説明

パイプ内の動力伝達構造及びこの動力伝達構造を備えたバリカン式刈取機

【課題】簡易かつ軽量な構造で、直線パイプの途中部に屈曲などの角度変更部分が設けられたパイプ内部において、この角度に合わせた円滑な直線方向の往復動力を伝達させる動力伝達構造にすることと、この動力伝達構造をパイプ柄内部に備えるバリカン式刈取機にすることにある。
【解決手段】2つの直線パイプ部分10A,10Cの間に鈍角な角度変更部分10Bを有するパイプ60内における、直線方向の動力伝達構造である。この動力伝達構造は、第1動力伝達部材30と連結部材40と第2動力伝達部材50とが長さ方向に連結され、2箇所の連結回動部N1,N2が、直線パイプ部分10A,10Cの内側に夫々配置したローラーW1,W2の支持ピンP1,P2に、回動自在に支持されて、前記各直線パイプ部分10A,10C内の略中心高さに位置している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、長さ方向の途中箇所に湾曲又は届曲等による角度変更部分を有するパイプ内の動力伝達構造と、この動力伝達構造を備えたバリカン式刈取機に関する。
【従来技術】
【0002】
例えば、手持ちタイプのバリカン式刈取機は、パイプ柄の前端部に櫛刃状のバリカン刈刃装置が装着され、パイプ柄の後部に動力源であるモータ又はエンジンが装着されている。この動力源から出力される動力は回転動力であり、バリカン刈刃装置の可動刃を刈取駆動させる動力は直線方向の往復運動動力である。このため、動力伝達経路において、回転動力を直線方向の往復運動に変換する必要がある。
【0003】
手持ち式のバリカン式刈取機は、刈取作業者が手に持って楽な姿勢で雑草等の刈取作業ができるように、つまり、パイプ柄を斜め下方に向けるとバリカン刈刃装置が地面に沿った水平方向に向くように、パイプ柄の向きに対してバリカン刈刃装置が斜め上方向に向けられている。
【0004】
上述した回転動力を直線方向の往復運動に変換する機構と、パイプ柄の向きに対してバリカン刃装置を斜め上方に向けることに関し、従来では、例えば、特許文献1及び2において、バリカン刈刃装置にギヤケースを搭載し、このギヤケース内で回転動力を直線方向の往復運動に変換させ、このギヤケースを介して、刈刃に傾きを持たせる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】実開平4−19128号公報
【特許文献2】特開2000−166347号公報
【本発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記各従来技術は、バリカン刈刃装置に動力変換のための歯車組、傘歯車どうしの噛み合いによる歯車組、重量のあるギヤケース等を必要としているため、バリカン刈刃装置が重量物になり、前部が重くて刈取作業者に大きな重量負担を与える刈取機になっていた。
【0007】
本発明は、簡易かつ軽量な構造で、直線パイプの途中部に屈曲などの角度変更部分が設けられたパイプ内部において、この角度に合わせた円滑な直線方向の往復動力を伝達させる動力伝達構造にすること。そして、この動力伝達構造をパイプ柄内部に備える、上述した従来技術の不具合が解消されたバリカン式刈取機にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係るパイプ内の動力伝達構造は、パイプ内に直線往復運動をする動力伝達材を備えた動力伝達構造であって、
前記パイプは2つの直線パイプ部分の間に鈍角な角度変更部分を有し、前記動力伝達材は、長さ方向に連結された第1動力伝達部材と連結部材と第2動力伝達部材とからなり、
前記第1動力伝達部材と前記連結部材と前記第2動力伝達部材とによる連結回動部が、前記2つの直線パイプ部分の内側に夫々配置されたローラーの支持ピンに回動自在に支持されて、前記各直線パイプ部分内の略中心高さに位置し、
前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が、前記2個のローラーを前記2つの直線パイプ部分内で走行させ、且つ、前記連結部材の傾きを変更させながら、夫々前記各直線パイプ部分の略中心線に沿う高さの位置で、直線方向の向きを変えて往復連動するように構成されているところに特徴がある。
【0009】
この動力伝達構造は、2つの直線パイプ部分の間に角度変更部分を有するパイプ内の動力伝達構造である。直線パイプ部分は、真っ直ぐなパイプのことであり、角度変更部分を有するパイプは、パイプの途中が曲げられたパイプのことである。パイプの曲げの程度が僅かであれば、パイプ内に1本のロッド等を挿通させて、このロッドに直線往復運動を付与させることが可能であるが、パイプの曲げの程度が大きくなると、真っ直ぐなロッドで動力伝達させることができない。
本発明の動力伝達構造では、パイプの曲げが鈍角の範囲内であれば、パイプ内で直線方向の往復運動を伝達させることができる。
例えば、第1動力伝達部材を押操作すると、第2動力伝達材は第1動力伝達部材の押方向に対して傾き(角度)を持つ直線方向に押された連動をする。引き操作の場合も同様な引き方向の連動をする。パイプの途中部に角度変更部分が設けられているが、ローラーを連結させている連結部材が傾きを変えながら往復運動するため、向きに角度がある場合でも、この向きに合わせた確実な動力伝達が行われる。しかも、2個のローラーの走行を伴った動力伝達であるため、円滑で、騒音や振動が抑えられた動力伝達が行える。また、摩擦抵抗が少ない為、強い力の動力伝達も可能である。
【0010】
請求項2のバリカン式刈取機は、パイプ柄の後部に搭載したモータ又はエンジンよりなる原動機から出力した回転動力を、パイプ柄の後部に搭載した動力方向変換機構で直線方向の往復運動に変換し、この変換した直線方向の往復運動を、パイプ柄内の動力伝達材を通じてパイプ柄の先端部に装着した櫛刃状のバリカン刈刃装置を刈取駆動させるバリカン式刈取機において、
前記パイプ柄の前端近傍箇所に該パイプ柄の前端部を斜め上方に向ける屈曲部が設けられて、該屈曲部を間に置いた前後の2直線パイプ部分に亘る内側空間に、請求項1に記載の動力伝達構造が備えられているところに特徴がある。
【0011】
請求項2のバリカン式刈取機は、パイプ柄の手元側で回転動力を直線往復運動に変換させている。そして、パイプ柄内の動力伝達材を介して、この直線往復運動は、パイプ柄前方のバリカン刈刃装置に伝達されて、刈刃を駆動させる。そして、パイプ柄の先端近傍箇所に曲げ等による角度変更部分を設けて、この角度変更部分に対応した動力伝達が、請求項1に記載の動力伝達構造で行われるようにした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係るパイプ内の動力伝達構造によれば、2つの直線パイプ部分の間に鈍角な角度変更部分を有するパイプ内において、この角度に合わせた向きによる直線方向の動力伝達が行えるようになった。しかも、この動力伝達が角度変更部分を間に置いた両側の直線パイプ部分内を夫々走行するローラーで支持させて行なわれるようにした結果、円滑で、騒音やブレによる振動を抑えた動力伝達が行えるようになった。また、前記2箇所の連結回動部を前記各直線パイプ部分内の略中心高さに位置させた結果、摩擦抵抗が少なく、又、動力伝達効率も良く、動力伝達部材をパイプ内壁等に接触させるおそれが無く、動力伝達部材のブレによる振動や騒音がさらに抑えられるようになった。
【0013】
請求項2のバリカン式刈取機によれば、該パイプ柄の前端近傍部に、バリカン刈刃装置の向きを斜め上方に向ける屈曲部を設けた結果、楽な立姿勢のまま、地面にバリカン刃を沿わせて、地面上の雑草等を刈り取ることが出来るようになった。また、生垣の上面に向きを合わせて刈込みする作業も、楽に行なえるようになった。
また、本発明実施形態のバリカン式刈取機1に請求項1に記載の動力伝達構造を備えた構造にした結果、前部側に重量のある歯車組やギヤケース等を設ける必要が無くなり、前部が軽量で使い易く、手や腕、肩や腰などに与える負担が少ないバリカン式刈取機にすることができるようになった。また、バリカン刈刃装置にギヤケースが設けられていないため、刈刃を見ながら刈取り作業し易くなり、バリカン式刈取機を上下逆向きにして生垣の上面等を刈り込む作業において邪魔であったギヤケースが無くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、次の実施例に示す。
【実施例】
【0015】
図1(a)は2つの直線パイプ部分の間に鈍角な角度変更部分が設けられたパイプの概略図、(b)及び(c)はこのパイプ内における動力伝達構造の概略図である。
【0016】
本発明の動力伝達構造は、図1(a)に示すように、2つの直線パイプ部分10A,10Cの間に角度変更部分10Bが設けられたパイプ10内における、直線方向の往復動力伝達構造である。
直線パイプ部分は、真っ直ぐなパイプの部分のことであり、角度変更部分10Bには、湾曲部分、屈曲部分、角度を持たせて接合した部分、角度調整自在に連結された部分等が挙げられる。
【0017】
パイプ10は、円形の断面形状を持つパイプを想定しているが、楕円形、方形等の断面形状を持つパイプでもよい。パイプ10の角度変更部分10Bは、湾曲形状、折曲形状、2本の直線パイプどうしを角度調整可能に連結したもの等が挙げられる。パイプ10は、1本の直線パイプの途中箇所を曲げ加工等をしたもの以外にも、2本の真っ直ぐなパイプの間にエルボーパイプを連結させたものでもよい。使用されるパイプ10の長さ及び太さは特に限定されない。
【0018】
本発明の動力伝達構造は、図1(b)及び(c)に示すように、パイプ10内に配置された、直線方向の往復運動を行なう動力伝達材20は、この動力伝達材20の2箇所の連結回動部N1,N2を支持する2個のローラーW1,W2とを備えている。
【0019】
詳述すると、動力伝達材20は、第1動力伝達部材30と連結部材40と第2動力伝達部材50とで構成されている。図1の(b)及び(c)はこれらの部材30,40,50が各1本の線で描かれているが、実際には、例えば、少なくとも連結される片側端部に連結用のピン穴が形成された細長い連結板,ロッド等で構成される。
第1動力伝達部材30と第2動力伝達部材50の何れが駆動側であり、何れが従動側であるかは問わない。第1と第2の名称は、2つの伝達部材30,50を区別するためのみに用いられている。
第1動力伝達部材30の一端部と連結部材40一端部とは、ローラーW1の支持ピンP1に回動自在に支持されて、連結されている。また、連結部材40の他端部と第2動力伝達部材50の一端部とは、ローラーW2の支持ピンP2に回動自在に支持されて、連結されている。支持ピンP1,P2には、支持軸の意味も含まれるとする。N1,N2は2箇所の連結回動部を指している。
【0020】
2個のローラーW1,W2は、直線パイプ部分10A,10Cの内径よりも若干、小径であり、パイプ10が持つ角度Rを垂直に受ける起立した向きで、ローラーW1が直線パイプ部分10A内に位置し、ローラーW2が直線パイプ部分10C内に位置している。
このため、連結回動部N1は直線パイプ部分10Aの略中心線近くの高さに置かれ、連結回動部N2は直線パイプ部分10Cの中心線近くの高さに置かれる。図示していないが、第1動力伝達部材30の他端部と、第2動力伝達部材50の他端部も、直線パイプ部分10A,10Cの中心近くの高さが維持されている。
【0021】
図1(b)は、2個のローラーW1,W2が前後移動範囲の前端位置まで移動した状態で示され、図1(c)は、2個のローラーW1,W2が前後移動範囲の後端位置まで移動した状態で示されている。
図1(b)(c)に示すように、2個のローラーW1,W2は、直線パイプ10A,10C内を走行するのが基本であるが、角度変更部分10Bが緩やかな円弧を持つ湾曲部分である場合には、2個のローラーW1,W2の前後移動範囲を角度変更部分10Bの内側まで至らせてもよい。
【0022】
本発明のパイプ内の動力伝達構造によれば、第2動力伝達部材50を図1(b)に示す矢F1方向に押操作すると、第1動力伝達部材30が矢F2方向に連動する。この連動はローラーW1,W2の走行を伴って行なわれる。連結回動部N1(N2)は、ローラーW1(W2)で支持されているため、直線パイプ部分10A(10B)の略中心線に沿った移動をする。連結部材40は、傾きを変えながら前後方向に往復連動する。
一方、第2動力伝達部材50を図1(c)に示す矢R1方向に引操作すると、第1動力伝達部材30が矢R2方向に連動する。
このように、第1及び第2の動力伝達部材30,50は、角度変更部分10Bの角度に合わせた、直線方向に往復移動する。
図1(a)〜(c)によると、角度変更部分10Bの角度は、傾斜角Rが16°で示されているが、この傾斜角16°は一例であり、最大90°までの鈍角であればよい。
【0023】
図2(a)(b)はいずれも直角方向に湾曲した形状のパイプ内における動力伝達構造の概略図である。
図2(a)(b)に示す動力伝達構造は、途中部分が直角に湾曲した形状のパイプ11に対応した動力伝達構造になっている。図に付された符号は、図1(b)(c)に記載の符号と共通させてある。パイプ11の角度変更部分11Bの角度がこのように直角の場合でも、適宜、連結部材40を湾曲又は折曲した形状にすることによって、角度変更部分11Bの内壁に接触しない連結及び連動が可能になる。
【0024】
図3(a)は本発明の動力伝達構造を更に具体化させて示した側面断面図、(b)は平面断面図、(c)は、(a)におけるA−A線断面図、図4は本発明の動力伝達構造の分解斜視図である。
図3(a)(b)(c)及び図4に示す実施形態の動力伝達構造は、図1(b)(c)に示す動力伝達構造を、更に具体化させた構造の一例である。このため、図1(b)(c)と共通する箇所には、同一符号が付されている。
【0025】
この動力伝達構造では、第1動力伝達部材30が、平面視コ字形状に分岐した面を持つローラーホルダ31と、アイボルト32と連結板33とにより構成されている。そして、ローラーボルダ31の後端部にピンP1を介してローラーW1が円滑回転自在に支持され、ローラーホルダ31とアイボルト32とが、ローラーホルダ31の前端内側に固着したナット34を介して長さ調整可能に連結され、アイボルト32の頭部と連結板33の後端部とが、ピン35を利用して連結されている。
【0026】
第2動力伝達部材50は、平面視コ字形状に分岐した面を持つローラーボルダ51と、ボルト52と、動力伝達用の細径パイプ53とにより構成されている。そして、ローラーホルダ51の前端部にピンP2を介してローラーW2が円滑回転自在に装着され、ローラーホルダ51と細径パイプ53の前端部とが、ボルト52で長さ調整可能に連結されている。ローラーW1,W2の間に位置する連結部材40は、ローラーW1,W2の左右側に位置する2枚の連結板で構成されている。このように連結部材40,40をローラーW1,W2の両側に位置させると、片支持でない安定した連結が行なわれる。細径パイプ53の図示していない側になる他端部は、パイプ10の直線パイプ部分10Cの図示しない手前側端部まで至る。
【0027】
図3(c)に示すように、パイプ10が円形の断面形状を持つパイプである場合には、パイプ10の内壁面に沿わせた幅方向の外周面Waを持つローラーW2を用いることが、起立した姿勢が維持され、パイプ10の最大径の位置に沿って安定して走行する、という点で好ましい。他方のローラーも同様である。
【0028】
図5(a)は手持ちタイプのバリカン式刈取機の平面図、(b)は側面図である。
本発明の動力伝達構造は、図5(a)及び(b)に示す手持ちタイプのバリカン式刈取機1に最適な構造である。このバリカン式刈取機1は、パイプ(パイプ柄)10の後端部にハウジングケース2が装着され、パイプ10の先端部に櫛刃状のバリカン刈刃装置6が装着されている。
ハウジングケース2内には、モータ3と、モータ3から出力した高速回転を減速させる減速機構4と、減速された回転駆動を往復運動に変換させる動力方向変換機構5が搭載されている。ハウジングケース2には手持ち用の把手2aが一体形成され、該ケース2にはモータ3をON/OFFさせるスイッチSWが取り付けられている。Lはモータ3を駆動させる家庭用100V交流電源を取り入れる電源コード線の基部を指している。
バリカン刈刃装置6の駆動に必要な直線方向の往復動力は、動力方向変換機構5からパイプ(パイプ柄)10内の動力伝達部材20を通じて、バリカン刈刃装置6に伝達される。図5(a)に示すバリカン刈刃装置6は、上刃8を駆動させるタイプのものが示されているが、下刃7を駆動させるタイプ、上刃8と下刃7を共に駆動させるタイプでもよい。
【0029】
このバリカン式刈取機1は刈取り作業者が、例えば、立ち姿勢でこの刈取機1を手持ちして地上の雑草を楽な姿勢で刈り取ることができるように、図5(b)に示すように、パイプ(パイプ柄)10の先端近傍部が屈曲して、バリカン刈刃装置6が斜上方に向けられている。そして、このパイプ(パイプ柄)10内の動力伝達構造が、本発明実施形態の動力伝達構造となっている。
本発明の動力伝達構造は、直線方向の往復運動動力を直接、バリカン刈刃装置6に伝達することができるため、バリカン刈刃装置6に重量のある歯車組やギヤケース等を設ける必要がない。このため、前端部が軽量で平坦になり、使い易く、手や腕、肩や腰などに与える負担が少ないバリカン式刈取機1になる。
【0030】
図6はこのバリカン式刈取機の動力方向変換機構の一例を平面断面図で示している。
図6に示す動力方向変換機構5は、図5(b)に示す減速機構4から出力された減速後の回転動力で回転する小径の歯車4aと、この歯車4aと噛合している大径平歯車80と、クロススライダー83とを備える。
大径平歯車80は支持軸81の下端部に装着され、支持軸81の上部はハウジングケース2内の隔壁に保持されている。大径平歯車80の下面から下方に向けてピン82が突出し、このピン82がクロススライダー83の横方向に長く形成された長孔83a内に突入している。クロススライダー83は所定幅で前後移動自在にハウジングケース2内に保持されている。
この動力方向変換機構によれば、歯車4aが大径平歯車80を回転させると、ピン82が支持軸81の軸心を中心にした回転をして、長孔83a内を移動する過程で長孔83aの縁部を押してクロススライダー83を、直線方向に前後移動させる。
クロススライダー83の前端部には、第2動力伝達部材50の一部である細径パイプ53が接続されている。
【0031】
図7は本発明のバリカン式刈取機における使用例を示した図である。
図7に示すように、本発明実施形態のバリカン式刈取機1は、パイプ(パイプ柄)10に対してバリカン刈刃装置6が斜上方に向けられているため、背丈が低い生垣100の上を平坦に刈込む作業も、楽な姿勢でできる。
【0032】
図8は本発明のバリカン式刈取機における他の使用例を示した図である。
図8に示すように、本発明のバリカン式刈取機1を上下逆さの向きにして手で持って、パイプ(パイプ柄)10の向きを斜め上に向けると、バリカン刈刃装置6が略水平向きになる。このため、背丈の高い生垣100の上の刈込みも、楽に行なえる。
また、本発明のバリカン式刈取機1は、バリカン刈取り装置6に嵩張ったギヤケースが無いため、生垣100の上面に向きを合わせて刈込みする作業も、楽に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)は2つの直線パイプ部分の間に鈍角な角度変更部分が設けられたパイプの概略図、(b)及び(c)はこのパイプ内における動力伝達構造の概略図である。
【図2】(a)及び(b)はいずれも直角方向に湾曲した形状のパイプ内における動力伝達構造の概略図である。
【図3】(a)は本発明の動力伝達構造を更に具体化させて示した側面断面図、(b)は平面断面図、(c)は、(a)におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明の動力伝達構造の分解斜視図である。
【図5】(a)は手持ちタイプのバリカン式刈取機の平面図、(b)は側面図である。
【図6】バリカン式刈取機の動力方向変換機構の一例を示した平面断面図である。
【図7】本発明のバリカン式刈取機における使用例を示した図である
【図8】本発明のバリカン式刈取機における他の使用例を示した図である。
【符号の説明】
【0034】
1 本発明のバリカン式刈取機
2 ハウジングケース
3 モータ
4 減速機構
5 動力方向変換機構
6 バリカン刈刃装置
10 パイプ(パイプ柄)
10A 直線パイプ部分
10B 角度変更部分
10C 直線パイプ部分
20 動力伝達材
30 第1動力伝達部材
31 ローラーホルダ
40 連結部材
50 第2動力伝達部材
51 ローラーボルダ
53 (動力伝達用の)細径パイプ
P1 支持ピン
P2 支持ピン
W1 ローラー
W2 ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ内に直線往復運動をする動力伝達材を備えた動力伝達構造であって、
前記パイプは2つの直線パイプ部分の間に鈍角な角度変更部分を有し、前記動力伝達材は、長さ方向に連結された第1動力伝達部材と連結部材と第2動力伝達部材とからなり、
前記第1動力伝達部材と前記連結部材と前記第2動力伝達部材とによる連結回動部が、前記2つの直線パイプ部分の内側に夫々配置されたローラーの支持ピンに回動自在に支持されて、前記各直線パイプ部分内の略中心高さに位置し、
前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が、前記2個のローラーを前記2つの直線パイプ部分内で走行させ、且つ、前記連結部材の傾きを変更させながら、夫々前記各直線パイプ部分の略中心線に沿う高さの位置で、直線方向の向きを変えて往復連動するように構成されていることを特徴とするパイプ内の動力伝達構造。
【請求項2】
パイプ柄の後部に搭載したモータ又はエンジンよりなる原動機から出力した回転動力を、パイプ柄の後部に搭載した動力方向変換機構で直線方向の往復運動に変換し、この変換した直線方向の往復運動を、パイプ柄内の動力伝達材を通じてパイプ柄の先端部に装着した櫛刃状のバリカン刈刃装置を刈取駆動させるバリカン式刈取機において、
前記パイプ柄の前端近傍箇所に該パイプ柄の前端部を斜め上方に向ける屈曲部が設けられて、該屈曲部を間に置いた前後の2直線パイプ部分に亘る内側空間に、請求項1に記載の動力伝達構造が備えられていることを特徴とするバリカン式刈取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−117028(P2010−117028A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316235(P2008−316235)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591065480)ニシガキ工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】