説明

ハンドル

【課題】ダンパースプリングの摩耗を抑制でき、振動をより効果的に低減できるハンドルを提供する。
【解決手段】ハンドル本体11側に配置したダンパースプリング64とエアバッグ装置12側との間にブッシュ部65を介在させる。ダンパースプリング64に突設した突起部64cを挿入係止する第1及び第2の係止受け部72h,73eをブッシュ部65に設ける。ハンドル本体11側の振動に対してブッシュ部65を一体的に振動させることができるとともに、ダンパースプリング64とブッシュ部65との相対的な回動をも規制できる。突起部64cとブッシュ部65との間で摩擦が生じにくく、ダンパースプリング64の摩耗を抑制できる。ダンパースプリング64の摩耗を抑制できるので、ばね定数をより抑制した材質によってダンパースプリング64を形成でき、ハンドル10の振動をより効果的に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車に備えられエアバッグ装置を有するハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両において、円環状をなすリム部と、このリム部の内側に位置しエアバッグ装置が取り付けられたボス部と、これらリム部とボス部とを連結する複数のスポーク部とを備えたハンドルが用いられている。そして、このようなハンドルとして、エアバッグ装置をハンドルの軸方向及び軸直角方向に弾性的に支持することで、このエアバッグ装置をダンパーマスとして利用し、エンジンの振動あるいは路面からの振動などが伝わることによるハンドルの振動を低減するダイナミックダンパーを構成したものが知られている。この構成では、ボス部の内側に配置されたホルダとエアバッグ装置とのいずれか一方に弾性を有する部材により形成された円筒状の弾性体としてのダンパースプリングが取り付けられているとともに、ホルダとエアバッグ装置との他方に、ダンパースプリングが外周に嵌着されてこのダンパースプリングを受けるボビン状の受け部材が取り付けられている。特に、ダンパースプリングの軸方向の端部に突起を突設し、この突起の先端を受け部材側に接触させることで、ダイナミックダンパーの特性をより向上した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−202859号公報 (第5−6頁、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のハンドルの場合、エアバッグ装置側の自重がダンパースプリングに常に加わっているため、振動によってダンパースプリングと受け部材との間で生じた径方向あるいは周方向に摩擦が生じる。また、この摩擦によって、ダンパースプリングのエアバッグ装置側の一部、特に突起が摩耗しないように、ダンパースプリングを硬めの材質により形成すると、ばね定数が上昇し、振動減衰特性が低下する。
【0005】
したがって、摩擦による弾性体の摩耗を抑制して振動をより効果的に低減できるハンドル振動低減構造が望まれている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、弾性体の摩耗を抑制でき、振動をより効果的に低減できるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のハンドルは、ハンドル本体と、このハンドル本体に対して軸方向及び軸方向と交差する方向に移動可能に取り付けられたダンパーマスと、このダンパーマスを前記ハンドル本体に対して弾性的に支持するダンパー部とを具備し、前記ダンパー部は、弾性を有する部材により形成され、前記ハンドル本体側と前記ダンパーマス側との少なくともいずれか一方に配置された弾性体と、この弾性体よりも硬質の部材により形成され、前記ハンドル本体側と前記ダンパーマス側との他方と、前記弾性体との間に介在された受け部材とを備え、前記弾性体は、前記ハンドル本体の軸方向に沿って突設され前記ハンドル本体に対して前記ダンパーマスを前記ハンドル本体の軸方向及び軸方向に交差する方向に弾性的に支持する係止部を有し、前記受け部材は、前記係止部が挿入係止される係止受け部を有しているものである。
【0008】
請求項2記載のハンドルは、請求項1記載のハンドルにおいて、ハンドル本体は、ダンパーマスを軸方向に案内する案内部材を備え、受け部材は、前記案内部材が前記軸方向に沿って移動可能に挿通される受け部材本体と、この受け部材本体の前記軸方向の両端部の外面からそれぞれ突出するフランジ部とを有し、弾性体は、前記受け部材本体の外面と前記フランジ部との間に保持され、係止部は、前記弾性体の前記軸方向の両端部のうち、少なくとも前記ダンパーマス側に形成され、係止受け部は、前記係止部と対向する前記フランジ部に形成されているものである。
【0009】
請求項3記載のハンドルは、請求項2記載のハンドルにおいて、係止部は、弾性体の軸方向の両端部にそれぞれ形成され、係止受け部は、各フランジ部にそれぞれ形成されているものである。
【0010】
請求項4記載のハンドルは、請求項1ないし3いずれか一記載のハンドルにおいて、係止部は、弾性体の周方向に互いに離間されて複数形成され、係止受け部は、前記係止部に対応して受け部材の周方向の互いに離間されて複数形成されているものである。
【0011】
請求項5記載のハンドルは、請求項1ないし4いずれか一記載のハンドルにおいて、係止受け部は、受け部材を貫通して形成されているものである。
【0012】
請求項6記載のハンドルは、請求項1ないし5いずれか一記載のハンドルにおいて、ダンパーマスは、エアバッグ装置であるものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のハンドルによれば、ハンドル本体側とダンパーマス側との少なくともいずれか一方に配置した弾性体に、ハンドル本体の軸方向に沿って係止部を突設するとともに、この弾性体と、ハンドル本体側とダンパーマス側との他方との間に介在する受け部材に、係止部を挿入係止する係止受け部を設けることで、弾性体を配置したハンドル本体側とダンパーマス側との少なくともいずれか一方の振動に対して、受け部材を一体的に振動させることができるとともに、弾性体と受け部材との相対的な回動をも規制でき、係止部と受け部材との間で摩擦が生じにくく、弾性体の摩耗を抑制できる。また、弾性体の摩耗を抑制できるため、ばね定数をより抑制した材質によって弾性体を形成でき、ハンドルの振動をより効果的に低減できる。
【0014】
請求項2記載のハンドルによれば、請求項1記載のハンドルの効果に加え、ダンパーマスを軸方向に案内する案内部材が挿通される受け部材本体の外面と、この受け部材本体の軸方向の両端部の外面からそれぞれ突出するフランジ部との間に弾性体を保持し、この弾性体の軸方向の両端部のうち、少なくともダンパーマス側に係止部を形成し、この係止部と対向するフランジ部に係止受け部を形成することで、弾性体の摩耗を抑制してハンドルの振動を効果的に低減できる構成を容易に形成できる。
【0015】
請求項3記載のハンドルによれば、請求項2記載のハンドルの効果に加え、係止部を弾性体の軸方向の両端部にそれぞれ形成し、係止受け部を各フランジ部にそれぞれ形成することで、ハンドルの振動をより効果的に低減できる。
【0016】
請求項4記載のハンドルによれば、請求項1ないし3いずれか一記載のハンドルの効果に加え、係止部を弾性体の周方向に互いに離間して複数形成し、係止受け部を係止部に対応して受け部材の周方向に互いに離間して複数形成することで、ハンドルの振動をより効果的に低減できる。
【0017】
請求項5記載のハンドルによれば、請求項1ないし4いずれか一記載のハンドルの効果に加え、係止受け部を、受け部材を貫通して形成することにより、係止部と係止受け部との組み付け状態を係止受け部の外部から目視で確認でき、誤組み付けを防止できるなど、製造性をより向上できる。
【0018】
請求項6記載のハンドルによれば、請求項1ないし5いずれか一記載のハンドルの効果に加え、エアバッグ装置をダンパーマスとして用いることで、別途ダンパーマスを設ける必要がなく、部品点数及びコストを削減できるとともに、軽量化及び省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態のハンドルの一部を拡大して示す断面図である。
【図2】同上ハンドルのダンパー部を示す分解斜視図である。
【図3】同上ハンドルを示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のハンドルの一部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のハンドルのダンパー部の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態のハンドルのダンパー部の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のハンドルの第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び図3において、10は例えば自動車のハンドルを示し、このハンドル10は、ステアリングホイールとも呼ばれ、ハンドル本体11と、このハンドル本体11の乗員側に取り付けられたエアバッグ装置12と、このエアバッグ装置12をハンドル本体11に対して弾性的に支持する例えば複数のダンパー部13などから構成されている。
【0022】
なお、ハンドル10は、通常傾斜した状態で備えられるシャフトとしてのステアリングシャフト15に装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置12側である正面側(図1に示す矢印A方向)を乗員側あるいは上側、この正面側の反対側のステアリングシャフト15側である背面側(図1に示す矢印B方向)を車体側あるいは下側とし、その他、このハンドル10が備えられる車体の直進方向を基準として、前後方向などの方向を説明する。
【0023】
そして、ハンドル本体11は、円環状をなすグリップ部としてのリム部17と、このリム部17の内側に位置するハブ部であるボス部18と、リム部17に埋設された芯金17aとボス部18とを図示しないスポーク芯金で連結した複数のスポーク部19とを備えている。ボス部18は、例えば上側が開口した箱状の裏カバー21により下側部が覆われている。また、ボス部18の中央部には、ボス22が配置されており、このボス22は、ステアリングシャフト15にスプライン嵌合される。また、このボス22の中央部には、ステアリングシャフト15の先端部のねじ部に螺合して締め付けるナット23が配置されている。さらに、ボス22には、例えば金属製の保持部材であるホルダ24がナット23により共締めされており、このホルダ24にボルト25を介して固定された第1のステーとしての例えば導電性の金属板などからなるホーンプレート26に対して、エアバッグ装置12がダンパー部13を介して取り付けられ、このエアバッグ装置12が、スポーク部19をそれぞれ覆うスポーク部カバー27の内方に位置している。そして、これらリム部17、ボス部18、スポーク部19、裏カバー21、ボス22、ナット23、ホルダ24、ボルト25、及びホーンプレート26などにより、ハンドル本体11が構成されている。なお、以下、ハンドル本体11の軸方向とは、ステアリングシャフト15の軸方向(長手方向)をいうものとする。
【0024】
また、エアバッグ装置12は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、ダンパー部13とともにダイナミックダンパーを構成するダンパーマスであり、金属板などからなる保持部である第1及び第2のリテーナ31,32、これら第1及び第2のリテーナ31,32に取り付けて保持される袋状のエアバッグ33、樹脂製のカバー体34、エアバッグ33にガスを供給するインフレータ35などを備えている。そして、これら第1及び第2のリテーナ31,32、及び折り畳んで収納されたエアバッグ33により、エアバッグ本体部37が構成されている。
【0025】
第1のリテーナ31は、例えば金属板からなり、図1に示すように、略平板状の基板部41と、この基板部41の周辺部から上方に突出するように屈曲する屈曲部42と、この屈曲部42の上端から周辺部へと延びる周板部43と、この周板部43の周辺部から上方に突出するように屈曲する取付屈曲部44とを備えている。そして、基板部41の中央部には、円孔状のインフレータ取付孔41aが形成され、さらに、このインフレータ取付孔41aの外周側には、複数の第1の取付孔41bが形成されている。また、周板部43には、ダンパー部13に対応する位置に、接続孔としてのダンパー接続孔43aが形成されており、このダンパー接続孔43aには、上下方向に沿って下方に突出しダンパー部13の一部をなすスタッドボルト46が挿入されて一体的に固定されている。そして、各取付屈曲部44には、ボルト用通孔44aが形成されており、このボルト用通孔44aには、ボルト48が挿入され、このボルト48の先端にナット49が螺合されて、第1のリテーナ31とカバー体34とが一体的に固定されている。
【0026】
第2のリテーナ32は、例えば金属板からなり、第1のリテーナ31の上部に重ねられており、インフレータ35の周囲に位置している。そして、この第2のリテーナ32には、第1のリテーナ31の第1の取付孔41bに対応する複数の第2の取付孔32aが形成されている。
【0027】
また、エアバッグ33は、例えば複数の基布の外縁部同士を接合して扁平な袋状に構成され、その開放端が第1のリテーナ31の基板部41と第2のリテーナ32とにより上下から挟持され、この開放端に形成された挿通孔33aに対して、第1及び第2の取付孔41b,32aに挿入されたボルト51が挿通され、このボルト51の先端に螺合されるナット52により共締めされて、インフレータ35の上部に接続されている。
【0028】
また、カバー体34は、絶縁性を有する樹脂にて形成され、エアバッグ33の正面側を覆い、さらに、ハンドル本体11のボス部18とスポーク部19の一部とを覆い正面側に露出する被覆部54と、この被覆部54から下方に突設された取付板部55とを備えている。そして、被覆部54は、ハンドル10の意匠に応じた曲板状に形成され、裏面側には、他の部分より破断しやすいテアライン56が形成されている。さらに、取付板部55は、全体としては角筒状をなし、この取付板部55の内側と被覆部54とに覆われた部分に、折り畳んだエアバッグ33が収納される。そして、取付板部55の下端部には、ボルト48が挿通されてナット49により第1のリテーナ31の取付屈曲部44と一体的に共締めされる取付孔部55aが形成されている。
【0029】
また、インフレータ35は、円柱状の本体部35aと、この本体部35aの外周部から突設されたフランジ部35bとを備えている。そして、本体部35aには、ガスを噴射する複数のガス噴射口35cが形成され、フランジ部35bには、ボルト51が挿通され第1及び第2のリテーナ31,32とエアバッグ33の開放端とナット52により一体的に共締めされる複数のボルト用通孔35dが設けられている。
【0030】
そして、このエアバッグ装置12の組立工程は、まず、第2のリテーナ32を開放端からエアバッグ33の内側に挿入し、第2の取付孔32aにボルト51を挿入する。そして、エアバッグ33を所定の形状に折り畳み、内側を上方に向けて載置されたカバー体34の内側に収納する。さらに、第2のリテーナ32の第2の取付孔32aに挿入したボルト51を第1のリテーナ31の第1の取付孔41bにさらに挿入しつつ、カバー体34の取付板部55に第1のリテーナ31を嵌合する。この状態で、カバー体34の取付板部55の取付孔部55aと、この取付板部55の外部で取付孔部55aと位置合わせされた第1のリテーナ31の取付屈曲部44のボルト用通孔44aとにボルト48を挿入し、ナット49を螺合して締め付けることで、カバー体34と第1のリテーナ31とが組み付けられる。そして、インフレータ35の本体部35aを第1のリテーナ31のインフレータ取付孔41a及びエアバッグ33の挿通孔33aに挿入するとともに、フランジ部35bのボルト用通孔35dにボルト51を挿入し、ナット52を螺合して締め付けることにより、エアバッグ装置12が構成される。
【0031】
一方、ダンパー部13は、図1及び図2に示すように、エアバッグ装置12をハンドル本体11の軸方向及びこの軸方向と交差(直交)する方向に弾性的に支持するものである。そして、このダンパー部13は、スタッドボルト46、このスタッドボルト46に螺合される案内部材としてのショルダーナット61、スタッドボルト46及びショルダーナット61により第1のリテーナ31の周板部43の下部に一体的に固定される第2のステーとしての例えば金属板などからなるベースプレート62、このベースプレート62を介してエアバッグ装置12を正面側(上側)に付勢するコイルばねであるホーンスプリング63、弾性体としてのダンパースプリング64、このダンパースプリング64を保持して受ける受け部材としてのブッシュ部65、このブッシュ部65とショルダーナット61との間に挟持されたワッシャ66、及び、ホーンプレート26に例えば一体成形されたインシュレータ67などを備えている。そして、このダンパー部13は、ブッシュ部65がダンパースプリング64を保持した状態でハンドル本体11側とダンパーマスであるエアバッグ装置12側とを弾性的に直結し、ハンドル10の振動を低減する。
【0032】
ショルダーナット61は、エアバッグ装置12をホーンスイッチ装置として機能させる際のガイドとなるもので、例えばSWCH18A(アルミキルド鋼)などの金属により形成されており、円筒状の案内部材本体としてのナット本体61aと、このナット本体61aの一端である下端近傍の外周面からフランジ状に突出した規制フランジ部としてのナットフランジ部61bとを一体に備えている。また、ナット本体61aの下端は閉塞されており、ショルダーナット61が袋ナット状に構成されている。
【0033】
また、ベースプレート62は、例えばSPCC(冷間圧延鋼板)などの導電性を有する金属板からなり、下方へと屈曲された外縁部62aに下方に向けて可動接点69が形成されている。そして、この可動接点69と、この可動接点69に対向してホーンプレート26に形成された固定接点70とにより、車体側に配置された図示しないホーン装置の回路を開閉するためのホーンスイッチ装置が構成されている。
【0034】
また、ホーンスプリング63は、エアバッグ装置12をホーンスイッチ装置として機能させるためのフローティング支持手段であり、例えばSWPA(ピアノ線)などの細長い金属棒からなるコイルばねであって、ブッシュ部65の上部とベースプレート62の下部との間に挟持されている。
【0035】
また、ダンパースプリング64は、エアバッグ装置12をダンパーマスとして機能させるためのダンパー用付勢手段である。そして、このダンパースプリング64は、例えば硬度40°のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの合成ゴムからなり、円筒状のダンパー用付勢手段本体としてのダンパー本体64aと、このダンパー本体64aの上下両端の外周全周にフランジ状に突設されたダンパーフランジ部64bと、これらダンパーフランジ部64bのそれぞれに突設された係止部としての突起部64cとを一体、あるいは一体的に備えている。なお、エアバッグ装置12及びダンパー部13などにより構成されるダイナミックダンパーの振動減衰特性は、エアバッグ装置12の質量とこのダンパースプリング64のばね定数とにより設定される。
【0036】
ダンパー本体64aの外周でかつダンパーフランジ部64bの間には、インシュレータ67が嵌合保持されている。
【0037】
また、ダンパーフランジ部64bは、外縁部に周方向に複数箇所、例えば3箇所のダンパー切欠部64dが切り欠き形成されており、これらダンパー切欠部64d間に突起部64cが位置している。
【0038】
また、各突起部64cは、ダンパースプリング64の軸方向に沿って、上下方向に突出している。さらに、これら突起部64cは、基端側から先端側へと徐々に縮径される円錐状に形成されている。そして、これら突起部64cは、ダンパー本体64aの周方向に略等間隔に互いに離間されて配置されている。
【0039】
また、ブッシュ部65は、ダンパースプリング64よりも硬質の、例えばペルプレン(登録商標)などのポリエステルエラストマー系の合成樹脂からなる一及び他の受け部材としての第1及び第2のブッシュ72,73などを備えている。
【0040】
第1のブッシュ72は、略円筒状の受け部材本体としての第1のブッシュ本体である円筒部72aと、この円筒部72aの軸方向の一端側である上端側、すなわちベースプレート62に対向する側の外周全周にフランジ状に突設されたフランジ部であるブッシュフランジ部72bとを有している。
【0041】
円筒部72aは、軸方向の他端側である下端側が周方向に複数、例えば3つの変形可能部72cに分割されており、これら変形可能部72cが中心軸方向に弾性的に変形可能となっている。そして、これら変形可能部72cのそれぞれの下端には、第2のブッシュ73を係合保持するための係合爪部72dが径方向に突設されている。
【0042】
また、ブッシュフランジ部72bは、円筒部72aの周囲の位置に、ホーンスプリング63の下端を受ける円環状の受け凹部72eが溝状に形成されているとともに、外縁部に、複数、例えば3つの切欠部72fがそれぞれ切り欠き形成されている。さらに、このブッシュフランジ部72bのダンパースプリング64に対向する一主面72g(下側の面)には、隣り合う切欠部72f,72f間の位置に、複数、例えば3つの係止受け部としての第1の係止受け部72hが凹状に形成されている。これら第1の係止受け部72hは、ダンパースプリング64の上側に位置する突起部64cをそれぞれ受けるものであり、内面がこれら突起部64cの形状に対応して円錐形状に形成されている。また、これら第1の係止受け部72hは、周方向に互いに略等間隔に離間されて配置されている。
【0043】
また、第2のブッシュ73は、円環板状に形成されており、中央部に開口する開口73aの周縁部に、第1のブッシュ72の係合爪部72dが係合される係合開口73bが、周方向に複数、例えば3つ切り欠き形成され、外縁部に複数、例えば3つの切欠開口73cがそれぞれ切り欠き形成されている。さらに、この第2のブッシュ73のダンパースプリング64に対向する一主面73d(上側の面)には、複数、例えば3つの係止受け部としての第2の係止受け部73eが形成されている。これら第2の係止受け部73eは、ダンパースプリング64の下側に位置する突起部64cをそれぞれ受けるものであり、内面が、これら突起部64cの形状に対応する円錐形状に形成されている。また、これら第2の係止受け部73eは、周方向に互いに略等間隔に離間されて配置されている。
【0044】
そして、第2のブッシュ73は、係合開口73bの縁部に第1のブッシュ72の係合爪部72dが係合することにより、第1のブッシュ72と一体的となり、この状態で、第2のブッシュ73は、第1のブッシュ72の円筒部72aから径方向に突出するフランジ部である。
【0045】
また、ワッシャ66は、例えばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの合成ゴムにより円環状に形成されており、ブッシュ部65の第2のブッシュ73とショルダーナット61のナットフランジ部61bとの間に挟持されている。
【0046】
そして、インシュレータ67は、導電性のホーンプレート26に対してダンパー部13を絶縁するもので、例えばPP(ポリプロピレン)などの絶縁性及び若干の弾性を有する合成樹脂を、いわゆるアウトサート成形することなどにより、ホーンプレート26に形成された円形状の開口部75の縁部全体を覆って一体成形されている。したがって、このインシュレータ67は、略円筒状に形成されている。また、このインシュレータ67の両端には、複数の位置決め部としての突出部67aが突設されている。そして、このインシュレータ67の上側に突出する突出部67aは、ブッシュ部65の第1のブッシュ72の切欠部72fにそれぞれ嵌合することで、上側の突起部64cと第1のブッシュ72の第1の係止受け部72hとを位置合わせし、インシュレータ67の下側に突出する突出部67aは、ダンパースプリング64のダンパー切欠部64d及びブッシュ部65の第2のブッシュ73の切欠開口73cにそれぞれ嵌合することにより、下側の突起部64cと第2のブッシュ73の第2の係止受け部73eとを位置合わせして、ダンパースプリング64及びブッシュ部65を周方向に回り止めしている。
【0047】
次に、このように構成されたダンパー部13を介してエアバッグ装置12をハンドル本体11に取り付けて、ハンドル10を構成する。まず、ダンパー部13は、ホーンプレート26の開口部75に一体成形されたインシュレータ67に対して、上側の突出部67aとダンパー切欠部64dを位置合わせしつつダンパースプリング64を嵌着するとともに、このダンパースプリング64に対して、ブッシュ部65を取り付ける。このとき、ブッシュ部65は、第1のブッシュ72の円筒部72aの下側をダンパースプリング64のダンパー本体64aに上側から挿通し、インシュレータ67の上側の突出部67aに対して切欠部72fを位置合わせすることで、ダンパースプリング64の上側の各突起部64cと第1のブッシュ72の第1の係止受け部72hとが位置合わせされ、上側の各突起部64cが第1の係止受け部72hに挿入嵌合する。また、ダンパースプリング64の下側に位置させた第2のブッシュ73の切欠開口73cをインシュレータ67の下側の突出部67aに対して切欠開口73cを位置合わせすることで、ダンパースプリング64の下側の各突起部64cと第2のブッシュ73の第2の係止受け部73eとが位置合わせされる。この状態で、第2のブッシュ73をダンパー本体64aの下側に突出した第1のブッシュ72の円筒部72aの下端へと上方に押し込むことで、第1のブッシュ72の各変形可能部72cを第2のブッシュ73の開口73aの縁部と当接して中心軸方向へとそれぞれ弾性変形させ、これら変形可能部72cが、各係合爪部72dが係合開口73bに対して係合することによりそれぞれ復帰変形することで、第1及び第2のブッシュ72,73が一体的に固定されるとともに、下側の各突起部64cが第1の係止受け部72hに挿入嵌合する。
【0048】
さらに、ブッシュ部65の第1のブッシュ72の受け凹部72eにホーンスプリング63の下端側を保持し、ブッシュ部65の第2のブッシュ73の下側に配置したワッシャ66とともにショルダーナット61のナット本体61aを挿通し、このショルダーナット61を、予め構成されたエアバッグ装置12の第1のリテーナ31から突出する各スタッドボルト46に対して螺合させることで、エアバッグ装置12に対してダンパー部13及びホーンプレート26を一体的に固定する。そして、これらエアバッグ装置12、ダンパー部13及びホーンプレート26をハンドル本体11のボス部18に対して挿入し、ホーンプレート26をボルト25により、ボス部18に固定されたホルダ24に締め付け固定することで、エアバッグ装置12を、ダンパー部13を介してハンドル本体11に対して取り付ける。さらに、エアバッグ装置12と車体側の制御装置との電気的な配線を行うことにより、エアバッグ装置12を備えたハンドル10がステアリングシャフト15に取り付けられた状態で構成される。そして、このように構成されたハンドル10において、エアバッグ装置12の下部がハンドル本体11のボス部18に固定されたホルダ24に対して取り付けられたホーンプレート26に対して軸方向に昇降可能に支持されるとともに、エアバッグ装置12がホルダ24(ハンドル本体11)に対して、軸方向と交差(直交)する方向、すなわち軸直角方向に弾性的に支持される。
【0049】
このハンドル10は、運転席の乗員がリム部17(図3)を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、エアバッグ装置12に重力以外の力が加わっていない状態では、ホーンスプリング63がホーンプレート26に対してベースプレート62を上方に付勢し、エアバッグ装置12の重量に抗して、エアバッグ装置12がベースプレート62とともに持ち上げられ、このベースプレート62に設けられエアバッグ装置12とともに昇降する可動接点69と、ホーンプレート26に設けられた固定接点70とが離間した状態で弾性的に支持される。
【0050】
そして、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置12のカバー体34の上側部をホーンスプリング63の付勢力に抗して下方に押動することにより、エアバッグ装置12がショルダーナット61に案内されて下方に移動する。そして、可動接点69と固定接点70とが接触すると、回路が閉成され、車体側のホーン装置が吹鳴される。
【0051】
また、自動車が衝突などした際には、制御装置の制御に基づきエアバッグ装置12が作動する。すなわち、インフレータ35のガス噴射口35cからエアバッグ33の内部にガスが急速に供給され、折り畳まれて収納されたエアバッグ33が急速に膨張展開する。すると、このエアバッグ33の膨張の圧力により、カバー体34の被覆部54がテアライン56に沿って開裂してエアバッグ33の突出口が形成され、この突出口からエアバッグ33が正面側に膨出してボス部18(図3)の正面側のほぼ全体を覆うように膨張展開し、前方に投げ出されてくる乗員を拘束して保護するようになっている。
【0052】
さらに、エンジンの振動、あるいは路面の振動などがステアリングシャフト15を介してハンドル10に伝達され、ハンドル10に対して軸方向と交差(直交)する方向の振動が入力されると、ダンパー部13のダンパースプリング64と、このダンパースプリング64の各突起部64cが第1及び第2の係止受け部72h,73eに係止されているブッシュ部65とが一体的に径方向に振動する。そして、各突起部64cが径方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向と交差(直交)する方向に振動する。また、ハンドル10に対して軸方向の振動が入力された場合でも、ダンパー部13のダンパースプリング64の各突起部64cが軸方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向に振動する。
【0053】
したがって、ハンドル本体11の軸方向及び軸方向に交差(直交)する方向への振動に対して、エアバッグ装置12(特に重量が大きいインフレータ35)がそれぞれダイナミックダンパーのダンパーマスとして機能し、ハンドル10の振動、すなわち、このハンドル10を把持する運転者の手の振動を抑制して、この振動に起因する不快感を抑制する。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、ハンドル本体11側であるホーンプレート26に配置したダンパースプリング64に、ハンドル本体11の軸方向に沿って突起部64cを突設するとともに、このダンパースプリング64と、ダンパーマスであるエアバッグ装置12側との間に介在するブッシュ部65に、突起部64cを挿入係止する第1及び第2の係止受け部72h,73eを設けることで、ダンパースプリング64を配置したハンドル本体11側の振動に対して、ブッシュ部65を一体的に振動させることができるとともに、ダンパースプリング64とブッシュ部65との相対的な回動をも規制でき、突起部64cとブッシュ部65との間で摩擦が生じにくく、ダンパースプリング64の摩耗(削れ)を抑制できる。
【0055】
そして、ダンパースプリング64の摩耗を抑制できるため、ばね定数をより抑制した材質によってダンパースプリング64を構成できるので、ダイナミックダンパーの固有振動数を低下させることができ、ダンパー部13における振動減衰特性をより向上できてハンドルの振動をより効果的に低減できるとともに、この振動減衰特性をより長期に亘って維持できる。
【0056】
また、ダンパーマスであるエアバッグ装置12を軸方向に案内する案内部材であるショルダーナット61が挿通される円筒部72aの外周面と、この円筒部72aの軸方向の両端部の外周面からそれぞれ突出するブッシュフランジ部72b及び第2のブッシュ73との間にダンパースプリング64を保持し、このダンパースプリング64の少なくともエアバッグ装置12側、本実施の形態では軸方向の両端部に突起部64cを形成し、この突起部64cと対向するブッシュフランジ部72b及び第2のブッシュ73に第1及び第2の係止受け部72h,73eを形成することで、ダンパースプリング64の摩耗を抑制してハンドル10の振動を効果的に低減できる構成を容易に形成できるとともに、突起部及び係止受け部をダンパースプリングの一端部及びブッシュ部の一端部のみに形成する場合よりもハンドル10の振動をより効果的に低減できる。
【0057】
そして、突起部64cをダンパースプリング64の周方向に互いに離間して複数形成し、第1及び第2の係止受け部72h,73eを突起部64cに対応してブッシュ部65の周方向に互いに離間して複数形成することで、ハンドル10の振動をより効果的に低減できる。
【0058】
また、エアバッグ装置12をダンパーマスとして用いることで、別途ダンパーマスを設ける必要がなく、部品点数及びコストを削減できるとともに、軽量化及び省スペース化を図ることができる。
【0059】
次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、ダンパー部13のダンパースプリング64がダンパーマスであるエアバッグ装置12側のベースプレート81に配置されているものである。
【0061】
ベースプレート81は、例えば金属板からなり、略平板状の基板部83と、この基板部83の周辺部から上方に突出するように屈曲する屈曲部84と、この屈曲部84の上端から周辺部へと延びる周板部85と、この周板部85の周辺部から上方に突出するように屈曲する取付屈曲部86と、この取付屈曲部86の上端から周辺部へと延びる周辺周板部87とを備えている。そして、基板部83の中央部には、第1のリテーナ31のインフレータ取付孔41aと同心状に開口する円孔状のインフレータ取付孔部83aが形成され、さらに、このインフレータ取付孔部83aの外周側には、複数の取付孔部83bが形成されている。また、周板部85には、ダンパー部13に対応する位置に、例えば円形状の開口部88が形成されており、この開口部88の縁部全体を覆ってインシュレータ67が一体成形され、このインシュレータ67に対してダンパースプリング64が取り付けられている。また、各取付屈曲部86には、ボルト48が挿通されるボルト用通孔86aが形成されており、ボルト48とナット49との螺合によって、ベースプレート81がカバー体34と一体的に固定されている。さらに、周辺周板部87には、下方に向けて可動接点69が形成されている。
【0062】
また、スタッドボルト46は、ホルダ24に形成された接続孔24aに下側から挿通されて、ホルダ24側と一体的に固定され、このスタッドボルト46に対してショルダーナット61が上側から螺合されている。さらに、ブッシュ部65は、第1のブッシュ72が下側に位置し、第2のブッシュ73が上側に位置して、第1のブッシュ72とホルダ24との間にホーンスプリング63が挟持されている。すなわち、ダンパー部13は、上記第1の実施の形態と上下が逆に配置されている。また、ホルダ24には、外縁部24bに上方に向けて固定接点70が形成されている。
【0063】
そして、このハンドル10は、エアバッグ装置12に重力以外の力が加わっていない状態では、ホーンスプリング63がホルダ24に対してベースプレート81を上方に付勢し、エアバッグ装置12の重量に抗して、エアバッグ装置12がベースプレート81とともに持ち上げられ、このベースプレート81に設けられエアバッグ装置12とともに昇降する可動接点69と、ホルダ24に設けられた固定接点70とが離間した状態で弾性的に支持される。この状態で、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置12のカバー体34の上側部をホーンスプリング63の付勢力に抗して下方に押動することにより、エアバッグ装置12がショルダーナット61に案内されて下方に移動し、可動接点69と固定接点70とが接触すると、回路が閉成され、車体側のホーン装置が吹鳴される。
【0064】
そして、エンジンの振動、あるいは路面の振動などがステアリングシャフト15を介してハンドル10に伝達され、ハンドル10に対して軸方向と交差(直交)する方向の振動が入力されると、ダンパー部13のダンパースプリング64と、このダンパースプリング64の各突起部64cが第1及び第2の係止受け部72h,73eに係止されているブッシュ部65とが一体的に径方向に振動する。そして、各突起部64cが径方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向と交差(直交)する方向に振動する。また、ハンドル10に対して軸方向の振動が入力された場合でも、ダンパー部13のダンパースプリング64の各突起部64cが軸方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向に振動する。
【0065】
このように、ダンパースプリング64をダンパーマスであるエアバッグ装置12側に配置しても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
なお、上記各実施の形態において、図5に示す第3の実施の形態のように、第1及び第2の係止受け部72h,73eを、それぞれブッシュ部65(第1及び第2のブッシュ72,73)を厚さ方向に貫通して形成しても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、突起部64cと第1及び第2の係止受け部72h,73eとの組み付け状態を第1及び第2の係止受け部72h,73eの外部(ブッシュフランジ部72b及び第2のブッシュ73の外部)から目視で確認でき、誤組み付け(位置ずれ)を防止できるなど、製造性をより向上できる。
【0067】
また、上記第3の実施の形態において、例えば図6に示す第4の実施の形態のように、各突起部64cをそれぞれ円柱状としても、上記第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
さらに、上記各実施の形態において、ダンパー部13のダンパースプリング64は、ハンドル本体11側とエアバッグ装置12側とにそれぞれ配置してもよい。
【0069】
また、係止部及び係止受け部は、エアバッグ装置12側である上側のみに形成しても同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
さらに、係止部は、少なくともエアバッグ装置12側である上側に1つ形成すれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
そして、エアバッグ装置12をダンパーマスとすることに代えて、例えば衝撃吸収装置(Energy Absorber、EA)などのモジュールをダンパーマスとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、自動車に備えられエアバッグ装置を有するハンドルに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 ハンドル
11 ハンドル本体
12 ダンパーマスであるエアバッグ装置
13 ダンパー部
61 案内部材としてのショルダーナット
64 弾性体としてのダンパースプリング
64c 係止部としての突起部
65 受け部材としてのブッシュ部
72a 受け部材本体としての円筒部
72b フランジ部であるブッシュフランジ部
72h 係止受け部としての第1の係止受け部
73 フランジ部である第2のブッシュ
73e 係止受け部としての第2の係止受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル本体と、
このハンドル本体に対して軸方向及び軸方向と交差する方向に移動可能に取り付けられたダンパーマスと、
このダンパーマスを前記ハンドル本体に対して弾性的に支持するダンパー部とを具備し、
前記ダンパー部は、
弾性を有する部材により形成され、前記ハンドル本体側と前記ダンパーマス側との少なくともいずれか一方に配置された弾性体と、
この弾性体よりも硬質の部材により形成され、前記ハンドル本体側と前記ダンパーマス側との他方と、前記弾性体との間に介在された受け部材とを備え、
前記弾性体は、前記ハンドル本体の軸方向に沿って突設され前記ハンドル本体に対して前記ダンパーマスを前記ハンドル本体の軸方向及び軸方向に交差する方向に弾性的に支持する係止部を有し、
前記受け部材は、前記係止部が挿入係止される係止受け部を有している
ことを特徴とするハンドル。
【請求項2】
ハンドル本体は、ダンパーマスを軸方向に案内する案内部材を備え、
受け部材は、
前記案内部材が前記軸方向に沿って移動可能に挿通される受け部材本体と、
この受け部材本体の前記軸方向の両端部の外面からそれぞれ突出するフランジ部とを有し、
弾性体は、前記受け部材本体の外面と前記フランジ部との間に保持され、
係止部は、前記弾性体の前記軸方向の両端部のうち、少なくとも前記ダンパーマス側に形成され、
係止受け部は、前記係止部と対向する前記フランジ部に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のハンドル。
【請求項3】
係止部は、弾性体の軸方向の両端部にそれぞれ形成され、
係止受け部は、各フランジ部にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のハンドル。
【請求項4】
係止部は、弾性体の周方向に互いに離間されて複数形成され、
係止受け部は、前記係止部に対応して受け部材の周方向の互いに離間されて複数形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のハンドル。
【請求項5】
係止受け部は、受け部材を貫通して形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載のハンドル。
【請求項6】
ダンパーマスは、エアバッグ装置である
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載のハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−158236(P2012−158236A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18462(P2011−18462)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】