ファンケーシング用軸受支えおよびその製造方法
【課題】軸受を完全に整列させて、軸受間の隙間および各軸受と座との間の隙間が生じる問題を解決する軸受支えとその製造方法の提供。
【解決手段】 同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材5,6により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受3,4を含む軸受組立体2を備え、前記軸受支え1は、軸受組立体の外面上に射出成形されたシース7を備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支え。
【解決手段】 同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材5,6により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受3,4を含む軸受組立体2を備え、前記軸受支え1は、軸受組立体の外面上に射出成形されたシース7を備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支え。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にファンケーシングに用いられる軸受支えと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、衣類用乾燥機又は乾燥手段を有する衣類用洗濯機は、衣類を乾燥するために空気をドラム内に誘引するファンまたはベンチレータを備えている。
ファンは、軸駆動される羽根車と、羽根車を収容し、空気の取入口と排出口とを形成するファンケーシングから構成される。
ファンケーシングは、カバー部材に取り付け可能な後部シェルから成り、後部シェルは、ファン軸への結合に適合した軸受用の座を構成する。
【0003】
当技術分野で知られているように、後部シェルは、先ず、ダイカスト工程で形成され、その後、軸受を収容する軸受座に対応するように正確に機械加工される。軸受を座の所定の位置に固定するために、専用工具が必要である。このような工具によって、座の内部に軸受を取り付けるのに必要な相当の位置決め力が得られ、又座内の正確な位置に軸受を配置することができる。
【0004】
小径の軸受、スペーサ、大径の軸受、そして最後に安全リングがこの順に座内に組み付けられ、それにより大径と小径の軸受が同軸上に配置され、スペーサによって互いに軸方向に離隔して組み立てられる。
軸受に結合した適切なピンと、適切な位置決めガイドによって、取り付け工程の間、前記二つの軸受の相互位置が正確に保たれるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の軸受組立体は、多くの欠点を持つ事が分かっている。
軸受を完全に整列させて、軸受間の隙間および各軸受と座との間の隙間が生じるのを完全に防ぐためには、高精度の軸受座機械加工と、高精度の軸受の取り付けが必要である。このような作業を行うことはかなり複雑で、製造されるベンチレータ内に取り付けられた全ての軸受組立体に必要な精度を確保するのは困難であるため、ファン動作中に、不完全な整列や隙間が頻繁に生じ、振動や騒音を引き起こす。
別の欠点は、専用工具と正確な位置決めガイドの使用により、軸受取り付け作業がさらに困難で複雑化し、そのため、軸受の整列不良および/または軸受座の隙間が生じる可能性が高くなることである。
更に別の欠点として、軸受組立体を支持するファンケーシングシェルの製造方法は、複数の工程(即ち、ダイカスト工程、軸受座機械加工工程、軸受取り付け工程)から構成されているため、時間がかかり、その結果、全体コストが上がる。
【0006】
本発明の一つの目的は、前述した問題を解決する軸受支えとその製造方法を提供し、引用した従来技術の欠点を解消することにある。
本発明の更なる目的は、構造が比較的簡単で、信頼性があり、比較的安価に製造できる軸受支えを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的、及び他の目的を達成するために、本発明の一態様は、同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を含む軸受組立体を備え、前記軸受支えは、軸受組立体の外面上に射出成形されたシースを備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支えである。
【0008】
また、本発明の他の態様は、同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を備え、中央軸方向ボアが画成されている軸受組立体を、射出成形型の母型に対して配置する工程と、射出材料が中央軸方向ボアと軸受内に侵入するのを防ぐために、軸受組立体を同軸上に整列させて軸方向に締め付けるように、前記射出成形型のパンチを前記軸受組立体上に当接させる工程と、組立体の外面上に射出成形される組み立てシースを形成するために、プラスチック材料を成形型内に射出する工程とを含む、特にファンケーシングに用いられる軸受支えの製造方法である。
【0009】
本発明の更なる特徴と利点は、以下の説明に記載され、その説明から部分的に明らかとなるものであり、あるいは、本発明を実施することにより理解することができる。本発明の目的とその他の利点は、非限定的な実施例を通して、明細書の中の記載、請求の範囲、及び添付図面に示した構造と方法により、十分理解して実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2に示す、符号1として表示した本発明による特にファンケーシング用の軸受支えの一実施例は、同軸上に配置されて、少なくともひとつのスペーサ部材5、6により軸方向に互いに離隔されている少なくとも2つの軸受3、4を含む軸受組立体2を有している。
【0011】
便宜的に、軸受支え1は、軸受組立体2の外面上に射出成形されたシース7を有し、前記シース7は、前記軸受3、4が動作中に振動するのを防ぐために、前記軸受3、4を整列状態で収容し、固定する。
【0012】
軸受組立体2は、2つの異なるサイズの軸受、具体的には、より大きな径を有する第1の軸受3と、より小さな径を有する第2の軸受4から構成されている。各軸受3、4は、外側軌道輪8、内側軌道輪9、両軌道輪8、9によって形成された軌道上を転動するように環状に配置された複数の転動手段(図示せず)を有する。これら内側軌道輪9は軸方向に整列し、第1の内側スペーサリング5によって互いに離隔され、これにより、ファン軸11の受容に適合した中央軸線方向ボア10を形成する。
【0013】
ファン軸11は、軸受3、4に結合し、ファン軸11の両端部が中央軸線方向ボア10から突出して、一方の側で羽根車12と連結し、他方の側で駆動プーリ13と結合する位置で動作する。
【0014】
軸受組立体2は、さらに、2つの外側軌道輪8間の間隙に配置される環状部14を有する外側スペーサ部材6を備え、これにより、2つの外側軌道輪8を軸方向に離隔させる。外側スペーサ部材6は、環状部14から突出して、より大きな径を有する軸受3の外側軌道輪8の一部の上を軸方向に延びるフランジ部15を有する。この実施例において、羽根車12は、遠心ファンに用いられる種類のものである。
【0015】
組立体1の外面上に射出成形されたシース7は、組立体を収容して締め付け、これにより、径方向および軸方向に隙間なく、軸受3、4を互いの位置に整列させる。
【0016】
好ましくは、無振動、騒音抑制プラスチック材料、例えば、ポリウレタンからできているシース7は、2つの外側軌道輪8の外面の上に延在する。外側スペーサ部材6のフランジ部15はプラスチックシース7に埋設され、プラスチックシース7に別の固着面を与える。
【0017】
環状体16はシース7と一体形成され、これにより、羽根車12の収容に適合したファンケーシング17を提供する。
提案されている実施例において、環状体16は、駆動プーリ13と羽根車12の間に延伸し、ファンカバー18への連結に適合したファンケーシング17の後部を画定する。
【0018】
本発明による特にファンケーシングに用いられる軸受支え1の製造方法において、軸受組立体2は、射出成形型20の母型19に対応して配置される。
このため、軸受組立体2を組み立てるためにゲージ手段が備えられている。このようなゲージ手段はゲージピン22を有し、該ゲージピンの上に軸受3、4とスペーサ部材5,6が正確に位置決めされて装着される。ゲージピン22は、ピン22の第1の端部が母型19内に備えられた第1ブッシュ内への収容に適合するように、軸受組立体から軸方向に突出している。
【0019】
次に、パンチ21が軸受組立体2に当接するように、射出成形型20のパンチ21を母型19に向けて移動させられる。図3に示すように、パンチ21は、ゲージピン22の第2の端部の受容に適合した第2のブッシュを備えている。
ケージピン22は、母型19またはパンチ22と一体構造にすることができるのは明らかである。
母型19及びゲージピン22と連携するパンチ21は、射出材料が中央軸方向ボア10と軸受3,4内に侵入するのを防止するために、軸受組立体2を同軸上に整列して軸方向に締め付ける。
母型19とパンチ21は、軸受3、4と一致するように適切に成形されているため、射出工程中、プラスチック材料は外側および内側軌道輪8、9の間に侵入できず、軸受の詰まりを防止できる事実に注意されたい。
【0020】
同じ目的で、外側スペーサ部材6も適切に形成することにより、プラスチック材料が軸受3、4の軸方向間隙に侵入するのを防ぐ。
その後、シース7を形成するためにプラスチック材料が成形型内に射出される。プラスチック材料は軸受組立体2の外面上に射出され、軸受組立体2と共に小型ユニットを形成する。
【0021】
シース7が形成された後、プラスチックは冷えて収縮するため、軸受3、4およびスペーサ部材5、6は、隙間なく、軸方向および半径方向に固定され保持される。
また、環状体16は、同じ射出成形型20内で、シース7と一体形成されるという利点がある。
したがって、本発明による軸受支えは、軸受の整列不良および隙間によって生じる振動を除去すると言える。
【0022】
本発明の1つの利点は、軸受支えは製造コストが低く、信頼性があることである。
本発明の別の利点は、製造が簡単で安価な軸受組立体を有するファンケーシングを提供することである。
本発明のさらに別の利点は、軸受の完全な整列を確実にし、軸受間の間隙が生じるのを防ぐことにより、振動および騒音に関連する従来技術に共通の重大な欠点を排除できる、軸受支え製造方法を提供することである。
【0023】
本発明による方法は、軸受座機械加工工程と、軸受装着工程を省くことにより、該方法の実施を極力簡単且つ安価にしている。
本発明による方法は、軸方向に隣接する軸受とスペーサ部材との組み立てと、それに続く射出成形型への導入は、公知の自動化設備および機械で、経済的に実施することのできる高速連続生産における簡単な方法であるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による軸受支えから構成されるベンチレータの断面図である。
【図2】図1に示す軸受支えの詳細拡大図である。
【図3】本発明による射出成形型内に配置された軸受組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 軸受支え
2 軸受組立体
3,4 軸受
5,6 スペーサ部材(スペーサリング)
7 シース(プラスチックシース)
8 外側軌道輪
9 内側軌道輪
10 中央軸方向ボア
11 ファン軸
12 羽根車
13 駆動プーリ
14 環状部
15 フランジ部
16 環状体
17 ファンケーシング
18 ファンカバー
19 母型
20 射出成形型
21 パンチ 22 ゲージ手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にファンケーシングに用いられる軸受支えと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、衣類用乾燥機又は乾燥手段を有する衣類用洗濯機は、衣類を乾燥するために空気をドラム内に誘引するファンまたはベンチレータを備えている。
ファンは、軸駆動される羽根車と、羽根車を収容し、空気の取入口と排出口とを形成するファンケーシングから構成される。
ファンケーシングは、カバー部材に取り付け可能な後部シェルから成り、後部シェルは、ファン軸への結合に適合した軸受用の座を構成する。
【0003】
当技術分野で知られているように、後部シェルは、先ず、ダイカスト工程で形成され、その後、軸受を収容する軸受座に対応するように正確に機械加工される。軸受を座の所定の位置に固定するために、専用工具が必要である。このような工具によって、座の内部に軸受を取り付けるのに必要な相当の位置決め力が得られ、又座内の正確な位置に軸受を配置することができる。
【0004】
小径の軸受、スペーサ、大径の軸受、そして最後に安全リングがこの順に座内に組み付けられ、それにより大径と小径の軸受が同軸上に配置され、スペーサによって互いに軸方向に離隔して組み立てられる。
軸受に結合した適切なピンと、適切な位置決めガイドによって、取り付け工程の間、前記二つの軸受の相互位置が正確に保たれるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の軸受組立体は、多くの欠点を持つ事が分かっている。
軸受を完全に整列させて、軸受間の隙間および各軸受と座との間の隙間が生じるのを完全に防ぐためには、高精度の軸受座機械加工と、高精度の軸受の取り付けが必要である。このような作業を行うことはかなり複雑で、製造されるベンチレータ内に取り付けられた全ての軸受組立体に必要な精度を確保するのは困難であるため、ファン動作中に、不完全な整列や隙間が頻繁に生じ、振動や騒音を引き起こす。
別の欠点は、専用工具と正確な位置決めガイドの使用により、軸受取り付け作業がさらに困難で複雑化し、そのため、軸受の整列不良および/または軸受座の隙間が生じる可能性が高くなることである。
更に別の欠点として、軸受組立体を支持するファンケーシングシェルの製造方法は、複数の工程(即ち、ダイカスト工程、軸受座機械加工工程、軸受取り付け工程)から構成されているため、時間がかかり、その結果、全体コストが上がる。
【0006】
本発明の一つの目的は、前述した問題を解決する軸受支えとその製造方法を提供し、引用した従来技術の欠点を解消することにある。
本発明の更なる目的は、構造が比較的簡単で、信頼性があり、比較的安価に製造できる軸受支えを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的、及び他の目的を達成するために、本発明の一態様は、同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を含む軸受組立体を備え、前記軸受支えは、軸受組立体の外面上に射出成形されたシースを備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支えである。
【0008】
また、本発明の他の態様は、同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を備え、中央軸方向ボアが画成されている軸受組立体を、射出成形型の母型に対して配置する工程と、射出材料が中央軸方向ボアと軸受内に侵入するのを防ぐために、軸受組立体を同軸上に整列させて軸方向に締め付けるように、前記射出成形型のパンチを前記軸受組立体上に当接させる工程と、組立体の外面上に射出成形される組み立てシースを形成するために、プラスチック材料を成形型内に射出する工程とを含む、特にファンケーシングに用いられる軸受支えの製造方法である。
【0009】
本発明の更なる特徴と利点は、以下の説明に記載され、その説明から部分的に明らかとなるものであり、あるいは、本発明を実施することにより理解することができる。本発明の目的とその他の利点は、非限定的な実施例を通して、明細書の中の記載、請求の範囲、及び添付図面に示した構造と方法により、十分理解して実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2に示す、符号1として表示した本発明による特にファンケーシング用の軸受支えの一実施例は、同軸上に配置されて、少なくともひとつのスペーサ部材5、6により軸方向に互いに離隔されている少なくとも2つの軸受3、4を含む軸受組立体2を有している。
【0011】
便宜的に、軸受支え1は、軸受組立体2の外面上に射出成形されたシース7を有し、前記シース7は、前記軸受3、4が動作中に振動するのを防ぐために、前記軸受3、4を整列状態で収容し、固定する。
【0012】
軸受組立体2は、2つの異なるサイズの軸受、具体的には、より大きな径を有する第1の軸受3と、より小さな径を有する第2の軸受4から構成されている。各軸受3、4は、外側軌道輪8、内側軌道輪9、両軌道輪8、9によって形成された軌道上を転動するように環状に配置された複数の転動手段(図示せず)を有する。これら内側軌道輪9は軸方向に整列し、第1の内側スペーサリング5によって互いに離隔され、これにより、ファン軸11の受容に適合した中央軸線方向ボア10を形成する。
【0013】
ファン軸11は、軸受3、4に結合し、ファン軸11の両端部が中央軸線方向ボア10から突出して、一方の側で羽根車12と連結し、他方の側で駆動プーリ13と結合する位置で動作する。
【0014】
軸受組立体2は、さらに、2つの外側軌道輪8間の間隙に配置される環状部14を有する外側スペーサ部材6を備え、これにより、2つの外側軌道輪8を軸方向に離隔させる。外側スペーサ部材6は、環状部14から突出して、より大きな径を有する軸受3の外側軌道輪8の一部の上を軸方向に延びるフランジ部15を有する。この実施例において、羽根車12は、遠心ファンに用いられる種類のものである。
【0015】
組立体1の外面上に射出成形されたシース7は、組立体を収容して締め付け、これにより、径方向および軸方向に隙間なく、軸受3、4を互いの位置に整列させる。
【0016】
好ましくは、無振動、騒音抑制プラスチック材料、例えば、ポリウレタンからできているシース7は、2つの外側軌道輪8の外面の上に延在する。外側スペーサ部材6のフランジ部15はプラスチックシース7に埋設され、プラスチックシース7に別の固着面を与える。
【0017】
環状体16はシース7と一体形成され、これにより、羽根車12の収容に適合したファンケーシング17を提供する。
提案されている実施例において、環状体16は、駆動プーリ13と羽根車12の間に延伸し、ファンカバー18への連結に適合したファンケーシング17の後部を画定する。
【0018】
本発明による特にファンケーシングに用いられる軸受支え1の製造方法において、軸受組立体2は、射出成形型20の母型19に対応して配置される。
このため、軸受組立体2を組み立てるためにゲージ手段が備えられている。このようなゲージ手段はゲージピン22を有し、該ゲージピンの上に軸受3、4とスペーサ部材5,6が正確に位置決めされて装着される。ゲージピン22は、ピン22の第1の端部が母型19内に備えられた第1ブッシュ内への収容に適合するように、軸受組立体から軸方向に突出している。
【0019】
次に、パンチ21が軸受組立体2に当接するように、射出成形型20のパンチ21を母型19に向けて移動させられる。図3に示すように、パンチ21は、ゲージピン22の第2の端部の受容に適合した第2のブッシュを備えている。
ケージピン22は、母型19またはパンチ22と一体構造にすることができるのは明らかである。
母型19及びゲージピン22と連携するパンチ21は、射出材料が中央軸方向ボア10と軸受3,4内に侵入するのを防止するために、軸受組立体2を同軸上に整列して軸方向に締め付ける。
母型19とパンチ21は、軸受3、4と一致するように適切に成形されているため、射出工程中、プラスチック材料は外側および内側軌道輪8、9の間に侵入できず、軸受の詰まりを防止できる事実に注意されたい。
【0020】
同じ目的で、外側スペーサ部材6も適切に形成することにより、プラスチック材料が軸受3、4の軸方向間隙に侵入するのを防ぐ。
その後、シース7を形成するためにプラスチック材料が成形型内に射出される。プラスチック材料は軸受組立体2の外面上に射出され、軸受組立体2と共に小型ユニットを形成する。
【0021】
シース7が形成された後、プラスチックは冷えて収縮するため、軸受3、4およびスペーサ部材5、6は、隙間なく、軸方向および半径方向に固定され保持される。
また、環状体16は、同じ射出成形型20内で、シース7と一体形成されるという利点がある。
したがって、本発明による軸受支えは、軸受の整列不良および隙間によって生じる振動を除去すると言える。
【0022】
本発明の1つの利点は、軸受支えは製造コストが低く、信頼性があることである。
本発明の別の利点は、製造が簡単で安価な軸受組立体を有するファンケーシングを提供することである。
本発明のさらに別の利点は、軸受の完全な整列を確実にし、軸受間の間隙が生じるのを防ぐことにより、振動および騒音に関連する従来技術に共通の重大な欠点を排除できる、軸受支え製造方法を提供することである。
【0023】
本発明による方法は、軸受座機械加工工程と、軸受装着工程を省くことにより、該方法の実施を極力簡単且つ安価にしている。
本発明による方法は、軸方向に隣接する軸受とスペーサ部材との組み立てと、それに続く射出成形型への導入は、公知の自動化設備および機械で、経済的に実施することのできる高速連続生産における簡単な方法であるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による軸受支えから構成されるベンチレータの断面図である。
【図2】図1に示す軸受支えの詳細拡大図である。
【図3】本発明による射出成形型内に配置された軸受組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 軸受支え
2 軸受組立体
3,4 軸受
5,6 スペーサ部材(スペーサリング)
7 シース(プラスチックシース)
8 外側軌道輪
9 内側軌道輪
10 中央軸方向ボア
11 ファン軸
12 羽根車
13 駆動プーリ
14 環状部
15 フランジ部
16 環状体
17 ファンケーシング
18 ファンカバー
19 母型
20 射出成形型
21 パンチ 22 ゲージ手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を含む軸受組立体を備え、
前記軸受支えは、軸受組立体の外面上に射出成形されたシースを備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支え。
【請求項2】
前記軸受は、それぞれ、外側軌道輪と、内側軌道輪と、両軌道輪によって形成された軌道上を転動するように環状に配置された複数の転動手段を有し、前記内側軌道輪は、軸方向に整列し、第1の内側スペーサリングによって互いに離隔され、これにより、ファン軸を受容するのに適合した中央軸方向ボアを備えている請求項1に記載の軸受支え。
【請求項3】
前記軸受組立体は、2つの前記外側軌道輪間の間隙内に配置された環状部を有する外側スペーサ部材を備え、これにより、2つの前記外側軌道輪を軸方向に離隔させる請求項2に記載の軸受支え。
【請求項4】
前記外側スペーサ部材が、環状部から突出して少なくとも1つの軸受の外側軌道輪の一部の上を軸方向に延びるフランジ部を備える請求項3に記載の軸受支え。
【請求項5】
前記シースは、羽根車を収容するのに適合したファンケーシングを形成すべく、前記シースと一体形成されている環状体を備える請求項1〜4の何れかに記載の軸受支え。
【請求項6】
同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を備え、中央軸方向ボアが画成されている軸受組立体を、射出成形型の母型に対して配置する工程と、
射出材料が中央軸方向ボアと軸受内に侵入するのを防ぐために、軸受組立体を同軸上に整列させて軸方向に締め付けるように、前記射出成形型のパンチを前記軸受組立体上に当接させる工程と、
組立体の外面上に射出成形される組み立てシースを形成するために、プラスチック材料を成形型内に射出する工程と
を含む、特にファンケーシングに用いられる軸受支えの製造方法。
【請求項7】
前記射出成形型内に前記軸受組立体を正確に組み付けるためにゲージ手段を設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
射出工程中にプラスチック材料が前記外側軌道輪と前記内側軌道輪との間に侵入するのを防ぐように、前記軸受に対応する形状寸法とされた前記母型及びパンチを設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
プラスチック材料が前記軸受間の間隙に侵入するのを防ぐように適合する形状寸法とされた前記スペーサ部材を設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項1】
同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を含む軸受組立体を備え、
前記軸受支えは、軸受組立体の外面上に射出成形されたシースを備え、前記シースは、前記軸受が動作中に振動することを防ぐために前記軸受を整列状態で収容して、固定するのに適合した、特にファンケーシングに用いられる軸受支え。
【請求項2】
前記軸受は、それぞれ、外側軌道輪と、内側軌道輪と、両軌道輪によって形成された軌道上を転動するように環状に配置された複数の転動手段を有し、前記内側軌道輪は、軸方向に整列し、第1の内側スペーサリングによって互いに離隔され、これにより、ファン軸を受容するのに適合した中央軸方向ボアを備えている請求項1に記載の軸受支え。
【請求項3】
前記軸受組立体は、2つの前記外側軌道輪間の間隙内に配置された環状部を有する外側スペーサ部材を備え、これにより、2つの前記外側軌道輪を軸方向に離隔させる請求項2に記載の軸受支え。
【請求項4】
前記外側スペーサ部材が、環状部から突出して少なくとも1つの軸受の外側軌道輪の一部の上を軸方向に延びるフランジ部を備える請求項3に記載の軸受支え。
【請求項5】
前記シースは、羽根車を収容するのに適合したファンケーシングを形成すべく、前記シースと一体形成されている環状体を備える請求項1〜4の何れかに記載の軸受支え。
【請求項6】
同軸上に配置されて少なくとも1つのスペーサ部材により軸方向に互いに離隔された少なくとも一対の軸受を備え、中央軸方向ボアが画成されている軸受組立体を、射出成形型の母型に対して配置する工程と、
射出材料が中央軸方向ボアと軸受内に侵入するのを防ぐために、軸受組立体を同軸上に整列させて軸方向に締め付けるように、前記射出成形型のパンチを前記軸受組立体上に当接させる工程と、
組立体の外面上に射出成形される組み立てシースを形成するために、プラスチック材料を成形型内に射出する工程と
を含む、特にファンケーシングに用いられる軸受支えの製造方法。
【請求項7】
前記射出成形型内に前記軸受組立体を正確に組み付けるためにゲージ手段を設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
射出工程中にプラスチック材料が前記外側軌道輪と前記内側軌道輪との間に侵入するのを防ぐように、前記軸受に対応する形状寸法とされた前記母型及びパンチを設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
プラスチック材料が前記軸受間の間隙に侵入するのを防ぐように適合する形状寸法とされた前記スペーサ部材を設ける工程を有する請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2006−2938(P2006−2938A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170965(P2005−170965)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(503455938)エレクトロラクス ホーム プロダクツ コーポレイション エヌ.ヴィー. (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(503455938)エレクトロラクス ホーム プロダクツ コーポレイション エヌ.ヴィー. (9)
【Fターム(参考)】
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