説明

プラズマ処理装置

【課題】プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】ウェハを載置し、高周波バイアス電源と接続され高周波電力が印加されるウェハ載置電極103と、ウェハ載置電極103に対向して配置された上部電極102と、ウェハ載置電極103の周辺部に配置され、高周波電圧が印加される導電性リング105とを有するプラズマ処理装置において、過渡プラズマであるプラズマ消火の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるようにウェハ載置電極103に印加される高周波電圧に対する導電性リング105に印加される高周波電圧の比率を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置の製造工程で用いられるプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置の製造工程におけるプラズマを用いた処理としては、プラズマデポやプラズマエッチングが知られている。プラズマ処理装置については、例えば特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−203489号公報
【特許文献2】特開2008−251866号公報
【特許文献3】特開2009−71292号公報
【特許文献4】特開2004−273797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ処理は、真空処理室に導入された反応ガスのプラズマを用いて導電性リングを備えた試料台に載せられた試料の表面のエッチングや試料表面へのデポを行なう処理である。この処理を終了した後、プラズマは消火される。このプラズマ消火の際、プラズマを発生させるための上部電極に印加されるソース出力と試料が搭載される試料台に印加されるバイアス出力の停止のタイミングがそれらの停止スイッチのタイミングとランダムにずれることが分かった。このタイミングのずれにより試料へのチャージングダメージが危惧される。
【0005】
特許文献1には、プラズマエッチング装置において、半導体装置を作り込むための半導体基板(ウェハ)を載せる試料台に設けられた載置電極の周辺部の部品(導電性リング)にかかる電圧を増加させることにより、消耗した導電性リングであっても高パワーによる高速エッチングにおける加工形状の不具合をなくす手法が開示されている。従来、導電性リングの電圧を制御する場合には、プラズマ処理におけるウェハエッジの加工形状が垂直になるように電極の電圧に対する比率で電圧が制御されており、その比率は導電性リングの高さなどにより最適値が決まっていた。また、導電性リングの消耗による部品寿命やウェハエッジへのエッチング性能への悪影響を緩和するために、導電性リングにかかる電圧を電極より小さく設定できるよう設計するものもあった。しかしながら、本特許文献1には、どのような場合にも、プラズマの着火、消火時に電圧比率を変更するという思想はない。またソース高周波電源及び下部電極高周波電源を各電源の特性上、同時にON,OFFにすることが不可能なため(ON,OFFのタイミングがずれる)、プラズマの着火、消火時にウェハ面内のセルフバイアスの電位差が発生し、チャージングダメージが発生しやすいという課題は解消されていない。
【0006】
特許文献2には処理室内のガス温度の分布に基づいてリング状部材の温度調節を制御して加工形状の面内均一性及びチャージングダメージを低減する技術が開示されている。また、特許文献3にはプラズマを生成させる第1の振幅を有する第1の期間とプラズマを実質的に生成させない第2の振幅を有する第2の期間とを所定の周期で交互に繰り返すようにプラズマ生成用高周波電源を調整する方法が開示されている。しかしながら、プラズマ消火時のソース出力やバイアス出力の停止のタイミングが、それぞれの停止スイッチのタイミングと合わないことによるチャージングダメージやその対策に関する開示や示唆はない。
【0007】
特許文献4には、上部電極と下部電極の間隔をプラズマ処理時より広く設定することによりプラズマ消火時におけるチャージングダメージを防止する技術が開示されている。しかしながら、プラズマ消火時のソース出力やバイアス出力の停止のタイミングが、それぞれの停止スイッチのタイミングと合わないことによるチャージングダメージに関する開示や示唆はない。しかも、特許文献4では、プラズマ処理ステップからプラズマ消火ステップに移行する際に、上部電極と下部電極の間隔を広げるため、下部電極が下降し、プラズマが不安定になる。このため、プロセス性能に悪影響を及ぼしたり、異物が増加する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一形態として、真空プラズマ処理室と、前記真空プラズマ処理室にガスを供給する手段と、ウェハを載置し、高周波バイアス電源と接続され高周波電力が印加されるウェハ載置電極と、前記ウェハ載置電極に対向した上部電極と、前記上部電極にプラズマ生成手段として高周波電力を印加するソース電源と、前記ウェハ載置電極の周辺部に配置された高周波電圧が印加される導電性リングとを有するプラズマ処理装置において、過渡プラズマであるプラズマ消火時の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるように、前記ウェハ載置電極に印加される高周波電圧に対する前記導電性リングに印加される高周波電圧の比率を制御する制御部を更に有することを特徴とするプラズマ処理装置とする。
【0010】
また、真空プラズマ処理室と、前記真空プラズマ処理室にガスを供給する手段と、ウェハを載置し、高周波バイアス電源と接続され高周波電力が印加されるウェハ載置電極と、前記ウェハ載置電極に対向した上部電極と、プラズマ分布を制御する磁場発生手段と、前記上部電極にプラズマ生成手段として高周波電力を印加するソース電源と、前記ウェハ載置電極の周辺部に配置され、高周波電圧が印加される導電性リングとを有するプラズマ処理装置において、過渡プラズマであるプラズマ消火の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるように、前記ウェハ載置電極に印加される高周波電圧に対する前記導電性リングに印加される高周波電圧の比率を制御し、かつプラズマ処理時の磁場強度と異なる磁場強度に制御する制御部を更に有することを特徴とするプラズマ処理装置とする。
【発明の効果】
【0011】
プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係るプラズマエッチング装置の概略図である。
【図2】実施例1に係るプラズマ消化シーケンス及びセルフバイアス変化を示すグラフであり、(a)は従来、(b)は導電性リングの電圧の分配比をプラズマ消火時に変化させた場合、(c)は導電性リングの電圧の分配比をプラズマ消火時に変化させるとともに、磁場設定を変えた場合を示す。
【図3】実施例2に係るプラズマ消化シーケンス及びセルフバイアス変化を示すグラフであり、(a)は従来、(b)は導電性リングの電圧の分配比をプラズマ消火時に変化させた場合、(c)は導電性リングの電圧の分配比をプラズマ消火時に変化させるとともに、磁場設定を変えた場合を示す。
【図4】実施例3に係るプラズマエッチング装置の概略図を示す。
【図5】実施例1、3に係るプラズマエッチング装置で用いた下部電極及び導電性リングの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
プラズマ処理装置において、過渡プラズマであるプラズマ消火時の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるように、ウェハ載置電極に印加される高周波電圧に対する導電性リングに印加される高周波電圧の比率を制御する。これにより、チャージングダメージが低減できる。
【0014】
以下実施例にて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
以下、第1の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例に係るプラズマエッチング装置の概略図を示す。本エッチング装置は、真空に排気できるプラズマ処理室101内に、互いに対向して配置された上部アンテナ(電極)102と下部電極103を備え、下部電極103には、半導体製品基板(ウェハ)104を載置できる。また、下部電極の周辺に導電性リング105を備える。導電性リング105は図5に示すように下部電極103を取り巻くように配置されている。また、プラズマ生成のための100〜300MHzソース高周波電源106および、2〜5MHzの下部電極高周波電源107が設置されている。下部電極高周波電源107の電力は分配回路108により導電性リング部品105に分配され分配比を制御することができる。符号112は、ソース高周波電源106の出力および下部電極高周波電源107の出力の状況に応じて分配回路108を制御する制御部である。
【0016】
また、プラズマ処理室にガスを供給するためのガス供給系109と、排気速度を調節する機能をもった排気系110、プラズマ分布を制御するための磁場発生用コイル111を備える。
【0017】
本プラズマエッチング装置を用いて、高アスペクト比の絶縁膜のホールをエッチングするプロセス処理を実施した。本プロセスのプラズマ処理時には、ガス供給系109からアルゴン、酸素、フロロカーボン系のガスを導入し、圧力を0.5Pa〜10Paに調整し、磁場発生用コイル111に2〜10Aの電流を印加し、ソース出力を400〜2000W、バイアス出力を3000W〜8000W、導電性リング部品105への電圧比率は0.6〜0.9で処理した。
【0018】
プラズマ処理中の定常時のチャージングダメージの原因となるウェハ面内のセルフバイアスの差は、図示していない下部電極103の構造、プラズマ処理室内部品構造、プラズマ処理条件などでゼロに近づけた。
【0019】
図2を用いて本実施例に係るエッチング装置のプラズマ消火時のシーケンスを説明する。過渡プラズマであるプラズマ消火時(プラズマOFF時)とは、あるエッチングステップでのプラズマ処理が終了してプラズマをOFFにしながら、次のエッチングステップに移行する時のことである。また、このプラズマ消火時にはソース高周波電源と下部電極高周波電源を共にOFFにするが、各電源の特性上同時にOFFすることはできない(各スイッチを同時に切ったとしても、実際にOFFとなるタイミングがずれる)。このため、セルフバイアスのウェハ面内差によるチャージングダメージが発生する。
【0020】
図2は上からソース高周波電源のソース出力、下部電極高周波電源のバイアス出力、導電性リング部品に分配された電圧分配比率、磁場発生コイルの電流、ウェハ外周でのセルフバイアスの絶対値からウェハ中心でのセルフバイアスの絶対値を引き算して示したウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値とウェハ104外周部のセルフバイアスの絶対値との差の時間変化を示した。縦軸はエッチングプラズマ時の値によりそれぞれ規格化して表示した。グラフの横軸はエッチングプラズマが終わり、消化を開始した時点を0として示した。また、図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ、(a)従来、(b)導電性リングの電圧の分配比をプラズマ消化時に変化させた場合、(c)導電性リングの電圧の分配比を変化させるとともに、磁場設定を変えた場合を示した。
【0021】
まず、プラズマの消化を始める前のプラズマ処理の定常時T1は、ウェハ104中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差はほぼゼロであった。
【0022】
本実施例のシーケンスでは、プラズマ消化時T2にソース出力に対する高周波バイアス出力の比率がプラズマ処理時T1より過渡プラズマ時T2の方が高くなり、従来のやり方では、図2(a)に示すようにウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が大きくなり、ダメージを引き起こすレベルL1になった。
【0023】
一方、過渡プラズマ中T2で導電性リングに印加される高周波電圧の比率を増加させた場合には、図2(b)に示すようにウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値とウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値との差の波形が負側にシフトし、前記の差の絶対値がより小さい範囲で変化するようになったため、チャージングダメージが低減した。なお、本実施例のようにプラズマ消火時にソース出力が高周波バイアス出力よりも先にOFF(電源スイッチのOFFではなく、実際の出力のOFF)した場合には、制御部112は導電性リングへの電圧比率がプラズマ処理時に比べて大きくなるように分配回路108を制御する。
【0024】
チャージングダメージを低減できたのは以下のメカニズムによる。高周波バイアス電力がプラズマ処理室の側壁をある程度アースとしているため、ウェハ外周部とプラズマ処理室の側壁との間のインピーダンスに対して、ウェハ中心部とウェハ外周部との間のインピーダンスが無視できない大きさである通常の場合には、高周波バイアス電力で生じるセルフバイアスのウェハ面内分布は、ウェハ中心部よりウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値が大きくなる。
【0025】
過渡プラズマ時に高周波バイアス電源出力比率が増加する時は、この影響で、ウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値がプラズマ処理時よりウェハ中心部と比較して大きくなり易い。この時、前記導電性リングの高周波電圧比率を増加させ、シースを厚くすることで、導電性リングとプラズマ処理室の側壁間のインピーダンスを増加させることができ、ウェハ中心部に流入する電子電流とウェハ外周部に流入する電子電流がそれぞれ同じ割合で減少することで、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が低減されるため、チャージングダメージを低減できる。
【0026】
また、導電性リングの電圧比率を増加させるとともに、コイル電流を減少させ、磁場を小さくなるように変更することにより図2(c)に示したように、さらにウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が小さくなり、チャージングダメージが低減した。コイル電流の制御も制御部112を用いて行なった。
【0027】
チャージングダメージを低減できたのは、以下のメカニズムによる。過渡プラズマの際に磁場を弱くなるように制御することで、中心部のプラズマ密度が増加し、ウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値が増加することにより、相対的にウェハ中心部とウェハ外周部のセルフバイアスの差が低減され、チャージングダメージを低減できる。
【0028】
本実施例によれば、プラズマ消火の際、ソース出力がバイアス出力よりも先にOFFする場合には、導電性リングの電圧比率をプラズマ処理のときに比べて大きくすることにより、プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することができる。また、磁場発生コイル電流を遮断することにより、よりチャージングダメージの発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0029】
図3を用いて第2の実施例について説明する。図の構成は図2と同様である。また、用いたプラズマ処理装置は実施例1と同様である。本実施例のシーケンスでは、先に高周波バイアス出力が低下するため、プラズマ消化時の過渡プラズマ中T2にソース出力に対する高周波バイアス出力の比率がプラズマ処理時T1より低くなり、従来のやり方の場合には、図3(a)に示すようにウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値がウェハ外周部のセルフバイアスより大きくなったために、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が大きくなり、ダメージを引き起こすレベルL2になった。
【0030】
一方、過渡プラズマ中T2に導電性リング部品に印加される高周波電圧の比率を減少させた場合には、図3(b)に示すようにウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値とウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値との差の波形が正側にシフトし、ウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値とウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値との差の絶対値がより小さい範囲で変化するようになったため、チャージングダメージが低減した。
【0031】
なお、本実施例のようにプラズマ消火時に高周波バイアス出力がソース出力よりも先にOFF(電源スイッチのOFFではなく、実際の出力のOFF)した場合には、制御部112は導電性リングへの電圧比率がプラズマ処理時に比べて小さくなるように分配回路108を制御する。
【0032】
チャージングダメージを低減できたのは以下のメカニズムによる。このようなソース電源出力比率増加時はプラズマ処理時に比べ、プラズマ密度分布がより中心で濃くなり、ウェハ中心部のセルフバイアスの絶対値がよりウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値より大きくなり易い。この時に前記導電性リングの高周波電圧比率を減少させ、シースを薄くすることで、導電性リングとプラズマ処理室の側壁との間のインピーダンスを低下させ、ウェハ中心部に流入する電子電流とウェハ外周部に流入する電子電流をそれぞれ同じ割合で増加させることで、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差を減少でき、チャージングダメージを低減できる。
【0033】
また、導電性リングの高周波電圧比率を減少させるとともに、コイル電流を増加させ、磁場を強くすることにより図3(c)に示すようにさらにウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が小さくなり、チャージングダメージが低減した。コイル電流の制御も制御部112を用いて行なった。
【0034】
チャージングダメージを低減できたのは、過渡プラズマの際に磁場を強くなるように制御することでプラズマ分布を中心から外周に広げることで、ウェハ外周部のセルフバイアスの絶対値がウェハ中心部のセルフバイアス絶対値より相対的に大きくなり、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスとの差が低減されたことにより、チャージングダメージを低減できる。
【0035】
本実施例によれば、プラズマ消火の際、バイアス出力がソース出力よりも先にOFFする場合には、導電性リングの電圧比率をプラズマ処理のときに比べて小さくすることにより、プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することができる。また、磁場発生コイル電流をプロセス処理時よりも大きくすることにより、よりチャージングダメージの発生を抑制することができる。
【実施例3】
【0036】
第3の実施例について図4を用いて説明する。なお、実施例1や実施例2に記載され、本実施例に未記載の事項はそれらと同様である。
【0037】
図4は実施例3に係るプラズマエッチング装置の概略図を示す。本エッチング装置はウェハ載置電極の高周波バイアス電源107とは別に導電性リング105に印加する高周波バイアス電源401を設けたもので、両高周波バイアス電源107,401は位相制御器402で同位相に制御した。
【0038】
また、それぞれの高周波バイアス電圧をモニターし、導電性リング105の電圧をウェハ載置電極(下部電極)103の電圧に対して一定比率になるように制御部403により電源のパワーを制御した。磁場発生コイル111に流れる電流も制御部403で制御できる。本エッチング装置では、導電性リング105の高周波電圧比率を広い範囲で制御することが可能であった。
【0039】
本実施例においても図2(b)(c)や図3(b)(c)に示したようにチャージングダメージを抑制することができる。
【0040】
本実施例によれば、プロセス性能に悪影響を及ぼすことなく、また異物を発生させることなくプラズマ消火時のチャージングダメージの発生を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0041】
101:プラズマ処理室、102:上部アンテナ、103:下部電極、104:半導体基板、105:導電性リング、106:ソース高周波電源、107:高周波バイアス電源、108:分配回路、109:ガス供給系、110:排気系、111:磁場発生用コイル、112:制御部、401:導電性リング用高周波バイアス電源、402:位相制御器、403:制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空プラズマ処理室と、前記真空プラズマ処理室にガスを供給する手段と、ウェハを載置し、高周波バイアス電源と接続され高周波電力が印加されるウェハ載置電極と、前記ウェハ載置電極に対向した上部電極と、前記上部電極にプラズマ生成手段として高周波電力を印加するソース電源と、前記ウェハ載置電極の周辺部に配置された高周波電圧が印加される導電性リングとを有するプラズマ処理装置において、
過渡プラズマであるプラズマ消火時の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるように、前記ウェハ載置電極に印加される高周波電圧に対する前記導電性リングに印加される高周波電圧の比率を制御する制御部を更に有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記制御部は、プラズマ消化の際、前記ソース電源の出力が前記高周波バイアス電源の出力よりも先に低くなる場合において、前記比率をプラズマ処理時の電圧比率より増加させるように制御するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記制御部は、前記プラズマ消化の際、前記高周波バイアス電源出力が前記ソース電源出力より先に低くなる場合において、前記比率をプラズマ処理時の電圧比率より減少させるように制御するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
真空プラズマ処理室と、前記真空プラズマ処理室にガスを供給する手段と、ウェハを載置し、高周波バイアス電源と接続され高周波電力が印加されるウェハ載置電極と、前記ウェハ載置電極に対向した上部電極と、プラズマ分布を制御する磁場発生手段と、前記上部電極にプラズマ生成手段として高周波電力を印加するソース電源と、前記ウェハ載置電極の周辺部に配置され、高周波電圧が印加される導電性リングとを有するプラズマ処理装置において、
過渡プラズマであるプラズマ消火の際、ウェハ中心部のセルフバイアスとウェハ外周部のセルフバイアスの差を低減できるように、前記ウェハ載置電極に印加される高周波電圧に対する前記導電性リングに印加される高周波電圧の比率を制御し、かつプラズマ処理時の磁場強度と異なる磁場強度に制御する制御部を更に有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項4記載のプラズマ処理装置において、
前記磁場発生手段は磁場発生用コイルであり、
前記制御部は、プラズマ消火の際、前記ソース電源の出力が前記高周波バイアス電源の出力より先に低くなる場合において、前記磁場発生用コイルに流れる電流をプラズマ処理時よりも減少させるように制御するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項4記載のプラズマ処理装置において、
前記磁場発生手段は磁場発生用コイルであり、
前記制御部は、プラズマ消火の際、前記高周波バイアス電源の出力が前記ソース電源の出力より先に低くなる場合において、前記磁場発生用コイルに流れる電流をプラズマ処理時よりも増加させるように制御するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記比率の変更は、前記ウェハ載置電極に接続された高周波バイアス電源と、前記高周波バイアス電源の電圧を分配する分配回路と、を用いてなされるものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項1のプラズマ処理装置において、
前記ウェハ載置電極に接続された高周波バイアス電源と、前記導電性リングに接続された高周波バイアス電源の位相を制御する位相制御器を有し、前記比率の変更は、それぞれの高周波バイアス電源の出力を制御するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−29444(P2011−29444A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174311(P2009−174311)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】