説明

バイポーラ半導体素子

【課題】制御電極による制御能力を向上できるバイポーラ半導体素子を提供する。
【解決手段】このゲートターンオフサイリスタは、隣り合う2列R1,R2のメサ型のアノードエミッタ層5の間で列方向に延在している列間の第1のコンタクトホール20Bに形成された第1のゲート端子15だけでなく、各列R1,R2の端側で各列R1,R2に沿って列方向に延在している端側の第2,第3のコンタクトホール20C,20Dに形成された第2,第3のゲート端子16,17を有する。これにより、列間の第1のゲート端子15と端側の第2,第3のゲート端子16,17とでターンオフ時の転流を分担できて、転流の不揃いを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲートターンオフサイリスタ,バイポーラトランジスタ等のバイポーラ半導体素子に関し、制御電極による制御能力を向上できるバイポーラ半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイポーラ半導体素子としてのゲートターンオフサイリスタは、図11の断面図に示すように、カソード電極621を下面に有する高不純物濃度のn型SiCのカソードエミッタ層601の上に、p型SiCのバッファ層602と低不純物濃度のp型SiCのベース層603が形成されている(特許文献1(特開2009−055063号公報)参照)。このp型ベース層603の上にn型ベース層604が形成されている。このn型ベース層604上にメサ型のp型アノードエミッタ層605が形成されている。さらに、このメサ型のアノードエミッタ層605から露出したn型ベース層604の部分にn型の低抵抗ゲート領域606およびn型のゲートコンタクト領域607がイオン注入によりアノードエミッタ層605を取り囲むように形成されている。上記n型ゲートコンタクト領域607上にゲート電極619が形成されている。図10の平面図に示すように、アノードエミッタ層605にアノード端子613が形成される。
【0003】
また、このゲートターンオフサイリスタでは、メサ型のアノードエミッタ層605は、n型ベース層604の上面に沿って或る方向に2列に複数形成されている。そして、上記アノード端子613は、各列の複数のメサ型のアノードエミッタ層605上に列方向に延在するように形成されている。上記アノード端子613は、酸化膜620に形成されたコンタクトホール620Aを通してアノード電極612に接続されている。また、ゲート端子622が、上記2列のメサ型のアノードエミッタ層605の間(つまり2本のアノード端子613の間)で列方向に延在している。このゲート端子622は、上記酸化膜620に形成されたコンタクトホール620Bを通して上記ゲートコンタクト領域607上に形成されたゲート電極619に接続されている。
【0004】
上記従来のゲートターンオフサイリスタでは、ターンオフ時にゲート端子622とアノード端子613間にオフゲート電圧を印加する。その結果、主電流がゲート電極619に転流し、ゲートターンオフサイリスタはターンオフする。
【0005】
ところで、上記従来のゲートターンオフサイリスタでは、上記2列のメサ型のアノードエミッタ層605間にゲート電流を引き抜くための1本のゲート端子622を有している。
【0006】
このように、ゲート端子622を1本だけ有することで、次の(1)〜(3)の利点がある。
【0007】
(1) 配線を簡素化できる。
【0008】
(2) スイッチングスピードが速いゲートターンオフサイリスタにおいて、ワイヤボンディング時の配線長さの不揃いを抑制して、ゲート電流を引き抜くタイミングのずれを抑制できる。
【0009】
(3) 浮遊インダクタンスを低減して回路への過電圧を抑制できる。
【0010】
ところが、素子の大型化等によって遮断する電流が大きくなってくると、複数のメサ型のアノードエミッタ層605の長手方向で転流の不揃いが発生し、素子の破壊を引き起こす可能性が出てくる。すなわち、ゲート端子622を素子の中央に1本だけ配置した場合、素子の大型化に伴い素子の中央部から端部までの距離が長くなり、ゲート電流を引き抜くタイミングが素子の中央部と端部とで大きく異なってくる。このことは、素子の転流の不揃いを発生させ、遮断する電流も大きくなってくると、最終的に素子破壊を引き起こす可能性がある。
【0011】
特に、SiCによるゲートターンオフサイリスタは、Siによるゲートターンオフサイリスタに比べて、スイッチング速度が10倍程度速いので、素子が大型化すると、Siによるゲートターンオフサイリスタに比べて、SiCによるゲートターンオフサイリスタでは、素子の転流の不揃いがより大きくなる。
【0012】
また、より一般的には、ゲートターンオフサイリスタの他にも、バイポーラトランジスタ等のバイポーラ半導体素子に関しても、制御電極による制御能力の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−055063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、この発明の課題は、制御電極による制御能力を向上できるバイポーラ半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、この発明のバイポーラ半導体素子は、第1の主電極と、
上記第1の主電極上に形成されている第1導電型の第1の半導体層と、
上記第1の半導体層上に凸型に形成されていると共に上記第1の半導体層の上面に沿って複数形成され、かつ、複数の列状に配列された第2導電型の凸型の第2の半導体層と、
上記複数の列状に配列された第2導電型の凸型の第2の半導体層上に形成された第2の主電極と、
上記第1の半導体層上に形成されている制御電極と、
上記制御電極上に形成された絶縁層と、
上記凸型の第2の半導体層の隣り合う2列の間で列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第1のコンタクトホールと、
上記2列の凸型の第2の半導体層のうちの一方の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記一方の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第2のコンタクトホールと、
上記2列の凸型の第2の半導体層のうちの他方の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記他方の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第2のコンタクトホールと、
上記第1のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第1の制御端子と、
上記第2のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第2の制御端子と、
上記第3のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第3の制御端子とを備えることを特徴としている。
【0016】
この発明のバイポーラ半導体素子によれば、上記第2,第3のコンタクトホールと、上記第1のコンタクトホールとが、上記凸型の第2の半導体層の列を挟む両側で列方向に延在している。これにより、上記凸型の第2の半導体層による列と列との間に配列された列間の第1のコンタクトホールに形成された第1の制御端子と端側の第2,第3のコンタクトホールに形成された第2,第3の制御端子とで制御能力を分担できて制御能力の不均一を抑制でき、制御電極による制御能力を向上できる。
【0017】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記第2導電型の凸型の第2の半導体層は、3列以上配列され、
上記第1のコンタクトホールは、上記凸型の第2の半導体層の隣り合う各2列の間で列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させるように上記絶縁層に複数形成され、
上記第2のコンタクトホールは、上記3列以上の凸型の第2の半導体層のうちの一方の端の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記一方の端の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させ、
上記第3のコンタクトホールは、上記3列以上の凸型の第2の半導体層のうちの他方の端の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記他方の端の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させ、
上記複数の第1のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された複数の第1の制御端子と、
上記第2のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第2の制御端子と、
上記第3のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第3の制御端子とを備える。
【0018】
この実施形態によれば、複数の第1の制御端子と第2の制御端子と第3の制御端子とによる3つ以上の制御端子で制御能力を分担できて制御能力の不均一を抑制でき、制御電極による制御能力を向上できる。
【0019】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記第2の主電極上に形成された主電極端子を備え、
上記凸型の第2の半導体層の上記列方向と直交する行方向の寸法が上記主電極端子の上記行方向の寸法よりも長い。
【0020】
この実施形態によれば、上記凸型の第2の半導体層の行方向の端部が上記主電極端子から行方向にはみ出すことになるので、電気特性が不安定になり易い上記凸型の第2の半導体層の行方向の端部に上記主電極端子が被さらなくなる。したがって、主電極端子と制御電極との間の耐電圧を向上できる。
【0021】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、一方の面に第1の主電極が形成された第1導電型の第1のエミッタ層と、
上記第1のエミッタ層の他方の面に形成された第2導電型の第1のベース層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記第1のベース層上に形成された第1導電型の第2のベース層と、
上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての凸型の第2のエミッタ層と、
上記制御電極としてのゲート電極と、
上記第1の制御端子としての第1のゲート端子と、
上記第2の制御端子としての第2のゲート端子と、
上記第3の制御端子としての第3のゲート端子とを備え、
ゲートターンオフサイリスタを構成している。
【0022】
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記第2,第3のコンタクトホールと、上記第1のコンタクトホールとが、上記凸型の第2のエミッタ層の列を挟む両側で列方向に延在している。これにより、上記凸型の第2のエミッタ層による列と列との間に配列された列間の第1のコンタクトホールに形成された第1のゲート端子と端側の第2,第3のコンタクトホールに形成された第2,第3のゲート端子とでターンオフ時の転流を分担できて転流の不揃いを抑制でき、転流能力を向上できる。
【0023】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、コレクタとなる第2導電型の基板と、
上記第2導電型の基板上に形成された第2導電型のドリフト層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記ドリフト層上に形成された第1導電型のベース層と、
上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての凸型の第2導電型のエミッタ層と、
上記制御電極としてのベース電極と、
上記第1の制御端子としての第1のベース端子と、
上記第2の制御端子としての第2のベース端子と、
上記第3の制御端子としての第3のベース端子とを備え、
バイポーラトランジスタを構成している。
【0024】
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記第2,第3のコンタクトホールに形成されて上記ベース電極に接続された第2,第3のベース端子と、上記第1のコンタクトホールに形成されて上記ベース電極に接続された第1のベース端子とが、上記凸型の第2導電型のエミッタ層の列を挟む両側で列方向に延在している。これにより、上記凸型の第2導電型のエミッタ層による列と列との間に配列された列間の第1のコンタクトホールに形成された第1のベース端子と端側の第2,第3のコンタクトホールに形成された第2,第3のベース端子とでベース電流を分担できてベース電流の不揃いを抑制でき、ベース電流の制御能力を向上できる。
【0025】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、
コレクタとなる第1導電型の基板と、
上記第1導電型の基板上に形成された第2導電型のドリフト層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記ドリフト層の上に形成した第1導電型の成長層と、
上記第1導電型の成長層の上に形成した上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての第2導電型の成長層と、
上記第2導電型の成長層に形成した貫通孔を経て、上記第1導電型の成長層にイオン注入をして形成したコンタクト領域と、
上記制御電極としてのゲート電極と、
上記第1の制御端子としての第1のゲート端子と、
上記第2の制御端子としての第2のゲート端子と、
上記第3の制御端子としての第3のゲート端子とを備え、
インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタを構成している。
【0026】
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記第2,第3のコンタクトホールに形成されて上記ゲート電極に接続された第2,第3のゲート端子と、上記第1のコンタクトホールに形成されて上記ゲート電極に接続された第1のゲート端子とが、上記凸型の第2導電型のエミッタ層の列を挟む両側で列方向に延在している。これにより、上記凸型の第2導電型のエミッタ層による列と列との間に形成された第1のゲート端子と端側の第2,第3のゲート端子とでゲート電極によるチャネル形成を分担できてチャネル形成の不揃いを抑制でき、ゲート電極による制御能力を向上できる。
【0027】
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子は、ワイドギャップ半導体で作製されている。
【0028】
この実施形態によれば、高速動作や高耐圧性を実現できる。
【発明の効果】
【0029】
この発明のバイポーラ半導体素子によれば、第2,第3のコンタクトホールと、第1のコンタクトホールとが、凸型の第2の半導体層の列を挟む両側で列方向に延在している。これにより、上記凸型の第2の半導体層による列と列との間に配列された列間の第1のコンタクトホールに形成された第1の制御端子と端側の第2,第3のコンタクトホールに形成された第2,第3の制御端子とで制御能力を分担できて制御能力の不均一を抑制でき、制御電極による制御能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のバイポーラ半導体素子の第1実施形態であるゲートターンオフサイリスタの平面図である。
【図2】上記第1実施形態の断面図である。
【図3】上記第1実施形態の要部を模式的に示す斜視図である。
【図4】上記第1実施形態の変形例の平面図である。
【図5】上記第1変形例の断面図である。
【図6】本発明のバイポーラ半導体素子の第2実施形態であるバイポーラトランジスタの平面図である。
【図7】上記第2実施形態の断面図である。
【図8】本発明のバイポーラ半導体素子の第3実施形態であるIGBTの平面図である。
【図9】上記第3実施形態の断面図である。
【図10】従来のバイポーラ半導体素子としてのゲートターンオフサイリスタの平面図である。
【図11】上記従来のゲートターンオフサイリスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1はこの発明のバイポーラ半導体素子としてのゲートターンオフサイリスタ(以下、GTOという)の実施形態の平面図であり、図2は上記実施形態のGTOの断面図であり、図1のA‐A’断面を示している。
【0033】
図2に示すように、この実施形態のGTOは、カソード端子に接続される第1の主電極としてのカソード電極11を下面に有する厚さが約350μm、不純物濃度が1019cm−3程度以上の高不純物濃度の第1の導電型としてのn型のSiC半導体のカソードエミッタ層1を第1のエミッタ層として有する。このカソードエミッタ層1はn型の4H型SiC基板である。なお、4H型の「H」は六方晶を表し、4H型の「4」は原子積層が4層周期となる結晶構造を表している。
【0034】
上記カソードエミッタ層1の上に、順に、厚さが約15μmで不純物濃度が1017cm−3程度のp型SiC層によるバッファ層2、厚さが約75μmで不純物濃度が1016〜1013cm−3程度の低不純物濃度の第2の導電型としてのp型のSiC半導体のベース層3を第1のベース層として形成する。このp型ベース層3の上に厚さ数μm程度の薄いn型ベース層4を第2のベース層として形成する。n型ベース層4の全面に、後の工程で中央領域を残してp型アノードエミッタ層5とするp型層をエピタキシャル成長法により形成する。なお、上記バッファ層2は必ずしも必要ではなく、これを形成しない場合もある。また、n型カソードエミッタ層1とp型バッファ層2の間に、n型バッファ層を形成してもよい。
【0035】
次に、第2のエミッタ層としてのp型層のアノードエミッタ層5となる領域を残して、他の領域を反応性イオンエッチング法により、n型ベース層4の表面が露出しかつ表面部分がいくらか除去される程度に深くエッチングしてメサ型のアノードエミッタ層5を形成する。露出したn型ベース層4にイオン注入をして、順次、n型の低抵抗ゲート領域6およびn型のゲートコンタクト領域7を、メサ型のp型アノードエミッタ層5を取り囲むように形成する。なお、低抵抗ゲート領域6は必ずしも必要でなく、これを形成しない場合もある。
【0036】
n型の低抵抗ゲート領域6の不純物濃度は、n型ベース層4の不純物濃度の3倍以上であるのが好ましい。イオン注入の工程で低抵抗ゲート領域6がベース層4の上面近傍にまで形成されてもよい。低抵抗ゲート領域6はアノードエミッタ層5とベース層4の接合部Jから若干離れて形成される。
【0037】
ゲートコンタクト領域7は低抵抗ゲート領域6より更に不純物濃度の高い低抵抗領域であり、接合部Jから離れた位置に形成される。アノードエミッタ層5にアノード端子13につながるアノード電極12を第2の主電極として形成する。また、図2の断面図に示すように、上記メサ型のp型アノードエミッタ層5上に第2の主電極としてのアノード電極12が形成され、上記n型ゲートコンタクト領域7上にゲート電極19が形成される。
【0038】
また、上記ゲート電極19,n型SiCベース層4,メサ型のp型アノードエミッタ層5およびアノード電極12上に絶縁層としての酸化膜20が形成される。この酸化膜20には、アノード電極用のコンタクトホール20Aが形成され、このコンタクトホール20Aを通してアノード電極12に電気的に接続されるようにアノード端子13が形成される。なお、上記絶縁層としては、SiO,SiN等を採用できる。
【0039】
図1の平面図および図3の模式的な斜視図に示すように、この実施形態のGTOでは、上記メサ型のアノードエミッタ層5は、上記n型ベース層4の上面に沿ってR1,R2の2列の列状に配列されている。なお、図3の模式図では、ゲート電極19,酸化膜20,アノード電極12,アノード端子13,14の記載を省略している。各アノードエミッタ層5上には上記アノード電極12が形成されており、1つの列R1に配列された複数のメサ型のp型アノードエミッタ層5上のアノード電極12上に1つのアノード端子13が形成されている。また、もう1つの列R2に配列された各メサ型のアノードエミッタ層5上にもアノード電極12が形成されている。この列R2の各アノード電極12に亘って1つのアノード端子14が形成されている。このアノード端子14は、上記酸化膜20に形成されたコンタクトホールを通して上記各アノード電極12に電気的に接続されている。
【0040】
また、この実施形態のGTOでは、図1に示すように、上記メサ型のアノードエミッタ層5による2列R1,R2の間で列方向に延在している列間の第1のコンタクトホール20Bが上記酸化膜20に形成され、この第1のコンタクトホール20Bに上記ゲート電極19を露出させる。この第1のコンタクトホール20Bに露出されたゲート電極19に上記第1のコンタクトホール20Bを通して電気的に接続されるように第1のゲート端子15が形成される。
【0041】
また、この実施形態のGTOでは、第2,第3の制御端子としての端側のゲート端子16,17を有する。この端側のゲート端子16は、上記メサ型のアノードエミッタ層5による上記1つの列R1よりも端側で上記列に沿って列方向に延在している。この端側のゲート端子16は、上記酸化膜20に形成されて上記ゲート電極19を露出させる第2のコンタクトホール20Cに形成されている。これにより、上記端側のゲート端子16は第2のコンタクトホール20Cを通して上記ゲート電極19に電気的に接続されている。
【0042】
また、上記端側のゲート端子17は、上記メサ型のアノードエミッタ層5によるもう1つの列R2よりも端側で上記列に沿って列方向に延在している。この端側のゲート端子17は、上記酸化膜20に形成されて上記ゲート電極19を露出させる第3のコンタクトホール20Dに形成されている。これにより、上記端側のゲート端子17は第3のコンタクトホール20Dを通して上記ゲート電極19に電気的に接続されている。
【0043】
なお、図1の平面図には酸化膜20を示していないが、図1において酸化膜20の外周縁はn型成長層4の外周縁と同様である。また、図1の平面図ではN型ゲートコンタクト領域7,ゲート電極19の外周縁のみを描いている。図2の断面図から分かるように、N型ゲートコンタクト領域7,ゲート電極19は図1の平面図に示す列R1,列R2の領域では列方向に連続して延在しているのではなくて、図1において列方向に隣り合う2つのメサ型p型アノードエミッタ層5間で存在していない領域が有る。一方、N型ゲートコンタクト領域7,ゲート電極19は、図1の平面図に示す列R1,列R2の領域の外では連続的に延在している。すなわち、図1では詳細に描いていないが、N型ゲートコンタクト領域7,ゲート電極19は、図1の平面図に示す列R1および列R2の領域において各メサ型p型アノードエミッタ層5に沿ってメサ型p型アノードエミッタ層5と重ならずに間隔を隔てて梯子状に延在している。
【0044】
この実施形態のGTOの動作を以下に説明する。上記アノード端子13,14の電位が上記カソード電極11の電位より高い状態で、上記ゲート端子15,16,17の電位を上記アノード端子13,14の電位よりも低くして上記アノード端子13,14と上記ゲート端子15,16,17との間に順バイアス電圧を印加すると、上記アノード端子13,14から上記ゲート端子15,16,17に電流が流れる。この状態では、上記メサ型のアノードエミッタ層5からn型ベース層4にホールが注入されてp型のベース層3に入ると共に、電子がn型のカソードエミッタ層1からp型のベース層3に注入され、GTOはターンオンしてオン状態となる。一方、上記アノード端子13,14と上記ゲート端子15,16,17との間に逆バイアス電圧を印加し、上記カソード電極11から上記アノード端子13,14に流れる電子流を上記ゲート端子15,16,17に転流すると、GTOはターンオフする。
【0045】
この実施形態のゲートターンオフサイリスタによれば、隣り合う2列R1,R2のメサ型のp型アノードエミッタ層5の間で列方向に延在している列間の第1のゲート端子15だけでなく、各列R1,R2の端側で各列R1,R2に沿って列方向に延在している端側の第2,第3のゲート端子16,17を有する。これにより、上記メサ型のアノードエミッタ層5による列R1と列R2との間に配列された第1のゲート端子15と端側の第2,第3のゲート端子16,17とでターンオフ時の転流を分担できて、転流の不揃いを抑制でき、転流能力を向上できる。
【0046】
また、この実施形態では、上記メサ型のアノードエミッタ層5の上記列方向と直交する行方向の寸法が上記アノード端子13,14の上記行方向の寸法よりも長い。これにより、上記メサ型のアノードエミッタ層5の行方向の端部が上記アノード端子13,14から行方向にはみ出ており、電気特性が不安定になりやすい上記メサ型のアノードエミッタ層5の行方向の端部に上記アノード端子13,14が被さらなくなる。よって、アノード端子13,14とゲート電極19との間の耐電圧を向上できる。
【0047】
尚、上記実施形態では、図1に示すように、n型ベース層4上に2列に配列されたメサ型のアノードエミッタ層5を備えたが、このメサ型のアノードエミッタ層5を図1において上記行方向に3列以上の複数列に配列し、複数列のメサ型アノードエミッタ層5の各列間で列方向に延在する複数の第1のコンタクトホールを酸化膜20に形成し、この複数の第1のコンタクトホールに露出したゲート電極19に複数の第1のゲート端子を電気的に接続してもよい。この場合、第2,第3のゲート端子16,17と複数の第1のゲート端子とによるさらに多くのゲート端子で転流を分担できて転流の不均一を抑制でき、ゲート電極による転流能力を向上できる。さらに、上記メサ型のアノードエミッタ層5を、図1において上下方向に複数の列に配列してもよい。また、上記実施形態では、SiC半導体で作製したGTOについて説明したが、他のワイドギャップ半導体で作製してもよく、Si等の他の半導体で作製したGTOにも本発明を適用できる。
【0048】
また、上記実施形態における各層の導電型のp型とn型とを入れ替えて、図5に示すように、p型アノードエミッタ層51,n型バッファ層52,n型ベース層53,p型ベース層54,メサ型のn型カソードエミッタ層55と露出したp型ベース層54に形成されたp型の低抵抗ゲート領域56およびp型のゲートコンタクト領域57を備える構成としてもよい。図5の断面図に示すように、上記メサ型のn型カソードエミッタ層55上に第2の主電極としてのカソード電極62が形成され、上記p型ゲートコンタクト領域57上にゲート電極59が形成される。
【0049】
また、上記ゲート電極59,p型SiCベース層54,メサ型n型カソードエミッタ層55およびカソード電極62上に絶縁層としての酸化膜70が形成される。この酸化膜70には、カソード電極用のコンタクトホール70Aが形成され、このコンタクトホール70Aを通してカソード電極62に電気的に接続されるようにカソード端子63が形成される。
【0050】
また、図4の平面図に示すように、上記メサ型のカソードエミッタ層55は、上記p型ベース層54の上面に沿ってR1,R2の2列の列状に配列されている。各カソードエミッタ層55上には上記カソード電極62が形成されており、1つの列R1に配列された複数のメサ型のp型カソードエミッタ層55上のカソード電極62上に1つのカソード端子63が形成されている。また、もう1つの列R2に配列された各メサ型のカソードエミッタ層55上にもカソード電極62が形成されている。この列R2の各カソード電極62に亘って1つのカソード端子64が形成されている。このカソード端子64は、上記酸化膜70に形成されたコンタクトホールを通して上記各カソード電極62に電気的に接続されている。この場合、p型アノードエミッタ層51の下面に形成される電極61はアノード電極となる。また、図4に示すように、酸化膜70に形成された第1のコンタクトホール70Bに上記ゲート端子65が形成されている。この第1のコンタクトホール70Bとゲート端子65は列R1と列R2との間で列方向に延在している。また、酸化膜70に形成された第2,第3のコンタクトホール70C,70Dに第2,第3のゲート端子66,67が形成され、この第2,第3のゲート端子66,67は上記ゲート電極59に電気的に接続されている。上記メサ型n型カソードエミッタ層55の列R1の両脇に第2のコンタクトホール70Cと第1のコンタクトホール70Bが位置し、上記メサ型n型カソードエミッタ層55の列R2の両脇に第3のコンタクトホール70Dと第1のコンタクトホール70Bが位置している。
【0051】
この構成では、第1,第2,第3のゲート端子65,66,67とカソード端子63,64とが近接しているので、アノード電極61の電位がカソード端子63,64の電位よりも高い状態で、カソード端子63,64とゲート端子65,66,67との間に順バイアス電圧を印加すると、ゲート端子65,66,67からカソード端子63,64に電流が流れる。その結果、p型アノードエミッタ層51からn型ベース層53にホールが注入されてp型のベース層54に入ると共に、電子がn型カソードエミッタ層55からp型ベース層54に注入され、GTOはターンオンしてオン状態となる。一方、カソード端子63,64とゲート端子65,66,67との間に逆バイアス電圧を印加し、アノード電極61からカソード端子63,64に流れる電流をゲート端子65,66,67に転流させると、GTOはターンオフする。この場合の構成においても、上記メサ型のカソードエミッタ層55による列R1と列R2との間に配列された列間の第1のゲート端子65と端側の第2,第3のゲート端子66,67とでターンオフ時の転流を分担できて、転流の不揃いを抑制できる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図6はこの発明のバイポーラ半導体素子としてのバイポーラトランジスタの実施形態の平面図であり、図7は上記実施形態のバイポーラトランジスタの断面図であり、図6のA‐A’断面を示している。
【0053】
図7に示すように、この実施形態のバイポーラトランジスタは、n型の4H型SiCの基板81上に、n型4H−SiC、p型4H−SiC、n型4H−SiCの順番で連続的にエピタキシャル成長させて作製したnpnバイポーラトランジスタ80である。
【0054】
n型の4H型SiCの基板81は、改良レーリー法によって成長したインゴットをオフ角θが8度となるようにスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板81はn型であり、ホール効果測定法によって測定したキャリヤ密度は8×1018cm−3、厚さは400μmである。この基板81のC面(カーボン面)の上に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層のバッファ層82とドリフト層83を成膜する。バッファ層82とドリフト層83がn型コレクタ層になる。なお、上記バッファ層82は必ずしも必要ではなく、これを形成しない場合もある。
【0055】
このドリフト層83の上にアルミドープp型SiCのp型成長層84、および窒素ドープn型SiC層のn型成長層85を順番にエピタキシャル成長法で成膜した。バッファ層82はドナー密度7×1017cm−3、膜厚は10μmである。一方、上記ドリフト層83はドナー密度約5×1015cm−3、膜厚は15μmである。また、p型ベース層となるp型成長層84はアクセプタ密度2×1017cm−3、膜厚は1μmである。また、n型エミッタ層となるn型成長層85はドナー密度約7×1017cm−3、膜厚は0.75μmである。
【0056】
次に、上記npnバイポーラトランジスタ80の製造工程を説明する。
【0057】
n型の4H型SiCの基板81は、改良レーリー法によって成長したインゴットをオフ角θが8度となるようにスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板81はn型であり、ホール効果測定法によって測定したキャリヤ密度は8×1018cm−3、厚さは400μmである。この基板81のC面の上に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層のバッファ層82とドリフト層83を成膜する。
【0058】
まず、材料ガスとして、シラン(SiH)およびプロパン(C)を用いる。ドーパントガスとして窒素(N)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH)}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H)を用いる。各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。そして、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。SiC基板81の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。
【0059】
基板81のC面にバッファ層82を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(30sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は40分である。ドリフト層83の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(0.2sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は60分である。P型接合層84の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(6sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は4分である。n型成長層85の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(30sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は3分である。
【0060】
上記の処理により、この第2実施形態のnpnバイポーラトランジスタ用のSiCエピタキシャルウェハができる。このSiCエピタキシャルウェハに以下に説明する加工を施すことにより、図7に示す本実施形態のnpnバイポーラトランジスタ80ができあがる。
【0061】
まず、反応性イオンエッチング(RIE)によりn型成長層85を幅10μm、深さ0.75μm、ピッチ23μmでエッチングし、エミッタとなるn型成長層85を残す。RIEのエッチングガスにはCFとOを用い、圧力は0.05Torr、高周波電力260Wの条件でエッチングした。このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO膜(厚さ10μm)を用いた。
【0062】
次に、ベース領域において素子分離を行うために、反応性イオンエッチング(RIE)によりメサ構造にする。RIEのエッチングガスにはCFとOを用い、圧力は0.05Torr、高周波電力260Wの条件で深さ約1μmまでエッチングした。このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO膜(厚さ10μm)を用いた。上記エミッタとなるメサ構造のn型成長層85が第2導電型の凸型の第2の半導体層をなす。
【0063】
本実施形態では、ベース端部での電界集中を緩和するためのガードリング(図示せず)と、ベースのコンタクト領域87を同一プロセスのAl(アルミニウム)イオン注入によってp型ベース層となるp型成長層84に形成した。このp型成長層84が第1導電型の第1の半導体層をなす。ベースのコンタクト領域87は幅3μmでエミッタとの間隔は5μmであり、p型ガードリング(図示せず)の幅は150μmである。深さは共に0.5μmである。p型ガードリング(図示せず)、あるいはベースのコンタクト領域87形成時のAlイオン注入のエネルギーは40〜560keVであり、トータルドーズ量は1.0×1013cm−2である。イオン注入のマスクには、CVDにより形成したSiO膜(厚さ5μm)を用いた。イオン注入はすべて室温で行い、注入イオン活性化のための熱処理はアルゴンガス雰囲気中の温度1600℃、時間5分の条件で行った。
【0064】
次に、基板81の下面に第1の主電極としてのコレクタ電極89を形成する。ベースをなすp型成長層84のコンタクト領域87に、制御電極をなすベース電極100を形成する。また、上記エミッタとなるメサ構造のn型成長層85上にエミッタ電極104が形成される。
【0065】
さらにCVDによってSiO膜を堆積させ、合計15μmの酸化膜90を形成した。この酸化膜90には、エミッタ電極用のコンタクトホール90Aが形成され、このコンタクトホール90Aを通してエミッタ電極104に電気的に接続されるようにエミッタ端子105が形成される。
【0066】
図6の平面図に示すように、この第2実施形態のnpnバイポーラトランジスタでは、上記メサ型のn型成長層(エミッタ層)85は、上記p型成長層(ベース層)84の上面に沿って2列R61,R62の列状に配列されている。各メサ型のn型成長層85上には上記エミッタ電極104が形成されており、1つの列R61に配列された複数のメサ型のn型成長層85上に形成されたエミッタ電極104上に1つのエミッタ端子105が形成されている。また、もう1つの列R62に配列された各メサ型のn型成長層85上にもエミッタ電極104が形成されている。この列R62の各エミッタ電極104に亘って1つのエミッタ端子106が形成されている。このエミッタ端子106は、上記酸化膜90に形成されたコンタクトホール(図示せず)を通して上記各エミッタ電極104に電気的に接続されている。
【0067】
また、この実施形態のnpnバイポーラトランジスタ80では、図6に示すように、上記メサ型のn型エミッタ層85による2列R61,R62の間で列方向に延在している列間の第1のコンタクトホール90Bが上記酸化膜90に形成され、この第1のコンタクトホール90Bに上記ベース電極100を露出させる。この第1のコンタクトホール90Bに露出されたベース電極100に上記第1のコンタクトホール90Bを通して電気的に接続されるように第1のベース端子103が形成される。
【0068】
また、この実施形態のnpnバイポーラトランジスタでは、第2,第3の制御端子としての端側の第2,第3のベース端子101,102を有する。この端側のベース端子101は、上記メサ型のn型成長層85による上記1つの列R61よりも端側で上記列に沿って列方向に延在している。この端側のベース端子101は、上記酸化膜90に形成されて上記ベース電極100を露出させる第2のコンタクトホール90Cに形成されている。これにより、上記端側のベース端子101は第2のコンタクトホール90Cを通して上記ベース電極100に電気的に接続されている。
【0069】
また、上記端側のベース端子102は、上記メサ型のn型成長層85によるもう1つの列R62よりも端側で上記列に沿って列方向に延在している。この端側のベース端子102は、上記酸化膜90に形成されて上記ベース電極100を露出させる第3のコンタクトホール90Dに形成されている。これにより、上記端側のベース端子102は第3のコンタクトホール90Dを通して上記ベース電極100に電気的に接続されている。
【0070】
なお、図6の平面図では、酸化膜90,ベース電極100の外周縁のみを描いている。図7の断面図から分かるように、上記酸化膜90,ベース電極100は、図6の平面図に示す列R61,列R62の領域では列方向に連続して延在しているのではなくて、列方向に隣り合う2つのメサ型のn型成長層85の間で存在していない領域が有る。一方、上記酸化膜90,ベース電極100は、図6の平面図に示す列R61,列R62の領域の外では連続的に延在している。つまり、図6では詳細に描いていないが、酸化膜90は、図6の平面図に示す列R61および列R62の領域においてメサ型のn型成長層85に沿って梯子状に延在している。また、上記ベース電極100は図6の平面図に示す列R61および列R62の領域においてメサ型のn型成長層85に沿ってメサ型のn型成長層85に重ならずに間隔を隔てて梯子状に延在している。
【0071】
この実施形態のnpnバイポーラトランジスタ80によれば、隣り合う2列R61,R62のメサ型のn型成長層85の間で列方向に延在している列間の第1のベース端子103だけでなく、各列R61,R62の端側で各列R61,R62に沿って列方向に延在している端側の第2,第3のベース端子101,102を有する。これにより、上記メサ型のn型成長層85による列R61と列R62との間に配列された第1のベース端子103と端側の第2,第3のベース端子101,102とでベース電流を分担できて、ベース電流の不揃いを抑制でき、ベース電流の制御能力を向上できる。
【0072】
また、この実施形態では、上記メサ型のn型成長層(エミッタ層)85の上記列方向と直交する行方向の寸法が上記エミッタ端子106,105の上記行方向の寸法よりも長い。これにより、上記メサ型のn型成長層(エミッタ層)85の行方向の端部が上記エミッタ端子106,105から行方向にはみ出ており、上記エミッタ端子106,105が、電気特性が不安定になりやすい上記メサ型のn型成長層(エミッタ層)85の行方向の端部に被さらなくなる。よって、エミッタ端子106,105とベース電極100との間の耐電圧を向上できる。
【0073】
尚、上記実施形態では、図6に示すように、p型成長層84上に2列に配列されたメサ型のn型成長層85を備えたが、このメサ型のn型成長層85を図6において上記行方向に3列以上の複数列に配列し、複数列のメサ型のn型成長層85の各列間で列方向に延在する複数の第1のコンタクトホールを酸化膜90に形成し、この複数の第1のコンタクトホールに露出したベース電極に複数の第1のベース端子を電気的に接続してもよい。この場合、第2,第3のベース端子101,102と複数の第1のゲート端子とによるさらに多くのベース端子でベース電流を分担できてベース電流の不揃いを抑制でき、ベース電流の制御能力を向上できる。さらに、上記メサ型のn型成長層85を図6において上下方向に複数の列に配列してもよい。また、上記実施形態では、SiC半導体で作製したnpnバイポーラトランジスタについて説明したが、他のワイドギャップ半導体で作製してもよく、Si等の他の半導体で作製したバイポーラトランジスタにも本発明を適用できる。
【0074】
また、上記実施形態における各層の導電型のp型とn型とを入れ替えて、p型SiC基板81,p型SiCバッファ層82,p型SiCドリフト層83,n型ベース層84,メサ型のp型エミッタ層85と露出したn型ベース層84に形成されたn型のベースコンタクト領域87を備える構成としてもよい。
【0075】
(第3の実施の形態)
図8はこの発明のバイポーラ半導体素子としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)の実施形態の平面図であり、図9は上記実施形態のIGBTの断面図であり、図8のA‐A’断面を示している。
【0076】
図9に示すように、この実施形態のIGBTは、n型の4H型SiCによる基板121上に、一例として膜厚の時間(h)当たりの増加速度が15μm/hで、p型4H−SiC層、n型4H−SiC層、p型4H−SiC層の順番で3つの層をエピタキシャル成長させ、以下に詳しく説明するようにして、IGBT120を作製した。このIGBT120では、p層とn層の主たる接合面(図において紙面に垂直な方向に広がる面)は、{0001}面となっている。
【0077】
次に、このIGBT120の作製方法を説明する。すなわち、面方位が、(000−1)カーボン面から3.5度のオフ角θの面をもつn型の4H型SiCを用いた基板上に、15μm/hの成膜速度で、p型4H−SiC層、n型4H−SiC層、p型4H−SiC層を順次形成する。
【0078】
上記SiC基板121は、改良レーリー法によって成長したインゴットを(000−1)カーボン面から3.5度傾いた面でスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板121はn型で、厚さは400μm、ホール効果測定法によって求めたキャリヤ密度は5×1018cm−3である。
【0079】
このSiC基板121上に、CVD法によって、アルミニウムドープp型SiC層、窒素ドープn型SiC層、アルミニウムドープp型SiC層の三層を連続的にエピタキシャル成長した。このp型SiC層は、図9のバッファ層122とドリフト層123となる。このバッファ層122はアクセプタ密度が1×1017cm−3、膜厚は3μmである。また、ドリフト層123はアクセプタ密度が約5×1015cm−3、膜厚は15μmである。また、ドリフト層123の上に形成される第1導電型の成長層としてのn型成長層124はドナー密度2×1017cm−3、膜厚は2μmである。このn型成長層124の上に形成されるp型成長層125はアクセプタ密度が約1×1018cm−3、膜厚は0.75μmである。
【0080】
次に、このIGBT120を作製するときの処理条件を説明する。
【0081】
まず、材料ガスとして、シラン(SiH)およびプロパン(C)を用いる。また、ドーパントガスとして窒素(N)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH)}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H)を用いる。ここで、各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。また、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。
【0082】
基板121の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。n型SiC基板121のC面上にp型SiCバッファ層122を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(3sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は12分である。ドリフト層123の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(0.15sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は60分である。
【0083】
n型成長層124の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(9sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は8分である。p型成長層125の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(30sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は3分である。
【0084】
上記の処理により、本実施形態のIGBT用のSiCエピタキシャルウェーハができる。このようにして作製したSiCエピタキシャルウェーハから図9に示す構造のIGBT120を作製する。
【0085】
まず、フォトリソグラフ法を用いて、第2導電型のp+成長層125のメサ型の中央部125AをRIEでエッチングして孔126Aを設け、窒素をイオン注入することにより、コレクタとなるコンタクト領域126を形成する。上記メサ型のp型中央部125Aが第2導電型の凸型の第2の半導体層としての第2導電型の成長層となる。
【0086】
ゲート領域を形成するために、RIEによりp+成長層125とn+成長層124をエッチングして孔128A(図9では2つ)をあける。次に孔128Aの壁面にMOS構造を形成するために、CVDによりSiO膜を堆積させ絶縁膜127を形成する。基板121のコレクタ領域にNiを蒸着しコレクタ端子129とする。またコンタクト領域126にエミッタ電極133を蒸着する。次に熱処理を行って、それぞれオーミック接合を形成する。さらに、酸化膜127の上にMo電極を形成し制御電極としてのゲート電極130とする。
【0087】
この実施形態のIGBT120では、CVDによってSiO膜を堆積させ、合計3μmの酸化膜140を形成した。この酸化膜140には、エミッタ電極用のコンタクトホール140Aが形成され、このコンタクトホール140Aを通してエミッタ電極133に電気的に接続されるようにエミッタ端子141が形成される。
【0088】
この実施形態のIGBT120では、図8の平面図に示すように、凸型の第2の半導体層としてのメサ型の中央部125Aが、上記n型成長層124の上面に沿って2列R71,R72の列状に配列されている。各メサ型のp型中央部125A上には上記エミッタ電極133が形成されており、1つの列R71に配列された複数のメサ型のp型中央部125上に形成されたエミッタ電極133上に1つのエミッタ端子141が列方向に延在するように形成されている。また、もう1つの列R72に配列された各メサ型のp型中央部125上にもエミッタ電極133が形成されている。この列R72の各エミッタ電極133に亘って1つのエミッタ端子142が列方向に延在するように形成されている。このエミッタ端子142は、上記酸化膜140に形成されたコンタクトホール(図示せず)を通して上記列R72の各エミッタ電極133に電気的に接続されている。
【0089】
また、この実施形態のIGBT120では、図8に示すように、上記メサ型の中央部125Aによる2列R71,R72の間で列方向に延在している列間の第1のコンタクトホール140Bが上記酸化膜140に形成され、この第1のコンタクトホール140Bに上記ゲート電極130を露出させる。この第1のコンタクトホール140Bに露出されたゲート電極130に上記第1のコンタクトホール140Bを通して電気的に接続されるように第1のゲート端子137が形成される。
【0090】
また、この実施形態のIGBT120では、第2,第3の制御端子としての端側のゲート端子135,136を有する。この端側のゲート端子135は、上記メサ型のp型中央部125Aによる上記1つの列R72よりも端側で上記列R72に沿って列方向に延在している。この端側のゲート端子135は、上記酸化膜140に形成されて上記ゲート電極130を露出させる第2のコンタクトホール140Cに形成されている。これにより、上記端側のゲート端子135は第2のコンタクトホール140Cを通して上記ゲート電極130に電気的に接続されている。
【0091】
また、上記端側のゲート端子136は、上記メサ型のp型中央部125Aによるもう1つの列R71よりも端側で上記列R71に沿って列方向に延在している。この端側のゲート端子136は、上記酸化膜140に形成されて上記ゲート電極130を露出させる第3のコンタクトホール140Dに形成されている。これにより、上記端側のゲート端子136は第3のコンタクトホール140Dを通して上記ゲート電極130に電気的に接続されている。
【0092】
なお、図8の平面図では、ゲート電極130の外周縁のみを描いている。図9の断面図から分かるように、上記ゲート電極130は、図8の平面図に示す列R71,R72の領域では列方向に連続して延在しているのではなくて、図8において列方向に隣り合う2つのメサ型p型中央部125A間で存在していない領域が有る。一方、上記メサ型p型中央部125Aは、図8の平面図に示す列R71,列R72の領域の外では連続的に延在している。つまり、図8では詳細に描いていないが、上記ゲート電極130は、図8の平面図に示す列R71,R72の領域においてメサ型p型中央部125Aに沿ってメサ型p型中央部125Aに重ならずに間隔を隔てて梯子状に延在している。
【0093】
この実施形態のIGBT120によれば、隣り合う2つの列R71,R72のメサ型のp型中央部125Aの間で列方向に延在している列間の第1のゲート端子137だけでなく、各列R71,R72よりも端側で各列R71,R72に沿って列方向に延在している端側の第2,第3のゲート端子135,136を有する。これにより、上記メサ型のp型中央部125Aによる列R71と列R72との間に配列された第1のゲート端子137と端側の第2,第3のゲート端子135,136とでゲート電界によるチャネル形成を分担できてチャネル形成の不揃いを抑制でき、ゲート電極130による制御能力を向上できる。
【0094】
また、この実施形態では、上記メサ型の中央部125Aの上記列方向と直交する行方向の寸法が上記エミッタ端子142,141の上記行方向の寸法よりも長い。これにより、上記メサ型の中央部125Aの行方向の端部が上記エミッタ端子142,141から行方向にはみ出ており、電気特性が不安定になりやすい上記メサ型のn型成長層(エミッタ層)85の行方向の端部に上記エミッタ端子142,141が被さらなくなる。よって、エミッタ端子142,141とゲート電極130との間の耐電圧を向上できる。
【0095】
尚、上記実施形態では、図8に示すように、n型成長層124上に2列に配列されたメサ型のp型中央部125Aを備えたが、このメサ型のp型中央部125Aを図8において上記行方向に3列以上の複数列に配列し、複数列のメサ型のp型中央部125Aの各列間で列方向に延在する複数の第1のコンタクトホールを酸化膜140に形成し、この複数の第1のコンタクトホールに露出したゲート電極130に複数の第1のゲート端子を電気的に接続してもよい。この場合、第2,第3のゲート端子135,136と複数の第1のゲート端子とによるさらに多くのゲート端子でゲート電界によるチャネル形成を分担できてチャネル形成の不揃いを抑制でき、ゲート電極130による制御能力を向上できる。さらに、上記メサ型のp型中央部125Aを図8において上下方向に複数の列に配列してもよい。また、上記実施形態では、SiC半導体で作製したIGBTについて説明したが、他のワイドギャップ半導体で作製してもよく、Si等の他の半導体で作製したIGBTにも本発明を適用できる。
【0096】
また、上記実施形態における各層の導電型のp型とn型とを入れ替えて、p型SiC基板121,n型SiCバッファ層122,n型SiCドリフト層123,p型成長層124,n型成長層125,メサ型のn型中央部125Aを備える構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
この発明のバイポーラ半導体素子は、制御電極による制御能力を向上でき、例えば、大電流制御,大電流遮断が可能となって大電流での使用が可能となると共に信頼性を向上できる。よって、一例として、家電分野、産業分野、電気自動車などの車両分野、送電などの電力系統分野等において、例えばインバータなどの電力制御装置等に組み込まれて使用される電力制御装置に適用すると、可制御電流を向上でき、装置の信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0098】
1 n型SiCカソードエミッタ層
2 p型SiCバッファ層
3 p型SiCベース層
4 n型ベース層
5 メサ型のp型アノードエミッタ層
6 n型の低抵抗ゲート領域
7 n型のゲートコンタクト領域
11 カソード電極(第1の主電極)
12 アノード電極
13、14 アノード端子
15、65 第1のゲート端子
16、66 第2のゲート端子
17、67 第3のゲート端子
19、59 ゲート電極
20、70 酸化膜
20A アノード電極用のコンタクトホール
20B、70B 第1のコンタクトホール
20C、70C 第2のコンタクトホール
20D、70D 第3のコンタクトホール
51 p型アノードエミッタ層(第1のエミッタ層)
52 n型バッファ層
53 n型ベース層
54 p型ベース層
55 メサ型のn型カソードエミッタ層
62 カソード電極
63、64 カソード端子
70A カソード電極用のコンタクトホール
80 npnバイポーラトランジスタ
81 n型SiC基板
82 n型SiCバッファ層
83 n型SiCドリフト層
84 p型SiC成長層(p型ベース層)
85 n型SiC成長層(n型エミッタ層)
87 p型コンタクト領域
90 酸化膜
90A エミッタ電極用のコンタクトホール
90B 第1のコンタクトホール
90C 第2のコンタクトホール
90D 第3のコンタクトホール
100 ベース電極
101 第2のベース端子
102 第3のベース端子
103 第1のベース端子
104 エミッタ電極
120 IGBT
121 n型SiC基板
122 p型SiCバッファ層
123 p型SiCドリフト層
124 n型成長層
125 p型成長層
125A メサ型のp型中央部
126 コンタクト領域(コレクタ)
127 酸化膜
128A 孔
130 ゲート電極
133 エミッタ電極
135 第2のゲート端子
136 第3のゲート端子
137 第1のゲート端子
140 酸化膜
140A エミッタ電極用のコンタクトホール
140B 第1のコンタクトホール
140C 第2のコンタクトホール
140D 第3のコンタクトホール
141、142 エミッタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主電極と、
上記第1の主電極上に形成されている第1導電型の第1の半導体層と、
上記第1の半導体層上に凸型に形成されていると共に上記第1の半導体層の上面に沿って複数形成され、かつ、複数の列状に配列された第2導電型の凸型の第2の半導体層と、
上記複数の列状に配列された第2導電型の凸型の第2の半導体層上に形成された第2の主電極と、
上記第1の半導体層上に形成されている制御電極と、
上記制御電極上に形成された絶縁層と、
上記凸型の第2の半導体層の隣り合う2列の間で列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第1のコンタクトホールと、
上記2列の凸型の第2の半導体層のうちの一方の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記一方の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第2のコンタクトホールと、
上記2列の凸型の第2の半導体層のうちの他方の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記他方の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させる第3のコンタクトホールと、
上記第1のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第1の制御端子と、
上記第2のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第2の制御端子と、
上記第3のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第3の制御端子とを備えることを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項2】
請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記第2導電型の凸型の第2の半導体層は、3列以上配列され、
上記第1のコンタクトホールは、上記凸型の第2の半導体層の隣り合う各2列の間で列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させるように上記絶縁層に複数形成され、
上記第2のコンタクトホールは、上記3列以上の凸型の第2の半導体層のうちの一方の端の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記一方の端の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させ、
上記第3のコンタクトホールは、上記3列以上の凸型の第2の半導体層のうちの他方の端の列に関して上記第1のコンタクトホールの反対側に配置されていて上記他方の端の列に沿って上記列方向に延在するように上記絶縁層に形成されて上記制御電極を露出させ、
上記複数の第1のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された複数の第1の制御端子と、
上記第2のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第2の制御端子と、
上記第3のコンタクトホールに形成されて上記制御電極に電気的に接続された第3の制御端子とを備えることを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記第2の主電極上に形成された主電極端子を備え、
上記凸型の第2の半導体層の上記列方向と直交する行方向の寸法が上記主電極端子の上記行方向の寸法よりも長いことを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のバイポーラ半導体素子において、
一方の面に第1の主電極が形成された第1導電型の第1のエミッタ層と、
上記第1のエミッタ層の他方の面に形成された第2導電型の第1のベース層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記第1のベース層上に形成された第1導電型の第2のベース層と、
上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての凸型の第2のエミッタ層と、
上記制御電極としてのゲート電極と、
上記第1の制御端子としての第1のゲート端子と、
上記第2の制御端子としての第2のゲート端子と、
上記第3の制御端子としての第3のゲート端子とを備え、
ゲートターンオフサイリスタを構成していることを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1つに記載のバイポーラ半導体素子において、
コレクタとなる第2導電型の基板と、
上記第2導電型の基板上に形成された第2導電型のドリフト層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記ドリフト層上に形成された第1導電型のベース層と、
上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての凸型の第2導電型のエミッタ層と、
上記制御電極としてのベース電極と、
上記第1の制御端子としての第1のベース端子と、
上記第2の制御端子としての第2のベース端子と、
上記第3の制御端子としての第3のベース端子とを備え、
バイポーラトランジスタを構成していることを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1つに記載のバイポーラ半導体素子において、
コレクタとなる第1導電型の基板と、
上記第1導電型の基板上に形成された第2導電型のドリフト層と、
上記第1導電型の第1の半導体層として上記ドリフト層の上に形成した第1導電型の成長層と、
上記第1導電型の成長層の上に形成した上記第2導電型の凸型の第2の半導体層としての第2導電型の成長層と、
上記第2導電型の成長層に形成した貫通孔を経て、上記第1導電型の成長層にイオン注入をして形成したコンタクト領域と、
上記制御電極としてのゲート電極と、
上記第1の制御端子としての第1のゲート端子と、
上記第2の制御端子としての第2のゲート端子と、
上記第3の制御端子としての第3のゲート端子とを備え、
インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタを構成していることを特徴とするバイポーラ半導体素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のバイポーラ半導体素子において、
ワイドギャップ半導体で作製されていることを特徴とするバイポーラ半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−258656(P2011−258656A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130297(P2010−130297)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】