説明

バイオマス廃棄物の処理方法および処理システム

【課題】特に、バイオマス廃棄物の投入時に、廃棄物の内部温度をさほど低下させることなく安定して高温で溶融させることができると共に、前記廃棄物の降下途中にて、前記廃棄物自体を炭化させて燃料コストの削減を図ったバイオマス廃棄物の処理方法等を提供する。
【解決手段】木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物Waを炉上部2aより投入し、炉下部2bより酸素富化した空気13を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気13を炉2内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガス3となって炉2内を上昇し、下降途中でバイオマス廃棄物Waを炭化させて炭化物燃料とするガス化溶融炉2と、該ガス化溶融炉2内で生成した微酸素還元ガス3を、前記ガス化溶融2炉の中間部に設けたガス誘導管15を介して導入して、別のバイオマス廃棄物Wbを炭化する炭化設備5とを具えることを特徴とする.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物、特に、1〜95%の水分を含むバイオマス廃棄物を処理する場合であっても、バイオマス廃棄物の投入時に、廃棄物の内部温度をさほど低下させることなく安定して高温で溶融させることができると共に、溶融前の炉内における前記廃棄物の降下途中にて、バイオマス廃棄物自体を炭化させて炭化物燃料またはその一部とし、燃料コストの削減を図ったバイオマス廃棄物の処理方法および処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは、化石燃料以外の生物資源として使われることが多い。以前からバイオマスを堆肥及び炭化への利用がされてきたが、最近では、発電への利用がなされるなど、バイオマスの利用が増加している。これは、化石燃料の使用による温室効果ガスの増加や化石燃料の過度の使用による枯渇問題に伴い、さまざまな場所に大量に存在するバイオマスのエネルギーへの利用が注目されてきたためである。特に植物系バイオマスは、成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、燃焼により吸収した二酸化炭素に等しい量を放出するとみなす「カーボンニュートラル」が成立する。このため、環境への配慮という観点から、バイオマスの燃焼によるエネルギー分野への利用が好ましい。
【0003】
近年見られるバイオマスの有効活用として、例えば、特許文献1のようなバイオマス廃棄物を炭化、ガス化する方法がある。前記方法は、バイオマス廃棄物を炭化装置に投入して炭化物を生成した後、この炭化物を燃料として、バイオマス廃棄物をガス化するものである。
【特許文献1】特開2006−2042号公報
【0004】
また、特許文献2に見られるように、バイオマス廃棄物を炭化ガス化してそのガスによりタービンを回転させて発電を行うプロセスも提案されている。
【特許文献2】特開2006−191876号公報
【0005】
しかしながら、何れの特許文献においても、バイオマス廃棄物が1〜95%の水分を含んでいる場合、かかるバイオマス廃棄物を焼却すると、水分により炉内温度が低下しタールが発生する恐れがあるとして、バイオマス廃棄物の焼却によるガス化処理を行わず、バイオマス廃棄物中の水分を蒸発させるため、初めに炭化処理を行っており、かかる方法では、炭化処理を行う際の熱源を得るため、燃料を多く使用しなければならず、燃料コストがかかるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば、木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物、特に、1〜95%の水分を含むバイオマス廃棄物を処理する場合であっても、バイオマス廃棄物の投入時に、廃棄物の内部温度をさほど低下させることなく安定して高温で溶融させることができると共に、溶融前の炉内における前記廃棄物の降下途中にて、バイオマス廃棄物自体を炭化させて炭化物燃料またはその一部とし、燃料コストの削減を図ったバイオマス廃棄物の処理方法および処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物を、ガス化溶融炉の炉上部より炉内に投入し、炉下部より酸素富化した空気を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気を炉内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガスとなって炉内を上昇し、下降途中のバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物燃料とすることを特徴とするバイオマス廃棄物の処理方法。
【0008】
(2)前記微酸素還元ガスは、前記溶融炉内に形成される900℃以上の燃焼焦点にて発生させる蒸気(1)記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【0009】
(3)前記微酸素還元ガスは、炉の中間部に設けたガス誘導管を介して炭化設備に導入し、該炭化設備に投入された別のバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物を生成する上記(1)または(2)記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【0010】
(4)ガス化溶融炉内で炭化されたバイオマス廃棄物を炭化物燃料またはその一部として使用され、炉下部から供給される酸素富化空気によって900〜3000℃の燃焼焦点の形成を維持し、バイオマス廃棄物中に含まれる灰分や金属類を溶融する上記(1)、(2)または(3)記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【0011】
(5)前記燃焼焦点の形成は、タイヤ、ペットボトル、発泡スチロール等の石油系廃棄物、および/または、コークス、石炭、オイルコークス、オイル等の補助燃料を前記溶融炉内にさらに投入することにより維持する上記(2)、(3)または(4)記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【0012】
(6)前記溶融炉および/または前記炭化設備から排出される、3体積%以上の水素と一酸化炭素の可燃性ガスを9体積%以上含有する排出ガスを燃焼用ボイラーまたはガスエンジンに導入し、前記可燃性ガスを燃焼させることにより電気または熱エネルギーを生成する上記(3)、(4)または(5)記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【0013】
(7)木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物を炉上部より投入し、炉下部より酸素富化した空気を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気を炉内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガスとなって炉内を上昇し、下降途中でバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物燃料とするガス化溶融炉と、該ガス化溶融炉内で生成した微酸素還元ガスを、前記ガス化溶融炉の中間部に設けたガス誘導管を介して導入して、別のバイオマス廃棄物を炭化する炭化設備とを具えることを特徴とするバイオマス廃棄物の処理システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物、特に、1〜95%の水分を含むバイオマス廃棄物を処理する場合であっても、バイオマス廃棄物の投入時に、廃棄物の内部温度をさほど低下させることなく安定して高温で溶融させることができると共に、溶融前の炉内における前記廃棄物の降下途中にて、バイオマス廃棄物自体を炭化させて炭化物燃料またはその一部とし、燃料コストの削減を図ったバイオマス廃棄物の処理方法および処理システムの提供が可能になった。
【0015】
特に、バイオマス廃棄物をガス化溶融炉で900〜3000℃の超高温で溶融処理するため、バイオマス廃棄物に含まれる重金属等が全てガス化するとともに、低温処理により発生するタール及び焼却灰はない。溶融されたバイオマス廃棄物は、道路の路盤材及びコンクリート骨材に利用可能なスラグの固形物及び炭化、発電に利用可能な還元ガスを生成する。
【0016】
バイオマス廃棄物を炭化及び発電に用いることにより、バイオマス廃棄物の大量処理と共に有効利用できるため、本発明の廃棄物処理によって生じる最終的な残渣を零にすることができる。
【0017】
また、ガス化溶融炉の燃料またはその一部として、コークスではなくバイオマス廃棄物を使用することで、温室効果ガスである二酸化炭素の発生量を減少することができる。特に木材等の植物の燃焼においてカーボンニュートラルが成立し、植物の使用時における二酸化炭素の増減はないため、地球の温暖化など環境問題が激減されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明に従うバイオマス廃棄物の処理システムの一例を示したフローチャートであり、図2は図1の処理システムの主要部であるガス化溶融炉と炭化設備の一部を拡大して示したものである。
【0019】
図1に示す処理システム1は、主としてガス化溶融炉2と炭化設備5とを具えている。
【0020】
ガス化溶融炉2は、木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物Waを炉上部2aより投入し、炉下部2bに設けた羽口(図示せず)より、空気もしくは酸素富化した空気13、具体的には、酸素:空気=1:300〜1:5の体積割合で混合した酸素富化空気13を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気13を炉内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガス3となって炉内を上昇し、下降途中でバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物燃料とし、その後、燃料として使用されたバイオマス廃棄物は、その後は、溶融し最終的にはスラグ固形物となる。
【0021】
ガス化溶融炉2としては、例えばシャフト式の炉が挙げられ、シャフト式の炉は、製鉄所の高炉に用いられている4000〜5000m3型式のものを小型化(内容積0.2〜1000m3以下)されたものであり、あって、ガス化炉と燃焼炉を組み合わせた炉である。
【0022】
炭化設備5は、ガス化溶融炉2内で生成した微酸素還元ガス3を、前記ガス化溶融炉2の中間部に設けたガス誘導管15を介して導入し、別のバイオマス廃棄物Wbを炭化するために設けられる。
【0023】
炭化設備5としては、例えば炭化炉や炭化室をもつ炉が挙げられる。
【0024】
前記微酸素還元ガス3は、前記溶融炉2内に形成される900℃以上の燃焼焦点14にて発生させることが、還元ガスを増加させる点で好ましい。
ここでいう「燃焼焦点」とは、具体的には空気もしくは酸素富化された空気と炭素Cもしくは水素ガスH2もしくは、その両方が燃焼する領域のことをいう。なお、燃焼焦点の形成される個数は、1〜200個である。
【0025】
ガス化溶融炉2内で炭化されたバイオマス廃棄物Waを炭化物燃料またはその一部として使用され、炉下部から供給される酸素富化空気13によって900〜3000℃の燃焼焦点14の形成を維持し、バイオマス廃棄物Wa中に含まれる灰分や金属類を溶融することが好ましい。
【0026】
前記燃焼焦点14の形成は、タイヤ、ペットボトル、発泡スチロール等の石油系廃棄物、および/または、コークス、石炭、オイルコークス、オイル等の補助燃料を前記溶融炉2内にさらに投入することにより維持することがより好適である。
【0027】
前記溶融炉2および/または前記炭化設備5から排出される、3体積%以上の水素と一酸化炭素の可燃性ガスを9体積%以上含有する排ガス16を燃焼用ボイラー7またはガスエンジンに導入し、排ガス16中の可燃性ガスを燃焼させることにより電気または熱エネルギーを生成することが好ましい。
【0028】
次に、本発明の処理方法の一例を以下で説明する。
まず、木材、竹材、果物、野菜、魚介類、畜糞等のバイオマス廃棄物Waを計量ホッパー(図示せず)で計量した後、ベルトコンベア(図示せず)により、炉上部2aからガス化溶融炉2内に投入する。
【0029】
ガス化溶融炉2に投入したバイオマス廃棄物Waに着火し、炉下部2bから炉内に酸素富化空気13を送り昇温し、バイオマス廃棄物Waを溶融する。バイオマス廃棄物Waを炉下部2bで酸素富化空気13で燃焼することにより、900〜3000℃の燃焼焦点14を形成し、高温で安定化制御する。
【0030】
この燃焼焦点14において、微酸素還元ガス3を発生させる。炉上部2aに位置するバイオマス廃棄物Waは、図2に示すように炉下部2bに向かって下降していき、炉下部2bから上昇する残存酸素5%以下の水素、一酸化炭素、窒素、二酸化炭素を主体とした微酸素還元ガス3との反応により炭化物となり、ガス化溶融炉2の燃料となる。バイオマス廃棄物Waから生成した炭化物が燃料となるため、外部から投入する燃料を削減できる。
【0031】
ガス化溶融炉2に投入するバイオマス廃棄物Waの水分含有量は一定ではないため、投入物Waの内部温度が低下する可能性がある。前記理由より、バイオマス廃棄物Waの完全な溶融に支障をきたす他に、炉2の内部にタールが固着する恐れがあり、この場合に
は、円滑なバイオマスの降下が滞る、即ち棚吊り現象という問題がある。
【0032】
炉2の内部へのタールの固着を防止する必要がある場合には、タイヤ、ペットボトル、発泡スチロール等の石油系廃棄物、および/または、コークス、石炭、オイルコークス、オイル等の補助燃料を前記溶融炉2内にさらに投入することにより維持することがより好適である。これにより、炉2の内部の温度を上昇させ、900〜3000℃の超高温、好適には1500℃から2200℃で温度を安定制御させながらバイオマス廃棄物Waを溶融する。このように温度で超高温に制御した場合には、バイオマス廃棄物Waは完全に溶融ガス化し、タール及び残渣を発生しない。
【0033】
また、ガス化溶融炉2で生成した微酸素還元ガス3は、ガス誘導管15を介して200℃以上、好ましくは400〜1400℃の温度で炭化炉5に導かれ、一方、ガス化溶融炉の下部に生成した溶融スラグは、徐冷後、固形スラグ4となる。この固形スラグ4は、900〜3000℃の超高温で溶融されていることから、有害物質を含有しておらず、無害である。スラグ4はコンクリート骨材や道路の路盤材としての利用が考えられる。
【0034】
ガス化溶融炉2内で発生した微酸素還元ガス3と、別のバイオマス廃棄物Wbを炭化炉5に投入してバイオマス廃棄物資源Wbを200℃以上で炭化する。バイオマス廃棄物Wbは計量ホッパー(図示せず)で計量してベルトコンベア(図示せず)を用いて炭化炉5に投入する。ここで、バイオマス廃棄物は種々の形状や寸法のものをランダムに混合して投入することができる。徴酸素還元ガス3の存在により、炭化炉5内は還元雰囲気となり、投入したバイオマス廃棄物Wbが熱分解されることで炭化物6が得られる。得られた炭化物6は活性炭の原料等としての利用が考えられる。
【0035】
また、炭化炉5でバイオマス廃棄物Wbを炭化したときに生成するタール油分は、固化を防ぐために、400℃以上の温度でガス燃焼ボイラ7に導き、タール分解温度の600℃を超える温度、好適には800〜1300℃、より好適には1150〜1250℃で溶融ガス化させる。
【0036】
炭化炉5でバイオマス廃棄物Wbを炭化させた際に生成する排ガス16中の可燃性ガスを蒸気ボイラー7で燃焼し、高温ガスとする。燃焼により、可燃性ガスに含まれる不純物を全てガス化し、ガスの成分は、主として水素、一酸化炭素、窒素、二酸化炭素ガスであり、他の成分として微量のSO2等のガスも混入する場合もある。
【0037】
高温ガス17を蒸気ボイラー7で燃焼させ、その生成蒸気を蒸気タービン8に循環させることにより、蒸気タービン8を回転させ、その動力により発電装置9にて発電機を動かし発電を行う。又、還元ガスを冷却後にガスエンジンやガスタービンに導入して発電を行う。得られた電力は、本発明のシステムで使用することができ、あるいは、売電してもよい。
【0038】
また、蒸気ボイラー7で生成した高温ガス17を冷却塔10に導き、200℃近くに冷却する。クーリングタワーにガスを通すことにより、ガスと水との熱交換でガスを冷却する。冷却塔10より出た200℃近辺のガスはバグフィルター11に導かれる。
【0039】
バグフィルター11は、ガスに含まれる粉じんを除去する設備である。バグフィルター11は、図1では1基装備した場合を示しているが、好ましくは2基装備することが好ましく、これにより、確実にガスに含まれる紛じんを除去することができる。ここで、フィルター11に付着した粉じんは一定量が蓄積した時点で一且除去する。粉じんを除去したガスの温度は120℃である。このガスを排気塔12から大気中へ放散させる。
【0040】
なお、各過程で飛灰が発生する場合には、飛灰は飛灰サイロに回収されてガス化溶融炉2内に投入することにより、溶融ガス化し、その結果、バイオマス廃棄物の処理によって残渣が生じない。
【0041】
図3は、本発明の処理システムを構成するガス化溶融炉と炭化設備(炭化炉)を具体的に詳細に示したものである。図3に示す構成では、1基のガス化溶融炉2を中央に設置し、その両側に2基の炭化炉5が配置されている。
【0042】
図3のシステム構成の場合には、まず、バイオマス廃棄物Waをガス化溶融炉2の上部に設けた多段式開閉構造を有するホッパー18から装入し、ガス化溶融炉2内に投入する。ガス化溶融炉2の下部でバイオマス廃棄物Waをガス化し、微酸素還元ガス3を生成する。このとき、ガス化溶融炉2内で発生したタール回収容器19で回収する。次に、バイオマス廃棄物Wbを、炭化炉5の上部に設置したホッパー20を通じて炭化炉5に投入する。ガス化溶融炉2で生成した微酸素還元ガス3を炭化炉5に導入し、バイオマス廃棄物Wbを炭化する。生成した炭化物6は、炭化炉5の下部から取り出す。また、炭化炉5では、さらに生成した木酢液も生成されるため、かかる木酢液は容器21により回収される。
【0043】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、例えば、木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物、特に、1〜95%の水分を含むバイオマス廃棄物を処理する場合であっても、バイオマス廃棄物の投入時に、廃棄物の内部温度をさほど低下させることなく安定して高温で溶融させることができると共に、溶融前の炉内における前記廃棄物の降下途中にて、バイオマス廃棄物自体を炭化させて炭化物燃料またはその一部とし、燃料コストの削減を図ったバイオマス廃棄物の処理方法および処理システムを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に従うバイオマス廃棄物の処理システムのフローチャートである。
【図2】図1の処理システムの主要部であるガス化溶融炉と炭化設備の一部の拡大図である。
【図3】本発明の処理システムを構成するガス化溶融炉と炭化設備(炭化炉)を具体的に詳細に示した正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 バイオマス廃棄物処理システム
2 ガス化溶融炉
3 微酸素還元ガス
4 スラグ固形物
5 炭化設備(または炭化炉)
6 炭化物
7 蒸気ボイラー
8 蒸気タービン
9 発電装置
10 冷却塔
11 バグフィルター
12 排気塔
13 酸素富化空気
14 燃焼焦点
15 ガス誘導管
16 排ガス
17 高温ガス
18 ホッパー
19 タール回収容器
20 ホッパー
21 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物を、ガス化溶融炉の炉上部より炉内に投入し、炉下部より酸素富化した空気を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気を炉内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガスとなって炉内を上昇し、下降途中のバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物燃料とすることを特徴とするバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記微酸素還元ガスは、前記溶融炉内に形成される900℃以上の燃焼焦点にて発生させる請求項1記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記微酸素還元ガスは、炉の中間部に設けたガス誘導管を介して炭化設備に導入し、該炭化設備に投入された別のバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物を生成する請求項1または2記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項4】
ガス化溶融炉内で炭化されたバイオマス廃棄物を炭化物燃料またはその一部として使用され、炉下部から供給される酸素富化空気によって900〜3000℃の燃焼焦点の形成を維持し、バイオマス廃棄物中に含まれる灰分や金属類を溶融する請求項1、2または3記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項5】
前記燃焼焦点の形成は、タイヤ、ペットボトル、発泡スチロール等の石油系廃棄物、および/または、コークス、石炭、オイルコークス、オイル等の補助燃料を前記溶融炉内にさらに投入することにより維持する請求項2、3または4記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記溶融炉および/または前記炭化設備から排出される、3体積%以上の水素と一酸化炭素の可燃性ガスを9体積%以上含有する排出ガスを燃焼用ボイラーまたはガスエンジンに導入し、前記可燃性ガスを燃焼させることにより電気または熱エネルギーを生成する請求項3、4または5記載のバイオマス廃棄物の処理方法。
【請求項7】
木材、竹材、果物、野菜等のバイオマス廃棄物を炉上部より投入し、炉下部より酸素富化した空気を吹き込み、吹き込まれた前記酸素富化空気を炉内で燃焼させることにより、5体積%以下の酸素と、水素、一酸化炭素、窒素および二酸化炭素とを含有する微酸素還元ガスとなって炉内を上昇し、下降途中でバイオマス廃棄物を炭化させて炭化物燃料とするガス化溶融炉と、
該ガス化溶融炉内で生成した微酸素還元ガスを、前記ガス化溶融炉の中間部に設けたガス誘導管を介して導入して、別のバイオマス廃棄物を炭化する炭化設備とを具えることを特徴とするバイオマス廃棄物の処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−104973(P2008−104973A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291239(P2006−291239)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(598092166)株式会社還元溶融技術研究所 (22)
【Fターム(参考)】