説明

フルオロカーボンがグラフトしたポリシロキサン

撥油性、撥水性、および汚れ抵抗性を基材に付与するのに有用な組成物であって、ポリフルオロアルキルスルホニルハライドを式II、III、またはIVの化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)と接触させることによって製造されたポリマーを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
硬質基材表面、例えば鉱物基材の保護のための、および繊維基材などのような軟質基材表面のためのシロキサン系およびフルオロケミカル系組成物が開示されている。シロキサン系処理によって、1平方メートル当たり比較的低価格で撥水性、および良好な耐候性が付与されるが、撥油性および防汚性が不十分である(例えば、(非特許文献1)を参照のこと)。フルオロケミカル系処理は、撥油性と撥水性とを付与するが、高いフッ素含有量が必要であるため比較的高価である。
【0002】
アザートン(Atherton)は、米国特許公報(特許文献1)で、下記の構造1(式中、−(C)−O−または−CH=CH−O−がR基とSO基の間に存在している)にあるように、酸素および/またはアルキレン基を介して、ならびにスルホンアミド基によって、アミン置換ポリ(ジアルキルシロキサン)に結合されたパーフルオロアルキル基(R)を有する化合物を開示した。構造1の化合物は、R基とSO基の間に酸素および/またはアルキレン基を含まないものに比べて、合成が比較的困難である。
【0003】
【化1】

【0004】
【特許文献1】米国特許第3,859,320号明細書
【非特許文献1】Stempf, A.; Muller, P.; Pabon, M.; Corpart, J. M. Int. J. Restoration Buildings & Monuments 1999, 5, 273−288
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シロキサンとフルオロケミカルの利点を組み合わせて、合成が容易な化合物を使用して、硬質および軟質な表面に、改善された撥油性、撥水性、および防汚性を付与することが望ましい。このような化合物が、改善されたフッ素効率を有することも望ましい。本発明は、このような組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式Iのポリフルオロアルキルスルホニルハライド
−R−SOX I
(式中、
は、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基C2k(式中、kは0〜約20である)であり、
Xはハロゲンである)を、
式II、III、またはIVのシラン化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)
と接触させることによって製造された、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)ポリマーを含む組成物を含む。
【0007】
本発明はさらに、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の製造方法であって、式Iのポリフルオロアルキルスルホニルハライド
−R−SOX I
(式中、
は、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基C2k(式中、kは0〜約20である)であり、
Xはハロゲンである)を、
式II、III、またはIVのシラン化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)
と接触させるステップを含む方法を含む。
【0008】
本発明はさらに、基材表面に撥油性、撥水性、および汚れ抵抗性を付与する方法であって、前記表面を上記に記載するポリマー組成物と接触させるステップを含む方法を含む。
【0009】
本発明はさらに、上記の方法に従って処理された基材を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書では、販売名は大文字で示される。
【0011】
本発明は、シロキサンとフルオロケミカル化合物の利点を組み合わせ、改善されたフッ素効率を有する化合物を提供する。「フッ素効率」は、硬質または軟質基材に塗布されたとき、より高いレベルのフッ素を使用して得られた撥性と等価な撥性を得るために最少量のフルオロケミカルしか使用しない能力を意味する。
【0012】
本発明は、アミン末端側鎖、アミン末端基、またはその両方を有する少なくとも1つのポリ(ジアルキルシロキサン)を、適切な不活性溶媒中、および場合によってはしかし好ましくは適切な酸受容体の存在下、式Iの構造を有する少なくとも1つのパーフルオロアルキルエチルスルホニルハライドと接触させることによって形成されたポリマーを含む。本発明の実施に適したポリフルオロアルキルスルホニルハライドは、下記の構造を有する:
−R−SOX 式I
(式中、
は、約2〜約20個、好ましくは約4〜約16個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基−C2k−(式中、kは0〜約20、好ましくは0〜約10、より好ましくは0〜約2であり、
Xは、F、Cl、Br、またはIから選択されたハロゲンであり、好ましくはClまたはBrである)。式F(CFCFCHCHSOCl(式中、pは、1〜約10、好ましくは約2〜約8、より好ましくは約4〜約6である)を有するパーフルオロアルキルエチルスルホニルクロリドおよびその混合物が好ましい。このようなポリフルオロアルキルスルホニルハライドは、当業者に周知の方法、例えば塩化チオニルと、本願特許出願人、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington DE)から入手可能な選択されたパーフルオロアルキルエチルスルホン酸、またはパーフルオロアルキルエチルスルホン酸の混合物との反応によって容易に製造される。
【0013】
以下、このような生成物は、「パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)」と呼ばれる。
【0014】
本発明の実施で使用されるアミン末端側鎖および/または末端基を有するポリ(ジアルキルシロキサン)は、式II、III、もしくはIVの構造、またはその混合構造:
式II(側鎖アミン):
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III(末端ジアミン):
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV(末端モノアミン):
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキル基から選択され、好ましくはC〜Cアルキル基、より好ましくはメチルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、水素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基から選択され、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり、
それぞれのE基は、独立に、同じまたは異なるC〜Cの分枝状または線状アルキル末端基であり、反応条件下で不活性であり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつ生成物粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)を有する。
【0015】
様々な分子量、および対応する粘度を有するアミン置換ポリ(ジメチルシロキサン)が、潜在的に利用可能である。このようなアミン置換ポリ(ジアルキルシロキサン)の製造は、当業者に周知である。ジアルキルジヒドロキシシラン(HO)Si(C(2x+1)とアルキルアミノジヒドロキシシラン(HO)Si(C2yNH)(C(2x+1))の反応によって、ジヒドロキシ末端アミン置換ポリ(ジアルキルシロキサン)が得られる。さらにトリアルキルヒドロキシシラン(HO)Si(C(2x+1)との反応によって、トリアルキル末端アミン置換ポリ(ジアルキルシロキサン)が生じ、あるいはさらにトリアルコキシクロロシラン、ClSi(OC(2x+1)3、との反応によって、トリアルコキシ末端アミン置換ポリ(ジアルキルシロキサン)が生じる。これらの反応の組合せを使用して、式II、III、およびIVの広範囲の構造(xおよびyはそれぞれ独立に、正の整数である)を生成することができる。ポリ(ジメチルシロキサンビス[[3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル]ジメトキシシリル]エーテルは、アルドリッチ・ケミカルズ、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemicals, Milwaukee WI)またはワッカー・カンパニー、米国サウスカロライナ州ダンカン(Wacker Company, Duncan, SC)から入手可能である。
【0016】
式Iと式II、III、またはIVとの反応によって、任意の粘度を有するフルオロカーボンがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)が得られる。塗布を容易にするために、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)は、約10〜約10000mPa.sの粘度を有することが好ましく、約500〜約5000mPa.sの粘度を有するものが最も好ましい。
【0017】
本発明はさらに、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の製造方法であって、式II、III、またはIVで上記に記載するアミン末端側鎖または末端基を有する1つまたは複数のポリ(ジアルキルシロキサン)を、溶媒、および場合によっては酸受容体の存在下、約10℃〜約90℃の温度で1つまたは複数のポリフルオロアルキルスルホニルハライドと(撹拌しながら、かつ加熱しながらまたは加熱せずに)接触させるステップを含む方法を含む。次いで、酸受容体を使用している場合は、洗浄および/または濾過によって除去する。次いで、溶媒を単一アルコールおよびケトンを含む群から選択された揮発性溶媒、または単に水で置換して、選択された溶媒中、反応生成物の溶液または分散液を形成する。
【0018】
本発明の実施に有用である適切な溶媒は、トルエン、キシレン、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、1−メトキシ−2−プロパノール(ダウアノール(DOWANOL)PMとして入手可能)、または1−メトキシ−2−アセトキシプロパン(ダウアノール(DOWANOL)DPM)(両方とも、ダウケミカル、米国ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical Co., Midland MI)から入手可能)である。トルエンが好ましい。溶媒を蒸発によって除去してもよく、あるいは希釈および基材への塗布のために溶液を保持してもよい。次いで、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)を、基材への最終塗布用の溶媒(塗布溶媒)として適した単一アルコールおよびケトンを含む群から選択された揮発性「塗布溶媒」に分散または溶解する。好ましい塗布溶媒はイソプロピルアルコールである。
【0019】
あるいは、界面活性剤を用いて通常の方法で作製される水性分散液を、溶媒の蒸発による除去、および当業者に周知の乳化または均質化手順の使用によって製造する。このような溶媒を含まない乳濁液が、引火性および揮発性有機化合物(VOC)を最小限に抑えることが好ましい場合がある。
【0020】
基材への塗布に使用される最終生成物は、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の分散液(水系の場合)、または溶液(水以外の溶媒が使用されている場合)である。
【0021】
本発明の実施に有用である適切な酸受容体は、トリアルキルアミン類、および塩基性イオン交換樹脂である。例は、トリメチルアミン、およびtert−アミンジビニルベンゼン/スチレンイオン交換コポリマーであるアンバーリスト(Amberlyst)A21(ロームアンドハース、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア(Rohm & Haas, Philadelphia, PA)から入手可能)である。反応生成物から、酸受容体のヒドロハライドの形態を水洗および/または濾過によって除去する。
【0022】
塗布溶媒中パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の分散液をさらに、必要に応じて塗布溶媒で希釈して、基材に塗布するための、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の濃度が約1%〜約10%重量パーセントである溶液または分散液を得る。通常は、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の濃度が約2重量%のイソプロピルアルコール溶液または水性分散液を、基材への塗布に使用する。
【0023】
場合によっては、基材に塗布する分散液または溶液は、エポキシシランなどのような接着促進剤(例えば、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン)、またはジエポキシなどのような架橋剤を含有することもできる。適切なジエポキシの例は:
ポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]、−[ジメチル[3−(オキシラニルメトキシ)プロピル]シリル]、−[[ジメチル[3−(オキシラニルメトキシ)プロピル]シリル]オキシ];
ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル;および
ポリ[オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)]、−(オキシラニルメチル)、−(オキシラニルメトキシ)である。室温で反応する適切なジエポキシの追加の例は、エピコート(Epikote)828、および10%エピコート(Epikote)828のキシレン溶液(エピコート(Epikote)−X−90)(両方とも、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ、米国テキサス州ヒューストン(Resolution Performance Products, Houston TX)から入手可能)。エピコート(Epikote)828は、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)とエピクロルヒドリンの反応生成物である。
【0024】
本発明はさらに、撥水性、撥油性、および汚れ抵抗性を基材に付与する方法であって、本発明のパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)溶液または分散液を基材の表面と接触させるステップを含む方法を含む。適切な基材には、硬質表面および軟質繊維表面が含まれる。硬質表面には、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、煉瓦、多孔質クレーなどのような多孔質および非多孔質の鉱物表面、ならびに表面多孔性を有する様々な他の基材が含まれる。このような基材の具体例としては、無釉コンクリート、煉瓦、タイル、石(花崗岩および石灰石を含めて)、グラウト、モルタル、大理石、石灰石、彫塑、モニュメント、木材、テラゾなどのような複合材料、ならびに石膏ボードで作製されたものを含めて壁および天井パネルが挙げられる。これらは、建物、道路、駐機場、ドライブウエイ、フローリング、暖炉、炉床、調理台の建設、ならびに屋内および屋外適用における他の装飾的用途で使用される。木材を処理することもできる。繊維表面には、テキスタイル、繊維、不織布、紙、布地、カーペット、および皮革基材が含まれる。繊維基材の具体例としては、1)羊毛、綿、黄麻、サイザル麻、海草、コイアなどのような天然繊維、およびそのブレンド、ならびに2)ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどのような合成繊維、およびそのブレンドから作製された布地およびカーペットが挙げられる。
【0025】
本発明はさらに、上記に記載するパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)溶液または分散液で処理された硬質および繊維の表面を含む。
【0026】
希釈溶液を、任意の適切な方法で基材表面に塗布する。このような方法は当業者に周知であり、刷毛、ローラー、スプレー、ディッピング、浸漬などによる塗布が含まれるが、これらに限定されない。パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)溶液または分散液の塗布量は、基材多孔性に応じて約10〜約1000g/mの範囲にある。基材表面を乾燥する。撥油性、撥水性、および防汚性について試験する前に、基材を約16〜約48時間放置して乾燥させて、フッ素化テロマーが基材表面上でその平衡構造に到達することを可能にする。
【0027】
本発明のパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)組成物は、優れた撥油性、撥水性、および防汚性を処理基材に提供し、かつ「良好な手触り」をテキスタイルや皮革などのような軟質表面に提供するのに有用である。用語「良好な手触り」は、テキスタイルおよび皮革の魅力的な柔らかいまたは絹のような触感を記述するのに使用される。この優れた撥油性、撥水性、および防汚性、ならびに良好な手触りは、通常のパーフルオロカーボン表面処理に比べて低いフッ素濃度を用いて得られ、処理表面の保護において、改善された「フッ素効率」が付与される。本発明のパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)は、通常のフルオロケミカル表面保護剤の場合のフッ素濃度の約3分の1から4分の1のフッ素濃度で有効である。この改善されたフッ素効率の一例として、フッ素濃度が0.21%である本発明の組成物は、フッ素含有量が0.96%である、パーフルオロアルキルエチルアクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルアセタートのコポリマーの通常の表面保護剤分散液で処理された基材と比べて等しい撥油性、撥水性、および防汚性を試験基材に付与した。
【0028】
(材料および試験方法)
以下、実施例で、下記の材料を使用した。
【0029】
ポリシロキサンAF16は、ワッカー、米国サウスカロライナ州ダンカン(Wacker, Duncan, SC)、またはアルドリッチ・ケミカルズ、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemicals, Milwaukee WI)から入手可能である。
【0030】
パーフルオロアルキルエチルアクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルアセタートの分散液は、本願特許出願人、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington DE)から入手可能である。
【0031】
TEEPOLは、ジョンソン・ディバーシー、フランス国、フォントネー−スー−ボア(Johnson Diversey,Fortenay−sous−Bois,France)から入手可能である。
【0032】
パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリド、ならびにパーフルオロブチルエチルスルホニルクロリド、パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリド、パーフルオロオクチルエチルスルホニルクロリド、パーフルオロデシルエチルスルホニルクロリド、パーフルオロドデシルエチルスルホニルクロリド、およびパーフルオロテトラデシルエチルスルホニルクロリドの混合物を製造するために使用するパーフルオロアルキルエチルスルホン酸および混合パーフルオロアルキルエチルスルホン酸は、本願特許出願人、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington DE)から入手可能である。
【0033】
下記の表3に、汚れの供給業者を示す。
【0034】
(試験方法1 撥水性試験)
試験液体を、室温、周囲湿度で水平基材に塗布し、少なくとも24時間放置して乾燥させる。最低3滴を評価する。試験液体は、表1に示すように脱イオン水と99%イソプロパノールの混合物である。
【0035】
【表1】

【0036】
試験液体1の3滴を処理基材上に置く。30秒後、真空吸引を使用することによって、滴を除去する。液体浸透または部分吸収(基材上に、より濃い湿った斑点が出現)が観察されない場合、試験液体2で試験を繰り返す。液体浸透(基材上に、より濃い湿った斑点が出現)が観察されるまで、試験液体3、および連続的により高い番号の試験液体で試験を繰り返す。試験結果は、基材に浸透しない最高の試験液体番号である。スコアが高くなれば、撥性が大きくなることが示唆される。
【0037】
(試験方法2 撥油性試験)
この試験は、米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)AATCC 118に基づいている。試験液体を、室温、周囲湿度で水平基材に塗布し、少なくとも24時間放置して乾燥させる。最低3滴を評価する。試験に使用する液体は、表2に列挙する、表面エネルギーの異なる8つの油性液体である。番号が高くなれば、表面エネルギーが低くなり、スコアが高くなれば、撥油性が高くなることが示唆される。
【0038】
【表2】

【0039】
試験油1の3滴を処理基材上に置く。30秒後、真空吸引を使用することによって、滴を除去する。液体浸透または部分吸収(基材上に、より濃い湿った斑点が出現)が観察されない場合、試験液体2で試験を繰り返す。液体浸透(基材上に、より濃い湿った斑点が出現)が観察されるまで、試験油3、および連続的により高い番号の試験油で試験を繰り返す。試験結果は、基材への液体浸透を示さない最高の試験液体番号である。
【0040】
(試験方法3 接触角測定)
角の丸いすぐ使用できる76×26mmのガラス試料(ISO規格8037)(ミクロム・インターナショナル、ドイツ国 ウォルドルフ(Microm International, Walldorf, Germany)からスーパーフロスト(SUPERFROST)顕微鏡用スライドとして入手可能)を、試験対象の塗布溶液または分散液に30秒間2回浸漬し、浸漬間の乾燥時間を2分間とする。エポキシシランが使用されるとき、ガラス試料を150℃で30分間加熱する(以降、熱処理と呼ばれる)。次いで、試料を周囲条件下で48時間放置して乾燥させる。40マイクロLの脱イオン水3滴を23℃で塗布し、接触角を測定する。前進接触角を使用した。接触角が大きくなれば、表面の撥性が強くなることが示唆される。
【0041】
(試験方法4 被覆および沸騰後の接触角測定)
浸漬間の乾燥時間を2分間とし、試験方法3と同様にして、ガラス試料を製造し、次いで室温で10分間、150℃で30分間、最後に室温で48時間乾燥する。処理したガラス試料を、沸騰水に1時間浸漬し、続いて処理したガラスを112L/時間で流れる水道水に1時間浸漬し、最後に室温で24時間乾燥する。この沸騰させ、23℃で乾燥させた試料に、40マイクロLの脱イオン水3滴を塗布し、接触角を測定する。前進接触角を使用した。接触角が大きくなれば、表面の撥性が強くなることが示唆される。
【0042】
(試験方法5 汚れ試験)
処理した基材および処理していない(対照)基材の試料を製造し、室温で16〜48時間乾燥する。選択された汚れの小滴を処理表面に塗布し、室温で基材と16時間接触させ続ける。表3に、汚れおよび供給業者を示す。ペトリ皿を使用して、その16時間中に、汚れからの蒸発速度を下げる。
【0043】
次いで、6重量%のTEEPOL(上記の材料を参照のこと)の脱イオン水溶液2mLを使用し、表面上に噴霧して、基材試料を清浄する。洗浄刷毛は、0.6N/cmの圧力で基材上を50回(50ストローク)通過する。汚れを評価する前に、基材を水道水、次いで脱イオン水ですすぐ。汚れの小滴を塗布した表面を、表4に示す下記の基準に従って評価する。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【実施例】
【0046】
(実施例1)
二重ジャケット付きの1L反応器に、トルエン(136g)、トリエチルアミン(6.22g、6.16×10−2モル)、およびポリシロキサンAF16(100g)を添加した。温度を45℃に上げ、それを保持した。パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリド(C13SOCl、22.9g、5.13×10−2モル)のトルエン(34.35g)溶液を製造し、反応器に2時間にわたって注入した。注入が完了したとき、温度を70℃に上げ、それを2.5時間維持した。順次、等体積の塩酸水溶液(pH約3)、水酸化ナトリウム水溶液(pH約10)、次いで3回水で洗浄することによって、トリエチルアンモニウムクロリドおよび過剰のトリエチルアミンを除去した。パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)を含むトルエン相を、乾燥重量ベースで2%の溶液にするためにイソプロパノールで希釈した。
【0047】
(実施例2)
トリエチルアミンを塩基(水酸化物)の形態のアンバーリスト(Amberlyst)A21樹脂(22.19g)に代えた点以外は、実施例の手順を繰り返した。70℃で2.5時間後に、反応生成物を濾過して、アンバーリスト(Amberlyst)A21を除去した。濾過した後、実施例1と同様にして、トルエン相をイソプロパノールで希釈した。
【0048】
(実施例3)
ギロー・フレハ、F−31250、フランス ルべル(Guiraud Freres, F−31250, Revel, France)から入手可能なテラコッタタイル(30×30cm)を、実施例1の手順に従って製造した2重量%のパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、100gの溶液を製造するのに適量のイソプロパノールとを含む溶液100g/mで処理した。この溶液のフッ素含有量は、0.208%であった。溶液を刷毛で塗布した。24時間後、撥水性および撥油性を測定した(それぞれ、試験方法1および2)。それぞれの試験方法に対して単一の処理タイルに、試験溶液5小滴を塗布し、結果を平均した。表5に、結果を示す。
【0049】
(比較例A)
実施例3と同様にして、テラコッタタイルを、2重量%のパーフルオロアルキルエチルアクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルアセタートのコポリマーと、100gの溶液を製造するのに適量の水とを含む溶液100g/mで処理した。この溶液のフッ素含有量は、0.96%であった。溶液を刷毛で塗布した。24時間後、試験方法1および2をそれぞれ使用して、撥水性および撥油性を測定した。それぞれの試験方法に対して単一の処理タイルに、試験溶液5小滴を塗布し、結果を平均した。表5に、結果を示す。
【0050】
【表5】

表5は、より低いF濃度(%)の本発明の組成物による等価な保護を示す。
【0051】
(比較例B)
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドを、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)で処理せずに使用した。試験方法3に従って(この対照では、熱処理は必要でなかった)、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。対照の処理していないガラスで3回測定した内部前進接触角が小さいと、非常に濡れ易い表面であることが示唆された。下記の表6に、結果を示す。
【0052】
(比較例C)
2重量%のパーフルオロアルキルエチルアクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルアセタートのコポリマー、および適量の水を含む溶液を製造した。この溶液のフッ素含有量は、0.96%であった。56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラスを溶液に30秒間浸漬し、室温で48時間放置した。試験方法3に従って(この対照では、熱処理は必要でなかった)、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表6に、結果を報告する。
【0053】
(実施例4)
実施例1の手順に従って製造された2gのパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、全質量100gの溶液を製造するのに必要な量のイソプロパノールとを含む溶液を製造した。溶液のフッ素含有量は、0.208%であった。
【0054】
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラス3枚を溶液に30秒間浸漬し、室温で48時間放置した。試験方法3に従って(この実施例では、熱処理は必要でなかった)、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。それぞれ処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表6に、結果を報告する。実施例4は、パーフルオロアルキルエチルアクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルアセタートのコポリマー(比較例C)の場合と同程度の大きさを示したが、フッ素含有量ははるかに低かった。
【0055】
【表6】

表6は、より低いフッ素濃度の本発明の組成物による等価な保護を示す。前進接触角が高くなると、撥水性が高くなることを意味する。
【0056】
(実施例5)
実施例2の手順に従って製造された2gのパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、全質量100gの溶液を得るために必要量のイソプロパノールとを含む溶液を製造した。溶液のフッ素含有量は、0.184%であった。
【0057】
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラス2枚を溶液に30秒間浸漬した。試験方法3に従って(熱処理を行う)、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表7に、結果を報告する。
【0058】
(実施例6)
実施例2の手順に従って製造された2gのパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、全質量100gの溶液を得るために必要量のイソプロパノールとを含む溶液を製造した。溶液のフッ素含有量は、0.184%であった。
【0059】
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラス2枚を溶液に30秒間浸漬した。試験方法4に従って、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表7に、結果を報告する。
【0060】
(実施例7)
実施例2の手順に従って製造された1.6gのパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、0.4gの3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシランと、全質量100gの溶液を得るために必要量のイソプロパノールとを含む溶液を製造した。溶液のフッ素含有量は、0.147%であった。
【0061】
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラス2枚を溶液に30秒間浸漬した。試験方法3に従って(熱処理を行う)、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表7に、結果を報告する。
【0062】
(実施例8)
実施例2の手順に従って製造された1.6gのパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、0.4gの3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシランと、全質量100gの溶液を得るために必要量のイソプロパノールとを含む溶液を製造した。溶液のフッ素含有量は、0.147%であった。
【0063】
56×26×0.5mmの寸法の顕微鏡用スライドガラス2枚を溶液に30秒間浸漬した。試験方法4に従って、前進接触角測定を、23℃の制御温度室で脱イオン水を用いて行った。処理したガラスで3回測定した内部前進接触角は、非常に撥水性の高い表面であることを示した。下記の表7に、結果を報告する。
【0064】
実施例5、6、7、および8をそれぞれ、異なるの顕微鏡用スライド2枚で再現し、処理したガラスの異なる3つの領域で接触角を測定して、接触角測定の再現性をチェックした。表7に提示されたデータは、良好な再現性を示している。接触角が高くなれば、撥水性が高くなることを意味する。
【0065】
【表7】

【0066】
実施例5および6は、任意のエポキシシランを接着促進剤として使用することなく、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)で処理したガラスに対応した。実施例6は、処理した顕微鏡用スライドガラスを沸騰水に1時間浸漬した後に測定した接触角を示した。実施例5では、この沸騰水浸漬は実施されなかった。結果として、実施例5と6の接触角の差は、処理したガラスの沸騰水浸漬が接触角に及ぼす効果を示した。表7は、この沸騰水浸漬によって、接触角(実施例5および6で得られた平均値の差)が17°低下したことを示している。
【0067】
実施例7および8は、パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)をエポキシシラン(3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン)と共に使用して処理したガラスに対応した。実施例8は、処理した顕微鏡用スライドガラスを沸騰水に1時間浸漬した後に測定した接触角を示した。実施例7では、この沸騰水浸漬は実施されなかった。結果として、実施例8と7の接触角の差は、処理したガラスの沸騰水浸漬が接触角に及ぼす効果を示した。表7は、この沸騰水浸漬によって、接触角(実施例7および8で得られた平均値の差)は低下しなかったことを示している。
【0068】
結論として、表7に報告された結果から、実施例6および8で適用された、処理したガラスの沸騰水浸漬が及ぼすマイナスの効果が、エポキシシランの使用によって低減されたことが示唆された。さらに、エポキシシランによって、接触角の初期値が低下した場合でも(実施例5の平均は115.8°であり、実施例7の平均は108.5°である)、処理したガラスの沸騰水浸漬後の接触角は、エポキシシランが使用されたときにはより高いままであった。実施例6(エポキシシランを含まない)の平均は99°であり、実施例8(エポキシシランを含む)の平均は108.5°であった。
【0069】
(実施例9)
実施例3と同様にして、テラコッタタイルを、実施例1の手順に従って製造された2重量%のパーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)と、100gの溶液を製造するのに適量のイソプロパノールとを含む溶液100g/mで処理した。この溶液のフッ素含有量は、0.208%であった。溶液を刷毛で塗布した。24時間後、撥水性、撥油性、および汚れ抵抗性を、それぞれ試験方法1、2、および5を使用して測定した。複数の汚れ抵抗性試験を、単一のタイルで行った。表8に、結果を示す。また、上記に記載する比較例Cの組成物を使用して、テラコッタタイルを処理し、同じ方式で試験した。表8に、結果を示す。
【0070】
【表8】

【0071】
表8では、同じ重量/平方メートルのポリマー溶液で処理した異なる2つのタイルを比較している。しかし、実施例9および比較例Cで使用する2つの溶液は、ポリマー含有量が同じであるが、実施例9の溶液のフッ素含有量は0.208%であり、比較例Cの溶液のフッ素含有量は0.91%であった。実施例9の評価の合計は、比較例Cの評価の合計よりわずかに高かった。実施例9で使用するポリマーは、比較例Cのフッ素の23%しか必要でない。
【0072】
(実施例10)
パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリドを、パーフルオロブチルエチルスルホニルクロリド(4%、百分率はすべて重量による)、パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリド(50%)、パーフルオロオクチルエチルスルホニルクロリド(29%)、パーフルオロデシルエチルスルホニルクロリド(11%)、パーフルオロドデシルエチルスルホニルクロリド(4%)、およびパーフルオロテトラデシルエチルスルホニルクロリド(2%)を含む混合物26.3g(5.13×10−2モル)に代えた点以外は実施例1と同様にして、実施例10を製造した。実施例1と同様にして、最後の洗浄を行った後、トルエン相をイソプロパノールで希釈した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのポリフルオロアルキルスルホニルハライド
−R−SOX I
(式中、
は、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基C2k(式中、kは0〜約20である)であり、
Xはハロゲンである)を、
式II、III、またはIVのシラン化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)
と接触させることによって製造されたポリマーを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
スルホニルハライドが、式F(CFCHCHSOCl(式中、nは約2〜約20である)、およびその混合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、約4〜約16個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
シラン化合物が、式IIの化合物
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
(式中、R、R、R、E、q、m、およびnは、請求項1で定義された通りである)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で約500〜約5000mPa.sの粘度を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
分散液または溶液の形態であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
パーフルオロアルキルスルホンアミドがグラフトしたポリ(アルキルシロキサン)の製造方法であって、
式Iのポリフルオロアルキルスルホニルハライド
−R−SOX I
(式中、
は、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基C2k(式中、kは0〜約20である)であり、
Xはハロゲンである)を、
式II、III、またはIVのシラン化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)
と接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
酸受容体の存在下で接触させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酸受容体が、第三級アミンまたは塩基性イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基材表面に撥油性、撥水性、および汚れ抵抗性を付与する方法であって、
前記表面をポリマーと接触させるステップを含み、
該ポリマーは、式Iのポリフルオロアルキルスルホニルハライド
−R−SOX I
(式中、
は、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基であり、
は、2価の結合基C2k(式中、kは0〜約20である)であり、
Xはハロゲンである)を、
式II、III、またはIVのシラン化合物
式II:
(E−(O)Si−O−(Si(R−O)−[Si(R−NHR)(R)O]−Si−((O)−E)
式III:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−[Si(R−NHR)(R)O]−Si(R−R−NHR
式IV:
HRN−R−Si(R−O−[Si(R−O]−Si−((O)−E)
(式中、
それぞれのRは、独立に、C〜Cのアルキルであり、
それぞれのRは、独立に、炭素と、酸素と、任意選択的に窒素、酸素、および硫黄のうちの少なくとも1つとを含む2価の基であり、
それぞれのRは、独立に、HまたはC〜Cのアルキルであり、
それぞれのEは、独立に、C〜Cの分枝状または線状アルキルであり、
それぞれのqは、独立に、0または1であり、
n/(m+n)が0、または最高約0.7の値を有する正の分数であり、かつポリマー粘度が、20℃の温度において0.1s−1のせん断速度下で10000mPa.s以下であるように、mは正の整数であり、nは独立に、0または正の整数である)
と接触させることによって製造される方法。
【請求項11】
ポリマーが水性分散液または溶液であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
分散液または溶液が、エポキシシランまたは架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーが、約1%〜約10重量%の濃度で塗布されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
基材表面上に被着されるポリマーの量が約10〜約1000g/mであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
接触によって、テキスタイル基材および皮革基材に柔らかさが付与されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法に従って処理されることを特徴とする基材。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物と接触させた表面を有することを特徴とする基材。
【請求項18】
鉱物、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、煉瓦、クレー、無釉コンクリート、花崗岩、石灰石、グラウト、モルタル、大理石、石灰石、彫塑、モニュメント、木材、複合材、テラゾ、および石膏ボードからなる群から選択された硬質表面であることを特徴とする請求項16に記載の基材。
【請求項19】
テキスタイル、繊維、不織布、紙、皮革、布地、およびカーペットからなる群から選択された繊維基材であることを特徴とする請求項16に記載の基材。

【公表番号】特表2008−540693(P2008−540693A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554162(P2007−554162)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/003330
【国際公開番号】WO2006/083818
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】