ヒーティング装置
【課題】 発熱部分をユニット化し、施工が容易で、強度が高く地震や地殻変動による断線を防止できると共に、部分的な補修も容易で、しかも加熱効率が良くランニングコストも安いヒーティング装置を提供するものである。
【解決手段】 熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプ6の内側面に密着して電熱ヒーター線1を、角筒状パイプ6の上面温度がほぼ均一になるように取付けて発熱ユニット5を形成し、この発熱ユニット5を地中2に埋設して、電熱ヒーター線1に通電して路面3を加熱するようにしたものである。
【解決手段】 熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプ6の内側面に密着して電熱ヒーター線1を、角筒状パイプ6の上面温度がほぼ均一になるように取付けて発熱ユニット5を形成し、この発熱ユニット5を地中2に埋設して、電熱ヒーター線1に通電して路面3を加熱するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部をユニット化したヒーティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に降雪地域や寒冷地では、道路や駐車場、玄関先などの路面に融雪装置が取付けられ路面の消雪や凍結を防止している。この融雪装置としては地下水を路面に噴水したり、地中に温水パイプや電熱ヒーター線を埋設する構造のものが多く使用されている(例えば特許文献1)。地下水を路面に噴水する方式は、自動車が走行する道路や駐車場に採用されているが、歩行者への泥跳ねなどの問題がある上、噴射口の目詰りや、鉄分を含む地下水による赤錆の付着などの問題がある。
【0003】
また温水パイプを地中に埋設する方式は、施工が面倒であると共にボイラーやポンプなどの付帯設備が大掛かりになる問題がある。また電熱ヒーター線を地中に蛇行して埋設する方式は、予め格子状に組み合わせた鉄筋に、電熱ヒーター線を結束バンドで結んで固定するため施工が面倒である。
【0004】
また地中に埋設した温水パイプや電熱ヒーター線は、地震の発生や地殻の変動により、破断したり断線することがある。このような事態が発生すると、温水パイプや電熱ヒーター線がアスファルトやコンクリートに埋め込まれて固定されているので、これを剥してパイプやヒーター線だけを露出させて部分的に補修することが困難であり、通常はそのまま放置されているのが現状である。
【0005】
また図11(B)に示すように電熱ヒーター線1を蛇行させて地中2に埋設する場合、路面3の温度が図11(A)に示すように、凍結しない最低温度以上に保持するためには、電熱ヒーター線1の配置間隔を狭くする必要がある。つまり断面円形の電熱ヒーター線1から発生する熱による路面3の表面温度は波形となり、電熱ヒーター線1の真上が最も高温になり隣接する電熱ヒーター線1、1との中間が最も低いサインカーブ状の波形の温度分布となる。
【0006】
このため路面3をむらなく消雪や凍結しない温度に保持するためには、温度が最も低い電熱ヒーター線1、1の中間の温度を、例えば3℃程度の凍結しない最低温度以上に保持する必要があるからである。この結果、電熱ヒーター線1の真上の部分は、必要以上の温度になり、クロス線で示した部分の熱が無駄になりランニングコストが高くなる問題があった。
【0007】
また従来の室内の床暖房は、床下に温水を循環させる温水マットタイプと電熱ヒーターを埋設したヒーターパネルタイプとが多く利用されている。しかしながら温水を循環させる温水マットタイプは、床下に温水管を蛇行させて配管し、ここにボイラーで沸かした温水をポンプで循環させるため、設備費や運転コストが高く、しかも床からの荷重が加わるため長期間使用している間に配管に亀裂が発生して水漏れする恐れがある。また電熱ヒーターを埋設したヒーターパネルタイプも施工費用が高く、床に釘やネジを取付けた時に誤って電熱線を断線してしまう危険がある。また重量物が加わる場所では、断線の恐れがある上、断線部分だけを部分的な補修できなかった。
【特許文献1】特開2000−265412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題を改善し、発熱部分をユニット化し、施工が容易で、強度が高く地震や地殻変動、重量物による断線を防止できると共に、部分的な補修も容易で、しかも加熱効率が良くランニングコストも安いヒーティング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のヒーティング装置は、熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプの内側面に、密着して電熱ヒーター線を取付けて発電ユニットを形成し、この発熱ユニットを地中に埋設もしくは床板の裏面に取付けて、前記電熱ヒーター線に通電して路面もしくは床面を加熱することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2記載のヒーティング装置は、請求項1において角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を接合したことを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3記載のヒーティング装置は、角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されていることを特徴とするものである。更に請求項4記載のヒーティング装置は、角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載のヒーティング装置によれば、電熱ヒーター線は、熱伝導性に優れた金属材料で形成された角筒状パイプの内側面に密着して設けられているので、速やかに熱が角筒状パイプに伝達されると共に、この内部が密閉されているので、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプの上面がほぼ均一の温度に保持される。
【0013】
このように角筒状パイプの広い表面から地中や床板の裏面に熱が伝達されて、路面や床面はほぼ均一に加熱されて熱のロスが少なく、ランニングコストを低くすることができる。また角筒状パイプに電熱ヒーター線を内蔵した発熱ユニットを所定の間隔で地中に埋設もしくは床下に取付けていくだけで良いので施工が容易である。更に角筒状パイプで形成されているので強度が高く、地震の発生、地殻の変動、重量物による大きな荷重が加わっても、電熱ヒーター線の断線を防止できる。また電熱ヒーター線は密閉された角筒状パイプ内に取付けられているので、雨水や地下水の浸入を防止して、腐食による短絡や断線がなく長期間に亘って安定して運転することができる。
【0014】
また請求項2記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を取付けたので、角筒状パイプから急速に熱が伝達されると共に、上方に向かっての放熱面積が広いので効率よく均一に加熱することができる。
【0015】
また請求項3記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されているので、成型が容易であると共に、電熱ヒーター線の取付け作業が容易である。
【0016】
また請求項4記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されているので、万一、電熱ヒーター線が断線したような場合には、アスファルトやコンクリート、床板を剥して、発熱ニットを露出させ、上部部材を外すことにより電熱ヒーター線の補修を行なうことができ、電熱ヒーター線が直接埋設されている従来の構造に比べて部分的な補修も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
角筒状パイプ内に電熱ヒーター線を内蔵して発熱ユニットを地中に埋設するロードヒーティング装置を実現した。
【実施例】
【0018】
以下本発明の実施例を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図において5は発熱ユニットで、これはアルミニウム押出し型材で形成された角筒状パイプ6の内側に電熱ヒーター線1を取付け、その一端に図2および図3に示すように側面が開口したサイドキャップ7Aを設け、この他端に側面と底面が開口したサイドキャップ7Bを取付けたものである。
【0019】
更にサイドキャップ7Bの底面に、J形の角筒状パイプ6Aの上端を取付け、この角筒状パイプ6Aの他端に、端子台9を内蔵した端子ボックス10を接続し、角筒状パイプ6Aの内側に前記電熱ヒーター線1を取付けて、その端部を端子台9に接続してロードヒーティング装置11が構成されている。
【0020】
前記角筒状パイプ6、6Aは、図1に示すようにアルミニウム押出し型材で形成されたコ字形の上部部材15Aと下部部材15Bとを組み合わせて形成されている。上部部材15Aと下部部材15Bの中央部には、凹形の補強リブ16が形成されていると共に内側のコーナー部には、線挿着部17がそれぞれ形成されている。また上部部材15Aの下部両端には断面半円形状の凹溝部18が、また下部部材15Bの上部両端には断面半円形状の凸条部19が形成され、凸条部19を凹溝部18に嵌合することにより着脱自在に連結するようになっている。
【0021】
電熱ヒーター線1は銅撚線21の周囲を絶縁チューブ22で被覆したもので、これを角筒状パイプ6、6Aを構成する上部部材15Aの内側両コーナー部に形成した線挿着部17に押し込んで挿着し、サイドキャップ7Aの内側でUターンさせてJ形の角筒状パイプ6Aの端部から引出す。次に上部部材15Aを下部部材15Bに被せて、凸条部19を凹溝部18に嵌合させることにより角筒状に形成する。
【0022】
またJ形の角筒状パイプ6Aの端部から引出した電熱ヒーター線1の両端は図2および図3に示すように、端子ボックス10内の端子台9に接続し、角筒状パイプ6とJ形の角筒状パイプ6Aの内部を密閉する。
【0023】
このように形成したロードヒーティング装置11を図4に示すように、所定の間隔で地中2に埋設し、隣接する端子台9、9同士を接続して、これを図示しない制御装置を介して電源に接続する。
【0024】
上記構成のロードヒーティング装置11は、気温が下がって零下になった時や降雪時には、電源より制御装置を介して電熱ヒーター線1に通電すると発熱する。電熱ヒーター線1は、熱伝導性に優れたアルミニウムで形成された角筒状パイプ6の内側面に設けた線挿着部17に密着して設けられているので、速やかに熱が角筒状パイプ6に伝達されると共に、この両端はサイドキャップ7Aと端子ボックス10で塞がれて内部が密閉されているので、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプ6の表面がほぼ均一の温度に保持される。
【0025】
このように角筒状パイプ6の表面がほぼ均一の温度に保持されているので、この広い表面から地中2に熱が伝達されて、路面3では図4(A)に示すように角筒状パイプ6の上面に沿ってほぼ均一に加熱される。このため、隣接する発熱ユニット5、5の中間が最も低い温度になるが、この部分を凍結しない最低温度以上に保持すれば良い。
【0026】
この結果、発熱ユニット5の真上の部分は、最低温度よりやや高く保持すれば良いので、熱が無駄になる部分は、クロス線で示した部分となり、図9(A)に示す電熱ヒーター線1を直接埋設した従来の装置に比べて省エネルギー化が図られランニングコストを低くすることができる。
【0027】
またこの電熱ヒーター線1は発熱ユニット5を所定の間隔で埋設して行くだけで良いので、従来のように鉄筋を格子状に組んで補強する必要がなく、施工が容易である。また路面3を走行する自動車の重量が加わっても、角筒状パイプ6で受け、しかも上部部材15Aと下部部材15Bの中央部に設けた凹形の補強リブ16、16が接触して荷重を受ける補強材となるので、角筒状パイプ6の強度が高く変形しにくい。このため電熱ヒーター線1に直接外部から荷重が加わらないので、自動車の走行や、地震の発生、地殻の変動により、破断したり断線することを防止できる。
【0028】
また電熱ヒーター線1は密閉された角筒状パイプ6、6A内に取付けられているので、雨水や地下水の浸入が防止され、腐食による短絡や断線がなく長期間に亘って安定して運転することができる。
【0029】
また万一、何らかの理由で電熱ヒーター線1が断線したような場合、アスファルトやコンクリートを剥して、発熱ユニット5を露出させ、上部部材15Aを外すことにより電熱ヒーター線1の補修を行なうことができるので、電熱ヒーター線1が直接埋設されている従来の構造に比べて部分的な補修も可能である。
【0030】
図5は本発明の他の実施例を示すもので、凹形の補強リブ16を設けていないコ字形の上部部材15Aと下部部材15Bとを組み合わせて角筒状パイプ6、6Aを形成したものである。また4つのコーナー部に形成した線挿着部17にそれぞれ電熱ヒーター線1を挿着して発熱量を増加させたものである。
【0031】
図6は本発明の他の実施例を示すもので、角筒状パイプ6、6Aを上部部材15Aと下部部材15Bとを断面凸形状に分割成型して、これを組み合わせてエ字形に形成したものである。
【0032】
図7は本発明の異なる他の実施例を示すもので、発熱ユニット5、5をコンクリート板23の下部に一体に埋設成型したものである。これは玄関先や階段やなどに、予め工場で製造した発熱ユニット一体型のコンクリート板23を並べて設置していくだけで、簡単に施工することができる。この発熱ユニット5は電熱ヒーター線1に通電することにより角筒状パイプ6の表面からコンクリート板23の内側に熱が伝達されて、コンクリート表面が加熱され、融雪や凍結を防止することができる。
【0033】
図8は本発明の異なる他の実施例を示すもので、庭の飛び石24の下に短い発熱ユニット5を埋設したものである。これは飛び石24が加熱されるので、この上に降った雪を融雪できると共に凍結を防止することができる。
【0034】
図9は本発明の異なる他の実施例を示すもので、角筒状パイプ6の上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れたアルミニウムなどで形成された放熱板26を接合した発熱ユニット5である。これは角筒状パイプ6の熱が、その上面から放熱板26に急速に伝達され、放熱板26の放熱面積が広いので上方に向かって効率よく伝達されて、均一に加熱することができる。このため発熱ユニット5の埋設間隔を広くすることができる。
【0035】
図10は家屋の床暖房に用いた本発明の異なる他の実施例を示すもので、床板27の底面に、図9に示す放熱板26を設けた発熱ユニット5を取付けたものである。この発熱ユニット5は束29の上に取付けた大引き28の上に、これと直交して取付けたものであり、発熱ユニット5が根太としての作用をなすことができる。また発熱ユニット5の周囲には発泡断熱材30が吹き付けられて、側面と底面の断熱を行なうようになっている。
【0036】
この床暖房は、角筒状パイプ6の内部が密閉されているので、電熱ヒーター線1に通電すると、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプ6の上面から放熱板26に急速に熱が伝達される。放熱板26は床板27の裏面に密着して取付けられているので、床面をほぼ均一に加熱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
なお上記説明では、道路や駐車場、玄関先などの路面に設置した場合について示したが、農業用ハウスの地中に埋設して、ハウスの暖房としても使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例によるロードヒーティング装置の発熱ユニットを示す断面図である。
【図2】図1の発熱ユニットを用いたロードヒーティング装置を示す平面図である。
【図3】図2のロードヒーティング装置を示す側面図である。
【図4】(A)は路面の表面温度を示すグラフ、(B)は発熱ユニットの埋設状態を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施例による発熱ユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の異なる他の実施例による発熱ユニットを示す断面図である。
【図7】本発明の異なる他の実施例による発熱ユニット一体型のコンクリート板を示す断面図である。
【図8】本発明の異なる他の実施例による飛び石の下に発熱ユニットを取付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の異なる他の実施例による放熱板を取付けた発熱ユニットを示す断面図である。
【図10】本発明の異なる他の実施例による床暖房システムに適用した断面図である。
【図11】(A)は従来の電熱ヒーター線による路面の表面温度を示すグラフ、(B)は従来の電熱ヒーター線の埋設状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 電熱ヒーター線
2 地中
3 路面
5 発熱ユニット
6 角筒状パイプ
6A J形の角筒状パイプ
7A サイドキャップ
7B サイドキャップ
9 端子台
10 端子ボックス
11 ロードヒーティング装置
15A上部部材
15B下部部材
16 凹形の補強リブ
17 線挿着部
18 凹溝部
19 凸条部
21 銅撚線
22 絶縁チューブ
23 コンクリート板
24 飛び石
26 放熱板
27 床板
28 大引き
29 束
30 発泡断熱材
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部をユニット化したヒーティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に降雪地域や寒冷地では、道路や駐車場、玄関先などの路面に融雪装置が取付けられ路面の消雪や凍結を防止している。この融雪装置としては地下水を路面に噴水したり、地中に温水パイプや電熱ヒーター線を埋設する構造のものが多く使用されている(例えば特許文献1)。地下水を路面に噴水する方式は、自動車が走行する道路や駐車場に採用されているが、歩行者への泥跳ねなどの問題がある上、噴射口の目詰りや、鉄分を含む地下水による赤錆の付着などの問題がある。
【0003】
また温水パイプを地中に埋設する方式は、施工が面倒であると共にボイラーやポンプなどの付帯設備が大掛かりになる問題がある。また電熱ヒーター線を地中に蛇行して埋設する方式は、予め格子状に組み合わせた鉄筋に、電熱ヒーター線を結束バンドで結んで固定するため施工が面倒である。
【0004】
また地中に埋設した温水パイプや電熱ヒーター線は、地震の発生や地殻の変動により、破断したり断線することがある。このような事態が発生すると、温水パイプや電熱ヒーター線がアスファルトやコンクリートに埋め込まれて固定されているので、これを剥してパイプやヒーター線だけを露出させて部分的に補修することが困難であり、通常はそのまま放置されているのが現状である。
【0005】
また図11(B)に示すように電熱ヒーター線1を蛇行させて地中2に埋設する場合、路面3の温度が図11(A)に示すように、凍結しない最低温度以上に保持するためには、電熱ヒーター線1の配置間隔を狭くする必要がある。つまり断面円形の電熱ヒーター線1から発生する熱による路面3の表面温度は波形となり、電熱ヒーター線1の真上が最も高温になり隣接する電熱ヒーター線1、1との中間が最も低いサインカーブ状の波形の温度分布となる。
【0006】
このため路面3をむらなく消雪や凍結しない温度に保持するためには、温度が最も低い電熱ヒーター線1、1の中間の温度を、例えば3℃程度の凍結しない最低温度以上に保持する必要があるからである。この結果、電熱ヒーター線1の真上の部分は、必要以上の温度になり、クロス線で示した部分の熱が無駄になりランニングコストが高くなる問題があった。
【0007】
また従来の室内の床暖房は、床下に温水を循環させる温水マットタイプと電熱ヒーターを埋設したヒーターパネルタイプとが多く利用されている。しかしながら温水を循環させる温水マットタイプは、床下に温水管を蛇行させて配管し、ここにボイラーで沸かした温水をポンプで循環させるため、設備費や運転コストが高く、しかも床からの荷重が加わるため長期間使用している間に配管に亀裂が発生して水漏れする恐れがある。また電熱ヒーターを埋設したヒーターパネルタイプも施工費用が高く、床に釘やネジを取付けた時に誤って電熱線を断線してしまう危険がある。また重量物が加わる場所では、断線の恐れがある上、断線部分だけを部分的な補修できなかった。
【特許文献1】特開2000−265412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題を改善し、発熱部分をユニット化し、施工が容易で、強度が高く地震や地殻変動、重量物による断線を防止できると共に、部分的な補修も容易で、しかも加熱効率が良くランニングコストも安いヒーティング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のヒーティング装置は、熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプの内側面に、密着して電熱ヒーター線を取付けて発電ユニットを形成し、この発熱ユニットを地中に埋設もしくは床板の裏面に取付けて、前記電熱ヒーター線に通電して路面もしくは床面を加熱することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2記載のヒーティング装置は、請求項1において角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を接合したことを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3記載のヒーティング装置は、角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されていることを特徴とするものである。更に請求項4記載のヒーティング装置は、角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載のヒーティング装置によれば、電熱ヒーター線は、熱伝導性に優れた金属材料で形成された角筒状パイプの内側面に密着して設けられているので、速やかに熱が角筒状パイプに伝達されると共に、この内部が密閉されているので、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプの上面がほぼ均一の温度に保持される。
【0013】
このように角筒状パイプの広い表面から地中や床板の裏面に熱が伝達されて、路面や床面はほぼ均一に加熱されて熱のロスが少なく、ランニングコストを低くすることができる。また角筒状パイプに電熱ヒーター線を内蔵した発熱ユニットを所定の間隔で地中に埋設もしくは床下に取付けていくだけで良いので施工が容易である。更に角筒状パイプで形成されているので強度が高く、地震の発生、地殻の変動、重量物による大きな荷重が加わっても、電熱ヒーター線の断線を防止できる。また電熱ヒーター線は密閉された角筒状パイプ内に取付けられているので、雨水や地下水の浸入を防止して、腐食による短絡や断線がなく長期間に亘って安定して運転することができる。
【0014】
また請求項2記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を取付けたので、角筒状パイプから急速に熱が伝達されると共に、上方に向かっての放熱面積が広いので効率よく均一に加熱することができる。
【0015】
また請求項3記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されているので、成型が容易であると共に、電熱ヒーター線の取付け作業が容易である。
【0016】
また請求項4記載のヒーティング装置によれば、角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されているので、万一、電熱ヒーター線が断線したような場合には、アスファルトやコンクリート、床板を剥して、発熱ニットを露出させ、上部部材を外すことにより電熱ヒーター線の補修を行なうことができ、電熱ヒーター線が直接埋設されている従来の構造に比べて部分的な補修も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
角筒状パイプ内に電熱ヒーター線を内蔵して発熱ユニットを地中に埋設するロードヒーティング装置を実現した。
【実施例】
【0018】
以下本発明の実施例を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図において5は発熱ユニットで、これはアルミニウム押出し型材で形成された角筒状パイプ6の内側に電熱ヒーター線1を取付け、その一端に図2および図3に示すように側面が開口したサイドキャップ7Aを設け、この他端に側面と底面が開口したサイドキャップ7Bを取付けたものである。
【0019】
更にサイドキャップ7Bの底面に、J形の角筒状パイプ6Aの上端を取付け、この角筒状パイプ6Aの他端に、端子台9を内蔵した端子ボックス10を接続し、角筒状パイプ6Aの内側に前記電熱ヒーター線1を取付けて、その端部を端子台9に接続してロードヒーティング装置11が構成されている。
【0020】
前記角筒状パイプ6、6Aは、図1に示すようにアルミニウム押出し型材で形成されたコ字形の上部部材15Aと下部部材15Bとを組み合わせて形成されている。上部部材15Aと下部部材15Bの中央部には、凹形の補強リブ16が形成されていると共に内側のコーナー部には、線挿着部17がそれぞれ形成されている。また上部部材15Aの下部両端には断面半円形状の凹溝部18が、また下部部材15Bの上部両端には断面半円形状の凸条部19が形成され、凸条部19を凹溝部18に嵌合することにより着脱自在に連結するようになっている。
【0021】
電熱ヒーター線1は銅撚線21の周囲を絶縁チューブ22で被覆したもので、これを角筒状パイプ6、6Aを構成する上部部材15Aの内側両コーナー部に形成した線挿着部17に押し込んで挿着し、サイドキャップ7Aの内側でUターンさせてJ形の角筒状パイプ6Aの端部から引出す。次に上部部材15Aを下部部材15Bに被せて、凸条部19を凹溝部18に嵌合させることにより角筒状に形成する。
【0022】
またJ形の角筒状パイプ6Aの端部から引出した電熱ヒーター線1の両端は図2および図3に示すように、端子ボックス10内の端子台9に接続し、角筒状パイプ6とJ形の角筒状パイプ6Aの内部を密閉する。
【0023】
このように形成したロードヒーティング装置11を図4に示すように、所定の間隔で地中2に埋設し、隣接する端子台9、9同士を接続して、これを図示しない制御装置を介して電源に接続する。
【0024】
上記構成のロードヒーティング装置11は、気温が下がって零下になった時や降雪時には、電源より制御装置を介して電熱ヒーター線1に通電すると発熱する。電熱ヒーター線1は、熱伝導性に優れたアルミニウムで形成された角筒状パイプ6の内側面に設けた線挿着部17に密着して設けられているので、速やかに熱が角筒状パイプ6に伝達されると共に、この両端はサイドキャップ7Aと端子ボックス10で塞がれて内部が密閉されているので、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプ6の表面がほぼ均一の温度に保持される。
【0025】
このように角筒状パイプ6の表面がほぼ均一の温度に保持されているので、この広い表面から地中2に熱が伝達されて、路面3では図4(A)に示すように角筒状パイプ6の上面に沿ってほぼ均一に加熱される。このため、隣接する発熱ユニット5、5の中間が最も低い温度になるが、この部分を凍結しない最低温度以上に保持すれば良い。
【0026】
この結果、発熱ユニット5の真上の部分は、最低温度よりやや高く保持すれば良いので、熱が無駄になる部分は、クロス線で示した部分となり、図9(A)に示す電熱ヒーター線1を直接埋設した従来の装置に比べて省エネルギー化が図られランニングコストを低くすることができる。
【0027】
またこの電熱ヒーター線1は発熱ユニット5を所定の間隔で埋設して行くだけで良いので、従来のように鉄筋を格子状に組んで補強する必要がなく、施工が容易である。また路面3を走行する自動車の重量が加わっても、角筒状パイプ6で受け、しかも上部部材15Aと下部部材15Bの中央部に設けた凹形の補強リブ16、16が接触して荷重を受ける補強材となるので、角筒状パイプ6の強度が高く変形しにくい。このため電熱ヒーター線1に直接外部から荷重が加わらないので、自動車の走行や、地震の発生、地殻の変動により、破断したり断線することを防止できる。
【0028】
また電熱ヒーター線1は密閉された角筒状パイプ6、6A内に取付けられているので、雨水や地下水の浸入が防止され、腐食による短絡や断線がなく長期間に亘って安定して運転することができる。
【0029】
また万一、何らかの理由で電熱ヒーター線1が断線したような場合、アスファルトやコンクリートを剥して、発熱ユニット5を露出させ、上部部材15Aを外すことにより電熱ヒーター線1の補修を行なうことができるので、電熱ヒーター線1が直接埋設されている従来の構造に比べて部分的な補修も可能である。
【0030】
図5は本発明の他の実施例を示すもので、凹形の補強リブ16を設けていないコ字形の上部部材15Aと下部部材15Bとを組み合わせて角筒状パイプ6、6Aを形成したものである。また4つのコーナー部に形成した線挿着部17にそれぞれ電熱ヒーター線1を挿着して発熱量を増加させたものである。
【0031】
図6は本発明の他の実施例を示すもので、角筒状パイプ6、6Aを上部部材15Aと下部部材15Bとを断面凸形状に分割成型して、これを組み合わせてエ字形に形成したものである。
【0032】
図7は本発明の異なる他の実施例を示すもので、発熱ユニット5、5をコンクリート板23の下部に一体に埋設成型したものである。これは玄関先や階段やなどに、予め工場で製造した発熱ユニット一体型のコンクリート板23を並べて設置していくだけで、簡単に施工することができる。この発熱ユニット5は電熱ヒーター線1に通電することにより角筒状パイプ6の表面からコンクリート板23の内側に熱が伝達されて、コンクリート表面が加熱され、融雪や凍結を防止することができる。
【0033】
図8は本発明の異なる他の実施例を示すもので、庭の飛び石24の下に短い発熱ユニット5を埋設したものである。これは飛び石24が加熱されるので、この上に降った雪を融雪できると共に凍結を防止することができる。
【0034】
図9は本発明の異なる他の実施例を示すもので、角筒状パイプ6の上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れたアルミニウムなどで形成された放熱板26を接合した発熱ユニット5である。これは角筒状パイプ6の熱が、その上面から放熱板26に急速に伝達され、放熱板26の放熱面積が広いので上方に向かって効率よく伝達されて、均一に加熱することができる。このため発熱ユニット5の埋設間隔を広くすることができる。
【0035】
図10は家屋の床暖房に用いた本発明の異なる他の実施例を示すもので、床板27の底面に、図9に示す放熱板26を設けた発熱ユニット5を取付けたものである。この発熱ユニット5は束29の上に取付けた大引き28の上に、これと直交して取付けたものであり、発熱ユニット5が根太としての作用をなすことができる。また発熱ユニット5の周囲には発泡断熱材30が吹き付けられて、側面と底面の断熱を行なうようになっている。
【0036】
この床暖房は、角筒状パイプ6の内部が密閉されているので、電熱ヒーター線1に通電すると、内部の温度が急速に上昇して蓄熱され、角筒状パイプ6の上面から放熱板26に急速に熱が伝達される。放熱板26は床板27の裏面に密着して取付けられているので、床面をほぼ均一に加熱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
なお上記説明では、道路や駐車場、玄関先などの路面に設置した場合について示したが、農業用ハウスの地中に埋設して、ハウスの暖房としても使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例によるロードヒーティング装置の発熱ユニットを示す断面図である。
【図2】図1の発熱ユニットを用いたロードヒーティング装置を示す平面図である。
【図3】図2のロードヒーティング装置を示す側面図である。
【図4】(A)は路面の表面温度を示すグラフ、(B)は発熱ユニットの埋設状態を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施例による発熱ユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の異なる他の実施例による発熱ユニットを示す断面図である。
【図7】本発明の異なる他の実施例による発熱ユニット一体型のコンクリート板を示す断面図である。
【図8】本発明の異なる他の実施例による飛び石の下に発熱ユニットを取付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の異なる他の実施例による放熱板を取付けた発熱ユニットを示す断面図である。
【図10】本発明の異なる他の実施例による床暖房システムに適用した断面図である。
【図11】(A)は従来の電熱ヒーター線による路面の表面温度を示すグラフ、(B)は従来の電熱ヒーター線の埋設状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 電熱ヒーター線
2 地中
3 路面
5 発熱ユニット
6 角筒状パイプ
6A J形の角筒状パイプ
7A サイドキャップ
7B サイドキャップ
9 端子台
10 端子ボックス
11 ロードヒーティング装置
15A上部部材
15B下部部材
16 凹形の補強リブ
17 線挿着部
18 凹溝部
19 凸条部
21 銅撚線
22 絶縁チューブ
23 コンクリート板
24 飛び石
26 放熱板
27 床板
28 大引き
29 束
30 発泡断熱材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプの内側面に、密着して電熱ヒーター線を取付けて発電ユニットを形成し、この発熱ユニットを地中に埋設もしくは床板の裏面に取付けて、前記電熱ヒーター線に通電して路面もしくは床面を加熱することを特徴とするヒーティング装置。
【請求項2】
角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を接合したことを特徴とする請求項1記載のヒーティング装置。
【請求項3】
角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されていることを特徴とする請求項1または2記載のヒーティング装置。
【請求項4】
角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項1または2、もしくは3記載のヒーティング装置。
【請求項1】
熱伝導性に優れた金属材料で形成され、内部を密閉した角筒状パイプの内側面に、密着して電熱ヒーター線を取付けて発電ユニットを形成し、この発熱ユニットを地中に埋設もしくは床板の裏面に取付けて、前記電熱ヒーター線に通電して路面もしくは床面を加熱することを特徴とするヒーティング装置。
【請求項2】
角筒状パイプの上面に、この上面より広い、熱伝導性に優れた金属材料で形成された放熱板を接合したことを特徴とする請求項1記載のヒーティング装置。
【請求項3】
角筒状パイプがアルミニウムで形成されて、その内側面にヒーター線挿着部が一体に押出し成形されていることを特徴とする請求項1または2記載のヒーティング装置。
【請求項4】
角筒状パイプが、上下の2分割されたアルミニウム押出し型材を組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項1または2、もしくは3記載のヒーティング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−77547(P2006−77547A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265790(P2004−265790)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(502230848)株式会社ニーズプロダクト (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(502230848)株式会社ニーズプロダクト (4)
【Fターム(参考)】
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