説明

ベルト張力調整装置

【課題】−40℃程度の低温から 150℃程度の高温までの広い温度範囲で長期間安定して使用可能なベルト張力調整装置を提供する。
【解決手段】固定の支点軸1に滑り軸受3を介して回動自在にプーリアームを取り付け、このプーリアームの一端にベルト係合用のテンションプーリを取り付け、プーリアームの他端にはダンパのピストンロッドを当接させ、このピストンロッドの押圧によってプーリアームをベルトの緊張方向に揺動させるベルト張力調整装置であって、エアロゾルデポジション法により支点軸1の外周面と、滑り軸受3の内周面の少なくとも軸方向両端部とにセラミックス被膜が形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用内燃機関のタイミングベルトや補機駆動用ベルト等のように広温度範囲で使用される伝動機構におけるベルトの張力を調整するベルト張力調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のカム駆動用タイミングベルトや補機駆動用ベルトその他の伝動機構のベルトの張力を一定に保つため、またベルトの使用耐久性をできるだけ長く維持し、さらにはベルト走行時の騒音を低減するために、図4および図5に示すようなベルト張力調整装置が用いられている。
【0003】
例えば、自動車のカム駆動用タイミングベルト用のベルト張力調整装置は、図5に示すように、エンジンブロック等にボルト2でもって固定されるカラー1a付きの支点軸1に、図6に示されるような円筒状の滑り軸受12を介してプーリアーム4を回動自在に取り付けている。図4に示すように、プーリアーム4の一端の回転軸5に、ベルト6に係合させるためのテンションプーリ7を取り付け、プーリアーム4の他端にはシリンダ内に周知のダンパ機構を備えたダンパ8のピストンロッド9を当接させている。ベルト張力調整装置は以上の構成により、ピストンロッド9の押圧弾性力によってプーリアーム4を支持し、テンションプーリ7の圧接力によってベルト6の弛みをとり、適当な張力で緊張させている。
【0004】
ベルト張力調整装置の支点軸1に摺接する滑り軸受12の使用条件は、摺動面にかかる面圧が大きいことや、ベルト6からプーリアーム4に作用する微振幅の揺動があることに伴って荷重が変動し、またベルト6の張力変化によってプーリアーム4に作用するモーメント荷重が滑り軸受12と支点軸1との接触部に負荷され、これらの荷重が接触部の全体に渡って均一ではなく偏荷重として作用することや、エンジンの熱が伝導して摺動面が高温状態(例えば 150℃)になり、また低温の外気(例えば−40℃)にさらされる等の種々の過酷な条件が複合的に作用する使用条件である。
【0005】
このような過酷で特殊な条件で使用される滑り軸受12には、特に、エンジンの熱が伝導して摺動面が高温状態になっても焼付きや摩耗を起こさず、プーリアーム4の支点軸1に軸受材料が付着せず、しかも高温状態でも機械的強度を維持できる耐熱性を必要としている。そのため、耐熱性および自己潤滑性を有する樹脂、例えばポリイミド樹脂、織布で補強された不飽和ポリエステル樹脂などが用いられている。しかし、合成樹脂製滑り軸受では高温(例えば 150℃)下での熱膨張によるクリープ変形や、低温下での収縮によって滑り軸受が回転軸と共回りする支障が生じる等の可能性がある。
その対策として、ベルト張力調整装置において、滑り軸受が合成樹脂製からなる管状成形体からなり、その管状成形体が熱可塑性ポリイミドに固体潤滑剤を配合した樹脂組成物ないし不飽和ポリエステルおよび四フッ化エチレン樹脂からなりポリエチレンテレフタレート製織布で補強された成形体とすることで耐ヒートショック性やクリープ特性を改善したものが知られている(特許文献1参照)。 さらに、軸受の外周壁に軸方向に不連続な臍(ほぞ)を設けるとともに、支点軸の軸穴内面に前記臍に整合する不連続な溝を形成し、これら溝と臍を整合させた状態に滑り軸受と支点軸とを一体化させた軸受付き支点軸とすることで、滑り軸受が摺接する回転軸との共周りを防いで、熱膨張による外形のクリープ変形やヒートショック対策案が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、近年のエンジンの高出力化によりベルト張力が増したため滑り軸受の摺接部での発熱がさらに増大することに対し、合成樹脂製の滑り軸受では、これらの対策を講じてもクリープ変形を回避できないという問題が出るようになった。
【特許文献1】特開2000−291752号公報
【特許文献2】特開2005−331074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に対処すべくなされたものであり、−40℃程度の低温から 150℃程度の高温までの広い温度範囲で長期間安定して使用可能なベルト張力調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のベルト張力調整装置は固定の支点軸に滑り軸受を介して回動自在にプーリアームを取り付け、このプーリアームの一端にベルト係合用のテンションプーリを取り付け、上記プーリアームの他端にはダンパのピストンロッドを当接させ、このピストンロッドの押圧によって上記プーリアームをベルトの緊張方向に揺動させるベルト張力調整装置であって、上記支点軸の外周面と、該外周面と摺接する上記滑り軸受の内周面の少なくとも軸方向両端部とに、エアロゾルデポジション法(以下、AD法と記す)によりセラミックス被膜が形成されてなることを特徴とする。
また、上記セラミックス被膜は、窒化ケイ素の微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする。
【0009】
上記ベルトが、自動車用内燃機関に隣接して配置される伝動機構用ベルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベルト張力調整装置は、円筒状である滑り軸受と、該軸受を支持する支点軸とを有し、AD法により上記支点軸の外周面と、該外周面と摺接する滑り軸受の内周面の少なくとも軸方向両端部とにセラミックス被膜が形成されてなるので、支点軸外周面と滑り軸受内周面とがADセラミックス被膜同士の摺接となり、高温時の摺動面における焼付きや摩耗を起こさず、低温下での収縮も抑制でき、−40℃程度の低温から 150℃程度の高温までの広い温度範囲で長期間安定して使用できる。
特に、窒化ケイ素の微粒子を原料としてAD法によりセラミックス被膜を形成するので、摺動特性にも優れる。
また、高温にさらされることがないAD法で、αアルミナを用いて成膜するので、溶射法により被膜を形成する場合のようにαアルミナがγアルミナに変態することがなく、緻密で耐摩耗性および耐熱性等に優れるαアルミナの被膜が得られる。
【0011】
本発明のベルト張力調整装置は上記支点軸の外周面と、該外周面と摺接する滑り軸受の内周面の少なくとも軸方向両端部とにセラミックス被膜が形成されてなり、優れた耐熱性を有するので、自動車用内燃機関に隣接して配置される伝動機構用ベルトを緊張方向に揺動させるベルト張力調整装置としても好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のベルト張力調整装置に用いられる滑り軸受の一実施例を図1、図2および図3に基づいて説明する。図1は本発明に用いる滑り軸受の組み立ての一例を示す断面図である。図2は本発明に用いる滑り軸受の一例を示す斜視図である。図3は滑り軸受の他の例を示す斜視図である。
図1に示すように2つ割りの円筒状の滑り軸受3、3は支点軸1を覆う形で取り付けられ、ハウジング11には支点軸1と滑り軸受3、3との共周り防止のキー溝が設けられ、キー10が組み付けられている。支点軸1の外周面1aと、該外周面1aと摺接する滑り軸受3、3の内周面3a、3aの少なくとも軸方向両端部とにAD法によりセラミックス被膜が形成されている。滑り軸受3、3はプーリーアーム(図4、図5参照)を有するハウジング11に収納されている。なお、セラミックス被膜は非常に薄い、数μm〜数十μm の被膜である。
図2および図3に示す滑り軸受3は、2つ割りの円筒状の形をしており、図2では滑り軸受3の内周面3aに、図3では滑り軸受3の軸方向両端部の内周面3b、3cに、それぞれAD法によるセラミックス被膜が形成されている。
なお、滑り軸受3は、図6に示すような割なしの円筒形状、または、3つ割り以上とすることもでき、いずれの場合も図2および図3と同様に、少なくとも軸方向両端部の内周面にAD法によるセラミックス被膜が形成される。
【0013】
本発明の一実施例に係るベルト張力調整装置を図4および図5に基づいて説明する。図4は、ベルト張力調整装置の外形状を示す正面図を、図5は、滑り軸受の取付け状態を説明する支点軸の一部切り欠き側断面図をそれぞれ示す。
図5に示すように、エンジンブロック等にボルト2でもって固定されるカラー1a付きの支点軸1に、上述の滑り軸受3を介してプーリアーム4を回動自在に取り付けている。この支点軸1の外周面にAD法によりセラミックス被膜が形成されている。セラミックス被膜は、支点軸1の外周面のうち、少なくとも滑り軸受3と摺接する範囲に形成すればよい。
図4に示すように、プーリアーム4の一端の回転軸5に、ベルト6に係合させるためのテンションプーリ7を取り付け、プーリアーム4の他端にはシリンダ内に周知のダンパ機構を備えたダンパ8のピストンロッド9を当接させている。該ベルト張力調整装置は、ピストンロッド9の押圧弾性力によってプーリアーム4を支持し、テンションプーリ7の圧接力によってベルト6の弛みをとり、適当な張力で緊張させている。支点軸1の外周面と滑り軸受3の内周面とがADセラミックス被膜同士の摺接となるため、高温時の摺動面における焼付きや摩耗を起こさず、低温下での収縮も抑制できる。
【0014】
本発明においてAD法は、原料セラミックスの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを滑り軸受や支点軸等の基材に向けてエアロゾル噴射ノズルより噴射し、エアロゾルをこの基材表面に高速で衝突させ、微粒子の構成材料からなる被膜を基材上に形成させる方法である。セラミックス微粒子は、衝突により粉砕し、清浄な新生表面を形成し、低温接合を生じさせるので、室温で微粒子同士の接合を実現できる。
エアロゾル中ではセラミックスの微粒子は分散状態を維持している。AD法により得られる被膜は、上記のようにエアロゾルに分散した微粒子から被膜を形成するので、得られる被膜は極めて緻密なセラミックス層となる。
【0015】
本発明においてAD法によるセラミックス被膜を形成するための、エアロゾル原料となるセラミックス微粒子としては、耐摩耗性、耐熱性等に優れ、AD法で使用可能なものであれば、任意のセラミックス微粒子を使用できる。例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の微粒子が挙げられる。耐熱性および摩擦摩耗特性に優れることから、窒化ケイ素を用いることが好ましい。
【0016】
AD法では、溶射法と異なり高温処理が不要であるため、高温にさらされることによる原料セラミックスの変態による機械的強度の低下を招くこともない。例えば、硬く耐摩耗性および耐熱性等に優れたαアルミナを用いても溶射法ではγアルミナに変態してこれらの物性が低下するため、膜厚を増加させる必要があるが、AD法でαアルミナを用いると耐摩耗性および耐熱性等の高いαアルミナのままで成膜できるので、耐摩耗性および耐熱性等に優れるセラミックス層が得られる。
【0017】
本発明に用いることができるセラミックス微粒子の平均粒子径は、0.01μm〜2μm である。0.01μm 未満では凝集しやすくエアロゾル化は困難であり、2μm をこえるとAD法での膜形成はできない(膜成長しない)。また、被膜形成を良好に行なうため、基材への衝突時に、これらの微粒子が容易に粉砕するように、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いてクラックを予め形成しておくことが好ましい。
例えば、アルミナ微粒子の粒子径を上記範囲に調整する方法としては、アルコキシド法やコロイド法、アンモニウム明礬の熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法の化学的手法や、ガス中蒸発法やスパッタリング(気相酸化)法、アルミニウムの水中火花放電法などの物理的手法を用いて作製された数 10 nm 以下の微細な微粒子を加熱し、粒子径で数 100 nm 程度の2次粒子に凝集させる方法等が挙げられる。
【0018】
本発明においてAD法によるセラミックス被膜の形成方法としては、滑り軸受または支点軸を固定してエアロゾル噴射ノズルを移動させて被膜を形成する方法、または、エアロゾル噴射ノズルを固定して滑り軸受または支点軸を移動させて被膜を形成する方法のいずれも採用できる。
支点軸の外周面については、エアロゾルを安定な状態で吹きつけることができ、位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用し、支点軸を回転させつつ軸方向に移動させることで、セラミックス被膜を容易に塗り重ねて形成できることから、後者の方法を用いることが好ましい。
【0019】
本発明におけるAD法を図7に基づいて説明する。図7はAD法により支持軸の外周面にセラミックス被膜を形成する場合の、セラミックス被膜形成装置を示す図である。
図7に示すように、AD法によるセラミックス被膜形成装置13は真空チャンバー14を有する。真空チャンバー14内には、セラミックス被膜形成対象である支点軸1と、エアロゾル噴射ノズル20とが配設されている。エアロゾル噴射ノズル20にはエアロゾル発生装置19からエアロゾルが供給される。真空チャンバー14の内部は真空ポンプ15によって減圧される。セラミックス微粒子の混入を防止するため、真空ポンプ15の直前に微粒子フィルター21が設けられている。支点軸1は、真空チャンバー14内において、対象物回転用モータ17により回転させられ(図中A)、位置決め用XYテーブル16により軸方向に移動させられる(図中B)。
【0020】
エアロゾル噴射ノズル20は、セラミックス微粒子を、長方形等の開口部を有するノズル先端から、支点軸1の外周面に噴射するものである。なお、エアロゾル噴射ノズル20は、1本であっても複数本であってもよい。また、エアロゾル噴射ノズル20は、真空チャンバー14内で変位可能に構成してもよい。
エアロゾルの搬送ガスとしては、不活性ガスを使用し、ガス供給設備18からエアロゾル発生装置19に供給されている。使用可能な不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
固定したエアロゾル噴射ノズル20から、対象物回転用モータ17により所定回転数で回転している支点軸1に、セラミックス微粒子を原料とするエアロゾルが噴射され、支点軸1の外周面にセラミックス被膜が塗り重ねられて形成される。同時に、位置決め用XYテーブル16により支点軸1を軸方向に移動させることで、各周面の軸方向にも均一に被膜が形成される。
滑り軸受の内周面のセラミックス被膜の形成は、上記と同様の方法、または、エアロゾル噴射ノズル20を移動させる方法で形成する。
【0021】
支点軸の外周面および滑り軸受の内周面の被膜形成は、被膜厚さが 5μm〜100μm 程度となるまで行なうことが好ましい。5μm 未満であると十分な耐熱性、耐摩耗性が得られず、100μm をこえると効果が頭打ちになり製造コストが高くなる。
【実施例】
【0022】
実施例1
支点軸、滑り軸受およびハウジングの材質は、線膨張係数を同程度にするため鉄系の金属材料を用いた。滑り軸受はSPCC鋼板を用いてプレス加工で外径 21.3 mm、内径 18.1 mm、長さ 20 mm の円筒を2つ割りにした成形体を得た。この成形体の内周面に、平均粒子径 0.55μm の宇部興産社製窒化ケイ素粉末SN−E10を用い上記AD法により窒化ケイ素被膜を 40μm の膜厚にて形成して、被膜付き滑り軸受とした。支点軸には外径 17.0 mm、長さ 22 mm のステンレス製のカラーを用い、支点軸外周面に上記同様の窒化ケイ素被膜を形成して、被膜付き支点軸とした。
被膜付き支点軸に、得られた被膜付き滑り軸受およびハウジングを組み付けて試験片とした。この試験片に対して、以下の熱衝撃サイクルによる耐久性試験を行ない、その結果を表1に併記した。
【0023】
<耐久性試験>
試験片 3 個を 150℃雰囲気のオーブン内に1時間入れた後、急激に−40℃の冷凍雰囲気に 1 時間曝した後に室温に戻すという過酷なヒートショックサイクルを 1 単位として、10 単位連続して行ない、試験直後の試験片のハウジング内の状態を観察し、滑り軸受に緩みがなく異常がない(表にて「〇」で記す)、緩みがある(表にて「△」で記す)、ハウジングから抜け落ちるまで緩んでいる(表にて「×」で記す)という、3段階に評価し、この結果を表1中に併記した。
【0024】
実施例2
実施例1で得られた成形体の軸方向両端部の内周面にのみ窒化ケイ素被膜を形成して(図3参照)、被膜付き滑り軸受を得たこと以外は、実施例1と同様に処理して、得られた試験片を評価した。結果を表1に併記した。
【0025】
比較例1
実施例1において被膜付き滑り軸受の代わりに被膜なしの滑り軸受を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理して、得られた試験片を評価した。結果を表1に併記した。
【0026】
比較例2
実施例1において被膜付き支点軸の代わりに被膜なしの支点軸を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理して、得られた試験片を評価した。結果を表1に併記した。
【0027】
比較例3
実施例1において被膜付き支点軸の代わりに被膜なしの支点軸を用い、かつ被膜付き支点軸の代わりに被膜なしの支点軸を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理して、得られた試験片を評価した。結果を表1に併記した。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように滑り軸受および支点軸の両方に被膜のある実施例は、滑り軸受にヒートショックによる変形がなく、ハウジングに対する緩みが生じないため、滑り軸受は安定して回転自在に支持され、これによりベルトの張力が安定して調整できることがわかる。これに対して、滑り軸受または支点軸のいずれかに被膜のない比較例はヒートショックによって変形が起こり、ハウジングに対する緩みが生じた。また滑り軸受、支点軸の両方に被膜のない比較例はヒートショックによって変形が起こり、ハウジングから抜け落ちるまで緩んだ。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のベルト張力調整装置は支点軸の外周面と、滑り軸受の内周面の少なくとも軸方向両端部とにセラミックス被膜が形成されてなり、優れた耐熱性および耐摩耗性を有するので、自動車用内燃機関に隣接して配置される伝動機構用ベルトを緊張方向に揺動させるベルト張力調整装置として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のベルト張力調整装置に用いる滑り軸受の組み立ての一例を示す断面図である。
【図2】本発明のベルト張力調整装置に用いる滑り軸受の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明のベルト張力調整装置に用いる滑り軸受の他の例を示す斜視図である。
【図4】ベルト張力調整装置の外形状を示す正面図である。
【図5】滑り軸受の取付け状態を説明する支点軸の一部切り欠き側断面図である。
【図6】ベルト張力調整装置に用いる滑り軸受の斜視図である。
【図7】AD法によるセラミックス被膜形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 支点軸
2 ボルト
3 滑り軸受
4 プーリアーム
5 回転軸
6 ベルト
7 テンションプーリ
8 ダンパ
9 ピストンロッド
10 キー
11 ハウジング
12 滑り軸受
13 セラミックス被膜形成装置
14 真空チャンバー
15 真空ポンプ
16 位置決め用XYテーブル
17 対象物回転用モータ
18 ガス供給設備
19 エアロゾル発生装置
20 エアロゾル噴射ノズル
21 微粒子フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定の支点軸に滑り軸受を介して回動自在にプーリアームを取り付け、このプーリアームの一端にベルト係合用のテンションプーリを取り付け、前記プーリアームの他端にはダンパのピストンロッドを当接させ、このピストンロッドの押圧によって前記プーリアームをベルトの緊張方向に揺動させるベルト張力調整装置であって、
前記支点軸の外周面と、該外周面と摺接する前記滑り軸受の内周面の少なくとも軸方向両端部とに、エアロゾルデポジション法によりセラミックス被膜が形成されてなることを特徴とするベルト張力調整装置。
【請求項2】
前記セラミックス被膜は、窒化ケイ素の微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする請求項1記載のベルト張力調整装置。
【請求項3】
前記ベルトが、自動車用内燃機関に隣接して配置される伝動機構用ベルトであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のベルト張力調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−292103(P2007−292103A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117504(P2006−117504)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】