説明

プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置

【課題】多層レジストや、メタルゲート/High−k等の積層膜のドライエッチング加工において、高精度の加工精度が要求される。
【解決手段】複数層の連続エッチング加工において、エッチング後の寸法測定することなく、加工の形状または寸法を、真空処理室1の内壁または半導体基板4と、真空処理室1内に生成されたプラズマとの間の電荷量に応じて変動するバイアス電位を計測し、また、プラズマ中の波長の異なる各イオン種の発光強度を測定し、これらから予め設定したモデル式にて、各膜種のエッチング処理毎に、エッチング後の各膜種の加工寸法を予測し、次の膜のエッチング後寸法が、所定の寸法値になるよう処理条件を変更し、連続して次の膜種のエッチング処理を行うことで、寸法や形状を補正するドライエッチング方法および装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層膜構造を有する半導体装置の製造方法に関し、特にメタルゲート/High−k膜の多層膜構造を有した、半導体装置の加工において、寸法精度の極めて高い微細構造、またエッチングされる被エッチング膜はマスクとなる上層の膜に対し高い選択性が要求されるとともに、垂直形状が要求される工程においてゲート電極形成を行うプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置と、その処理シーケンスの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマ処理は、微細加工、薄膜形成等の用途として、特に半導体分野での超高集積回路装置を製造する上で必要不可欠な技術となっている。特に、現代の半導体の微細化に伴い、レジストの膜厚がより薄くなってきている。またMOSトランジスタの微細化により、酸化絶縁膜から高誘電率材料膜、ゲート電極がポリシリコンのみからメタルゲート膜を用いた、多層膜積層構造を有した、トランジスタへ構造が変わってきており、今後はより複雑な、多層膜エッチング技術が必要とされると考えられる。
【0003】
本発明はこのような半導体装置の製造方法におけるプラズマドライエッチングに関し、特に複数の層から形成される、例えばメタルゲート/High−k構造のような積層構造の半導体膜を形成する場合において、下地膜と、マスク層に対する高選択性が要求されつつ、形成パターンの垂直形状が要求されるような、特にゲート電極形成工程等のプラズマエッチング処理方法およびプラズマエッチング処理装置が求められている。
【0004】
このようなドライエッチング処理の加工原理は、電磁波で反応性ガスをプラズマ化し、生じたイオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応が用いられる。
【0005】
具現化するプラズマ処理装置としては、プラズマ発生機構、反応性ガス導入機構、圧力制御機構とSi半導体基板を設置するための下部電極機構と、それらの動作制御機構で構成される。
【0006】
以上のような機構を持つプラズマ処理装置を用いて、イオンエネルギー分布(Ion Energy Distribution Function;IEDF)を把握する方法として、すなわちセルフバイアス電圧の測定および制御する方法として、印加するバイアスの電力または周波数を制御する方法がある。
【0007】
図5は、従来のプラズマ処理装置の一例を示す概略構成図である。
【0008】
例えば、後掲の特許文献1では、図5に示すように、プラズマ処理装置は、減圧可能に構成された真空処理室101を備える。被処理物(半導体基板)104は、真空処理室101内に設けられた下部電極103上に載置される。下部電極103と対向する位置には、上部電極106が配置されている。本プラズマ処理装置がドライエッチング装置である場合、真空処理室101内にガス導入部105からエッチングガス(プロセスガス)が導入される。このとき、真空処理室101内の圧力は、真空排気手段102により所定の圧力に維持される。当該状態で、例えば、高周波電源107が整合器108を介して上部電極106に高周波電力を印加すると、下部電極103と上部電極106との間に発生する電界によりプラズマが発生する。そして、高周波電源111が整合器115を介して下部電極103に高周波電力を印加すると、当該プラズマに曝された被処理物104は、プラズマの作用によりエッチングされる。このときのバイアス電力のセルフバイアス電圧をモニター126で測定を行い、その値から次の被処理物104の処理条件の演算を行う処理条件演算部125と印加電力制御部128により、前記高周波電力により被処理物104に入射する前記プラズマ中のイオンのエネルギーの分布を調節する。この調節を行うことで、被処理物104の処理中に得られたデータから、エッチング後の形状を予測し、被処理物104の処理時のバイアス印加装置への印加電力および印加の周波数の最適値を決定し、次の被処理物104の処理条件を変更する。本ドライエッチング方法によれば、このような段差を有する膜構造を高精度にエッチングするプラズマ処理装置またはドライエッチング方法を提供するとされている。
【特許文献1】特開2008−244429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術によればセルフバイアス電圧の情報により、被エッチング物(半導体基板)104へ衝突するイオンの量を間接的に把握することができる。しかし、被エッチング物(半導体基板)104がメタルゲート/High−k構造のような積層構造の半導体膜を形成する場合においては、エッチング時に、異なる膜種の処理を行うため、メタルや有機物、Siポリマー等の様々な副生成物114が、チャンバー壁面に付着することになる。このため、上述特許文献1にて開示された方法では、これら副生成物114によるチャンバーのインピーダンス変化および、副生成物114からのデガス等により、チャンバー内へ供給されるガス種(酸素やフッ素成分)の変化によってプラズマ中の各イオン種の密度が変化することが想定されるが、前述のセルフバイアス電圧の情報のみでは、これらを把握することが困難である。つまりセルフバイアス電圧の情報のみでは、被エッチング物(半導体基板)104へ衝突するイオンの量を間接的に把握することができるが、エッチング中のチャンバー内での各イオン種の密度を、正確には把握できないと考えられる。このため加工半導体基板の寸法の予測および制御を正確に行うことは困難であると推測できる。
【0010】
従来の技術では、一枚の半導体基板処理時に得られたセルフバイアス電圧の情報を元に、次に処理を行う半導体基板104の処理条件を変更する。このため、最初(一枚目)に処理される半導体基板104については、フィードバックすべき情報がないため、予め設定された補正情報のない処理条件で加工を行わなければならず、エッチング加工されたものの寸法および形状が、所定の寸法および形状と異なり、すそ引き形状等に仕上がる可能性があるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、金属材料やHigh−k材料を含む複数層の膜から構成されるゲート電極材料をドライエッチング加工する際、下地膜選択性が高く垂直な形状への加工を安定に制御できるプラズマ処理方法またはプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。
【0013】
まず本発明は、プラズマ励起電極に高周波電力を印加することにより真空処理室内に生成したプラズマを用いて、真空処理室内に収容された被処理物のプラズマ処理を行うプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を前提としている。
【0014】
そして、本発明に係るプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置では、測定回路が、真空処理室内壁と真空処理室内に生成されたプラズマとの間の電荷量に応じて変動する物理量を取得する。また、プラズマ中で発生している各イオン種に応じて変動する、各イオン種特有の波長の発光強度を物理量として取得する。得られた物理量(セルフバイアス電圧かプラズマ中の各イオン種の発光強度、又は発光強度比)を平均値や中央値等の統計値として算出し、統計値からメタルやHigh-Kおよび酸化膜やポリシリコン等の各膜種のエッチング処理毎に、エッチング後のパターン寸法を予め設定されたモデルにより計算し予測する。予測された寸法値を元に、予め設定されているモデルにて、被処理物が予め設定されている加工寸法となるように、同一チャンバーで連続して行う次の層のエッチング条件(ガス流量の混合比、バイアス印加電力)を算出する。前述の方法にて算出されたエッチング条件を元に、次の層加工時のエッチングを行う。
【0015】
さらに他の観点では、本発明は、上述のプラズマ処理方法の手順をコンピュータに実行させるプログラムとして提供することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多層レジストや、メタルゲート/High−k複数の層の膜を、一つの加工設備で、連続エッチング加工する場合において、エッチング後の寸法を測定することなく、複数の膜種の積層膜を有する被処理物の加工の形状または加工寸法を、予め設定されたモデルに従い各膜種毎に推定し、また同様のモデルを用いて次の積層膜処理条件を算出する。算出された処理条件を次の膜種のエッチング処理時に、プラズマエッチング装置の制御部へフィードバックを行い、エッチング加工を行うことが可能となる。これにより、積層膜を有する被処理物の加工時に、その各膜種のエッチング毎に、加工寸法や形状の補正を行い、常に同じ加工精度でエッチング処理を行うことが可能となる。
【0017】
また、真空処理室壁へデポ物を多く付着させるガス種(HBr、CHF3)やエッチングするガス種(Cl)等が混在するエッチング条件により、真空処理室内のパーツおよび側壁デポ物の変化による、側壁部からのエッチャントの変化で、被処理物の加工の形状制御が経時変化するような場合であっても、各層の寸法等の変動を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態では、ECR(電子サイクロトロン共鳴)型のドライエッチング装置により、本発明を具体化している。
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を、図1〜4を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態のプラズマ処理装置を示す概略構成図である。図1に示すように、プラズマ処理装置は、減圧可能に構成された真空処理室1を備える。半導体基板等の被処理物(以下、半導体基板という)4は、真空処理室1内に設けられた下部電極3上に載置される。本実施形態では、下部電極3上に、1枚の半導体基板4が載置される構成になっている。
【0021】
下部電極3と対向する位置には、上部電極6が配置されている。真空処理室1へは、真空処理室1の側壁に接続された複数の反応ガスの流量を変更して供給するガス導入手段5からエッチングガスであるプロセスガスが導入される。このとき、真空処理室1の内部は、真空排気手段2により所定の圧力に維持される。当該状態で、高周波電源7がインピーダンス整合器8を介して上部電極(プラズマ励起電極)6へUHF帯やVHF帯の高周波電力を供給する。当該高周波電力と真空処理室1の外周に配設されたコイル12の作用により、下部電極3と上部電極6との間にプラズマ13が励起される。プラズマ13に半導体基板4の表面が曝されることにより、エッチング処理が行われる。また、半導体基板4を載置した下部電極3に基板バイアス電位を発生させるため、プラズマ処理中に、高周波電源11がインピーダンス整合器15を介してUHF帯やVHF帯の高周波電力を下部電極3へ供給している。
【0022】
また、プラズマ処理装置は、整合器15と下部電極3との間に、プラズマ処理中に下部電極3のバイアス電位(以下、下部バイアス電位という。)を計測する測定回路26を備えている。測定回路26は、プラズマ処理中の下部電極3に印加されている高周波信号を計測することにより、下部バイアス電位を計測する。同様に、プラズマ処理装置は、整合器8と上部電極6との間に、プラズマ処理中に上部電極6のバイアス電位(以下、アンテナバイアス電位という。)を計測する測定回路9を備えている。測定回路9は、プラズマ処理中の上部電極6に印加されている高周波信号を計測することにより、アンテナバイアス電位を計測する。
【0023】
例えば、測定回路26は、下部電極3に印加されている高周波電圧を少なくとも1周期分取得し、当該高周波電圧の直流成分を求めることにより、下部バイアス電位を取得する。測定回路26は、下部バイアス電位の取得を所定のサンプリング周期(例えば、1Hz)で、リアルタイムに行う。なお、下部バイアス電位は、プラズマ処理中の半導体基板4に対する電位を示し、半導体基板4に入射する前記プラズマ中のイオンエネルギーを簡易的に測定していることになる。同様に測定回路9では真空処理室1の内壁に対する上部電極6の電位を示すことになる。
【0024】
また本実施形態のプラズマ処理装置は、波長の異なるプラズマの発光強度を同時に測定することができる発光分光強度測定器30を備え、イオン種毎に異なる波長の強度を同時に測定することができ、プラズマ中の各イオン種密度を簡易的に測定することができる。なお、本実施形態のプラズマ処理装置の、演算部25と、上部電力制御部28と、下部電力制御部29と、ガス導入量制御装置33と、予め測定された半導体基板4上のレジストのパターン寸法の測定値データ情報を演算部25に与える情報処理装置31と、半導体基板4の処理開始の指示信号と処理条件の情報を演算部25に与える生産システム32の機能については後述する。
【0025】
以上の構成を有するプラズマ処理装置において、半導体基板4のエッチング処理が行われる過程では、プラズマ13中のラジカルやイオン等の活性種毎に異なる波長の発光強度を示し、これはプラズマ中の各イオン種密度を簡易的に測定できていることを示す。
【0026】
また、前述のように、セルフバイアス電圧はプラズマ処理中の半導体基板4に対する電位を示し、半導体基板4に入射する前記プラズマ中のイオンエネルギーを簡易的に測定していることになる。本願発明者らは、これらの設備パラメータの変動に着目し、プラズマによる半導体基板加工時に、これらの情報から加工寸法または加工寸法を予測することができるという知見を得た。
【0027】
例えば、プラズマ中で、イオンエッチングに働くイオン種としてCl+、F-の密度をArなどの不活性ガスとの発光強度比として測定し、半導体基板4上へ入射する前記プラズマ中のイオン種の量をセルフバイアス電圧で把握する。また半導体基板4上でなくとも、真空処理室1内の側壁や上部へのセルフバイアス電圧であっても同様にプラズマから、チャンバー壁面等に入射するイオン種の量を示しており、半導体基板4上に入射するイオン種の量と比例関係で推測することが可能である。
【0028】
また同様に測定された発光強度比として、化学反応エッチングに働く元素のラジカルの密度を測定することで、イオンエッチングと化学反応エッチングの作用について簡易的に把握することができるので、半導体基板4に対して、等方性エッチングか、異方性エッチングの何れかが、支配的になっているかについて把握することが可能となる。また、発光強度比によりプラズマ中に発生しているラジカルの密度からは、さらにCF3やSiCOx、SiOと炭化物のポリマーの生成を予測することができる。よって、これらの情報から、半導体基板4上のパターンのエッチング処理時に、パターンの側壁保護に働くと考えられている、側壁デポ物の生成と、エッチング速度へ影響を及ぼすイオン種のプラズマ中の密度を、簡易的に把握することができる。
【0029】
すなわちエッチング後のパターンの形状に影響を与える、等方性エッチングか、異方性エッチングの何れかが支配的になっているか、またパターンの側壁保護による異方性エッチングとして働く度合いを、これら設備パラメータから間接的に情報として入手し、把握することが可能となる。
【0030】
図2は、酸化膜エッチング時のCDシフト量(半導体基板4上に予め形成されたレジストパターンの寸法と、プラズマエッチング加工された各膜種の寸法の差分値)の平均値と、下部電極3とCFの発光強度との関係を示す図である。
【0031】
ここで、セルフバイアス電位の平均値および発光強度(Arの発光強度比として、各イオン種毎に規格化)は、1回のプラズマ処理中に取得した、各イオン種毎の発光強度および、下部電極3へのバイアス電位の平均値である。ここでは、その1回のプラズマ処理中のセルフバイアス電位、発光強度比を代表する値として平均値を使用しているが、メジアン値等を用いても構わない。またCDシフト量は半導体基板面内の複数ポイント(ここでは面内13ポイント)の平均値といった統計値を用いている。
【0032】
図2(a)は酸化膜エッチング後の半導体基板4上のパターン寸法、図2(b)、図2(c)、図2(d)において、横軸が半導体基板4の処理日付に対し、縦軸がそれぞれCO、O、CFの各イオン種のプラズマ中の発光強度をArの発光強度で規格化した値、図2(e)は下部電極3のセルフバイアス電圧を示す。
【0033】
各イオン種の発光強度の比および下部電極3のセルフバイアス電圧が寸法値のトレンドと同様に変化していることがわかる。
【0034】
またこれらのデータは計5回の真空処理室1のメンテナンスによる真空容器の内部洗浄毎にシフトしている。したがって、真空処理室1の内壁に反応生成物が付着等の発生によるチャンバー内の状態変化、およびこれら副生成物14からのデガスによるプラズマ雰囲気の変化を発光強度比および下部電極3のセルフバイアス電圧の変化として示していることがわかる。
【0035】
図2(a)の寸法を期間Aのデータを用いて、各イオン種の発光強度比および下部電極3のセルフバイアス電圧、全波長の発光強度、エッチング時間で重回帰式を作成すると以下の式(1)で示される。
【0036】
y=a+V+b×X1+c×X2+d×X3+e×X4+f×Z1+g×T・・・(1)
ここで、yは酸化膜エッチング後寸法値、Vはレジスト寸法値、X1はCO発光強度/Ar発光強度、X2はO発光強度/Ar発光強度、X3はCF発光強度/Ar発光強度、X4は全波長の発光強度、Z1はVpp(セルフバイアス電圧)、Tはエッチング処理時間を示す。
【0037】
ここで期間Aのこれらのパラメータを用いて重回帰を行い、定数a〜gを算出し、寸法予測モデルを作成した。
【0038】
予測モデルを元に、期間Bの寸法を予測し、図2(a)の寸法値の期間Bに重ねてプロットしたところ、相関係数が、モデル作成時で=0.8、期間Bの予測時にはR=0.6で、全期間を通してはR=0.77と、実測値のパターン寸法と計算値および予測値がほぼ一致しており、寸法の予測ができていることを確認した。
【0039】
さて、寸法の予測モデルとして、酸化膜エッチングを元に説明したが、エッチングする膜種である、ポリシリコン、High−k膜、メタル等のエッチングを行う場合においても同様に、エッチングガスおよび、被エッチング材に応じたプラズマ中で発生するイオン種の各波長の発光強度比毎に測定し、それらを用いた重回帰モデルを作成することで、寸法の予測をすることができる。今回のモデルでは平均値を使用したが、使用する各パラメータの統計値は、1回のプラズマ処理中に計測された各パラメータの代表値を算出し用いれば良い。例えば、平均値に代えて、中央値を算出してもよい。
【0040】
なお、プラズマの発光強度はイオン種毎に特有の波長を有する。例として、本実施形態のモデル作成に用いた各イオン種の発光強度は、各イオン種毎にそれぞれ、CFでは260〜265nm、COでは515〜520nm、Oでは775〜780 nm、Arでは415〜420nmの波長の発光強度を用いて算出している。
【0041】
なお、各イオン種がプラズマ中で発生する発光は複数の波長を有し、例えはArでは415.8、451.1、484.8、549.5、603.2、696.5、706.7、750.4(nm)等が知られている。このため、複数のイオン種が同時に発光するような、エッチング中のプラズマでは、計測が必要な幾つかのイオン種毎に、特有の波長が重ならないように、予め測定波長を設定して、発光強度データを入手し、それぞれのイオン種のプラズマ中の密度を示す代表値として用いている。
【0042】
次に本実施形態における寸法の制御について説明する。この制御が、前述の演算部25と、上部電力制御部28と、下部電力制御部29と、情報処理装置31と、生産システム32と、ガス導入量制御装置33の機能に相当する。
【0043】
図3(a)〜(g)は本実施形態のメタルゲート/High−k構造のような積層構造の半導体膜を形成する場合における、各エッチング膜のパターン形状を示す。また図4に本実施形態におけるフローを示す。
【0044】
図3(a)では、半導体基板47上にHigh−k膜46、チタン窒化物等のメタル材45、ポリシリコン等のゲート電極材44、下層レジスト材43、酸化珪素または窒化珪素等のハードマスクとしての中間層42、ArF等リソグラフィ技術によってパターン形成された有機レジスト材41の積層構造の被エッチング材の例を示す。
【0045】
ArFレジスト材41は、予め寸法測定器等により、レジストの寸法を測定しておく(S51,61)。この寸法値により予め設定された値に対する寸法差を算出する。
【0046】
ArFレジスト材41のエッチングは0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6のみ0〜500W程度の電力を印加し、下部電極3への電力印加を行わず、Cl2またはCHF3等のハロゲンガスか有機ハロゲン化物ガスとO2のガスを導入して行う。また、レジストの寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCl2等のハロゲンガスとO2ガス流量の比率を変更し、プラズマ放電を行う。このとき、ArFレジスト材41は、エッチング時間が長くなると、または真空処理室1内のO2ガス流量増加により、Oイオン濃度が高くなると、分解されレジストの寸法が縮小する。逆に、Cl2等のハロゲンガスに変わり、CHF3等の有機ハロゲン化物のガスを用いて、真空処理室1内のCおよびH濃度が高くなることで、反応副生成物として、有機ポリマーが生成され、レジストパターンの側壁に付着することで、ArFレジスト材41の寸法を見かけ上、太くできるので、ArFレジストパターンの寸法制御を行うことができる。なお、真空処理室1内への導入ガスの比率および上部、下部電極3,6への印加電力条件は、直前に処理された半導体基板4のArFレジスト材41処理中のセルフバイアス電圧、Clイオンおよび酸素イオン、COイオンの発光強度と、今処理を行う半導体基板4に対する処理時間と予め測定されているレジスト寸法値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式を用いて決定する(S62)。なお、APC(Advanced Process Control)とは、モニタリンク゛による設備のハ゜ラメータの変化から、ウェーハの処理状態を把握(推測)し、装置のレシヒ゜(処理条件を制御することで)、ウェーハの状態を常に一定に調整し保たれた状態をコントロールし生産することである。
【0047】
このArFレジスト材41処理中のセルフバイアス電圧、Clイオンおよび酸素イオン、COイオンの発光強度を測定し、処理時間と予め測定されているレジスト寸法値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、プラズマ放電を行い、エッチング加工を行なう(S52)。なおプラズマ放電中の、セルフバイアス電圧、Clイオンおよび酸素イオン、COイオンの発光強度を測定し(S63)、処理時間と予め測定されているレジスト寸法値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式でエッチング処理後のArFレジスト寸法を予測する(S64)。
【0048】
次に図3(b)では、酸化珪素または窒化珪素等のハードマスクとしての中間層42のエッチングを行なう。ここでは例として、酸化珪素膜を例に挙げ説明する。CF4またはCHF3などの有機ハロゲン化物とO2ガス等を真空処理室1内へ導入し、0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜500W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う。このとき、前述のArFレジストエッチング時に算出したレジスト寸法予測値と予め設定された中間層42の寸法値と比較し、その寸法差を算出する。算出された寸法差が、予め設定された寸法となるように、直前に行なった半導体基板エッチング処理時の中間層42処理中のセルフバイアス電圧、Clイオンおよび酸素イオン、COイオンの発光強度の値と、今処理を行う半導体基板4に対する処理時間と、ArFレジスト寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式を用いて、真空処理室1に導入するガス流量および下部または上部電極3,6に印加する高周波の電力を決定する(S65)。
【0049】
具体的には中間層42の寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCF4等の有機ハロゲンガスとO2ガス流量の比率を変更する。これによりエッチング後の中間層42のパターン形状変動や、エッチング後の寸法を細らせる制御が可能となる。あるいは中間層エッチング後に、下部電極3へのバイアス電圧を印加せず、CHF3等の有機ハロゲン化物よびO2ガスまたはH2やN2、He等の不活性ガスを真空処理室1に導入し、プラズマ放電を行うことで、発生する有機ポリマー材などによる副生成物をArFレジスト材41および中間層42の側壁部へ付着させる処理を行い、エッチング寸法が見かけ上、太くなるなどの手法を用いた処理を行う。その後、中間層42の寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCF4等の有機ハロゲンガスとO2ガス流量の比率を変更し、所定の寸法でかつ垂直形状となるようにエッチング処理を行う(S53)。
【0050】
この中間層42処理中のセルフバイアス電圧、FおよびCFxイオンおよびOイオン、COイオン等の発光強度を測定し(S66)、処理時間と前述手法にて算出したArFレジスト寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、中間層プラズマ放電後の中間層42の加工寸法を予測する(S67)。
【0051】
次に図3(c)では、下層レジスト材43として、前述のArFレジスト材41の加工同様のガス種、あるいはCO2とAr等の不活性ガスを真空処理室1内へ導入し、0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜500W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う。このとき、前述の中間層42エッチング時に算出した中間層42の寸法予測値と予め設定された中間層42の寸法値と比較し、その寸法差を算出する。算出された寸法差が、予め設定された寸法となるように、直前に行なった半導体基板エッチング処理時の下層レジスト材43処理中のセルフバイアス電圧、ClイオンおよびOイオン、COイオンの発光強度の値と、次に処理を行う半導体基板4に対する処理時間と、中間層寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式を用いて、真空処理室1に導入するガス流量および下部または上部電極3,6に印加する高周波の電力を決定する(S68)。
【0052】
具体的には下層レジスト材43のエッチング加工後の寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCO2または有機ハロゲンガスとO2ガス流量の比率を変更することで、エッチング加工後の寸法を細らせる制御を行うことが可能である。あるいは、下層レジスト材エッチング後に、下部電極3へのバイアス電圧を印加せず、CHF3等の有機ハロゲン化物よびO2ガスまたはH2やN2、He等の不活性ガスを真空処理室1に導入し、プラズマ放電を行うことで、発生する有機ポリマー材などによる副生成物を下層レジスト材43および中間層42の側壁部へ付着させる処理を行い、エッチング寸法が見かけ上、太くなるなどの手法を用いた処理を行う。その後、下層レジスト材43が所定の寸法でかつ垂直形状となるようにエッチング条件を変更させて、エッチング処理を行う(S54)。
【0053】
この下層レジスト材43処理中のセルフバイアス電圧、F(ハロゲン)、CF(有機ハロゲン化物)、CO、OおよびArのイオン種の発光強度を測定し(S69)、処理時間と前述の手法にて算出した中間層42の可能寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、下層レジスト材プラズマ放電後の下層レジスト材43の加工寸法を予測する(S70)。
【0054】
次に図3(d)では、ポリシリコン等のゲート電極材44を、前述の中間層42の加工同様に、Cl2とHBr又はCF4やO2等のガス種を真空処理室1内へ導入し、0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜500W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う。このとき、ポリシリコン膜厚の80%程度までエッチング処理を行う。前述の下層レジスト材43エッチング時に算出した下層レジスト材43の寸法予測値と予め設定された下層レジスト材43の寸法値と比較し、その寸法差を算出する。算出された寸法差が、予め設定された寸法となるように、直前に行なった半導体基板エッチング処理時のポリシリコン膜44処理中のセルフバイアス電圧、H、Br、CF(有機ハロゲン化物)、Fハロゲン化物、O、CO等の各イオン種の発光強度の値と、次に処理を行う半導体基板4に対する処理時間と、下層レジスト材寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式を用いて、真空処理室1に導入するHBr又はCF4やO2等の各ガス種のガス流量および下部または上部電極3,6に印加する高周波の電力を決定する(S71)。
【0055】
具体的にはポリシリコン膜44のエッチング後の寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCl2とHBr又はCF4とO2等の各ガス種の流量の比率と下部電極3に印加するバイアス電力を変更し、エッチング加工後の寸法を細らせる制御を行うことが可能である。あるいは、下層レジスト材エッチング後に、下部電極3へのバイアス電圧を印加せず、CHF3等の有機ハロゲン化物よびO2ガスまたはH2やN2、He等の不活性ガスを真空処理室1に導入し、プラズマ放電を行うことで、発生する有機ポリマー材などによる副生成物を下層レジスト材43および中間層42の側壁部へ付着させる処理を行い、エッチング寸法が見かけ上、太くなるなどの手法を用いた処理を行う。その後、ポリシリコン膜44が所定の寸法でかつ垂直形状となるようにエッチング条件を変更させて、エッチング処理を行う(S55)。
【0056】
このポリシリコン膜44処理中のセルフバイアス電圧、H、Br、CF(有機ハロゲン化物)、F(ハロゲン化物)、O、CO等の各イオン種の発光強度の値を測定し(S72)、処理時間と前述の手段にて算出した下層レジスト材43の寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、ポリシリコン膜プラズマ放電後のポリシリコン膜44のエッチング後の加工寸法を予測する(S73)。
【0057】
次に図3(e)では、ポリシリコン膜44等において、前述のポリシリコン膜エッチング後に残っている残膜厚の20%程度のポリシリコン膜44を、前述のポリシリコン膜44の加工に比べ、より低圧、上部または下部電極3,6への低印加電力を低電力に設定し、Cl2とHBr又はCF4やO2等のガス種を真空処理室1内へ導入し、0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜500W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う。前述のポリシリコン膜44のエッチングに比べ、低圧、低バイアス電力の条件にてエッチング後行なうことにより、ポリシリコン膜44より下層のTi窒化物等が、ポリシリコンエッチング時に、ポリシリコン側壁部へポリマーとして飛散し付着することによる、ポリシリコン膜44のパターン寸法の変動を抑えることができる。前述のポリシリコン膜44エッチング時に算出したポリシリコン膜44の寸法予測値と予め設定されたポリシリコン膜44の寸法値と比較し、その寸法差を算出する。算出された寸法差が、予め設定された寸法となるように、直前に行なった半導体基板エッチング処理時のポリシリコン膜44処理中のセルフバイアス電圧、H、Br、CF(有機ハロゲン化物)、Fハロゲン化物、O、CO等の各イオン種の発光強度の値と、次に処理を行う半導体基板4に対する処理時間と、ポリシリコン膜寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式を用いて、真空処理室1に導入するHBr又はCF4やO2等の各ガス種のガス流量および下部または上部電極3,6に印加する高周波の電力を決定する(S74)。
【0058】
具体的にはポリシリコン膜44のエッチング後の寸法が所定の値になるように、エッチング時間およびCl2とHBr又はCF4とO2等の各ガス種の流量の比率と下部電極6に印加するバイアス電力を変更し、エッチング加工後の寸法を細らせる制御を行うことが可能である。あるいは、下層レジスト材エッチング後に、下部電極6へのバイアス電圧を印加せず、CHF3等の有機ハロゲン化物およびO2ガスまたはH2やN2、He等の不活性ガスを真空処理室1に導入し、プラズマ放電を行うことで、発生する有機ポリマー材などによる副生成物を下層レジスト材43および中間層42の側壁部へ付着させる処理を行い、エッチング寸法が見かけ上、太くなるなどの手法を用いた処理を行う。その後、ポリシリコン膜44が所定の寸法でかつ垂直形状となるようにエッチング条件を変更させて、エッチング処理を行う(S56)。
【0059】
このポリシリコン膜44処理中のセルフバイアス電圧、H、Br、CF(有機ハロゲン化物)、F(ハロゲン化物)、O、CO等の各イオン種の発光強度の値を測定し(S75)、処理時間と前述の手段にて算出したポリシリコン加工寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、ポリシリコン膜プラズマ放電後のポリシリコン膜44のエッチング後の加工寸法を予測する(S76)。
【0060】
次に図3(f)では、Ti窒化物などのメタル材膜45を、Cl2等のハロゲンガスや、有機ハロゲン化物のガス種を真空処理室1内へ導入し、0〜10mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜150W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う(S57)。
【0061】
前述のポリシリコン膜44エッチング時に算出したポリシリコン膜44の寸法予測値と、このメタル材膜45処理中のセルフバイアス電圧、Cl、O、CO等の発光強度を測定し、処理時間とポリシリコン44の寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、メタル材膜プラズマ放電後のメタル材膜45の加工寸法を予測する(S77)。
【0062】
具体的にはメタル材膜45の寸法が所定の値になるように、メタル材膜45エッチング後に、下部電極3へのバイアス電圧を印加せず、CHF3等の有機ハロゲン化物よびO2ガスまたはH2やN2、He等の不活性ガスを真空処理室1に導入し、プラズマ放電を行うことで、発生する有機ポリマー材などによる副生成物をメタル材膜45の側壁部へ付着させる処理を行い、エッチング寸法が見かけ上、太くなるなどの手法を用いて、所定の寸法となるようにエッチング条件を変更させる。
【0063】
このメタル材膜45処理中のセルフバイアス電圧、Cl、O、CO等の発光強度を測定し(S78)、処理時間と予め測定されているレジスト寸法値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、メタル材膜45プラズマ放電後のメタル材膜45の加工寸法を予測する(S79)。
【0064】
次に図3(g)では、High−k材膜46として、Hf酸化物を例に挙げるとBCl3等のハロゲン化物のガス種を真空処理室1内へ導入し、0〜100mTorr程度の低圧で、上部電極6へ0〜1500W程度の電力を印加しプラズマ放電させ、下部電極3へも電力印加を行い、イオンと中性ラジカルを用いたイオンアシスト反応にてエッチングを行う(S58)。
【0065】
High−k材膜46処理中のセルフバイアス電圧、BおよびClイオン、COイオン等の発光強度を測定し(S80)、処理時間と前述手法にて算出したメタル材膜45の寸法予測値のデータから、前述のモデル式(1)のように予め設定したモデル式で、High−k材膜プラズマ放電後のHigh−k材膜46の加工寸法を予測する(S81)。
【0066】
以上により、複数層の連続エッチング加工において、エッチング後の寸法測定することなく、加工の形状または寸法を、真空処理室1の内壁または半導体基板4と、真空処理室1内に生成されたプラズマ13との間の電荷量に応じて変動するバイアス電位を計測し、また、プラズマ中の波長の異なる各イオン種の発光強度を測定し、これらから予め設定したモデル式にて、各膜種のエッチング処理毎に、エッチング後の各膜種の加工寸法を予測し、次の膜のエッチング後寸法が、所定の寸法値になるよう処理条件を変更し、連続して次の膜種のエッチング処理を行う。これにより、各膜種毎にエッチング後寸法や形状を補正することができ、金属材料やHigh−k材料を含む複数層の膜から構成されるゲート電極材料をドライエッチング加工する際、下地膜選択性が高く垂直な形状への加工が可能となる。
【0067】
なおHigh−k材膜加工寸法予測値が、予め設定されているHigh−k材膜寸法値と比較し、その寸法差を算出する。算出された寸法差が予め設定されたHigh−k材膜46の寸法値となるように、情報を、ArFレジスト材41の寸法制御のためのレジストのプラズマ放電による寸法制御方法へフィードバックすることで、High−k材膜46の加工寸法を、制御値になるよう制御することができる(図4の矢印A参照)。
【0068】
なお、上記実施形態では、ゲート電極材44としてポリシリコンを挙げたが、これに限るものではなく、例えば、TiSi、CoSi、PtSi、NiSi、WSi等があげられる。
【0069】
また、メタル材膜45としてTi窒化物を挙げたが、これに限るものではなく、例えば、W、Ta、Pt,、Ni、Co、Al等の金属または合金等が上げられる。
【0070】
さらに演算部25、上部電力制御部28、下部電力制御部29、ガス導入量制御装置33が実施する上述の手順の一部あるいは全部をコンピュータに実行させるためのプログラムを、インターネットなどの電気通信回線を用いたり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したりすることで、関係者や第三者に提供することができる。例えばプログラムの指令を電気信号や光信号、磁気信号などで表現し、その信号を搬送波に載せて送信することで、同軸ケーブルや銅線、光ファイバのような伝送媒体でそのプログラムを提供することができる。またコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、CD−ROMやDVD−ROMなどの光学メディアや、フレキシブルディスクのような磁気メディア、フラッシュメモリやRAMのような半導体メモリを利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、金属材料やHigh−k材料を含む複数層の膜から構成されるゲート電極材料をドライエッチング加工する際、下地膜選択性が高く垂直な形状への加工を安定に制御するプラズマ処理方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態におけるプラズマ処理装置を示す概略構成図
【図2】本発明の実施形態におけるエッチング後の寸法と、エッチング時のバイアス電位および発光強度の平均値との関係を示す図
【図3】本発明の実施形態におけるパターンのエッチング形状を示す概略図
【図4】本発明の実施形態における寸法制御のフローチャート
【図5】従来のプラズマ処理装置を示す概略構成図
【符号の説明】
【0073】
1 真空処理室
2 真空排気手段
3 下部電極
4 半導体基板(被処理物)
5 ガス導入手段
6 上部電極(プラズマ励起電極)
7、11 高周波電源
8、15 インピーダンス整合器
9、26 測定回路
12 コイル
13 プラズマ
14 副生成物
25 演算部
28 上部電力制御部
29 下部電力制御部
30 発光分光強度測定器
31 情報処理装置
32 生産システム
33 ガス導入量制御装置
41 ArFレジスト材
42 中間層
43 下層レジスト材
44 ポリシリコン膜(ゲート電極材(poly-Si等))
45 メタル材膜(TiN等)
46 High−k材膜
47 半導体基板(Si基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ励起電極に高周波電力を印加することにより真空処理室内に生成したプラズマを用いて、前記真空処理室内に収容された被処理物のプラズマ処理を行うプラズマ処理方法において、
前記被処理物は表面にHigh−k材料または酸化膜上に金属材料を含む複数層の膜から構成された膜構造を備え、当該被処理物を前記真空処理室内の下部電極上に載置し、前記真空処理室内にエッチングガスを導入する工程と、
前記エッチングガス流量の混合比を変更させて、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程と、
処理圧力を調整する工程と、
前記真空処理室内にプラズマを生成する工程と、
前記被処理物上にバイアス電位を形成するためのバイアス電力を供給する工程と、
前記バイアス電力の出力を異ならせ、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程とを有するプラズマ処理方法であって、
複数膜種のエッチング処理毎に、前記プラズマの状態の時間変化を検知する工程と、
前記被処理物上に入射するイオンエネルギー分布およびプラズマ中の各イオン種の密度から、前記真空処理室内で加工される被処理物の加工形状を予測し、その予測結果に応じて、前記真空処理室へ印加するバイアス出力ならびに、エッチングガス流量の混合比を変化させることにより独立に制御してエッチングを行なう工程とをさらに有する
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項2】
プラズマ励起電極に高周波電力を印加することにより真空処理室内に生成したプラズマを用いて、前記真空処理室内に収容された被処理物のプラズマ処理を行うプラズマ処理方法において、
前記被処理物は表面にHigh−k材料または酸化膜上に金属材料を含む複数層の膜から構成された膜構造を備え、当該被処理物を前記真空処理室内の下部電極上に載置し、前記真空処理室内にエッチングガスを導入する工程と、
プラズマエッチング処理前に、前記エッチングガスの種類を変更させて、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程と、
処理圧力を調整する工程と、
前記真空処理室内にプラズマを生成する工程と、
前記被処理物上にバイアス電位を形成するためのバイアス電力を供給する工程と、
前記バイアス電力の出力を異ならせ、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程とを有するプラズマ処理方法であって、
複数膜種のエッチング処理毎に、前記プラズマの状態の時間変化を検知する工程と、
前記被処理物上に入射するイオンエネルギー分布およびプラズマ中の各イオン種の密度から、前記真空処理室内で加工される被処理物の加工形状を予測し、その予測結果に応じて、まず前記真空処理室内の被処理物を積載している下部電極へ印加するバイアス印加電力を0Wとし、被処理物上にバイアス電位を形成するためのバイアス電力を供給することで、被処理物上にプラズマ放電を発生させ、有機ハロゲン化物とO2ガス雰囲気内での分解反応にて生成される、有機ポリマー等の副成分物を発生させて、被処理物上のパターンへ堆積させ、見かけ上被処理物上に形成されており、下層膜のエッチング処理時にマスクとして働く上層膜の寸法を見かけ上、制御し太くする工程と、
その後、エッチングガスを導入し下部電極へバイアス電力を印加してエッチングを行なうことで、エッチング後に形成されるパターン寸法を制御する工程とをさらに有する
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のプラズマ処理方法において、
真空処理室内壁と真空処理室内に生成されたプラズマとの間の電荷量に応じて変動する物理量をセルフバイアス電圧として取得し、またプラズマ中の各イオン種の密度を、複数の周波数の発光強度として取得する工程と、
取得されたこれらプラズマエッチング処理中の設備パラメータとしての物理量と、あらかじめ設定したモデルにて、これら物理量から被処理物の寸法を計算し予測する工程とをさらに有し、
予め設定された規格値に、被処理物の寸法を制御するように、次の膜のエッチング条件を算出設定し、その条件にてエッチング加工を行う
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項4】
請求項3記載のプラズマ処理方法において、
各被エッチング膜種毎に、エッチング加工寸法を予測し、予め設定された規格値に被処理物の寸法がなるように、次の膜のエッチング条件を算出設定し、その条件にてエッチング加工を、複数膜種間で繰り返し行うことにより、各膜種毎に加工寸法を設定値に保つ工程をさらに有する
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のプラズマ処理方法において、
各被エッチング膜処理毎にプラズマ処理中に取得される設備パラメータを元に算出および予測されたエッチング形状と、予め設定しているエッチング形状とを、エッチング後寸法として比較することにより、加工形状の要否を判定する工程をさらに有する
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項6】
プラズマ励起電極に高周波電力を印加することにより真空処理室内に生成したプラズマを用いて、前記真空処理室内に収容された被処理物のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記真空処理室内に設置された下部電極と、
前記下部電極にバイアス電力を供給する高周波電源と、
前記真空処理室内にエッチングガスを供給するガス導入手段と、
前記下部電極のバイアス電位を計測する測定回路と、
前記プラズマの発光分光強度を測定する測定器と、
前記バイアス電力を制御する下部電力制御部と、
前記エッチングガスのガス種およびその流量を制御するガス導入量制御装置と、
前記バイアス電位および前記発光分光強度の測定値を用いて、前記下部電力制御部および前記ガス導入量制御装置を制御する演算部とを備えた
ことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項6記載のプラズマ処理装置において、
前記演算部が、前記下部電極のバイアス電位および前記プラズマ中の各イオン種の発光強度を取得し、あらかじめ設定したモデルにて、被処理物の加工寸法を予測する
ことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
プラズマ励起電極に高周波電力を印加することにより真空処理室内に生成したプラズマを用いて、前記真空処理室内に収容された被処理物のプラズマ処理を行うプラズマ処理方法において、
前記被処理物は表面にHigh−k材料または酸化膜上に金属材料を含む複数層の膜から構成された膜構造を備え、当該被処理物を前記真空処理室内の下部電極上に載置し、前記真空処理室内にエッチングガスを導入する工程と、
前記エッチングガス流量の混合比を変更させて、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程と、
処理圧力を調整する工程と、
前記真空処理室内にプラズマを生成する工程と、
前記被処理物上にバイアス電位を形成するためのバイアス電力を供給する工程と、
前記バイアス電力の出力を異ならせ、前記被処理物上に形成された積層膜構造をプラズマ処理する工程とを有するプラズマ処理方法であって、
複数膜種のエッチング処理毎に、前記プラズマの状態の時間変化を検知する工程と、
前記被処理物上に入射するイオンエネルギー分布およびプラズマ中の各イオン種の密度から、前記真空処理室内で加工される被処理物の加工形状を予測し、その予測結果に応じて、前記真空処理室へ印加するバイアス出力ならびに、エッチングガス流量の混合比を変化させることにより独立に制御してエッチングを行なう工程とをさらに有するプラズマ処理方法を実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−199126(P2010−199126A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39158(P2009−39158)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】