説明

フィルムのエンボス成形装置、エンボス成形方法、および製袋方法

【課題】製袋機上でフィルム切れやピッチズレ等の問題を生じることなくエンボス加工を行う。
【解決手段】凹型10の凹深さC1が1.0〜1.4mmであり、凹型10および凸型20は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸型20の天面22と凹型10の底面12との隙間(天隙間)が0.1mm以下、凸型20の天面側の角部24と凹型10の側面13との片側あたりの隙間(頂部差)が0.5mm以下、凸型20の側面23と凹型10の開口側の角部16との片側あたりの隙間(裾部差)が0.4mm以下である凹型および凸型を用いて、厚さ0.05〜0.25mmのフィルムを互いに対をなす凹型および凸型の間に挟みこみエンボス成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムのエンボス成形方法および製袋方法(エンボスを有する包装袋の製造方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルムやラミネートフィルムに絵柄や文字等を形成するため、凹型(雌型)と凸型(雄型)の間で型押し加工することが知られている。
特許文献1には、突起部を有する型押しロールとくぼみを有する補助ロールを対向させ、突起部とくぼみとの間にプラスチックフィルム等の巻取紙を挟み込み、印刷機上でエンボス加工する方法および装置が記載されている。
特許文献2には、表裏2枚の合成樹脂フィルムの周縁をシールしてなる包装袋の、製袋するまえの合成樹脂フィルム、又は、製袋後の包装袋に、雄型と雌型を用いた型押し加工によりエンボス模様を施したエンボス付き包装袋の製造方法が記載されている。
特許文献3には、雌型および雄型からなる金型によりフィルムの所定箇所を挟み込むことによりエンボス絵柄加工を施した後、シール工程を経てパウチを形成するパウチの製造方法が記載されている。
【特許文献1】特開昭59−138433号公報
【特許文献2】特開2004−136937号公報
【特許文献3】特開2008−184177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エンボス加工を製袋機上で行う場合には、製袋に伴うシールのため基材が間欠送りされるため、エンボス加工の際にフィルム切れやピッチズレ等の問題が生じ、製造が困難であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製袋機上でフィルム切れやピッチズレ等の問題を生じることなくエンボス加工を行うことが可能なフィルムのエンボス成形装置、エンボス成形方法、および製袋方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、厚さ0.05〜0.25mmのフィルムを互いに対をなす凹型と凸型との間に挟み込んで成形するエンボス成形装置であって、前記凹部の深さが1.0〜1.4mmであり、前記凹型および凸型は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸部の天面と凹部の底面との隙間が0.1mm以下、凸部の天面側の角部と凹部の側面との片側あたりの隙間が0.5mm以下、凹部の開口側の角部と凸部の側面との片側あたりの隙間が0.4mm以下であることを特徴とするエンボス成形装置を提供する。
【0006】
また、本発明は、厚さ0.05〜0.25mmのフィルムを互いに対をなす凹型と凸型との間に挟み込んで成形するエンボス成形方法であって、前記凹部の深さが1.0〜1.4mmであり、前記凹型および凸型は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸部の天面と凹部の底面との隙間が0.1mm以下、凸部の天面側の角部と凹部の側面との片側あたりの隙間が0.5mm以下、凹部の開口側の角部と凸部の側面との片側あたりの隙間が0.4mm以下であることを特徴とするエンボス成形方法を提供する。
本発明のエンボス成形方法において、前記フィルムが積層フィルムであることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、厚さ0.05〜0.25mmのフィルムからなる連続した包装袋の原反を供給し、前記原反を幅方向中央で長手方向に沿って2つの基材に裁断し、前記2つの基材のいずれか一方を上記のエンボス成形方法によりエンボス成形した後、前記2つの基材をヒートシールして包装袋を成形することを特徴とする製袋方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製袋に伴うシールのため基材が間欠送りされる場合においても、エンボス加工の際にフィルム切れやピッチズレ等の問題が生じることがなく、エンボス加工を製袋機上で効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、(a)凹型および(b)凸型の一例を示す断面図である。図2は、凹型と凸型の接触形態のうち、(a)凸部が天面で凹部に接触した形態(「天」)、(b)凸型が土台部で凹型に接触した形態(「土台」)、(c)凸部が角部で凹部に接触した形態(「凸角」)、(d)凸部の側面が凹部の角部に接触した形態(「凹角」)をそれぞれ示す断面図である。
【0010】
図1に示すように、凹型10および凸型20は、それぞれ断面が略台形状の凹部11および凸部21を有する。
凹型10の凹部11は、底面12とその両側の側面13,13を有する。ここでは、底面12と側面13との間の稜線は、底面側の隅部14とし、凹型10の表面15と側面13との間の稜線は、開口側の角部16とする。
底面幅A1は、底面12の幅であり、開口幅B1は、開口部の幅であり、凹深さC1は、凹部11の深さである。
【0011】
また、凸型20の凸部21は、天面22とその両側の側面23,23を有する。ここでは、天面22と側面23との間の稜線は、天面側の角部24とし、凸部21の裾部(土台部)25と側面23との間の稜線は、裾部側の隅部26とする。
天面幅A2は、天面22の幅であり、裾部幅B2は、凸部21の裾部側の幅であり、凸高さC2は、凸部21の高さである。
【0012】
本発明においては、互いに対をなす凹型10および凸型20を用いて、凹型10の凹部11と凸型20の凸部21との間にフィルムを挟み込んでエンボス成形するに当たり、凹型10および凸型20として、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸部21の天面22と凹部11の底面12との隙間(天隙間)が0.1mm以下、凸部21の天面側の角部24と凹部11の側面13との片側あたりの隙間(頂部差)が0.5mm以下、凸部21の側面23と凹部11の開口側の角部16との片側あたりの隙間(裾部差)が0.4mm以下であるものとする。
フィルムの厚さは、厚さ0.05〜0.25mmが好ましい。凹部11の深さ(凹深さC1)は、1.0〜1.4mmが好ましい。
以上の条件を満足することにより、フィルム(特に内部の蒸着膜や印刷インキ層)の割れが生じることなく、エンボス成形が可能になる。このため、本発明は、前記フィルムが、内部に蒸着膜や印刷層などを有する積層フィルムである場合、特に好適である。
【0013】
フィルムを介在させることなく凹型10と凸型20とを嵌め合わせたときの接触形態としては、図2の(a)〜(d)に示す場合が挙げられる。
図2(b)、(c)、(d)において、天隙間b1,c1,d1は、凸部21の天面22と凹部11の底面12との隙間の大きさである。同様の定義により、図2(a)の場合、天隙間は0である。
図2(a)、(b)、(d)において、頂部差a2,b2,d2は、凸型20の天面22を含む平面上において、凸部21の天面側の角部24と凹部11の側面13との片側あたりの隙間の大きさである。同様の定義により、図2(c)の場合、頂部差は0である。
図2(a)、(b)、(c)において、裾部差a3,b3,c3は、凹型10の表面15を含む平面上において、凸部21の側面23と凹部11の開口側の角部16との片側あたりの隙間の大きさである。同様の定義により、図2(d)の場合、裾部差は0である。
図2(a)、(c)、(d)において、土台差a4,c4,d4は、凸型20の裾部25と凹型10の表面15との隙間の大きさである。同様の定義により、図2(b)の場合、土台差は0である。
【0014】
図2(a)は、凸部21の天面22が凹型10の底面12に接触する場合である。この場合、凸部21の天面22と凹部11の底面12との隙間(天隙間)は0である。
凸部21の凸高さC2は、凹部11の凹深さC1以上であることが必要である。両者の差C2−C1は、土台差a4に等しい。
また、凸部21の天面幅A2は、凹部11の底面幅A1以下であることが必要である。
両者の差A1−A2は、頂部差a2の2倍に等しい。よって、頂部差a2は、(1/2)×(A1−A2)に等しい。
凸部21の裾部幅B2と凹部11の開口幅B1との大小関係は、土台差a4の程度にもよるが、土台差a4が過度に大きくない限り、裾部幅B2は開口幅B1以上であることが好ましい。
裾部差a3は、凹型10の表面15を含む平面上において、凹部11の開口側の角部16と、この角部16に対向する凸部21の側面23上の点との距離である。
裾部差a3は、(1/2)×{B1−A2−(B2−A2)×(C1/C2)}に等しい。
【0015】
図2(b)は、凸型20の土台部25が凹型10の表面15に接触する場合である。この場合、凸型20の土台部25と凹型10の表面15との隙間(土台差)は0である。
凸部21の凸高さC2は、凹部11の凹深さC1以下であることが必要である。両者の差C1−C2は、天隙間b1に等しい。
また、凸部21の裾部幅B2は、凹部11の開口幅B1以下であることが必要である。
両者の差B1−B2は、裾部差b3の2倍に等しい。よって、裾部差b3は、(1/2)×(B1−B2)に等しい。
凸部21の天面幅A2と凹部11の底面幅A1との大小関係は、天隙間b1の程度にもよるが、天隙間b1が過度に大きくない限り、天面幅A2は底面幅A1以下であることが好ましい。頂部差b2は、凸型20の天面22を含む平面上において、凸部21の天面側の角部24と、この角部24に対向する凹部11の側面13上の点との距離である。
頂部差b2は、(1/2)×{B1−A2−(B1−A1)×(C2/C1)}に等しい。
【0016】
図2(c)は、凸部21の天面22側の角部24が凹部11の側面13に接触する場合である。この場合、頂部差は0である。また、凸部21の天面幅A2は、凹部11の底面幅A1より大きいことが必要である。
天隙間c1は、C1×(A2−A1)/(B1−A1)に等しい。
土台差c4は、(天隙間c1+凸高さC2−凹深さC1)に等しい。
裾部差c3は、(1/2)×{B1−B2+(B2−A2)×(c4/C2)}に等しい。なお、この裾部差c3を表す数式は、上記裾部差a3を表す数式において、凹深さC1を、C2−c4(凸高さから土台差を減じて得られる差)に置き換えたものに相当する。
【0017】
図2(d)は、凸部21の側面23と凹部11の開口側の角部16とが接触する場合である。この場合、裾部差は0である。また、凸部21の裾部幅B2は、凹部11の開口幅B1より大きいことが必要である。
土台差d4は、C2×(B2−B1)/(B2−A2)に等しい。
天隙間d1は、(土台差d4+凹深さC1−凸高さC2)に等しい。
頂部差d2は、(1/2)×{A1−A2+(B1−A1)×(d1/C1)}に等しい。なお、この頂部差d2を表す数式は、上記頂部差b2を表す数式において、凸高さC2を、C1−d1(凹深さから天隙間を減じて得られる差)に置き換えたものに相当する。
【0018】
その他の接触形態としては、上記の接触形態で挙げた接触箇所が2箇所以上で接触する場合が挙げられる。
なお、凹部11および凸部21の隅部14,26および角部16,24が丸みを有していても良い。その場合、その丸みが、頂部差および裾部差の許容上限値より十分に小さい程度(例えばRが0.1mm以下)であれば、丸みによる頂部差や裾部差の拡大あるいは変動を無視できる程度であり、エンボス成形にさほどの影響を与えることがない。
【0019】
エンボス加工で形成される凹凸形状は、文字、記号、絵柄、矢印等を構成することができる。特に、文字をエンボスで立体形状とすることにより、包装袋を陳列したときに文字が良く目立つ(アイキャッチ効果)。また、フィルムに凹凸を設けることにより、フィルムの強度が強くなり、薄肉・軽量化が可能になる。
本発明でエンボスを設けた包材は、包装袋の製造に用いることが好ましい。包装袋の形態は特に限定されるものではなく、スタンディングパウチの他、三方シールや四方シールの平袋、四角底袋など、種々の態様の包装袋に適用することが可能である。
【0020】
包装袋を構成するフィルムとしては、シーラントを少なくとも片面に備える積層体、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂層を最内層(シーラント)とし、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの延伸フィルムを基材とし、必要に応じてエチレン―ビニルアルコール共重合体、金属や無機化合物の蒸着層(アルミ蒸着など)、アルミ箔等の金属箔、インキ層等の印刷層などを中間層としたラミネートフィルムを用いることができるが、特に、これらに限定されるものでない。
【0021】
図3は、製袋機(包装袋の製造装置)の概略構成を示す構成図である。この製袋機30は、胴部フィルム41,42となる原反フィルム40が巻回された原反リール31(胴部フィルム供給手段)と、底部フィルム43が巻回された供給リール32(底部フィルム供給手段)と、包装袋44の内面となる面同士が向かい合うように胴部フィルム41,42および底部フィルム43を向かい合わせる合わせロール33(基材フィルム向かい合わせ手段)と、底部フィルム43を胴部フィルム41,42とシールする底部シール手段34と、胴部フィルム41,42同士をその搬送方向に直交する幅方向にシールする側部シール手段35と、シールされた基材フィルム(胴部フィルム41,42および底部フィルム43)を搬送する基材フィルム搬送手段としての搬送ロール36と、シールされた基材フィルムを搬送方向に直交する幅方向に切断するカッター37とを備える。
胴部フィルム41,42および底部フィルム43は、いずれも長尺の帯状フィルムであるが、胴部フィルム41,42には、底部フィルム43よりも幅が広いフィルムが用いられる。
【0022】
原反リール31に巻回された原反フィルム40は、図示しないカッターにより、その長手方向に沿って帯状をなす同一幅の2枚の胴部フィルム41,42に切断され、これら胴部フィルム41,42の内面同士が対向するように配置される。
合わせロール33は、上下の胴部フィルム41,42同士の前後左右の位置が正確に重ね合わさるように、各胴部フィルム41,42の送り方向を偏向させるようになっている。この合わせロール33は、サーボモータ(図示せず)により、胴部フィルム41,42の重ね合わせの方向である上下方向及び胴部フィルム41,42の幅方向に移動可能とされている。また、上記サーボモータの作動は、胴部フィルム41,42のピッチ印刷図柄及び幅方向両端部の位置をそれぞれ検出する光学センサ(図示せず)と、これら光学センサの出力値に基づき、胴部フィルム41,42のピッチ印刷図柄及び幅方向両端部の位置をそれぞれ比較して、上下の各胴部フィルム41,42の送り方向及び幅方向に沿った位置ずれを検出する制御手段(図示せず)により制御されている。
すなわち、本形態例の製袋機30の場合、上記光学センサの検出結果に基づき上記サーボモータを作動させ、上下各胴部フィルム41,42間の送り方向及び幅方向に沿った位置ずれがなくなるまで、合わせロール33を上下方向及び/又は胴部フィルム41,42の幅方向に移動させることにより、胴部フィルム41,42同士の位置ずれを防止している。また、上記光学センサには、例えば光電管やCCDカメラ等が使用される。
【0023】
胴部フィルム41,42間に底部フィルム43が挿入された後、搬送ロール36により、胴部フィルム41,42と底部フィルム43とが重ね合わされた状態でその長手方向に沿って、図3の左側に搬送される。
なお、図3において、搬送方向の上流側は図3の右側であり、搬送方向の下流側は図3の左側である。
【0024】
搬送ロール36は、良好なシールを行うために、好ましくは、図示略のコントロールにより基材フィルム41,42,43を一定の周期で間欠的に搬送し、基材フィルム41,42,43のヒートシールを行うときには、搬送を休止するものとされる。
なお、基材フィルム搬送手段としては、搬送ローラに代えて、フィルムの幅方向に複数のゴムなどの挟持部材を配置した挟持バーを上下に一対で配置し、この一対の挟持バーでフィルムを挟持して下流方向にフィルムを移動させる搬送手段も採用が可能である。
基材フィルム搬送手段によるフィルム送りの制御は、包装袋の幅に対応した送り量(必要に応じて、基材フィルムの伸縮や、ドブと呼ばれる所定幅の切除部分を加味して設定される)が得られるように行うことが好ましい。このため、胴部フィルム41,42のピッチ印刷図柄の位置を検出する光学センサ(光電管やCCDカメラ等。図示せず)の出力値に基づき、胴部フィルム41,42のピッチ印刷図柄の位置が製袋機上の一定の位置に到達するように基材フィルムの送り量を決定する方法を用いることもできる。また、基材フィルムを搬送する際に、毎回、一定の送り量を送るように制御しても良い。
【0025】
底部シール手段34および側部シール手段35は、ヒータを内蔵した熱板等のシール部材間にフィルムを挟み込むことにより、該フィルムのヒートシールを行う。ヒートシールの温度、圧力、時間などの条件は、基材フィルム41,42,43の融着される樹脂の性質(融点等)や包装袋の生産速度等に応じて決定される。
【0026】
次に、上述の製袋機30を用いた包装袋の製造方法について説明する。
原反リール31から原反フィルム40を繰り出し、図示しないカッターにより、原反フィルム40を幅方向中央で長手方向に沿って2つの基材に裁断する。本形態例の場合は、長手方向に沿って帯状をなす同一幅の2枚の胴部フィルム41,42が得られる。
各胴部フィルム41,42は、合わせロール33により、上下の胴部フィルム41,42のシーラント層を有する内面同士が底部フィルム43に面するように、底部フィルム43に対して位置決めされる。これらの基材フィルム41,42,43は重ね合わせられた状態で搬送ロール36により搬送される。
【0027】
次いで、胴部フィルム41,42と底部フィルム43とをシールする底部シール工程が行われる。ここでは、底部シール手段34により、フィルム搬送の休止のタイミングに合わせて包装袋44の底部に対応する部分のヒートシールが行われる。
次いで、基材フィルム41,42,43をフィルム送り方向に直交する横方向にシールする側部シール工程が行われる。ここでは、側部シール手段35により、フィルム搬送の休止のタイミングに合わせて包装袋44の側部に対応する部分のヒートシールが行われる。
基材フィルム41,42,43において包装袋44の底部および側部となる部分がヒートシールされた後、ギロチンカッター37により個々の包装袋44に分離することで、包装袋44が成形される。
【0028】
上述の製袋機および製袋方法において、本発明のエンボス成形を適用して基材フィルム、特に胴部フィルム41,42にエンボスを施す場合は、原反40が胴部フィルム41,42に裁断された後、これら一対の胴部フィルム41,42が合わせロール33で重ね合わせられる前に行うことが好ましい。
本発明のエンボス成形を用いることにより、製袋に伴うシールのため基材フィルム41,42,43が間欠送りされる場合においても、基材フィルム41,42のエンボス加工の際にフィルム切れやピッチズレ等の問題が生じることがなく、エンボス加工を製袋機30上で効率的に行うことができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
基材フィルムとして、ナイロン(PA)15μm/印刷層2μm/Al蒸着層0.1μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/ポリエチレン(PE)120μmの層構成を有するラミネートフィルムを用い、製袋機上で表1に示す寸法の凸型(「凸1」〜「凸8」の8種類)および凹型(「凹1」〜「凹4」の4種類)を用いてエンボス成形を行うとともに、PE側をシーラントとして包装袋を成形した。
【0030】
【表1】

【0031】
表1において、「盛上り」の評価は、良好な盛上りが形成された場合を「○」、盛上りが形成されなかった場合を「×」と評価した。
また、「割れ」の評価は、印刷層に割れが生じなかった場合を「○」、割れが生じた場合を「×」と評価した。
【0032】
表1に示すように、凹型および凸型は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、天隙間が0.1mm以下、頂部差が0.5mm以下、裾部差が0.4mm以下である場合、盛上りは「○」と評価され、かつ割れは「○」と評価された。すなわち、割れが生じることなく、盛り上がりを形成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、包装袋の包材等に文字や絵柄等を形成するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)凹型および(b)凸型の一例を示す断面図である。
【図2】凹型と凸型の接触形態の(a)「天」、(b)「土台」、(c)「凸角」、(d)「凹角」をそれぞれ示す断面図である。
【図3】製袋機の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0035】
b1,c1,d1…天隙間、a2,b2,d2…頂部差、a3,b3,c3…裾部差、a4,c4,d4…土台差、A1…底面幅、A2…天面幅、B1…開口幅、B2…裾部幅、C1…凹深さ、C2…凸高さ、
10…凹型、11…凹部、12…凹部の底面、13…凹部の側面、14…凹部の底面側の隅部、15…凹型の表面、16…凹部の開口側の角部、
20…凸型、21…凸部、22…凸部の天面、23…凸部の側面、24…凸部の天面側の角部、25…凸型の土台部、26…凸部の裾部側の隅部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ0.05〜0.25mmのフィルムを互いに対をなす凹型と凸型との間に挟み込んで成形するエンボス成形装置であって、
前記凹部の深さが1.0〜1.4mmであり、前記凹型および凸型は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸部の天面と凹部の底面との隙間が0.1mm以下、凸部の天面側の角部と凹部の側面との片側あたりの隙間が0.5mm以下、凹部の開口側の角部と凸部の側面との片側あたりの隙間が0.4mm以下であることを特徴とするエンボス成形装置。
【請求項2】
厚さ0.05〜0.25mmのフィルムを互いに対をなす凹型と凸型との間に挟み込んで成形するエンボス成形方法であって、
前記凹部の深さが1.0〜1.4mmであり、前記凹型および凸型は、フィルムを介在させることなく嵌め合わせたときに、凸部の天面と凹部の底面との隙間が0.1mm以下、凸部の天面側の角部と凹部の側面との片側あたりの隙間が0.5mm以下、凹部の開口側の角部と凸部の側面との片側あたりの隙間が0.4mm以下であることを特徴とするエンボス成形方法。
【請求項3】
前記フィルムが積層フィルムであることを特徴とする請求項2に記載のエンボス成形方法。
【請求項4】
厚さ0.05〜0.25mmのフィルムからなる連続した包装袋の原反を供給し、前記原反を幅方向中央で長手方向に沿って2つの基材に裁断し、前記2つの基材のいずれか一方を請求項2または3に記載のエンボス成形方法によりエンボス成形した後、前記2つの基材をヒートシールして包装袋を成形することを特徴とする製袋方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−131857(P2010−131857A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309911(P2008−309911)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】