説明

ペースト状接着剤及びこの接着剤を用いた電子部品内蔵基板の製造方法

【課題】本発明の目的は、耐リフロー性に優れた電子部品内蔵基板を提供し得る、ペースト状接着剤を提供すること。
【解決手段】電子部品基板に電子部品を搭載するために使用する接着剤であって、
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物(A)と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物(B)と、酸無水物硬化剤(C)と、無機フィラー(D)とを含有する、接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵基板に電子部品を接着するために好適に用いられるペースト状接着剤、及びこの接着剤を用いた電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の小型化や複雑化が進み電子部品の基板に対する高密度実装の要請が高まっており、電子部品を基板内部に内蔵(「埋め込み」ともいう。)した電子部品内蔵型多層基板(以下、「電子部品内蔵基板」ともいう。)が注目されている。従来、電子部品を基板内部に埋め込む方法としては、基板に電子部品を接着・接合後、封止樹脂で封止を行い、その後表面を平坦化した後に貫通電極等を形成し、更に他の基板と積層する方法が用いられていた。
例えば特許文献1には、銅張りガラスエポキシ基板の下層銅配線に接着剤で接続された半導体チップ等の電子部品と、当該電子部品を封止するために形成された絶縁層とを備えた電子部品内蔵配線板が記載されており、接着剤は、導電接着フィルムが用いられている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、複数の金属板が樹脂層を介して積層された基板の金属コアに設けた収容部に部品を配置した部品内蔵型多層基板が記載されており、接着剤を用いて電子部品を収容部に配置した後、絶縁樹脂を充填して封止する旨が記載されている。
上記文献1及び2には、電子部品を接着する接着剤について詳しく記載されていないが、従来公知の接着剤を用いると、特にリフロー炉を通した際に電子部品とその被着体との間で剥離が起こってしまう問題が懸念される。また、いずれの技術も、電子部品を接着するために接着剤を用いる工程とは別に、封止のための樹脂を充填する工程を必要とする点で、工程が複雑になっていた。
【0004】
一方、電子部品内蔵用基板とは異なる一般的な基板用接着剤ではあるが、リフロー時の剥離の問題を解決するための接着剤が提案されている。
例えば特許文献3には、半導体素子を配線基板に接着するための接着フィルムであって、飽和吸湿率が1.0体積%以下のものが、リフロー時の剥離を防止し信頼性の高い半導体を製造しうる旨記載されており、接着フィルムを構成する材料としてエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、ポリイミド樹脂については詳しい組成も開示されている。
また、特許文献4には、半導体素子を配線基板に接着するための接着フィルムで、250℃での弾性率が10MPa以下であると、リフロークラックが防止できる旨が記載されている。接着フィルムを構成する材料として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられており、ポリイミド樹脂が好ましい旨記載されている。実施例では、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂の混合物が用いられている。
しかし、接着フィルムの場合、電子部品内蔵基板の小型化や複雑化に追従するのが困難であった。加えて、電子部品内蔵基板の製造においては、所望のエリアに接着ペーストを所望量塗布して部品を接着することの要望が高まっているところ、ポリイミド樹脂では、ペースト状とするのが困難であり電子部品内蔵基板に適用するのが困難であるという問題があった。
【0005】
一方、硬化物の弾性率が小さい半導体用樹脂ペーストを得ることを目的として、特許文献5には、長鎖脂環式エポキシ樹脂と、フェノール化合物と、低応力剤が配合された半導体用樹脂ペーストが開示されている。しかしながら、特許文献5に記載の組成では、弾性率の低下が十分ではなくリフロー試験においてクラックが生じるという問題があった。
【0006】
一方、特許文献6には、ヒートサイクル試験下でのクラックが生じにくいエポキシ樹脂組成物として、特定の複数種の脂環式エポキシ及び水素化エポキシ樹脂を配合した組成物が記載されている。また、前記樹脂組成物の硬化物について、ガラス転移温度が130〜185℃程度であり、吸水率が0.7〜1.1の組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献6に記載の組成物は、製造時に芳香族エポキシ樹脂を96%以上も核水素化する工程が必要となる。また、前記組成物の硬化物は、ガラス転移温度が高いために、リフロー温度において発生する応力が大きいという問題があった。このような組成物を半導体と基板を接着する接着剤に用いると、リフロー時にクラックが発生する問題があった。
【特許文献1】特開2003−234439号公報
【特許文献2】特開2005−311249号公報
【特許文献3】特許第3117971号公報
【特許文献4】特開2000−200793号公報
【特許文献5】特開2002−064111号公報
【特許文献6】特開2008−101171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電子部品内蔵基板に適用することができ、かつ優れた耐リフロー性を有するペースト状接着剤を提供することである。さらに本発明の他の目的は、耐リフロー性に優れた電子部品内蔵基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、肪族環状骨格を有するエポキシ化合物と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、無機フィラーとを含有させることによって、電子部品内蔵基板の製造に適用することができ、かつ優れた耐リフロー性を有する接着剤が得られ、従来の問題を一挙に解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1] 電子部品基板に電子部品を搭載するために使用する接着剤であって、
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物(A)と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物(B)と、酸無水物硬化剤(C)と、無機フィラー(D)とを含有する、電子部品用熱硬化性接着剤、
[2] 脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物が、2〜6量体のエポキシオリゴマーである前記[1]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[3] 脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物が、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アダマンタン型エポキシ化合物、水添ビスA型エポキシ化合物、水添ビスF型エポキシ化合物、水添ビフェニル型エポキシ化合物、シクロペンタン型エポキシ化合物、シクロヘキサン型エポキシ化合物、シクロヘプタン型エポキシ化合物及びシクロオクタン型エポキシ化合物から選択される1以上である前記[1]又は[2]に記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[4] シクロヘキサン型エポキシ化合物が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキサレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピペレートから選択される1以上である前記[3]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[5] 単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物が、単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物、単官能でかつ置換基を有していてもよいナフタレン環を有するエポキシ化合物及び単官能でかつ置換基を有していてもよいアントラセン環を有するエポキシ化合物から選択される1以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[6] 単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物が、置換基を有していてもよいアルキルフェノール型エポキシ化合物である前記[5]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[7] 置換基を有していてもよいアルキルフェノール型エポキシ化合物が、メチルフェノール型単官能エポキシ化合物、p−secブチルフェノール型単官能エポキシ化合物又はp−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物である前記[6]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[8] メチルフェノール型単官能エポキシ化合物が、メチルフェニルグリシジルエーテルである前記[7]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[9] p−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物が、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルである前記[7]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[10]酸無水物硬化剤が、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[11]無機フィラーが、表面にフェニル基を有する球状シリカである前記[1]〜[10]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[12]さらに、硬化促進剤を含有することを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[13]硬化促進剤が、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール又は2−メチルイミダゾールである前記[12]記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[14]電子部品基板に電子部品を搭載するために使用する接着剤であって、
水添ビスフェノールA型エポキシ化合物及び/又は水添ビスフェノールF型エポキシ化合物の2〜6量体のエポキシオリゴマーと、
メチルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル及びp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルから選択される1以上のグリシジルエーテルと、
トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸及び/又は3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物と、
表面にフェニル基を有する球状シリカとを含有する、電子部品用熱硬化性接着剤、
[15]さらに、エポキシ変性ニトリルゴム及びレゾルシノール型エポキシ化合物を含有することを特徴とする前記[1]〜[14]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[16]粘度が、1Pa・s以上50Pa・s以下である前記[1]〜[15]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤、
[17]前記[1]〜[16]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を硬化させて得られる硬化物、
[18]ガラス転移温度が60℃以上130℃未満である前記[17]記載の硬化物、
[19][工程a1]壁部が絶縁樹脂からなるキャビティが形成された電子部品基板に、前記[1]〜[16]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、
[工程a2]工程a1で得られる電子部品が搭載された基板上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、
[工程a3]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて電子部品及び基板を封止する工程と、
を有することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法、及び
[20][工程b1]電子部品基板に、前記[1]〜[16]のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、
[工程b2]電子部品が搭載された基板上に、前記電子部品を収容可能な貫通孔を有するキャビティ形成用樹脂シートを搭載してキャビティを形成する工程と、
[工程b3]キャビティ形成用樹脂シート上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、
[工程b4]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて、工程b1で得られる電子部品が搭載された基板を封止する工程と、
を有することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤(「ペースト状接着剤」又は「接着剤」ともいう。)は、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、無機フィラーとを含有することによって、該接着剤の硬化物はガラス転移温度が低く、リフロー温度において発生する応力が小さいため、リフロー時にクラックがほとんど発生せず、優れた耐リフロー性を有する。また、本発明のペースト状接着剤はポリイミド樹脂を必要としないため、その硬化物の高温時の弾性率が低く、電子部品内蔵基板の小型化や複雑化に追従することができるという特長も有する。さらに、本発明の製造方法により、耐リフロー性に優れた電子部品内蔵基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物(A)と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物(B)と、酸無水物硬化剤(C)と、無機フィラー(D)とを含有することを特徴とする。
【0012】
(脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物)
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物(以下、エポキシ化合物(A)ともいう。)を含有する。
脂肪族環状骨格を有することにより、硬化物の高温での弾性率が低下する。このため、硬化物はリフロー条件下で基板の膨張等に追従しやすくなり、耐リフロー性が向上する。なお、本明細書において、「高温」は、100℃以上の温度を意味し、「硬化物」は、本発明の接着剤が硬化したものを意味し、「電子部品基板」は、本発明の電子部品内蔵基板の製造方法に用いる材料となる基板を意味する。
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物は、2〜6量体のエポキシオリゴマーであることが望ましい。2〜6量体のエポキシオリゴマーであることにより、高温における柔軟性が得られるため硬化物は基板の膨張等に追従しやすくなる。6量体を超えると、接着剤は粘度が高くなるためペーストとして用いることが難しくなる。
【0013】
上記エポキシ化合物(A)は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定はされないが、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アダマンタン型エポキシ化合物、水添ビスA型エポキシ化合物、水添ビスF型エポキシ化合物、水添ビフェニル型エポキシ化合物、シクロペンタン型エポキシ化合物、シクロヘキサン型エポキシ化合物(以下、シクロヘキサン骨格を有する化合物ともいう。)、シクロヘプタン型エポキシ化合物、シクロオクタン型エポキシ化合物等によって例示される。脂肪族環状骨格と、これに直結するグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、環状骨格にまたがる橋架け構造を有しない脂肪族環状骨格が好ましい。更に、中でも、シクロヘキサン骨格を有する化合物は、安定的に入手でき、かつ、高温での弾性率を下げる効果が優れているため、好ましい。
シクロヘキサン型エポキシ化合物は、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサン・カルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン・カルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサン・カルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサン・カルボキシレート等の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カルボキシレート;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキサレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピペレート等が例として挙げられる。
【0014】
本発明の脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物は、公知の方法により、あるいは公知の方法を応用することにより製造できる。例えば、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物に対応する脂肪族環状骨格を有するオレフィン化合物(環状オレフィン化合物)を脂肪族過カルボン酸(過酢酸等)等によって酸化する(エポキシ化する)ことにより製造される。この場合、実質的に無水の脂肪族過カルボン酸を用いて製造されたものが高いエポキシ化率を有する点で好ましい(例えば、特開2002−275169号公報参照)。エポキシ化合物(A)のエポキシ当量は、通常100〜2000程度、好ましくは150〜1800程度、更に好ましくは200〜1500程度である。
本発明で用いる脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物は市販品を用いてもよい。水添ビスフェノールA型(以下、水添BPA型ともいう。)エポキシ化合物の市販品は、例えばYX8000(n=0.1)、YX−8034(n=0.5)、YX−8040(n=5)(以上、JER社製)、EXA−7015(n=0.1)(以上、DIC社製)、EP−4080S(n=0.1)(以上、ADEKA社製)等が例として挙げられる。水添ビスフェノールF型(以下、水添BPF型ともいう。)エポキシ化合物の市販品は、例えばYL6753(n=0.1)(JER社製)等が例として挙げられる。シクロヘキサン型エポキシ化合物は、例えばEP−4085S(n=0.1)(ADEKA社製)等が例として挙げられる。
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤に含まれる全エポキシ化合物を100重量部とする場合、エポキシ化合物(A)の配合量は、特に限定はされないが、前記全エポキシ化合物中、通常10以上70重量部以下程度、好ましくは20以上60重量部以下程度である。配合量が少なすぎると高温での弾性率を充分に下げられない場合があり、多すぎると高温弾性率を保持できなくなる場合がある。
【0015】
(単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物)
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物(以下、エポキシ化合物(B)ともいう。)を含有する。該エポキシ化合物(B)は、単官能であることにより、架橋密度を低下させることができる。架橋密度を低下させることにより、硬化物の高温での弾性率を低下させることができる。そのため、硬化物はリフロー条件下で基板の膨張等に追従しやすくなり、耐リフロー性が向上する。
また、該エポキシ化合物(B)が芳香族環を有することにより、硬化物の吸水率が低くなり、耐リフロー性が向上する。同時に、硬化速度が速くなるため、硬化時に揮発しにくく、ボイドの発生原因になりにくくなる。
【0016】
エポキシ化合物(B)は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定はされないが、例えば単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物、単官能でかつ置換基を有していてもよいナフタレン環を有するエポキシ化合物、単官能でかつ置換基を有していてもよいアントラセン環を有するエポキシ化合物等によって例示される。前記の置換基は、本発明の効果を阻害しない限りどのようなものでもよいが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、イソヘキシル基、又はn−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基又はアリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基等が好ましい例として挙げられる。
【0017】
単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定はされないが、例えば、置換基を有していてもよいアルキルフェノール型エポキシ化合物等が例として挙げられる。置換基は、前記したものと同様のものが例として挙げられる。該アルキルフェノール型エポキシ化合物のアルキル基は、炭素数1〜8が好適に挙げられ、該アルキルフェノール型エポキシ化合物は、例えば、メチルフェノール型単官能エポキシ化合物、p−secブチルフェノール型単官能エポキシ化合物、p−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物等が例として挙げられる。
単官能でかつ置換基を有していてもよい縮合ナフタレン環を有するエポキシ化合物は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定はされないが、例えば、α−ナフチルグリシジルエーテル、β−ナフチルグリシジルエーテル等が例として挙げられる。
【0018】
上記メチルフェノール型単官能エポキシ化合物は、例えばメチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記p−secブチルフェノール型単官能エポキシ化合物は、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が例として挙げられる。上記p−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物は、例えばp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が例として挙げられる。
本発明で用いる単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物の市販品は、例えば、ED−501、ED−509S、ED−529E(すべてADEKA社製)等が例として挙げられ、中でも、ED−509Sが好ましい。
このような化合物の中でも、分子量が150〜500の化合物が好ましい。分子量が小さすぎると硬化時に揮発し、硬化物のボイドの原因となり、接着剤の大きすぎると粘度が高くなるためペーストとして用いることが難しくなる。
上記エポキシ化合物(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(B)の配合量は、特に限定はされないが、通常10重量部以上400重量部以下程度、好ましくは50重量部以上200重量部以下程度である。配合量が少なすぎると高温での弾性率を充分に下げられない場合があり、多すぎると高温弾性率を保持できなくなる場合がある。
【0019】
(その他のエポキシ化合物)
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、上記エポキシ化合物(A)及び(B)以外のエポキシ化合物(以下、その他のエポキシ化合物ともいう。)を含有してもよい。
その他のエポキシ化合物は特に限定されず、従来公知の、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ化合物;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ化合物;ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ、フルオレン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、エポキシ変性ニトリルゴム等が例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、レゾルシノール型エポキシ化合物又はエポキシ変性ニトリルゴムが望ましい。ビスフェノールA型エポキシ化合物の市販品は、例えばYL−980(JER社製)等が例として挙げられる。シクロヘキサン型エポキシ化合物の市販品は、例えばEP−4088S(ADEKA社製)等が例として挙げられる。レゾルシノール型エポキシ化合物の市販品は、例えばEX−201(ナガセケムテックス社製)等が例として挙げられる。
上記エポキシ変性ニトリルゴムは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であるニトリルゴムを、エポキシ基で変性したものをいう。エポキシ変性ニトリルゴムは、ペースト状接着剤の硬化物における低吸湿率を保ちながら硬化物に柔軟性を与えるという作用を有する。また、高温領域において硬化物の弾性率を一定以上に保つことができ、接着剤及びその硬化物としての信頼性を確保するという作用を有する。
エポキシ変性ニトリルゴムの構造は特に限定はされず、末端にエポキシ基を有しても側鎖としてエポキシ基を有してもよい。エポキシ変性ニトリルゴムは、ニトリルゴムがビスフェノールA型エポキシ基で変性されたものが好ましい。エポキシ変性ニトリルゴムの分子量は特に限定はされないが、300〜1000程度が好ましい。
このようなエポキシ変性ニトリルゴムの市販品は、例えば、EPR−4030、EPR−4033(以上、ADEKA社製)、EPB−13(以上、日本曹達社製)等が例として挙げられる。
上記エポキシ化合物(A)100重量部に対して、その他のエポキシ化合物の配合量は、特に限定はされないが、20重量部以上200重量部以下程度が好ましく、50重量部以上150重量部以下程度が好ましい。
【0020】
(その他の硬化性化合物)
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、必要に応じて、上述したエポキシ化合物以外の通常使用される硬化性化合物(以下、その他の硬化性化合物ともいう。)を含有してもよい。その他の硬化性化合物は、例えばポリイミド、アクリル等が例として挙げられる。
上記エポキシ化合物(A)100重量部に対して、その他の硬化性化合物の配合量は、特に限定はされないが、20重量部以上400重量部以下程度が好ましい。
【0021】
(酸無水物硬化剤)
硬化剤として酸無水物を含有することによって、硬化剤として酸無水物を含有することによって、接合材の接合信頼性を高めることができる。
酸無水物は特に限定はされず、ポリアゼライン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2無水物、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2無水物等の脂環式酸無水物類;3−メチルグルタル酸無水物等の分岐していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を有する3−アルキルグルタル酸無水物、2−エチル−3−プロピルグルタル酸無水物等の分岐していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を有する2,3−ジアルキルグルタル酸無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、2,4−ジメチルグルタル酸無水物等の分岐していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を有する2,4−ジアルキルグルタル酸無水物等のアルキル置換グルタル酸無水物類;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類;トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸無水物等が例として挙げられる。中でも、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が好ましい。
本発明で用いる酸無水物硬化剤の市販品は、例えば、YH−307(トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、JER社製)等が例として挙げられる。
上記硬化剤の配合量は、特に限定されないが、上述したエポキシ化合物等の硬化性化合物の官能基と等量反応する硬化剤を用いる場合、上記硬化性化合物の官能基量に対して、70当量以上110当量以下程度が好ましい。上記硬化性化合物(上記エポキシ化合物(A)、エポキシ化合物(B)、その他のエポキシ化合物及びその他の硬化性化合物)の合計100重量部に対して、20重量部以上200重量部以下程度が好ましい。
【0022】
(硬化促進剤)
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤においては、硬化速度や硬化物の物性等を調整するために、上記硬化剤に加えて硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤の種類は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、第3級アミン系硬化促進剤等が挙げられ、とりわけ、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イミダゾール系硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールや、イソシアヌル酸で塩基性を保護したもの(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)、2−メチルイミダゾール(商品名「2MZ−A」、四国化成工業社製)、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウム クロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等が例として挙げられる。これらのイミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化促進剤の配合量は特に限定はされず、上記硬化性化合物(上記エポキシ化合物(A)、エポキシ化合物(B)、その他のエポキシ化合物及びその他の硬化性化合物)の合計100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下程度が好ましい。
【0023】
(無機フィラー)
本発明の接着剤は、無機フィラーを含有する。無機フィラーを配合することにより、硬化物の線膨張率が低下し、硬化物のガラス転移以下の温度での弾性率が高くなり、吸湿率が低くなる等の有利な効果が得られる。
無機フィラーは、シリカ、ガラス繊維、アルミナ微粒子、カーボンブラック等が例として挙げられ、球状シリカが好ましい。これらの無機フィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
球状シリカの平均粒子径は、大きすぎると被着体を傷つけてしまう場合があり、小さすぎると粘度が非常に大きくなるため0.1μm〜10μm程度が好ましい。本発明における「平均粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される値であり、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径(d50)を意味し、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて、体積基準により測定できる。
球状シリカは、そのまま添加すると接着剤が増粘してしまうため、表面処理されている球状シリカが好ましい。表面処理されている球状シリカ(以下、表面処理球状シリカともいう。)は、フェニル基を表面に有する球状シリカが好適に挙げられる。
「フェニル基を表面に有する」とは、本発明の効果が有効となる程度にフェニル基を有していれば特に限定はされないが、全表面の8割程度以上の面積率を有していることが好ましい。このようなシリカ粒子は、高充填しても接着剤が増粘しにくいため、粘度や塗布性を犠牲にすることなく、硬化物は低線膨張率及び低吸水率を示す。また、ガラス転移温度以下の温度領域において、硬化物の貯蔵弾性率が高くなる。
フェニル基を表面に有する球状シリカは、表面処理されていないシリカ粒子の表面を、フェニル基を有するカップリング剤で表面処理することにより、得ることができる。フェニル基を有するカップリング剤は特に限定はされず、本発明の目的達成を阻害しない範囲でフェニル基が他の置換基によって置換されていてもよい。フェニル基を有するカップリング剤は、フェニルトリメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の有機シランカップリング剤が例として挙げられ、市販品は、KBM−573(信越化学社製)等が例として挙げられる。
【0024】
上記有機シランカップリング剤で上記シリカ粒子の表面を処理する方法は特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー等の高速攪拌可能なミキサー中にシリカ粒子を添加し、攪拌しながら有機シランカップリング剤を、直接、又は、アルコール水溶液、有機溶媒溶液若しくは水溶液として添加する乾式法、シリカ粒子のスラリー中に有機シランカップリング剤を添加するスラリー法、及び、シリカ粒子の乾燥工程後に有機シランカップリング剤をスプレー付与するスプレー法等の直接処理法;本発明の接着剤組成物の調製時において、シリカ粒子とエポキシ化合物との混合時に有機シランカップリング剤を直接添加するインテグレルブレンド法等が例として挙げられる。
【0025】
上記シリカ粒子に対する上記カップリング剤の割合は特に限定されないが、上記シリカ粒子100重量部に対して、0.1重量部以上15重量部以下程度が好ましい。0.1重量部未満であると、上記有機シランカップリング剤によるシリカ粒子の表面処理が不充分となり、上記微粉シリカの本発明の接着剤組成物中での分散性が低下し、硬化物の機械的強度及び透明性が不充分となることがある。15重量部を超えると、上記微粉シリカ表面と反応しない有機ケイ素化合物が多量に残存することがあり、耐熱性を悪化させたり、膜減りの原因になったりする。
上記表面にフェニル基を有する球状シリカは、市販品を購入して用いることもでき、市販品は例えば、SE−4050−SPE(アドマテックス社製)が例として挙げられる。
上記表面にフェニル基を有する球状シリカの配合量が少ないと、硬化物の線膨張率の低下が充分に得られない場合があり、多すぎると、特定の骨格を有するエポキシ化合物と配合しても接着剤の充分な低粘度性が得られない。そのため、本発明の接着剤100重量部中、上記無機フィラーの配合量は、40重量部以上80重量部以下程度、好ましくは50重量部以上70重量部以下程度である。
【0026】
(希釈剤)
本発明の接着剤には、粘度調節のために希釈剤が添加されてもよい。上記希釈剤は、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、オキシトールアセテート、キシレン等の非反応性希釈剤、スチレンモノマー、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、n−ブチルグリシジルエーテル、オクチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ドデカンオキサイド等の反応性希釈剤が例示される。反応性希釈剤の市販品は、例えばYED111N、YED111AN、YED122、YED205、YED216M(すべてJER社製)等が例として挙げられる。
【0027】
(チキソトロピー付与剤)
本発明のペースト状接着剤は、更に、上記無機フィラーとは別に、チキソトロピー付与剤を含有してもよい。チキソトロピー付与剤は特に限定されず、例えば、金属微粒子、炭酸カルシウム、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化アルミニウム、硼酸アルミ等の無機微粒子等が例として挙げられ、ヒュームドシリカが好適に挙げられる。上記のチキソトロピー付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記チキソトロピー付与剤は、必要に応じて、表面処理を行ったものを用いることができ、特に表面に疎水基を有する粒子が好適に挙げられ、例えば、表面を疎水化したヒュームドシリカ等が好適に挙げられる。チキソトロピー付与剤として、粒子状のものを用いる場合、平均粒子径の好ましい上限は1μmである。1μmを超えると、所望のチキソトロピー性を発現できないことがある。
上記チキソトロピー付与剤の市販品は、(株)トクヤマ製の「レオロシール」(登録商標)シリーズのMT−10、MT−10C、DM−10、DM−10C、DM−20、DM−30、HM−20L、PM−20L、KS−20S等が例として挙げられる。
【0028】
(その他の添加剤)
また、本発明の接着剤は、必要に応じて、無機イオン交換体、ブリード防止剤や、イミダゾールシランカップリング剤等の接着性付与剤等の添加剤を含有してもよい。通常電子部品用熱硬化性接着剤に使用されているものが適宜に使用されうる。
【0029】
(接着剤の製造)
本発明の接着剤組成物は、例えば、上述したエポキシ化合物を含む硬化性化合物、硬化剤及び硬化促進剤、並びに、必要に応じて希釈剤、その他の添加剤等を所定量配合して混合する方法により製造することができる。上記混合の方法は特に限定されないが、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等の分散機を、必要により適宜組み合せて、使用する方法を例として挙げることができる。
【0030】
(粘度)
本発明のペースト状接着剤の粘度は、E形粘度計を用いて、25℃、10rpmにて測定し、1Pa・s以上50Pa・s以下程度とされる。この範囲より粘度が高い場合、ディスペンサより吐出した際に糸引きの原因となり塗布性に劣る場合がある。
【0031】
(弾性率)
本発明のペースト状接着剤は、その硬化物の260℃における貯蔵弾性率が、40MPa以下程度であることが好ましく、20MPa以下程度であることが更に好ましい。
本発明の接着剤の硬化物の弾性率の測定方法は、以下の通りとする。なお、本明細書において、「弾性率」は、貯蔵弾性率を意味する。
本発明における弾性率は、JIS K7244−4に記載の方法に従い、本発明のペースト状接着剤を110℃40分、さらに170℃15分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、粘弾性測定機(型式:DVA−200、アイティー計測制御社製)を使い、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで300℃まで昇温し、260℃にて測定して得られる値(単位:MPa)である。
【0032】
(ガラス転移温度:Tg)
本発明のペースト状接着剤は、その硬化物のガラス転移温度(以下、Tgともいう。)が、60℃以上130℃未満程度であることが好ましく、70℃以上100℃以下程度であることが更に好ましい。
本発明におけるガラス転移温度は、粘弾性法によるTanδのピーク時の温度より求めたものである。詳しくは、前記ガラス転移温度は、JIS K 7121に記載の方法に従い、本発明のペースト状接着剤を110℃40分、さらに170℃15分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、粘弾性測定機(型式:DVA−200、アイティー計測制御社製)を使い、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定することにより得られるTanδのピーク時の温度である。
Tgが130℃以上であると、硬化物の柔軟性が不足し、電子部品が剥離しやすくなる場合がある。
上述した特定のエポキシ化合物と、酸無水硬化剤とを使用することにより、上記ガラス転移温度が達成できる。
【0033】
(飽和吸湿率)
本発明のペースト状接着剤は、厚さ500μm程度の硬化物の飽和吸湿率が0.8重量%以下程度であることが好ましい。0.8重量%を超えると、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸、混合した樹脂(以下、「ガラスエポキシ樹脂」という場合がある)等で封止された電子部品内蔵用基板をリフロー炉に通した場合に電子部品が剥離してしまう場合がある。より好ましくは0.7重量%以下である。また、飽和吸湿率は、下限が定められる性質のものではないが、硬化物は、通常、1.1重量%以上の飽和吸湿率を有する。
(飽和吸湿率の測定方法)
飽和吸湿率の測定方法は、以下の通りである。170℃30分で硬化させた、厚さ500μmで5cm×5cmのサイズの測定用硬化物サンプルを用意し、デシケータ中で放冷後、重量を測定しM1とする。サンプルを85℃、85%RH(相対湿度)の恒温恒湿槽中で24時間吸湿させてから取り出し、すばやく秤量して秤量値が一定になったとき、その重量をM2とする。以下の式(1)により、飽和吸湿率(重量%)を算出した。
【数1】

【0034】
(用途)
本発明のペースト状接着剤は、電子部品基板(回路基板やプリント配線板(例えば、リジッド−フレックス多層基板やフレキシブル多層基板等)を含む)に電子部品を積層する用途に広く用いることができ、表面実装タイプの装置や電子部品内蔵タイプの基板を製造する際に好適に用いることができる。中でも、従来知られている表面実装用の接着剤では不良が起こるという点で、電子部品内蔵基板の製造に特に好ましく用いることができる。
【0035】
(電子部品内蔵基板の製造方法)
本発明の電子部品内蔵基板の製造方法の第一の態様を説明する。第一の態様は、[工程a1]壁部が絶縁樹脂からなるキャビティが形成された電子部品基板に、本発明の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、[工程a2]工程a1で得られる電子部品が搭載された基板上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、[工程a3]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて電子部品及び基板を封止する工程とを含む電子部品内蔵基板の製造方法である。なお、本明細書において、「シート」の用語は、通常「フィルム」と称される薄いものも含むものとする。
【0036】
[工程a1]
工程a1において、例えば、銅等からなる導電層と、絶縁樹脂層との積層体である電子部品基板を用意する。この基板に、パンチ等の公知の手段を用いて、電子部品を内蔵するためのキャビティ(収容部)を所望の深さに形成することにより、壁部が絶縁樹脂層からなるキャビティを形成できる。次に、基板に形成されたキャビティ内に、本発明のペースト状接着剤を用いて電子部品を搭載する。このとき、電子部品にペースト状接着剤を塗布した後、該電子部品を基板に搭載してもよく、予めキャビティ内にペースト状接着剤を塗布しておき、電子部品を搭載してもよい。
接着剤は、搭載後ただちに硬化させてもよく、後述する絶縁樹脂シート搭載後の加熱工程(工程a3)で硬化させてもよい。
電子部品基板は、回路基板やプリント配線板等の電子部品内蔵基板として使用しうるものであれば特に限定はされず、上記した導電層と絶縁樹脂層との積層体からなる基板の他に、例えばリジッド−フレックス多層基板やフレキシブル多層基板等が例として挙げられる。絶縁樹脂は、封止工程を鑑みると加熱により溶融するものが好ましく、ガラスエポキシ樹脂等が好適に挙げられる。電子部品は特に限定はされず、例えば、半導体チップ等の半導体素子、コンデンサ、インダクタ等が例として挙げられ、下方部に電気的接続手段を有するものが好適に挙げられる。
なお、キャビティの形成は、後述のように、本発明のペースト状接着剤を用いて電子部品を接着した後に行ってもよい。
【0037】
[工程a2]
工程a2において、好ましくは減圧雰囲気下にて、工程a1で得られる電子部品を搭載した基板上に絶縁樹脂シートを搭載する。絶縁樹脂シートの材料は特に限定はされないが、加熱により溶融するものが好ましく、例えば熱可塑性エポキシ樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂等)が好適に挙げられる。
減圧雰囲気で搭載することにより、絶縁樹脂シートが基板の樹脂層に密着しやすく、好ましい。減圧雰囲気での気圧は、通常0.1kPa以上10kPa以下程度、好ましくは0.5kPa以上8.0kPa以下程度、更に好ましくは1.0kPa以上5.0kPa以下程度である。
【0038】
[工程a3]
工程a3において、加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて電子部品及び基板を封止する。加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部の樹脂層を溶融させ、キャビティ内の空間を封止することができる。この工程の加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、上述した工程a2と同時に行うことが好ましい。
上記加熱処理は、通常140〜200℃程度、好ましくは160〜180℃程度に加熱することによって行う。
絶縁樹脂シートを基板上に積層した後、必要に応じて表面を平坦化することが好ましい。また、表面にレーザー等を用いて孔を空け、内部に封止した電子部品と電気的接続を取るための通導電材料を設けることがより好ましい。更に、絶縁樹脂シート上にメッキ配線等を施すことができる。
【0039】
本発明の電子部品内蔵基板の製造方法の第二の態様を説明する。第二の態様は、[工程b1]電子部品基板に、上記した本発明の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、[工程b2]電子部品が搭載された基板上に、前記電子部品を収容可能な貫通孔を有するキャビティ形成用樹脂シートを搭載してキャビティを形成する工程と、[工程b3]キャビティ形成用樹脂シート上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、[工程b4]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて、工程b1で得られる電子部品が搭載された基板を封止する工程と、を含む電子部品内蔵基板の製造方法である。
【0040】
[工程b1]
工程b1において、本発明のペースト状接着剤を用いて電子部品を電子部品基板上に搭載する。電子部品基板、電子部品は工程a1で用いたものを同様に用いることができるが、電子部品基板は、銅等からなる導電層のみを用いてもよい。基板上のキャビティ形成予定部位に、本発明のペースト状接着剤を用いて電子部品を搭載する。このとき、電子部品にペースト状接着剤を塗布した後、該電子部品を基板上に搭載してもよく、基板上のキャビティ形成予定部位に予めペースト状接着剤を塗布しておき、電子部品を搭載してもよい。
接着剤は、電子部品搭載後ただちに硬化させてもよく、後述する絶縁樹脂シート搭載後の加熱工程で硬化させてもよい。
【0041】
[工程b2]
工程b2において、工程b1にて得られた電子部品が搭載された基板上に、前記電子部品を収容可能な貫通孔を有するキャビティ形成用樹脂シート(以下、キャビティ形成用樹脂シートともいう。)を搭載してキャビティを形成することができる。具体的には、電子部品が搭載された基板上に、電子部品の形状に対応した貫通孔を備えていて電子部品を収容可能なキャビティ形成用絶縁樹脂シートを積層することによって、キャビティを形成することができる。キャビティ形成用樹脂シートの材料は特に限定はされないが、加熱により溶融するものが好ましく、例えば熱可塑性エポキシ樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂等)が好適に挙げられる。
【0042】
[工程b3]
工程b3において、好ましくは減圧雰囲気下にて、工程b2で得られたキャビティ形成用樹脂シート上に絶縁樹脂シートを搭載する。絶縁樹脂シートは工程a2で用いたものを同様に用いることができる。減圧雰囲気での気圧は、工程a2と同様である。また、上記キャビティ形成用樹脂シート及び絶縁樹脂シートの両方を同時に搭載するのが好ましい。なお、上記キャビティ形成用樹脂シート及び絶縁樹脂シートは、通常、同様の材質の樹脂シートが用いられる。
【0043】
[工程b4]
工程b4において、加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて電子部品及び基板を封止する。上記工程a3と同様に、この工程の加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、上述した工程b3と同時に行うことが好ましい。上記加熱処理は、通常140〜200℃程度、好ましくは160〜180℃程度に加熱することによって行う。
また、絶縁樹脂シートをキャビティ形成用樹脂シート上に積層した後、上記工程a3と同様に、必要に応じて表面を平坦化することが好ましい。また、表面にレーザー等を用いて孔を空け、内部に封止した電子部品と電気的接続を取るための通導電材料を設けることがより好ましい。更に、絶縁樹脂シート上にメッキ配線等を施すことができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
下記表1の組成(重量部)の材料をホモディスパーにより攪拌混合し、実施例1〜4及び比較例1〜3に係るペースト状接着剤を作製した。
(1)脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物
・水添BPA型エポキシオリゴマー(商品名:YX8000、1〜2量体;JER社製)
・水添BPA型エポキシオリゴマー(商品名:YX8034、2量体;JER社製)
・水添BPA型エポキシオリゴマー(商品名:YX8040、5〜6量体;JER社製)
・水添BPF型エポキシオリゴマー(商品名:YL6753、1〜2量体;JER社製)
(2)単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物
・単官能のフェノール型グリシジルエーテル構造を有するエポキシ化合物(商品名:ED-509S、ADEKA社製)
(3)その他のエポキシ化合物
・エポキシ変性ニトリルゴム(商品名:EPR-4033、ADEKA社製)
・ビスフェノールA型エポキシ化合物(商品名:YL-980、JER社製)
・レゾルシノール型エポキシ化合物(商品名:EX-201、ナガセケムテックス社製)
・ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(商品名:EP4088S、ADEKA社製)
(4)無機フィラー
・表面にフェニル基を有する球状シリカ(商品名:SE-4050-SPE、平均粒子径1μm、アドマテックス社製)
(5)酸無水物
・トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(商品名:YH-307、JER社製)
(6)硬化促進剤
・2−メチルイミダゾール(商品名:2MZ-A、四国化成工業社製)
(7)その他
・ヒュームドシリカ(商品名:PM-20L、トクヤマ社製)
・シランカップリング剤(商品名:KBM-573、信越化学社製)
【0046】
【表1】

【0047】
(評価)
実施例及び比較例で作製した電子部品接合用接着剤及びその硬化物について、以下の測定を行った。結果を表2に示す。
(1)接着剤
(1−1)粘度の測定
E型粘度測定装置(商品名:VISCOMETER TV−22、使用ローター:φ15mm、設定温度:25℃、TOKI SANGYO CO.LTD社製)を用いて、25℃、回転数10rpmにおける粘度を測定した。
【0048】
(2)硬化物
(2−1)弾性率の測定
JIS K7244−4に記載の方法に従い、弾性測定機(型式:DVA−200、アイティー計測制御社製)を用い、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたペースト状接着剤を110℃40分、さらに170℃15分で硬化させた硬化物を、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzの条件で300℃まで昇温し、260℃における貯蔵弾性率を測定した。
(2−2)ガラス転移温度(Tg)の測定
JIS K 7121に記載の方法に従い、粘弾性測定機(アイティー計測制御社製)を用い、得られたペースト状接着剤を110℃40分、170℃15分で硬化させた硬化物を、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzの条件で測定したTanδのピーク時の温度をガラス転移温度とした。
(2−3)飽和吸湿率の測定
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたペースト状接着剤を170℃30分で硬化させた、厚さ500μmで3cm×3cmのサイズの測定用硬化物サンプルを用意し、デシケータ中で放冷後、重量を測定しM1とする。サンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿槽中で24時間吸湿させてから取り出し、すばやく秤量して秤量値が一定になったときの重量をM2として、前記式(1)により、飽和吸湿率(重量%)を算出した。
【0049】
[実施例5]電子部品内蔵基板の製造
ガラスエポキシ基板(ANSIのグレード:FR−4)と銅薄の積層体である、厚さ150μmの基板に10mm×10mm×厚さ85μmの半導体チップを、上記実施例1〜4及び比較例1〜3により得られたペースト状接着剤を用いて接着し(硬化条件170℃×30分)搭載して、半導体チップが搭載された基板を製造した。
その後、半導体チップサイズのパンチ穴が形成された厚さ85μmのガラスエポキシ樹脂シートと厚さ25μmのパンチ穴を持たないガラスエポキシ樹脂シートと前記基板とを、この順に載置した後、減圧雰囲気下(5kPa)、190℃×90分、荷重2MPaの条件でプレスし積層一体化して、電子部品内蔵基板サンプルを作製した。
【0050】
[試験例1]耐リフロー性評価
作製した電子部品内蔵基板を、60℃×60%の恒温恒湿オーブンに120時間放置した後、230℃以上が20秒以上でかつ最高温度が260℃となる赤外線(IR)リフロー炉に3回投入した。投入後、基板の膨れが発生頻度を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
◎:リフロー後の膨れ発生数 0/480
○:リフロー後の膨れ発生数 1〜5/480
△:リフロー後の膨れ発生数 5〜20/480
×:リフロー後の膨れ発生数 20/480以上
【0051】
【表2】

【0052】
以上の結果から、本発明の接着剤を用いれば、リフロー後に基板の膨れがほとんど起こらないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電子部品用熱硬化性接着剤は、電子部品基板と電子部品との接着に有用である。また、本発明の製造方法により、リフロー後に基板に剥離がほとんど生じない電子部品内蔵基板を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品基板に電子部品を搭載するために使用する接着剤であって、
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物(A)と、単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物(B)と、酸無水物硬化剤(C)と、無機フィラー(D)とを含有する、電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項2】
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物が、2〜6量体のエポキシオリゴマーである請求項1記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項3】
脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物が、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アダマンタン型エポキシ化合物、水添ビスA型エポキシ化合物、水添ビスF型エポキシ化合物、水添ビフェニル型エポキシ化合物、シクロペンタン型エポキシ化合物、シクロヘキサン型エポキシ化合物、シクロヘプタン型エポキシ化合物及びシクロオクタン型エポキシ化合物から選択される1以上である請求項1又は2に記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項4】
シクロヘキサン型エポキシ化合物が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキサレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピペレートから選択される1以上である請求項3記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項5】
単官能でかつ芳香族環を有するエポキシ化合物が、単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物、単官能でかつ置換基を有していてもよいナフタレン環を有するエポキシ化合物及び単官能でかつ置換基を有していてもよいアントラセン環を有するエポキシ化合物から選択される1以上である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項6】
単官能でかつ置換基を有していてもよいベンゼン環を有するエポキシ化合物が、置換基を有していてもよいアルキルフェノール型エポキシ化合物である請求項5記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項7】
置換基を有していてもよいアルキルフェノール型エポキシ化合物が、メチルフェノール型単官能エポキシ化合物、p−secブチルフェノール型単官能エポキシ化合物又はp−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物である請求項6記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項8】
メチルフェノール型単官能エポキシ化合物が、メチルフェニルグリシジルエーテルである請求項7記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項9】
p−tertブチルフェノール型単官能エポキシ化合物が、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルである請求項7記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項10】
酸無水物硬化剤が、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物である請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項11】
無機フィラーが、表面にフェニル基を有する球状シリカである請求項1〜10のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項12】
さらに、硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項13】
硬化促進剤が、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール又は2−メチルイミダゾールである請求項12記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項14】
電子部品基板に電子部品を搭載するために使用する接着剤であって、
水添ビスフェノールA型エポキシ化合物及び/又は水添ビスフェノールF型エポキシ化合物の2〜6量体のエポキシオリゴマーと、
メチルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル及びp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルから選択される1以上のグリシジルエーテルと、
トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸及び/又は3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物と、
表面にフェニル基を有する球状シリカとを含有する、電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項15】
さらに、エポキシ変性ニトリルゴム及びレゾルシノール型エポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項16】
粘度が、1Pa・s以上50Pa・s以下である請求項1〜15のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を硬化させて得られる硬化物。
【請求項18】
ガラス転移温度が60℃以上130℃未満である請求項17記載の硬化物。
【請求項19】
[工程a1]壁部が絶縁樹脂からなるキャビティが形成された電子部品基板に、請求項1〜16のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、
[工程a2]工程a1で得られる電子部品が搭載された基板上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、
[工程a3]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて電子部品及び基板を封止する工程と、
を含むことを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項20】
[工程b1]電子部品基板に、請求項1〜16のいずれかに記載の電子部品用熱硬化性接着剤を用いて電子部品を搭載する工程と、
[工程b2]電子部品が搭載された基板上に、前記電子部品を収容可能な貫通孔を有するキャビティ形成用樹脂シートを搭載してキャビティを形成する工程と、
[工程b3]キャビティ形成用樹脂シート上に絶縁樹脂シートを搭載する工程と、
[工程b4]加熱により絶縁樹脂シート及びキャビティの壁部を溶融させて、工程b1で得られる電子部品が搭載された基板を封止する工程と、
を含むことを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。

【公開番号】特開2010−62297(P2010−62297A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225949(P2008−225949)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】