説明

ペダル装置

【課題】アクセルペダルの回転を制限するストッパと当接部との間の異物の噛み込みを抑制可能なペダル装置を提供する。
【解決手段】ハウジング3の内壁に回転可能に設けられるアクセルペダル2は、ハウジングに形成された開口35から外側に延びる操作部に運転者の踏力を受けて回転する。スプリング4は、運転者の踏込み操作によりアクセルペダル2が回転する方向と反対方向にアクセルペダル2を付勢する。アクセルペダル2の外壁に設けられた当接部23とハウジング3に設けられたストッパ36とが当接することで、スプリング4が付勢する方向のアクセルペダル2の回転が制限される。ハウジング3の外壁に設けられた被覆手段6は、ハウジング3の開口35、ストッパ36及び当接部23を覆う。これにより、ハウジング2の外部からストッパ36と当接部23との間に異物が侵入することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアクセル操作等に用いられるペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者によるアクセルペダルの踏込量に応じて車両の加速状態を制御するペダル装置が知られている。特許文献1に記載のペダル装置は、車両に取り付け可能なハウジング内に軸部材が回転可能に設けられ、その軸部材にアクセルペダルが取り付けられている。アクセルペダルは、ハウジングに設けられた開口からハウジングの外側に延びる操作部に運転者の踏力を受けて回転する。運転者の踏み込み操作によりアクセルペダルが回転する方向と反対方向へスプリングがアクセルペダルを付勢している。
ハウジングに設けられたストッパと、アクセルペダルの外壁に設けられた当接部とが当接することで、スプリングの付勢する方向のアクセルペダルの回転が制限される。これにより、運転者がアクセルペダルに踏力を与えていないとき、アクセルペダルは全閉位置に保持される。このとき、アクセルペダルの回転を検出する回転角センサから車両のエンジンコントロールユニット(ECU)へアクセルペダルが全閉位置にあることを示す信号が出力される。これにより、ECUはエンジンに加速の指示を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−169812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のペダル装置は、アクセルペダルが挿通しているハウジングの開口からハウジング内に砂又は石などの異物が侵入するおそれがある。ハウジング内には、アクセルペダルが取り付けられた軸部材とハウジングの内壁との隙間、又はアクセルペダルの回転に所定の摩擦力を与える摩擦板とロータとの隙間などの摺動箇所が形成されている。このような摺動箇所に異物が噛み込むと、ペダル装置に予め設定された踏力特性が変化し、操作フィーリングが悪化することが懸念される。
【0005】
また、ハウジングのストッパとアクセルペダルの当接部との間に異物が噛み込むと、運転者がアクセルペダルに踏力を与えていない状態で、アクセルペダルは全閉位置に戻らないおそれがある。この場合、回転角センサから車両のECUへアクセルペダルが所定量回転していることを示す信号が出力される。これにより、運転者の意図に反し、ECUがエンジンを加速状態に制御すると、運転者に不安または危険を感じさせるおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジング内への異物の侵入を抑制することの可能なペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明によると、車体に取り付け可能なハウジングの内壁に回転可能に設けられるアクセルペダルは、ハウジングに形成された開口から外側に延びる操作部に運転者の踏力を受けて回転する。スプリングは、運転者の踏込み操作によりアクセルペダルが回転する方向と反対方向にアクセルペダルを付勢する。アクセルペダルの外壁に設けられた当接部とハウジングに設けられたストッパとが当接することで、スプリングが付勢する方向のアクセルペダルの回転が制限される。ハウジングの外壁に設けられた被覆手段は、ハウジングの開口、ストッパ及び当接部を覆う。
被覆手段がハウジングの開口を覆うことで、ハウジングの外部から異物がハウジング内へ侵入することが抑制される。このため、アクセルペダルが取り付けられた軸部材とハウジングの内壁との隙間、又はアクセルペダルの回転に所定の摩擦力を与える摩擦板とロータとの隙間など、ハウジング内の摺動箇所に異物が噛み込むことが抑制される。したがって、ペダル装置に予め設定された踏力特性が維持され、操作フィーリングの悪化を抑制することができる。
さらに、被覆手段がストッパと当接部を覆うことで、ストッパと当接部との間に異物が噛み込むことが抑制される。これにより、運転者がアクセルペダルに踏力を与えていないとき、アクセルペダルはスプリングの付勢力により全閉位置に確実に戻される。このとき、アクセルペダルの回転を検出する回転角センサから車両のECUへアクセルペダルが全閉位置にあることを示す信号が出力される。したがって、ECUはエンジンへ加速指示をすることなく、安全性を高めることができる。
【0008】
請求項2に係る発明によると、被覆手段は、アクセルペダルの回転に伴い弾性変形可能な蛇腹状に形成される。アクセルペダルの回転に伴い被覆手段の蛇腹部分が弾性変形することで、ペダル装置に予め設定された踏力特性に被覆手段の弾性力が影響することを抑制することができる。
【0009】
請求項3に係る発明によると、ペダル装置は、ハウジング及びアクセルペダルのいずれか一方から被覆手段の内側に延び、当接部とストッパとの間に被覆手段が挟まれることを抑制する第1ガイド部材を備える。これにより、運転者の踏力が与えられていない状態でアクセルペダルは全閉位置に確実に戻ることができる。
【0010】
請求項4に係る発明によると、ハウジング及びアクセルペダルのいずれか他方と第1ガイド部材との距離は、アクセルペダルが全開位置から全閉位置まで回転するとき、ハウジング及びアクセルペダルのいずれか他方と第1ガイド部材との間に被覆手段が挟まれない程度の間隔に形成される。これにより、アクセルペダルが全開位置から全開位置から全閉位置へ移動するとき、ハウジング及びアクセルペダルのいずれか他方と第1ガイド部材との間に被覆手段が挟まれることを抑制することができる。
【0011】
請求項5に係る発明によると、ペダル装置は、ハウジング及びアクセルペダルのいずれか他方から被覆手段の内側に延び、当接部とストッパとの間に被覆手段が挟まれることを抑制する第2ガイド部材を備える。第1ガイド部材と第2ガイド部材とは、アクセルペダルの回転に対し径方向または軸方向に重なる。
これにより、アクセルペダルの回転方向に対する第1ガイド部材及び第2ガイド部材の長さを短く形成することが可能となる。したがって、第1ガイド部材及び第2ガイド部材の剛性を高めることができる。
【0012】
請求項6に係る発明によると、第1ガイド部材と第2ガイド部材との距離は、アクセルペダルが全開位置から全閉位置まで回転するとき、第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に被覆手段が挟まれない程度の間隔に形成される。これにより、アクセルペダルが全開位置から全閉位置へ移動するとき、第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に被覆手段が挟まれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態によるペダル装置の側面図である。
【図2】図1のII方向の矢視図である。
【図3】図1のIII−III線の断面図である。
【図4】図2のIV−IV線の断面図であり、アクセルペダルが全閉位置にあるときの状態を示す図である。
【図5】図2のIV−IV線の断面図であり、アクセルペダルが開位置にあるときの状態を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるペダル装置の断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるペダル装置の断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態によるペダル装置の断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態によるペダル装置の平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態によるペダル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるペダル装置を図1〜図5に示す。
ペダル装置1は、車両に搭載され、運転者によるアクセルペダル2の踏み込み量に応じてエンジンの運転状態を制御する。本実施形態のペダル装置1は、アクセルバイワイヤ方式を採用しており、アクセルペダル2の回転角度を回転角センサ5で電気信号に変換し、車両のECUに出力する。ECUは、回転角センサ5からの信号及び車両のスピード情報等に基づいてスロットル装置及びインジェクタの噴射量等、エンジンの各部を制御し、エンジンの運転状態を制御する。
【0015】
ペダル装置1は、運転者に踏込み操作されるアクセルペダル2、このアクセルペダルを回転可能に支持するハウジング3、付勢手段としてのスプリング4、回転角センサ5及び被覆手段6などを備えている。
以下、運転者の踏込み操作に伴う踏力の増加によりアクセルペダル2が回転する方向をX方向といい、その反対方向をY方向という。
【0016】
ハウジング3は、例えば樹脂により形成されている。ハウジング3は、底板31、天板32、側板33および側板34等を有している。底板31と天板32とは、互いに略平行に形成されている。また、側板33と側板34とは、互いに略平行に形成され、底板31と天板32とを接続している。これにより、ハウジング3は、略箱状に形成されている。ハウジング3には、アクセルペダル2が挿通する開口35が設けられている。天板32の開口35側にアクセルペダルの回転を制限するストッパ36が設けられている。
底板31には、取付孔311、312が設けられている。この取付孔311、312にボルト等が取り付けられることで、ハウジング3は車体に取り付けられる。
【0017】
アクセルペダル2は、ハウジング3の開口35から外側に延びる端部に運転者の踏力を受ける操作部21を有している。アクセルペダル2は、操作部21と反対側で、ハウジング3の内側に円筒部22を有している。また、アクセルペダル2は、ハウジング3の開口35の外側でY方向の外壁に当接部23を有している。当接部23は、ハウジング3のストッパ36に当接可能である。
なお、アクセルペダル2は、操作部21、円筒部22および当接部23を一体に形成している。
【0018】
アクセルペダル2の円筒部22には、回転軸方向に通じる孔221が形成されている。この孔221に軸部材11が嵌合している。軸部材11は、一端がハウジング3の側板33の内壁に形成された凹部331に回転可能に支持され、他端がハウジング3の側板34の内壁に形成された凹部341に回転可能に支持されている。よって、アクセルペダル2は、軸部材11の中心を回転軸Oとして軸部材11と一体に回転可能である。
【0019】
アクセルペダル2の円筒部22の軸方向にロータ12が設けられている。ロータ12は、略円環状の環状部121、及びこの環状部121から径外方向へ突出する突出部122を有している。環状部121は、内側に軸部材11が通され、軸部材11によって回転可能に支持されている。環状部121と軸部材11とは、相対回転可能である。
【0020】
環状部121の円筒部22側の面には、傾斜面を有するはす歯123が周方向に複数形成されている。一方、円筒部22の環状部121側の面には、環状部121のはす歯123に対応する傾斜面を有するはす歯222が周方向に複数形成されている。運転者がアクセルペダル2の操作部21に踏力を与えると、環状部121のはす歯123と円筒部22のはす歯222とが噛み合い、環状部121は、円筒部22とともに回転する。このとき、環状部121は、はす歯123とはす歯222の傾斜面により側板34側へ押し付けられる。環状部121と側板34との間には、摩擦板14が設けられ、環状部121に摩擦力を与える。これにより、アクセルペダル2の回転角に応じた大きさの摩擦力がアクセルペダル2に作用する。
【0021】
突出部122の天板32側には、略皿状のホルダ13が設けられている。ホルダ13と天板32との間にスプリング4が設けられている。スプリング4は、第1コイルスプリング41及び第2コイルスプリング42から構成される二重コイルスプリングである。
スプリング4は、軸方向に伸びる力を有しており、ホルダ13をロータ12の突出部122側へ押し付けている。スプリング4の付勢力により、ロータ12の突出部122が底板31側へ付勢され、環状部121が回転する。環状部121の回転に伴い、はす歯123とはす歯222との噛み合いにより、円筒部22を有するアクセルペダル2も回転する。つまり、スプリング4は、運転者の踏込み操作によりアクセルペダル2が回転する方向と反対方向(Y方向)にアクセルペダル2を付勢している。
【0022】
回転角センサ5は、ハウジング3の側板33に取り付けられている。回転角センサ5はホールIC52を有している。一方、軸部材11の側板33側の端部には、磁石53が固定されている。アクセルペダル2の回転と共に軸部材11に固定された磁石53が回転すると、軸部材11の端部の周囲の磁界が変化する。ホールIC52は、この磁界の変化を電気信号に変換し、その電気信号をコネクタ51を経由してECUへ伝達する。これにより、ECUは、アクセルペダル2の回転角を検知し、エンジンの運転状態を制御する。
【0023】
被覆手段6は、例えばゴムなどの弾性部材から蛇腹状に形成され、ハウジング3の開口35とストッパ36と当接部23とを覆うように設けられている。被覆手段6は、略筒状に形成され、ハウジング3側の縁部61が、ハウジング3の天板32、側板33,34及び底板31に連続して形成された溝60に嵌合している。一方、被覆手段6は、アクセルペダル2側の縁部62が、アクセルペダル2の外壁に当接している。
被覆手段6は、アクセルペダル2の回転に伴い、蛇腹部分の山の形状が弾性変形することで伸縮する。
【0024】
ハウジング3の天板32から第1ガイド部材71が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてX方向に延びている。また、アクセルペダル2から第2ガイド部材72が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてY方向に延びている。第1ガイド部材71と第2ガイド部材72は、被覆手段6の内側に設けられている。第1ガイド部材71と第2ガイド部材72は、それぞれ、アクセルペダル2の回転軸Oを中心とした仮想円筒面上に形成される。第1ガイド部材71と第2ガイド部材72とは、所定の隙間Sを有し、アクセルペダル2の回転の径方向に重なるように設けられている。
【0025】
ペダル装置1の作動を説明する。
図4に示すように、運転者がアクセルペダル2に踏力を与えていない状態において、当接部23とストッパ36とが当接し、アクセルペダル2は全閉位置に維持される。
このとき、回転角センサ5は、アクセルペダル2が全閉位置にあることを示す信号をECUへ出力する。
【0026】
図5に示すように、運転者がアクセルペダル2に踏力を与えると、アクセルペダル2はX方向に回転する。
このとき、回転角センサ5は、アクセルペダル2が所定量回転していることを示す信号をECUへ出力する。
この状態において、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72は、所定の隙間Sを有し、アクセルペダル2の回転径方向に重なっている。第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間の隙間Sは、アクセルペダル2が全閉位置から全開位置まで移動するとき、略一定の間隔を保っている。この隙間Sは、アクセルペダル2が全開位置から全閉位置へ移動するとき、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間に被覆手段6が挟み込まれない程度の大きさに形成されている。
なお、ハウジング3の底板31の開口35側に設けられた凸部101は、アクセルペダル2が全開位置に移動したとき、アクセルペダル2と当接可能である。この凸部101により、ハウジング3の底板31とアクセルペダル2との間に被覆部材6が挟まれることが抑制される。
【0027】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)被覆手段6がハウジング3の開口35を覆うため、ハウジング3の開口35からハウジング3内への異物の侵入が抑制される。これにより、軸部材11とハウジング3の側板33,34の凹部331、341との隙間、又は摩擦板14とロータ12との隙間など、ハウジング3内の摺動箇所に異物が噛み込むことが抑制される。したがって、ペダル装置1に予め設定された踏力特性が維持され、操作フィーリングの悪化を抑制することができる。
(2)被覆手段6がストッパ36と当接部23を覆うため、ストッパ36と当接部23との間に異物が噛み込むことが抑制される。これにより、運転者がアクセルペダル2に踏力を与えていない状態で、アクセルペダル2はスプリング4の付勢力により全閉位置に確実に戻される。このため、回転角センサ5からECUへアクセルペダル2が全閉位置にあることを示す信号が出力されるので、ECUはエンジンへ加速指示をすることなく、安全性を高めることができる。
(3)被覆手段6は、アクセルペダル2の回転に伴い蛇腹部分が弾性変形することで容易に伸縮する。このため、ペダル装置1に予め設定された踏力特性に、被覆手段6の弾性力が影響することを抑制することができる。
【0028】
(4)当接部23及びストッパ36と被覆手段6との間に第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72が設けられることで、アクセルペダル2が全閉位置に移動するとき、当接部23とストッパ36との間に被覆手段6が挟まれること抑制することができる。
(5)第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との隙間Sは、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間に被覆手段6が挟まれない程度に小さく形成される。これにより、アクセルペダル2が全閉状態に移行するとき、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間に被覆手段6が挟まれることを抑制することができる。
(6)第1ガイド部材71と第2ガイド部材72とがアクセルペダル2の回転に対し径方向に重なることで、アクセルペダル2の回転方向に対する第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の長さを短く形成することが可能となる。したがって、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の剛性を高めることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるペダル装置を図6に示す。以下、複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、被覆手段6の内側で、ハウジング3の天板32から第1ガイド部材73が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてX方向へ延びている。一方、アクセルペダル2に第2ガイド部材は設けられていない。第1ガイド部材73は、アクセルペダル2の回転軸Oを中心とした仮想円筒面上に形成される。
第1ガイド部材73とアクセルペダル2との間の隙間Sは、アクセルペダル2が全閉位置から全開位置まで移動するとき、略一定の間隔を保っている。この隙間Sは、アクセルペダル2が全開位置から全閉位置へ移動するとき、第1ガイド部材73とアクセルペダル2との間に被覆手段6が挟み込まれない程度の間隔に形成されている。
本実施形態では、被覆手段6の内側に第1ガイド部材73のみが設けられ、第2ガイド部材が設けられていないので、第2ガイド部材の板厚分、ペダル装置の体格を小型化することで、ペダル装置の足当たり性を向上することができる。
【0030】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるペダル装置を図7に示す。
本実施形態では、被覆手段6の内側で、アクセルペダル2から第2ガイド部材74が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてY方向へ延びている。一方、ハウジング3に第1ガイド部材は設けられていない。第2ガイド部材74は、アクセルペダル2の回転軸Oを中心とした仮想円筒面上に形成される。
第2ガイド部材74とハウジング3の天板32との間の隙間Sは、アクセルペダル2が全閉位置から全開位置まで移動するとき、略一定の間隔を保っている。この隙間Sは、アクセルペダル2が全開位置から全閉位置へ移動するとき、第2ガイド部材74とハウジング3の天板32との間に被覆手段6が挟み込まれない程度の間隔に形成されている。
本実施形態では、被覆手段6の内側に第2ガイド部材74のみが設けられ、第1ガイド部材が設けられていないので、第1ガイド部材の板厚分、ペダル装置の体格を小型化することで、ペダル装置の足当たり性を向上することができる。
【0031】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態によるペダル装置を図8及び図9に示す。
本実施形態では、被覆手段6の内側で、ハウジング3の天板32から第1ガイド部材75が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてX方向へ延びている。また、アクセルペダル2から第2ガイド部材76が、アクセルペダル2の回転軸Oを中心としてY方向に延びている。第1ガイド部材75と第2ガイド部材76は、アクセルペダル2の回転軸方向と平行に重なるように設けられている。つまり、第1ガイド部材75と第2ガイド部材76は、図9に示すように、上方から見て互い違いになるように設けられている。
本実施形態では、第1ガイド部材75又は第2ガイド部材76のいずれか一方の板厚分、ペダル装置の体格を小型化することで、ペダル装置の足当たり性を向上することができる。
【0032】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態によるペダル装置を図10に示す。
本実施形態では、被覆手段65は、蛇腹部分の山の形状が断面視において円弧状に形成されている。本実施形態においても、被覆手段65は、アクセルペダル2の回転に伴い、蛇腹部分の山の形状が弾性変形することで伸縮することが可能である。
本実施形態では、被覆手段65の高さが低くなるので、ペダル装置の足当たり性を向上することができる。
【0033】
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態では、車両のアクセル操作に用いられるペダル装置1について説明した。これに対し、本発明は、車両のブレーキ操作に用いられるペダル装置に適用してもよい。
上述した複数の実施形態では、被覆手段6、65の蛇腹の山の形状を3個として形成した。これに対し、本発明は、被覆手段の蛇腹の山の形状の個数について制限はない。山の形状の個数を多くすれば、山の高さが低くなり、足当たり性が向上する。
上述した複数の実施形態では、被覆手段6のハウジング3側の縁部61をハウジング31に形成された溝60に嵌合した。これに対し、本発明は、被覆手段の縁部とハウジングの外壁とを接着、溶着などにより接合してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ・・・ペダル装置
2 ・・・アクセルペダル
3 ・・・ハウジング
4 ・・・スプリング
6、65 ・・・被覆手段
21 ・・・操作部
23 ・・・当接部
35 ・・・開口
36 ・・・ストッパ
71、73、75・・・第1ガイド部材
72、74、76・・・第2ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付け可能なハウジングと、
前記ハウジングの内壁に回転可能に設けられ、前記ハウジングに設けられた開口から前記ハウジングの外側に延びる操作部に運転者の踏力を受けて回転するアクセルペダルと、
運転者の踏込み操作により前記アクセルペダルが回転する方向と反対方向に前記アクセルペダルを付勢するスプリングと、
前記アクセルペダルの外壁に設けられた当接部と、
前記ハウジングに設けられ、前記アクセルペダルの前記当接部に当接することで、前記スプリングが付勢する方向の前記アクセルペダルの回転を制限するストッパと、
前記ハウジングの外壁に設けられ、前記ハウジングの前記開口、前記ストッパ及び前記当接部を覆う被覆手段と、を備えることを特徴とするペダル装置。
【請求項2】
前記被覆手段は、前記アクセルペダルの回転に伴い弾性変形可能な蛇腹状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記ハウジング及び前記アクセルペダルのいずれか一方から前記被覆手段の内側に延び、前記当接部と前記ストッパとの間に前記被覆手段が挟まれることを抑制する第1ガイド部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記ハウジング及び前記アクセルペダルのいずれか他方と前記第1ガイド部材との距離は、前記アクセルペダルが全開位置から全閉位置まで回転するとき、前記ハウジング及び前記アクセルペダルのいずれか他方と前記第1ガイド部材との間に前記被覆手段が挟まれない程度の間隔に形成されることを特徴とする請求項3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記ハウジング及び前記アクセルペダルのいずれか他方から前記被覆手段の内側に延び、前記当接部と前記ストッパとの間に前記被覆手段が挟まれることを抑制する第2ガイド部材を備え、
前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材とは、前記アクセルペダルの回転に対し径方向または軸方向に重なることを特徴とする請求項3または4に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材との距離は、前記アクセルペダルが全開位置から全閉位置まで回転するとき、前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材との間に前記被覆手段が挟まれない程度の間隔に形成されることを特徴とする請求項5に記載のペダル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−82725(P2012−82725A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228117(P2010−228117)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】