としてのリンクおよび時間帯を含む複数の燃費因子により燃費を表わす各要素が定義されている燃費マトリクスを保存する支援データベースと、情報処理端末との通信により前記車両の出発位置および目的位置を結ぶ複数のルートを認識する第1支援手段と、前記第1支援手段により認識された前記ルートを構成する前記リンクのそれぞれにより定義される、前記燃費マトリクスの複数の要素の合計を複数の出発時間帯のそれぞれについて合計予測燃費として算定し、前記複数の出発時間帯のそれぞれについての前記合計予測燃費に関する燃費情報を前記情報処理端末に送信する第2支援手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明のナビサーバによれば、車両が走行するリンクおよびそのリンクを走行する時間帯に応じて燃費が変動することに鑑みて、複数の出発時間帯のそれぞれについて、車両がルートにしたがって出発位置から目的位置まで走行する際の燃費が燃費マトリクスに基づいて適当に予測されうる。そして、複数の出発時間帯のそれぞれについての合計予測燃費に関する燃費情報が情報処理端末に送信される。これにより、車両が現在位置または出発位置から目的位置まで走行する際の燃費向上の観点から適当な出発時間帯を車両のユーザに認識させることができる。
【0007】
なお、本願発明の構成要素である各手段が情報を「認識する」とは、外部情報源から情報を受信すること、データベースから情報を検索すること、記憶装置またはメモリから情報を読み出すこと、受信または検索等した基礎信号を演算処理することにより情報を測定、算定、推定、判定、設定、決定、探索等すること、算定等された情報を記憶装置またはメモリに保存すること等、当該情報を必要とする演算処理のために当該情報を準備するためのあらゆる演算処理の実行を意味する。情報処理端末は車両に搭載されているといないとの別を問わない。
【0008】
第2発明のナビサーバは、第1発明のナビサーバにおいて、前記支援データベースが前記リンクの配置態様を表わす支援マップ情報をさらに保存し、前記第1支援手段が、情報処理端末との通信により前記車両の前記出発位置および前記目的位置を認識した上で、前記支援マップ情報に基づいて前記ルートとしての支援ルートを認識し、前記第2支援手段が、前記第1支援手段により認識された前記支援ルートと、前記出発時間帯のそれぞれとの組み合わせについて前記合計予測燃費を算定し、前記支援ルートおよび出発時間帯の組み合わせについての前記合計予測燃費に関する前記燃費情報を前記情報処理端末に送信することを特徴とする。
【0009】
第2発明のナビサーバによれば、車両が出発位置から目的位置まで支援ルートにしたがって走行する際の燃費向上の観点から適当な支援ルートおよび出発時間帯を車両のユーザに認識させることができる。
【0010】
第3発明のナビサーバは、第1または第2発明のナビサーバにおいて、前記第1支援手段が前記車両の出発予定時刻または出発予定時間帯を認識し、前記第2支援手段が、前記出発予定時刻が含まれる時間帯または前記出発予定時間帯としての基準出発時間帯と、前記基準出発時間帯の前、後または前および後の一または複数の時間帯とを前記複数の出発時間帯として前記複数の要素の合計を算定することを特徴とする。
【0011】
第3発明のナビサーバによれば、目的位置までの走行に際しての燃費向上の観点から、その出発予定時刻が含まれる時間帯に出発するのが適当であるか、あるいは、その前後の時間帯に出発するのが適当であるかを車両のユーザに認識させることができる。
【0012】
第4発明のナビサーバは、第3発明のナビサーバにおいて、前記第2支援手段が、前記支援ルートと、前記出発予定時刻からの時間間隔が指定期間以下である前記複数の出発時間帯のそれぞれとの組み合わせについて前記合計予測燃費を算定し、前記支援ルートおよび出発時間帯の組み合わせについての前記合計予測燃費に関する前記燃費情報を前記情報処理端末に送信することを特徴とする。
【0013】
第4発明のナビサーバによれば、車両が出発位置から目的位置まで走行する際の燃費向上の観点から適当なルートと、同様の観点から適当かつ出発予定時刻から時間的に過剰に乖離していない出発時間帯とを車両のユーザに認識させることができる。
【0014】
第5発明のナビサーバは、第1〜第4発明のうちいずれか1つのナビサーバにおいて、前記支援データベースが各リンクの異なる時間帯ごとの車両の予測走行時間を表わす道路交通情報をさらに保存し、前記第1支援手段が、前記ルートを構成する、順に接続された第1〜第nリンクについて、前記道路交通情報に基づき、出発時間帯としての第1時間帯T1における一時刻に、前記第1時間帯T1における第1リンクの予測走行時間t1(T1)を加算した結果に基づいて第2リンクの予測走行時間帯としての第2時間帯T2を決定した上で、前記第2時間帯T2における予測走行時間t2(T2)を決定するとともに、第i時間帯Ti(i=2,3,‥n−1)における一時刻に、前記第i時間帯Tiにおける第iリンクの予測走行時間ti(Ti)を加算した結果に基づいて第i+1リンクの予測走行時間帯としての第i+1時間帯Ti+1を決定した上で、前記第i+1時間帯Ti+1における予測走行時間ti+1(Ti+1)を決定することを特徴とする。
【0015】
第5発明のナビサーバによれば、各要素を定義する燃費因子の1つであるリンクが車両の出発位置から遠くなるほど、この車両がリンクを走行する予測時間帯が後にずれることに鑑みて、一の出発時間帯について加算対象となる燃費マトリクスの要素が適当に選定されうる。これにより、異なる出発時間帯のそれぞれについて、車両が支援ルートにしたがって走行した場合の燃費が高精度で予測されうる。そして、車両が現在位置または出発位置から目的位置まで走行する際の燃費向上の観点から適当な出発時間帯を車両のユーザに認識させることができる。
【0016】
第6発明のナビサーバは、第1発明のナビサーバにおいて、前記第2支援手段が、前記合計予測燃費が最高の前記出発時間帯としてのエコ出発時間帯を表わす情報を前記燃費情報として前記情報処理端末に送信することを特徴とする。
【0017】
第6発明のナビサーバによれば、車両が現在位置または出発位置から目的位置まで走行する際の燃費向上の観点から最適な出発時間帯をエコ出発時間帯として車両のユーザに認識させることができる。
【0018】
第7発明のナビサーバは、第2発明のナビサーバにおいて、前記第2支援手段が、前記合計予測燃費が最高の前記支援ルートおよび前記出発時間帯の組み合わせとしてのエコルートおよびエコ出発時間帯の組み合わせを表わす情報を前記燃費情報として前記情報処理端末に送信することを特徴とする。
【0019】
第7発明のナビサーバによれば、車両が出発位置から目的位置まで支援ルートにしたがって走行する際の燃費向上の観点から最適な支援ルートおよび出発時間帯をエコルートおよびエコ出発時間帯として車両のユーザに認識させることができる。
【0020】
第8発明のナビサーバは、第1〜第7発明のうちいずれか1つのナビサーバにおいて、前記第1支援手段が、情報処理端末との通信により前記車両の燃費および前記複数の燃費因子を認識し、前記燃費マトリクスの要素のうち、認識済の前記燃費因子により定義される第1要素を前記燃費に基づいて定めるとともに、未認識の前記燃費因子により定義される第2要素を前記第1要素に基づいて定めることによって前記燃費マトリクスを作成することを特徴とする。
【0021】
第8発明のナビサーバによれば、車両の燃費因子が第1要素ではなく第2要素を定義する場合でも、他の車両の燃費および燃費因子の既知の関係に基づく燃費および燃費因子の推定関係に鑑みて、この車両の燃費が高精度で評価されうる。したがって、車両が出発位置から目的位置まで走行する際の燃費向上の観点から適当な出発時間帯をエコ時間帯として車両のユーザに認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のナビサーバの実施形態について図面を用いて説明する。まず、本発明のナビサーバの構成について説明する。図1に示されているナビサーバ1は、複数の車両(四輪自動車)Qのそれぞれに搭載されているECU(電子制御ユニット)2、パソコンまたは携帯電話機等の情報処理端末とネットワーク経由で通信可能な一または複数のコンピュータ(CPU,ROM,RAM,I/O回路等により構成されている。)により構成されている。ナビサーバ1は支援データベース10と、第1支援手段11と、第2支援手段12とを備えている。
【0023】
支援データベース10には「燃費マトリクス」「支援マップ情報」および「道路交通情報」が保存されている。「燃費マトリクス」の各要素は燃費を表わしており、当該各要素は複数の燃費因子により定義されている。説明の簡単のため、燃費因子が2つのみであると仮定すると、図3に示されているようにn個に分類された第1燃費因子と、m個に分類された第2燃費因子とによって燃費を表わす各要素Fijが定義されるn×mマトリクスが燃費マトリクスとして保存されている。このような燃費マトリクスの概念は3つ以上の燃費因子が存在する場合にも拡張されうる。「支援マップ情報」は道路またはこれを構成するリンクの配置等を表わしている。道路またはリンク(交差点や右折点、左折点等の道路における任意の2つの点を結ぶ道路要素を意味する。)は、(緯度、経度)または(緯度、経度、高度)により位置が定められている点群により配置態様が表わされている。車両Qの進行方向に応じた各リンクの上り坂および下り坂の別、ならびに、坂の傾斜角度も支援マップ情報により表わされうる。「道路交通情報」は、各リンクの時間帯ごとの予測走行時間等を表わしている。道路交通情報はVICSセンター等の道路交通情報センターからナビサーバ1に提供された上で支援データベースに保存されてもよく、ナビサーバ1に送信されたFCD(フローティングカーデータ)に基づいて第1支援手段11により作成された上で支援データベース10に保存されてもよい。なお、支援データベース10は、ナビサーバ1とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。
【0024】
第1支援手段11は車両Q(正確には車両Qに搭載されているECU2)またはその他の情報処理端末(以下「車両Q等」という。ユーザにより車両Qの室内空間に携帯されてECU2に接続されるパソコンもしくは携帯電話機、または、車両Qの外部において使用されるパソコン等が含まれる。)との通信により、この車両Qの出発位置P1および目的位置P2を結ぶルートを認識する。第2支援手段12は第1支援手段11により認識されたルートを構成する複数のリンクのそれぞれにより定義される、燃費マトリクスの複数の要素の合計を合計予測燃費として複数の出発時間帯のそれぞれについて算定する。第2支援手段12は複数の出発時間帯のそれぞれについての合計予測燃費に関する燃費情報を車両Q等に送信する。
【0025】
前記構成のナビサーバの機能について説明する。まず、第1支援手段11により、車両Q等との通信により車両Qの出発予定時刻、出発位置P1および目的位置P2が認識される(図2/STEP002)。出発予定時刻、出発位置(または出発予定位置)P1および目的位置P2はユーザによる車両Q等の操作により設定された上でこの車両Q等からナビサーバ1に送信されうる。なお、車両Qの出発位置P1として、車両Q等に搭載されているGPS受信機により受信されたGPS信号等に基づいて測定された車両Q等の現在位置が出発位置P1として測定された上で、車両Q等からナビサーバ1に送信されてもよい。
【0026】
また、第1支援手段11により、支援マップ情報に基づき、車両Qの出発位置P1および目的位置P2を結ぶ一または複数の支援ルートRが探索される(図2/STEP004)。これにより、たとえば図4に示されているように車両Qの出発位置P1から目的位置P2まで順次接続された複数のリンクにより構成された支援ルートRが探索される。なお、支援ルートRが探索されることに代えてまたは加えて、車両Qの出発位置P1および目的位置P2を結ぶナビルートが車両Q等により探索されまたはユーザの操作により設定された上で、この車両Q等からナビサーバ1に送信されることで第1支援手段11により当該ルートが認識されてもよい。
【0027】
さらに、第1支援手段11により支援ルートRを構成する各リンクについて車両Qの予測走行時間帯が認識される(図2/STEP006)。具体的には、まず、車両Qの複数の出発時間帯が設定される。たとえば車両Qの出発予定時刻が「7:40」である場合、出発予定時刻を含む基準出発時間帯「7:30〜8:00」と、基準出発時間帯より1時間(指定期間)を超えない程度に前の時間帯「6:30〜7:00」「7:00〜7:30」と、基準出発時間帯より1時間(指定期間)を超えない程度に後の時間帯「8:00〜8:30」「8:30〜9:00」とが複数の出発時間帯として決定される。基準出発時間帯の前および後の時間帯に代えて、前または後の時間帯のみが出発時間帯として設定されてもよい。各時間帯の時間幅は同一であっても異なっていてもよく、任意に変更されうる。複数の出発時間帯はユーザによって設定された上で車両Q等からナビサーバ1に送信されることにより、第1支援手段11により認識されてもよい。
【0028】
続いて、道路交通情報に基づき、図4に示されている第1リンクL1について出発時間帯のそれぞれに該当する第1時間帯T1(たとえば「6:30〜7:00」)における予測走行時間t1(T1)が決定される。また、第2リンクL2について第1時間帯T1に含まれる時刻t0に、第1リンクL1における予測走行時間t1を加えた時刻t0+t1を含む第2時間帯T2における予測走行時間t2(T2)が決定される。以下、同様に、第iリンクLi(i=3,4,‥n)について第i−1時間帯Ti−1に含まれる時刻Σk=0-i-2tkに、第i−1リンクLi−1における予測走行時間ti−1を加えた時刻Σk=0-i-1tkを含む第i時間帯Tiにおける予測走行時間ti(Ti)が決定される。なお、道路交通情報にはVICSセンター等の道路交通情報管理センターのサーバにより収集されたリンクごとの車両の走行時間に基づいて作成され、ナビサーバ1に送信または提供された道路交通情報のほか、ナビサーバ1によりフローティングカーとしての車両Qから収集されたFCD(フローティングカーデータ)に基づいて作成された道路交通情報が含まれる。
【0029】
また、第2支援手段12により支援ルートRおよび出発時間帯の組み合わせごとの合計予測燃費が算定される(図2/STEP008)。具体的には、支援ルートRを構成する第iリンクLiおよび車両Qの予測走行時間tiを含む複数の燃費因子により定義される燃費マトリクスの要素が第iリンクLiを走行する際の予測燃費として決定される(図3参照)。その上で、支援ルートRを構成するすべてのリンクについて予測燃費が合計されることにより、この支援ルートRおよび出発時間帯の組み合わせについて合計予測燃費が算定される。なお、燃費マトリクスの各要素を定義する「燃費因子」には車種、速度または速度範囲、加速度または加速度範囲、車両重量、タイヤ空気圧、エンジンオイル劣化度、タイヤ磨耗度、気象情報、走行時間帯および走行リンクのうち一部または全部が含まれている。「車種」はECU2によってECU2を構成するメモリからコードとして読み出される。「速度」はECU2により速度センサ(図示略)の出力信号に基づいて測定される。なお、速度範囲はGPS信号またはジャイロセンサの出力信号に基づいて車両Qの位置が測定された上で、位置の時間変化態様に基づいて測定されうる。「加速度」はECU2により車両Qに搭載されている加速度センサの出力信号に基づいて測定される。なお、車両Qの位置または速度の時間変化態様に基づいて加速度範囲が測定されてもよい。「車両重量」は各サスペンションの変位センサの出力信号、または、ユーザによって車載のナビゲーション装置等に入力された乗車人員、荷物積載量および給油量のうち一部または全部に応じてECU2によって算定される。「タイヤ空気圧」「エンジンオイル劣化度」または「タイヤ磨耗度」は最後にタイヤ空気圧が調整もしくは点検され、エンジンオイルが点検もしくは交換され、または、タイヤが交換された後の車両Qの累積走行距離に基づいてECU2により算定されうる。「気象情報」は、ECU2により測定された車両Qの現在位置と、気象情報センターから提供されて支援データベース10に格納されているエリアごとの気象情報(天候、気温、湿度など)のうち、当該測定位置が属するエリアの気象情報が検索されることにより決定される。なお、ECU2により車両Qに搭載されている外気温センサの出力信号に応じた車両Qの周辺温度が気象情報として測定されてもよい。「走行時間帯」はナビサーバ100または車両Qに搭載されている時計により計時される。「走行リンク」はECUにより測定された車両Qの現在位置と、支援データベースに保存されている支援マップ情報とに基づいて決定される。その他、車両Qに搭載されている空調装置の運転状況等が燃費因子として検知されうる。空調装置は外気温と快適温度(あらかじめ定められている。)との差が大きいほど高負荷で運転する等、空調装置の運転状況が気象情報等、他の燃費因子に基づいて認識されてもよい。これにより、たとえば「車種xの車両Qが、時間帯Tにおいて、気象情報WNが雨天、気温○℃、湿度●%である状況下で、走行リンクzを速度範囲Rvおよび加速度範囲Rαで走行する」という将来における燃費因子により定義される要素が予測燃費として決定されうる。
【0030】
さらに、第2支援手段12により、合計予測燃費が最高の支援ルートRおよび出発時間帯Tの組み合わせが、エコルートERおよびエコ出発時間帯ETとして決定される(図2/STEP010)。そして、第2支援手段12によりエコルートERおよびエコ出発時間帯ET等を表わす燃費情報が車両Q等に送信される(図2/STEP012)。これにより、たとえば図5に示されているように、2つの支援ルートR1およびR2のそれぞれと、5つの出発時間帯「6:30〜7:00」「7:00〜7:30」「7:30〜8:00」「8:00〜8:30」および「8:30〜9:00」のそれぞれとについて、燃費(単位燃料量あたりの走行距離)を表わす棒グラフが車両Q等のディスプレイ装置に表示される。また、エコルートERおよびエコ出発時間帯ETに該当する燃費グラフが他のグラフ部分とは異なる色彩が付されている。
【0031】
前記機能を発揮するナビサーバによれば、車両Qが走行するリンクおよびそのリンクを走行する時間帯に応じて燃費が変動することに鑑みて、複数の出発時間帯のそれぞれについて、車両Qが支援ルートRにしたがって出発位置P1から目的位置P2まで走行する際の燃費が燃費マトリクスに基づいて適当に予測されうる(図2/STEP008,図3および図4参照)。そして、複数の出発時間帯のそれぞれについての合計予測燃費に関する燃費情報が車両Q等に送信される。これにより、車両Qが出発位置P1から目的位置P2まで走行する際の燃費向上の観点から適当なルートおよび出発時間帯を車両Qのユーザに認識させることができる。特に、車両Qが出発位置P1から目的位置P2まで走行する際の燃費向上の観点から最適なエコルートERおよびエコ出発時間帯ETを車両Qのユーザに認識させることができる。たとえば、図5に示されているような画像により、出発予定時刻である7:40よりも1時間早い6:40ごろに出発位置P1を出発して支援ルートR2にしたがって目的位置P2まで走行するのが、燃費向上の観点から最適であることを車両Qのユーザに認識させることができる。
【0032】
なお、第1支援手段11が、車両Q等との通信により車両Qの燃費および複数の燃費因子を認識し、燃費マトリクスの要素のうち、認識済の燃費因子により定義される第1要素を前記燃費に基づいて定めるとともに、未認識の燃費因子により定義される第2要素を第1要素に基づいて定めることによって燃費マトリクスを作成してもよい。説明の簡単のため図3を再び参照すると、車両Qとの通信により、第i分類の第1燃費因子および第j分類の第2燃費因子およびこれに対応する燃費がすでに認識されている場合、当該燃費またはその平均値が燃費マトリクスの(i,j)要素(第1要素)Fijとして定められる。一方、第i分類の第1燃費因子および第j+1分類の第2燃費因子に対応する燃費がまだ認識されていない場合、(i,j)要素(第1要素)Fijに、ナビサーバ1のメモリに保存されている補完係数C2(j,j+k)が乗じられることにより(i,j+k)要素(第2要素)Fij+kが定められる。また、第i+z分類の第1燃費因子および第j分類の第2燃費因子に対応する燃費がまだ認識されていない場合、(i,j)要素(第1要素)Fijに、ナビサーバ1のメモリに保存されている補完係数C2(i,i+z)が乗じられることにより(i+z,j)要素(第2要素)Fi+zjが定められる。当該構成のナビサーバによれば、車両Qの燃費因子が第1要素ではなく第2要素を定義する場合でも、他の車両の燃費および燃費因子の既知の関係に基づく燃費および燃費因子の推定関係に鑑みて、この車両Qの燃費が高精度で評価されうる。したがって、車両Qが出発位置P1から目的位置P2まで走行する際の燃費向上の観点から適当なルートおよび出発時間帯を車両のユーザに認識させることができる。
【0033】
また、補完係数は燃費因子の類似度が高いほど、燃費の近似度が高くなるように定義されている。たとえば、燃費因子としての車種が異なっていてもエンジン出力、車輪駆動形式または車両サイズなどにおいて類似度が高いほど、当該異なる燃費因子間の補完係数が1に近くなるように定義されている。また、燃費因子としてのリンクが異なっていても路面傾斜状況(上り坂、下り坂および平坦路の別、路面傾斜角度など)、道路種類(高速道路および市街地道路の別など)または道路形状(直線道路、緩やかな曲線道路および蛇行道路の別など)において類似度が高いほど、当該異なる燃費因子間の補完係数が1に近くなるように定義されている。さらに、燃費因子としての速度範囲または加速度範囲が異なっていても、当該範囲が近いほど、当該異なる燃費因子間の補完係数が1に近くなるように定義されている。これにより、認識済の燃費因子および未認識の燃費因子の類似度が高い場合、当該認識済の燃費因子により定義される第1要素(燃費)に近い値が、当該未認識の燃費因子により定義される第2要素(燃費)として決定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のナビサーバの構成説明図
【図2】本発明のナビサーバの機能を示すフローチャート
【図3】燃費マトリクスに関する説明図
【図4】予測燃費の算定方法に関する説明図
【図5】燃費情報に関する説明図
【符号の説明】
【0035】
1‥ナビサーバ、2‥車両ECU、10‥支援データベース、11‥第1支援手段、12‥第2支援手段、Q‥車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃費情報を管理するナビサーバであって、
前記車両の燃費の変動要因としてのリンクおよび時間帯を含む複数の燃費因子により燃費を表わす各要素が定義されている燃費マトリクスを保存する支援データベースと、
情報処理端末との通信により前記車両の出発位置および目的位置を結ぶ複数のルートを認識する第1支援手段と、
前記第1支援手段により認識された前記ルートを構成する前記リンクのそれぞれにより定義される、前記燃費マトリクスの複数の要素の合計を複数の出発時間帯のそれぞれについて合計予測燃費として算定し、前記複数の出発時間帯のそれぞれについての前記合計予測燃費に関する燃費情報を前記情報処理端末に送信する第2支援手段とを備えていることを特徴とするナビサーバ。
【請求項2】
請求項1記載のナビサーバにおいて、
前記支援データベースが前記リンクの配置態様を表わす支援マップ情報をさらに保存し、
前記第1支援手段が、情報処理端末との通信により前記車両の前記出発位置および前記目的位置を認識した上で、前記支援マップ情報に基づいて前記ルートとしての支援ルートを認識し、
前記第2支援手段が、前記第1支援手段により認識された前記支援ルートと、前記出発時間帯のそれぞれとの組み合わせについて前記合計予測燃費を算定し、前記支援ルートおよび出発時間帯の組み合わせについての前記合計予測燃費に関する前記燃費情報を前記情報処理端末に送信することを特徴とするナビサーバ。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビサーバにおいて、
前記第1支援手段が前記車両の出発予定時刻または出発予定時間帯を認識し、
前記第2支援手段が、前記出発予定時刻が含まれる時間帯または前記出発予定時間帯としての基準出発時間帯と、前記基準出発時間帯の前、後または前および後の一または複数の時間帯とを前記複数の出発時間帯として前記合計予測燃費を算定することを特徴とするナビサーバ。
【請求項4】
請求項3記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援手段が、前記支援ルートと、前記出発予定時刻からの時間間隔が指定期間以下である前記複数の出発時間帯のそれぞれとの組み合わせについて前記合計予測燃費を算定し、前記支援ルートおよび出発時間帯の組み合わせについての前記合計予測燃費に関する前記燃費情報を前記情報処理端末に送信することを特徴とするナビサーバ。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載のナビサーバにおいて、
前記支援データベースが各リンクの異なる時間帯ごとの車両の予測走行時間を表わす道路交通情報をさらに保存し、
前記第1支援手段が、前記ルートを構成する、順に接続された第1〜第nリンクについて、前記道路交通情報に基づき、出発時間帯としての第1時間帯T1における一時刻に、前記第1時間帯T1における第1リンクの予測走行時間t1(T1)を加算した結果に基づいて第2リンクの予測走行時間帯としての第2時間帯T2を決定した上で、前記第2時間帯T2における予測走行時間t2(T2)を決定するとともに、第i時間帯Ti(i=2,3,‥n−1)における一時刻に、前記第i時間帯Tiにおける第iリンクの予測走行時間ti(Ti)を加算した結果に基づいて第i+1リンクの予測走行時間帯としての第i+1時間帯Ti+1を決定した上で、前記第i+1時間帯Ti+1における予測走行時間ti+1(Ti+1)を決定することを特徴とするナビサーバ。
【請求項6】
請求項1記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援手段が、前記合計予測燃費が最高の前記出発時間帯としてのエコ出発時間帯を表わす情報を前記燃費情報として前記情報処理端末に送信することを特徴とするナビサーバ。
【請求項7】
請求項2記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援手段が、前記合計予測燃費が最高の前記支援ルートおよび前記出発時間帯の組み合わせとしてのエコルートおよびエコ出発時間帯の組み合わせを表わす情報を前記燃費情報として前記情報処理端末に送信することを特徴とするナビサーバ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1つに記載のナビサーバにおいて、
前記第1支援手段が、情報処理端末との通信により前記車両の燃費および前記複数の燃費因子を認識し、前記燃費マトリクスの要素のうち、認識済の前記燃費因子により定義される第1要素を前記燃費に基づいて定めるとともに、未認識の前記燃費因子により定義される第2要素を前記第1要素に基づいて定めることによって前記燃費マトリクスを作成することを特徴とするナビサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−54385(P2010−54385A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220545(P2008−220545)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【特許番号】特許第4401423号(P4401423)
【特許公報発行日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】