説明

プロジェクター、投写ユニット及び電子黒板

【課題】超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実現するためのプロジェクター及びそのプロジェクターに用いる投写ユニットを提供すること。重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を提供すること。
【解決手段】映像光を射出する射出光学系を含む本体部2と、射出光学系から射出された映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニット3と、を有し、投写ユニット3は、映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、変倍光学系からの映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を備え、変倍光学系は、射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、投写ユニット及び電子黒板、特に、近接投写のためのプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、短い投写距離で大画面を表示可能とする、いわゆる近接投写のための投写光学系を備えるプロジェクターが製品化されている。この投写光学系を採用することで、従来のフロント投写型のプロジェクターに比べて超短距離で大画面(例えば、40cmの投写距離で100インチ)を表示することが可能となっている。これらのプロジェクターは、超短距離投写のみに使用可能とされるのが一般的であって、超短距離投写から、従来広く知られているプロジェクターの中長距離投写まで、目的に応じた使用を可能とすることが期待されている。例えば、特許文献1には、投写レンズに対してスクリーン側に取り付けられる反射投写ユニットによってズーム比を拡大させるプロジェクターの技術が提案されている。反射投写ユニットを取り付けた状態と取り外した状態とで、異なるズーム比の画像を得ることが可能となる。
【0003】
仮に、特許文献1に係る反射投写ユニットを超短距離投写に適用するには、ズーム比を大幅に拡大させる必要が生じる。この場合、ズーム比を大きくするほど、収差を低減させることが非常に困難となる。また、レンズの光軸(中心軸)に対して偏芯させて複数の曲面ミラーを配置する構成を採用していることから、光学要素の僅かなずれ等が画像へ大きな影響を及ぼす場合が多くなる。このため、所望の光学性能を得るためには非常に高精度な調整を要する上、偏芯光学系による収差を低減させることも困難となる。
【0004】
また、近年、マルチメディアコンテンツの増加により、文教分野やプレゼンテーション等において使用される、いわゆるインタラクティブボードが普及しつつある。インタラクティブボードは、コンテンツを表示しながら、そのコンテンツへの使用者による書き込みが可能であることを特徴とする。通常、インタラクティブボードは、従来の黒板やホワイトボードと同様のサイズとなるため、比較的広範囲での表示が求められることとなる。インタラクティブボードでの広範囲の表示に一般的な直視型のモニターを適用すると、装置全体の重量、消費電力、コストの面で問題が生じる。
【0005】
例えば、特許文献2及び3には、プロジェクターから投写された映像光を平面ミラーで反射させ、透過型スクリーンへ入射させる電子黒板の技術が提案されている。特許文献4には、超短距離投写のプロジェクターを備える電子黒板の技術が提案されている。プロジェクターを使用する拡大投写によって、広範囲での表示を可能とする。プロジェクターを使用することにより、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。但し、特許文献2及び3の技術の場合、広大な平面ミラーが透過型スクリーンに対して傾きを持たせて設置されることで、奥行き方向のサイズが大きくなり、設置性が低下する点が問題となる。特許文献4の技術におけるプロジェクターは、超短距離投写にのみ適用されるものであって、使用用途が限定されるために利便性が低いという点が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−6398号公報
【特許文献2】特開2003−136892号公報
【特許文献3】特開2004−252345号公報
【特許文献4】特開2009−83277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実現するためのプロジェクター、及びそのプロジェクターに用いる投写ユニットを提供することを第1の目的とする。また、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプロジェクターは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、前記投写ユニットは、前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、前記変倍光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を備え、前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係るプロジェクターは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、前記投写ユニットは、前記射出光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーを備え、前記射出光学系は、前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系としての機能を備え、前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。
【0010】
プロジェクターは、本体部と投写ユニットとが組み合わせられて、超短距離投写をする。本体部は、投写ユニットが外されて、単体で中長距離投写をする。光軸に対して傾けられた像を、倍率を変換させてから広角化させる構成とすることにより、偏芯光学系を採用しなくても近接投写を可能にできる。広角化ミラーでの反射により映像光を広角化させることにより、広角化による色収差の低減も可能となる。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとが可能なプロジェクターを得られる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、前記射出光学系から前記投写ユニットを経ずに前記映像光を投写させた場合に、前記光軸に対して略垂直に正立した像面をなす像を結像させる結像範囲を第1の範囲、前記映像光の光路のうち前記第1の範囲以外の範囲を第2の範囲、とすると、前記射出光学系は、前記第2の範囲において、前記光軸に対して傾けられた像面をなす前記映像光を射出可能であることが望ましい。これにより、本体部は、第1の範囲を中長距離投写のために利用し、第2の範囲を近接投写のために利用することが可能となる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、前記本体部は、前記プロジェクターから着脱可能であることが望ましい。これにより、プロジェクターから本体部を取り出して中長距離投写をすることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、前記射出光学系は、前記本体部単体で画像を表示するための第1のモードと、前記本体部と前記投写ユニットとを組み合わせて画像を表示するための第2のモードと、に切り換え可能であることが望ましい。これにより、第1のモードにより、正立した像面の像を得る場合と、第2のモードにより、傾けられた像面の像を得る場合と、を切り換えることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、前記射出光学系は、前記光軸の方向についてレンズを移動させることにより、前記第1のモードと前記第2のモードとに切り換えられることが望ましい。これにより、レンズを移動させる容易な操作により、中長距離投写と超短距離投写との切り換えが可能となる。また、射出光学系は、前記光軸に対するレンズの傾きを変化させることにより、前記第1のモードと前記第2のモードとに切り換えられることとしても良い。この場合も、レンズの傾きを変化させる容易な操作により、中長距離投写と超短距離投写との切り換えが可能となる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、前記変倍光学系は、前記映像光による像を拡大させる拡大光学系であることが望ましい。これにより、像面が傾けられた像を拡大して、近接投写を行う。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、負のパワーの光学要素を備えることが望ましい。これにより、負のパワーの光学要素と、その入射側に設けられた正のパワーの光学要素とを組み合わせて、像を拡大させる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素を備えることが望ましい。これにより、正のパワーの光学要素と、その射出側に設けられた負のパワーの光学要素とを組み合わせて、像を拡大させる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記正のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた負のパワーの光学要素と、を備えることが望ましい。これにより、正のパワーの光学要素と負のパワーの光学要素とで、像を拡大させる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様としては、前記変倍光学系は、前記映像光による像を縮小させる縮小光学系であることが望ましい。これにより、像面が傾けられた像を縮小して、近接投写を行う。
【0020】
また、本発明の好ましい態様としては、前記縮小光学系は、負のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記負のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた正のパワーの光学要素と、を備えることが望ましい。これにより、負のパワーの光学要素と正のパワーの光学要素とで、像を縮小させる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様としては、前記射出光学系と、前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、前記光軸を略一致させて配置されることが望ましい。これにより、所望の光学性能を得るための光学系の調整や、光学要素の加工をし易くできる。特に、本体部と投写ユニットとの位置合わせを容易にできる。
【0022】
また、本発明の好ましい態様としては、前記射出光学系と、前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、前記映像光の光束を前記光軸からシフトさせて進行させるシフト光学系を構成することが望ましい。これにより、広角化ミラーで反射した映像光の、光軸上の光学要素との干渉を回避させ、広角化させた映像光を被照射面へ進行させることができる。
【0023】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、前記像面が前記被照射面に略平行になるように、前記映像光を折り返すことが望ましい。これにより、被照射面において正立された画像を得ることができる。
【0024】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、非球面形状を備えることが望ましい。これにより、近接投写において、映像光を反射させて広角化させるとともに、光軸から遠くの周辺部における収差を低減させる構成にできる。
【0025】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、前記光軸に近くなるに従い曲率が増大するような曲面形状を備えることが望ましい。これにより、近接投写により、被照射面で像を結像させる構成にできる。
【0026】
また、本発明の好ましい態様としては、前記光軸からの高さをy、前記広角化ミラーの形状の基準とする球面の曲率をc、円錐定数をkとし、A、A、A、A、A10・・・のそれぞれを所定の補正項として、前記広角化ミラーは、以下のhにより表される曲面形状を含むことが望ましい。
【0027】
【数1】

【0028】
これにより、光軸から離れた位置ほど歪曲を補正可能とし、高品質な画像を得ることが可能となる。
【0029】
さらに、本発明に係るプロジェクターは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、前記射出光学系から射出された前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーを備え、前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、前記射出光学系から前記投写ユニットを経ずに前記映像光を投写させた場合に、前記光軸に対して略垂直に正立した像面をなす像を結像させる結像範囲を第1の範囲、前記映像光の光路のうち前記第1の範囲以外の範囲を第2の範囲、とすると、前記射出光学系は、前記第2の範囲において、前記光軸に対して傾けられた像面をなす前記映像光を射出可能であることを特徴とする。
【0030】
本体部は、第1の範囲を中長距離投写のために利用し、第2の範囲を近接投写のために利用する。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとが可能なプロジェクターを得られる。
【0031】
さらに、本発明に係る投写ユニットは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と組み合わせて使用され、前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットであって、前記射出光学系から射出された前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、前記変倍光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を有し、前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸の法線に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実現するための投写ユニットを得られる。
【0032】
また、本発明の好ましい態様としては、前記変倍光学系は、前記映像光による像を拡大させる拡大光学系であることが望ましい。これにより、像面が傾けられた像を拡大して、近接投写を行う。
【0033】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、負のパワーの光学要素を備えることが望ましい。これにより、負のパワーの光学要素と、その入射側に設けられた正のパワーの光学要素とを組み合わせて、像を拡大させる。
【0034】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素を備えることが望ましい。これにより、正のパワーの光学要素と、その射出側に設けられた負のパワーの光学要素とを組み合わせて、像を拡大させる。
【0035】
また、本発明の好ましい態様としては、前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記正のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた負のパワーの光学要素と、を備えることが望ましい。これにより、正のパワーの光学要素と負のパワーの光学要素とで、像を拡大させる。
【0036】
また、本発明の好ましい態様としては、前記変倍光学系は、前記映像光による像を縮小させる縮小光学系であることが望ましい。これにより、像面が傾けられた像を縮小して、近接投写を行う。
【0037】
また、本発明の好ましい態様としては、前記縮小光学系は、負のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記負のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた正のパワーの光学要素と、を備えることが望ましい。これにより、負のパワーの光学要素と正のパワーの光学要素とで、像を縮小させる。
【0038】
また、本発明の好ましい態様としては、前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、光軸を略一致させて配置されることが望ましい。これにより、所望の光学性能を得るための光学系の調整や、光学要素の加工をし易くできる。
【0039】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、前記像面が前記被照射面に略平行になるように、前記映像光を折り返すことが望ましい。これにより、被照射面において正立された画像を得ることができる。
【0040】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、非球面形状を備えることが望ましい。これにより、近接投写において、映像光を反射させて広角化させるとともに、光軸から遠くの周辺部における収差を低減させる構成にできる。
【0041】
また、本発明の好ましい態様としては、前記広角化ミラーは、前記光軸に近くなるに従い曲率が増大するような曲面形状を備えることが望ましい。これにより、近接投写により、被照射面で像を結像させる構成にできる。
【0042】
また、本発明の好ましい態様としては、前記光軸からの高さをy、前記広角化ミラーの形状の基準とする球面の曲率をc、円錐定数をkとし、A、A、A、A、A10・・・のそれぞれを所定の補正項として、前記広角化ミラーは、以下のhにより表される曲面形状を含むことが望ましい。
【0043】
【数2】

【0044】
これにより、光軸から離れた位置ほど歪曲を補正可能とし、高品質な画像を得ることが可能となる。
【0045】
さらに、本発明に係る電子黒板は、上記のプロジェクターと、前記プロジェクターから入射した映像光により映像を表示し、かつ前記映像の表示面への書き込みを可能とする画面表示部と、を有することを特徴とする。
【0046】
電子黒板は、本体部及び投写ユニットが組み合わせられたプロジェクターからの超短距離投写によって、画面表示部に映像を表示する。超短距離投写のための構成を採用することで、奥行き方向のサイズを抑制させる。また、本体部単体での中長距離投写を可能とすることで、高い汎用性、利便性を確保できる。電子黒板は、拡大投写のためのプロジェクターの適用により、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。これにより、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を得られる。
【0047】
また、本発明の好ましい態様としては、前記プロジェクターのうち、前記映像光を射出する射出光学系を含む本体部は、前記電子黒板から着脱可能であることが望ましい。これにより、電子黒板から本体部を取り出して中長距離投写をすることができる。
【0048】
また、本発明の好ましい態様としては、前記画面表示部の設置のための基台と、前記基台に前記プロジェクターを固定するプロジェクター固定部と、を有することが望ましい。これにより、画面表示部に対して高い精度で位置決めされた状態で投写ユニットを保持可能とし、高精細な映像を表示することが可能となる。
【0049】
また、本発明の好ましい態様としては、前記プロジェクター固定部は、前記プロジェクターのうち、前記映像光を射出する射出光学系を含む本体部を位置決めするためのガイド構造を備えることが望ましい。これにより、電子黒板に本体部を取り付けるごとに、正確な位置に、本体部を容易に設置することができる。
【0050】
また、本発明の好ましい態様としては、前記基台における前記プロジェクター固定部の取り付け強度を補強するための補強部材を有し、前記補強部材は、前記プロジェクターと前記画面表示部との間において前記映像光が進行する領域の周辺に配置されることが望ましい。これにより、補強部材は、映像光を遮らないようにしてプロジェクター固定部の取り付け強度を補強する。また、補強部材は、電子黒板の周辺にある物による映像光の遮蔽を防ぐための防御構造としても機能する。
【0051】
また、本発明の好ましい態様としては、前記補強部材は、前記映像光が進行する領域を被覆するカバーを備えることが望ましい。これにより、プロジェクターから画面表示部までの光路への外光の進入を制限させ、コントラストが高い映像を画面表示部に表示することができる。
【0052】
また、本発明の好ましい態様としては、前記プロジェクターは、前記画面表示部のうち前記映像を観察する側とは反対側の面へ前記映像光を入射させ、前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を透過させることが望ましい。これにより、画面表示部において映像を表示する。
【0053】
また、本発明の好ましい態様としては、前記プロジェクターは、前記画面表示部に対して鉛直下側に配置されることが望ましい。電子黒板のうち低めの位置にプロジェクターを設置する構成とすることで、所定位置への本体部の取り付けを容易にすることができる。
【0054】
また、本発明の好ましい態様としては、前記プロジェクターは、前記画面表示部に対して鉛直上側に配置されることが望ましい。鉛直上側から映像光を入射させる構成とすることで、使用者による画面表示部への書き込みの際に、書き込みのためのツールの影を鉛直下向きに生じさせる。これにより、影によって書き込み位置を見失うケースを少なくし、利便性を向上させることができる。
【0055】
また、本発明の好ましい態様としては、前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を拡散させる光拡散性を備えることが望ましい。観察者は、画面表示部で拡散した映像光を観察する。
【0056】
また、本発明の好ましい態様としては、前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を角度変換する角度変換部を備えることが望ましい。これにより、画面表示部へ斜めに進行する映像光を効率良く観察者の方向へ進行させる。
【0057】
また、本発明の好ましい態様としては、前記画面表示部の前記表示面に書き込まれている書き込み内容を含む情報を読み込む読込装置を有することが望ましい。これにより、画面表示部への書き込み内容などの情報を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1に係るプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】本体部の概略構成を示す図。
【図3】本体部単体による投写について説明する模式図。
【図4】本体部に投写ユニットを組み合わせる場合の投写について説明する模式図。
【図5】投写ユニットの断面構成と映像光の光線とを示す図。
【図6】マスターレンズを示す模式図。
【図7】アフォーカル光学系の例を示す模式図。
【図8】マスターレンズとアフォーカル光学系とを組み合わせた構成の模式図。
【図9】凹レンズを用いた広角化について説明する模式図。
【図10】凸ミラーを用いた広角化について説明する模式図。
【図11】シフト光学系について説明する模式図。
【図12】マスターレンズのみによる投写について説明する図。
【図13】平面ミラーによる光線の折り返しについて説明する図。
【図14】近接化とミラーの変形について説明する図。
【図15】非球面ミラーの非球面形状について説明する図。
【図16】像高と光線距離との関係を説明する図。
【図17】近接化と光線距離の変化とについて説明する図。
【図18】光軸の法線に対して傾けられた像面について説明する図。
【図19】近接投写のために傾けられた像面のシミュレーション例を示す図。
【図20】実施例1におけるマスターレンズの光学特性について説明する図。
【図21】傾けられた像面をマスターレンズによって得るための手法を説明する図。
【図22】バックフォーカスと像面の倒れとについて説明する図。
【図23】スクリーンでの結像について説明する図。
【図24】図5に示す各光学要素の機能について説明する模式図。
【図25】本発明の実施例2に係るプロジェクターの各光学要素の模式図。
【図26】実施例2におけるマスターレンズの光学特性について説明する図。
【図27】近接投写のために傾けられた像面のシミュレーション例を示す図。
【図28】本発明の実施例3に係る電子黒板の正面側斜視図。
【図29】電子黒板の背面側斜視図。
【図30】プロジェクター固定部とその周辺部分を示す図。
【図31】図30に示す状態から本体部が取り外された状態を示す図。
【図32】ガイド構造を備えるプロジェクター固定部を示す図。
【図33】画面表示部に形成されているフレネルレンズの断面模式図。
【図34】棒状部材に代えてカバーが設けられた電子黒板の背面側斜視図。
【図35】実施例3の変形例に係る電子黒板の正面側斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0060】
図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。プロジェクター1は、本体部2及び投写ユニット3を有する。本体部2は、画像信号に応じた映像光を射出する。投写ユニット3は、本体部2からの映像光をスクリーンSCの被照射面へ向けて投写させる。
【0061】
図2は、本体部2の概略構成を示す図である。光源10は、例えば、超高圧水銀ランプであって、R光、G光、B光を含む光を射出する。ここで、光源10は、半導体光源であっても良い。第1インテグレーターレンズ11及び第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子近傍にて集光させる。第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子は、第1インテグレーターレンズ11のレンズ素子の像を液晶表示パネル18R、18G、18Bに形成する。
【0062】
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を液晶表示パネル18R、18G、18Bの照射面上で重畳させる。第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射したR光を反射させ、G光及びB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射したR光は、反射ミラー16及びフィールドレンズ17Rを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Rへ入射する。液晶表示パネル18Rは、R光を画像信号に応じて変調する。
【0063】
第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からのG光を反射させ、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射したG光は、フィールドレンズ17Gを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Gへ入射する。液晶表示パネル18Gは、G光を画像信号に応じて変調する。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、24、反射ミラー23、25、及びフィールドレンズ17Bを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Bへ入射する。液晶表示パネル18Bは、B光を画像信号に応じて変調する。色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム19は、各液晶表示パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成して映像光とし、投写レンズ20へ進行させる。投写レンズ20は、本体部2から映像光を射出させる射出光学系として機能する。なお、空間光変調装置としては、透過型の液晶表示パネル18R、18G、18Bに代えて、反射型の液晶表示パネルを採用しても良い。また、空間光変調装置としては、反射型のデバイス(例えば、マイクロミラーデバイス等)を採用しても良い。
【0064】
図3は、本体部2単体によって映像光を投写した場合の投写距離について説明する模式図である。本体部2は、プロジェクター1から着脱可能とされている。プロジェクター1から取り外された単体の本体部2は、投写レンズ20から投写させた映像光により、被照射面に映像を映し出す。この場合、本体部2は、スクリーンSC側へ投写レンズ20を向けて設置される。本体部2は、距離Aから距離B(A<Bとする)の間において、同じ画面サイズでフォーカスを合わせることが可能であるとする。
【0065】
図4は、本体部2に投写ユニット3を組み合わせて映像光を投写した場合の投写距離について説明する模式図である。プロジェクター1は、投写レンズ20から射出された映像光を投写ユニット3により投写させ、被照射面に映像を映し出す。この場合、本体部2は、スクリーンSCとは反対側の投写ユニット3へ投写レンズ20を向けて、プロジェクター1に取り付けられる。プロジェクター1は、距離Aより短い距離Cでの投写が可能となる。
【0066】
図5は、投写ユニット3の断面構成と、投写ユニット3へ入射する前後における映像光の光線とを示す図である。投写ユニット3は、光学要素として、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33を備える。第1レンズ31及び第2レンズ32は、投写レンズ20に対向する位置に配置されている。第1レンズ31及び第2レンズ32は、例えば、いずれも球面レンズである。第1レンズ31及び第2レンズ32は、レンズ支持部34により、基板36上に支持されている。
【0067】
広角化ミラー33は、第1レンズ31及び第2レンズ32からの映像光が入射する位置に設けられている。広角化ミラー33は、映像光を反射させて広角化させる非球面ミラーである。広角化ミラー33は、ミラー支持部35により、基板36上に支持されている。第1レンズ31及び第2レンズ32と、広角化ミラー33とは、共通の基板36を介して位置決めされ、固定されている。
【0068】
広角化ミラー33は、中心軸(光軸)に関して略回転対称な形状、例えば、円錐形状の一部を切り取った非球面形状を備える。広角化ミラー33の中心軸は、投写レンズ20の光軸AXと一致している。第1レンズ31及び第2レンズ32の光軸も、投写レンズ20の光軸AXと一致している。このように、投写レンズ20、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、光軸を一致させて配置されている。
【0069】
投写レンズ20、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、画像信号に応じて変調された光を、特定の側へシフトさせて進行させる。具体的には、光軸AXに対して特定の側である鉛直上側へ光をシフトさせて進行させる。クロスダイクロイックプリズム19の入射面に仮想的に形成される像面の中心法線は、光軸AXに対して平行であって、光軸AXに対して特定の側とは反対側である鉛直下側にある。
【0070】
本体部2は、例えば、投写ユニット3とは完全に別体構造とし、プロジェクター1から着脱可能とされる。また、本体部2は、プロジェクター1内で移動させることとし、投写ユニット3と一体に構成されることとしても良い。例えば中長距離投写の場合、投写レンズ20から投写される映像光が投写ユニット3により遮られない位置に本体部2を移動させる構成としても良い。本体部2と投写ユニット3とを一体構成とする場合、プロジェクター1の持ち運び後における両者の位置調整を省略できるなどにより、使用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0071】
次に、プロジェクター1による近接投写における各光学要素の機能について説明する。例えば、図6に示す焦点距離fのマスターレンズMLに対して、光学要素の追加により焦点距離を短縮化させるとする。焦点距離を短縮化させるには、像の倍率を拡大させるための光学系として、アフォーカル光学系を追加することが考えられる。
【0072】
アフォーカル光学系は、例えば図7に示すように、正のパワーの光学要素L1と負のパワーの光学要素L2とを組み合わせて構成される。光学要素L1は、例えば凸レンズである。光学要素L2は、例えば凹レンズであって、光学要素L1の射出側に設けられている。光学要素L1と光学要素L2とは、焦点位置を合わせて配置される。焦点距離f1の光学要素L1と焦点距離f2の光学要素L2とは、倍率(−f1/f2)のガリレオ式望遠鏡を構成する。
【0073】
図8に示すように、光学要素L1及び光学要素L2からなるアフォーカル光学系の入射側にマスターレンズMLを配置すると、倍率(−f1/f2)のフロントコンバーター(ワイドコンバーター)になる。焦点距離は、マスターレンズMLのみの場合のfに対して、f’(=f×(−f1/f2))へ短縮化される。レンズからなる光学系で広角化(アフォーカル倍率の高倍率化)をするほど、色収差の発生が顕著となるため、色収差を低減させるためのレンズを併用することとなる。図9に示すように、凹レンズである光学要素L2の曲率を大きくすることで、例えば130度以上の広角化を実現しようとする場合、色収差低減のためのレンズを使用しても、光学要素L2に起因する色収差の低減が困難となる。
【0074】
そこで、図10に示すように、負のパワーの光学要素L2として、凹レンズに代えて凸面を備えるミラーを用いることとする。光線角度の変化が大きくなる部分にミラーを使用することにより、色収差を低減させる。本実施例では、近接投写のためのフロントコンバーターにおいて、レンズとミラーとを使用する。光学要素L2として使用されるミラーは、広角化の他、反射により光を折り返す機能も備える。そこで、図11に示すように、マスターレンズML、光学要素L1及び光学要素L2をシフト光学系とすることにより、光軸AX近傍の光線の干渉を回避させる。
【0075】
図12に示すように、マスターレンズMLのみでスクリーンSCへ光を投写させる場合の光線は、図13に示すように単純な平面ミラーPMを光路中に挿入することで折り返される。光線の折り返し部分とスクリーンSCとを近接化させるには、図14に示すように、折り返し部分の平面ミラーPMを湾曲させる変形が必要となる。平面ミラーPMの変形により得られる非球面ミラーAMは、近接化させたスクリーンSCへマスターレンズMLからの光線を反射可能な反射面を連続させることにより得られる。非球面ミラーAMは、図15に示すように、光軸AXに近くなるに従い曲率が増大するような非球面形状を備える。これにより、近接投写により、被照射面で像を結像させる。
【0076】
図16は、像高と光線距離との関係を説明する図である。像高とは、光軸AXを基準とする鉛直方向についての像の高さとする。一般的な中長距離投写の場合、像高が最小である部分の倍率a/aと、像高が最大である部分の倍率b/bとは近い値となり、像面は光軸AXに略垂直となる。これに対して、超短距離の近接投写の場合、スクリーンSCと非球面ミラーAMとの間の投写距離Lが短くなることにより、像高が最小である部分の倍率a/aと、像高が最大である部分の倍率b/bとは大きく異なる値となる。仮に光学要素L2が無いものとして光線を直進させたとすると、図中破線で示すように、光軸AXの法線Nに対して大きく傾けられた像面IMGが得られることとなる。非球面ミラーAMは、映像光を反射させることにより、像面IMGを光軸AXに対して垂直に正立させる役割を果たしている。像面IMGを正立させることにより、スクリーンSCの被照射面において像を結像させる。
【0077】
非球面ミラーAMは、以下の多項式hで表される非球面形状を含む。ここで、yは光軸AXからの像の高さ(像高)、cは非球面ミラーAMの形状の基準とする球面の曲率、kは円錐定数、A、A、A、A、A10・・・のそれぞれは所定の補正項とする。
【0078】
【数3】

【0079】
上記式の分数項は、基準となる非球面形状を表す項であって、k=0である場合に球面形状を表す。補正項は、その基準となる非球面形状からのずれを表す。上記式は、基準となる非球面形状が補正項によって補正されても、中心軸に関して回転対称な非球面形状を表している。なお、多項式hにおける補数項の個数は、任意であるものとする。
【0080】
光を広角化させる場合、一般的に、光軸AXから遠くの周辺部ほど、歪曲等の収差が発生し易くなるため、特に、周辺部の収差を大きく低減させる設計が必要とされる。本実施例では、多項式hに補数項が含まれることで、c及びkで定められた二次曲線に対し、光軸AXからの高さyに応じた形状の補正が可能となる。各補数項にはyの階乗が乗算されることから、yが大きくなる部分ほど効果的に補正がなされることとなる。従って、短焦点化しても周辺部に歪曲等の収差が非常に少なく高性能な光学系を実現することが可能となる。なお、非球面ミラーAMの形状を表す式は、本実施例で説明するものに限られず、適宜変形しても良い。さらに、広角化ミラーの形状は、XY多項式として表される自由曲面であっても良い。また、広角化ミラーは、負のパワーを持つ凸面ミラーに代えて、正のパワーを持つ凹面ミラーであっても良い。
【0081】
図17に示すように、スクリーンSCと非球面ミラーAMとをさらに近接化させていくと、像高が最大である部分については、光線の距離がbからb’へと変化する。像高が高い部分については、このように光線の距離を変化させるように、効果的な補正が可能となる。近接化が進められると、像高が高い部分のみならず、像高が低い部分についても、光線の距離をaからa’と変化させるような補正が必要となってくる。像高が低い部分ほど、上記の非球面ミラーAMの多項式による補正が困難となる。そこで、本実施例では、像高が低い部分については、非球面ミラーAMによる収差補正によらず、マスターレンズMLの光学特性を利用して収差補正を行うこととする。
【0082】
図14を参照して説明したように平面ミラーPMを変形させた非球面ミラーAMについて、仮に非球面ミラーAMが無いものとした場合、図18に示すように、法線Nに対して傾けられた像面IMGを形成することとなる。このように、本実施例における近接投写においては、像面IMGに傾きを持たせた映像光を非球面ミラーAMに入射させる。
【0083】
図19は、近接投写のために傾けられた像面IMGのシミュレーション例を示す図である。非球面ミラーAMへ入射させる映像光における像面IMGは、一般的な中長距離投写における焦点距離の範囲FLまで倒されることとなる。仮に、かかる像面IMGをマスターレンズMLのみによって実現しようとすると、マスターレンズML単体での通常の中長距離投写の場合に、被照射面に対して像面が傾けられることとなるため、被照射面における結像が難しくなる。そのため、かかる像面IMGをマスターレンズMLのみによって実現しようとすると、近接投写と中長距離投写との実現が困難となる。そこで、本実施例は、マスターレンズMLによって傾きを持たせた像面を得てから、その像を投写ユニット3の拡大光学系によって拡大させる構成を採用する。
【0084】
図20は、本実施例におけるマスターレンズMLの光学特性について説明する図である。マスターレンズMLによる像面は、所定距離より遠方の範囲である結像範囲においては、光軸AXに対して略垂直に正立し、それより近くの範囲においては、法線Nに対して傾けられる。マスターレンズMLは、像面を正立させる第1の範囲FL1を使用して中長距離投写をする。また、マスターレンズMLは、第1の範囲FL1よりマスターレンズML側の第2の範囲FL2では、図中太線で表すように、法線Nに対して傾けられた像面IMG’を作り、超短距離投写用とする。像面IMG’は、図19に示すシミュレーション例における像面IMGに対して小さいものとする。
【0085】
図21は、傾けられた像面をマスターレンズMLによって得るための手法を説明する図である。図中上段は、バックフォーカスをfaとする中長距離投写の場合とする(第1のモード)。第1のモードは、本体部2単体で被照射面に画像を表示するモードとする。図中下段は、バックフォーカスをfa’(fa<fa’)とする超短距離投写の場合とする(第2のモード)。第2のモードは、本体部2と投写ユニット3とを組み合わせて被照射面に画像を表示するモードとする。
【0086】
第2のモードでは、第1のモードにおけるマスターレンズMLの通常の位置に対して、バックフォーカスが長くなるように、マスターレンズMLを光軸AX方向について移動させる。近軸での結像位置をマスターレンズML側に移動させると、一般に、光軸AXから離れた映像光による像面には倒れが生じることとなる。例えば、図22に示すように、バックフォーカスを+0から拡大させるに従って像面の倒れは不規則に現れ、+0.5付近では、法線Nに対して完全に傾けられる。
【0087】
超短距離投写のための第2のモードをマスターレンズMLに搭載しておくことで、本体部2を投写ユニット3に組み合わせる場合に高い光学性能を発揮させることができる。マスターレンズMLを光軸AX方向について移動させる簡易な動作によってモードを変換可能とすることで、ほとんどコストアップを生じさせず、簡単かつ高精度な構成を実現できる。なお、傾けられた像面IMG’をマスターレンズMLによって得るには、マスターレンズMLを光軸AXの方向について移動させる場合に限られない。マスターレンズMLを構成する少なくとも一つのレンズの傾きを変化させることにより、傾けられた像面IMG’を得ることとしても良い。この場合も、簡易な動作によるモードの変換が可能である。
【0088】
マスターレンズMLによる像面IMG’は、拡大光学系Wによって、図19のシミュレーション例に示す像面IMGにまで拡大される。傾けられた像面IMG’の像を拡大光学系Wによって拡大させた映像光は、図23に示すように、非球面ミラーAMで反射させることによりスクリーンSCで結像される。
【0089】
図24は、図5に示す各光学要素の機能について説明する模式図である。投写レンズ20は、マスターレンズMLに相当する。投写レンズ20は、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG’(図20参照)を形成する。マスターレンズMLは、特に、像高が低い部分について、収差を補正する機能を持つ。第1レンズ31は、正のパワーの光学要素L1に相当する。第2レンズ32及び広角化ミラー33は、負のパワーの光学要素L2に相当する。第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、像を拡大させるフロントコンバーターとして機能する。
【0090】
なお、図8を参照して説明するフロントコンバーターに対して本実施例ではシフト光学系を採用することから、焦点位置が若干異なることとなる。このために生じる諸収差に対しては、広角化ミラー33による補正や、収差を低減させるためのレンズを併用する措置を取り得る。また、第1レンズ31及び第2レンズ32は、球面レンズに代えて非球面レンズを採用することとして、収差を補正する機能を持たせることとしても良い。このように収差補正の機能を持たせた複数の光学要素を組み合わせることにより、高性能な光学使用を満足させることが可能となる。レンズ群内において、球面レンズに代えて非球面レンズや自由曲面レンズを採用することで、レンズの枚数を少なくさせることや、レンズを小型化させることも可能となる。これにより、コスト低減や鏡枠の小型化が可能となる。
【0091】
正のパワーの光学要素L1である第1レンズ31と、負のパワーの光学要素L21である第2レンズ32は、マスターレンズML及び広角化ミラー33の間において、マスターレンズMLによる傾けられた像面IMG’を拡大させる拡大光学系Wとして機能する。第2レンズ32は、凹レンズとする。光学要素L2の一部である拡大光学系Wは、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG’をなす像について倍率を変換させる変倍光学系として機能する。
【0092】
広角化ミラー33は、非球面ミラーAMに相当し、第2レンズ32とともに第2光学要素L2を構成する。広角化ミラー33は、拡大光学系Wにより拡大された像面IMG(図19参照)がスクリーンSCの被照射面に略平行になるように、映像光を折り返す。また、広角化ミラー33は、特に、像高が高い部分について、収差を補正させる機能を持つ。
【0093】
広角化ミラー33は、中心軸に関して略回転対称な形状とすることで、他の構成との光軸合わせを容易にできる。また、広角化ミラー33は、旋盤等による加工が可能であるため、容易かつ高い精度で製造することができる。プロジェクター1は、共軸光学系を採用することにより、通常の共軸系の設計手法を採用することが可能である。よって、光学系の設計工数を少なくし、かつ収差が少ない光学系を実現することができる。
【0094】
本実施例は、所定の間隔をなして複数の光学要素を配置する構成を採用することから、光軸を揃えることで組み立てを容易にでき、高い性能の実現も可能となる。特に、本体部2の着脱の際、本体部2の投写レンズ20と、投写ユニット3の各光学要素との高精度な位置合わせが要求されることとなる。光軸を共通とすることで、本体部2側の光学要素と、投写ユニット3側の光学要素との位置調整をし易くすることができる。共軸光学系の場合、光軸から周辺に向かっての光学性能の変化が、偏芯光学系における光学性能の変化に対して緩やかにできる。このため、配置精度にある程度の余裕を持たせることが可能となるため、本発明に適した構成を実現可能となる。
【0095】
以上により、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクター1による超短距離投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。一台のプロジェクター1によって、超短距離から中長距離まで、広い投写距離をカバーすることができる。なお、本実施例の投写ユニット3は、従来の投写型のプロジェクターと組み合わせることとしても良い。第2の範囲において倒れた像面の像を形成可能であれば、従来のプロジェクターを適用して、本実施例と同様の近接投写を実現できる。
【0096】
投写ユニット3は、少なくとも広角化ミラー33を有するものであれば良く、適宜変形しても良い。例えば、第2レンズ32の機能は、広角化ミラー33に持たせることとしても良い。さらに、第1レンズ31の機能、或いは第1レンズ31及び第2レンズ32双方の機能は、本体部2の光学系、例えば投写レンズ20に持たせることとしても良い。この場合も、プロジェクター1は、近接投写をすることができる。
【実施例2】
【0097】
図25は、本発明の実施例2に係るプロジェクターの各光学要素の模式図である。本実施例は、実施例1の拡大光学系Wに代えて設けられた縮小光学系Rを備えることを特徴とする。実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。投写ユニットは、光学要素として、第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33を備える。投写レンズ20、第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33は、光軸を一致させて配置されている。
【0098】
第1レンズ41は、負のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凹レンズである。第2レンズ42は、第1レンズ41の射出側に設けられた正のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凸レンズである。本実施例は、マスターレンズMLによって傾きを持たせた像面を得てから、その像を投写ユニットの縮小光学系Rによって縮小させる構成を採用する。縮小光学系Rは、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面をなす像について倍率を変換させる変倍光学系として機能する。
【0099】
図26は、本実施例におけるマスターレンズMLの光学特性について説明する図である。マスターレンズMLによる像面は、所定距離より近くの範囲である結像範囲においては、光軸AXに対して略垂直に正立し、それより遠くの範囲においては、法線Nに対して傾けられる。マスターレンズMLは、像面を正立させる第1の範囲FL1を使用して中長距離投写をする。また、マスターレンズMLは、マスターレンズMLから見て第1の範囲FL1より遠くの第2の範囲FL2では、図中太線で表すように、法線Nに対して傾けられた像面IMG’を作り、超短距離投写用とする。
【0100】
図27は、近接投写のために傾けられた像面IMGのシミュレーション例を示す図である。マスターレンズMLによる像面IMG’は、縮小光学系Rによって、図示する像面IMGにまで拡大される。傾けられた像面IMG’の像を縮小光学系Rによって縮小させた映像光は、非球面ミラーAMで反射させることによりスクリーンSC(図23参照)で結像される。
【0101】
このように、投写レンズ20は、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG’(図26参照)を形成する。第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33は、全体として、像を拡大させるフロントコンバーターとして機能する。このうち、第1レンズ41及び第2レンズ42は、マスターレンズML及び広角化ミラー33の間において、マスターレンズMLによる傾けられた像面IMG’を縮小させる。本実施例の場合も、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクターによる超短距離投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。本発明は、実施例1及び2で説明する特徴を生かして、背面投写型のプロジェクターに応用しても良い。例えば、背面投写用のスクリーンと投写ユニットを一体化させ、本体部を着脱可能とすることで、リア型プロジェクターとしての利用と、フロント投写型プロジェクターとしての利用との実現が可能となる。
【実施例3】
【0102】
図28は、本発明の実施例3に係る電子黒板50の正面側斜視図である。電子黒板50は、実施例1及び2に係るプロジェクター1(図1参照)と同様に構成されたプロジェクター51を備える。プロジェクター51は、本体部52及び投写ユニット53を有する。本体部52は、画像信号に応じた映像光を射出する。投写ユニット53は、本体部52からの映像光を画面表示部54へ向けて投写させる。本体部52及び投写ユニット53は、それぞれ実施例1及び2で説明する本体部2(図2参照)及び投写ユニット3(図5参照)と同様に構成されている。投写ユニット53の光学要素は、筐体に収納されている。筐体は、映像光を射出するための開口を備える。
【0103】
画面表示部54は、プロジェクター51から入射した映像光により画像を表示し、かつ映像の表示面への書き込みを可能とする。画面表示部54は、光を透過させる半透過ガラスもしくは合成樹脂を材料として構成されている。使用者は、書き込み用のツール、例えば、ペンや指し棒等を使用して、画面表示部54へ文字や図画等を書き込む。また、使用者は、画面表示部54への書き込みを、消去用のツール等を使用して消去する。
【0104】
電子黒板50は、読込装置(図示省略)を備える。読込装置は、画面表示部54の表示面に書き込まれている書き込み内容や、画面表示部54に表示されている映像、画面表示部54にツールを接触あるいは近接させる等により入力された情報等を読み込む。読込装置としては、例えば、CCDカメラ等のイメージセンサを用いる。電子黒板50は、読込装置を設けることにより、画面表示部54への書き込み内容やその際に表示されている映像、入力情報等の記録が可能となる。
【0105】
基台55は、画面表示部54を支持する。画面表示部54は、基台55に取り付けられて設置されている。プロジェクター固定部56は、基台55のうち二本の脚部58を繋ぐ角柱59上にプロジェクター51を固定する板状部材である。プロジェクター51は、画面表示部54に対して鉛直下側に取り付けられている。プロジェクター固定部56と基台55とを繋ぐ四本の棒状部材57は、基台55におけるプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強するための補強部材として機能する。
【0106】
図29は、電子黒板50の背面側斜視図である。プロジェクター51は、画面表示部54のうち映像を観察する正面側とは反対側の裏面へ、映像光を近接投写する。画面表示部54は、裏面へ入射したプロジェクター51からの映像光を、正面側へ透過させる。画面表示部54は、プロジェクター51から入射した映像光を拡散させる光拡散性を備える。画面表示部54は、裏面から映像光を入射させて表示される映像に、表面に書き込まれた文字や図画等を重ね合わせて表示する。観察者は、表面に書き込まれた文字や図画等と、画面表示部54で拡散した映像光とを観察する。
【0107】
棒状部材57のうちプロジェクター固定部56側の端部は、投写ユニット53より後方の位置に接合されている。二本の棒状部材57は、基台55側の端部が、基台55のうち画面表示部54の左右上端付近に接合されている。二本の棒状部材57は、基台55側の端部が、角柱59と脚部58とが接続する部分に接合されている。図中の破線矢印は、投写ユニット53から画面表示部54の四隅へそれぞれ進行する光線を表している。各棒状部材57は、プロジェクター51と画面表示部54との間において映像光が進行する領域の周辺に配置されている。
【0108】
棒状部材57は、映像光が進行する領域の周辺に配置されるように取り付けられることで、映像光を遮らないようにしてプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強する。また、棒状部材57は、電子黒板50の周囲にある物による映像光の遮蔽を防ぐための防御構造としても機能する。
【0109】
図30は、電子黒板50のうち、プロジェクター51が設置されている状態のプロジェクター固定部56とその周辺部分を示す図である。電子黒板50は、プロジェクター固定部56によってプロジェクター51を基台55に固定することで、画面表示部54に対して高い精度で位置決めされた状態で投写ユニット53を保持することが可能となる。これにより、画面表示部54において高精細な映像を表示することが可能となる。
【0110】
図31は、図30に示す状態から本体部52が取り外された状態を示す図である。本体部52は、プロジェクター固定部56から適宜着脱可能とされている。これにより、本体部52をプロジェクター固定部56に取り付けることによる電子黒板50としての使用と、電子黒板50から本体部52を取り出すことによる中長距離投写とが可能となる。画面表示部54に対して鉛直下側にプロジェクター51が配置される構成を採用することで、本体部52は、電子黒板50のうち低めの位置に設置される。これにより、電子黒板50への本体部52の取り付けを容易にすることができる。
【0111】
また、図32に示すように、プロジェクター固定部56は、本体部52を位置決めするためのガイド構造60を備えることとしても良い。ガイド構造60としては、例えば、本体部52の側面に沿うように形成された板状部材を用いる。本体部52は、ガイド構造60に沿ってプロジェクター固定部56上をスライドさせ、投写ユニット53のケースに当接させることで位置決めされる。これにより、電子黒板50に本体部52を取り付けるごとに、正確な位置に、本体部52を容易に設置することができる。なお、ガイド構造60は、ここで図示する構成に限られず、電子黒板50において本体部52を位置決め可能であればいずれの構成を採用しても良い。
【0112】
図33は、画面表示部54に形成されているフレネルレンズ61の断面模式図である。フレネルレンズ61は、画面表示部54のうち、プロジェクター51からの映像光が入射する側の面に形成されている。フレネルレンズ61は、映像光を角度変換する角度変換部として機能する。フレネルレンズ61は、凸レンズの凸面を含む切片を平面上に並べたような形状をなしている。
【0113】
フレネルレンズ61は、略三角形の断面形状をなす複数のプリズム構造体62を備える。プリズム構造体62は、光軸AX(図5参照)を中心とする略同心円状に配置されている。フレネルレンズ61は、画面表示部54へ斜めに進行する映像光を角度変換することで、観察者の方向へ効率良く進行させる。これにより、電子黒板50は、画面表示部54において、明るく、かつ明るさが均一な映像を表示することが可能となる。
【0114】
電子黒板50は、超短距離投写のためのプロジェクター51を採用することで、奥行き方向のサイズを抑制させる。また、本体部52単体での中長距離投写を可能とすることで、高い汎用性、利便性を確保できる。電子黒板50は、拡大投写のためのプロジェクター51の適用により、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。これにより、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、高い利便性を得ることができるという効果を奏する。
【0115】
図34は、棒状部材57に代えてカバー63が設けられた電子黒板50の背面側斜視図である。カバー63は、遮光性の板状部材を組み合わせて構成されている。カバー63は、映像光が進行する領域を被覆する。カバー63は、プロジェクター51から画面表示部54までの光路への外光の進入を制限させる。
【0116】
カバー63によって外光の進入を低減させることで、電子黒板50は、コントラストが高い映像を画面表示部54に表示することができる。また、カバー63は、プロジェクター固定部56の取り付け強度を補強するための補強部材として機能する。カバー63は、映像光を遮らないようにしてプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強する。さらに、カバー63は、映像光が進行する領域を進入物から防御する機能を果たす。
【0117】
図35は、本実施例の変形例に係る電子黒板70の正面側斜視図である。本変形例に係る電子黒板70は、画面表示部54に対して鉛直上側にプロジェクター51が取り付けられることを特徴とする。プロジェクター固定部56は、基台55のうち、画面表示部54の上部に設けられた角柱71にプロジェクター51を固定する。
【0118】
画面表示部54に対して鉛直上側にプロジェクター51を配置することで、画面表示部54へは鉛直上側から映像光を入射させる。使用者による画面表示部54への書き込みの際に、書き込みのためのツールの影は、鉛直下向きに生じることとなる。これにより、影によって書き込み位置を見失うケースを少なくし、利便性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、本発明に係るプロジェクター、投写ユニット及び電子黒板は、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実施する場合に適している。
【符号の説明】
【0120】
1 プロジェクター、2 本体部、3 投写ユニット、SC スクリーン、10 光源、11 第1インテグレーターレンズ、12 第2インテグレーターレンズ、13 偏光変換素子、14 重畳レンズ、15 第1ダイクロイックミラー、16、23、25 反射ミラー、17R、17G、17B フィールドレンズ、18R、18G、18B 液晶表示パネル、19 クロスダイクロイックプリズム、20 投写レンズ、21 第2ダイクロイックミラー、22、24 リレーレンズ、31 第1レンズ、32 第2レンズ、33 広角化ミラー、34 レンズ支持部、35 ミラー支持部、36 基板、AX 光軸、N 法線、IMG、IMG’ 像面、W 拡大光学系、41 第1レンズ、42 第2レンズ、R 縮小光学系、50 電子黒板、51 プロジェクター、52 本体部、53 投写ユニット、54 画面表示部、55 基台、56 プロジェクター固定部、57 棒状部材、58 脚部、59 角柱、60 ガイド構造、61 フレネルレンズ、62 プリズム構造体、63 カバー、70 電子黒板、71 角柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、
前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、
前記投写ユニットは、
前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、
前記変倍光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を備え、
前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、
前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、
前記投写ユニットは、前記射出光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーを備え、
前記射出光学系は、前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系としての機能を備え、
前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
前記射出光学系から前記投写ユニットを経ずに前記映像光を投写させた場合に、前記光軸に対して略垂直に正立した像面をなす像を結像させる結像範囲を第1の範囲、前記映像光の光路のうち前記第1の範囲以外の範囲を第2の範囲、とすると、
前記射出光学系は、前記第2の範囲において、前記光軸に対して傾けられた像面をなす前記映像光を射出可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記本体部は、前記プロジェクターから着脱可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記射出光学系は、前記本体部単体で画像を表示するための第1のモードと、前記本体部と前記投写ユニットとを組み合わせて画像を表示するための第2のモードと、に切り換え可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記射出光学系は、前記光軸の方向についてレンズを移動させることにより、前記第1のモードと前記第2のモードとに切り換えられることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記変倍光学系は、前記映像光による像を拡大させる拡大光学系であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記拡大光学系は、負のパワーの光学要素を備えることを特徴とする請求項7に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素を備えることを特徴とする請求項7に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記正のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた負のパワーの光学要素と、を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記変倍光学系は、前記映像光による像を縮小させる縮小光学系であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記縮小光学系は、負のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記負のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた正のパワーの光学要素と、を備えることを特徴とする請求項11に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記射出光学系と、前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、前記光軸を略一致させて配置されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項14】
前記射出光学系と、前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、前記映像光の光束を前記光軸からシフトさせて進行させるシフト光学系を構成することを特徴とする請求項13に記載のプロジェクター。
【請求項15】
前記広角化ミラーは、前記像面が前記被照射面に略平行になるように、前記映像光を折り返すことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項16】
前記広角化ミラーは、非球面形状を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項17】
前記広角化ミラーは、前記光軸に近くなるに従い曲率が増大するような曲面形状を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項18】
前記光軸からの高さをy、前記広角化ミラーの形状の基準とする球面の曲率をc、円錐定数をkとし、A、A、A、A、A10・・・のそれぞれを所定の補正項として、
前記広角化ミラーは、以下のhにより表される曲面形状を含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【数1】

【請求項19】
映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、
前記射出光学系から射出された前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーを備え、前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、
前記射出光学系から前記投写ユニットを経ずに前記映像光を投写させた場合に、前記光軸に対して略垂直に正立した像面をなす像を結像させる結像範囲を第1の範囲、前記映像光の光路のうち前記第1の範囲以外の範囲を第2の範囲、とすると、
前記射出光学系は、前記第2の範囲において、前記光軸に対して傾けられた像面をなす前記映像光を射出可能であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項20】
映像光を射出する射出光学系を含む本体部と組み合わせて使用され、前記射出光学系から射出された前記映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットであって、
前記射出光学系から射出された前記映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、
前記変倍光学系からの前記映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を有し、
前記変倍光学系は、前記射出光学系の光軸の法線に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする投写ユニット。
【請求項21】
前記変倍光学系は、前記映像光による像を拡大させる拡大光学系であることを特徴とする請求項20に記載の投写ユニット。
【請求項22】
前記拡大光学系は、負のパワーの光学要素を備えることを特徴とする請求項21に記載の投写ユニット。
【請求項23】
前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素を備えることを特徴とする請求項21に記載の投写ユニット。
【請求項24】
前記拡大光学系は、正のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記正のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた負のパワーの光学要素と、を備えることを特徴とする請求項22又は23に記載の投写ユニット。
【請求項25】
前記変倍光学系は、前記映像光による像を縮小させる縮小光学系であることを特徴とする請求項20に記載の投写ユニット。
【請求項26】
前記縮小光学系は、負のパワーの光学要素と、前記映像光の光路において前記負のパワーの光学要素に対して前記広角化ミラー側に設けられた正のパワーの光学要素と、を備えることを特徴とする請求項25に記載の投写ユニット。
【請求項27】
前記変倍光学系と、前記広角化ミラーとは、光軸を略一致させて配置されることを特徴とする請求項20から26のいずれか一項に記載の投写ユニット。
【請求項28】
前記広角化ミラーは、前記像面が前記被照射面に略平行になるように、前記映像光を折り返すことを特徴とする請求項20から27のいずれか一項に記載の投写ユニット。
【請求項29】
前記広角化ミラーは、非球面形状を備えることを特徴とする請求項20から28のいずれか一項に記載の投写ユニット。
【請求項30】
前記広角化ミラーは、前記光軸に近くなるに従い曲率が増大するような曲面形状を備えることを特徴とする請求項20から29のいずれか一項に記載の投写ユニット。
【請求項31】
前記光軸からの高さをy、前記広角化ミラーの形状の基準とする球面の曲率をc、円錐定数をkとし、A、A、A、A、A10・・・のそれぞれを所定の補正項として、
前記広角化ミラーは、以下のhにより表される曲面形状を含むことを特徴とする請求項20から30のいずれか一項に記載の投写ユニット。
【数2】

【請求項32】
請求項1から19のいずれか一項に記載のプロジェクターと、
前記プロジェクターから入射した映像光により映像を表示し、かつ前記映像の表示面への書き込みを可能とする画面表示部と、を有することを特徴とする電子黒板。
【請求項33】
前記プロジェクターのうち、前記映像光を射出する射出光学系を含む本体部は、前記電子黒板から着脱可能であることを特徴とする請求項32に記載の電子黒板。
【請求項34】
前記画面表示部の設置のための基台と、
前記基台に前記プロジェクターを固定するプロジェクター固定部と、を有することを特徴とする請求項32又は33に記載の電子黒板。
【請求項35】
前記プロジェクター固定部は、前記プロジェクターのうち、前記映像光を射出する射出光学系を含む本体部を位置決めするためのガイド構造を備えることを特徴とする請求項34に記載の電子黒板。
【請求項36】
前記基台における前記プロジェクター固定部の取り付け強度を補強するための補強部材を有し、
前記補強部材は、前記プロジェクターと前記画面表示部との間において前記映像光が進行する領域の周辺に配置されることを特徴とする請求項34又は35に記載の電子黒板。
【請求項37】
前記補強部材は、前記映像光が進行する領域を被覆するカバーを備えることを特徴とする請求項35に記載の電子黒板。
【請求項38】
前記プロジェクターは、前記画面表示部のうち前記映像を観察する側とは反対側の面へ前記映像光を入射させ、
前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を透過させることを特徴とする請求項32から37のいずれか一項に記載の電子黒板。
【請求項39】
前記プロジェクターは、前記画面表示部に対して鉛直下側に配置されることを特徴とする請求項32から38のいずれか一項に記載の電子黒板。
【請求項40】
前記プロジェクターは、前記画面表示部に対して鉛直上側に配置されることを特徴とする請求項32から38のいずれか一項に記載の電子黒板。
【請求項41】
前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を拡散させる光拡散性を備えることを特徴とする請求項32から40のいずれか一項に記載の電子黒板。
【請求項42】
前記画面表示部は、前記プロジェクターから入射した前記映像光を角度変換する角度変換部を備えることを特徴とする請求項32から41のいずれか一項に記載の電子黒板。
【請求項43】
前記画面表示部の前記表示面に書き込まれている書き込み内容を含む情報を読み込む読込装置を有することを特徴とする請求項32から42のいずれか一項に記載の電子黒板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−186027(P2011−186027A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48845(P2010−48845)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】