説明

ペプチドデホルミラーゼ阻害剤

新規PDF阻害剤およびその新規な使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規な抗菌化合物の使用、およびこれらの化合物をペプチドデホルミラーゼ阻害剤として含有する医薬組成物に関する。
【0002】
(発明の背景)
細菌のイニシエーターであるメチオニルtRNAは、メチオニルtRNAホルミルトランスフェラーゼ(FMT)により修飾されてホルミル−メチオニルtRNAを生成する。ついで、ホルミルメチオニン(f−Met)が新たに合成されたポリペプチドのN−末端に組み込まれる。ついで、ポリペプチドデホルミラーゼ(PDFまたはDef)が一次翻訳産物を脱ホルミル化してN−メチオニルポリペプチドを生成する。大部分の細胞内蛋白はメチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)によりさらに処理されて、成熟ペプチドおよび遊離メチオニンを生じ、遊離メチオニンは再利用される。PDFおよびMAPは共に細菌の増殖に不可欠であり、MAP活性にはPDFが必要である。この一連の反応はメチオニンサイクルと称される(図1)。
【0003】
【化1】


図1 メチオニンサイクル
【0004】
現在に至るまで、ポリペプチドデホルミラーゼ相同遺伝子が細菌、葉緑体含有植物、マウスおよびヒトにおいて見出されている。植物の蛋白は細胞核にてコード化されるが、葉緑体局在化シグナルを担持していると思われる。このことは、葉緑体RNAおよび蛋白の合成工程がユーバクテリア(eubacteria)の工程と極めて類似しているという観察結果と矛盾しない。限定されてはいるが、哺乳類PDF遺伝子相同体の蛋白発現についての情報は存在するものの(Bayer Aktiengesellschaft, 2001/42431)、かかる蛋白の機能的役割は今日に至るまで明らかにされていない(Meinnel, T.、Parasitology Today 16(4)、165-168、2000)。
【0005】
ポリペプチドデホルミラーゼはすべてのユーバクテリアにおいて見出されており、それに関して広範なゲノム配列情報が利用可能である。PDF相同物の間の配列多様性は大きく、関連性の低い配列の間では同一性が20%と低い。しかしながら、活性部位周辺の保存性は非常に高く、活性部位金属を配位するのに必要とされる、1個のシステインおよび2個のヒスチジンを含む、数個の残基が完全に保存されている(Meinnel, T.ら、Journal of Molecular Biology、267、749-761、1997)。
【0006】
PDFは、インビトロでの細菌増殖に不可欠であることが明らかにされており(Mazel, D.ら、EMBO J. 13 (4)、914-923、1994)、真核生物の蛋白合成に関与するとは考えられておらず(Rajagopalanら、J. Am. Chem. Soc. 119, 12418-12419, 1997)、そして原核細胞において普遍的に保存されているため(Kozak, M.、Microbiol. Rev. 47、1-45、1983)、該酵素は魅力的な抗菌標的であると認識されている。それゆえ、PDF阻害剤は潜在的に広域スペクトル抗細菌剤として供することができる。
【0007】
(発明の開示)
本発明は、以下の式(1)により示される新規な抗菌化合物およびそのPDF阻害剤としての使用に関する。
本発明の一の態様において、式(1):
【化2】

(1)
【0008】
[式中:
Rは
2−6アルキル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);C2−6アルケニル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);C2−6アルキニル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);(CH3−6炭素環(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);および(CH−R2からなる群より選択される;ここでR2はフェニル、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、1,4−ベンゾジオキサンまたはベンゾ[1,3]ジオキソールからなる群より選択され、R2はCl、Br、I、C1−3アルキル(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)およびC1−2アルコキシ(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R1はアリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
YはO、CHまたは共有結合であり;および
nは0ないし2の整数である]
で示される化合物あるいはその塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0009】
本発明において、式(1)の化合物の最も好ましい絶対配置を以下に示す。
【化3】

【0010】
本明細書で用いられる「アルキル」なる語は直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基をいう。本明細書にて用いられる「アルキル」として、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、限定されるものではない。
【0011】
本明細書で用いられる「置換アルキル」なる語は、C1−3アルキル(1個ないし3個のフッ素で置換されていてもよい)、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、C1−2アルコキシ(1個ないし3個のフッ素で置換されていてもよい)、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、グアニジノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、カルボキシアミド、ウレイド、ニトロ、シアノおよびハロゲンを含む群より選択される置換基で置換されていてもよい(複数の置換も可能である)直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素鎖をいう。
【0012】
本明細書で用いられる「アルケニル」なる語は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。本明細書中で使用される「アルケニル」として、例えば、エテニルおよびプロペニルが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で用いられる場合、「置換アルケニル」なる語は、所望により、C1−3アルキル(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)、アミノ、アリール、シアノおよびハロゲンからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい(複数の置換も可能である)少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。
【0013】
本明細書で用いられる「アルキニル」なる語は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。本明細書中で使用される「アルキニル」として、例えば、アセチレニルおよび1−プロピニルが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書中で使用される「置換アルキニル」なる語は、所望により、C1−3アルキル(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)、アミノ、アリールおよびハロゲンからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい(複数の置換も可能である)少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。
【0014】
本明細書中で使用される「ハロゲン」なる語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)をいい、「ハロ」とは、ハロゲン基、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
本明細書中で使用される「炭素環」なる語は、3ないし7個の炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素基をいう。5−ないし7−員環を有する炭素環の場合、一つの環二重結合が許容される。代表的な「炭素環」基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを包含するが、これに限定されない。
本明細書中で使用される「置換炭素環」なる語は、3ないし7個の炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素基をいい、かかる基は、所望により、C1−3アルキル(1個ないし3個のFで所望により置換されていてもよい)、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、C1−2アルコキシ(1個ないし3個のFで所望により置換されていてもよい)、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、グアニジノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロサイクリック、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、カルボキシアミド、ニトロ、ウレイド、シアノおよびハロゲンからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい(複数の置換も可能である)。5−ないし7−員環を有する炭素環の場合、一つの環二重結合が許容される。
【0015】
本明細書中で使用される「アリール」なる語は、所望により置換されていてもよいベンゼン環、あるいは一またはそれ以上の所望により置換されていてもよいベンゼン環に縮合して環系を形成する置換されていてもよいベンゼン環をいう。代表的な任意の置換基として、C1−3置換アルキル、C2−3置換アルケニル、C2−3置換アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリック、アリール、C1−3アルコキシ(1個ないし3個のFで所望により置換されていてもよい)、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、カルボキシアミド、アミノカルボニル、カルボキシ、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲンまたはウレイドが挙げられる。複数の置換も可能である。かかる環または環系は、所望により、一またはそれ以上の所望により置換されていてもよいアリール環(ベンゼン環を含む)、炭素環式環または複素環式環に縮合されていてもよい。「アリール」基として、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ビフェニル、インダニル、アントラシルまたはフェナントリル、ならびにその置換誘導体が挙げられるが、これに限定されない。
【0016】
本明細書中で使用される「ヘテロアリール」なる語は、S、SO、SO、O、NまたはN−オキシドより選択される一またはそれ以上のヘテロ原子の置換基を含有する置換されていてもよいモノサイクリック5ないし6員の芳香族環をいい、ヘテロアリール環、アリール環、複素環式環または炭素環式環(例えば、二環式または三環式環系)などの一またはそれ以上の所望により置換されていてもよい環に縮合した芳香族環をいう。任意の置換基の例が、C1−3置換アルキル、C2−3置換アルケニル、C2−3置換アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリック、アリール、C1−3アルコキシ(1個ないし3個のFで所望により置換されていてもよい)、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、カルボキシアミド、アミノカルボニル、カルボキシ、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲンまたはウレイドからなる群より選択される。複数の置換も可能である。本明細書中で使用される「ヘテロアリール」基として、例えば、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾピラジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジニル、ベンゾ[1,4]ジオキサニル、ベンゾフラニル、9H−a−カルボリニル、シンノリニル、2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−b]−ピリジニル、フラニル、フロ[2,3−b]ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾピリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、ナフチリジニル、オキサゾリル、オキソチアジアゾリル、オキサジアゾリル、フタラジニル、ピリジル、ピロリル、プリニル、プテリジニル、フェナジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロピリジニル、ピロリジニル、ピリダジル、ピラジニル、ピリミジル、4−オキソ−1,2−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]−キノリン−4−イル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、キノリジニル、チオフェニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾロピリミジニル、トリアゾピリミジニル、テトラゾリル、チアゾリル、チアゾリジニルおよびその置換変形体が挙げられる。
【0017】
本明細書中で使用される「アルコキシ」なる語は基−ORをいい、ここでRは上記したアルキルである。本発明において有用な代表的アルコキシ基として、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびt−ブトキシが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書中で使用される「アラルコキシ」なる語は基−ORをいい、ここでRは上記したアルキルであり、Rはアリールである。
本明細書中で使用される「アリールオキシ」なる語は基−ORをいい、ここでRは上記したアリールである。
本明細書中で使用される「メルカプト」なる語は基−SHをいう。
本明細書中で使用される「スルファニル」なる語は基−SRをいい、ここでRは上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックである。
【0018】
本明細書中で使用される「スルフィニル」なる語は基−S(O)Rをいい、ここでRは上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「スルホニル」なる語は基−S(O)をいい、ここでRは上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「オキソ」なる語は基=Oをいう。
本明細書中で使用される「ヒドロキシ」なる語は基−OHをいう。
本明細書中で使用される「アミノ」なる語は基−NHをいう。アミノ基は、所望により、上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックで置換されていてもよい。
本明細書中で使用される「シアノ」なる語は基−CNをいう。
【0019】
本明細書中で使用される「アミノスルホニル」なる語は基−S(O)NHをいう。アミノスルホニル基は、所望により、上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックで置換されていてもよい。
本明細書中で使用される「スルホニルアミノ」なる語は基−NHS(O)をいい、ここでRは上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「カルボキシアミド」なる語は基−NHC(O)Rをいい、ここでRは上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「カルボキシ」なる語は基−C(O)OHをいう。カルボキシ基は、所望により、上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックで置換されていてもよい。
本明細書中で使用される「アミノカルボニル」なる語は基−C(O)NHをいう。アミノカルボニル基は、所望により、上記した置換アルキル、置換炭素環、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリックで置換されていてもよい。
【0020】
本明細書中で使用される「ウレイド」なる語は基−NHC(O)NHRをいい、ここでRは上記した水素、アルキル、炭素環またはアリールである。
本明細書中で使用される「グアニジノ」なる語は基−NHC(=NH)NHをいう。
本明細書中で使用される「アシル」なる語は基−C(O)Rをいい、ここでRは上記したアルキル、炭素環またはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「アロイル」なる語は基−C(O)Rをいい、ここでRは上記したアリールである。
本明細書中で使用される「ヘテロアロイル」なる語は基−C(O)Rをいい、ここでRは上記したヘテロアリールである。
本明細書中で使用される「アシルオキシ」なる語は基−OC(O)Rをいい、ここでRは上記したアルキル、炭素環またはヘテロサイクリックである。
本明細書中で使用される「アロイルオキシ」なる語は基−OC(O)Rをいい、ここでRは上記したアリールである。
本明細書中で使用される「ヘテロアロイルオキシ」なる語は基−OC(O)Rをいい、ここでRは上記したヘテロアリールである。
【0021】
医薬上許容される塩および複合体、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩およびトリフルオロ酢酸塩およびナトリウム、カリウムおよびマグネシウム塩もまた本発明に含まれる。本発明の化合物は一またはそれ以上の不斉炭素原子を含有してもよく、ラセミおよび光学活性形態にて存在してもよい。これらの化合物およびジアステレオマーはすべて本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
本発明において有用な好ましい化合物は:
キノリン−8−カルボン酸((R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−8−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
キノリン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイル]アミノ}−メチル)−アミド、
【0023】
7−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
5−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
5−トリフルオロメチル−フラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
3,4−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド、
【0024】
2,3−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド、
[1,8]ナフチリジン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
3−メチル−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド、
ベンゾフラン−2−カルボン酸{[(R)−2−シクロペンチルメチル−3−(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−プロパノイルアミノ]−メチル}−アミド、
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−7,7,7−トリフルオロ−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
からなる群より選択される。
【0025】
一般的合成経路
本発明の化合物およびその製法は以下の合成スキームとの関連でより理解されるであろう。この合成スキームは本発明の化合物を調製することのできる単なる例示であり、添付した特許請求の範囲を限定することを意図とするものではない。
【0026】
本発明は、一般的なラセミ中間体(8)または一般的なキラル中間体(17)および(25)より調製することのできる式(1)の化合物を提供する。
【化4】

(1)
【0027】
【化5】

スキーム1
【0028】
スキーム1に示されるように、中間体(8)は、一置換されたジアルキルマロネート(2)を塩基、例えば水酸化カリウムと、適当な溶媒、例えばエタノール/水中で反応させて一酸(3)を得ることで調製することができる。(3)を、カップリング剤、例えば1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)および塩基、例えば4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中、O−ベンジルヒドロキシルアミンとカップリングさせてアミド(4)を得る。化合物(4)のエステル官能基を還元剤、例えばホウ水素化リチウムを用いて適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、室温にて還元し、アルコール(5)を得る。該アルコール(5)をミツノブ条件下で処理してラクタム(6)を得る。(5)をトリフェニルホスフィン、四塩化炭素および塩基、例えばトリエチルアミンで処理することにより同じ変換操作に付して(6)を得る。ラクタム(6)を、例えばTHF−HO−MeOHなどの適当な溶媒混合液中、水酸化リチウムを用いて加水分解して酸(7)を得る。(7)のアミノ基を、ジクロロメタンなどの溶媒中、ギ酸および無水酢酸を用いてホルミル化に付してホルミル化化合物(8)を得る。
【0029】
ラセミ体を、合成の間のいずれかの中間体のレベルで、あるいは最終生成物のレベルで、例えば、キラルクロマトグラフィー方法を用いて分割し、2つのエナンチオマー形態のいずれかの化合物(8)を得ることができる。
また、スキーム2の(17)またはスキーム3の(25)などの中間体(8)のエナンチオマーは、適当な酸塩化物(9)を、キラル剤、例えばエバンス(Evans)キラルオキサゾリジノンと、塩基、例えばn−ブチルリチウムの存在下で反応させてスキーム2のキラル中間体(10)またはスキーム3の(18)を得ることにより調製することができる。化合物(10)または(18)を、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンと、キレート化剤、例えば四塩化チタンの存在下、テトラヒドロフランなどの溶媒中にて反応させ、つづいてベンジルオキシメチルクロリドなどの求電子物質を添加し、キラル補助基の選択に応じて、2つのキラル化合物(11)または(19)のいずれかを得る。
【0030】
【化6】

スキーム2
【0031】
【化7】

スキーム3
【0032】
化合物(11)または(19)の対応するヒドロキシ酸(13)または(21)への変換は、例えばHおよび水酸化リチウムを用いてキラルオキサゾリジノンの酸化的切断を含む経路に付して個々の中間体(12)または(20)とし、つづいて水素添加分解に付すことにより達成することができる。酸(13)または(21)とベンジルオキシアミンとのカップリング剤、例えばEDCI/DMAPの存在下でのカップリングにより、個々に、アミド(14)または(22)を得る。これらはミツノブ条件またはトリフェニルホスフィン/四塩化炭素/トリエチルアミンの組合せを用いてアゼチジン−2−オン(15)または(23)に環化することができる。アゼチジン−2−オン(15)または(23)を、例えば水酸化リチウムを用いて、適当な溶媒中で加水分解し、各々、対応する酸(16)または(24)を得る。化合物(16)または(24)のホルメート(17)または(25)への変換は、ギ酸/無水酢酸またはギ酸メチルなどの適当なホルミル化剤を用い、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で行うことができる。
【0033】
図4に示されるように、カルボン酸R1COOH(26)をグリシンアミド塩酸塩と、DMAP/EDCIまたはEDCI/HOAt/NMMなどの条件を用いてカップリングさせてN−カルバモイルメチルアミド(27)を得る。(27)を[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]−ベンゼン(PIFA)を用いて溶媒、例えばアセトニトリルおよび水などの混合液中で転位させ、つづいて塩酸などの酸と反応させ、その対応する塩としてのN−アミノメチルアミド(28)を得る。(28)を酸(8)とDMAP/EDCIまたはEDCI/HOAt/NMMなどの条件を用いてカップリングさせて(29)を得、それをエタノールなどの適当な溶媒中10%Pd/Cなどの触媒を用いて水素添加することで脱ベンジル化し、所望の化合物(1)を得ることができる。同様に、キラル酸(17)または(25)を(28)とカップリングさせて対応する生成物(30)または(31)を得る。ベンジル基を水素添加分解に付し、最終の所望の化合物(32)または(33)を得る。
【0034】
【化8】

スキーム4
【0035】
合成例
以下の実施例を用いて本発明を説明する。かかる実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
これらの工程、スキームおよび実施例にて使用される符号および取り決めは、最新の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Society またはthe Journal of Biological Chemistryに使用されるものと矛盾するものではない。標準的な一文字または三文字標記は一般にアミノ酸残基を指定するのに用いられ、特記しない限り、L−配置であると仮定される。特記しない限り、すべての出発物質は市販源より入手可能であり、さらに精製することなく用いた。
【0036】
Hz(ヘルツ);TLC(薄層クロマトグラフィー);Tr(保持時間);RP(逆相);
MeOH(メタノール);i−PrOH(イソプロパノール);EtOH(エタノール);
TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);AcOEtまたはEtOAc(酢酸エチル);
DCM(ジクロロメタン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);HOAc(酢酸);HOSu(N−ヒドロキシスクシンイミド);Ac(アセチル);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);mCPBA(メタ−クロロ過安息香酸);FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);NMM(N−メチルモルホリン);HOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);Bn(ベンジル);TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィニッククロリド);EDCI(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩);
HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);PIFA([ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]−ベンゼン)
【0037】
エーテルはジエチルエーテルをいい;ブラインはNaClの飽和水溶液をいう。特記しない限り、温度は℃(摂氏温度)で表す。反応はすべて、特記しない限り、不活性雰囲気下の室温で行う。溶媒はすべて、特記しない限り、利用可能な最高の純度である。
H NMR(以下、「NMR」ともいう)スペクトルは、Varian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置、Brucker AVANCE-400、General Electric QE-300またはBruker AM400スペクトロメーターに記録した。化学シフトは百万分の部分で表す(ppm、δユニット)。カップリング定数はヘルツの単位(Hz)である。スプリッティングパターンは見かけの多重度を記載し、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quint(五重線)、m(多重線)、br(ブロード)として表される。
【0038】
マススペクトルは電子噴射イオン化法を用いるオープンアクセスのLC−MSシステムで行った。LC条件:3.2分で4.5%から90%までのCHCN(0.02%TFA) 0.4分の保留および1.4分の再平衡; MS、UVによる214nmでの検出、および光散乱検出器(ELS)。カラム1x40mmアクアジル(C18)。
分取性(prep)HPLC;約50mgの最終生成物を50x20mmのI.D.のYMC CombiPrepODS−Aカラム上の500μLのDMSOに、20mL/分で、10%CHCN(0.1%TFA)/HO(0.1%TFA)から90%CHCN(0.1%TFA)/HO(0.1%TFA)の10分間の勾配で注入し、2分間保留した。フラッシュクロマトグラフィーをメルクシリカゲル60(230−400メッシュ)で行った。
赤外線(IR)スペクトルを1mmNaClセルを用いるニコレット510FT−IRスペクトロメーターで得た。反応の大部分を0.25mmのイー・メルクシリカゲルプレート(60F−254)の薄層クロマトグラフィーでモノターし、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸またはp−アニスアルデヒド溶液で可視化させた。
【0039】
以下の合成経路は本発明の化合物を調製しうる方法の単なる例示であり、添付した特許請求の範囲にて特定される発明を限定するものではない。
実施例2ないし32に開示されている化合物は実施例1に記載の一般的操作に従って調製された。実施例34ないし47に開示の化合物は実施例33に記載されている一般的操作に従って調製された。
【0040】
調製例1
(4S)−ベンジル−3−ヘプタノイル−オキサゾリジン−2−オン
(S)−(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(3.3g、18.6ミリモル)の−78℃でのTHF(50mL)中溶液に、n−BuLi(7.4mL、ヘキサン中2.5M溶液、18.6ミリモル)を滴下した。同温度で30分間攪拌した後、反応混合物を塩化ヘプタノイル(2.76g、18.6ミリモル)で処理した。その反応混合物を攪拌し、放置して5時間にわたって10℃にまで加温し、ついで飽和水性NHCl溶液(100mL)でクエンチした。水層をEtOAc(100mLx2)で抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.37−7.22(m,5H)、4.69(m,1H)、4.19(m,2H)、3.31(dd,J=13.4、3.3Hz,1H)、2.95(m,2H)、2.79(dd,J=13.4、9.7Hz,1H)、1.71(m,2H)、1.42−1.32(m,6H)、0.92(t,J=6.8Hz,3H)。MH+ 290。
【0041】
調製例2
(4S)−ベンジル−3−[(2R)−ベンジルオキシメチルヘプタノイル]オキサゾリジン−2−オン
(S)−4−ベンジル−3−ヘプタノイルオキサゾリジン−2−オン(4.63g、16.02ミリモル)および塩化チタン(IV)(1.9mL、16.82ミリモル)の0℃でのジクロロメタン(55mL)中溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(3.1mL、17.62ミリモル)を滴下した。0℃で1時間攪拌した後、得られたチタンエノラートをベンジルクロロメチルエーテル(TCI−アメリカ、4.9mL、32.04ミリモル)と0℃にて6時間反応させた。ついで、反応混合物を水(100mL)でクエンチした。水層をジクロロメタン(100mLx2)で抽出した。有機抽出液をブラインで洗浄してMgSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、ヘキサン/EtOAc(5:1)の溶出系を用いるフラッシュクロマトグラフィーに付して精製して標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.38−7.21(m,10H)、4.74(m,1H)、4.57(m,2H)、4.28−4.13(m,3H)、3.82(t,J=8.7Hz,1H)、3.68(dd,J=9.0、4.9Hz,1H)、3.25(dd,J=13.5、3.1Hz,1H)、2.71(dd,J=13.5、9.3Hz,1H)、1.74(m,1H)、1.54(m,1H)、1.31−1.28(m,6H)、0.89(t,J=6.7Hz,3H)。MH+ 410。
【0042】
調製例3
(3R)−ベンジルオキシ−2−ペンチルプロピオン酸
(S)−4−ベンジル−3−[(R)−2−ベンジルオキシメチルヘプタノイル]オキサゾリジン−2−オン(2.0g、4.89ミリモル)のTHFおよびHOの3:1混合液中0.05M溶液を0℃にて30%H(4.5mL、39.12ミリモル)で、つづいてLiOH(0.48g、9.78ミリモル)で処理した。得られた混合物を攪拌し、放置して一夜室温にまで加温した。ついで、減圧下にてTHFを除去した。残渣をジクロロメタン(50mLx2)で洗浄し、(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オンを除去した。所望の生成物を酸性化された(pH1〜2)水層をEtOAcで抽出することで単離した。さらなる精製は不要であった。高真空下で放置して標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CHCl)δ11.1(brs,1H)、7.36(m,5H)、4.57(s,2H)、3.69(m,1H)、3.58(dd,J=9.2、5.2Hz,1H)、2.74(m,1H)、1.66(m,1H)、1.54(m,1H)、1.34−1.30(m,6H)、0.90(t,J=6.7Hz,3H)。MH+ 251。
【0043】
調製例4
3−ヒドロキシ−(2R)−ペンチルプロピオン酸
(R)−3−ベンジルオキシ−2−ペンチル−プロピオン酸(1.54g、6.16ミリモル)のEtOH(100mL)中溶液に、10%Pd/C(310mg)を添加した。反応混合物を室温にて一夜にわたって水素添加に付した。反応完了後、反応混合物をセライト床を介して濾過し、EtOH(50mLx3)で洗浄した。溶媒を除去して標記化合物を得た。さらに精製する必要はなかった。H NMR(400MHz、CHCl)δ6.30(brs,1H)、3.81(d,J=5.4Hz,2H)、2.64(m,1H)、1.69(m,1H)、1.56(m,1H)、1.41−1.27(m,6H)、0.91(t,J=7.7Hz,3H)。MH+ 161。
【0044】
調製例5
N−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−(2R)−ペンチルプロピオンアミド
(R)−3−ヒドロキシ−2−ペンチルプロピオン酸(0.92g、5.75ミリモル)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.92g、5.75ミリモル)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.41g、11.50ミリモル)の0℃でのジクロロメタン(25mL)中混合物に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.11g、5.75ミリモル)を添加した。室温で一夜攪拌した後、該反応物を1N水性HCl溶液(25mL)でクエンチし、ジクロロメタン(25mLx2)を用いて抽出した。有機抽出液を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去して標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CHCl)δ9.22(brs,1H)、7.41−7.28(m,5H)、4.89(q,J=10.6Hz,2H)、3.70−3.37(m,3H)、2.17(m,1H)、 1.54(brs,1H)、1.27(m,6H)、0.88(t,J=6.9Hz,3H)。MH+ 266。
【0045】
調製例6
1−ベンジルオキシ−(3R)−ペンチル−アゼチジン−2−オン
(R)−N−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−2−ペンチルプロピオンアミド(1.41g、5.32ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(1.68g、6.39ミリモル)のTHF(53mL)中混合物に、0℃にてジエチルアゾジカルボキシレート(1.1mL、6.39ミリモル)を滴下した。反応混合物を攪拌し、放置して一夜にて室温にまで加温した。ついで、該反応物を水(50mL)でクエンチした。水層をEtOAc(50mLx2)で抽出した。合した有機層をブラインで洗浄してMgSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 5/1)に付して精製し、標記化合物を得た。1H NMR(400MHz、CHCl)δ 7.35−7.25(m,5H)、4.87(s,2H)、3.28(t,J=4.85Hx、1H)、2.84(q,J=2.35Hz,1H)、2.77(m,1H)、1.62(m,1H)、1.36(m,1H)、1.25−1.16(m,6H)、0.88(t,J=6.9Hz,3H)。MH+ 248。
【0046】
調製例7
3−ベンジルオキシアミノ−(2R)−ペンチルプロピオン酸
(R)−1−ベンジルオキシ−3−ペンチルアゼチジン−2−オン(0.96g、3.89ミリモル)のTHF−HO−MeOH(50mL、3:1:1 v/v)中混合物に、水酸化リチウム・一水和物(1.91g、38.9ミリモル)を添加した。室温で一夜攪拌した後、水(25mL)を該混合物に添加した。3NHCl溶液で該混合物をpH5〜6の酸性にした。それをEtOAc(50mLx2)で抽出した。合した有機層をMgSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CHCl)δ 9.80(brs,1H)、7.37(m,5H)、4.75(m,2H)、3.14(m,2H)、2.74(m,1H)、1.70(m,1H)、1.53(m,1H)、1.38−1.25(m,6H)、0.91(t,J=6.8Hz,3H)。MH+ 266。
【0047】
調製例8
(2R)−[(ベンジルオキシホルミルアミノ)メチル]ヘプタン酸
(R)−3−ベンジルオキシアミノ−2−ペンチルプロピオン酸(1.03g、3.89ミリモル)の0℃でのHCOH(19mL)およびジクロロメタン(19mL)中混合物に、無水酢酸(3.9mL、41.2ミリモル)を添加した。該混合物を0℃で3時間攪拌した。減圧下で蒸発させることで揮発成分を除去した。ジクロロメタン(50mL)を該混合物に添加した。ブライン(50mLx2)で洗浄してMgSO上で乾燥させた。減圧下で濾過し、蒸発させて標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CHCl)δ 8.07(brs,1H)、7.29(m,5H)、4.91−4.71(m,2H)、3.76(m,2H)、2.67(m,1H)、 1.54(m,1H)、1.41(m,1H)、1.20(m,6H)、0.80(t,J=7.0Hz,3H)。MH+ 294。
【0048】
調製例9
N−カルバモイルメチル−キノリン−8−カルボキシアミド
キノリン−8−カルボン酸(3.45ミリモル)、グリシンアミド塩酸塩(3.45ミリモル)、NMM(41.43ミリモル)およびHOAt(4.14ミリモル)の室温でのDMF(17mL)中混合物に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(4.14ミリモル)を添加した。室温で一夜攪拌した後、反応混合物をHPLCで精製し、標記化合物を白色固体として得た。MH+ 230。
【0049】
調製例10
N−アミノメチル−キノリン−8−カルボキシアミド塩酸塩
PIFA(0.60ミリモル)をアセトニトリル(1.5mL)に溶かした。この溶液に、脱イオン水(1.5mL)を添加した。最後に、N−カルバモイルメチル−キノリン−8−カルボキシアミド(0.60ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で一夜攪拌した。その反応混合物を1N HCl(15mL)で希釈し、エーテル(20mLx2)で2回洗浄した。水層を減圧下で濃縮した。得られた残渣(白色固体)を次工程に直接使用した。
【0050】
調製例11
キノリン−8−カルボン酸((R)−2−[(ホルミル−ベンジルオキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
(R)−2−[(ベンジルオキシホルミル−アミノ)メチル]ヘプタン酸(0.535ミリモル)、N−アミノメチル−キノリン−8−カルボキシアミド塩酸塩(0.535ミリモル)、NMM(5.35ミリモル)およびHOAt(0.642ミリモル)の室温でのDMF(6mL)中混合物に、1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.642ミリモル)を添加した。室温で一夜攪拌した後、該反応混合物をHPLCで精製して標記化合物を白色固体として得た。MH+ 477。
【0051】
実施例1
キノリン−8−カルボン酸((R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
キノリン−8−カルボン酸((R)−2−[(ホルミル−ベンジルオキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド(0.260ミリモル)のEtOH(10mL)中溶液に、10%Pd/C(22mg)を加えた。反応混合物を室温にて一夜水素添加に付した。ついで反応混合物をセライト床を介して濾過し、EtOH(10mLx2)で洗浄した。溶媒を除去して粗生成物を得、それをさらにHPLCにより精製し、標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CDOD)δ 9.03(d,1H,J=4.2Hz)、8.70(d,1H,J=7.3Hz)、8.48(d,1H,J=8.2Hz)、8.16(d,1H,J=8.2Hz)、7.88(s,1H)、7.74(t,1H,J=7.7Hz)、7.64(dd,1H,J=8.2、4.2Hz)、4.99(ab quart,2H)、3.80−3.33(m,2H)、2.85(m,1H)、1.55(m,1H)、1.45(m,1H)、1.30−1.10(m,6H)、0.64(t,3H,J=7.2Hz)。MH+ 387。
【0052】
実施例2
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−8−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
分取HPLCでの精製に付して標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.89(s,1H)、7.26(d,1H,J=8.0Hz)、6.98(d,1H,J=7.1Hz)、6.44(t,1H,J=7.44Hz)、4.70(ab quart,2H)、3.80−3.35(m,2H)、3.35(m,2H)、2.82(m,1H)、2.77(t,2H,J=6.33Hz)、1.88(m,2H)、1.60−1.21(m,8H)、0.85(t,3H)。MH+ 391。
【0053】
実施例3
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
分取HPLCでの精製に付して標記化合物を得た。H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.89(s,1H)、7.74(d,1H,J=7.8Hz)、7.60(d,1H,J=8.4Hz)、7.54(s,1H)、7.48(t,1H)、7.34(t,1H)、4.79(ab quart,2H)、3.89−3.40(m,2H)、2.86(m,1H)、1.50(m,1H)、1.35(m,1H)、1.30(m,6H)、0.78(t,3H)。MH+ 376。
【0054】
実施例4
キノリン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.95(d,1H,J=2.9Hz)、8.50(m,1H)、8.19(dd,1H,J=8.9、2.0Hz)、8.11(d,1H,J=8.9Hz)、7.91(s,1H)、7.64(dd,1H,J=8.3、4.2Hz)、4.83(ab quart,2H)、3.87−3.30(m,2H)、2.89(m,1H)、1.57(m,1H)、1.45(m,1H)、1.31−1.23(m,6H)、0.80(t,3H,J=6.8Hz)。MH+ 387。
【0055】
実施例5
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
MH+ 391。
【0056】
実施例6
2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイル]アミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.36(m,2H)、6.89(d,1H,J=8.4Hz)、4.73(ab quart,2H,J=10.8、3.7Hz)、4.28(m,4H)、3.80−3.41(m,2H)、2.82(m,1H)、1.54(m,1H)、1.44(m,1H)、1.24(m,6H)、0.85(brt,3H)。MH+ 394。
【0057】
実施例7
7−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.89(s,1H)、7.51(s,1H)、7.27(m,2H)、7.03(d,1H,J=7.5Hz)、4.78(ab quart,2H)、4.01(s,3H)、3.75(m,2H)、2.85(m,1H)、1.55(m,1H)、1.44(m,1H)、1.27(m,6H)、0.77(t,3H,J=6.2Hz). MH+ 406。
【0058】
実施例8
5−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.89(s,1H)、7.49(d,1H,J=2.2Hz)、7.48(s,1H)、7.22(d,1H,J=2.5Hz)、7.07(dd,1H,J=9.2、2.6Hz)、4.81(ab quart,2H)、3.85(s,3H)、3.71(m,2H)、2.84(m,1H)、1.55(m,1H)、1.44(m,1H)、1.28(m,6H)、0.79(t,3H,J=7.0Hz)。MH+ 406。
【0059】
実施例9
3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.46(s,1H)、7.43(d,1H,J=8.3Hz)、7.00(d,1H,J=8.3Hz)、4.73(ab quart,2H)、4.24(m,4H)、3.75(m,2H)、2.83(m,1H)、2.21(t,2H)、1.55(m,1H)、1.45(m,1H)、1.27(m,6H)、0.84(brt,3H)。MH+ 408。
【0060】
実施例10
5−トリフルオロメチル−フラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.87(s,1H)、7.26(d,1H,J=3.8Hz)、7.16(d,1H,J=3.8Hz)、4.75(m,2H)、3.76(m,2H)、2.84(m,1H)、1.55(m,1H)、1.44(m,1H)、1.27(m,6H)、0.84(t,3H,J=6.5Hz)。MH+ 394。
【0061】
実施例11
3,4−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.87(s,1H)、7.81(m,1H)、7.79(m,1H)、7.41(m,1H)、4.74(ab quart,2H)、3.77(m,2H)、2.85(m,1H)、1.55(m,1H)、1.44(m,1H)、1.28(m,6H)、0.84(t,3H,J=6.8Hz)。MH+ 372。
【0062】
実施例12
2,3−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.48(m,2H)、7.27(m,1H)、4.75(ab quart,2H)、3.75(m,2H)、2.86(m,1H)、1.55(m,1H)、1.44(m,1H)、1.26(m,6H)、0.87(t,3H,J=6.5Hz)。MH+ 372。
【0063】
実施例13
[1,8]ナフチリジン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 9.18(brs,1H)、8.64(d,1H,J=8.3Hz)、8.57(d,1H,J=8.0Hz)、8.37(d,1H、J= 8.3Hz)、7.77(m,1H)、4.85(ab quart,2H)、3.76(m,2H)、2.84(m,1H)、1.55(m,1H)、1.45(m,1H)、1.25(m,6H)、0.73(t,3H,J=6.9Hz)。MH+ 388。
【0064】
実施例14
3−メチル−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.89(s,1H)、7.67(t,1H,J=7.5Hz)、7.52(d,1H,J=7.8Hz)、7.46(brs,1H,J=7.2Hz)、7.32(brs,1H,J=7.2Hz)、4.78(ab quart,2H)、3.70(m,2H)、2.85(m,1H)、2.59(s,3H)、1.55(m,1H)、1.46(m,1H)、1.26(m,6H)、0.76(brt,3H)。MH+ 390。
【0065】
実施例15
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.44(d,1H,J=8.2Hz)、7.32(s,1H)、6.89(d,1H,J=8.2Hz)、6.05(s,2H)、4.73(ab quart,2H)、3.76(m,2H)、2.85(m,1H)、1.55(m,1H)、1.46(m,1H)、1.27(m,6H)、0.86(t,3H,J=6.4Hz)。MH+ 380。
【0066】
実施例16
ベンゾフラン−2−カルボン酸{[(R)−2−シクロペンチルメチル−3−(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−プロパノイルアミノ]−メチル}−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.74(d,1H,J=7.8Hz)、7.60(d,1H,J=8.4Hz)、7.54(s,1H)、7.48(t,1H,J=7.5Hz)、7.34(t,1H,J=7.5Hz)、4.79(ab quart,2H)、3.89(m,2H)、2.86(m,1H)、1.85−1.37(m,11H)、0.78(m,3H)。MH+ 388。
【0067】
実施例17
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−7,7,7−トリフルオロ−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.88(s,1H)、7.74(d,1H,J=7.8Hz)、7.60(d,1H,J=8.4Hz)、7.54(s,1H)、7.48(t,1H,J=7.5Hz)、7.34(t,1H,J=7.5Hz)、4.79(ab quart,2H)、3.88(m,2H)、2.78(m,1H)、1.95(m,2H)、1.50−1.21(m,6H)。MH+ 430。
【0068】
組成物、投与および生物学的アッセイ
式(1)で示される化合物およびその医薬上許容される塩は、抗生物質に関する標準的な方法で、例えば、経口投与、非経口投与、舌下投与、皮膚から、経皮的に、直腸から、吸入によりあるいは頬側から投与することができる。
経口投与された場合に活性である、式(1)で示される化合物およびその医薬上許容される塩は、シロップ、錠剤、カプセル、クリームおよびロゼンジとして処方することができる。一般には、シロップ処方は、フレーバーまたは着色剤を含有する、液体担体、例えば、エタノール、ピーナッツ油、オリーブ油、グリセリンまたは水中の化合物または塩の溶液からなるであろう。組成物が錠剤形態である場合、固体処方の調製に常用されるいずれの医薬担体を用いてもよい。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびシュークロースが挙げられる。組成物がカプセル形態である場合、いずれの慣用的なカプセル化法も適しており、例えば、上記担体をハードゼラチンカプセル殻中に用いる。組成物がソフトゼラチン殻カプセル形態である場合、分散液または懸濁液を調製するために常用されるいずれの医薬担体、例えば、水性ガム、セルロース、シリケートまたは油が考えられ、ソフトゼラチンカプセル殻中に含まれる。
【0069】
典型的な非経口用組成物は、非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油を含有していてもよい、滅菌水性または非水性担体中の化合物または塩の溶液または懸濁液からなる。
典型的な吸入用組成物は、慣用的な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンを用いて、乾燥粉末として、またはエアロゾルの形態にて投与することができる溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態である。
典型的な坐薬処方は、結合剤および/または滑沢剤、例えば、高分子グリコール、ゼラチン、カカオ脂または他の低融点植物性ワックスあるいは油脂またはその合成アナログと一緒に、このようにして投与された場合に活性である、式(1)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む。
【0070】
典型的な皮膚および経皮用処方は、慣用的な水性または非水性ビヒクル、例えば、クリーム、軟膏、ローションまたはペーストを含むか、あるいは薬用プラスター、パッチまたは膜の形態である。
好ましくは、組成物は、患者が単回用量にて投与することができるように、単位投与形態、例えば、錠剤、カプセルまたは計量エアロゾルである。
経口投与用の各々の単位投与量は、適当には、0.1mg〜500mg/kg、好ましくは1mg〜100mg/kgを含有し、非経口投与用の各々の単位投与量は、適当には、0.1mg〜100mg/kgの式(1)で示される化合物または遊離酸として計算したその医薬上許容される塩を含有する。鼻腔内投与用の各々の単位投与量は、適当には、1人あたり1〜400mg、好ましくは10〜200mgを含有する。局所処方は、適当には、0.01〜5.0%の式(1)で示される化合物を含有する。
【0071】
経口投与の日用量は、適当には、約0.01mg/kg〜40mg/kgの式(1)で示される化合物または遊離酸として計算したその医薬上許容される塩である。非経口投与用の日用量は、適当には、約0.001mg/kg〜40mg/kgの式(1)で示される化合物または遊離酸として計算したその医薬上許容される塩である。鼻腔内投与および経口吸入用の日用量は、適当には、約10〜約500mg/人である。所望の活性を示すのに十分な活性成分を1日1〜6回投与してもよい。
本発明の化合物を本発明に従って投与する場合、許容されない毒物学的効果は予想されない。
【0072】
式(1)で示される化合物の生物学的活性を以下の試験により示す:
生物学的アッセイ:
Lazennec&Meinnelにより開発された連続酵素結合アッセイ(「Formate dehydrogenase-coupled spectrophotometric assay of peptide deformylase」、Anal. Biochem. 1997、244、pp.180-182)を少し変形して用いてエス・アウレウス(S. aureus)またはイー・コリ(E. coli)のPDF活性を25℃で測定する。反応混合物は50μl中に50mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.6)、15mMのNAD、0.25Uのギ酸デヒドロゲナーゼを含む。基質ペプチド、f−Met−Ala−SerがK濃度にて含まれる。10nMのDef1酵素を添加して反応を作動させ、340nmの吸光度を20分間モニターする。
【0073】
抗微生物活性のアッセイ:
National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)が推奨する方法、Document M7-A4, 「Methods for Dilution Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically」(出典明示により本明細書の一部とする)を用いるブロスのマイクロダイリューション(microdilution)により全−細胞抗微生物活性を測定した。化合物を0.06から64mcg/mlの範囲で2倍連続希釈して試験した。アッセイにおいて12株のパネルを評価した。このパネルは下記の研究室株からなっていた:Staphylococcus aureus Oxford、Staphylococcus aureus WCUH29、Enterococcus faecalis I、Enterococcus faecalis 7、Haemophilus influenzae Q1、Haemophilus influenzae NEMC1、Moraxella catarrhalis 1502、Streptococcus pneumoniae 1629、Streptococcus pneumoniae N1387、Streptococcus pneumoniae N1387、E. coli 7623(AcrABEFD+)およびE. coli 120(AcrAB-)。肉眼で見た場合に増殖を抑制した化合物の最小濃度として最小阻害濃度(MIC)を決定した。ミラーリーダー(mirror reader)を用いてMIC終点の決定をアシストした。
【0074】
限定するものではないが、本明細書に引用された特許および特許出願を含むすべての刊行物は、出典明示により本明細書の一部とする。
上記記載は、その好ましい実施形態を含め、本発明を完全に開示する。本明細書に特記される実施形態の修飾および改善は、特許請求の範囲内に含まれる。当業者は、さらに工夫することなく、上記記載を用いて、本発明を最大限利用することができる。したがって、本明細書の実施例は、単なる説明として解釈されるべきであり、いかなる点においても本発明の範囲を限定するものではない。排他的権利または特権を請求する本発明の実施態様を以下に限定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(1)
[式中:
Rは
2−6アルキル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);C2−6アルケニル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);C2−6アルキニル(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);(CH3−6炭素環(アルコキシ、ハロゲンまたはC1−3アルキルスルファニルにより置換されていてもよい);および(CH−R2からなる群より選択される;ここでR2はフェニル、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、1,4−ベンゾジオキサンまたはベンゾ[1,3]ジオキソールからなる群より選択され、R2はCl、Br、I、C1−3アルキル(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)およびC1−2アルコキシ(1個ないし3個のFで置換されていてもよい)より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R1はアリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
YはO、CHまたは共有結合であり;および
nは0ないし2の整数である]
で示される化合物あるいはその塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体。
【請求項2】
以下の絶対配置:
【化2】

を有する請求項1記載の化合物あるいはその塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体。
【請求項3】
キノリン−8−カルボン酸((R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−8−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
キノリン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−カルボン酸 ({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイル]アミノ}−メチル)−アミド
7−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
5−メトキシ−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
5−トリフルオロメチル−フラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
3,4−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド
2,3−ジフルオロ−N−({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−ベンズアミド
[1,8]ナフチリジン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
3−メチル−ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸({(R)−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
ベンゾフラン−2−カルボン酸{[(R)−2−シクロペンチルメチル−3−(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−プロパノイルアミノ]−メチル}−アミド
ベンゾフラン−2−カルボン酸({(R)−7,7,7−トリフルオロ−2−[(ホルミル−ヒドロキシ−アミノ)−メチル]−ヘプタノイルアミノ}−メチル)−アミド
からなる群より選択される請求項3記載の化合物。
【請求項4】
細菌感染の治療法であって、その治療を必要とする対象に請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−516120(P2006−516120A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558725(P2004−558725)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039528
【国際公開番号】WO2004/052919
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】