説明

ノイズキャンセル装置とこれを用いた高周波受信部および携帯機器

【課題】テレビ放送受信時において、携帯機機内のノイズ信号による受信感度の劣化を改善する。
【解決手段】この目的を達成するために、ノイズ発生源に近接して配置されるとともにノイズ発生源である例えば画像形成部115から出力されるノイズ信号を抽出するピックアップアンテナ133と、テレビ受信用アンテナ117aからのテレビ信号が入力されるとともにピックアップアンテナ133により抽出されたノイズ信号が供給されるノイズキャンセル部137aと、テレビ受信用アンテナ117bからのテレビ信号が供給されるとともにピックアップアンテナ133により抽出されたノイズ信号が供給されるノイズキャンセル部137bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等のように、画像表示部を有し、その画像表示部に対して画像形成部からの信号で画像を表示する携帯機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の上記携帯機器は、部品の小型化、半導体素子の集積化がますます進んだことから、非常に軽く、また小型化が進んでいる。このため、携帯機器の機能をますます充実する試みも活発に行われている。
【0003】
これにより、携帯機器では、携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等の機能を有し、さらにテレビ放送を視聴できるようになっている。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2008−22294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の携帯機器では、携帯機器から出力されるクロック信号やその高調波信号の一部がノイズ信号源となって、テレビ受信用アンテナから侵入した。
【0006】
特に、地上波デジタルテレビ放送は、既存のアナログ放送受信時への妨害を考慮して、送信電力を小さくしている。このため、地上波デジタルテレビ受信時に、電波状態が悪い場合には受信感度の劣化となり、テレビ放送を視聴できない場合が発生した。
【0007】
そこで本発明は、携帯機器のクロック信号やその高調波信号の一部によるテレビ放送受信時の受信感度への影響を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明のノイズキャンセル装置は、ノイズ発生源に近接して配置されるとともに前記ノイズ発生源から出力されるノイズ信号を抽出するピックアップアンテナと、第1のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第1の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第2の入力に供給される第1のノイズキャンセル部と、第2のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第3の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第4の入力に供給される第2のノイズキャンセル部を設ける。
【0009】
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明のノイズキャンセル装置は、ノイズ発生源に近接して配置されるとともに前記ノイズ発生源から出力されるノイズ信号を抽出するピックアップアンテナと、第1のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第1の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第2の入力に供給される第1のノイズキャンセル部と、第2のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第3の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第4の入力に供給される第2のノイズキャンセル部を設ける。
【0011】
これにより、ノイズ信号源から出力されるノイズ信号が第1、第2のテレビ受信用アンテナにそれぞれ飛び込んだとしても、このノイズ信号を第1、第2のノイズキャンセル部により大幅に抑制できる。
【0012】
従って、テレビ放送受信時における受信感度を大きく改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1を用いて説明する。図1は、携帯機器101のブロック図である。本発明の実施の形態では一実施例として、デジタル方式のテレビ信号を受信できる携帯機器101について説明する。
【0014】
この携帯機器101は、デジタル放送方式のテレビ信号を受信する高周波受信部103と、携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等の機能を有する本体部105と、これら高周波受信部103の出力と本体部105の出力がそれぞれ接続されているベースバンド信号処理部107と、このベースバンド信号処理部107からの信号が供給される画像表示部109、音声出力部111と、ベースバンド信号処理部107、高周波受信部103、本体部105を制御するシステム制御部113から構成されている。
【0015】
また、ベースバンド信号処理部107とシステム制御部113とにより画像形成部115が構成されている。
【0016】
高周波受信部103は、テレビ受信用アンテナ117a、117bからのテレビ信号がそれぞれ供給される入力端子119a、119bと、トランスポートストリーム(PS)信号が出力される出力端子121が設けられている。
【0017】
この入力端子119aから出力端子121に向かって順に、テレビ受信用アンテナ117aの入力インピーダンスを整合させるアンテナ整合器122a、高周波信号を増幅する高周波増幅器123a、この高周波増幅器123aからの出力信号が一方の入力126aに供給される合成回路125a、この合成回路125aの出力126eが接続されるチューナ復調部127a、このチューナ復調部127aからの出力が一方の入力131aに供給されるとともに誤り訂正およびデコード(復号化)の信号処理を行うダイバシティ・デコード部131が接続されている。
【0018】
また、アンテナ整合器122aと高周波増幅器123aによりアンテナ整合部132aが構成されている。
【0019】
さらに、合成回路125aの入力126cには、キャンセル信号生成回路135aの出力が接続されている。このキャンセル信号生成回路135aの入力には、ピックアップアンテナ133からのノイズ信号が入力端子134aおよび配線部134を介して入力される。
【0020】
これらキャンセル信号生成回路135aおよび合成回路125aによりノイズキャンセル部137aが構成されている。
【0021】
同様に、入力端子119bから出力端子121に向かって順に、テレビ受信用アンテナ117bの入力インピーダンスを整合させるアンテナ整合器122b、高周波信号を増幅する高周波増幅器123b、この高周波増幅器123bからの出力信号が一方の入力126bに供給される合成回路125b、この合成回路125bの出力126fが接続されるチューナ復調部127b、このチューナ復調部127bからの出力が他方の入力131bに供給されるとともに誤り訂正および復号化の信号処理を行うダイバシティ・デコード部131が接続されている。
【0022】
また、アンテナ整合器122bと高周波増幅器123bによりアンテナ整合部132bが構成されている。
【0023】
さらに、合成回路125bの入力126dには、キャンセル信号生成回路135bの出力が接続されている。このキャンセル信号生成回路135bの入力には、ピックアップアンテナ133からのノイズ信号が入力される。
【0024】
これらキャンセル信号生成回路135bおよび合成回路125bによりノイズキャンセル部137bが構成されている。
【0025】
また、合成回路125aは入力126aと出力126eとが信号ラインにより接続され、入力126cからこの信号ラインに向かって出力インピーダンスの高い増幅器が設けられている。これにより、キャンセル信号生成回路135aによる高周波信号への影響を小さくすることができる。合成回路125bについても同様である。
【0026】
さらに、チューナ復調部127aには、入力から出力に向かって順に、少なくとも利得制御の可能な高周波増幅器128a、混合器130a、復調部130c(共に図示せず)が設けられている。
【0027】
同様に、チューナ復調部127bには、入力から出力に向かって順に、少なくとも利得制御の可能な高周波増幅器128b、混合器130b、復調部130d(共に図示せず)が設けられている。
【0028】
なお、ノイズキャンセル部137a、137bと、ピックアップアンテナ133によりノイズキャンセル装置138が構成されている。
【0029】
このように構成された携帯機器101の動作について図1を用いて以下説明する。
【0030】
最初に、本体部105、画像形成部115、画像表示部109、音声出力部111の動作について説明する。本体部105は、携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等の機能を有している。この本体部105から出力される例えばベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部107に入力される。
【0031】
これら本体部105、ベースバンド信号処理部107、画像表示部109は、システム制御部113により制御されている。このベースバンド信号処理部107から出力される映像信号は、画像表示部109により画像が表示され、また、ベースバンド信号処理部107から出力される音声信号は、音声出力部111により音声とされる。
【0032】
次に、高周波受信部103の動作について説明する。例えば、テレビ受信用アンテナ117a、117bにより受信されたデジタル放送信号は、アンテナ整合部132a、132bにそれぞれ入力される。
【0033】
このアンテナ整合部132a、132bは、入力側にそれぞれ設けられたアンテナ整合器122a、122bと、その後続の高周波増幅器123a、123bとによりそれぞれ構成されている。これにより、短いテレビ受信用アンテナ117a、117bでも受信感度を向上すると共に、インピーダンス整合を図っている。
【0034】
さらに、ノイズキャンセル部137a、137bにおいて、不要なノイズ信号が位相キャンセルされる。この位相キャンセルされた信号は、チューナ復調部127a、127bに入力されて、利得制御されるとともに混合器により周波数変換され、さらに復調される。
【0035】
この復調信号は、ダイバシティ・デコード部131に入力される。このダイバシティ・デコード部131では、チューナ復調部127a、127bからの復調信号の一方を選択しあるいは合成することによりシングル受信とダイバシティ受信の選択を行い、さらに受信信号の復号化を行う。
【0036】
このダイバシティ・デコード部131から出力されるトランスポートストリーム(TS)信号は、出力端子121から出力される。
【0037】
このTS信号は、ベースバンド信号処理部107に入力され、ベースバンド信号処理部107からは映像信号と音声信号が出力され、さらに画像表示部109、音声出力部111に入力される。
【0038】
また、システム制御部113は、高周波受信部103の受信チャンネルを選択し、さらにチューナ復調部127a、127b、ダイバシティ・デコード部131を制御することにより受信品質を改善する。このようにして、主に高周波受信部103、画像形成部115、画像表示部109、音声出力部111により、テレビ信号を受信できる。
【0039】
ところが、このテレビ信号を受信可能な高周波受信部103は、携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等に内蔵されて用いられる。また、携帯機器として、ますます小型化サイズとされている。
【0040】
このように、携帯機器としての機能アップ、さらに小型化サイズとなった結果として、例えば画像形成部115、画像表示部109を制御するためのそれぞれのクロック信号の高調波信号、あるいは発振器の高調波信号が、テレビ放送受信時の受信感度に悪い影響を与えることが発生する。
【0041】
すなわち、これらクロック信号の高調波信号あるいは発振器の高調波信号の周波数が、UHFのテレビ信号の周波数と一致する場合がある。
【0042】
特に、最近始まったいわゆる1セグメント放送では、アナログ信号への妨害を考慮してそもそも送信信号の電力を小さく設定しているので、放送電波の受信レベルが低い弱電界地域でのテレビ放送視聴時には、上記携帯機器からのクロック信号、発振器の高調波信号による影響は大きく、受信感度が悪くなる場合が発生する。
【0043】
この弱電界地域における受信感度を改善するためのノイズキャンセル部137a、137bの動作について説明する。このノイズキャンセル部137a、137bには、ピックアップアンテナ133がそれぞれ接続されている。このピックアップアンテナ133によりノイズ信号がピックアップされる。このノイズ信号は、キャンセル信号生成回路135a、135bにおいて位相調整およびレベル調整が行われ、ノイズキャンセル信号となって合成回路125aの入力126c、合成回路125bの入力126dにそれぞれ入力される。
【0044】
これらノイズキャンセル信号は、入力126a、126bから入力されるノイズ信号に対して振幅が同じで位相が反転した信号となるように調整される。これらノイズキャンセル信号により、入力126a、126bから入力されるノイズ信号は位相キャンセルされる。さらに、例えばBER、あるいはC/N等をダイバシティ・デコード部131により受信品質を検出・判定することができる。
【0045】
このように、システム制御部113が、ノイズキャンセル部137a、137bにおける位相キャンセルの動作と、さらにダイバシティ・デコード部131における検出・判定の動作の繰り返しを行う。これにより、最終的にキャンセル信号生成回路135a、135bからの出力信号の振幅、位相を最適な値に調整することができる。
【0046】
以上のように、本発明は、テレビ信号の受信時において、携帯機器101のクロック信号やその高調波信号からなるノイズ信号がテレビ受信用アンテナ117a、117bから侵入したとしても、ノイズキャンセル部137a、137bによりキャンセルすることができる。
【0047】
これにより、弱電界地域におけるテレビ信号の受信感度を改善できる高周波受信部103を実現できる。
【0048】
また、この高周波受信部を携帯機器に採用することにより、携帯機器101から発生するクロック周波数の高調波信号によるテレビ信号の受信感度の劣化を防止することができる。
【0049】
なお、ノイズ信号がテレビ受信用アンテナ117a、117bに侵入することにより妨害となるのは、テレビ受信用アンテナ117a、117bの希望チャンネルである受信信号が小さい場合に、受信感度が劣化することになる。
【0050】
例えば、チューナ復調部127a、127bあるいはダイバシティ・デコード部131から出力される受信品質信号に基づいてノイズキャンセル部137a、137bの動作開始、動作停止の制御をすることができる。この受信品質信号として、例えばBER、あるいはC/N等を用いればよい。
【0051】
また、ノイズキャンセル部137aを、チューナ復調部127aに内蔵されている利得制御用の高周波増幅器128a(図示せず)の入力までの間に接続し、ノイズキャンセル部137bを、チューナ復調部127bに内蔵されている利得制御用の高周波増幅器128b(図示せず)の入力までの間に接続しても、同様の効果が得られる。
【0052】
さらに、ノイズキャンセル部137aを、チューナ復調部127aに内蔵されている利得制御用の高周波増幅器128a(図示せず)の出力から混合器130a(図示せず)の入力までの間に接続し、ノイズキャンセル部137bを、チューナ復調部127bに内蔵されている利得制御用の高周波増幅器128b(図示せず)の出力から混合器130b(図示せず)の入力までの間に接続してもよい。
【0053】
この場合には、ノイズキャンセル部137a、137bの挿入損失、整合損失による高周波受信部103の雑音指数の劣化を軽減できるので、受信感度の劣化が少ない。
【0054】
図2は、本発明の携帯機器101の各ブロックの配置図である。この配置図の右図は上面から見た透視図を表し、左図は側面からの透視図を表している。
【0055】
図2において、ケース141内に設けられた基板143の上面143aには、高周波受信部103と、テレビ受信用アンテナ117a、117bを配置し、下面143bには画像形成部115を配置している。さらに、この基板143の上面143aの上方には画像表示部109が設けられている。
【0056】
ここで、テレビ受信用アンテナ117a、117bは、ノイズ信号源である画像形成部115、画像表示部109からできる限り離して配置している。
【0057】
このテレビ受信用アンテナ117aは、ケース141の縦方向の長さ101aに沿って内蔵して配置されている。これは、テレビ受信用アンテナ117aの長さ118aは、UHF信号の4分の1波長である10cm〜15cmとなり、ケース141の縦方向の長さ101aより小さく、横方向の長さ101bより大きくなる。このようにして、テレビ受信用アンテナ117aを縦方向に収納することにより、テレビ受信用アンテナ117aの受信感度を確保できる。
【0058】
一方、テレビ受信用アンテナ117bは、テレビ受信用アンテナ117aに対して直角に配置されている。このテレビ受信用アンテナ117bは、横方向に収納されているので、テレビ受信用アンテナ117aに対して受信感度が小さくなる。
【0059】
これらテレビ受信用アンテナ117a、117bの2つのテレビ受信用アンテナによりダイバシティ受信を可能としている。
【0060】
なお、テレビ受信用アンテナ117a、117bの一方あるいは両方が、基板143の下面にあってもよい。
【0061】
ここで重要なことは、ピックアップアンテナ133は、例えばノイズ信号源の一つである画像形成部115に近接して配置することである。
【0062】
例えば、基板143の一方の面に画像形成部115を設け、他方の面にピックアップアンテナ133を近接して設けているので、ピックアップアンテナ133によるノイズ信号を確実にピックアップできる。
【0063】
なお、ピックアップアンテナ133とキャンセル信号生成回路135a、135bの間は、例えばプリントパターン等の配線部134により接続される。ところが、この配線部134の配線が長い場合には、この配線部134にテレビ信号が流入してしまい、テレビ信号がノイズキャンセル部137a、137bによりキャンセルされることになり、受信感度の劣化が発生してしまう。
【0064】
これは、例えば配線部134をシールドすることにより改善できる。また、ピックアップアンテナ133とキャンセル信号生成回路135a、135bの間であって、かつピックアップアンテナ133の出力に近接して高周波増幅器136(図示せず)を接続することにより改善できる。
【0065】
つまり、たとえ配線部134にテレビ信号が流入したとしても、高周波増幅器136により増幅されたピックアップアンテナ133によるノイズ信号は、配線部134から流入したノイズ信号より大きくすることができる。
【0066】
これにより、システム制御部113では、チューナ復調部127a、127bの受信チャンネルを制御し、さらにキャンセル信号生成回路135a、135bの位相および利得を最適化することができる。
【0067】
この最適化された位相および利得のデータをシステム制御部113にチャンネル毎に記憶する。次回受信時には、この記憶データを用いてノイズキャンセル部137a、137bの位相および利得を最適化制御できるので、短時間に希望のチャンネルを鮮明に受信できる。
【0068】
図3(a)、(b)は、ピックアップアンテナ133の実施の形態の一例を示している。図3(a)では、ピックアップアンテナ133として、チップインダクタのピックアップアンテナ237を用いた場合を表している。
【0069】
このように、ピックアップアンテナ237をノイズ信号源に近接させて配置させ、さらにピックアップアンテナ237の巻線239の巻軸方向は、ノイズ信号源である例えば画像形成部115から出力されるノイズ信号の進行方向に一致させる。
【0070】
これにより、ピックアップアンテナ237とノイズ信号源との磁界結合を強くできる。従って、ピックアップアンテナ237によるノイズ信号レベルを大きくできる。また、小型サイズのチップインダクタを用いることによりテレビ信号受信レベルをさらに小さく設定できる。
【0071】
このため、ノイズキャンセル部137a、137bでは、テレビ受信用アンテナ117a、117bから流入したノイズ信号をキャンセルすることができ、ピックアップアンテナ237で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。これにより弱電界地域においても受信感度が劣化することがない。
【0072】
図3(b)では、ピックアップアンテナ133として、渦巻き型のプリントパターンのピックアップアンテナ238を用いた場合を表している。
【0073】
さらに、ピックアップアンテナ238をノイズ信号源に近接させて配置させ、ピックアップアンテナ238の巻軸方向は、ノイズ信号源である例えば画像形成部115から出力されるノイズ信号の進行方向に一致させる。
【0074】
これにより、ピックアップアンテナ238とノイズ信号源との磁界結合を強くできるのでノイズ信号レベルを大きくできる。また、小型サイズとしたプリントパターンを用いることによりテレビ信号受信レベルをさらに小さく設定できる。
【0075】
このため、ノイズキャンセル部137a、137bでは、テレビ受信用アンテナ117a、117bから流入したノイズ信号をキャンセルすることができ、ピックアップアンテナ238で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。これにより、弱電界地域においても受信感度が劣化することがない。
【0076】
なお、この渦巻き型のピックアップアンテナ238は、1ターンあるいは1ターン以下のプリントパターンとしても効果は同じである。
【0077】
また、ピックアップアンテナ133には、例えばマイクロストリップラインを用いてもよい。このマイクロストリップラインは、信号ラインと、この信号ラインに近接して設けられたグランド部から構成され、ノイズ信号源に近接して信号ライン、グランド部の順番に配置すればよい。
【0078】
図4は、本発明の他の実施形態を示し、この携帯機器161の高周波受信部162は、携帯機器101の高周波受信部103に対して、ピックアップアンテナ229の両端子とノイズキャンセル部137aおよび137bとの間を平衡回路とした配線部230a、230bで接続している点が異なる。
【0079】
なお、ピックアップアンテナ229は、例えばノイズ信号発生源のひとつである画像形成部115に近接して設けている。また、ノイズキャンセル部137a、137bと、配線部230a、230bと、ピックアップアンテナ229によりノイズキャンセル装置165が構成されている。
【0080】
図4において、ピックアップアンテナ229の両端は、入力端子231a、231bに接続されている。この入力端子231a、231bは、平衡回路とした配線部230a、230bを介して、ノイズキャンセル部137a、137bにそれぞれ内蔵されているキャンセル信号生成回路135a、135bにそれぞれ平衡入力されている。
【0081】
このように、ピックアップアンテナ229の両端子とキャンセル信号生成回路135a、135bとの間を平衡回路とした配線部230a、230bで接続しているので、例えテレビ信号が平衡回路の配線部230a、230bに飛び込んだとしても、キャンセルされる。
【0082】
つまり、配線部230a、230bへのテレビ信号受信レベルの影響を小さくできるので、ピックアップアンテナ229におけるノイズ信号レベルを大きくできる。
【0083】
これにより、ノイズキャンセル部137a、137bによりノイズキャンセルされたテレビ信号は、ピックアップアンテナ229で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。
【0084】
なお、ピックアップアンテナ229とキャンセル信号生成回路135a、135bの間であって、かつピックアップアンテナ229の出力に近接して平衡入力、平衡出力の高周波増幅器136a(図示せず)を接続することにより、さらにノイズキャンセル部137a、137bに入力するノイズ信号レベルを大きくできる。
【0085】
図5(a)、(b)では、ピックアップアンテナ229としての実施形態の一例を示している。
【0086】
図5(a)では、ピックアップアンテナ229として、チップインダクタのピックアップアンテナ254を用い、このピックアップアンテナ254の巻線255の巻軸方向は、ノイズ信号発生源から出力されるノイズ信号の進行方向に一致させる。これにより、さらに磁界結合を強くできる。
【0087】
また、ピックアップアンテナ254の両端は、平衡回路とした配線部254a、254bによりキャンセル信号生成回路135a、135bの入力端子231a、231bに接続されている。
【0088】
これにより、ノイズキャンセル部137a、137bによりノイズキャンセルされたテレビ信号は、ピックアップアンテナ254で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。
【0089】
図5(b)では、ピックアップアンテナ229として、渦巻き型のプリントパターンのピックアップアンテナ257を用い、このピックアップアンテナ257の巻軸方向は、ノイズ信号発生源から出力されるノイズ信号の進行方向に一致させる。これにより、さらに磁界結合を強くできる。
【0090】
また、ピックアップアンテナ257の両端部は、平衡回路の配線部257a、257bによりキャンセル信号生成回路135a、135bの平衡入力に接続されている。
【0091】
これにより、ノイズキャンセル部137a、137bによりノイズキャンセルされたテレビ信号は、ピックアップアンテナ257で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。
【0092】
なお、渦巻き型のピックアップアンテナ257として、1ターンあるいは1ターン以下のプリントパターンとしても効果は同じである。
【0093】
また、ピックアップアンテナ257には、例えばマイクロストリップラインを用いても良い。このマイクロストリップラインは、信号ラインと、この信号ラインに近接して設けられたグランド部から構成され、ノイズ信号源に近接して信号ライン、グランド部の順番に配置すればよい。
【0094】
図6は、本発明の他の実施形態を示し、この携帯機器301では、携帯機器101に対して、ピックアップアンテナ333の先端部333aをノイズ信号源のひとつである画像形成部115に近接したグランドに接続している点が異なる。
【0095】
これにより、互いのグランドを共通としているので、画像形成部115からのノイズ信号成分を確実にピックアップできる。また、ピックアップアンテナ333のインピーダンスを十分に小さくできるので、テレビ信号を受信することがない。
【0096】
図7(a)、(b)は、図6で用いたピックアップアンテナ333の他の実施形態を示している。
【0097】
図7(a)では、ピックアップアンテナ333として、チップインダクタのピックアップアンテナ355を用いている。
【0098】
このピックアップアンテナ355では、図5(a)のピックアップアンテナ254では平衡回路での配線部254a、254bを有しているのに対して、ピックアップアンテナ355では先端部360をノイズ信号源のひとつである画像形成部115に近接したグランドに接続している点が異なる。
【0099】
図7(b)では、ピックアップアンテナ333として、渦巻き型のプリントパターンのピックアップアンテナ359を用いている。
【0100】
このピックアップアンテナ359では、図5(b)のピックアップアンテナ257では平衡回路での配線部257a、257bを有しているのに対して、ピックアップアンテナ359では先端部361をノイズ信号源のひとつである画像形成部115に近接したグランドに接続している点が異なる。
【0101】
このようにして、ピックアップアンテナ355、359を用いることにより、テレビ受信用アンテナ117a、117bから流入したノイズ信号をノイズキャンセル部137a、137bにおいて確実にキャンセルすることができる。
【0102】
従って、ピックアップアンテナ333で受信されたテレビ受信信号による影響を受けることがない。これにより、弱電界地域においても受信感度が劣化することがない。
【0103】
なお、渦巻き型のピックアップアンテナ359として、1ターンあるいは1ターン以下のプリントパターンとしてもよい。
【0104】
また、このピックアップアンテナ359として、例えばマイクロストリップラインを用いてもよい。このマイクロストリップラインは、信号ラインと、この信号ラインに近接して設けられたグランド部から構成され、ノイズ信号源に近接して信号ライン、グランド部の順番に配置すればよい。
【0105】
さらに、図2、図4、図6において、テレビ受信用アンテナ117bをテレビ受信用アンテナ117aに対して平行に配置した場合においても、ピックアップアンテナ133、229、333の巻線部の磁束方向はテレビ受信用アンテナ117a、117bに対して直角に配置することができる。
【0106】
さらになお、テレビ受信用アンテナ117a、117bは、互いに平行でなく、また互いに直角でなくともよく、例えばノイズ信号発生源である画像形成部が装着される基板143の平面に沿って自由に配置される場合であってもよい。この場合においても、ピックアップアンテナ133、229、333の巻線部の磁束方向は、テレビ受信用アンテナ117a、117bに対して直角に配置することが可能となる。
【0107】
このようにして、ピックアップアンテナ133、229、333へのテレビ放送信号が流入することを防止できる。従って、弱電界地域におけるテレビ信号の受信感度を改善できる。
【0108】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図8を用いて説明する。図8は、携帯機器501のブロック図である。
【0109】
実施の形態1の携帯機器101では、一つのノイズ信号発生源に対してピックアップアンテナ133とノイズキャンセル部137a、137bを用いてノイズキャンセルを行っている。
【0110】
これに対して、実施の形態2の携帯機器501では、2つのノイズ信号発生源のそれぞれに対してピックアップアンテナ133、519を設け、ノイズキャンセル部505には2つのキャンセル信号生成回路509、511を設け、ノイズキャンセル部506には2つのキャンセル信号生成回路515、517を設けている。
【0111】
なお、図8で使用した部品について、図1と同じものについては同一の番号を付して説明を簡略化している。
【0112】
図8において、携帯機器501には、デジタル放送方式のテレビ信号を受信する高周波受信部503が内蔵されている。
【0113】
この高周波受信部503には、テレビ受信用アンテナ117a、117bからのテレビ信号がそれぞれ供給される入力端子511a、511bと、トランスポートストリーム(PS)信号が出力される出力端子514が設けられている。
【0114】
また、ノイズキャンセル部505は、アンテナ整合部132aとチューナ復調部127aの間に接続された合成回路507と、この合成回路507の入力507a、507bにそれぞれ接続されるキャンセル信号生成回路509、511が設けられている。
【0115】
このキャンセル信号生成回路509の入力には、ピックアップアンテナ133が、入力端子520aおよび配線部521aを介して接続されている。また、キャンセル信号生成回路511の入力には、ピックアップアンテナ519が、入力端子520bおよび配線部521bを介して接続されている。
【0116】
さらに、キャンセル信号生成回路515の入力には、ピックアップアンテナ133が、入力端子520aおよび配線部521aを介して接続されている。また、キャンセル信号生成回路517の入力には、ピックアップアンテナ519が、入力端子520bおよび配線部521bを介して接続されている。
【0117】
また、ノイズキャンセル部506は、アンテナ整合部132bとチューナ復調部127bの間に接続された合成回路513と、この合成回路513の入力513a、513bにそれぞれ接続されるキャンセル信号生成回路515、517が設けられている。
【0118】
このキャンセル信号生成回路515、517の入力には、ピックアップアンテナ133、519がそれぞれ接続されている。
【0119】
また、ノイズキャンセル部505、506と、ピックアップアンテナ133、519と、ピックアップアンテナ133、519と配線部521a、521bによりノイズキャンセル装置520を構成している。
【0120】
さらに、ピックアップアンテナ133、519は、例えばノイズ信号発生源のひとつである画像形成部115、画像表示部109にそれぞれ近接して設けられている。
【0121】
これにより、画像形成部115からのノイズ信号は、ピックアップアンテナ133により抽出され、さらに配線部521aを介してキャンセル信号生成回路509、515に入力される。同様に、画像表示部109からのノイズ信号は、ピックアップアンテナ519により抽出され、さらに配線部521bを介してキャンセル信号生成回路511、517に入力される。
【0122】
このキャンセル信号生成回路509、511からのそれぞれのノイズキャンセル信号が入力される合成回路507において、テレビ受信用アンテナ117a、117bからそれぞれ流入したノイズ信号は位相キャンセルされる。
【0123】
同様に、キャンセル信号生成回路515、517からのそれぞれのノイズキャンセル信号が入力される合成回路513において、テレビ受信用アンテナ117a、117bからそれぞれ流入したノイズ信号は位相キャンセルされる。
【0124】
以上のように、例えば携帯機器のクロック信号、発振器の高調波信号からなる2つのノイズ信号が2つのテレビ受信用アンテナから侵入したとしても、2つのピックアップアンテナと、2つのノイズキャンセル部によりノイズ信号をそれぞれキャンセルすることができるので、テレビ放送受信時の受信感度を改善できる。
【0125】
なお、2つのノイズ信号発生源が存在する場合について説明したが、M(2以上の自然数)個のノイズ信号発生源が存在する場合においても同様である。すなわち、M個のピックアップアンテナを設け、これらM個のピックアップアンテナと同じM個のキャンセル信号生成回路を有するノイズキャンセル部を設ければよい。
【0126】
また、2つのテレビ受信用アンテナを用いた場合について説明したが、N(2以上の自然数)個のテレビ受信用アンテナを用いてダイバシティ受信する場合でも同様である。
【0127】
すなわち、N個のテレビ受信用アンテナに対応して、アンテナ整合部とノイズキャンセル部とチューナ復調部から構成される高周波受信回路を同じN個だけ設ける。このN個のノイズキャンセル部の中にP(2以上の自然数)個のノイズ信号発生源に対応したP個のピックアップアンテナをそれぞれ設ける。
【0128】
これにより、ノイズ信号をノイズキャンセル部によりキャンセルすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上の如く本発明は、テレビ信号の受信可能な携帯電話、携帯式のゲーム機、携帯式のコンピュータ、携帯式の辞書等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態1の携帯機器のブロック図
【図2】同、携帯機器の配置図
【図3】(a)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図、(b)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図
【図4】同、携帯機器の他の実施形態の配置図
【図5】(a)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図、(b)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図
【図6】同、携帯機器の他の実施形態の配置図
【図7】(a)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図、(b)同、携帯機器におけるピックアップアンテナの他の実施形態の図
【図8】実施形態2の携帯機器のブロック図
【符号の説明】
【0131】
117a テレビ受信用アンテナ
117b テレビ受信用アンテナ
133 ピックアップアンテナ
137a ノイズキャンセル部
137b ノイズキャンセル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ発生源に近接して配置されるとともに前記ノイズ発生源から出力されるノイズ信号を抽出するピックアップアンテナと、第1のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第1の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第2の入力に供給される第1のノイズキャンセル部と、第2のテレビ受信用アンテナからのテレビ信号が第3の入力に供給されるとともに前記ピックアップアンテナにより抽出された前記ノイズ信号が第4の入力に供給される第2のノイズキャンセル部を設け、前記第1、第2のテレビ受信用アンテナにそれぞれ飛び込んだ前記ノイズ信号を前記第1、第2のノイズキャンセル部によりキャンセルするノイズキャンセル装置。
【請求項2】
前記第1のノイズキャンセル部は、前記第2の入力から供給された前記ノイズ信号の位相および利得を調整する第1のキャンセル信号生成回路と、前記第1のキャンセル信号生成回路から出力される第1のノイズキャンセル信号と前記第1の入力から供給される前記テレビ信号がそれぞれ供給される第1の合成回路から構成され、前記第2のノイズキャンセル部は、前記第4の入力から供給された前記ノイズ信号の位相および利得を調整する第2のキャンセル信号生成回路と、前記第2のキャンセル信号生成回路から出力される第2のノイズキャンセル信号と前記第3の入力から供給される前記テレビ信号がそれぞれ供給される第2の合成回路から構成される請求項1に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項3】
前記ピックアップアンテナの巻軸方向は前記第1のテレビ受信用アンテナおよび第2のテレビ受信用アンテナに対してともに直角に配置される請求項1に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項4】
前記ピックアップアンテナには渦巻き型のプリントパターンが用いられる請求項3に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項5】
前記ピックアップアンテナにはチップインダクタが用いられる請求項3に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項6】
前記ピックアップアンテナは、一方の端子が前記ノイズキャンセル部の入力に接続され、他方の端子が前記ノイズ信号発生源に近接したグランド部に接続される請求項1に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項7】
前記ピックアップアンテナの一方の端子、他方の端子は、平衡回路の配線部により前記第1、第2のキャンセル信号生成回路の入力にそれぞれ接続される請求項1に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項8】
前記ピックアップアンテナと前記第1、第2のノイズキャンセル部の間であって、かつ前記ピックアップアンテナの出力に近接して高周波増幅器が設けられた請求項1に記載のノイズキャンセル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のノイズキャンセル部が複数設けられたノイズキャンセル装置であって、前記ノイズキャンセル部には、合成回路とキャンセル信号生成回路が設けられ、前記キャンセル信号生成回路には一つのピックアップアンテナからのノイズ信号がそれぞれ入力されるノイズキャンセル装置。
【請求項10】
請求項1に記載のノイズキャンセル部が複数設けられたノイズキャンセル装置であって、前記ノイズキャンセル部には、合成回路と複数のキャンセル信号生成回路が設けられ、前記キャンセル信号生成回路の入力には複数のピックアップアンテナのうちいずれか一つのノイズ信号が入力されるノイズキャンセル装置。
【請求項11】
請求項1に記載のノイズキャンセル装置と、このノイズキャンセル装置からの信号が入力されるとともに受信信号を選局するチューナ部と、このチューナ部からの信号が入力されるとともに復調信号を出力する復調部とを有する高周波受信部。
【請求項12】
請求項11に記載の高周波受信部と、前記高周波受信部からの信号が入力される画像形成部と、前記画像形成部からの信号により画像を表示する画像表示部が設けられる携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−246938(P2009−246938A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247842(P2008−247842)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】