説明

バイアスされたダーリントン・トランジスタ対、方法およびシステム

増幅器は、ダーリントン・トランジスタ対(110,120)および入力トランジスタ(110)中のバイアス電流を増加させるためのバイアスを与えるネットワークを含む。回路(100)は、入力トランジスタ(110)、第2トランジスタ(120)、無線周波数(RF)チョーク(112)、縮退インダクタ(122)、キャパシタ(132)および電圧制御電流源(130)を含む。入力トランジスタ(110)および第2トランジスタ(120)は、コレクタがノード(142)でともに結合され、入力トランジスタ(120)のエミッタがノード(111)に結合されて、ダーリントン・トランジスタ対を形成するために結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子回路に関し、より詳しくは、ダーリントン・トランジスタ対に関する。
【背景技術】
【0002】
「ダーリントン・トランジスタ対」は、高利得になるように結合された2つのトランジスタを含む。第1トランジスタは、入力信号を受け取り、それを増幅し、それをさらに増幅する第2トランジスタを駆動する。
【発明の開示】
【0003】
以下の詳細な説明では、本発明が実施される特定の実施例を示す添付図面に従って説明される。これらの実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にする程度に十分詳細に説明される。本発明の様々な実施例は相違しているが、必ずしも、相互に排他的ではないことが理解される。例えば、一実施例に関してここに説明される特定の特徴、構造または特性は、本発明の思想および範囲から逸脱せずに、他の実施例内で実施される。加えて、開示された各実施例内の個々の要素の位置または配置は、本発明の思想および範囲から逸脱しないで修正されてもよいことが理解されるであろう。以下の詳細な説明は、制限する意図で捉えるべきではなく、本発明の範囲は、請求項が与える均等の全範囲と共に、適切に解釈され、添付された請求項によってのみ定義される。図面において、類似の数字は、いくつかの図面全体に亘って同じか類似する機能に関連する。
【0004】
図1は、本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。回路100は、入力トランジスタ110、第2トランジスタ120、無線周波数(RF)チョーク112、縮退(degeneration)インダクタ122、キャパシタ132および電圧制御電流源130を含む。入力トランジスタ110および第2トランジスタ120は、コレクタがノード142でともに結合され、入力トランジスタ110のエミッタがノード111でトランジスタ120のベースに結合されて、ダーリントン・トランジスタ対を形成するために結合される。
【0005】
図1で示されるように、トランジスタ110,120は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)である。いくつかの実施例では、トランジスタ110,120は、りん化インジウム(InP)プロセスを使用して製造されるようなヘテロ接合(ジャンクション)バイポーラ・トランジスタ(HBT)であるが、これは本発明を制限するものではない。例えば、トランジスタ110,120の一方または両方は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のような絶縁ゲート・トランジスタ(IGFET)であってもよい。
【0006】
無線周波数チョーク112は、上部電源ノード113とトランジスタ110,120のコレクタとの間に結合される。いくつかの実施例では、RFチョーク112は、出力インピーダンス整合、および、抵抗性電圧降下がないコレクタ・バイアス電流を提供する誘導性コレクタ負荷である。抵抗性電圧降下のないバイアスによって、トランジスタ110,120を飽和させないで、特定の帯域幅内で高い利得および高いダイナミック・レンジを得ることができる。
【0007】
縮退インダクタ122は、トランジスタ120のエミッタと下部電源ノード114との間に結合される。いくつかの実施例では、誘導性エミッタ縮退は、入力インピーダンス整合をマッチングさせることができ、増幅器の直線性を改善することができる。さらに、いくつかの実施例では、誘導性エミッタ縮退は、抵抗に関連した熱雑音を加えずに、対象となる帯域幅の中で増幅器の利得を設定し、ベータ変動に対して増幅器を鈍感させる。
【0008】
キャパシタ132は、信号入力ノード140とトランジスタ110のベース端子との間に結合される。キャパシタ132は、入力信号の交流(AC)成分をノード140から入力トランジスタ110のベース端子へ通過させ、入力信号の直流(DC)成分がノード140から入力トランジスタ110のベース端子へ通過するのを阻止する。
【0009】
動作において、入力信号(VIN)は、信号入力ノード140で受け取られ、信号のAC成分は、入力トランジスタ110のベース端子に伝えられる。入力トランジスタ110は、入力信号を増幅し、それを第2トランジスタ120に提供する。第2トランジスタ120は、さらに信号を増幅し、増幅された出力信号(VOUT)を信号出力ノード142上に提供する。
【0010】
入力トランジスタ110のベース端子は、バイアス電圧(VBIAS1)を受け、また、入力トランジスタ110のエミッタは、制御電流源130からバイアス電圧(V1)を電圧ノード111上で受ける。いくつかの実施例では、V1はVbeと実質的に等しく、ここでVbeはフォーワード活性領域中のトランジスタ120にバイアスを与えるために必要な最小ベース−エミッタ電圧である。さらに、いくつかの実施例では、VBIAS1は、実質的に2Vbeに等しい。他の実施例では、V1はVbeより大きく、また、VBIAS1は2Vbeより大きい。
【0011】
電圧制御電流源130は、ノード111と下部電源ノード114との間に結合される。いくつかの実施例では、電圧制御電流源130は、受信バイアス電圧(VBIAS2)に応じて、バイアス電圧V1を提供する。いくつかの実施例では、電圧制御電流源130は、VBIAS2に対し実質的に一定の関係でV1を維持するために動作する。例えば、いくつかの実施例では、電圧制御電流源130は、VBIAS2と実質的に等しいV1を維持するために動作する。電圧制御電流源130は、ノード111に電圧経路を提供し、さらにノード111から下部電源ノード114に電流経路を提供する。
【0012】
トランジスタ110のベース端子上のバイアス電圧、ノード111上のバイアス電圧、およびノード111から下部電源ノード114への電流経路の組合せによって、トランジスタ110のベース−エミッタおよびコレクタ−エミッタのバイアス電流を増加させることができる。入力トランジスタ110のバイアス電流を増加させることによって、トランジスタ110の特性を修正させることができる。例えば、バイアス電流の増加は、利得帯域幅積およびトランジスタ110の最大動作周波数を増加させ、さらにノイズを減少させることができる。いくつかの実施例では、動作周波数対ノイズは、入力トランジスタ110の様々なバイアス電流の調整を通してやり取りされる。
【0013】
図2は、本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。回路200は、入力トランジスタ110、第2トランジスタ120、RFチョーク112、縮退インダクタ122、キャパシタ132、増幅器210、低域通過フィルタ220,230,240を含む。
【0014】
増幅器210の出力ノードは低域フィルタ230を通ってノード111に結合され、また、ノード111は低域フィルタ240を通って増幅器210の入力にフィード・バックされる。さらに増幅器210は、入力ノード上のVBIAS2を受け取る。この構成では、増幅器210は、V1がVBIAS2と実質的に等しくするために動作する誤差増幅器として結合される。
【0015】
いくつかの実施例では、増幅器210は演算増幅器であり、他の実施例では、増幅器210は演算増幅器以外のもので実施されてもよい。増幅器210は、入力トランジスタ110中の様々なバイアス電流を増加させることができる電圧制御電流源の例である。増幅器210は、増幅器210の出力からノード111への電圧経路を提供し、またノード111から増幅器210の出力に電流経路を提供する。増幅器210は、入力トランジスタ110のエミッタからくる超過バイアス電流を吸収することができる出力ステージを含んでいてもよい。
【0016】
図3は、本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。回路300は、カスコード・トランジスタ310を追加する以外、回路200(図2)で示される要素と類似する要素を含む。カスコード・トランジスタ310は、上部電源ノード113と、トランジスタ110,120のコレクタの間に結合される。いくつかの実施例では、RFチョーク112は、カスコード・トランジスタ130と上部電源ノード113との間に結合される。
【0017】
カスコード・トランジスタ310はバイポーラ接合トランジスタとして図3に示されるが、これは本発明を制限するものではない。例えば、いくつかの実施例では、カスコード・トランジスタ310は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のような絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)である。図3に示されるように、バイアス電圧VBIAS3は、カスコード・トランジスタ310の制御端子312に印加される。BJTカスコード・トランジスタ310を含む実施例では、制御端子312はベース端子と呼ばれることがあり、また、IGFETトランジスタ310を含む実施例では、制御端子312はゲート端子と呼ばれてもよい。
【0018】
回路300にカスコード・トランジスタ310を加えることによって、回路300の動作帯域幅を広げることができる。さらに、制御端子312上のバイアス電圧VBIAS3の修正することによって、回路300の利得は修正される。いくつかの実施例では、VBIAS3は、自動利得制御(AGC)を行なうために出力ノード142上で検出された出力信号特性に応じて修正される。AGCを含む様々な実施例は、後続の図面を参照して以下説明される。
【0019】
図4は、電子システムのブロック図を示す。システム400は、アンテナ442、増幅器440、RF処理ブロック450、デジタル処理ブロック460、プロセッサ410、メモリ420、および、制御可能バイアス回路430を含む。アンテナ442は、指向性アンテナまたは無指向性アンテナのいずれかであってもよい。例えば、いくつかの実施例では、アンテナ442は、ダイポール・アンテナまたは四分の一波長アンテナのような無指向性アンテナである。また、例えば、いくつかの実施例では、アンテナ442は、パラボラ・ディッシュ・アンテナまたは八木アンテナのような指向性アンテナである。
【0020】
増幅器440は、入力トランジスタのバイアス電流を増加させるダーリントン対を含む増幅器である。例えば、増幅器440は、回路100(図1)、回路200(図2)または回路300(図3)によって表わされる実施例の何かを含めることができる。
【0021】
いくつかの実施例では、アンテナ442によって送信されまたは受信された信号は、音声信号、データ信号またはその任意の組合せに対応する。例えば、RF処理ブロック450およびデジタル処理ブロック460の一方または両方は、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク・インターフェイス、携帯電話インターフェイス、全地球測位システム(GPS)のインターフェイスまたは同種のものを実施するための適切な回路を含む。
【0022】
無線周波数(RF)処理ブロック450は、アンテナ442からRF信号を受信し、様々な実施例では、変化する量および信号処理のタイプを実行する。例えば、いくつかの実施例では、RF処理ブロック450は、発振器、ミキサ、フィルタ、復調器、検出器、デコーダまたはその他同種のものを含む。また、例えば、RF処理ブロック450は、周波数変換、キャリア回復、シンボル復調または他の適切な信号処理を行なう。
【0023】
いくつかの実施例では、RF処理ブロック450は、プロセッサ410によって制御され、プロセッサ410に情報を提供する。例えば、いくつかの実施例では、復調のタイプは、プロセッサ410によってRF処理ブロック450に提供されるコマンドまたは制御信号によって影響を受ける。さらに、いくつかの実施例では、RF処理ブロック450は、信号強度または周波数のような情報をプロセッサ410へ提供する。プロセッサ410は、RF処理ブロック450から受け取られた情報に応答して、図4中に示される他のブロックの動作に影響を及ぼす。例えば、自動利得制御(AGC)ループは、RF処理ブロック450、プロセッサ410、制御可能バイアス回路430および増幅器440によって形成される。
【0024】
デジタル処理ブロック460は、RF処理ブロック450から信号を受け取り、様々な量のデジタル処理およびタイプを実行する。例えば、デジタル処理ブロック460は、逆インタリービング、復号化、エラー回復またはその他同種の処理を行なう。上述のように、デジタル処理ブロック460は、あらゆるタイプの通信システムを実現するための適切な回路を含み、ワイヤレス・ネットワーキング、セルラー電話および衛星信号受信を含むが、これらに限定されることはない。本発明の様々な実施例は、デジタル処理ブロック460の多くの可能な物理的な実現形態に制限されることはない。
【0025】
図4に示される様々なブロックは、バス412で結合される。バス412は、任意の導体数も含むあらゆるタイプのバスである。例えば、バス412は、あらゆるタイプの通信用インターフェイスであり、シリアル・インターフェイス、パラレル・インターフェイス、プロセッサ・バス、システム・バス、または同種のバスを含むが、これらに限定されることはない。
【0026】
いくつかの実施例では、プロセッサ410は、制御可能バイアス回路430のような他の回路の動作に影響を及ぼすあらゆる適切なプロセッサである。いくつかの実施例では、プロセッサ410は、本発明の方法の実現を支援する動作を行なう。例えば、プロセッサ410は、以下説明されるように、方法600(図6)にリストされた動作を行なう。プロセッサ410は、あらゆるタイプのプロセッサを含み、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセサ、パーソナル・コンピュータ、ワークステーションまたは同種のプロセッサを含むが、これらに限定されることはない。さらに、プロセッサ410は、ステート・マシンまたは同種のマシンのような専用ハードウェアで形成されてもよい。
【0027】
メモリ420は、機械読取り可能な媒体を含む装置を表わす。例えば、メモリ420は、以下の1またはそれ以上のメモリを示すことがあり、すなわち、ハードディスク、フロッピーディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、CDROM、またはプロセッサ410のようなマシンによって読取り可能な媒体を含むあらゆる他のタイプのメモリを表わす。いくつかの実施例では、メモリ420は、本発明の様々な方法の実現のための命令を格納することができる。
【0028】
いくつかの実施例の動作では、プロセッサ410は、メモリ420から命令とデータを読み出し、それに応答する動作実行する。例えば、本発明の様々な方法の実現は、メモリ420から命令を読み出す一方で、プロセッサ410によって実行される。
【0029】
制御可能バイアス回路430は、1またはそれ以上のバイアス電圧を生成し、それらを増幅器440に提供する。例えば、制御可能バイアス回路430は、図1−図3に示されるような様々なトランジスタにバイアスを与えるためにVBIAS1、VBIAS2、または、VBIAS3の1またはそれ以上を生成する。いくつかの実施例では、制御可能バイアス回路430は、電圧制御電流源130(図1)のような電圧で制御される電流源を含む。いくつかの実施例では、制御可能バイアス回路310は、様々なバイアス電圧を修正するために別々に制御可能な複数のバイアス回路を含む。
【0030】
様々なバイアス電圧は、ノード432上で増幅器440に提供される。いくつかの実施例では、ノード432は、複数の物理的な導体を含み、その各々は個別のバイアス電圧を提供する。他の実施例では、様々なバイアス電圧は、ノード432で単一の導体で多重化される。ノード432によって表わされる物理的な導体数およびタイプは、本発明によって制限されることはない。
【0031】
図4に示されるように、システム400の様々なブロックは、別々に実施される。いくつかの実施例では、図示されたブロックの2またはそれ以上は、単一の集積回路ダイ上で実現されてもよい。例えば、プロセッサ410およびメモリ420は、デジタル処理ブロック460と共に同じ集積回路上に実現され得る。さらに例えば、いくつかの実施例では、アンテナ442を除くブロックは、すべて単一の集積回路に含まれてもよい。本発明の範囲を逸脱せずに、単一の集積回路ダイ上に回路を任意に組合せることも可能である。
【0032】
図4はアンテナと共に使用される増幅器を示すが、これは本発明を制限するものではない。例えば、多くの電子システムは、アンテナを使用しない増幅器440を使用する。例えば、いくつかの実施例では、増幅器440はオプトエレクトロニクス・システムに含まれており、光学的な信号から変換された電気信号を増幅するために使用される。これらの実施例では、必ずしもアンテナを利用することしない。
【0033】
図5は、本発明の様々な実施例に従う電子システムを示す。システム500は、アンテナ442、増幅器440、RF処理ブロック450、デジタル処理ブロック460、プロセッサ410、および、メモリ420を含む。システム500は、さらに信号発生器510、デジタル・アナロク変換器(DAC:Digital-to-Analog Converter)520、および、アナログ・デジタル変換器(ADC:Analog -to-Digital Converter)530を含む。
【0034】
デジタル・アナロク変換器520はバイアス電圧を生成し、それらをノード522上で増幅器440に提供する。いくつかの実施例では、DAC520は、制御可能バイアス回路430(図4)のような1またはそれ以上の制御可能バイアス回路として役立つ。さらに、いくつかの実施例では、DAC520は複数のデジタル・アナロク変換器を含む。
【0035】
様々なバイアス電圧は、ノード522上で増幅器440に提供される。いくつかの実施例では、ノード522は、複数の物理的な導体を含み、その各々は個別のバイアス電圧を供給する。他の実施例では、様々なバイアス電圧は、ノード522で単一の導体で多重化される。ノード522によって表わされる物理的な導体数およびタイプは、本発明によって制限されることはない。
【0036】
いくつかの実施例では、信号発生器510は、増幅器440の入力でリファレンス信号を条件付きで駆動する。さらに、いくつかの実施例では、ADC530は、増幅器440からの信号出力の信号特性を測定し、バス512を介してシステム500の他のブロックにその信号の特性情報を提供する。
【0037】
システム500は、増幅器440を含むシステムの様々な部分を正確に較正するための信号発生器510を利用する。例えば、プロセッサ410は、信号発生器510を使用して、リファレンス信号を増幅器440に注入し、ADC530を使用して、信号特性を測定し、DAC520の動作に影響を及ぼすことによりバイアス電圧を変更する。これらの実施例では、ダーリントン対の入力トランジスタ上のバイアス電圧は、増幅器440の動作周波数特性を変更するため、あるいは増幅器440中のノイズを低減させるために、修正される。さらに、これらの実施例では、カスコード・トランジスタ上のバイアス電圧は、増幅器440の利得を変更するために修正される。
【0038】
自動利得制御(AGC)ループは、増幅器440、ADC530およびDAC520から形成される。例えば、ADC530は、出力信号レベルを測定し、増幅器440の利得に影響を及ぼすためにDAC520の出力を調整する。
【0039】
ADC530は、増幅器440によって駆動される出力信号の信号特性を測定することができる装置を表わす。いくつかの実施例では、信号特性は、アナログ・デジタル変換器以外の装置を使用して測定される。例えば、いくつかの実施例では、ピーク検出器、エンベロープ検出器、または、他の信号特性測定装置が、ADC530に代わって、あるいはADC530を加えて利用される。
【0040】
図5に示される様々なブロックは、バス512で結合される。バス512は、任意の導体数も含むあらゆるタイプのバスである。例えば、バス512は、あらゆるタイプの通信用インターフェイスであり、シリアル・インターフェイス、パラレル・インターフェイス、プロセッサ・バス、システム・バス、または同種のバスを含むが、これらに限定されることはない。
【0041】
図5に示されるように、システム500の様々なブロックは、別々に実施される。いくつかの実施例では、図示されたブロックの2またはそれ以上は、単一の集積回路ダイ上で実現されてもよい。例えば、プロセッサ410およびメモリ420は、デジタル処理ブロック460と共に同じ集積回路上に実現され得る。さらに例えば、いくつかの実施例では、アンテナ442を除くブロックは、すべて単一の集積回路に含まれてもよい。本発明の範囲を逸脱せずに、単一の集積回路ダイ上に回路を任意に組合せることも可能である。
【0042】
図5は、アンテナと共に使用される増幅器を示すが、これは本発明を制限するものではない。例えば、多くの電子システムは、アンテナを使用しない増幅器440を使用する。例えば、いくつかの実施例では、増幅器440はオプトエレクトロニクス・システムに含まれており、光学的な信号から変換された電気信号を増幅するために使用される。これらの実施例では、必ずしもアンテナを利用することしない。
【0043】
システム、増幅器、ダーリントン・トランジスタ対、制御可能バイアス回路および本発明の他の実施例は、多くの方法で実施することができる。いくつかの実施例では、それらは集積回路中で実施される。いくつかの実施例では、本発明の様々な実施例の設計上の記述は、設計者が特注または半特注設計に含めることができるライブラリに含まれている。例えば、開示された実施例のいずれも、VHDLまたはVerilogのような合成可能なハードウェア設計言語で実現でき、標準セル設計、ゲート・アレイまたはその他同種のものへ含めるために設計者に提供される。同様に、本発明のあらゆる実施例は、特定の製造プロセスに照準が定められたハード・マクロとして表わすことができる。例えば、ここに説明された増幅器実施例のうちのどれも、集積回路の層に割り当てられた多角形として表わされる。
【0044】
図6は、本発明の様々な実施例に従うフローチャートを示す。いくつかの実施例では、方法600、あるいはその一部は、電子システム、プロセッサまたは制御ループによって行なわれ、それらの実施例は様々な図面中に示される。他の実施例では、方法600のすべてまたはその一部は、制御回路またはプロセッサによって実行される。方法600は、その方法を実行する装置またはソフトウェア要素の特定のタイプによって制限されることはない。方法600における様々な動作は、図示された順序で実行されてもよいし、順序で実行されてもよい。さらに、いくつかの実施例では、図6に記載されたいくつかの動作は、方法600から省略されてもよい。
【0045】
方法600はブロック610から開始し、ダーリントン対における入力トランジスタのバイアス電流が増加させる。いくつかの実施例では、これによって、トランジスタ110(図1,図2,図3)中のコレクタからエミッタへのバイアスへ電流が増加する。他の実施例では、これは、同じトランジスタ中のベースからエミッタへのバイアス電流を増加させることに対応する。さらに別の実施例では、これによって、トランジスタ110中のコレクタからエミッタへのバイアスへ電流およびベースからエミッタへのバイアス電流の両方が増加することになる。
【0046】
620で、リファレンス信号が入力トランジスタのベースに与えられる。これは、増幅器440(図5)の入力上の信号を駆動する信号発生器510(図5)のような信号発生器に対応する。630で、ダーリントン対の出力電圧が測定される。ダーリントン対の出力電圧は多くの異なる方法で測定できる。いくつかの実施例では、その出力電圧は、ADC530(図5)のようなアナログ・デジタル変換器を使用して測定される。
【0047】
640で、入力トランジスタのベースに加えられたバイアス電圧が修正され、また、650で、入力トランジスタのエミッタに加えられたバイアス電圧が修正される。これらのバイアス電圧の修正は多くの異なる目的に役立つ。例えば、バイアス電圧の修正によって、ダーリントン対における入力トランジスタ中のバイアス電流の大きさを変え、増幅器の動作特性を変更する。例えば、利得帯域幅積、最大動作周波数、および、雑音指数のような動作特性は、バイアス電圧の値を変えることにより修正される。
【0048】
660で、上部電源ノードとダーリントン対との間に結合されたカスコード・トランジスタ上のバイアス電圧は修正される。例えば、図3を参照して、VBIAS3は、カスコード・トランジスタ310の動作に影響を及ぼすために修正される。
【0049】
いくつかの実施例では、上述に関連する様々なバイアス電圧は、630で測定された出力信号の信号特性に応答して修正される。さらに、様々なバイアス電圧は、加えられたリファレンス信号と測定された出力電圧の特性と間の関係に応答して修正されてもよい。
【0050】
本発明は、ある実施例に関連して説明されたが、当業者が容易に理解するように、本発明の思想および範囲から逸脱せずに、修正と変更が行われることが理解される。そのような修正および変更は、本発明および添付された請求項の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。
【図2】本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。
【図3】本発明の様々な実施例に従うダーリントン・トランジスタ対を含む回路図を示す。
【図4】本発明の様々な実施例に従う電子システムのブロック図を示す。
【図5】本発明の様々な実施例に従う電子システムのブロック図を示す。
【図6】本発明の様々な実施例に従うフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダーリントン対として結合された入力トランジスタおよび第2トランジスタと、
前記入力トランジスタ中のコレクタからエミッタへのバイアス電流を増加させるバイアス回路と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記バイアス回路は、電圧制御電流源を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記バイアス回路は、前記第2トランジスタ上のベース電圧を実質的に一定に維持するために結合された演算増幅器を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
上部電源ノードと、前記入力および第2トランジスタのコレクタと、の間に結合されたカスコード・トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記カスコード・トランジスタにバイアスを与える第2バイアス回路をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記入力トランジスタのベースにバイアス電圧を印加する第3バイアス回路をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記入力トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記入力トランジスタは、りん化インジウム・トランジスタを含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記バイアス回路は、デジタル・アナロク変換器を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記第2トランジスタのコレクタに結合されたインダクタをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第2トランジスタのエミッタに結合されたインダクタをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
ダーリントン対として結合された入力トランジスタおよび第2トランジスタを含む増幅器と、
前記入力トランジスタのエミッタに結合された制御可能バイアス回路と、
前記制御可能バイアス回路の動作に影響を及ぼす制御回路と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記入力トランジスタのベースに結合された第2制御可能バイアス回路をさらに含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記制御可能バイアス回路は、誤差増幅器として結合された演算増幅器を含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記演算増幅器の出力と前記入力トランジスタの前記エミッタとの間の低域フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記制御回路は、デジタル・アナロク変換器を含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項17】
前記制御回路は、プロセッサを含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項18】
上部電源ノードと前記入力トランジスタのコレクタとの間に結合されたカスコード・トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項19】
前記カスコード・トランジスタの制御ノードに結合された制御可能バイアス回路をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記制御回路は、前記カスコード・トランジスタのための前記制御可能バイアス回路の動作に影響を及ぼすために結合されることを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記増幅器の出力と前記カスコード・トランジスタのための前記制御可能バイアス回路との間に結合された自動利得制御回路をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項22】
アンテナと、
前記アンテナに結合された増幅器であって、前記増幅器はダーリントン対として結合された入力トランジスタおよび第2トランジスタを含む、増幅器と、
前記入力トランジスタのエミッタに結合された制御可能バイアス回路と、
前記制御可能バイアス回路の動作に影響を及ぼす制御回路と、
を含むことを特徴とする電子システム。
【請求項23】
前記入力トランジスタのベースに結合された第2制御可能バイアス回路をさらに含むことを特徴とする請求項22記載の電子システム。
【請求項24】
前記制御可能バイアス回路は、誤差増幅器として結合された演算増幅器を含むことを特徴とする請求項22記載の電子システム。
【請求項25】
前記制御回路は、プロセッサを含むことを特徴とする請求項22記載の電子システム。
【請求項26】
電圧経路から前記入力トランジスタのエミッタへの電流経路を提供することによりダーリントン対の入力トランジスタ中のバイアス電流を増加させる段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
リファレンス信号を前記入力トランジスタのベースに与える段階と、
前記ダーリントン対の出力電圧を測定する段階と、
をさらに含ことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記入力トランジスタの前記ベースに印加されたバイアス電圧を修正する段階をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
バイアス電流を増加させる段階は、電圧で制御可能な電流源上のバイアス電圧を変更する段階を含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項30】
上部電源ノードと前記ダーリントン対との間に結合されたカスコード・トランジスタ上のバイアス電圧を修正する段階をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−513574(P2007−513574A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542614(P2006−542614)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038730
【国際公開番号】WO2005/062463
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】