パラジウム触媒
本発明は、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質に関する。該パラジウム種はパラジウム・ナノクラスターを含み得る。該粒状物質は、炭素−炭素カップリング反応または還元を行うための触媒として使用し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパラジウム触媒、それを製造する方法およびそれを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬産業は、製造した有効医薬成分(API)1kg毎について25−100kgまたはそれを超える廃棄物を生成している。産業の先端実践者によれば、APIと同時生成される潜在的廃棄物は5億〜20億kg/年の範囲にある。したがって、$1/kgの通常の廃棄費用でも、廃棄物の減少に関連する潜在的な節約は医薬産業の年間売上げ(2003年でUS$5000億)と比較して著しいであろう。大部分の医薬合成には、生成物から分離することが困難である同種の触媒の使用が含まれる。得られる生成物の金属不純物混入は、医薬産業に重大な関心を引き起こしている。
【0003】
異種の触媒はより安定、安価で、かつ、生成物から分離することが容易となり得る。しかしながら、その活性および選択性は同種の触媒のものと比較して低い場合がある。したがって、効率的な異種の触媒を開発することに向けた増大する努力が向けられている。支持体に固定化されている同種触媒は、簡単な回収および再使用を許容し、廃棄物生成および有毒化学物質の使用を最小限化し、これはグリーン化学製法の開発において最も大きな関心事である。
【0004】
パラジウム−触媒反応はその高い効率性、選択性および可能な変換物の多様性に起因して有機合成において重用なツールになってきている。パラジウムベースの触媒はカップリングおよび水素化反応において顕著な有用性を示している。しかしながら、その高い活性にもかかわらず、同種パラジウムベースの触媒は産業的な方法における適用を妨害する低い安定性および高い費用に苦しめられている。重金属としてのパラジウムも、医薬生成物の不純物混入として非常に望ましくない。従来のパラジウムベースの触媒に関連するこれらの要求を克服するために、異種および異種化した触媒が開発されている。パラジウムは、触媒適用のために炭素、ゼオライト、ケイ酸塩およびポリマーのような材料に支持されている。これらの支持されたパラジウム触媒は容易な回収を許容するが、パラジウムの浸出は重大な問題のまま残されている。加えて、現在までのところ、ポリマー−またはシリカ−支持Pdナノ粒子は触媒適用において低い化学効率しか示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
1またはそれを超える上記の欠点を実質的に克服するかまたは少なくとも緩和することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様において、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を提供する。パラジウム種はPd(0)とし得る。パラジウム種はパラジウム原子を含み得る。パラジウム種はパラジウム・クラスター、例えば、パラジウム・ナノクラスターを含み得る。
【0007】
1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を提供する。
【0008】
多孔性支持体は、金属酸化物支持体とし得る。金属酸化物はシリカとし得る。多孔性支持体および粒状物質は、独立して、メソ多孔性とし得る。支持体および粒状物質は、独立して、比較的大きな小孔が比較的小さなウィンドウによって連結された構造を有し得る。比較的大きな小孔は、約5ないし約100nmの平均直径を有し得る。比較的小さなウィンドウは、約2ないし約50nmの平均直径を有し得る。多孔性支持体は、例えば、メソ多孔性珪質フォームとし得る。パラジウム種は、粒状多孔性支持体の小孔の壁にカップリングし得る。
【0009】
多孔性支持体はパラジウム種に複合化し得る。多孔性支持体は、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングし得、ここに該結合基はパラジウム種にカップリングする。幾つかの形態において、結合基はチオール基を含まない。幾つかの形態において、結合基は硫黄を含まない。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。
【0010】
パラジウム・ナノクラスターは、約1ないし約10nmの平均直径を有し得る。粒状物質は、約1ないし約100ミクロンの平均粒径を有し得る。それは、約0.1ないし2mmolパラジウム/g支持体のパラジウム負荷を有し得る。
【0011】
本発明の第2の態様において、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法を提供し、かかる方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種に結合することができる結合基を含み;ついで
−粒状物質を生成するように、パラジウム塩をパラジウム種に転化する
ことを含む。
【0012】
パラジウム塩はパラジウム(II)塩とし得る。パラジウム種のパラジウムはPd(0)とし得る。パラジウム種はパラジウム原子を含み得る。パラジウム種はパラジウム・クラスター、例えばパラジウム・ナノクラスターを含み得る。多孔性支持体は、パラジウム種に複合化し得る。該方法は、パラジウム種を支持体にカップリングする工程を含み得る。これは、パラジウム塩をパラジウム種に転化した後に行い得、またはパラジウム塩をパラジウム種に転化すると同時に行い得る。カップリングの工程は、パラジウム種を支持体に複合化することを含み得る。
【0013】
1の形態において、該方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含み;ついで
−支持体にカップリングした、例えば複合化した、パラジウム・ナノクラスターを含む粒状物質を生成するようにパラジウム塩をパラジウム・ナノクラスターに転化する
ことを含む。
【0014】
該方法は、さらに、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を提供することを含み得る。これは、官能性をもたせた試薬に粒状多孔性支持体を反応させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成することを含み得、ここに該官能性をもたせた試薬は結合基と粒状多孔性支持体に接着することができる接着基とを含む。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、メソ多孔性珪質フォームを含み得る。
【0015】
本発明は、第2の態様の方法によって製造した場合の粒状物質も提供する。
【0016】
本発明の第3の態様において、ハロゲン化アリールおよびアリールボロン酸を本発明に係る粒状物質に曝すことを含むSuzukiカップリング反応を行う方法を提供する。
【0017】
本発明の第4の態様において、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アリールおよびオレフィンを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、Heckカップリング反応を行う方法を提供する。
【0018】
本発明の第5の態様において、水素供与種の存在下でカルボニル化合物を本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、カルボニル化合物を水素化する方法を提供する。水素供与種はギ酸塩、例えば、ギ酸アンモニウム、またはモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキルアンモニウムホルメートとし得る。水素供与種はイソプロパノールまたは幾つか他の好適なアルコール、例えば、2−ブタノールとし得る。この場合、塩基も存在させ得る。
【0019】
本発明の第6の態様において、水素ガスの存在下でオレフィンを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、オレフィンを水素化する方法を提供する。
【0020】
本発明の第7の態様において、第1級アミンおよび水素ガスの存在下でカルボニル化合物を本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、カルボニル化合物を還元的にアミノ化する方法を提供する。カルボニル化合物はアルデヒドまたはケトンとし得る。
【0021】
本発明の第8の態様において、ギ酸塩の存在下でエポキシドまたはジオールを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、エポキシドまたはジオールを水素化分解する方法を提供する。
【0022】
本発明の第3ないし第8の態様において、触媒は前の反応から再循環し得る。これらの態様のいずれにおいても、方法はレギオ特異的、立体特異的または両方とし得る。反応は高い化学効率で行い得る。反応は触媒からの低いパラジウム浸出で行い得る。
【0023】
本発明の第9の態様において、炭素−炭素カップリング反応または還元を行うための触媒としての、本発明に係る粒状物質の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、パラジウム種、例えばパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質に関する。クラスターは以下のように定義される(http://encyclopedia.thefreedictionary.com/Cluster+chemistry):
「クラスター化合物は、直的的かつ実質的な金属−金属結合が存在する2またはそれを超える一群の金属原子を含む」(D. M. P. Mingos, David J WalesによるIntroductionないしcluster chemistry, 1990 ISBN 0-13-479049-9))と定義されており、F.A.Cottonはそれを多面体カゴ構造を有するものと記載している(CottonおよびWilkinson, Advanced Inorganic Chemistry - A Comprehensive Text, 3rd Edition, p31)。したがって、ナノクラスターは、ナノメートルスケールの寸法を有するクラスターと考えることができる。
【0025】
粒状物質は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝すことによって調製し得、ここに該官能性もたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種に結合することができる結合基を含む。粒状物質は粒状触媒とし得る。それは異種触媒とし得る。それは支持された触媒とし得る。それは支持されたパラジウム触媒とし得る。
【0026】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、メソ多孔性とし得る。支持体および粒状物質は、独立して、比較的大きな小孔(メソ細孔)が比較的小さなウィンドウによって連結した構造を有し得る。比較的大きな小孔は約5ないし約100の平均直径を有し得る。比較的小さなウィンドウは約2ないし約50nmの平均直径を有する。多孔性支持体は、例えば、メソ多孔性珪質フォームとし得る。それは、両方とも出典明示して本明細書の一部とみなすWO/2006/135339(メソ多孔性フォーム粒子)および/またはHan, Y., Lee, S. S., Ying, J. Y. Chem. Mater. 2006, 18, 643によるまたはそれらに従って製造したメソ多孔性フォームとし得る。
【0027】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、規則的な形状、例えば球形の固形フォームの粒子とし得る。平均孔径(例えば、小孔孔径)は約5nmよりも大きい、または約10nmよりも大きいものとし得る。それは約5ないし約100nmまたは約5ないし50nm、5ないし20、10ないし100、50ないし100、20ないし50、20ないし30、20ないし25、2ないし22、25ないし30、27ないし30、27ないし29、または10ないし50nmとし得る。孔径は約5、10、15、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100nmとし得る。粒子は異なる孔径の分布を有し得る。異なる孔径は約5ないし約100nmとし得る。
【0028】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、約1ないし100ミクロン、または約5ないし100、10ないし100、20ないし100、50ないし100、2ないし約50、20ないし50、10ないし50、2ないし40、1ないし50、1ないし10、1ないし5、1ないし2、2ないし20、2ないし10、3ないし8、4ないし7、4ないし6、5ないし20、10ないし20、2ないし10または5ないし10ミクロンの平均粒子直径を有し得、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100ミクロン、または1マイクロ未満または100ミクロンを超えるものとし得る。それは狭い粒径分布を有し得る。平均粒径から10%を超えて異なる(平均粒径よりも大きいまたは小さい)粒径を有する約50%未満の粒子が存在し得、平均粒径から10%を超えて異なる粒径を有する約45、40、35、30、25、20、15、10または5%未満の粒子が存在し得、平均粒径から10%を超えて異なる粒径を有する約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%の粒子が存在し得る。粒子は球形となり得、または卵形、長円形、立方晶系、長斜方系、斜方晶系または平行六面体形(例えば、矩形平行六面体)のような幾つかの他の形状となり得る。
【0029】
メソ細孔のサイズおよびウィンドウのサイズの比は、約10:1ないし約1.5:1、または約10:1ないし2:1、10:1ないし5:1、5:1ないし1.5:1、3:1ないし1.5:1、5:1ないし3:1または8:1ないし4:1、および約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1または1.5:1、または幾つかの他の比とし得る。粒子は幾つかの他の構造を有し得る。ウィンドウのサイズ(すなわち、ウィンドウの孔径)は、約2nmよりも大きい、5nmよりも大きい、または約10nmよりも大きいものとし得る。それは約2ないし約50nmまたは約2ないし20、2ないし10、5ないし50、5ないし20、10ないし20、10ないし15、10ないし12、15ないし20、15ないし18、15ないし17、10ないし100、50ないし100または10ないし50nmとし得る。ウィンドウのサイズは、約2、3、4、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50nmとし得る。粒子は異なるウィンドウのサイズの分布を有し得る。異なるウィンドウのサイズは約2ないし約50nmとし得る。
【0030】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、約0.5ないし約5cm3/g、または約0.5ないし4、0.5ないし3、0.5ないし2、1ないし5、2ないし5、3ないし5、1ないし3、1ないし2、2ないし3、1.5ないし2、1.5ないし1.7、2ないし2.5、2.2ないし2.4または2ないし2.4、および約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.5、4、4.5または5cm3/gの、または約5cm3/gを超える細孔容積を有し得る。粒子は、約100ないし約1000cm3/g、または約100ないし500、100ないし200、200ないし1000、500ないし1000、200ないし800、200ないし500、500ないし800、500ないし700、500ないし600、550ないし600、550ないし570、600ないし800、650ないし750、670ないし730または690ないし710m2/gの比表面積、および約100、150、200、250、300、350、400、450、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、750、750、800、850、900、950または1000m2/gの比表面積、または約100未満または約1000m2/gを超える比表面積を有し得る。
【0031】
多孔性支持体は金属酸化物支持体とし得る。金属酸化物はシリカとし得る。それはアルミナとし得る。それはジルコニアとし得る。それはチタニアとし得る。それはアルミニウム、ケイ素、チタンおよびジルコニウムのいずれか2または3、またはそれら全てを含む混合酸化物とし得る。
【0032】
多孔性支持体は、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングし得、ここに該結合基は該種にカップリングする。結合基は非−チオール含有基とし得る。それは、非−硫黄含有基とし得る。結合基は、例えば、ウレア基、チオウレア基、アミン基、アルコール基、チオール基、イミダゾール基または幾つかの他の複素環基あるいはこれらのいずれか2またはそれを超える組み合わせを含み得る。結合基はイオン性液体、窒素、酸素および/または硫黄含有ポリマーまたはデンドリマーに基づき得る。連結基は多孔性支持体に接着する接着基を有し得る。接着基はシリル基とし得る。結合基は、1の連結基または2の連結基によって多孔性支持体にカップリングし得る。連結基はアルキル鎖を含み得る。アルキル鎖は約1ないし12の炭素原子長とし得、または約1ないし8、1ないし6、1ないし4、2ないし12、6ないし12または2ないし6の炭素原子長、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の炭素原子長とし得る。好適なカップリング基には、-Si(CH2)3NHCONH2、-Si(CH2)3NHCSNH2、-Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si-および-Si(CH2)3NHCSNH(CH2)3Si-を含む。
【0033】
粒状物質は親水性とし得る。それは親油性とし得る。多孔性基体および官能性をもたせた多孔性基体の各々は、独立して、親水性となり得、または各々、独立して、疎水性となり得る。粒状物質の疎水性度は、その性能を改善または最適化するために、および/または有機溶媒とのその和合性を改善するために調整し得る。粒状物質は、その小孔表面上に疎水基を有し得る。疎水基は、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシランジイル基または幾つかの他の疎水基とし得る。好適な基には、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよびトリフェニルシリルが含まれる。粒状物質はカップリング基以外にその小孔表面に疎水基を有しなくてもよい。それはその小孔表面上にシラノール基を有し得る。
【0034】
パラジウム種は触媒的に活性なパラジウム種とし得る。それは、高効率な触媒的に活性なパラジウム種とし得る。それは、水素化または水素化分解について触媒的に活性とし得る。それは、SuzukiまたはHeck反応について、または水素化、水素化分解または他の還元反応について触媒的に活性となり得る。パラジウム種はPd(0)種とし得る。それはパラジウム原子を含み得、またはそれはパラジウム・クラスター、例えばパラジウム・ナノクラスターを含み得、あるいはそれはパラジウム原子およびパラジウム・クラスターの両方を含み得る。パラジウム・ナノクラスターは触媒的に活性なナノクラスターとし得る。パラジウム・ナノクラスターは、約1ないし約10nm、または約1ないし5、1ないし2、2ないし10、5ないし10、2ないし8、2ないし6、2ないし3または4ないし6nm、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10nmの平均直径を有し得る。ナノクラスターは支持体上に均一に分散し得る。それは、支持体の小孔表面に均一に分散し得る。パラジウム・ナノクラスターは球形とし得る。それは擬似球形とし得る。それはほぼ球形とし得る。それは多面体とし得る。それは配位によって結合基にカップリングし得、すなわちそれは結合基に配位し得る。結合基はパラジウム種の配位子とし得る。粒状物質は、支持体1g当たり約0.1ないし約2mmolのパラジウム、または支持体1g当たり約0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.1ないし0.2、0.2ないし2、0.5ないし2、1ないし2、0.5ないし1.5または0.5ないし1mmolのパラジウム、例えば、支持体1g当たり約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95または2mmolのパラジウムのパラジウム負荷を有し得る。
【0035】
したがって、1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性シリカを含む粒状物質を提供する。
【0036】
もう1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0037】
もう1の形態において、パラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0038】
もう1の形態において、ウレア基を含む結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0039】
もう1の形態において、チオウレア基を含む結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0040】
本発明は、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法も提供し、かかる方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種を結合することができる結合基を含み;ついで、
−粒状物質を生成するように、パラジウム塩をパラジウム種に転化すること
を含む。
【0041】
パラジウム塩をパラジウム種に転化する工程は、パラジウム塩を還元することを含み得る。パラジウム塩はPd(II)塩とし得る。したがって、転化する工程は、Pd(II)をPd(0)に還元することを含み得る。還元することは、パラジウム塩を還元剤に曝すことを含み得る。それは、それを酸化可能な種に曝すことを含み得る。還元剤(または酸化可能な種)は、アルコール、好ましくは第1級または第2級アルコール、例えばメタノールとし得る。
【0042】
官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、その小孔の表面にカップリングした、前記したようなカップリング基を有する、前記した粒状多孔性支持体を含み得る。粒状多孔性支持体上のカップリング基の負荷は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体1g当たり約0.5ないし約5mmol、または約0.5ないし2、0.5ないし1、1ないし5、2ないし5、1ないし3または1.5ないし2.5mmol/g、例えば約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3、3.5、4、4.5または5mmol/gとし得る。パラジウム塩はPd(II)塩、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウムまたは幾つかの他の好適な塩とし得る。パラジウム塩の溶液は、有機溶媒中の溶液とし得る。有機溶媒は無水とし得る。それは、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモメタン、ブロモホルム、四塩化炭素、トルエン、アセトン、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルまたは幾つかの他の好適な溶媒とし得る。曝すことは、担体中の官能性をもたせた粒状支持体の懸濁液に、パラジウム塩またはその溶液を添加することを含み得る。担体は、パラジウム塩用の溶媒とし得る。それは、パラジウム塩用の非−溶媒とし得る。曝すことは、パラジウム塩をパラジウム種に転化する、例えば、官能性をもたせた粒状支持体上にパラジウム・クラスターを形成するのに十分な時間および十分な温度とし得る。それは、約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。それは、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃の温度とし得る。温度は、担体の沸点以下とし得る。それは、無水条件下で行い得る。それは低酸素条件下で行い得る。それは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素下、または脱気条件下で行い得る。反応の間、反応混合物は攪拌ないし振盪し得、またはそれは無攪拌および無振盪とし得る。
【0043】
したがって、1の形態において、方法は、所望により加熱しながらでもよいが、無水担体中の官能性をもたせた多孔性支持体の懸濁液を無水溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝し、それによってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成することを含み、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含む。
【0044】
幾つかの形態において、粒状物質はその小孔表面に疎水基を有する。これを行うために、それから粒状物質が生成する多孔性支持体は、その小孔表面に疎水基を有し得る。したがって、方法は、粒状物質または多孔性支持体を疏水化することを含み得る。それは、粒状物質の小孔表面または多孔性支持体の小孔表面に疎水基を接着することを含み得る。それは、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基または幾つかの他の疎水基を粒状物質または多孔性支持体の小孔表面に付加することを含み得る。これは、多孔性支持体を疎水化剤で処理することを含み得る。疎水化剤は、例えば、(R3Si)2O、(R3Si)2NH、R3SiX、R2SiX2またはRSiX3を含み得、ここにRはアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルほか)またはアリール(例えば、フェニル)基であり、XはCl、Br、OAcほかのような好適な遊離基である。通常使用される疎水化剤には、ヘキサメチルジシラザン、塩化トリメチルシリルおよびジクロロジメチルシランが含まれる。疎水化の工程は、カップリング基を接着させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成する前に行い得る。それは、カップリング基を接着させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成した後に行い得るが、パラジウム・マイクロクラスターを形成する前に行い得る。それは、パラジウム種の形成の後に行い得る。
【0045】
パラジウム種を形成した後、粒状物質は反応混合物から分離し得る。分離は、濾過、遠心、沈澱、デカンテーションまたはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。その場合、粒状物質は洗浄し得る。洗浄は、有機溶媒、例えばパラジウム塩を溶解するために用いる溶媒、または官能性をもたせた粒状多孔性支持体を懸濁するために用いる担体、または幾つかの他の溶媒を用い得る。それは1回洗浄し得る。それは1回を超えて洗浄し得、そこで洗浄液は同一の溶媒または異なる溶媒を用い得る。粒状物質は乾燥し得る。乾燥は、粒状物質を加熱する、その上および/またはそれを通してガスを通す、粒状物質に真空または部分真空を適用する、またはこれらの幾つかの組み合わせを含み得る。
【0046】
したがって、もう1の形態において、方法は:
i)担体中の官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を、溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に十分な時間および十分な温度曝して、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成し、
ii)粒状物質を分離し、
iii)粒状物質を洗浄し、ついで
iv)粒状物質を乾燥する
ことを含み、該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含む。
【0047】
方法は、さらに、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を提供することを含み得る。これは、粒状多孔性支持体を官能性をもたせる試薬に反応させて、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成することを含み得、ここに該官能性をもたせる試薬は結合基および粒状多孔性支持体に接着することができる接着基を含む。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、メソ多孔性珪質フォームを含み得る。
【0048】
以前に記載したように、好適な粒状多孔性支持体はメソ多孔性珪質フォームであり、これは公知の方法によって調製し得る。該支持体は使用する前に乾燥し得る。乾燥には、好適な温度にて好適な時間加熱することが含まれ得る。時間は、例えば約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。温度は、約70ないし約200℃、または約70ないし150、70ないし100、100ないし200、150ないし200、100ないし150、80ないし120または90ないし110℃、例えば、約70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200℃とし得る。ついで、支持体は、乾燥環境中、例えば乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥窒素、乾燥二酸化炭素ほか中で冷却し得る。あるいは、またはさらに、支持体は無水溶媒、例えば無水エーテル、無水THF、無水トルエンまたは幾つかの他の無水溶媒に曝すことによって乾燥し得る。これらの溶媒を無水にする方法は、文献においてよく知られている。
【0049】
ついで、支持体は担体と合して懸濁液を形成し得る。担体は、先に記載したような有機溶媒とし得る。ついで、所望により溶液であってもよい官能性をもたせる試薬を懸濁液に添加し得る。官能性をもたせる試薬は、支持体1g当たり約1ないし5mmolの比で添加し得るが、この比は支持体の性質に依存し得る。比は、支持体1g当たり約1ないし4、1ないし3、2ないし5、3ないし5、2ないし4または2ないし3mmol、例えば、約1、1.5、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3、3.4、4、4.5または5mmol/gとし得る。官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム種に結合またはカップリングすることができる結合基を含むようにすべきである。好適な官能性をもたせる試薬には、(RO)3Si(CH2)3NHCONH2、(RO)3Si(CH2)3NHCSNH2、(RO)3Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si(OR)3および(RO)3Si(CH2)3NHCSNH(CH2)3Si(OR)3が含まれ、式中、Rはアルキル基、例えば、C1ないしC6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルほか)またはアリール基(例えば、フェニル)であるが、他の好適な試薬は当業者であれば容易に理解できるであろう。懸濁液中での支持体と試薬との反応は、試薬と支持体とを反応させるのに十分な温度にて十分な時間とし得る。試薬は、支持体の小孔の表面上の官能基(例えば、Si−OH基)と反応し得る。時間は、例えば約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。温度は、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃とし得る。反応は無水条件下で行い得る。それは低酸素条件下で行い得る。それは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素下で行い得、あるいは脱気条件下で行い得る。反応の間、反応混合物は攪拌ないし振盪し得、あるいは無攪拌または無振盪とし得る。
【0050】
官能性をもたせる試薬と支持体とを反応させた後、得られた反応性をもたせた支持体を反応混合物から分離し得る。分離は、濾過、遠心、静置、デカンテーションまたはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。ついで、官能性をもたせた支持体を洗浄し得る。洗浄は有機溶媒を用いて行い得る。それは1回洗浄し得る。それは1回を超えて洗浄し得、そこでは洗浄液は同一または異なる溶媒を使用し得る。好適な溶媒には、トルエン、エタノール、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトンまたは他の有機溶媒、またはそれらの組み合わせが含まれる。官能性をもたせた支持体は乾燥し得る。乾燥には、加熱、官能性をもたせた支持体の上および/または中にガスを通す、真空または部分真空を官能性をもたせた支持体に適用する、またはこれらの幾つかの組み合わせを含み得る。乾燥させる前に、官能性をもたせた支持体は溶媒、例えばエタノール、イソプロパノールほかのようなアルコール中で加熱し得る。この工程は、不純物を除去するために、支持体を洗浄するように作用し得る。加熱は、約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または25ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。それは約40ないし約80℃、または40ないし60、60ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70または80℃とし得る。
【0051】
したがって、さらなる形態において、本発明の方法は:
i)粒状多孔性支持体の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成し;ついで
ii)パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度にて、官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝す
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0052】
もう1の形態において、方法は:
i)粒状多孔性支持体の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成し;
ii)官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度で溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝し;
iii)粒状物質を分離し;
iv)粒状物質を洗浄し;ついで
v)粒状物質を乾燥する
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0053】
もう1の形態において、方法は:
i)メソ多孔性珪質フォーム(MCF)の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して官能性をもたせたMCFを形成し;
ii)官能性をもたせたMCFの懸濁液を、パラジウム・ナノクラスターにカップリングしたMCFを含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度で酢酸パラジウム(II)の溶液に曝し;
iii)粒状物質を分離し;
iv)粒状物質を洗浄し;ついで
v)粒状物質を乾燥する
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせたMCFがパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0054】
本発明の粒状物質は触媒として使用し得る。それは、パラジウム種、例えばパラジウム・ナノクラスターによって触媒することができる反応を触媒し得る。したがって、本発明は、種々の化学反応を触媒するために本発明の粒状物質を使用する方法も提供する。触媒は、個々の反応について後記するように、高い化学効率で行い得る。これらの粒状物質によって触媒し得る好適な反応には、炭素−炭素結合形成および水素化が含まれる。例には、アリールハロゲン化物およびアリールボロン酸のSuzukiカップリング反応、アリールハロゲン化物およびオレフィンのHeckカップリング反応、カルボニル化合物の水素移動反応、オレフィンの水素化、還元的アミノ化、水素化分解ほかが含まれる。本発明の粒状物質(以下、「触媒」という)によって触媒される場合のこれらの反応についての典型的な反応は以下のとおりである:
Suzuki反応:アリールハロゲン化物(例えば、臭化物またはヨウ化物)、アリールボロン酸および触媒を行うのに十分な時間、溶媒中で加熱する。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は、官能基に基づいて約1:1ないし約1:2である。したがって、アリール二ハロゲン化物をアリールモノハロゲン化物と反応させる場合、1:1のモル比は1モルのアリール二ハロゲン化物および2モルのアリールモノハロゲン化物を必要とするであろう。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は約1:1ないし1:1.5、1:1.5ないし1:2または1:1.1ないし1:1.3、例えば、約1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1:1.35、1:1.4、1:1.45または1:1.5とし得る。触媒は、アリールハロゲン化物に対して約0.1ないし約10モル%のレベルで存在し得る。本明細書においては、アリールハロゲン化物に対して1mol%の触媒を、アリールハロゲン化物中の100molのハロゲン化物当たり触媒中の1モルのパラジウム種と定義する。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。反応混合物は、塩基、例えば炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムも含み得る。これは、約1:1ないし約2:1、または約1:1ないし1.5:1、1.5:1ないし2:1または1.3:1ないし1.7:1、例えば、約1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1または2:1のアリールハロゲン化物に対するモル比で存在し得る。反応は、溶媒、例えば、水性溶媒中で行い得る。溶媒はアルコール/水混合物、例えば、エタノール水とし得る。それは、不活性雰囲気、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはそれらの2またはそれを超える混合物中で行い得る。反応は、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または70ないし90℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃の温度で行い得る。反応時間は約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。反応はマイクロ波条件下で行い得る。この場合、反応時間を短縮し得る。マイクロ波条件下では、反応時間は約1ないし約60分、または約1ないし30、1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし30、10ないし30、20ないし30、5ないし20または5ないし15分、例えば、約5、10、15、20、25、30、40、50または60分とし得る。好適なマイクロ波源はCEM Discover(登録商標)マイクロ波反応系である。マイクロ波照射の強度は、約0ないし約100W、または約1ないし100、5ないし100触媒は、つづく、10ないし100、20ないし100、50ないし100、0ないし50、0ないし20、0ないし10、0ないし5、0ないし2、1ないし50、1ないし20、1ないし10、1ないし5、1ないし2、5ないし50、10ないし50、20ないし50、5ないし20、10ないし20または5ないし10、例えば、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100Wとし得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%とし得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0055】
Heck反応:アリールハロゲン化物(例えば、臭化物またはヨウ化物)またはアリールトリフレート(すなわち、トリフルオロメタンスルホネート)、オレフィン、塩基および触媒を溶媒中で反応を達成するのに十分な時間加熱する。オレフィンは活性化オレフィンとし得る。それは電子欠乏オレフィンとし得る。それはα,β−不飽和酸、エステルまたはアミドとし得る。オレフィンに対するアリールハロゲン化物(またはアリールトリフレート)のモル比は、官能基に基づいて約1:1ないし約1:2とし得る。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は、約1:1ないし1:1.5、1:1.5ないし1:2または1:1.1ないし1:1.3、例えば、約1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1.35、1:1.4、1:1.45または1:1.5とし得る。触媒は、アリールハロゲン化物に対して、約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。塩基はアミンとし得る。それは第四級アミンとし得る。それはトリアルキルアミンとし得る。それは、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミンまたは幾つかの他の好適な塩基とし得る。それは、約1:1ないし約1:3、または約1:1ないし1:2、1:2ないし1:3または1:1.5ないし1:1:2.5、例えば、約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5または1:3のアリールハロゲン化物またはトリフレートのモル比で存在し得る。反応は、反応は溶媒中、例えば有機溶媒中で行い得る。溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。反応は不活性な雰囲気中、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはそれらのいずれか2またはそれを超えるものの混合物中で行い得る。それは、70ないし約150℃の温度で行い得るが、温度が溶媒の沸点を超えてはならない。温度は焼く70ないし100、100ないし150、80ないし130または90ないし110℃、例えば、約70、80、90、100、110、120、130、140または150℃とし得る。反応は、望ましい転化を得るのに十分な時間行うべきである。反応時間は約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0056】
水素移動反応:カルボニル化合物および水素供与種、例えば、ギ酸塩を触媒存在下で反応させてアルコールを形成する。カルボニル化合物はケトンとし得る。それはケトンとし得る。それはアリールアルキルケトンとし得る。アリール基はヘテロアリール基、メタロセニル基または幾つかの他の型の芳香族基とし得る。アルキルは、直鎖、分岐鎖、環状またはこれらの幾つかの他の組み合わせとし得る。それは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたは幾つかの他のアルキル基とし得る。アリール基およびアルキル基は、独立して、置換型であっても非置換型であってもよい。ギ酸塩はアミンギ酸塩とし得る。アミンは、アンモニア(それによって、アミン塩はギ酸アンモニウムである)、またはアルキル、ジアルキルもしくはトリアルキルアンモニウム塩とし得る。好適なギ酸塩には、ギ酸トリエチルアンモニウムおよびトリメチルアンモニウムが含まれる。ギ酸塩は、約1:1のモル比でギ酸とアミン(またはアンモニア)との反応によって、イン・サイチュ(in situ)でまたは別々に生成し得る。あるいは、水素供与種は、アルコールまたは幾つかの他の水素供与体とし得る。この場合、反応は、塩基性条件下、例えば、固形の水酸化物塩の存在下で行い得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約1ないし約50mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約1ないし25、1ないし10、1ないし5、5ないし50、10ないし50、25ないし50、5ないし20または5ないし15mol%、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45または50mol%のレベルで存在し得る。反応は室温または幾つか他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。カルボニル化合物に対するギ酸塩の比は、約2:1ないし約10:1、例えば、約2:1ないし5:1、5:1ないし10:1または3:1ないし7:1、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1とし得る。反応は、望ましい転化を達成するのに十分な時間行い得る。典型的な反応時間は、約1ないし約36時間である。通常、反応時間は、ギ酸アルキルアンモニウムを用いる場合よりもギ酸アンモニウムを用いる場合はより短い。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。反応はマイクロ波下で行い得る。この場合、反応時間を短縮し得る。マイクロ波条件下では、反応時間は、約1ないし30分、または約1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし30、10ないし30、20ないし30、5ないし20または5ないし15分、例えば、約5、10、15、20、25または30分とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0057】
水素化:触媒存在下で、オレフィンを水素雰囲気に付す。オレフィンは電子に富むオレフィンとし得る。それは電子が少ないオレフィンとし得る。触媒は、オレフィンに対して約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。水素圧は約30ないし150psi、または約30ないし50、50ないし150、100ないし150、50ないし100または80ないし120psi、例えば、約30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150psiとし得る。水素は不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムと混合し得ることは理解されよう。この場合、前記した圧力は、水素の分圧を表す。オレフィンは溶液中に存在させ得る。溶媒は、使用する反応条件下で水素化されないものとし得る。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、トルエンまたはそれらの組み合わせ、または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。反応は室温で行い得、または幾つかの他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は典型的に高く、約90ないし約100%、または約90ないし95、95ないし100、98ないし100、99ないし100%、例えば、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0058】
還元的アミノ化:触媒存在下の水素雰囲気下にて、アミンおよびカルボニル化合物を反応させて置換型アミンを生成する。カルボニル化合物はアルデヒドまたはケトンとし得る。アミン出発物質は、芳香族アミンまたは複素環式芳香族アミンとし得、あるいはそれは脂肪族(例えば、直鎖型、分岐鎖型および脂環式の)アミンとし得る。それはアニリンとし得る。それは第1級アミンとし得る。カルボニル化合物はアルキルカルボニル化合物、例えば、C1ないしC20の直鎖型、分岐鎖型または環状のアルデヒドとし得る。カルボニル化合物に対するアミンの比は、約1:2ないし2:1、または1:2ないし1:1、1:1ないし2:1、1:1.5ないし1.5:1、1:1.2ないし1.2:1、1:1.1ないし1.1:1または1:1.05ないし1.05:1、例えば、約1:1、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:1.04、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1:1.35、1:1.4、1:1.45、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1.01:1、1.02:1、1.03:1、1.04:1、1.05:1、1.1:1、1.15:1、1.2:1、1.25:1、1.3:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1または2:1とし得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。反応は、室温、または幾つか他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。反応時間は、許容し得る転化を達成するのに十分とし得る。反応時間は、約1ないし約12、または約1ないし6、1ないし3、3ないし12、6ないし12または6ないし9時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間とし得る。水素圧は、約20ないし約60psi、または約20ないし40、40ないし60または30ないし50psi、例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55または60psiとし得る。水素を不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムと混合し得ることは理解される。この場合、前記した圧力は水素の分圧を表す。反応は溶液で行い得る。溶媒は、使用する反応条件下で水素化し得ないものとすることができる。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、トルエンまたはそれらの組み合わせ、または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。この反応からの収率は典型的に高い。それは、約90ないし約100%、または約90ないし95、95ないし100、98ないし100または99ないし100%、例えば、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9または100%とし得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。
【0059】
水素化分解:エポキシドまたはジオール(例えば、1,2−またはビシナルジオール)およびギ酸塩を触媒存在下で反応させて、アルコールを形成する。ギ酸塩はアミンギ酸塩とし得る。アミンは、アンモニア(それによって、アミン塩はギ酸アンモニウムである)またはアルキル、ジアルキルまたはトリアルキルアンモニウム塩とし得る。好適なギ酸塩には、ギ酸トリエチルアンモニウムおよびトリメチルアンモニウムが含まれる。ギ酸塩は、約1:1のモル比でギ酸とアミン(またはアンモニア)とを反応させることによって、イン・サイチュ(in situ)または別々に生成し得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約1ないし約50mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約1ないし25、1ないし10、1ないし5、5ないし50、10ないし50、25ないし50、5ないし20または5ないし15mol%、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45または50mol%のレベルで存在し得る。反応は、室温、または幾つかの他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。カルボニル化合物に対するギ酸塩の比は、約2:1ないし約10:1、例えば、約2:1ないし5:1、5:1ないし10:1または3:1ないし7:1、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1とし得る。反応は、望ましい転化を達成するのに十分な時間行い得る。典型的な反応時間は、約1ないし約36時間である。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応はマイクロ波照射の使用によっても促進し得る。この反応からの収率は通常高く、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。反応は、出発物質中のいずれかの不斉中心の配置の保留で進行し得る。配置の保留は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。
【0060】
本発明の粒状物質は、触媒活性の損失なしに、または活性の実質的な損失なしに触媒として使用し得る。それは、触媒のつづく使用の間の活性の損失が、同一の反応条件下の生成物の収率に基づいて、約5%未満、または約4、3、2、1、0.5、0.2または0.1%未満になるように行い得る。したがって、粒状物質は、つづく反応において触媒として再使用し得る。それは、1ないし20回再使用し得、または20回を超えて再使用し得る。それは、例えば、約1ないし10,1ないし5、5ないし20、10ないし20または5ないし10時(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回)再使用し得る。したがって、特定の反応において触媒として使用する粒状物質は、先の反応から再循環し得る。粒状物質を用いて、レギオ特異的、立体特異的またはその両方である反応を触媒し得る。立体化学の保留は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。レギオ特異性は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。反応は、触媒からのパラジウムの無視し得る溶脱で行い得る。溶脱は、各反応について約1%未満、または約0.5、0.2、0.1、0.05、0.02または0.01%未満とし得る。
【0061】
したがって、要約すると、本願は、カップリングおよび水素化反応における、支持化したパラジウムの合成および触媒適用を記載する。パラジウムは、パラジウム・ナノクラスターの形態で存在し得る。それは、医薬およびファインケミカル合成ならびに他の適用のための支持化したパラジウム・ナノクラスターの調製および触媒適用を記載する。例えば、ウレアおよびチオウレア配位子は、珪質メソ多孔性フォーム(MCF)支持体の表面に効率的に固定化した。酢酸パラジウムを60℃で加熱してパラジウムに還元し、得られた名のクラスターをウレアまたはチオウレア配位子によって固定化した。ナノクラスターのサイズは、反応条件によって容易に制御した。この異種の触媒は、C−Cカップリング反応(Heck、SuzukiおよびSonogashiraカップリング反応のような)および還元反応(ケトンの水素移動、オレフィンの水素化、アミンおよびアルデヒドの還元的アミノ化、およびエポキシドの水素化分解)に向けて首尾よく適用した。それは、温和な条件下ででグリーン溶媒中の反応を触媒し得、活性および選択性の損失なしに簡単に再循環し得た。
【0062】
MCF−支持化Pdナノクラスターは高い触媒活性を示した。MCFの表面シラノール基はトリメチルシリル(TMS)基で非キャップ化、部分的な前−キャップ化または完全キャップ化して触媒効率を操作し得た。本発明の粒状物質を調製することにおいて、表面上のシラノール基は、支持体にパラジウム種をカップリングする前、その間またはした後から選択される時点に、例えば、TMS基で少なくとも部分的にキャップし得る。MCF−支持化したPdナノクラスターは、優れた活性、選択性および再循環性でもってC−Cカップリング反応(Suzuki、SonogashiraおよびHeckカップリング反応)および水素化(水素移動、水素分子を用いた低圧での水素化、水素化分解および還元的アミノ化)を首尾よく触媒した。反応は、グリーン溶媒中の環境的に優しいホスフィンを含まない条件下でも行った。それは、マイクロ波下で促進し得、幾つかの場合においては優れた収率で短時間(5−10分)で完了した。MCF−支持化Pdナノクラスターは、その非膨潤特性、高表面積およびMCF支持体の超大型の小孔ならびにウレアまたはチオウレア配位子による安定化に起因して、市販されているポリマーまたは炭素−支持触媒と比較して遙かに活性であった。
【0063】
ポリマー−、炭素−またはシリカ−支持およびマイクロエマルション−鋳型Pd触媒は以前に報告されている。しかしながら、活性および選択性の損失なしに高い触媒効率および優れた再循環性を示すMCF−支持化Pdナノクラスターについては全く報告されていない。
【0064】
本発明者らは、MCF−支持化Pd種が有機化学におけるいずれかまたはすべての型のパラジウム−触媒化転化に適用し得ると考えている。金属ナノクラスターを固定化する同様のアプローチも、広範な種々のファインケミカルおよび医薬ほかの合成用の新規な金属酸化物(例えば、シリカ)−支持化金属触媒を誘導化することに向けて広範に適用し得る。かかる新規な触媒は、高い活性、選択性および安定性を付与し得る。それは、再使用するために簡単に再循環し得、温和な反応条件下の連続反応およびグリーン(すなわち、環境に優しい)溶媒に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
ここで、本発明の好ましい形態を例示の目的のみで、添付する図面に参照して説明する:
【図1】図1は本発明において記載した支持化パラジウム・ナノクラスターの製造の図表示を示す。
【図2】図2は4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す。
【図2a】図2aは2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM写真を示す。
【図3】図3は2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真を示す。
【図4】図4はPd/ウレア−MCFのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す。
【図5】図5は4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのN2吸着−脱着等温曲線を示す。
【図6】図6は2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのN2吸着−脱着等温曲線である。
【図7】図7は室温にてアセトフェノンの水素移動を10回行う前(a)及び行った後(b)の2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのXRDパターンを示す。
【図8】図8は(黒塗り三角)2−3nmおよび(黒塗り四角)4−6nmのPdナノクラスターを含む(黒塗り菱形)10%Pd/CおよびPd/ウレア−MCF上のヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリング(第1回実験)を示すグラフである。
【図9】図9は室温でのアセトフェノンの水素移動を10回行った後の(a)4−6nmおよび(b)2−4nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM写真を示す。
【図10】図10は2−3nmのPdナノクラスターを含む(a)10%Pd/Cおよび(b)10mol%の5%Pd/ウレア−MCFに対するアセトフェノンの水素移動の濾液の写真を示す:(a)中の茶色は10%Pd/Cからの顕著なPd溶脱を示す。ICP−MS分析は、第1回実験で負荷したほぼ90%のPdが10% Pd/Cから溶脱したこと、一方10回実験後でも5%Pd/ウレア−MCFからは1.25%の合計の負荷したPdしか溶脱しなかったことを示している。
【図11】図11はアセトフェノンの(a)異種水素移動、およびヨードベンゼンとフェニルボロン酸の(a)同種および(c)異種Suzukiカップリングからの反応混合物の写真を示す。
【図12】図12は珪質MCF支持体のメソ細孔内の高い分散を示すPdおよびSiマッピングを示す。
【0066】
図1は本発明の粒状物質を製造する方法を示す。図1において、構造(10)はメソ多孔性珪質フォームの粒子の部分を示す。固形物(20)はその表面にシラノールを有するシリカを示す。比較的大きな小孔(30)は、比較的小さなウィンドウ(40)によって連結されている。小孔(30)は典型的に直径で約20ないし50nmであり、ウィンドウ(40)は典型的に直径で約5ないし10nmであるが、これらの大きさはかなり変化し得る。方法の工程(a)は、メソ多孔性珪質フォームを、部分構造(50)を有し、小孔(30)の表面が連結基(60)および結合基(70)、例えば、ウレア基を含む基によって官能化された、官能性をもたせた支持体に転化することを含む。結合基(70)はパラジウム・ナノクラスターと錯化などして結合することができる。図1では単一の基のみ示すが、ウィンドウおよび小孔の両方の表面が接着した多くのかかる基を有することは理解されるであろう。それは、粒子の外側表面にも存在し得る。これらの基の接着は、結合基(70)および接着基、例えば、トリメチルシリル基が連結基に接着した好適な官能性をもたせる試薬の溶液と反応させることによって行い得る。図1の工程(b)では、官能性をもたせた支持体は、パラジウム・ナノクラスター(90)の形成およびその官能化した支持体(50)への複合化および結合によって本発明の粒状物質(80)に転化する。これを行うために、官能性をもたせた支持体(50)をパラジウム塩、例えば、Pd(OAc)2の溶液に曝し、Pd(II)をPd(0)に還元するように加熱してパラジウム・ナノクラスター(90)を形成する。これら形状として、それは、小孔およびウィンドウの壁に、そしておそらくは外側表面にも接着したパラジウム・ナノクラスター(90)を有する粒状物質(80)を形成するように結合基(70)と錯化する。
【0067】
本発明の実験においては、パラジウムをウレア配位子の使用を介して珪質メソ多孔性フォームに固定化した(反応図式1を参照されたい)。
【0068】
【化1】
【0069】
支持体としてMCFを選択した。なぜなら、それは9−22nmのウィンドウによって連結された超大きな孔様の小孔(24−42nm)を含む三次元の内部連結した小孔構造を有するからである。水中油型のマイクロエマルションによって鋳型化したMCFは500−800m2/gの高い表面積および高いシラノールの表面濃度も有する。ウレア基は、(CH3O)3Si(CH2)3NHCONH2または(CH3O)3Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si(OCH3)をトルエン中の550℃−か焼MCFと80℃にて24時間反応させることによって球形MCF微粒子の小孔表面に導入した。得られたウレア−MCF中のウレア配位子の負荷は、元素分析によって1.8mmol/gであると決定された。Pd(OAc)2(1.5mmol)を酢酸エチルに溶解し、ウレア−MCF(1g)に導入した。混合物を室温にて30分間攪拌し、ついで60℃に24時間加熱した。最初に暗茶色の酢酸パラジウム溶液は元素パラジウムまで還元し、ウレア配位子を介してMCF支持体に沈澱した。上清は反応後に透明であり、これは、MCF上のPdの完全な固定化を示している。Pd/ウレア−MCFを濾過し、洗浄し、乾燥した。
【0070】
ウレア−MCF上に沈澱したPdナノクラスターは4−6nmの範囲の大きさ分布を有し、支持体に均一に分散した。ナノクラスターの大きさは、合成の間のPd(OAc)2濃度を変化することによっても制御し得た。例えば、Pd(OAc)2の量を半分に減少した場合、同様の手法は2−3nmの粒子の形成を生じる(図2a)。走査透過電子顕微鏡(STEM)(図3)および透過型電子顕微鏡(TEM)(図12)によるSiおよびPdマッピングは、MCFのメソ細孔内に分散したPd粒子の均一性を示した。走査型電子顕微鏡(SEM)(図4)および窒素吸着−脱着等温曲線(図5および6)は、MCF支持体の均一な超大きな小孔がPd/ウレア−MCF触媒に保持されていることを示した。X線回折(XRD)実験は、Pd/ウレア−MCF触媒におけるPdナノクラスターの超微細な粒サイズ(2−3nm)および高分散を確認した(図7(a))。
【0071】
Pd/ウレア−MCFの触媒活性を、塩基としてNa2CO3を用いる、エタノール/水混合物(9:1の体積比)中のヨードアニソールおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリング反応について調べた(表1)。24時間後、カップリング生成物を99%収率で単離した(表1、エントリー1)。2−3nmおよび4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCF触媒を、ヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリングについて、2−3nmnoPdナノクラスターを含む市販の10% Pd/C触媒(Sigma-Aldrich)と比較した。2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFは、市販の10% Pd/C触媒および4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCF触媒より性能が優れていた(図8)。Pd溶脱は反応物の上清を分析することによって調べた。同様の反応条件下でのブランク実験では5日後でさえ、ウレア−MCF支持体からのPdの溶脱は認められなかった。溶媒を80℃の1:1の体積比のエタノール/水混合物に変えた場合にSuzuki反応がより迅速に進行し、典型的な均一系反応条件下での24時間の代わりに6時間で98%の収率が得られた。
【0072】
【表1】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol% Pd/ウレア−MCF、1mmolのアリールハロゲン化物、1.25mmolのアリールボロン酸、1.5mmolの炭酸ナトリウム、5mlのエタノール/水混合物(体積比=9:1)、80℃、アルゴン雰囲気。b単離収率。
cマイクロ波条件下。d生成物の収量を消失することなく5回再循環。
e用いたエタノール/水混合物の体積比=1:1。
【0073】
Pd/ウレア−MCF触媒は、ヨードアレンのHeckカップリングについても優れた収率を提供した(表2)。それは活性および選択性におけるいずれの著しい損失なしに再循環した。
【0074】
【表2】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol% Pd/ウレア−MCF、1mmolのアリールハロゲン化物、1.25mmolのオレフィン、2mmolのトリエチルアミン、5mlのトルエン、100℃、アルゴン雰囲気。b単離収率。c活性および選択性を損なうことなく5回再循環。
【0075】
優れた収率がPd/ウレア−MCF上での種々のケトンの水素移動について達成された。典型的には、ケトンの水素移動は、室温にて、酢酸エチル中の水素源として10mol%の5% Pd/ウレア−MCF触媒および5当量のギ酸/トリエチルアミン混合物を用いて行った。不均一系触媒は、反応性および選択性を損なうことなく、簡単に回収され、数回再循環した(表3)。アセトフェノンの水素移動を10回行った後(表3、エントリー1)、Pdナノクラスターはウレア−MCF上に高度に分散したままで(表9)、触媒は活性における無視し得る損失を示した。Pd/ウレア−MCFのX線回折(XRD)パターンはPd(0)ピークからなる。Scherrerの方法によるピークの広がり分析は、平均パラジウム・クリスタライトのサイズが10回の実験後に2−3nm(図7(a))から4−5nm(図7(b))に僅かに成長したことを示した。図10(b)は、反応系の濾液が透明であることを示し;ICP−MSは5% Pd/ウレア−MCFに負荷されているPdの合計1.25%のみが10回の実験後に溶脱したことを確認した。それに対して、10% Pd/Cを含有する反応系の濾液は、1回の実験後でさえ負荷したPdのほぼ90%が溶脱したことに起因して、茶色であった(図10(a))。興味深いことに、種々のケトンの水素移動をギ酸/トリエチルアミン混合物の代わりの水素源としてギ酸アンモニウムを用いて60℃の水中で行った場合、反応は迅速に完了し(すなわち、24時間の代わりに2時間)、優れた収率の対応するアルコールを与えた。
【0076】
【表3−1】
【0077】
【表3−2】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む10mol%の5% Pd/ウレア−MCF触媒、1mmolのケトン、5mmolのギ酸:トリエチルアミン(1:1)、5mlの酢酸エチル、25℃。b単離した収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。dマイクロ波条件下。e水素源としてギ酸アンモニウムを、60℃の溶媒として水を使用した。
【0078】
Pd/ウレア−MCFは、低圧(3気圧)下で、イタコン酸ジメチル(表4、エントリー1)のような活性化オレフィンの水素化についても調べた(表4)。水素化した生成物、1−メチル−ジメチルコハク酸が99.9%収率で得られ、触媒は10回の実験で活性の損失なしに首尾よく再循環および再使用した。種々のオレフィンについて優れた収率および触媒再循環性で水素化も進行した(表4)。
【0079】
【表4】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1mmolのオレフィン、40psiまたは100psiの水素(各々、エントリー1−6および7−8について)、5mlのメタノール/エタノール、25℃。b単離した収率。c生成物の収率における損失なしに10回再循環した。
【0080】
次に、アルデヒドおよびアミンの還元的アミノ化についてのPd/ウレア−MCFの触媒活性を調べた。この反応は医薬および特殊化学産業において第二級アミンを生成するのに非常に重要である。対応するアミンの優れた転化および収率が温和な条件下で達成され、触媒は反応性および選択性における顕著な損失なしに10回再循環した(表5)。
【0081】
【表5】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1.01mmolのアニリン、1.0mmolのアルデヒド、40psiの水素、5mlのメタノール、25℃。bガスクロマトグラフィー(GC)収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。
【0082】
対応するアルコールへのエポキシドの還元的開環が、有機合成における強力なツールとして出現している。この反応の実践的、経済的かつ環境に優しい方法を開発することは非常に興味深い。Pd/ウレア−MCF触媒の効率性および安定性を、基質としてtrans−スチルベン酸化物を用いて調べた(表6、エントリー4)。注意深いことには、水素化分解反応が10回の連続する実験で優れた収率でもって完了した。触媒は単純な濾過で回収し得、活性の損失なしに再使用し得た。ついで、種々のベンジルエポキシドを同一の水素化分解条件に付し、優れた収率のホモベンジル性アルコールを一貫して得た。この触媒系の範囲をさらに拡大するために、本発明者らは抗炎症アリールプロピオン酸の合成に使用するキラル・エポキシドの水素化分解に注意を向けた。キラルなアルファ−メチルスチレン酸化物の水素化分解は、優れた収率で配置の保持を有する対応する末端アルコールを生成した(表6、エントリー8)。
【0083】
【表6】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む10mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1mmolのエポキシドまたはジオール、5mmolのギ酸アンモニウム、5mlの酢酸エチル、25℃。b単離した収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。d配置の保持。
【0084】
水素移動、水素化、水素化分解および還元的アミノ化の場合、10回の再循環後の合計Pd溶脱は、触媒に負荷した合計Pdの<1.5%であることが誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)により決定された。HeckおよびSuzukiカップリング反応の場合、5回の再循環後に溶脱した合計PdはICP−MSによって測定して<5%であった。図11はPd/ウレア−MCFを含有する不均一系
反応系の上清が非常に透明であったことを図示している。Pdの無視し得る溶脱が観察され、この新規な触媒は簡単に単離および再循環し得た。
【0085】
Pd/ウレア−MCFは、マイクロ波の援助でもってカップリング反応および水素移動についてなおより迅速な反応速度を提供することが見出された。低周波および短い反応時間で優れた転化が達成された。例えば、ヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリングにおいて99%の転化率が10分で達成された(表1、エントリー1)。マイクロ波下のアセトフェノンの水素移動については、15分で85%の収率の対応するアルコールが達成された(表3、エントリー1)。それに対して、室温における通常の反応条件下では87%の収率が24時間で得られた。
【0086】
結論として、活性Pdナノクラスターが、ウレア修飾MCF上で高い収率でもって簡単に調製し得た。それはPd(OAc)2の還元によって形成され、MCF表面上のウレア配位子によって安定化された。MCFの超大型の小孔は、バルキーな基質を含む反応を促進した。得られたPd/ウレア−MCF触媒は、水素移動、水素化およびC−Cカップリング反応について優れた活性を示し、市販の10% Pd/Cまたはポリマー支持Pd−Encatよりも優れていた。本明細書に記載する支持された金属触媒の容易な合成および新規な設計は、広く適用して、化学合成における広範な種々の触媒反応のための修飾MCF上に支持された金属性ナノクラスターを誘導し得る。本発明者らは、現在、他のPd−触媒した反応を調べ、種々の触媒適用のためにMCF上に他の金属(例えば、Rh、Ru、Cu、ItおよびIn)を固定化している。
【0087】
実験セクション
すべての化学薬品はAldrich社から購入し、さらに精製することなく受領したままで使用した。1Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル(Bruker 400MHz分光器)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光(MTEC 300光音響ディテクターを備えたDigilab FTS7000 FTIR分光器)、XRD(Philips XPert PRO X線回折システム)、N2吸着−脱着分析(Micrometrics ASAP 2020Mシステム)、元素分析(Exeter Analytical CE440 CHN分析器)、透過型電子顕微鏡(TEM)および走査型透過電子顕微鏡(STEM)(FEI Tecnai G20, 200kV)、走査型電子顕微鏡(SEM)(JOEL JSM−6700F)およびICP-MS(Flan DRCII、PerkinElmer SCIEX)を触媒特徴付けのために行った。触媒反応からの生成物はGC(Agilent 6890N)によって分析した。
【0088】
ウレア−MCFの合成
報告された方法に従って合成した球形MCF微粒子(1g)を100℃にて24時間乾燥し、アルゴン下で室温まで冷却した。乾燥トルエン(20ml)をMCFに添加した。次に、トルエン(2ml)中のトリエトキシシリルプロピルウレア(2.2mmol)の溶液を導入した。その混合物をアルゴン下で10分間攪拌し、ついで80℃にて24時間加熱した。それを室温まで冷却し、濾過し、トルエン、エタノール、アセトンおよびジクロロメタンで数回洗浄して未反応前駆体を除去した。得られた物質をエタノールに懸濁し、60℃にて一晩加熱し、濾過し、洗浄し、ついで乾燥した。元素分析は、MCF 1g当たり1.80mmolのウレアの負荷を示した。
【0089】
Pd/ウレア−MCFの合成
ウレア−MCF(1g)を乾燥トルエン(20ml)に懸濁し、CH2Cl2(2ml)中の酢酸パラジウム(要件により1.10または0.55mmol)の溶液を滴下した。その混合物を、アルゴン下で上清が無色になるまで(24時間)60℃にて加熱した。ついで、それを室温まで冷却し、濾過し、洗浄し、ついで乾燥して暗茶色がかった黒色固形物、Pd/ウレア−MCFを得た。元素分析は、ウレア−MCF 1グラム当たり1.01mmolまたは0.55mmolのPd負荷を示し、5重量%Pd/ウレア−MCFおよび10重量%Pd/ウレア−MCFに対応する。
【0090】
Suzukiカップリング反応の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アリールハロゲン化物(1mmol)、アリールボロン酸(1.25mmol)、炭酸ナトリウム(1.5mmol)、触媒(1mol%)、エタノール(4.5ml)および水(0.5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で10分間攪拌し、ついで80℃にて望ましい時間加熱した。その反応をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を室温に冷却し、焼結ガラス漏斗を通して濾過し、水(5×5ml)およびエタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は5回再循環した。
【0091】
Heckカップリング反応の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アリールハロゲン化物(1mmol)、オレフィン(1.25mmol)、トリエチルアミン(2mmol)、触媒(1mol%)およびトルエン(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で10分間攪拌し、ついで100℃にて望ましい時間加熱した。その反応をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を室温に冷却し、焼結ガラス漏斗を通して濾過し、トルエン(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は5回再循環した。
【0092】
ケトンの水素移動の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、ケトン(1mmol)、ギ酸/トリエチルアミン混合物(1:1)またはギ酸アンモニウム(5mmol)、触媒(10mol%の5% Pd/ウレア−MCF)および酢酸エチルまたは水(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で24時間攪拌し、反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、酢酸エチル(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0093】
オレフィンの水素化の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、オレフィン(1mmol)、触媒(1mol%)およびメタノール/エタノール(5ml)を満たした。得られた反応混合物を40−100psiの水素で圧縮し、室温で6時間攪拌した。反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、メタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0094】
水素下でのアルデヒドの還元的アミノ化の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アルデヒド(1.0mmol)、第一級アミン(1.01mmol)、触媒(1mol%)およびメタノール(5ml)を満たした。得られた反応混合物を40psiの水素で圧縮し、室温で6時間攪拌した。反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、メタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0095】
エポキシドおよびジオールの水素化分解の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、エポキシドまたはジオール(1mmol)、ギ酸アンモニウム(5mmol)、触媒(1mol%)および酢酸エチル(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で24時間攪拌し、反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、酢酸エチル(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【技術分野】
【0001】
本発明はパラジウム触媒、それを製造する方法およびそれを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬産業は、製造した有効医薬成分(API)1kg毎について25−100kgまたはそれを超える廃棄物を生成している。産業の先端実践者によれば、APIと同時生成される潜在的廃棄物は5億〜20億kg/年の範囲にある。したがって、$1/kgの通常の廃棄費用でも、廃棄物の減少に関連する潜在的な節約は医薬産業の年間売上げ(2003年でUS$5000億)と比較して著しいであろう。大部分の医薬合成には、生成物から分離することが困難である同種の触媒の使用が含まれる。得られる生成物の金属不純物混入は、医薬産業に重大な関心を引き起こしている。
【0003】
異種の触媒はより安定、安価で、かつ、生成物から分離することが容易となり得る。しかしながら、その活性および選択性は同種の触媒のものと比較して低い場合がある。したがって、効率的な異種の触媒を開発することに向けた増大する努力が向けられている。支持体に固定化されている同種触媒は、簡単な回収および再使用を許容し、廃棄物生成および有毒化学物質の使用を最小限化し、これはグリーン化学製法の開発において最も大きな関心事である。
【0004】
パラジウム−触媒反応はその高い効率性、選択性および可能な変換物の多様性に起因して有機合成において重用なツールになってきている。パラジウムベースの触媒はカップリングおよび水素化反応において顕著な有用性を示している。しかしながら、その高い活性にもかかわらず、同種パラジウムベースの触媒は産業的な方法における適用を妨害する低い安定性および高い費用に苦しめられている。重金属としてのパラジウムも、医薬生成物の不純物混入として非常に望ましくない。従来のパラジウムベースの触媒に関連するこれらの要求を克服するために、異種および異種化した触媒が開発されている。パラジウムは、触媒適用のために炭素、ゼオライト、ケイ酸塩およびポリマーのような材料に支持されている。これらの支持されたパラジウム触媒は容易な回収を許容するが、パラジウムの浸出は重大な問題のまま残されている。加えて、現在までのところ、ポリマー−またはシリカ−支持Pdナノ粒子は触媒適用において低い化学効率しか示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
1またはそれを超える上記の欠点を実質的に克服するかまたは少なくとも緩和することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様において、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を提供する。パラジウム種はPd(0)とし得る。パラジウム種はパラジウム原子を含み得る。パラジウム種はパラジウム・クラスター、例えば、パラジウム・ナノクラスターを含み得る。
【0007】
1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を提供する。
【0008】
多孔性支持体は、金属酸化物支持体とし得る。金属酸化物はシリカとし得る。多孔性支持体および粒状物質は、独立して、メソ多孔性とし得る。支持体および粒状物質は、独立して、比較的大きな小孔が比較的小さなウィンドウによって連結された構造を有し得る。比較的大きな小孔は、約5ないし約100nmの平均直径を有し得る。比較的小さなウィンドウは、約2ないし約50nmの平均直径を有し得る。多孔性支持体は、例えば、メソ多孔性珪質フォームとし得る。パラジウム種は、粒状多孔性支持体の小孔の壁にカップリングし得る。
【0009】
多孔性支持体はパラジウム種に複合化し得る。多孔性支持体は、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングし得、ここに該結合基はパラジウム種にカップリングする。幾つかの形態において、結合基はチオール基を含まない。幾つかの形態において、結合基は硫黄を含まない。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。
【0010】
パラジウム・ナノクラスターは、約1ないし約10nmの平均直径を有し得る。粒状物質は、約1ないし約100ミクロンの平均粒径を有し得る。それは、約0.1ないし2mmolパラジウム/g支持体のパラジウム負荷を有し得る。
【0011】
本発明の第2の態様において、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法を提供し、かかる方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種に結合することができる結合基を含み;ついで
−粒状物質を生成するように、パラジウム塩をパラジウム種に転化する
ことを含む。
【0012】
パラジウム塩はパラジウム(II)塩とし得る。パラジウム種のパラジウムはPd(0)とし得る。パラジウム種はパラジウム原子を含み得る。パラジウム種はパラジウム・クラスター、例えばパラジウム・ナノクラスターを含み得る。多孔性支持体は、パラジウム種に複合化し得る。該方法は、パラジウム種を支持体にカップリングする工程を含み得る。これは、パラジウム塩をパラジウム種に転化した後に行い得、またはパラジウム塩をパラジウム種に転化すると同時に行い得る。カップリングの工程は、パラジウム種を支持体に複合化することを含み得る。
【0013】
1の形態において、該方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含み;ついで
−支持体にカップリングした、例えば複合化した、パラジウム・ナノクラスターを含む粒状物質を生成するようにパラジウム塩をパラジウム・ナノクラスターに転化する
ことを含む。
【0014】
該方法は、さらに、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を提供することを含み得る。これは、官能性をもたせた試薬に粒状多孔性支持体を反応させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成することを含み得、ここに該官能性をもたせた試薬は結合基と粒状多孔性支持体に接着することができる接着基とを含む。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、メソ多孔性珪質フォームを含み得る。
【0015】
本発明は、第2の態様の方法によって製造した場合の粒状物質も提供する。
【0016】
本発明の第3の態様において、ハロゲン化アリールおよびアリールボロン酸を本発明に係る粒状物質に曝すことを含むSuzukiカップリング反応を行う方法を提供する。
【0017】
本発明の第4の態様において、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アリールおよびオレフィンを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、Heckカップリング反応を行う方法を提供する。
【0018】
本発明の第5の態様において、水素供与種の存在下でカルボニル化合物を本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、カルボニル化合物を水素化する方法を提供する。水素供与種はギ酸塩、例えば、ギ酸アンモニウム、またはモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキルアンモニウムホルメートとし得る。水素供与種はイソプロパノールまたは幾つか他の好適なアルコール、例えば、2−ブタノールとし得る。この場合、塩基も存在させ得る。
【0019】
本発明の第6の態様において、水素ガスの存在下でオレフィンを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、オレフィンを水素化する方法を提供する。
【0020】
本発明の第7の態様において、第1級アミンおよび水素ガスの存在下でカルボニル化合物を本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、カルボニル化合物を還元的にアミノ化する方法を提供する。カルボニル化合物はアルデヒドまたはケトンとし得る。
【0021】
本発明の第8の態様において、ギ酸塩の存在下でエポキシドまたはジオールを本発明に係る粒状物質に曝すことを含む、エポキシドまたはジオールを水素化分解する方法を提供する。
【0022】
本発明の第3ないし第8の態様において、触媒は前の反応から再循環し得る。これらの態様のいずれにおいても、方法はレギオ特異的、立体特異的または両方とし得る。反応は高い化学効率で行い得る。反応は触媒からの低いパラジウム浸出で行い得る。
【0023】
本発明の第9の態様において、炭素−炭素カップリング反応または還元を行うための触媒としての、本発明に係る粒状物質の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、パラジウム種、例えばパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質に関する。クラスターは以下のように定義される(http://encyclopedia.thefreedictionary.com/Cluster+chemistry):
「クラスター化合物は、直的的かつ実質的な金属−金属結合が存在する2またはそれを超える一群の金属原子を含む」(D. M. P. Mingos, David J WalesによるIntroductionないしcluster chemistry, 1990 ISBN 0-13-479049-9))と定義されており、F.A.Cottonはそれを多面体カゴ構造を有するものと記載している(CottonおよびWilkinson, Advanced Inorganic Chemistry - A Comprehensive Text, 3rd Edition, p31)。したがって、ナノクラスターは、ナノメートルスケールの寸法を有するクラスターと考えることができる。
【0025】
粒状物質は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝すことによって調製し得、ここに該官能性もたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種に結合することができる結合基を含む。粒状物質は粒状触媒とし得る。それは異種触媒とし得る。それは支持された触媒とし得る。それは支持されたパラジウム触媒とし得る。
【0026】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、メソ多孔性とし得る。支持体および粒状物質は、独立して、比較的大きな小孔(メソ細孔)が比較的小さなウィンドウによって連結した構造を有し得る。比較的大きな小孔は約5ないし約100の平均直径を有し得る。比較的小さなウィンドウは約2ないし約50nmの平均直径を有する。多孔性支持体は、例えば、メソ多孔性珪質フォームとし得る。それは、両方とも出典明示して本明細書の一部とみなすWO/2006/135339(メソ多孔性フォーム粒子)および/またはHan, Y., Lee, S. S., Ying, J. Y. Chem. Mater. 2006, 18, 643によるまたはそれらに従って製造したメソ多孔性フォームとし得る。
【0027】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、規則的な形状、例えば球形の固形フォームの粒子とし得る。平均孔径(例えば、小孔孔径)は約5nmよりも大きい、または約10nmよりも大きいものとし得る。それは約5ないし約100nmまたは約5ないし50nm、5ないし20、10ないし100、50ないし100、20ないし50、20ないし30、20ないし25、2ないし22、25ないし30、27ないし30、27ないし29、または10ないし50nmとし得る。孔径は約5、10、15、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100nmとし得る。粒子は異なる孔径の分布を有し得る。異なる孔径は約5ないし約100nmとし得る。
【0028】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、約1ないし100ミクロン、または約5ないし100、10ないし100、20ないし100、50ないし100、2ないし約50、20ないし50、10ないし50、2ないし40、1ないし50、1ないし10、1ないし5、1ないし2、2ないし20、2ないし10、3ないし8、4ないし7、4ないし6、5ないし20、10ないし20、2ないし10または5ないし10ミクロンの平均粒子直径を有し得、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100ミクロン、または1マイクロ未満または100ミクロンを超えるものとし得る。それは狭い粒径分布を有し得る。平均粒径から10%を超えて異なる(平均粒径よりも大きいまたは小さい)粒径を有する約50%未満の粒子が存在し得、平均粒径から10%を超えて異なる粒径を有する約45、40、35、30、25、20、15、10または5%未満の粒子が存在し得、平均粒径から10%を超えて異なる粒径を有する約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%の粒子が存在し得る。粒子は球形となり得、または卵形、長円形、立方晶系、長斜方系、斜方晶系または平行六面体形(例えば、矩形平行六面体)のような幾つかの他の形状となり得る。
【0029】
メソ細孔のサイズおよびウィンドウのサイズの比は、約10:1ないし約1.5:1、または約10:1ないし2:1、10:1ないし5:1、5:1ないし1.5:1、3:1ないし1.5:1、5:1ないし3:1または8:1ないし4:1、および約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1または1.5:1、または幾つかの他の比とし得る。粒子は幾つかの他の構造を有し得る。ウィンドウのサイズ(すなわち、ウィンドウの孔径)は、約2nmよりも大きい、5nmよりも大きい、または約10nmよりも大きいものとし得る。それは約2ないし約50nmまたは約2ないし20、2ないし10、5ないし50、5ないし20、10ないし20、10ないし15、10ないし12、15ないし20、15ないし18、15ないし17、10ないし100、50ないし100または10ないし50nmとし得る。ウィンドウのサイズは、約2、3、4、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50nmとし得る。粒子は異なるウィンドウのサイズの分布を有し得る。異なるウィンドウのサイズは約2ないし約50nmとし得る。
【0030】
粒状支持体、粒状物質および官能性をもたせた粒状支持体の粒子は、独立して、約0.5ないし約5cm3/g、または約0.5ないし4、0.5ないし3、0.5ないし2、1ないし5、2ないし5、3ないし5、1ないし3、1ないし2、2ないし3、1.5ないし2、1.5ないし1.7、2ないし2.5、2.2ないし2.4または2ないし2.4、および約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.5、4、4.5または5cm3/gの、または約5cm3/gを超える細孔容積を有し得る。粒子は、約100ないし約1000cm3/g、または約100ないし500、100ないし200、200ないし1000、500ないし1000、200ないし800、200ないし500、500ないし800、500ないし700、500ないし600、550ないし600、550ないし570、600ないし800、650ないし750、670ないし730または690ないし710m2/gの比表面積、および約100、150、200、250、300、350、400、450、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、750、750、800、850、900、950または1000m2/gの比表面積、または約100未満または約1000m2/gを超える比表面積を有し得る。
【0031】
多孔性支持体は金属酸化物支持体とし得る。金属酸化物はシリカとし得る。それはアルミナとし得る。それはジルコニアとし得る。それはチタニアとし得る。それはアルミニウム、ケイ素、チタンおよびジルコニウムのいずれか2または3、またはそれら全てを含む混合酸化物とし得る。
【0032】
多孔性支持体は、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングし得、ここに該結合基は該種にカップリングする。結合基は非−チオール含有基とし得る。それは、非−硫黄含有基とし得る。結合基は、例えば、ウレア基、チオウレア基、アミン基、アルコール基、チオール基、イミダゾール基または幾つかの他の複素環基あるいはこれらのいずれか2またはそれを超える組み合わせを含み得る。結合基はイオン性液体、窒素、酸素および/または硫黄含有ポリマーまたはデンドリマーに基づき得る。連結基は多孔性支持体に接着する接着基を有し得る。接着基はシリル基とし得る。結合基は、1の連結基または2の連結基によって多孔性支持体にカップリングし得る。連結基はアルキル鎖を含み得る。アルキル鎖は約1ないし12の炭素原子長とし得、または約1ないし8、1ないし6、1ないし4、2ないし12、6ないし12または2ないし6の炭素原子長、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の炭素原子長とし得る。好適なカップリング基には、-Si(CH2)3NHCONH2、-Si(CH2)3NHCSNH2、-Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si-および-Si(CH2)3NHCSNH(CH2)3Si-を含む。
【0033】
粒状物質は親水性とし得る。それは親油性とし得る。多孔性基体および官能性をもたせた多孔性基体の各々は、独立して、親水性となり得、または各々、独立して、疎水性となり得る。粒状物質の疎水性度は、その性能を改善または最適化するために、および/または有機溶媒とのその和合性を改善するために調整し得る。粒状物質は、その小孔表面上に疎水基を有し得る。疎水基は、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシランジイル基または幾つかの他の疎水基とし得る。好適な基には、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよびトリフェニルシリルが含まれる。粒状物質はカップリング基以外にその小孔表面に疎水基を有しなくてもよい。それはその小孔表面上にシラノール基を有し得る。
【0034】
パラジウム種は触媒的に活性なパラジウム種とし得る。それは、高効率な触媒的に活性なパラジウム種とし得る。それは、水素化または水素化分解について触媒的に活性とし得る。それは、SuzukiまたはHeck反応について、または水素化、水素化分解または他の還元反応について触媒的に活性となり得る。パラジウム種はPd(0)種とし得る。それはパラジウム原子を含み得、またはそれはパラジウム・クラスター、例えばパラジウム・ナノクラスターを含み得、あるいはそれはパラジウム原子およびパラジウム・クラスターの両方を含み得る。パラジウム・ナノクラスターは触媒的に活性なナノクラスターとし得る。パラジウム・ナノクラスターは、約1ないし約10nm、または約1ないし5、1ないし2、2ないし10、5ないし10、2ないし8、2ないし6、2ないし3または4ないし6nm、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10nmの平均直径を有し得る。ナノクラスターは支持体上に均一に分散し得る。それは、支持体の小孔表面に均一に分散し得る。パラジウム・ナノクラスターは球形とし得る。それは擬似球形とし得る。それはほぼ球形とし得る。それは多面体とし得る。それは配位によって結合基にカップリングし得、すなわちそれは結合基に配位し得る。結合基はパラジウム種の配位子とし得る。粒状物質は、支持体1g当たり約0.1ないし約2mmolのパラジウム、または支持体1g当たり約0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.1ないし0.2、0.2ないし2、0.5ないし2、1ないし2、0.5ないし1.5または0.5ないし1mmolのパラジウム、例えば、支持体1g当たり約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95または2mmolのパラジウムのパラジウム負荷を有し得る。
【0035】
したがって、1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性シリカを含む粒状物質を提供する。
【0036】
もう1の形態において、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0037】
もう1の形態において、パラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0038】
もう1の形態において、ウレア基を含む結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0039】
もう1の形態において、チオウレア基を含む結合基によってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状MCFを含む粒状物質を提供する。
【0040】
本発明は、パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法も提供し、かかる方法は:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム種を結合することができる結合基を含み;ついで、
−粒状物質を生成するように、パラジウム塩をパラジウム種に転化すること
を含む。
【0041】
パラジウム塩をパラジウム種に転化する工程は、パラジウム塩を還元することを含み得る。パラジウム塩はPd(II)塩とし得る。したがって、転化する工程は、Pd(II)をPd(0)に還元することを含み得る。還元することは、パラジウム塩を還元剤に曝すことを含み得る。それは、それを酸化可能な種に曝すことを含み得る。還元剤(または酸化可能な種)は、アルコール、好ましくは第1級または第2級アルコール、例えばメタノールとし得る。
【0042】
官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、その小孔の表面にカップリングした、前記したようなカップリング基を有する、前記した粒状多孔性支持体を含み得る。粒状多孔性支持体上のカップリング基の負荷は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体1g当たり約0.5ないし約5mmol、または約0.5ないし2、0.5ないし1、1ないし5、2ないし5、1ないし3または1.5ないし2.5mmol/g、例えば約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3、3.5、4、4.5または5mmol/gとし得る。パラジウム塩はPd(II)塩、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウムまたは幾つかの他の好適な塩とし得る。パラジウム塩の溶液は、有機溶媒中の溶液とし得る。有機溶媒は無水とし得る。それは、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモメタン、ブロモホルム、四塩化炭素、トルエン、アセトン、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルまたは幾つかの他の好適な溶媒とし得る。曝すことは、担体中の官能性をもたせた粒状支持体の懸濁液に、パラジウム塩またはその溶液を添加することを含み得る。担体は、パラジウム塩用の溶媒とし得る。それは、パラジウム塩用の非−溶媒とし得る。曝すことは、パラジウム塩をパラジウム種に転化する、例えば、官能性をもたせた粒状支持体上にパラジウム・クラスターを形成するのに十分な時間および十分な温度とし得る。それは、約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。それは、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃の温度とし得る。温度は、担体の沸点以下とし得る。それは、無水条件下で行い得る。それは低酸素条件下で行い得る。それは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素下、または脱気条件下で行い得る。反応の間、反応混合物は攪拌ないし振盪し得、またはそれは無攪拌および無振盪とし得る。
【0043】
したがって、1の形態において、方法は、所望により加熱しながらでもよいが、無水担体中の官能性をもたせた多孔性支持体の懸濁液を無水溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝し、それによってパラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成することを含み、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含む。
【0044】
幾つかの形態において、粒状物質はその小孔表面に疎水基を有する。これを行うために、それから粒状物質が生成する多孔性支持体は、その小孔表面に疎水基を有し得る。したがって、方法は、粒状物質または多孔性支持体を疏水化することを含み得る。それは、粒状物質の小孔表面または多孔性支持体の小孔表面に疎水基を接着することを含み得る。それは、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基または幾つかの他の疎水基を粒状物質または多孔性支持体の小孔表面に付加することを含み得る。これは、多孔性支持体を疎水化剤で処理することを含み得る。疎水化剤は、例えば、(R3Si)2O、(R3Si)2NH、R3SiX、R2SiX2またはRSiX3を含み得、ここにRはアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルほか)またはアリール(例えば、フェニル)基であり、XはCl、Br、OAcほかのような好適な遊離基である。通常使用される疎水化剤には、ヘキサメチルジシラザン、塩化トリメチルシリルおよびジクロロジメチルシランが含まれる。疎水化の工程は、カップリング基を接着させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成する前に行い得る。それは、カップリング基を接着させて官能性をもたせた多孔性支持体を形成した後に行い得るが、パラジウム・マイクロクラスターを形成する前に行い得る。それは、パラジウム種の形成の後に行い得る。
【0045】
パラジウム種を形成した後、粒状物質は反応混合物から分離し得る。分離は、濾過、遠心、沈澱、デカンテーションまたはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。その場合、粒状物質は洗浄し得る。洗浄は、有機溶媒、例えばパラジウム塩を溶解するために用いる溶媒、または官能性をもたせた粒状多孔性支持体を懸濁するために用いる担体、または幾つかの他の溶媒を用い得る。それは1回洗浄し得る。それは1回を超えて洗浄し得、そこで洗浄液は同一の溶媒または異なる溶媒を用い得る。粒状物質は乾燥し得る。乾燥は、粒状物質を加熱する、その上および/またはそれを通してガスを通す、粒状物質に真空または部分真空を適用する、またはこれらの幾つかの組み合わせを含み得る。
【0046】
したがって、もう1の形態において、方法は:
i)担体中の官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を、溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に十分な時間および十分な温度曝して、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成し、
ii)粒状物質を分離し、
iii)粒状物質を洗浄し、ついで
iv)粒状物質を乾燥する
ことを含み、該官能性をもたせた粒状多孔性支持体はパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含む。
【0047】
方法は、さらに、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を提供することを含み得る。これは、粒状多孔性支持体を官能性をもたせる試薬に反応させて、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成することを含み得、ここに該官能性をもたせる試薬は結合基および粒状多孔性支持体に接着することができる接着基を含む。結合基は、例えば、ウレア基またはチオウレア基とし得る。官能性をもたせた粒状多孔性支持体は、メソ多孔性珪質フォームを含み得る。
【0048】
以前に記載したように、好適な粒状多孔性支持体はメソ多孔性珪質フォームであり、これは公知の方法によって調製し得る。該支持体は使用する前に乾燥し得る。乾燥には、好適な温度にて好適な時間加熱することが含まれ得る。時間は、例えば約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。温度は、約70ないし約200℃、または約70ないし150、70ないし100、100ないし200、150ないし200、100ないし150、80ないし120または90ないし110℃、例えば、約70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200℃とし得る。ついで、支持体は、乾燥環境中、例えば乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥窒素、乾燥二酸化炭素ほか中で冷却し得る。あるいは、またはさらに、支持体は無水溶媒、例えば無水エーテル、無水THF、無水トルエンまたは幾つかの他の無水溶媒に曝すことによって乾燥し得る。これらの溶媒を無水にする方法は、文献においてよく知られている。
【0049】
ついで、支持体は担体と合して懸濁液を形成し得る。担体は、先に記載したような有機溶媒とし得る。ついで、所望により溶液であってもよい官能性をもたせる試薬を懸濁液に添加し得る。官能性をもたせる試薬は、支持体1g当たり約1ないし5mmolの比で添加し得るが、この比は支持体の性質に依存し得る。比は、支持体1g当たり約1ないし4、1ないし3、2ないし5、3ないし5、2ないし4または2ないし3mmol、例えば、約1、1.5、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3、3.4、4、4.5または5mmol/gとし得る。官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム種に結合またはカップリングすることができる結合基を含むようにすべきである。好適な官能性をもたせる試薬には、(RO)3Si(CH2)3NHCONH2、(RO)3Si(CH2)3NHCSNH2、(RO)3Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si(OR)3および(RO)3Si(CH2)3NHCSNH(CH2)3Si(OR)3が含まれ、式中、Rはアルキル基、例えば、C1ないしC6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルほか)またはアリール基(例えば、フェニル)であるが、他の好適な試薬は当業者であれば容易に理解できるであろう。懸濁液中での支持体と試薬との反応は、試薬と支持体とを反応させるのに十分な温度にて十分な時間とし得る。試薬は、支持体の小孔の表面上の官能基(例えば、Si−OH基)と反応し得る。時間は、例えば約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。温度は、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃とし得る。反応は無水条件下で行い得る。それは低酸素条件下で行い得る。それは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素下で行い得、あるいは脱気条件下で行い得る。反応の間、反応混合物は攪拌ないし振盪し得、あるいは無攪拌または無振盪とし得る。
【0050】
官能性をもたせる試薬と支持体とを反応させた後、得られた反応性をもたせた支持体を反応混合物から分離し得る。分離は、濾過、遠心、静置、デカンテーションまたはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。ついで、官能性をもたせた支持体を洗浄し得る。洗浄は有機溶媒を用いて行い得る。それは1回洗浄し得る。それは1回を超えて洗浄し得、そこでは洗浄液は同一または異なる溶媒を使用し得る。好適な溶媒には、トルエン、エタノール、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトンまたは他の有機溶媒、またはそれらの組み合わせが含まれる。官能性をもたせた支持体は乾燥し得る。乾燥には、加熱、官能性をもたせた支持体の上および/または中にガスを通す、真空または部分真空を官能性をもたせた支持体に適用する、またはこれらの幾つかの組み合わせを含み得る。乾燥させる前に、官能性をもたせた支持体は溶媒、例えばエタノール、イソプロパノールほかのようなアルコール中で加熱し得る。この工程は、不純物を除去するために、支持体を洗浄するように作用し得る。加熱は、約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または25ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。それは約40ないし約80℃、または40ないし60、60ないし80または50ないし70℃、例えば、約40、50、60、70または80℃とし得る。
【0051】
したがって、さらなる形態において、本発明の方法は:
i)粒状多孔性支持体の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成し;ついで
ii)パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度にて、官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝す
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0052】
もう1の形態において、方法は:
i)粒状多孔性支持体の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して、官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成し;
ii)官能性をもたせた粒状多孔性支持体の懸濁液を、パラジウム・ナノクラスターにカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度で溶媒中のパラジウム(II)塩の溶液に曝し;
iii)粒状物質を分離し;
iv)粒状物質を洗浄し;ついで
v)粒状物質を乾燥する
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせた粒状多孔性支持体がパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0053】
もう1の形態において、方法は:
i)メソ多孔性珪質フォーム(MCF)の懸濁液を官能性をもたせる試薬に曝して官能性をもたせたMCFを形成し;
ii)官能性をもたせたMCFの懸濁液を、パラジウム・ナノクラスターにカップリングしたMCFを含む粒状物質を形成するのに十分な時間および十分な温度で酢酸パラジウム(II)の溶液に曝し;
iii)粒状物質を分離し;
iv)粒状物質を洗浄し;ついで
v)粒状物質を乾燥する
ことを含み、ここに該官能性をもたせる試薬は、官能性をもたせたMCFがパラジウム・ナノクラスターを結合することができる結合基を含むようなものである。
【0054】
本発明の粒状物質は触媒として使用し得る。それは、パラジウム種、例えばパラジウム・ナノクラスターによって触媒することができる反応を触媒し得る。したがって、本発明は、種々の化学反応を触媒するために本発明の粒状物質を使用する方法も提供する。触媒は、個々の反応について後記するように、高い化学効率で行い得る。これらの粒状物質によって触媒し得る好適な反応には、炭素−炭素結合形成および水素化が含まれる。例には、アリールハロゲン化物およびアリールボロン酸のSuzukiカップリング反応、アリールハロゲン化物およびオレフィンのHeckカップリング反応、カルボニル化合物の水素移動反応、オレフィンの水素化、還元的アミノ化、水素化分解ほかが含まれる。本発明の粒状物質(以下、「触媒」という)によって触媒される場合のこれらの反応についての典型的な反応は以下のとおりである:
Suzuki反応:アリールハロゲン化物(例えば、臭化物またはヨウ化物)、アリールボロン酸および触媒を行うのに十分な時間、溶媒中で加熱する。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は、官能基に基づいて約1:1ないし約1:2である。したがって、アリール二ハロゲン化物をアリールモノハロゲン化物と反応させる場合、1:1のモル比は1モルのアリール二ハロゲン化物および2モルのアリールモノハロゲン化物を必要とするであろう。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は約1:1ないし1:1.5、1:1.5ないし1:2または1:1.1ないし1:1.3、例えば、約1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1:1.35、1:1.4、1:1.45または1:1.5とし得る。触媒は、アリールハロゲン化物に対して約0.1ないし約10モル%のレベルで存在し得る。本明細書においては、アリールハロゲン化物に対して1mol%の触媒を、アリールハロゲン化物中の100molのハロゲン化物当たり触媒中の1モルのパラジウム種と定義する。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。反応混合物は、塩基、例えば炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムも含み得る。これは、約1:1ないし約2:1、または約1:1ないし1.5:1、1.5:1ないし2:1または1.3:1ないし1.7:1、例えば、約1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1または2:1のアリールハロゲン化物に対するモル比で存在し得る。反応は、溶媒、例えば、水性溶媒中で行い得る。溶媒はアルコール/水混合物、例えば、エタノール水とし得る。それは、不活性雰囲気、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはそれらの2またはそれを超える混合物中で行い得る。反応は、約40ないし約100℃、または約40ないし80、40ないし60、60ないし100、80ないし100、50ないし80または70ないし90℃、例えば、約40、50、60、70、80、90または100℃の温度で行い得る。反応時間は約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。反応はマイクロ波条件下で行い得る。この場合、反応時間を短縮し得る。マイクロ波条件下では、反応時間は約1ないし約60分、または約1ないし30、1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし30、10ないし30、20ないし30、5ないし20または5ないし15分、例えば、約5、10、15、20、25、30、40、50または60分とし得る。好適なマイクロ波源はCEM Discover(登録商標)マイクロ波反応系である。マイクロ波照射の強度は、約0ないし約100W、または約1ないし100、5ないし100触媒は、つづく、10ないし100、20ないし100、50ないし100、0ないし50、0ないし20、0ないし10、0ないし5、0ないし2、1ないし50、1ないし20、1ないし10、1ないし5、1ないし2、5ないし50、10ないし50、20ないし50、5ないし20、10ないし20または5ないし10、例えば、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100Wとし得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%とし得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0055】
Heck反応:アリールハロゲン化物(例えば、臭化物またはヨウ化物)またはアリールトリフレート(すなわち、トリフルオロメタンスルホネート)、オレフィン、塩基および触媒を溶媒中で反応を達成するのに十分な時間加熱する。オレフィンは活性化オレフィンとし得る。それは電子欠乏オレフィンとし得る。それはα,β−不飽和酸、エステルまたはアミドとし得る。オレフィンに対するアリールハロゲン化物(またはアリールトリフレート)のモル比は、官能基に基づいて約1:1ないし約1:2とし得る。アリールボロン酸に対するアリールハロゲン化物のモル比は、約1:1ないし1:1.5、1:1.5ないし1:2または1:1.1ないし1:1.3、例えば、約1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1.35、1:1.4、1:1.45または1:1.5とし得る。触媒は、アリールハロゲン化物に対して、約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。塩基はアミンとし得る。それは第四級アミンとし得る。それはトリアルキルアミンとし得る。それは、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミンまたは幾つかの他の好適な塩基とし得る。それは、約1:1ないし約1:3、または約1:1ないし1:2、1:2ないし1:3または1:1.5ないし1:1:2.5、例えば、約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5または1:3のアリールハロゲン化物またはトリフレートのモル比で存在し得る。反応は、反応は溶媒中、例えば有機溶媒中で行い得る。溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。反応は不活性な雰囲気中、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはそれらのいずれか2またはそれを超えるものの混合物中で行い得る。それは、70ないし約150℃の温度で行い得るが、温度が溶媒の沸点を超えてはならない。温度は焼く70ないし100、100ないし150、80ないし130または90ないし110℃、例えば、約70、80、90、100、110、120、130、140または150℃とし得る。反応は、望ましい転化を得るのに十分な時間行うべきである。反応時間は約6ないし約60時間、または約6ないし48、6ないし36、6ないし24、6ないし18、12ないし60、12ないし36、24ないし60、48ないし60、18ないし30または20ないし25時間、例えば、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57または60時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0056】
水素移動反応:カルボニル化合物および水素供与種、例えば、ギ酸塩を触媒存在下で反応させてアルコールを形成する。カルボニル化合物はケトンとし得る。それはケトンとし得る。それはアリールアルキルケトンとし得る。アリール基はヘテロアリール基、メタロセニル基または幾つかの他の型の芳香族基とし得る。アルキルは、直鎖、分岐鎖、環状またはこれらの幾つかの他の組み合わせとし得る。それは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたは幾つかの他のアルキル基とし得る。アリール基およびアルキル基は、独立して、置換型であっても非置換型であってもよい。ギ酸塩はアミンギ酸塩とし得る。アミンは、アンモニア(それによって、アミン塩はギ酸アンモニウムである)、またはアルキル、ジアルキルもしくはトリアルキルアンモニウム塩とし得る。好適なギ酸塩には、ギ酸トリエチルアンモニウムおよびトリメチルアンモニウムが含まれる。ギ酸塩は、約1:1のモル比でギ酸とアミン(またはアンモニア)との反応によって、イン・サイチュ(in situ)でまたは別々に生成し得る。あるいは、水素供与種は、アルコールまたは幾つかの他の水素供与体とし得る。この場合、反応は、塩基性条件下、例えば、固形の水酸化物塩の存在下で行い得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約1ないし約50mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約1ないし25、1ないし10、1ないし5、5ないし50、10ないし50、25ないし50、5ないし20または5ないし15mol%、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45または50mol%のレベルで存在し得る。反応は室温または幾つか他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。カルボニル化合物に対するギ酸塩の比は、約2:1ないし約10:1、例えば、約2:1ないし5:1、5:1ないし10:1または3:1ないし7:1、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1とし得る。反応は、望ましい転化を達成するのに十分な時間行い得る。典型的な反応時間は、約1ないし約36時間である。通常、反応時間は、ギ酸アルキルアンモニウムを用いる場合よりもギ酸アンモニウムを用いる場合はより短い。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。反応はマイクロ波下で行い得る。この場合、反応時間を短縮し得る。マイクロ波条件下では、反応時間は、約1ないし30分、または約1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし30、10ないし30、20ないし30、5ないし20または5ないし15分、例えば、約5、10、15、20、25または30分とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は通常高く、アリールハロゲン化物に基づいて約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0057】
水素化:触媒存在下で、オレフィンを水素雰囲気に付す。オレフィンは電子に富むオレフィンとし得る。それは電子が少ないオレフィンとし得る。触媒は、オレフィンに対して約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。水素圧は約30ないし150psi、または約30ないし50、50ないし150、100ないし150、50ないし100または80ないし120psi、例えば、約30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150psiとし得る。水素は不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムと混合し得ることは理解されよう。この場合、前記した圧力は、水素の分圧を表す。オレフィンは溶液中に存在させ得る。溶媒は、使用する反応条件下で水素化されないものとし得る。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、トルエンまたはそれらの組み合わせ、または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。反応は室温で行い得、または幾つかの他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応も先に記載した条件を用いたマイクロ波照射の使用によって促進し得る。この反応からの収率は典型的に高く、約90ないし約100%、または約90ないし95、95ないし100、98ないし100、99ないし100%、例えば、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9または100%となり得る。触媒はつづく反応のために再使用し得る。
【0058】
還元的アミノ化:触媒存在下の水素雰囲気下にて、アミンおよびカルボニル化合物を反応させて置換型アミンを生成する。カルボニル化合物はアルデヒドまたはケトンとし得る。アミン出発物質は、芳香族アミンまたは複素環式芳香族アミンとし得、あるいはそれは脂肪族(例えば、直鎖型、分岐鎖型および脂環式の)アミンとし得る。それはアニリンとし得る。それは第1級アミンとし得る。カルボニル化合物はアルキルカルボニル化合物、例えば、C1ないしC20の直鎖型、分岐鎖型または環状のアルデヒドとし得る。カルボニル化合物に対するアミンの比は、約1:2ないし2:1、または1:2ないし1:1、1:1ないし2:1、1:1.5ないし1.5:1、1:1.2ないし1.2:1、1:1.1ないし1.1:1または1:1.05ないし1.05:1、例えば、約1:1、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:1.04、1:1.05、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.3、1:1.35、1:1.4、1:1.45、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1.01:1、1.02:1、1.03:1、1.04:1、1.05:1、1.1:1、1.15:1、1.2:1、1.25:1、1.3:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1または2:1とし得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約0.1ないし約10mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、0.1ないし0.5、0.5ないし10、1ないし10、2ないし10、5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2または1ないし5mol%、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mol%のレベルで存在し得る。反応は、室温、または幾つか他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。反応時間は、許容し得る転化を達成するのに十分とし得る。反応時間は、約1ないし約12、または約1ないし6、1ないし3、3ないし12、6ないし12または6ないし9時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間とし得る。水素圧は、約20ないし約60psi、または約20ないし40、40ないし60または30ないし50psi、例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55または60psiとし得る。水素を不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムと混合し得ることは理解される。この場合、前記した圧力は水素の分圧を表す。反応は溶液で行い得る。溶媒は、使用する反応条件下で水素化し得ないものとすることができる。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、トルエンまたはそれらの組み合わせ、または幾つかの他の好適な溶媒とし得る。この反応からの収率は典型的に高い。それは、約90ないし約100%、または約90ないし95、95ないし100、98ないし100または99ないし100%、例えば、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9または100%とし得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。
【0059】
水素化分解:エポキシドまたはジオール(例えば、1,2−またはビシナルジオール)およびギ酸塩を触媒存在下で反応させて、アルコールを形成する。ギ酸塩はアミンギ酸塩とし得る。アミンは、アンモニア(それによって、アミン塩はギ酸アンモニウムである)またはアルキル、ジアルキルまたはトリアルキルアンモニウム塩とし得る。好適なギ酸塩には、ギ酸トリエチルアンモニウムおよびトリメチルアンモニウムが含まれる。ギ酸塩は、約1:1のモル比でギ酸とアミン(またはアンモニア)とを反応させることによって、イン・サイチュ(in situ)または別々に生成し得る。触媒は、カルボニル化合物に対して約1ないし約50mol%のレベルで存在し得る。触媒は、約1ないし25、1ないし10、1ないし5、5ないし50、10ないし50、25ないし50、5ないし20または5ないし15mol%、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45または50mol%のレベルで存在し得る。反応は、室温、または幾つかの他の常温、例えば、約15ないし約30℃、または約15ないし25、15ないし20、20ないし30または15ないし25℃、例えば、約15、20、25または30℃で行い得る。カルボニル化合物に対するギ酸塩の比は、約2:1ないし約10:1、例えば、約2:1ないし5:1、5:1ないし10:1または3:1ないし7:1、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1とし得る。反応は、望ましい転化を達成するのに十分な時間行い得る。典型的な反応時間は、約1ないし約36時間である。反応時間は、約1ないし24、1ないし12、1ないし6、1ないし3、6ないし12、12ないし18、18ないし24、24ないし36、6ないし36、12ないし36または18ないし36時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33または36時間とし得る。Suzuki反応について前記したように、この反応はマイクロ波照射の使用によっても促進し得る。この反応からの収率は通常高く、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%となり得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。反応は、出発物質中のいずれかの不斉中心の配置の保留で進行し得る。配置の保留は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。触媒は、つづく反応のために再使用し得る。
【0060】
本発明の粒状物質は、触媒活性の損失なしに、または活性の実質的な損失なしに触媒として使用し得る。それは、触媒のつづく使用の間の活性の損失が、同一の反応条件下の生成物の収率に基づいて、約5%未満、または約4、3、2、1、0.5、0.2または0.1%未満になるように行い得る。したがって、粒状物質は、つづく反応において触媒として再使用し得る。それは、1ないし20回再使用し得、または20回を超えて再使用し得る。それは、例えば、約1ないし10,1ないし5、5ないし20、10ないし20または5ないし10時(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回)再使用し得る。したがって、特定の反応において触媒として使用する粒状物質は、先の反応から再循環し得る。粒状物質を用いて、レギオ特異的、立体特異的またはその両方である反応を触媒し得る。立体化学の保留は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。レギオ特異性は、約80ないし約100%、または約80ないし95、80ないし90、90ないし100、95ないし100、99ないし100または90ないし95%、例えば、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9または100%とし得る。反応は、触媒からのパラジウムの無視し得る溶脱で行い得る。溶脱は、各反応について約1%未満、または約0.5、0.2、0.1、0.05、0.02または0.01%未満とし得る。
【0061】
したがって、要約すると、本願は、カップリングおよび水素化反応における、支持化したパラジウムの合成および触媒適用を記載する。パラジウムは、パラジウム・ナノクラスターの形態で存在し得る。それは、医薬およびファインケミカル合成ならびに他の適用のための支持化したパラジウム・ナノクラスターの調製および触媒適用を記載する。例えば、ウレアおよびチオウレア配位子は、珪質メソ多孔性フォーム(MCF)支持体の表面に効率的に固定化した。酢酸パラジウムを60℃で加熱してパラジウムに還元し、得られた名のクラスターをウレアまたはチオウレア配位子によって固定化した。ナノクラスターのサイズは、反応条件によって容易に制御した。この異種の触媒は、C−Cカップリング反応(Heck、SuzukiおよびSonogashiraカップリング反応のような)および還元反応(ケトンの水素移動、オレフィンの水素化、アミンおよびアルデヒドの還元的アミノ化、およびエポキシドの水素化分解)に向けて首尾よく適用した。それは、温和な条件下ででグリーン溶媒中の反応を触媒し得、活性および選択性の損失なしに簡単に再循環し得た。
【0062】
MCF−支持化Pdナノクラスターは高い触媒活性を示した。MCFの表面シラノール基はトリメチルシリル(TMS)基で非キャップ化、部分的な前−キャップ化または完全キャップ化して触媒効率を操作し得た。本発明の粒状物質を調製することにおいて、表面上のシラノール基は、支持体にパラジウム種をカップリングする前、その間またはした後から選択される時点に、例えば、TMS基で少なくとも部分的にキャップし得る。MCF−支持化したPdナノクラスターは、優れた活性、選択性および再循環性でもってC−Cカップリング反応(Suzuki、SonogashiraおよびHeckカップリング反応)および水素化(水素移動、水素分子を用いた低圧での水素化、水素化分解および還元的アミノ化)を首尾よく触媒した。反応は、グリーン溶媒中の環境的に優しいホスフィンを含まない条件下でも行った。それは、マイクロ波下で促進し得、幾つかの場合においては優れた収率で短時間(5−10分)で完了した。MCF−支持化Pdナノクラスターは、その非膨潤特性、高表面積およびMCF支持体の超大型の小孔ならびにウレアまたはチオウレア配位子による安定化に起因して、市販されているポリマーまたは炭素−支持触媒と比較して遙かに活性であった。
【0063】
ポリマー−、炭素−またはシリカ−支持およびマイクロエマルション−鋳型Pd触媒は以前に報告されている。しかしながら、活性および選択性の損失なしに高い触媒効率および優れた再循環性を示すMCF−支持化Pdナノクラスターについては全く報告されていない。
【0064】
本発明者らは、MCF−支持化Pd種が有機化学におけるいずれかまたはすべての型のパラジウム−触媒化転化に適用し得ると考えている。金属ナノクラスターを固定化する同様のアプローチも、広範な種々のファインケミカルおよび医薬ほかの合成用の新規な金属酸化物(例えば、シリカ)−支持化金属触媒を誘導化することに向けて広範に適用し得る。かかる新規な触媒は、高い活性、選択性および安定性を付与し得る。それは、再使用するために簡単に再循環し得、温和な反応条件下の連続反応およびグリーン(すなわち、環境に優しい)溶媒に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
ここで、本発明の好ましい形態を例示の目的のみで、添付する図面に参照して説明する:
【図1】図1は本発明において記載した支持化パラジウム・ナノクラスターの製造の図表示を示す。
【図2】図2は4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す。
【図2a】図2aは2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM写真を示す。
【図3】図3は2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真を示す。
【図4】図4はPd/ウレア−MCFのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す。
【図5】図5は4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのN2吸着−脱着等温曲線を示す。
【図6】図6は2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのN2吸着−脱着等温曲線である。
【図7】図7は室温にてアセトフェノンの水素移動を10回行う前(a)及び行った後(b)の2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのXRDパターンを示す。
【図8】図8は(黒塗り三角)2−3nmおよび(黒塗り四角)4−6nmのPdナノクラスターを含む(黒塗り菱形)10%Pd/CおよびPd/ウレア−MCF上のヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリング(第1回実験)を示すグラフである。
【図9】図9は室温でのアセトフェノンの水素移動を10回行った後の(a)4−6nmおよび(b)2−4nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFのTEM写真を示す。
【図10】図10は2−3nmのPdナノクラスターを含む(a)10%Pd/Cおよび(b)10mol%の5%Pd/ウレア−MCFに対するアセトフェノンの水素移動の濾液の写真を示す:(a)中の茶色は10%Pd/Cからの顕著なPd溶脱を示す。ICP−MS分析は、第1回実験で負荷したほぼ90%のPdが10% Pd/Cから溶脱したこと、一方10回実験後でも5%Pd/ウレア−MCFからは1.25%の合計の負荷したPdしか溶脱しなかったことを示している。
【図11】図11はアセトフェノンの(a)異種水素移動、およびヨードベンゼンとフェニルボロン酸の(a)同種および(c)異種Suzukiカップリングからの反応混合物の写真を示す。
【図12】図12は珪質MCF支持体のメソ細孔内の高い分散を示すPdおよびSiマッピングを示す。
【0066】
図1は本発明の粒状物質を製造する方法を示す。図1において、構造(10)はメソ多孔性珪質フォームの粒子の部分を示す。固形物(20)はその表面にシラノールを有するシリカを示す。比較的大きな小孔(30)は、比較的小さなウィンドウ(40)によって連結されている。小孔(30)は典型的に直径で約20ないし50nmであり、ウィンドウ(40)は典型的に直径で約5ないし10nmであるが、これらの大きさはかなり変化し得る。方法の工程(a)は、メソ多孔性珪質フォームを、部分構造(50)を有し、小孔(30)の表面が連結基(60)および結合基(70)、例えば、ウレア基を含む基によって官能化された、官能性をもたせた支持体に転化することを含む。結合基(70)はパラジウム・ナノクラスターと錯化などして結合することができる。図1では単一の基のみ示すが、ウィンドウおよび小孔の両方の表面が接着した多くのかかる基を有することは理解されるであろう。それは、粒子の外側表面にも存在し得る。これらの基の接着は、結合基(70)および接着基、例えば、トリメチルシリル基が連結基に接着した好適な官能性をもたせる試薬の溶液と反応させることによって行い得る。図1の工程(b)では、官能性をもたせた支持体は、パラジウム・ナノクラスター(90)の形成およびその官能化した支持体(50)への複合化および結合によって本発明の粒状物質(80)に転化する。これを行うために、官能性をもたせた支持体(50)をパラジウム塩、例えば、Pd(OAc)2の溶液に曝し、Pd(II)をPd(0)に還元するように加熱してパラジウム・ナノクラスター(90)を形成する。これら形状として、それは、小孔およびウィンドウの壁に、そしておそらくは外側表面にも接着したパラジウム・ナノクラスター(90)を有する粒状物質(80)を形成するように結合基(70)と錯化する。
【0067】
本発明の実験においては、パラジウムをウレア配位子の使用を介して珪質メソ多孔性フォームに固定化した(反応図式1を参照されたい)。
【0068】
【化1】
【0069】
支持体としてMCFを選択した。なぜなら、それは9−22nmのウィンドウによって連結された超大きな孔様の小孔(24−42nm)を含む三次元の内部連結した小孔構造を有するからである。水中油型のマイクロエマルションによって鋳型化したMCFは500−800m2/gの高い表面積および高いシラノールの表面濃度も有する。ウレア基は、(CH3O)3Si(CH2)3NHCONH2または(CH3O)3Si(CH2)3NHCONH(CH2)3Si(OCH3)をトルエン中の550℃−か焼MCFと80℃にて24時間反応させることによって球形MCF微粒子の小孔表面に導入した。得られたウレア−MCF中のウレア配位子の負荷は、元素分析によって1.8mmol/gであると決定された。Pd(OAc)2(1.5mmol)を酢酸エチルに溶解し、ウレア−MCF(1g)に導入した。混合物を室温にて30分間攪拌し、ついで60℃に24時間加熱した。最初に暗茶色の酢酸パラジウム溶液は元素パラジウムまで還元し、ウレア配位子を介してMCF支持体に沈澱した。上清は反応後に透明であり、これは、MCF上のPdの完全な固定化を示している。Pd/ウレア−MCFを濾過し、洗浄し、乾燥した。
【0070】
ウレア−MCF上に沈澱したPdナノクラスターは4−6nmの範囲の大きさ分布を有し、支持体に均一に分散した。ナノクラスターの大きさは、合成の間のPd(OAc)2濃度を変化することによっても制御し得た。例えば、Pd(OAc)2の量を半分に減少した場合、同様の手法は2−3nmの粒子の形成を生じる(図2a)。走査透過電子顕微鏡(STEM)(図3)および透過型電子顕微鏡(TEM)(図12)によるSiおよびPdマッピングは、MCFのメソ細孔内に分散したPd粒子の均一性を示した。走査型電子顕微鏡(SEM)(図4)および窒素吸着−脱着等温曲線(図5および6)は、MCF支持体の均一な超大きな小孔がPd/ウレア−MCF触媒に保持されていることを示した。X線回折(XRD)実験は、Pd/ウレア−MCF触媒におけるPdナノクラスターの超微細な粒サイズ(2−3nm)および高分散を確認した(図7(a))。
【0071】
Pd/ウレア−MCFの触媒活性を、塩基としてNa2CO3を用いる、エタノール/水混合物(9:1の体積比)中のヨードアニソールおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリング反応について調べた(表1)。24時間後、カップリング生成物を99%収率で単離した(表1、エントリー1)。2−3nmおよび4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCF触媒を、ヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリングについて、2−3nmnoPdナノクラスターを含む市販の10% Pd/C触媒(Sigma-Aldrich)と比較した。2−3nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCFは、市販の10% Pd/C触媒および4−6nmのPdナノクラスターを含むPd/ウレア−MCF触媒より性能が優れていた(図8)。Pd溶脱は反応物の上清を分析することによって調べた。同様の反応条件下でのブランク実験では5日後でさえ、ウレア−MCF支持体からのPdの溶脱は認められなかった。溶媒を80℃の1:1の体積比のエタノール/水混合物に変えた場合にSuzuki反応がより迅速に進行し、典型的な均一系反応条件下での24時間の代わりに6時間で98%の収率が得られた。
【0072】
【表1】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol% Pd/ウレア−MCF、1mmolのアリールハロゲン化物、1.25mmolのアリールボロン酸、1.5mmolの炭酸ナトリウム、5mlのエタノール/水混合物(体積比=9:1)、80℃、アルゴン雰囲気。b単離収率。
cマイクロ波条件下。d生成物の収量を消失することなく5回再循環。
e用いたエタノール/水混合物の体積比=1:1。
【0073】
Pd/ウレア−MCF触媒は、ヨードアレンのHeckカップリングについても優れた収率を提供した(表2)。それは活性および選択性におけるいずれの著しい損失なしに再循環した。
【0074】
【表2】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol% Pd/ウレア−MCF、1mmolのアリールハロゲン化物、1.25mmolのオレフィン、2mmolのトリエチルアミン、5mlのトルエン、100℃、アルゴン雰囲気。b単離収率。c活性および選択性を損なうことなく5回再循環。
【0075】
優れた収率がPd/ウレア−MCF上での種々のケトンの水素移動について達成された。典型的には、ケトンの水素移動は、室温にて、酢酸エチル中の水素源として10mol%の5% Pd/ウレア−MCF触媒および5当量のギ酸/トリエチルアミン混合物を用いて行った。不均一系触媒は、反応性および選択性を損なうことなく、簡単に回収され、数回再循環した(表3)。アセトフェノンの水素移動を10回行った後(表3、エントリー1)、Pdナノクラスターはウレア−MCF上に高度に分散したままで(表9)、触媒は活性における無視し得る損失を示した。Pd/ウレア−MCFのX線回折(XRD)パターンはPd(0)ピークからなる。Scherrerの方法によるピークの広がり分析は、平均パラジウム・クリスタライトのサイズが10回の実験後に2−3nm(図7(a))から4−5nm(図7(b))に僅かに成長したことを示した。図10(b)は、反応系の濾液が透明であることを示し;ICP−MSは5% Pd/ウレア−MCFに負荷されているPdの合計1.25%のみが10回の実験後に溶脱したことを確認した。それに対して、10% Pd/Cを含有する反応系の濾液は、1回の実験後でさえ負荷したPdのほぼ90%が溶脱したことに起因して、茶色であった(図10(a))。興味深いことに、種々のケトンの水素移動をギ酸/トリエチルアミン混合物の代わりの水素源としてギ酸アンモニウムを用いて60℃の水中で行った場合、反応は迅速に完了し(すなわち、24時間の代わりに2時間)、優れた収率の対応するアルコールを与えた。
【0076】
【表3−1】
【0077】
【表3−2】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む10mol%の5% Pd/ウレア−MCF触媒、1mmolのケトン、5mmolのギ酸:トリエチルアミン(1:1)、5mlの酢酸エチル、25℃。b単離した収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。dマイクロ波条件下。e水素源としてギ酸アンモニウムを、60℃の溶媒として水を使用した。
【0078】
Pd/ウレア−MCFは、低圧(3気圧)下で、イタコン酸ジメチル(表4、エントリー1)のような活性化オレフィンの水素化についても調べた(表4)。水素化した生成物、1−メチル−ジメチルコハク酸が99.9%収率で得られ、触媒は10回の実験で活性の損失なしに首尾よく再循環および再使用した。種々のオレフィンについて優れた収率および触媒再循環性で水素化も進行した(表4)。
【0079】
【表4】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1mmolのオレフィン、40psiまたは100psiの水素(各々、エントリー1−6および7−8について)、5mlのメタノール/エタノール、25℃。b単離した収率。c生成物の収率における損失なしに10回再循環した。
【0080】
次に、アルデヒドおよびアミンの還元的アミノ化についてのPd/ウレア−MCFの触媒活性を調べた。この反応は医薬および特殊化学産業において第二級アミンを生成するのに非常に重要である。対応するアミンの優れた転化および収率が温和な条件下で達成され、触媒は反応性および選択性における顕著な損失なしに10回再循環した(表5)。
【0081】
【表5】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む1mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1.01mmolのアニリン、1.0mmolのアルデヒド、40psiの水素、5mlのメタノール、25℃。bガスクロマトグラフィー(GC)収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。
【0082】
対応するアルコールへのエポキシドの還元的開環が、有機合成における強力なツールとして出現している。この反応の実践的、経済的かつ環境に優しい方法を開発することは非常に興味深い。Pd/ウレア−MCF触媒の効率性および安定性を、基質としてtrans−スチルベン酸化物を用いて調べた(表6、エントリー4)。注意深いことには、水素化分解反応が10回の連続する実験で優れた収率でもって完了した。触媒は単純な濾過で回収し得、活性の損失なしに再使用し得た。ついで、種々のベンジルエポキシドを同一の水素化分解条件に付し、優れた収率のホモベンジル性アルコールを一貫して得た。この触媒系の範囲をさらに拡大するために、本発明者らは抗炎症アリールプロピオン酸の合成に使用するキラル・エポキシドの水素化分解に注意を向けた。キラルなアルファ−メチルスチレン酸化物の水素化分解は、優れた収率で配置の保持を有する対応する末端アルコールを生成した(表6、エントリー8)。
【0083】
【表6】
a反応条件:2−3nmのPdナノクラスターを含む10mol%のPd/ウレア−MCF触媒、1mmolのエポキシドまたはジオール、5mmolのギ酸アンモニウム、5mlの酢酸エチル、25℃。b単離した収率。c活性および選択性における損失なしに10回再循環した。d配置の保持。
【0084】
水素移動、水素化、水素化分解および還元的アミノ化の場合、10回の再循環後の合計Pd溶脱は、触媒に負荷した合計Pdの<1.5%であることが誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)により決定された。HeckおよびSuzukiカップリング反応の場合、5回の再循環後に溶脱した合計PdはICP−MSによって測定して<5%であった。図11はPd/ウレア−MCFを含有する不均一系
反応系の上清が非常に透明であったことを図示している。Pdの無視し得る溶脱が観察され、この新規な触媒は簡単に単離および再循環し得た。
【0085】
Pd/ウレア−MCFは、マイクロ波の援助でもってカップリング反応および水素移動についてなおより迅速な反応速度を提供することが見出された。低周波および短い反応時間で優れた転化が達成された。例えば、ヨードベンゼンおよびフェニルボロン酸のSuzukiカップリングにおいて99%の転化率が10分で達成された(表1、エントリー1)。マイクロ波下のアセトフェノンの水素移動については、15分で85%の収率の対応するアルコールが達成された(表3、エントリー1)。それに対して、室温における通常の反応条件下では87%の収率が24時間で得られた。
【0086】
結論として、活性Pdナノクラスターが、ウレア修飾MCF上で高い収率でもって簡単に調製し得た。それはPd(OAc)2の還元によって形成され、MCF表面上のウレア配位子によって安定化された。MCFの超大型の小孔は、バルキーな基質を含む反応を促進した。得られたPd/ウレア−MCF触媒は、水素移動、水素化およびC−Cカップリング反応について優れた活性を示し、市販の10% Pd/Cまたはポリマー支持Pd−Encatよりも優れていた。本明細書に記載する支持された金属触媒の容易な合成および新規な設計は、広く適用して、化学合成における広範な種々の触媒反応のための修飾MCF上に支持された金属性ナノクラスターを誘導し得る。本発明者らは、現在、他のPd−触媒した反応を調べ、種々の触媒適用のためにMCF上に他の金属(例えば、Rh、Ru、Cu、ItおよびIn)を固定化している。
【0087】
実験セクション
すべての化学薬品はAldrich社から購入し、さらに精製することなく受領したままで使用した。1Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル(Bruker 400MHz分光器)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光(MTEC 300光音響ディテクターを備えたDigilab FTS7000 FTIR分光器)、XRD(Philips XPert PRO X線回折システム)、N2吸着−脱着分析(Micrometrics ASAP 2020Mシステム)、元素分析(Exeter Analytical CE440 CHN分析器)、透過型電子顕微鏡(TEM)および走査型透過電子顕微鏡(STEM)(FEI Tecnai G20, 200kV)、走査型電子顕微鏡(SEM)(JOEL JSM−6700F)およびICP-MS(Flan DRCII、PerkinElmer SCIEX)を触媒特徴付けのために行った。触媒反応からの生成物はGC(Agilent 6890N)によって分析した。
【0088】
ウレア−MCFの合成
報告された方法に従って合成した球形MCF微粒子(1g)を100℃にて24時間乾燥し、アルゴン下で室温まで冷却した。乾燥トルエン(20ml)をMCFに添加した。次に、トルエン(2ml)中のトリエトキシシリルプロピルウレア(2.2mmol)の溶液を導入した。その混合物をアルゴン下で10分間攪拌し、ついで80℃にて24時間加熱した。それを室温まで冷却し、濾過し、トルエン、エタノール、アセトンおよびジクロロメタンで数回洗浄して未反応前駆体を除去した。得られた物質をエタノールに懸濁し、60℃にて一晩加熱し、濾過し、洗浄し、ついで乾燥した。元素分析は、MCF 1g当たり1.80mmolのウレアの負荷を示した。
【0089】
Pd/ウレア−MCFの合成
ウレア−MCF(1g)を乾燥トルエン(20ml)に懸濁し、CH2Cl2(2ml)中の酢酸パラジウム(要件により1.10または0.55mmol)の溶液を滴下した。その混合物を、アルゴン下で上清が無色になるまで(24時間)60℃にて加熱した。ついで、それを室温まで冷却し、濾過し、洗浄し、ついで乾燥して暗茶色がかった黒色固形物、Pd/ウレア−MCFを得た。元素分析は、ウレア−MCF 1グラム当たり1.01mmolまたは0.55mmolのPd負荷を示し、5重量%Pd/ウレア−MCFおよび10重量%Pd/ウレア−MCFに対応する。
【0090】
Suzukiカップリング反応の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アリールハロゲン化物(1mmol)、アリールボロン酸(1.25mmol)、炭酸ナトリウム(1.5mmol)、触媒(1mol%)、エタノール(4.5ml)および水(0.5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で10分間攪拌し、ついで80℃にて望ましい時間加熱した。その反応をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を室温に冷却し、焼結ガラス漏斗を通して濾過し、水(5×5ml)およびエタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は5回再循環した。
【0091】
Heckカップリング反応の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アリールハロゲン化物(1mmol)、オレフィン(1.25mmol)、トリエチルアミン(2mmol)、触媒(1mol%)およびトルエン(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で10分間攪拌し、ついで100℃にて望ましい時間加熱した。その反応をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を室温に冷却し、焼結ガラス漏斗を通して濾過し、トルエン(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は5回再循環した。
【0092】
ケトンの水素移動の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、ケトン(1mmol)、ギ酸/トリエチルアミン混合物(1:1)またはギ酸アンモニウム(5mmol)、触媒(10mol%の5% Pd/ウレア−MCF)および酢酸エチルまたは水(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で24時間攪拌し、反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、酢酸エチル(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0093】
オレフィンの水素化の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、オレフィン(1mmol)、触媒(1mol%)およびメタノール/エタノール(5ml)を満たした。得られた反応混合物を40−100psiの水素で圧縮し、室温で6時間攪拌した。反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、メタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0094】
水素下でのアルデヒドの還元的アミノ化の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、アルデヒド(1.0mmol)、第一級アミン(1.01mmol)、触媒(1mol%)およびメタノール(5ml)を満たした。得られた反応混合物を40psiの水素で圧縮し、室温で6時間攪拌した。反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、メタノール(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【0095】
エポキシドおよびジオールの水素化分解の一般的方法
オーブン乾燥した反応バイアルに、アルゴン下にて、エポキシドまたはジオール(1mmol)、ギ酸アンモニウム(5mmol)、触媒(1mol%)および酢酸エチル(5ml)を満たした。得られた反応混合物を室温で24時間攪拌し、反応の進行をGCによってモニターした。反応が完了した後に、その混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、酢酸エチル(5×5ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。触媒は10回再循環した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質。
【請求項2】
該パラジウム種がパラジウム・ナノ粒子を含む請求項1記載の粒状物質。
【請求項3】
該多孔性支持体が金属酸化物支持体である請求項1または2記載の粒状物質。
【請求項4】
該金属酸化物がシリカである請求項3記載の粒状物質。
【請求項5】
該多孔性支持体がメソ多孔性である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項6】
中で比較的大きな小孔が比較的小さなウィンドウによって連結された構造を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項7】
該比較的大きな小孔が約5ないし約100nmの平均直径を有し、該比較的小さなウィンドウが約2ないし約50nmの平均直径を有する請求項6記載の粒状物質。
【請求項8】
該多孔性支持体がメソ多孔性珪質フォームである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項9】
該多孔性支持体が、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングしており、該結合基が該パラジウム種にカップリングしている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項10】
該結合基がチオール基を含まない請求項9記載の粒状物質。
【請求項11】
該結合基がウレア基またはチオウレア基である請求項9または10記載の粒状物質。
【請求項12】
該パラジウム種がパラジウム・ナノクラスターを含み、該ナノクラスターが約1ないし約10nmの平均直径を有する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項13】
約1ないし約100ミクロンの平均粒径を有する請求項1ないし12のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項14】
支持体1グラム当たり約0.1ないし2mmolのパラジウムのパラジウム負荷を有する請求項1ないし13のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項15】
パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法であって:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体は該パラジウム種を結合することができる結合基を含み;ついで
−該粒状物質を生成するように、該パラジウム塩を該パラジウム種に転化する
ことを含む該方法。
【請求項16】
さらに、粒状多孔性支持体を、官能性をもたせる試薬に反応させて官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成することを含み、ここに該官能性をもたせる試薬が結合基、および該粒状多孔性支持体に接着することができる接着基を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
該結合基がウレア基またはチオウレア基である請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
該官能性をもたせた粒状多孔性支持体がメソ多孔性珪質フォームを含む請求項15ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項15ないし18のいずれか1項に記載の方法によって製造した粒状物質。
【請求項20】
アリールハロゲン化物およびアリールボロン酸を、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含むSuzukiカップリング反応を行う方法。
【請求項21】
アリールハロゲン化物またはアリールトリフレートおよびオレフィンを、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含むHeckカップリング反応を行う方法。
【請求項22】
カルボニル化合物を、水素供与種の存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該カルボニル化合物を水素化する方法。
【請求項23】
オレフィンを、水素ガスの存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該オレフィンを水素化する方法。
【請求項24】
カルボニル化合物を、第一級アミンおよび水素ガスの存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該カルボニル化合物を還元的にアミノ化する方法。
【請求項25】
エポキシドまたはジオールを、ギ酸塩の存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該エポキシドまたはジオールを水素化する方法。
【請求項26】
該曝す間に、該反応混合物をマイクロ波照射に曝すことを含む請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
該触媒を以前の反応から再循環する請求項19ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
レギオ特異的、立体特異的またはその両方である請求項19ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
炭素−炭素カップリング反応または還元を行うための触媒としての、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質の使用。
【請求項1】
パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質。
【請求項2】
該パラジウム種がパラジウム・ナノ粒子を含む請求項1記載の粒状物質。
【請求項3】
該多孔性支持体が金属酸化物支持体である請求項1または2記載の粒状物質。
【請求項4】
該金属酸化物がシリカである請求項3記載の粒状物質。
【請求項5】
該多孔性支持体がメソ多孔性である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項6】
中で比較的大きな小孔が比較的小さなウィンドウによって連結された構造を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項7】
該比較的大きな小孔が約5ないし約100nmの平均直径を有し、該比較的小さなウィンドウが約2ないし約50nmの平均直径を有する請求項6記載の粒状物質。
【請求項8】
該多孔性支持体がメソ多孔性珪質フォームである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項9】
該多孔性支持体が、連結基および結合基を含むカップリング基によってパラジウム種にカップリングしており、該結合基が該パラジウム種にカップリングしている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項10】
該結合基がチオール基を含まない請求項9記載の粒状物質。
【請求項11】
該結合基がウレア基またはチオウレア基である請求項9または10記載の粒状物質。
【請求項12】
該パラジウム種がパラジウム・ナノクラスターを含み、該ナノクラスターが約1ないし約10nmの平均直径を有する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項13】
約1ないし約100ミクロンの平均粒径を有する請求項1ないし12のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項14】
支持体1グラム当たり約0.1ないし2mmolのパラジウムのパラジウム負荷を有する請求項1ないし13のいずれか1項に記載の粒状物質。
【請求項15】
パラジウム種にカップリングした粒状多孔性支持体を含む粒状物質を製造する方法であって:
−官能性をもたせた粒状多孔性支持体をパラジウム塩の溶液に曝し、ここに該官能性をもたせた粒状多孔性支持体は該パラジウム種を結合することができる結合基を含み;ついで
−該粒状物質を生成するように、該パラジウム塩を該パラジウム種に転化する
ことを含む該方法。
【請求項16】
さらに、粒状多孔性支持体を、官能性をもたせる試薬に反応させて官能性をもたせた粒状多孔性支持体を形成することを含み、ここに該官能性をもたせる試薬が結合基、および該粒状多孔性支持体に接着することができる接着基を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
該結合基がウレア基またはチオウレア基である請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
該官能性をもたせた粒状多孔性支持体がメソ多孔性珪質フォームを含む請求項15ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項15ないし18のいずれか1項に記載の方法によって製造した粒状物質。
【請求項20】
アリールハロゲン化物およびアリールボロン酸を、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含むSuzukiカップリング反応を行う方法。
【請求項21】
アリールハロゲン化物またはアリールトリフレートおよびオレフィンを、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含むHeckカップリング反応を行う方法。
【請求項22】
カルボニル化合物を、水素供与種の存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該カルボニル化合物を水素化する方法。
【請求項23】
オレフィンを、水素ガスの存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該オレフィンを水素化する方法。
【請求項24】
カルボニル化合物を、第一級アミンおよび水素ガスの存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該カルボニル化合物を還元的にアミノ化する方法。
【請求項25】
エポキシドまたはジオールを、ギ酸塩の存在下にて、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質に曝すことを含む該エポキシドまたはジオールを水素化する方法。
【請求項26】
該曝す間に、該反応混合物をマイクロ波照射に曝すことを含む請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
該触媒を以前の反応から再循環する請求項19ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
レギオ特異的、立体特異的またはその両方である請求項19ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
炭素−炭素カップリング反応または還元を行うための触媒としての、請求項1ないし14または19のいずれか1項に記載の粒状物質の使用。
【図1】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−522078(P2010−522078A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500882(P2010−500882)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000079
【国際公開番号】WO2008/118097
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000079
【国際公開番号】WO2008/118097
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】
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