説明

フェノール樹脂発泡体

【課題】 断熱性能を長期間に渡って安定に維持することができ、金属材料と接触したときに金属の腐蝕の発生を抑制することができるフェノール樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】 フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒及び無機フィラーを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、前記発泡剤が炭素数が1〜8の脂肪族炭化水素を含み、前記無機フィラーが少なくとも金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩及び金属粉末から選択されたフィラーであり、且つ前記フェノール樹脂発泡体のpHが5以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂発泡体は、優れた断熱性と耐火特性を有するため、建築材料の断熱材用途に使用されている。
【0003】
フェノール樹脂発泡体を含む高分子断熱材料の熱伝導度は経時的に変化することが知られている。この現象は前記発泡体気泡内部から気体が徐々に外部に拡散することによって引き起こされる。気泡内部に存在する前記気体は、発泡工程で使われた発泡剤である。発泡体気泡中の前記気体は、大気中の空気によって徐々に置換され、結果として、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は時間と共に増大する。
【0004】
フェノール樹脂発泡体製品の断熱性能の長期安定性を達成することは大いに望ましいことである。断熱性能の劣化の原因の一つは、フェノール樹脂発泡体の気泡壁の柔軟性が経過時間と共に減少するからであると考えられている。
【0005】
また、フェノール樹脂発泡体は、酸触媒を含有し、フェノール樹脂発泡体が例えば雨水のような水に晒された場合には、前記酸触媒が、水によってフェノール樹脂発泡体から抽出されることがある。このことが、金属材料が前記フェノール樹脂発泡体と接触した時に、例えば金属が腐蝕するような問題を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような事情のもとで、本発明の一つの目的は、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与することであり、それによって、フェノール樹脂発泡体中の気泡に独立気泡構造を保持させることである。安定な独立気泡構造は、前記フェノール樹脂発泡体の断熱性能を長期間に渡って安定に維持する手段を提供する。
【0007】
また、本発明の他の目的は、優れた断熱性を有し、なおかつ、従来のフェノール樹脂発泡体と比べて高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を提供することにある。そのようなフェノール樹脂発泡体は、金属材料と接触したとき、金属の腐蝕の発生をかなり減少させる能力を潜在的に有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等が鋭意検討を加えた結果、特定の発泡剤および無機フィラーを含む新規なフェノール樹脂発泡体により、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒及び無機フィラーを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、前記発泡剤が炭素数が1〜8の脂肪族炭化水素を含み、前記無機フィラーが少なくとも金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩及び金属粉末から選択されたフィラーであり、且つ前記フェノール樹脂発泡体のpHが5以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体、
(2) 前記フェノール樹脂のフェノール:アルデヒドのモル比が、1:1〜1:3の範囲である、上記(1)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(3) フェノール:アルデヒドのモル比が1:1.5〜1:2.3である、上記(2)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(4) 前記フェノール樹脂が400〜3,000の重量平均分子量を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(5) 前記フェノール樹脂が700〜2,000の重量平均分子量を有する、上記(4)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(6) 前記発泡剤がフェノール樹脂100重量部に対して1〜20重量部からなる、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(7) 前記発泡剤がブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン及びそれらの異性体の少なくとも一種の炭化水素を含む、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(8) 前記発泡剤がシクロペンタンと、イソブタン及びイソペンタンの少なくとも一種の炭化水素を含む上記(1)〜(7)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(9) 前記発泡剤が75%以上のシクロペンタンを含む、上記(8)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(10) 前記発泡剤が25%以下のイソブタン及びイソペンタンの少なくとも一種の炭化水素を含む、上記(8)および(9)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(11) 前記酸触媒がフェノール樹脂100重量部に対して5〜25重量部からなる、上記(1)〜(10)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(12) 前記酸触媒がベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸及びフェノールスルホン酸の少なくとも一種を含む、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(13) 前記無機フィラーがフェノール樹脂100重量部に対して1〜20重量部の量で存在する、上記(1)〜(12)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(14) 前記無機フィラーが酸化アルミニウム又は酸化亜鉛のような金属酸化物、亜鉛のような金属粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような金属水酸化物、又は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛のような金属炭酸塩の少なくとも一種を含む、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(15) 前記フェノール樹脂に対する可塑剤を含む、上記(1)〜(14)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(16) 前記可塑剤がフェノール樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部からなる、上記(15)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(17) 前記可塑剤が二〜四価のカルボン酸から選択された多価カルボン酸の、二〜五価アルコールから選択された多価アルコールとの反応生成物であるポリエステルポリオールを含む、上記(14)又は(15)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(18) 前記ポリエステルポリオールを合成するために使用される前記多価カルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,3−ジカルボン酸、ナフタレン-1,4−ジカルボン酸、ナフタレン-2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の少なくとも一種を含む、上記(17)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(19) 前記ポリエステルポリオールを合成するために使用された前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの少なくとも一種を含む、上記(17)又は(18)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(20) 前記フェノール樹脂に対する整泡剤を含む、上記(1)〜(19)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(21) 前記整泡剤がフェノール樹脂100重量部に対して1〜6重量部からなる、上記(20)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(22) 前記整泡剤がひまし油1モルに対して20モル超、40モル未満のエチレンオキシドが付加されたひまし油−エチレンオキシド付加化合物である、上記(20)又は(21)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(23) 前記フェノール樹脂と共反応する有機変性剤を含む、上記(1)〜(22)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(24) 前記有機変性剤がフェノール樹脂100重量部に対してアミノ基を有する化合物の1〜10重量部を含む、上記(23)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(25) 少なくとも一種のアミノ基含有化合物が尿素、ジシアンジアミド及びメラニンから選択される、上記(24)に記載のフェノール樹脂発泡体、
(26) 0.025W/m.K(測定温度23℃)以下の熱伝導度を有する、上記(1)〜(25)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(27) 10〜100Kg/mの密度を有する、上記(1)〜(26)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(28) 60ng/(m.s.Pa)以下の透湿係数を有する、上記(1)〜(27)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(29) 85%以上の独立気泡率と、29%以上の酸素指数を有する、上記(1)〜(28)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、
(30) 少なくとも一方の表面に面材を有する、上記(1)〜(29)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体、および
(31) 前記面材がガラス繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔、ボンデッド不織布、金属シート、金属箔、プライウッド、珪酸カルシウムボード、プラスターボード、クラフト紙又は他の紙製品及び木製ボードの少なくとも一種を含む、上記(1)〜(30)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフェノール樹脂発泡体によれば、断熱性能を長期間に渡って安定に維持することができ、また、高いpH値を有するため、金属材料と接触したときに、金属の腐蝕の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は実施例を含め、以下の記述によってより明確に理解できる。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂、炭化水素発泡剤、酸触媒及び発泡体のpHを制御するための無機フィラーを含む。本発明は現在市販されている典型的なフェノール樹脂発泡体よりも高いpH値を有するフェノール樹脂発泡体を提供するものである。pHが高くなると、フェノール樹脂発泡体と長時間接触した場合の金属材料の腐食が抑制される。
【0012】
本発明で使用される好ましいフェノール樹脂のタイプはレゾール樹脂である。このレゾール樹脂は、フェノール、又はクレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニールフェノール、レゾルシノール等のフェノール化合物と、ホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒドとの、触媒量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はトリメチルアミンやトリエチルアミン等の脂肪族アミンの存在下での化学反応によって得ることができる。これらのタイプの化学成分は、通常は標準的なレゾール樹脂製造において使用されているが、本発明はここで記載された化学薬品に限定されるものではない。
【0013】
フェノールとアルデヒドとのモル比は特に限定されない。フェノール:アルデヒドのモル比は、1:1〜1:3、より好ましくは、1:1.5〜1:2.5、特に好ましくは、1:1.6〜1:2.1の範囲内にあることが好適である。
【0014】
本発明で使用される前記フェノール樹脂の好ましい重量平均分子量は400〜3,000であり、より好ましくは700〜2,000である。数平均分子量は、好ましくは150〜1,000であり、より好ましくは300〜700である。
【0015】
本発明の発泡剤として、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素又は該脂肪族炭化水素の混合物が使用される。これは直鎖または分岐脂肪族炭化水素を含む。ブタン、ペンタン、ヘキサン、及びそれらの異性体が例示される。炭化水素は地球温暖化の潜在的危険性が小さく、地球のオゾン層を枯渇させない。
【0016】
本発明で使用される前記発泡剤の量は、フェノール樹脂の100重量部当り1〜20重量部であり、より好ましくはフェノール樹脂の100重量部当り5〜10重量部である。
【0017】
本発明のフェノール樹脂発泡体に無機フィラーを添加すると、その残留酸性が減少し、更に、熱伝導率を低く維持しながら耐火性能を改善することができる。
【0018】
使用される無機フィラーの量は、フェノール樹脂の100重量部に対して、0.1〜30重量部、より好ましくは、1〜10重量部である。加えることが出来る前記フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、酸化カルシウム、酸化マグネシウム,酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、及び亜鉛末等の金属粉等である。本発明のフィラーは、単独又は一種又は多種の他のフィラーと共に使用することができる。
【0019】
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率を低下させ、強度を増大させ、且つ脆性を減少させるために、本発明の発泡体中に尿素のような有機アミノ基含有化合物を加えることができる。本発明で好適に使用される尿素の量は、フェノール樹脂100重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。
【0020】
本発明のフェノール樹脂の重合を開始させる為に使用される酸触媒には、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機強酸単独、又は混合物が使用される。フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、又はキシレンスルホン酸が特に好適である。硫酸、燐酸等の無機酸も、前記有機酸と共に使用しても良い。
【0021】
フェノール樹脂の重合を開始させるために使用される酸の量は選択した酸の種類によって変わるが、通常は、フェノール樹脂100重量部当り、5〜25重両部、より好ましくは7〜22重量部の範囲内である。最も好適な量は10〜20重量部である。
【0022】
本発明で使用されるフェノール樹脂は、発泡体の製造を支援する整泡剤を含んでいる。使用される前記整泡剤は、ひまし油1モル当り20モル超、40モル未満のエチレンオキシド(EO)が付加したひまし油―エチレンオキシド付加化合物である。ひまし油―EO付加化合物の添加量は、フェノール樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部であり、より好ましくは2〜4重量部である。前記ひまし油−EO付加化合物の添加量が1重量部未満のときは、均一な発泡体気泡が得られない。一方前記ひまし油−EO付加化合物の添加量が5重量部を超えた場合は、製品コスト及び発泡体の吸水能が増大する。
【0023】
本発明に従えば、前記フェノール樹脂発泡体のための可塑剤が添加される。ポリエステルポリオールが、前記可塑剤として好適である。
【0024】
前記可塑剤は、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与し、気泡壁の経時劣化を抑制し、断熱性の長期安定性を改善する。本発明の可塑剤は、多価カルボン酸と多価アルコールの反応から得られるポリエステルポリオールである。フェノール樹脂発泡体の気泡壁に対して柔軟性を付与する点に関しては、前記可塑剤の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が200〜10,000、特に200〜5,000のポリエステルポリオールが好適である。
【0025】
好適に使用される多価アルコールは、分子中に少なくとも2個の水酸基を有する。使用される多価アルコール一分子中のヒドロキシル基の数は、少なくとも1より多い数である。
【0026】
前記多価カルボン酸の一分子中のカルボキシル基の数は、少なくとも1より多い数である。
【0027】
本発明のポリエステルポオリオールは、例えば、二〜四価カルボン酸類から選択された多塩基カルボン酸と、二〜五価アルコール類から選択された多価アルコールとの反応生成物である。下記一般式(I)で表現された生成物が好ましい。式(I)中、Aは2個までの水素原子を含む二価カルボン酸を起源とする二価カルボン酸残基であり、Rは2個までのヒドロキシル基を含む二価アルコールを起源とする二価アルコール分子骨格であり、nは1または1を越える整数である。
【0028】
【化1】

式(I)中、残基Aを形成する好ましい二価カルボン酸は、芳香族二価カルボン酸、脂肪族二価カルボン酸又は脂環族二価カルボン酸のいずれかである。これらのカルボン酸として好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,3−ジカルボン酸、ナフタレン-1,4−ジカルボン酸、ナフタレン-2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等である。
【0029】
化学骨格Rを形成する二価アルコールは、芳香族グリコール、脂肪族グリコール又は脂環族グリコールであり、これらは例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロペンタン−1,2−ジメタノール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロペンタン−1,4−ジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール等である脂肪族グリコールと脂環族グリコールが特に好ましい。
【0030】
この様にして得られた反応生成物は、nが種々の値から構成された混合物であり、これらの反応生成物の水酸基価は、通常10〜500mg−KOH/gの範囲内にある。
【0031】
本発明のフェノール樹脂発泡体のための可塑剤は、一個のエステル骨格と一個のヒドロキシル基の両方を含む分子構造を有し、前記フェノール樹脂発泡体と同様に親水的性質を有するので、前記フェノール樹脂及び前記可塑剤は互いに相溶性があり、均一な樹脂溶液を形成することができる。更に、前記ポリエステルポリオールが発泡性フェノール樹脂組成物に添加されたとき、前記ポリエステルポリオールは、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与するものと推定される。それゆえ長時間経過後でも、気泡壁の亀裂の発生のような劣化現象が抑制される。このことが、前記フェノール樹脂発泡体の熱伝導度の長期安定性をもたらす。
【0032】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、0.025W/m.K(測定温度23℃)以下の熱伝導度を有している。0.025W/m.Kを超える熱伝導度を有するフェノール樹脂発泡体は、断熱性の点で不十分である。
【0033】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、厚さ25mm当り60ng/(m.s.Pa)以下の透湿係数を有するのが好ましい。透湿係数が60ng/(m.s.Pa)を超えるフェノール樹脂発泡体は望ましくない。
【0034】
本発明のフェノール樹脂発泡体製品の表面は、面材で被覆することができる。前記面材には、天然繊維、合成繊維又は無機繊維製の不織布が含まれる。紙やクラフト紙、アルミニウム箔等も前記面材として使用される。
【0035】
5.0以上のpHを有する本発明のフェノール樹脂発泡体の製造方法において、フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂、酸触媒、炭化水素発泡剤、発泡剤、及び製品のpHを高めるのに役立つ無機フェラーを含む。使用される前記樹脂組成物はまた、可塑剤、整泡剤、アミノ基含有化合物も含む。
【0036】
イソプロピルクロリド−炭化水素発泡剤と酸触媒は、一般的には発泡体製造の時点で、ミキシングヘッドで前記フェノール樹脂組成物と混合される。
【0037】
以下に述べるように、アミノ基含有化合物が、本発明のフェノール樹脂発泡体の製造に使用される樹脂組成物に添加される。このものは、好ましくは尿素であり。発泡前1〜5時間に、18〜22℃で前記フェノール樹脂に混合される。別法として、尿素のようなアミノ基含有化合物は、フェノール樹脂製造時にフェノールの存在下、ホルムアルデヒドと反応させることができる。
【0038】
ひまし油−EO付加化合物整泡剤、平均粒度が50〜200μmの炭酸カルシウム粉末のようなフィラー、及び好ましくはポリエステルポリオール可塑剤もまた、前記フェノール樹脂に混合される。
【0039】
得られたフェノール樹脂組成物は、高速ミキサーヘッドにポンプで送られ、そこで炭化水素発泡剤及び酸触媒と混合され、発泡性フェノール樹脂組成物が調製される。
【0040】
本発明のフェノール樹脂発泡体の製造方法によれば、前記発泡性フェノール樹脂組成物が、連続走行する面材に吐出され、加熱域を通過して発泡、成形され、予め決められた形状のフェノール樹脂発泡体製品が得られる。この製造方法において、走行するコンベアベルト上の走行する面材に吐出された前記樹脂組成物は、典型的には、50〜100℃で約2〜15分間、加熱炉を通過させられる。膨張する発泡体組成物の表面は、上方コンベアベルトに載置された別の面材によって押し付けられる。この発泡体の厚さは、前もって決められた厚さに制御される。加熱炉から出たフェノール樹脂発泡体は、予め決められた長さに切断される。
【0041】
炭素数1〜8の脂肪族炭化水素発泡剤を使用することは、環境に優しいだけでなく、独立気泡のフェノール樹脂発泡体を製造することを可能にし、このことによって、フェノール樹脂発泡体の断熱性能を維持することができる。本発明のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂、酸触媒、炭化水素発泡剤、及び無機フィラーを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより得られる。
【0042】
本発明によれば、炭素数1〜8の炭化水素発泡剤の使用によって、さらに、酸触媒の量を制御し、更に該発泡体に炭酸カルシウムのような無機フィラーを添加することによって、耐蝕性を有するフェノール樹脂発泡体が提供される。製造されたフェノール樹脂発泡体は優れた耐火性能、断熱性能の長期安定性、及び通常得られるフェノール樹脂発泡体よりも高いpH値を有する。更に使用されている前記発泡剤は、地球温暖化の潜在的な危険性やオゾン層枯渇に対して好ましい諸性質を持っている。
【0043】
本発明は、無機フィラーを使用してフェノール樹脂発泡体中の残留する酸を部分的に中和する手段を提供することによって、フェノール樹脂発泡体と接する金属の潜在的な腐蝕リスクを克服するものである。
【0044】
高pHフェノール樹脂発泡体は、この種フェノール樹脂発泡体と接触している金属が腐蝕するのを防ぐことが出来る。本発明のフェノール樹脂発泡体は、5.0以上のpHを有する。pHが5.0以上であると、金属が前記フェノール樹脂発泡体に隣接又は接したとき、たとえ金属が濡れていても金属の腐蝕は抑制される。本発明のフェノール樹脂発泡体の好ましいpHは5.5以上であり、特に好ましいpHは6.0以上である。pHの定量法は後述する。
【0045】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、0.025W/m.K以下の熱伝導度を有している。0.025W/m.Kを上回る熱伝導度を有するフェノール樹脂発泡体は、断熱性能の点で望ましくない。
【0046】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、典型的には、10〜100Kg/m3の密度と5〜400μmの平均気泡径を有している。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、実質的に気泡壁に穴がない。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、85%以上、好ましくは90%以上の独立気泡率を有している。
【0047】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、好ましくは29%以上、より好ましくは30%以上の酸素指数を有している。
【0048】
本発明のフェノール樹脂発泡体の厚さ25mm当りの透湿係数は、60ng/(m.s.Pa)以下、より好ましくは55ng/(m.s.Pa)以下である。
【0049】
本発明のフェノール樹脂発泡体の気泡は柔軟性を有しているので、フェノール樹脂発泡体の気泡の長期安定性が保持されている。
【0050】
フェノール樹脂発泡体の物理的性質を測定するための適切な方法を以下に記した。
(1)発泡体密度
これは、JIS A 9511:2003, 5, 6 密度の項に従って測定した。
【0051】
(2)熱伝導度
長さ300mm、幅300mmの発泡体試験片を、熱伝導度試験機(Type HC−074 304, 英弘精機(株))中の30℃の高温プレート、10℃の低温プレート間に置き、前記試験片の熱伝導度(TC)を、JIS A 1412 試験法に従って測定した。
【0052】
(3)熱伝導度の経時劣化促進試験法
ISO 11561 Annex B 試験法には、70℃で25週間曝露した後の熱伝導率を測定することが記載されているが、本試験では発泡体試験片を110℃、2週間曝露した後の熱伝導率を測定した。得られた熱伝導率は、70℃、25週間後の熱伝導率にほぼ相当すると考えられる。この熱伝導度の経時劣化促進試験は、常温で25年経過後の熱伝導率の推定値を与える。
【0053】
(4)pH
発泡体試験片の0.5gを、250μm(60メッシュ)の篩を通過させるように粉砕し、200mlのエーレンメイヤーフラスコに入れる。蒸留水200mlを加え、密栓する。温度23±5℃で7日間、磁気攪拌器によって攪拌後、フラスコ内容物のpHを調べた。
【0054】
(5)平均気泡径
発泡体試験片の表面と裏面に平行に走る方向に、前記発泡体の厚さの中央部分をスライスすることにより、フラットな断面の発泡体を得、その発泡体のカットされた断面の50倍の拡大写真を撮影した。長さ9cmの4本の直線を前記写真の上に引き、各線上に存在する気泡の数を数えて、JISK6402試験法に従って平均気泡数を求めた。平均気泡径は、1800μmを平均気泡数で割って得られた。
【0055】
(6)ボイド(空隙)
発泡体板の表面と裏面に平行に走る方向に、前記発泡体の厚さの中央部分からスライスすることにより、フラットな断面の発泡体を得る。100mm×150mmの範囲をカバーするように、前記カットされた発泡体断面の200倍の拡大写真を撮影した。透明グラフ用紙を前記カットされた発泡体断面の写真の上に置き、グラフ用紙の1mm×1mmの升目8個以上を占める空隙の面積を数え上げて、ボイド面積比を計算する。8個の升目は、実際の発泡体の2mmの面積に等価である。
【0056】
(7)透湿係数
厚さ25mm当りの発泡体試験片の透湿係数は、ISO 1663:1999試験法に従って測定された。この試験法は、“硬質発泡プラスチックスの透湿係数測定法”を記述している。直径2.5〜3.5mmの粒状塩化カルシウムを水分吸収剤として使用した。
【0057】
(8)酸素指数
フェノール樹脂発泡体の室温での酸素指数を、JIS K7201−2試験法に従って定量した。
【0058】
(9)独立気泡率
発泡体試験片の独立気泡率を、ASTM D2856試験法に従って定量した。
【0059】
本発明は、下記実施例及び比較例によって詳細に説明される。しかしながら本発明は、これら実施例及び比較例だけに限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
本発明で使用したフェノール樹脂は、フェノール性レゾール樹脂AおよびBであり、その詳細は下記のとおりである。
【0061】
フェノール性レゾール樹脂Aは、住友ベークライト(株)からR330という商品名で市販されている液状のフェノールホルムアルデヒド樹脂である。この樹脂は、25℃で8,000〜10,000cpの粘度、800〜1,200の重量平均分子量、及び5.3〜6.3のpHを有する。
【0062】
R330樹脂は、2〜4%の遊離フェノール及び3〜4%の遊離ホルムアルデヒドを含み、フェノール:ホルムアルデヒのモル比は1:2であり、カールフィッシャー分析法によって測定された水分は11〜13%である。前に記述したように、R330樹脂は、3〜5%の可塑剤と2〜5%の整泡剤を含む。
【0063】
フェノール性レゾール樹脂Bは、液状のフェノール−尿素−ホルムアルデヒド樹脂で、この樹脂は、25℃で13,000〜18,000cpの粘度、500〜700の重量平均分子量、及び5.3〜6.3のpHを有する。
【0064】
この樹脂Bは、2〜4%の遊離フェノールと1〜2%の遊離ホルムアルデヒドを含み、本樹脂B中のフェノール:尿素:ホルムアルデヒドの比は1:0.25:2.0であり、カールフィッシャー分析法によって測定された水分は11〜13%である。既に記載したように、樹脂Bは、3〜5%の可塑剤と2〜5%の整泡剤を含む。
【0065】
下記の実施例1及び2は、本発明の発泡体試料がどのように作製されたかを示す。
実施例1
レゾール樹脂A106重量部に、20℃の温度で粉末状尿素5重量部を加え、20℃で1時間放置した。次に、平均粒径170μmの炭酸カルシウム粉末5.3重量部を加え、均一に分散するまで300rpmで混合した。次いで、尿素および炭酸カルシウムを含む樹脂Aを17〜21℃に冷却した。得られたフェノール樹脂混合物をポンプで高速ペグミキサーに送り、そこで発泡剤としてシクロペンタン/イソペンタン混合物(重量比85/15)を9重量部、及び触媒として濃度92%のパラトルエンスルホン酸/キシレンスルホン酸の液状混合物(重量比65/35)を20重量部加えた。前記ペグミキサー中で、十分に混合することによって発泡性フェノール樹脂組成物を得、これを、発泡体ラミネートマシーン中の走行するコンベア上に載置された不織布マットの底部面材上に吐出させた。前記発泡性樹脂組成物の上に表面部面材も導入した。次いで走行する前記発泡体を硬化加熱炉プレスに送り、予め決められた厚さを達成するために40〜50KPaで加圧し、前記硬化加熱炉中65〜75℃で3〜8分間で発泡硬化させた。前記硬化加熱炉から出たフェノール樹脂発泡体を予め決められた長さに切断した。この発泡体サンプルを、80℃12時間オーブン中で後硬化させた。得られた発泡体ボードは、35.5kg/m3の乾燥硬化密度を有していた。
【0066】
比較例1
この比較例は、炭酸カルシウムフィラーを含まないこと以外は類似の発泡体サンプルでの製造例を記述している。
レゾール樹脂A106重量部に、20℃の温度で粉末状尿素5重量部を加え、20℃で1時間放置した。次いで、尿素を含む樹脂Aを17〜21℃に冷却した。得られたフェノール樹脂混合物をポンプで高速ペグミキサーに送り、そこで発泡剤としてシクロペンタン/イソペンタン混合物(重量比85/15)を9重量部、及び触媒として濃度92%のパラトルエンスルホン酸/キシレンスルホン酸の液状混合物(重量比65/35)を20重量部加えた。前記ペグミキサー中で、十分に混合することによって発泡性フェノール樹脂組成物を得、これを、発泡体ラミネートマシーン中の走行するコンベア上に載置された不織布マットの底部面材上に吐出させた。前記発泡性樹脂組成物の上に表面部面材も導入した。次いで走行する前記発泡体を硬化加熱炉プレスに送り、予め決められた厚さを達成するために40〜50KPaで加圧し、前記硬化加熱炉中65〜75℃で3〜8分間で発泡硬化させた。前記硬化加熱炉から出たフェノール樹脂発泡体を予め決められた長さに切断した。この発泡体サンプルを、80℃12時間オーブン中で後硬化させた。得られた発泡体ボードは、33.9kg/m3の乾燥硬化密度を有していた。
【0067】
実施例1および比較例1で得られた発泡体ボードの物性値を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、オゾン層の枯渇や地球温暖化に対して好ましい性質を提供する脂肪族炭化水素を発泡剤として含む。
使用される酸触媒の量は制御されており、pHを増大させるために炭酸カルシウムのような無機フィラーが添加される。フェノール樹脂発泡体のpHが高いので、前記フェノール樹脂発泡体と接触する金属材料が腐蝕する危険が減少する。
前記フェノール樹脂発泡体は、好ましい耐火性能を保持しており、長期間に渡って安定な断熱性能を維持する。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、建築材料の断熱材として工業的に使用される。
本発明は、細部は変化させることができ、ここで記載された実施態様に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のフェノール樹脂発泡体は、断熱性能を長期間に渡って安定に維持することができ、また、高いpH値を有するため、金属材料と接触したときに、金属の腐蝕の発生を抑制することができることから、建築材料の断熱材として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒及び無機フィラーを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、前記発泡剤が炭素数が1〜8の脂肪族炭化水素を含み、前記無機フィラーが少なくとも金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩及び金属粉末から選択されたフィラーであり、且つ前記フェノール樹脂発泡体のpHが5以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
【請求項2】
前記フェノール樹脂のフェノール:アルデヒドのモル比が、1:1〜1:3の範囲である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項3】
フェノール:アルデヒドのモル比が1:1.5〜1:2.3である、請求項2に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項4】
前記フェノール樹脂が400〜3,000の重量平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項5】
前記フェノール樹脂が700〜2,000の重量平均分子量を有する、請求項4に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項6】
前記発泡剤がフェノール樹脂100重量部に対して1〜20重量部からなる、請求項1〜5のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項7】
前記発泡剤がブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン及びそれらの異性体の少なくとも一種の炭化水素を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項8】
前記発泡剤がシクロペンタンと、イソブタン及びイソペンタンの少なくとも一種の炭化水素を含む請求項1〜7のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項9】
前記発泡剤が75%以上のシクロペンタンを含む、請求項8に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項10】
前記発泡剤が25%以下のイソブタン及びイソペンタンの少なくとも一種の炭化水素を含む、請求項8および9のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項11】
前記酸触媒がフェノール樹脂100重量部に対して5〜25重量部からなる、請求項1〜10のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項12】
前記酸触媒がベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸及びフェノールスルホン酸の少なくとも一種を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項13】
前記無機フィラーがフェノール樹脂100重量部に対して1〜20重量部の量で存在する、請求項1〜12のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項14】
前記無機フィラーが酸化アルミニウム又は酸化亜鉛のような金属酸化物、亜鉛のような金属粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような金属水酸化物、又は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛のような金属炭酸塩の少なくとも一種を含む、請求項1〜13のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項15】
前記フェノール樹脂に対する可塑剤を含む、請求項1〜14のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項16】
前記可塑剤がフェノール樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部からなる、請求項15に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項17】
前記可塑剤が二〜四価のカルボン酸から選択された多価カルボン酸の、二〜五価アルコールから選択された多価アルコールとの反応生成物であるポリエステルポリオールを含む、請求項14又は15のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項18】
前記ポリエステルポリオールを合成するために使用される前記多価カルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,3−ジカルボン酸、ナフタレン-1,4−ジカルボン酸、ナフタレン-2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の少なくとも一種を含む、請求項17に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項19】
前記ポリエステルポリオールを合成するために使用された前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの少なくとも一種を含む、請求項17又は18に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項20】
前記フェノール樹脂に対する整泡剤を含む、請求項1〜19のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項21】
前記整泡剤がフェノール樹脂100重量部に対して1〜6重量部からなる、請求項20に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項22】
前記整泡剤がひまし油1モルに対して20モル超、40モル未満のエチレンオキシドが付加されたひまし油−エチレンオキシド付加化合物である、請求項20又は21のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項23】
前記フェノール樹脂と共反応する有機変性剤を含む、請求項1〜22のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項24】
前記有機変性剤がフェノール樹脂100重量部に対してアミノ基を有する化合物の1〜10重量部を含む、請求項23に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項25】
少なくとも一種のアミノ基含有化合物が尿素、ジシアンジアミド及びメラニンから選択される、請求項24に記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項26】
0.025W/m.K(測定温度23℃)以下の熱伝導度を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項27】
10〜100Kg/mの密度を有する、請求項1〜26のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項28】
60ng/(m.s.Pa)以下の透湿係数を有する、請求項1〜27のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項29】
85%以上の独立気泡率と、29%以上の酸素指数を有する、請求項1〜28のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項30】
少なくとも一方の表面に面材を有する、請求項1〜29のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
【請求項31】
前記面材がガラス繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔、ボンデッド不織布、金属シート、金属箔、プライウッド、珪酸カルシウムボード、プラスターボード、クラフト紙又は他の紙製品及び木製ボードの少なくとも一種を含む、請求項1〜30のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。


















【公開番号】特開2007−70512(P2007−70512A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260341(P2005−260341)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】