説明

バチルス・プミラス由来のサブチリシンおよび該新規なサブチリシンを含む洗浄および清浄剤

本発明は、バチルス・プミラス由来の新規なサブチリシン型アルカリプロテアーゼおよびその十分に関連するタンパク質および誘導体に関する。本発明はまた、新規なサブチリシン型アルカリプロテアーゼを含む洗浄および清浄剤、その十分に関連するタンパク質および誘導体、対応する洗浄および清浄方法および洗浄および清浄剤におけるその使用およびその他の可能な技術用途にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)由来の新規なサブチリシン型のアルカリプロテアーゼ、および十分に関連するタンパク質およびそれらの誘導体に関する。本発明はまた、この新規なサブチリシン型のアルカリプロテアーゼ、十分に関連するタンパク質およびそれらの誘導体を有する洗浄および清浄剤、対応する洗浄および清浄方法およびそれらの洗浄および清浄剤における使用ならびにその他の可能な技術的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、洗浄および清浄剤の確立された活性成分である。プロテアーゼは清浄すべき物品、例えば、 織物または硬表面上のタンパク質に基づく汚れ(soiling)の分解を誘導する。よい場合には、それぞれの剤の酵素とその他の成分との間に相乗効果がある。洗浄剤プロテアーゼの開発は、天然に形成された酵素、好ましくは微生物により形成されたものに基づいている。かかる酵素は、基本的に知られた突然変異誘発方法、例えば、点突然変異誘発、欠失、挿入またはその他のタンパク質またはタンパク質部分との融合あるいはその他の修飾によって洗浄および清浄剤における使用のために最適化される。洗浄および清浄剤プロテアーゼのなかで、サブチリシンはその好ましい酵素的性質、例えば、 安定性または至適pHによって良好な位置を占めている。
【0003】
サブチリシン型のプロテアーゼ(サブチラーゼ(subtilase)、サブチロペプチダーゼ(subtilopeptidase)、EC 3.4.21.62)、特にサブチリシンは、触媒的に活性のアミノ酸に基づいてセリンプロテアーゼに分類される。それらは微生物、特にバチルス種によって天然に形成および分泌される。それらは非特異的エンドペプチダーゼとして作用し、即ち、それらはペプチドまたはタンパク質の内部にあるあらゆるアミノ酸結合を加水分解する。それらの至適pHは通常明確にアルカリ性の範囲にある。このファミリーの総説は、例えば、記事、"Subtilases: Subtilisin-like proteases"、 R. Siezen、p75-95、" Subtilisin Enzymes," edited by R. Bott and C. Betzel、New York、1996にみることができる。サブチリシンは化粧品の成分として、特に洗浄剤または清浄剤の活性成分として多数の可能な工業用途に好適である
【0004】
もっとも重要なサブチリシンおよびそれらのさらなる工業的開発のためのもっとも重要な戦略を以下に列挙する。
【0005】
バチルス・アミロリクエファシエンスおよび/またはバチルス・スブチリス由来のサブチリシン BPN'は、Vasantha et al. (1984)、J. Bacteriol.、vol. 159、pp. 811-819 およびJ. A. Wells et al. (1983) 、 Nucleic Acids Research、vol. 11、pp. 7911-7925の記事によって知られている。サブチリシン BPN'は、特に位置の番号付けに関してサブチリシンの参照酵素としての役割をもつ。
【0006】
プロテアーゼであるサブチリシン・カールスバーグ(Carlsberg)は E. L. Smith et al. (1968)、J. Biol. Chem.、vol. 243、pp. 2184-2191およびJacobs et al. (1985)、Nucl. Acids. Res.、vol. 13、pp. 8913-8926による刊行物に示されている。それはバチルス・リチェニフォルミスによって天然に形成され、商品名 Maxatase(登録商標)の下でGenencor International、Inc.、Rochester、New York、USA から、そして商品名 Alcalase(登録商標)の下でNovozymes A/S、Bagsvaerd、Denmarkから入手できる。
【0007】
サブチリシン 147および309はNovozymes から商品名 Esperase(登録商標) および/または Savinase(登録商標)の下で販売されている。それらは元々特許出願 GB 1243784に開示のバチルス 株から得られたものである。
【0008】
サブチリシン DY はNedkov et al.、1985 、 Biol. Chem. Hoppe-Seyler、vol. 366、pp. 421-430によって最初に記載された。
【0009】
バチルス株から単離されたさらなるサブチリシン型のプロテアーゼはより最近の特許出願WO03/054184およびWO03/054185に記載されている。
【0010】
サブチリシンの洗浄能力を向上させる戦略は、ランダムまたは標的化して既知の分子における個々のアミノ酸をその他のアミノ酸に置換させることおよびその結果得られた変異体の洗浄能力に対する寄与を試験することからなる。酵素は特定のアミノ酸交換または欠失によりそのアレルゲン性に関しても改善されうる。
【0011】
サブチリシンの洗浄能力を向上させるために活性ループにさらなるアミノ酸を挿入する戦略が行われてきた。この戦略はサブグループ I-S1 (真性サブチリシン)またはI-S2 (高度アルカリ性サブチリシン)の1つに属するすべてのサブチリシンに原理的には適用できるはずである。
【0012】
性能を向上させるもう一つの戦略は分子の表面電荷および/または等電点を改変し、それによって基質とのその相互作用を変化させることからなる。さらに、分子の電荷におけるpH-依存性変動が低減された点突然変異体も記載されている。洗浄および清浄剤における使用に好適であるといわれている変異体の同定方法もこの原理に由来する;この方法において、開示されたすべての変異体は位置 103において少なくとも1つの交換を有する。一般に、位置 103に1つの交換を有する変異体が文献にしばしば記載されており、多数のその他の可能な交換と組み合わせて記載されていることもある。洗浄および清浄剤の性能を向上させる代替の可能性は分子の疎水性を高めることにあり、それにより酵素の安定性に影響が与えられ得る。
【0013】
プロテアーゼの効力を調節するさらなる方法は融合タンパク質の形成からなる。例えば、プロテアーゼと、阻害剤、例えば、ストレプトマイセスサブチリシン阻害剤との融合タンパク質が文献に記載されている。もう一つの可能性は、例えば、セルラーゼ由来のセルロース結合ドメイン(CBD)に結合させて基質の直近にある活性の酵素濃度を高めることまたはペプチドリンカーおよびポリマーのそれに対するカップリングによりアレルゲン性 および/または 免疫原性を低下させることである。
【0014】
ランダムアミノ酸交換を作る方法は例えばファージディスプレーに基づきうる。酵素開発の最近の方向性は、既知の関連タンパク質の要素をランダム方法により一緒にして以前には達成されていない性質を有する新規な酵素を形成することからなる。かかる方法はまた「組換え」という包括的用語の下で一緒にされる。これには例えば以下の方法が含まれる: StEP 方法 (Zhao et al. (1998)、Nat. Biotechnol.、vol. 16、pp. 258-261)、ランダムプライミング組換え (Shao et al. (1998)、Nucleic Acids Res.、vol. 26、pp. 681-683)、DNA シャフリング (W.P.C. Stemmer (1994)、Nature、vol. 370、pp. 389-391)または再帰的配列組換え (RSR; WO 98/27230、WO 97/20078、WO 95/22625)あるいはRACHITT 方法 (Coco、W. M. et al. (2001)、Nat. Biotechnol.、vol. 19、pp. 354 359)。かかる方法の総論は記事、 "Directed evolution and biocatalysis"、Powell et al. (2001)、Angew. Chem.、vol. 113、pp. 4068 4080にもみられる。
【0015】
さらなる戦略、特に補充的な戦略は、それぞれのプロテアーゼの安定性を上昇させそれによってその効力を高めることからなる。ポリマーに対するカップリングによる安定化は化粧品用途のプロテアーゼについて記載されており、例えば;よりよい皮膚耐容性がこの方法により達成されている。しかし、点突然変異による安定化が洗浄および清浄剤に特により一般的である。したがってプロテアーゼは、例えば、高温での使用に関して特に特定のチロシン残基を他のアミノ酸残基と交換することによって安定化されうる。点突然変異誘発による安定化について記載されているその他の可能性としては、例えば以下が挙げられる:
-特定のアミノ酸残基のプロリンによる交換;
-分子表面上へのより極性またはより荷電した基の導入;
-特にカルシウム結合部位の突然変異誘発による金属イオンの結合の上昇;
-修飾または突然変異誘発による自己分解の阻害;
-三次元構造の分析による安定化に関する位置の確認。
【0016】
プロテアーゼはα-アミラーゼおよびその他の洗浄剤酵素、特にリパーゼと一緒に用いて、洗浄能力 および/または清浄能力を向上させることが出来ることが知られている。同様に、当業者であればその他の活性成分、例えば、漂白剤または防汚剤(soil-release agent)と組み合わせての洗浄剤におけるプロテアーゼの使用に精通している。
【0017】
さらに、洗浄剤における使用のために確立されたいくつかのプロテアーゼはまた化粧品用途または有機化学物質合成にも好適であることが知られている。
【0018】
ここに提示する使用の様々な技術分野が、例えば反応条件、安定性または基質特異性に関する様々な特性を有するプロテアーゼを要求している。逆に、例えば、洗浄剤製剤または清浄剤レシピに関してのプロテアーゼの可能な工業用途はその他の因子、例えば、高温、酸化剤、界面活性剤によるその変性に関する酵素安定性、フォールディング効果またはその他の成分との所望の相乗作用に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
工業的に利用可能で広範な性質を包含し、使用領域の変動による性能の差異がわずかであるプロテアーゼに対していまだに高度な要求が存在する。
【0020】
これについての基礎は新規なプロテアーゼに拡張され、それは特定の使用領域に関して標的化した方法でさらに開発しうる。
【0021】
本発明の目的はしたがって、いまだ未知のさらなるプロテアーゼを発見することであった。野生型酵素は好ましくは対応する剤において用いられた場合にこの目的のために確立された酵素に少なくとも近いことを特徴とすべきである。洗浄剤または清浄剤の性能に対する寄与がここで特に注目された。
【0022】
本発明の別の目的は、温度の影響、pHによるゆらぎ、変性剤または酸化剤、タンパク質分解、高温、酸性またはアルカリ性条件に関して、または酸化還元比における変化に関して、従来技術と比較して向上した安定性を有するプロテアーゼ、特にサブチリシン型のものを提供することであるとみなされ得る。さらなる目的は免疫原性の低下および/またはアレルゲン性作用の低下において見られ得る。
【0023】
本発明のさらなる具体的目的は、20℃〜60℃の温度で良好な洗浄能力を有し、好ましくは従来技術に開示の、特にサブチリシン型のプロテアーゼと比較して向上した洗浄能力を有するプロテアーゼを見いだすことであった。
【0024】
その他の部分的目的は、かかるプロテアーゼをコードする核酸およびかかるプロテアーゼの産生に利用できるベクター、宿主細胞および産生方法を利用可能にすることからなる。さらに、対応する剤、特に洗浄および清浄剤、対応する洗浄および清浄方法およびかかるプロテアーゼの対応する可能な用途を利用可能にすべきである。最後に、見いだされたプロテアーゼの可能な技術適用が決定されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的は配列プロトコールの配列番号2の位置 109〜383に示すアミノ酸配列と少なくとも 98.5% 同一なアミノ酸配列および/またはこのアミノ酸配列に対して多くとも4アミノ酸位置にて異なる変異(deviate) を有するサブチリシン型のアルカリプロテアーゼによって達成される。
【0026】
さらにより好ましいのは、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)由来の新規なアルカリプロテアーゼとより高度の同一性を有するものであり、即ち、2または3アミノ酸位置でのみ、好ましくは1 アミノ酸位置でのみ変異するものであり、もっとも特に好ましくはバチルス・プミラス由来のアルカリプロテアーゼ自体である。
【0027】
この目的を達成するさらなるアプローチおよび/または部分的目的を達成するさらなるアプローチそしてしたがって本発明の別の主題は、対応するベクター、細胞および/または 宿主細胞および製造方法における、その配列が配列番号1に示すヌクレオチド配列に十分に類似する核酸または本発明のプロテアーゼをコードする核酸からなる。さらに、対応する剤、特に 洗浄および清浄剤、対応する洗浄および清浄方法およびかかるプロテアーゼの対応する可能な用途が利用可能とされる。最後に、可能な技術用途が見いだされたプロテアーゼについて規定される。
【0028】
バチルス・プミラス由来のアルカリプロテアーゼの洗浄および清浄剤における使用は既に当業者に知られている。例えば、EP0572992において、バチルス・プミラス由来のアルカリプロテアーゼの洗浄および清浄剤における使用が記載されている。記載された酵素のタンパク質配列は開示されていない。
【0029】
Pan et al. (Current Microbiology 49 (2004)、165 169)、Aoyama et al. (Microbiol. Immunol. 44(5) (2000)、389-393)、Huang et al. (Current Microbiology 46 (2003、169-173)、Aoyama et al. (Appl. Microbiol. Biotechnol. 53 (2000)、390-395)、Yasuda et al. (Appl. Microbiol. Biotechnol. 51 (1999)、474-479)および Miyaji et al. (Letters in Applied Microbiology 42 (2006)、242-247) による刊行物は本発明の主題に対して最も近い従来技術であるとみなされる。3つの文献は配列 Q6SIX5 (Swiss-Prot)、Q9KWR4 (Swiss-Prot)、Q5XPN0 (Swiss-Prot) および/または Q2HXI3 (Swiss-Prot)を有するバチルス・プミラス プロテアーゼの使用を記載しており、 これらは本発明のプロテアーゼと非常に高い相同性を有する。革の脱毛がこれらプロテアーゼのいくつかの可能な用途であると記載されている。というのはこれらプロテアーゼはコラーゲンに対して非常に不活性でありそれゆえ革の脱毛に処置中に革に損傷を与えることなく利用できるからである。豆乳および豆乳製品の酵素処理がさらなる可能な用途として言及されている。トウモロコシの種子におけるタンパク質の主な構成成分であるゼインの分解が、プロテアーゼ Q2HXI3のための可能な用途として言及されている。しかし、これら酵素の洗浄および清浄剤における使用はこれら文献には開示されていない。
【0030】
本発明が基づく天然に形成されたサブチリシン型のアルカリプロテアーゼは、実施例に基づいて結論されるように、DSMZ (Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen [German Collection of Microorganisms and Cell Cultures])によってそれ自体として同定された新規なバチルス・プミラス株の培養上清から入手できる。反復可能性の目的のために、ブダペスト条約に従って、本発明の酵素の核酸配列を含むプラスミドは DSMZ (German Collection of Microorganisms and Cell Cultures、Braunschweig) に受託番号 DSMZ 18097として寄託した。
【0031】
本出願は天然生育地からプロテアーゼ-形成微生物を発見する戦略を探究し、それにより可能な限り徹底的に明記する要求を満たす天然に形成される酵素を探究した。
【0032】
本出願の実施例に記載するように、かかる酵素はバチルス・プミラス由来のアルカリプロテアーゼにおいて見いだされた。
【0033】
German Collection of Microorganisms and Cell Culturesによって行われた生化学的特徴決定を経て確認されうるように、この株は、タンパク分解活性を分泌する。SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動によると、それは分子量が27 kDであり等電点電気泳動法により決定したところ等電点が8.5を超える。
【0034】
バチルス・プミラス由来の新規な本発明のアルカリプロテアーゼのヌクレオチド配列を本出願の配列プロトコールにおいて配列番号1として規定する。それは1152 bpを含む。それに由来するアミノ酸配列を配列番号2に示す。それは383 アミノ酸を含み、その後に停止コドンが続く。このなかで、最初の108 アミノ酸はおそらくは成熟タンパク質には含まれていないので、これにより成熟タンパク質についての275 アミノ酸の長さがおそらくは生じる。
【0035】
これらの配列を一般にアクセス可能な データベースである Swiss-Prot (Geneva Bioinformatics (GeneBio) S.A.、Geneva、Switzerland; http://www.genebio.com/ sprot.html) およびGenBank (National Center for Biotechnology Information NCBI、National Institutes of Health、Bethesda、MD、USA)から入手可能なプロテアーゼ配列と比較し、最大の相同性を有するタンパク質を確認した。
【0036】
相同性の尺度は同一性のパーセンテージであり、これは、例えば、D. J. Lipman and W. R. Pearson、Science 227 (1985)、p. 1435-1441による方法にしたがって決定することが出来る。この値を全長タンパク質または指定すべきそれぞれの領域に問い合わせうる。同様に、もう1つの相同性の表現は保存変異も含み、即ち、類似の化学的活性を有するアミノ酸が考慮される。というのは、それらは通常タンパク質内で化学的活性を有するからである。核酸の場合、パーセンテージ同一性のみが知られている。
【0037】
DNA レベルでは、以下の遺伝子が全長遺伝子に対してもっとも類似するとして同定された: (1)バチルス・プミラス由来配列 Q5XPN0 (Swiss-Prot)、94% 同一性、(2)バチルス・プミラス由来配列 Q6SIX5(Swiss-Prot)、91% 同一性、(3)バチルス・プミラス由来配列 Q9KWR4(Swiss-Prot)、91% 同一性、(4)バチルス・プミラス由来配列 Q2HXI3 (Swiss-Prot)、91% 同一性。
【0038】
成熟タンパク質をコードするDNAのレベルでは: (1)バチルス・プミラス由来配列 Q5XPN0 (Swiss-Prot) 、95% 同一性、(2) バチルス・プミラス由来配列 Q2HXI3 (Swiss-Prot)、91% 同一性、(3)バチルス・プミラス由来配列 Q6SIX5 (Swiss-Prot)、90% 同一性、(4)バチルス・プミラス由来配列 Q9KWR4 (Swiss-Prot)、90% 同一性。
【0039】
全長プレプロタンパク質についてのアミノ酸レベルでは、以下のものがもっとも類似するとして同定された: (1)バチルス・プミラス由来配列 Q2HXI3 (Swiss-Prot)、98% 同一性 および/または7アミノ酸位置における変異(deviation)、(2)バチルス・プミラス由来配列 Q9KWR4 (Swiss-Prot)、98% 同一性 および/または9アミノ酸位置における変異、(3) バチルス・プミラス由来配列 Q6SIX5 (Swiss-Prot)、97% 同一性 および/または10 アミノ酸位置における変異、(4)バチルス・プミラス由来配列 Q5XPN0 (Swiss-Prot)、97% 同一性 および/または11 アミノ酸位置における変異。
【0040】
成熟タンパク質に対するアミノ酸レベルでは、以下のものがもっとも類似するとして同定された: (1)バチルス・プミラス由来配列 Q2HXI3 (Swiss-Prot)、98% 同一性 および/または5アミノ酸位置における変異、(2)バチルス・プミラス由来配列 Q6SIX5 (Swiss-Prot)、98% 同一性 および/または5アミノ酸位置における変異、(3)バチルス・プミラス由来配列 Q9KWR4 (Swiss-Prot)、98% 同一性 および/または 6アミノ酸位置における変異、(4)バチルス・プミラス由来配列 Q5XPN0 (Swiss-Prot)、97% 同一性 および/または7アミノ酸位置における変異。
【0041】
示したその他のサブチリシンに対する識別可能な対応および関係に基づいて、このアルカリプロテアーゼはサブチリシンであるとみなされる。
【0042】
本発明の1つの主題はしたがって、配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも 98.5%同一であるアミノ酸配列および/または配列番号2に示すアミノ酸配列から多くとも6アミノ酸位置にて変異しているアミノ酸配列を有するポリペプチド、特に加水分解酵素、特にサブチリシン型のアルカリプロテアーゼである。
【0043】
これらのなかで、そのアミノ酸配列が配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも 99%同一、特に 少なくとも 99.5%同一であるポリペプチド、および/または配列番号2に示すアミノ酸配列に関して多くとも5または4アミノ酸位置にて、特に多くとも3または2アミノ酸位置にて、特に好ましくは多くとも1アミノ酸位置にて変異しているポリペプチドがさらに好ましい。配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質がもっとも好ましい。
【0044】
それらの性質はバチルス・プミラス由来の本発明のアルカリプロテアーゼのものと非常に類似であると予測される。
【0045】
既に述べたように、N-末端配列の比較に基づいて、アミノ酸1〜108がおそらくはリーダーペプチドであるとみなされ、そしてアミノ酸1〜51はおそらくシグナルペプチドを構成しており、成熟タンパク質はおそらく配列番号2の位置109〜383にわたる。位置 384がしたがって終止コドンであると考えられ、それはいずれのアミノ酸とも対応しない。しかし、コード領域の末端に関する情報はアミノ酸配列の重要な成分であると見みなされ得、それゆえこの位置は成熟タンパク質に対応する領域に本発明によると含まれる。
【0046】
本発明の別の主題はしたがって 配列番号2に示すアミノ酸配列と、位置 109 〜位置 383において少なくとも 98.5%同一である、 および/またはこのアミノ酸配列から多くとも 4アミノ酸位置において変異している、アミノ酸配列を有するポリペプチド、特に加水分解酵素、特にサブチリシン型のアルカリプロテアーゼである。
【0047】
これらのなかで、特に好ましいポリペプチドは位置 109〜位置 383において配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも 99%、特に好ましくは 少なくとも 99.5%同一なアミノ酸配列および/または多くとも3アミノ酸位置、特に 多くとも2アミノ酸位置、特に好ましくは 多くとも1アミノ酸位置において配列番号2に示すアミノ酸配列から変異しているアミノ酸配列を有するものである。より特に好ましいのは、配列番号2に示す位置 109〜位置 383のアミノ酸配列を有するタンパク質である。
【0048】
例えば、バチルス・プミラスによってインビボで放出されるタンパク分解性タンパク質のN-末端配列決定によって、スプライス部位が配列番号2 の アミノ酸108と109との間ではなく、異なる位置にあるということが見いだされると、これらの記述は実際のスプライス部位 および/または実際の成熟タンパク質に関するものとする。
【0049】
本発明のさらなる主題は、成熟タンパク質の断片、特に従来技術と比較して新規な断片を含む。
【0050】
本発明のさらなる主題はそれゆえ、配列番号2の位置 109 〜383のアミノ酸配列の少なくとも 100の連続するアミノ酸、好ましくは 少なくとも 110、120、130または140の 連続するアミノ酸、特に好ましくは 少なくとも 150、175または 200、特に少なくとも 225 または250の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0051】
本発明のさらなる主題はそれゆえ、配列番号2の位置 109〜383の少なくとも 185の連続するアミノ酸、好ましくは 少なくとも 190、200 または210、特に少なくとも 220、230または250の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列、または多くとも1アミノ酸位置においてそれから変異しているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0052】
本発明のさらなる主題はそれゆえ、配列番号2の位置 109〜383の 少なくとも 240の連続するアミノ酸、好ましくは 少なくとも 245、250または 255、特に少なくとも 260、265 または270の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列、またはそれらから多くとも2アミノ酸位置、好ましくは 多くとも1アミノ酸位置にて変異しているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0053】
本発明のさらなる主題はそれゆえ、配列番号2に示す配列の位置109〜383の少なくとも 245の連続するアミノ酸、好ましくは 少なくとも 250または255、特に好ましくは 少なくとも 260または270の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列、またはそれらから多くとも3 位置、好ましくは 多くとも2位置、特に好ましくは 多くとも1位置において変異しているアミノ酸配列を含むポリペプチドも含む。
【0054】
本発明の別の主題はそれゆえ、配列番号2に示す配列の位置 207〜位置 378のアミノ酸配列またはそれらから多くとも4位置、好ましくは 多くとも3、特に好ましくは 多くとも2位置、特に多くとも1位置において異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0055】
シグナル ペプチドおよびプロペプチドも本発明の目的である単位を有するため、本発明の別の主題はそれらが新規である限り、かかるポリペプチドと相同性のあるペプチドを含む。 先に述べたように、アミノ酸1〜108はおそらくはリーダー ペプチドであり、アミノ酸1〜 51はおそらくシグナルペプチドであり、したがって、アミノ酸52〜108がプロペプチドである。本発明の別の主題はそれゆえ配列番号2の位置 1〜 位置 51および位置 1〜 位置 108のアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび1つのアミノ酸位置においてかかるアミノ酸配列から変異しているポリペプチドを含む。
【0056】
本発明の別の主題は以下に定義する本発明の ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。
【0057】
これはより好ましくは可能な限り配列番号1のヌクレオチド配列、特に配列番号2のポリペプチド位置109 〜384に対応する部分領域にわたって類似しているヌクレオチド配列由来のポリペプチドを含む。
【0058】
かかる核酸はその性質がバチルス・プミラス由来の本発明の アルカリプロテアーゼ、特に成熟タンパク質に類似しているタンパク質をコードすると予測される。ここでまた、以下のすべての態様と同様に、タンパク質のスプライス部位が上記したものとは異なる位置にみられる場合、これらの記述は実際の 成熟タンパク質についてのものである。
【0059】
本発明の主題のもっとも好ましい態様はしたがって、アミノ酸配列 が配列番号2に示すアミノ酸配列の全体、好ましくは位置109〜383と同一、および/またはアミノ酸配列が配列番号1、好ましくは位置325〜1152におけるヌクレオチド配列から由来しうるものであるサブチリシン型のアルカリプロテアーゼである。
【0060】
これには本出願によって入手可能となったバチルス・プミラス由来の新規に見いだされたアルカリプロテアーゼが当てはまる。
【0061】
これは従来技術においては知られていなかったプロテアーゼである。実施例において示すように、それは単離可能、生産可能および使用可能である。実施例において示されているように、さらにそれは好適な培地中で用いた場合にこの目的のために使用される確立された酵素の性能に少なくとも近づき、および/またはそれを超えるということを特徴とする。
【0062】
本発明のポリペプチドは、好ましくは酵素であり、特に好ましくは加水分解酵素であり、特にプロテアーゼ、特に好ましくはエンドペプチダーゼ、特にサブチリシン型のプロテアーゼまたはその部分である。本発明のポリペプチドはそれゆえ好ましくはタンパク質、特にタンパク質内部の酸アミド結合を加水分解することが出来る。ポリペプチドの部分は例えば特に、機能的キメラ酵素の形成に好適であり得るタンパク質ドメインであり得る。
【0063】
特に、天然に (微生物により) 形成された酵素として、洗浄剤において利用しうる工業用プロテアーゼの開発のために、それは本質的に知られた突然変異誘発方法、例えば、点突然変異誘発、断片化、欠失、挿入またはその他の修飾のその他のタンパク質またはタンパク質部分との融合により所望の用途のために最適化される出発点として働きうる。 かかる最適化には、例えば、温度の影響、pH 変動、酸化還元比および/または工業分野の使用に関連するその他の影響への適合が含まれうる。例えば、酸化安定性、変性剤またはタンパク質分解に対する安定性、高温に対する安定性、酸性または強いアルカリ性条件に対する安定性、カルシウムイオンまたはその他の補因子に対する感受性の変化、免疫原性またはアレルゲン性効果の低下における改善が望ましいことがあり得る。
【0064】
標的化点突然変異を介して、例えば、表面電荷または触媒作用または基質結合に関与するループをこの目的のために改変しうる。 これについての出発点は既知のプロテアーゼとのアラインメントである。これにより、その変化を介してタンパク質の性質の改善が達成されうる位置を必要であれば見いだすことが可能となる。
【0065】
突然変異誘発方法は、配列番号1に示すそれぞれの ヌクレオチド配列および/またはそれに十分に類似のヌクレオチド配列に基づき、本発明の別の主題として以下にさらに説明する。分子生物学の対応する方法は従来技術、例えば、ハンドブック、例えば、Fritsch、Sambrook and Maniatis "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," Cold Spring Harbour Laboratory Press、New York、1989に記載されている。
【0066】
それゆえ、点突然変異および/または置換突然変異に基づくすでに述べたタンパク質変異体が本発明のものであることに加え、本発明のその他の態様はそれゆえ、上記の本発明のすべてのポリペプチド、特に配列番号2のアミノ酸配列および/または配列番号2の位置 109〜位置 383のアミノ酸配列を有するポリペプチド、挿入突然変異誘発 および/または 置換突然変異誘発 および/または 逆位突然変異誘発 および/または少なくとも1つのその他のタンパク質またはタンパク質断片との融合に由来するポリペプチド、特に50 アミノ酸まで、特に好ましくは 40、30 または20 アミノ酸まで、特に15、10または5まで、特に4、3または2までのアミノ酸の挿入および/または 欠失および/または 逆位を有するポリペプチド、特に1アミノ酸の欠失および/または 挿入を有するポリペプチドも含む。
【0067】
例えば、酵素の末端またはループにおける個々のアミノ酸の欠失をそのタンパク分解活性を失うことなく行うことが可能である。かかる突然変異はWO 99/49057に例えば記載されている。WO 01/07575はかかる欠失を介して、それぞれのプロテアーゼのアレルゲン性が低減でき、それゆえその有用性を全体として改善できることを教示している。断片化は以下に記載する挿入突然変異誘発または置換突然変異誘発 および/または その他の酵素との融合の側面に有益である。これらの酵素の目的の用途に関して、断片化または欠失突然変異誘発の後にもそれらがタンパク分解活性を有しているのが特に好ましい。
【0068】
多数の従来技術文献はサブチラーゼにおける挿入および置換の有益な効果も開示している。原理的には、個々のアミノ酸の置換に加えて、複数の集まっているアミノ酸の一緒での置換もここに属する。より大きい酵素部分、例えば、上記の断片と、異なる機能を有するその他のプロテアーゼまたはタンパク質との新規な組合せもここに属する。したがって例えば、WO 99/57254に基づくと、その他のタンパク質由来の結合ドメイン、例えば、セルロース結合ドメインを有する本発明の タンパク質 またはその部分を融合タンパク質としてペプチドリンカーを介してまたは直接に提供することが可能であり、それにより基質の加水分解 をより有効にすることができる。同様に、本発明のタンパク質をアミラーゼまたはセルラーゼと結合させて、例えば、二重の機能を発揮させることも可能である。
【0069】
本発明のポリペプチドのなかで、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)由来のアルカリプロテアーゼの列挙における位置3、4、36、42、47、56、61、69、87、96、99、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、199、205、211、224、229、236、237、242、243、255および268において1以上の アミノ酸 交換を有するタンパク質 変異体も好ましい。
【0070】
本発明のキメラタンパク質はもっとも広い意味でタンパク分解活性を有する。これは本発明のポリペプチド由来の分子の一部により発揮または改変されうる。キメラタンパク質はその全長にわたる上記の範囲の外側でもあり得る。かかる融合の目的は、例えば、特定の機能または亜機能をそれに融合させる本発明のタンパク質部分の助けによって挿入または改変することにある。かかるキメラタンパク質が一本のポリペプチド鎖からなるか複数のサブユニットからなるかは本発明 の意味において無関係である。 後者の実行のために、例えば、一本のキメラポリペプチド鎖を複数の鎖に翻訳後標的化タンパク質切断によりまたは精製工程の後に分解することが可能である。
【0071】
例えば、WO 99/57254に基づき、その他のタンパク質由来の結合ドメイン、例えば、セルロース結合ドメインを有する本発明のポリペプチドまたはその部分をペプチドリンカーを介してまたは直接に融合タンパク質として提供し、それによって基質の加水分解をより有効にすることが可能である。かかる結合ドメインはプロテアーゼ由来のものであり得、例えば、本発明のタンパク質のプロテアーゼ基質への結合を強めることが可能である。これにより局所プロテアーゼ濃度が上昇し、それは個々の用途、例えば、原料の処理において有益であり得る。同様に、本発明のタンパク質はアミラーゼまたはセルラーゼに連結させて、例えば、二重の機能を発揮させることも可能である。
【0072】
挿入突然変異により得られうる本発明のポリペプチドは、その基本的類似性により本発明のキメラタンパク質であると分類される。これはまた置換変異体、即ち、分子の個々の領域がその他のタンパク質からの要素により置換されたものも含む。
【0073】
ハイブリッドの形成におけるように、挿入突然変異誘発および置換突然変異誘発の目的は、本発明のタンパク質の個々の性質、機能または亜機能をその他のタンパク質のものと組み合わせることである。これはまた、例えば、異なるプロテアーゼ由来の亜配列のシャフリングまたは組換えにより得られる変異体も含む。このようにして、以前に記載されたことのないタンパク質を得ることが出来る。かかる技術により劇的な効果または非常にわずかな活性の調節も可能となる。
【0074】
かかる突然変異は好ましくは定向進化に分類されるランダム方法により行われ、例えば、StEP 方法 (Zhao et al. (1998)、Nat. Biotechnol.、vol. 16、pp. 258-261)、ランダムプライミング組換え (Shao et al. (1998)、Nucleic Acids Res.、vol. 26、pp. 681-683)、DNA シャフリング (W.P.C. Stemmer (1994)、Nature、vol. 370、pp. 389-391)または再帰的配列 組換え (RSR; WO 98/27230、WO 97/20078、WO 95/2262) またはRACHITT 方法 (W. M. Coco et al. (2001)、Nat. Biotechnol.、vol. 19、pp. 354-359)による。かかる方法は好都合に、突然変異誘発および発現の後の所望の性質を有する変異体を認識するための選択方法またはスクリーニング方法と組み合わされる。これらの技術はDNA レベルで行われるため、バイオテクノロジーによる産生のための出発点はそれぞれの新規に作成された遺伝子について入手可能である。
【0075】
逆位突然変異誘発、即ち、部分的配列逆転は、欠失および挿入の一つの特別な形態であるとみなすことができる。かかる変異体はランダムにまたは標的化して作成しうる。
【0076】
上記説明の、タンパク質を加水分解することが出来ることを特徴とするすべてのかかる本発明のポリペプチドが好ましい。
【0077】
かかるポリペプチドは IUBMB のofficial Enzyme Nomenclature 1992 ofにしたがって3.4 (ペプチダーゼ)の下で一緒にされる。これらのなかで、エンドペプチダーゼ、特に群 3.4.21 セリンプロテイナーゼ、3.4.22 システインプロテイナーゼ、3.4.23 アスパラギン酸プロテイナーゼおよび3.4.24 メタロプロテイナーゼが好ましい。これらのなかで、サブチラーゼを含むセリンプロテイナーゼ (3.4.21)が特に好ましく、そのなかでもっとも好ましいのはサブチリシンである("Subtilases: Subtilisin-like proteases"、R. Siezen、pages 75-95、" Subtilisin Enzymes," edited by R. Bott and C. Betzel、New York、1996参照)。これらのなかで、群 IS 2のサブチリシンである、高度にアルカリ性のサブチリシンが好ましい。
【0078】
下記の使用の領域において、行われるタンパク質分解が特に重要であるため不活性分子よりも活性分子が好ましい。
【0079】
上記の断片はもっとも広い意味でのタンパク分解活性を有し、例えば、基質との複合体形成または加水分解に必要な構造要素を形成する活性を有する。それら自体を別々に考慮する場合、さらなるプロテアーゼ 成分の存在が必要ではない、その他のタンパク質の加水分解に利用される場合それらは好ましい。これはプロテアーゼ自体によって発揮されうる活性に関する; 同時に要求されうる緩衝物質、補因子などの存在はこれによって影響されない。
【0080】
断片よりも欠失突然変異体においてタンパク質の加水分解のための分子の様々な部分の相互作用が天然に存在し、これは融合タンパク質、特に関連するタンパク質のシャフリングに由来するものにおいて起こる。もっとも広い意味でのタンパク質分解機能が維持、修飾、特定または初めて達成されれば、欠失変異体および融合タンパク質は本発明のタンパク質である。本発明のこの主題の好ましい代表にはさらなるプロテアーゼ成分の存在を必要とせずにタンパク質基質をそれ自身で加水分解できるものが含まれる。
【0081】
好ましい態様は、さらに安定化されていることを特徴とする上記のすべてのかかる本発明のポリペプチドを構成する。
【0082】
その安定性はしたがって、貯蔵中および/またはその使用中、例えば洗浄工程において上昇し、その活性はより長く持続し、したがって増強される。本発明のプロテアーゼの安定性は、例えばポリマーとの結合により上昇されうる。タンパク質は対応する培地中での使用の前に化学カップリング工程によりかかるポリマーに結合される必要がある。
【0083】
分子自体の点突然変異誘発を介して可能な安定化が好ましい。というのは、それはタンパク質抽出の後にさらなる操作工程を必要としないからである。このためのいくつかの好適な点突然変異はそれ自体従来技術から公知である。例えば、プロテアーゼは特定のチロシンラジカルを他のものと交換することにより安定化されうる。
【0084】
その他の可能性としては、例えば以下が含まれる:
-特定のアミノ酸残基のプロリンとの交換;
-分子の表面上への極性または荷電基の導入;
-金属イオンの結合、特にカルシウム結合部位における変化;
-米国特許 5,453,372によると、タンパク質は、変性剤、例えば、 界面活性剤の影響から表面の特定の突然変異により保護されうる。
【0085】
高温および界面活性剤の作用に関する安定化の別の可能性はN-末端の近くに位置するアミノ酸の、分子の残りと非共有結合相互作用により接触することになるアミノ酸による交換を介する安定化であり、それにより球状構造の維持に貢献がもたらされる。
【0086】
好ましい態様は、さらに誘導体化されていることを特徴とする上記のすべてのかかる本発明のポリペプチドを含む。
【0087】
誘導体とはさらなる修飾を介して上記タンパク質に由来するタンパク質であると理解される。かかる修飾は、例えば、安定性、基質特異性または基質への結合強度または酵素活性に影響を与えうる。それはまたタンパク質のアレルゲン性 および/または 免疫原性の低減にも役立ち得、したがって例えば、耐容性を高める。
【0088】
かかる誘導体化は、例えば、生産性宿主生物によるタンパク質生合成と組み合わせて生物学的に達成しうる。低分子化合物、例えば、 脂質またはオリゴ糖のカップリングは特にここで強調されるべきである。
【0089】
しかし、誘導体化は化学的にも行うことが出来、例えば側鎖の化学的変換または別の化合物、例えば、高分子化合物のタンパク質への共有結合による。例えば、等電点を変えるためのアミンの、酵素のカルボキシル基へのカップリングをこのようにして行いうる。さらに、例えば、高分子、例えば、 タンパク質を二機能性化学物質を介して本発明の タンパク質に結合させることが出来る。かかる高分子は例えば、結合ドメインでありうる。かかる誘導体は洗浄剤または清浄剤における使用に特に好適である。同様に、リンカー、特に アミノ酸 リンカーを介してプロテアーゼ阻害剤も本発明のタンパク質に結合させることが出来る。その他の高分子化合物、例えば、ポリエチレングリコールへのカップリングは、さらなる性質、例えば、安定性または皮膚耐容性に関しても分子を改善する。
【0090】
本発明のタンパク質の誘導体ももっとも広い意味で理解され、これら酵素の調製物であり得る。タンパク質には様々なその他の物質、例えば、産生に応じて産生性微生物の培養液由来のもの、操作または調製由来のものが付随しうる。タンパク質は特定のその他の物質と例えばその安定性および貯蔵性の向上のために標的化されて混合されていることがある。それゆえ、本発明のタンパク質のすべての調製物もまた本発明のものである。これはまた特定の調製物においてそれが実際にこの酵素活性を発揮するか否かとは独立である。というのはそれは保存時には活性がわずかであるか活性がなく、使用時にのみそのタンパク質分解機能を発揮することが望ましいことがあり得るからである。これは、例えば、好適な付随する物質、例えば、プロテアーゼ阻害剤を介して制御しうる。
【0091】
好ましい態様は、上記の本発明のポリペプチドの1つに備えられる少なくとも1つの抗原決定基を有することを特徴とするすべてのタンパク質、タンパク質断片、融合タンパク質または誘導体を含む。
【0092】
タンパク質の二次構造的要素およびその三次元フォールディングは酵素活性を決定する。その一次構造において互いに明確に異なるドメインは空間的に非常に対応する構造を形成し得、同じ酵素の挙動をとることが可能となりうる。二次構造におけるかかる共有性は通常、抗血清または純粋またはモノクローナル抗体の対応する抗原決定基として認識される。互いに類似のタンパク質または誘導体はしたがって、免疫化学的交差反応に基づいて検出され得、割り当てられ得る。本発明の保護範囲はそれゆえ上記本発明のタンパク質、タンパク質断片、融合タンパク質または誘導体であると割り当てられ得る正確にかかるタンパク質であるものを含み、その基準はそれらの一次構造における相同性値によるのではなく、上記に関する免疫化学的関係による。
【0093】
好ましい態様は、天然源、特に微生物から得られうることを特徴とする上記のすべての本発明のポリペプチドを含む。
【0094】
これらは単細胞の真菌または細菌でありうる。それは、例えば、それらが通常産生および操作が多細胞生物または多細胞生物由来の細胞培養物よりも容易であるからであるが、多細胞生物または多細胞生物由来の細胞培養物も特定の態様の適当な選択肢を構成し得、したがって基本的には本発明の主題から排除されるものではない。
【0095】
天然の産生性生物が本発明の酵素を産生しうるがそれはその発現および/または周囲培地へのその分泌でしかなく、それは最初に確認された条件下では程度が低く、これは好適な周囲条件またはその他の因子が実験的に確認されてその影響下でそれらが本発明のタンパク質の経済的に適切な産生を刺激されうることを排除するものではない。かかる制御機構はバイオテクノロジーによる産生にとって標的化された様式で用いられ得る。これが不可能であるとしても、それらはそれぞれの遺伝子の単離に役立ちうる。
【0096】
これらのなかで、グラム陽性細菌のものが特に好ましい。
【0097】
それらは外膜を有さずタンパク質が直接周囲の培地に分泌および放出されるからである。
【0098】
もっとも特に好ましいのはバチルス属のグラム陽性細菌のものである。
【0099】
バチルス・プロテアーゼは様々な可能な技術用途に元々好適な性質を有する。これらには、高温、酸化剤または変性剤に関する特定の安定性が含まれる。さらに、例えば、好適なクローニングベクターの構築、宿主細胞および生育条件の選択または リスク、例えば、アレルゲン性の評価に関するバイオテクノロジーによる産生に関する微生物のプロテアーゼについての経験が非常に多く存在する。バチルスはまた、特に高い生産出力を工業プロセスにおいて示す産生性生物として確立されている。これらプロテアーゼの産生および使用において得られた豊富な経験は本発明による酵素のさらなる開発に有益である。例えば、これはそれらのその他の化学物質、例えば、洗浄剤または清浄剤の成分とのその適合性にも関する。
【0100】
バチルス種由来のものの中で、バチルス・プミラス種、特に本発明により用いられるバチルス・プミラスの株由来のものがさらに好ましい。
【0101】
本発明の酵素の態様は元々これらの種から得られた。そのそれぞれの配列が配列プロトコールに示される。上記の変異体は、この株または関連株から特に分子生物学の標準的方法、例えば、 PCR および/または本質的に知られた突然変異誘発方法を用いて産生することが出来る。
【0102】
問題のさらなる解決手段したがって本発明の別の主題は本発明の実施に役立つ核酸である。
【0103】
現在一般に知られている方法の使用、例えば、分子生物学の標準的方法および/または タンパク質化学と組み合わせての化学合成またはポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)の使用により、既知の DNA 配列および/または アミノ酸配列に基づいて当業者は全長遺伝子を作ることが可能である。かかる方法は例えば "Lexikon der Biochemie" [Lexicon of Biochemistry]、Spektrum Akademischer Verlag、Berlin、1999、vol. 1、pp. 267-271 and vol. 2、pp. 227-229から知られる。株コレクションに寄託した株にアクセスできるときにこれは特に可能である。 例えば、既知の配列に基づいておよび/または単離 mRNA 分子によって合成可能なPCR プライマーを用いて、それぞれの遺伝子を合成、クローニングおよび所望によりさらに処理でき、例えばかかる株から突然変異させることが出来る。
【0104】
核酸はほとんど全ての研究および分子生物学におけるさらなる開発ならびにタンパク質の産生の出発点を形成する。これらには特に遺伝子の配列決定およびそれぞれの アミノ酸配列の推定、あらゆるタイプの突然変異誘発 (上記参照)およびタンパク質の発現が含まれる。
【0105】
特定の性質を有するタンパク質の開発のための突然変異誘発はまた、「タンパク質操作」とも称される。最適化される性質は既に例として上記されている。かかる突然変異誘発は標的化した方法またはランダム方法で行うことが出来、例えば、活性に向けられた続く認識方法および/または選択方法 (スクリーニングおよび選択)のクローニングされた遺伝子に対する使用が挙げられ、これは例えば核酸プローブとのハイブリダイゼーションにより、または例えば活性を介した遺伝子産物、タンパク質に対する使用も挙げられる。本発明のプロテアーゼのさらなる開発は刊行物、”Protein engineering”、P. N. Bryan (2000)、 Biochim. Biophys. Acta、vol. 1543、pp. 203-222において示された考慮にも向けられ得る。
【0106】
本発明のさらなる主題はそれゆえ本発明のポリペプチド、特に 加水分解酵素、特にサブチリシン型のアルカリプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドも含む。本発明の主題は それゆえ特に以下を含む群から選択されるポリヌクレオチドも含む:
a)配列番号1の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
b)配列番号1の位置1〜153の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
c)配列番号1の位置1〜324の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
d)配列番号1の位置325〜1152の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
e)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
f)配列番号2の位置1〜51のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
g) 配列番号2の位置1〜108のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
h)配列番号2の位置109〜383のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
i)本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
j) 55までの突然変異、好ましくは50、45、40または 30までの、特に好ましくは25、20、15 または10 までの、特に9、8、7、6、5、4、3または2 までの突然変異、特に1つのみの 突然変異を有する(a)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
k) 8までの突然変異、好ましくは 7、6または 5までの、特に好ましくは 4、3または2までの突然変異、特に1つのみの 突然変異を有する(b)または(c)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
l) 40までの突然変異、好ましくは 35、30または 25までの、特に好ましくは20、15 または10 までの、特に 9、8、7、6、5、4、3または2までの突然変異、特に1つのみの 突然変異を有する(d)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
m) (a)のポリヌクレオチドに対して少なくとも 95%、好ましくは 少なくとも 96%または 97%、特に好ましくは 少なくとも 98%、特に少なくとも 99%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
n) (b)のポリヌクレオチドに対して少なくとも 95%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
o) (c)のポリヌクレオチドに対して少なくとも98%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
p) (d)のポリヌクレオチドに対して少なくとも 95.5%、好ましくは 少なくとも 96 または97%、特に好ましくは 少なくとも 98%、特に少なくとも 99%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
q)ストリンジェントな条件下で(a)、(b)、(c)または(d)のポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド、ここで「ストリンジェントな条件」という語は、好ましくは60℃での0.1xSSC および 0.1% ドデシル硫酸ナトリウム (SDS)を含む溶液中でのインキュベーションであると理解され、ここで 20xSSCは、3M 塩化ナトリウム および0.3M クエン酸ナトリウム (pH 7.0)を含む溶液をいう、
r) (a)、(c)、(d)、(g)、(h)、(m)または(p)のポリヌクレオチドの少なくとも 200、特に 少なくとも 250、300、350または 400の連続する核酸、特に好ましくは 少なくとも 450、500、550または 600、特に少なくとも 650、700、750または 800の連続する核酸を含むポリヌクレオチド、
s) (a)〜(r)のポリヌクレオチド、特に (a)または(d)のポリヌクレオチドに対して50までのヌクレオチド、好ましくは 40、30または 20までの、特に好ましくは15、10または 5 までの、特に 4、3または2までのヌクレオチドの欠失および/または挿入および/または 逆位、特に1つのみの ヌクレオチドの挿入および/または 欠失を有するポリヌクレオチド、
t) (a)〜(s)の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、
u) (a)〜(t)のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド。
【0107】
ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖の形態であってよい。本発明の主題はまた、デオキシリボ核酸に加えて、相同的および相補的なリボ核酸も含む。
【0108】
本発明の主題は特に発現のために用いられる宿主生物の異なるコドン使用頻度を考慮して特定の領域がその他の領域に置換されて本発明のポリペプチドの発現が可能となったポリヌクレオチドも含む。
【0109】
上記の本発明の核酸の上記記載によると、以下がより好ましい:
-天然源、特に微生物からえられうることを特徴とするもの;
-微生物がグラム陽性細菌であることを特徴とするもの;
- グラム陽性細菌がバチルス属のものであることを特徴とするもの、および
-バチルス種がバチルス・プミラス、特に本発明により用いられた株であることを特徴とするもの。
【0110】
上記の本発明の核酸領域の1つを含む、特に上記の本発明のポリペプチドの1つをコードするものを含むベクターは本発明の別の主題を構成する。
【0111】
本発明に関する核酸の操作およびしたがって特に本発明のポリペプチドの産生のための調製を可能とするために、それらは好適にはベクターに連結される。かかるベクターおよびそれぞれの操作方法は従来技術に詳細に記載されている。ベクターはクローニングと発現の両方のために多数市販されており、様々な改変体が市販されている。これらには、例えば、細菌プラスミド由来、バクテリオファージまたはウイルス由来のベクターまたは主に合成のベクターが含まれる。さらに、それらはそれらが確立されうる細胞タイプに応じて様々であり、例えば、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、酵母または高等真核生物のためのベクターなどがある。それらは、例えば分子生物学および生化学における研究のためおよびそれぞれの遺伝子またはそれぞれのタンパク質の発現のために好適な出発点を形成する。
【0112】
1つの態様において、本発明のベクターはクローニングベクターである。
【0113】
クローニングベクターは目的遺伝子の保存、生物学的増幅または分泌だけでなく分子生物学によるその特徴決定にも好適である。それらは同時に輸送および保存が良好に出来、分子生物学の方法の出発点を構成する請求される核酸の形態である;それらは細胞に結合してないこともあり、例えば、 PCRまたはインビトロ突然変異誘発方法においてはそうである。
【0114】
1つの態様において、本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。
【0115】
かかる発現ベクターは、生物学的産生系における対応する核酸の実行およびしたがってそれぞれのタンパク質の産生の基礎である。この本発明の主題の好ましい態様は、発現に必要な遺伝要素、例えば、この遺伝子の上流に元々位置する天然プロモーターまたはその他の生物からのプロモーターを担持する発現ベクターを含む。これらの要素は例えばいわゆる発現カセットの形態において配置されうる。あるいは、個々の 調節要素またはすべての調節要素もそれぞれの宿主細胞により入手可能となりうる。発現ベクターは特に好ましくはさらなる性質、例えば、最適コピー数、選択した発現系、特に宿主細胞 (以下参照)に適合している。
【0116】
発現ベクターが好ましくはそれぞれの遺伝子のみをインサートとして含み大きい 5'または3'非コード領域を有さないことが、高い発現速度のために有益である。かかるインサートは、例えば、出発株の染色体DNAの制限酵素によるランダム処理の後に得られた断片が配列決定の後で発現ベクターへの組込みの前に標的化した方法で再びスプライシングされた場合に得られる。
【0117】
発現ベクターの一例はベクター pAWA22である。その他のベクターは従来技術から当業者に入手可能であり、多数市販されている。
【0118】
遺伝子操作方法によって改変された後の本発明の ポリヌクレオチドを含む細胞は本発明の別の主題を形成する。
【0119】
これら細胞は本発明のタンパク質の合成のための遺伝情報を含む。上記および請求する天然の産生性生物とは異なり、これは本質的に知られた方法による、および/または かかる細胞に由来する本発明の核酸を備えた細胞を含む。比較的培養が容易でありおよび/または高生産収率を与えるかかる宿主細胞はこの目的のために好適に選択される。
【0120】
それらは、例えば、対応する遺伝子の増幅だけでなく、それぞれのタンパク質の突然変異誘発または転写および翻訳そして最終的にはバイオテクノロジーによる産生を可能とする。この遺伝情報は別々の遺伝要素として染色体外に存在しうるし、即ち、細菌においてはプラスミドに位置して存在しうるし、あるいは染色体に組み込まれて存在しうる。好適な系の選択は 答えるべき質問、例えば、遺伝子および/または生物の保存のタイプおよび期間または突然変異誘発または選択のタイプに依存する。したがってバクテリオファージおよびその特異的宿主細胞に基づく突然変異誘発方法および選択方法が従来技術において記載されており、例えば、洗浄剤酵素の開発について記載されている。
【0121】
本発明のポリヌクレオチドは好ましくは上記の本発明のベクターのいずれか、特にクローニングベクターまたは発現ベクターの一部である。
【0122】
このようにして、それらは本発明の実行に関連する。
【0123】
さらに、本発明のポリペプチドを発現、好ましくは分泌する細胞が好ましい。
【0124】
タンパク質を形成する宿主細胞のみがそのバイオテクノロジーによる産生を可能とする。原理的にはすべての生物、即ち、原核細胞、真核細胞またはラン藻がタンパク質発現のための宿主細胞として好適である。例えば、発現ベクターによる形質転換、その安定な発現の確立および制御に関して遺伝的に良好に操作可能な宿主細胞、例えば、単細胞真菌または細菌が好ましい。さらに、好ましい宿主細胞は良好な微生物学的およびバイオテクノロジー的操作可能性を特徴とする。例えば、これは、容易な培養可能性、高い増殖速度、発酵培地の低い要求および外来タンパク質の良好な産生速度および分泌速度に関する。発現に向けられた実験室用株が 好ましくは選択される。それらは市販されているかまたは 一般にアクセス可能な株コレクションにより入手できる。それぞれの本発明のタンパク質は理論的には複数の宿主生物からこのようにして得ることが出来る。従来技術にしたがって入手可能な異なる系が様々にあるなかから、個々の場合のために最適の発現系を実験的に確認しなければならない。
【0125】
それ自体プロテアーゼ-陰性であり、形成されたタンパク質を分解しない宿主細胞が特に有益である。
【0126】
好ましい態様は対応する遺伝要素に基づいて、例えば、化学物質の制御された添加により、培養条件の変化により、またはそれぞれの細胞密度の関数としてその活性が制御可能な宿主細胞を含む。この制御可能な発現は問題のタンパク質の非常に経済的な産生を可能とする; それは、例えば、それぞれの ベクター上の対応する要素を介して実行可能である。遺伝子、発現ベクターおよび宿主細胞は発現に必要な遺伝要素 (リボソーム結合部位、プロモーター、ターミネーター)またはコドン使用頻度に関して好適に互いに協調される。
【0127】
これらのなかで、周囲培地中に形成されるタンパク質を分泌する発現宿主が好ましい。というのはそれは比較的単純なプロセシングを可能とするからである。
【0128】
細菌も好ましい宿主細胞である。
【0129】
細菌は短い世代時間および培養条件に関する低い要求性を特徴とする。それゆえ、安価な方法が確立できる。さらに、発酵技術において細菌を用いた多数の経験が存在する。特定の産生について、グラム陰性またはグラム陽性細菌が好適であり得、個々の場合において実験的に確認すべき多数の理由、例えば、 栄養素源、生成物形成速度、必要な時間などによる。
【0130】
好ましい態様において、それは、グラム陰性細菌、特に大腸菌またはクレブシエラ属、特に大腸菌 K12、大腸菌 Bまたはクレブシエラ・プランチコラの株のもの、特に大腸菌 BL21 (DE3)、大腸菌 RV308、大腸菌 DH5α、大腸菌 JM109、大腸菌 XL-1またはクレブシエラ・プランチコラ (Rf)の株の誘導体に関する。
【0131】
グラム陰性細菌、例えば、大腸菌の場合、複数のタンパク質が細胞膜周辺腔に分泌される。これは特定の用途に有益であり得る。特許出願 WO 01/81597において、グラム陰性細菌が発現したタンパク質を分泌する結果を達成する方法が開示されている。かかる系はまた本発明のタンパク質の産生にも好適である。好ましいとして記載したグラム陰性細菌は通常容易に入手可能であり、即ち市販されているかまたは公共の株コレクションから入手でき、例えば、ベクターなどの多数が入手可能なその他の成分と合わせて特定の産生条件のために最適化されうる。
【0132】
あまり好ましくない別の態様はグラム陽性細菌、特にバチルス、スタフィロコッカスまたはコリネバクテリウムの属のもの、特にバチルス・レンタス、バチルス・リチェニフォルミス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・スブチリス、バチルス・グロビギイ、バチルス・ギブソニイ、バチルス・プミラスまたはバチルス・アルカロフィラス、スタフィロコッカス・カルノサスまたはコリネバクテリウム・グルタミカムの種のものを含む。
【0133】
グラム陽性細菌はグラム陰性細菌と比較して基本的な相違を有し、それらは分泌タンパク質を直接細胞の周囲にある培地に運ぶ; 所望の場合、発現した本発明のタンパク質は培地から直接精製することが出来る。さらに、それらは工業的に重要な サブチリシンのための起源生物のほとんどに関連または同一であり、通常匹敵するサブチリシン自体を形成するため、それらは類似のコドン使用頻度を有し、それらのタンパク質合成装置はしたがって天然に整列される。さらなる利点はこの方法により、本発明のタンパク質と宿主株によって内在的に形成されたサブチリシンとの混合物が得られるという事実に存在しうる。かかる共発現は特許出願 WO 91/02792にも開示されている。これが望ましくない場合、宿主細胞に天然に存在するプロテアーゼ遺伝子が永久にまたは一時的に不活性化される必要がある。
【0134】
真核細胞もまた好ましい宿主細胞であり、好ましくはサッカロマイセス 属のものである。
【0135】
これらの例としては、真菌、例えば、 放線菌または酵母、例えば、 サッカロマイセスまたはクリベロマイセスが挙げられる。好熱性真菌発現系が例えば WO 96/02653 A1に開示されている。 かかる系は温度安定性変異体の発現に特に好適である。真核系に、特にタンパク質合成と合わせて行われる修飾としては、例えば、低分子化合物、例えば、 膜アンカーまたはオリゴ糖の結合が挙げられる。かかるオリゴ糖修飾因子は、例えば、アレルゲン性の低減に望ましいことがある。かかる細胞によって天然に形成される酵素、例えば、セルラーゼとの共発現も有益であり得る。
【0136】
本発明のポリペプチドを産生する方法は独立の本発明の主題を構成する。
【0137】
これは上記の、例えば、化学合成方法による本発明のポリペプチドの産生方法を含む。
【0138】
しかし一方、個々の側面において上記した、従来技術において確立されているすべての上記の本発明の核酸に基づく分子生物学、微生物学 および/または 生物工学産生方法が好ましい。上記によると、配列プロトコールに配列番号1にて示される核酸またはそれに由来の突然変異体または亜配列はこのために利用できる。
【0139】
上記同定のベクターを使用して行われる、特に好ましくは上記同定した細胞、好ましくは遺伝的に改変された細胞を用いて行われる方法が好ましい。このようにして、好ましい遺伝情報は微生物学的に利用されうる形態にて入手可能とされる。
【0140】
本発明の態様はまたそれぞれの核酸配列に基づくタンパク質生合成がインビトロで再現される無細胞発現系でありうる。上記のすべての要素が組み合わされて本発明のタンパク質を産生する新規な方法がえられうる。 方法の工程の複数の可能な組合せがそれぞれの本発明のタンパク質について考えられ、したがって最適方法を個々の場合について実験的に確認しなければならない。
【0141】
上記の方法についての記載によると、宿主株の1つのコドン、好ましくは数個のコドンにおいて、宿主株のコドン使用頻度に適合されたヌクレオチド配列をもつものが好ましい。
【0142】
本発明の別の主題は上記の本発明のポリペプチドを含む剤を含む。
【0143】
あらゆるタイプのその有用性が上記の本発明のタンパク質の添加によって改善される剤、特に混合物、処方、溶液等が本発明の保護範囲に含まれる。使用分野に応じて、これらは固体混合物、例えば粉末であり得、凍結乾燥またはカプセル封入したタンパク質またはゼラチン性または液体剤を有しうる。好ましい処方は、例えば、緩衝物質、安定化剤、反応物および/またはプロテアーゼの補因子および/またはプロテアーゼと相乗作用するその他の成分を含む。これらは特に以下に記載する使用分野のための剤を含む。さらなる使用分野は従来技術から導かれ、ハンドブック、「Industrial Enzymes and Their Applications」、H. Uhlig、Wiley-Verlag、New York、1998、に例えば記載されている。
【0144】
ここで可能な使用分野としては、特に織物産生における原料または中間体の生産または処理のための使用、特に織物、特にウールまたはシルクの汚れた層の除去のための使用、ならびに天然繊維、特に ウールまたはシルクを含む織物の手入れのための使用が挙げられる。
【0145】
天然繊維、特に、例えば、 ウールまたはシルクは、特徴的な微細な表面構造によって特徴づけられる。これは例えば、長期間では望ましくないフェルト化などの作用を導き得、ウールの例についてはR. Breier、Melliand Textilberichte of April 1、2000 (page 263)の記事に説明されている。かかる作用を避けるために、天然原料は本発明の剤により処理され、これは、例えば、タンパク質構造に基づく鱗状の表面構造を滑らかにするのに貢献し、したがってフェルト化を防ぐ。
【0146】
本発明の主題はしたがって織物原料の処理および織物の手入れのための方法を含み、ここで本発明のポリペプチドが少なくとも1つの方法の工程にて用いられる。なかでも、天然成分を含む織物原料、繊維または織物のための好ましい方法は特にウールまたはシルクを含むもののためである。例えば、これらは材料が織物の生産のためのプロセシング、例えばフェルト化防止仕上げのために調製される方法であり得、例えば、すり切れた織物のケア成分の添加による清浄を向上させる方法であり得る。
【0147】
その他の可能な使用分野としては、例えば以下が挙げられる:
-低分子化合物またはタンパク質の生化学的分析または合成のための使用、好ましくはペプチド配列分析の一部としての末端基決定のための使用を含む;
-価値ある生物学的材料の天然物質の調製、精製または合成のための使用;
-天然原料の処理、特に表面処理、特に革処理方法のため、特に革の脱毛のための使用;
-写真用フィルムの処理、特にゼラチン含有層または類似の保護層の除去のための使用; および、
-食品または飼料の産生、特に豆乳 および/または 豆乳製品の酵素処理のための使用。
【0148】
好適であることが見いだされたその他のすべての技術分野における上記の 本発明のポリペプチドの使用が本質的に本出願の保護範囲に含まれる。
【0149】
別の本発明の可能な用途は本発明のポリペプチドの化粧品における使用である。これらはヒト皮膚またはヒト毛髪のためのあらゆるタイプの清浄およびケア剤、特に清浄剤を含むと理解される。剤は意図する用途に応じて医薬品であってもよい。
【0150】
プロテアーゼはヒトの皮膚の細胞再生プロセス(落屑) において重要な役割を果たす(T. Egelrud et al.、Acta Derm. Venerol.、vol. 71 (1991)、pp. 471-474)。したがって、プロテアーゼはまた、乾燥した皮膚において上昇するデスモソーム構造の分解を支持する皮膚 ケア剤中の生理活性成分として使用される。化粧品の目的のための位置 R99G/A/S、S154D/E および/または L211D/Eにおいてアミノ酸交換を有するサブチリシンプロテアーゼの使用が例えばWO 97/07770 A1に記載されている。 上記記載によると、本発明のプロテアーゼはまた対応する点突然変異を介してさらに開発することができる。本発明の プロテアーゼ、特にその活性が、例えば突然変異誘発またはそれらと相互作用する対応する物質の添加により制御されるものが、したがって皮膚または毛髪清浄剤またはケア剤における活性成分として好適である。例えば高分子担体とのカップリングによって安定化された(US 5,230,891) および/またはアレルギー原性の高い位置にて点突然変異によって誘導体化された上記のこれら酵素の調製物が特に好ましく、それらはヒトに対してより高い皮膚 耐容性を示す。
【0151】
本発明の化粧品および/または医薬品の例としては、シャンプー、セッケン、洗浄ローション、クリーム、ピーリング剤ならびに口腔、歯科または歯科補綴ケア剤が挙げられる。これらの剤は特に例えば、洗浄および清浄剤のために下記する成分を含みうる。
【0152】
したがって、対応する化粧清浄およびケア方法および化粧品の目的でのかかるタンパク質分解酵素の使用が本発明の主題に含まれ、特に対応する剤、例えば、シャンプー、セッケンまたは洗浄ローションまたは例えばクリームの形態で提供されるケア剤に含まれる。例えばピーリング医薬品における使用、その生産のための使用もこの主題に含まれる。
【0153】
本発明のポリペプチドを含む洗浄および清浄剤は本発明による特に好ましい 主題である。というのは本出願の例示的態様に示すように従来用いられていたプロテアーゼを含む剤と比較しての洗浄能力の向上が、驚くべきことに本発明によると好ましいプロテアーゼを用いる洗浄および清浄剤によって観察されたからである。
【0154】
本出願の意味での洗浄剤 および/または 清浄剤の洗浄能力または清浄能力は、問題の剤が汚れた品物、例えば、織物または硬表面を有する対象に対して有する効果をいうと理解される。かかる剤の個々の成分、特に本発明の酵素は、洗浄剤 および/または 清浄剤全体の洗浄能力または清浄能力に対するそれらの寄与に関して評価される。特にここで考慮されるべきは、剤の洗浄能力への酵素の貢献を酵素的性質から容易に推測することはできないということである。そうではなく、酵素活性に加えて特に、因子、例えば、 安定性、基質結合、清浄すべき材料への結合または洗浄剤または清浄剤のその他の成分との相互作用によって役割が果たされ、特に汚れの除去における可能な相乗効果による役割も果たされる。
【0155】
上記に説明したように、相同性プロテアーゼである Q5XPN0、Q2HXI3、Q9KWR4 およびQ6SIX5 の洗浄剤または清浄剤における使用は開示されていない。
【0156】
本発明の別の主題はそれゆえ、特に界面活性剤および/または漂白剤を含む、ポリペプチド、特に加水分解酵素、好ましくはプロテアーゼ、特に好ましくは以下を含む群から選択されるサブチリシン型のアルカリプロテアーゼを含む洗浄および清浄剤を含む:
a)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
b)配列番号2の位置109〜383のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
c) 50 までの突然変異、より好ましくは 45、40、35、30、25または20までの突然変異、特に15、12、10、9、8、7、6または5までの突然変異、特に好ましくは 4、3または2 までの突然変異、特に1つのみの突然変異を有する(a)または(b)のポリペプチドの天然または人工的に作成した突然変異体、多型形態または対立遺伝子、
d) (a)または(b)のポリペプチドに対して少なくとも 80%、より好ましくは少なくとも 81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または 90%、特に好ましくは 少なくとも 91%、92%、93%、94%または 95%、特に少なくとも 96%、97%、98%または 99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチド、
e) (a)または(b)のアミノ酸配列の少なくとも 50の連続するアミノ酸、より好ましくは 少なくとも 60、70、80、90または 100、特に好ましくは 少なくとも 120、140、160、180または 200、特に少なくとも 220、240、260または 270の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、
f) (a)、(b)、(c)、(d)または(e)のポリペプチドに対して50までのアミノ酸、好ましくは 40、30または 20までの、特に好ましくは15、10または 5までの、特に 4、3または2までのアミノ酸の挿入および/または 欠失および/または 逆位、特に1つのみの アミノ酸 の挿入および/または 欠失を有するポリペプチド、
g) (a)〜(f)に列挙する少なくとも1つのポリペプチドを含むポリペプチド。
【0157】
ここで本発明の主題は、好ましくは、配列番号2の本発明のポリペプチドおよび/または配列番号2の位置109〜383の本発明のポリペプチドとより高い相同性を有する上記の本発明のポリペプチドを含む洗浄および清浄剤を含む。
【0158】
本発明の洗浄および清浄剤は、洗浄機または手洗いおよび/または手清浄において経済的規模で使用される、考え得るタイプのすべての清浄剤、濃縮物および希釈されずに使用される剤の両方を含みうる。これらは、例えば、織物、カーペットまたは天然繊維のための洗浄剤を含み、洗浄剤という用語は本発明にしたがって用いられる。これらはまた、例えば、硬表面、例えば、 金属、ガラス、磁器、セラミック、タイル、石、ラッカー塗装表面、プラスチック、木または革のための皿洗い機のための皿洗い用洗浄剤または手作業による皿洗い用洗浄剤または清浄剤を含む; 清浄剤という用語は本発明によるとかかる製品について用いられる。より広い意味において、滅菌剤および消毒剤も本発明の意味での洗浄および清浄剤と見なされうる。
【0159】
本発明の態様は本発明の洗浄剤または清浄剤および/または従来技術により確立されたもののすべての目的にかなった 剤形を含む。これらには、例えば、固体、粉末化、液体、ゼラチン状またはペースト状剤が挙げられ、多相を含んでいてもよく、圧縮されていても圧縮されていなくてもよい; さらに、これらには、例えば、成形品、顆粒、錠剤またはパウチ、大きい缶に梱包されたものならびに小分けして梱包されたものが挙げられる。
【0160】
好ましい態様において、本発明の洗浄剤または清浄剤は上記の本発明のポリペプチド、特にサブチリシン型アルカリプロテアーゼを、剤1g当たり2 μg 〜 20 mg、好ましくは 5 μg 〜17.5 mg、特に好ましくは 20 μg 〜15 mg、もっとも特に好ましくは50 μg 〜 10 mgの量で含む。これはこれらの数の間のすべての値を含み、整数も整数でないものも含む。
【0161】
かかる剤におけるプロテアーゼ活性はTenside [Surfactants]、vol. 7 (1970)、pp. 125-132に記載の方法にしたがって決定することが出来る。プロテアーゼ 活性は PE (プロテアーゼユニット)にて示される。
【0162】
本出願の実施例におけるように2つの洗浄剤 酵素の性能の比較において、例えば、タンパク質-均等使用および活性-均等使用を区別しなければならない。特に遺伝子操作によって生じ、ほとんど二次活性がない調製物の場合には、タンパク質-均等使用が示される。これは同じ量のタンパク質が、酵素産生の収率の尺度として匹敵する結果を導くかどうかに関する記述を可能にする。全タンパク質に対する活性物質のそれぞれの比(比活性の値)が大幅に異なれば、活性-均等比較が推奨される。というのはそれぞれの酵素的性質はこのようにして比較されるからである。一般に、低い比活性は大量のタンパク質の添加によって補償できるということは正しい。これは最終的には経済的考慮である。
【0163】
本発明のポリペプチドに加えて、本発明の洗浄剤または清浄剤はその他の成分、例えば、さらなる酵素、酵素安定化剤、界面活性剤、例えば、非イオン性、アニオン性 および/または 両性 界面活性剤および/または 漂白剤および/または ビルダーを含んでいてもよく、同様に、下記のその他の常套の成分も含んでいてもよい。
【0164】
好ましくはアルコキシ化され、好ましくはエトキシ化された、特に 一級アルコール、好ましくは8 〜18 炭素原子であって アルコール1mol 当たり平均1から12 molのエチレンオキシド (EO)を有するものが非イオン性界面活性剤として用いられ、ここでアルコール ラジカルは直鎖状または好ましくは メチル分岐を2位に有していてもよく、および/または直鎖状およびメチル分岐 ラジカルを混合物中に含んでいてもよく、例えば、オキソアルコール ラジカルに通常みられるものが挙げられる。しかし特に、12 〜 18 炭素原子を有する天然起源のアルコールの直鎖状 ラジカルを有するアルコール エトキシラート、例えば、ヤシ脂肪 アルコール、パーム脂肪 アルコール、獣脂脂肪アルコールまたはオレイルアルコール由来であって アルコール1mol 当たり平均2〜8 EOを有するものが好ましい。好ましい エトキシ化 アルコールとしては、例えば、3 EO または 4 EOを有するC12-14 アルコール、7 EOを有するC9-11 アルコール、3 EO、5 EO、7 EOまたは8 EOを有するC13 15 アルコール、3 EO、5 EO または7 EOを有するC12-18 アルコールおよびそれらの混合物、例えば、3 EOを有するC12-14 アルコールと5 EO を有するC12-18 アルコール の混合物が挙げられる。上記のエトキシ化の程度は統計的平均であって、特定の産物についての整数または分数であり得る。好ましい アルコール エトキシラートは狭い同族体分布を有する(狭い範囲のエトキシラート、NRE)。これら非イオン性界面活性剤に加えて、12 EOを超えるEOを有する脂肪アルコールが利用できる。これらの例としては14 EO、25 EO、30 EO または 40 EOを有する獣脂脂肪アルコールが挙げられる。
【0165】
使用に好ましく、単独で非イオン性界面活性剤としてまたは その他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて用いられ得る非イオン性 界面活性剤の別のクラスにはアルコキシ化、好ましくは エトキシ化またはエトキシ化およびプロポキシ化 脂肪酸 アルキルエステルが挙げられ、好ましくは1〜 4 炭素原子をアルキル 鎖に有するもの、特に 脂肪酸 メチルエステルが挙げられる。
【0166】
好適に使用されうるもう一つのクラスの非イオン性界面活性剤はアルキル ポリグリコシド(APG)である。利用可能なアルキル ポリグリコシドは一般式 RO(G)z に従う(ここでRは8 〜 22 炭素原子、好ましくは 12 〜 18 炭素原子の直鎖状または分岐状、特に2位においてメチル分岐した、飽和または不飽和 脂肪族 ラジカルを示し、Gは5または6 炭素原子を有するグリコース単位、好ましくは グルコースを表す記号である)。グリコシル化の程度であるzはここで1.0〜4.0であり、好ましくは1.0〜2.0であり、特に1.1〜1.4である。直鎖状 アルキル ポリグルコシド、即ち、ポリグルコシル ラジカルがグルコース ラジカル であり、アルキル ラジカルが n-アルキル ラジカルであるアルキル ポリグリコシドがここでの使用に好ましい。
【0167】
アミンオキシドタイプの非イオン性界面活性剤、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシドおよびN-獣脂 アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシドおよび脂肪酸 アルカノールアミドも非イオン性界面活性剤として好適でありうる。これら非イオン性界面活性剤の量は好ましくはエトキシ化 脂肪アルコールの量を超えず、特にその半分を超えない。
【0168】
その他の好適な界面活性剤には式 (II)のポリヒドロキシ 脂肪酸 アミドが含まれる:
【化1】

[式中、 RCOは 6〜 22 炭素原子の脂肪族 アシル ラジカルを表し、R1 は水素、1〜4 炭素原子のアルキルまたはヒドロキシアルキル ラジカルを表し、 [Z]は3〜10 炭素原子および3〜10 ヒドロキシル基を有する直鎖状または分岐状 ポリヒドロキシアルキル ラジカルを表す]。ポリヒドロキシ 脂肪酸 アミドは既知の物質であり、還元糖のアンモニウム、アルキルアミンまたはアルカノールアミンによる還元的アミノ化、次いで脂肪酸、脂肪酸 アルキルエステルまたは脂肪酸クロリドによるアシル化によって通常えられうる。
【0169】
ポリヒドロキシ 脂肪酸 アミドの群はまた、式 (III)の化合物も含む:
【化2】

[式中、R は、7〜12 炭素原子の直鎖状または分岐状アルキルまたはアルケニル ラジカルを表し、R1 は、2〜 8 炭素原子の直鎖状、分岐状または環状 アルキル ラジカルまたはアリール ラジカルを表し、R2 は、1 〜 8 炭素原子の直鎖状、分岐状 または環状 アルキル ラジカルまたはアリール ラジカルまたはオキシアルキル ラジカルを表し、ここでC1-4 アルキルまたはフェニル ラジカルが好ましく、[Z] は、直鎖状 ポリヒドロキシアルキル ラジカルであり、そのアルキル鎖が少なくとも2のヒドロキシル基で置換されているか、またはこのラジカルのアルコキシ化、好ましくは エトキシ化またはプロポキシ化 誘導体を表す]。
【0170】
[Z]は好ましくは、還元糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロースの還元的アミノ化によって得られる。N アルコキシ- または N-アリールオキシ-置換化合物は触媒としてのアルコキシドの存在下での脂肪酸 メチルエステルとの反応により所望のポリヒドロキシ 脂肪酸 アミドに変換できる。
【0171】
使用されるアニオン性 界面活性剤としては、例えば、スルホネートおよび サルフェートタイプのものが挙げられる。考慮されうるスルホネートタイプの 界面活性剤としては、好ましくは以下が挙げられる:C9ー13 アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、即ち、アルケンスルホネートとアルケンジスルホネートの混合物およびヒドロキシアルカンスルホネートおよびジスルホネート、例えば、気体状三酸化硫黄によるスルホン化 および次いでスルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解によって末端または内部二重結合を有するC12-18 モノオレフィンから得られたもの。C12-18 アルカンから、例えば、スルホ塩素化またはスルホン酸化、次いで加水分解 および/または 中和によって得られたアルカンスルホネートも好適である。同様に、α-スルホ脂肪酸のエステル (エステルスルホネート)、例えば、水素化ヤシ脂肪酸、パーム核 脂肪酸または獣脂 脂肪酸のα-スルホン化 メチルエステルも好適である。
【0172】
その他の好適なアニオン性界面活性剤としては硫酸化 脂肪酸 グリセロール エステルが挙げられる。 脂肪酸 グリセロール エステルにはモノエステル、ジエステルおよびトリエステルならびにその混合物、例えば、モノグリセロールの 1〜3 mol 脂肪酸 によるエステル化による産生において得られたもの、または トリグリセリドの 0.3〜2 mol グリセロールによるトランスエステル化において得られたものが含まれると理解される。好ましい 硫酸化 脂肪酸 グリセロール エステルは6〜22 炭素原子の飽和脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸の硫酸化生成物である。
【0173】
好ましい アルキル(アルケニル) サルフェートは、 C12-C18 脂肪アルコールの硫酸 ヘミエステルのアルカリ塩、特にナトリウム塩であり、例えば、ココナツ 脂肪アルコール、獣脂 脂肪アルコール、ラウリル アルコール、ミリスチル アルコール、セチル アルコールまたはステアリル アルコールまたは C10-C20 オキソ アルコールおよびこれらの鎖長の二級アルコールのヘミエステル由来のものである。石油化学に基づいて作られた合成直鎖 アルキル ラジカルを含み、脂肪化学からの原料に基づく適切な化合物と類似の分解挙動を有する、上記の鎖長のアルキル(アルケニル) サルフェートも好ましい。洗浄剤のために技術的に興味深いのは、C12-C16 アルキル サルフェートおよび C12-C15 アルキル サルフェートであり、C14-C15 アルキル サルフェートが好ましい。2,3-アルキル サルフェートも好適な アニオン性 界面活性剤である。
【0174】
1〜6 molのエチレンオキシドを有するエトキシ化された直鎖状または分岐状 C7-21 アルコールの硫酸 モノエステルも好適であり、例えば、平均3.5 molのエチレンオキシド (EO)を有する2-メチル分岐 C9-11 アルコールまたは1〜4のEOを有する C12-18 脂肪アルコールが挙げられる。それらは清浄剤においては比較的少量でのみ用いられ、それらの高い気泡挙動により例えば5 wt% までの量であり、通常 1〜 5 wt%の量である。
【0175】
その他の好適な アニオン性 界面活性剤としてはアルキル スルホコハク酸の塩が挙げられ、それらはスルホスクシネートまたはスルホコハク酸 エステルとも称され、スルホコハク酸とアルコール、好ましくは 脂肪アルコールおよび特に エトキシ化 脂肪アルコールとのモノエステル および/または ジエステルも挙げられる。好ましい スルホスクシネートは C8-18 脂肪アルコール ラジカルまたはその混合物を含む。好ましい スルホスクシネートは特にエトキシ化 脂肪アルコール由来の脂肪アルコール ラジカルを含み、それらは別々に考慮すると非イオン性界面活性剤である (上記参照)。脂肪アルコール ラジカルが狭い範囲の同族体分布を有するエトキシ化 脂肪アルコール由来であるスルホスクシネートが特に好ましい。同様に、アルキル(アルケニル) 鎖に好ましくは 8〜18 炭素原子を有するアルキル(アルケニル) コハク酸またはその塩も使用することができる。
【0176】
さらなるアニオン性界面活性剤として、セッケンが特に考慮されうる。好適な セッケンとしては、飽和脂肪酸セッケン、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化 エルカ酸およびベヘン酸の塩ならびに 特に天然脂肪酸、例えば、ヤシ脂肪酸、パーム核 脂肪酸または獣脂 脂肪酸由来のセッケン 混合物が挙げられる。
【0177】
セッケンを含むアニオン性 界面活性剤は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の形態であってもよく、有機塩基、例えば、 モノエタノールアミン、ジエタノールアミン またはトリエタノールアミンの可溶性塩の形態でもよい。アニオン性界面活性剤は好ましくはナトリウムまたはカリウム塩の形態であり、特にナトリウム塩の形態である。
【0178】
界面活性剤は、本発明の清浄剤または洗浄剤中に合計量で完成した剤に基づいて好ましくは 5 wt% 〜50 wt%、特に8 wt% 〜30 wt%存在してもよい。
【0179】
本発明の洗浄剤または清浄剤は漂白剤を含んでいてもよい。水中にH2O2を供給し漂白剤として作用する化合物のなかで、過炭酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物および過ホウ酸ナトリウム一水和物が特に重要である。その他の有用な漂白剤としては、例えば、ペルオキソピロリン酸、クエン酸過水和物およびをH2O2供給する過酸塩または過酸、例えば、過硫酸塩および/または過硫酸が挙げられる。式 H2N-CO-NH2・H2O2によって記載されうるウレアペルオキソ水和物ペルカルボアミドも利用できる。特に、剤を、硬表面を、例えば皿洗い機において清浄するのに用いる場合、それらは、所望の場合、有機漂白剤の群からの漂白剤を含んでいてもよいが、それらの使用は織物を洗浄する剤においても原理的には可能である。典型的な有機漂白剤としては、ジアシル ペルオキシド、例えば、ジベンゾイル ペルオキシドが挙げられる。その他の典型的な有機漂白剤としてはペルオキシ酸が挙げられ、アルキルペルオキシ 酸およびアリール ペルオキシ 酸が特に例として言及されうる。好ましい代表例としては、ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、例えば、 アルキル ペルオキシ安息香酸が挙げられるが、ペルオキシ-α-ナフトエ酸 およびマグネシウム モノペルフタレート、脂肪族または置換脂肪族 ペルオキシ 酸、例えば、 ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸 (フタルイミドペルオキシヘキサン酸、PAP)、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネイルアミドペルアジピン酸およびN ノネイルアミドペルコハク酸および脂肪族およびアラリファティック ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシ 酸、ジペルオキシフタル酸、2 デシル-ジペルオキシブタン-1,4-ジオン酸、N,N-テレフタロイルジ-(6-アミノペルカプロン酸)の使用も可能である。
【0180】
洗浄剤または清浄剤の漂白剤含量は1 wt% 〜40 wt%、特に 10 wt%〜 20 wt%の量であり得、過ホウ酸塩 一水和物または過炭酸塩が有利に用いられる。
【0181】
60℃以下の温度で洗浄する場合、特に洗濯物の前処理において漂白作用の向上を達成するために、剤は漂白活性化剤も含んでいてもよい。漂白活性化剤として用いられる得る化合物は、過加水分解条件下で、脂肪族 ペルオキソカルボン酸、好ましくは1 〜10 炭素原子、特に 2〜 4 炭素原子を有するものおよび/または所望により置換された過安息香酸を生じるものである。好適な物質は、上記の 数の炭素原子のO- および/または N-アシル基を有するものおよび/または 所望により置換されたベンゾイル基を有するものである。好ましいものとしては、ポリアシル化 アルキレンジアミン、特に テトラアセチル-エチレンジアミン (TAED)、アシル化 トリアジン 誘導体、特に 1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン (DADHT)、アシル化 グリコールウリル、特に 1,3,4,6-テトラアセチルグリコールウリル (TAGU)、N-アシルイミド、特に N-ノナノイルスクシンイミド (NOSI)、アシル化 フェノール スルホネート、特に n-ノナノイル- またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n- および/またはイソ-NOBS)、アシル化 ヒドロキシカルボン酸、例えば、 トリエチル-O-アセチル シトレート (TEOC)、カルボン酸 無水物、特に フタル 酸 無水物、イサト酸 無水物 および/または コハク酸 無水物、カルボン酸 アミド、例えば、 N-メチルジアセトアミド、グリコリド、アシル化 多価 アルコール、特に トリアセチン、エチレン グリコール ジアセテート、イソプロペニル アセテート、2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランおよび独特許出願DE 196 16 693およびDE 196 16 767に記載のエノール エステルならびに欧州特許出願 EP 0 525 239 (SORMAN)に記載のアセチル化 ソルビトールおよびマンニトール および/またはそれらの混合物、アシル化 糖誘導体、特に ペンタアセチルグルコース (PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトースならびにアシル化され、所望によりN-アルキル化されたグルタミン および/または グルコノラクトン、トリアゾール および/または トリアゾール 誘導体および/または 粒子状 カプロラクタムおよび/または カプロラクタム 誘導体、好ましくは N-アシル化 ラクタム、例えば、N-ベンゾイルカプロラクタム および N アセチルカプロラクタムが挙げられ、これらは国際特許出願 WO 94/27970、WO 94/28102、WO 94/28103、WO 95/00626、WO 95/14759 およびWO 95/17498から知ることが出来る。独特許出願 DE 196 16 770から知られる親水性置換基をもつ アシルアセタールおよび国際特許出願 WO 95/14075に記載のアシルラクタムもここでの使用に好ましい。独特許出願 DE 44 43 177 から知られる常套の漂白活性化剤の組合せも利用できる。同様に、ニトリル誘導体、例えば、 シアノピリジン、四級ニトリル、例えば、N-アルキルアンモニウム アセトニトリルおよび/または シアナミド 誘導体も利用できる。好ましい 漂白活性化剤は、ナトリウム 4-オクタノイルオキシベンゼンスルホネート、n-ノナノイル- またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート (n-および/またはイソ-NOBS)、ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート (UDOBS)、ナトリウム ドデカノイルオキシベンゼン-スルホネート (DOBS)、デカノイルオキシ安息香酸 (DOBA、OBC 10) および/または ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート (OBS 12)ならびに N-メチルモルホリニウム アセトニトリル (MMA)である。かかる漂白活性化剤は全組成物に基づいて通常0.01 wt% 〜20 wt%、好ましくは0.1〜15 wt%、特に 1 wt% 〜10 wt%の量範囲で存在しうる。
【0182】
常套の漂白活性化剤に加えてまたはその代わりに、いわゆる漂白触媒が存在していてもよい。これらの物質は漂白促進物質である遷移金属塩および/または 遷移金属錯体であり、例えば、 Mn-、Fe-、Co-、Ru- またはMo-サレン錯体あるいは -カルボニル錯体である。N含有三脚 配位子とのMn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、Vおよび Cu錯体ならびにCo-、Fe-、Cu-およびRu-アンミン錯体も漂白触媒として好適であり、DE 19709284 A1に記載の化合物が好ましくは使用される。
【0183】
本発明の洗浄剤または清浄剤は通常1以上の ビルダー(builder)、特に ゼオライト、ケイ酸、カーボネート、有機 コビルダーを含み、環境的理由がその使用を反対しなければリン酸も含まれる。リン酸は特に皿洗い機のための清浄剤における使用のために好ましい ビルダーである。
【0184】
一般式 NaMSixO2x+1・yH2Oの結晶シート ナトリウム ケイ酸、ここで Mは ナトリウムまたは水素を表し、x は 1.6 〜4、好ましくは 1.9〜4.0の数であり、yは0〜20の数であり、xの好ましい値は 2、3または4である結晶シート ナトリウム ケイ酸もここで言及されうる。かかる結晶シート ケイ酸は例えば欧州特許出願 EP 164514に記載されている。上記式の好ましい 結晶シート ケイ酸は、Mが、ナトリウムを表し、 xが2または3の値のものである。特にβ-およびδ-ナトリウムジケイ酸Na2Si2O5・yH2Oの両方が好ましい。市販の化合物は商品名 SKS(登録商標) (Clariant)として入手できる。SKS-6(登録商標) は主に式 Na2Si2O5・yH2Oのδ-ナトリウム ジケイ酸 であり; SKS-7(登録商標) は主にβ-ナトリウム ジケイ酸である。酸 (例えば、クエン酸 または炭酸)との反応により、δ-ナトリウム ジケイ酸はカネマイト NaHSi2O5・yH2Oを生じ、これは商品名SKS-9(登録商標) および/または SKS-10(登録商標) (Clariant)で市販されている。これらシートケイ酸の化学修飾の使用も有益であり得る。例えば、シート ケイ酸のアルカリ度は好適な様式で影響されうる。ホスフェート および/またはカーボネートを与えられたシート ケイ酸はδ-ナトリウム ジケイ酸と比較して改変された結晶形態を有し、それらはδ-ナトリウム ジケイ酸と比べてより迅速に溶解し、高いカルシウム結合能 を有する。 一般経験式 xNa2O・ySiO2・zP2O5 のシート ケイ酸(式中、xの yに対する比は0.35〜 0.6の数に対応し、x のzに対する比は1.75〜1200の数に対応し、yのzに対する比は、4〜2800の数に対応する)は特許出願 DE 196 01 063に記載されている。シート ケイ酸の溶解度は特に微細に分割されたシートケイ酸の使用により上昇させうる。結晶シート ケイ酸とその他の成分との化合物も利用可能である。特にここで言及すべきなのはセルロース誘導体との化合物であり、崩壊作用において利点を有し、特に洗浄剤錠剤に利用でき、また、ポリカルボキシレート、例えば、クエン酸、および/または ポリマー性ポリカルボキシレート、例えば、アクリル酸のコポリマーとの化合物である。
【0185】
Na2O:SiO2の率が1:2〜1:3.3、好ましくは1.2〜1:2.8 、特に1:2〜 1:2.6である非晶質 ナトリウム ケイ酸であって、遅い溶解および二次洗浄性質を有するものもここで利用できる。従来の非晶質 ナトリウム ケイ酸と比較して遅い溶解は様々な様式で達成でき、例えば、表面処理、複合、小型化/圧縮または過剰乾燥により行うことが出来る。本発明において、「非晶質」という用語はまた「x線に対して非晶質」であると理解される。これは x-線回折実験において、そのケイ酸が例えば、典型的な結晶性物質にような鋭いx-線像を生じないが、1以上の分散したx-線照射の極大であって数度のユニットの回折角の幅を有する極大を生じることを意味する。しかし、ケイ酸 粒子が電子線回折実験において不鮮明または鋭い回折極大を生じる場合、特に良好なビルダー 性質を導きうる。これは10 nmから数百nmまでの、最大 50 nm までの 特に最大20 nmまでの値のサイズの微晶質 領域を有する生成物が 好ましいと解釈すべきである。圧縮/小型化された非晶質 ケイ酸、複合化した非晶質ケイ酸および過剰乾燥されたx-線 非晶質ケイ酸が特に好ましい。
【0186】
所望により使用できる結合水を含む微細な結晶性の合成ゼオライトは好ましくは ゼオライト A および/または ゼオライト Pである。ゼオライト MAP(登録商標) (Crosfield社の市販品) はゼオライト Pとして特に好ましい。しかし、ゼオライト X および A、X および/または Pの混合物も好適である。市販の本発明での使用に好ましいものはまた、例えばゼオライト Xおよびゼオライト Aの共結晶物(およそ80 wt% ゼオライト X)であり、これは CONDEA Augusta S.p.A.社から 商品名 VEGOBOND AX(登録商標) により提供されており、次式により記載できる:nNaO・(1-n)K2O・Al2O3・(2-2.5)SiO2・(3.5-5.5)H2O。好適なゼオライトは平均粒子サイズ10 μm未満 (体積分布; 測定方法: コールター・カウンター) であり、好ましくは 18 wt%〜 22 wt%、特に 20 wt%〜 22 wt%の結合水を含む。
【0187】
一般に知られた ホスフェートのビルダー 物質としての使用は、かかる使用が環境的理由から避けるべきではない場合、もちろん可能である。様々な 市販の ホスフェートのなかで、アルカリ金属 ホスフェートは非常に重要であり、洗浄剤 工業 および清浄剤 工業において特に好ましいのはペンタナトリウム および/または ペンタカリウム トリホスフェート (ナトリウム および/または カリウムトリポリホスフェート)である。
【0188】
アルカリ金属 ホスフェートは様々なリン酸のアルカリ金属 塩 (特に ナトリウムおよびカリウム 塩)の一般用語であり、なかでもメタリン酸 (HPO3)n およびオルトリン酸 H3PO4 は高分子量の代表であることに加えて特に識別され得る。ホスフェートにはいくつかの利点がある:それらはアルカリ担体として作用し、機械部品における石灰沈着および/または織物における石灰蓄積を防止し、清浄能力にも貢献する。
【0189】
ナトリウム 二水素 ホスフェート NaH2PO4は、二水和物 (密度 1.91 g・cm-3、融点 60℃) および一水和物 (密度 2.04 g・cm-3)として存在する。両方の塩は白色粉末であり、水に非常によく溶け、加熱すると結晶水を失い、200℃で弱い酸性の ジホスフェート (ジナトリウム 水素 ジホスフェート Na2H2P2O7)に変換し; より高い温度では ナトリウムトリメタホスフェート (Na3P3O9)およびMaddrell塩に変換する(以下参照)。 NaH2PO4 は酸反応を与える;それはリン酸が 水酸化ナトリウム 溶液によりpH 4.5に調整されスラリーが噴霧されると形成される。カリウム 二水素 ホスフェート (一級または一塩基性 カリウム ホスフェート、カリウム ビホスフェート、KDP)、KH2PO4は白色塩であって密度2.33 g・cm-3 および融点253℃であり (分解してカリウム ポリホスフェート (KPO3)xを形成する)、水によく溶ける。
【0190】
ジナトリウム 水素 ホスフェート (二級ナトリウム ホスフェート) Na2HPO4 は無色結晶性および高度に 水溶性の塩である。それは無水形態で存在するし、2 molの水 (密度 2.066 g・cm-3、水を95℃で失う)、7 molの水 (密度 1.68 g・cm-3、融点 48℃、5H2Oを失う) および12 molの水 (密度 1.52 g・cm-3、融点 35℃、5H2Oを失う)とともにも存在し、100℃で無水となりさらに加熱するとジホスフェート Na4P2O7 に変換する。ジナトリウム 水素 ホスフェート はリン酸のフェノールフタレインを指標として用いる炭酸ナトリウム溶液による中和によって生じる。ジカリウム 水素 ホスフェート (二級または二塩基性カリウム ホスフェート) K2HPO4 は非晶質白色塩であり、水によく溶ける。
【0191】
トリナトリウム ホスフェート、三級 ナトリウム ホスフェート、Na3PO4 は無色結晶であり、ドデカ水和物として存在する場合、密度 1.62 g・cm-3および 融点73-76℃であり(分解)、デカ水和物 (19-20% P2O5に対応) として存在する場合融点100℃であり、無水形態 (39-40% P2O5に対応)では密度2.536 g・cm-3である。トリナトリウム ホスフェートはアルカリ性反応により水によく溶け正確に 1 mol ジナトリウム ホスフェートおよび1 mol NaOHの溶液の蒸発により調製される。 トリカリウム ホスフェート (三級または三塩基性 カリウム ホスフェート) K3PO4は、白色 潮解性 顆粒状粉末であり 密度 2.56 g・cm-3、融点1340℃であり、アルカリ性反応により水によく溶ける。 それは例えば、Thomasスラグを炭素および硫酸カリウムとともに加熱することによって形成する。高価ではあるが、より容易に溶解し、それゆえ高度に有効なカリウム ホスフェートが、対応するナトリウム 化合物と比較して清浄剤 工業においてより好ましい。
【0192】
テトラナトリウム ジホスフェート (ナトリウム ピロリン酸) Na4P2O7は無水形態 (密度 2.534 g・cm-3、融点 988℃、880℃としても示される)およびデカ水和物 (密度 1.815-1.836 g・cm-3、融点 94℃、水を失う)にて存在する。両方の物質は無色結晶であって、アルカリ性反応により水に溶解する。Na4P2O7はジナトリウム ホスフェートを >200℃に加熱すること、またはリン酸と炭酸ナトリウムとを 化学量論比で反応させ、噴霧により溶液を脱水することにより形成される。デカ水和物は重金属塩および水の硬度をもたらす塩と複合体形成し、それゆえ水の硬度を低下させる。カリウム ジホスフェート (カリウム ピロリン酸) K4P2O7 は三水和物の形態で存在し、無色吸湿性粉末であり、密度 2.33 g・cm-3である;それは水に溶解し、25℃での 1% 溶液 の pHは 10.4である。
【0193】
NaH2PO4 および/または KH2PO4 の縮合により高分子量 ナトリウム ホスフェートおよびカリウム ホスフェートが形成される;環状代表例である、ナトリウム メタホスフェートおよび/または カリウム メタホスフェートおよび鎖-型物質である、ナトリウム および/または カリウム ポリホスフェートは識別できる。 多数の用語が後者について用いられてきた: 縮合または焼成ホスフェート、Graham塩、Kurrol塩およびMaddrell塩等である。高分子量のナトリウムおよびカリウム ホスフェートはすべて縮合ホスフェートと総称される。
【0194】
工業的に重要なペンタナトリウム トリホスフェート (Na5P3O10; ナトリウム トリポリホスフェート) は非吸湿性、白色、一般式 NaO-[P(O)(ONa)-O]n-Naの水溶性塩であり、こここでn = 3である; それは無水でありうるし、または6H2Oとともに結晶化しうる。100 g 水中で室温で、およそ17 gが溶解する; 60℃ ではおよそ20 gが溶解する; およそ32 gの結晶化水を含有しない塩は100℃で溶解する;溶液を2 時間100℃で加熱した後、およそ8%のオルトホスフェートおよび15% ジホスフェートが加水分解により形成する。ペンタナトリウム トリホスフェートの産生において、リン酸が炭酸ナトリウム 溶液または水酸化ナトリウム 溶液と化学量論比で反応され、溶液は噴霧により脱水される。Graham塩およびナトリウム ホスフェートと同様に、ペンタナトリウム トリホスフェート は多くの不溶性金属化合物 (石灰セッケンなどさえも)を溶解する。ペンタカリウム トリホスフェート K5P3O10 (カリウム トリポリホスフェート)は例えば50 wt% 溶液 (>23% P2O5、25% K2O)の形態で市販されている。カリウム ポリホスフェートは洗浄および清浄剤 工業で広く用いられている。加えて、本発明の範囲内で使用されうるものとしてナトリウム カリウム トリポリホスフェートがある。これらは、例えば、ナトリウムトリメタホスフェートが KOHにより加水分解されると形成する:(NaPO3)3 + 2KOH → Na3K2P3O10 + H2O。
【0195】
これらは本発明にしたがってナトリウム トリポリホスフェート、カリウム トリポリホスフェートまたはそれら2つの混合物とまったく同様に利用できる;ナトリウム トリポリホスフェートとナトリウム カリウム トリポリホスフェートとの混合物またはカリウム トリポリホスフェートとナトリウム カリウム トリポリホスフェートとの混合物またはナトリウム トリポリホスフェートとカリウム トリポリホスフェートとナトリウム カリウム トリポリホスフェートの混合物も本発明にしたがって利用できる。
【0196】
本発明の洗浄および清浄剤において利用可能な有機 コビルダーとしては、特に ポリカルボキシレートまたはポリカルボン酸、ポリマー性 ポリカルボキシレート、ポリアスパラギン酸、ポリアセタール、所望により酸化されたデキストリン、その他の有機 コビルダー(以下参照)およびホスホネートが挙げられる。これらのクラスの物質を以下に記載する。
【0197】
利用可能な有機 ビルダー 物質としては、例えば、ポリカルボン酸が挙げられ、これはナトリウム塩の形態で利用でき、ポリカルボン酸は2以上の酸官能基を有するカルボン酸であるとして理解される。例えば、それらの例としては、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、その使用が環境的理由から避けるべきではない場合にはニトロトリ酢酸 (NTA)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましい 塩は、ポリカルボン酸、例えば、 クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸およびそれらの混合物の塩である。
【0198】
酸それ自体も利用できる。ビルダー効果に加えて、それらは典型的には酸性化成分の性質も有し、その他の成分との混合に起因するpH が望ましくない場合、洗浄剤または清浄剤のpHを低めたり中性に近くしたり調整するのに役立つ。特にここで言及すべきは、系に適合し、環境に許容される 酸、例えば、 クエン酸、酢酸、酒石酸、マレイン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸およびそれらの混合物である。しかし、鉱酸、特に 硫酸、または塩基、特に 水酸化アンモニウムまたは水酸化アルカリも、pH 調整物質として利用できる。かかる調整物質は本発明の剤において好ましくは 20 wt%未満、特に1.2 wt%〜 17 wt%の量で存在する。
【0199】
好適な ビルダーはまた、ポリマー性 ポリカルボキシレートであり、例えば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属 塩、例えば相対分子量500 g/mol〜 70,000 g/molのものが挙げられる。
【0200】
ポリマー性 ポリカルボキシレートについての分子量は、本出願においては、それぞれの 酸形態の重量平均 分子量Mwであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により UV 検出器を用いて基本的には測定されたものである。調べるべきポリマーとの構造関連により現実的な分子量値を与える外部ポリアクリル酸標準に対して測定は行った。データはポリスチレン スルホン酸を標準として用いる分子量データから明らかに変位する。ポリスチレンスルホン酸に対して測定される分子量は通常本出願に示される分子量よりもかなり高い。
【0201】
好適な ポリマーは特にポリアクリレートであり、好ましくは分子量2000 g/mol〜 20,000 g/molのものである。この群から、分子量2000 g/mol〜 10,000 g/mol、 特に好ましくは 3000 g/mol〜 5000 g/molの短鎖 ポリアクリレートがその優れた溶解度により好ましい。
【0202】
また好適なのは、コポリマー性 ポリカルボキシレート、特にメタクリル酸とのアクリル酸およびマレイン酸とのアクリル酸またはメタクリル酸のものである。50 wt%〜 90 wt% アクリル酸および50 wt%〜 10 wt% マレイン酸を含むマレイン酸とのアクリル酸のコポリマーは特に好適なことが判明した。遊離酸に基づくそれらの相対分子量は一般に 2000 g/mol〜 70,000 g/mol、好ましくは 20,000 g/mol〜 50,000 g/mol、特に 30,000 g/mol〜 40,000 g/molである。 (コ)ポリマー性 ポリカルボキシレートは粉末としても水溶液としても利用できる。剤に含まれる(コ)ポリマー性 ポリカルボキシレートの量は、0.5 wt%〜 20 wt%、特に 1 wt%〜 10 wt%であり得る。
【0203】
水に対する溶解度を高めるために、ポリマーはアルキルスルホン酸、例えば、アリルオキシベンゼンスルホン酸およびメチルアリルスルホン酸をモノマーとして含んでいてもよい。
【0204】
3種類以上の モノマーユニットの生分解性 ポリマー、例えば、モノマーとしてアクリル酸およびマレイン酸の塩ならびにビニル アルコール および/または ビニル アルコール 誘導体を含むものまたはモノマーとしてアクリル酸および 2-アルキルアリルスルホン酸の塩および糖誘導体を含むものも特に好ましい。
【0205】
その他の好ましい コポリマーはモノマーとして 好ましくは アクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩および/または アクロレインおよび酢酸ビニルを含むものである。
【0206】
同様に、その他の言及すべき好ましい ビルダー 物質としては、ポリマー性 アミノジカルボン酸、それらの塩またはそれらの前駆体物質が挙げられる。ポリアスパラギン酸および/またはそれらの塩および誘導体が 特に好ましい。
【0207】
その他の好適な ビルダー 物質にはポリアセタールが含まれ、それはジアルデヒドと5 〜 7 炭素原子および少なくとも3のヒドロキシル基を有するポリオール カルボン酸とを反応させることによって得ることが出来る。好ましいポリアセタールは、ジアルデヒド、例えば、 グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドおよびそれらの混合物および、ポリオールカルボン酸、例えば、 グルコン酸 および/または グルコヘプトン 酸から得られる。
【0208】
その他の好適な 有機 ビルダー 物質としては、 デキストリン、例えば炭水化物のオリゴマーおよび/または ポリマーが挙げられ、それらはデンプンの部分的加水分解により得ることが出来る。加水分解は常套のプロセスにしたがって行うことが出来、例えば、酸-触媒または酵素-触媒プロセスが挙げられる。それらは好ましくは平均分子量が400 g/mol〜 500,000 g/molの範囲の加水分解産物である。デキストロース当量 (DE)が0.5〜40、特に2〜30の範囲の多糖が好ましく、DE はデキストロースが DE100であるとした場合にそれと比較した多糖の還元効率の常套の尺度である。 DE が3〜20のマルトデキストリンおよびDEが20〜37の乾燥グルコース シロップならびに分子量がより高い2000 g/mol〜 30,000 g/molの範囲であるいわゆる黄色 デキストリンおよび 白色 デキストリンも好ましい。
【0209】
かかるデキストリンの酸化誘導体は、カルボン酸官能基へと糖環の少なくとも1つの アルコール官能基を酸化することができる酸化剤との反応生成物である。本発明の剤についての特に好ましい 有機 ビルダーには特許出願 EP 472042、WO 97/25399およびEP 755944からの酸化デンプンおよび/またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0210】
その他の好適な コビルダーとしては、 オキシジスクシネートおよびジスクシネートのその他の誘導体、好ましくは エチレンジアミンジスクシネートが挙げられる。 エチレンジアミン-N,N'-ジスクシネート (EDDS)は 好ましくはそのナトリウムまたはマグネシウム 塩の形態で用いられる。この点で好ましいのはグリセロール ジスクシネートおよびグリセロールトリスクシネートである。使用する好適な 量はゼオライト、カーボネート および/または ケイ酸を含む処方中3 wt% 〜15 wt%である。
【0211】
利用可能なその他の有機コビルダーとしては、例えば、アセチル化 ヒドロキシカルボン酸および/またはそれらの塩が挙げられ、それらはラクトン形態であってもよく、少なくとも4の 炭素原子と少なくとも1つの ヒドロキシル基と最大2の酸基を含む。
【0212】
ホスホネートはコビルダー 性質をもつもう1つの物質のクラスである。それらには、特に ヒドロキシアルカンホスホネートおよび/または アミノアルカンホスホネートが含まれる。ヒドロキシアルカンホスホネートのなかで、1-ヒドロキシ-エタン-1,1-ジホスホネート (HEDP)がコビルダーとして特に重要である。それは好ましくはナトリウム塩として用いられ、そこでジナトリウム塩は中性反応を、テトラナトリウム塩はアルカリ性反応 (pH 9)をもたらす。好ましくは エチレンジアミンテトラメチレンホスフェート (EDTMP)、ジエチレントリアミン-ペンタメチレンホスホネート (DTPMP) およびそれらの高次の同族体もアミノアルカンホスホネートとして考慮されうる。それらは好ましくは中性反応性ナトリウム塩の形態で用いられ、例えば、EDTMPのヘキサナトリウム塩および/またはDTPMPのヘプタナトリウムおよびオクタナトリウム塩として用いられる。ホスホネートクラスのなかから、HEDPが好ましくはビルダーとして用いられる。アミノアルカン-ホスホネートはまた強い重金属-結合能を有する。したがって、アミノアルカンホスホネート、特に DTPMP、または 該ホスホネートの混合物の使用が、特に 剤が漂白剤も含む場合に好ましい。
【0213】
さらに、アルカリ土類イオンと錯体を形成することが出来るあらゆる化合物がコビルダーとして使用できる。
【0214】
ビルダー 物質は所望により本発明の洗浄剤または清浄剤中に90 wt%までの量にて存在してもよい。それらは好ましくは75 wt%までの量にて存在する。本発明の洗浄剤のビルダー含量は特に5 wt%〜 50 wt% である。特にテーブルウェアの機械清浄のために硬表面を清浄するための本発明の剤において、ビルダー 物質含量は特に5 wt%〜 88 wt%であるが、好ましくは水-不溶性ビルダー材料はかかる剤において用いない。特にテーブルウェアを機械洗浄するための本発明の剤の好ましい態様において、20 wt%〜 40 wt% 水溶性 有機 ビルダー、特にアルカリシトレート、5 wt%〜 15 wt% アルカリカーボネートおよび20 wt%〜 40 wt% アルカリジケイ酸が存在する。
【0215】
洗浄および清浄剤の液体からゼラチン状の組成物において使用されうる溶媒は、例えば、それらが示された濃度範囲内で水と混和性であれば、一価または多価 アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群に由来する。溶媒は好ましくは、エタノール、n-プロパノール またはイソプロパノール、ブタノール、エチレン グリコール メチル エーテル、エチレン グリコール エチル エーテル、エチレン グリコール プロピル エーテル、エチレン グリコール モノ-n-ブチル エーテル、ジエチレン グリコール メチル エーテル、ジエチレン グリコール エチル エーテル、プロピレン グリコール メチル エーテル、プロピレン グリコール エチル エーテルまたはプロピレン グリコール プロピル エーテル、メトキシ-、エトキシ-またはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレン グリコール-t-ブチル エーテルならびにそれらの溶媒の混合物から選択される。
【0216】
溶媒は本発明の 液体からゼラチン状の洗浄および清浄剤において0.1 〜20 wt%、好ましくは 15 wt% 未満、 特に 10 wt%未満の量にて使用されうる。
【0217】
粘度を調整するために、1以上の増粘剤および/または濃厚剤系が本発明の組成物に添加されうる。膨潤剤としても知られるこれら高分子量物質は、ほとんど液体を吸収し、プロセスにおいて膨潤し、最終的には粘稠なコロイド状 溶液または真の溶液となる。
【0218】
好適な増粘剤は無機またはポリマー性 有機 化合物である。無機増粘剤としては、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物、例えば、 モンモリロナイト、ゼオライト、ケイ酸および ベントナイトが挙げられる。有機 増粘剤は天然ポリマー、修飾天然ポリマーおよび完全合成ポリマーの群に由来する。かかる天然 ポリマーとしては、例えば、寒天、カラギーナン、トラガカントゴム、アラビアゴム、アルギン酸、ペクチン、ポリオース、グアー 粉末、イナゴマメ 粉末、デンプン、デキストリン、ゼラチンおよびカゼインが挙げられる。増粘剤として使用される修飾天然物質は主に修飾デンプンおよびセルロースの群に由来する。ここで例としては、カルボキシメチルセルロース及びその他のセルロース エーテル、ヒドロキシエチル-セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースならびにカーネルミール エーテルが挙げられる。完全合成 増粘剤は、ポリマー、例えば、 ポリアクリル 化合物およびポリメタクリル 化合物、ビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミドおよびポリウレタンである。
【0219】
増粘剤は最終組成物に基づいて5 wt%まで、好ましくは0.05 〜 2 wt%、特に好ましくは0.1〜1.5 wt%の量にて存在しうる。
【0220】
本発明の洗浄および清浄剤は所望によりさらなる常套の成分、金属イオン封鎖剤、電解質およびさらなる添加剤、例えば、 蛍光増白剤、老化阻害剤(graying inhibitor)、銀防蝕剤、染料移動阻害剤、発泡防止剤、研磨剤、色素および/または 香料ならびに抗微生物活性成分、UV 吸収剤および/または 酵素 安定化剤を含んでいてもよい。
【0221】
本発明の 織物洗浄剤は、蛍光増白剤としてジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体および/またはそのアルカリ金属塩を含んでいてもよい。好適な例としては、4,4'-ビス(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸の塩または類似の構造を有し、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基または2-メトキシエチルアミノ基をモルホリノ基の代わりに含む化合物が挙げられる。さらに、置換されたジフェニルスチリル型の増白剤、例えば、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニルまたは4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ塩も存在しうる。上記の 蛍光増白剤の混合物もまた利用できる。
【0222】
老化阻害剤は溶液に懸濁された織物 繊維から放出された汚れを維持する働きを有する。通常有機性の水溶性 コロイドがこの目的に好適であり、例えば、デンプン、膠、ゼラチン、デンプンまたはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテル スルホン酸の塩またはセルロースまたは デンプンの酸性硫酸 エステルの塩が挙げられる。酸基を含む水溶性 ポリアミドもこの目的に好適である。 さらに上記以外のデンプン 誘導体も利用することが出来、例えば、アルデヒド デンプンが挙げられる。セルロース エーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース (Na 塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよび混合エーテル、例えば、メチル-ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチル-セルロースおよびそれら混合物の剤に基づいて、例えば0.1〜 5 wt%の量におけるものも使用に好ましい。
【0223】
銀を腐蝕から保護するために、銀防蝕剤をテーブルウェアのための本発明の清浄剤に用いることが出来る。かかる阻害剤は従来技術から知られており、例えば、ベンゾトリアゾール、塩化鉄(III)またはCoSO4が挙げられる。欧州特許 EP 0 736 084 B1から知られるように、例えば、特に酵素と組み合わせて使用するための好適な銀防蝕剤としては、 マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルトまたはセシウム 塩 および/または 該金属が酸化状態 II、III、IV、V または VIのいずれかにおいて存在する錯体が挙げられる。かかる化合物の例としては、MnSO4、V2O5、V2O4、VO2、TiOSO4、K2TiF6、K2ZrF6、Co(NO3)2、Co(NO3)3 ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0224】
汚れ遊離 活性成分または汚れ忌避剤は、汚れを忌避する性質を洗浄剤において用いられる場合洗濯される繊維に付与する、および/または 、その他の洗浄剤成分の汚れ遊離能力を支持する、通常はポリマーである。硬表面のための清浄剤において用いられた場合も匹敵する効果が観察できる。
【0225】
特に有効であり、長期にわたって知られてきた汚れ遊離活性成分は、ジカルボン酸 ユニット、アルキレン グリコール ユニットおよびポリアルキレン グリコール ユニットとのコポリエステルである。例としては、ポリエチレン テレフタレートおよび ポリオキシエチレン グリコールのコポリマーまたはポリマー 混合物(DT 16 17 141 および/または DT 22 00 911)が挙げられる。未審査の独特許出願 DT 22 53 063はとりわけ、二塩基性 カルボン酸およびアルキレンまたはシクロアルキレン ポリグリコールのコポリマーを含む酸性剤に言及している。エチレン テレフタレートおよびポリエチレン オキシド テレフタレートのポリマーおよびそれらの洗浄剤における使用は、DE 28 57 292 および DE 33 24 258 および欧州特許 EP 0 253 567に記載されている。 欧州特許 EP 066 944 は、エチレン グリコール、ポリエチレン グリコール、芳香族 ジカルボン酸およびスルホン化 芳香族 ジカルボン酸の特定のモル比でのコポリエステルを含む剤に関する。欧州特許 EP 0 185 427はエチレン および/または プロピレン テレフタレートおよびポリエチレン オキシド テレフタレート ユニットによってメチルまたは エチル 末端基がキャップされた ポリエステルおよびかかる汚れ遊離 ポリマーを含む洗浄剤を開示する。欧州特許 EP 0 241 984は、オキシエチレン基およびテレフタル 酸 ユニットに加えて置換エチレン ユニットおよびグリコール ユニットを含むポリエステル に関する。 欧州特許 EP 0 241 985 は さらに オキシエチレン基およびテレフタル 酸 ユニット、1,2-プロピレン基、1,2-ブチレン基および/または 3-メトキシ-1,2-プロピレン基ならびにグリセロール ユニットを含み、C1〜 C4 アルキル基により末端基がキャップされたポリエステルを記載する。欧州特許出願 EP 0 272 033 は少なくとも 比例的に 末端基がC1-4 アルキルまたはアクリル ラジカルによりキャップされ、ポリプロピレン テレフタレート ユニットおよび ポリオキシエチレン テレフタレート ユニットを有するポリエステルを開示している。欧州特許 EP 0 274 907はスルホエチル 末端基がキャップされた テレフタレートを含有する汚れ遊離 ポリエステルを記載している。欧州特許出願 EP 0 357 280によると、テレフタレート ユニット、アルキレン グリコール ユニットおよびポリ-C2-4-グリコール ユニットを有する汚れ遊離 ポリエステルは不飽和末端基のスルホン化により生じる。国際特許出願 WO 95/32232は酸性、芳香族 汚れ遊離可能ポリエステルに関する。国際特許出願 WO 97/31085は木綿由来の材料のための非ポリマー性 汚れ忌避剤 活性成分であって複数の機能性ユニットをもつものを開示している:第一ユニットは、カチオン性であり得、例えば、静電 相互作用を介して木綿 表面に吸着することができ、第二ユニットは、疎水性であり、水/木綿界面に残る活性成分の役割を果たす。
【0226】
本発明の織物 洗浄剤における使用が考慮されうる染料移動阻害剤としては、特に ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリマー性 N-オキシド、 例えば、 ポリ(ビニルピリジン N-オキシド)およびビニルピロリドン とビニルイミダゾールとのコポリマーが挙げられる。
【0227】
機械清浄方法に用いられる場合、それぞれの 剤に発泡防止剤を添加するのが有益であり得る。 好適な発泡防止剤としては、例えば、天然または合成起源の多量 のC18-C24 脂肪酸を含むセッケンが挙げられる。好適な 非界面活性剤 発泡防止剤としては、例えば、オルガノポリシロキサンおよび超微粒 ケイ酸とのその混合物、所望により シラン処理されたケイ酸ならびにパラフィン、蝋、微晶質蝋またはそれらのシラン処理されたケイ酸またはビステアリルエチレンジアミドとの混合物が挙げられる。異なる発泡防止剤の混合物も有効に利用でき、例えば、シリコーン、パラフィンまたは蝋の混合物が挙げられる。発泡防止剤、特にシリコーン および/または パラフィンを含有する発泡防止剤は、好ましくは、粒状、水溶性 および/または 分散可能 担体 物質と結合されている。特に、パラフィンおよびビステアリルエチレンジアミドの混合物が好ましい。
【0228】
硬表面のための本発明の清浄剤はまた研磨剤 成分を含んでいてもよく、特に粉末石英、おがくず、粉末プラスチック、チョークおよびガラス マイクロビーズならびにそれらの混合物を含む群からのものである。研磨剤は本発明の 清浄剤に好ましくは20 wt%未満の量、特に5 wt%〜 15 wt%の量にて含まれる。
【0229】
色素および香料が洗浄および清浄剤に製品の美観を向上させ、洗浄および清浄能力に加えて視覚的および感覚的に「典型的かつ明白な」製品を消費者に利用可能にするために添加される。利用可能な香油および/または 香水には個々の 香料 化合物が含まれ、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素のタイプの合成生成物が挙げられる。エステル型の香料 化合物としては、例えば、ベンジル アセテート、フェノキシエチル イソブチラート、p-tert-ブチルシクロヘキシル アセテート、リナリル アセテート、ジメチルベンジルカルビニル アセテート、フェニルエチル アセテート、リナリル ベンゾエート、ベンジル ホーメート、エチルメチルフェニル グリシネート、アリルシクロヘキシル プロピオネート、スチラリル プロピオネートおよびベンジル サリチレートが挙げられる。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチル エーテルが挙げられ;アルデヒドとしては、例えば、8〜18 炭素原子の直鎖状 アルカノール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメン アルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール およびブルジオナールが挙げられ;ケトンとしては、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチル セドリル ケトンが挙げられ;アルコールとしては アネトール、シトロネレール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチル アルコールおよびテルピネオールが挙げられ;炭化水素としては主にテルペン、例えば、 リモネンおよび ピネンが挙げられる。しかし、異なる香料の混合物であって、一緒になって魅力的な香水を作るものが好ましい。かかる香油は天然 香料混合物としても存在し得、例えば、植物源から入手できるもの、例えば、パイン油、シトラス 油、ジャスミン油、パチューリ油、ローズ油またはイランイラン油が挙げられる。また好適なものとしては、マスカテル、セージ油、カモミール油、クローブ油、レモンバーム油、ミント油、シナモン油、リンデンブラッサム油、ジュニパー油、ベチバー油、フランキンセンス油、ガルバナム油およびラブダナム油ならびにオレンジブラッサム油、ネロリ油、オレンジピール油およびサンダルウッド油が挙げられる。洗浄および清浄剤における色素の量は通常0.1 wt%未満であるが、香水は全処方に対して2 wt%まで構成しうる。
【0230】
香水は直接洗浄剤または清浄剤に組み入れることが出来るが、香水を香料の清浄すべき材料への付着を促進する担体に適用し、特に織物の処理については、持続性香水のためによりゆっくりと香水が放出されるのを確保するのが有益であり得る。かかる担体材料は、例えば、シクロデキストリンであることが判明し、ここでシクロデキストリン-香料複合体はその他の添加剤によりさらに被覆されうる。その他の香水のための好ましい担体は上記のゼオライト Xであり、これは界面活性剤の代わりにまたはそれと混合されて、香水を吸着しうる。それゆえ、上記のゼオライト Xおよび香水を含み、好ましくは 少なくとも部分的にはゼオライトに吸着された洗浄および清浄剤が好ましい。
【0231】
その選択は当業者にとって困難でないが、好ましい 色素は保存安定性に優れるものであり、剤のその他の成分および光に対して非感受性であり、織物繊維を染めないように繊維に対して顕著な持続性を有さないものである。
【0232】
微生物に打ち勝つために、洗浄剤または清浄剤は抗微生物活性成分を含んでいてもよい。静菌剤および殺菌剤、静真菌剤および殺真菌剤などは抗微生物スペクトルと作用機作にしたがってここでは識別される。これらの群からの重要な 物質としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、アルキルアリールスルホネート、ハロフェノールおよびフェノール 水銀アセテートが挙げられる。「抗微生物作用」および「抗微生物活性成分」という用語は本発明の教示の関係で通常の技術的意味を有し、例えば、K. H. Wallhauser、“Praxis der Sterilisation、Desinfektion - Konservierung :Keimidentifizierung - Betriebshygiene”[ Practice of Sterilization、Disinfection - Preservation: Identi-fication of Microbes - Plant Hygiene] (5th edition、Stuttgart、New York、Thieme、1995)に説明されており、そこに記載されるすべての抗微生物作用を有する物質が利用可能である。好適な抗微生物活性成分は好ましくは、アルコール、アミン、アルデヒド、抗微生物 酸および/またはそれらの塩、カルボン酸 エステル、酸 アミド、フェノール、フェノール 誘導体、ジフェニル、ジフェニルアルカン、ウレア誘導体、酸素アセタール、窒素アセタールおよびホルマール、ベンズアミジン、イソチアゾリン、フタルイミド 誘導体、ピリジン 誘導体、抗微生物 界面活性剤 化合物、グアニジン、抗微生物 両性 化合物、キノリン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、ヨード-2-プロピルブチルカルバメート、ヨウ素、ヨードフォア、ペルオキソ 化合物、ハロゲン 化合物および上記のいずれかの混合物の群から選択される。
【0233】
抗微生物 活性成分は、以下から選択されうる:エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1,3-ブタンジオール、フェノキシエタノール、1,2-プロピレン グリコール、グリセロール、ウンデシレン酸、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロ酢酸、o-フェニルフェノール、N-メチルモルホリニウム アセトニトリル (MMA)、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、4,4'-ジクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル (dichlosan)、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニル エーテル (trichlosan)、クロロヘキシジン、N-(4-クロロフェニル)-N-(3,4-ジクロロフェニル)ウレア、N,N'-(1,10-デカン-ジイルジ-1-ピリジニル-4-イリデン)-ビス-(1-オクタンアミン) ジヒドロクロリド、N,N'-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデカンジイミドアミド、グルコプロタミン、抗微生物界面活性剤四級化合物、ビグアニジンおよびポリグアニジンを含むグアニジン類、例えば、
1,6-ビス-(2-エチルヘキシルビグアニドヘキサン) ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-フェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン テトラヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-フェニル-N1,N1-メチルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-o-クロロフェニルジグアニド- N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-2,6-ジクロロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド,
1,6-ジ-[N1,N1'-β-(p-メトキシフェニル)ジグアニド-N5,N5']ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-α-メチル-β-フェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-p-ニトロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
ω:ω ジ-( N1,N1'-フェニルジグアニド-N5,N5')-ジ-n-プロピル エーテル ジヒドロクロリド、
ω:ω'-ジ-(N1,N1'-p-クロロフェニルジグアニド-N5,N5')-ジ-n-プロピル エーテル テトラヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-2,4-ジクロロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン テトラヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-p-メチルフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-2,4,5-トリクロロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン テトラヒドロクロリド、
1,6-ジ-[N1,N1'-α-(p-クロロフェニル)エチルジグアニド-N5,N5']ヘキサン ジヒドロクロリド、
ω:ω-ジ-(N1,N1'-p-クロロフェニルジグアニド-N5,N5')-m-キシレン ジヒドロクロリド、
1,12-ジ-(N1,N1'-p-クロロフェニルジグアニド-N5,N5')ドデカン ジヒドロクロリド、
1,10-ジ-(N1,N1'-フェニルジグアニド-N5,N5')デカン テトラヒドロクロリド、
1,12-ジ-(N1,N1'-フェニルジグアニド-N5,N5')ドデカン テトラヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-o-クロロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン ジヒドロクロリド、
1,6-ジ-(N1,N1'-o-クロロフェニルジグアニド-N5,N5')ヘキサン テトラヒドロクロリド、エチレン-ビス-(1-トリルビグアニド)、エチレン-ビス-(p-トリルビグアニド)、エチレン-ビス-(3,5-ジメチル-フェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(p-tert-アミルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(ノニル-フェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(フェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(n-ブチルフェニル-ビグアニド)、エチレン-ビス-(2,5-ジエトキシフェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(2,4-ジメチル-フェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(o-ジフェニルビグアニド)、エチレン-ビス-(混合アミル ナフチルビグアニド)、N-ブチルエチレン-ビス-(フェニルビグアニド)、トリメチレン-ビス-(o-トリル-ビグアニド)、N-ブチルトリメチレン-ビス-(フェニルビグアニド)および対応する塩、例えば、 アセテート、グルコネート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、シトレート、ビサルファイト、フルオリド、ポリマレエート、N-ココアルキルサルコシネート、ホスファイト、ヒポホスファイト、ペルフルオロオクタノエート、ケイ酸塩、ソルベート、サリチレート、マレエート、酒石酸塩、フマレート、エチレンジアミンテトラアセテート、イミノジアセテート、シンナメート、チオシアネート、アルギネート、ピロメリテート、テトラカルボキシブチレート、ベンゾエート、グルタレート、モノフルオロホスフェート、ペルフルオロプロピオネートおよびそれらの混合物。ハロゲン化キシレン およびクレゾール誘導体、例えば、 p-クロロメタクレゾールまたは p-クロロメタキシレンならびに植物起源の天然抗微生物活性成分 (例えば、スパイスまたはハーブ由来)、動物および微生物起源の天然抗微生物活性成分も好適である。抗微生物的活性界面活性剤 四級化合物、植物 起源の天然 抗微生物 活性成分および/または動物 起源の天然 抗微生物 活性成分も好ましい;特に好ましくは、少なくとも1つの植物 起源の天然 抗微生物 活性成分であって、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンならびに精油、例えば、 オイゲノール、チモールおよびゲラニオールを含む群から選択されるものおよび/または動物 起源の少なくとも1つの 天然 抗微生物 活性成分であって、酵素、例えば、乳由来タンパク質、リゾチームおよびラクトペルオキシダーゼ を含む群から選択されるものおよび/または 少なくとも1つの 抗微生物活性界面活性剤 四級 化合物であって、アンモニウム基、スルホニウム、ホスホニウム基、ヨードニウム基、またはアルソニウム基を有するもの、ペルオキソ 化合物およびクロロ 化合物のものが利用できる。微生物 起源の物質、いわゆるバクテリオシンも利用できる。
【0234】
抗微生物活性成分として好適な四級 アンモニウム 化合物(QAC)は、 一般式 (R1)(R2)(R3)(R4)N+X-を有し、ここで R1〜 R4 は同じまたは異なるC1-C22 アルキル ラジカル、C7-C28 アラルキル ラジカルまたはヘテロ環状 ラジカルを示し、2つのラジカルまたは、ピリジンにおけるような芳香族結合の場合は、3のラジカルが窒素原子とともに複素環、例えば、ピリジニウム 化合物またはイミダゾリニウム 化合物を形成し、 X-は、ハライドイオン、サルフェートイオン、ヒドロキシドイオンまたは類似のイオンを示す。最適な抗微生物作用のために、少なくとも1つのラジカルは好ましくは8〜18 炭素原子、特に 12〜 16 炭素原子の鎖長を有する。
【0235】
QACは、三級 アミンとアルキル化剤、例えば、メチル クロリド、ベンジル クロリド、ジメチルスルフェート、ドデシル ブロミド、またエチレンオキシドとの反応によって作られうる。長鎖アルキル ラジカルおよび2のメチル基による三級 アミンのアルキル化は特に容易に進行する;三級アミンの2の長鎖ラジカルおよび1のメチル基による四級化はメチル クロリドの助けにより穏やかな条件下で行うことが出来る。3の長鎖アルキル ラジカルまたはヒドロキシ-置換アルキル ラジカルを有するアミンは反応性がより低く、好ましくはジメチル サルフェートにより四級化される。
【0236】
好適な QACとしては、例えば、塩化ベンザルコニウム (N アルキル-N,N ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、CAS no. 8001-54-5)、ベンザルコン B (m,p ジクロロベンジルジメチル-C12-アルキルアンモニウム クロリド、CAS no. 58390-78-6)、ベンズオキソニウム クロリド (ベンジルドデシル-ビス-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム クロリド)、セトリモニウム ブロミド (N-ヘキサデシル-N,N-トリメチルアンモニウム ブロミド、CAS no. 57-09-0)、ベンゼトニウム クロリド (N,N-ジメチル-N-[2-[2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]ベンジルアンモニウム クロリド、CAS no. 121-54-0)、ジアルキルジメチルアンモニウム クロリド、例えば、 ジ-n-デシルジメチルアンモニウム クロリド (CAS no. 7173-51-5-5)、ジデシルジメチルアンモニウム ブロミド (CAS no. 2390-68-3)、ジオクチルジメチルアンモニウム クロリド、1 セチル-ピリジニウム クロリド (CAS no. 123-03-5) およびヨウ化チアゾリン (CAS no. 15764-48-1) ならびにそれらの混合物が挙げられる。 特に好ましい QACは、C8-C18 アルキル ラジカルを有する塩化ベンザルコニウム、特に C12 -C14 アルキルベンジルジメチルアンモニウム クロリドである。
【0237】
ハロゲン化ベンザルコニウムおよび/または置換ハロゲン化ベンザルコニウムは、例えば、Lonza から Barquat(登録商標)として、 MasonからMarquat(登録商標)として、 Witco/Sherex からVariquat(登録商標) として LonzaからHyamine(登録商標)として、 Lonza からBardac(登録商標)として市販されている。その他の市販の 抗微生物 活性成分としては、N-(3-クロロアリル)ヘキサミニウム クロリド、例えば、 Dow からのDowicide(登録商標)および Dowicil(登録商標)、ベンゼトニウム クロリド、例えば、Rohm & HaasからのHyamine(登録商標) 1622、メチルベンゼトニウム クロリド、例えば、Rohm & Haas からのHyamine(登録商標) 10x、セチルピリジニウム クロリド、例えば、Merrell Labs からのセパコール クロリドが挙げられる。
【0238】
抗微生物 活性成分は、0.001 wt%〜 1 wt%、好ましくは0.001 wt%〜 0.8 wt%、特に好ましくは0.005 wt%〜 0.3 wt%、特に0.01〜 0.2 wt%の量にて用いられる。
【0239】
本発明の洗浄剤または清浄剤はUV 吸収剤を含んでいてもよく、UV吸収剤は処理される織物に吸収され、繊維の耐光性および/または処方のその他の成分の耐光性を改善する。UV 吸収剤は紫外線を吸収することが出来、吸収されたエネルギーをより長波長の放射、例えば熱の形態で放射することができる有機物質 (光保護フィルター)であると理解される。
【0240】
これらの所望の性質を有する化合物は、例えば、無放射の不活性化により活性である2 および/または 4位に置換基を有するベンゾフェノン化合物および誘導体である。さらに、置換ベンゾトリアゾール、フェニル 置換基 を3位に有するアクリレート (所望によりシアノ基を2位に有するケイ皮酸誘導体)、サリチレート、有機ニッケル錯体および天然物質、例えば、 ウンベリフェロンおよび内因性ウロカニン酸が挙げられる。ビフェニル 誘導体、特にスチルベン誘導体、 例えば、 EP 0728749 Aに記載のもの、例えば、Tinosorb(登録商標) FD またはTinosorb(登録商標) FR としてCibaから市販されているものは特に重要である。UV-B 吸収剤の例としては以下が挙げられる: 3-ベンジリデンカンファー および/または 3-ベンジリデンノルカンファーおよびそれらの誘導体、例えば、EP 0693471 B1に記載の3-(4-メチルベンジリデン)カンファー; 4-アミノ安息香酸 誘導体、好ましくは 4- (ジメチルアミノ)安息香酸 2-エチルヘキシル エステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸 2-オクチル エステルおよび 4- (ジメチルアミノ)安息香酸 アミル エステル; ケイ皮酸エステル、好ましくは 4-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル エステル、4-メトキシケイ皮酸 プロピル エステル、4-メトキシケイ皮酸イソアミル エステル、2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸 2-エチルヘキシル エステル (octocrylene);サリチル酸エステル、好ましくは サリチル酸 2-エチルヘキシル エステル、サリチル酸 4-イソプロピルベンジル エステル、サリチル酸 ホモメンチル エステル;ベンゾフェノン誘導体、好ましくは 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸エステル、好ましくは 4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシル エステル; トリアジン 誘導体、例えば、EP 0818450 A1に記載の2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾン、またはジオクチルブトアミドトリアゾン (Uvasorb(登録商標) HEB); プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン; EP 0694521 B1に記載のケトトリシクロ-(5.2.1.0)-デカン誘導体。好適なものとしてはまた、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ塩、アルカリ土類塩、アンモニウム 塩、アルキルアンモニウム 塩、アルカノールアンモニウム 塩およびグルクアンモニウム 塩; ベンゾフェノンのスルホン酸 誘導体、好ましくは 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩; 3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸 誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデン-メチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびそれらの塩が挙げられる。
【0241】
典型的な UV-A フィルターとしては、特にベンゾイル メタン誘導体、例えば、 1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン (Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオンならびにDE 19712033 A1 (BASF)に記載のエナミン 化合物が挙げられる。UV-AおよびUV-B フィルターはもちろん混合物として使用しうる。上記の 可溶性物質に加えて、不溶性光保護色素、即ち微細に分散された、好ましくはナノイオン化された金属オキシドおよび/または塩もこの目的に使用できる。好適な金属オキシドの例としては、特に 酸化亜鉛および二酸化チタン、そして、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセシウムのオキシドならびにそれらの混合物が挙げられる。使用しうる塩としては、ケイ酸(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛が挙げられる。これらオキシドおよび塩は既に、皮膚ケアおよび皮膚保護乳液および装飾用化粧品のための色素の形態で用いられている。粒子は平均直径 100 nm未満、好ましくは5〜50 nm、 特に15〜30 nmであるべきである。それらは球状形状でありうるが、楕円体形状または球状形状とは異なるその他の形状の粒子も利用できる。色素は表面処理、即ち親水化または疎水化されていてもよい。典型的な例としては、層状 二酸化チタン、例えば、二酸化チタン T 805 (Degussa)またはEusolex(登録商標) T2000 (Merck)が挙げられ、好ましくは シリコーン、特に好ましくはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンがこの目的のための疎水性被覆剤として利用できる。 微粉にした酸化亜鉛が好ましくは使用される。その他の好適な UV 光保護フィルターはP. Finkel、 SOFW Journal 122 (1996)、p. 543による概説に見ることが出来る。
【0242】
UV 吸収剤は通常 0.01 wt%〜 5 wt%、好ましくは0.03 wt%〜 1 wt%の量で用いられる。
【0243】
本発明の剤は本発明のタンパク質に加えて洗浄剤 性能 および/または 清浄能力を上げるためにさらなる酵素を含んでいてもよく、原理的に従来技術で確立されたすべての酵素がこの目的に利用できる。これらとしては、特にその他のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼまたはオキシドレダクターゼ、ならびに好ましくはそれらの混合物が挙げられる。これらの酵素は原則的には天然起源である;天然分子から出発して、使用に好ましい改変された変異体はしたがって洗浄および清浄剤における使用に利用できる。本発明の剤はこれらのさらなる酵素を含み、好ましくはその総量は活性タンパク質に基づいて1 × 10 6〜 5 wt%である。
【0244】
その他のプロテアーゼのなかで、サブチリシン型のものが好ましい。 これらの例としては、サブチリシンBPN' および カールスバーグ、プロテアーゼ BP92、サブチリシン147および 309、バチルス・レンタス由来アルカリプロテアーゼ、サブチリシン DYおよびサブチラーゼに割り当てられるが狭義のサブチリシンには属さない酵素、即ち、サーミターゼ(thermitase)、プロテイナーゼ KおよびプロテアーゼTW3 およびTW7が挙げられる。サブチリシン カールスバーグは商品名Alcalase(登録商標) としてNovozymes A/S社、Bagsvaerd、Denmarkによりさらに開発された形態で入手できる。サブチリシン147 および309は、商品名 Esperase(登録商標) および/または Savinase(登録商標) という名称で Novozymesから市販されている。商品名 BLAP(登録商標) という変異体および特に WO 92/21760 A1、WO 95/23221 A1、WO 02/088340 A2および WO 03/038082 A2 に記載の変異体はバチルス・レンタス DSM 5483 (WO 91/02792 A1)からのプロテアーゼに由来する。様々な バチルス種およびバチルス・ギブソニイ 株からのその他の有用なプロテアーゼが特許出願WO 03/054185、WO 03/056017、WO 03/055974およびWO 03/054184にみられる。
【0245】
その他の有用なプロテアーゼとしては、例えば、商品名 Durazym(登録商標)、Relase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Nafizym、Natalase(登録商標)、Kannase(登録商標) および Ovozymes(登録商標)としてNovozymes社から入手可能な酵素、商品名 Purafect(登録商標)、Purafect(登録商標) OxP およびProperase(登録商標)として入手可能なGenencorからの酵素、商品名 Protosol(登録商標) として Advanced Biochemicals Ltd.社、Thane、Indiaから入手可能な酵素、商品名 Wuxi(登録商標)として Wuxi Snyder Bioproducts Ltd.社、Chinaから入手可能な酵素、商品名 Proleather(登録商標) およびプロテアーゼ P(登録商標) としてAmano Pharmaceuticals Ltd.社、Nagoya、Japanから入手可能な酵素および 商品名 プロテイナーゼ K 16 としてKao Corp.、Tokyo、Japanから入手可能な酵素が挙げられる。
【0246】
本発明により利用可能なアミラーゼの例としては、バチルス・リチェニフォルミス、バチルス・アミロリクエファシエンスまたは バチルス・ステアロサーモフィルス 由来のα-アミラーゼならびに洗浄および清浄剤における使用のために改変されたさらなる開発製品が挙げられる。バチルス・リチェニフォルミス由来の酵素はNovozymes社から商品名 Termamyl(登録商標) として入手可能でありGenencor社から商品名 Purastar(登録商標) STとして入手可能である。これらα-アミラーゼのさらなる開発製品はNovozymes社から商品名 Duramyl(登録商標)およびTermamyl(登録商標) ultraとして、Genencor社から商品名 Purastar(登録商標) OxAmとしてDaiwa Seiko Inc.社、Tokyo、Japan から Keistase(登録商標)として入手可能である。バチルス・アミロリクエファシエンス由来のα-アミラーゼは Novozymes社からBAN(登録商標) として市販されており、バチルス・ステアロサーモフィルス 由来のα-アミラーゼ変異体は商品名 BSG(登録商標)およびNovamyl(登録商標)としてNovozymes社から市販されている。使用可能なその他の市販品としては、例えば、アミラーゼ LT(登録商標) および Stainzyme(登録商標)が挙げられ、後者は Novozymes社から入手できる。
【0247】
さらに特許出願 WO 02/10356 A2に開示のバチルス 菌種A 7-7 (DSM 12368)由来α-アミラーゼおよび特許出願 WO 02/44350 A2に記載のB. agaradherens (DSM 9948)由来のシクロデキストリン グルカノトランスフェラーゼ (CGTase) もこの目的で指摘されうる。さらに、特許出願 WO 03/002711 A2に記載のα-アミラーゼの配列空間に属するアミロース分解酵素、および特許出願 WO 03/054177 A2に記載のものも利用できる。同様に、該分子の融合タンパク質も利用でき、例えば、特許出願 DE 10138753 A1に記載のものが挙げられる。
【0248】
さらに、Novozymes社から商品名 Fungamyl(登録商標) として市販されているクロコウジカビおよびコウジカビ 由来のα-アミラーゼのさらなる開発品も好適である。その他の市販品は例えばアミラーゼ LT(登録商標)である。
【0249】
本発明の剤は、特にトリグリセリド切断活性により、またインサイチュで好適な 前駆体から過酸を作るためにリパーゼまたはクチナーゼを含んでいてもよい。これらとしては、例えば、Humicola lanuginosa (Thermomyces lanuginosus) から入手可能なリパーゼおよび/またはさらに開発されたリパーゼ、特にアミノ酸 交換 D96Lを有するものが挙げられる。それらはNovozymes社により商品名 Lipolase(登録商標)、Lipolase(登録商標) Ulra、LipoPrime(登録商標)、Lipozyme(登録商標)および Lipex(登録商標)として例えば市販されている。さらにFusarium solani pisi および Humicola insolensから最初に単離されたクチナーゼも、例えば利用できる。同様に、有用なリパーゼはAmano社から商品名リパーゼ CE(登録商標)、リパーゼ P(登録商標)、リパーゼ B(登録商標) および/または リパーゼ CES(登録商標)、リパーゼ AKG(登録商標)、バチルス菌種リパーゼ(登録商標)、リパーゼ AP(登録商標)、リパーゼ M-AP(登録商標) およびリパーゼ AML(登録商標)として入手可能である。Genencor社から、出発酵素がもともとはPseudomonas mendocina およびFusarium solaniiから単離されたものであるリパーゼおよび/または クチナーゼも利用できる。言及しうるその他の重要な市販品としてはGist-Brocades社から元々市販された調製物 M1 リパーゼ(登録商標) および Lipomax(登録商標)およびMeito Sangyo K.K. 社、Japanから商品名 リパーゼ MY-30(登録商標)、リパーゼ OF(登録商標) およびリパーゼ PL(登録商標) として市販されている酵素ならびにGenencor社からの製品、Lumafast(登録商標) が挙げられる。
【0250】
本発明の剤は、セルラーゼを、純粋な酵素、酵素調製物または混合物の形態で含みうる。ここでそれらは様々な性能側面に関して、意図する目的に応じて、特にそれらが織物の処理に用いられるかに応じて個々の 成分を有益に補充する。これらの性能 側面は、特に剤の一次洗浄能力、剤の二次洗浄能力 (再付着防止 効果または灰白化阻害)への寄与を含み、「ストーンウォッシュ」効果を有するものを含むものまでの最後の効果(織物への効果) を含む。
【0251】
エンドグルカナーゼ (EG)に富む有用な真菌セルラーゼ調製物および/またはそれらのさらなる開発製品はNovozymes社から商品名 Celluzyme(登録商標)という名で提供されている。 Novozymes社から入手可能な、製品、 Endolase(登録商標)および Carezyme(登録商標)はH. insolens DSM1800由来の 50 kD EGおよび43 kD EGにそれぞれ基づく。ここで利用できるこの会社からのさらなる市販品としてはCellulsoft(登録商標)および Renozyme(登録商標)が挙げられる。 後者は特許出願 WO 96/29397 A1に基づく。性能が改善したセルラーゼ 変異体は例えば特許出願 WO 98/12307 A1に開示されている。同様に、特許出願 WO 97/14804 A1に開示のセルラーゼも利用できる; 例えば、AB Enzymes of Finland社から商品名 Ecostone(登録商標) および Biotouch(登録商標) として入手可能なMelanocarpus 由来の20 kD EGも利用できる。AB Enzymes社からのその他の市販品としては、Econase(登録商標) およびEcopulp(登録商標)が挙げられる。バチルス菌種 CBS 670.93および CBS 669.93からのその他の好適な セルラーゼはWO 96/34092 A2に開示されており、バチルス菌種 CBS 670.93 からの製品は商品名 Puradex(登録商標) として Genencor社から市販されている。その他のこの会社からの市販品としては、"Genencor detergent cellulase L" およびIndiAge(登録商標) Neutraが挙げられる。
【0252】
本発明の剤は本発明のポリペプチドに加えて、特に特定の問題となる汚れを除くために ヘミセルラーゼという用語で要約されるさらなる酵素を含んでいてもよい。これらとしては、例えば、マンナナーゼ、キサンタンリアーゼ、ペクチンリアーゼ (= ペクチナーゼ)、ペクチン エステラーゼ、ペクチン酸リアーゼ、キシログルカナーゼ(= キシラナーゼ)、 プルラナーゼおよび β-グルカナーゼが挙げられる。 好適な マンナナーゼは、例えば、商品名 Gamanase(登録商標) および Pektinex AR(登録商標)としてNovozymes社から、商品名 Rohapec(登録商標) B1LとしてAB Enzymes社から、および商品名 Pyrolase(登録商標)としてDiversa Corp社、San Diego、CA、USAから入手できる。 バチルス・アルカロフィラス 由来の 好適な β グルカナーゼが、例えば、特許出願 WO 99/06573 A1に開示されている。バチルス・スブチリスから得られるβ-グルカナーゼ は商品名 Cereflo(登録商標)としてNovozymes社から入手可能である。
【0253】
漂白作用を高めるために、本発明の洗浄および清浄剤はオキシドレダクターゼ、例えば、オキシダーゼ、オキシゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、 例えば、 ハロ、クロロ、ブロモ、リグニン、グルコースまたはマンガン ペルオキシダーゼ、ジオキシゲナーゼまたはラッカーゼ (フェノール オキシダーゼ、ポリフェノール オキシダーゼ)を含んでいてもよい。 好適な 市販品としては、Novozymes社からの Denilite(登録商標) 1および2が挙げられる。さらに、酵素と相互作用する、好ましくは 有機、特に好ましくは 芳香族 化合物が有益にそれぞれの オキシドレダクターゼの活性を強化する(エンハンサー)か、または酸化酵素と汚れの間の酸化還元電位が非常に異なる場合は電子の流れを確実にする(メディエーター)ために添加される。
【0254】
本発明の剤に追加的に使用される酵素は、微生物起源、例えば、 バチルス、ストレプトマイセス、フミコラ(Humicola)またはシュードモナス属由来のものでもよいし、および/または好適な微生物により既知のバイオテクノロジー的 方法、例えばバチルス属またはフィラメント状真菌のトランジェニック発現宿主により産生されるものでもよい。
【0255】
それぞれの酵素は確立された方法により有利に精製され、例えば、沈降、遠沈、濃縮、液相のろ過、微量濾過、限外ろ過、化学物質の作用、脱臭またはそれら工程の好適な組合せが挙げられる。
【0256】
本発明のポリペプチドならびに追加的に用いられる酵素は本発明の剤に対して従来技術にしたがって確立されたあらゆる形態にて添加されてもよい。これらとしては、例えば、造粒、押出または凍結乾燥により得られる固体調製物、あるいは特に液体またはゼラチン状の剤の場合は、酵素の溶液が、少ない水の量に可能な限り有利に濃縮されておよび/または 安定化剤と混合されて添加される。
【0257】
あるいは、これらのタンパク質は固体および液体剤形の両方について、例えば酵素溶液 と好ましくは 天然ポリマーとの噴霧乾燥または押出によってカプセル封入され得、あるいはカプセルの形態で、例えば酵素が固化したゲル中に封入されるかまたは酵素を含むコアが水、空気および/または化学物質に非透過性の保護層で被覆されたコアシェル型で封入されうる。その他の活性成分、例えば、安定化剤、乳化剤、色素、漂白剤または色素は追加層に加えて適用されうる。かかるカプセルは本質的に知られた方法により作られ、例えば、振盪造粒または回転造粒によって、または流動床プロセスにて作られる。かかる顆粒は有利には埃の含量が低く、それは例えばポリマー性 フィルム形成剤の適用により、また、被覆により保存安定性がある。
【0258】
さらに、2以上の酵素、本発明のポリペプチドおよびその他の酵素を一緒にして完成させることも可能でありそれにより単一の顆粒が複数の酵素活性を有することになる。
【0259】
タンパク質、特に本発明の剤に含まれる本発明のポリペプチドは、特に保存中に損傷から保護され得、損傷とは、例えば、物理的影響、酸化またはタンパク質分解切断による不活性化、変性または分解である。タンパク質および/または酵素の微生物 産生の場合は、タンパク質分解の阻害が特に好ましく、それは特に剤がプロテアーゼも含む場合に特に好ましい。好ましい本発明の剤はこの目的のために安定化剤を含む。
【0260】
安定化剤の一群は可逆的プロテアーゼ阻害剤を含む。しばしば、ベンズアミジン ヒドロクロリド、ホウ砂、ホウ酸、ボロン酸またはそれらの塩またはエステルがこの目的のために用いられ、特に芳香族基を有する誘導体、例えば、オルト-、メタ-またはパラ-置換フェニルボロン酸、特に 4-ホルミルフェニルボロン酸 および/または上記の 化合物の塩またはエステルが含まれる。 ペプチドアルデヒド、即ち、還元 C 末端を有するオリゴペプチド、特に2から50 モノマーのものがこの目的に使用される。ペプチド性 可逆的 プロテアーゼ 阻害剤には、オボムコイドおよびロイペプチンがとりわけ含まれる。プロテアーゼ サブチリシンならびにプロテアーゼからの融合タンパク質のための特異的可逆的ペプチド 阻害剤および特異的ペプチド 阻害剤もこの目的に好適である。
【0261】
さらなる酵素安定化剤はアミノ アルコール、 例えば、 モノ-、ジ-、トリエタノール-およびプロパノールアミンおよびそれらの混合物、C12までの脂肪族カルボン酸、例えば、 コハク酸、その他のジカルボン酸または該酸の塩である。末端基がキャップされた 脂肪酸 アミド アルコキシレートもこの目的のために好適である。ビルダーとして用いられる特定の有機酸はWO 97/18287に開示のように剤に含まれる酵素をさらに安定化することが出来る。
【0262】
低級脂肪族アルコール、しかし特にポリオール、例えば、グリセロール、エチレン グリコール、プロピレン グリコールまたはソルビトールはその他のしばしば用いられる酵素 安定化剤である。ジグリセロール ホスフェートも物理的影響による変性から保護する。同様に、カルシウム および/または マグネシウム 塩、例えば、 カルシウム アセテートまたはカルシウム ホーメートも用いられる。
【0263】
ポリアミド オリゴマーまたは ポリマー性 化合物、例えば、 リグニン、水溶性 ビニル コポリマーまたはセルロース エーテル、アクリル酸ポリマーおよび/または ポリアミドはとりわけ物理的影響またはpHのゆらぎに関して酵素調製物を安定化する。ポリアミン N-オキシドを含むポリマーは酵素 安定化剤および染料移動阻害剤として同時に作用する。その他のポリマー性 安定化剤には 直鎖状 C8-C18 ポリオキシアルキレンが含まれる。アルキル ポリグリコシドはまた、本発明の剤の酵素成分を安定化し、好ましくはそれらの性能をさらに高めることが出来る。好ましくは窒素を含有する架橋化合物は防汚剤および酵素安定化剤としての二重の機能を満たす。疎水性 非イオン性 ポリマーは特に所望により存在していてもよいセルラーゼを安定化する。
【0264】
還元剤および抗酸化剤は酸化による分解に関して酵素の安定性を高める; 例えば、硫黄を含む還元剤はこの目的のための通例である。その他の例としては、亜硝酸塩および還元糖が挙げられる。
【0265】
安定化剤、例えば、ポリオール、ホウ酸 および/または ホウ砂の組合せ、ホウ酸またはホウ酸塩、還元塩およびコハク酸またはその他のジカルボン酸の組合せまたはホウ酸またはホウ酸塩とポリオールまたはポリアミノ 化合物および還元塩の組合せは特に好ましい。ペプチド-アルデヒド 安定化剤の作用は有利にホウ酸 および/または ホウ酸 誘導体および ポリオールの組合せにより高められ、また二価カチオン、例えば、カルシウムイオンのさらなる効果によって高められる。
【0266】
本発明の剤はすべての考え得る形態で提供されうるため、それぞれの剤に加えて目的にかなったすべての処方における本発明のポリペプチドは本発明のそれぞれの態様を構成する。これらには、例えば、液体処方、固体顆粒またはカプセルが挙げられる。
【0267】
カプセル封入形態が 酵素またはその他の成分を、その他の成分、例えば、漂白剤から保護するためまたは制御された放出を可能とするために推奨される。これらカプセルのサイズに応じて、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルにしたがって区別がなされ、マイクロカプセルが酵素のために特に好ましい。かかるカプセルは、例えば特許出願WO 97/24177 および DE 19918267に開示されている。1つの可能なカプセル封入 方法は、タンパク質は、タンパク質 溶液とデンプンまたはデンプン誘導体の溶液または懸濁液との混合物から開始してこの 物質にカプセル封入されるという事実からなる。かかるカプセル封入 方法は特許出願 WO 01/38471に記載されている。
【0268】
固体の剤の場合、タンパク質、即ち、本発明のポリペプチドならびに追加的にそこに所望により含まれる酵素が、例えば乾燥した、粒状化したおよび/または カプセル封入された形態にて使用できる。それらは別々に添加されてもよく、即ち、別々の相として添加されてもよく、同じ相にて別の成分とともに、圧縮されて、またはされずに添加されてもよい。マイクロカプセル封入された 酵素が固体形態で加工される場合、水を処理から得られた水溶液から従来技術に知られた方法によって除いてもよく、例えば、噴霧乾燥、遠心分離または再可溶化による。このようにして得られた粒子は通常粒子サイズ 50 μm から200 μmである。
【0269】
従来技術にしたがって行ったタンパク質 産生、および濃水溶液または非水溶液、懸濁液または乳濁液、ゲル形態またはカプセル封入された形態または乾燥粉末における調製物から開始して、タンパク質は、液体、ゼラチン状またはペースト状の本発明の剤に添加することが出来る。かかる本発明の洗浄剤または清浄剤は通常、物質に添加されうる成分の単なる混合によりまたは溶液として自動混合機により産生される。
【0270】
本発明の清浄剤、特に本発明の硬表面のために清浄剤は1以上の 噴霧剤 (INCI 噴霧剤)を通常1〜 80 wt%、好ましくは 1.5〜30 wt%、特に 2 〜10 wt%、特に好ましくは 2.5〜8 wt%、さらに好ましくは 3 〜 6 wt%の量で含んでいてもよい。
【0271】
噴霧剤は、本発明にしたがって常套の推進剤ガス、特に液化または圧縮ガスである。その選択は噴霧すべき物質および適用分野に依存する。一般に液体 清浄剤に不溶性の圧縮ガス、例えば、 窒素、二酸化炭素または 亜酸化窒素を用いる場合、作動圧力はバルブの各操作により低下する。清浄剤に可溶性またはそれ自体溶媒として作用する噴霧剤としての液化ガス (液体ガス)は、均一な作動圧力および均一な分布の利点を提供する。というのは噴霧剤は空気中に蒸発し、数百倍大きい容積を占めるからである。
【0272】
したがってINCI 命名にしたがって以下の噴霧剤が 好適である: ブタン、二酸化炭素、ジメチル カーボネート、ジメチル エーテル、エタン、ヒドロクロロフルオロカーボン 22、ヒドロクロロフルオロカーボン 142b、ヒドロフルオロカーボン152a、ヒドロフルオロカーボン 134a、ヒドロフルオロカーボン 227ea、イソブタン、イソペンタン、窒素、亜酸化窒素、ペンタン、プロパン。しかし、噴霧剤としてのクロロフルオロイソ(フルオロクロロ炭化水素、FCHC)は好ましくは大幅に削減され、特にUV照射に対して保護する大気のオゾン遮蔽、いわゆるオゾン層に対する有害な効果、により完全に削減される。
【0273】
好ましい 噴霧剤は液体ガスである。液体ガスは気体状態から液体状態に低圧および20℃において通常変換されうるガスである。特に、しかし、液体ガスは炭化水素である プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、イソブタン (2-メチルプロパン)、イソブテン (2-メチルプロペン、イソブチレン)およびそれらの混合物を含むと理解され、これらは石油の蒸留およびクラッキング副生物として精油所においておよび天然ガスのガソリンの分離工程において得られる。
【0274】
清浄剤は特に好ましくはプロパン、ブタン、および/またはイソブタン、特に プロパンおよび ブタン、さらに好ましくは プロパン、ブタンおよびイソブタンを1以上の 噴霧剤として含む。
【0275】
酵素調製物および特に本発明のポリペプチドの重要な仕事は、先に述べたように一次洗浄能力である。一次洗浄能力に加えて、洗浄剤に含まれるプロテアーゼは、しかし、タンパク質分解切断によるその他の酵素構成成分を活性化するまたはそれらを対応する処理時間の後に不活性化する機能も満たしうる。本発明の1つの態様は同様に加水分解されるプロテアーゼ-感受性材料のカプセルを有する剤を含み、例えば加水分解は、所望の時点での本発明のタンパク質およびその内容物の放出による。本発明のポリペプチドはしたがって不活性化反応、活性化反応または放出反応に使用され得、特に多相の剤として使用されうる。
【0276】
本発明の主題の別の態様はしたがってまた、活性化、即ち洗浄剤または清浄剤の成分の活性化または放出のための本発明のポリペプチドの使用を含む。
【0277】
好ましい態様において、剤は本発明のポリペプチドをそれがケア剤として規則的に用いられるように設計され、例えば、それを洗浄するプロセスに加えることにより、それを洗浄するの後に用いることにより、またはそれを洗浄とは独立に適用することによる。所望の効果は、長期間にわたる織物の滑らかな表面構造を維持することおよび/または織物に対する損傷を防止および/または 低減することからなる。
【0278】
本発明のポリペプチドが少なくとも1つの方法の工程において用いられる織物または硬表面の機械清浄方法は本発明の別の主題を構成する。
【0279】
これらのなかで、本発明のポリペプチドが40 μg 〜 4 g、好ましくは50 μg〜3 g、特に好ましくは100 μg 〜 2 g、もっとも特に好ましくは 200 μg〜 1 g/適用の量で用いられる方法が好ましい。これはこれらの数値の間のすべての整数および非整数を含む。
【0280】
これは手動および機械プロセスの両方を含むが、機械プロセスが好ましい。というのは機械プロセスは例えば使用する量および処理時間に関してより正確に制御可能であるためである。
【0281】
織物を清浄する方法は一般に様々な清浄活性物質がいくつかの方法の工程において清浄する材料に適用され処理時間の後に洗い流されること、または清浄する材料があるいは洗浄剤またはこの剤の溶液により処理されるという事実を特徴とする。織物に加えてすべての材料の清浄方法にも同じことが当てはまり、硬表面を代表として一緒にされる。すべての考え得る 洗浄または清浄方法が少なくとも1つの方法の工程において本発明のタンパク質によって改善され得、したがって本発明の態様を構成する。
【0282】
好ましい本発明のポリペプチドは 天然に既に タンパク質溶解活性を有し、清浄能力を有さない媒体中、例えば、単なる緩衝液中でもかかる活性を発揮するため、織物の機械清浄のためのかかるプロセスの単一の亜工程は、所望の場合、本発明のポリペプチドが唯一の成分として活性の清浄効果を有するものとして安定化化合物、塩または緩衝物質に加えて適用されるという事実からなりうる。これは本発明の特に好ましい態様を構成する。
【0283】
かかるプロセスの別の好ましい態様において、それぞれの 本発明のポリペプチドは本発明の剤、好ましくは 本発明の洗浄剤および/または 清浄剤のための上記の処方のいずれかとの関係において提供される。
【0284】
本発明の別の主題は上記の本発明の アルカリプロテアーゼの織物または硬表面の清浄のための使用を含む。
【0285】
上記の濃度範囲はしたがって 好ましくは これらの用途にも適用される。
【0286】
本発明のプロテアーゼは特に上記の性質および上記の 方法にしたがって織物または硬表面からタンパク質に基づく汚れを除くために用いられ得る。態様としては、例えば、手洗い、織物または硬表面からのシミの手動除去または機械 方法と組み合わせての使用が含まれる。
【0287】
この適用の好ましい態様において、それぞれの 本発明の アルカリプロテアーゼは、本発明の剤、好ましくは 洗浄剤 および/または 清浄剤についての上記の処方のいずれかとの関係において提供される。
【0288】
本発明のさらなる主題は、本発明の組成物 および/または 本発明の洗浄剤または清浄剤、特に本発明の硬表面のための清浄剤およびスプレーディスペンザーを含む製品である。製品は、単一チャンバ容器および複数チャンバ容器、特に 二チャンバ容器であり得る。ここでスプレーディスペンザーは好ましくは手動で活性になるスプレーディスペンザーであり、特に、エアロゾル スプレーディスペンザー (圧縮ガス容器、スプレー缶としても知られる)、自動的に圧力を作り出すスプレーディスペンザー、ポンプスプレーディスペンザーおよびトリガースプレーディスペンザー、特に透明のポリエチレンまたはポリエチレン テレフタレートでできた容器を備えるポンプスプレーディスペンザーおよびトリガースプレーディスペンザーを含む群から選択される。スプレーディスペンザーはWO 96/04940 (Procter & Gamble) およびそれに引用されるスプレーディスペンザーについての米国特許に詳細に記載されており、これら引用文献は全てこの点に関するものであり、その内容を本出願に含める。トリガースプレーディスペンザーおよびポンプアトマイザーは圧縮ガス容器と比較して噴霧剤を使用する必要がないという利点を有する。 この態様における酵素は、所望により粒子上に固定化された形態であり、剤に添加され、それによって好適なアタッチメント、ノズルなどから清浄泡として押し出され得、それは粒子がスプレーディスペンザー(いわゆるノズル弁)上を通過しうることによる。
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】バチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼともっとも類似の既知のサブチリシンとの、それぞれ成熟形態、即ちプロセシングされた形態のアミノ酸配列のアラインメント。 以下の番号は以下のプロテアーゼを表す:1 バチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼ 2バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q5XPN0 (Swiss-Prot)3バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q6SIX5 (Swiss-Prot)4バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q9KWR4 (Swiss-Prot)5バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q2HXI3 (Swiss-Prot)
【図2】pBC16由来であり、バチルス・リチェニフォルミスからのプロモーター(PromPLi)およびその下流にBcl I 制限スプライス部位を有する発現ベクター pAWA22 (実施例 2および Bernhard et al. (1978)、J. Bacteriol. 133 (2)、pp. 879-903参照)。
【実施例】
【0290】
以下の実施例により本発明をさらに説明するがそれらに限定されるわけではない。
【0291】
例示的態様
分子生物学のすべての操作工程は標準的方法、例えば、 Fritsch、Sambrook and Maniatis "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"、Cold Spring Harbour Laboratory Press、New York、1989 というハンドバックまたはそれに匹敵する引用文献に記載のものにしたがう。酵素およびキットは、それぞれの製造業者の指示にしたがって用いた。
【0292】
実施例 1
タンパク質分解活性細菌株の単離および同定
1gの土壌サンプルを 1 mL 滅菌 NaClに懸濁し、粉ミルクを含む寒天プレート(1.5% 寒天、0.1% K2NPO4、0.5% イーストエクストラクト、1% ペプトン、1% 粉ミルク、0.02% MgSO4・7H2O、0.4% Na2CO3、pH 9.6)に播き、30℃でインキュベートした。German Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ)によりバチルス・プミラスとして同定されたタンパク質分解活性細菌を透明領域に基づいて単離した。
【0293】
表 1.バチルス・プミラス 株の微生物学的 性質 (DSMZによる判定)
【表1−1】

【表1−2】

【0294】
実施例 2
成熟プロテアーゼのクローニングおよび配列決定
バチルス・プミラスからの染色体 DNAを標準的方法にしたがって調製し、制限酵素 Sau 3Aで処理し、その結果得られた断片をベクター pAWA22にクローニングした。これはバチルス種における使用のためのpBC16由来の発現ベクターである (Bernhard et al. (1978)、J. Bacteriol.、vol. 133 (2)、pp. 897-903)。このベクターを宿主株 バチルス・スブチリス DB 104 に形質転換した(Kawamura and Doi (1984)、J. Bacteriol.、vol. 160 (1)、pp. 442 444)。
【0295】
形質転換体をまずDM3 培地 (8 g/L 寒天、0.5M コハク酸、3.5 g/L K2HPO4、1.5 g/L KH2PO4、20 mM MgCl2、5 g/L カザミノ酸、5 g/L イーストエクストラクト、6 g/L グルコース、0.1 g/L BSA)で再生させ、TBY 脱脂乳 プレート (10 g/L ペプトン、10 g/L 粉ミルク (上記参照)、5 g/L 酵母、5 g/L NaCl、15 g/L 寒天)に移して接種した。タンパク質分解活性のあるクローンを溶解領域に基づいて同定した。その結果得られたタンパク質分解活性のあるクローンの1つを選択し、そのプラスミドを単離し、標準的方法にしたがってインサートを配列決定した。
【0296】
その結果得られたインサートはおよそ1.2 kbのオープンリーディングフレームを含んでいた。その配列を配列プロトコールに配列番号1として示す。それは1152 bpを含む。それに由来するアミノ酸配列は383 アミノ酸、次いで終止コドンを含む。それを配列プロトコールに配列番号2として示す。このなかで、最初の108 アミノ酸はおそらく成熟タンパク質に含まれておらず、したがっておそらく成熟タンパク質については 275 アミノ酸の長さとなる。
【0297】
かかる配列を一般にアクセス可能な データベースである Swiss-Prot (Geneva Bioinformatics (GeneBio) S.A.、Geneva、Switzerland; http://www.genebio.com/ sprot.html) および GenBank (National Center for Biotechnology Information NCBI、National Institutes of Health、Bethesda、MD、USA)からえられうるプロテアーゼ配列と比較した。以下の表 2に要約する酵素がもっとも類似する酵素として同定された。
【0298】
表 2:バチルス・プミラスからのアルカリプロテアーゼともっとも類似する タンパク質の相同性
表中の意味は:
ID : GenBank および Swiss-Prot データベースにおける登録番号
Ident. k. DNA: %における全長DNAに対するDNA レベルでの同一性
Ident. m. DNA:%における成熟タンパク質をコードするDNAに対するDNA レベルでの同一性
Ident. Propre: %におけるプロプレタンパク質に基づくアミノ酸 レベルでの同一性
Ident. m. Prot.:%における成熟タンパク質に基づくアミノ酸 レベルでの同一性
n:データベースに無し
【表2】

【0299】
これらプロテアーゼのアミノ酸配列を図 1のアラインメントにおいて互いに比較した。
【0300】
実施例 3
SDS ポリアクリル ゲル電気泳動および等電点電気泳動法
Pharmacia-Amersham Biotech、SwedenのPHAST(登録商標) 系における変性SDS ポリアクリル ゲル電気泳動において、バチルス・プミラス由来の実施例2および3にしたがって得た、アルカリプロテアーゼは27 kDの分子量を有していた。
【0301】
Pharmacia-Amersham BiotechのPHAST(登録商標) 系での、等電点電気泳動法によると、バチルス・ギブソニイ由来のアルカリプロテアーゼの等電点は8.5より高かった。
【0302】
実施例 4
市販の液体洗浄剤において使用した場合の洗浄能力の判定
この実施例のために、標準的な汚れを有する織物を用い、これらはSwiss Materials Testing and Experimental Institute、St. Gallen、Switzerland (EMPA) またはLaundry Research Institute、Krefeldから注文して得たものである。以下の汚れおよび織物を用いた: A (木綿上のサラダドレッシング、CFT CS-6)、B (木綿上の草、CFT CS-8)、C (木綿上の血液、EMPA E-111) および D (木綿上のミルク/ココア、EMPA E-112)。さらに、試験したすべての汚れについての平均を形成した(E)。
【0303】
この試験材料を用い、様々な洗浄剤処方を洗濯計量的に(launderometrically) その洗浄能力について試験した。これを行うために、1:12の浴比を調整し、 織物を30 分間30℃ および/または 60℃の温度で洗浄した。それぞれの剤の量は洗浄浴1l当たり4.4 gであった。水の硬度は16°の [ジャーマン] 水硬度であった。
【0304】
以下の組成の基本的洗浄剤 処方を対照洗浄剤として用いた (すべての値は wt%におけるもの): 0.3-0.5% キサンタンガム、0.2-0.4% 泡抑制剤、6-7% グリセロール、0.3-0.5% エタノール、4 -7% FAEOS、24-28% 非イオン性界面活性剤、1% ホウ酸、1-2% クエン酸ナトリウム (二水和物)、2-4% 炭酸ナトリウム、14-16% ココナツ 脂肪酸、0.5% HEDP、0-0.4% PVP、0-0.05% 蛍光増白剤、0-0.001% 色素、残りは脱塩水。それを以下のプロテアーゼと様々な実験群のために混合し、それぞれの場合についてタンパク分解活性の最小濃度は洗浄浴1l当たり5625 PEとした: バチルス・レンタス アルカリプロテアーゼ F 49 (WO 95/23221)、バチルス・レンタス アルカリプロテアーゼ X (WO 92/21760) および/またはバチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼ。
【0305】
洗浄の後、洗浄した織物の白さの程度を測定した。測定はDatacolor SF500-2 分光光度計で460 nm (UV遮蔽フィルター 3)、30 mm 開口、ガラス無し、光のタイプD65、10°、d/8°を用いて行った。それぞれ4回の測定値の平均を示す。それらは剤に含まれる酵素の使用した剤の洗浄能力に対する寄与に関する直接の影響を可能とする。
【0306】
表 3: 洗浄結果、30℃
【表3】

【0307】
表 4: 洗浄結果、 60℃
【表4】

【0308】
バチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼは試験した両方の温度において試験したすべての汚れについて確立されたプロテアーゼであるバチルス・レンタス アルカリプロテアーゼ F 49およびバチルス・レンタス アルカリプロテアーゼ Xよりも優れていた。
【0309】
実施例 5
酵素的性質
バチルス・プミラス由来の本発明の精製アルカリプロテアーゼを用いて、カゼインとともに様々な温度および様々な pH レベルで実験を行った。カゼイン切断の最適活性は60℃であり、カゼイン切断の至適pHは10.5であることが判明した。
【0310】
図面の説明
図 1:バチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼともっとも類似の既知のサブチリシンとの、それぞれ成熟形態、即ちプロセシングされた形態のアミノ酸配列のアラインメント。
以下の番号は以下のプロテアーゼを表す:
1 バチルス・プミラス由来の本発明の プロテアーゼ
2バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q5XPN0 (Swiss-Prot)
3バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q6SIX5 (Swiss-Prot)
4バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q9KWR4 (Swiss-Prot)
5バチルス・プミラス由来のプロテアーゼ Q2HXI3 (Swiss-Prot)
【0311】
図 2: pBC16由来であり、バチルス・リチェニフォルミスからのプロモーター(PromPLi)およびその下流にBcl I 制限スプライス部位を有する発現ベクター pAWA22 (実施例 2および Bernhard et al. (1978)、J. Bacteriol. 133 (2)、pp. 879-903参照)。
【0312】
【表5−1】

【表5−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む群から選択されるポリヌクレオチド:
a)配列番号1の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
b)配列番号1の位置1〜153の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
c)配列番号1の位置1〜324の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
d)配列番号1の位置325〜1152の核酸配列を有するポリヌクレオチド、
e)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
f)配列番号2の位置1〜51のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
g)配列番号2の位置1〜108のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
h)配列番号2の位置109〜383のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
i)請求項 13のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
j) 55までの突然変異を有する(a)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
k) 8までの突然変異を有する(b)または(c)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
l) 40までの突然変異を有する(d)のポリヌクレオチドの天然または人工的に作成した突然変異体または多型形態または対立遺伝子、
m) (a)のポリヌクレオチドに対して少なくとも 95%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
n) (b)のポリヌクレオチドに対して少なくとも 95%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
o) (c)のポリヌクレオチドに対して少なくとも98%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
p) (d)のポリヌクレオチドに対して少なくとも95.5%の配列相同性または同一性を有するポリヌクレオチド、
q) (a)、(b)、(c)または(d)のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
r) (a)、(c)、(d)、(g)、(h)、(m)、(o)または(p)のポリヌクレオチドの少なくとも 200の連続する核酸を含むポリヌクレオチド、
s) (a)〜(r)のポリヌクレオチドと比較して50 ヌクレオチドまでの欠失および/または挿入および/または 逆位を有するポリヌクレオチド、
t) (a)〜(s)に示すポリヌクレオチドの少なくとも1つを含むポリヌクレオチド、
u) (a)〜(t)のいずれかのポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド。
【請求項2】
加水分解酵素をコードする請求項 1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
加水分解酵素がプロテアーゼである請求項 2のポリヌクレオチド。
【請求項4】
プロテアーゼがサブチリシン型のアルカリプロテアーゼである請求項 3のポリヌクレオチド。
【請求項5】
コードされるポリペプチドがペプチド結合を切断できるものである請求項 1〜 4のいずれかのポリヌクレオチド。
【請求項6】
天然源、特に微生物から得られうる請求項 1〜 5のいずれかのポリヌクレオチド。
【請求項7】
微生物がグラム陽性細菌である請求項 6のポリヌクレオチド。
【請求項8】
グラム陽性細菌 がバチルス属のものである請求項 7のポリヌクレオチド。
【請求項9】
バチルス種がバチルス・プミラスである請求項 8のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項 1〜9のいずれかのポリヌクレオチドを生産および/または 同定する方法であって、ポリヌクレオチドが化学合成されるか、プローブに基づいて遺伝子バンクから単離されるか、またはポリメラーゼ連鎖反応によって得られる方法。
【請求項11】
請求項 1〜9のいずれかのポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項12】
クローニングベクターまたは発現ベクターである請求項 11のベクター。
【請求項13】
以下を含む群から選択されるポリペプチド:
a)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
b) 配列番号1の位置1〜51のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
c)配列番号1の位置1〜108のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
d) 配列番号2の位置109〜383のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
e)配列番号2に示す配列の位置207〜378のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
f)6までの突然変異を有する(a)のポリペプチドの天然または人工的に作成した突然変異体、多型形態または対立遺伝子、
g)1の突然変異を有する(b)または(c)のポリペプチドの天然または人工的に作成した突然変異体、多型形態または対立遺伝子、
h)4までの突然変異を有する(d)または(e) のポリペプチドの天然または人工的に作成した突然変異体、多型形態または対立遺伝子、
i) (a)または(d)のポリペプチドに対して少なくとも 98.5%の配列相同性または同一性を有するポリペプチド、
j)請求項 1のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、
k) (d)のアミノ酸配列の少なくとも 100の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、
l) (d)のアミノ酸配列の少なくとも 185の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、ここで所望により1つのアミノ酸位置において変異があってもよい、
m) (d)のアミノ酸配列の少なくとも 225の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、ここで所望により2までのアミノ酸位置において変異があってもよい、
n) (d)のアミノ酸配列の少なくとも 230の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、ここで所望により3までのアミノ酸位置において変異があってもよい、
o) (a)〜(o)のポリペプチドに対して50までのアミノ酸の挿入および/または 欠失および/または 逆位を有するポリペプチド、
p) (a)〜(p)のいずれかのポリペプチドの少なくとも1つを含むポリペプチド。
【請求項14】
加水分解酵素である請求項 13のポリペプチド。
【請求項15】
加水分解酵素がプロテアーゼである請求項 14のポリペプチド。
【請求項16】
プロテアーゼが サブチリシン型のアルカリプロテアーゼである請求項 15のポリペプチド。
【請求項17】
ペプチド結合を切断することができるものである請求項 13 〜16のいずれかのポリペプチド。
【請求項18】
さらに誘導体化されている請求項 13 〜17のいずれかのポリペプチド。
【請求項19】
さらに安定化されている請求項 13 〜18のいずれかのポリペプチド。
【請求項20】
微生物から得られうる請求項 13 〜19のいずれかのポリペプチド。
【請求項21】
微生物がグラム陽性細菌である請求項 20のポリペプチド。
【請求項22】
グラム陽性細菌がバチルス属のものである請求項 21のポリペプチド。
【請求項23】
バチルス種がバチルス・プミラスである請求項 22のポリペプチド。
【請求項24】
請求項 1〜9 のいずれかの核酸または請求項 11または12のベクターを含む細胞。
【請求項25】
特に請求項 1〜9 のいずれかのポリヌクレオチドおよび/または請求項 11または12のベクターを用いて、請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの1つを発現するかまたは刺激されてそれを発現しうる細胞。
【請求項26】
細菌、特に形成されたタンパク質を周囲の培地に分泌する細菌である請求項 25の細胞。
【請求項27】
グラム陰性細菌である請求項 26の細胞であり、特に大腸菌またはクレブシエラの属のもの、特に大腸菌 K12、大腸菌 B またはクレブシエラ・プランチコラの株、そして特に大腸菌 BL21 (DE3)、大腸菌 RV308、大腸菌 DH5α、大腸菌 JM109、大腸菌 XL-1またはクレブシエラ・プランチコラ (Rf)の株の誘導体である、細胞。
【請求項28】
グラム陽性細菌であり、特にバチルス、スタフィロコッカスまたはコリネバクテリウムの属のものであり、特にバチルス・レンタス、バチルス・リチェニフォルミス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・スブチリス、バチルス・グロビギイ、バチルス・ギブソニイ、バチルス・プミラスまたはバチルス・アルカロフィラス、スタフィロコッカス・カルノサスまたはコリネバクテリウム・グルタミカムの種のものである請求項 26の細胞。
【請求項29】
真核細胞、好ましくはサッカロマイセス属のものである請求項 25の細胞。
【請求項30】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの産生方法であって、産生が、請求項 1〜9 のいずれかのポリヌクレオチドおよび/または請求項 11または12のベクター および/または請求項 24〜29のいずれかの細胞を用いて起こり、核酸配列が所望により宿主細胞のコドン使用頻度に適合している、方法。
【請求項31】
請求項 13〜23のいずれかの少なくとも1つの ポリペプチドを含む組成物。
【請求項32】
洗浄剤または清浄剤である請求項 31の組成物。
【請求項33】
化粧品または医薬品である請求項 31の組成物。
【請求項34】
シャンプー、セッケン、洗浄ローション、クリーム、ピーリングまたは口腔、歯科または歯科補綴ケア剤である請求項 33の組成物。
【請求項35】
洗浄剤または清浄剤を含む群から選択される組成物であって以下の群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物:
a)配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
b)配列番号2の位置109〜383のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
c) 50までの突然変異を有する(a)または(b)のポリペプチドの天然または人工的に作成した突然変異体、多型形態または対立遺伝子、
d) (a)または(b)のポリペプチドに対して少なくとも 80%の配列相同性または同一性を有するポリペプチド、
e) (a)または(b)のアミノ酸配列の少なくとも 50の連続するアミノ酸を含むポリペプチド、
f) (a)、(b)、(c)、(d)または(e)のポリペプチドに対して50までのアミノ酸の挿入および/または 欠失および/または 逆位を有するポリペプチド、
g) (a)〜(f)のいずれかのポリペプチドの少なくとも1つを含むポリペプチド。
【請求項36】
剤1g当たり、2 μg 〜20 mg、好ましくは5 μg 〜17.5 mg、特に好ましくは20 μg〜15 mg、特に好ましくは50 μg 〜10 mg の量のポリペプチドを含む請求項 31〜 35のいずれかの組成物。
【請求項37】
さらなる酵素、特にその他のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼおよび/またはリパーゼを含む請求項 31〜 36のいずれかの組成物。
【請求項38】
界面活性剤、ビルダー、酸、アルカリ性物質、ヒドロトロピー剤、溶媒、増粘剤、漂白剤、色素、香料、防蝕剤、金属イオン封鎖剤、電解質、蛍光増白剤、老化阻害剤、銀防蝕剤、染料移動阻害剤、発泡防止剤、UV 吸収剤、溶媒、研磨剤、帯電防止剤、光沢剤および皮膚保護剤を含む群から選択される少なくとの1つのさらなる成分を含む請求項 31〜 37のいずれかの組成物。
【請求項39】
固体、ゲル、ペースト状または液体の組成物である請求項 31〜 38のいずれかの組成物。
【請求項40】
請求項 13〜23 のいずれかのポリペプチドまたは請求項 31〜 39のいずれかの組成物、および、酵素調製物または 清浄剤をエアロゾル および/または泡として提供するためのスプレーディスペンザーを含む製品。
【請求項41】
織物または硬表面の機械清浄方法であって、少なくとも1つの方法工程において、請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドが特に適用当たり40 μg〜 96 g、好ましくは50 μg〜 72 g、特に好ましくは100 μg〜 48 g、もっとも特に好ましくは200 μg〜24 gの量で活性である方法。
【請求項42】
少なくとも1つの 方法工程において、請求項 13〜23のいずれかの ポリペプチドが活性である織物原料の処理または織物の手入れのための方法であって、特に天然成分を有する織物原料、繊維または織物、特にウールまたはシルクのための方法。
【請求項43】
表面上の バイオフィルムの加水分解 のため、または、表面から土壌残留物を除くための方法であり、所望により請求項 40の製品を用いて、請求項 13〜23 のいずれかのポリペプチドまたは請求項 31〜 39 のいずれかの組成物とインキュベーションされることにより、処理すべき表面が該ポリペプチド および/または組成物によって処理される方法。
【請求項44】
請求項 13〜23 のいずれかのポリペプチド、請求項 31〜 39のいずれかの組成物または請求項 40の製品の、バイオフィルムの破壊 および/または 除去、および/または表面からの土壌残留物の除去および/または織物の清浄のための使用。
【請求項45】
洗浄剤または清浄剤の成分の活性化または不活性化のための請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの使用。
【請求項46】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチド、請求項 31〜 39のいずれかの組成物または請求項 40の製品の、ペプチド結合の加水分解切断のための使用。
【請求項47】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、低分子化合物またはタンパク質の生化学的分析または合成のための使用。
【請求項48】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、天然物質または価値ある生物学的物質の調製、精製 または合成のための使用。
【請求項49】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、天然原料の処理、特に表面処理のための、特に革の処理方法における使用。
【請求項50】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、織物製造における原料または中間体製品の抽出または処理のための、特に織物上の保護層の除去のための使用。
【請求項51】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、織物原料の処理または織物の手入れ、特にウールまたはシルクあるいはウールまたはシルクを含む織物 ブレンドの処理のための使用。
【請求項52】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、写真用フィルムの処理、特にゼラチン等を含む保護層の除去のための使用。
【請求項53】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、食品または飼料の生産のための使用。
【請求項54】
請求項 31〜 39のいずれかの組成物およびマルチチャンバーボトルを含む製品。
【請求項55】
請求項 13〜23のいずれかのポリペプチドの、化粧用または医薬組成物の生産のための使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−536630(P2009−536630A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508229(P2009−508229)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003998
【国際公開番号】WO2007/131656
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】