ハンドル
【課題】係合によりハンドル本体にモジュールを確実に取り付ける。
【解決手段】ステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2とエアバッグ装置3とを備える。エアバッグ装置3に設けたワイヤー96の係合受部99に、ステアリングホイール本体2の芯金11に設けた下部係合爪部28を係合して、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を取り付ける。スポーク芯金17に連結芯金18を連結し、この連結芯金18から下部係合爪部28と台座部34とを突設する。車両の正面衝突時に乗員が前方に移動してステアリングホイール本体2に当接すると、台座部34が押動され、連結芯金18を中心として回動するように芯金11が変形する。この結果、下部係合爪部28と係合受部99との係合量が増加し、エアバッグ装置3がステアリングホイール本体2に強固に保持される。
【解決手段】ステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2とエアバッグ装置3とを備える。エアバッグ装置3に設けたワイヤー96の係合受部99に、ステアリングホイール本体2の芯金11に設けた下部係合爪部28を係合して、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を取り付ける。スポーク芯金17に連結芯金18を連結し、この連結芯金18から下部係合爪部28と台座部34とを突設する。車両の正面衝突時に乗員が前方に移動してステアリングホイール本体2に当接すると、台座部34が押動され、連結芯金18を中心として回動するように芯金11が変形する。この結果、下部係合爪部28と係合受部99との係合量が増加し、エアバッグ装置3がステアリングホイール本体2に強固に保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル本体にモジュールを取り付けたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両において、円環状をなすリム部と、このリム部の内側に位置するボス部と、これらリム部とボス部とを連結する複数のスポーク部とを備えたステアリングホイール本体を備えたステアリングホイールが用いられている。そして、ステアリングホイール本体のボス部にはエアバッグ装置及びホーン装置などを構成するモジュールが取り付けられるとともに、ステアリングホイール本体のスポーク部の芯金は過大な力が加わった際に変形して、自動車の衝突時などに乗員を保護するようになっている。
【0003】
一方、今日、ボルト及びナットの螺合などに代えて、係合によりいわばワンタッチでモジュールをステアリングホイール本体に取り付け可能とし、製造コストの低減を図った構成が知られている。例えば、ステアリングホイール本体に固定される固定プレート側とホーン装置の可動プレート側とを係合により取り付けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、固定プレートは、上方に突出する両側一対の係合爪を備え、これら係合爪の先端側には、内側に突出して相対向する爪部が形成されている。また、可動プレートには、コイルスプリングが取り付けられ、このコイルスプリングの一部が延設されて腕部とされている。そこで、腕部を係合爪の内側に沿って押し込むことにより、これら腕部が係合爪の爪部に係合し、ホーン装置がステアリングホイール本体に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296922号公報 (第1頁、図1−4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のように、単に相対向する係合爪の爪部に腕部を係合する構成では、ステアリングホイール本体に荷重が加わり、ステアリングホイール本体の芯金が変形した場合にも係合が解除されないように、芯金の変形に影響されない位置あるいは構成で係合爪を設け、あるいは、係合爪の爪部を大型化し、あるいは腕部の付勢力を大きくするなどの必要があり、構造が複雑となって製造コストが上昇する問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、係合により確実にモジュールをハンドル本体に取り付けできるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のハンドルは、係合爪部及びこの係合爪部に連結された押動受部を設けた芯金を備え乗員に対向して配置されるハンドル本体と、前記係合爪部に係合される係合受部を備え前記ハンドル本体に取り付けられたモジュールとを具備し、前記係合爪部は、前記押動受部に前記乗員側から力が加わり、前記芯金が変形した状態で、前記係合受部に対する係合量が増加する方向に突設されたものである。
【0008】
請求項2記載のハンドルは、請求項1記載のハンドルにおいて、ハンドル本体は、乗員に対向する操作用のリム部、操縦装置に接続されるボス部、これらリム部とボス部とを接続するスポーク部、前記ボス部を構成するボス芯金、前記リム部を構成するリム芯金、これらボス芯金及びリム芯金に接続され前記スポーク部を構成するスポーク芯金、及びこのスポーク芯金に連結された連結芯金を備え、係合爪部及び押動受部は、前記連結芯金に連結されたものである。
【0009】
請求項3記載のハンドルは、請求項2記載のハンドルにおいて、複数のスポーク芯金を備え、連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のハンドルによれば、係合爪部と係合受部との係合により、モジュールをハンドル本体に取り付けできる。衝突の衝撃などを受けた際に、乗員がハンドル側に移動すると、乗員はこの乗員に対向するハンドル本体に所定の方向から当接する。そして、この乗員側からの力により、押動受部に乗員側から力が加わり、芯金が変形した状態で、係合受部に対する係合爪部の係合量が増加する。そこで、モジュールはハンドル本体に確実に係合して保持される。モジュールをハンドル本体に係合により確実に取り付けでき、製造コストを低減できる。
【0011】
請求項2記載のハンドルによれば、請求項1記載の効果に加え、係合爪部及び押動受部は、スポーク芯金に連結された連結芯金に連結したため、乗員側から押動受部に力が加わると、連結芯金を支点として回動するように芯金を変形させ、押動受部の移動方向と異なる方向に係合爪部を移動させ、係合受部に対する係合爪部の係合量を容易に増加できる。
【0012】
請求項3記載のハンドルによれば、請求項2記載の効果に加え、複数のスポーク芯金を備え、連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結するため、スポーク芯金を補強しつつ連結芯金が回動の中心となる構成を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のハンドルの一実施の形態を模式的に示す芯金の変形動作の説明図である。
【図2】同上ハンドルの斜視図である。
【図3】同上ハンドルの一部の断面図である。
【図4】同上ハンドルのハンドル本体の斜視図である。
【図5】同上ハンドルの一部の断面図である。
【図6】同上ハンドルのカバー体の斜視図である。
【図7】同上ハンドルのカバー体の図6のI−I断面図である。
【図8】同上ハンドルのモジュールのカバー体を取り外し下方から見た斜視図である。
【図9】同上ハンドルのモジュールの一部の下方から見た斜視図である。
【図10】同上ハンドルの芯金の変形動作の説明図であり、(a)は変形前の状態、(b)は変形後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のハンドルの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図6において、1はハンドルとしてのステアリングホイールで、このステアリングホイール1は、自動車の運転席の乗員の前方に配置され、ハンドル本体としてのステアリングホイール本体2と、このステアリングホイール本体2の乗員側に装着されたモジュールとしてのエアバッグ装置3となどから構成されている。
【0016】
そして、ステアリングホイール1は、通常傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としてのステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置3側を乗員側、正面側あるいは後側、ステアリングシャフト側を車体側、背面側あるいは前側とし、このステアリングシャフトに沿った前後方向を軸方向とし、その他、このステアリングホイール1が備えられる車体の直進方向を基準として、前後方向及び上下方向などの方向を説明する。
【0017】
そして、ステアリングホイール本体2は、円環状をなすリム部(リング部)5と、このリム部5の内側に位置するボス部6と、これらリム部5とボス部6とを連結する複数の、本実施の形態では3本のスポーク部7とから構成されている。
【0018】
そして、このステアリングホイール本体2は、金属製の芯金11と、この芯金11の一部を一体的に覆う軟質の被覆部12と、この芯金11の背面側を覆うカバー体14となどを備えている。
【0019】
そして、芯金11は、リム部5、ボス部6及びスポーク部7に対応し、リム芯金15、ボス芯金16、及びスポーク芯金17を備えている。そして、ボス芯金16は、ボスプレートなどとも呼ばれるもので、ステアリングシャフトに嵌着される円筒状のボス16aを備え、このボス16aを金型に配置しマグネシウム合金などのインサート成形により、ボス芯金16の一部、円環状のリム芯金15及び放射状に配置されるスポーク芯金17が一体的に形成されているとともに、ボス芯金16の外周側の一部を囲んでスポーク芯金17同士を連結する連結芯金18が一体的に形成されている。また、この芯金11は、乗員を保護するため、大きな力が加わった状態で変形、移動し、衝撃を吸収するようになっている。
【0020】
そして、スポーク芯金17は、ボス芯金16の上側部から両側に延びる両側一対の上部スポーク芯金21と、ボス芯金16の下側部から下方に延びる屈曲可能部としての下部スポーク芯金22とを備えている。そして、各上部スポーク芯金21は、互いに平行な2本の棒状部を備え、階段状に屈曲されるなどして、リム芯金15に連結されている。また、下部スポーク芯金22は、互いに平行な2本の角柱状の棒状の棒状部24を備え、これら棒状部24は、ボス芯金16から下方に延設された後、正面側に傾斜して延設され、さらに下方に傾斜して屈曲されてリム芯金15に連結されている。
【0021】
また、連結芯金18は、角柱状の棒状で、スポーク芯金17の中間位置すなわち各上部スポーク芯金21及び下部スポーク芯金22を構成する棒状部24同士を連結するようにして、正面視で略U字状に配置されている。そして、この連結芯金18が下部スポーク芯金22を構成する2本の棒状部24同士を連結する部分は、長手方向が両側方向に水平に配置された下部連結部26となる。そして、この下部連結部26からは、ステアリングホイール本体2の中心側すなわちステアリングホイール本体2が傾斜した状態における前側上方に向かって係合台部27が延設され、さらに、この係合台部27の先端部に、第3の係合爪部としての下部係合爪部28が形成されている。この下部係合爪部28は、下部係合爪あるいはワンタッチフックとも呼び得るもので、背面側が正面背面方向に垂直な係止面28aとなり、正面側が係止面28aに対して傾斜した案内面28bとなっている。また、係合台部27には、正面背面方向に貫通する円孔状のカバー位置決め孔27aが形成されているとともに、下部連結部26に連結される両側一対のリブ部27bが形成されている。
【0022】
一方、下部連結部26からは、正面側に向かって延設部としての台座支持部33が延設され、この台座支持部33の先端部に押動受部を構成する台座部34が設けられている。そして、この台座部34には、正面側に向かって固定接点35が突設されているとともに、この固定接点35に隣接して、ばね受け座36が設けられている。
【0023】
また、上部スポーク芯金21の棒状部同士を連結する部分は、上部連結部41となり、この上部連結部41からステアリングホイール本体2の中心側に向かって係合台部42が延設され、さらに、この係合台部42の先端部に、一対の係合爪部を構成する側部係合爪部44が形成されている。そして、この側部係合爪部44は、図5に示すように、背面側が正面背面方向に垂直な係止面44aとなり、正面側が係止面44aに対して傾斜した案内面44bとなっている。さらに、側部係合爪部44の先端部には、一側部に位置して、背面側にわずかに突設する突起部44cが設けられている。また、係合台部42には、正面背面方向に貫通する円孔状のカバー位置決め孔42aが形成されているとともに、下部連結部26に連結される1個のリブ部が形成されている。
【0024】
さらに、上部連結部41には、正面側に向かって固定接点45が突設されているとともに、この固定接点45に隣接して、かつ、ボス芯金16に近接して、上部スポーク芯金21にばね受け座46が設けられている。
【0025】
また、この芯金11には、複数カ所に、例えば下部スポーク芯金22の中間部に位置して、カバー体14を係止するカバー係止受部48が形成されている。さらに、この芯金11には、複数カ所に、例えば上部スポーク芯金21のボス芯金16に近接した位置に、モジュール案内受部49が形成されている。
【0026】
また、被覆部12は、リム芯金15の外周部と、スポーク芯金17のリム部5側の部分の外周部を覆うようにして、ウレタン例えば軟質の発泡ポリウレタンなどにより軟質に形成されている。
【0027】
さらに、カバー体14は、ボディカバー、ロアカバー、あるいは裏カバーなどとも呼ばれるもので、ステアリングホイール本体2のボス部6およびスポーク部7のボス部6側の部分の背面側すなわち裏面側を覆い、絶縁性を有する熱可塑性樹脂を金型内に射出などして、例えばポリプロピレン等にて一体に形成されている。そして、このカバー体14は、図6及び図7などに示すように、カバー底板部51と、このカバー底板部51から正面側に略円筒状の拡開状に立ち上げられたカバー基板部52を備えている。そして、カバー底板部51は、ボス部6の底部に対向し、ボス16a及びこのボス16aの周辺部が挿通する開口部51aが形成されている。また、カバー基板部52は、ボス部6の外周部及びスポーク部7の背面側に対向し、下部スポーク芯金22の背面側に対向する芯金対向部53と、この芯金対向部53を除く一般部54とを備えている。そして、一般部54は、カバー体14の常時の形状を保持するために必要な一定の板厚(厚さ寸法)を備え、例えば板厚は1.8〜2ミリに設定されている。
【0028】
一方、芯金対向部53は、下部スポーク芯金22の変形時にこの下部スポーク芯金22が当接する部分であり、この下部スポーク芯金22の変形に追従して円滑に変形するように、一般部54より板厚が小さい部分が形成されている。さらに、本実施の形態では、芯金対向部53は、下部スポーク芯金22の長手方向と交差さらには直交する方向を長手方向とし、長手方向の両端部がカバー体14の縁部に至る面状の帯状をなして、一般部54より板厚が小さい部分が形成されている。より詳細には、カバー底板部51に連続する一般部54を構成する領域A1の板厚を1.8ミリとすると、この領域A1に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A2があり、この領域A2に囲まれるように沿って帯状の領域である帯状中間部A3があり、この帯状中間部A3に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A4があり、この領域A4に囲まれるように沿って帯状の領域である帯状薄肉部A5があり、この帯状薄肉部A5に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A6があり、この領域A6に囲まれるように沿って先端側に至る帯状の領域である帯状中間部A7が設定されている。
【0029】
そして、これら芯金対向部53を構成する領域A2〜A7は、いずれも一般部54よりも厚さ寸法が小さく、中央に位置する帯状薄肉部A5は、最も板厚が小さく例えば1.3ミリに設定されている。また、この帯状薄肉部A5を挟んで対向する帯状中間部A3,A7は、帯状薄肉部A5と一般部54との中間の板厚で例えば1.5ミリに設定されている。さらに、これら領域A3,A5,A7同士の間に位置する狭い帯状の領域A2,A4,A6は、板厚が滑らかに変化する板厚徐変区間となっている。すなわち、この構成では、中央の領域である帯状薄肉部A5が最も容易に変形可能となるとともに、この帯状薄肉部A5の長手方向に沿った両側部に、すなわち中央側の一般部54側のみならず先端側(木口側)についても、この帯状薄肉部A5より厚さ寸法が大きく変形しにくい帯状中間部A3,A7が形成されている。
【0030】
また、このカバー体14には、芯金11に位置決めして取り付けられる構成が備えられている。すなわち、芯金対向部53の部分からは、下側の下部係合爪部28に背面側から嵌合する下側係合爪部対向部56が形成されている。この下側係合爪部対向部56は、下部係合爪部28の背面及び両側面を覆って嵌合するとともに、カバー位置決め孔27aに挿入されるピン状のカバー側位置決めピン56aが正面側に突設されている。また、一般部54の両側部からは、両側の側部係合爪部44の背面側に当接する側部係合爪部対向部58が形成されている。そして、この側部係合爪部対向部58は、側部係合爪部44の背面側を覆うようにして当接するとともに、カバー位置決め孔42aに挿入されるピン状のカバー側位置決めピン58aが正面側に突設されている。
【0031】
また、このカバー体14には、カバー底板部51から、カバー係止受部48に係止する一対の係止爪59が突設されている。
【0032】
さらに、このカバー体14のカバー基板部52には、両側に位置して、円孔状の作業用開口61が形成されている。
【0033】
一方、エアバッグ装置3は、エアバッグモジュールとも呼ばれたもので、図3、図5、図8、及び図9などに示すように、ベースプレート64と、このベースプレート64に取り付けられたインフレータ66、図示しないエアバッグ、エアバッグカバー67、リテーナ68、及びベースプレート64に組み付けられた取付機構70などを備えている。
【0034】
そして、ベースプレート64は、ホーン機構のホーンプレートを兼ねたもので、導電性を有する金属製で、基板部71と、この基板部71の周辺部から正面側に立ち上げられた側板部72とを備えている。そして、基板部71には、インフレータ取付部73が設けられ、このインフレータ取付部73には、円孔状のインフレータ取付孔74と、このインフレータ取付孔74を囲んで設けられた4カ所の取付孔75とが形成されている。また、側板部72の正面側からは、下側部から下側に向かって下側支持部77が突設されているとともに、両側部から両外側に向かって側部支持部78が突設されている。そして、これら支持部77,78には、それぞれ可動接点79,80が設けられている。また、ベースプレート64には、これら可動接点79,80と電気的に接続された電線接続部82が切り起こしなどして形成されている。
【0035】
また、インフレータ66は、円盤状のインフレータ本体部66aと、このインフレータ本体部66aから外周側に突設されたフランジ部66bとを備えている。また、インフレータ本体部66aには、フランジ部66bの正面側に位置して、ガス噴射口66cが設けられ、フランジ部66bには、図示しない取付孔が4カ所に設けられている。
【0036】
また、エアバッグは、例えば、2枚の基布の外周部同士を縫い合わせ、扁平な袋状に形成されているとともに、一方の基布の中央部に、ベースプレート64のインフレータ取付部73と同様に、円孔状のインフレータ取付孔と、このインフレータ取付孔を囲んで設けられた4カ所の取付孔とが形成されている。
【0037】
また、エアバッグカバー67は、絶縁性を有する樹脂にて一体に形成され、ボス部6及びスポーク部7の正面側を覆う表板部84と、この表板部84のボス部6を覆う位置を囲んで背面側に突設された取付板部85とを備えている。そして、取付板部85の下端部には、内側に向かう取付板部係合部85aが突設されている。また、表板部84のスポーク部7を覆う位置からは、背面側に円筒状などをなす位置決め受部84aが突設されている。また、表板部84の背面側には、取付板部85に囲まれた位置に、厚さ寸法の小さい溝状のテアラインが例えば正面視で略H字状に形成されている。
【0038】
また、リテーナ68は、金属板などにて形成されたリテーナ基部88と、このリテーナ基部88に固定された4本の取付ボルト89とを備えている。そして、リテーナ基部88は、中央部に、円孔状のインフレータ取付孔88aが形成されているとともに、外周部には、正面側に向かった後に背面側に屈曲されたカバー体係止部88bが形成されている。また、取付ボルト89は、インフレータ取付孔88aを囲んで背面側に突設され、それぞれナット90が螺合されるようになっている。
【0039】
また、取付機構70は、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に進退可能に取り付けるもので、ベースプレート64の下側部から下側支持部77の部分にかけて備えられた第3の取付機構としての下部取付機構92と、ベースプレート64の両側部から側部支持部78の部分にかけてそれぞれ備えられた一対の取付機構を構成する側部取付機構93とを備えている。そして、これら下部取付機構92及び側部取付機構93は、それぞれ、ベースプレート64の一部を覆って絶縁性を有する樹脂にて一体的に形成された取付基部95と、これら取付基部95にそれぞれ取り付けられる係合手段としてのワイヤー96と、付勢手段としてのコイルスプリング97とを備えている。
【0040】
そして、ワイヤー96は、ワンタッチワイヤーとも呼び得るもので、弾性変形可能な線材にて形成され、直線状をなす一対の係合受部99と、これら係合受部99の一端部同士を連結し、かつこれら係合受部99が互いに離間する方向に付勢する係合付勢手段としての弾性連結部100と、これら係合受部99の他端部をそれぞれ折曲した操作部101とを備えている。
【0041】
また、下部取付機構92及び側部取付機構93には、それぞれ、ワイヤー96を装着する係合手段装着部103と、コイルスプリングを装着する付勢手段装着部104とが形成されている。そして、係合手段装着部103は、ベースプレート64の基板部71の背面側に沿って配置され、対をなす係合受部99を付勢力に抗して接近した状態とするとともに、さらに一方の係合受部99を付勢力に抗して接近する方向に移動可能にかつ一部を開口部103aから露出した状態で支持している。
【0042】
そして、下部取付機構92の係合手段装着部103は、係合受部99を両側方向を長手方向として支持し、側部取付機構93の係合手段装着部103は、係合受部99をベースプレート64の基板部71の面方向に沿った上下方向を長手方向として支持している。
【0043】
さらに、側部取付機構93の係合手段装着部103には、係合受部99に連続する操作部101を露出すなわち押動操作可能な状態で案内支持する案内支持部105が形成されている。この案内支持部105は、溝状すなわちスリット状をなし、図5に示すように、ワイヤー96に外部から力が加わっていない状態では、操作部101及びこの操作部101に連続する係合受部99を溝の両端部105aで正面背面方向に移動しないように支持する。一方、操作部101に力が加わった時に移動する領域である溝の中間部105bでは、溝は背面方向に滑らかな曲面状をなして膨出し、操作部101及びこの操作部101に連続する係合受部99の背面側への移動を許容するようになっている。
【0044】
なお、下部取付機構92の係合手段装着部103は、側部取付機構93と同様の案内支持部105が設けられているが、この下部取付機構92の案内支持部105の溝は、正面背面方向の寸法は一定で、曲面状をなして膨出する中間部は設けられていない。
【0045】
また、付勢手段装着部104を背面側に突出した状態で支持するもので、下部取付機構92では下側支持部77の背面に位置して設けられ、側部取付機構93では係合手段装着部103の背面側に位置して設けられている。
【0046】
また、側部取付機構93には、付勢手段装着部104に隣接し、それぞれ背面側に向かって案内突部107が突設されている。さらに、下部取付機構92及び側部取付機構93からは、それぞれ正面側に向かってエアバッグカバー位置決め突部108が突設されている。
【0047】
そして、このエアバッグ装置3は、取付基部95を一体的に形成したベースプレート64に、ワイヤー96及びコイルスプリング97を装着して取付機構70を構成するとともに、インフレータ66、エアバッグ、エアバッグカバー67、リテーナ68などを取り付けて構成される。
【0048】
すなわち、取付機構70は、各係合手段装着部103に案内支持部105側からワイヤー96を挿入するとともに、付勢手段装着部104にコイルスプリング97を装着して構成される。
【0049】
そして、エアバッグの内側にリテーナ68を挿入し、このリテーナ68の取付ボルト89を取付孔から引き出した状態で、エアバッグを所定の形状に折り畳む。さらに、折り畳んだエアバッグにエアバッグカバー67を被せるとともに、取付板部85を広げながらリテーナ68のカバー体係止部88bに取付板部係合部85aを係合する。そして、リテーナ68の取付ボルト89を取付孔75に挿入しながら、これらエアバッグ、リテーナ68、及びエアバッグカバー67をベースプレート64に組み合わせる。この状態で、エアバッグカバー67の取付板部85がリテーナ68のカバー体係止部88bとベースプレート64の側板部72との間に挟持され、エアバッグカバー67が抜け止めされる。また、取付機構70のエアバッグカバー位置決め突部108がエアバッグカバー67の位置決め受部84aに挿入され、エアバッグカバー67が位置決めされる。
【0050】
さらに、ベースプレート64の背面側に突出した取付ボルト89に取付孔を挿入しながら、ベースプレート64の背面側からインフレータ66を組み合わせ、取付ボルト89にナット90を螺合して締め付ける。この状態で、インフレータ66のガス噴射口66cを設けたインフレータ本体部66aの正面側の部分がインフレータ取付孔74からエアバッグの内側に挿入され、エアバッグ装置3が構成される。
【0051】
一方、ステアリングホイール本体2には、背面側からカバー体14を組み合わせ、カバー係止受部48と係止爪59との係合などによりカバー体14をステアリングホイール本体2に取り付ける。
【0052】
そして、このステアリングホイール本体2のボス16aをステアリングシャフトに嵌着し、図示しないナットで締め付け固定する。
【0053】
そして、エアバッグ装置3は、ステアリングホイール本体2に正面側から押し込むのみで、いわばワンタッチで取り付けられる。すなわち、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に正面側から押し込むと、取付機構70の各ワイヤー96に芯金11に設けた下部係合爪部28,44が係合し、両側及び下側の3カ所でエアバッグ装置3がステアリングホイール本体2に係合して抜け止め支持される。
【0054】
より詳細には、エアバッグ装置3を押し込むと、係合爪部28,44は開口部103aに進入し、案内面28b,44bでワイヤー96の係合受部99を押圧し、弾性連結部100の付勢力に抗して移動させる。そしてエアバッグ装置3を十分に押し込み、係合爪部28,44がワイヤー96を通過すると、弾性連結部100の付勢力によりワイヤー96は復帰変形し、係合受部99が所定方向Rに移動して、係合爪部28,44の係止面28a,44aの背面側に係止される。なお、各係合爪部28,44には、カバー体14の下側係合爪部対向部56及び側部係合爪部対向部58が組み合わされているため、ワイヤー96の係合受部99は、これらカバー体14の下側係合爪部対向部56及び側部係合爪部対向部58を介して芯金11の係合爪部28,44に当接して係止される。そして、この状態で、係合受部99は、弾性連結部100の付勢力により、係合量が増加する所定方向Rに付勢されているとともに、側部取付機構93の係合受部99は、側部係合爪部44の係止面44aから突設された突起部44cによってより確実に抜け止めされ、不意に外れることが防止される。
【0055】
また、このようにエアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に取り付けた状態で、カバー体14に設けた両側の作業用開口61は、両側の側部取付機構93の操作部101に対向する。
【0056】
また、この状態で、エアバッグ装置3の案内突部107がステアリングホイール本体2のモジュール案内受部49に進退可能に挿入されて案内となる。
【0057】
また、エアバッグ装置3の各コイルスプリング97がステアリングホイール本体2のばね受け座36,46に当接して支持され、これらコイルスプリング97の付勢力により、エアバッグ装置3の可動接点79,80がステアリングホイール本体2の固定接点35,45から離間した状態で支持される。
【0058】
さらに、電気的な配線を行うことにより、エアバッグ装置3を備えたステアリングホイール1がステアリングシャフトに取り付けられた状態で構成される。
【0059】
そして、このように構成されたステアリングホイール1は、運転席の乗員がリム部5を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置3のエアバッグカバー67をコイルスプリング97の付勢力に抗して押動することにより、いずれかの可動接点79,80が固定接点35,45に接触すると車体側のホーン装置が吹鳴される。
【0060】
一方、車両の正面衝突などの際は、インフレータ66からエアバッグの内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグが急激に膨張する。すると、このエアバッグの膨張の圧力により、エアバッグカバー67がテアラインに沿って開裂してエアバッグの突出口が形成され、この突出口からエアバッグが突出して乗員の前方で膨張展開し、乗員を拘束して保護するようになっている。
【0061】
さらに乗員が前方に移動するなどして、エアバッグを介してステアリングホイール本体2のリム部5が押圧されると、リム芯金15及びスポーク芯金17が変形して、衝撃を吸収し、乗員を保護する。より詳細には、車両の正面衝突すると、乗員は前側に投げ出されるように前方に移動し、乗員に最も近いリム部5の下側部に当接し、図1に矢印Fで示す前方に向かいリム部5の下側部を押圧して荷重を加える。すると、図1に2点鎖線で示すように、リム部5のリム芯金15が変形するとともに、このリム芯金15に連結された下側のスポーク芯金17すなわち下部スポーク芯金22が前方に向かい移動しながら変形し、図10(a)から図10(b)に示すように芯金11が変形する。
【0062】
さらに、この芯金11の変形の際に、乗員により直接あるいはカバー体14などの他物品により、台座部34が図1に矢印Bで示す方向すなわち前方に押動される。すると、芯金11は、両端部が下部スポーク芯金22に連結された連結芯金18の下部連結部26を支点として回動するようにして変形し、台座部34が前方に移動するにつれて、この下部連結部26に連結して支持された下部係合爪部28が図1に矢印Cに示すように下方に向かって回動しながら移動する。すなわち、下部係合爪部28は、係合したワイヤー96の係合受部99の係合量を増加させる爪掛かり方向に移動し、係合受部99をいわば下部係合爪部28の奥側に食い込ませるように変形し、係合受部99すなわちエアバッグ装置3を外れることなく確実に保持する。
【0063】
また、この芯金11の変形の際に、下部スポーク芯金22に対向するカバー体14の芯金対向部53も、下部スポーク芯金22に沿って変形する。そして、この芯金対向部53は、中央部が帯状に段階的に板厚が小さくなり、帯状薄肉部A5及び帯状中間部A3,A7が下部スポーク芯金22に直交して形成されているため、下部スポーク芯金22の変形に伴い最も板厚が小さい帯状薄肉部A5が徐々に円滑に反転するまで破断することなく変形し、過度の負荷を与えることなく下部スポーク芯金22の変形を許容する。
【0064】
また、通常の使用状態などにおいて、保守や点検などのため、ステアリングホイール本体2からエアバッグ装置3を取り外す必要がある場合には、両側の側部取付機構93のワイヤー96の係合受部99についてそれぞれ側部係合爪部44から係合を解除し、次いで、エアバッグ装置3の上側部を後方に回動させ、さらに上方などに移動させて、下部取付機構92のワイヤー96の係合受部99を下部係合爪部28から離脱させ、係合を解除する。
【0065】
そして、両側の側部取付機構93のワイヤー96の係合受部99を側部係合爪部44から外す作業は、カバー体14の両側部に設けられた作業用開口61から棒状の治具を挿入し、治具の先端部でワイヤー96の操作部101を、弾性連結部100の付勢力に抗して、両側方向に沿って所定方向Rの反対方向である内方に押圧する。すると、図5に矢印Dで示すように、案内支持部105に案内されて、操作部101に連結された係合受部99が内方に移動し、一旦、側部係合爪部44の突起部44cに対向する状態となる。ここで、案内支持部105の中間部105bは背面側に向かって膨出するように湾曲しており、さらに、エアバッグ装置3はコイルスプリング97の付勢力により上方に付勢されている。そこで、操作部101をさらに押し込むと、図5に矢印Eで示すように、係合受部99は案内支持部105の中間部105bの背面側の曲面に沿って突起部44cを回避するように案内されて移動し、係合受部99と側部係合爪部44の係止面44aとの係合が解除される。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を取り付けたステアリングホイール1について、ステアリングホイール本体2の芯金11に設けた下部係合爪部28とエアバッグ装置3に設けたワイヤー96の係合受部99との係合により、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2にいわばワンタッチで作業性良く取り付けでき、ボルトにナットを螺合しあるいはリベットなどを用いる構成に比べ、製造コストを低減できる。
【0067】
そして、衝突の衝撃などを受けた際に、乗員がステアリングホイール1側に移動すると、乗員はこの乗員に対向するステアリングホイール本体2に所定の方向すなわち後方から当接する。そして、この乗員側からの力により、台座部34に乗員側すなわち後方から前方に向かって力が加わり、芯金11が変形した状態で、係合受部99に対する下部係合爪部28の係合量が増加する。そこで、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に確実に係合により保持できる。
【0068】
また、下部係合爪部28及び押動受部を構成する台座部34は、スポーク芯金17に連結された連結芯金18に連結したため、乗員側から台座部34に力が加わると、連結芯金18を支点として回動するように芯金11が変形する。そこで、連結芯金18の下側から前方に突設された下部係合爪部28に対して、台座部34は正面側に突設されているため、リム芯金15及び台座部34の移動方向である前方と異なる方向である下方に下部係合爪部28を移動させ、係合受部99に対する下部係合爪部28の係合量を容易に増加して、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に強固に保持できる。
【0069】
また、スポーク芯金17は、上部スポーク芯金21と下部スポーク芯金22とを備えるとともに、下部スポーク芯金22は、2本の棒状部24を連結芯金18により互いに連結し、かつ上部スポーク芯金21に連結する構造としたため、連結芯金18により芯金11を補強して強度を維持しつつ軽量化を容易に実現できるとともに、連結芯金18を回動の中心としてこの連結芯金18に連結した下部係合爪部28を回動する構成を容易に実現できる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、ステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2に水平方向に並んで設けられた両側一対の側部係合爪部44及びこれら側部係合爪部44の下方に離間して配置された下部係合爪部28と、これら係合爪部44,28に対応してそれぞれエアバッグ装置3に設けられた両側一対の側部取付機構93の係合受部99及び下部取付機構92の係合受部99との3カ所の係合により、少なくとも3カ所の係止でステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を確実に取り付け、エアバッグ装置3の離脱を確実に防止できる。
【0071】
さらに、側部係合爪部44は単なる平面ではなく、係止面44aから下方に突起部44cが突設されており、弾性連結部100により係合量が増加する所定方向Rに付勢されていることと相まって、衝撃を受けた際などにも係合受部99が側部係合爪部44から不意に外れることを防止でき、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を確実に取り付けできる。
【0072】
一方、作業用開口61から治具を挿入し、係合受部99の端部に設けた操作部101を側方から押動することにより、係合受部99を、突起部44cに対向する中間部105bで下方に膨出する案内支持部105で案内し、係止面44aから突設した突起部44cを回避させ、係合受部99を係止面44aから作業性良く離脱させ、側部係合爪部44を側部取付機構93から容易に取り外しできる。
【0073】
そして、このように作業用開口61を用いて両側一対の側部取付機構93の操作部101を操作し、側部係合爪部44をそれぞれ側部取付機構93から取り外した後は、エアバッグ装置3の全体を下部取付機構92の係合受部99を支点として下方に開くように回動させ、さらに上方に移動させることにより、この下部取付機構92の係合受部99を下部係合爪部28から容易に取り外しでき、エアバッグ装置3を取り外す作業を容易にでき、保守作業などの作業性を向上できる。
【0074】
すなわち、ステアリングホイール本体2からエアバッグ装置3を取り外す作業は、保守点検時などのみに必要な作業で頻度の少ない作業であり、作業者は複雑な手順を完全には把握できない場合があるが、側部係合爪部44から係合受部99を取り外す作業は、作業用開口61から治具を一定方向に挿入するのみで良く、保守作業などの作業性を向上できる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、ステアリングホイール1は、芯金11を有するステアリングホイール本体2に取り付けられてこのステアリングホイール本体2の背面側を覆うカバー体14とを備え、屈曲して衝撃を吸収可能な屈曲可能部である芯金11の下部スポーク芯金22に対向して、カバー体14の芯金対向部53に帯状の面状をなして一般部54より厚さ寸法が小さい帯状薄肉部A5を備えている。そこで、ステアリングホイール1が衝撃を受けて、芯金11の下部スポーク芯金22が反転するように屈曲して衝撃を吸収する際には、芯金対向部53も帯状薄肉部A5の部分で反転するように変形する。ここで帯状薄肉部A5は、帯状の面状をなすため、下部スポーク芯金22の屈曲に追従して変形し、過大な反力の発生を防止してステアリングホイール1の衝撃吸収特性を良好にできる。すなわち、帯状薄肉部A5は、帯状の面状をなすため、溝状の破断部を設ける構成に比べ、変形が安定して徐々に進行し、急激な反力の変化がなく、ステアリングホイール1の衝撃吸収特性を良好にできる。また、衝撃吸収特性の向上のために部品を破断させる必要がないため、反力が滑らかに変化する良好な衝撃吸収特性を実現できるとともに、部品の離脱を防止する構成を考慮する必要がなく、構成を簡略化できる。
【0076】
さらに、この帯状薄肉部A5は、長手方向の両端部がカバー体14の縁部に至り、下部スポーク芯金22の長手方向に交差さらには直交する方向を長手方向として配置されたため、下部スポーク芯金22が屈曲する力を効率良く受けて、帯状薄肉部A5を安定して変形させることができる。
【0077】
さらに、芯金対向部53には、帯状薄肉部A5の長手方向に沿った両側部にこの帯状薄肉部A5より厚さ寸法が大きい帯状の面状をなす帯状中間部A3,A7を備えたため、下部スポーク芯金22が屈曲する力を帯状薄肉部A5に集中して加え、所望の特性で帯状薄肉部A5を安定して確実に変形させることができる。
【0078】
さらに、このカバー体14の芯金対向部53は、幅の狭い溝状の破断部が存在せず、厚さ寸法が滑らかに変化するため、金型を用いて成型する際に、樹脂材料の均一な充填が容易になるとともに、艶むらなどの成形不良も生じにくく、すなわち成形性が良好で製造コストを容易に低減できるとともに外観の良好なカバー体14を提供できる。
【0079】
なお、上記の実施の形態では、ハンドルは、円環状のリム部5を有するステアリングホイール1としたが、この構成に限られず、例えば上端部が連続していない円弧状のリム部を備えたハンドルに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、エアバッグ装置を備えた自動車のステアリングホイールに適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 ハンドルとしてのステアリングホイール
2 ハンドル本体としてのステアリングホイール本体
3 モジュールとしてのエアバッグ装置
5 リム部
6 ボス部
7 スポーク部
11 芯金
15 リム芯金
16 ボス芯金
17 スポーク芯金
18 連結芯金
28 係合爪部としての下部係合爪部
34 押動受部を構成する台座部
99 係合受部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル本体にモジュールを取り付けたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両において、円環状をなすリム部と、このリム部の内側に位置するボス部と、これらリム部とボス部とを連結する複数のスポーク部とを備えたステアリングホイール本体を備えたステアリングホイールが用いられている。そして、ステアリングホイール本体のボス部にはエアバッグ装置及びホーン装置などを構成するモジュールが取り付けられるとともに、ステアリングホイール本体のスポーク部の芯金は過大な力が加わった際に変形して、自動車の衝突時などに乗員を保護するようになっている。
【0003】
一方、今日、ボルト及びナットの螺合などに代えて、係合によりいわばワンタッチでモジュールをステアリングホイール本体に取り付け可能とし、製造コストの低減を図った構成が知られている。例えば、ステアリングホイール本体に固定される固定プレート側とホーン装置の可動プレート側とを係合により取り付けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、固定プレートは、上方に突出する両側一対の係合爪を備え、これら係合爪の先端側には、内側に突出して相対向する爪部が形成されている。また、可動プレートには、コイルスプリングが取り付けられ、このコイルスプリングの一部が延設されて腕部とされている。そこで、腕部を係合爪の内側に沿って押し込むことにより、これら腕部が係合爪の爪部に係合し、ホーン装置がステアリングホイール本体に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296922号公報 (第1頁、図1−4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のように、単に相対向する係合爪の爪部に腕部を係合する構成では、ステアリングホイール本体に荷重が加わり、ステアリングホイール本体の芯金が変形した場合にも係合が解除されないように、芯金の変形に影響されない位置あるいは構成で係合爪を設け、あるいは、係合爪の爪部を大型化し、あるいは腕部の付勢力を大きくするなどの必要があり、構造が複雑となって製造コストが上昇する問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、係合により確実にモジュールをハンドル本体に取り付けできるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のハンドルは、係合爪部及びこの係合爪部に連結された押動受部を設けた芯金を備え乗員に対向して配置されるハンドル本体と、前記係合爪部に係合される係合受部を備え前記ハンドル本体に取り付けられたモジュールとを具備し、前記係合爪部は、前記押動受部に前記乗員側から力が加わり、前記芯金が変形した状態で、前記係合受部に対する係合量が増加する方向に突設されたものである。
【0008】
請求項2記載のハンドルは、請求項1記載のハンドルにおいて、ハンドル本体は、乗員に対向する操作用のリム部、操縦装置に接続されるボス部、これらリム部とボス部とを接続するスポーク部、前記ボス部を構成するボス芯金、前記リム部を構成するリム芯金、これらボス芯金及びリム芯金に接続され前記スポーク部を構成するスポーク芯金、及びこのスポーク芯金に連結された連結芯金を備え、係合爪部及び押動受部は、前記連結芯金に連結されたものである。
【0009】
請求項3記載のハンドルは、請求項2記載のハンドルにおいて、複数のスポーク芯金を備え、連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のハンドルによれば、係合爪部と係合受部との係合により、モジュールをハンドル本体に取り付けできる。衝突の衝撃などを受けた際に、乗員がハンドル側に移動すると、乗員はこの乗員に対向するハンドル本体に所定の方向から当接する。そして、この乗員側からの力により、押動受部に乗員側から力が加わり、芯金が変形した状態で、係合受部に対する係合爪部の係合量が増加する。そこで、モジュールはハンドル本体に確実に係合して保持される。モジュールをハンドル本体に係合により確実に取り付けでき、製造コストを低減できる。
【0011】
請求項2記載のハンドルによれば、請求項1記載の効果に加え、係合爪部及び押動受部は、スポーク芯金に連結された連結芯金に連結したため、乗員側から押動受部に力が加わると、連結芯金を支点として回動するように芯金を変形させ、押動受部の移動方向と異なる方向に係合爪部を移動させ、係合受部に対する係合爪部の係合量を容易に増加できる。
【0012】
請求項3記載のハンドルによれば、請求項2記載の効果に加え、複数のスポーク芯金を備え、連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結するため、スポーク芯金を補強しつつ連結芯金が回動の中心となる構成を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のハンドルの一実施の形態を模式的に示す芯金の変形動作の説明図である。
【図2】同上ハンドルの斜視図である。
【図3】同上ハンドルの一部の断面図である。
【図4】同上ハンドルのハンドル本体の斜視図である。
【図5】同上ハンドルの一部の断面図である。
【図6】同上ハンドルのカバー体の斜視図である。
【図7】同上ハンドルのカバー体の図6のI−I断面図である。
【図8】同上ハンドルのモジュールのカバー体を取り外し下方から見た斜視図である。
【図9】同上ハンドルのモジュールの一部の下方から見た斜視図である。
【図10】同上ハンドルの芯金の変形動作の説明図であり、(a)は変形前の状態、(b)は変形後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のハンドルの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図6において、1はハンドルとしてのステアリングホイールで、このステアリングホイール1は、自動車の運転席の乗員の前方に配置され、ハンドル本体としてのステアリングホイール本体2と、このステアリングホイール本体2の乗員側に装着されたモジュールとしてのエアバッグ装置3となどから構成されている。
【0016】
そして、ステアリングホイール1は、通常傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としてのステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置3側を乗員側、正面側あるいは後側、ステアリングシャフト側を車体側、背面側あるいは前側とし、このステアリングシャフトに沿った前後方向を軸方向とし、その他、このステアリングホイール1が備えられる車体の直進方向を基準として、前後方向及び上下方向などの方向を説明する。
【0017】
そして、ステアリングホイール本体2は、円環状をなすリム部(リング部)5と、このリム部5の内側に位置するボス部6と、これらリム部5とボス部6とを連結する複数の、本実施の形態では3本のスポーク部7とから構成されている。
【0018】
そして、このステアリングホイール本体2は、金属製の芯金11と、この芯金11の一部を一体的に覆う軟質の被覆部12と、この芯金11の背面側を覆うカバー体14となどを備えている。
【0019】
そして、芯金11は、リム部5、ボス部6及びスポーク部7に対応し、リム芯金15、ボス芯金16、及びスポーク芯金17を備えている。そして、ボス芯金16は、ボスプレートなどとも呼ばれるもので、ステアリングシャフトに嵌着される円筒状のボス16aを備え、このボス16aを金型に配置しマグネシウム合金などのインサート成形により、ボス芯金16の一部、円環状のリム芯金15及び放射状に配置されるスポーク芯金17が一体的に形成されているとともに、ボス芯金16の外周側の一部を囲んでスポーク芯金17同士を連結する連結芯金18が一体的に形成されている。また、この芯金11は、乗員を保護するため、大きな力が加わった状態で変形、移動し、衝撃を吸収するようになっている。
【0020】
そして、スポーク芯金17は、ボス芯金16の上側部から両側に延びる両側一対の上部スポーク芯金21と、ボス芯金16の下側部から下方に延びる屈曲可能部としての下部スポーク芯金22とを備えている。そして、各上部スポーク芯金21は、互いに平行な2本の棒状部を備え、階段状に屈曲されるなどして、リム芯金15に連結されている。また、下部スポーク芯金22は、互いに平行な2本の角柱状の棒状の棒状部24を備え、これら棒状部24は、ボス芯金16から下方に延設された後、正面側に傾斜して延設され、さらに下方に傾斜して屈曲されてリム芯金15に連結されている。
【0021】
また、連結芯金18は、角柱状の棒状で、スポーク芯金17の中間位置すなわち各上部スポーク芯金21及び下部スポーク芯金22を構成する棒状部24同士を連結するようにして、正面視で略U字状に配置されている。そして、この連結芯金18が下部スポーク芯金22を構成する2本の棒状部24同士を連結する部分は、長手方向が両側方向に水平に配置された下部連結部26となる。そして、この下部連結部26からは、ステアリングホイール本体2の中心側すなわちステアリングホイール本体2が傾斜した状態における前側上方に向かって係合台部27が延設され、さらに、この係合台部27の先端部に、第3の係合爪部としての下部係合爪部28が形成されている。この下部係合爪部28は、下部係合爪あるいはワンタッチフックとも呼び得るもので、背面側が正面背面方向に垂直な係止面28aとなり、正面側が係止面28aに対して傾斜した案内面28bとなっている。また、係合台部27には、正面背面方向に貫通する円孔状のカバー位置決め孔27aが形成されているとともに、下部連結部26に連結される両側一対のリブ部27bが形成されている。
【0022】
一方、下部連結部26からは、正面側に向かって延設部としての台座支持部33が延設され、この台座支持部33の先端部に押動受部を構成する台座部34が設けられている。そして、この台座部34には、正面側に向かって固定接点35が突設されているとともに、この固定接点35に隣接して、ばね受け座36が設けられている。
【0023】
また、上部スポーク芯金21の棒状部同士を連結する部分は、上部連結部41となり、この上部連結部41からステアリングホイール本体2の中心側に向かって係合台部42が延設され、さらに、この係合台部42の先端部に、一対の係合爪部を構成する側部係合爪部44が形成されている。そして、この側部係合爪部44は、図5に示すように、背面側が正面背面方向に垂直な係止面44aとなり、正面側が係止面44aに対して傾斜した案内面44bとなっている。さらに、側部係合爪部44の先端部には、一側部に位置して、背面側にわずかに突設する突起部44cが設けられている。また、係合台部42には、正面背面方向に貫通する円孔状のカバー位置決め孔42aが形成されているとともに、下部連結部26に連結される1個のリブ部が形成されている。
【0024】
さらに、上部連結部41には、正面側に向かって固定接点45が突設されているとともに、この固定接点45に隣接して、かつ、ボス芯金16に近接して、上部スポーク芯金21にばね受け座46が設けられている。
【0025】
また、この芯金11には、複数カ所に、例えば下部スポーク芯金22の中間部に位置して、カバー体14を係止するカバー係止受部48が形成されている。さらに、この芯金11には、複数カ所に、例えば上部スポーク芯金21のボス芯金16に近接した位置に、モジュール案内受部49が形成されている。
【0026】
また、被覆部12は、リム芯金15の外周部と、スポーク芯金17のリム部5側の部分の外周部を覆うようにして、ウレタン例えば軟質の発泡ポリウレタンなどにより軟質に形成されている。
【0027】
さらに、カバー体14は、ボディカバー、ロアカバー、あるいは裏カバーなどとも呼ばれるもので、ステアリングホイール本体2のボス部6およびスポーク部7のボス部6側の部分の背面側すなわち裏面側を覆い、絶縁性を有する熱可塑性樹脂を金型内に射出などして、例えばポリプロピレン等にて一体に形成されている。そして、このカバー体14は、図6及び図7などに示すように、カバー底板部51と、このカバー底板部51から正面側に略円筒状の拡開状に立ち上げられたカバー基板部52を備えている。そして、カバー底板部51は、ボス部6の底部に対向し、ボス16a及びこのボス16aの周辺部が挿通する開口部51aが形成されている。また、カバー基板部52は、ボス部6の外周部及びスポーク部7の背面側に対向し、下部スポーク芯金22の背面側に対向する芯金対向部53と、この芯金対向部53を除く一般部54とを備えている。そして、一般部54は、カバー体14の常時の形状を保持するために必要な一定の板厚(厚さ寸法)を備え、例えば板厚は1.8〜2ミリに設定されている。
【0028】
一方、芯金対向部53は、下部スポーク芯金22の変形時にこの下部スポーク芯金22が当接する部分であり、この下部スポーク芯金22の変形に追従して円滑に変形するように、一般部54より板厚が小さい部分が形成されている。さらに、本実施の形態では、芯金対向部53は、下部スポーク芯金22の長手方向と交差さらには直交する方向を長手方向とし、長手方向の両端部がカバー体14の縁部に至る面状の帯状をなして、一般部54より板厚が小さい部分が形成されている。より詳細には、カバー底板部51に連続する一般部54を構成する領域A1の板厚を1.8ミリとすると、この領域A1に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A2があり、この領域A2に囲まれるように沿って帯状の領域である帯状中間部A3があり、この帯状中間部A3に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A4があり、この領域A4に囲まれるように沿って帯状の領域である帯状薄肉部A5があり、この帯状薄肉部A5に囲まれるように沿って狭い帯状の領域A6があり、この領域A6に囲まれるように沿って先端側に至る帯状の領域である帯状中間部A7が設定されている。
【0029】
そして、これら芯金対向部53を構成する領域A2〜A7は、いずれも一般部54よりも厚さ寸法が小さく、中央に位置する帯状薄肉部A5は、最も板厚が小さく例えば1.3ミリに設定されている。また、この帯状薄肉部A5を挟んで対向する帯状中間部A3,A7は、帯状薄肉部A5と一般部54との中間の板厚で例えば1.5ミリに設定されている。さらに、これら領域A3,A5,A7同士の間に位置する狭い帯状の領域A2,A4,A6は、板厚が滑らかに変化する板厚徐変区間となっている。すなわち、この構成では、中央の領域である帯状薄肉部A5が最も容易に変形可能となるとともに、この帯状薄肉部A5の長手方向に沿った両側部に、すなわち中央側の一般部54側のみならず先端側(木口側)についても、この帯状薄肉部A5より厚さ寸法が大きく変形しにくい帯状中間部A3,A7が形成されている。
【0030】
また、このカバー体14には、芯金11に位置決めして取り付けられる構成が備えられている。すなわち、芯金対向部53の部分からは、下側の下部係合爪部28に背面側から嵌合する下側係合爪部対向部56が形成されている。この下側係合爪部対向部56は、下部係合爪部28の背面及び両側面を覆って嵌合するとともに、カバー位置決め孔27aに挿入されるピン状のカバー側位置決めピン56aが正面側に突設されている。また、一般部54の両側部からは、両側の側部係合爪部44の背面側に当接する側部係合爪部対向部58が形成されている。そして、この側部係合爪部対向部58は、側部係合爪部44の背面側を覆うようにして当接するとともに、カバー位置決め孔42aに挿入されるピン状のカバー側位置決めピン58aが正面側に突設されている。
【0031】
また、このカバー体14には、カバー底板部51から、カバー係止受部48に係止する一対の係止爪59が突設されている。
【0032】
さらに、このカバー体14のカバー基板部52には、両側に位置して、円孔状の作業用開口61が形成されている。
【0033】
一方、エアバッグ装置3は、エアバッグモジュールとも呼ばれたもので、図3、図5、図8、及び図9などに示すように、ベースプレート64と、このベースプレート64に取り付けられたインフレータ66、図示しないエアバッグ、エアバッグカバー67、リテーナ68、及びベースプレート64に組み付けられた取付機構70などを備えている。
【0034】
そして、ベースプレート64は、ホーン機構のホーンプレートを兼ねたもので、導電性を有する金属製で、基板部71と、この基板部71の周辺部から正面側に立ち上げられた側板部72とを備えている。そして、基板部71には、インフレータ取付部73が設けられ、このインフレータ取付部73には、円孔状のインフレータ取付孔74と、このインフレータ取付孔74を囲んで設けられた4カ所の取付孔75とが形成されている。また、側板部72の正面側からは、下側部から下側に向かって下側支持部77が突設されているとともに、両側部から両外側に向かって側部支持部78が突設されている。そして、これら支持部77,78には、それぞれ可動接点79,80が設けられている。また、ベースプレート64には、これら可動接点79,80と電気的に接続された電線接続部82が切り起こしなどして形成されている。
【0035】
また、インフレータ66は、円盤状のインフレータ本体部66aと、このインフレータ本体部66aから外周側に突設されたフランジ部66bとを備えている。また、インフレータ本体部66aには、フランジ部66bの正面側に位置して、ガス噴射口66cが設けられ、フランジ部66bには、図示しない取付孔が4カ所に設けられている。
【0036】
また、エアバッグは、例えば、2枚の基布の外周部同士を縫い合わせ、扁平な袋状に形成されているとともに、一方の基布の中央部に、ベースプレート64のインフレータ取付部73と同様に、円孔状のインフレータ取付孔と、このインフレータ取付孔を囲んで設けられた4カ所の取付孔とが形成されている。
【0037】
また、エアバッグカバー67は、絶縁性を有する樹脂にて一体に形成され、ボス部6及びスポーク部7の正面側を覆う表板部84と、この表板部84のボス部6を覆う位置を囲んで背面側に突設された取付板部85とを備えている。そして、取付板部85の下端部には、内側に向かう取付板部係合部85aが突設されている。また、表板部84のスポーク部7を覆う位置からは、背面側に円筒状などをなす位置決め受部84aが突設されている。また、表板部84の背面側には、取付板部85に囲まれた位置に、厚さ寸法の小さい溝状のテアラインが例えば正面視で略H字状に形成されている。
【0038】
また、リテーナ68は、金属板などにて形成されたリテーナ基部88と、このリテーナ基部88に固定された4本の取付ボルト89とを備えている。そして、リテーナ基部88は、中央部に、円孔状のインフレータ取付孔88aが形成されているとともに、外周部には、正面側に向かった後に背面側に屈曲されたカバー体係止部88bが形成されている。また、取付ボルト89は、インフレータ取付孔88aを囲んで背面側に突設され、それぞれナット90が螺合されるようになっている。
【0039】
また、取付機構70は、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に進退可能に取り付けるもので、ベースプレート64の下側部から下側支持部77の部分にかけて備えられた第3の取付機構としての下部取付機構92と、ベースプレート64の両側部から側部支持部78の部分にかけてそれぞれ備えられた一対の取付機構を構成する側部取付機構93とを備えている。そして、これら下部取付機構92及び側部取付機構93は、それぞれ、ベースプレート64の一部を覆って絶縁性を有する樹脂にて一体的に形成された取付基部95と、これら取付基部95にそれぞれ取り付けられる係合手段としてのワイヤー96と、付勢手段としてのコイルスプリング97とを備えている。
【0040】
そして、ワイヤー96は、ワンタッチワイヤーとも呼び得るもので、弾性変形可能な線材にて形成され、直線状をなす一対の係合受部99と、これら係合受部99の一端部同士を連結し、かつこれら係合受部99が互いに離間する方向に付勢する係合付勢手段としての弾性連結部100と、これら係合受部99の他端部をそれぞれ折曲した操作部101とを備えている。
【0041】
また、下部取付機構92及び側部取付機構93には、それぞれ、ワイヤー96を装着する係合手段装着部103と、コイルスプリングを装着する付勢手段装着部104とが形成されている。そして、係合手段装着部103は、ベースプレート64の基板部71の背面側に沿って配置され、対をなす係合受部99を付勢力に抗して接近した状態とするとともに、さらに一方の係合受部99を付勢力に抗して接近する方向に移動可能にかつ一部を開口部103aから露出した状態で支持している。
【0042】
そして、下部取付機構92の係合手段装着部103は、係合受部99を両側方向を長手方向として支持し、側部取付機構93の係合手段装着部103は、係合受部99をベースプレート64の基板部71の面方向に沿った上下方向を長手方向として支持している。
【0043】
さらに、側部取付機構93の係合手段装着部103には、係合受部99に連続する操作部101を露出すなわち押動操作可能な状態で案内支持する案内支持部105が形成されている。この案内支持部105は、溝状すなわちスリット状をなし、図5に示すように、ワイヤー96に外部から力が加わっていない状態では、操作部101及びこの操作部101に連続する係合受部99を溝の両端部105aで正面背面方向に移動しないように支持する。一方、操作部101に力が加わった時に移動する領域である溝の中間部105bでは、溝は背面方向に滑らかな曲面状をなして膨出し、操作部101及びこの操作部101に連続する係合受部99の背面側への移動を許容するようになっている。
【0044】
なお、下部取付機構92の係合手段装着部103は、側部取付機構93と同様の案内支持部105が設けられているが、この下部取付機構92の案内支持部105の溝は、正面背面方向の寸法は一定で、曲面状をなして膨出する中間部は設けられていない。
【0045】
また、付勢手段装着部104を背面側に突出した状態で支持するもので、下部取付機構92では下側支持部77の背面に位置して設けられ、側部取付機構93では係合手段装着部103の背面側に位置して設けられている。
【0046】
また、側部取付機構93には、付勢手段装着部104に隣接し、それぞれ背面側に向かって案内突部107が突設されている。さらに、下部取付機構92及び側部取付機構93からは、それぞれ正面側に向かってエアバッグカバー位置決め突部108が突設されている。
【0047】
そして、このエアバッグ装置3は、取付基部95を一体的に形成したベースプレート64に、ワイヤー96及びコイルスプリング97を装着して取付機構70を構成するとともに、インフレータ66、エアバッグ、エアバッグカバー67、リテーナ68などを取り付けて構成される。
【0048】
すなわち、取付機構70は、各係合手段装着部103に案内支持部105側からワイヤー96を挿入するとともに、付勢手段装着部104にコイルスプリング97を装着して構成される。
【0049】
そして、エアバッグの内側にリテーナ68を挿入し、このリテーナ68の取付ボルト89を取付孔から引き出した状態で、エアバッグを所定の形状に折り畳む。さらに、折り畳んだエアバッグにエアバッグカバー67を被せるとともに、取付板部85を広げながらリテーナ68のカバー体係止部88bに取付板部係合部85aを係合する。そして、リテーナ68の取付ボルト89を取付孔75に挿入しながら、これらエアバッグ、リテーナ68、及びエアバッグカバー67をベースプレート64に組み合わせる。この状態で、エアバッグカバー67の取付板部85がリテーナ68のカバー体係止部88bとベースプレート64の側板部72との間に挟持され、エアバッグカバー67が抜け止めされる。また、取付機構70のエアバッグカバー位置決め突部108がエアバッグカバー67の位置決め受部84aに挿入され、エアバッグカバー67が位置決めされる。
【0050】
さらに、ベースプレート64の背面側に突出した取付ボルト89に取付孔を挿入しながら、ベースプレート64の背面側からインフレータ66を組み合わせ、取付ボルト89にナット90を螺合して締め付ける。この状態で、インフレータ66のガス噴射口66cを設けたインフレータ本体部66aの正面側の部分がインフレータ取付孔74からエアバッグの内側に挿入され、エアバッグ装置3が構成される。
【0051】
一方、ステアリングホイール本体2には、背面側からカバー体14を組み合わせ、カバー係止受部48と係止爪59との係合などによりカバー体14をステアリングホイール本体2に取り付ける。
【0052】
そして、このステアリングホイール本体2のボス16aをステアリングシャフトに嵌着し、図示しないナットで締め付け固定する。
【0053】
そして、エアバッグ装置3は、ステアリングホイール本体2に正面側から押し込むのみで、いわばワンタッチで取り付けられる。すなわち、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に正面側から押し込むと、取付機構70の各ワイヤー96に芯金11に設けた下部係合爪部28,44が係合し、両側及び下側の3カ所でエアバッグ装置3がステアリングホイール本体2に係合して抜け止め支持される。
【0054】
より詳細には、エアバッグ装置3を押し込むと、係合爪部28,44は開口部103aに進入し、案内面28b,44bでワイヤー96の係合受部99を押圧し、弾性連結部100の付勢力に抗して移動させる。そしてエアバッグ装置3を十分に押し込み、係合爪部28,44がワイヤー96を通過すると、弾性連結部100の付勢力によりワイヤー96は復帰変形し、係合受部99が所定方向Rに移動して、係合爪部28,44の係止面28a,44aの背面側に係止される。なお、各係合爪部28,44には、カバー体14の下側係合爪部対向部56及び側部係合爪部対向部58が組み合わされているため、ワイヤー96の係合受部99は、これらカバー体14の下側係合爪部対向部56及び側部係合爪部対向部58を介して芯金11の係合爪部28,44に当接して係止される。そして、この状態で、係合受部99は、弾性連結部100の付勢力により、係合量が増加する所定方向Rに付勢されているとともに、側部取付機構93の係合受部99は、側部係合爪部44の係止面44aから突設された突起部44cによってより確実に抜け止めされ、不意に外れることが防止される。
【0055】
また、このようにエアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に取り付けた状態で、カバー体14に設けた両側の作業用開口61は、両側の側部取付機構93の操作部101に対向する。
【0056】
また、この状態で、エアバッグ装置3の案内突部107がステアリングホイール本体2のモジュール案内受部49に進退可能に挿入されて案内となる。
【0057】
また、エアバッグ装置3の各コイルスプリング97がステアリングホイール本体2のばね受け座36,46に当接して支持され、これらコイルスプリング97の付勢力により、エアバッグ装置3の可動接点79,80がステアリングホイール本体2の固定接点35,45から離間した状態で支持される。
【0058】
さらに、電気的な配線を行うことにより、エアバッグ装置3を備えたステアリングホイール1がステアリングシャフトに取り付けられた状態で構成される。
【0059】
そして、このように構成されたステアリングホイール1は、運転席の乗員がリム部5を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置3のエアバッグカバー67をコイルスプリング97の付勢力に抗して押動することにより、いずれかの可動接点79,80が固定接点35,45に接触すると車体側のホーン装置が吹鳴される。
【0060】
一方、車両の正面衝突などの際は、インフレータ66からエアバッグの内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグが急激に膨張する。すると、このエアバッグの膨張の圧力により、エアバッグカバー67がテアラインに沿って開裂してエアバッグの突出口が形成され、この突出口からエアバッグが突出して乗員の前方で膨張展開し、乗員を拘束して保護するようになっている。
【0061】
さらに乗員が前方に移動するなどして、エアバッグを介してステアリングホイール本体2のリム部5が押圧されると、リム芯金15及びスポーク芯金17が変形して、衝撃を吸収し、乗員を保護する。より詳細には、車両の正面衝突すると、乗員は前側に投げ出されるように前方に移動し、乗員に最も近いリム部5の下側部に当接し、図1に矢印Fで示す前方に向かいリム部5の下側部を押圧して荷重を加える。すると、図1に2点鎖線で示すように、リム部5のリム芯金15が変形するとともに、このリム芯金15に連結された下側のスポーク芯金17すなわち下部スポーク芯金22が前方に向かい移動しながら変形し、図10(a)から図10(b)に示すように芯金11が変形する。
【0062】
さらに、この芯金11の変形の際に、乗員により直接あるいはカバー体14などの他物品により、台座部34が図1に矢印Bで示す方向すなわち前方に押動される。すると、芯金11は、両端部が下部スポーク芯金22に連結された連結芯金18の下部連結部26を支点として回動するようにして変形し、台座部34が前方に移動するにつれて、この下部連結部26に連結して支持された下部係合爪部28が図1に矢印Cに示すように下方に向かって回動しながら移動する。すなわち、下部係合爪部28は、係合したワイヤー96の係合受部99の係合量を増加させる爪掛かり方向に移動し、係合受部99をいわば下部係合爪部28の奥側に食い込ませるように変形し、係合受部99すなわちエアバッグ装置3を外れることなく確実に保持する。
【0063】
また、この芯金11の変形の際に、下部スポーク芯金22に対向するカバー体14の芯金対向部53も、下部スポーク芯金22に沿って変形する。そして、この芯金対向部53は、中央部が帯状に段階的に板厚が小さくなり、帯状薄肉部A5及び帯状中間部A3,A7が下部スポーク芯金22に直交して形成されているため、下部スポーク芯金22の変形に伴い最も板厚が小さい帯状薄肉部A5が徐々に円滑に反転するまで破断することなく変形し、過度の負荷を与えることなく下部スポーク芯金22の変形を許容する。
【0064】
また、通常の使用状態などにおいて、保守や点検などのため、ステアリングホイール本体2からエアバッグ装置3を取り外す必要がある場合には、両側の側部取付機構93のワイヤー96の係合受部99についてそれぞれ側部係合爪部44から係合を解除し、次いで、エアバッグ装置3の上側部を後方に回動させ、さらに上方などに移動させて、下部取付機構92のワイヤー96の係合受部99を下部係合爪部28から離脱させ、係合を解除する。
【0065】
そして、両側の側部取付機構93のワイヤー96の係合受部99を側部係合爪部44から外す作業は、カバー体14の両側部に設けられた作業用開口61から棒状の治具を挿入し、治具の先端部でワイヤー96の操作部101を、弾性連結部100の付勢力に抗して、両側方向に沿って所定方向Rの反対方向である内方に押圧する。すると、図5に矢印Dで示すように、案内支持部105に案内されて、操作部101に連結された係合受部99が内方に移動し、一旦、側部係合爪部44の突起部44cに対向する状態となる。ここで、案内支持部105の中間部105bは背面側に向かって膨出するように湾曲しており、さらに、エアバッグ装置3はコイルスプリング97の付勢力により上方に付勢されている。そこで、操作部101をさらに押し込むと、図5に矢印Eで示すように、係合受部99は案内支持部105の中間部105bの背面側の曲面に沿って突起部44cを回避するように案内されて移動し、係合受部99と側部係合爪部44の係止面44aとの係合が解除される。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を取り付けたステアリングホイール1について、ステアリングホイール本体2の芯金11に設けた下部係合爪部28とエアバッグ装置3に設けたワイヤー96の係合受部99との係合により、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2にいわばワンタッチで作業性良く取り付けでき、ボルトにナットを螺合しあるいはリベットなどを用いる構成に比べ、製造コストを低減できる。
【0067】
そして、衝突の衝撃などを受けた際に、乗員がステアリングホイール1側に移動すると、乗員はこの乗員に対向するステアリングホイール本体2に所定の方向すなわち後方から当接する。そして、この乗員側からの力により、台座部34に乗員側すなわち後方から前方に向かって力が加わり、芯金11が変形した状態で、係合受部99に対する下部係合爪部28の係合量が増加する。そこで、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に確実に係合により保持できる。
【0068】
また、下部係合爪部28及び押動受部を構成する台座部34は、スポーク芯金17に連結された連結芯金18に連結したため、乗員側から台座部34に力が加わると、連結芯金18を支点として回動するように芯金11が変形する。そこで、連結芯金18の下側から前方に突設された下部係合爪部28に対して、台座部34は正面側に突設されているため、リム芯金15及び台座部34の移動方向である前方と異なる方向である下方に下部係合爪部28を移動させ、係合受部99に対する下部係合爪部28の係合量を容易に増加して、エアバッグ装置3をステアリングホイール本体2に強固に保持できる。
【0069】
また、スポーク芯金17は、上部スポーク芯金21と下部スポーク芯金22とを備えるとともに、下部スポーク芯金22は、2本の棒状部24を連結芯金18により互いに連結し、かつ上部スポーク芯金21に連結する構造としたため、連結芯金18により芯金11を補強して強度を維持しつつ軽量化を容易に実現できるとともに、連結芯金18を回動の中心としてこの連結芯金18に連結した下部係合爪部28を回動する構成を容易に実現できる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、ステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2に水平方向に並んで設けられた両側一対の側部係合爪部44及びこれら側部係合爪部44の下方に離間して配置された下部係合爪部28と、これら係合爪部44,28に対応してそれぞれエアバッグ装置3に設けられた両側一対の側部取付機構93の係合受部99及び下部取付機構92の係合受部99との3カ所の係合により、少なくとも3カ所の係止でステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を確実に取り付け、エアバッグ装置3の離脱を確実に防止できる。
【0071】
さらに、側部係合爪部44は単なる平面ではなく、係止面44aから下方に突起部44cが突設されており、弾性連結部100により係合量が増加する所定方向Rに付勢されていることと相まって、衝撃を受けた際などにも係合受部99が側部係合爪部44から不意に外れることを防止でき、ステアリングホイール本体2にエアバッグ装置3を確実に取り付けできる。
【0072】
一方、作業用開口61から治具を挿入し、係合受部99の端部に設けた操作部101を側方から押動することにより、係合受部99を、突起部44cに対向する中間部105bで下方に膨出する案内支持部105で案内し、係止面44aから突設した突起部44cを回避させ、係合受部99を係止面44aから作業性良く離脱させ、側部係合爪部44を側部取付機構93から容易に取り外しできる。
【0073】
そして、このように作業用開口61を用いて両側一対の側部取付機構93の操作部101を操作し、側部係合爪部44をそれぞれ側部取付機構93から取り外した後は、エアバッグ装置3の全体を下部取付機構92の係合受部99を支点として下方に開くように回動させ、さらに上方に移動させることにより、この下部取付機構92の係合受部99を下部係合爪部28から容易に取り外しでき、エアバッグ装置3を取り外す作業を容易にでき、保守作業などの作業性を向上できる。
【0074】
すなわち、ステアリングホイール本体2からエアバッグ装置3を取り外す作業は、保守点検時などのみに必要な作業で頻度の少ない作業であり、作業者は複雑な手順を完全には把握できない場合があるが、側部係合爪部44から係合受部99を取り外す作業は、作業用開口61から治具を一定方向に挿入するのみで良く、保守作業などの作業性を向上できる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、ステアリングホイール1は、芯金11を有するステアリングホイール本体2に取り付けられてこのステアリングホイール本体2の背面側を覆うカバー体14とを備え、屈曲して衝撃を吸収可能な屈曲可能部である芯金11の下部スポーク芯金22に対向して、カバー体14の芯金対向部53に帯状の面状をなして一般部54より厚さ寸法が小さい帯状薄肉部A5を備えている。そこで、ステアリングホイール1が衝撃を受けて、芯金11の下部スポーク芯金22が反転するように屈曲して衝撃を吸収する際には、芯金対向部53も帯状薄肉部A5の部分で反転するように変形する。ここで帯状薄肉部A5は、帯状の面状をなすため、下部スポーク芯金22の屈曲に追従して変形し、過大な反力の発生を防止してステアリングホイール1の衝撃吸収特性を良好にできる。すなわち、帯状薄肉部A5は、帯状の面状をなすため、溝状の破断部を設ける構成に比べ、変形が安定して徐々に進行し、急激な反力の変化がなく、ステアリングホイール1の衝撃吸収特性を良好にできる。また、衝撃吸収特性の向上のために部品を破断させる必要がないため、反力が滑らかに変化する良好な衝撃吸収特性を実現できるとともに、部品の離脱を防止する構成を考慮する必要がなく、構成を簡略化できる。
【0076】
さらに、この帯状薄肉部A5は、長手方向の両端部がカバー体14の縁部に至り、下部スポーク芯金22の長手方向に交差さらには直交する方向を長手方向として配置されたため、下部スポーク芯金22が屈曲する力を効率良く受けて、帯状薄肉部A5を安定して変形させることができる。
【0077】
さらに、芯金対向部53には、帯状薄肉部A5の長手方向に沿った両側部にこの帯状薄肉部A5より厚さ寸法が大きい帯状の面状をなす帯状中間部A3,A7を備えたため、下部スポーク芯金22が屈曲する力を帯状薄肉部A5に集中して加え、所望の特性で帯状薄肉部A5を安定して確実に変形させることができる。
【0078】
さらに、このカバー体14の芯金対向部53は、幅の狭い溝状の破断部が存在せず、厚さ寸法が滑らかに変化するため、金型を用いて成型する際に、樹脂材料の均一な充填が容易になるとともに、艶むらなどの成形不良も生じにくく、すなわち成形性が良好で製造コストを容易に低減できるとともに外観の良好なカバー体14を提供できる。
【0079】
なお、上記の実施の形態では、ハンドルは、円環状のリム部5を有するステアリングホイール1としたが、この構成に限られず、例えば上端部が連続していない円弧状のリム部を備えたハンドルに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、エアバッグ装置を備えた自動車のステアリングホイールに適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 ハンドルとしてのステアリングホイール
2 ハンドル本体としてのステアリングホイール本体
3 モジュールとしてのエアバッグ装置
5 リム部
6 ボス部
7 スポーク部
11 芯金
15 リム芯金
16 ボス芯金
17 スポーク芯金
18 連結芯金
28 係合爪部としての下部係合爪部
34 押動受部を構成する台座部
99 係合受部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合爪部及びこの係合爪部に連結された押動受部を設けた芯金を備え乗員に対向して配置されるハンドル本体と、
前記係合爪部に係合される係合受部を備え前記ハンドル本体に取り付けられたモジュールとを具備し、
前記係合爪部は、前記押動受部に前記乗員側から力が加わり、前記芯金が変形した状態で、前記係合受部に対する係合量が増加する方向に突設された
ことを特徴とするハンドル。
【請求項2】
ハンドル本体は、乗員に対向する操作用のリム部、操縦装置に接続されるボス部、これらリム部とボス部とを接続するスポーク部、前記ボス部を構成するボス芯金、前記リム部を構成するリム芯金、これらボス芯金及びリム芯金に接続され前記スポーク部を構成するスポーク芯金、及びこのスポーク芯金に連結された連結芯金を備え、
係合爪部及び押動受部は、前記連結芯金に連結された
ことを特徴とする請求項1記載のハンドル。
【請求項3】
複数のスポーク芯金を備え、
連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結する
ことを特徴とする請求項2記載のハンドル。
【請求項1】
係合爪部及びこの係合爪部に連結された押動受部を設けた芯金を備え乗員に対向して配置されるハンドル本体と、
前記係合爪部に係合される係合受部を備え前記ハンドル本体に取り付けられたモジュールとを具備し、
前記係合爪部は、前記押動受部に前記乗員側から力が加わり、前記芯金が変形した状態で、前記係合受部に対する係合量が増加する方向に突設された
ことを特徴とするハンドル。
【請求項2】
ハンドル本体は、乗員に対向する操作用のリム部、操縦装置に接続されるボス部、これらリム部とボス部とを接続するスポーク部、前記ボス部を構成するボス芯金、前記リム部を構成するリム芯金、これらボス芯金及びリム芯金に接続され前記スポーク部を構成するスポーク芯金、及びこのスポーク芯金に連結された連結芯金を備え、
係合爪部及び押動受部は、前記連結芯金に連結された
ことを特徴とする請求項1記載のハンドル。
【請求項3】
複数のスポーク芯金を備え、
連結芯金は、これらスポーク芯金同士を連結する
ことを特徴とする請求項2記載のハンドル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−213250(P2011−213250A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83630(P2010−83630)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
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