説明

ベータおよびガンマ−アミノ−イソキノリンアミド化合物および置換ベンズアミド化合物

ベータ−およびガンマ−アミノイソキノリンアミド化合物および置換ベンズアミド化合物を開示する。具体的には、本発明は、細胞中でキナーゼの機能に影響を与え、治療剤として有用な、または、治療剤と併用して有用な化合物を提供する。本発明の化合物は、例えば緑内障のような眼病、心臓血管疾患、および、異常な増殖を特徴とする病気、例えば癌などの様々な病気および状態の治療において有用である。本発明は、さらに、ベータ−またはガンマ−アミノイソキノリンアミド化合物、または、置換ベンズアミド化合物を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2008年7月25日付けで出願された米国出願番号12/180,259(参照により全体を本明細書に包含させる)の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、細胞中でキナーゼの機能に影響を与え、治療剤として、または、治療剤と併用すると有用な、ベータ−およびガンマ−アミノイソキノリンアミド化合物および置換ベンズアミド化合物に関する。具体的には、これらの化合物は、緑内障のような眼病の治療、心臓血管疾患、および、癌のような異常な増殖を特徴とする病気の治療において有用である。
【背景技術】
【0003】
様々なホルモン、神経伝達物質および生物学的に活性な物質は、細胞膜中に存在する特定の受容体を介して生体の機能を制御したり、調節したり、または適合させたりする。これらの受容体の多くは、受容体がカップリングされるグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化することによって細胞内シグナル伝達を仲介する。このような受容体は、一般にGタンパク質共役受容体(GPCR)と称されており、このような受容体としては、なかでもα−アドレナリン受容体、β−アドレナリン受容体、オピオイド受容体、カンナビノイド受容体、および、プロスタグランジン受容体が挙げられる。これらの受容体を活性化することによる生物学的作用は直接的なものではなく、細胞内タンパク質のホストが仲介する。近年、このような二次的なタンパク質の重要性が認められて、病態における介入ポイントとしての調査が行われている。これらの下流エフェクターの最も重要なクラスの1つは、「キナーゼ」クラスである。
【0004】
従って、様々なキナーゼが、様々な生理学的機能の調節において重要な役割を有する。例えばキナーゼは多数の病態に関与しており、このような病態としては、これらに限定されないが、心臓の徴候、例えば狭心症、本態性高血圧症、心筋梗塞、上心室および心室性不整脈、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、腎不全、糖尿病、呼吸器の徴候、例えば喘息、慢性気管支炎、気管支痙攣、肺気腫、気道閉塞、上気道の徴候、例えば鼻炎、季節性アレルギー、炎症性疾患、傷害に応答して起こる炎症、リウマチ様関節炎が挙げられる。ここ数年にわたり開発されている多数の化合物は、p38MAPK阻害剤の重要性、具体的にはリウマチ様関節炎のための新しい薬剤としての重要性を反映している(J.Westra and P.C.Limburg Mini-Reviews in Medicinal Chemistry Volume 6,Number 8,August 2006)。その他の状態としては、慢性炎症性腸疾患、緑内障、高ガストリン血症、胃腸の徴候、例えば酸消化不良、びらん性食道炎、胃腸液の分泌過多、肥満細胞症、胃食道逆流、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群、痛み、肥満症、神経性大食症、うつ病、強迫性障害、内臓奇形(例えば心奇形)、神経変性疾患、例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病、多発性硬化症、エプスタイン−バー感染、ならびに癌が挙げられる(Nature Reviews Drug Discovery 2002,1:493-502)。目下、その他の病態におけるキナーゼの役割も明らかになりつつある。網膜は、複数の相互に接続された細胞層で構成される複合組織であり、光と色を脳で認識される電気信号に変換することに高度に特殊化している。一次的に光を感知する細胞である光受容体がダメージを受けたり、または死滅したりすると、視力に破壊的な作用を及ぼす。遺伝性の網膜変性を引き起こす多数の突然変異が同定されているにもかかわらず、一次的な突然変異から光受容体のアポトーシスを引き起こす細胞および分子のメカニズムはよくわかっていないが、wnt経路が関与する可能性がある(AS Hackam “The Wnt Signaling Pathway in Retinal Degeneration” IUBMB Life Volume 57, Number 6/June 2005)。
【0005】
慢性骨髄性白血病の治療におけるチロシン−キナーゼ阻害剤STI571(グリーベック(Gleevec))の成功(Nature Reviews Drug Discovery 2003, 2: 296-313)のために、それ以外の様々な癌を治療する他のキナーゼ阻害剤を開発する相当な努力が促進されてきた(Nature Reviews Cancer 2003, 3: 650-665)。細胞内シグナルの開始と不活性化とのバランスが、例えばアゴニストのような刺激に対する受容体の応答の強度と持続時間を決定する。除感作が起こった場合、受容体がカップリングされるGタンパク質によって仲介または調節される生理学的機能の仲介または調節が減少するか、または、抑制される。例えば、所定の受容体を活性化させることによって病気または状態を治療するためにアゴニストが投与された場合、アゴニストを投与しても適切な受容体の治療的に活性な状態が起こらなくなるように、受容体は比較的迅速にGRKの作用から除感作した状態になる。その時点で、アゴニストを投与しても、治療しようとする病気または状態を十分に、または、有効に制御することができなくなるか、または、治療しようとする病気または状態に影響を与えることができなくなる。
【発明の概要】
【0006】
多くの病態においてキナーゼが有する役割を考慮すると、キナーゼの活性を阻害または調節する低分子物質リガンドが緊急かつ継続的に必要である。理論に制限されることは望まないが、本発明の化合物によるキナーゼ活性の調節は、それらの有益な作用に関与すると考えられる。
【0007】
本発明の第一の形態において、式Iで示される化合物が提供される:
【0008】
【化1】

【0009】
式中、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
およびRのうち一方は、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、RおよびRの他方は、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0010】
本発明の第二の形態において、式IIで示される化合物が提供される:
【0011】
【化2】

【0012】
式中、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5、および、少なくとも8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
、RおよびRのうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、R、RおよびRの他方の2つは、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0013】
本発明の第三の形態において、式IIIで示される化合物が提供される:
【0014】
【化3】

【0015】
式中、R、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のアルキルまたはヘテロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のアルキルまたはヘテロアルキル環を形成し;
基のうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、他のR基は、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;
nは、1〜4であり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0016】
本発明のその他の形態において、上述のような式I、IIまたはIIIで示される化合物、および、キャリアーを含む組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらなる形態において、治療が必要な被検者に、上述のような式I、IIまたはIIIで示される化合物の有効量を投与することを含む病気の治療方法が提供され、ここで上記病気は、眼疾患、骨障害、肥満症、心疾患、肝疾患、腎疾患、膵臓炎、癌、心筋梗塞、胃の障害、高血圧、受精能の抑制、育毛の障害、鼻充血、神経因性膀胱機能障害、胃腸障害、および、皮膚疾患からなる群より選択される。
【0018】
本発明のその他の形態において、キナーゼ活性を調節する方法が提供され、本方法は、細胞を、キナーゼ活性を調節することができる有効な量の式I、IIまたはIIIで示される化合物と接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示中で公報および特許が参照されている。本明細書において引用されたすべての米国特許は、参照により本発明に包含させる。本明細書において用いられるすべてのパーセンテージ、割合および比率は、特に他の規定がない限り質量パーセントである。
【0020】
ベータ−およびガンマ−アミノイソキノリン、およびベンズアミドが提供される。
【0021】
「アルキル」は、直鎖および分岐鎖の基を含む飽和脂肪族炭化水素を意味する。「アルキル」の例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルなどの基が挙げられる。アルキル基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。また置換基それ自身が置換されていてもよい。置換されている場合、その置換基は、好ましくは、C〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アミノ、イミノ、シアノ、ハロゲン、アルコキシ、または、ヒドロキシルである(ただしこれらに限定されない)。「C〜Cアルキル」は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。
【0022】
「アルケニル」は、直鎖および分岐鎖の基を含む不飽和脂肪族炭化水素部分を意味する。アルケニル部分は、少なくとも1個のアルケンを含んでいなければならない。「アルケニル」の例としては、例えば、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニルなどの基が挙げられる。アルケニル基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。置換されている場合、その置換基は、好ましくは、アルキル、ハロゲン、または、アルコキシである。また置換基それ自身が置換されていてもよい。置換基は、アルケンそれ自身に配置されていてもよいし、隣接する構成原子、または、アルキニル部分に配置されていてもよい。「C〜Cアルケニル」は、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル基を意味する。
【0023】
「アルキニル」は、直鎖および分岐鎖の基を含む不飽和脂肪族炭化水素部分を意味する。アルキニル部分は、少なくとも1個のアルキンを含んでいなければならない。「アルキニル」の例としては、例えば、エチニル、プロピニル、n−ブチニルなどの基が挙げられる。アルキニル基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。置換されている場合、その置換基は、好ましくは、アルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、アルコキシル、または、ヒドロキシルである。また置換基それ自身が置換されていてもよい。置換基は、アルキンそれ自身には存在しないが、アルキニル部分に隣接する構成原子に存在する。「C〜Cアルキニル」は、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル基を意味する。
【0024】
「アシル」または「カルボニル」は、−C(O)R基を意味しており、式中Rは、アルキル;アルケニル;アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロ炭素環式;C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。C〜Cアルキルカルボニルは、カルボニル部分の前に1〜4個の炭素原子のアルキル鎖が存在する基を意味する。
【0025】
「アルコキシ」は、−O−R基を意味しており、式中Rは、アシル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アリール、炭素環;ヘテロ炭素環式;ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。
【0026】
「アミノ」は、−NR’R’基を意味しており、式中R’はそれぞれ、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。2個のR’基は、それ自身が連結して環を形成していてもよい。R’基はそれ自身さらに置換されていてもよく、そのような場合、その基はグアニジニルとしても知られており、これらは用語「アミノ」において限定的に考慮される。
【0027】
「アリール」は、芳香族炭素環式基を意味する。「アリール」の例としては、例えば、フェニルが挙げられる。アリール基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。また置換基それ自身が置換されていてもよい。置換されている場合、その置換基は、好ましくは、ヘテロアリール;アシル、カルボキシル、カルボニルアミノ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロゲン、または、ヒドロキシルである(ただしこれらに限定されない)。
【0028】
「カルボキシル」は、−C(=O)O−C〜Cアルキル基を意味する。
【0029】
「カルボニル」は、−C(O)R基を意味しており、式中各Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。
【0030】
「カルボニルアミノ」は、−C(O)NR’R’基を意味しており、式中R’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。2個のR’基は、それら自身が連結して環を形成していてもよい。
【0031】
「C〜Cアルキルアリール」は、アリール置換基を有するC〜Cアルキル基を意味しており、ここでアリール置換基は、アルキル基を介して結合されている。「C〜Cアルキルアリール」の例としては、例えば、ベンジルが挙げられる。
【0032】
「C〜Cアルキルヘテロアリール」は、ヘテロアリール置換基を有するC〜Cアルキル基を意味しており、ここでヘテロアリール置換基は、アルキル基を介して結合されている。
【0033】
「炭素環式基」または「シクロアルキル」は、1価の飽和または不飽和の炭化水素環を意味する。炭素環式基は、単環であるか、または、縮合、スピロ、または、架橋二環式環系である。単環の炭素環式基は、環中に3〜10個の炭素原子を含み、好ましくは4〜7個の炭素原子を含み、より好ましくは5〜6個の炭素原子を含む。二環式の炭素環式基は、環中に8〜12個の炭素原子を含み、好ましくは9〜10個の炭素原子を含む。炭素環式基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。また置換基それ自身が置換されていてもよい。好ましい炭素環式基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、および、シクロヘプチルが挙げられる。より好ましい炭素環式基としては、シクロプロピル、および、シクロブチルが挙げられる。最も好ましい炭素環式基は、シクロプロピルである。炭素環式基は、芳香族ではない。
【0034】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、または、ヨード部分を意味する。好ましくは、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、または、ブロモである。
【0035】
「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族化合物」は、炭素環式中に1個またはそれより多くのヘテロ原子を有する単環式または二環式の芳香族炭素環ラジカルを意味する。ヘテロアリールは、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。置換されている場合、その置換基それ自身が置換されていてもよい。好ましい置換基は(ただしこれらに限定されない)、アリール、C〜Cアルキルアリール、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、カルボニルアミノ、または、C〜Cアルキルである。好ましい複素環式芳香族基としては、テトラゾイル、トリアゾリル、チエニル、チアゾリル、プリニル、ピリミジル、ピリジル、および、フラニルが挙げられる。より好ましい複素環式芳香族基としては、ベンゾチオフラニル;チエニル、フラニル、テトラゾイル、トリアゾリル、および、ピリジルが挙げられる。
【0036】
「ヘテロ原子」は、ヘテロ環式基または複素環式芳香族基の環中の、または、ヘテロジニアスな基の鎖中の炭素以外の原子を意味する。好ましくは、ヘテロ原子は、窒素、硫黄、および、酸素原子からなる群より選択される。1個より多くのヘテロ原子を含む基は、異なるヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0037】
「ヘテロ炭素環式基」または「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む1価の飽和または不飽和の炭化水素環を意味する。ヘテロ炭素環式基は、単環であるか、または、縮合、スピロ、または、架橋二環式環系である。単環式のヘテロ炭素環式基は、環中に3〜10個の炭素原子を含み、好ましくは4〜7個の炭素原子を含み、より好ましくは5〜6個の炭素原子を含む。二環式のヘテロ炭素環式基は、環中に8〜12個の炭素原子を含み、好ましくは9〜10個の炭素原子を含む。ヘテロ炭素環式基は、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。また置換基それ自身が置換されていてもよい。好ましいヘテロ炭素環式基としては、エポキシ、テトラヒドロフラニル、アザシクロペンチル、アザシクロヘキシル、ピペリジル、および、ホモピペリジルが挙げられる。より好ましいヘテロ炭素環式基としては、ピペリジル、および、ホモピペリジルが挙げられる。最も好ましいヘテロ炭素環式基は、ピペリジルである。ヘテロ炭素環式基は、芳香族ではない。
【0038】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHからなる化学基を意味する。アルコールは、ヒドロキシ基を含む。ヒドロキシ基は、遊離であってもよいし、または、保護されていてもよい。ヒドロキシの代りの名称は、ヒドロキシルである。
【0039】
「リンカー」は、n員の原子の直鎖状の鎖(ここでnは1〜4の整数である)を意味する。
【0040】
「構成原子」は、炭素、窒素、酸素、または、硫黄原子を意味する。構成原子は、それらの正規の原子価まで置換することができる。置換について特に述べられていない場合、原子価を満たすのに必要な置換基は、水素である。
【0041】
「環」は、構成原子の環状の集合体を意味する。環は、炭素環、芳香族または複素環であってもよいし、もしくは複素環式芳香族化合物であってもよく、さらに、置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよく、さらに、飽和していていもよいし、または、不飽和でもよい。1個より多くの置換基が存在していてもよい。環における主鎖との結合部分は、縮合またはスピロ環であってもよい。環は、単環式でもよいし、または、二環式でもよい。環は、少なくとも3員の原子、および、最大で10員の原子を含む。単環式環は、3〜7員の原子を含んでいてもよいし、二環式環は、8〜12員の原子を含んでいてもよい。二環式環は、それ自身、縮合環であってもよいし、またはスピロ環であってもよい。
【0042】
「チオアルキル」は、−S−アルキル基を意味する。
【0043】
「スルホニル」は、−S(O)R’基を意味しており、式中、R’は、アルコキシ、アルキル、アリール、炭素環、ヘテロ炭素環式;ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。
【0044】
「スルホニルアミノ」は、−S(O)NR’R’基を意味しており、式中R’はそれぞれ、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール、または、C〜Cアルキルヘテロアリールである。
【0045】
「医薬的に許容されるキャリアー」は、医薬組成物の製造に有用なキャリアーを意味しており、すなわち一般的に、組成物のその他の成分と適合し、レシピエントに有害ではなく、および、生物学的にもその他の別の理由でも不都合がないキャリアーである。「医薬的に許容されるキャリアー」は、1種のキャリアー、および、1種より多くのキャリアーの両方を意味する。実施態様としては、局所、眼、非経口、静脈内、腹膜内、筋肉内、舌下、鼻および経口投与のためのキャリアーが挙げられる。また「医薬的に許容されるキャリアー」は、注射のための水性分散液および滅菌粉末、または、分散液を製造するための物質も含む。
【0046】
本明細書で用いられる「賦形剤」は、医薬組成物の製造において有用な、生理学的に適合する添加剤を含む。医薬的に許容されるキャリアーおよび賦形剤の例は、例えばRemington Pharmaceutical Science(第16版)を参照することができる。
【0047】
本明細書で用いられる「治療上有効な量」は、キナーゼの活性に影響を与える、それらを減少させる、または、それらを阻害すること、または、キナーゼの活性化を予防することに有効な、本化合物または組成物の投与量を意味する。またこの本明細書で用いられる用語は、動物、好ましくはヒトにおいて望ましいインビボでの作用(例えば眼圧の減少)をもたらすのに有効な量を意味する場合もある。
【0048】
本明細書で用いられる「〜を投与すること」は、望ましい作用を達成するために必要に応じて本化合物を投与することを意味する。
【0049】
本明細書で用いられる「眼疾患」としては、これらに限定されないが、緑内障、アレルギー、目の癌、目の神経変性疾患、および、ドライアイが挙げられる。
【0050】
用語「キナーゼ活性に関連する病気または状態」は、1種またはそれより多くのキナーゼを阻害することによって全体的または部分的に治療可能な病気または状態を意味するものとして用いられる。
【0051】
用語「病気または状態を制御すること」は、このような病気または状態に作用するように1種またはそれより多くのキナーゼの活性を変化させることを意味するものとして用いられる。
【0052】
用語「細胞を接触させること」は、インビトロまたはインビボで(すなわち被検者の体内で、例えばヒト、ウサギ、ネコおよびイヌなどの哺乳動物の体内で)細胞を接触させることを意味するものとして用いられる。
【0053】
ベータ−アミノイソキノリンアミド化合物は、式Iで示すことができる:
【0054】
【化4】

【0055】
式中、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
およびRのうち一方は、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、RおよびRのうち他方は、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0056】
式Iで示される好ましい実施態様において、RおよびRは、メチル基または水素であり、Rは、アリールまたはヘテロアリール基であり、RおよびXは、水素である。式Iで示されるその他の好ましい実施態様において、Rは、シクロアルキル基であり、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Xは、ヒドロキシル基である。
【0057】
ガンマ−アミノイソキノリンアミド化合物は、式IIで示すことができる:
【0058】
【化5】

【0059】
式中、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
、RおよびRのうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、R、RおよびRの他方の2つは、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0060】
式IIで示される好ましい実施態様において、RおよびRは、メチル基または水素であり、Rは、アリールまたはヘテロアリール基であり、RおよびXは、水素である。式IIで示されるその他の好ましい実施態様において、Rは、シクロアルキル基であり、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Xは、ヒドロキシル基である。
【0061】
ベンズアミド化合物は、式IIIで示すことができる:
【0062】
【化6】

【0063】
式中、R、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
基のうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルであり、他のR基は、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
nは、1〜4であり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである。
【0064】
式IIIで示される好ましい実施態様において、RおよびRは、メチル基または水素であり、Rは、アリールまたはヘテロアリール基であり、RおよびXは、水素である。式IIIで示されるその他の好ましい実施態様において、Rは、シクロアルキル基であり、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Xは、フッ化物または水素である。
【0065】
式IIIで示される一実施態様において、nは、1〜3である。あるいは、nは、2である。
【0066】
ベータ−またはガンマ−アミノイソキノリンアミド、または、置換ベンズアミド化合物は、以下に記載の一般的なスキーム1〜7で合成することができる:
【0067】
【化7】

【0068】
スキーム1に従って、選択された酸(S1)は適切な物質(例えばボラン)で還元され、続いてトシレートとして活性化され、望ましい中間体(S2)を形成する。トシレート(S2)がDMSO中のシアン化ナトリウムと反応して、ニトリル(S3)を直接生成し、これを、水酸化ナトリウムで加水分解して、1炭素のより長いアミノ酸(S4)を形成する。このスキームの後に、アルファ−アミノ酸をベータ−アミノ酸に変換して、順番にベータ−アミノ酸をガンマに変換し、ガンマをデルタに変換する。
【0069】
【化8】

【0070】
スキーム2に従って、選択された酸(S4)を適切な物質(例えばEDC)で活性化し、続いて標準的なカップリング法を用いて6−アミノイソキノリン(S5)にカップリングさせ、望ましい中間体(S6)を形成する。アミン(S6)が塩化メチレン中のHClと反応して、アミド(S7)を直接生成する。アルキル基の付加が望ましい場合、(S6)を還元的アミノ化条件にさらして、(S8)タイプのN,N−二置換化合物を生成する。
【0071】
【化9】

【0072】
ベンズアミジンは、スキーム2で概説した手法を用いて合成されるが、スキーム3で示されるように、選択されたパラ−アミノベンズアミドをアミノイソキノリンと置き換える。
【0073】
【化10】

【0074】
【化11】

【0075】
ベンズアミド化合物は、以下に記載の一般的なスキーム6〜7で合成することができる;
【0076】
【化12】

【0077】
スキーム6に従って、適切な酸を塩化オキサリルを用いてその酸塩化物に変換し、続いてアンモニアガスまたはその他のアミンと反応させてアミドを得る。ニトロ基を水素またはその他の還元剤を用いて還元してアニリンにする。このアニリンを、標準的なカップリング法(例えばピリジン中のEDCおよびDMAP)を用いて、適切な酸とカップリングする。
【0078】
スキーム7で代替の合成経路を概説する:
【0079】
【化13】

【0080】
スキーム7に従って、アニリンを、標準的なカップリング法(例えばピリジン中のEDCおよびDMAP)を用いて適切な酸とカップリングする。続いてエステルを、ホルムアミドおよびDMF中のNaOMeを用いてそれに対応する第一アミドに変換するか、または、溶媒(例えばMeOH)中で適切なアミンと共に加熱することによって置換アミドに変換する。
【0081】
示された合成スキームで用いられる略語は、以下の意味を有する:BocOは、ジ−tert−ブチル−ジカーボネートを意味し、DMAPは、ジメチルアミノピリジンを意味し、DMSOは、ジメチルスルホキシドを意味し、HATUは、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、LDAは、リチウムジイソプロピルアミドを意味し、DMFは、ジメチルホルムアミドであり、THFは、テトラヒドロフランであり、EDCは、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する。
【0082】
上記の式で示される化合物およびそれらを含む組成物はキナーゼ阻害活性を有するため、キナーゼの作用の調節において有用であり、さらにキナーゼの影響を受ける病気または状態の治療および/または予防において有用である。上記の式および組成物は、インビトロにおいて細胞中で、または、インビボにおいて生体内の細胞中で、キナーゼの作用を調節する(例えば、それらに影響を与える、または、それらを阻害する)ために用いることができる。具体的には、一実施態様において、キナーゼの作用を阻害する方法が提供され、本方法は、有効阻害量の式IまたはIIまたはIIIで示される化合物を、媒体(例えば分析媒体)に適用すること、または、インビトロにおいて細胞中で、または、インビボにおいて生体内の細胞中で、細胞と接触させることを含む。その他の好ましい実施態様において、このようにして阻害されるキナーゼは、rhoキナーゼである。
【0083】
式IまたはIIまたはIIIで示される化合物は、細胞中で、組織中で、または被検者(例えばヒト)体内でキナーゼを阻害する方法で用いられ、本方法は、キナーゼを阻害するのに有効な量の1種またはそれより多くの本発明の化合物と細胞を接触させることを含む。一実施態様において、本化合物は、医薬的に許容される組成物中で投与され、例えば医薬的に許容されるキャリアー中で、または、医薬的に許容されるキャリアーと共に投与される。
【0084】
その他の実施態様において、本発明の化合物は、細胞中でキナーゼの作用を調節する方法で用いられ、本方法は、細胞中でキナーゼの作用を調節するのに有効な量の1種またはそれより多くの式IまたはIIまたはIIIで示される化合物と細胞を接触させることを含む。一実施態様において、本発明の化合物は、医薬的に許容される組成物中で投与され、例えば医薬的に許容されるキャリアー中で、または、医薬的に許容されるキャリアーと共に投与される。
【0085】
本発明の化合物が有用な可能性がある病気または状態の治療または予防としては、キナーゼ活性に関連する病気または状態、または、キナーゼの影響を受けた病気または状態のいずれかが挙げられる。これらのタイプの病気の例としては、網膜の劣化、緑内障、心臓血管疾患、および、癌が挙げられる。
【0086】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、1種またはそれより多くの追加の治療剤と共に投与されてもよい。適切な追加の治療剤としては、これらに限定されないが、ベータブロッカー、アルファ−アゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン様化合物、縮瞳薬またはコリン作動薬、または、エピネフリン化合物が挙げられる。
【0087】
ベータブロッカー:これらは、房水の生産を減少させる。例としては、レボブノロール(ベタガン(Betagan))、チモロール(ベチモール(Betimol)、チモプティック(Timoptic))、ベタキソロール(ベトプティック)、および、メチプラノロール(metipranolol)(オプティプラノロール(OptiPranolol))が挙げられる。
【0088】
アルファ−アゴニスト:これらは、房水の生産を減少させ、排水を増加させる。例としては、アプラクロニジン(アイオピジン(Iopidine))、および、ブリモニジン(brimonidine)(アルファガン(Alphagan))が挙げられる。
【0089】
炭酸脱水酵素阻害剤:これらもまた、房水の生産を減少させる。例としては、ドルゾラミド(トルソプト(Trusopt))、および、ブリンゾラミド(エイゾプト(Azopt))が挙げられる。
【0090】
プロスタグランジン様化合物:これらの点眼剤は、房水の流出を増加させる。例としては、ラタノプロスト(キサラタン(Xalatan))、ビマトプロスト(ルミガン(Lumigan))、および、トラボプロスト(トラバタン(Travatan))が挙げられる。
【0091】
縮瞳薬またはコリン作動薬:これらもまた、房水の流出を増加させる。例としては、ピロカルピン(イソプト・カルピン(Isopto Carpine)、ピロピン(Pilopine))、および、カルバコール(イソプト・カルバコール(Isopto Carbachol))が挙げられる。
【0092】
エピネフリン化合物:またこれらの化合物、例えばジピベフリン(プロピン(Propine))も、房水の流出を増加させる。
【0093】
追加の治療剤または物質は、本発明の化合物と同時に投与してもよいし、または、連続的に投与してもよい。連続的な投与は、本発明の化合物より前の投与、または、その後の投与を含む。いくつかの実施態様において、追加の治療剤または物質は、本発明の化合物として同じ組成物中で投与することができる。その他の実施態様において、追加の治療剤と本発明の化合物との投与の間に時間のインターバルがあってもよい。
【0094】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物と共に追加の治療剤を投与することは、より長い期間にわたり投与するために、その他の治療剤の用量をより少なくすることを可能にすると予想される。
【0095】
本発明の化合物は、様々な塩または溶媒和物の形態で得ることもできる。このような塩として、生理学的に許容できる塩、または、原材料として利用可能な塩が用いられる。
【0096】
組成物には、本発明の化合物の1種またはそれより多くのアイソフォームが含まれていてもよい。ラセミ化合物が存在する場合、それぞれのエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、別々に用いてもよいし、または、それらは、どのような比率で組み合わされていてもよい。互変異性体が存在する場合、すべての可能な互変異性体が、具体的に考慮される。
【0097】
本発明に従って使用するための医薬組成物は、慣用の方法で、1種またはそれより多くの生理学的に許容できるキャリアーまたは賦形剤を用いて製剤化することができる。従って、本化合物、ならびにそれらの生理学的に許容できる塩および溶媒和物は、例えば固体を投与することによる投与用に、点眼剤用に、外用のオイルベースの配合で、注射用に、吸入法用に(口または鼻のいずれかを介して)、インプラント用に、または、経口用に、口腔内用に、非経口用に、または、直腸内投与用に製剤化することができる。技術および配合は、一般的には「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Meade Publishing Co.,ペンシルバニア州イーストン)を参照することができる。
【0098】
本発明の化合物(構成要素A)が投与されると予想される経路、および、組成物の形態によって、用いようとするキャリアー(構成要素B)のタイプが決定されると予想される。本組成物は様々な形態であってもよく、例えば、全身投与(例えば経口、直腸、鼻、舌下、口腔内、インプラントまたは非経口)、または、外用投与(例えば、皮膚、眼への局所的な適用、リポソーム送達系、または、イオン導入)に適切な形態であってもよい。
【0099】
全身投与のためのキャリアーは、典型的には、a)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香味料、g)甘味料、h)抗酸化剤、j)保存剤、k)滑剤、m)溶媒、n)懸濁化剤、o)湿潤剤、p)界面活性剤、それらの組み合わせ、および、その他のもののうち少なくとも1種を含む。全身投与用組成物において、あらゆるキャリアーが任意に含まれていてもよい。
【0100】
成分a)は、希釈剤である。固体の投薬形態のための適切な希釈剤としては、糖類、例えばグルコース、ラクトース、デキストロース、および、スクロース;ジオール、例えばプロピレングリコール;炭酸カルシウム;炭酸ナトリウム;糖アルコール、例えばグリセリン;マンニトール;および、ソルビトールが挙げられる。全身投与用または外用組成物における成分a)の量は、典型的には、約50〜約90%である。
【0101】
成分b)は、潤滑剤である。固体の投薬形態のための適切な潤滑剤としては、固体の潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ならびにそのマグネシウム塩およびカルシウム塩、硫酸カルシウム;および、液体潤滑剤、例えばポリエチレングリコール、ならびに、植物油、例えば落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および、カカオ油が挙げられる。全身投与用または外用組成物における成分b)の量は、典型的には、約5〜約10%である。
【0102】
成分c)は、結合剤である。固体の投薬形態のための適切な結合剤としては、ポリビニルピロリドン;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;スターチ、例えばコーンスターチ、および、馬鈴薯デンプン;ゼラチン;トラガカント;および、セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、および、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。全身投与用組成物中の成分c)の量は、典型的には、約5〜約50%であり、眼への固体投与の形態の場合は、99%以下である。
【0103】
成分d)は、崩壊剤である。固体の投薬形態のための適切な崩壊剤としては、寒天、アルギン酸およびそのナトリウム塩、発泡性混合物、クロスカルメロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、グリコール酸ナトリウムスターチ、粘土、および、イオン交換樹脂が挙げられる。全身投与用または外用組成物における成分d)の量は、典型的には、約0.1〜約10%である。
【0104】
固体の投薬形態のための成分e)は、着色剤であり、例えばFD&C色素である。用いられる場合、全身投与用または外用組成物における成分e)の量は、典型的には、約0.005〜約0.1%である。
【0105】
固体の投薬形態のための成分f)は、香味料であり、例えばメントール、ペパーミント、および、果実フレーバーである。全身投与用または外用組成物で用いられる場合、成分f)の量は、典型的には、約0.1〜約1.0%である。
【0106】
固体の投薬形態のための成分g)は、甘味料であり、例えばアスパルテーム、および、サッカリンである。全身投与用または外用組成物における成分g)の量は、典型的には、約0.001〜約1%である。
【0107】
成分h)は、抗酸化剤であり、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、および、ビタミンEである。全身投与用または外用組成物における成分h)の量は、典型的には、約0.1〜約5%である。
【0108】
成分j)は、保存剤であり、例えば塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、および、安息香酸ナトリウムである。全身投与用または外用組成物における成分j)の量は、典型的には、約0.01〜約5%である。
【0109】
固体の投薬形態のための成分k)は、滑剤であり、例えば二酸化ケイ素である。全身投与用または外用組成物における成分k)の量は、典型的には、約1〜約5%である。
【0110】
成分m)は、溶媒であり、例えば水、等張食塩水、オレイン酸エチル、グリセリン、ヒドロキシル化されたヒマシ油、アルコール、例えばエタノール、および、リン酸緩衝溶液である。全身投与用または外用組成物における成分m)の量は、典型的には、約0〜約100%である。
【0111】
成分n)は、懸濁化剤である。適切な懸濁化剤としては、アビセル(AVICEL(登録商標))RC−591(FMC社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)製)、および、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。全身投与用または外用組成物における成分n)の量は、典型的には、約1〜約8%である。
【0112】
成分o)は、界面活性剤であり、例えばレシチン、ポリソルベート80、および、ラウリル硫酸ナトリウム、および、アトラス・パウダー社(Atlas Powder Company,デラウェア州ウィルミントン)製のトウィーン(TWEENS(登録商標))である。適切な界面活性剤としては、C.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook,1992,587〜592頁;Remington’s Pharmaceutical Sciences,第15版,1975,335〜337頁;および、McCutcheon’s Volume 1,Emulsifiers&Detergents,1994,北米版,236〜239頁で開示されたものが挙げられる。全身投与用または外用組成物における成分o)の量は、典型的には、約0.1%〜約5%である。
【0113】
全身投与用組成物における構成要素AおよびBの量は、製造された全身投与用組成物のタイプ、構成要素Aとして選択された具体的な誘導体および構成要素Bの成分に応じて様々であると予想されるが、一般的に、系の組成は、0.01%〜50%の構成要素A、および、50〜99.99%の構成要素Bを含む。
【0114】
非経口投与用組成物は、典型的には、A)0.1〜10%の本発明の化合物の、および、B)90〜99.9%のキャリアーを含み、ここでこのキャリアーは、a)希釈剤およびm)溶媒を含む。一実施態様において、構成要素a)は、プロピレングリコールを含み、m)は、エタノールまたはオレイン酸エチルを含む。
【0115】
経口投与用組成物は、様々な投薬形態を有していてもよい。例えば、固体の形態としては、錠剤、カプセル、顆粒、および、バルクの粉末が挙げられる。これらの経口用製剤は、安全かつ有効な量の構成要素A)を含み、一般的には少なくとも5%、より具体的には約25%〜約50%の構成要素A)を含む。経口投与用組成物は、約50〜約95%の構成要素B)を含み、より具体的には約50〜約75%を含む。
【0116】
錠剤は、圧縮錠、湿製錠剤、腸溶性コーティング錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、または、複数圧縮された錠剤であってもよい。錠剤は、典型的には、構成要素Aと、a)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香味料、g)甘味料、k)滑剤およびそれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む構成要素Bキャリアーとを含む。具体的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース、および、セルロースが挙げられる。具体的な結合剤としては、スターチ、ゼラチン、および、スクロースが挙げられる。具体的な崩壊剤としては、アルギン酸、および、クロスカルメロースが挙げられる。具体的な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および、タルクが挙げられる。具体的な着色剤は、FD&C色素であり、これは、外観見かけのために添加することができる。チュアブル錠は、好ましくは、g)甘味料、例えばアスパルテーム、および、サッカリン、または、f)香味料、例えばメントール、ペパーミント、果実フレーバーまたはそれらの組み合わせを含む。
【0117】
カプセル(インプラント、持続放出および徐放製剤を含む)は、典型的には、ゼラチンを含むカプセル中に、構成要素Aと、1種またはそれより多くの上記で開示されたa)希釈剤を含むキャリアーとを含む。顆粒は、典型的には構成要素Aを含み、好ましくは、流れ特性を改善するために、k)滑剤(例えば二酸化ケイ素)をさらに含む。インプラントは、生分解性タイプであってもよいし、または、非生分解性タイプであってもよい。インプラントは、あらゆる既知の生体適合性の配合を用いて製造することができる。
【0118】
経口用組成物用キャリアー中の成分の選択は、本発明の目的にとって重要ではない味、コストおよび貯蔵性のような二次的な考察によって決まる。当業者であれば、どのようにして余計な実験を行うことなく適切な成分を選択するかを理解しているものと思われる。
【0119】
また固体組成物は、望ましい作用を延長させるために、望ましい適用部位の近くで、または、様々なポイントおよび回数で構成要素Aが消化管中で放出されるように、従来の方法で、典型的にはpHまたは時間依存性のコーティングでコーティングされていてもよい。このようなコーティングは、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、オイドラギット(EUDRAGIT(登録商標))コーティング(ローム・アンド・ハース社(ドイツ,ダルムシュタット)より入手可能)、ワックス、および、セラックからなる群より選択される1種またはそれより多くの構成要素を含む。
【0120】
また経口投与のための組成物は、液体の形態を有していてもよい。例えば、適切な液体の形態としては、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性の顆粒から再溶解した溶液、非発泡性の顆粒から再溶解した懸濁液、発泡性の顆粒から再溶解した発泡性の調製物、エリキシル、チンキ、シロップなどが挙げられる。液体の経口投与用組成物は、典型的には、構成要素Aと、構成要素B、すなわち、a)希釈剤、e)着色剤、f)香味料、g)甘味料、j)保存剤、m)溶媒、n)懸濁化剤、および、o)界面活性剤からなる群より選択される成分を含むキャリアーとを含む。経口用の液体組成物は、好ましくは、e)着色剤、f)香味料、および、g)甘味料からなる群より選択される1種またはそれより多くの成分を含む。
【0121】
対象の化合物の全身への送達を達成するのに有用なその他の組成物としては、舌下、口腔内、および、鼻への投薬形態が挙げられる。このような組成物は、典型的には、1種またはそれより多くの可溶性の充填剤を含み、このような充填剤としては、例えばa)希釈剤、例えばスクロース、ソルビトール、および、マンニトール;および、c)結合剤、例えばアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、および、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。このような組成物は、b)潤滑剤、e)着色剤、f)香味料、g)甘味料、h)抗酸化剤、および、k)滑剤をさらに含んでいてもよい。
【0122】
本発明の一実施態様において、本発明の化合物は外用投与される。目に局所的に適用することができる外用組成物は、当業界でよく知られているあらゆる形態が可能であり、その形態の例としては、これらに限定されないが、固体、ゲル化可能なドロップ、スプレー、軟膏、または、目の結膜嚢またはその他の適切な場所に置かれた持続放出または非持続放出性のユニットが挙げられる。
【0123】
皮膚に局所適用することができる外用組成物は、あらゆる形態が可能であり、このような形態としては、例えば、固体、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、洗い流さないタイプ(leave−on)および洗い流すタイプ(rinse−out)のヘアーコンディショナー、ミルク、クレンザー、モイスチャライザー、スプレー、皮膚用パッチ剤などが挙げられる。外用組成物は、構成要素A、上述の本化合物と、構成要素B、キャリアーとを含む。外用組成物のキャリアーは、好ましくは、本化合物の目への侵入を補助するものである。構成要素Bは、1種またはそれより多くの任意の構成要素をさらに含んでいてもよい。
【0124】
本発明に係る化合物の有効量は、治療される具体的な状態、治療される患者の年齢および身体的な状態、状態の重症度、治療の持続時間、同時に行われる治療の性質、投与経路、利用されている具体的な医薬的に許容されるキャリアー、ならびに、担当医の知見および経験の範囲内の同様の要因に応じて様々であると予想される。例えば、全身投与のための本発明の化合物の有効量は、1日あたり、約0.01〜約1000μg/kg体重、好ましくは約0.1〜約100μg/kg体重、最も好ましくは約1〜約50μg/kg体重である。経皮の場合の投与量は、当業者によく知られた薬物動態学および経皮用製剤の技術に基づいて、類似の血清または血漿濃度が達成されるように設計されると予想される。全身投与の場合の血漿濃度は、0.01〜100ng/mL、より好ましくは0.05〜50ng/mL、最も好ましくは0.1〜10ng/mLの範囲であることが期待される。これらの投与量は1日の投与速度に基づいているが、本発明の化合物はまたその他のインターバルで投与してもよく、例えば1日2回、週2回、週1回、または、月1回で投与してもよい。当業者であれば、その他の投与インターバルの場合の適切な有効量を計算することができるものと思われる。
【0125】
本発明の化合物は、眼圧を減少させる、または、小さくする方法において有用である。本発明の化合物は、治療が必要な被検者に、眼圧を減少させるのに有効な量で投与することができる。従って、これらの化合物は、緑内障の治療において有用である。緑内障を治療するために好ましい投与経路は外用である。
【0126】
外用組成物における各構成要素の正確な量は、様々な要因に依存する。外用組成物に添加される構成要素Aの量は典型的にはナノモル(nM)単位で示される構成要素AのIC50に依存する。例えば医薬品のIC50が1nMである場合、構成要素Aの量は、約0.001〜約0.3%と予想される。医薬品のIC50が10nMである場合、構成要素Aの量)は、約0.01〜約1%と予想される。医薬品のIC50が100nMである場合、構成要素Aの量は、約0.1〜約10%と予想される。医薬品のIC50が1000nMである場合、構成要素Aの量は、1〜100%と予想され、好ましくは5%〜50%と予想される。構成要素Aの量が上記で特定した範囲を外れている(すなわち、それより低い)場合、治療有効性は減少する可能性がある。当業者であれば、IC50をどのようにを計算して理解するかについて認識しているものと思われる。100%から差し引いた本組成物の残りの量は、構成要素Bである。
【0127】
構成要素Aと共に用いられるキャリアーの量は、医薬品の単位用量ごとの投与にとって実用的な量の組成物を提供するするのに十分な量である。本発明の方法において有用な投薬形態を製造するための技術および組成は、以下の参考文献で説明されている:Modern Pharmaceutics,9章および10章,Banker&Rhodes編集(1979);Lieberman et al,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1981);および、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,第2版(1976)。
【0128】
構成要素Bは、単一の成分を含んでいてもよいし、または、2種またはそれより多くの成分の組み合わせを含んでもよい。外用組成物において、構成要素Bは、外用キャリアーを含む。適切な外用キャリアーは、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、一官能性のアルコール、対称な構造のアルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびEオイル、ミネラルオイル、プロピレングリコール、プロピオン酸PPG−2ミリスチル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油、それらの組み合わせなどからなる群より選択される1種またはそれより多くの成分を含む。より具体的には、皮膚適用のためのキャリアーとしては、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、および、水が挙げられ、さらにより具体的には、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、一官能性のアルコール、および、対称な構造のアルコールである。
【0129】
外用組成物のキャリアーは、q)エモリエント剤、r)噴射剤、s)溶媒、t)潤滑剤、u)増粘剤、v)粉末、w)芳香剤、x)顔料、および、y)保存剤からなる群より選択される1種またはそれより多くの成分をさらに含んでいてもよい。
【0130】
成分q)は、エモリエント剤である。皮膚ベースの外用組成物における成分q)の量は、典型的には、約5〜約95%である。適切なエモリエント剤としては、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、ミネラルオイル、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、および、それらの組み合わせが挙げられる。皮膚用の具体的な皮膚軟化薬としては、ステアリルアルコール、および、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0131】
成分r)は、噴射剤である。外用組成物における成分r)の量は、典型的には、約0〜約95%である。適切な噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、および、それらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
成分s)は、溶媒である。外用組成物における成分s)の量は、典型的には、約0〜約95%である。適切な溶媒としては、水、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、および、それらの組み合わせが挙げられる。具体的な溶媒としては、エチルアルコール、および、ホモトピックなアルコールが挙げられる。
【0133】
成分t)は、潤滑剤である。外用組成物における成分t)の量は、典型的には、0〜95%である。適切な潤滑剤としては、グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2−ピロリドン−5−カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン、および、それらの組み合わせが挙げられる。具体的な潤滑剤としては、グリセリンが挙げられる。
【0134】
成分u)は、増粘剤である。外用組成物における成分u)の量は、典型的には、約0〜約95%である。
【0135】
成分v)は、粉末である。外用組成物における成分v)の量は、典型的には、0〜95%である。適切な粉末としては、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、チョーク、タルク、フーラー土、カオリン、スターチ、ゴム類、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾されたモンモリロナイト粘土、ケイ酸アルミニウム水和物、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコール、および、それらの組み合わせが挙げられる。眼へ適用するために、具体的な粉末としては、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、および、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。ゲルを投与する眼用製剤の場合、ポリアクリル酸ナトリウムを用いてもよい。
【0136】
成分w)は、芳香剤である。外用組成物における成分w)の量は、典型的には、約0〜約0.5%であり、具体的には、約0.001〜約0.1%である。眼へ適用する場合、典型的には芳香剤は使用しない。
【0137】
成分x)は、顔料である。皮膚に適用するのに適切な顔料としては、無機顔料、有機レーキ顔料、真珠箔顔料、および、それらの混合物が挙げられる。本発明において有用な無機顔料としては、参照番号CI77,891の色指数でコードされた、ルチル型またはアナターゼ型二酸化チタン;参考番号CI77,499、77,492および、77,491でコードされた、黒色、黄色、赤色および褐色酸化鉄;マンガンバイオレット(CI77,742);群青(CI77,007);酸化クロム(CI77,288);クロム水和物(CI77,289);および、フェリックブルー(ferric blue)(CI77,510)、および、それらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0138】
本発明において有用な有機顔料およびレーキとしては、D&Cレッド番号19(CI45,170)、D&Cレッド番号9(CI15,585)、D&Cレッド番号21(CI45,380)、D&Cオレンジ番号4(CI15,510)、D&Cオレンジ番号5(CI45,370)、D&Cレッド番号27(CI45,410)、D&Cレッド番号13(CI15,630)、D&Cレッド番号7(CI15,850)、D&Cレッド番号6(CI15,850)、D&Cイエロー番号5(CI19,140)、D&Cレッド番号36(CI12,085)、D&Cオレンジ番号10(CI45,425)、D&Cイエロー番号6(CI15,985)、D&Cレッド番号30(CI73,360)、D&Cレッド番号3(CI45,430)、コチニールカルミン(CI75,570)がベースの色素またはレーキ、および、それらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0139】
本発明において有用な真珠箔顔料としては、白色の真珠箔顔料、例えば酸化チタンでコーティングされた雲母、オキシ塩化ビスマス、色付きの真珠箔顔料、例えば酸化鉄を含むチタニウムマイカ、フェリックブルーを含むチタニウムマイカ、酸化クロムなど、上述したタイプの有機顔料を含むチタニウムマイカ、同様にオキシ塩化ビスマスがベースのもの、および、それらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。外用組成物における顔料の量は、典型的には、約0〜約10%である。眼へ適用する場合、顔料は、一般的には使用されない。
【0140】
特に本発明の好ましい実施態様において、典型的には、構成要素AおよびB(キャリアー)、例えば純水、ならびに、y)糖類または糖アルコール、例えばデキストラン、具体的にはマンニトール、および、デキストラン70、z)セルロースまたはそれらの誘導体、aa)塩、bb)EDTA二ナトリウム(エデト酸二ナトリウム)、および、cc)pHを調節する添加剤からなる群より選択される1種またはそれより多くの成分を含む眼に投与するための外用医薬組成物が製造される。
【0141】
眼に投与するための外用医薬組成物に使用するのに適したz)セルロース誘導体の例としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、および、ジヒドロキシプロピル−メチルセルロースが挙げられ、具体的には、ジヒドロキシプロピル−メチルセルロースが挙げられる。
【0142】
眼に投与するための外用医薬組成物に使用するのに適したaa)塩の例としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムおよびリン酸三ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0143】
cc)pHを調節する添加剤の例としては、眼に投与するための外用医薬組成物のpHを5.0〜7.5に調節するのに十分な量でのHClまたはNaOHが挙げられる。
【0144】
構成要素Aは、キット中に含まれていてもよく、このようなキットは、構成要素A、上述の全身投与または外用組成物またはその両方;および、情報、説明書またはその両方を含み、このようなキットを使用することによって、哺乳動物(具体的にはヒト)の美容的および医学的な状態の治療が提供されると予想される。情報および説明書は、文章、画像などの形態またはその両方であってもよい。加えて、または、その代わりに、本キットは、医薬品、組成物またはその両方;および、医薬品または組成物の適用方法、好ましくは哺乳動物(例えばヒト)における美容的および医学的な状態を治療または予防することの利点に関する情報、説明書またはその両方を含んでもよい。
【0145】
以下の説明に役立つ例で本発明をさらに説明するが、これらに限定されない。
【実施例】
【0146】
以下の実施例で、ベータ−およびガンマ−アミノイソキノリンアミド化合物および置換ベンズアミド化合物の具体的な製造手法を説明する。
【0147】
すべての温度はセ氏度で示す。試薬および出発原料は、商業的な供給源から購入するか、または、以下の公開された文献の手法に従って製造した。
【0148】
特に他の規定がない限り、適切な場合、本化合物を少量のDMSOに再溶解させて、0.45ミクロン(ナイロンディスク)のシリンジフィルターでろ過することによってHPLC精製を行った。続いてこの溶液を、例えば50mmのバリアン(Varian)・ダイナマックスHPLC(Dynamax HPLC)の21.4mmマイクロソーブ・ガード−8C(Microsorb Guard−8C)カラムを用いて精製した。必要に応じて標的化合物のために、典型的な最初の40〜80%MeOH:HOの溶出混合物を選択した。この最初の勾配を0.5分維持し、続いて5分間かけて100%MeOH:0%HOに増加させた。100%MeOHをさらに2分維持し、その後に再度平衡化して最初の開始時の勾配に戻した。典型的な総稼働時間は、8分間であった。得られた分画を解析し、必要に応じて合わせて、続いて蒸発させて、精製材料を得た。
【0149】
プロトン磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、バリアン・イノーバ600MHz(H)NMRスペクトロメーター、バリアン・イノーバ500MHz(H)NMRスペクトロメーター、バリアン・マーキュリー(Mercury)300MHz(H)NMRスペクトロメーター、または、バリアン・マーキュリー200MHz(H)NMRスペクトロメーターのいずれかで記録した。すべてのスペクトルは、指定された溶媒中で決定した。化学シフトはテトラメチルシランの低磁場、ppmで報告したが、化学シフトは、H NMRに関してそれぞれの溶媒ピークの残留プロトンのピークを参照とした。プロトン間結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告した。
【0150】
アライアンス(Alliance)2695HPLC、および、2487二重波長UV検出器を備えたウォーターズ(Waters)ZQ MS ESI装置を用いて分析用LCMSスペクトルを得た。254および230nmでスペクトルを解析した。サンプルを、ガードカラム(3.9×20mm5μ)を備えた、または、備えていないウォーターズのシンメトリー(Symmetry)C18 4.6×75mm,3.5μカラムに通過させた。流速0.8mL/分で、移動相A:HO中の0.1%ギ酸、および、移動相B:ACNを用いて濃度勾配をかけた。以下に2種の濃度勾配を説明する:
【0151】
【表1】

【0152】
MSプローブの設定は、38mVのコーン電圧、および、250℃の脱溶媒温度とした。以下、これらの方法の改変法はいずれも記載しない。
【0153】
以下の製造で、中間体の製造手順、および、ベータ−またはガンマ−アミノイソキノリンアミド誘導体、または、置換ベンズアミド誘導体の製造方法を説明する。
【0154】
実施例1.tert−ブチル2−ヒドロキシ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E1)の製造
【0155】
【化14】

【0156】
THF中の(±)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)酢酸に、0℃で、BH−THFを滴下した。この溶液をそのままにして室温に温め、追加で2時間撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、AcOH(10%)/MeOHでクエンチし、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,EtOAc)によって、純粋なtert−ブチル2−ヒドロキシ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E1)を得た。
【0157】
実施例2.2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネート(E2)の製造
【0158】
【化15】

【0159】
CHCl中のtert−ブチル2−ヒドロキシ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E1)に、NEt、DMAP、および、TsClを添加した。この溶液を室温で3時間撹拌し、続いてNHCl(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,30%EtOAc/ヘキサン)によって、純粋な2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネート(E2)を得た。
【0160】
実施例3.tert−ブチル2−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E3)の製造
【0161】
【化16】

【0162】
DMSO中の2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)エチル4−メチルベンゼンスルホネート(E2)に、NaCNを添加し、この溶液を90℃で2時間加熱した。この反応液を冷却し、NaCl(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,25%EtOAc/ヘキサン)によって、純粋なtert−ブチル2−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E3)を得た。
【0163】
実施例4.3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E4)の製造
【0164】
【化17】

【0165】
EtOH中のtert−ブチル2−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E3)に、NaOH(2M)を添加し、この溶液を90℃で4時間加熱した。この反応液を冷却し、HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、純粋な3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E4)を得た。
【0166】
実施例5.tert−ブチル3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E5)の製造
【0167】
【化18】

【0168】
ピリジン中の3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E4)に、EDC、DMAPおよび6−アミノイソキノリンを添加した。この溶液を室温で10時間撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,5%MeOH/CFbCli)によって、純粋なtert−ブチル3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E5)を得た。
【0169】
実施例6.3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−3−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E6)の製造
【0170】
【化19】

【0171】
CHCl中のtert−ブチル3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E5)に、HCl(ジオキサン中の4N溶液)を添加し、この溶液を8時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−3−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E6)を得た。
【0172】
実施例7〜40
市販の化合物、および、大部分は実施例1〜6に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物7〜11、13〜16、18〜21および25を製造し、化合物12、17、22〜24および26〜40を製造することができる。
【0173】
【表2】

【0174】
【表3】

【0175】
実施例41.メチル2−(チオフェン−3−イル)アセテート(E41)の製造
【0176】
【化20】

【0177】
MeOH中の2−(チオフェン−3−イル)酢酸に、0℃でTMS−CHを添加した。この溶液を3時間撹拌し、続いて数滴のAcOHでクエンチした。溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,3〜15%EtOAc/Hex)によって、純粋なメチル2−(チオフェン−3−イル)アセテート(E41)を得た。
【0178】
実施例42.メチル3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E42)の製造
【0179】
【化21】

【0180】
−78℃に冷却したTHF中のメチル2−(チオフェン−3−イル)アセテート(E41)に、LiHMDSを添加し、この溶液を−78℃で30分間撹拌した。続いてヨウ化N,N−ジメチルメチレンイミニウムを直接添加し、この溶液をそのままにして0℃に温めた。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,5%MeOH/CHCl)によって、純粋なメチル3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E42)を得た。
【0181】
実施例43.3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E43)の製造
【0182】
【化22】

【0183】
THF/HO/MeOH中のメチル3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E42)にLiOH・HOを添加し、この溶液を12時間撹拌した。AcOHを添加し、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,10〜15%2MのNH−MeOH/EtOH)によって、純粋な3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E43)を得た。
【0184】
実施例44.3−(ジメチルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E44)の製造
【0185】
【化23】

【0186】
ピリジン中の3−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E43)に、EDC、DMAP、および、6−アミノイソキノリンを添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,5〜20%MeOH/CHCl)によって、純粋な3−(ジメチルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミドを得た。この純粋な化合物をCHClに溶解させ、HClを添加した。溶媒を蒸発させ、純粋な3−(ジメチルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E44)を得た。
【0187】
実施例45.メチル3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E45)の製造
【0188】
【化24】

【0189】
−78℃に冷却したTHF中の純粋なメチル2−(チオフェン−3−イル)アセテート(E41)に、LiHMDSを添加し、この溶液を−78℃で30分間撹拌した。続いてN−(ブロモメチル)フタルイミドを直接添加し、この溶液をそのままにして0℃に温めた。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜40%EtOAc/Hex)によって、純粋なメチル3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E45)を得た。
【0190】
実施例46.3−アミノ−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸塩酸塩(E46)の製造
【0191】
【化25】

【0192】
メチル3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパノアート(E45)に、6NのHClを添加し、この溶液を4時間還流した。溶媒を蒸発させ、3−アミノ−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E46)を得た。
【0193】
実施例47.3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E47)の製造
【0194】
【化26】

【0195】
ジオキサン中のBocOに、0℃で、1NのNaOH中の3−アミノ−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸塩酸塩(E46)の冷却した溶液(0℃)を添加した。この溶液を0℃で30分間、続いて室温で4時間撹拌した。この混合物をHClで酸性化し、EtOAcおよびNHCl(飽和溶液)で抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させ、純粋な3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E47)を得た。
【0196】
実施例48.tert−ブチル3(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−2−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E48)の製造
【0197】
【化27】

【0198】
ピリジン中の3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E47)に、EDC、DMAP、および、6−アミノイソキノリンを添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,3%MeOH/CHCl)によって、純粋なtert−ブチル3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−2−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E48)を得た。
【0199】
実施例49.3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E49)の製造
【0200】
【化28】

【0201】
CHCl中のtert−ブチル3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソ−2−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E48)に、HCl(ジオキサン中の4N溶液)を添加し、この溶液を8〜10時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、純粋な3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E49)を得た。
【0202】
市販の化合物、および、大部分は実施例41〜49に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物50および52〜54を製造し、ならびに、化合物51および55〜72を製造することができる。
【0203】
【表4】

【0204】
【表5】

【0205】
実施例73.ガンマアミノ酸系化合物(E73)の製造
【0206】
【化29】

【0207】
THF中の(±)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E4)に、0℃で、BH−THFを滴下した。この溶液を室温に温め、追加で2時間撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、AcOH(10%)/MeOHでクエンチし、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,EtOAc)によって、純粋なtert−ブチル3−ヒドロキシ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E73A)を得た。
【0208】
3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネート(E73B)の製造
【0209】
【化30】

【0210】
CHCl中のtert−ブチル2−ヒドロキシ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E73A)に、NEt、DMAPおよびTsClを添加した。この溶液を室温で3時間撹拌し、続いてNHCl(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,30%EtOAc/ヘキサン)によって、純粋な3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネート(E73B)を得た。
【0211】
tert−ブチル3−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E73C)の製造
【0212】
【化31】

【0213】
DMSO中の3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネート(E73B)に、NaCNを添加し、この溶液を90℃で2時間加熱した。この反応液を冷却し、NaCl(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,25%EtOAc/ヘキサン)によって、純粋なtert−ブチル2−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)エチルカルバメート(E73C)を得た。
【0214】
3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−3−イル)プロパン酸(E73D)の製造
【0215】
【化32】

【0216】
EtOH中のtert−ブチル3−シアノ−1−(チオフェン−3−イル)プロピルカルバメート(E3)に、NaOH(2M)を添加し、この溶液を90℃で4時間加熱した。この反応液を冷却し、HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、純粋な4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(チオフェン−3−イル)ブタン酸(E73D)を得た。
【0217】
tert−ブチル4−(イソキノリン−6−イルアミノ)−4−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)ブチルカルバメート(E73E)の製造
【0218】
【化33】

【0219】
ピリジン中の4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(チオフェン−3−イル)ブタン酸(E73D)にEDC、DMAP、および、6−アミノイソキノリンを添加し、この溶液を室温で10時間撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,5%MeOH/CHCl)によって、純粋なtert−ブチル4−(イソキノリン−6−イルアミノ)−4−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)ブチルカルバメート(E73E)を得た。
【0220】
4−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−4−(チオフェン−3−イル)ブタンアミド二塩酸塩(E73)の製造
【0221】
【化34】

【0222】
CHCl中のtert−ブチル4−(イソキノリン−6−イルアミノ)−4−オキソ−1−(チオフェン−3−イル)ブチルカルバメート(E73E)にHCl(ジオキサン中の4N溶液)を添加し、この溶液を8時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、4−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−4−(チオフェン−3−イル)ブタンアミド二塩酸塩(E73)を得た。
【0223】
実施例74〜93
実施例73で示した一般的な方法を用いて、以下の化合物74〜93を、それに対応する6−アミノイソキノリンから合成することができる。
【0224】
【表6】

【0225】
【表7】

【0226】
実施例94〜110
大部分は実施例73に記載の手順を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物94〜110を製造することができる。
【0227】
【表8】

【0228】
【表9】

【0229】
実施例111.2−メチル−4−ニトロベンズアミド(E111)の製造
【0230】
【化35】

【0231】
Ar下でCHClに懸濁された2−メチル−4−ニトロ安息香酸に、DMF、続いて塩化オキサリルを添加した。この反応液を室温で1.5時間撹拌し、続いて溶媒を蒸発させた。残留物をTHFに溶解させ、この反応液をアンモニアガスで15分間泡立てた。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcと水とで分配した。水層をEtOAcで抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜100%EtOAc/Hex)によって、純粋な2−メチル−4−ニトロベンズアミド(E111)を得た。
【0232】
実施例112.4−アミノ−2−メチルベンズアミド(E112)の製造
【0233】
【化36】

【0234】
Ar下で、2−メチル−4−ニトロベンズアミド(E111)をEtOHに溶解させ、10%Pd/Cを添加した。この反応液をHでポンプパージし、撹拌しながら室温で一晩そのままにした。触媒をろ過によって除去し、反応液を濃縮し、純粋な4−アミノ−2−メチルベンズアミド(E112)を得た。
【0235】
実施例113.4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)−2−メチルベンズアミド(E113)の製造
【0236】
【化37】

【0237】
ピリジン中の2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)酢酸にEDC、DMAPおよび4−アミノ−2−メチルベンズアミド(E112)を添加し、この溶液を室温で10時間撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜100%EtOAc/Hex)によって、純粋な4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)−2−メチルベンズアミド(E113)を得た。
【0238】
実施例114.4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)安息香酸メチル(E114)の製造
【0239】
【化38】

【0240】
ピリジン中の2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)酢酸にEDC、DMAP、および、4−アミノベンゾエートを添加し、この溶液を室温で10時間撹拌した。この混合物をNaHCO(飽和溶液)に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜100%EtOAc/Hex)によって、純粋な4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)安息香酸メチル(E114)を得た。
【0241】
実施例115.4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)ベンズアミド(E115)の製造
【0242】
【化39】

【0243】
Ar下でDMFに溶解させた4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)安息香酸メチル(E114)、および、ホルムアミドを100℃に加熱した。続いてNaOMeを添加し、この反応液を2時間加熱した。この反応液をEtOAcと水とで分配した。水層をEtOAcで抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜100%EtOAc/Hex)によって、純粋な4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)ベンズアミド(E115)を得た。
【0244】
実施例116〜122
市販の化合物、および、大部分は実施例111〜115に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物116〜122を製造した:
【0245】
【表10】

【0246】
【表11】

【0247】
実施例123〜133
市販の化合物、および、大部分は実施例111〜115に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物125および127を製造し、および、化合物123〜124、126、および、128〜133を製造することができる。
【0248】
【表12】

【0249】
実施例134〜180
市販の化合物、および、大部分は実施例111〜115に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物134〜180を製造することができる。
【0250】
【表13】

【0251】
【表14】

【0252】
【表15】

【0253】
実施例181
市販の化合物、および、大部分は実施例1〜6に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物181〜195を製造した。
【0254】
【表16】

【0255】
実施例182
市販の化合物、および、大部分は実施例41〜49に記載の手法を用いて、さらに適切な出発原料で代用することによって、化合物196〜202を製造した。
【0256】
【表17】

【0257】
実施例183
慣用の方法によって眼圧を低くする外用医薬組成物が製造され、これは以下のように配合される:
【0258】
【表18】

【0259】
本発明に係る化合物は、ベータアミノ酸イソキノリルアミドとして用いられる。本組成物を目に1日1回外用投与すると、上記組成物は、緑内障に罹った患者の眼圧を減少させる。
【0260】
実施例184
本発明に係る3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−3−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E6)を用いて実施例183を繰り返す。1日2回液滴として投与した場合、上記組成物は眼圧を減少させ、神経保護薬として役立つ。
【0261】
実施例185。
【0262】
本発明に係るガンマアミノ酸イソキノリルアミドを用いて実施例183を繰り返す。1日2回液滴として投与した場合、上記組成物は眼圧を減少させる。
【0263】
実施例186
本発明に係るベンズアミドを用いて実施例183を繰り返す。1日2回液滴として投与した場合、上記組成物は実質的にアレルギー症状を減少させ、ドライアイ症候群を軽減する。
【0264】
実施例187
本発明に係る3−(ジメチルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E44)を用いて実施例183を繰り返す。必要に応じて液滴として投与した場合、上記組成物は、充血、発赤および目の炎症を減少させる。
【0265】
実施例188
本発明に係る3−アミノ−N−(5−クロロイソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩を用いて実施例183を繰り返す。1日4回液滴として投与した場合、上記組成物は眼圧を減少させ、神経保護薬として役立つ。
【0266】
実施例189
本発明に係る3−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)−2−(チオフェン−3−イル)プロパンアミド二塩酸塩(E49)を用いて実施例183を繰り返す。1日2回液滴として投与した場合、上記組成物は眼圧を減少させる。
【0267】
実施例190
本発明に係る4−(2−(ジメチルアミノ)−2−(チオフェン−3−イル)アセトアミド)ベンズアミド(El15)を用いて実施例183を繰り返す。1日2回液滴として投与した場合、上記組成物は眼圧とアレルギー症状を減少させ、ドライアイ症候群を軽減する。
【0268】
参考例1.細胞ベースのブタ小柱網(PTM)分析
ブタ目の前部を死後4時間以内に回収した。虹彩および毛様体を取り出し、小柱網細胞を非開胸食道抜去術(blunt dissection)によって回収した。細かく刻んだ小柱網組織を、20%ウシ胎児血清(FBS)を含む199培地(Medium−199)中でコラーゲンでコーティングした6ウェルプレートに平板培養した。細胞が密集した状態で2回継代した後、10%FBSを含む低グルコースDMEMに移した。第3継代と第8継代との間の細胞を用いた。
【0269】
標準的な培養条件下で化合物を試験する前の日に、細胞をフィブロネクチンでコーティングしたガラス製マルチウェルプレートに平板培養した。1%FBSを含むDMEMおよび1%DMSOの存在下で化合物を細胞に添加した。最適と結論づけられた継続時間中、化合物を細胞とインキュベートし、培地と化合物を除去し、細胞を3%メタノール非含有のパラホルムアルデヒド中で20分間固定した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回リンスし、細胞を、0.5%トリトン(Triton)X−100で2分間透過性にした。PBSでさらに2回洗浄した後、F−アクチンを、アレクサ−フルオロ(Alexa−fluor)488で標識されたファロイジンで染色し、核をDAPIで染色した。
【0270】
データを直線状のアクチン繊維の平均長さに変換し、DMSO処理したコントロール細胞(100%)および50μMのY−27632(0%)に合わせて標準化した。Y−27632は、これらの細胞においてアクチンの脱重合を引き起こすことがわかっているrho−キナーゼ阻害剤である。
【0271】
参考例2.緑内障分析に関する薬理活性
緑内障に関する薬理活性は、対象の化合物の眼圧を減少させる能力が試験されるように設計された分析を用いて実証することができる。このような分析の例は、以下の参考文献(参照により本明細書に含める)で説明されている:C.Liljebris,G.Selen,B.Resul,J.Sternschantz,and U.Hacksell,“Derivatives of 17−phenyl−18,19,20−trinorprostaglandin F2α Isopropyl Ester:Potential Anti−glaucoma Agents”,Journal of Medicinal Chemistry 1995,38(2):289−304。
【0272】
本発明を詳細に、かつそれらの具体的な実施態様を参照しながら説明したが、当業者にとって、本発明の本質および範囲から逸脱することなく様々な変更および改変をほどこすことができることは明らかであると予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
およびRのうち一方は、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、または、C〜Cアルキニルであり、RおよびRの他方は、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである]
で示される化合物、または、その光学異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、生理学的に許容できる塩、または、生理学的に許容できる溶媒和物。
【請求項2】
およびRのうち一方が、C〜Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが、独立して、水素またはメチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびXが、独立して、水素、ヒドロキシ、クロロ、または、フルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRのうち一方が、C〜Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、または、ヘテロアリールであり;RおよびRは、独立して、水素またはメチルであり;および、XおよびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、クロロ、または、フルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびRのうち他方が、水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
およびRのうち一方が、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびRのうち一方が、チエニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
およびRのうち一方が、一置換フェニル、または、一置換チエニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
前記置換基が、フルオロ、クロロ、または、シアノである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
およびRのうち一方が、非置換のフェニル、または、非置換のチエニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
が、ヒドロキシであり、Xが、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
ヒドロキシが、1位に存在する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
水素が、1位に存在する、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
以下の式:
【化2】

または、以下の式:
【化3】

または、以下の式:
【化4】

または、以下の式:
【化5】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
およびRが、独立して、水素、または、メチルであり;Rが、水素であり、Rが、フェニルであり;XおよびXが、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
式(II):
【化6】

[式中RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員、および、最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し;
、RおよびRのうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、または、C〜Cアルキニルであり、R、RおよびRの他方の2つは、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである]
で示される化合物、または、その光学異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、生理学的に許容できる塩、または、生理学的に許容できる溶媒和物。
【請求項18】
、RおよびRのうち1つが、C〜Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
およびRが、独立して、水素またはメチルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
およびXが、独立して、水素、ヒドロキシ、クロロ、または、フルオロである、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
、RおよびRのうち1つが、C〜Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、または、ヘテロアリールであり;RおよびRが、独立して、水素またはメチルであり;および、XおよびXが、独立して、水素、ヒドロキシル、クロロ、または、フルオロである、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
前記R、RおよびRのうち残りものが、水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
、RおよびRのうち1つが、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項17に記載の化合物。
【請求項24】
、RおよびRのうち1つが、チエニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
、RおよびRのうち1つが、一置換フェニル、または、一置換チエニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
前記置換基が、フルオロ、クロロ、または、シアノである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
、RおよびRのうち1つが、非置換のフェニル、または、非置換のチエニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項28】
が、ヒドロキシであり、Xが、水素である、請求項17に記載の化合物。
【請求項29】
ヒドロキシが、1位に存在する、請求項17に記載の化合物。
【請求項30】
水素が、1位に存在する、請求項17に記載の化合物。
【請求項31】
およびRが、独立して、水素またはメチルであり;RおよびRが、水素であり、Rが、フェニルであり;XおよびXが、水素である、請求項17に記載の化合物。
【請求項32】
式(III):
【化7】

[式中、R、RおよびRは、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルであり;または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成するか、または、RおよびRが組み合わさって、少なくとも5員および最大で8員の原子のヘテロシクロアルキル環を形成し、
基のうち1つは、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、または、C〜Cアルキニルであり、他のR基は、独立して、水素、または、C〜Cアルキルであり、その立体中心は、立体配置中で独立して「R」または「S」のいずれかであり;
nは、1〜4であり;および、
およびXは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル、または、C〜Cカルボキシルである]
で示される化合物、または、その光学異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、生理学的に許容できる塩、または、生理学的に許容できる溶媒和物。
【請求項33】
nが、1〜3である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
nが、2である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
1つのRが、独立して、C〜Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項32に記載の化合物。
【請求項36】
およびXが、独立して、水素、クロロ、またはフルオロである、請求項32に記載の化合物。
【請求項37】
が、水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項38】
nが、2であり;1つのRは、アリールまたはヘテロアリールであり;XおよびXが、独立して、水素、クロロ、または、フルオロであり;および、Rが、水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項39】
他のR基が、水素である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
1つのRが、アリール、または、ヘテロアリールである、請求項32に記載の化合物。
【請求項41】
1つのRが、チエニルである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
1つのRが、一置換フェニル、または、一置換チエニルである、請求項40に記載の化合物。
【請求項43】
前記置換基が、フルオロ、クロロ、または、シアノである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
1つのRが、非置換のフェニル、または、非置換のチエニルである、請求項40に記載の化合物。
【請求項45】
およびXが、水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項46】
以下の式:
【化8】

または、以下の式:
【化9】

を有する、請求項32に記載の化合物。
【請求項47】
nが、2であり;RおよびRが、独立して、水素またはメチルであり;1つのRが、3−チエニル、または、2−チエニルであり;他のRが、水素であり;Rが、水素であり;XおよびXが、水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物、および、キャリアーを含む組成物。
【請求項49】
前記キャリアーが、約5.5〜約6.5のpHに緩衝化されている塩水である、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
請求項17に記載の化合物、および、キャリアーを含む組成物。
【請求項51】
前記キャリアーが、約5.5〜約6.5のpHに緩衝化されている塩水である、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
請求項32に記載の化合物、および、キャリアーを含む組成物。
【請求項53】
前記キャリアーが、約5.5〜約6.5のpHに緩衝化されている塩水である、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
被検者において病気を治療する方法であって:
被検者に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与すること、
を含み;
ここで該病気は、眼疾患、骨障害、肥満症、心疾患、肝疾患、腎疾患、膵臓炎、癌、心筋梗塞、胃の障害、高血圧、受精能の抑制、育毛の障害、鼻充血、神経因性膀胱機能障害、胃腸障害、および、皮膚疾患のうち少なくとも1種を含む、上記方法。
【請求項55】
前記病気が、眼疾患を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記眼疾患が、緑内障、または、神経変性性眼疾患を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
キナーゼ活性を調節する方法であって:
細胞を、キナーゼ活性を調節するのに有効な量の請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、上記方法。
【請求項58】
前記細胞が、被検者中に存在するものである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
被検者において病気を治療する方法であって:
被検者に、有効量の請求項17に記載の化合物を投与すること、
を含み;
ここで該病気は、眼疾患、骨障害、肥満症、心疾患、肝疾患、腎疾患、膵臓炎、癌、心筋梗塞、胃の障害、高血圧、受精能の抑制、育毛の障害、鼻充血、神経因性膀胱機能障害、胃腸障害、および、皮膚疾患のうち少なくとも1種を含む、上記方法。
【請求項60】
前記病気が、眼疾患を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記眼疾患が、緑内障、または、神経変性性眼疾患を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
キナーゼ活性を調節する方法であって:
細胞を、キナーゼ活性を調節するのに有効な量の請求項17に記載の化合物と接触させることを含む、上記方法。
【請求項63】
前記細胞が、被検者中に存在するものである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
被検者において病気を治療する方法であって:
被検者に、有効量の請求項32に記載の化合物を投与すること、
を含み;
ここで該病気は、眼疾患、骨障害、肥満症、心疾患、肝疾患、腎疾患、膵臓炎、癌、心筋梗塞、胃の障害、高血圧、受精能の抑制、育毛の障害、鼻充血、神経因性膀胱機能障害、胃腸障害、および、皮膚疾患のうち少なくとも1種を含む、上記方法。
【請求項65】
前記病気が、眼疾患を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記眼疾患が、緑内障、または、神経変性性眼疾患を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
キナーゼ活性を調節する方法であって:
細胞を、キナーゼ活性を調節するのに有効な量の請求項32に記載の化合物と接触させることを含む、上記方法。
【請求項68】
前記細胞が、被検者中に存在するものである、請求項67に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529074(P2011−529074A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520203(P2011−520203)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051569
【国際公開番号】WO2010/011853
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(509195515)アエリエ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】