説明

ボルテージレギュレータ

【課題】短絡電流を正確に設定できるボルテージレギュレータを提供する。
【解決手段】過電流保護回路の短絡電流の電流値を決定する回路として、電流を電圧に変換する抵抗を用いず、Nchデプレッション型トランジスタのゲートとドレインを接続して非飽和状態で動作させる回路を用いて電流で制御する回路を備えた。Nchデプレッション型トランジスタは検出用トランジスタとプロセスばらつきが連動するためトリミングを行うことなく短絡電流を正確に設定することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流保護回路を備えたボルテージレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボルテージレギュレータについて説明する。図6は、従来のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【0003】
差動増幅回路104は基準電圧回路103の出力電圧及び分圧回路106の出力電圧を比較し、基準電圧回路103及び分圧回路106の出力端子の電圧を同じ電圧に保ち、出力端子102の電圧が所定の電圧を保持するように出力トランジスタ105のゲート電圧を制御する。
【0004】
ここで、ボルテージレギュレータの出力電圧が負荷の増大により低下したとすると、出力電流Ioutが、多くなり、最大出力電流Imになる。すると、この最大出力電流Imに応じ、出力トランジスタ105とカレントミラー接続するセンストランジスタ121に流れる電流が多くなる。この時Pchトランジスタ601がオンしていて、抵抗602だけに発生する電圧が高くなり、Nchエンハンスメント型トランジスタ124がオンしていき、抵抗122に発生する電圧が高くなる。そして、Pchトランジスタ125がオンしていき、出力トランジスタ105のゲート・ソース間電圧が低くなり、出力トランジスタ105がオフしていく。よって、出力電流Ioutは最大出力電流Imよりも多くならずに最大出力電流Imに固定され、出力電圧Voutが低くなる。ここで、抵抗602だけに発生する電圧により、出力トランジスタ105のゲート・ソース間電圧が低くなり、出力トランジスタ105がオフしていき、出力電流Ioutが最大出力電流Imに固定されるので、最大出力電流Imは抵抗602およびNchエンハンスメント型トランジスタ124のしきい値電圧よって決定される。
【0005】
出力電圧Voutが低くなることにより、Pchトランジスタ601のゲート・ソース間電圧がPchトランジスタ601の閾値電圧の絶対値Vtpよりも低くなると、Pchトランジスタ601はオフする。すると、抵抗602だけでなくて抵抗602及び603の両方に発生する電圧が高くなり、Nchエンハンスメント型トランジスタ124がさらにオンしていき、抵抗122に発生する電圧がさらに高くなり、Pchトランジスタ125がさらにオンしていき、出力トランジスタ105のゲート・ソース間電圧がさらに低くなり、出力トランジスタ105がさらにオフしていく。よって、出力電流Ioutが、少なくなり、短絡電流Isになる。その後、出力電圧Voutが、低くなり、0ボルトになる。ここで、抵抗602及び603の両方に発生する電圧により、出力トランジスタ105のゲート・ソース間電圧が低くなり、出力トランジスタ105がオフしていき、出力電流Ioutが短絡電流Isになるので、短絡電流Isは抵抗602及び603の両方の抵抗値によって決定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−216252号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、最大出力電流Im及び短絡電流Isは、抵抗602及び603の両方の抵抗値、およびNchエンハンスメント型トランジスタ124のしきい値電圧によって決定される。従って、最大出力電流Im及び短絡電流Isを正確に設定しようとすると、抵抗602及び603の抵抗値をトリミング工程によって正確に設定する必要がある。すなわち、従来の技術では製造工程が複雑になってしまう、という課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、短絡電流を容易かつ正確に設定できるボルテージレギュレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、過電流保護回路を備えたボルテージレギュレータにおいて、過電流保護回路の短絡電流の電流値を正確に設定できる回路として、過電流保護回路にNchデプレッション型トランジスタを用い、ゲートとドレインを接続して非飽和状態で用いることを特徴とするボルテージレギュレータを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の過電流保護回路を備えたボルテージレギュレータは、Nchデプレッション型トランジスタのゲートとドレインを接続して用いている。抵抗素子として用いるNchデプレッション型トランジスタの抵抗値と、Nchエンハンスメント型トランジスタの閾値電圧には相関関係があるので、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることができる。また、抵抗やヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図2】第二の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図3】第三の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図4】第四の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図5】第五の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図6】従来のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図7】第六の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図8】第七の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【図9】第八の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
本実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。
【0014】
次に本実施形態のボルテージレギュレータの要素回路の接続について説明する。
基準電圧回路103は、出力端子を差動増幅回路104の反転入力端子に接続する。差動増幅回路104は、出力端子を過電流保護回路107及び、出力トランジスタ105のゲートに接続し、非反転入力端子を分圧回路106の出力端子に接続する。出力トランジスタ105は、ソースを電源端子101に接続し、ドレインを出力端子102に接続する。分圧回路106は、出力端子102とグラウンド端子100の間に接続する。
【0015】
過電流保護回路107の接続について説明する。
Pchトランジスタ121は、ゲートは出力トランジスタ105のゲートに接続し、ドレインはNchエンハンスメント型トランジスタ124のゲートに接続し、ソースは電源端子101に接続する。Nchデプレッション型トランジスタ123は、ゲート及びドレインはNchエンハンスメント型トランジスタ124のゲート及びPchトランジスタ121のドレインに接続し、ソースはグラウンド端子100に接続する。Nchエンハンスメント型トランジスタ124は、ソースは出力端子102に接続し、ドレインはPchトランジスタ125のゲートに接続し、バックゲートはグラウンド端子100に接続する。Pchトランジスタ125は、ドレインはPchトランジスタ105のゲートに接続し、ソースは電源端子101に接続する。抵抗122は、一方はPchトランジスタ125のゲートに接続し、もう一方は電源端子101に接続する。Nchエンハンスメント型トランジスタ124とPchトランジスタ125と抵抗122は、出力トランジスタ105のゲート電圧を制御する出力電流制限回路を構成している。
【0016】
次に、本実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
分圧回路106は、出力端子102の電圧である出力電圧Voutを分圧し、分圧電圧Vfbを出力する。差動増幅回路104は、基準電圧回路103の出力電圧Vrefと分圧電圧Vfbとを比較し、出力電圧Voutが一定になるよう出力トランジスタ105のゲート電圧を制御する。出力電圧Voutが所定電圧よりも高いと、分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高く、差動増幅回路104の出力信号(出力トランジスタ105のゲート電圧)が高くなり、出力トランジスタ105はオフしていき、出力電圧Voutは低くなる。また、出力電圧Voutが所定電圧よりも低いと、上記と逆の動作をして、出力電圧Voutは高くなる。つまり、出力電圧Voutが一定になる。
【0017】
ここで、出力端子102とグラウンド端子100が短絡したとすると、出力トランジスタ105には大電流が流れようとする。従って、Pchトランジスタ121には、出力トランジスタ105とPchトランジスタ121のチャネル長とチャネル幅で決められた電流が流れる。するとNchエンハンスメント型トランジスタ124のゲート−ソース間電圧は、その電流値に比例して上昇する。この電圧がNchエンハンスメント型トランジスタ124の閾値電圧を超えると、抵抗122に発生する電圧が高くなり、Pchトランジスタ125がオンしていき、出力トランジスタ105のゲート−ソース間電圧は小さくなりオフする方向に向かう。このようにして、Pchトランジスタ121に電流を流し、この電流の増加を電圧としてNchエンハンスメント型トランジスタ124が検出することで過電流保護回路を動作させる。
【0018】
Nchデプレッション型トランジスタ123は、ゲートをドレインに接続されている。このように接続することで非飽和動作し、検出抵抗と同様にみなすことができる。Nchデプレッション型トランジスタの閾値とNchエンハンスメント型トランジスタの閾値は、同じ装置で同じイオンを用い濃度を変えてインプラすることで調整する。この二つの閾値は、インプラの濃度が違うだけで、同じ装置、同じイオンを用いているため、装置のバラツキにより閾値がばらついた時は同様の方向へばらつく。例えば、Nchデプレッション型トランジスタの閾値が高い方へばらついたら、Nchエンハンスメント型トランジスタの閾値も同様に高い方にばらつく。Nchデプレッション型トランジスタの閾値が高い方へばらついて、Nchエンハンスメント型トランジスタの閾値が低い方向へばらつくといったことは起こらない。また、Nchデプレッション型トランジスタの閾値が0.1V大きくなり、Nchエンハンスメント型トランジスタの閾値が0.01V大きくなるといったようなバラツキの大きさが大きく変わることもない。つまり、Nchデプレッション型トランジスタの閾値とNchエンハンスメント型トランジスタの閾値はプロセスばらつき(閾値ばらつき)が連動してばらつくということである。このためこの検出抵抗は、Nchエンハンスメント型トランジスタ124とプロセスばらつき(閾値ばらつき)が連動してばらつく。
【0019】
こうすることで、短絡電流のプロセスばらつきの原因となっている検出抵抗と、検出を行うNchエンハンスメント型トランジスタ124の閾値が連動し、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、プロセスばらつき軽減として抵抗およびヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0020】
なお、抵抗122は、図示はしないがPchトランジスタを用い、ゲートとソースを接続して、ゲートをPchトランジスタ125のゲートおよび、Nchエンハンスメント型トランジスタ124のドレインに接続し、ソースを電源端子101に接続するする構成をとっても同様に動作させることができる。
【0021】
以上により、検出抵抗としてNchデプレッション型トランジスタを用い、ゲートとドレインを接続することで短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【実施例2】
【0022】
図2は、第二の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第二の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第一の実施例との違いはNchデプレッション型トランジスタ123の代わりにNchエンハンスメント型トランジスタ201を用い、ゲートを定電圧回路202に接続した点である。
【0023】
次に第二の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Nchエンハンスメント型トランジスタ201はゲートを定電圧回路202に接続して非飽和で動作させている。非飽和で動作するためNchエンハンスメント型トランジスタ201は、検出抵抗と同様にみなすことができる。この検出抵抗は、Nchエンハンスメント型トランジスタのためNchエンハンスメント型トランジスタ124とプロセスばらつき(閾値ばらつき)が連動する。検出抵抗と検出を行うNchエンハンスメント型トランジスタ124の閾値が連動するため短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。プロセスばらつき軽減のために、抵抗およびヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0024】
以上により、検出抵抗としてNchエンハンスメント型トランジスタを用い、ゲートに定電圧回路を接続して非飽和で動作させることで、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【実施例3】
【0025】
図3は、第三の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第三の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第一の実施例との違いは、Nchデプレッション型トランジスタ123の代わりにNchデプレッション型トランジスタ301、302、303を用い直列に接続し、ヒューズでトリミングできるようにした点である。
【0026】
次に第三の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Nchデプレッション型トランジスタ301、302、303はヒューズを用いてトリミングできる構成となっている。第一の実施例と同様に、Nchデプレッション型トランジスタ301、302、303のゲートとNchデプレッション型トランジスタ301のドレインを接続して非飽和動作させるため検出抵抗とみなすことができる。過電流保護回路の特性は、検出抵抗として用いるNchデプレッション型トランジスタの抵抗値で決まる。電圧帯によっては過電流保護回路の特性が適当でない場合がある。これを補正するために、Nchデプレッション型トランジスタをトリミングする。トリミングを行うことで、検出抵抗を最適値にすることができるようになる。なお、Nchデプレッション型トランジスタとヒューズを3個直列に接続したが、3個に限定するものではなく、3個以上を直列に接続しても良い。
【0027】
第一の実施例と同様に、検出抵抗はNchのため、Nchエンハンスメント型トランジスタ124とプロセスばらつき(閾値ばらつき)が連動する。検出抵抗と検出を行うNchエンハンスメント型トランジスタ124の閾値が連動するため短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。
【0028】
以上により、検出抵抗としてNchデプレッション型トランジスタを用いゲートとドレインを接続することで短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、Nchデプレッション型トランジスタをトリミングすることで過電流保護回路の特性を最適にすることが可能となる。
【実施例4】
【0029】
図4は、第四の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第四の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第一の実施例との違いは、Nchエンハンスメント型トランジスタ401を用い、ゲートをNchデプレッション型トランジスタ123のドレインに接続し、ドレインをNchエンハンスメント型トランジスタ124のドレインに接続し、ソースをグラウンド端子100に接続した点である。
【0030】
次に第四の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
出力端子102とグラウンド端子100が短絡したとすると、出力トランジスタ105には大電流が流れようとする。従って、Pchトランジスタ121には、出力トランジスタ105とPchトランジスタ121のチャネル長とチャネル幅で決められた電流が流れる。するとNchエンハンスメント型トランジスタ401のゲート−ソース間電圧は、その電流値に比例して上昇する。この電圧がNchエンハンスメント型トランジスタ401の閾値電圧を超えると、抵抗122に発生する電圧が高くなり、Pchトランジスタ125がオンしていき、出力トランジスタ105のゲート−ソース間電圧は小さくなりオフする方向に向かう。そして出力電圧Voutが低くなっていく。このようにして、Pchトランジスタ121に電流を流し、この電流の増加を電圧としてNchエンハンスメント型トランジスタ401が検出することで垂下型過電流保護回路を動作させる。
【0031】
出力電圧Voutが低くなり、所定電圧Va以下になると、Nchエンハンスメント型トランジスタ124のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上になり、Nchエンハンスメント型トランジスタ124はオンする。すると、さらに抵抗122に発生する電圧が高くなり、Pchトランジスタ125がオンしていき、出力トランジスタ105のゲート−ソース間電圧はさらに小さくなりオフする方向に向かう。このようにして、Pchトランジスタ121に電流を流し、この電流の増加を電圧としてNchエンハンスメント型トランジスタ124が検出することでフの字型過電流保護回路が動作する。
【0032】
ここで、Nchデプレッション型トランジスタ123はゲートをドレインに接続されている。このように接続することで非飽和動作し、検出抵抗と同様にみなすことができる。この検出抵抗はNchのため、Nchエンハンスメント型トランジスタ124、Nchエンハンスメント型トランジスタ401とプロセスばらつき(閾値ばらつき)が連動する。検出抵抗と垂下型過電流保護回路の検出を行うNchエンハンスメント型トランジスタ401の閾値および、フの字型過電流保護回路の検出を行うNchエンハンスメント型トランジスタ124の閾値が連動するため、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。またプロセスばらつき軽減のために、抵抗およびヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0033】
以上により、検出抵抗の変わりにNchデプレッション型トランジスタを用いゲートとドレインを接続することで短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【実施例5】
【0034】
図5は、第五の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第五の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第四の実施例との違いは、Nchエンハンスメント型トランジスタ124とNchエンハンスメント型トランジスタ401の代わりに、Nchイニシャルトランジスタ501及び502を用いた点である。
【0035】
次に第五の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Nchイニシャルトランジスタ501及び502は、p基板上のNchエンハンスメント型トランジスタで、wellにインプラを行わず作成したトランジスタである。wellにインプラを行わないため、閾値にプロセスばらつきが発生することはない。
【0036】
Nchデプレッション型トランジスタ123はゲートをドレインに接続している。このように接続することで非飽和動作し、検出抵抗と同様にみなすことができる。
【0037】
この時、Nchイニシャルトランジスタ501及び502は閾値がばらつかないため、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性の原因となるのは検出抵抗のみとなる。プロセスばらつきが検出抵抗のみとなるため、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、プロセスばらつき軽減のために、抵抗およびヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0038】
以上により、検出抵抗の代わりにNchデプレッション型トランジスタを用いゲートとドレインを接続し、Nchイニシャルトランジスタを用いて検出を行い、Nchエンハンスメント型トランジスタのプロセスバラツキをなくすことで、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【0039】
なお、本実施例で検出用のトランジスタにNchイニシャルトランジスタを用いたが、他の実施例の回路に適用しても、同様の効果が得られる。
【実施例6】
【0040】
図7は、第六の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第六の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第一の実施例との違いは、Nchデプレッション型トランジスタ123をNchエンハンスメント型トランジスタ701に変更し、Nchエンハンスメント型トランジスタ701のソースに抵抗702を接続した点である。
【0041】
次に第六の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Nchエンハンスメント型トランジスタ701及び124は、同じ種類のトランジスタのため短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることができる。また、抵抗702によってNchエンハンスメント型トランジスタ701に流れる電流を調整できるため、過電流保護がかかる電流値を調整することができる。さらに、プロセスばらつき軽減のため抵抗及びヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0042】
以上により、検出抵抗の変わりにNchエンハンスメント型トランジスタを用いゲートとドレインを接続し、ソースに抵抗を接続することで、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になり、過電流保護がかかる電流値を調整することができる。また、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【実施例7】
【0043】
図8は、第七の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第七の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第六の実施例との違いは、抵抗122をPchトランジスタ801に変更し、ゲートとドレインを接続して、Pchトランジスタ125に接続した点である。
【0044】
次に第七の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Pchトランジスタ801を用いても、Nchエンハンスメント型トランジスタ124のゲート−ソース間電圧が上昇することによってしきい値を超えたとき、Pchトランジスタ125をオンさせることができる。このため、第七の実施形態のボルテージレギュレータと同様に動作させることができる。
【0045】
以上により、抵抗122をPchトランジスタ801に変更しても第六の実施形態のボルテージレギュレータと同様に、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。また、過電流保護がかかる電流値を調整することができ、チップ面積縮小を行うこともできるようになる。
【実施例8】
【0046】
図9は、第八の実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
第八の実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路103と、差動増幅回路104と、出力トランジスタ105と、分圧回路106と、過電流保護回路107で構成されている。第六の実施例との違いは、抵抗702をNchデプレッション型トランジスタ901に変更し、ゲートとドレインを接続した点である。
【0047】
次に第八の実施形態のボルテージレギュレータの動作について説明する。
Nchエンハンスメント型トランジスタ701及び124は、同じ種類のトランジスタであり、Nchデプレッション型トランジスタ901はNchエンハンスメント型トランジスタ701及び124と同じ装置でインプラ調整するため短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることができる。また、Nchデプレッション型トランジスタ901によってNchエンハンスメント型トランジスタ701に流れる電流を調整できるため、過電流保護がかかる電流値を調整することができる。そして、抵抗で行った場合と比較してチップ面積縮小を行うこともできる。さらに、プロセスばらつき軽減のため抵抗及びヒューズを用いないため、チップ面積縮小を行うこともできる。
【0048】
以上により、抵抗702をNchデプレッション型トランジスタ901に変更することによって、過電流保護がかかる電流値を調整することができチップ面積縮小を行うことができる。また、短絡電流のプロセスばらつきや温度依存性を最小にすることが可能になる。
【0049】
なお、抵抗122は、図示はしないがPchトランジスタを用い、ゲートとソースを接続して、ゲートをPchトランジスタ125のゲートおよび、Nchエンハンスメント型トランジスタ124のドレインに接続し、ソースを電源端子101に接続するする構成をとっても同様に動作させることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 グラウンド端子
101 電源端子
102 出力端子
103 基準電圧回路
104 差動増幅回路
105 出力トランジスタ
106 分圧回路
107 過電流保護回路
202 定電圧回路
501、502 Nchイニシャルトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力トランジスタの出力する電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧の差を増幅して出力し、前記出力トランジスタのゲートを制御する誤差増幅回路と、
前記出力トランジスタに過電流が流れたことを検出し、前記出力トランジスタの電流を制限する過電流保護回路と、を備えたボルテージレギュレータであって、
前記過電流保護回路は、
前記誤差増幅回路の出力電圧で制御され、前記出力トランジスタの出力電流をセンスするセンストランジスタと、
非飽和で動作し、前記センストランジスタに流れる電流によって電圧を発生する第一のトランジスタと、
前記第一のトランジスタが発生する電圧で制御され、前記出力トランジスタのゲート電圧を制御する出力電流制限回路と、を備えたことを特徴とするボルテージレギュレータ。
【請求項2】
前記第一のトランジスタは、
ゲートをドレインに接続したNchデプレッション型トランジスタである、ことを特徴とする請求項1記載のボルテージレギュレータ。
【請求項3】
前記Nchデプレッション型トランジスタは、
直列に接続された複数個のNchデプレッション型トランジスタと、夫々並列に接続されたトリミング用のヒューズと、を備えたことを特徴とする請求項2記載のボルテージレギュレータ。
【請求項4】
前記第一のトランジスタは、
ゲートに定電圧回路を接続したNchエンハンスメント型トランジスタである、ことを特徴とする請求項1記載のボルテージレギュレータ。
【請求項5】
前記第一のトランジスタは、
ゲートとドレインを接続したNchエンハンスメント型トランジスタであり、
前記Nchエンハンスメント型トランジスタのソースに抵抗を接続したことを特徴とする請求項1記載のボルテージレギュレータ。
【請求項6】
前記第一のトランジスタは、
ゲートとドレインを接続したNchエンハンスメント型トランジスタであり、
前記Nchエンハンスメント型トランジスタのソースに、ゲートとドレインを接続した第二のNchデプレッション型トランジスタを接続したことを特徴とする請求項1記載のボルテージレギュレータ。
【請求項7】
前記出力電流制限回路は、前記第一のトランジスタが発生する電圧を検出する第二のトランジスタを備え、
前記第二のトランジスタはイニシャルトランジスタである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のボルテージレギュレータ。
【請求項8】
前記出力電流制限回路は、前記第二のトランジスタのドレインに接続された第三のトランジスタを備え、
前記第三のトランジスタはゲートをドレインに接続したPchトランジスタである、ことを特徴とする請求項7記載のボルテージレギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−96231(P2011−96231A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175595(P2010−175595)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】