説明

ボルト一体型オイルコントロールバルブ

【課題】ハウジング内にスリーブを圧入して同スリーブを軸線方向について位置決めする際、そのスリーブの挿入部が変形することを防止できるようにする。
【解決手段】ハウジング16の大径部38に対するスリーブ23の圧入部23bの圧入は、その圧入を行うべく同スリーブ23を軸線方向に押圧する押圧器具がハウジング16に形成された基準面41に突き当てられることにより終了される。更に、そのときにスリーブ23が軸線方向について適正な位置に位置決めされる。このように、スリーブ23の軸線方向についての位置決めが、ハウジング16の端面等へのスリーブ23の突き当てによって行われることはない。従って、上記端面へのスリーブ23の突き当てに起因してスリーブ23の挿入部23aがハウジング16の軸線に対し傾くことはなく、その傾きに起因して挿入部23aがハウジング16の内周面に強く押し当てられることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト一体型オイルコントロールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される内燃機関として、燃費改善や出力向上等を意図して、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブタイミングを可変とするためのバルブタイミング可変機構を設けたものが実用化されている。こうした内燃機関では、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排を通じてカムシャフトの端部に固定された同機構の可動部材を動作させ、それによってカムシャフトのクランクシャフトに対する相対回転位相を変更するようにしている。このようにクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更することで、内燃機関においてバルブタイミングが可変とされる。
【0003】
バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排は、同機構とオイルポンプとを繋ぐ油圧回路を構成する複数の油路を通じて行われる。また、油圧回路における複数の油路の途中には、それら油路によるバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様を変更するオイルコントロールバルブが設けられる。そして、このオイルコントロールバルブを用いてバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様を変更することで、同機構の可動部材が動作して上述したようにクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が変更される。
【0004】
ところで、バルブタイミング可変機構においては、同機構を作動させる際の応答性を向上させることや、油圧回路の油路における同機構とオイルコントロールバルブとの間の部分からのオイル漏れを抑制することが要求されている。こうした要求に応えるためには、油圧回路の油路におけるオイルコントロールバルブとバルブタイミング可変機構との間の部分の長さを短くすることが望ましい。そして、上記の部分を短くするための具体的な手法としては、例えば特許文献1に示されるように、バルブタイミング可変機構の可動部材をカムシャフトに固定するためのボルトとしての機能と上記オイルコントロールバルブとしての機能とを併せ持つボルト一体型オイルコントロールバルブを用いることが考えられる。
【0005】
同文献におけるボルト一体型オイルコントロールバルブは、カムシャフトの端部にねじ締結されることで上記可動部材をカムシャフトに固定する円筒状のハウジングと、そのハウジング内で軸線方向に移動することの可能なスプールとを備えている。また、上記ハウジングには、油圧回路における複数の油路とハウジングの内周面とをそれぞれ繋ぐように、且つハウジングの径方向に直線状に延びるように形成された複数の孔が形成されている。そして、上記ハウジング内のスプールをその軸線方向における任意の位置に変位させて上記複数の孔の同ハウジングの内周面側の開口を同スプールの弁部によって解放したり閉塞したりすることにより、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様が変更されて同機構の可動部材が動作される。
【0006】
こうしたオイルコントロールバルブでは、スプールの軸線方向についての位置調節により、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様が適切に変更される(切り換えられる)ようにしなければならない。言い換えれば、スプールの軸線方向についての位置調節により、ハウジングに形成された複数の孔の同ハウジングの内周面側の開口がスプールの弁部によって適切に解放されたり閉塞されたりするよう、それら孔をハウジングの内周面における上記軸線方向についての適切な範囲(以下、適正開口範囲という)全体に亘って開口させなければならない。
【0007】
しかし、上記孔におけるハウジングの軸線方向の位置については、バルブタイミング可変機構に繋がる油圧回路の油路の形成位置に関係する設計上の制約がある。また、上記適正開口範囲におけるハウジングの軸線方向の幅及び位置については、ボルト一体型オイルコントロールバルブのスプールにおける弁部の位置等に関係する設計上の制約がある。このことから、ハウジングに形成された上記複数の孔における同ハウジングの内周面側の開口を、必ずしも上記適正範囲全体に亘って開口させることができるとは限らない。こうした問題に対処するため、ハウジングの内周面において上記適正開口範囲全体に亘る幅を有するとともに上記内周面の周方向に延びる複数のリセス溝を、上記複数の孔に繋がるようにそれぞれ形成することが考えられる。このように各リセス溝を形成することにより、ハウジングに形成された各孔が上記各リセス溝を通じて上記適正開口範囲全体に亘って開口するようになる。
【0008】
ただし、ハウジングの内周面に上記リセス溝を形成するにあたっては、その形成の難易度が極めて高いことから同形成に多大の時間を要するとともに、その形成を行う際の形成精度の確保も困難になる。また、リセス溝の形成に上述したように多大な時間がかかることに加え、同リセス溝を形成するための刃具が特殊なものとなる関係から、ボルト一体型オイルコントロールバルブの製造コスト上昇を招くことは避けられない。この点をふまえて、特許文献1に示すように、ボルト一体型オイルコントロールバルブのハウジング内に同ハウジングと同一軸線上に延びた状態で固定される円筒状のスリーブを設けることが考えられる。このスリーブの周壁に同スリーブの周方向を長径とする複数の長孔を形成し、その後にハウジング内に上記スリーブを固定することで、同スリーブに形成された上記各長孔がそれぞれリセス溝として機能するようになる。この場合、ハウジングの内周面に直接リセス溝を形成する必要はない。このため、ハウジングの内周面に上記リセス溝を直接的に形成することに関連して、上述したようにホルト一体型オイルコントロールバルブの製造コストが上昇することは抑制される。
【0009】
ボルト一体型オイルコントロールバルブのハウジング内に上述したようにスリーブを設ける場合、そのハウジングに対し上記スリーブを例えば次のように固定することが考えられる。すなわち、スリーブにおける複数の長孔が形成された部分全体(以下、挿入部という)をハウジングの内周面に対し挿入状態とする一方、スリーブにおける軸線方向の端部であって且つ上記挿入部以外の部分(以下、圧入部という)をハウジングの内周面に対し圧入する。スリーブの圧入部のハウジングの内周面に対する圧入は、同スリーブをハウジングの軸線方向に押圧することによって実現される。このようにスリーブの圧入部をハウジングの内周面に対し圧入することにより、スリーブのハウジングに対する固定が行われる。
【0010】
なお、スリーブをハウジングに対し固定する際、同スリーブの挿入部をハウジングの内周面に対し挿入状態とするのは、ハウジングが軸線方向において多少湾曲したとしても、その湾曲がハウジング内のスリーブに伝わらないようにするためである。ちなみに、ボルト一体型オイルコントロールバルブでは、ハウジングによりバルブタイミング可変機構の可動部材をカムシャフトにねじ締結する際、それに伴う力の作用を通じてハウジングがその軸線方向において湾曲するおそれがある。仮に、このようにハウジングが湾曲したとき、スリーブの挿入部とハウジングの内周面との間が非固定状態(上記挿入状態)であれば、上記ハウジングの湾曲がスリーブの挿入部に伝わりにくくなるため、同スリーブの挿入部がその軸線方向において湾曲することを抑制できる。このため、スリーブの挿入部が上述したように湾曲することに伴い、その挿入部の内部をスプールが軸線方向に移動できなくなることを抑制できるようにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2009−515090公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記スリーブを設けたボルト一体型オイルコントロールバルブでは、ハウジング内に固定されたスリーブの軸線方向位置が適正でないと、同スリーブに形成された各長孔がハウジングに形成された各孔に対応して位置しなくなり、スプールの軸線方向移動によるバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排に問題が生じるおそれがある。こうした問題を回避するため、スリーブを軸線方向に押圧して同スリーブの圧入部をハウジングの内周面に圧入するとき、スリーブの一部をハウジングに形成された所定の端面(以下、基準面という)に突き当て、それによってスリーブの軸線方向についての位置を適正な位置に定めることが考えられる。
【0013】
しかし、ハウジングの上記基準面の形成精度が悪いと、その基準面に対しスリーブの一部を突き当てたとき、上記基準面からスリーブに作用する力の方向がハウジングの軸線に対し傾き、それに起因して同スリーブの挿入部がハウジングの軸線に対し傾くおそれがある。このようにスリーブの挿入部が傾くことにより、同挿入部がハウジングの内周面に強く押し当てられると、その挿入部が軸線方向において湾曲(変形)して同挿入部内をスプールが軸線方向に移動することが困難になる。その結果、スプールの軸線方向移動によるバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排を適切に行うことができなくなる。
【0014】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ハウジング内にスリーブを圧入して同スリーブを軸線方向について位置決めする際、そのスリーブの挿入部が変形することを防止できるボルト一体型オイルコントロールバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ボルト一体型オイルコントロールバルブの円筒状のハウジングが、バルブタイミング可変機構の可動部材を動作させるべく同機構に対しオイルの給排を行う複数の油路の途中に設けられ、且つ上記可動部材をカムシャフトに固定すべく同カムシャフトの端部にねじ締結される。このハウジングの内部には、同ハウジングと同一軸線上に延びた状態で固定される円筒状のスリーブと、そのスリーブ内で軸線方向に移動することの可能なスプールとが設けられる。このスプールの軸線方向についての位置を変更することにより、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様が変更される。そして、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様の変更を通じて同機構の可動部材が動作し、その可動部材の動作を通じて内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が可変とされる。
【0016】
上記ボルト一体型オイルコントロールバルブにおいて、スリーブをハウジングに固定する際には、スリーブの挿入部がハウジングの内周面における第1内径部に挿入されるとともに、スリーブにおいて上記挿入部とは異なる径に形成された圧入部がハウジングの内周面における上記第1内径部とは異なる径を有する第2内径部に圧入される。こうしたハウジングの第2内径部に対しスリーブの圧入部を圧入することは、同スリーブを押圧器具でハウジングの軸線方向に押圧することによって実現される。このようにスリーブの圧入部をハウジングの内周面における第2内径部に対し圧入することにより、スリーブのハウジングに対する固定が行われる。そして、スリーブをハウジングに固定した状態において、ハウジングにおける第1内径部と第2内径部との間の段差に形成された端面と、スリーブにおける圧入部と挿入部とを繋ぐように形成された段差部との間には、クリアランスが設けられる。
【0017】
こうしたクリアランスを設けるため、上記押圧器具によるスリーブの押圧を軸線方向への押圧を通じて同スリーブの圧入部をハウジングの内周面の第2内径部に対して圧入することが、例えば次のように行われる。すなわち、ハウジングもしくは同ハウジングを固定する治具に、上記押圧器具によってスリーブを軸線方向に押圧するときに同押圧器具を突き当てることが可能な基準面を設定しておく。この基準面に関しては、上記押圧器具が同基準面に突き当たるまでスリーブを軸線方向に押圧したとき、同スリーブの軸線方向位置を適正な位置に定めることができるように設定される。更に、上記押圧器具が上記基準面に突き当たるまで、その押圧器具によりスリーブを軸線方向に押圧して同スリーブの圧入部をハウジングの第2内径部に圧入したとき、上記クリアランスを生じさせることができるよう、ハウジングにおける第1内径部と第2内径部との間の段差に形成された上記端面の同ハウジングの記軸線方向についての位置が定められる。こうした状態で、上記押圧器具によりスリーブを軸線方向に押圧して同スリーブの圧入部をハウジングの第2内径部に圧入しつつ、上記押圧器具を上記基準面に突き当てることで、上記クリアランスが設けられる。すなわち、ハウジングにおける第1内径部と第2内径部との間の段差に形成された端面と、スリーブにおける圧入部と挿入部とを繋ぐ段差部との間に、上記クリアランスが設けられる。
【0018】
この場合、上記押圧器具がハウジングもしくは同ハウジングを固定する治具に形成された基準面に突き当てられることにより、その押圧器具を用いたハウジングの第2内径部に対するスリーブの圧入部の圧入が終了されるとともに、スリーブが軸線方向について上記適正な位置に位置決めされる。ここで、上記クリアランスの存在からも分かるように、スリーブの軸線方向についての位置決めが、ハウジングの上記端面へのスリーブ(段差部)の突き当てによって行われることはない。従って、上記端面の形成精度が悪いとき、その端面へのスリーブの突き当てに起因してスリーブの挿入部がハウジングの軸線方向に対し傾き、その傾きによって同挿入部がハウジングの内周面に強く押し当てられることもない。その結果、スリーブの挿入部が軸線方向において湾曲(変形)し、その湾曲に起因して同挿入部内をスプールが軸線方向に移動することが困難になることを抑制できる。
【0019】
なお、上述したように、押圧器具をハウジングもしくは同ハウジングを固定するための治具に形成された上記基準面に突き当てることで、スリーブを軸線方向について位置決めする場合において、上記基準面の形成精度が悪い可能性もある。この基準面の形成精度が悪い場合には、その基準面に対し上記押圧器具を突き当てたとき、上記基準面から上記押圧器具に作用する力の方向がスリーブ(ハウジング)の軸線に対し傾くことがある。しかし、こうした力がスリーブに対して直接的に伝わることはないため、上記力の作用に起因してスリーブの挿入部がハウジングの軸線に対し傾くことはない。従って、このようにスリーブの挿入部が傾くことにより、同挿入部がハウジングの内周面に強く押し当てられ、その押し当てによって上記挿入部が軸線方向において湾曲(変形)することもない。このため、ハウジングの第2内径部に対しスリーブの圧入部を圧入しつつ同スリーブを軸線方向について位置決めする際、そのスリーブの挿入部が湾曲(変形)することを防止でき、その湾曲によって同挿入部内をスプールが軸線方向に移動することが困難になることを抑制できる。
【0020】
なお、ハウジングに対しスリーブを軸線方向について位置決めするために上記押圧器具の突き当てを受ける上記基準面は、請求項2記載の発明のように、ハウジングに形成することが好ましい。
【0021】
また、上記スリーブは、請求項3記載の発明のように、プレス加工によって形成することが好ましい。この場合、スリーブの挿入部、圧入部、及び段差部が、同スリーブの素材をプレス加工することによって形成される。このため、上記プレス加工時に金型によって、スリーブにおける上記圧入部の外径を適正値に、且つスリーブの軸線方向について一定値となるように調整することが可能になり、そうした外径の調整を容易に行うことが可能になる。このように圧入部の外径を適正値に且つ一定値に調整することで、同圧入部をハウジングの第2内径部に圧入するとき、スリーブ(挿入部)がハウジングの軸線に対し傾きにくくなる。
【0022】
一方、上記スリーブの圧入部は、請求項4記載の発明のように、同スリーブの軸線方向において円弧状に湾曲し、且つ、その湾曲により同スリーブの軸線から離れる方向に膨らんだ状態となるものであってもよい。この場合、スリーブの圧入部をハウジングの第2内径部に圧入するとき、同スリーブがハウジングの軸線に対し多少傾いたとしても、その傾きを許容して圧入することができ、無理な圧入状態となることはない。従って、その圧入後にスリーブの挿入部がハウジングの軸線に対し傾いていたとしても、その傾きをなくすように修正するという対応、詳しくは上記挿入部を上記圧入部に対し上記傾きをなくすように変形させるという対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のボルト一体型オイルコントロールバルブ、及びそれが適用されるバルブタイミング可変機構の油圧回路を示す略図。
【図2】同バルブタイミング可変機構における可動部材の固定態様を示す断面図。
【図3】ボルト一体型オイルコントロールバルブにおけるハウジングの大径部、並びにスリーブにおける圧入部及び段差部周りを示す拡大断面図。
【図4】ボルト一体型オイルコントロールバルブにおけるハウジングの大径部、並びにスリーブにおける圧入部及び段差部周りの本発明との比較例を示す拡大断面図。
【図5】本発明のボルト一体型オイルコントロールバルブにおけるスリーブの他の例を示す略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1に示されるように、内燃機関のバルブタイミング可変機構1は、同機関のカムシャフト2(例えば吸気カムシャフト)に対しボルトにより固定された可動部材3と、カムシャフト2と同一軸線上に上記可動部材3を囲むように設けられて内燃機関のクランクシャフトの回転が伝達されるケース4とを備えている。このケース4の内周面には、カムシャフト2の軸線に向かって突出する突部5が周方向について所定の間隔をおいて複数形成されている。また、可動部材3の外周面には、カムシャフト2の軸線から離れる方向に突出する複数のベーン6がそれぞれ上記各突部5の間に位置するように形成されている。これにより、ケース4内における各突部5の間に位置する部分が、ベーン6により進角側油圧室7と遅角側油圧室8とに区画されている。
【0025】
そして、進角側油圧室7にオイルを供給するとともに遅角側油圧室8からオイルを排出すると、可動部材3がケース4に対し図中の右回転方向に相対回転してカムシャフト2のクランクシャフトに対する相対回転位相が進角側に変化し、それによって内燃機関の機関バルブ(この例では吸気バルブ)のバルブタイミングが進角側に変化する。また、遅角側油圧室8にオイルを供給するとともに進角側油圧室7からオイルを排出すると、可動部材3がケース4に対し図中左回転方向に相対回転してカムシャフト2のクランクシャフトに対する相対回転位相が遅角側に変化し、それによって内燃機関の機関バルブのバルブタイミングが遅角側に変化する。
【0026】
バルブタイミング可変機構1の進角側油圧室7及び遅角側油圧室8に対するオイルの給排は、同機構1とオイルポンプ9とを繋ぐ油圧回路に設けられたオイルコントロールバルブの駆動を通じて制御される。この実施形態では、バルブタイミング可変機構1を作動させる際の応答性向上や、同機構1とオイルコントロールバルブとの間のオイル経路上でのオイル漏れ抑制を意図して、同オイルコントロールバルブとして上記可動部材3をカムシャフト2に固定するためのボルトとしても機能するボルト一体型オイルコントロールバルブ10が用いられる。このボルト一体型オイルコントロールバルブ10は、オイルポンプ9に対し供給通路11を介して接続されるとともに、そのオイルポンプ9により汲み上げられるオイルを貯留するためのオイルパン12に対し排出通路13を介して接続されている。また、ボルト一体型オイルコントロールバルブ10は、バルブタイミング可変機構1の進角側油圧室7に対し進角側油路14を介して接続されるとともに、同機構1の遅角側油圧室8に対し遅角側油路15を介して接続されている。
【0027】
ボルト一体型オイルコントロールバルブ10は、上記可動部材3をカムシャフト2に固定するために同カムシャフト2の端部にねじ締結される円筒状のハウジング16を備えている。このハウジング16には、上記進角側油路14に繋がる第1の孔18、上記遅角側油路15に繋がる第2の孔19、及び上記供給通路11に繋がる第3の孔22が、同ハウジング16の径方向に直線状に延びるように形成されている。また、ハウジング16内には、同ハウジング16と同一軸線上に延びた状態で固定される円筒状のスリーブ23が設けられている。このスリーブ23の周壁には、同スリーブ23の周方向を長径とする複数の長孔34〜36が形成されている。そして、スリーブ23をハウジング16内に固定した状態では、上記各長孔34〜36がそれぞれ第1の孔18、第2の孔19、及び第3の孔22と繋がり、それら各長孔34〜36によってハウジング16の周方向に延びるリセス溝34a〜36aが形成される。
【0028】
ボルト一体型オイルコントロールバルブ10は、ハウジング16に固定されたスリーブ23内で軸線方向に移動可能なスプール17も備えている。同スプール17は、その軸線方向についての位置調整を通じて、第1の孔18(進角側油路14)及び第2の孔19(遅角側油路15)と第3の孔22(供給通路11)及び排出通路13との接続状態を切り換えるものである。このように進角側油路14及び遅角側油路15と供給通路11及び排出通路13との接続状態を切り換えることにより、バルブタイミング可変機構1に対するオイルの給排態様が変更される。
【0029】
スプール17の軸線方向についての変位は、ハウジング16内に設けられて同スプール17を軸線方向に付勢することの可能なばね(コイルスプリング)20,29と、それらばね20,29の付勢力に抗してスプール17を押圧する上記アクチュエータ21とによって実現される。上記ばね20は、スプール17の軸線方向右端部を図中の左側に向けて付勢する。上記ばね29は、スプール17の軸線方向左端部を同じく図中の左側に向けて付勢する。上記アクチュエータ21は、スプール17の軸線方向の端面(この例では図中左側の端面)から、同スプール17を上記ばね20,29の付勢力に抗して押圧する。そして、アクチュエータ21のスプール17に対する押圧力を調整すると、その押圧力とばね20,29の付勢力とが釣り合うようスプール17が軸線方向に変位する。このようにスプール17をその軸線方向における任意の位置に移動させることで、そのスプール17によって、第1の孔18(進角側油路14)及び第2の孔19(遅角側油路15)と第3の孔22(供給通路11)及び排出通路13との接続状態が切り換えられる。
【0030】
具体的には、例えば、供給通路11(第3の孔22)と進角側油路14(第1の孔18)とが接続されるとともに、排出通路13と遅角側油路15(第2の孔19)とが接続されるよう、スプール17の軸線方向についての位置が調節される。この場合、バルブタイミング可変機構1において、進角側油圧室7にオイルが供給されるとともに遅角側油圧室8からオイルが排出される。その結果、同機構1の可動部材3がケース4に対し図中右回転方向に相対回転して内燃機関のバルブタイミングが進角側に変化する。また、供給通路11(第3の孔22)と遅角側油路15(第2の孔19)とが接続されるとともに、排出通路13と進角側油路14(第1の孔18)とが接続されるよう、スプール17の軸線方向についての位置が調節される場合もある。この場合、バルブタイミング可変機構1の遅角側油圧室8にオイルが供給されるとともに進角側油圧室7からオイルが排出される。その結果、同機構1の可動部材3がケース4に対し図中左回転方向に相対回転して内燃機関のバルブタイミングが遅角側に変化する。
【0031】
なお、スプール17においては、その軸線方向についての位置調節を通じて、第1の孔18(進角側油路14)及び第2の孔19(遅角側油路15)と第3の孔22(供給通路11)及び排出通路13との接続状態の切り換えを行うことができるよう、同スプール17の外周面に周方向全体に亘って延びる油溝31,32,33が形成されている。そして、スプール17における各油溝31,32,33及びそれらを仕切る部分は、第1の孔18、第2の孔19、及び第3の孔22におけるハウジング16の内周面側の開口部分であるリセス溝34a〜36aを解放したり閉塞したりするための弁部として機能する。ボルト一体型オイルコントロールバルブ10では、スプール17の軸線方向についての位置調節を通じて、第1の孔18、第2の孔19、及び第3の孔22におけるハウジング16の内周面側の開口であるリセス溝34a〜36aをスプール17の弁部によって適切に解放したり閉塞したりすることが望まれている。これを実現するためには、第1の孔18、第2の孔19、及び第3の孔22におけるハウジング16の内周面側の開口を、ハウジング16の内周面における上記軸線方向についての適切な範囲(以下、適正開口範囲という)全体に亘って開口させなければならない。従って、上記リセス溝34a〜36aについては、それらリセス溝34a〜36aが上記適正開口範囲全体に亘って位置するようにそれぞれ設定されている。
【0032】
次に、上記ボルト一体型オイルコントロールバルブ10を用いた可動部材3のカムシャフト2への固定について、図2を参照して詳しく説明する。
同図に示されるように、ボルト一体型オイルコントロールバルブ10のハウジング16は、バルブタイミング可変機構1の可動部材3を貫通する胴部16bを備えている。ハウジング16において、上記胴部16bよりも同ハウジング16の一端側(図中右側)には、カムシャフト2の端部にねじ締結されるねじ部16aが形成されている。また、ハウジング16において、上記胴部16bよりも同ハウジング16の他端側(図中左側)には、ねじ部16aがカムシャフト2の端部にねじ締結されたときに同カムシャフト2の端面との間に可動部材3を挟み込んで固定するフランジ部16cが形成されている。
【0033】
ハウジング16のねじ部16aがカムシャフト2の端部にねじ締結された状態にあって、そのカムシャフト2の端面とハウジング16のフランジ部16cとの間には、上記可動部材3の他にフロントブッシュ24、リヤブッシュ25、及び支持体26が設けられている。これらフロントブッシュ24、リヤブッシュ25、及び支持体26のうち、フロントブッシュ24は可動部材3とフランジ部16cとの間に設けられており、リヤブッシュ25及び支持体26は可動部材3とカムシャフト2の端面との間に設けられている。そして、可動部材3、フロントブッシュ24、リヤブッシュ25、及び支持体26にはそれぞれ孔3a,24a,25a,26aが形成されており、それら孔3a,24a,25a,26aをハウジング16の胴部16bが貫通している。上記可動部材3、フロントブッシュ24、リヤブッシュ25、及び支持体26は、ハウジング16のねじ部16aがカムシャフト2の端部にねじ締結されたとき、そのカムシャフト2の端面とハウジング16のフランジ部16cとの間に挟み込まれる。この状態にあって、上記可動部材3、フロントブッシュ24、リヤブッシュ25、及び支持体26は、カムシャフト2に対し一体回転可能に固定されるとともに、カムシャフト2の軸線方向について固定される。
【0034】
上記支持体26は、内燃機関のクランクシャフトからの回転伝達を受けるスプロケット27をカムシャフト2に対し相対回転できるよう支持している。また、上記スプロケット27にはバルブタイミング可変機構1のケース4が固定されている。そして、内燃機関のクランクシャフトの回転がスプロケット27に伝達されると、同スプロケット27及びケース4がカムシャフト2の軸線を中心に回転する。こうしたスプロケット27及びケース4の回転は、そのケース4内のオイルを介して可動部材3に伝達され、その後にカムシャフト2に伝達されるようになる。従って、バルブタイミング可変機構1の可動部材3をケース4に対し相対回転させると、クランクシャフトに対するカムシャフト2の相対回転位相が変化し、その変化に対応して内燃機関のバルブタイミングが変化する。
【0035】
次に、ハウジング16に対するスリーブ23の取付構造について詳しく説明する。
ハウジング16の内周面には、スプール17の外周面との間でスリーブ23を厚さ方向に挟む小径部37(第1内径部)と、その小径部37よりも大径となる大径部38(第2内径部)とが形成されている。これら小径部37及び大径部38の境界付近を図3に拡大して示す。また、スリーブ23は、ハウジング16の内周面の上記小径部37に挿入される挿入部23aと、その挿入部23aよりも大径であってハウジング16の内周面の上記大径部38に圧入される圧入部23bと、それら挿入部23a及び圧入部23bを繋ぐように形成された段差部23cとを備えている。スリーブ23の挿入部23aには、上記長孔34〜36(図3には長孔35のみ図示)が形成されている。こうしたスリーブ23は、例えばプレス加工によって形成することが考えられる。この場合、スリーブ23の挿入部23a、圧入部23b、及び段差部23cは、スリーブ23の素材をプレス加工によってスリーブ23とする際に形成される。そして、ハウジング16における上記小径部37と上記大径部38との間の段差に形成された端面39と、スリーブ23の段差部23cとの間にはクリアランスCが設けられている。
【0036】
上記スリーブ23をハウジング16に固定する際には、スリーブ23の挿入部23aがハウジング16の内周面における小径部37に挿入されるとともに、スリーブ23においの圧入部23bがハウジング16の内周面における大径部38に圧入される。こうしたハウジング16の大径部38に対しスリーブ23の圧入部23bを圧入することは、同スリーブ23を押圧器具40でハウジング16の軸線方向(図中右方向)に押圧することによって実現される。なお、このときのハウジング16は、治具によって固定された状態とされる。上記のようにスリーブ23の圧入部23bをハウジング16の内周面における大径部38に対し圧入することにより、スリーブ23のハウジング16に対する固定が行われる。そして、スリーブ23をハウジング16に固定した状態において、ハウジング16の上記端面39とスリーブ23の上記段差部23cとの間に上記クリアランスCが設けられる。
【0037】
こうしたクリアランスCを設けるためにハウジング16には、上記押圧器具40によるスリーブ23の押圧を軸線方向への押圧を通じて同スリーブ23の圧入部23bをハウジング16の内周面の大径部に対して圧入する際、上記押圧器具40の突き当てを受ける基準面41が形成されている。この基準面41に関しては、上記押圧器具40が同基準面41に突き当たるまでスリーブ23を軸線方向に押圧したとき、同スリーブ23の軸線方向位置を適正な位置に定めることができるように設定される。更に、上記押圧器具40が上記基準面41に突き当たるまで、その押圧器具40によりスリーブ23を軸線方向に押圧して同スリーブ23の圧入部23bをハウジング16の大径部38に圧入したとき、上記クリアランスCを生じさせることができるよう、端面39の上記軸線方向についての位置が定められる。こうした状態で、上記押圧器具40によりスリーブ23を軸線方向に押圧して同スリーブ23の圧入部23bをハウジング16の大径部38に圧入しつつ、上記押圧器具40を上記基準面41に突き当てることで、上記クリアランスCが設けられる。
【0038】
なお、上記基準面41は、ハウジング16の大径部38に対するスリーブ23の圧入部23bの圧入終了後、ばね29(図1、図2参照)の付勢力を受けるばね座として用いられる。
【0039】
次に、本実施形態のボルト一体型オイルコントロールバルブ10の作用について説明する。
仮に、ハウジングへのスリーブの圧入時、同スリーブの軸線方向についての位置を適正な位置に定めるために、そのスリーブの一部をハウジングに形成された所定の端面に突き当てたとする。例えば、図4に示すように、スリーブ23の一部をハウジング16の端面39に突き当てることで、同スリーブ23の軸線方向についての位置決めを行った場合、[発明が解決しようとする課題]の欄にも記載した次のような問題が生じる。すなわち、ハウジング16における上記端面39の形成精度が悪いと、その端面39に対しスリーブ23の一部を突き当てたとき、上記端面39からスリーブ23に作用する力の方向がスリーブ23の軸線方向に対し傾き、それに起因してスリーブ23の挿入部23aがハウジング16の軸線に対し傾くおそれがある。このようにスリーブ23の挿入部23aが傾くことにより、同挿入部23aがハウジング16の内周面に強く押し当てられると、その挿入部23aが軸線方向において湾曲(変形)して同挿入部23a内をスプールが軸線方向に移動することが困難になる。その結果、スプールの軸線方向移動によるバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排を適切に行うことができなくなるという問題が生じる。
【0040】
しかし、図3に示すように、この実施形態のボルト一体型オイルコントロールバルブ10では、上記押圧器具40がハウジング16に形成された上記基準面41に突き当てられることにより、その押圧器具40を用いたハウジング16の大径部38に対するスリーブ23の圧入部23bの圧入が終了される。更に、そのときにスリーブ23が軸線方向について上記適正な位置に位置決めされる。ここで、上記クリアランスCの存在からも分かるように、スリーブ23の軸線方向についての位置決めが、ハウジング16の上記端面39(図4)へのスリーブ23の突き当てによって行われることはない。従って、上記端面39へのスリーブ23の突き当てに起因する上記問題の発生を抑制することができる。
【0041】
なお、図3に示すように、押圧器具40をハウジング16の上記基準面41に突き当てることで、スリーブ23を軸線方向について位置決めする場合において、上記基準面41の形成精度が悪い可能性もある。この基準面41の形成精度が悪い場合には、その基準面41に対し上記押圧器具40を突き当てたとき、上記基準面41から上記押圧器具40に作用する力の方向がスリーブ23(ハウジング16)の軸線に対し傾くことがある。しかし、こうした力がスリーブ23に対して直接的に伝わることはないため、上記力の作用に起因してスリーブ23の挿入部23aがハウジング16の軸線に対し傾くことはない。従って、このようにスリーブ23の挿入部23aが傾くことにより、同挿入部23aがハウジング16の内周面に強く押し当てられ、その押し当てによって上記挿入部23aが軸線方向において湾曲(変形)することもない。
【0042】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ハウジング16の大径部38に対しスリーブ23の圧入部23bを圧入しつつ同スリーブ23を軸線方向について位置決めする際、そのスリーブ23の挿入部23aが湾曲(変形)することを防止でき、その湾曲によって同挿入部23a内をスプール17が軸線方向に移動することが困難になることを抑制できる。
【0043】
(2)スリーブ23の挿入部23a、圧入部23b、及び段差部23cは、スリーブ23の素材をプレス加工によってスリーブ23とする際に形成される。このため、上記プレス加工時に金型によって、スリーブ23における上記圧入部23bの外径を適正値に、且つスリーブ23の軸線方向について一定値となるように調整することが可能になり、そうした外径の調整を容易に行うことが可能になる。このように圧入部23bの外径を適正値に且つ一定値に調整することにより、同圧入部23bをハウジング16の大径部38に圧入するとき、スリーブ23(挿入部23a)がハウジング16の軸線に対し傾きにくくなる。
【0044】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・図5に示すように、スリーブ23の圧入部23bを、同スリーブ23の軸線方向において円弧状に湾曲し、且つ、その湾曲により同スリーブ23の軸線から離れる方向に膨らんだ状態となるようにしてもよい。この場合、スリーブ23の圧入部23bをハウジング16の大径部38に圧入するとき、同スリーブ23がハウジング16の軸線に対し多少傾いたとしても、その傾きを許容して圧入することができ、無理な圧入状態となることはない。従って、その圧入後にスリーブ23の挿入部23aがハウジング16の軸線に対し傾いていたとしても、その傾きをなくすように修正するという対応、詳しくは上記挿入部23aを上記圧入部23bに対し上記傾きをなくすように変形させるという対応をとることができる。具体的には、ハウジング16を固定した状態で、同ハウジングの軸線と同一軸線上に延びる棒状の圧入具42を上記スリーブ23の挿入部23aに圧入する。これにより、スリーブ23の挿入部23aが変形して同挿入部23aの圧入部23bに対する上記傾きが修正される。
【0045】
・スリーブ23の圧入部23bをハウジング16の内周面の大径部に対して圧入する際に押圧器具40の突き当てを受ける基準面41を、ハウジング16に形成する代わりに同ハウジング16を固定するための治具に形成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…バルブタイミング可変機構、2…カムシャフト、3…可動部材、3a…孔、4…ケース、5…突部、6…ベーン、7…進角側油圧室、8…遅角側油圧室、9…オイルポンプ、10…ボルト一体型オイルコントロールバルブ、11…供給通路、12…オイルパン、13…排出通路、14…進角側油路、15…遅角側油路、16…ハウジング、16a…ねじ部、16b…胴部、16c…フランジ部、17…スプール、18…第1の孔、19…第2の孔、20…ばね、21…アクチュエータ、22…第3の孔、23…スリーブ、23a…挿入部、23b…圧入部、23c…段差部、24…フロントブッシュ、24a…孔、25…リヤブッシュ、25a…孔、26…支持体、26a…孔、27…スプロケット、29…ばね、31〜33…油溝、34…長孔、34a…リセス溝、37…小径部、38…大径部、39…端面、40…押圧器具、41…基準面、42…圧入具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルの給排により可動部材を動作させてクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変とするバルブタイミング可変機構を備える内燃機関に適用され、前記可動部材を前記カムシャフトに固定すべく同シャフトの端部にねじ締結される円筒状のハウジングと、そのハウジング内に同ハウジングと同一軸線上に延びた状態で固定される円筒状のスリーブと、前記バルブタイミング可変機構に対する前記オイルの給排を行うために前記スリーブ内で軸線方向に移動可能なスプールとを備えるボルト一体型オイルコントロールバルブにおいて、
前記ハウジングの内周面には、前記スプールの外周面との間で前記スリーブを厚さ方向に挟む第1内径部と、その第1内径部とは異なる径を有するの第2内径部とが形成されており、
前記スリーブは、前記ハウジングの内周面の前記第1内径部に挿入される挿入部と、その挿入部とは異なる径に形成されて前記ハウジングの内周面の前記第2内径部に圧入される圧入部と、それら挿入部及び圧入部を繋ぐように形成された段差部とを備えており、
前記ハウジングにおける前記第1内径部と前記第2内径部との間の段差に形成された端面と、前記スリーブの段差部との間にクリアランスが設けられている
ことを特徴とするボルト一体型オイルコントロールバルブ。
【請求項2】
前記スリーブの圧入部は、押圧器具による同スリーブの前記ハウジングの軸線方向についての押圧により、前記ハウジングの前記第2内径部に対し圧入されるものであり、
前記ハウジングは、前記スリーブの圧入部を前記ハウジングの第2内径部に対し圧入する際、前記押圧器具の突き当てを受ける基準面を備えている
請求項1記載のボルト一体型オイルコントロールバルブ。
【請求項3】
前記スリーブの挿入部、圧入部、及び段差部は、同スリーブの素材をプレス加工することによって形成されている
請求項1または2記載のボルト一体型オイルコントロールバルブ。
【請求項4】
前記スリーブの圧入部は、同スリーブの軸線方向において円弧状に湾曲しており、且つ、その湾曲により同スリーブの軸線から離れる方向に膨らんだ状態となる
請求項3記載のボルト一体型オイルコントロールバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100768(P2013−100768A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244741(P2011−244741)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】