説明

ネットワーク管理システム、ネットワーク管理装置、ネットワーク機器及びネットワーク管理プログラム

【課題】数多くあるネットワーク機器を関し、その電源切り忘れを防止する。
【解決手段】ネットワーク管理システムは、ネットワーク2に接続された画像形成装置101等の共用機器を管理する。パーソナルコンピュータ201が管理プログラムを実行し、電源が入ったままの画像形成装置101をネットワーク2上で検索する。検索結果はパーソナルコンピュータ201の表示装置301に表示され、その中からユーザが選択した管理対象に対し、位置確認情報が送信される。これを受けて画像形成装置101では、報知音を鳴らす等の動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されたネットワーク機器を管理するためのネットワーク管理システムや管理装置、ネットワーク機器、管理プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された機器の管理を目的とした先行技術として、複数の情報機器と管理装置とを備えて構成されるネットワークシステムが知られている(特許文献1参照)。このネットワークシステムは、管理装置にて選択された情報機器に応答命令を送信することで、これを受信した情報機器においてインジケータの点灯やスピーカ等の発音、振動装置による振動といった応答動作を行わせるものである。
【0003】
この先行技術によれば、予めユーザが意識的に選択した情報機器に対して応答を命令すると、これに応えて情報機器が何らかの動作を返すため、ネットワーク上に存在する複数の情報機器の中で、特定の情報機器が具体的にどの場所に存在しているかを容易にユーザが発見することができる。
【特許文献1】特開2004−179774号公報(第5頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、ネットワークが構築された事業所内では、そこで業務を行うユーザの人数よりも多くの機器、端末等がネットワークに接続された状態で存在する。このようなネットワーク環境下では、多くのユーザにより共用される電子機器として、プリンタや複写機、複合機等のネットワーク対応機器が適宜各所にばらばらで配置されることが多い。これは、例えばフロア内でのユーザの物理的な分布にあわせて共用のネットワーク機器を分散して配置したり、事業所内でのユーザや書類等の動線を理想的に構築したりするためである。
【0005】
このようなオフィス内のネットワーク環境においては、その終業時や業務中断時に全ての共用ネットワーク機器の電源を切った上で事業所を閉鎖する必要がある。電源の切り忘れは、言うまでもなく電力の浪費であり、管理上望ましいことではない。
【0006】
しかしながら、フロア内の各所に分散して存在する複数の共用ネットワーク機器について、それらを一つ一つ電源が切れているかどうかユーザが確認して回ることは極めて煩雑であるし、仮にそのような手間を掛けたとしても、常に見落としが生じないとは限らない。このような状況にあっては、複数で存在する共用ネットワーク機器のうち、果たしていずれの電源が切断されていて、いずれの電源が投入されたままであるのかを人手で管理することは極めて困難である。
【0007】
この点に関して、上述した先行技術のネットワークシステムを適用しようとしても、ユーザ自身が対象を予め意識していることが前提でなければ、システムを有効に活用することができないという不具合が生じる。すなわちユーザは、これから発見しようとする情報機器を意識しているものの、その物理的な位置がわからない場合にはじめてシステムを利用することができるのであって、ユーザがはじめから対象を想定していない場合、システムそのものを利用することができない。したがって、電源が入っている機器が具体的にどれであるかをユーザが認識できていない状況においては、先行技術の手法は何ら用をなさないことになる。
【0008】
そこで本発明は、ネットワークに接続された複数の機器について、これらの電源投入状態を容易に管理することができるネットワーク管理技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は第1にネットワーク管理システムを提供する。また本発明は、第2にネットワーク管理装置を提供する。さらに本発明は、第3にネットワーク機器、第4にネットワーク管理プログラムをそれぞれ提供する。
【0010】
〔ネットワーク管理システム〕
本発明のネットワーク管理システムは、ネットワーク環境下での共用に適した機能を有する複数の共用機器と、これら複数の共用機器との間でネットワークを介して通信を行う機能を有した電子機器とを動作させてネットワーク上の管理を行うものである。
【0011】
上記のシステムに含まれる電子機器は、ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの共用機器の存在を検索する機能と、このとき検索された共用機器のうち、管理対象とするべき共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する機能とを有する。
【0012】
〔ネットワーク管理装置〕
また本発明のネットワーク管理装置は、ネットワーク環境下での共用に適した機能を有する複数の共用機器との間でネットワーク通信を行う機能を有した電子機器を備える。この電子機器には、ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの共用機器の存在を検索する機能と、検索された共用機器のうち、管理対象とするべき共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する機能とが含まれる。
【0013】
本発明のネットワーク管理システム又はネットワーク管理装置によれば、ネットワーク上に複数ある共用機器のうち、果たしていずれの電源が投入されているのかが不明な状況であっても、電子機器によりネットワーク上で検索をかけることで、電源が入った状態の共用機器を容易に抽出することができる。さらに検索の結果、該当する共用機器があれば、その中から管理対象とする共用機器に対して管理情報を送信することで、実際に電源が入っている共用機器に対する管理を行うことができる。
【0014】
ネットワーク管理システムにおける実用的な構成として、共用機器は、電子機器から送信された管理情報に基づいて管理動作を実行する機能を有する態様が望ましい。この場合、共用機器の管理動作により、ユーザに対する何らかのアプローチやアピールが実現される。このため、ネットワーク内に電源が入っている共用機器が存在していることをユーザが容易に認識することができ、それによってユーザは、その共用機器の電源を切断する行動をとることができる。
【0015】
また、管理動作が具体的に報知音を発するものであれば、離れた位置からであっても、その報知音を頼りにして管理対象となる共用機器をユーザが容易に特定することができる。
【0016】
好ましくは、本発明のネットワーク管理システム又はネットワーク管理装置では、電子機器において行われた検索結果として、管理対象とするべき共用機器に関する情報が表示されるものとなっている。この場合、ユーザはその具体的な情報をもとにして、実際に共用機器の電源を切断する行動に移ることができる。
【0017】
上記の表示を行う場合、その表示された情報に基づいて管理対象とするべき共用機器をユーザが選択することができる。この場合、例えば検索された共用機器が複数あったとすると、その中からユーザが管理対象とする共用機器を任意に選択し、その選択したものについてのみ管理動作を行わせることができる。
【0018】
〔ネットワーク機器〕
本発明のネットワーク機器は、上記のネットワーク管理システムに組み込まれた共用機器に相当するものである。ネットワーク機器は、ネットワークに接続された他の電子機器との間で通信を行うための通信インタフェースを備えており、電源が投入された状態にあるとき、電子機器が行う検索に対して自己を識別する識別情報を提供する機能を有する。識別情報の提供はネットワーク経由でなされる。またネットワーク機器は、電子機器により行われた検索結果に基づいて電子機器により管理対象とするべきことを表す管理情報が送信された場合、この管理情報をネットワーク経由で受信することができる。そしてネットワーク機器は、受信された管理情報に基づく管理動作を実行する機能を有する。またネットワーク機器は、管理動作として報知音を出力することができる。
【0019】
〔ネットワーク管理プログラム〕
本発明のネットワーク管理プログラムは、上記のネットワークシステムを構成する電子機器、共用機器(ネットワーク機器)、ネットワーク管理装置のコンピュータにより実行されるソフトウェアアプリケーションである。
【0020】
このネットワーク管理プログラムは、電子機器のコンピュータに、ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの共用機器の存在を検索する検索手順と、検索手順で検索された共用機器のうち、管理対象とするべき共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する送信手順とを実行させるためのものである。
【0021】
さらにネットワーク管理プログラムは、共用機器のコンピュータに、上記の送信手順で送信された管理情報に基づく管理動作を行わせる手順をさらに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワーク内にある複数の機器について、その電源の投入状態を確実に管理することができる。特に、本発明は電源の切り忘れをなくすことで無駄な電力消費を抑えるだけでなく、ネットワーク運用上の管理や安全衛生管理に対する寄与度も多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のネットワーク管理システムの実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク管理システムの概略構成図である。このネットワーク管理システムは、ネットワーク機器(共用機器)の一例として画像形成装置101を備えており、またネットワーク管理装置(電子機器)の一例としてパーソナルコンピュータ201を備えている。これら画像形成装置101及びパーソナルコンピュータ201がネットワーク2に接続された状態で、本実施形態のネットワーク管理システムが構成される。
【0024】
なお本実施形態では、1つのネットワーク管理システム内に複数台の画像形成装置101が含まれる態様を想定している。このため図1に示されている画像形成装置101は、その中の1台を例示したものに過ぎず、他にも同等の構成を有する複数台の画像形成装置がネットワーク2に接続されている。また同様に、パーソナルコンピュータ201についても、ネットワーク管理システム内には複数台のものが存在し、図1にはその中の1台が例示されているだけである。
【0025】
先ず、画像形成装置101の構成について説明する。
画像形成装置101は、例えばネットワークプリンタに代表されるネットワーク機器である。プリンタとして機能するため、画像形成装置101は図示しないプリントエンジンを内蔵している。プリントエンジンには、図示しない感光体ドラムや帯電器、露光ユニット、トナー現像ユニット(カラープリンタである場合は中間転写ベルト)等が含まれる。さらに画像形成装置101には、図示しない給紙装置が付属する。
【0026】
なお、ここではネットワークプリンタを例に挙げているが、画像形成装置101はネットワーク対応のデジタル複合機であってもよい。この場合、画像形成装置101はさらに画像読取部を備える。画像読取部には、例えばスキャナランプ及びミラーが搭載された走査光学系のほか、集光レンズ及びCCD等の光学素子が内蔵される。また画像読取部に付属して、原稿自動搬送機構(ADF)が装備される態様であってもよい。
【0027】
また画像形成装置101は、ネットワーク管理システム内で動作するための構成を有する。具体的には、通信インタフェース102や制御部103、報知装置部111及び解除キー121が画像形成装置101に装備されている。このうち報知装置部111には、さらに報知制御部112及びスピーカ113が含まれる。
【0028】
上記の通信インタフェース102は、ネットワーク2に接続するための通信アダプタであり、そのドライバは例えば制御部103にインストールされている。制御部103はコンピュータとして機能する要素であり、例えばプロセッサ(CPU)やメモリ(ROM、RAM等)を実装した電子回路基板の形態で画像形成装置101に内蔵されている。この制御部103は、通信インタフェース102による通信を制御するだけでなく、画像形成装置101が行う各種の処理や動作を制御する機能を有している。
【0029】
上記の報知制御部112もまたコンピュータとして機能する要素である。報知制御部112は、それ専用のプロセッサやメモリ等を備えた回路基板として装備される態様であってもよいし、制御部103が保有するシステムリソースの一部を報知制御部112として利用する態様であってもよい。いずれにしても、報知制御部112は制御部103からの指令に基づきスピーカ113を駆動する機能を有している。
【0030】
解除キー121は、例えば画像形成装置101の図示しない外装カバーや操作パネル等に設置された操作部品である。もしくは、操作パネルがその表示画面を介して操作を受け付けるタッチ式パネルである場合、その画面上に表示されたアイコンやアイテムが解除キー121として機能する態様であってもよい。解除キー121に対するユーザの操作は、報知制御部112にて検出されるものとなっている。
【0031】
その他、画像形成装置101には電源スイッチ114が装備されている。電源スイッチ114は、例えばシーソー式(ロッカ式)や押し込み式の可動体によりユーザの操作を受け付けることができる。電源スイッチ114の操作に基づいて、画像形成装置101に電力が供給されたり、その供給が遮断されたりする。
【0032】
次に、パーソナルコンピュータ201の構成を説明する。
ネットワーク管理装置となるパーソナルコンピュータ201には、一般に普及しているデスクトップ型PCやノートブック型PCを適用することができる。パーソナルコンピュータ201の一般的な構成例として、プロセッサ(CPU)202や記憶装置204、通信インタフェース203、表示制御部205、入力制御部206等を備えたものが挙げられる。またパーソナルコンピュータ201には、表示装置301や入力装置302が接続されている。
【0033】
上記の記憶装置204は、内蔵のハードディスクやメモリ等の記録デバイスである。また通信インタフェース203は、ネットワーク2に接続するための通信アダプタである。表示装置301はいわゆるディスプレイ、モニタに相当するハードウエアであり、表示制御部205はディスプレイアダプタである。また入力装置302はキーボード、ポインティングデバイス等に相当するハードウエアであり、入力制御部206はそのアダプタである。これらの構成にはいずれも公知のものを適用することができる。
【0034】
以上がネットワーク管理システムの基本的な構成である。加えて本実施形態では、パーソナルコンピュータ201及び画像形成装置101にそれぞれインストールされたネットワーク管理プログラム(ソフトウェアアプリケーション)を各コンピュータにより実行することで、ネットワーク管理システムを以下のように動作させることができる。以下、上記のプログラムの実行に伴って行われる各種処理の詳細を説明する。また以下の説明により、ネットワーク管理システムを稼働させるプログラムの詳細が明らかとなる。
【0035】
〔検索処理〕
図2は、ネットワーク管理システムにより最初に実行される検索処理の内容を示したフローチャートである。この検索処理は、ネットワーク管理プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ201にて実行される。
【0036】
図2の検索処理は、ネットワーク2に接続された複数台の画像形成装置101の中から、電源が投入されている状態(電源ON状態)のものを検索するための一連の手順(ステップS1〜ステップS5)から構成されており、以下、ステップS1〜ステップS5の内容について、順を追って説明する。
【0037】
ステップS1:前回行われた検索処理の結果が記憶装置204から読み出される(ステップS1)。すなわち、記憶装置204には、前回のプログラム実行時に行われた検索処理の結果が記憶されており、ここではその記憶内容が読み込まれる。なお、プログラムの実行が初回(起動時)である場合、ここでは特に記憶されている処理結果はない。
【0038】
ステップS2:次に、読み出された結果が表示装置301に表示される。ここで表示される内容は、例えばネットワーク2上で画像形成装置101の個体を識別するための個体番号(「No.5」等)や、個体名称(「管理部用機器」等)である。
【0039】
ステップS3:入力装置302からの検索処理の指示が受け付けられる。ここでは、入力装置302に対するユーザのキー操作、あるいはユーザがマウスを用いて表示装置301に表示されているアイコン画像や検索ボタン画像等をクリックする操作が受け付けられる。ネットワーク管理プログラムは、これらの操作がなされた場合、検索処理の指示がされたと判断する。
【0040】
ステップS4:ステップS3で検索処理の指示が受け付けられると、次にパーソナルコンピュータ201の通信インタフェース203を通じて、ネットワーク2に接続された画像形成装置101のうち、電源が投入された状態にあるものが検索される。この検索は、例えばブロードキャストによる応答の呼びかけや、ping(Packet INtetnet Groper)の実行による個別診断により実現される。pingを用いる場合、予めネットワーク2上の全ての機器のIPアドレスをプログラムに登録しておくことが望ましい。
【0041】
ステップS5:ステップS4で行われた検索結果が表示装置301に表示される。また、あわせて検索結果が記憶装置204に記憶される。ここで扱われる検索結果は、例えばIPアドレスの形式であったり、具体的な個体名称又は個体識別符号であったりする。
【0042】
なお、ステップS5では、検索の結果として電源が投入された状態にある画像形成装置101の台数を表示してもよい。この場合、例えば表示装置301には「電源ONの機器がN台あります」といったメッセージ情報をダイアログボックスのような形式で表示することができる。
【0043】
以上の検索処理をパーソナルコンピュータ201が実行すると、ネットワーク2上で電源が投入された状態の画像形成装置101の個体情報が収集されることになる。
【0044】
〔選択処理〕
次に図3は、検索処理に続いてネットワーク管理システムにより実行される選択処理の内容を示したフローチャートである。この選択処理もまた、ネットワーク管理プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ201にて実行される。
【0045】
図3の選択処理は、先の検索処理で検索された画像形成装置101の中から、報知音を鳴らす等の位置確認情報を送信するべき管理対象を選択する一連の手順(ステップS6,S7)から構成されている。
【0046】
ステップS6:記憶装置204から読み出された検索結果が表示装置301に表示される。なおこの手順は、先の検索処理のステップS5で行われた表示内容を引き継いだものであってもよいし、改めて表示内容を再構築(ウィンドウ表示の体裁を変更する等)したものであってもよい。
【0047】
なお検索結果の表示を行うと、パーソナルコンピュータ201はユーザに対する選択指示の待ち受け状態となる。ネットワーク管理システムを利用するユーザは、パーソナルコンピュータ201の表示装置301に表示された検索結果に基づき、これから位置確認を行うべき管理対象を選択することができる。
【0048】
ユーザによる選択は、例えば入力装置302による管理対象番号の入力操作や、マウス等のポインティングデバイスによる管理対象番号、名称等のクリック操作によって行われる。この場合、表示画面上で選択された管理対象の表示が強調されたり、表示色が反転して表示されたり、チェックマーク(レ印)によるマーカが付加されたりする。なお図5には、ユーザの操作を受け付ける際に用いられるウィンドウ表示の例が示されている。図5に示されるように、例えば一覧から管理対象とする機器の表示をユーザが選択(クリック操作)し、最終的に「OK」を入力(クリック操作又はキー操作)することで、選択操作が完了する。なお一覧には、画像形成装置101の他にネットワークスキャナが例示されている。
【0049】
ステップS7:入力装置302により選択された管理対象となる機器について、その識別情報が記憶装置204に保存される。ここで保存される識別情報は、上記のIPアドレスや個体識別符号である。また、ここで選択される管理対象は1台のみとは限らず、複数台であってもよい。
【0050】
〔送信処理〕
次に図4は、選択処理に続いてネットワーク管理システムにより実行される送信処理の内容を示したフローチャートである。この送信処理は、ネットワーク管理プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ201及び画像形成装置101の双方により実行される。
【0051】
図4の送信処理は、先の選択処理で選択された管理対象となる機器(画像形成装置101)に対し、報知音を鳴らす等の位置確認情報を送信する一連の手順(ステップS8〜ステップS12)から構成されている。
【0052】
ステップS8:パーソナルコンピュータ201において、先の選択処理で記憶装置204に保存された識別情報が読み出される。この読み出された識別情報をもとに、通信インタフェース203を介して管理対象となる機器(ここでは画像形成装置101)に位置確認情報(報知音を鳴らす指示)が送信される。
【0053】
ステップS9:パーソナルコンピュータ201から送信された位置確認情報がネットワーク2を通じて画像形成装置101により受け取られる。画像形成装置101では、受け取った位置確認情報(管理情報)を制御部103により解析し、これに基づく管理動作として、報知音を鳴らすとの判断が行われる。この場合、制御部103は報知音を鳴らす指示を報知制御部112に与える。
【0054】
ステップS10:先の判断に基づき、報知制御部112によりスピーカ113を駆動し、報知音を鳴らす処理が行われる。これにより、選択された管理対象の機器(画像形成装置101)から報知音が発せられることになる。
【0055】
ステップS11:画像形成装置101の報知制御部112において、解除指定が待ち受けられた状態となる。ここでいう解除指定は、ユーザによる解除キー121の操作がなされることである。解除指定がなければ(No)、ステップS10に戻って引き続き報知音を出力する処理が行われる。一方、解除指定があると(Yes)、次のステップS12の手順に進められる。
【0056】
ステップS12:解除指定があったことを受けて、報知音の出力が停止される。なお、先のステップS11では、ユーザの操作以外にも一定の時間(例えば10秒程度)が経過したことをもって解除指定とすることもできる。
【0057】
〔動作例〕
以上がネットワーク管理プログラムの実行に伴う各種処理の内容である。次に、ネットワーク管理プログラムの実行に伴う各種処理を、ネットワーク管理システムを主体とした動作の観点から説明する。
図6は、ネットワーク管理システムの動作例を概略的に示した図である。ネットワーク管理システムは、ユーザがパーソナルコンピュータ201を操作し、ネットワーク管理プログラムを実行させることで動作する。
【0058】
先ずネットワーク管理システムは、電源が投入された状態の機器を検索し、もしも電源ON状態のものがあれば、その個体を表す識別情報をパーソナルコンピュータ201の表示装置301に表示させる。この表示をもとに、システムを利用するユーザは、システム内に電源ON状態の機器が存在するか否か、存在するとすれば台数はいくつあるか、いずれの機器が電源ON状態であるか等の情報を得ることができる。またこの段階で、ユーザは、表示された内容をもとに報知音を出力させたい対象の機器を選択することができる。
【0059】
ユーザの選択操作を受け付けると、ネットワーク管理システムは、選択された対象の機器から報知音を出力させる。この報知音にユーザが接することで、電源ON状態の機器がどこにあるのかを容易かつ確実に把握することができる。
【0060】
例えば、事業所のフロア内に複合機やプリンタとしての画像形成装置101が複数台あり、それぞれが適宜ばらばらの位置に設置されているネットワーク環境を想定する。このような環境下では、数ある画像形成装置101のうち、どれが電源ON状態であり、どれが電源OFF状態であるのかを一々確認することは困難である。特に事業所の終業時や業務中断時などにおいては、担当者または管理者としてのユーザがシステム全体の電源遮断について責任を持つ必要があるが、このような場合に本実施形態のネットワーク管理システムは有効に動作する。
【0061】
そして報知音に接したユーザは、必要があれば該当する機器の解除キー121を操作して報知音の出力をキャンセルすることができる。またユーザは、該当する機器の電源スイッチ114を操作し、その電源を切ることができる。これにより、担当者又は管理者としてのユーザは、その責務を確実に果たすことができる。また、電源の切り忘れによる無駄な待機電力の消費を抑えることができ、省電力化や排熱量の低減、安全衛生管理等について多大な寄与がもたらされる。
【0062】
この後、最初に戻ってユーザが再びプログラムを実行させると、ネットワーク管理システムは、前回のプログラム実行時に電源ON状態として検索された結果を表示装置301に表示させる。次に、ユーザが改めて検索指示を行うと、システムは再検索した結果を表示装置301に表示させる。
【0063】
このとき検索結果が「該当なし」であれば、ユーザはシステム内でパーソナルコンピュータ201を除く全ての機器(画像形成装置101)の電源が切られたことを容易に確認することができる。一方、検索結果としていずれかの機器が表示されていれば、ユーザは未だ電源が入ったままの機器が残っていることを容易に把握することができる。この場合、先ほどと同じくユーザは当該機器を選択し、システムの動作に伴い報知音を出力させることができる。
【0064】
上述した本実施形態のネットワーク管理プログラム、ネットワーク管理システム、このシステム内でプログラムを実行するパーソナルコンピュータ201又はプログラムにより管理される画像形成装置101によれば、いずれかの画像形成装置101に電源の切り忘れなどがある場合において、当該機器をネットワーク2上で検索し、その機器から報知音を鳴らすことにより、ユーザが報知音を頼りに直接その機器の場所まで行き、電源を切ることができる。また、特に置き場所がわからない機器についても、報知音を鳴らすことでその位置を容易に特定することができ、ユーザによる発見を容易にする。
【0065】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、各種の変形や置換を伴って実施することができる。一実施形態では、画像形成装置101を例に挙げているが、ネットワークに接続して使用される機器であれば、画像形成装置101に限る必要はない。例えば、ネットワークモデム、ルータ、ハブ、サーバ等の機器について本発明の技術を適用することが可能である。
【0066】
また、広く手動で電源切断が必要となる機器の場合、その設置場所がわかりにくいものについて本発明は特に有効である。例えば、パソコンであればリモートで電源を切断(シャットダウン)することも可能であるが、作業途中のファイル等を保存せずにむやみに終了させることは適切でないため、電源を落とす前にユーザによる直接的な確認が必要となる。このような場合であっても、広いオフィス等では、電源の切り忘れがあるパソコンを発見する際に本発明は有効である。
【0067】
また一実施形態では、管理対象の画像形成装置101から報知音を出力させる例を挙げているが、報知音とは別に発光器による発光動作を行わせたり、振動体を用いて機器に振動を起こさせたりする態様(又はこれらの組み合わせ)であってもよい。
【0068】
また、一実施形態で挙げた画像形成装置101やパーソナルコンピュータ201の構成はいずれも好ましい例示であり、これらを適宜変形して実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】一実施形態に係るネットワーク管理システムの概略構成図である。
【図2】ネットワーク管理システムにより最初に実行される検索処理の内容を示したフローチャートである。
【図3】検索処理に続いてネットワーク管理システムにより実行される選択処理の内容を示したフローチャートである。
【図4】選択処理に続いてネットワーク管理システムにより実行される送信処理の内容を示したフローチャートである。
【図5】ユーザの操作を受け付ける際に用いられるウィンドウ表示の一例である。
【図6】ネットワーク管理システムの動作例を概略的に示した図である。
【符号の説明】
【0070】
2 ネットワーク
101 画像形成装置
102 通信インタフェース
103 制御部
111 報知装置部
112 報知制御部
113 スピーカ
114 電源スイッチ
201 パーソナルコンピュータ
202 プロセッサ
203 通信インタフェース
204 記憶装置
205 表示制御部
206 入力制御部
301 表示装置
302 入力装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器が互いに通信可能に接続されたネットワーク環境下での共用に適した機能を有する複数の共用機器と、これら複数の共用機器との間でネットワークを介して通信を行う機能を有した電子機器とを動作させてネットワーク上の管理を行うためのネットワーク管理システムにおいて、
前記電子機器に備えられ、ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの前記共用機器の存在を検索する検索手段と、
前記電子機器に備えられ、前記検索手段により検索された前記共用機器のうち、管理対象とするべき前記共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記共用機器に備えられ、前記送信手段により送信された管理情報に基づく管理動作を実行する動作手段をさらに備えたことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記検索手段により行われた検索結果として、管理対象とするべき前記共用機器に関する情報を前記電子機器により表示させる表示手段をさらに有することを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記表示手段により表示された情報に基づき、前記電子機器に対する操作を通じて管理対象とするべき前記共用機器の選択を受け付ける選択手段をさらに有することを特徴するネットワーク管理システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記動作手段は、管理動作として報知音を出力することを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項6】
複数の機器が互いに通信可能に接続されたネットワーク環境下での共用に適した機能を有する複数の共用機器との間にて、ネットワークを介して通信を行う機能を有した電子機器と、
前記電子機器に備えられ、ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの前記共用機器の存在を検索する検索手段と、
前記電子機器に備えられ、前記検索手段により検索された前記共用機器のうち、管理対象とするべき前記共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する送信手段と
を備えたことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のネットワーク管理装置において、
前記送信手段は、前記共用機器に対して管理情報に基づく管理動作を実行すべきことを指示することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のネットワーク管理装置において、
前記電子機器に備えられ、前記検索手段により行われた検索結果として、管理対象とするべき前記共用機器に関する情報を表示する表示手段をさらに有することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のネットワーク管理装置において、
前記電子機器に備えられ、前記表示手段により表示された情報に基づいて管理対象とするべき前記共用機器を選択する操作を受け付ける選択手段をさらに有することを特徴するネットワーク管理装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載のネットワーク管理装置において、
前記送信手段は、前記共用機器に対して管理動作として報知音を出力するべきことを指示することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項11】
複数の機器が互いに通信可能に接続されたネットワーク環境下での共用に適した機能を有したネットワーク機器において、
ネットワークに接続された他の電子機器との間で通信を行うための通信インタフェースと、
電源が投入された状態にあるとき、前記電子機器が行う検索に対して自己を識別する識別情報を提供する情報提供手段と、
前記電子機器により行われた検索結果に基づいて前記電子機器により管理対象とするべきことを表す管理情報が送信された場合、この管理情報をネットワーク経由で受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された管理情報に基づく管理動作を実行する動作手段とを備えたことを特徴とするネットワーク機器。
【請求項12】
請求項11に記載のネットワーク機器において、
前記動作手段は、管理動作として報知音を出力することを特徴とするネットワーク管理機器。
【請求項13】
複数の機器が互いに通信可能に接続されたネットワーク環境下での共用に適した機能を有する複数の共用機器と、これら複数の共用機器との間でネットワークを介して通信を行う機能を有した電子機器とを動作させてネットワーク上の管理を行うためにコンピュータにより実行されるネットワーク管理プログラムにおいて、
前記電子機器のコンピュータに、
ネットワーク内で電源が投入された状態にあるいずれかの前記共用機器の存在を検索する検索手順と、
前記検索手順で検索された前記共用機器のうち、管理対象とするべき前記共用機器に対してネットワーク経由で所定の管理情報を送信する送信手順とを実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記共用機器のコンピュータに、前記送信手順で送信された管理情報に基づく管理動作を行わせる手順をさらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記電子機器のコンピュータに、前記検索手順で行われた検索結果として、管理対象とするべき前記共用機器に関する情報を前記電子機器が有する表示装置により表示させる表示手順をさらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記電子機器のコンピュータに、前記表示手順で表示された情報に基づき、前記電子機器に対する操作を通じて管理対象とするべき前記共用機器の選択を受け付ける選択手順をさらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【請求項17】
請求項14から16のいずれかに記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記共用機器のコンピュータに、管理動作として報知音を出力する手順をさらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−323286(P2007−323286A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151709(P2006−151709)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】