説明

ビーム曲げ装置およびその製造方法

【課題】装置と異なるモードフィールドを有する光学部品および/または他の導波路との間を通過する光信号の高効率の結合を容易にするように構成されたモード変換装置の提供。
【解決手段】光信号のモードフィールドを変更するための装置であり、ピグテールファイバ22と、ピグテールファイバ22の一端に直接スプライス接合されるピグテールファイバ22の外径より大きい外径を有するGRINファイバレンズ24と、GRINファイバレンズ24の一端に配置された反射面26を有し、反射面26上にさらなる反射要素36を固着または別の方法で配置してもよい。光線経路38はピグテールファイバ22のコア40から出射し、反射面26で曲面34に向かって再方向付けされる。曲面34は、円錐面を形成し、1つの軸に沿ってビームを集光し、他の軸に沿って集光しないようにするために、円柱レンズとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、2002年3月4日出願の米国仮出願番号第60/361,787号明細書および「Beam Altering Fiber Lens Device and Method of Manufacture」という名称のバガヴァチュラ(Bhagavatula)らの2002年7月23日出願の米国特許出願第10/202,516号明細書の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全般的には非インラインモードフィールド相互接続用の光学デバイスに関し、特に、このような装置と異なるモードフィールドを有する光学部品および/または他の導波路との間を通過する光信号の高効率の結合を容易にするように構成されたモード変換装置に関する。
【0003】
本発明は幅広い用途を対象としているが、レーザダイオードおよび半導体導波路などの楕円形状の光信号源を円対称のモードフィールドを有する光ファイバに結合する場合に特によく適している。
【背景技術】
【0004】
レーザダイオード、光ファイバおよび半導体光増幅器(SOA)などの信号源と光ファイバ、特殊ファイバ、SOAなどの他の光学部品との間を通過する光信号を高い結合効率で結合することは、光通信の重要な側面である。光通信システムに組込まれる従来の発光モジュールとしては一般に、光源として機能する、レーザダイオードなどの半導体レーザ、光搬送コアを有する光ファイバ、球面レンズ、半導体レーザとレーザビームを光ファイバコアに集光するための光ファイバとの間に組込まれた自己収束レンズまたは球面レンズなどのレンズなどがある。発光モジュールは一般に、半導体レーザと光ファイバとの間で高い結合効率を必要とするため、最大の結合パワーを実現するためには、モジュールは、互いに整列された半導体レーザ、レンズおよび光ファイバの光軸を集めることが好ましい。一部にはレンズ間隔および位置合せの問題のために、比較的大型で、高コストであった初期の発光モジュールは、当分野において発展を遂げ、その結果、多数の代替アプローチが生まれた。
【0005】
このようなアプローチの1つが、分布屈折率(GRIN)ロッドレンズの利用である。他のレンズとは異なり、GRINロッドレンズの屈折率は半径方向によって決まり、ロッドレンズの光軸で最大となる。一般的に言えば、GRINロッドレンズにわたる屈折率分布は放物線形状であるため、レンズ効果を誘起するのは、空気とレンズの境界面ではなく、レンズ媒体自体である。したがって、従来のレンズとは異なり、GRINロッドレンズは、平面入射面および平面出射面を有し、これらの面における屈折を不必要にする。この特性により、レンズのいずれかの端部の光学素子を屈折率整合接着剤またはエポキシによって所定の位置に固定することができる。屈折率勾配は一般に、時間がかかり、高価でもあるイオン交換工程によって形成される。一般的なGRINロッドレンズは、たとえば、タリウムまたはセシウムをドープした多成分ガラスのイオン交換によって製造されてもよい。ナトリウムおよびタリウムイオンまたはセシウムイオンのいずれかがガラスから拡散するようなイオン交換工程のために融解塩槽を用い、カリウムイオンを500℃のKNO槽からガラスに拡散することもできる。
【0006】
光にレンズ効果を及ぼすのは、この工程から生じるレンズ媒体の屈折率であるため、所与のGRINロッドレンズが特定の結合用途に適した屈折率分布を確実に有するようにするために、製造工程中の緻密な制御が必要である。さらに、本発明の少なくとも1つの態様によって用いられるGRINファイバレンズとは異なり、GRINロッドレンズは、標準的な遠距離通信ファイバおよび/または他の光学部品をスプライス接合するにはあまり適していない。一般的に言えば、GRINロッドレンズは、結合対象の光導波路とは著しく異なる熱膨張係数および軟化点(ガラスが軟化する温度)を有する多成分ガラス構造物である。他方、ファイバ製造工程によって構成されるGRINファイバレンズは一般に、高シリカ組成構造物である。したがって、GRINファイバレンズの軟化点および熱膨張係数は、取付けられることができる大部分の遠距離通信ファイバおよび他の導波路の軟化点および熱膨張係数と実質的に同様である。したがって、GRINファイバレンズは、たとえば融着スプライス接合によって、大部分の遠距離通信ファイバに結合するのに十分適している。
【0007】
別のアプローチは、半導体レーザと光導波路との間の光学結合を提供するために、光ファイバの端部にマイクロレンズを形成してきた。このようなアプローチにおいて、レンズは、光ファイバの端面の、光源からの光が入射するファイバの一部分に直接に一体形成される。以下では、このような光ファイバを「レンズ付き光ファイバ」と呼ぶ。このようなレンズ付き光ファイバを用いる発光モジュールを製造するときには、ファイバ自体から光収束レンズを離す必要がないため、および軸位置合せに関連する動作の数も削減することができるために、必要な構成要素の数を削減することができる。レンズ付き光ファイバは、光ファイバの端部に形成されるレンズが、このレンズを通過する光信号のモードフィールドを変更することができる場合には、アナモルフィックレンズ付き光ファイバと呼ばれる。さらに具体的に言えば、光ファイバの端部に形成されるアナモルフィックレンズは一般に、レーザダイオードから発せられる光信号の楕円形のモードフィールドを実質的に円対称の光信号に変えることができ、円対称のモードフィールドを有する光ファイバのコアにより効率的に結合することができる。
【0008】
上述の各アプローチは、当業界では公知である種々の有用性および利点を有する。しかし、各アプローチは、独自の制限がある。たとえば、従来のGRINロッドレンズ技術は、通過する光信号に関して優れた対称集光特性を提供するが、GRINロッドレンズ単独では、一般に、効率的な光信号結合用途にしばしば必要とされるように、光信号の幾何形状を著しく変化させることはない。さらに、集光を行うGRINロッドレンズ自体の材料特性のために、特定の用途に必要なGRINロッドレンズの屈折率分布の制御された変動を提供するために、正確な製造技術が必要である。
【0009】
同様に、アナモルフィックファイバレンズは、レンズを通過する光信号またはビームの幾何形状を容易に変更しやすくするものであるが、アナモルフィックレンズ用途の有効作動距離の範囲がある程度制限される。したがって、適切な作動距離が特定の用途に適さない場合に結合損失が大きくなることがあり、そのために多くの結合用途が実現不可となる。
【0010】
一般的に言えば、上述の周知のデバイスは「インライン」光信号結合用途に最もよく用いられる。別の言い方をすれば、結合対象の光信号は一般に、光信号が結合されるデバイスの光軸間で実質的に同一平面である経路に沿って伝搬している。ミラーまたは他の光学デバイスおよび構造物の助けがなければ、上述の周知のデバイスは、「オフライン」結合用途、すなわち結合対象の光信号は光信号が結合されるデバイスの光軸と同一平面でない経路に沿って伝搬している結合用途にはあまり適さない。一例として、これに限定されるわけではないが、光信号は、1つのデバイスから、光信号が結合されるデバイスの光軸に関して約90°の角度で発せられてもよい。そのような場合には、光信号は、適切な光信号結合を容易にするために、再方向付けまたは屈曲させられる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、必要とされているが、現時点において当業界では利用可能ではないのは、アナモルフィックレンズまたはGRINロッドレンズの使用に関連する上記および他の欠点を克服する光信号結合用途の装置である。このような装置は、装置を通過する光信号のサイズおよび/または幾何形状および/または他のモードフィールド特性を変更できなくてはならず、これと同時に結合損失を制限する設計の融通性を提供できなくてはならない。また、より広範囲の許容可能な作動距離を可能にし、位相面の収差を最小限に抑え、一般に、光信号結合用途においてより大きな制御および効率を提供する必要がある。さらに、本発明のモード変換装置は、最小限の損失で光信号の経路を再方向付けすることができるものであることが好ましい。このような装置は、比較的廉価で製造され、比較的大量生産しやすく、一般に装置の材料特性および装置自体の特性をあまり変更することなく、はるかに広範囲の用途に対応することが要求される。本発明は主にこのような装置の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、光信号のモードフィールドを変更するための装置に関する。この装置は、GRINファイバレンズと、GRINファイバレンズの一端に配置された反射面と、を有し、反射面がGRINファイバレンズと協働して、反射面に対して向けられた光信号の経路を再方向付けするように構成されている。
【0013】
別の態様において、本発明は、光学アセンブリに関する。この光学アセンブリは、光学部品と、光学部品を支持するように構成された基板と、装置と光学部品との間を通過する光信号のモードフィールドを変更するために、基板上に位置し、光学部品に関連する装置と、を有している。この装置は、GRINファイバレンズと、GRINファイバレンズの一端に配置された反射面と、を有している。反射面は、GRINファイバレンズと協働して、反射面に対して向けられた光信号の経路を再方向付けするように構成される。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、光信号のモードフィールドを変更するための装置の製造方法に関する。この方法は、GRINファイバレンズの一端に反射面を配置するステップを含み、反射面がGRINファイバレンズと協働して、反射面に対して向けられた光信号の経路を再方向付けするように構成されている。
【0015】
本発明のビーム曲げ装置は、当業界では周知である他のモード変換デバイスに関する多数の利点を生じる。ある意味では、モード変換レンズはGRINファイバレンズ上に直接形成することもできるため、光信号のモードフィールドの幾何形状および/またはサイズはモード変換レンズによって変更することができ、変更される光信号の集光は主にGRINファイバレンズによって行われてもよい。その結果、光信号の波面と、光信号が結合される光学部品または他の導波路の波面との一致度が改善されるであろう。したがって、結合損失を最小限に抑え、位相面の収差が緩和される。本発明のビーム曲げ装置はまた、より広範囲の有効作動距離を提供するように設計されてもよい。これらをはじめとする利点の結果、結合効率が、非常に向上する。
【0016】
これらの利点に加えて、GRINファイバレンズ自体は、本発明の製造に際し多数の利点を提供する。上述したように、GRINファイバレンズは、従来のマルチモードファイバ製造工程によって作成されることが好ましい高シリカを含む構造物であることが好ましい。GRINファイバレンズは遠距離通信ファイバ製造技術によって製造されるため、本発明によって製造されるGRINファイバレンズは、高精度で所望の寸法に延伸されてもよい。一般的に言えば、GRINファイバレンズは、約25.0ミクロン〜約1000.0ミクロンの範囲の外径を備えるように延伸されてもよい。このようなGRINファイバレンズは、約50.0ミクロン〜約500.0ミクロンの範囲の外径を備えるように延伸されることができればさらに好ましい。このようなGRINファイバレンズは、約75.0ミクロン〜約250.0ミクロンの範囲の外径を備えるように延伸されることができれば最も好ましい。さらに、GRINファイバレンズは慣例的なファイバ延伸機器を用いて延伸されるため、大きな直径のロッドまたはブランクが製造された後、元の大きな直径のロッドのコア対クラッドの比など(これらに限定されるわけではない)の材料特性を維持しながら、ファイバの長い長さ(数kmに及ぶ)まで延伸されてもよいため、製造およびスプライス接合がよりたやすい。したがって、GRINファイバレンズの他の特性の中でも所望の屈折率分布は、このようにして得られたGRINファイバレンズの光学特性に関して正確なサブミクロンの制御を提供するより大きなロッドまたはブランクに設計されてもよい。
【0017】
これらの利点に加えて、本発明によれば、GRINファイバレンズは、2つ以上のモード変換用途に関して所定の材料特性を有するように製造されてもよい。モード変換レンズはピグテールファイバ自体ではなく、GRINファイバレンズ上またはGRINファイバレンズに固着されるコアレススペーサロッドまたはファイバ上に形成可能であるため、同一の長さを有し、同一の材料から形成され、同一のアスペクト比を有し、同一の断面積を有するGRINファイバレンズおよびコアレススペーサロッドが、異なる特性および/またはモードフィールドを有するピグテールファイバに固着されてもよい。それゆえ、各GRINファイバレンズおよび/またはコアレスロッドは、たとえば、各GRINファイバレンズおよび/またはスペーサロッドが固着される特定のファイバピグテールに必要とされる不可欠なモードフィールド変換機能性を提供するために、適切な長さに劈開することによって、変更されてもよい。さらに詳細に述べるように、これは、各GRINファイバレンズおよび/またはスペーサロッドを所望の長さに劈開または他の方法で切断し、各GRINファイバレンズおよび/またはロッドの切断された端部が所望の光信号変更特性を有するように成形することによって実現されることができることが好ましい。
【0018】
本発明によるスペーサロッドの製造は、さらなる利点を提供する。一般的に言えば、スペーサロッドは、実質的に均一な屈折率分布を有し、シリカ、いずれか他の高シリカガラスを含む材料から構成されるか、またはコーニング・インコーポレイティッド(Corning Incorporated)によって製造され、バイコール(Vycor)(登録商標)として公知である96%シリカガラスであってもよい。一般的に言えば、および本発明によれば、スペーサロッドが円筒形状、矩形形状であってもよく、またはいずれか他の幾何形状を取るように製造されてもよい。上述のGRINファイバレンズと同様に、スペーサロッドは、従来のファイバ製造技術および機器を用いて、125.0ミクロン(これに限定されるわけではない)などの所望の直径に延伸される長さ約1mのロッドまたはブランクから製造されることが好ましい。一般的に言えば、スペーサロッドは、kmの長さ(元の大きな直径のロッドの材料特性を維持することが好ましい)に延伸された後、特定のモード変換用途のために、適切な長さに切断または劈開される。
【0019】
一定の用途において、円筒形状以外のスペーサロッドを利用することが好都合である場合がある。たとえば、本発明によれば、実質的に矩形形状であるスペーサロッドを利用することがが好ましい場合がある。このような場合には、第一に、それ自体が矩形形状である長さ約1mのブランクを形成することが好ましい可能性がある。次に、125.0ミクロンなどの所望の外形を有する実質的に矩形のスペーサロッドを形成するために、従来のファイバ延伸技術および機器を用いて、矩形のブランクが延伸されてもよい。このように、数kmの実質的に矩形形状のスペーサロッド材料は、単独のブランクから延伸された後、所望の光学特性を有するスペーサロッドを形成するために、所望の長さに切断されてもよい。このようにして得られた矩形のスペーサロッド材料の縁は延伸工程中、ある程度丸みを帯びるようになりやすい可能性があるが、ロッド材料が延伸される延伸炉の温度、延伸速度および張力が制御されるという条件であれば、実質的に矩形状が維持される。さらに、延伸工程によって形成され、最終的に劈開される矩形のスペーサロッドのアスペクト比および他の光学特性は、実質的に維持される。このような処理は、大量生産および最終的なスペーサロッドの制御された寸法を容易にする。当業者は、上述の製造技術が本発明によるGRINファイバレンズの製造にも同様に適用可能であることを認識されたい。
【0020】
本発明のビーム曲げ装置は、光学アセンブリおよび他の実装構成に関してさらなる利点を提供する。本発明のビーム曲げ装置は約20.0ミクロン以上より大きい作動距離を提供し、これは当業界では周知のアナモルフィックモード変換装置および他のモード変換装置によって提供される作動距離よりずっと大きい。その結果、部分的には装置と半導体デバイスとの間の位置合せの許容差が緩和されるために、低損失のレーザダイオードまたは他の半導体デバイスに結合することが容易となる。
【0021】
本発明の上述の態様のすべてが、GRINファイバレンズおよび/またはスペーサロッドの大規模生産を提供し、さらには製造しやすさ、製造工程に関連するコストの削減およびより大きな規模の節約を促進する。本発明の装置は、中を通過する光信号のモードフィールドを、楕円形のモードフィールドから円形のモードフィールドに、円形のモードフィールドから楕円形のモードフィールドに、1つの楕円率を有するモードフィールドから異なる楕円率を有するモードフィールドに、または1つのモードフィールドから同一の形状であるが異なるサイズである他のモードフィールドに、変更することができるように製造することもできる。さらに、本発明の装置は、いずれかの方向にも装置を通過する光信号のモードフィールドを変更することができるように設計されてもよい。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、部分的には、その詳細から当業者には容易に明白となり、本願明細書に記載されているように本発明を実行することによって認識されるであろう。
【0023】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、本発明の例示に過ぎず、請求されている本発明の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを目的としていることを理解されたい。添付図面は、本発明の理解を深め、本発明の種々の実施形態を示し、明細書本文と共に、本発明の原理および動作を説明するのに役立つように包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本発明によるビーム曲げ装置の具体的な実施形態の概略的側面図。
【図1A−1】本発明によるビーム曲げ装置の第1の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図1B】本発明によるビーム曲げ装置の第2の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図1B−1】本発明によるビーム曲げ装置の第3の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図1C】本発明によるビーム曲げ装置の第4の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図1C−1】本発明によるビーム曲げ装置の第5の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図2】GRINファイバレンズ上に配置される反射面で反射される光信号の入射角を示す図1Bのビーム曲げ装置の断面図。
【図3】本発明のビーム曲げ装置の別の具体的な代替実施形態の概略的断面図。
【図4A】本発明のビーム曲げ装置のさらなる具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図4B】図4Aに示されるビーム曲げ装置の概略的斜視図。
【図5A】本発明のビーム曲げ装置のさらに別の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図5B】本発明のビーム曲げ装置のさらなる具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図5C】本発明のビーム曲げ装置のさらに別の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図5D】本発明のビーム曲げ装置のさらに別の具体的な代替実施形態の概略的側面図。
【図5E】本発明のビーム曲げ装置の別の具体的な代替実施形態を示す顕微鏡写真。
【図5F】本発明のビーム曲げ装置のさらに別の具体的な代替実施形態の製造の種々のステージを示す顕微鏡写真。
【図5G】本発明のビーム曲げ装置のさらに別の具体的な代替実施形態のの種々のステージを示す顕微鏡写真
【図6A】本発明によって変換される光信号のモードフィールドを示す図1Bに示されるビーム曲げ装置のGRINファイバレンズの図を示す顕微鏡写真。
【図6B】本発明によって変換される光信号のモードフィールドを示す図1Bに示されるビーム曲げ装置のGRINファイバレンズの図を示す顕微鏡。
【図6C】本発明によって変換される光信号のモードフィールドを示す図1Bに示されるビーム曲げ装置のGRINファイバレンズの種々の図を示す顕微鏡
【図7A】本発明による図1Bに示されるビーム曲げ装置に組込まれる具体的な光学アセンブリの概略的側面図。
【図7B】本発明による図1Bに示されるビーム曲げ装置に組込まれる具体的な光学アセンブリの概略的平面図。
【図7C】本発明による図1Bに示されるビーム曲げ装置に組込まれる別の具体的な光学アセンブリの概略的側面図。
【図8】種々の設計変数の表示を含む本発明のオフラインビーム曲げ装置の概略的構成。
【図9】本発明による具体的なオフラインアセンブリに関する結合効率対作動距離曲線を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、添付図面に示される本発明の好ましい実施形態および実施例を詳細に参照されたい。可能な限り、同一の参照符号は、複数の図面を通して同一または類似の部分を指すために用いられる。本発明のビーム曲げ装置の具体的な実施形態が、図1Aに示され、全体として参照符号20によって表される。
【0026】
一般的に言えば、図1Aの側面図に示される具体的なビーム曲げ装置20は、四角形の低屈折率または放物線状の屈折率分布を有するGRINファイバレンズ24と、GRINファイバレンズ24の一端に配置される反射面26を有している。本発明の一態様によれば、ビーム、好ましくは光信号30は、GRINファイバレンズ24に入射し、GRINファイバレンズ24を通って長手方向に延在する光軸28に沿って一般に進むことができる。以下にさらに詳細に述べるように、光信号30は、反射面26で反射され、光信号30がGRINファイバレンズ24の側面33を通過するように再方向付けまたは曲げられることが好ましい。図1Aに示される実施形態において、GRINファイバレンズ24は、円筒形状であることが好ましい。したがって、光信号30が中を通過する側面33の当該部分は曲面34であることが好ましい。本発明の別の態様によれば、光信号30が曲面34を通過するときに、光信号30のモードフィールドの特性が変更されることが好ましい。たとえば、図1Aに示されているようにGRINファイバレンズ24を進む場合、光信号30のモードフィールドが実質的に円形形状であるとき、光信号30が曲面34を通過するにつれて実質的に円対称のモードフィールドから楕円計のモードフィールドにモードフィールドの形状を変更することが好ましい。
【0027】
第1の代替例の具体的なビーム曲げ装置20’が、図1A’の側面図に示されている。上述の実施形態とは異なり、GRINファイバレンズ24’は、実質的に矩形形状であり、または他の方法で、平面的な側面33’によって画定されてもよい。反射面26’は、GRINファイバレンズ24’の一端に配置される斜面であることが好ましい場合がある。光信号30が反射面26’で反射されるとき、実質的に平面35を通過するように再方向付けされ、それによって光信号30のモードフィールド特性を変更することが好ましい。平面35は、光信号30のモードフィールドの形状を変更しないことが好ましく、モードフィールドサイズを変更することが好ましい。図面には示されていないが、当業者は、側面33の一部が研磨されるか、または別の方法で再方向付けされた光信号30が側面33を通過する位置に平面35を備えるように構成されるとき、実質的に円筒形のGRINファイバレンズ24によって同一のモードフィールド効果を実現してもよいことを理解されたい。このような平面35は、たとえば、レーザマイクロマシニングによって側面33上に形成されてもよい。
【0028】
第2の代替例の具体的なビーム曲げ装置20”が、図1Bの側面図に示されている。ビーム曲げ装置20”は、光ファイバまたはピグテールファイバ22と、好ましくはスプライス接合によってピグテールファイバ22の一端に固着されるGRINファイバレンズ24と、ピグテールファイバ22から遠いGRINファイバレンズ24の端部上に配置されるこの場合には斜面である反射面26と、を有していることが好ましい。ピグテールファイバ22は、コーニング・インコーポレイティッド(Corning Inc.)によって製造されたSMF−28ファイバなどの標準的なシングルモードファイバ、偏光保持(PM)ファイバ、マルチモードファイバまたは光通信システムに用いられる高屈折率ファイバなどの他の専用ファイバであってもよい。さらに、ピグテールファイバ22は、図1Bに示されるように端部から見たときに円対称であってもよく、または任意の他の形状であってもよい。図1Bに示される実施形態では、次に反射面26はGRINファイバレンズ24の端部上に直接形成されるが、反射面26が個別のコアレススペーサロッドの一端に配置または形成されてもよく、図4Aおよび図4Bを参照して以下にさらに詳細に述べるようにそれ自体がピグテールファイバ22から遠いGRINファイバレンズ24の端部に固着されてもよい。作動中、光信号30は、ピグテールファイバ22を通ってGRINファイバレンズ24に達し、信号はGRINファイバレンズ24の放射線状の屈折率分布によって変更される。変更された光信号30’は、反射面26で反射され、GRINファイバレンズ24の側面33の曲面34によって再方向付けされることが好ましい。図1Aに示される実施形態と同様に、変更された光信号30’が曲面34を通過するときに、変更された光信号30’のモードフィールドの形状が変更されることが好ましい。
【0029】
第3の代替例の具体的なビーム曲げ装置20’’’が、図1B’の側面図に示されている。ビーム曲げ装置20’’’は、矩形形状であることが好ましいピグテールファイバ22’と、矩形形状であることが好ましいGRINファイバレンズ24’と、ピグテールファイバ22’から遠いGRINファイバレンズ24’の端部上に配置される反射面26’と、を有していることが好ましい。図1Bに示される実施形態と同様に、一旦、光信号30がスプライス接合部37を通過すると、光信号30はGRINファイバレンズ24’の特性によって変更される。変更された光信号30’がGRINファイバレンズ24’を通過するとき、光信号30’が側面33’の平面35を通過するように反射面26’で反射されることが好ましい。平面35は、変更された光信号30’のモードフィールドの形状を変更しないことが好ましく、モードフィールドサイズを変更することが好ましい。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本発明の第4の代替例の具体的なビーム曲げ装置20””、20’’’’’は、図1Cおよび図1C’にそれぞれ示されているように、1つ以上のテーパ型要素を有するように製造されてもよい。このようなテーパ型マルチレンズ装置20””は、ピグテールファイバ22と、ピグテールファイバ22の一端で位置決めされる四角形の低い屈折率または放物線上の屈折率分布を有するテーパ型GRINファイバレンズ24”と、ピグテールファイバ22から遠いGRINファイバレンズ24”の端部上に配置される反射面26”と、を有することが好ましい場合がある。図1Cに示されているように、テーパ型GRINファイバレンズ24”は、ピグテールファイバ22の端部から仮想線Aまで長手方向に延在する実質的に均一または一定の半径方向の外形寸法を有するGRINファイバ部分29と、仮想線AとAの間で長手方向に延在する変化する、好ましくは減少する半径方向の外形寸法(または傾斜外面)を有するテーパ型GRINファイバ部分31と、仮想線Aから反射面26”まで長手方向に延在する実質的に均一または一定の半径方向の外形寸法を有する反射面部分27と、を有することが好ましい。図面には示されていないが、当業者は、1つ以上のピグテールファイバ22、コアレススペーサロッドおよび/またはGRINファイバレンズが、記載された任意の実施形態および/または本願明細書に記載された任意の実施形態に関して、図1Cに示されるテーパ型GRINファイバレンズ24”と類似の態様でテーパをなしていてもよいことを認識されたい。テーパ型GRINファイバ部分31は、変更された光信号30’を変化させ、反射面26”で反射される変更された光信号30”を生じることが好ましい。次に、再方向付けされ、変更された光信号30”は変更された光信号30”のモードフィールド形状を変更することが好ましい曲面34を通過することが好ましい。
【0031】
本発明の第5の代替例の具体的なビーム曲げ装置20’’’’’が、図1C’に示されている。図1C’に示されるビーム曲げ装置20’’’’’の構成および動作は、図1Cに示されるビーム曲げ装置20””の構成および動作と類似である。しかし、ビーム曲げ装置20’’’’’は、実質的に円対称より矩形形状であることが好ましい。したがって、ビーム曲げ装置20’’’’’は、実質的に矩形のピグテールファイバ22’と、平面的な側面33’を有するテーパ型GRINファイバレンズ24’’’と、変更された光信号30”が反射面26’’’で反射された後に通過する平面35と、を有することが好ましい。変更された光信号30”が平面35を通過するとき、変更された光信号30”のモードフィールドのサイズがモードフィールド形状より変化することが好ましい。
【0032】
本願明細書に特記がない限り、記載された実施形態のそれぞれにおいて、ピグテールファイバ22およびその変形物は、外形約125.0ミクロン、コア直径約8.0〜10.0ミクロンのSMF−28ファイバとして記載される。当業者は、他の直径および他の幾何形状を有する他のピグテールファイバもまた、本発明の範囲内であることを認識されたい。さらに、本発明のビーム曲げ装置の構造、設計、製造および製造に関する利点に関するさらなる詳細は、2002年7月23日に提出の「Beam Altering Fiber Lens Device and Method of Manufacture」という名称および2002年7月23日に提出の「Optical Signal Altering Lensed Appratus and Method of Manufacture」という名称の同時係属中の米国特許出願において見い出すことができる。いずれの特許出願もコーニング・インコーポレイティッド(Corning Incorporated)が同一出願人であり、その開示内容は、本願明細書に参照によって包含されるものとする。
【0033】
一般的に言えば、開示された実施形態のすべては、クラッディング領域によって境界づけられるコア領域を有するピグテールファイバを有している。GRINファイバレンズ24およびその変形物はまた、クラッディング領域によって境界づけられるコア領域またはクラッディング領域によって境界づけられないコア領域を有することが好ましい。好ましい実施形態において、本発明のGRINファイバレンズの相対屈折率分布は、ビーム曲げ装置の光軸に対して半径方向に増大する。GRINファイバレンズの一端は、当業界では一般に公知であるアーク融着接続装置またはいずれか他の装置によって、GRINファイバレンズが適切な長さに劈開される前または後のいずれかに、ピグテールファイバの一端にスプライス接合されることが好ましい。反射面は、ピグテールファイバから遠いGRINファイバレンズの端部上に配置されることが好ましい。本願明細書に開示されるこれらの具体的な実施形態および他の具体的な実施形態において、反射面は従来の研磨技術、レーザマイクロマシニングまたは以下にさらに詳細に記載する他の方法によって形成される斜面であることが好ましい場合がある。
【0034】
インライン結合構成に関連する、参照によって本願明細書に包含される特許出願に開示される実施形態とは異なり、本願明細書に開示される具体的な実施形態は非インライン結合構成またはオフライン結合構成に関することが好ましく、光信号のモードフィールドを変更することに加えて、光信号の再方向付けまたは曲げを容易にすることが好ましい。ここで図1Aを参照すると、ビーム曲げ装置20は、光信号がビーム曲げ装置20を進むその中心に沿って長手方向に延在する光軸28を画定することが好ましい。図1Aに示される具体的な実施形態において、GRINファイバレンズ24は、4分の1ピッチ長さまたはそれに近いことが好ましい。しかし、GRINファイバレンズ24は4分の1ピッチに制限されるわけではなく、大きなアスペクト比のレンズ用途などの特殊な用途では、4分の1ピッチ長さに設計されてもよいことを留意されたい。
【0035】
当業界では周知の用途のおいて、GRINファイバレンズは一般に、固着される光導波路の外径に適合する外径を有するように製造される。したがって、光導波路の外径が125.0ミクロンであるとき、GRINファイバレンズもまた125.0ミクロンの外径を有するように製造されることが好ましい。したがって、それぞれが125.0ミクロンの外径を有する2つの光導波路が異なるモードフィールドを有するとき、屈折率分布の差Δは、同一の125.0ミクロンの外径を維持すると同時に、GRINファイバレンズが仕様を満足できるように、各GRINファイバレンズに関して変更される。本発明によれば、GRINファイバレンズの外径は、125.0ミクロンで維持される必要はない。代わりに、GRINファイバレンズの屈折率分布の差Δが実質的に同一であるように維持され、各GRINファイバレンズの外径、コア直径および長さは各光導波路のモード変換要件を満たすように変更されることが好ましい。本発明によれば、各GRINファイバレンズの長さは、必要に応じて、4分の1ピッチとは異なっていてもよい。その結果、本発明によれば、種々の用途において用いるために、同一のブランクを用いてGRINファイバレンズを延伸してもよい。ブランクの屈折率分布を変更する必要はないため、ブランク製造工程およびGRINファイバレンズ製造工程を簡略化してもよい。したがって、異なるモード変換用途のために、同一のブランクを用いることができる。ブランクは、異なる用途のために異なる外径に再延伸されることが好ましく、異なる用途のための要件を満たすように、このようにして得られたGRINファイバレンズを異なる長さに切断または劈開してもよい。
【0036】
GRINファイバレンズ24はまた、たとえば、レーザマイクロマシニングによって、GRINファイバレンズ24を光軸28に対する所望の角度で所望の長さに形成される斜面から構成されることが好ましい反射面26を有することが好ましい。作動中、光信号30はピグテールファイバ22およびGRINファイバレンズ24を通過し、反射面26、この場合には斜面に当たる。光信号は、GRINファイバレンズを通過するときに、発散、収束、集光または平行化してもよいことを留意されたい。斜面が光軸に対して、約45°の角度または用いられる材料の臨界角に近い角度で形成されるとき、反射面26によって画定される空気/ガラスまたは他の媒体/ガラスの境界面32は、光信号30を内部全反射し、GRINファイバレンズ24の側面の曲面34に達するようにする。面34は、(非球面の)円柱レンズとして機能し、1つの軸に沿ってビームを集光し、他の軸に沿って集光しないことが好ましい。このアプローチの利点の1つは、円柱レンズがGRINファイバレンズと自己整列することである。別の利点は、反射面がGRINファイバレンズの端部ではなくスペーサロッドの端部上に配置される場合には、GRINファイバレンズまたはスペーサロッドの直径を制御することによって、面の曲率が正確に制御されることである。また、GRINファイバレンズまたはスペーサロッドが慣例的なファイバ再延伸工程によって大量生産されるため、円柱レンズを形成する曲面34の面の品質がきわめて高い可能性がある。さらに、45°の傾斜付き反射面26の場合には、空気とシリカガラスの境界面に関して、像はピグテールファイバ22およびGRINファイバレンズ24を通過する長手方向に延在する光軸28に対して90°をなすことが好ましい。本発明の態様によれば、コアおよび外形、相対屈折率の差、均一または一定の屈折率を有するコアレススペーサロッドの使用(これらに限定されるわけではない)などのGRINファイバレンズ24の種々の特性の正確な制御、以下にさらに詳細に述べるように他の反射材料または斜面の代わりに用いられる面または斜面に加えて用いられる面によって、集光された像のサイズおよびアスペクト比を変更することができる。
【0037】
これらをはじめとするビーム曲げ装置は、以下にさらに詳細に述べるが、ピグテールファイバとレーザダイオードまたは他の光導波路との間を通過する光信号を結合するためにきわめて有用となり得る。このようなビーム曲げ装置を利用することは、シングルモードファイバの端部に従来は研磨される市販のファイバレンズに比べて、20.0ミクロン以上の大きな作動距離などの他の利点を提供する。このより大きな作動距離は、本発明のGRINファイバレンズと光信号が通過されるレーザダイオードまたは他の光学部品との間の位置合せの許容差の緩和を促進する。
【0038】
種々の図面に示されるビーム曲げ装置の具体的な実施形態の重要な態様については、図2を参照すれば最もよく理解されると思われる。図2には、図1Aに示されるビーム曲げ装置20の断面図が示される。図2に示されているように、光信号30は、GRINファイバレンズ24を通過し、反射面26、この場合には斜面、に入射角Φで入射し、反射角Фで反射される。入射角Фは入射する光信号30と斜面に対して垂直である線Bとの間の角度によって画定され、反射角Фは斜面に対して垂直である線Bと反射されるビーム30’との間の角度によって画定される。入射角Фで媒体n、nの臨界角Φより大きい場合には、光信号30は内部全反射され、反射されるビームのすべてに関してさらなるコーティングは必要ではない。臨界角Фは、以下の式によって記述されることができる。
【0039】
Φ=sin-1(n/n
本発明によれば、nは光信号が進む媒体の屈折率であり、nは光信号が進む材料に境界づけられる媒体の屈折率である。本発明によれば、nは一般に空気の屈折率であり、nはGRINファイバレンズ24の屈折率である。本発明の一態様によれば、入射角Фが臨界角Фより大きい場合には、反射面26を画定する斜面の他の反射材は不要である。
【0040】
言い換えれば、入射角Фが臨界角Фより小さい場合には、斜面だけでは一般に、本発明のビーム再方向付け態様の目的を実現するのに不十分である。したがって、本発明の目的を促進するために、さらなる反射要素および/または代替の反射要素を必要とする可能性がある。このようなさまざまな別の反射要素については、図3〜図5Gに示される本発明のビーム曲げ装置の種々の具体的な代替実施形態を参照して、以下に説明する。
【0041】
図3に示されるビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22と、ピグテールファイバ22の一端に直接スプライス接合されるピグテールファイバ22の外径より大きい外径を有するGRINファイバレンズ24と、を有することが好ましい。反射面26を画定する斜面に加えて、反射面26上にさらなる反射要素36を固着または別の方法で配置してもよい。このような反射要素36は、金属または誘電性のコーティング材料または複屈折性または偏光性のスラブなどの他の機能的要素であってもよい。以下にさらに詳細に述べるように、さらなる反射要素36は斜面に配置される非球面のガラス面などの別の面であってもよい。図面に示されているように、光線経路38はピグテールファイバ22のコア40から出射し、反射面26に向かって実質的に平行化される。反射要素36と反射面26との境界面で、少なくとも相当量の光信号が、GRINファイバレンズ24の曲面34に向かって再方向付けされる。前述したように、曲面34は、円錐面を形成し、1つの軸に沿ってビームを集光し、他の軸に沿って集光しないようにするために、円柱レンズとして機能することが好ましい。したがって、光信号が光軸に沿って進む間、図3に示されるビーム曲げ装置20を通過する光信号のモードフィールドが円形形状である場合には、円形のモードフィールドは、実質的に楕円形のモードフィールドに変換されることが好ましく、GRINファイバレンズ24の外方向にある程度距離またはGRINファイバレンズ24の下で実質的に集光される。
【0042】
光信号のモードフィールドを変更するためのビーム曲げ装置20の別の具体的な実施形態が、図4Aおよび図4Bに示される。図3に示される実施形態とは異なり、図4Aおよび図4Bに示されるビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22とGRINファイバレンズ24との間に位置決めされるスペーサファイバまたはスペーサロッド42を有している。さらに、第2のスペーサロッド44は任意に、GRINファイバレンズ24と反射面26との間に位置決めされてもよい。図4Aおよび図4Bに示される実施形態において、反射面26は、GRINファイバレンズ24の端部ではなく、コアレススペーサロッド44の端部上に配置される。本発明のこの具体的な実施形態において、斜面と光軸との間の角度が45°以外であるために、反射面26は、金属コーティングまたは誘電性コーティング、または複屈折性または偏光性のスラブなどの他の機能的要素などのさらなる反射要素36を有している。コーティング要素36はまた、非球面または所与の用途に必要であるように、光信号を適切に曲げることができるいずれか他の材料またはデバイスなどの反射面を有してもよい。外径の点で異なるが、スペーサロッド42、44は、均一または一定の半径方向の屈折率分布を有する光搬送材料のコアレスガラスロッドであることが好ましい。好ましい実施形態において、スペーサロッド42およびスペーサロッド44は従来のファイバ延伸工程によって製造され、所望の長さに切断され、ピグテールファイバ22および/またはGRINファイバレンズ24にスプライス接合または他の方法で固着される。GRINファイバレンズ24から遠いスペーサロッド44の端部上に配置される斜面の反射面26は、好ましくは研磨またはレーザマイクロマシニングによって、スプライス接合の前または後のいずれかにスペーサロッド44上に形成または他の方法で位置決めされてもよい。
【0043】
図4Bに示される斜視図に示されているように、スペーサロッド42、44は異なる外径を有し、スペーサロッド42およびGRINファイバレンズ24は実質的に矩形形状であり、スペーサロッド44は実質的に円筒形状である。当業者は、ピグテールファイバ22、GRINファイバレンズ24および1つ以上のスペーサロッドは、円筒形、矩形、四角形または楕円形などの任意の幾何形状であってもよいことを認識されたい。さらに、図面には示されていないが、ビーム曲げ装置20は、図4Aおよび図4Bに示されているものに加えて、GRINファイバレンズおよびスペーサロッドを有してもよい。一般的に言えば、用いられる各GRINファイバレンズおよびスペーサロッドの構成、形状、外径、長さおよび数は、特定のモード変換/曲げ用途のためのモードフィールド結合設計仕様を満たすために、最も経済的に効率のよいアプローチによって決定されることが好ましい。一般的に言えば、反射面26が配置されるGRINファイバレンズ24またはスペーサロッド44は、所与の用途に関して所望のアナモルフィックレンズ効果を提供するために、形状が非球面である曲面34を有することが好ましい。さらに、図面に示されているように、ピグテールファイバ22の偏光軸を維持するために、スペーサロッド42、GRINファイバレンズ24およびスペーサロッド44が製造工程中、どのように位置合せされる必要があるかを示すために、図4Aおよび図4Bに示されているように、スペーサロッド42、GRINファイバレンズ24およびスペーサロッド44は、位置合せ特徴部または溝46または他の方法で印付けされることが好ましい場合がある。このような印付けはまた、本願明細書に開示される本発明の他の実施形態に関しても好ましい。しかし、当業者は、ビーム曲げ装置20の種々の要素の幾何形状が円筒形である場合またはそうでなければ非平面を含む場合に、このような印付けが特に有用であることを認識されたい。さらに、当業者はまた、位置合せ溝は、このような位置合せが本発明の動作に悪影響を及ぼすような光信号が通過する任意の面上に位置決めまたは製造されてはならないことを認識されたい。
【0044】
図5Aに示されるビーム曲げ装置20は、図4Aに示される実施形態と類似である。しかし、ここでは、スペーサロッド部分42、44は同一の外径を有するように示されている。図5Aに示される傾斜付き反射面26は、金属、誘電性、または複屈折性または偏光性のスラブなどの他の機能的なコーティングを備えていない。代わりに、第2の反射面48、好ましくは反射非球面が第1の反射面26上に形成される。反射非球面48は、レーザマイクロマシニング、酸エッチング、研磨または当業界では周知の他の方法によって、反射面26上に形成されてもよい。別法として、別の反射材料がある種の透明エポキシによって傾斜付き反射面26に固着されてもよい。
【0045】
図5Bに示されるビーム曲げ装置20は、ビーム曲げ特性を除き、図5Aに示される実施形態と類似である。さらに具体的に言えば、図5Bに示されるビーム曲げ装置20は、傾斜付き反射面26も第2の反射面48も有していない。代わりに、曲面47が、ピグテールファイバ22から遠いビーム曲げ装置20の端部上に配置される。本発明によれば、曲面47は、ビーム曲げ装置20を通って長手方向に延在する光学アクセス(図示せず)に対して一定の角度で形成され、曲面47に対して向けられた光信号が本発明によって再方向付けまたは曲げられることが好ましい。好ましい実施形態において、丸みを帯びた面47は、酸エッチング、レーザマイクロマシニングまたはいずれか他の機械加工技術によって、ビーム曲げ装置20の端部に形成されることが好ましい場合もある。
【0046】
図5Cに示されるビーム曲げ装置20は、複数のGRINファイバレンズ24、24’を有する。スペーサロッドを伴うか、またはスペーサロッドに続く単独のGRINファイバレンズではなく、図5Cに示されるビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22にスプライス接合または他の方法で固着される第1のGRINファイバレンズ24と、第1のGRINファイバレンズ24にスプライス接合または他の方法で固着される第2のGRINファイバレンズ24’と、を有している。上述の他の実施形態と同様に、傾斜付き反射面26は、ピグテールファイバ22から遠いビーム曲げ装置20の端部に配置される。
【0047】
図5Dに示されるビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22にスプライス接合または他の方法で固着される別のテーパ型GRINファイバレンズ24を示している。図5Dに示されるテーパ型GRINファイバレンズ24の寸法は図1Cおよび図1C’に示されるものとは異なるが、図5Dに示されるテーパ型GRINファイバレンズ24の特性および動作は図1Cおよび図1C’を参照して説明したものと実質的に同一である。
【0048】
図5Eに示されるビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22と、コアレススペーサロッド42と、GRINファイバレンズ24と、反射面26と、を有することが好ましい。上述の実施形態とは異なり、コアレススペーサロッド42は、ピグテールファイバ22へのコアレススペーサロッド42のスプライス接合を容易にする丸みを帯びた端部を有することが好ましい。GRINファイバレンズ24は、端部の一方でコアレススペーサロッド42の他端にスプライス接合されることが好ましい。GRINファイバレンズ24の他端は、テーパ状に切断されることが好ましく、ボールレンズ65に熱形成されることが好ましい。ボールレンズ65は、ビーム曲げを容易にするための傾斜付き反射面26を備えるように研磨または他の方法で形成されることが好ましい。ボールレンズ65上の傾斜付き反射面26に対向する丸い面67は、互いに実質的に直交して配置され、光軸またはその付近で交差することが好ましい2つの異なる曲線C、Cによって画定される双円錐面であることが好ましい。曲線C、Cの関数に関するさらなる詳細は、「Beam Altering Fiber Lens Device and Method of Manufacture」という名称の同時係属中の米国特許出願において見い出すことができ、その開示内容は本願明細書に参照によって包含されるものとする。当業界は、傾斜付き反射面26および曲面67を有するボールレンズ65が別法として、図5Eに示されるように、GRINファイバレンズ24の端部上ではなく、個別のスペーサロッドの端部上に配置されてもよいことを認識されたい。このようなビーム曲げ装置20は、GRINファイバレンズ24にスペーサロッド42をスプライス接合し、適切な長さにGRINファイバレンズ24をテーパ切断した後、ピグテールファイバ22から遠いGRINファイバレンズ24の端部にボールレンズ65を形成することによって製造されることが好ましい場合がある。
【0049】
別のビーム曲げ装置20が、図5Fおよび図5Gの製造工程の種々のステージに示されている。ビーム曲げ装置20は、ピグテールファイバ22と、コアレススペーサロッド42と、GRINファイバレンズ24と、ピグテールファイバ22から遠い傾斜付き反射面26と、を有することが好ましい。図5Fに示されているように、ピグテールファイバ22へのコアレススペーサロッド42のスプライス接合を容易にするために、丸い端部63がコアレススペーサロッド42の端部上に配置される。本発明の一態様によれば、ビーム曲げ装置20のGRINファイバレンズ24は、ピグテールファイバ22から遠い方にテーパ切断された端部61を含むようにテーパ切断されることが好ましい。テーパ切断された端部61は、図5Gに示されるような傾斜付き反射面26を形成するように、研磨またはレーザマイクロマシニングによって形成されることが好ましい。当業者は、本発明のビーム曲げ装置20が、所与の用途の要件およびそれらの要件を満たすために取られた設計アプローチに応じて、同一または異なる特性のいずれかを有する複数のスペーサロッドおよび/または複数のGRINファイバレンズ、または単独のスペーサロッドおよび複数のGRINファイバレンズ、または単独のGRINファイバレンズおよび複数のスペーサロッドを含むことを認識されたい。
【0050】
本発明のビーム曲げ装置20の動作の一実施形態が、図6A〜図6Cに示されている。図面は、傾斜付き反射面26を有するGRINファイバレンズ24の部分図を示している。図6A〜図6Cに示されるGRINファイバレンズ24は、図1Bに示される具体的な実施形態に開示されたように、ピグテールファイバ22に固着されることが好ましく、図1Bに示されるビーム曲げ装置20の特徴、特性および機能性も備えることが好ましい。言い換えれば、図6AはGRINファイバレンズ24の側面図を示し、図6Bおよび図6CはGRINファイバレンズ24の平面図を示している。図6Bおよび図6Cに示されるGRINファイバレンズ24は、傾斜付き反射面26が紙面に面するように、図6Aに示されるその位置から約90°回転されている。図6Bは、実質的にGRINファイバレンズ24面で集光されるモードフィールド50を顕微鏡を用いて示している。図6Cは、GRINファイバレンズ24面から約100.0ミクロンで光されるモードフィールド52を顕微鏡を用いて示している。したがって、図6Cに示される実施形態において、楕円形のモードフィールドを有する光学部品は、結合効率を最大にし、光学損失を最小限に抑えるために、GRINファイバレンズ面33の曲面34から約100.0ミクロンの距離で、図6A〜図6Cに示されるビーム曲げ装置20に結合されることが好ましい場合がある。
【0051】
上述のようなビーム曲げ装置の好ましい用途は、このような装置のレーザダイオーまたは他の光屈折率半導体導波路デバイスへの結合である。このような用途において、上述の要素によって提供される強化される機能性は、さらなる設計の融通性および機能性を提供する。たとえば、研磨された斜面上に位置する誘電性ミラーによって、ビーム曲げ装置は、そこに達する光の一定の率を反射するように設計されてもよい。レーザダイオード結合の場合には、このような機能性を用いて、レーザパワーを監視することができる。さらに、本発明のビーム曲げ装置の傾斜付き実施形態は、本発明のビーム曲げ装置を半導体デバイスに実装する際に、複数のオプションを提供するために、90°以外の角度で光ビームを反射するように設計されることができる。これは、シリコンオプティカルベンチ技術を用いる場合に特に言える。以下にさらに詳細に述べるように、シリコンエッチング面は、実装中の位置合せ手順をより簡単にすることができる。
【0052】
上記で簡単に述べたように、本願明細書に開示されたビーム曲げ装置20の具体的な実施形態のそれぞれは、一定の共通の製造技術を共有していてもよい。第一に、有効な放物線状の屈折率、コア直径、外形および幾何形状を有する適切なGRINファイバレンズが、選択されたピグテールファイバ、またはピグテールファイバ22の端部にそれ自体がスプライス接合される1つ以上のスペーサロッド42に好ましくはスプライス接合によって固着される。このようなスペーサロッド42は、コアレスシリカを含むガラスロッドであることが好ましく、任意の適切な外形寸法および幾何形状を有するように製造されることができ、均一または一定の半径方向の屈折率を有するため、レンズ特性はほとんどないかまたはまったくない。使用時には、スペーサロッド42がさらなる設計の融通性を提供する。エムケー(Emkey)およびジャック(Jack)著、「Analysis and Evaluation of Graded−Index Fiber−Lenses」、Journal of Lightwave Technology、vol.LT−5、No.9、1987年9月、p.1156−1164(本願明細書に参照によって包含されるものとする)に開示される公知の公式を用いて、GRINファイバの屈折率、GRINファイバのコア特性および4分の1ピッチ長さなどのレンズ変数を決定してもよい。
【0053】
次に、GRINファイバレンズは、4分の1ピッチに比べて適切な長さに劈開またはテーパ切断され、光軸に対して適切な斜角を有するように、レーザマイクロマシニングされてもよい。次に、このように形成されたGRINファイバレンズ24の端部は、必要に応じて研磨されてもよい。斜面の角度などのGRINファイバレンズ24の変数は、必要な作動距離およびピグテールファイバ22のモードフィールドおよび最終的なモードフィールド形状の要件に基づいて設計されてもよい。スペーサロッドはまた、上述したように、所望または必要に応じて、本発明のビーム曲げ装置20のGRINファイバレンズ24と反射面26との間に位置決めされてもよい。このような場合には、上述したように、スペーサロッド44は劈開またはテーパ切断されてもよく、GRINファイバレンズ24から遠いスペーサロッド44の端部が上述したように、GRINファイバレンズ上ではなく、スペーサロッド上に所望の傾斜付き反射面に達するようにさらに処理されてもよい。
【0054】
また、異なる用途のためにGRINファイバレンズ24およびピグテールファイバ22のコアまたは外径、サイズ、形状および屈折率差を変更することができるように、種々の設計において実現することも可能である。たとえば、GRINファイバレンズの外径を変化するサイズのビームに適合するように、ピグテールファイバと同一であるか、ピグテールファイバより小さいか、または大きいようにすることも可能である。GRINファイバレンズ、ピグテールファイバおよび任意のスペーサロッドの形状は、四角形または矩形などの非円筒形であってもよく、または製造しやすさおよびピグテールファイバの偏光軸との位置合せを容易にするために、溝または他の方法で印付けされてもよい。平たい側面または印付けをピグテールファイバの偏光軸と位置合せすることによって、適切な偏光軸によってレーザダイオードまたは他の光学部品に対する結合などの別の処理が簡略化される。
【0055】
本発明によるビーム曲げ装置20に組込まれる具体的な光学アセンブリが、図7A〜図7Cに示されている。図7Aおよび図7Bに示される光学アセンブリ54は、基板56と、レーザダイオードまたは他の発光体など(これらに限定されるわけではない)の光信号源58とを有する。光信号源58は基板56上に支持されることが好ましく、本発明によるビーム曲げ装置20はまた、GRINファイバレンズ24が光源58と通信を行うことができるように基板56上に位置決めされることが好ましい。図7Bに明確に示されるように、光源58は、GRINファイバレンズ24の側壁に形成される双円錐面34を通過する光信号60を発する。その後、光信号60は、光信号60がGRINファイバレンズ24およびピグテールファイバ22の光軸に沿って再方向付けされるように、反射面26によって画定される媒体のガラス境界面(一般に空気/ガラス境界面)で反射される。好ましい実施形態において、光信号60のモードフィールドはまた、低損失でピグテールファイバ22に変換される光信号60を結合するために、光信号源58から発せられる楕円形のモードフィールドから実質的に円対称のモードフィールドに変換されることが好ましい。
【0056】
図7Aおよび図7Bに示される構成に関する特定の利点は、環境効果に対するその許容差である。光信号源58とGRINファイバレンズ24との間の位置合せの許容差は光信号源58の発光体に対するGRINファイバレンズ24の向きのために広いため、温度、湿度などの変化などの環境条件はアセンブリ54の動作および機能性にほとんど影響を及ぼさない。
【0057】
アセンブリ62の別の代替実施形態が、図7Cに示される。この実施形態は、図7Aおよび図7Bに示されるアセンブリ54と類似であるが、光信号60をGRINファイバレンズ24に反射するために、シリコンオプティカルベンチまたは他の基板を利用する。この構成は、シリコン基板56にエッチングまたは他の方法で形成される<111>ファセット64およびビーム曲げ装置20を支持するためにエッチングまたは他の方法によって製造されたV字型溝55を有するシリコンオプティカルベンチと共に用いるのに特によく適している。好ましい実施形態において、<111>ファセット64は、約55°の角度で配置される。一般的に言えば、反射面26は、<111>ファセットに適合する(平行である)ように斜面が形成され、図7Cに示されるアセンブリ62の位置合せおよび作成をより複雑でないようにする。
【0058】
図面には示されていないが、波面ができる限り似るように整合することも重要である。そうしないと、収差を生じる恐れがある。これは結合効率に肯定的または否定的に干渉した結果である。これまで、当業者は、ガラス自体の化学特性を実際に変更することによって、レンズ、たとえばGRINファイバレンズの屈折率分布などのGRINファイバレンズの特性を調整してきた。これは、きわめて時間がかかり、モードフィールド結合アセンブリを効率的に製造することは困難である。本発明によれば、GRINファイバレンズのサイズおよび形状、スペーサロッドの使用は、光学像に対する何らかのレンズ効果、スペーサロッドのサイズおよび数、GRINファイバレンズの数、本発明によるレンズを画定する外部曲面34、35の形状の独立制御(X平面およびY平面)をまったく加えなくても、光信号像を移動するように作用し、当業者は、モードフィールド結合アセンブリの大量生産に関して現実的かつ効率的であり、コスト効率もよい態様で、容易かつ効率的にこれらの波面に実質的に適合させることができる。さらに、上述の図には示されていないが、上述の原理は、光信号がピグテールファイバ、次に用いられるスペーサロッド、GRINファイバレンズを介して指向され、次にSOAまたは他の検出器/フォトダイオード(これらに限定されるわけではない)などの光導波路デバイスに結合するために、反射面によって再方向付けされた後、GRINファイバレンズ(またはスペーサロッド)の外部曲面34、35を通過することが好ましい本発明の光学アセンブリの実施形態にも等しく適用可能である。
【実施例】
【0059】
ここで、本発明の上述の実施形態によるオフラインまたは非インラインビーム曲げ装置および光学アセンブリの実施例について記載する。
【0060】
ボールレンズ65を有し、双円錐曲面67および傾斜付き反射面26を有する具体的なオフラインビーム曲げ装置80が、後述の変数を参照して図8に概略的に示される。具体的なマルチレンズ装置は、光信号の源82を有している。この場合には動作波長「wav」、wx0(μm)のx方向(垂直方向)におけるモードフィールド径(MFD)、wy0(μm)のy方向におけるMFDの信号を発することができるレーザダイオードである。源82からのビームは、半径方向に一定の屈折率分布を有し、長さ(Lc)および屈折率(nc)を有するスペーサロッド42上に形成される曲率半径がx方向において(RLx)(μm)、y方向において(RLy)(μm)の曲面67に達するまでの距離(z)では、屈折率(n1)の媒体(通常は空気)を伝搬する。円筒形のバイコニックレンズの前の光信号のMFDはwx1、wy1であり、ビームの波面の曲率半径はrx1、ry1である。光信号は、バイコニックレンズによって、それぞれwx2、wy2のMFD、rx2、ry2の波面の曲率半径を有するビームに変換される。薄いレンズの場合には、wx1=wx2、wy1=wy2であるが、rx2、ry2は一般にrx1、ry1と同一ではない。次に、ビームは、長さLcおよび屈折率ncのスペーサロッド42の部分を通って伝搬する。スペーサロッド42の長さLcは、傾斜付き反射面26(Lc1)の前のスペーサロッドの長さおよび傾斜付き反射面26からRINファイバレンズ24まで延在するスペーサロッド42の長さを含む。示された実施形態において、傾斜付き反射面26は、光信号を90°曲げると想定される。この伝搬後のビーム特性は、wx3、wy3、rx3、ry3である。これらの特性を有するビームは、光信号Lg、平均屈折率ng、屈折率の差=Δおよびコア半径(a)の特性を備えたGRINファイバレンズ24に達する。GRINファイバレンズ24を伝搬した後、ビーム特性は、wx4、wy4、rx4、ry4である。設計の目的は、wx4=wy4=wsmfをなすことである。尚、(wsmf)は、標準的なシングルモードピグテールファイバ22の円形のMFDである。別の目的は、ピグテールファイバへの結合効率を最大にするために、rx4、ry4を可能な限り平坦な波面に近づけることである。この目的は、任意の所与の源82およびピグテールファイバ22に関して、曲面67、ボールレンズ65、スペーサロッド42のZ、Rx、Ry、Lcなどの設計変数、Lg、Δ、(a)などのGRINファイバレンズ24の特性を修正することによって、実現されてもよい。結合効率を妥協することなく、手頃な許容差および実際的な実装要件を実現する場合には、Zを相当大きくすることも目的である。
【0061】
ビーム変換は、参照によって本願明細書に引用される参考文献において開示されたように、複素ビーム変数qに関してABCD行列手法を用いて、またはビーム伝搬技術を用いて、ガウスビームに関して算出できる。設計は、任意の所望のzに関する最適な結合効率のほか、源82およびピグテールファイバ22の特性に関して、最適化されることが好ましい。材料特性n1、nc、ng、nsをある程度変更することができるが、実際の材料を考慮すると、これらの値は制限される。たとえば、n1は一般に1(空気)に等しく、ncは値が〜1.45μm、1.3〜1.55μmの波長範囲に近い主にシリカまたはドープシリカである。ng、nsmfに関しても同様である。
【0062】
複素ビーム変数qは、以下のように画定される。
【0063】
(1/q)=(1/r)−i(wav/(π2*n)
式中、rは波面の曲率半径であり、wはガウスビームのモードフィールド半径であり、wavは光の波長である。
【0064】
入射面84から出射面86までのqの変数変換は、
q2=(Aq1+B)/(Cq1+D)
によって与えられる。式中、A、B、C、Dはそれぞれ、入射面84および出射面86の光線変数に関連する光線行列の要素である。
【0065】
1)長さ
【数1】

【0066】
の自由空間伝搬に関するABCD行列
2)屈折率n1〜n(長さなし)の媒体までに進む
【数2】

【0067】
の場合
3)曲率半径
【数3】

【0068】
のレンズの場合
4)n’(r)=n(1−g2*0.5のGRINファイバレンズおよび長さ
【数4】

【0069】
およびg=((2Δ)0.5)/aの場合
特定の位置におけるレンズの幾何構成、設計変数およびMFD変数
平面83:源82の出力:wav、wx0、wy0:源82の波長およびx方向およびy方向のモードフィールド
平面84:材料屈折率(n1)のZを伝搬するが、バイコニックレンズの前
wx1、wy1:平面84におけるビームのモードフィールド径
rx1、ry1:波面の曲率半径
平面86:材料屈折率ncを有する半径Rx,Ryのバイコニックレンズの直後
wx2、wy2
rx2、ry2
平面88:長さLcおよび屈折率ncのスペーサロッドにおいて伝搬し、GRINファイバレンズ24の直前
wx3、wy3
rx3、ry3
平面90:長さLg、平均屈折率ng、屈折率の差=Δ、コア半径=aのGRINファイバレンズ24を伝搬した後、ピグテールファイバの直前
wx4、wy4
rx4、ry4
オフラインビーム曲げ装置に関する特殊な例
上述の手法を用いて、レーザダイオード結合用途の場合のビーム曲げ装置の設計変数を算出し最適化してもよい。作動距離の関数として行われた結合効率の計算が、図9に示されている。この曲線に基づき、この設計に関する最適作動距離は約50.0μmであり、実際の実装および位置合せ要件に関する合理的な値である。レーザダイオード特性および他の設計変数は、以下に列挙される。
【0070】
レーザダイオード特性:波長:0.98μm
X方向におけるモードフィールド半径w0x:0.9μm
Y方向におけるモードファイルド半径w0y:3.6μm
他の設計変数
バイコニックレンズのX方向の曲率半径RLx:25μm
スペーサロッドの長さLc:40.0
GRINファイバの長さLg:1170μm
GRINファイバの屈折率の差Δ:0.01
GRINファイバのコア半径a:62.5
シングルモードピグテールファイバのモードフィールド:5.2μm
実施例は、例示の目的のためにのみ与えられており、用途に基づいて変化する。上記の実施例は、以下の参考文献を参照すればより明確に理解されると思われる。W・L・エムケー(W.L.Emkey)およびC・ジャック(C.Jack)著、JLT−5、1987年9月、p.1156〜1164;H・コーゲルニック(H.Kogelnik)著、Applied Optics、1965年12月4日、p.1562;R・キシモト(R.Kishimoto)およびM・コヤマ(M.Koyama)著、「Transactions on Microwave Theory and Applications」、IEEE MTT−30、1982年6月、p.882;B・E・A・サラ(B.E.A.Saleh)およびM・C・タイヒ(M.C.Teich)著、「Photonics」、John Wiley & Sons,Inc.、1991。それぞれ本願明細書に参照によって包含されるものとする。
【0071】
本発明は詳細に説明されているが、関連当業者には、本発明の精神を逸脱することなく、本発明を修正することができることは明白であることは明確に理解されたい。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明に対して形態、設計または構成に関する種々の変更を行うことができる。たとえば、GRINファイバレンズ24は、その屈折率分布が上述したように、半径方向ではなく長手方向に変化するように製造されてもよい。さらに、当業者は、本発明のビーム曲げ装置20の種々の部品/要素は、ビーム曲げ装置20の種々の要素が軟化点および熱膨張係数など(これらに限定されるわけではない)の特性に対して互換性があるという条件であれば、同一の材料から製造される必要はないことを認識されたい。したがって、上述の記述は、限定するものではなく、具体的なものとして考えるべきであり、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲において画定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号のモードフィールドを変更するための装置であって、当該装置が、
双円錐面を有するレンズを有してなるGRINファイバレンズと、
前記GRINファイバレンズの一端にあって、その少なくとも一部に形成された反射面と、
を有してなるもので、
前記反射面は、前記GRINファイバレンズと協働して、前記反射面に対して向けられた光信号の経路を再方向付けするように構成されるものであることを特徴とする装置。
【請求項2】
光ファイバをさらに有し、前記反射面から遠い前記GRINファイバレンズの端部が前記光ファイバに固着されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記反射面が曲面を有し、前記曲面が前記GRINファイバレンズの長手方向の軸に対して一定の角度で傾斜させられていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記反射面が傾斜面を含むことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記GRINファイバレンズが前記反射面に対して位置決めされる曲面を有し、前記装置に入射または前記装置から出射する光信号と通信を行うことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記装置は光軸を画定し、前記曲面は互いに対してほぼ直角に配置される2つの異なる曲線、大曲線Cおよび小曲線Cによって画定され、前記曲線CおよびCは前記光軸またはその付近で交差することを特徴とする、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記GRINファイバレンズが前記反射面に対して位置決めされる平面を有し、前記装置に入射または前記装置から出射する光信号を送受信することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記反射面が斜面を有し、前記斜面が前記GRINファイバレンズの前記端部に形成されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記GRINファイバレンズが複数のGRINファイバレンズを有し、前記マルチレンズ装置がそれぞれ半径方向に一定の屈折率を有する1つ以上のスペーサロッドをさらに有し、前記1つ以上のスペーサロッドが、1つ以上の光ファイバと前記複数のGRINファイバレンズとの間に位置決めされることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項10】
前記反射面が、斜面および前記斜面上に形成される反射非球面を有することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項11】
光学部品と、
前記光学部品を支持するように構成される基板と、
前記光学部品との間を通過する光信号のモードフィールドを変更するように前記基板上に前記光学部品に対して位置決めされる装置であって、双円錐面を有するレンズを有してなるGRINファイバレンズと、前記GRINファイバレンズの一端にあって、その少なくとも一部に形成された反射面とを有し、該反射面は、前記GRINファイバレンズと協働して、前記反射面に対して向けられた光信号の経路を再方向付けするように構成されるものとを有してなる光学アセンブリ。

【図1A】
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【図1A−1】
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【図1B】
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【図1B−1】
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【図1C】
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【図1C−1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−123493(P2011−123493A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276057(P2010−276057)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【分割の表示】特願2003−575158(P2003−575158)の分割
【原出願日】平成15年2月27日(2003.2.27)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】