説明

プロペラファンおよびその製造方法

【課題】羽根の付根部の強度を上げ、より高い回転数で回転させても羽根の付根部が破断しないプロペラファンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】各羽根3につきゲートが3箇所設けられるため、3箇所のゲートから溶融樹脂が周壁5に沿って、樹脂の流れ40のような経路で付根部20へ向かって流れる。このため、各ゲートから流入した溶融樹脂が付根部20へ到達する時間差は小さくなり、付根部20における溶融樹脂の流れは、隣の経路から流れてくる溶融樹脂の流れに妨げられることがなくなる。従って、樹脂の流れ40a〜40iは全て付根部20に対し垂直になり、溶融樹脂に含まれる長繊維30も、溶融樹脂の流れに沿って付根部20に対し垂直に配向するので、付根部20の強度が向上し、より高い回転数でプロペラファン1を回転させても付根部20が破断しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材の射出成形により製造されるプロペラファンおよびその製造方法に関するものであり、より詳細には、耐久性を高めたプロペラファンおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の室外機や空気清浄機、換気装置等に備えられて、空気等の流体送りに使用されるプロペラファンとしては、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に、ガラス繊維等を所定の割合(例えば、30重量%)で混ぜ込んだ繊維強化プラスチック(FRP−Fiber Reinforced Plastic)を用い、射出圧力や金型温度等の成形条件を所定の値として射出成形によって形成するものが知られている。
【0003】
図5には、上述したプロペラファンの射出成形に用いられる一般的な射出成形機110を示している。この射出成形機110は、素材である樹脂材を溶融させてこれを射出する射出ユニット111と、射出ユニット111からの溶融樹脂を型成形する金型112と、成形後に金型112を開く型開閉機構113と、型開き後に成形品を突き出してこれを離型させる突出機構114とを備えている。
【0004】
次に、この金型112を用いた成形加工手順を、図6乃至図8を用いて説明する。図6に示すように、金型112は、固定型121と、移動型122と、これら両者の中間に位置する中間金型123とを備えた3ピース型の金型であって、移動型122の後方側には突出機構114により駆動される複数の突出ピン124が配置されている。
【0005】
そして、固定型121と移動型122と中間金型123とを所定の型締め圧力で接合した状態で、移動型122と中間金型123との間に形成された図示しないキャビティ内に、固定型121と中間金型123とに跨って形成された図示しないランナーを通して、射出ユニット111から溶融樹脂が射出されることでキャビティの内面形状に合致した成形品が形成される。
【0006】
図7には、成形後、固定型121と移動型122と中間金型123とを相互に引き離して型開きした状態を示している。この型開きによって、キャビティ内で成形された成形品116は移動型122の成形面に付着した状態で残留し、また、ランナー内で固化したランナー部117は固定型121側に付着した状態で残留している。
【0007】
金型112を型開きした状態で、図8に示すように、突出ピン124を前進させ、突出ピン124によって成形品116を移動型122から離脱させるとともに、ランナー部117を固定型121から離脱させる。このようにして製造される成形品116が、図3に示すような成形目的物であるプロペラファン101である。また、金型112におけるプロペラファン101の射出成形状態を図4に示している。
【0008】
図3に示すように、プロペラファン101は、周壁105と端面壁106とを有し、端面壁106の中心部に、プロペラファン101を回転させる図示しないモータの駆動軸を挿入するためのボス104が設けられた略有底円筒形状のハブ102と、ハブ102の周壁105上に一体的に取り付けられた同形状の三枚の羽根103とを備えている。上述したように、このプロペラファン101は、図4に示すような金型112を備えた射出成型機110を使用して、射出成形により製造される。
【0009】
図4に示すように、移動型122と中間金型123とを接合すると、移動型122と中間金型123との間にキャビティ127が形成される。また、固定型121と中間金型123とを接合すると、固定型121と中間金型123との間には、射出ユニット111の射出ノズル111aから射出される溶融樹脂をキャビティ127へ供給するためのランナー128が形成される。
【0010】
尚、キャビティ127は、ハブ102の離型性を考慮して、移動型122側の成形面125が羽根103の正圧面103aを、中間金型123側の成形面126が羽根103の負圧面103bを、それぞれ構成するように形状が設定されている。また、ランナー128は、図3に示すように、プロペラファン101の羽根103の枚数に対応するような三叉分岐路状の形状とされており、ランナー128の各分岐路部の下流端は、キャビティ127への溶融樹脂の射出口として機能するゲート129とされている。
【0011】
従って、射出ノズル111aから所定の射出圧力で溶融樹脂がランナー128を通ってキャビティ127内に射出され、これがキャビティ127内に充填されることで、キャビティ127の内面形状に合致した形状を持つプロペラファン101が成形される。
【0012】
この時、ランナー128内には、ここに供給された溶融樹脂によってランナー128の内面形状に合致した形状を持つランナー部117が成形されており、ランナー部117は、各ゲート129でプロペラファン101と一体的に連結されている。プロペラファン101とランナー部117とは、金型112の型開き時に各ゲート129において切断分離される。従って、図3に示すように、成形後のプロペラファン101の端面壁106上には、ランナー部117との切断跡、すなわち、3箇所のゲート痕118が残る。
【0013】
ところで、一般にプロペラファンの羽根の形状は、送風性能に大きく影響するため、極めて精密な計算のもとで設計されており、特にプロペラファンの製作に際しては、設計形状に合致した羽根の形状が得られるよう細心の注意を払う必要がある。
【0014】
例えば、ランナー128のゲート129を、キャビティ127の羽根103の翼面(図4に示す負圧面103b)に対応する位置に設定すると、成形されるプロペラファン101の各羽根103の翼面上にそれぞれゲート痕118が残り、このゲート痕118の存在によって翼面が凹凸となって翼面形状が設計形状とは異なったものとなるため、送風性能が低下することが懸念される。
【0015】
従って、従来一般には、図3および図4に示すように、各ゲート129を、羽根103側に設けることを避けて、ハブ102の端面壁106上で、かつ、周壁105の羽根103の付け根に対応する位置に設定する。
尚、以上説明した従来のプロペラファンの形状や製造方法については、例えば、特許文献1における従来技術の説明に記載されている。
【0016】
ところで、以上説明した従来のプロペラファンでは、射出成形の際のゲート129の個数が、各羽根103に対して1箇所であるため、図9に示すように、ゲート129からキャビティ127に流入した溶融樹脂は、記号400で示す樹脂の流れのように流れる。
【0017】
具体的には、ゲート129からキャビティ127に流入した溶融樹脂は、ゲート129からキャビティ127内を広がるように流れ、図9に示す樹脂の流れ400(400a〜400f)のように流れる。羽根103は、ハブ102の周壁105に付根部200で接合しているが、この付根部200から羽根103の先端部へかけての厚さは、図4に示すように、付根部200から羽根103の先端部に向かうにつれて薄くなっている。
【0018】
ゲート129から流入した溶融樹脂は、ゲート129(ゲート痕118)直下の付根部200に最初に到達する。到達した溶融樹脂は、上述した付根部200から羽根103の先端部へかけての厚さの違いのために、羽根103の方向へ流れるより先に付根部200に沿う方向、つまり、図9に示す樹脂の流れ400aおよび400bのように流れる。そして、その他の経路で付根部200に到達した溶融樹脂は、この樹脂の流れ400aおよび400bに押されて、図9に示す樹脂の流れ400c〜400fのように、付根部200に沿う方向に流れる。
【0019】
溶融樹脂は、繊維強化プラスチックであり、長繊維300を含んでいるが、この長繊維300の配向方向は樹脂の流れに平行となるので、上述した樹脂の流れ400a〜400fによって、その配向方向が付根部200に沿う方向へと配向する。プロペラファン101を回転させた際に付根部200に加わる力によって、付根部200には、付根部200に沿った方向に亀裂が入る虞があるが、この亀裂が入る方向と長繊維300の配向方向とが同じであると、付根部200に加わる力に対する強度が劣化するため、プロペラファン101を回転させた際に、比較的低い回転数(例えば、2,500rpm)で、付根部200で羽根103が破断する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第3928380号公報(第2〜3頁、第3図〜第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は以上述べた問題点を解決し、羽根の付根部の強度を上げ、より高い回転数で回転させても羽根の付根部が破断しないプロペラファンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は上述の課題を解決するものであって、本発明のプロペラファンは、 端面壁と周壁とからなるハブと、ハブの外周に複数枚の羽根を備え、長繊維を含有する樹脂材を用いた射出成形によって成形されるものであって、ハブに対する一枚の羽根の付根部に対応する端面壁の部位に、長繊維を含有する樹脂材を射出するための射出位置を複数設けて成形することによって、長繊維を含有する樹脂材の流れ方向が、隣り合う射出位置からの樹脂材の流れにより規制され、羽根の付根部の幅方向に対して直交する方向となるようにしたものである。
【0023】
また、複数の射出位置は、プロペラファンの回転中心を中心とした円周方向に分散配置されたものである。さらには、複数の射出位置は、プロペラファンの回転中心を中心とする同一円周上に分散配置したものである。
【0024】
また、本発明のプロペラファンの製造方法は、端面壁と周壁とからなるハブと、ハブの外周に複数枚の羽根を備えたプロペラファンを、キャビティと、キャビティにゲートを介して接続され長繊維を含有する溶融樹脂の射出通路となるランナーとを備えた金型を用い、キャビティ内にランナーを通して溶融樹脂を射出して成形するものであって、キャビティにおけるプロペラファンの羽根の付根部に対応する端面壁の部位に、ゲートが複数設定されているものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプロペラファンおよびその製造方法は、1枚の羽根につき複数の射出位置を備えるよう金型に複数のゲートを設定し、射出成形によりプロペラファンを製造するので、羽根の付根部においては、付根部の幅方向に対して直交する方向に溶融樹脂が流れて、溶融樹脂に含有される長繊維の配向方向も
付根部の幅方向に対して直交する方向となる。従って、羽根の付根部の強度が向上し、より耐久性を高めたプロペラファンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法により製造されるプロペラファンの説明図であり、(A)はプロペラファンの斜視図、(B)は(A)における矢視Aである。
【図2】本発明の製造方法によるプロペラファンの、羽根の付根部の状態を説明する図面である。
【図3】従来の製造方法により製造されるプロペラファンの斜視図である。
【図4】従来の製造方法によるプロペラファンの射出成形状態を示す断面図である。
【図5】射出成形機の全体図である。
【図6】金型の射出成形状態の説明図である。
【図7】金型の型開き状態の説明図である。
【図8】金型からの成形品の離型状態を説明する図面である。
【図9】従来の製造方法によるプロペラファンの、羽根の付根部の状態を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、実施例としては、空気調和機の室外機に設けられるプロペラファンを例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明に係る製造方法によって製造されるプロペラファン1を示している。このプロペラファン1は、アクリル樹脂やポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維、タルク等といった針状形状や帯状形状を有する長繊維(長さ0.2〜0.5mm)を所定の割合(例えば、10〜40重量%)で混ぜ込んだ繊維強化プラスチック(FRP−Fiber Reinforced Plastic)を用い、射出圧力や金型温度等の成形条件を所定の値として射出成形によって形成するものである。尚、長繊維は、プロペラファン1の強度を向上するための添加物であって、射出成形時に溶融状態となった熱可塑性樹脂の流動方向に略平行に配向するものであればよい。
【0029】
図1(A)に示すように、プロペラファン1は、周壁5と端面壁6とを有し、端面壁6の中心部にはプロペラファン1を回転させる図示しないモータの駆動軸を挿入するためのボス4が設けられた略有底円筒形状のハブ2と、ハブ2の周壁5上に一体的に取り付けられた同形状の三枚の羽根3とを備えている。尚、プロペラファン1を製造するための金型は、後述するランナー形状や射出位置を除いて、図4に示す従来の金型と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、プロペラファン1の射出成形に用いられる射出成形機や、金型を用いた成形加工手順についても、図5乃至図8に示す従来の射出成形機や成形加工手順と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
プロペラファン1を製造するための金型の、図示しない固定型と中間金型との間には、図1(A)に示すような、射出成型機から射出される溶融樹脂をキャビティへ供給するためのランナー8が形成される。このランナー8は、プロペラファン1の羽根3の枚数(三枚)に対応するような三叉分岐路状の形状とされており、各分岐路の下流端は、更に3本の分岐路に分岐されており、その先端がゲート9(中央が9a、羽根3の前縁3c側が9b、羽根3の後縁3d側が9c)となっている。
【0031】
ランナー8に供給された溶融樹脂によって形成される図示しないランナー部は、各ゲート9でプロペラファン1と一体的に連結されており、成形後のプロペラファン1の端面壁6上には、図1(A)および(B)に示すように、ランナー部との切断跡、すなわち、1枚の羽根3に対して3箇所の射出位置であるゲート痕7が残る。
【0032】
図1(B)に示すように、3箇所のゲート痕7は、羽根3の周壁5における付根部20の幅方向に対し、付根部20の右端(後縁3d側)および左端(前縁3c側)から、それぞれ寸法Hの位置(プロペラファン1の回転中心から、付根部20の幅方向における中央部を通る直線L上)で、かつ、プロペラファン1の回転中心を中心とする円周C上に中央のゲート痕7aが、ゲート痕7aからプロペラファン1の回転中心を中心として左右にそれぞれ20°回転させた位置で、かつ、プロペラファン1の回転中心を中心とする円周C上に左右のゲート痕7bおよびゲート痕7cが、それぞれ配置されている。尚、付根部20は、溶融樹脂が流れやすいようにするため、また、強度を上げるために、羽根3の正圧面側および/または負圧面側に所定の曲率半径(例えば、3mm)としたアール面を設けてもよい。
【0033】
また、図1(B)に示すように、羽根3は隣り合う羽根3同士の角度が、プロペラファン1の回転中心を中心として120°の間隔で配置されているので、各羽根3に対応する3箇所のゲート痕7(7a、7bおよび7c)も、それぞれ羽根3と同様に120°の間隔で配置されている。
尚、各ゲート9a,9bおよび9cは、それぞれゲート痕7a、7bおよび7cと対応する位置となるよう、金型に設けられる。
【0034】
次に、図1および図2を用いて、本発明の製造方法により製造されたプロペラファン1の効果について説明する。上述したように、プロペラファン1の端面壁6上には、1枚の羽根3に対し3個のゲート9が設けられる。ゲート9は、図示しないランナー部との接合部であり、プロペラファン1の射出成形時はゲート9から溶融樹脂が図示しないプロペラファン1の金型のキャビティ内に流入する。
【0035】
従来のプロペラファンの製造方法では、図3および図9を用いて説明したように、各羽根につきゲートが1箇所であったため、羽根の付根部で溶融樹脂に含まれる長繊維が付根部に平行に配向し、付根部の強度が落ちることによって、比較的低い回転数(例えば、2500rpm)で付根部が破断する虞があった。
【0036】
これに対し、本発明のプロペラファンの製造方法では、各羽根3につきゲート9が3個設けられているため、図2に示すように、3箇所のゲート9から溶融樹脂が周壁5(に対応するキャビティ)に沿って、記号40で示す樹脂の流れのような経路で付根部20へ向かって流れる。
【0037】
具体的には、3個のゲート9からキャビティに流入した溶融樹脂は、各ゲート9から放射状に広がるように流れ、図2に示す樹脂の流れ40(40a〜40i)のように流れる。羽根3は、ハブ2の周壁5に付根部20で接合しているが、この付根部20から羽根3の先端部にかけての厚さは、付根部20から羽根3の先端部に向かうにつれて薄くなっている。
【0038】
ゲート9(ゲート痕7)から流入し、付根部20に到達した溶融樹脂は、断面積が狭い羽根3の方向へ流れるより先に、断面積が広い付根部20に沿う方向に流れようとするが、各ゲート9a〜9c(ゲート痕7a〜7c)からキャビティに流入し付根部20へ到達する溶融樹脂は、ほぼ同じタイミングで付根部20へ到達するため、樹脂の流れ40a〜40iは互いにその流れ方向を規制し合うので、樹脂の流れ方向40a〜40iは全て付根部20に対し直交方向となる。
【0039】
溶融樹脂は、繊維強化プラスチックであるため、長繊維30を含んでいるが、この長繊維30の配向方向は樹脂の流れに平行となるので、図2に示すように、長繊維30は溶融樹脂の流れに沿って付根部20の幅方向に対し直交する方向に配向する。プロペラファン1を回転させた際に付根部20に加わる力によって、付根部20には、付根部20に沿った方向に亀裂が入る虞があるが、本実施例では、この亀裂が入る方向と長繊維30の配向方向とが直交する方向となっているので、付根部200に加わる力に対する強度が向上し、より高い回転数(例えば、3500rpm)でプロペラファン1を回転させても、付根部20が破断しない。
【0040】
以上説明した実施例では、ゲート9を3個設ける場合について説明したが、ゲートが2個あるいは4個以上であってもよい。但し、複数存在するゲートは、対応するゲート痕の位置で説明すると、図1(B)の直線L(付根部20の中央部)を境に左右に分散配置する必要がある。また、3個のゲート9は、プロペラファン1の回転中心を中心とする同一円周上に分散配置される場合について説明したが、1個のゲート(に対応するゲート痕)と回転中心とを結ぶ直線上に他のゲートが配置されなければ、図1(B)に示すように、例えば、ゲート痕7aをゲート痕7cに対して回転中心に近い位置であるゲート痕7d、ゲート痕7bをゲート痕7dに対して回転中心に近い位置であるゲート痕7e、と配置してもよい。
【0041】
以上説明した通り、本発明のプロペラファンおよびその製造方法は、1枚の羽根につき複数の射出位置を備えるよう金型に複数のゲートを設定し、射出成形によりプロペラファンを製造するので、羽根の付根部においては、付根部の幅方向に対して直交する方向に溶融樹脂が流れて、溶融樹脂に含有される長繊維の配向方向も付根部の幅方向に対して直交する方向となる。従って、羽根の付根部の強度が向上し、より耐久性を高めたプロペラファンを提供することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 プロペラファン
2 ハブ
3 羽根
3c 前縁
3d 後縁
4 ボス
5 周壁
6 端面壁
7、7a〜7e ゲート痕
8 ランナー部
8a 分配部
9、9a〜9e ゲート
20 付根部
30 長繊維
40、40a〜40i 樹脂の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面壁と周壁とからなるハブと、同ハブの外周に複数枚の羽根を備え、長繊維を含有する樹脂材を用いた射出成形によって成形されたプロペラファンであって、
前記ハブに対する一枚の前記羽根の付根部に対応する前記端面壁の部位に、前記長繊維を含有する樹脂材を射出するための射出位置を複数設けて成形したことを特徴とするプロペラファン。
【請求項2】
複数の前記射出位置は、前記ハブに対する一枚の前記羽根の付根部における前記長繊維を含有する樹脂材の流れ方向が、隣り合う前記射出位置からの前記樹脂材の流れにより規制され、前記羽根の付根部の幅方向に対して直交する方向となるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のプロペラファン。
【請求項3】
複数の前記射出位置は、前記プロペラファンの回転中心を中心とした円周方向に分散配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロペラファン。
【請求項4】
複数の前記射出位置は、前記プロペラファンの回転中心を中心とする同一円周上に分散配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のプロペラファン。
【請求項5】
端面壁と周壁とからなるハブと、同ハブの外周に複数枚の羽根を備えたプロペラファンを、キャビティと、同キャビティにゲートを介して接続され長繊維を含有する溶融樹脂の射出通路となるランナーとを備えた金型を用い、前記キャビティ内に前記ランナーを通して前記溶融樹脂を射出して成形するプロペラファンの製造方法であって、
前記キャビティにおける前記プロペラファンの前記羽根の付根部に対応する前記端面壁の部位に、前記ゲートが複数設定されていることを特徴とするプロペラファンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−21485(P2012−21485A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160959(P2010−160959)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】