説明

ピペリジン誘導体およびその使用方法

本発明は、式(I)の化合物、前記化合物を含む組成物、および患者における疼痛、糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常(IGT)または空腹時糖異常(IFG)を治療または予防するために前記化合物を使用する方法に関する。別の態様において、本発明では、患者における疼痛、糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常または空腹時糖異常を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ピペリジン誘導体、ピペリジン誘導体を含む組成物、および患者における疼痛、糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常(IGT)または空腹時糖異常(IFG)を治療または予防するためにピペリジン誘導体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
糖尿病は、多数の原因因子に由来する疾患過程をいい、空腹時のまたは経口ブドウ糖負荷試験の間のグルコースの投与後の血漿グルコース濃度の上昇、または高血糖を特徴とする。持続性または制御されない高血糖は、増加した、および早発の罹患率および致死率に関連している。異常なグルコース恒常性は、脂質、リポタンパク質、およびアポリポタンパク質の代謝の変化ならびに他の代謝および血液動態の疾患を伴う。したがって、糖尿病患者は、冠動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害、および網膜症を含む、大血管および微小血管の合併症の危険性が増加している。したがって、グルコース恒常性、脂質代謝および高血圧の治療的制御は、臨床管理および糖尿病の治療に非常に重要である。
【0003】
糖尿病には、一般に2つの型が認められている。1型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんどまたはまったく産生しない。2型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)においては、患者はしばしば、非糖尿病者と比較して同じまたはより上昇した血漿インスリン濃度を有しているが、これらの患者は、主要なインスリン−感受性組織(筋肉、肝臓および脂肪組織)でのグルコースおよび脂質代謝に対するインスリン刺激効果に対する抵抗性を生じており、血漿インスリン濃度は、上昇しているが、顕著なインスリン抵抗性を克服するには不十分である。
【0004】
インスリン抵抗性は、インスリン受容体数の減少に関連せず、むしろよく理解されていないインスリン受容体結合後の欠陥に関連している。インスリン応答性に対するこの抵抗性は、筋肉におけるグルコース摂取、酸化および貯蔵の不十分なインスリン活性化、ならびに脂肪組織における脂肪分解および肝臓におけるグルコース産生と分泌の不適切なインスリン抑制をもたらす。
【0005】
2型糖尿病の利用可能な治療は、長年、実質的に変化がなく、限界が認められている。運動およびカロリーの食物摂取の減少が糖尿病状態を劇的に改善し得る一方、この治療のコンプライアンスは、十分に定着した座りがちな生活様式および過剰な食物消費、特に、多量の飽和脂肪酸を含む食物のために非常に悪い。膵臓の[ベータ]−細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えば、トルブタミドおよびグリピジド)またはメグリチニドの投与によって、および/またはスルホニル尿素またはメグリチニドが有効でなくなる場合のインスリン注射によってインスリンの血漿濃度を増加させると、きわめてインスリン抵抗性の組織を刺激するのに十分なインスリン濃度を生じ得る。しかし、危険なまでに低い血漿グルコース濃度がインスリンまたはインスリン分泌促進物質(スルホニル尿素またはメグリチニド)の投与から生じる可能性があり、さらにより高い血漿インスリン濃度によるインスリン抵抗性のレベル増加が起こり得る。ビグアニドは、インスリン感受性を増加させ得る薬剤の別のクラスであり、ある程度の高血糖の改善をもたらす。しかし、これらの薬剤は、乳酸アシドーシス、嘔吐および下痢を誘発し得る。
【0006】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の治療に有用であることが証明された別のクラスの化合物である。これらの薬剤は、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓および脂肪組織のインスリン感受性を増加させ、低血糖を起こさずに上昇した血漿グルコース濃度の部分的または完全な改善をもたらす。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)、主にPPAR−ガンマのサブタイプのアゴニストである。PPAR−ガンマアゴニズムは一般に、グリタゾンに関して観察される改善されたインスリン感受性に関与していると考えられている。2型糖尿病の治療のために試験されているより新しいPPARアゴニストは、アルファ、ガンマもしくはデルタサブタイプ、またはそれらの組合せのアゴニストであり、多くの場合、グリタゾンと化学的に異なる(すなわち、それらはチアゾリジンジオンではない)。重症な副作用(例えば、肝臓毒性)が、トログリタゾンなどのグリタゾン薬で治療された一部の患者に認められている。
【0007】
この疾患を治療するさらなる方法が現在開発中である。新規な生化学的手法には、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)およびタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤での治療が含まれる。
【0008】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)酵素の阻害剤である化合物も、糖尿病、および特に2型糖尿病の治療に有用であり得る薬剤として開発中である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
糖尿病の治療に関する拡大する一連の知識にもかかわらず、当該分野において糖尿病および関連の代謝性疾患の治療に有用である増大した安全プロファイルおよび/または改善された有効性を有する小分子薬剤に対する要求が依然として存在する。本発明はこの要求に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
一態様において、本発明では、式(I):
【0011】
【化1】

の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグが提供され、式中:
は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキル、シクロアルキルまたはアルキルアリールであり、これらのそれぞれは、1から4個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−S(O)N(R20および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得るか、あるいはRおよびXは一緒になって、
【0012】
【化2】

を形成し;
Xは、−C(O)−、−C(NOR)−、−C(NNR)−、
【0013】
【化3】

であり;
は、5または6員のヘテロアリール基であり、ここで、6員のヘテロアリール基は、1または2個の窒素環原子を含み、残りの環原子は炭素であり、5員のヘテロアリール基は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1または2個のヘテロ環原子を含み、残りの環原子は炭素であり;ここで、5または6員のヘテロアリール基は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、アルキル、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−CHNR、−(N)C(NRおよび−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ハロアルキル、−CHCF、−(CH−C(O)N(R、−(CH−C(O)ORまたは−(CH−C(O)R30であり、ここで、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクロアルキル基、またはアリールアルキル基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−OCF、ハロアルキル、−CN、−N(R45、−CO45および−C(O)N(R45から独立して選択される)で場合によって置換され得;
のそれぞれの存在は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、ここで、アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、ハロアルキル、−OCF、−OH、−N(R45、−CO45、−C(O)N(R45および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、−C(O)R、−C(O)または−C(O)N(Rであるか、あるいはRおよびRはそれらが両方結合している窒素原子と一緒になって、連結して、5または6員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
は、アルキル、アリール、アルキルアリール、ハロ、−OH、−O−(C〜Cアルキル)、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(Rまたは−CNであり;
12は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
13は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
20のそれぞれの存在は、独立して、−HまたはC〜Cアルキルであり;
30はヘテロシクロアルキルであり;
45のそれぞれの存在は、独立して、H、アルキル、アルキルアリール、またはアリールであり、ここで、アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロアルキル、−OH、ハロ、アルキル、−NO、および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
およびMは、それぞれ独立して、CH、CFまたはNであり;
Yは、−CH−、−C(O)−、−C(NOR20)−または−C(S)−であり;
Zはアルキレンであり;
aは、0、1または2であり;
bは、0、1または2であり;
cは、0、1または2であり;
eは、0から5の範囲の整数であり;
mは、1または2であり;
nは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、nは2または3であり;
pは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、pは2または3である。
【0014】
別の態様において、本発明では、患者における疼痛、糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常または空腹時糖異常(それぞれが「状態」である)を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0015】
さらなる態様において、本発明では、1種または複数の式(I)の化合物、さらなる治療薬、および薬学的に許容される担体を含む組成物であって、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬の量が一緒になって患者における状態を治療するのに有効である組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】STZ誘発2型糖尿病マウスの非空腹時グルコース濃度に対する化合物446およびロシグリタゾンの効果を示す図である。(■)で示される実線は、対照マウスを表し、(▼)で示される破線は、10mg/kg/日で化合物446を用いて処置されたマウスを表し、(▲)で示される実線は、5mg/kg/日でロシグリタゾンを用いて処置されたマウスを表す。x軸は、時間(週)を示し、y軸は非空腹時グルコース濃度(mg/dl)を示す。
【図2】STZ誘発2型糖尿病マウスのHbA1C濃度に対する化合物446およびロシグリタゾンの効果を示す図である。(■)で示される実線は、対照マウスを表し、(▼)で示される破線は、10mg/kg/日で化合物446を用いて処置されたマウスを表し、(▲)で示される実線は、5mg/kg/日でロシグリタゾンを用いて処置されたマウスを表す。x軸は、時間(週)を示し、y軸はグリコシル化タンパク質%としてのHbA1C濃度を示す。
【図3】糖尿病のラットモデルの血漿グルコース濃度に対する化合物446の効果を示す図である。左の棒は、未処置の対照ラットを表し、右の棒は、化合物446で処置されたラットを表す(食餌中10mg/kg/日、1週間の処置)。y軸は処置のための試験動物のグルコース濃度(mg/dl)のパーセント変化を表す。
【図4】糖尿病のラットモデルの血漿HbA1c濃度に対する化合物287の効果を示す図である。最も左の棒は未処置対照ラットを表し、中間の灰色棒は化合物287で処置されたラットを表し(食餌中68mg/kg/日、2週間の処置)、最も右の黒色棒は化合物287で処置されたラットを表す(食餌中68mg/kg/日、2週間の処置)。y軸は、処置による試験動物のHbA1c濃度(mg/dl)のパーセント変化を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
上に用いられるように、およびこの開示を通して、特に断らない限り、以下の用語は以下の意味を有するものと理解される。
【0018】
「患者」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。一実施形態において、患者はヒトである。別の実施形態において、患者は、サル、イヌ、ヒヒ、アカゲザル、マウス、ラット、ウマ、ネコまたはウサギを含むがこれらに限定されない、非ヒト哺乳動物である。別の実施形態において、患者は、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマまたはフェレットを含むがこれらに限定されない、コンパニオンアニマルである。一実施形態において、患者はイヌである。別の実施形態において、患者はネコである。
【0019】
本明細書で用いられるような「肥満症」という用語は、太りすぎであり、25またはそれを超える体重指数(BMI)を有している患者を指す。一実施形態において、肥満患者は、25またはそれを超えるBMIを有する。別の実施形態において、肥満患者は、25から30のBMIを有する。別の実施形態において、肥満患者は30を超えるBMIを有する。さらに別の実施形態において、肥満患者は40を超えるBMIを有する。
【0020】
本明細書で用いられるような「耐糖能異常」という用語は、75g−経口ブドウ糖負荷試験を用いて測定して、1dL当たり140から199mg(7.8から11.0ミリモル)の2時間グルコース濃度として定義される。患者は、濃度が2型糖尿病の条件を満たしたより低い、2時間後の中間的に上昇したグルコース濃度を有する場合、耐糖能異常の状態下にあるといわれる。
【0021】
本明細書で用いられるような「空腹時糖異常」という用語は、100から125mg/dLの空腹時血漿グルコース濃度と定義され;正常な空腹時グルコース値は、1dL当たり100mg未満である。
【0022】
本明細書で用いられるような「有効量」という用語は、状態に罹っている患者に投与された場合、所望の治療、軽減、抑制または予防効果を生じるのに有効である、式(I)の化合物および/またはさらなる治療薬、あるいはその組成物の量を指す。本発明の併用療法において、有効量は、それぞれの個々の薬剤、または全体としての組合せに言及し得、ここで、投与されるすべての薬剤の量は一緒になって有効であるが、その組合せの成分薬剤は個々に有効量で存在していなくてもよい。
【0023】
本明細書で用いられるような「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であってもよく、約1から約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。一実施形態において、アルキル基は約1から約12個の炭素原子を含む。別の実施形態において、アルキル基は、約1から約6個の炭素原子を含む。アルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよびネオヘキシルが含まれる。アルキル基は、非置換であっても、または同じであっても異なっていてもよい1個もしくは複数の置換基で場合によって置換されていてもよく、それぞれの置換基はハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、−OH、−O−アルキル、−アルキレン−O−アルキル、アルキルチオ、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(O)OHおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立して選択される。一実施形態において、アルキル基は非置換である。別の実施形態において、アルキル基は直鎖である。別の実施形態において、アルキル基は分枝鎖である。
【0024】
本明細書で用いられるような「アルキレン」という用語は、アルキル基の水素原子の1個が結合で置き換えられた、上に定義されたとおりのアルキル基を指す。アルキレン基の非限定的な例には、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−および−CHCH(CH)CH−が含まれる。一実施形態において、アルキレン基は、1から約6個の炭素原子を有する。別の実施形態において、アルキレン基は分枝鎖である。別の実施形態において、アルキレン基は直鎖である。
【0025】
本明細書で用いられるような「アリール」という用語は、約6から約14個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を指す。一実施形態において、アリール基は約6から約10個の炭素原子を含む。アリール基は、同じであっても異なってもよく、以下に本明細書で定義されたとおりの1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。具体的なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。一実施形態において、アリール基は非置換である。別の実施形態において、アリール基はフェニルである。
【0026】
本明細書で用いられるような「アルキルアリール」という用語は、アルキルアリール基がそのアリール部分を介して分子の残りに結合している、上に定義されたとおりのアルキル基に結合した上に定義されたとおりのアリール基を指す。
【0027】
本明細書で用いられるような「アリールアルキル」という用語は、アリールアルキル基がそのアルキル部分を介して分子の残りに結合している、上に定義されたとおりのアルキル基に結合した上に定義されたとおりのアリール基を指す。一実施形態において、アリールアルキル基はベンジル基である。
【0028】
本明細書で用いられるような「シクロアルキル」という用語は、約3から約10個の環炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式炭素環式環系を指す。一実施形態において、シクロアルキルは約5から約10個の環炭素原子を含む。別の実施形態において、シクロアルキルは約5から約7個の環原子を含む。具体的な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれる。具体的な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニルおよびアダマンチルが含まれる。シクロアルキル基は、同じであっても異なってもよく、以下に本明細書で定義されるとおりである1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。一実施形態において、シクロアルキル基は非置換である。
【0029】
本明細書で用いられるような「ハロ」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指す。
【0030】
本明細書で用いられるような「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の1個または複数が、−F、−Cl、−Brまたは−Iで独立して置き換えられた、上に定義されたとおりのアルキル基を指す。ハロアルキル基の非限定的な具体例には、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、−CHCHF、−CCl、−CHCl、−CHCl、および−CHCHClが含まれる。
【0031】
本明細書で用いられるような「ヘテロアリール」という用語は、環原子の1から4個が独立してO、NまたはSであり、環原子の残りが炭素原子である、約5から約14個の環原子を含む芳香族単環式または多環式環系を指す。一実施形態において、ヘテロアリール基は5から10個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリール基は単環式であり、5または6個の環原子を有する。ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよく、以下に本明細書で定義されるとおりである1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。ヘテロアリール基は環炭素原子または環窒素原子を介して結合され得、ヘテロアリール基の任意の環窒素原子は、対応するN−オキシドへと場合によって酸化され得る。「ヘテロアリール」という用語はまた、ベンゼン環に縮合した、上に定義されたとおりのヘテロアリール基も包含する。具体的なヘテロアリール基の非限定的な例には、ピリジル(例えば、2−、3−、または4−ピリジル)、ピリジルN−オキシド(例えば、2−、3−、または4−ピリジルN−オキシド)、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが含まれる。「ヘテロアリール」という用語は、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分的飽和ヘテロアリール部分も指す。一実施形態において、ヘテロアリールは5から7個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは5または6個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは5個の環原子を有する。さらに別の実施形態において、ヘテロアリールは6個の環原子を有する。
【0032】
本明細書で用いられるような「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環原子の1から4個が独立してO、SまたはNであり、環原子の残りが炭素原子である、3から約10個の環原子を含む非芳香族の飽和単環式または多環式環系を指す。一実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は約5から約10個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は5または6個の環原子を有する。環系に存在する隣接した酸素および/または硫黄原子はない。ヘテロシクロアルキル環の任意の−NH基は、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基などとして保護されて存在し得;このような保護ヘテロシクロアルキル基は、本発明の一部と考えられる。ヘテロシクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、以下に本明細書で定義されるとおりである1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと場合によって酸化され得る。具体的な単環式ヘテロシクロアルキル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが含まれる。ヘテロシクロアルキル基の環炭素原子は、カルボニル基として官能化され得る。このようなヘテロシクロアルキル基の具体例は、ピロリドニル:
【0033】
【化4】

である。
【0034】
環内に存在する場合、符号
【0035】
【化5】

は、環の非縮合炭素原子の1個が窒素原子で置き換えられていることを示す。例えば、構造:
【0036】
【化6】

において、6員環内の符号
【0037】
【化7】

の存在は、6員環の4つの非縮合位置の1つ、すなわち、窒素原子が以下:
【0038】
【化8】

に示される位置1、2、3または4に位置していることを示す。
【0039】
「置換された」という用語は、存在する状態下での指定された原子の通常の原子価を超えず、かつ置換が安定な化合物をもたらすことを条件に、指定された原子上の1個または複数の水素が、示された群からの選択で置き換えられることを意味する。置換基および/または可変要素の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度への単離、および有効な治療薬中への配合に耐えるのに十分に強固である化合物を意味する。
【0040】
本明細書で用いられるような「環系置換基」という用語は、例えば、環系上の利用可能な水素を置き換える、芳香族または非芳香族の環系に結合した置換基を指す。環系置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、−OH、ヒドロキシアルキル、−O−アルキル、−アルキレン−O−アルキル、−O−アリール、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールアルキルチオ、ヘテロアリールアルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から独立して選択され、ここで、YおよびYは同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアリールアルキルからなる群から独立して選択される。「環系置換基」はまた、環系上の2つの隣接した炭素原子上の2つの利用可能な水素(それぞれの炭素上に1個のH)を同時に置き換える単一部分も意味することができる。このような部分の例は、例えば、
【0041】
【化9】

などの部分を形成するメチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などである。
【0042】
本明細書における文章、スキーム、実施例および表中の不飽和の原子価を有する任意の原子は、その原子価を充足させるのに十分な数の水素原子を有すると考えられる。
【0043】
患者における状態の治療または予防に関連して本明細書で用いられるような「1種または複数の式(I)の化合物」という用語は、少なくとも1種の式(I)の化合物がその患者に投与されることを意味する。一実施形態において、「1種または複数」という表現は、1種の式(I)の化合物を指す。別の実施形態において、「1種または複数」という表現は、2種の式(I)の化合物を指す。
【0044】
本明細書で用いられるような「コキシブ」という用語は、COX−2酵素の阻害剤である薬剤を指す。コキシブは、COX−1酵素およびCOX−2酵素の両方を阻害し得るか、またはCOX−2酵素を選択的に阻害し得る。
【0045】
化合物における官能基が「保護された」と称される場合、これは、化合物が反応下にあるときに、その基が、保護された部位で望まれない副反応を妨げるように改変された形態であることを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991年)、Wiley、New Yorkなどの標準的な教科書を参照することによって認識される。
【0046】
任意の可変要素(例えば、アリール、ヘテロ環、Rなど)が任意の成分または式(I)において2回以上現れる場合、それぞれの出現におけるその定義は、他のすべての出現におけるその定義から独立している。
【0047】
本明細書で用いられるように、「組成物」という用語は、特定の量で特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組合せから直接または間接に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0048】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も本明細書において企図される。プロドラッグの検討は、T.Higuchi およびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987年)、the A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、ならびにBioreversible Carriers in Drug Design、(1987年)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressにおいて提供されている。「プロドラッグ」という用語は、インビボで変換されて、式(I)の化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬剤前駆体)を意味する。変換は、例えば、血中の加水分解によってなどの様々な機構によって(例えば、代謝過程または化学的過程によって)起こり得る。プロドラッグの使用の検討は、T.HiguchiおよびW.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、the A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、ならびにBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において提供されている。
【0049】
例えば、式(I)の化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、その酸基の水素原子の、例えば、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルカノイルオキシメチル、4から9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)エチル、3から6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C〜C)アルキルなどの基での置換によって形成されるエステルを含み得る。
【0050】
同様に、式(I)の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、そのアルコール基の水素原子の、例えば、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、それぞれのα−アミノアシル基は、天然に存在するL−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C〜C)アルキル)またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態の−OH基の除去から生じる遊離基)から独立して選択される)などの基での置換によって形成され得る。
【0051】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、プロドラッグは、そのアミン基における水素原子の、例えば、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであるか、またはR−カルボニルは、天然のα−アミノアシルもしくは天然のα−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY(ここで、YはHである)、(C〜C)アルキルもしくはベンジル、−C(OY)Y(ここで、Yは(C〜C)アルキルであり、Yは(C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(ここで、YはHまたはメチルであり、Yはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イル、またはピロリジン−1−イルである)などの基での置換によって形成され得る。
【0052】
本発明の1種または複数の化合物は、非溶媒和形態、ならびに薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどとの溶媒和形態で存在し得、本発明は溶媒和および非溶媒和の両方の形態を包含することが意図される。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1種または複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む、)が含まれる。特定の場合には、溶媒和物は、例えば、1個以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に取り込まれている場合、単離することができる。「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。具体的な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが含まれる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0053】
本発明の1種または複数の化合物は、溶媒和物へと場合によって変換され得る。溶媒和物の調製は一般に知られている。したがって、例えば、M.Cairaら、J. Pharmaceutical Sci.、第93巻第3号、601〜611頁(2004年)には、酢酸エチルにおけるならびに水からの抗真菌剤フルコナゾールの溶媒和物の調製が記載されている。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製が、E.C.van Tonderら、AAPS PharmSciTech.、第5巻第1号、第12項(2004年);およびA.L.Binghamら、Chem. Commun.、603〜604頁(2001年)により記載されている。典型的な、非限定的な方法には、発明化合物を所望の溶媒(有機溶媒もしくは水またはそれらの混合物)の所望の量で周囲より高い温度で溶解させる工程、およびその溶液を結晶を形成させるために十分な速度で冷却し、次いで、標準法によって単離する工程が含まれる。例えば、I.R.分光法などの分析技術により溶媒和物(または水和物)としての結晶中の溶媒(または水)の存在が示される。
【0054】
式(I)の化合物は、これも本発明の範囲内にある塩を形成し得る。特に断りのない限り、本明細書における式(I)の化合物への言及にはその塩への言及が含まれることが理解される。本明細書で用いられるように、「塩」という用語は、無機酸および/または有機酸を用いて形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成される塩基性塩を意味する。さらに、式(I)の化合物が、塩基性部分、例えば、ピリジンまたはイミダゾール(ただし、これに限定されない)、および酸性部分、例えば、カルボン酸(ただし、これに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「分子内塩」)が形成され得、本明細書で用いられるような「塩」という用語の範囲内に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、非毒性の、生理学的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式(I)の化合物の塩は、例えば、式(I)の化合物を、酸または塩基のある量(例えば、等量)と、塩が沈殿するものなどの媒体中で、または水系媒体において反応させ、その後凍結乾燥させることによって形成され得る。
【0055】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られている)などが含まれる。さらに、塩基性の薬学的化合物由来の薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般に考えられている酸は、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use、(2002年)Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977年)第66巻第1号、1〜19頁;P.Gould、International J. of Pharmaceutics(1986年)第33巻、201〜217頁;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996年)、Academic Press、New Yorkによって、およびウェブサイト上のThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.)において検討されている。これらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0056】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)との塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リシン)との塩などが含まれる。塩基性窒素含有基は、薬剤、例えば、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ステアリル)、ハロゲン化アリールアルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)、およびその他のもので四級化され得る。
【0057】
このような酸性塩および塩基性塩はすべて、本発明の範囲内の薬学的に許容される塩であることが意図され、酸性塩および塩基性塩はすべて、本発明の目的のための対応する化合物の遊離の形態と同等であると考えられる。
【0058】
本化合物の薬学的に許容されるエステルには、以下の群が含まれる:(1)−OH基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル、ここで、そのエステル反応基のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖または分枝鎖のアルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、(例えば、ハロ、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシまたはアミノで)場合によって置換されたフェニル)から選択される;(2)スルホン酸エステル(例えば、アルキルまたはアリールアルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル));(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)モノ、ジまたはトリリン酸エステル。リン酸エステルは、例えば、C1〜20アルコールもしくはその反応性誘導体によって、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールによってさらにエステル化され得る。
【0059】
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、水和物、エステルおよびプロドラッグは、それらの互変異性形態で(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして、またはケト−エノール形態で)存在し得る。このような互変異性形態はすべて、同等と考えられ、本明細書において本発明の一部として企図される。
【0060】
ジアステレオマー混合物は、当業者に周知の方法によって、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって、それらの物理化学的な相違に基づいてそれらの個々のジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラル助剤、例えば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物との反応によってそのエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、そのジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純エナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することによって、分離され得る。また、式(I)の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部と考えられる。エナンチオマーはキラルHPLCカラムの使用によっても分離され得る。
【0061】
本化合物(その化合物の塩、溶媒和物、水和物、エステルおよびプロドラッグならびにプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルのそれらのものを含む)のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)、例えば、種々の置換基上の不斉炭素により存在し得るもの(エナンチオマー形態(不斉炭素の非存在下でも存在し得る)、ラセミ体、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含む)は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)と同様に、本発明の範囲内と企図される。(例えば、式(I)の化合物が二重結合または縮合環を組み込む場合、シスおよびトランス形態の両方、ならびに混合物は、本発明の範囲内に包含される。また、例えば、その化合物のケト−エノールおよびイミン−エナミン形態のすべては、本発明に含まれる)。
【0062】
本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてもよく、あるいは、例えば、ラセミ酸塩としてまたはすべての他の、もしくは他の選択された立体異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974勧告によって定義されたとおりのSまたはR立体配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などという用語の使用は、本発明化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ酸塩またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに同等に適用されることが意図される。
【0063】
本発明はまた、1個または複数の原子が通常天然に見いだされる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられることを別にすれば、本明細書で列挙されるものと同一である本発明の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。
【0064】
式(I)のある種の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(すなわち、H)および炭素14(すなわち、14C)同位体は、調製および検出能の容易さのために特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などの比較的重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じるある種の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増大または投薬要件の低減)を与えることができ、したがって、一部の状況において好ましいことがあり得る。式(I)の同位体標識化合物は一般に、非同位体標識出発物質または反応剤を適切な同位体標識出発物質または反応剤で置き換えることによって、式(I)の化合物を製造するために本明細書で開示されたものに類似の合成化学的手段を用いて調製され得る。
【0065】
式(I)の化合物の多形、ならびに式(I)の化合物の塩、溶媒和物、水和物、エステルおよびプロドラッグの多形は、本発明に含まれることが意図される。
【0066】
本発明の化合物は、ヒスタミンH受容体のためのリガンドであり得る。一実施形態において、式(I)の化合物は、H受容体のアンタゴニストである。
【0067】
以下の略語が本明細書で用いられ、以下の意味を有する:AcOHは酢酸である;t−BOCはt−ブチルオキシカルボニルである;Ci/mmolは、キューリー/ミリモル(比放射能の尺度)である;m−CPBAは、m−クロロペル安息香酸である;CSAはカンファースルホン酸である;CBZはカルボニルベンジルオキシ(−C(O)OCH)である;DBUは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンである;DBNは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンである;DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドである;Dibal−Hはジイソブチル水素化アルミニウムである;DIPEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである;DMAPは4−(ジメチルアミノ)ピリジンである;DECは2−ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩である;DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドである;EDClは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドである;EtOAcは酢酸エチルである;EtOHはエタノールである;FMOCは9−フルオレニルメトキシカルボニルである;HOBTは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである;HPLCは高性能液体クロマトグラフィーである;HRMSは高分解能質量分析である;Kiは基質/受容体複合体の阻害定数である;LAHは水素化アルミニウムリチウムである;LDAはリチウムジイソプロピルアミドである;LRMSは低分解能質量分析である;MeOHはメタノールである;NaBH(OAc)はナトリウムトリアセトキシボロヒドリドである;NaBHはナトリウムボロヒドリドである;NaBHCNはナトリウムシアノボロヒドリドである;NaHMDSはナトリウムヘキサメチルジシラジドである;pA2は、J.Hey、Eur. J.Pharmacol.、(1995年)、第294巻、329〜335頁で定義されたとおりの−logEC50である;PCCはクロロクロム酸ピリジニウムである;PyBOPはベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートである;TEMPOは2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、遊離ラジカルである;TFAはトリフルオロ酢酸である;TMADはN,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキサミドである;TMEDAはテトラメチルエチレンジアミンである;Trはトリフェニルメチルである;Trisはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである;およびp−TsOHはp−トルエンスルホン酸である。
【0068】
式(I)の化合物
本発明では、式:
【0069】
【化10】

を有する化合物ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの使用、ならびにそれらを含む組成物が提供され、式中、R、R、R12、R13、M、M、X、Y、Z、a、b、nおよびpは式(I)の化合物について上に定義されたとおりである。
【0070】
一実施形態において、Rは非置換のアリールである。
【0071】
別の実施形態において、Rは、ハロ、アルキルまたはハロアルキルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されているアリールである。
【0072】
別の実施形態において、Rはヘテロアリールである。
【0073】
さらに別の実施形態において、Rは、ハロ、アルキルまたはハロアルキルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されているヘテロアリールである。
【0074】
さらなる実施形態において、RはXと一緒になって
【0075】
【化11】

を形成する。
【0076】
一実施形態において、Rはフェニルである。
【0077】
別の実施形態において、Rは、−F、−Clまたは−CFから独立して選択される1〜3個の基で置換されたフェニルである。
【0078】
別の実施形態において、Rは分枝鎖アルキル基で置換されたフェニルである。
【0079】
さらに別の実施形態において、Rは直鎖アルキル基で置換されたフェニルである。
【0080】
さらに別の実施形態において、Rはハロアルキル基で置換されたフェニルである。
【0081】
一実施形態において、Rは5または6員のヘテロアリールである。
【0082】
別の実施形態において、Rは6員のヘテロアリール環である。
【0083】
別の実施形態において、Rは、ピリジル、チエニル、ピリミジニル、チアゾリルまたはピリジルN−オキシドである。
【0084】
一実施形態において、Rはピリジルである。
【0085】
さらに別の実施形態において、R
【0086】
【化12】

である。
【0087】
さらなる実施形態において、Rは、ハロ置換またはアルキル置換ヘテロアリール基で置換されたヘテロアリールである。
【0088】
一実施形態において、Rはハロピリジルまたはアルキルチアゾリルである。
【0089】
別の実施形態において、R
【0090】
【化13】

である。
【0091】
さらなる実施形態において、R
【0092】
【化14】

である。
【0093】
別の実施形態において、R
【0094】
【化15】

であり、式中、Rはフルオロであり、cは1である。
【0095】
一実施形態において、Xは−C(NOR)−である。
【0096】
別の実施形態において、Xは−C(NO(アルキル))−である。
【0097】
別の実施形態において、Xは−C(NOCH)−である。
【0098】
さらに別の実施形態において、Xは−C(O)−である。
【0099】
一実施形態において、MはCHである。
【0100】
別の実施形態において、MはNである。
【0101】
一実施形態において、MはCHである。
【0102】
別の実施形態において、MはCFである。
【0103】
別の実施形態において、MはNである。
【0104】
別の実施形態において、MおよびMはそれぞれCHである。
【0105】
さらに別の実施形態において、MおよびMはそれぞれNである。
【0106】
別の実施形態において、MはNであり、MはCHである。
【0107】
さらなる実施形態において、MはCHであり、MはNである。
【0108】
一実施形態において、nは2である。
【0109】
別の実施形態において、aは0または1である。
【0110】
別の実施形態において、aは0である。
【0111】
別の実施形態において、bは0または1である。
【0112】
さらに別の実施形態において、bは0である。
【0113】
さらに別の実施形態において、cは0または1である。
【0114】
別の実施形態において、cは0である。
【0115】
さらなる実施形態において、cは1であり、Rはフルオロである。
【0116】
一実施形態において、eは1〜5である。
【0117】
一実施形態において、Yは−C(O)−である。
【0118】
別の実施形態において、Yは−CH−である。
【0119】
別の実施形態において、Yは−C(S)−である。
【0120】
一実施形態において、pは2である。
【0121】
一実施形態において、ZはC〜Cアルキルである。
【0122】
別の実施形態において、Zは−CH−である。
【0123】
別の実施形態において、Zは−CH(CH)−である。
【0124】
一実施形態において、Rは6員のヘテロアリールである。
【0125】
別の実施形態において、Rはピリジルである。
【0126】
別の実施形態において、Rはピリミジニルである。
【0127】
別の実施形態において、Rは−NRで置換されたピリジルである。
【0128】
さらに別の実施形態において、Rは−NRで置換されたピリミジニルである。
【0129】
さらに別の実施形態において、Rは−NHで置換されたピリジルである。
【0130】
別の一実施形態において、Rは−NHで置換されたピリミジニルである。
【0131】
さらなる実施形態において、R
【0132】
【化16】

である。
【0133】
別の実施形態において、R
【0134】
【化17】

である。
【0135】
一実施形態において、RはHである。
【0136】
別の実施形態において、Rはアルキルである。
【0137】
別の実施形態において、Rはメチルである。
【0138】
一実施形態において、RはHである。
【0139】
別の実施形態において、Rは低級アルキルである。
【0140】
別の実施形態において、Rはメチルである。
【0141】
一実施形態において、RはHである。
【0142】
別の実施形態において、Rは低級アルキルである。
【0143】
別の実施形態において、Rは−C(O)Rである。
【0144】
さらに別の実施形態において、Rはメチルである。
【0145】
一実施形態において、R12はアルキルである。
【0146】
別の実施形態において、R12はハロである。
【0147】
別の実施形態において、R12は−OHである。
【0148】
さらに別の実施形態において、R12はHである。
【0149】
さらに別の実施形態において、R12は−Fである。
【0150】
一実施形態において、R13はアルキルである。
【0151】
別の実施形態において、R13はハロである。
【0152】
別の実施形態において、R13は−OHである。
【0153】
さらに別の実施形態において、R13はHである。
【0154】
さらに別の実施形態において、R13は−Fである。
【0155】
一実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia):
【0156】
【化18】

(式中、R、RおよびRは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりである)を有する。
【0157】
一実施形態において、Rはヘテロアリールである。
【0158】
別の実施形態において、Rはピリジルである。
【0159】
別の実施形態において、Rは2−ピリジルである。
【0160】
さらに別の実施形態において、R
【0161】
【化19】

である。
【0162】
一実施形態において、Rは6員のヘテロアリールである。
【0163】
別の実施形態において、R
【0164】
【化20】

である。
【0165】
別の実施形態において、RはHまたはアルキルである。
【0166】
別の実施形態において、Rはアルキルである。
【0167】
さらに別の実施形態において、Rはメチルである。
【0168】
別の実施形態において、Rはヘテロアリールであり、Rは6員のヘテロアリールである。
【0169】
別の実施形態において、Rはヘテロアリールであり、RはHまたはアルキルである。
【0170】
一実施形態において、Rは2−ピリジルまたは
【0171】
【化21】

であり、Rはアルキルである。
【0172】
別の実施形態において、R
【0173】
【化22】

であり、Rはアルキルである。
【0174】
さらなる実施形態において、Rは2−ピリジルまたは
【0175】
【化23】

であり、Rは6員のヘテロアリールであり、Rはアルキルである。
【0176】
さらに別の実施形態において、Rはヘテロアリールであり、R
【0177】
【化24】

であり、Rはアルキルである。
【0178】
さらなる実施形態において、Rは2−ピリジルまたは
【0179】
【化25】

であり、R
【0180】
【化26】

であり、Rはアルキルである。
【0181】
さらに別の実施形態において、Rは2−ピリジルまたは
【0182】
【化27】

であり、R
【0183】
【化28】

であり、Rはメチルである。
【0184】
式(I)の化合物の具体例は、以下の実施例において、および以下の表1、2および3において見いだされる。
【0185】
一実施形態において、式(I)の化合物は、化合物32またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0186】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、化合物54またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0187】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、化合物55またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0188】
さらに別の実施形態において、式(I)の化合物は、化合物253Aまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0189】
さらに別の実施形態において、式(I)の化合物は、化合物287またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0190】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、化合物320またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0191】
さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、化合物446またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである。
【0192】
一実施形態において、式(I)の化合物は、単離形態または精製形態である。
【0193】
別の実施形態において、式(I)の化合物について、可変要素R、R、R12、R13、M、M、X、Y、Z、a、b、nおよびpは互いに独立して選択される。
【0194】
式(I)の化合物を製造する方法
式(I)の化合物を製造するのに有用な方法は、以下の実施例において示され、スキーム1〜6において一般化される。
【0195】
スキーム1では、式8および式9の化合物を製造するのに有用な方法が示され、これは、式(I)の化合物を製造するための有用な中間体である。
【0196】
【化29】

式中、R、R12、Xおよびaは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりであり、PGは窒素保護基(例えば、BOC、CBz、FMOC、メチルまたはベンジル)であり、MはLi、MgCl、MgBrまたはMgIである。
【0197】
式2のグリニャール試薬は、式1のアルデヒドと反応させて、式3のヒドロキシ化合物をもたらし得、次いでこれは、酸化されて式8の化合物をもたらし得る。あるいは、式2のグリニャール試薬は、式4のニトリルと反応させて、これは、酸性後処理後に、式8の化合物を直接もたらし得る。別の代わりの手順において、式7のアミドは、式6の有機金属試薬と反応させて、式8の化合物を直接もたらし得る。次いで、式8の化合物のカルボニル基は、場合によってさらに合成されて、Xがカルボニル以外である化合物をもたらし得、その後、アミン保護基は除去されて式9の中間化合物をもたらし得る。
【0198】
スキーム2では、式12の化合物を製造するのに有用な方法が示され、これは式(I)の化合物を製造するための有用な中間体である:
【0199】
【化30】

式中、R、R12、R13、X、Y、aおよびbは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりであり、PGは、窒素保護基(例えば、BOC、CBz、FMOC、メチルまたはベンジル)である。
【0200】
式9のアミンは、有機合成の技術分野でよく知られているカップリング法を用いて、式10(ここで、R’は、−OH、−Clまたは−OC(O)−アルキルである)の化合物とカップリングさせて、式11の化合物をもたらし得る。次いで、式11の化合物のカルボニル基は、場合によってさらに合成されて、Yがカルボニル以外である化合物をもたらし得、その後アミン保護基は除去されて式12の中間化合物をもたらし得る。
【0201】
スキーム3では、式(I)の化合物に対応する式14の化合物を製造するのに有用な方法が示される。
【0202】
【化31】

式中、R、R、R12、R13、X、Y、Z、aおよびbは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりであり、Eは−C(O)−または脱離基、例えば、−Cl、−Br、−I、−O−メシル、−O−トシル、もしくは−O−トリフリルである。
【0203】
式12の化合物の遊離のピペリジン窒素原子は、式13の化合物を用いてアルキル化され、式14の中間化合物をもたらし得る。Eがカルボニル基である場合、形成されるイミンは
NaBH(OAc)などの還元剤を用いて還元されて、式14の化合物をもたらすはずであり、これは式(I)の化合物に対応し、式中、Zはメチレンである。あるいは、Eがハロ、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの離脱基である場合、化合物12および13を、三級アミン塩基の存在下に反応させて、式14の化合物を直接もたらし得る。
【0204】
スキーム4では、式16の化合物を製造するのに有用な方法が示され、これは式(I)の化合物に対応し、式中、Yはオキシムである。
【0205】
【化32】

式中、R、R、R、R12、R13、X、Z、aおよびbは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりである。
【0206】
化合物15(これは式14の化合物であり、式中、Yは−C(O)−である)は、ピリジンなどの塩基中でHNOR・HClと反応して、式16の化合物をもたらし得、これは式(I)の化合物に対応し、式中、Yはオキシムである。あるいは、式15の化合物は、NaOAcなどの塩基の存在下にアルコール溶媒中でHNOR・HClと反応して、式16の化合物をもたらし得る。
【0207】
式(I)の化合物の合成への代替手法には、2つの部分の分子の合成、その後のその2つの部分のカップリング、すなわち、
A+B → AB
C+D → CD
AB+CD → ABCD
が含まれる。
【0208】
この場合、AB部分(化合物9)の合成は、上に記載されたものと同じである。CD部分(化合物18)の合成は、下記にスキーム5において示される。
【0209】
【化33】

式中、R、R13およびbは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりであり;R35はメチルまたはエチルであり;Eは脱離基であり;MはLi、NaまたはKである。
【0210】
式17の化合物(化合物14の合成に関して上に記載された方法を用いて、式16の化合物と式13の化合物とを反応させることによって調製された)は、例えば、LiOHまたはNaOHなどのアルカリ金属塩基を用いて、例えば、(1)EtOHもしくはMeOHおよび水、または(2)THF、水、およびMeOHなどの混合溶媒中で鹸化して、式18の化合物をもたらし得る。次いで、式18の化合物は、上に記載されたとおりの式9の化合物と結合させて、式14の中間化合物をもたらし得る。次いで、この合成法の残りのステップは同じである。
【0211】
式(I)の化合物は、式(I)の化合物をもたらす任意の順序でのスキーム1〜5において上に示された方法を用いて製造され得ることが留意されるべきである。スキーム1〜4は、直線的様式での式(I)の化合物の合成を提示するが、上記方法がまた収束様式で用いられて本発明の化合物を製造し得ることが有機合成の当業者には明らかである。
【0212】
スキーム6では、式(I)の化合物を製造するのに有用な代わりの方法が示され、式中、Xは−C(=NOH)−または−C(=NO−アルキル)−である。
【0213】
【化34】

式中、R、Rは、式(I)の化合物について上に定義されたとおりであり、RはHまたはアルキルである。
【0214】
式iのブロモメチル化合物は、トリエチルアミンの存在下で反応を受けて、式iiのピペリジン化合物をもたらし得る。次いで、式iiの化合物のエステル部分は、例えば、LiOHなどのアルカリ金属水酸化物を用いて鹸化して、例えば、式iiiの金属カルボキシル化化合物をもたらし得る。
【0215】
別の反応順序において、式ivの化合物は、アルコキシルアミン塩酸塩と反応して、二塩酸塩として式vのオキシム化合物をもたらし得る。次いで、式vの化合物は、4−エチルモルホリンおよびプロパンホスホン酸無水物の存在下で式iiiの化合物と反応して、式viの化合物をもたらすことができ、これは式(I)の化合物に対応し、式中、XXは−C(=NOH)−または−C(=NO−アルキル)−である。
【実施例】
【0216】
以下の実施例は本発明の化合物の具体例を例証するものであり、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本発明の範囲内の代替の機構的経路および類似の構造は当業者に明らかであり得る。
【0217】
一般法
記載される化合物を調製するのに用いられる出発物質および反応剤は、Aldrich Chemical Co.(ウィスコンシン州、米国)およびAcros Organics Co.(ニュージャージー州、米国)などの商業的供給元から市販されているか、または有機合成の当業者によく知られている方法を用いて調製したかのいずれかである。商業的に購入した溶媒および反応剤はすべて、入手時に使用した。LCMS分析は、Shimadzu SCL−10A LCカラムを備えたApplied Biosystems API−100質量分析計:Altech platinum C18、3μm、33mm×7mmID;勾配流:0分、10%CHCN;5分、95%CHCN;7分、95%CHCN;7.5分、10%CHCN;9分、停止、を用いて行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Selecto Scientific flash silica gel、32〜63メッシュを用いて行った。分析および分取TLCは、Analtech Silicaゲル GFプレートを用いて行った。キラルHPLCは、Chiralpak ODカラムを備えたVarian PrepStarシステム(Chiral Technologies)を用いて行った。
【0218】
(実施例1)
中間化合物5Aの合成
ステップ1
【0219】
【化35】

250mlのtert−ブタノール中10.81g(100ミリモル)の2−アミノ−4−メチルピリジンの溶液に、26.19g(120ミリモル)のBOC無水物を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮してシリカゲルに乾燥充填し、フラッシュクロマトグラフィー(30%ヘキサン/CHClから0〜2%アセトン/CHCl)にかけて、白色固体として15.25g(73.32ミリモル;73%)の1Aを生成した。
【0220】
ステップ2
【0221】
【化36】

THF(1.4L)中1A(35.96g、173ミリモル)の−78℃溶液に、ヘキサン中1.4MのBuLi溶液(272ml、381ミリモル)を複数回に分けて30分かけて添加した。次いで、反応混合物を加温させ、次いで、室温で2時間攪拌し、オレンジ色の沈殿物の形成を生じた。この混合物を−78℃に冷却して戻し、予め乾燥させた酸素(Drieriteカラムを通過させて)を、温度を−78℃に維持しながら6時間懸濁液に通して泡立てた。この時間の間に、反応混合物の色は黄色に変化した。次いで、51.4ml(700ミリモル)のMeS、その後、22ml(384ミリモル)のAcOHで−78℃においてクエンチした。反応混合物を加温させ、室温で48時間攪拌した。水で希釈し、EtOAcで抽出して、その後、濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(0〜15%アセトン/CHCl)にかけて、浅黄色固体として20.15g(90ミリモル;52%)のアルコール2Aを得た。
【0222】
ステップ3
【0223】
【化37】

640mlのCHCl中19.15g(85.5ミリモル)のアルコール2Aの溶液に、8.62g(103ミリモル)のNaHCOおよび444mg(4.3ミリモル)のNaBrの飽和水溶液を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、140mg(0.90ミリモル)のTEMPOを加えた。激しい攪拌後、122mlの0.7M(85.4ミリモル)市販漂白溶液(NaOCl中5.25%)を複数回に分けて40分かけて添加した。0℃でさらなる20分後、反応混合物を飽和Na水溶液でクエンチし、室温まで加温させた。水で希釈し、CHClで抽出して、その後、濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(30%ヘキサン/CHClから0〜2%アセトン/CHCl)にかけて、オフホワイトの固体として15.97g(71.9ミリモル;84%)のアルデヒド3Aを得た。
【0224】
ステップ4
【0225】
【化38】

370mlのCHCl中11.87g(53.5ミリモル)のアルデヒド3Aの溶液に、9.07ml(58.8ミリモル)のイソニペコチン酸エチル、その後、4滴のAcOHを添加した。次いで、反応混合物を室温で40分攪拌し、その後、22.68g(107ミリモル)のNaBH(OAc)を導入した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、飽和NaHCO水溶液で中和し、水で希釈し、CHClで抽出した。濃縮およびフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/CHCl中0〜4%飽和NH)により、オフホワイトの固体として19.09mg(52.6ミリモル;98%)の4Aを得た。
【0226】
ステップ5
【0227】
【化39】

THF−水−メタノールの3:1:1混合物10ml中1.57g(4.33ミリモル)のエステル4Aの溶液に、0.125g(5.21ミリモル)のLiOHを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮し、高真空に供し、黄色がかった固体として1.59gの粗酸5Aを得て、精製することなく用いた。
【0228】
(実施例2)
中間化合物7Aの合成
【0229】
【化40】

CCl(400ml)中化合物6A(42ミリモル)、NBS(126ミリモル)およびBz(4.2ミリモル)の溶液を80℃で5時間還流させ、冷却し、室温で一晩攪拌した。この反応液をろ過し、濃縮して、残渣をフラッシュカラム(30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、所望の化合物7A(3.1g、23%)を得た。
【0230】
(実施例3)
中間化合物11Aの合成
ステップ1
【0231】
【化41】

0℃においてメチレンクロライド(150mL)中8A(10g、79.4ミリモル)およびDMAP(0.029g、0.24ミリモル)の溶液に、フタロイルジクロライド(16.1g、79.4ミリモル)を滴下した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。一晩攪拌後、反応液を飽和NaHCO水溶液、水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、黄色固体として化合物9A(20g、99.8%)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0232】
ステップ2
【0233】
【化42】

実施例2に記載されたものと同様の方法で、化合物9A(20g、79.3ミリモル)を化合物9Aに変換した。
【0234】
ステップ3
【0235】
【化43】

化合物10A(0.5g、1.5ミリモル)およびヒドラジン(エタノール中0.5M、5mL、2.5ミリモル)を混合して、室温で一晩攪拌した。この反応物を水で希釈し、メチレンクロライドで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をフラッシュカラム(酢酸エチル中3%メタノール)で精製し、化合物11A(0.2g、66%)を得た。
【0236】
(実施例4)
中間化合物15Aの合成
ステップ1
【0237】
【化44】

化合物12A(2g、18.3ミリモル)および13A(3.5g、22ミリモル)をメチレンクロライドに溶解させ、室温で1時間攪拌した。Na(OAc)BH(5.4g、25.6ミリモル)を添加し、この混合物を室温で5時間攪拌した。反応液を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、残渣をフラッシュカラム(酢酸エチル中2%メタノール)で精製した。化合物14Aを得た(4.5g、99%)。
【0238】
ステップ2
【0239】
【化45】

実施例1、ステップ5に記載されたものと同様の方法で、化合物14A(0.35g、1.4ミリモル)を化合物15A(0.31g、100%)に変換した。
【0240】
(実施例5)
化合物23の合成
ステップ1
【0241】
【化46】

THF(10ml)中2,4−ジフルオロベンジルアルデヒド(16A、28.1ミリモル)の溶液に、グリニャール試薬17A(THF中1.33M、30ml)を添加し、この混合物を室温で一晩攪拌した。この反応物を飽和NHCl(150ml)でクエンチし、EtOAc(100ml)で3回抽出し、乾燥させ、ろ過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%MeOH/EtOAc)により所望の化合物18A(1.8g、27%)を得た。
【0242】
ステップ2
【0243】
【化47】

化合物18A(1.6g、6.7ミリモル)、HNHOH・HCl(0.95g、6.7ミリモル)およびピリジン(10mL)を混合して、60℃に一晩加熱した。ピリジンを真空下で除去し、残渣をメチレンクロライドおよび飽和NaHCO水溶液で処理した。有機層を分離し、乾燥させて、濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、化合物19A(1.4g、82%)を得た。
【0244】
ステップ3
【0245】
【化48】

THF(10ml)中NaH(0.41g、10.2ミリモル)の懸濁液に、DMF(5ml)中19A(1.3g、5.11ミリモル)の溶液をゆっくり滴下し、この反応物を70〜75℃で一晩攪拌した。この混合物を、EtOAcで2回、HO(30ml)で3回抽出し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、粗20Aを得て、これをさらに精製することなく用いた(1.04g、87%)。
【0246】
ステップ4
【0247】
【化49】

0℃においてジクロロエタン(20ml)中化合物20A(4.3ミリモル)の溶液に、2−クロロエチルクロロホルメート(6.2ミリモル)およびトリエチルアミン(7.2ミリモル)を添加し、この反応物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、EtOを残渣に添加し、未反応出発物質をろ過によって除去した。ろ過液を濃縮し、残渣をMeOHに再溶解させ、30分間還流した。メタノールを除去して、生成物21(0.3g)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0248】
ステップ5
【0249】
【化50】

化合物21(1.64ミリモル)、化合物5A(1.64ミリモル)およびPyBOP(1.64ミリモル)の混合物に、DIPEA(4.92ミリモル)およびCHCl(10ml)を添加し、この反応物を室温で週末にかけて攪拌した。飽和NaHCO(100ml)を添加し、反応物をCHCl(100ml)で2回抽出し、固体MgSOで乾燥させ、濃縮して、フラッシュクロマトグラフ(70%EtOAc/ヘキサン)にかけて、化合物22(1.04ミリモル、64%)を得た。
【0250】
ステップ6
【0251】
【化51】

化合物22(0.2g、0.37ミリモル)をCFCOH(3mL)およびメチレンクロライド(3mL)に溶解させ、室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発によって除去し、飽和NaHCO水溶液を添加し、混合物をメチレンクロライドで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、濃縮して、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、化合物23(0.11g、68%)を得た。
【0252】
(実施例6)
化合物32および33の合成
ステップ1
【0253】
【化52】

4℃においてジオキサン(400mL)中24(50g、387ミリモル)およびトリエチルアミン(110mL)の溶液をBocO(93g、426ミリモル)で処理した。冷浴を取り除いて、溶液を室温に加温させた。21時間後、真空下で容積を3分の2減少させた。残渣を酢酸エチル(250mL)および水(250mL)に注ぎ入れた。飽和NaHCO水溶液(250mL)を添加し、有機相を分離して、廃棄した。水相を10%HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、白色粉末として25(82g、94%)を得た。
【0254】
ステップ2
【0255】
【化53】

4℃においてDMF(250mL)中化合物25(40g、175ミリモル)の溶液に、N,O−ジメチル−OHアミン、塩酸塩(34g)、EDCl(44g、0.228モル)、HOBT(2.4g)、およびDIPEA(120mL)を添加した。この反応物を室温に加温し、一晩攪拌した。次いで、反応物を真空下で半分の容積に濃縮し、1:1酢酸エチル:水に注いだ。有機層を分離し、水層をさらなる酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、水、およびブラインで洗浄し、乾燥させた。濃縮により、淡黄色油として26(46.7g、99%)を得た。
【0256】
ステップ3
【0257】
【化54】

−78℃においてTHF(600mL)中2−ブロモピリジン(17.6mL、0.184モル)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液115mL、0.184モル)を15分かけて滴下した。この温度でさらに30分間攪拌後、THF(500mL)中26(25g、91.9ミリモル)の溶液を15分かけて滴下した。反応物を冷浴から取り除き、油浴中に置き、60℃に1.5時間加熱した。次いで、反応物を4℃に冷却し、エーテル(500mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(□5mL)で処理した。この混合物をエーレンマイヤーフラスコに移し、さらなるエーテル(700mL)で希釈した。さらなる飽和NaHCO水溶液、その後固体NaHCOを添加した。この混合物を固体NaHCOのプラグ(plug)を通してろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜20%酢酸エチル)により、黄色油として化合物27(16.85g、63%)を得た。
【0258】
ステップ4
【0259】
【化55】

メタノール(50mL)中27(3.3g、11.4ミリモル)の溶液を、ジオキサン(50mL)中4M HClで処理し、室温で1.5時間攪拌した。真空中で溶媒を除去し、黄褐色粉末として28(3g、100%)を得た。
【0260】
ステップ5
【0261】
【化56】

DMF(125mL)中化合物5A(17.4g、50ミリモル)、化合物28(11g、42ミリモル)、およびジイソプロピルエチルアミン(34.6mL、199ミリモル)の懸濁液に、HOBT(7.83g、58ミリモル)、EDC(18.54g、96.7ミリモル)、および4Åモレキュラーシーブを添加した。この混合物を室温で40時間攪拌し、メチレンクロライド(600mL)および0.5N NaOH(400mL)で希釈し、ろ過した。沈殿物をさらなる0.5N NaOHおよびメチレンクロライドで完全に洗浄した。合わせた有機相を濃縮し、シリカゲルでの2回のクロマトグラフ(1:1ヘキサン:メチレンクロライドからメチレンクロライド中、メタノール中6%飽和NH)にかけて、黄褐色固体(22.3g)として29を生成し、これを次のステップにそのまま用いた。
【0262】
ステップ6
【0263】
【化57】

メチレンクロライド(120mL)およびトリフルオロ酢酸(60mL)中29(22.3g、44ミリモル)の溶液を室温で7時間攪拌した。この反応物を濃縮し、高真空に3時間かけて、トルエンに溶解させ、濃縮して、次いで、再び高真空にかけた。このようにして得た粗茶色油をさらに精製することなく次のステップで用いた。
【0264】
ステップ7
【0265】
【化58】

化合物30(□17.9g、44ミリモル)をピリジン(420mL)に溶解させ、HNOCH・HCl(21.78g、264ミリモル)で処理し、90℃に14時間加熱した。次いで、この反応物を濃縮して、残渣をメチレンクロライド(500mL)および2N NaOH(500mL)の混合物に溶解させた。有機相を分離し、水相をさらなるメチレンクロライド(300mL)で抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、残渣をSiOでのクロマトグラフ(CHCl/MeOH中0〜13%NH)にかけて、黄色固体(9.26g)を生成した。カラムからの混合画分を再度クロマトグラフにかけて、さらなる3.23gの所望の物質を得た。全収量は12.49g(最後の2つのステップで収率65%)であった。
【0266】
ステップ8
【0267】
【化59】

Chiralcel ADカラム(20mm×500mm)(溶離液:75:25ヘキサン:イソプロパノール+0.5%N,N−ジエチルアミン;流量:50mL/分;254nMにおけるUV検出)を用いて、エタノール(15mL)中化合物31(1g)を純異性体に分離し、化合物32(0.6g)および化合物33(0.4g)を得た。32および33に対して[M+H]437。
【0268】
(実施例7)
化合物41の合成
ステップ1
【0269】
【化60】

THF(15mL)中34(2.4g、13.5ミリモル)の溶液に、化合物35(26mLの1.3M溶液)を添加し、この反応物を室温で一晩攪拌した。次いで、2N HClを、pH<2まで添加し、THFを減圧下で除去した。pHを1N NaOHの添加によって中和し、水相をEtOAc中5%MeOHで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフ(EtOAc中20%MeOH)にかけて、36(1.03g、28%)を得た。
【0270】
ステップ2
【0271】
【化61】

1,2−ジクロロエタン(30mL)中36(1.03g、3.78ミリモル)の溶液に、1−クロロエチルクロロホルメート(0.76mL、7.6ミリモル)を添加し、この反応液を室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をエーテルで洗浄した。固体残渣をろ過によって除去し、エーテルを蒸発によって除去して、油を得て、これをMeOH(15mL)中に溶解させ、2時間加熱還流させた。溶媒を除去して37(1.4g)を得て、これをさらに精製することなく次のステップで用いた。
【0272】
ステップ3
【0273】
【化62】

化合物37(0.98g、3.78ミリモル)、N−Bocイソニペコチン酸(0.87g、3.78ミリモル)、DEC(1.11g、5.7ミリモル)、HOBT(0.68g、4.91ミリモル)およびDIPEA(3mL)をCHCl(40mL)中で混合し、室温で一晩攪拌した。次いで、この反応液をCHClで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフ(EtOAc中10%ヘキサン)にかけて、38(1.61g、91%)を得た。
【0274】
ステップ4
【0275】
【化63】

CHCl(15mL)中化合物38(1.61g、3.43ミリモル)をジオキサン(5.2mL)中1N HClで処理し、室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去して、39(1.65g)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0276】
ステップ5
【0277】
【化64】

化合物39(1.65g、4.01ミリモル)、7(1.29g、4.07ミリモル)およびEtN(1.7mL)をDMF(40mL)中で混合し、室温で一晩攪拌した。この反応物をEtOAcに溶解させ、水で4回洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフィー(EtOAc中5%MeOH)で精製して、40(0.6g、47%)を得た。
【0278】
ステップ6
【0279】
【化65】

ピリジン(5mL)中40(0.31g、0.51ミリモル)の溶液をHNOMe・HCl(0.092g、1.08ミリモル)で処理し、60℃に一晩加熱した。この反応物をCHCl中10%MeOHで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフィー(EtOAc中10〜15%MeOH)で精製して、41(0.09g)を得た。
【0280】
(実施例8)
化合物45の合成
ステップ1
【0281】
【化66】

実施例7、ステップ3〜4に記載されたものと同様の方法で、化合物42を化合物43に変換した。
【0282】
ステップ2
【0283】
【化67】

CHCl(60mL)中43(2.3g、6.3ミリモル)の溶液に、4Åモレキュラーシーブおよび4−ホルミルピリジン(0.68mL、6.9ミリモル)を添加し、この混合物を室温で3時間攪拌した。次いで、Na(OAc)BH(2.7g、12.7ミリモル)を添加し、この反応物を1時間攪拌した。この反応物をNHClの添加によってクエンチし、その後、飽和NaHCO水溶液を添加した。次いで、この反応混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣を得て、これをクロマトグラフ(EtOAc中20%MeOH)にかけた。化合物44を得た(2.3g、87%)。
【0284】
ステップ3
【0285】
【化68】

実施例7、ステップ6に記載されたものと同様の方法で、化合物44を化合物45に変換した。
【0286】
(実施例9)
化合物50の合成
ステップ1
【0287】
【化69】

実施例8、ステップ2に記載されたものと同様の方法で、化合物46(1.13g、6ミリモル)を化合物47(1.7g、100%)に変換した。
【0288】
ステップ2
【0289】
【化70】

実施例7、ステップ4に記載されたものと同様の方法で、化合物47(1.7g、6.13ミリモル)を化合物48(1.9g、100%)に変換した。
【0290】
ステップ3
【0291】
【化71】

CHCl(20mL)中化合物48(0.57g、2ミリモル)および化合物42(0.52g、2ミリモル)の混合物にEtN(1.95mL)を添加し、この反応物を−40℃に冷却した。トリホスゲン(0.2g)を添加し、反応物を−40℃で2時間、室温で48時間攪拌した。次いで、反応物を1N NaOH、ブラインで洗浄し、有機層を乾燥させた。濃縮して残渣を得て、カラムクロマトグラフィー(EtOAc中10%MeOH)で精製し、49(0.14g、55%)を得た。
【0292】
ステップ4
【0293】
【化72】

実施例7、ステップ6に記載されたものと同様の方法で、化合物49(0.09g、0.21ミリモル)を化合物50に変換した。
【0294】
(実施例10)
化合物54、55、56および57Aの合成
ステップ1
【0295】
【化73】

実施例7、ステップ3〜4に記載されたものと同様の方法で、化合物28(2.6g、9.9ミリモル)を化合物51(1.1g)に変換した。
【0296】
ステップ2
【0297】
【化74】

実施例7、ステップ5に記載されたものと同様の方法で、化合物51(1.1g、2.94ミリモル)を化合物11(0.59g、2.94ミリモル)と反応させて、化合物52(0.53g)を得た。
【0298】
ステップ3
【0299】
【化75】

実施例6、ステップ7に記載されたものと同様の方法で、化合物52(0.53g、1.26ミリモル)を化合物53(0.48g)に変換した。
【0300】
ステップ4
【0301】
【化76】

【0302】
【化77】

実施例6、ステップ8に記載されたものと同様の方法で、Chiralcel ADカラム(75:25ヘキサン:EtOAc+0.5%EtNH)を用いて、化合物53の4つのジアステレオマーを得ることができた。この2つのより速い溶出化合物(54および55)はE−オキシム異性体であり、より遅い溶出化合物(56および57A)はZ−オキシム異性体であった。
【0303】
【化78】

(実施例11)
化合物59の合成
ステップ1
【0304】
【化79】

THF(25mL)中n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液4.2mL)の溶液を(i−Pr)NH(0.69g、6.8ミリモル)を用いて−25℃で処理した。この反応物を0℃で1時間攪拌し、次いで、−70℃に冷却した。THF(5mL)中化合物4A(0.82g、2.26ミリモル)を滴下し、反応物を−70℃で2時間、−50℃で2時間攪拌した。反応物を−70℃に再冷却し、THF(5mL)中(1S)−(+)−(10−カンファースルホニル)オキサジリジン(1.04g、4.52ミリモル)を添加した。反応物を−70℃で2時間攪拌し、室温に一晩でゆっくり加温した。反応物を飽和NHCl水溶液の添加によってクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1ヘキサン:EtOAc)で精製して57(0.44g、51%)を得た。
【0305】
ステップ2
【0306】
【化80】

実施例1、ステップ5に記載されたものと同様の方法で、化合物57(0.42g、1.1ミリモル)を化合物58(0.4g)に変換した。
【0307】
ステップ3
【0308】
【化81】

実施例6、ステップ5〜8に記載されたものと同様の方法で、化合物58(0.25g、0.7ミリモル)を化合物59(0.1g)に変換した。
【0309】
(実施例12)
化合物65の合成
ステップ1
【0310】
【化82】

−78℃においてエーテル(150mL)中化合物60(10g、50.7ミリモル)の溶液をTMEDA(11.8g、101.4ミリモル)およびs−BuLi(ヘキサン中1.3M溶液58.5mL、76ミリモル)で連続的に処理し、この反応物をこの温度で6時間攪拌した。次いで、ニートでCHSOCH(12.8g、101.4ミリモル)を添加し、反応物を室温に一晩でゆっくり加温させた。飽和NaCl水溶液を添加し、有機層を分離した。水層をエーテルで3回抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフ(ヘキサン中5%EtOAc)にかけて、61(8.0g、75%)を得た。
【0311】
ステップ2
【0312】
【化83】

0℃においてTHF(40mL)中61(8g、37.9ミリモル)の溶液をBH・THF(THF中1.0M溶液45.4mL、45.4ミリモル)の溶液で滴下して処理し、この反応物を室温に一晩でゆっくり加温させた。反応物を0℃に再冷却し、EtOH(13mL)、pH=7緩衝液(25mL)およびH(25mL)を添加して、反応物を室温で一晩攪拌させた。次いで、溶媒を真空中で除去して、残渣を水およびCHClに注ぎ入れた。10%NaOH水溶液(10mL)を添加し、有機層を分離した。水層をさらなるCHClで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフ(ヘキサン中40%EtOAc)にかけて、62(3g)を得た。
【0313】
ステップ3
【0314】
【化84】

EtOAc(30mL)中62(2.8g、12.2ミリモル)および飽和NaHCO水溶液(30mL)中NaBr(1.26g、0.12ミリモル)の溶液を0℃に冷却し、TEMPO(0.02g、0.12ミリモル)で処理した。15分後、NaOCl(17.44mL)を添加し、この混合物を3時間攪拌した。飽和Na水溶液を添加し、pHを1N HClの添加によって5〜6に調整した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフ(ヘキサン中10〜20%EtOAc)にかけて、化合物63(2.1g、76%)を得た。
【0315】
ステップ4
【0316】
【化85】

CHCl(5mL)中PCC(0.95g、4.4ミリモル)の冷却(0℃)懸濁液に、63(0.5g、2.2ミリモル)の溶液を滴下した。その後、この混合物を室温で一晩攪拌した。さらなるPCC(1当量)を添加して、混合物を2時間加熱還流した。
【0317】
反応物を冷却し、セライトを通してろ過し、濃縮して、粗64(1.5g)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0318】
ステップ5
【0319】
【化86】

実施例5、ステップ5、実施例7、ステップ4、実施例1、ステップ4、ならびに実施例6、ステップ6および7に記載されたものと同様の方法で、64(0.73g、3ミリモル)を65(0.1g)に変換した。
【0320】
(実施例13)
化合物70の合成
ステップ1
【0321】
【化87】

Collect. Czech. Chem. Comm.1961年、第26巻、3051頁に記載されたように、マロン酸とPOCl−DMFからジアルデヒド66を調製した。
【0322】
ステップ2
【0323】
【化88】

20mLの無水エタノール中900mg(7.1ミリモル)のジアルデヒド66および678mg(7.1ミリモル)のグアニジン塩酸塩の混合物に、483mg(7.1ミリモル)のナトリウムエトキシドを添加した。この反応混合物を90℃で12時間加熱し、室温に冷却し、濃縮してシリカゲルに乾燥充填し、フラッシュクロマトグラフ(0〜10%MeOH/20〜30%アセトン/CHCl)にかけて、黄色がかった固体として355mg(2.9ミリモル;41%)の67を生成した。
【0324】
ステップ3
【0325】
【化89】

10mLのTHF中166mg(1.35ミリモル)のアミノピリミジン67、17mg(0.14ミリモル)のDMAPおよび418μL(3.00ミリモル)のEtNの混合物に、589mg(2.7ミリモル)の(BOC)Oを添加した。この混合物を室温で5時間攪拌し、濃縮してシリカゲルに乾燥充填し、フラッシュクロマトグラフ(1〜3%アセトン/CHCl)にかけて、透明油として117mg(0.36ミリモル;27%)の68を生成した。
【0326】
ステップ4
【0327】
【化90】

7mLのCHCl中117mg(0.36ミリモル)のアルデヒド68の溶液に、67μL(0.43ミリモル)のイソニペコチン酸エチルおよび5μLの酢酸を添加した。その30分後、153mg(0.72ミリモル)のNaBH(OAc)を導入した。この混合物を室温で一晩攪拌し、CHClで希釈し、NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、粗残渣をフラッシュクロマトグラフ(MeOH中0〜4%飽和NH/CHCl)にかけて、白色フィルムとして133mg(0.29ミリモル;81%)の69を生成した。
【0328】
ステップ5
【0329】
【化91】

THF−水−メタノールの3:1:1混合物5mL中エステル69の溶液に、11mg(0.44ミリモル)のLiOHを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮乾燥して、高真空にかけ、黄色がかった固体として134mgの粗酸70を得て、これを精製することなく用いた。
【0330】
(実施例14)
化合物74の合成
ステップ1
【0331】
【化92】

70mLのTHF中2.36g(11.4ミリモル)のピコリン1Aの−78℃溶液に、ヘキサン中1.4M BuLi溶液16.3mL(22.8ミリモル)を複数回に分けて10分かけて添加した。次いで、反応混合物を加温させ、次いで、室温で2時間攪拌して、オレンジ色の沈殿物の形成を生じた。この混合物を冷却して−78℃に戻し、エチレンオキシドを1分間溶液に通して泡立たせ、その後、5分間攪拌した。この2段階の配列順を8回繰り返した。次いで、混合物を−50℃に加温させ、その温度で40分間攪拌し、1.34mL(23ミリモル)のAcOHでクエンチして、室温に加温させた。水で希釈して、その後、EtOAcで抽出し、有機相を濃縮して、粗残渣のフラッシュクロマトグラフィー(10〜15%アセトン/CHCl)により、白色固体として1.50g(5.95ミリモル;53%)の71を生成した。
【0332】
ステップ2
【0333】
【化93】

20mLのCHCl中628μL(7.2ミリモル)の塩化オキサリルの−60℃溶液に、1.03mL(14.5ミリモル)のDMSOを滴下した。この混合物を−55℃で15分間攪拌後、20mLのCHCl中1.50g(5.95ミリモル)のアルコール71の溶液を15分間かけて導入した。添加が終了後、混合物を−55℃で30分間攪拌し、その後、4.18mL(30.0ミリモル)のEtNを添加して、さらに15分間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで加温し、水で希釈した。CHClで抽出して、その後、有機相を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1〜15%アセトン/CHCl)により、オフホワイトの固体として1.00g(4.00ミリモル;67%)の72を生成した。
【0334】
ステップ3
【0335】
【化94】

25mLのCHCl中1.00g(4.0ミリモル)のアルデヒド72の溶液に、617μL(4.8ミリモル)のイソニペコチン酸エチル、その後、1滴のAcOHを添加した。次いで、反応混合物を室温で40分間攪拌し、その後、1.70g(8.0ミリモル)のNaBH(OAc)を導入した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、飽和NaHCO水溶液で中和し、水で希釈して、CHClで抽出した。濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(MeOH中0〜4%飽和NH/CHCl)により、白色固体として1.41g(3.6ミリモル;90%)の73を得た。
【0336】
ステップ4
【0337】
【化95】

THF−水−メタノールの3:1:1混合物4mL中534mg(1.47ミリモル)のエステル73の溶液に、60mg(2.50ミリモル)のLiOHを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮乾燥して、高真空にかけて、白色固体として540mgの粗酸74を得て、これを精製することなく用いた。
【0338】
(実施例15)
化合物75の合成
【0339】
【化96】

実施例6、ステップ5、6および7に記載されたものと同様の方法で、70を75に変換した。
【0340】
(実施例16)
化合物76の合成
【0341】
【化97】

実施例6、ステップ5、6および7に記載されたものと同様の方法で、74を76に変換した。
【0342】
(実施例17)
化合物80の合成
ステップ1
【0343】
【化98】

CHCl(10mL)中77(0.73g、3.82ミリモル)の溶液に、(COCl)(0.41mL、4.58ミリモル)、その後、DMF(0.1mL)を添加し、この反応物を40℃で3時間維持した。次いで、反応物を濃縮して、茶色の固体を得て、これをCHCl(10mL)に溶解させた。N,O−ジメチル−OHアミン塩酸塩(0.56g、5.73ミリモル)およびDIPEA(1.33mL)を添加し、反応物を室温で一晩攪拌した。反応物を飽和NaHCO水溶液の添加によってクエンチして、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣をクロマトグラフィーで精製して78(3.2g、84%)を得た。
【0344】
ステップ2
【0345】
【化99】

実施例5、ステップ1および4に記載されたものと同様の方法で、78(0.57g、2.41ミリモル)を79(0.59g)に変換した。
【0346】
ステップ3
【0347】
【化100】

実施例6、ステップ5、6および7に記載されたものと同様の方法で、79(0.38g、1.49ミリモル)を80(0.24g)に変換した。
【0348】
(実施例18)
化合物83の合成
ステップ1
【0349】
【化101】

実施例6、ステップ7に記載されたものと同様の方法で、81(0.36g、0.53ミリモル;化合物30と同じ方法で合成)を82(0.34g、63%)に変換した。
【0350】
ステップ2
【0351】
【化102】

DMF(4mL)中82(0.115g、0.25ミリモル)の溶液に、NaH(鉱油中60%分散物、0.03g、0.76ミリモル)を添加した。室温で5時間後、CFCHOSOCF(0.069g、0.3ミリモル)を添加し、この反応液を室温で一晩攪拌した。反応物をEtOAcで希釈し、水で3回抽出してDMFを除いた。有機層を乾燥させ、濃縮して、残渣を得、これをクロマトグラフィー(10%MeOH/EtOAc中NH)で精製して、83(0.08g、30%)を得た。
【0352】
(実施例19)
化合物88の合成
ステップ1
【0353】
【化103】

17(0.21モル、100ml THF、−10℃)の溶液に84(0.14モル)を5分かけて添加すると、この反応混合物はきわめて粘稠になった。さらなるTHF(100ml)を添加し、黄色の懸濁液を−10℃から10℃に約2.5時間かけて加温した。この反応物を100mlの飽和NHClおよび100mlのHOの添加によってクエンチした。EtOAc(300ml)で1回およびCHCl(150ml)で8回抽出した。固体MgSOで乾燥させ、ろ過した。濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(3から10%MeOH(NH)/CHCl)にフラッシュして、85(11g、収率:38%)を得た。
【0354】
ステップ2
【0355】
【化104】

85(9.2g)およびMnO(42g)の混合物に、200mlのCHClを添加し、この混合物を室温で一晩攪拌した。さらなるMnO(20g)を添加し、反応物をさらに24時間攪拌した。MnOをろ別し、反応物を濃縮して、シリカゲル(5%および10%MeOH(NH)/CHCl)でフラッシュして、86(3.1g、収率:33%)を得た。
【0356】
ステップ3
【0357】
【化105】

実施例7、ステップ2に記載されたものと同様の方法で、86(3.1g)を87(2.0g、収率:68%)に変換した。
【0358】
ステップ4
【0359】
【化106】

実施例7、ステップ3、4、5、および6に記載されたものと同様の方法で、87を88に変換した。
【0360】
(実施例20)
化合物92の合成
ステップ1
【0361】
【化107】

0℃においてCHCl(20ml)中化合物89の溶液に、m−CPBA(0.54g)を添加し、この反応物を0℃で25分間攪拌し、次いで、室温で2時間攪拌した。40%NHOH(12ml)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。分離し、水層をCHCl(10ml)で抽出した。乾燥(MgSO)させて、ろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH(NH)/CHCl)により、90(0.67g、80%)を得た。
【0362】
ステップ2
【0363】
【化108】

−10℃においてCHCl(6ml)中90(0.65g)の溶液に、TFA(6ml)を添加し、この反応物を−10℃から0℃に1時間攪拌した。濃縮し、トルエン(20ml)とともに2回共沸させ、濃縮乾燥して、粘着性油として91を得て、これをそのまま用いた。
【0364】
ステップ3
【0365】
【化109】

実施例7、ステップ5および6に記載されたものと同様の方法で、91を92に変換した。
【0366】
(実施例21)
化合物99の合成
ステップ1
【0367】
【化110】

−50℃においてTHF(100mL)中93(5.17g、22.7ミリモル)の溶液に、s−BuLi(ヘキサン中1.3M溶液38.4mL、49.9ミリモル)を滴下した。−40℃で1.5時間後、この反応物を−50℃に再冷却し、THF(20mL)中95(4.84g、22.7ミリモル)を添加した。−50℃で2.75時間後、氷酢酸、その後飽和NHCl水溶液を添加した。この混合物を室温に加温し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO)させ、ろ過し、濃縮して、残渣を得て、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl中、1%〜3%MeOH/NH)で精製して、95(6.35g、63%)を得た。
【0368】
ステップ2
【0369】
【化111】

実施例12、ステップ3に記載されたものと同様の方法で、95(5.34g、12.11ミリモル)を96(4.71g、75%)に変換した。
【0370】
ステップ3
【0371】
【化112】

実施例6、ステップ4に記載されたものと同様の方法で、96(3.7g、8.43ミリモル)を97(3.08g、>100%)に変換し、これを次のステップでそのまま用いた。
【0372】
ステップ4
【0373】
【化113】

化合物97(0.7g、2.25ミリモル)、HNOCH・HCl(0.94g、11.23ミリモル)およびNaOAc(1.47g、17.97ミリモル)を1−ペンタノール(20mL)および水(2mL)中で混合し、2日間加熱還流した。この反応物を室温に冷却し、0.5N NaOHを添加した。EtOHを真空中で除去し、さらなる水(15mL)を添加し、反応物をCHCl中10%EtOH(総容積180ML)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、濃縮して、98(0.55g、92%)を得た。
【0374】
ステップ5
【0375】
【化114】

実施例6、ステップ5、6、および7に記載されたものと同様の方法で、98を99に変換した。
【0376】
(実施例22)
化合物104の合成
ステップ1
【0377】
【化115】

75mLの氷酢酸中2.2g(9.5ミリモル)の100の溶液を、活性炭上10%w/w白金0.5gの存在下で5時間水素化した。この反応混合物をろ過し、触媒を除去して、ろ過液を減圧下で蒸発によって濃縮し、固体の残渣を生成し、これを0.5N NaOHで塩基性化し、メチレンクロライド(CHCl)で抽出した。メチレンクロライド抽出物を無水MgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣を、CHCl中10〜30%の7N NH−MeOHで溶出させフラッシュクロマトグラフィーで精製し、0.82gの101(融点158〜163℃)を得た。LCMS m/z240(M+H)。
【0378】
ステップ2
【0379】
【化116】

7mLの無水ジメチルホルムアミド(DMF)中0.12g(0.52ミリモル)の101、0.2g(0.52ミリモル)の5A、0.67g(0.5ミリモル)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、および0.11g(0.57ミリモル)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(DEC)の混合物を周囲温度で18時間攪拌した。この混合物を水で希釈して、得られた沈殿物をろ過し、白色固体として0.26gの102(融点110〜115℃)を生成した。LCMS m/z557(M+H)。
【0380】
ステップ3
【0381】
【化117】

−70℃において3mLの無水CHCl中0.34g(2.7ミリモル)の塩化オキサリルの攪拌溶液に、2mLのCHCl中0.44g(5.7ミリモル)の無水メチルスルホキシドを添加した。−70℃で10分間攪拌後、この反応混合物に10mLのCHCl中1.2g(2.15ミリモル)の102を添加した。攪拌混合物を−70℃で0.5時間保ち、1.8mL(13ミリモル)のトリエチルアミンと混合し、次いで、それ自体で周囲温度に加温させた。混合物を水で希釈し、CHClで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、ガラス状物質として1.18gの103を生成した。LCMS m/z555(M+H)。
【0382】
ステップ4
【0383】
【化118】

40mLのエタノールおよび40mLのピリジン中0.8g(1.44ミリモル)の103および0.6g(7.2ミリモル)のメトキシルアミン塩酸塩の溶液を18時間還流下で加熱した。この混合物を濃縮して、残渣を酢酸エチル/エーテルに溶解させ、水で洗浄した。有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、0.65gの粘稠残渣に濃縮して、これを8mLのトリフルオロ酢酸および8mLのCHClに溶解させ、周囲温度で18時間攪拌した。この溶液を濃縮して、残渣を1N NaHCOで塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、粘着性残渣に濃縮した。この残渣をCHCl中5〜8%の7N NH−MeOHを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、粘性物質、LCMS m/z484(M+H)として0.151gの104およびガラス状物質、LCMS m/z556(mH+)として0.146gの105を生成した。
【0384】
酢酸エチル中104の遊離塩基0.056gの溶液を酢酸エチル中0.04gのマレイン酸の溶液と混合して沈殿物を生成し、これをろ過により単離して、104のジマレイン酸塩0.06g(融点155〜160℃)を得た。
【0385】
(実施例23)
化合物111の合成
ステップ1
【0386】
【化119】

2.4g(10.ミリモル)の106を実施例22、ステップ1に記載されたものと同様の方法で還元し、半固体として1.5gの107を得た。LCMS m/z240(M+H)。
【0387】
ステップ2
【0388】
【化120】

1.5g(6.31ミリモル)の107を実施例22、ステップ2に記載されたものと同様の方法で3とカップリングさせ、固体として3gの108(融点104〜106℃)を得た。LCMS m/z557(M+H)。
【0389】
ステップ3
【0390】
【化121】

1.17g(2.1ミリモル)の108を実施例22、ステップ3に記載されたものと同様の方法で酸化して、ガラス状物質として0.7gの109を得た。LCMS m/z557(M+H)。
【0391】
ステップ4
【0392】
【化122】

0.32g(0.58ミリモル)の109を実施例22、ステップ4に記載されたものと同じ方法で0.6g(7.2ミリモル)のメトキシルアミン塩酸塩と反応させて、粘着物質、LCMS m/z484(M+H)として0.065gの110およびガラス状物質、LCMS m/z556(M+H)として0.12gの111を得た。
【0393】
(実施例24)
化合物117の合成
ステップ1
【0394】
【化123】

80mLの無水DMF中18g(74ミリモル)の112、7.2g(74ミリモル)のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、19.4g(15ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミン、1.1g(8ミリモル)のHOBtおよび14.2g(74ミリモル)のDECの混合物を周囲温度で18時間攪拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を1%NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、油として15.5gの113を得た。LCMS m/z287(M+H)。
【0395】
ステップ2
【0396】
【化124】

−78℃において30mLの無水THF中2.9g(18ミリモル)の2−ブロモピリジンの攪拌溶液に、ヘキサン中n−BuLiの2.5M溶液7.5mLを0.5時間滴下した。−78℃で1時間攪拌後、この反応混合物に15mLのTHF中5.1g(17.8ミリモル)の113の溶液を添加した。混合物を周囲温度で48時間攪拌させ、飽和NHCl水溶液と混合し、エーテルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、油として5.7gの114を生成した。LCMS m/z305(M+H)。
【0397】
ステップ3
【0398】
【化125】

30mLのエタノールおよび30mLのピリジン中3.15g(10.4ミリモル)の114および3.47g(41.6ミリモル)のメトキシルアミン塩酸塩の溶液を18時間還流下で加熱した。この混合物を濃縮して、残渣をエーテルに溶解させ、水で洗浄した。有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、油として2.5gの115を得た。LCMS m/z334(M+H)。
【0399】
ステップ4
【0400】
【化126】

20mLのCHClおよび20mLのトリフルオロ酢酸中2.4g(7.2ミリモル)の22の溶液を周囲温度で1時間攪拌した。この溶液を濃縮した。残渣を飽和NaHCO水溶液で塩基性化し、CHClで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、ガラス状物質として1.41gの23を得た。LCMS m/z234(M+H)。
【0401】
ステップ5
【0402】
【化127】

20mLの無水DMF中0.466g(2ミリモル)の116、0.517g(2.2ミリモル)の5A、0.276g(2ミリモル)のHOBtおよび0.46g(2.4ミリモル)のDECの混合物を周囲温度で18時間攪拌した。この混合物を25〜45℃の浴温度で減圧下、蒸発によって濃縮し、残渣をCHCl中4%(7N NH/CHOH)を用いてクロマトグラフにかけ、0.48gのシロップを生成し、これを15mLのEtAc−EtOH(3:1v)に溶解させ、10mLのEtAc−EtOH(1:1)中0.26gのマレイン酸の溶液と混合した。得られた沈殿物をろ過し、117のマレイン酸塩0.35g(融点160〜163℃)を生成した。LCMS m/z451(M+H)。
【0403】
(実施例25)
化合物121の合成
ステップ1
【0404】
【化128】

−78℃において80mLの無水THF中4.16g(20ミリモル)の1Aの攪拌溶液に、ヘキサン中n−BuLiの2.5M溶液17mLを25分間滴下した。−78℃から室温に1時間攪拌後、この反応混合物に100mLの無水THF中6g(22ミリモル)の26の溶液を添加し、室温で18時間保った。混合物を飽和NHCl水溶液と混合し、EtAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、6.1gの118(融点146〜149℃)を生成した。LCMS m/z420(M+H)。
【0405】
ステップ2
【0406】
【化129】

40mLのピリジンおよび40mLのエタノール中3.71g(8.8ミリモル)の118および3.7g(44ミリモル)のメトキシルアミン塩酸塩の溶液を2日間還流下で加熱した。この混合物を濃縮して、残渣をCHClに溶解させ、飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、ガラス状物質として2.6gの119を得た。LCMS m/z421(M+H)。
【0407】
ステップ3
【0408】
【化130】

10mLのCHClおよび10mLのトリフルオロ酢酸中0.9g(2.14ミリモル)の119の溶液を周囲温度で2時間攪拌した。この溶液を濃縮した。残渣をCHClに溶解させ、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、固体残渣に濃縮して、これをCHCNと一緒に粉末化し、ろ過して、0.29gの120(融点200〜205℃)を生成した。LCMS m/z321(M+H)。
【0409】
ステップ4
【0410】
【化131】

0.1g(0.31ミリモル)の120および0.83g(0.35)の5Aを実施例24、ステップ5に記載されたものと同じ方法でカップリングさせ、121のマレイン酸塩0.12g(融点170〜173℃)を生成した。LCMS m/z538(M+H)。
【0411】
(実施例26)
化合物123の合成
ステップ1
【0412】
【化132】

実施例6、ステップ7に記載された方法を用いて、化合物122(0.26g、0.41ミリモル)を化合物123(0.08g、40%)に変換した。
【0413】
(実施例27)
化合物128の合成
ステップ1
【0414】
【化133】

0℃においてエーテル(20mL)中LAH(0.83g、22ミリモル)の懸濁液に、THF(15mL)中124(3.2g、17.5ミリモル)を滴下した。この反応物を0℃で1.5時間攪拌し、水(0.8mL)、20%NaOH水溶液(0.8mL)、および水(2.4mL)の添加によってクエンチした。この混合物を15分間攪拌し、ろ過し、ろ過ケーキをCHClで洗浄した。ろ過液を濃縮して、油を得て、これをエーテル(30mL)に溶解させ、ブラインで洗浄して乾燥(MgSO)させた。ろ過して、真空中で濃縮して、125(2.5g)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0415】
ステップ2
【0416】
【化134】

ステップ3
【0417】
【化135】

実施例22、ステップ3および実施例1、ステップ4、5、および6に記載された方法を用いて、化合物125を化合物126に変換した。
【0418】
ステップ4
【0419】
【化136】

実施例6、ステップ5に記載された方法を用いて、化合物126を化合物127に変換した。
【0420】
ステップ5
【0421】
【化137】

実施例6、ステップ7に記載された方法を用いて、化合物127を化合物128に変換した。
【0422】
上に記載された実施例におけるのと実質的に同じ手順に従うことによって、表1中の化合物(第1列)を表1の最後列の化合物から調製する。表1中、「Cmpd.No.」は「化合物番号」を意味する。
【0423】
【表1−1】

【0424】
【表1−2】

【0425】
【表1−3】

【0426】
【表1−4】

【0427】
【表1−5】

【0428】
【表1−6】

【0429】
【表1−7】

【0430】
【表1−8】

【0431】
【表1−9】

【0432】
【表1−10】

【0433】
【表1−11】

【0434】
【表1−12】

【0435】
【表1−13】

【0436】
【表1−14】

【0437】
【表1−15】

【0438】
【表1−16】

【0439】
【表1−17】

(実施例28)
化合物287の調製
ステップ1
【0440】
【化138】

40mlのCHCl中1.00g(8.13ミリモル)のピリミジンアルデヒド67(実施例13のステップ2)の溶液に、1.36mL(10.58ミリモル)のイソニペコチン酸エチルおよび2滴の酢酸を添加した。この混合物を室温で40分間攪拌し、その後、2.58g(12.17ミリモル)のNaBH(OAc)を添加した。次いで、この反応混合物を室温で20時間攪拌し、NaOH水溶液で希釈し(pHを11に調整)、CHClで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、残渣をフラッシュクロマトグラフ(MeOH中4〜8%約3N NH/CHCl)にかけて、黄色がかった固体として1.55g(5.87ミリモル;72%)のアミン285を生成した。
【0441】
ステップ2
【0442】
【化139】

THF−MeOH−HOの3:1:1混合物60ml中3.83g(14.51ミリモル)のエステル285の溶液に、1.22g(29.02ミリモル)のLiOH一水和物を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮して、残渣を高真空下で乾燥させ、黄色固体として3.84gの粗酸286リチウム塩を生成した。物質を直接用いることができたか、またはMeOH中約3N NHで溶出させるシリカゲルのプラグを通すことによって精製することができた。
【0443】
ステップ3
【0444】
【化140】

40mLのDMF中3.32g(14.05ミリモル)の酸286および4.07g(14.05ミリモル)の4−[(E)−(メトキシイミノ)−2−ピリジニルメチル]ピペリジン二塩酸塩(下記化合物447を参照)の混合物に、8.94mL(70.25ミリモル)の4−エチルモルホリンおよび酢酸エチル中1−プロパンホスホン酸環状無水物の50重量%溶液14.0mL(23.52ミリモル)を添加した。この反応混合物を50℃で4.5時間、その後室温で14時間攪拌した。混合物を濃縮して、その後、高真空に24時間かけて、残存するDMFを除去した。残渣をNaOH水溶液およびCHCl間に分配して、有機相を分離し、乾燥させ、濃縮して、残渣をフラッシュクロマトグラフ(MeOH中5〜15%約3N NH/CHCl)にかけて、淡褐色泡状物として4.60g(10.51ミリモル;75%)のアミド287を生成した。MS438(M+1)。
【0445】
(実施例29)
化合物296の調製
ステップ1
【0446】
【化141】

3,4ピリジン−ジカルボキシイミド288(10.0g;67.5ミリモル)を10%NaOH水溶液162gに溶解させ、この溶液を氷−塩浴中、内部温度7℃に冷却した。臭素(3.6ml;70ミリモル)を滴下した。添加後、溶液を80〜85℃の浴温で45分間加熱した。次いで、この黄色溶液を内部温度37℃に冷却し、次いで、17mlの氷酢酸を滴下してpH5.5とした。得られた混合物を冷蔵庫に一晩保存した。形成された固体をろ過し、5mlの水および5mlのメタノールで洗浄した。この反応物は、280〜285℃(分解)で融解する6.35gの生成物289を生成した。
【0447】
ステップ2
【0448】
【化142】

固体化合物289(9.5g;69ミリモル)を、200mlの乾燥テトラヒドロフラン中水素化アルミニウムリチウム(9.5g;250ミリモル)のスラリーに3つのアリコートで注意深く添加した。得られた高温の混合物を室温で2日間攪拌した。氷浴中で冷却後、この反応物を10mlの水、その後、10mlの15%NaOH水溶液、次いで、30mlの水をきわめて注意深く連続的に滴下してクエンチした。得られた固体をセライトのパッドを通してろ過し、THFで数回洗浄した。溶媒の蒸発後に得られた油を放置して固化させた。この反応混合物を、溶離液として5%MeOH(NH)/EtOAcを用いてシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、6.21(72%)の化合物290を生成した。LC−MS:m/z=125(M+1)。
【0449】
ステップ3
【0450】
【化143】

よく攪拌した500mlのクロロホルム中3−アミノ−4−ヒドロキシメチルピリジン290(5.0g;40.3ミリモル)の懸濁液に、二酸化マンガン(29g;334ミリモル)を室温で、1回で添加した。2日後、固体をセライトのパッドを通してろ過し、クロロホルムで洗浄した。減圧により溶媒を除去し、黄色固体として4.2g(85%)の化合物291を生成した。
【0451】
ステップ4
【0452】
【化144】

イソニペコチン酸エチル(12.5g;79.5ミリモル)および3−アミノピリジン4−カルボキシアルデヒド291(3.33g;27.3ミリモル)の乾燥ジクロロメタン(400ml)溶液を室温で1時間攪拌し、次いで、60gの活性化3Åモレキュラーシーブを添加した。この混合物をさらに90分間攪拌し、次いで、20g(96.4ミリモル)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを室温で、1回で添加した。3日間攪拌後、固体をセライトのパッドを通してろ過し、ジクロロメタンで洗浄した。この溶液を100mlの飽和重炭酸ナトリウム水溶液とともに15分間攪拌して、次いで、水層から分離した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で、次いでブラインでさらに2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の蒸発後、得られた油を溶離液としてEtOAc:ヘキサン:MeOH(NH)を用いてシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。この操作により6.8g(94%)の化合物292を生成した。FAB−MS:m/z=264(M+1)。
【0453】
ステップ5
【0454】
【化145】

エチル1−[(3−アミノ−4−ピリジニル)メチル]−4−ピペリジンカルボキシレート292(4.75g;18.04ミリモル)を、75mlのメタノール中1.51g(36ミリモル)の水酸化リチウム一水和物とともに室温で24時間攪拌した。減圧して溶媒を除去して、白色固体として化合物293を生成した。
【0455】
ステップ6
【0456】
【化146】

4−(2−ピリジニルカルボニル)ピペリジン28(実施例6中ステップ4)(0.3g;1.58ミリモル)、リチウム1−[(3−アミノ−4−ピリジニル)メチル]−4−ピペリジンカルボキシレート293(0.34g;1.4ミリモル)、DEC(0.38g;2.0ミリモル)、およびHOBT(0.27g;2.0ミリモル)を10mlの乾燥DMF中、室温で2日間攪拌した。この反応物を50mlの0.5N NaOH水溶液でクエンチし、次いで、この溶液をジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶離液としてEtOAc:ヘキサン:MeOH(NH)(50:45:5)を用いてシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで生成物295を単離した。収量:0.27g(47%)。FAB−MS:m/z=408(M+1)。
【0457】
ステップ7
【0458】
【化147】

1−[[[1−[(3−アミノ−4−ピリジニル)メチル]−4−ピペリジニル]カルボニル]−4−(2−ピリジニルカルボニル)ピペリジン295(0.196g;0.48)およびメトキシアミン塩酸塩(0.401g、4.8;ミリモル)をN下、6.0mlの乾燥ピリジン中で70℃の浴温度で24時間加熱した。減圧によりピリジンを除去後、残渣を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理した。得られた混合物をジクロロメタンで数回抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。反応混合物をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーで精製した。プレートをEtOAc:ヘキサン:MeOH(NH)(60:35:5)で溶出させ、生成物296を10%MeOH(NH)/EtOAcで抽出した。収量:0.15g(71%)。FAB−MS:m/z=437(M+1)。
【0459】
(実施例30)
化合物301の調製
ステップ1
【0460】
【化148】

1:1水−ジオキサン(50mL)中297(1g、10ミリモル)の混合物をEtN(4mL、13ミリモル)およびBOCO(2.8g、13ミリモル)で4℃において処理し、1日間で20℃に加温させた。次いで、溶媒を真空中で除去した。残渣を1:1水−酢酸エチルに溶解させ、有機層を廃棄した。水層を1N HCl水溶液で酸性化して、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮して、白色固体として298(1.8g、90%)を得た。
【0461】
ステップ2
【0462】
【化149】

DMF(30mL)中298(1.8g、9ミリモル)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.6g、27ミリモル)、EDCl(5g、27ミリモル)、HOBt(0.1g、1ミリモル)およびDIPEA(12.5mL、72ミリモル)の混合物を20℃で一晩攪拌した。次いで、この反応物を真空中で半分の容積に濃縮し、水上に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を飽和NHCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濃縮して、透明油として299(2.1g、98%)を得た。
【0463】
ステップ3
【0464】
【化150】

−78℃においてTHF(60mL)中2−ブロモピリジン(1.2mL、12ミリモル)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液8mL、12ミリモル)を15分かけて滴下した。−78℃でさらに30分間攪拌後、THF(20mL)中299(1g、4ミリモル)の溶液をゆっくり添加した。次いで、この反応物を60℃に1時間加熱した。20℃に冷却後、反応物をエーテルで希釈し、飽和NaSO水溶液でクエンチし、固体NaSOで乾燥させた。この混合物を固体NaSOのプラグを通してろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜20%酢酸エチル−ヘキサン)により黄色油として300(0.12g、11%)を生成した。
【0465】
ステップ4
【0466】
【化151−1】

実施例6のステップ4から7のものと同様の手順に従って、化合物301を得た。MS409(M+1)。
【0467】
上記実施例に記載されたものと同様の手順に従って、表2中の化合物を調製した。
【0468】
【表2−1】

【0469】
【表2−2】

【0470】
【表2−3】

【0471】
【表2−4】

【0472】
【表2−5】

【0473】
【表2−6】

【0474】
【表2−7】

【0475】
【表2−8】

【0476】
【表2−9】

【0477】
【表2−10】

【0478】
【表2−11】

【0479】
【表2−12】

【0480】
【表2−13】

【0481】
【表2−14】

【0482】
【表2−15】

【0483】
【表2−16】

上記実施例に記載されたものと同様の手順に従う場合、表3の「構造」列の化合物は、表3に列挙された出発物質を用いて得られる。表3中のそれぞれの化合物は、オキシム窒素とOHまたはOCH部分との間の
【0484】
【化151−2】

で示されるように、オキシム異性体の混合物である。表3中、「CMPD」は「化合物」を意味する。
【0485】
【表3−1】

【0486】
【表3−2】

【0487】
【表3−3】

【0488】
【表3−4】

【0489】
【表3−5】

【0490】
【表3−6】

【0491】
【表3−7】

【0492】
【表3−8】

【0493】
【表3−9】

【0494】
【表3−10】

【0495】
【表3−11】

【0496】
【表3−12】

(実施例31)
化合物446の調製
ステップ1
【0497】
【化152】

0℃においてTHF(300mL)中LDA(233mL、THF/ヘプタン/エチルベンゼン中2.0M、0.466モル)の溶液に、THF(約400mL)中化合物440(100g、0.389モル)の溶液を1.0時間かけて滴下した。赤−オレンジ色の溶液を0℃で30分間攪拌し、次いで、乾燥THF(約600mL)中N−フルオロベンゼンスルホンイミド(153g、0.485モル)の予備冷却(0℃)した溶液にカニューレで移した。この反応混合物を0℃で30分間、次いで室温で18時間攪拌した。総溶媒容積を約3分の1に減らして、EtOAc(約1L)を添加した。この溶液を水、0.1N HCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、およびブラインで連続的に洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗液体を生成した。フラッシュクロマトグラフィー(6:1ヘキサン−EtOAc)により分離して、化合物441(93.5g、87%)を得た。
【0498】
ステップ2
【0499】
【化153】

実施例6、ステップ4に記載されたものと同様の方法で、化合物441を化合物442に変換した。
【0500】
ステップ3
【0501】
【化154】

実施例1、ステップ4に記載されたものと同様の方法で、化合物442を化合物443に変換した。
【0502】
ステップ4
【0503】
【化155】

実施例1、ステップ5に記載されたものと同様の方法で、化合物443を化合物444に変換した。
【0504】
ステップ5
【0505】
【化156】

実施例6、ステップ5に記載されたものと同様の方法で、化合物444を化合物445に変換した。
【0506】
ステップ6
【0507】
【化157】

実施例6、ステップ6に記載されたものと同様の方法で、化合物445を化合物446に変換した。
【0508】
上記実施例において、化合物4−[(E)−(メトキシイミノ)−2−ピリジニルメチル]ピペリジン二塩酸塩:
【0509】
【化158】

を用いて、本発明の化合物を調製することができ、例えば、実施例6および28を参照されたい。好ましくは、化合物447は、式:
【0510】
【化159】

の化合物から、および式449:
【0511】
【化160】

の化合物から調製される。
【0512】
50はアルキルまたはアリール基であり、fは0から4であり、R51はアルキル基であり、Qはハロ基であり、ここで、前記アルキル、アリール、およびハロ基は上に定義されたとおりである。
【0513】
化合物447は、
(a)式449の化合物をそのグリニャール型(449A)に変換する工程:
【0514】
【化161】

(b)式448の化合物を式449Aの化合物と反応させて、式450:
【0515】
【化162】

の化合物を得る工程、
(c)式450の化合物を式451
【0516】
【化163】

の適切なアルキルクロロホルメートと反応させて、式452:
【0517】
【化164】

の化合物を生成する工程、
(d)塩(式453):
【0518】
【化165】

を形成すること、
(e)式453の化合物をアルコキシアミン(NHOR51)またはその塩酸塩と反応させて、式454:
【0519】
【化166】

のオキシムを形成する工程
および
(f)強酸での処理によって式454の化合物を異性化し、同時に、富化されたE異性体を有する式454の所望の酸塩に変換する工程(ここで、E異性体はZ異性体に対して少なくとも90:10の比で優勢である)
によって、448および449から調製され得る。f=0の場合、R51はメチルであり、異性化のために用いられる酸は式454の化合物においてHClであり、最終生成物は式447の化合物である。
【0520】
この調製は以下のように表され得る:
【0521】
【化167】

上記方法に従って、化合物447は以下のように調製され得る:
【0522】
【化168】

【0523】
【化169】

化合物461から447への変換は、高い立体化学的純度および高収量で化合物447のE−異性体を優勢に生成する。酸触媒反応によるフェニル化合物の混合物の異性化は、T.Zsuzsannaら、Hung.Magy.Km.Foly.、第74巻第3号、(1968年)、116〜119頁によって検討されている。
【0524】
上記方法は化合物449で出発する。ステップ1において、4−ハロ−1−アルキルピペリジン(または4−ハロ−1−アリールピペリジン)は、マグネシウムと反応させることによってそのグリニャール類似体(449A)に変換される。この反応は一般に、還流させるために、約−10℃の温度で行う。一般に、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの炭化水素溶媒、または、上に列挙された炭化水素と、例えば、C〜C12アルキルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグリム、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテルとの混合物は、この反応に好適である。この溶液を約−10℃から約10℃に冷却し、次いで、適切な2−シアノピリジン(448)と、約10〜120分間反応させる。適切な2−シアノピリジンの例は、2−シアノピリジン、4−メチル−2−シアノピリジン、4−エチル−2−シアノピリジン、4−フェニル−2−シアノピリジンなどである。2−シアノピリジンおよび4−メチル−2−シアノピリジンが好ましい。グリニャール化合物は一般に、式448の化合物に関して約1〜4モル当量で、好ましくは約1〜3モル当量で、典型的には約1.5〜2.5モル当量で用いられる。式450の生成物は、当該分野でよく知られた操作、例えば、酸(例えば、HCl)での処理によって、好ましくは適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル)中で単離され得る。
【0525】
次いで、式450の生成物は、次のステップでアルキルクロロホルメートと反応させ得る。適切なアルキルクロロホルメート、例えば、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、プロピルクロロホルメートなどであり、メチルクロロホルメートまたはエチルクロロホルメートが好ましい。一般に、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの炭化水素溶媒、または上に列挙された炭化水素と、例えば、C〜C12アルキルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグリム、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテルとの混合物はこの反応に好適である。反応は一般に、約25〜100℃、好ましくは約40〜90℃、典型的には約50〜80℃で約1〜5時間行われる。反応後、一般に、生成した酸は、洗い落とされ、式452の生成物は有機溶媒抽出によって単離され得る。
【0526】
次いで、式452の化合物は、一般に周囲と溶媒の還流との間の温度において溶媒中で、例えば、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸などの酸での処理によって、その酸塩に変換され得る。適切な溶媒には、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの炭化水素が含まれる。式452の化合物中に2個の窒素原子が存在し、この塩は一般に1モルの化合物452に対して2モルの酸を有する。
【0527】
次いで、式453の化合物は、通常は水溶液形態で、それをアルコキシアミン(またはその塩酸塩)と反応させることによって式454のアルキルオキシムに変換され得る。好適なアルコキシアミンは、例えば、メトキシアミン、エトキシアミンなどである。メトキシアミンが好ましい。アルコキシアミン(またはその塩酸塩)は、一般に、約1から約4モル当量で、好ましくは約1から約3モル当量で、典型的には約1から約2モル当量で用いられる。一般に、この反応は、例えば、酢酸、ギ酸などの弱酸、またはそれらの混合物で触媒される。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど、またはそれらの混合物などの共溶媒が添加され得る。後処理後、式454の生成物は、Z−およびE−異性体の混合物であり、その比は、当該分野でよく知られている技術、例えば、HPLCを用いて、その立体化学構造に関して分析され得る。
【0528】
以下に記載される反応条件下で、式454の化合物を強酸で処理すると、ZおよびE−異性体の混合物をE異性体優勢に異性化する。一般に、式454の化合物は、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど、エーテル、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランなど、炭化水素、例えば、ヘプタン、ヘキサン、トルエンなど、ニトリル、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの溶媒、またはこのような溶媒の混合物に溶解され得る。次いで、溶解化合物は、20から100℃の範囲の温度で約1〜20時間、強酸、例えば、HCl、HBr、HSOなどで処理される。酸は一般に、約1から約8モル当量で、好ましくは約1から約6モル当量で、典型的には約2から約4モル当量で用いられる。後処理は典型的に、式454の化合物のE−異性体の酸塩を優勢に形成し、これは、実際は式447(ここで、R51=メチル、n=0)の化合物であり、この酸塩は454においてHClである。
【0529】
上に記載された方法における様々なステップの生成物は、当業者に周知であるような従来の技術、例えば、ろ過、再結晶、溶媒抽出、蒸留、沈殿、昇華などによって単離および精製され得る。生成物は、当業者によく知られている従来の方法、例えば、薄層クロマトグラフィー、NMR、HPLC、融点、質量スペクトル分析、元素分析などによって純度に関して分析および/または検査され得る。
【0530】
(実施例32)
モルモットH受容体結合アッセイ
この実験におけるH受容体の供給源は、400〜600gの体重の動物から得たモルモット脳であった。この脳組織を、50mMのトリス(pH7.5)の溶液で均質化した。均質化緩衝液中の組織の最終濃度は10%w/vであった。組織および破片の塊を除去するために、このホモジネートを1,000×gで10分間遠心分離した。次いで、得られた上清を、その膜を沈降させるために50,000×gで20分間遠心分離し、次いで、これを均質化緩衝液で3回洗浄した(各々50,000×gにて20分間)。この膜を凍結させ、必要とするまで−70℃で保存した。
【0531】
試験されるすべての化合物はDMSOに溶解させ、次いで、最終濃度が0.1%DMSOを有して2μg/mLになるように結合緩衝液(50mMトリス、pH7.5)中に希釈した。次いで、膜を反応管に加えた(400μgのタンパク質)。反応は3nM[H]R−α−メチルヒスタミン(8.8Ci/ミリモル)または3nM[H]Nα−メチルヒスタミン(80Ci/ミリモル)を添加して開始させ、30℃のインキュベーション下で30分間継続した。結合リガンドをろ過によって未結合リガンドから分離し、膜に結合した放射性リガンドの量を液体シンチレーション分光分析によって定量した。すべてのインキュベーションを二連で行い、標準誤差は常に10%未満であった。受容体への放射性リガンドの特異的結合の70%超を阻害した化合物を連続的に希釈して、K(nM)を決定した。
【0532】
この方法を用いて、以下のデータを式(I)の選択化合物について得た:
化合物44、45、49、75、76、83、88、99、104、110、117、128、200、201、203〜211、213、214、217、220〜223、228、230〜232、234、236、239〜241、244〜245、249、250、252、254〜267、274および282は、約0.3nM〜約370nMの範囲内のKを有した。
【0533】
化合物23、50、53、57A、59、92、212、215、218、219、220、224、226、227、229、233、235、238、246、247、248、251、253、268〜272、275、278、279、281および287は、約0.3nM〜約33nMの範囲内のKを有した。
【0534】
化合物30、32 31、33、54、55、56、56A、225、237、246A、253A、273および280は、約0.83nMから約16nMの範囲内のKを有した。
【0535】
(実施例33)
ヒトH受容体結合アッセイ
完全長ヒトヒスタミンH受容体は、公共データベース由来のプライマーを用いて、ヒト視床cDNAライブラリーからPCRによってクローン化し、CMVプロモーター駆動発現ベクターpcDNA−3.1(Invitrogen)中に挿入した。HEK−293ヒト胚腎細胞(ATCC)をH受容体プラスミドでトランスフェクトし、安定的に発現する細胞をG−418で選択した。5%COの加湿雰囲気中37℃で、高グルコース、25mMのHepes、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、2mMグルタミン、および0.5mgのG−418/mlを含有するDulbecco改変Eagle培地/10%ウシ胎仔血清中で細胞を培養した。
【0536】
膜調製のために、吸引手段を用いて細胞を採集し、それを5mM EDTA/0.02%トリプシン/Hank’s balanced salt solutionで置き換え、その後、37℃で5から10分間インキュベートした。細胞をデカントして、1000×gにて4℃で10分間遠心分離し、次いで、50mMトリス・HCl(pH7.4)中に再懸濁させ、Polytron(設定6でPT10チップ)で30秒間破壊した。次いで、ホモジェネートを1000×gで10分間遠心分離し、上清をデカントして、次いで、50,000×gでさらに10分間遠心分離した。得られたペレットをトリス緩衝液に再懸濁させて、再度、50,000×gで10分間遠心分離した。1mgのタンパク質/mLのトリス緩衝液の懸濁液として膜を−80℃で保存した。
【0537】
結合アッセイのために、膜をPolytronで分散させ、1nMの[3H]N−α−メチルヒスタミン、および各濃度2つずつ、5桁の範囲にわたり半桁に相当する各濃度で本発明の化合物を含む200mLの50mMトリス・HCl(pH7.4)中でインキュベートした。非特異的結合を10−5Mチオペルアミドの存在下で決定した。30℃で30分のインキュベーション後、アッセイ混合物を0.3%ポリエチレンイミン浸漬GF/Bガラス繊維フィルターを通してろ過し、次いで、これを緩衝液で3回すすぎ洗いし、乾燥させ、Meltilexワックスシンチラントを含浸させ、計数した。IC50値を非線形最小二乗曲線フィッティングプログラムを用いてそのデータに曲線を当てはめて決定し、Ki値はCheng and Prusoffの方法を用いて決定した。
【0538】
この方法を用いて、化合物287は25±4nm(n=4)のKi値を有することが測定した。
【0539】
(実施例34)
糖尿病マウスのグルコース濃度に対する化合物446のインビボでの効果
5週齢の雄性ICRマウスをTaconic Farm(Germantown、NY)から購入し、豚脂からの45%(kcal)脂肪および0.12%(w/w)コレステロールを含む「西洋風食餌」を給餌した。3週間の給餌後、マウスに低用量ストレプトゾシン(STZ、ip80mg/kg)を1回注射して、部分的なインスリン欠乏を誘発した。STZ注射を受けて2週間後に、大部分のSTZ処置マウスは2型糖尿病を発症し、高血糖、インスリン抵抗性、および耐糖能障害を示した。次いで、糖尿病マウスを以下の3群の1つに置いた:(1)非処置対照群、(2)ロシグリタゾンで処置した群(食餌中5mg/kg/日);または(3)化合物446で処置した群(食餌中10mg/kg/日)。すべての動物を4週間処置した。図1および図2に示されるように、化合物446(食餌中10mg/kg/日)で処置したマウスは、対照マウスおよびロシグリタゾン(食餌中5mg/kg/日)で処置したマウスと比べて、有意に減少した非空腹時グルコース濃度およびHbA1C濃度を有した。
【0540】
したがって、式(I)の具体的な化合物である化合物446は、患者における糖尿病を治療するのに有効である。
【0541】
(実施例35)
糖尿病ラットにおけるグルコース濃度に対する化合物446のインビボでの効果
糖尿病Goto−Kakizaki成熟ラット(14週齢)を、血糖計を用いて非空腹時グルコース濃度について試験した。130から370mg/dlのグルコース濃度を有するラットを無作為に処置(N=10)群と対照(N=10)群とに分けた。処置群の動物に10mg/kg/日の用量でそれらの食餌において化合物446を投与した。処置1週後、尾部切れ目を介して血液を収集し、血糖計を用いて非空腹時グルコース濃度を測定した。
【0542】
図3に示されるように、化合物446で処置したラットは、未処置ラットについて、34mg/dlの非空腹時グルコース濃度の平均減少に比べて、81mg/dlの非空腹時グルコース濃度の平均減少を示した。
【0543】
したがって、式(I)の具体的な化合物である化合物446は、患者における糖尿病を治療するのに有効である。
【0544】
(実施例36)
糖尿病ラットにおけるグルコース濃度に対する化合物287のインビボでの効果
70匹の雄性DIO Sprague−Dawleyラットに、HFD(45%Kcal脂肪)を離乳から3カ月間給餌し、25mg/kgで腹腔内にストレプトゾトシン(STZ)を投与し、2型糖尿病(T2DM)を誘発させた。STZ注射後2週に、研究のために44匹のT2DMラットを選択し(群当たりn=11、632から838gの体重、226から426mg/dlの非空腹時グルコース、および8.7%から10.9%のHbA1cを有した)、予め重量を量った45%脂肪(kcal)HFDまたは化合物287(HFD中1.4、2.9mg/g)に2週間無制限に接近を許した。体重、非空腹時グルコースおよび食物摂取を毎日モニターした。身体組成およびHbA1c濃度を、それぞれ、全身磁気共鳴アナライザーおよびCholestech GDXアナライザー(Hayward、CA)で2週試験の前後にモニターした。STZ−DIOラットは、STZ注射後2週に、非空腹時グルコース濃度およびHbA1c濃度の上昇を示した(非空腹時グルコースは226から426mg/dlであり;HbA1cは8.7%から10.9%であった)。低用量のSTZは、血漿インスリン濃度の48%減少をもたらし、これは、食餌規定食を給餌されたラットに高血糖を生じるには不十分であった。対照的に、このレベルの血漿インスリンはHFDによって誘発されたインスリン抵抗性に直面して高血糖を誘発した。図4に示されるように、化合物287は2週の試験期間にわたってHbA1c濃度の用量依存性減少を生じた。対照STZ−DIOラットは、350mg/ml(+12mg/dl)を超える非空腹時グルコース濃度を維持し、これは、14日間にわたってHbA1cの有意な0.96%増加をもたらした。化合物287で処置したSTZ−DIOラット(68mg/kg/日、HFD中2.9mg/g)は、有意に減少した非空腹時グルコース(−43mg/dl)を示し、これは2週でHbA1c濃度の0.6%減少をもたらした。
【0545】
したがって、式(I)の具体的な化合物である化合物287は、患者における糖尿病を治療するのに有効である。
【0546】
式(I)の化合物を使用する方法
式(I)の化合物は、患者における状態を治療または予防するのに有用である。
【0547】
疼痛を治療または予防する方法
式(I)の化合物は、患者における疼痛を治療または予防するのに有用である。
【0548】
したがって、一実施形態において、本発明では、患者における疼痛を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する段階を含む方法が提供される。
【0549】
本方法を用いて治療または予防可能な疼痛の具体的な例には、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、皮膚痛覚、体性痛、内臓痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、癌性疼痛(突出痛を含む)、薬剤療法(例えば、癌化学療法)によって引き起こされる疼痛、頭痛(偏頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛、関節炎によって引き起こされる疼痛、損傷によって引き起こされる疼痛、歯痛、または医療処置(例えば、手術、物理療法または放射線療法)によって引き起こされる疼痛が含まれるが、これらに限定されない。
【0550】
一実施形態において、疼痛は神経因性疼痛である。
【0551】
別の実施形態において、疼痛は癌性疼痛である。
【0552】
別の実施形態において、疼痛は頭痛である。
【0553】
さらに別の実施形態において、疼痛は慢性疼痛である。
【0554】
さらなる実施形態において、疼痛は糖尿病性疼痛である。
【0555】
糖尿病を治療または予防する方法
式(I)の化合物は、患者における糖尿病を治療または予防するのに有用である。したがって、一実施形態において、本発明では、患者における糖尿病を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0556】
式(I)の化合物を用いて治療または予防可能な糖尿病の例には、1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、妊娠糖尿病、抗精神病薬の投与によって引き起こされる糖尿病、抗鬱薬の投与によって引き起こされる糖尿病、ステロイド薬の投与によって引き起こされる糖尿病、自己免疫糖尿病、異常インスリン症、膵臓疾患による糖尿病、他の内分泌腺疾患関連糖尿病(例えば、クッシング症候群、先端巨大症、クロム親和性細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症またはソマトスタチン産生腫瘍)、A型インスリン抵抗性症候群、B型インスリン抵抗性症候群、脂肪萎縮性糖尿病、β−細胞トキシンによって誘発される糖尿病、および薬剤療法によって誘発される糖尿病(例えば、抗精神病薬によって誘発される糖尿病)が含まれるが、これらに限定されない。
【0557】
一実施形態において、糖尿病はI型糖尿病である。
【0558】
別の実施形態において、糖尿病はII型糖尿病である。
【0559】
別の実施形態において、糖尿病は妊娠糖尿病である。
【0560】
糖尿病合併症を治療または予防する方法
式(I)の化合物は、患者における糖尿病合併症を治療または予防するのに有用である。したがって、一実施形態において、本発明では、患者における糖尿病合併症を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0561】
式(I)の化合物を用いて治療または予防可能な糖尿病合併症の例には、糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、神経障害(例えば、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、単発神経障害、自律性神経障害、微量アルブミン尿および進行性糖尿病性神経障害)、腎症、糖尿病性疼痛、足部壊疽、免疫複合体脈管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、アテローム硬化性冠動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡、足部潰瘍、関節障害、皮膚または粘膜合併症(例えば、感染、脛斑点、カンジダ感染または糖尿病性リポイド類壊死症)、高脂血症、高血圧、インスリン抵抗性症候群、冠動脈疾患、真菌感染、細菌感染、および心筋症が含まれるが、これらに限定されない。
【0562】
一実施形態において、糖尿病合併症は神経障害である。
【0563】
別の実施形態において、糖尿病合併症は網膜症である。
【0564】
別の実施形態において、糖尿病合併症は腎症である。
【0565】
耐糖能異常を治療または予防する方法
式(I)の化合物は、患者における耐糖能異常を治療または予防するのに有用である。
【0566】
したがって、一実施形態において、本発明では、患者における耐糖能異常を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0567】
空腹時糖異常を治療または予防する方法
式(I)の化合物は、患者における空腹時糖異常を治療または予防するのに有用である。
【0568】
したがって、一実施形態において、本発明では、患者における空腹時糖異常を治療する方法であって、前記患者に有効量の1種または複数の式(I)の化合物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0569】
併用療法
一実施形態において、本発明では、患者における状態を治療する方法であって、前記患者に1種もしくは複数の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグ、および式(I)の化合物ではない少なくとも1種のさらなる治療薬を投与する工程を含み、ここで、投与される量は一緒になって状態を治療または予防するのに有効である方法が提供される。
【0570】
このような投与を必要としている患者に併用療法を施す場合、併用における治療薬、または前記治療薬を含む薬学的組成物(単数または複数)は、任意の順序、例えば、連続的に、同時に(concurrently)、一緒に(together)、同時に(simultaneously)投与され得る。このような併用療法における様々な活性剤の量は、異なる量(異なる投与量)であっても同じ量(同じ投与量)であってもよい。
【0571】
一実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物は、さらなる治療薬がそれらの予防または治療効果を発揮する期間に投与され、逆もまた同様である。
【0572】
別の実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬は、このような薬剤が状態を治療するために単剤療法として使用される場合に通常用いられる用量で投与される。
【0573】
別の実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬は、このような薬剤が状態を治療するために単剤療法として使用される場合に通常用いられる用量よりも少ない用量で投与される。
【0574】
さらに別の実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬は相乗的に作用し、このような薬剤が状態を治療するために単剤療法として使用される場合に通常用いられる用量よりも少ない用量で投与される。
【0575】
一実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬は同じ組成物中に存在する。一実施形態において、この組成物は経口投与に好適である。別の実施形態において、この組成物は静脈内投与に好適である。
【0576】
1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬は、追加的にまたは相乗的に作用し得る。相乗的併用は、併用療法の1種もしくは複数の薬剤のより少ない投与量の使用および/または1種または複数の薬剤のより少ない頻度の投与を可能にし得る。1種または複数の薬剤のより少ない投与量またはより少ない頻度の投与は、療法の効果を減少させることなく前記療法の毒性をより低下させ得る。
【0577】
一実施形態において、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬の投与は、これらの薬剤に対する状態の抵抗性を阻害し得る。
【0578】
一実施形態において、患者が糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常または空腹時糖異常のために治療される場合、他の治療薬は、式(I)の化合物ではない抗糖尿病薬である。別の実施形態において、患者が疼痛のために治療される場合、他の治療薬は、式(I)の化合物ではない鎮痛薬である。
【0579】
別の実施形態において、他の治療薬は、式(I)の化合物の任意の潜在的な副作用を減少させるのに有用な薬剤である。このような潜在的な副作用には、悪心、嘔吐、頭痛、発熱、昏睡、筋痛、下痢、全身性疼痛、および注射部位における疼痛が含まれるが、これらには限定されない。
【0580】
一実施形態において、他の治療薬は、その知られている治療有効用量で用いられる。別の実施形態において、他の治療薬は、その通常処方される投与量で用いられる。別の実施形態において、他の治療薬は、その通常処方される投与量またはその知られている治療有効用量よりも少ない量で用いられる。
【0581】
糖尿病または糖尿病合併症を治療する本方法に有用な抗糖尿病薬の例には、スルホニル尿素;インスリン抵抗性改善薬;グルコシダーゼ阻害剤;インスリン分泌促進薬;肝グルコース放出低下薬;抗肥満薬;降圧薬;メグリチニド;インビボでデンプンおよび糖の分解を遅延させるまたは阻止する薬剤;ヒスタミンH受容体アンタゴニスト;降圧薬;ナトリウムグルコース取込み輸送体2(SGLT−2)阻害剤;インスリン産生を増加させるペプチド;およびインスリンまたは任意のインスリン含有組成物が含まれる。
【0582】
一実施形態において、抗糖尿病薬はインスリン抵抗性改善薬である。
【0583】
インスリン抵抗性改善薬の非限定的な例には、PPAR活性化剤、例えば、グリタゾンおよびチアゾルジンジオンクラスの薬剤(これらには、ロシグリタゾン、ロシグリタゾンマレエート(GlaxoSmithKline製AVANDIA(商標))、ピオグリタゾン、ピオグリタゾン塩酸塩(Takeda製ACTOS(商標))、シグリタゾンおよびMCC−555(Mitstubishi Chemical Co.)、トログリタゾンならびにエングリタゾンが含まれる);ビグアニド、例えば、フェンホルミン、メトホルミン、メトホルミン塩酸塩(例えば、Bristol−Myers Squibb製GLUCOPHAGE(登録商標))、グリブリド(例えば、Bristol−Myers Squibb製GLUCOVANCE(商標))およびブホルミンを有するメトホルミン塩酸塩;DPP−IV阻害剤、例えば、シタグリプチン、サキサグリプチン(Januvia(商標)、Merck)、デナグリプチン、ビルダグリプチン(Galvus(商標)、Novartis)、アログリプチン、アログリプチンベンゾエート、ABT−279およびABT−341(Abbott)、ALS−2−0426(Alantos)、ARI−2243(Arisaph)、BI−AおよびBI−B(Boehringer Ingelheim)、SYR−322(Takeda)、MP−513(Mitsubishi)、DP−893(Pfizer)、RO−0730699(Roche)またはシタグリプチン/メトホルミンHClの組合せ(Janumet(商標)、Merck);PTP−1B阻害剤;ならびにα−グルコキナーゼ活性化剤、例えば、ミグリトール、アカルボース、およびボグリボースが含まれる。
【0584】
一実施形態において、抗糖尿病薬はDPP−IV阻害剤である。
【0585】
別の実施形態において、抗糖尿病薬はスルホニル尿素である。
【0586】
スルホニル尿素の非限定的な例には、グリピジド、トルブタミド、グリブリド、グリメピリド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリアミリド(gliamilide)、グリクラジド、グリベンクラミドおよびトラザミドが含まれる。
【0587】
一実施形態において、抗糖尿病薬はSGLT−2阻害剤である。
【0588】
本方法に有用なSGLT−2阻害剤の非限定的な例には、ダパグリフロジンおよびセルグリフロジン、AVE2268(Sanofi−Aventis)およびT−1095(Tanabe Seiyaku)が含まれる。
【0589】
別の実施形態において、抗糖尿病薬は肝グルコース放出低下薬である。
【0590】
肝グルコース放出低下薬の非限定的な例には、GlucophageおよびGlucophage XRが含まれる。
【0591】
別の実施形態において、抗糖尿病薬はヒスタミンH受容体アンタゴニストからなる。
【0592】
ヒスタミンH受容体アンタゴニスト剤の非限定的な例には、以下の化合物:
【0593】
【化170】

が含まれる。
【0594】
一実施形態において、抗糖尿病薬はインスリン分泌促進薬である。
【0595】
インスリン分泌促進薬の非限定的な例には、GLP−1、GLP−1模倣体、エキセンジン、GIP、セクレチン、グリピジド、クロルプロパミド、ナテグリニド、メグリチニド、グリベンクラミド、レパグリニドおよびグリメピリドが含まれる。
【0596】
本方法に有用なGLP−1模倣体の非限定的な例には、Byetta−Exanatide、Liraglutinide、CJC−1131(ConjuChem、Exanatide−LAR(Amylin)、BIM−51077(Ipsen/LaRoche)、ZP−10(Zealand Pharmaceuticals)、および国際公開WO00/07617に開示された化合物が含まれる。
【0597】
別の実施形態において、抗糖尿病薬はインスリンまたはインスリン含有調製物である。
【0598】
本明細書において用いられるような「インスリン」という用語には、長時間作用型および短時間作用型のインスリンを含む、インスリンのすべての処方物が含まれる。
【0599】
経口投与可能なインスリンおよびインスリン含有組成物の非限定的な例には、AutoImmune製AL−401、およびそれらのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,579,730号;同第4,849,405号;同第4,963,526号;同第5,642,868号;同第5,763,396号;同第5,824,638号;同第5,843,866号;同第6,153,632号;同第6,191,105号、および国際公開WO85/05029に開示された組成物が含まれる。
【0600】
一実施形態において、抗糖尿病薬は抗肥満薬である。
【0601】
糖尿病を治療する本方法に有用な抗肥満薬の非限定的な例には、5−HT2Cアゴニスト、例えば、ロルカセリン;神経ペプチドYアンタゴニスト;MCR4アゴニスト;MCH受容体アンタゴニスト;タンパク質ホルモン、例えば、レプチンまたはアジポネクチン;AMPキナーゼ活性化剤;およびリパーゼ阻害剤、例えば、オーリスタットが含まれる。食欲抑制剤は、本方法に有用な抗肥満薬の範囲内にあるとは考えられていない。
【0602】
別の実施形態において、抗糖尿病薬は降圧薬である。
【0603】
糖尿病を治療する本方法に有用な降圧薬の非限定的な例には、β−遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロピジン、およびミベフラジル)、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、リシノプリル、エナラプリル、スピラプリル(spirapril)、セラノプリル(ceranopril)、ゼフェノプリル(zefenopril)、ホシノプリル(fosinopril)、シラゾプリル(cilazopril)、およびキナプリル)、AT−1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタン)、レニン阻害剤およびエンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン(sitaxsentan))が含まれる。
【0604】
別の実施形態において、抗糖尿病薬はメグリチニドである。
【0605】
糖尿病を治療する本方法に有用なメグリチニドの非限定的な例には、レパグリニドおよびナテグリニドが含まれる。
【0606】
さらに別の実施形態において、抗糖尿病薬はインビボでデンプンおよび糖の分解を遅延させるまたは阻止する薬剤である。
【0607】
インビボでデンプンおよび糖の分解を遅延させまたは阻止し、本発明の組成物および方法における使用に好適である抗糖尿病薬の非限定的な例には、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤およびインスリン産生を増加させるある種のペプチドが含まれる。アルファ−グルコシダーゼ阻害剤は、摂取された炭水化物の消化を遅延させ、それにより食事に伴う血糖濃度の比較的小さい上昇をもたらすことによって、体が血糖を低下させるのに役立つ。好適なアルファ−グルコシダーゼ阻害剤の非限定的な例には、アカルボース;ミグリトール;カミグリボースボーゼ(camiglibose);国際公開WO01/47528に開示されたようなある種のポリアミン(参照により本明細書に組み込まれる);ボグリボースが含まれる。インスリン産生を増加させる好適なペプチドの非限定的な例には、アムリンチド(Amylin製CAS登録番号122384−88−7);プラムリンチド(pramlintide)、エクセンジン、国際公開WO00/07617(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたようなグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)アゴニスト活性を有するある種の化合物が含まれる。
【0608】
疼痛を治療する本方法に有用な他の鎮痛薬の非限定的な例には、アセトアミノフェン、NSAID、アヘン剤または三環系抗鬱薬が含まれる。
【0609】
一実施形態において、他の鎮痛薬はアセトアミノフェンまたはNSAIDである。
【0610】
別の実施形態において、他の鎮痛薬はアヘン剤である。
【0611】
別の実施形態において、他の鎮痛薬は三環系抗鬱薬である。
【0612】
疼痛を治療する本方法に有用なNSAIDの非限定的な例には、サリチル酸塩、例えば、アスピリン、アモキシプリン、ベノリラート(benorilate)またはジフルニサル;アリールアルカン酸、例えば、ジクロフェナク、エトドラック、インドメタシン、ケトロラック、ナブメトン、スリンダックもしくはトルメチン;2−アリールプロピオン酸(「プロフェン」)、例えば、イブプロフェン、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸もしくはスプロフェン;フェナム酸、例えば、メフェナム酸もしくはメクロフェナム酸;ピラゾリジン誘導体、例えば、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾールもしくはオキシフェンブタゾン;コキシブ、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブもしくはパレコキシブ;オキシカム、例えば、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカムもしくはテノキシカム;またはスルホンアニリド、例えば、ニメスリドが含まれる。
【0613】
疼痛を治療する本方法に有用なアヘン剤の非限定的な例には、アニリドピペリジン、フェニルピペリジン、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体およびモルフィナン誘導体が含まれる。アヘン剤のさらなる具体的な例には、モルヒネ、ジアモルヒネ、ヘロイン、ブプレノルフィン、ジピパノン(dipipanone)、ペチジン、デクストロモラミド(dextromoramide)、アルフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、メタドン、コデイン、ジヒドロコデイン、トラマドール、ペンタゾシン、バイコジン(vicodin)、オキシコドン、ヒドロコドン、パーコセット(percocet)、パーコダン(percodan)、ノルコ(norco)、ジラウジッド(dilaudid)、ダルボセットまたはロルセット(lorcet)が含まれる。
【0614】
疼痛を治療する本方法に有用な三環系抗鬱薬の非限定的な例には、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチンまたはプレガバリンが含まれる。
【0615】
状態の治療または予防のための本発明の併用療法において使用される他の薬剤の用量および投与計画は、添付文書における承認された用量および投与計画;患者の年齢、性別および全身の健康;ならびにウイルス感染または関連疾患もしくは障害の種類および重症度を考慮に入れて、担当臨床医によって決定され得る。併用投与された場合、上に列挙された疾患または状態を治療するための式(I)の化合物および他の薬剤は、同時にまたは連続的に投与され得る。併用の成分が異なる服薬スケジュール、例えば、1つの成分は毎日1回およびもう1つは6時間ごとに投与される場合、または好ましい薬学的組成物が異なっている、例えば、1つが錠剤であり1つがカプセルである場合、これは特に有用である。したがって、別個の剤形を含むキットは有利である。
【0616】
一般に、併用療法として投与される場合、1種または複数の式(I)の化合物およびさらなる治療薬の総1日投与量は、1日当たり約0.1から約2000mgの範囲であり得るが、変動は、治療の標的、患者および投与経路に依存して必然的に生じる。一実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約0.2から約100mg/日である。別の実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約1から約500mg/日である。別の実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約1から約200mg/日である。さらに別の実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約1から約100mg/日である。さらに別の実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約1から約50mg/日である。さらなる実施形態において、投与量は、単回投与または2〜4回の分割投与で投与されて、約1から約20mg/日である。
【0617】
組成物および投与
一実施形態において、本発明では、有効量の1種または複数の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。
【0618】
この発明によって記載される化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性の薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐薬が含まれる。粉末および錠剤は、約5から約95パーセントの活性成分から構成され得る。好適な固体担体は、当該分野で知られており、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に好適な固体剤形として使用され得る。薬学的に許容される担体および種々の組成物のための製造方法の例は、A. Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(1990年)、Mack Publishing Co.、Easton、PAに見いだされ得る。
【0619】
液体形態調製物には、溶液、懸濁液および乳濁液が含まれる。一例として、非経口注射のための水溶液もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液および乳濁液のための甘味料および不透明化剤の添加が言及され得る。液体形態調製物には、鼻腔内投与のための溶液も含まれ得る。
【0620】
吸入に好適なエアロゾル調製物には、溶液および粉末形態の固体が含まれ、これらは、薬学的に許容される担体、例えば、不活性圧縮ガス、例えば、窒素と併用してもよい。
【0621】
使用直前に、経口または非経口投与のいずれかのための液体形態調製物に変換されることが意図される固体形態調製物も含まれる。このような液体形態には、溶液、懸濁液および乳濁液が含まれる。
【0622】
本発明の化合物は、経皮的に送達可能であってもよい。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形態を取り得、この目的のために当該分野で従来式であるようなマトリックスの経皮パッチまたは容器型に含まれ得る。
【0623】
一実施形態において、式(I)の化合物は経口投与される。
【0624】
別の実施形態において、式(I)の化合物は非経口投与される。
【0625】
別の実施形態において、式(I)の化合物は静脈内投与される。
【0626】
一実施形態において、薬学的調製物は、単位剤形である。このような形態において、調製物は、活性成分の適当な量、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含む適切な大きさにした単位用量に細分される。
【0627】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、約0.1から約2000mgである。変動は、治療の標的、患者および投与経路に依存して必然的に生じる。一実施形態において、単位用量投与量は、約0.2から約1000mgである。別の実施形態において、単位用量投与量は、約1から約500mgである。別の実施形態において、単位用量投与量は、約1から約100mg/日である。さらに別の実施形態において、単位用量投与量は、約1から約50mgである。さらに別の実施形態において、単位用量投与量は、約1から約10mgである。
【0628】
用いられる実際の投与量は、患者の要件および治療されている状態の重症度に依存して変えられ得る。特定の状況のための適切な投与計画の決定は、当該分野の技術範囲内である。便宜のために、総1日投与量は、分割されて、必要とされる日の間に複数回に分けて投与され得る。
【0629】
本発明の化合物および/またはその薬学的に許容される塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および体格ならびに治療されている症状の重症度などの要因を考慮して、担当臨床医の判断によって調節される。経口投与のための典型的な推奨1日投与計画は、2〜4回の分割投与で、約1mg/日から約300mg/日、好ましくは1mg/日から75mg/日の範囲であり得る。
【0630】
本発明が少なくとも1種の式(I)の化合物およびさらなる治療薬の組合せを含む場合、これらの2つの活性成分は同時にもしくは連続的に共投与されてもよいか、または薬学的に許容される担体中に少なくとも1種の式(I)の化合物およびさらなる治療薬を含む単一の薬学的組成物が投与され得る。組合せの成分は、例えば、カプセル、錠剤、粉末、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐薬、鼻スプレーなどの任意の従来の剤形で個々にまたは一緒に投与され得る。さらなる治療薬の投与量は、刊行物から決定することができ、用量当たり約1から約1000mgの範囲であり得る。一実施形態において、組合せで使用される場合、個々の成分の投与量レベルは、組合せの有利な効果のために推奨される個々の投与量より低い。
【0631】
一実施形態において、併用療法計画の成分は同時に投与されるべきであり、それらは薬学的に許容される担体と一緒の単一の組成物で投与され得る。
【0632】
別の実施形態において、併用療法計画の成分が別個にまたは連続的に投与される場合、それらは、それぞれ薬学的に許容される担体を含む別個の組成物で投与され得る。
【0633】
併用療法の成分は、例えば、カプセル、錠剤、粉末、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐薬、鼻スプレーなどの任意の従来の剤形で個々にまたは一緒に投与され得る。
【0634】
キット
一態様において、本発明では、有効量の1種もしくは複数の式(I)の化合物、またはその化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容される担体、ビヒクルもしくは希釈剤を含むキットが提供される。
【0635】
別の態様において、本発明では、ある量の1種もしくは複数の式(I)の化合物、またはその化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、およびある量の少なくとも1種の上に列挙されたさらなる治療薬を含み、その合わせた量が患者における状態を治療または予防するのに有効であるキットが提供される。
【0636】
併用療法計画の成分が2つ以上の組成物で投与される場合、それらは、単一の包装に、薬学的に許容される担体中に式(I)の化合物を含む1つの容器、およびそれぞれが薬学的に許容される担体中に1種または複数のさらなる治療薬を含む1個または複数の別個の容器を含み、それぞれの組成物の活性成分がその組合せが治療上有効であるような量で存在しているキットで提供され得る。
【0637】
本発明は、本発明のいくつかの態様の説明として意図される実施例に開示された具体的実施形態によって限定されるべきではなく、および機能的に同等である任意の実施形態は本発明の範囲内にある。事実、本明細書で示されおよび記載されるものに加えて本発明の様々な変更は、当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0638】
多くの参考文献が本明細書において引用されてきたが、それらの全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における状態を治療する方法であって、該患者に有効量の1種もしくは複数の式:
【化171】

を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグを投与する工程を含み、式中:
は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキル、シクロアルキルまたはアルキルアリールであり、これらのそれぞれは、1から4個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−S(O)N(R20および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得るか、あるいはRおよびXは一緒になって、
【化172】

を形成し;
Xは、−C(O)−、−C(NOR)−、−C(NNR)−、
【化173】

であり;
は、5または6員のヘテロアリール基であり、ここで、6員のヘテロアリール基は、1または2個の窒素環原子を含み、残りの環原子は炭素であり、5員のヘテロアリール基は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1または2個のヘテロ環原子を含み、残りの環原子は炭素であり;ここで、5または6員のヘテロアリール基は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、アルキル、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−CHNR、−(N)C(NRおよび−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ハロアルキル、−CHCF、−(CH−C(O)N(R、−(CH−C(O)ORまたは−(CH−C(O)R30であり、ここで、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基、あるいはアリールアルキル基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−OCF、ハロアルキル、−CN、−N(R45、−CO45および−C(O)N(R45から独立して選択される)で場合によって置換され得;
のそれぞれの存在は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、ここで、アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、ハロアルキル、−OCF、−OH、−N(R45、−CO45、−C(O)N(R45および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、−C(O)R、−C(O)または−C(O)N(Rであるか、あるいはRおよびRはそれらが両方結合している窒素原子と一緒になって、連結して、5または6員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
は、アルキル、アリール、アルキルアリール、ハロ、−OH、−O−(C〜Cアルキル)、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(Rまたは−CNであり;
12は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
13は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
20のそれぞれの存在は、独立して、−HまたはC〜Cアルキルであり;
30はヘテロシクロアルキルであり;
45のそれぞれの存在は、独立して、H、アルキル、アルキルアリール、またはアリールであり、ここで、該アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロアルキル、−OH、ハロ、アルキル、−NO、および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
およびMは、それぞれ独立して、CH、CFまたはNであり;
Yは、−CH−、−C(O)−、−C(NOR20)−または−C(S)−であり;
Zはアルキレンであり;
aは、0、1または2であり;
bは、0、1または2であり;
cは、0、1または2であり;
eは、0から5の範囲の整数であり;
mは、1または2であり;
nは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、nは2または3であり;
pは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、pは2または3であり、
該状態は、糖尿病、糖尿病合併症、耐糖能異常または空腹時糖異常である、方法。
【請求項2】
前記状態が糖尿病である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物に関して、Rがアリールもしくはヘテロアリールであるか、またはRがXと一緒になって、
【化174】

を形成し、ここで、アリールまたはヘテロアリール基は、ハロ、アルキルまたは置換アルキルで場合によって置換され得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物に関して、Rがフェニル、
【化175】

であるか、またはRがXと一緒になって、
【化176】

を形成し、ここで、cは0または1であり、cが1である場合に、Rは−Fであり、フェニル基は−Cl、−Fまたはトリフルオロメチルの1個または複数で場合により、かつ独立して置換され得る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】

【化177】

である、請求項6に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)の化合物に関して、Xが−C(NOR)−であり、RがHまたはアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
が、H、メチルまたはエチルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
がメチルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(I)の化合物に関して、MおよびMがそれぞれCHである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)の化合物に関して、nが2であり;aが0または1であり;bが0または1であり;cが0または1であり、cが1である場合、Rがハロであり;eが1から5の範囲の整数であり;pが2である、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記式(I)の化合物に関して、Yが−C(O)−である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)の化合物に関して、Zが
【化178】

である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記式(I)の化合物に関して、Rが6員のヘテロアリール環である、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
がピリジルまたはピリミジニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】

【化179】

である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】

【化180】

である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記式(I)の化合物に関して、RがHまたは低級アルキルであり;Rが、H、C〜Cアルキル、または−C(O)Rであり;R12が、H、アルキル、−OHまたは−Fであり;R13が、H、アルキル、−OHまたは−Fである、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記式(I)の化合物が、式(Ia):
【化181】

の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、RおよびRは請求項1に定義されている、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
がアリールまたはヘテロアリールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
がフェニル、ピリジルまたは
【化182】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
がピリジルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
が6員のヘテロアリールである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
がピリジルまたはピリミジニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
が、
【化183】

である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】

【化184】

である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
がアルキルである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
がメチルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
が6員のヘテロアリールであり、Rがアルキルである、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記1種または複数の式(I)の化合物が、
【化185】

【化186】

【化187】

【化188】

【化189】

【化190】

【化191】

【化192】

【化193】

【化194】

【化195】

【化196】

【化197】

またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記式(I)の化合物が、
【化198】

またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記式(I)の化合物が、
【化199】

またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記患者に、式(I)の化合物ではないさらなる抗糖尿病薬を投与する工程をさらに含み、ここで、該式(I)の化合物および該さらなる抗糖尿病薬の量が一緒になって糖尿病を治療するのに有効である、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記さらなる抗糖尿病薬が、スルホニル尿素、インスリン抵抗性改善薬、α−グルコシダーゼ阻害剤、インスリン分泌促進薬、抗肥満薬、メグリチニド、インスリンまたはインスリン含有組成物から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記さらなる抗糖尿病薬がインスリン抵抗性改善薬またはスルホニル尿素である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記インスリン抵抗性改善薬がPPAR活性化剤またはDPP−IV阻害剤である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記さらなる抗糖尿病薬が抗肥満薬である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記抗肥満薬が、神経ペプチドYアンタゴニスト、MCR4アゴニスト、MCH受容体アンタゴニスト、タンパク質ホルモン、AMPキナーゼ活性化剤、およびリパーゼ阻害剤から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗肥満薬が、オーリスタット、レプチン、またはアジポネクチンである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記糖尿病がI型糖尿病である、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
前記糖尿病がII型糖尿病である、請求項2に記載の方法。
【請求項41】
前記治療される状態が、糖尿病合併症である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記糖尿病合併症が、糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、神経障害、腎症、足部壊疽、免疫複合体脈管炎、全身性エリテマトーデス、アテローム硬化性冠動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡、足部潰瘍、または関節障害である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記糖尿病合併症が、神経障害、網膜症または腎症である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記治療される状態が耐糖能異常である、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記治療される状態が空腹時糖異常である、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
患者における疼痛を治療する方法であって、該患者に有効量の1種または複数の式
【化200】

を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグを投与する工程を含み、式中:
は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキル、シクロアルキルまたはアルキルアリールであり、これらのそれぞれは、1から4個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−S(O)N(R20および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得るか、あるいはRおよびXは一緒になって、
【化201】

を形成し;
Xは、−C(O)−、−C(NOR)−、−C(NNR)−、
【化202】

であり;
は、5または6員のヘテロアリール基であり、ここで、6員のヘテロアリール基は、1または2個の窒素環原子を含み、残りの環原子は炭素であり、5員のヘテロアリール基は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1または2個のヘテロ環原子を含み、残りの環原子は炭素であり;ここで、5または6員のヘテロアリール基は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、アルキル、−O−アルキル、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(R、−CHNR、−(N)C(NRおよび−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ハロアルキル、−CHCF、−(CH−C(O)N(R、−(CH−C(O)ORまたは−(CH−C(O)R30であり、ここで、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基、あるいはアリールアルキル基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、−OH、−OCF、ハロアルキル、−CN、−N(R45、−CO45および−C(O)N(R45から独立して選択される)で場合によって置換され得;
のそれぞれの存在は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、ここで、アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロ、ハロアルキル、−OCF、−OH、−N(R45、−CO45、−C(O)N(R45および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
は、水素、アルキル、−C(O)R、−C(O)または−C(O)N(Rであるか、あるいはRおよびRはそれらが両方結合している窒素原子と一緒になって、連結して、5または6員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
は、アルキル、アリール、アルキルアリール、ハロ、−OH、−O−(C〜Cアルキル)、ハロアルキル、−OCF、−NR、フェニル、−NO、−CO、−CON(Rまたは−CNであり;
12は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
13は、アルキル、−OH、−O−アルキル、または−Fであり;
20のそれぞれの存在は、独立して、−HまたはC〜Cアルキルであり;
30はヘテロシクロアルキルであり;
45のそれぞれの存在は、独立して、H、アルキル、アルキルアリール、またはアリールであり、ここで、アリール基またはアルキルアリール基のアリール部分は、1から3個の置換基(これは同じかまたは異なっており、ハロアルキル、−OH、ハロ、アルキル、−NO、および−CNから独立して選択される)で場合によって置換され得;
およびMは、それぞれ独立して、CH、CFまたはNであり;
Yは、−CH−、−C(O)−、−C(NOR20)−または−C(S)−であり;
Zはアルキレンであり;
aは、0、1または2であり;
bは、0、1または2であり;
cは、0、1または2であり;
eは、0から5の範囲の整数であり;
mは、1または2であり;
nは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、nは2または3であり;
pは、1、2または3であり、Mが窒素である場合、pは2または3である、方法。
【請求項47】
前記式(I)の化合物が、請求項29に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記式(I)の化合物が、
【化203】

またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記式(I)の化合物が、
【化204】

またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記患者に式(I)の化合物ではないさらなる鎮痛薬を投与する工程をさらに含み、前記1種または複数の式(I)の化合物および前記さらなる鎮痛薬の量が一緒になって糖尿病を治療するのに有効である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記さらなる鎮痛薬が、アセトアミノフェン、NSAID、アヘン剤または三環系抗鬱薬である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記NSAIDが、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブまたはパレコキシブである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アヘン剤が、アニリドピペリジン、フェニルピペリジン、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体またはモルフィナン誘導体である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記アヘン剤が、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジアモルヒネ、ペチジン、バイコジン、パーコセット、パーコダン、ノルコ、ジラウジッド、ダルボセット、ロルセット、ペンタゾシン、トラマドールまたはフェンタニルである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1に記載の化合物、式(I)の化合物ではないさらなる抗糖尿病薬、および薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項56】
前記さらなる抗糖尿病薬が、スルホニル尿素、インスリン抵抗性改善薬、α−グルコシダーゼ阻害剤、インスリン分泌促進薬、抗肥満薬、メグリチニド、インスリンまたはインスリン含有組成物から選択される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記さらなる抗糖尿病薬が、インスリン抵抗性改善薬またはスルホニル尿素である、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記インスリン抵抗性改善薬が、PPAR活性化剤またはDPP−IV阻害剤である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記さらなる抗糖尿病薬が抗肥満薬である、請求項55に記載の組成物。
【請求項60】
前記抗肥満薬が、神経ペプチドYアンタゴニスト、MCR4アゴニスト、MCH受容体アンタゴニスト、タンパク質ホルモン、AMPキナーゼ活性化剤、およびリパーゼ阻害剤から選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記抗肥満薬が、オーリスタット、レプチン、またはアジポネクチンである、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
請求項1に記載の化合物、式(I)の化合物ではないさらなる鎮痛薬、および薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項63】
前記さらなる鎮痛薬が、アセトアミノフェン、NSAID、アヘン剤または三環系抗鬱薬である、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記NSAIDが、サリチル酸塩、アリールアルカン酸、プロフェン、フェナム酸、ピラゾリジン誘導体、コキシブ、オキシカムまたはスルホンアニリドである、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記NSAIDが、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブまたはパレコキシブである、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記さらなる鎮痛薬がアヘン剤である、請求項63に記載の組成物。
【請求項67】
前記アヘン剤が、アニリドピペリジン、フェニルピペリジン、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体またはモルフィナン誘導体である、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記アヘン剤が、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジアモルヒネ、ペチジン、バイコジン、パーコセット、パーコダン、ノルコ、ジラウジッド、ダルボセット、ロルセット、ペンタゾシン、トラマドールまたはフェンタニルである、請求項67に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−520199(P2010−520199A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551712(P2009−551712)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/002590
【国際公開番号】WO2008/108957
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】