説明

ポケット部形成装置及びPTP包装機

【課題】装置の大型化を抑制しつつも、汎用性の向上等を図ることのできるポケット部形成装置及びPTP包装機を提供する。
【解決手段】PTP包装機は、帯状の容器フィルム3にポケット部2を形成するポケット部形成装置等を備える。ポケット部形成装置は下型及び上型を備え、各型にはポケット部に対応して複数の孔部が形成されている。下型の孔部には成形プラグが上下動可能に挿通され、上型の孔部にはコイルばねにより付勢された状態でプッシャが収容されている。そして、両型により容器フィルム3を挟持した上で、成形プラグを第1位置まで突出させ、深さXのポケット部2を形成する。続けて、成形プラグを第2位置まで後退させ、プッシャの圧力により、ポケット部2の頂部2aに深さYの凹部2bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被収容物を収容するポケット部を帯状のフィルムに形成するポケット部形成装置、及び当該ポケット部形成装置を備えたPTP包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、錠剤等の被収容物が収容される複数のポケット部を備えた容器フィルムと、ポケット部の開口側を塞ぐように容器フィルムに取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
PTPシートにおいては、ポケット部の強度の向上等を図るため、ポケット部の頂部に凹部を形成することが考えられる。
【0004】
このようなポケット部を帯状の容器フィルムに形成するためのポケット部形成装置としては、本願出願人が開発した装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
かかるポケット部形成装置は下型及び上型を備え、当該下型及び上型にはポケット部の形成位置に対応する位置に複数の孔部が形成されている。下型の孔部には成形プラグが上下動可能に挿通され、上型の孔部にはプッシャが収容されている。そして、下型及び上型により帯状の容器フィルムを挟持した後、成形プラグにより容器フィルムを伸張し、ポケット部を形成する。この際、成形プラグとプッシャに挟まれることで、ポケット部の頂部に凹部が形成されることとなる。また、下型の孔部からの成形プラグの最大突出量を変更可能とすることで、深さの異なる多様なポケット部を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010−88238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特願2010−88238号に記載された構成では、成形プラグやプッシャを形状の異なるものに交換しない限り、凹部の深さを調整することができず、一定寸法の凹部しか形成することができなかった。
【0008】
一般に、ポケット部の深さは、PTPシート製造後の集積、包装、箱詰め等との関係で、各種製品ごとに所定寸法に設定される。一方、凹部の深さは、錠剤等の被収容物の大きさ等との関係で、各種製品ごとに所定寸法に設定される。このため、ポケット部及び凹部の寸法を別々に調整できないと、汎用性が低くなるおそれがある。また、成形プラグやプッシャを各種製品ごとに異なるものに交換する作業は、作業性の低下や生産コストの増加を招くおそれがある。
【0009】
ポケット部及び凹部の寸法を別々に調整可能とするため、下型の成形プラグと同様、上型のプッシャにもこれを駆動制御する駆動機構を設けることも考えられるが、両者に対応して別々の駆動機構を設けた場合には、装置が大型化することが懸念される。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、装置の大型化を抑制しつつも、汎用性の向上等を図ることのできるポケット部形成装置及びPTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.被収容物を収容するポケット部を帯状のフィルムに形成するポケット部形成装置であって、
前記フィルムを挟持する第1型及び第2型と、
前記第1型及び第2型において、前記ポケット部に対応する位置に形成された孔部と、
前記第1型の孔部内において当該孔部に沿って移動可能に設けられ、前記第1型の孔部から前記第2型の孔部内へ突出して前記フィルムを押圧することにより前記ポケット部を形成するポケット部形成型と、
前記ポケット部形成型の突出量を調整可能に構成され、少なくとも前記ポケット部形成型を第1位置まで突出させた後、第2位置まで後退させる制御を行う突出量調整手段と、
前記第2型の孔部内において当該孔部に沿って移動可能に設けられ、前記ポケット部の頂部に凹部を形成するための凹部形成型と、
前記凹部形成型を前記第1型側へ付勢する付勢手段とを備えることにより、
前記ポケット部の深さを変更可能とすると共に、前記凹部の深さを変更可能としたことを特徴とするポケット部形成装置。
【0013】
上記手段1によれば、第1型及び第2型によってフィルムを挟持した上で、ポケット部形成型を第1位置まで突出させることにより、付勢手段の付勢力に抗して凹部形成型を押し戻しつつ、所定の深さのポケット部を形成する。続けて、ポケット部形成型を第2位置まで後退させることにより、付勢手段の付勢力により凹部形成型がポケット部形成型に追従して動き、ポケット部の頂部に所定の深さの凹部を形成する。
【0014】
このように、手段1によれば、ポケット部形成型の動作制御を行うだけで、ポケット部の深さを変更することが可能となると共に、凹部の深さを変更することも可能となる。
【0015】
結果として、ポケット部及び凹部の深さを個々に調整可能となることから、汎用性を向上させることができる。また、ポケット部及び凹部の深さ調整のためだけに各形成型を交換する必要がなく、作業性の向上や生産コストの増加抑制を図ることができる。さらに、各形成型に対応して別々の駆動機構を設ける必要がなく、装置の大型化を抑制することができる。
【0016】
手段2.前記付勢手段が弾性部材により構成されていることを特徴とする手段1に記載のポケット部形成装置。
【0017】
上記手段2によれば、付勢手段として、例えばコイルばね等の弾性部材を用いることにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
尚、ポケット部形成型によりフィルムを伸ばしてポケット部を形成した後、凹部を形成する構成とすることにより、フィルムがより薄くなった状態で凹部形成作業を行うことができるため、付勢手段として弾性部材を利用し、比較的弱い付勢力しか得られない場合であっても、十分に凹部を形成することができる。
【0019】
手段3.前記フィルムがアルミニウムを主材料として形成されたものであることを特徴とする手段1又は2に記載のポケット部形成装置。
【0020】
ここで、「アルミニウムを主材料として形成されている」とは、アルミニウム単体で形成されている場合は勿論のこと、樹脂フィルム層が介在されたアルミラミネートフィルムをも含む趣旨である。
【0021】
アルミニウムを主材料としてフィルムを形成した場合には、ポリプロピレン(PP)やポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料から形成した場合に比べて、塑性変形しやすく元の形状に復元しにくいことから、ポケット部の潰れ変形が起こりやすくなる。これに対し、ポケット部に上記凹部を設けることで、ポケット部の強度を向上させることができる。結果として、PTPシート集積時等における外部からの圧力等によるポケット部の潰れ変形を防止することができる。
【0022】
従って、上記手段3の構成下において、上記手段1等の構成がより奏効することとなる。
【0023】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載のポケット部形成装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0024】
手段1等に記載のポケット部形成装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において効率的にポケット部及び凹部を形成することができる等のメリットが生じる。
【0025】
PTP包装機のより具体的な構成として以下に示す構成が挙げられる。
【0026】
「被収容物を収容するための複数のポケット部を有した容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成装置と、
前記ポケット部に前記被収容物を投入する投入手段と、
前記ポケット部に前記被収容物が投入された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備えたPTP包装機。」
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図であり、(c)は、PTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
【図3】ポケット部形成装置の概略構成を示す部分断面図である。
【図4】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図5】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図6】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図7】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図8】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図9】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図10】ポケット部の形成工程を説明するためのポケット部形成装置の部分拡大断面図である。
【図11】別の実施形態のポケット部の形状を示す容器フィルムの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1(a)〜(c)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の裏側に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態における容器フィルム3はアルミラミネートフィルムにより形成され、カバーフィルム4はアルミフィルムにより形成されている。
【0030】
PTPシート1は、容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図1(b)参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0031】
図1(c)に示すように、各ポケット部2には、被収容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態では、錠剤5として平面視略円形状のレンズ錠が収容される。また、これに対応して、ポケット部2も平面視略円形に形成されている。
【0032】
さらに、各ポケット部2の頂部2aには凹部2bが設けられている。本実施形態における凹部2bは、平面視略円形状に形成されるとともに、断面略円弧状に湾曲形成されている。
【0033】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機8の概略について説明する。
【0034】
図2に示すように、PTP包装機8の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。
【0035】
PTP包装機8においては、ロール状に巻回された容器フィルム3が間欠的に移送されるようになっており、容器フィルム3の移送経路に沿って、ポケット部形成装置14が配置されている。
【0036】
このポケット部形成装置14により、容器フィルム3に上記ポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、冷間加工により、容器フィルム3の移送動作間のインターバルにて行われる。
【0037】
さらに、ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路に沿って、投入手段としての錠剤投入装置16、検査手段としての検査装置17、フィルム受けローラ18が配設されている。
【0038】
錠剤投入装置16は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を自由落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。
【0039】
検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。該検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0040】
また、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0041】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、フィルム受けローラ18の方へと案内されている。フィルム受けローラ18には、加熱ローラ19が圧接可能となっており、両ローラ18,19間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ローラ18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3の裏側にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造される。フィルム受けローラ18及び加熱ローラ19により本実施形態における取着手段が構成される。
【0042】
フィルム受けローラ18の下流では、PTPフィルム6の移送経路に沿って、ミシン目形成装置22、刻印装置23及びシート打抜装置24が順に配設されている。ミシン目形成装置22は、PTPフィルム6の所定位置にミシン目を形成する機能を有する。刻印装置23はPTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印を付す機能を有する。シート打抜装置24は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜くシート打抜手段としての機能を有する。
【0043】
前記シート打抜装置24の下流側には、シート打抜装置24からの端材25を貯留するためのスクラップ用ホッパ26が設けられている。また、シート打抜装置24の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア28が設けられている。打ち抜かれたPTPシート1は、前記コンベア28によって、完成品用ホッパ29に移送される。その後、完成品用ホッパ29に収容されたPTPシート1は、2枚1組で互いのポケット部2同士を向き合うようにしてセットされた上で、複数組ずつ集積され積上げられる。最終的には、バンド(結束)工程や、製袋工程へと案内され、箱詰めされる。但し、検査装置17によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0044】
なお、容器フィルム3やPTPフィルム6は、図2に示すように複数のローラを介して搬送されるようになっている。これらローラのうち、ポケット部2の膨出側に面するローラ18,31,32,33,34,35は、そのローラ表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、フィルム受けローラ18等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、基本的にはポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2がフィルム受けローラ18等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0045】
PTP包装機8の概略は以上のとおりであるが、以下においてポケット部形成装置14について詳しく説明する。
【0046】
図3に示すように、ポケット部形成装置14は、第1型としての下型41及び第2型としての上型42を備えている。固定状態にある支持台43上には、筒状の下型チャンバ44が固定されており、該下型チャンバ44上に下型41が固定されている。かかる下型41には、ポケット部2の位置に対応する位置に複数の孔部45が形成されている。
【0047】
支持台43には、複数の挿通孔が形成されており、該挿通孔にはベアリング機構を介して棒状のスライダ46が上下動可能に挿通されている。スライダ46は、カム機構50によって所定のストローク間を上下動可能となっている。スライダ46の上端には、プレート47が固定されているとともに、該プレート47上にはプラグ基部48が載置固定されている。
【0048】
該プラグ基部48は、前記孔部45に挿通可能でかつ上方へ延びる成形プラグ49を有している。成形プラグ49が本実施形態におけるポケット部形成型を構成する。成形プラグ49の先端形状は、ポケット部2の内面形状とほぼ同等となっている。つまり、成形プラグ49の先端部には、ポケット部2の頂部2aの凹部2bを形成するための形成用凹部49aが形成されている。形成用凹部49aは、凹部2bに対応して断面略円弧状に形成されている。
【0049】
また、プレート47、プラグ基部48及び成形プラグ49は、カム機構50の駆動によるスライダ46の上下動によって、上下動可能となっている。
【0050】
本実施形態では、孔部45からの成形プラグ49の最大突出量を任意に調整可能に構成されている。これにより、容器フィルム3に形成されるポケット部2の深さX〔図1(c)参照〕を製品形態に応じて適宜調整可能となる。
【0051】
かかる構成は、例えば所定の調整機構(第1調整機構)によりスライダ46の初期位置(例えば最下方位置)を調整することで実現可能となる。当該調整機構としては、例えばテーパ面を有する楔板(図示略)を左右方向へ移動させることで、スライダ46の初期位置を調整する等、任意の構成を採用することができる。この場合、モータを具備するボールねじ機構で、楔板を自動的に移動させることとしてもよいし、人手で移動させることとしてもよい。勿論、楔板を用いる代わりに初期位置調整ねじ等で人的に初期位置を調整することとしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、カム機構50を構成するカムフォロアの位置或いはカム板のプロフィール等により、成形プラグ49が最下方位置から最上方位置(第1位置)まで所定のストローク動作を行った後、所定の中間位置(第2位置)まで後退して停止する動作を行うように構成されている。
【0053】
さらに、本実施形態では、この中間位置を任意に調整可能に構成されている。これにより、ポケット部2の頂部2aに形成される凹部2bの深さY〔図1(c)参照〕を製品形態に応じて適宜調整可能となる。
【0054】
かかる構成は、例えばカム機構50を構成するカムフォロアの位置或いはカム板のプロフィール等を調整する調整機構(第2調整機構)を設けることで実現可能となる。上記カム機構50や各種調整機構(第1調整機構及び第2調整機構)により本実施形態における突出量調整手段が構成される。
【0055】
一方、容器フィルム3の上方には、上板51が設けられている。上板51の下面にはプレート52が固定されており、該プレート52に前記上型42が固定されている。
【0056】
上板51、プレート52及び上型42は、カム機構54によって上下動可能となっている。そして、上型42を降下させ、固定状態にある下型41に対し当接させることにより、両型41,42によって容器フィルム3が挟持される。
【0057】
上型42にも、下型41と同様の孔部53が形成されている。各孔部53には、プッシャ55が上下動可能に収容されている。プッシャ55は、下側に向け凸となる断面凸型形状をなす。プッシャ55が本実施形態における凹部形成型を構成する。
【0058】
また、各孔部53の開口部付近には、プッシャ55の抜け落ちを規制する規制部53aが形成されている(図4等参照)。プッシャ55とプレート52との間には、付勢手段(弾性部材)としてのコイルばね56が収縮状態で収容されている。これにより、プッシャ55は通常時、下方へ付勢された状態となっている。
【0059】
また、プッシャ55の先端部には、ポケット部2の頂部2aの凹部2bを形成するための形成用凸部55aが形成されている。形成用凸部55aの先端面は、凹部2bに対応して断面略円弧状に形成されている。
【0060】
次に、容器フィルム3に対しポケット部2を形成する工程について説明する。
【0061】
通常時、すなわち容器フィルム3の搬送中においては、上型42は下型41から離間し、上方に位置している(図4参照)。この状態において、成形プラグ49は孔部45内に退避しており、容器フィルム3から下方に離れた状態となっている。
【0062】
そして、容器フィルム3の搬送が停止されると、上型42が降下し、当該上型42と下型41とによって容器フィルム3が挟持される(図5参照)。
【0063】
続いて、成形プラグ49が上昇を開始し、容器フィルム3を押圧していく(図6参照)。成形プラグ49が所定量上昇すると、容器フィルム3が成形プラグ49の形成用凹部49aと、プッシャ55の形成用凸部55aと間に挟まれた状態となる。
【0064】
この状態のまま、成形プラグ49は、コイルばね56の付勢力に抗してプッシャ55を押し上げつつ、さらに上昇し、最上方位置(第1位置)に達する(図7参照)。これにより、所定の深さXを有するポケット部2が容器フィルム3に形成される。
【0065】
続けて、成形プラグ49は、予め設定された中間位置(第2位置)まで後退して停止する(図8参照)。そして、コイルばね56の付勢力によりプッシャ55が成形プラグ49に追従して動き、ポケット部2の頂部2aに所定の深さYの凹部2bが形成される。
【0066】
その後、上型42が上昇して下型41から離間する(図9参照)。続けて、成形プラグ49が孔部45内に退避して、ポケット部2の形成工程が終了する(図10参照)。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態によれば、成形プラグ49の動作制御を行うだけで、ポケット部2の深さXを変更することが可能となると共に、凹部2bの深さYを変更することも可能となる。
【0068】
結果として、ポケット部2及び凹部2bの深さX,Yを個々に調整可能となることから、汎用性を向上させることができる。また、ポケット部2及び凹部2bの深さX,Yの調整のためだけに成形プラグ49及びプッシャ55を交換する必要がなく、作業性の向上や生産コストの増加抑制を図ることができる。さらに、成形プラグ49及びプッシャ55に対応して別々の駆動機構を設ける必要がなく、装置の大型化を抑制することができる。
【0069】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0070】
(a)上記実施形態では、平面視略円形状の錠剤5、ポケット部2及び凹部2bを例示しているが、錠剤5、ポケット部2及び凹部2bの形状は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、錠剤5、ポケット部2又は凹部2bが、平面視で略楕円形状、略長円形状、略菱形形状等のものであってもよい。
【0071】
また、これに対応して、成形プラグ49及びプッシャ55を、それぞれ大きさや形状の異なるものに交換可能な構成としてもよい。これにより、ポケット部形成装置14全体を交換することなく、様々な大きさや形状のポケット部2及び凹部2bに対応することができる。
【0072】
(b)上記実施形態の凹部2bは断面略円弧状に湾曲したものであるが、凹部2bの形状はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、凹部2bの底部が平坦なものであってもよい。また、上記実施形態の凹部2bよりも湾曲率の大きな凹部や、凹み量の大きな凹部、階段状に形成された凹部などを採用してもよい。
【0073】
(c)上記実施形態では被収容物として錠剤5を対象としていたが、錠剤5以外の例えば電池素子等の包装に適用することも可能である。
【0074】
(d)各フィルム3,4の材料は、アルミニウムを主材料とした金属材料に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。例えば、金属材料に限らず、合成樹脂材料等を採用してもよい。
【0075】
(e)上記実施形態では、付勢手段としてコイルばね56を採用しているが、これに限らず、板バネ、ゴムなど他の弾性部材や、エアークッション機構などを採用してもよい。
【0076】
(f)上記実施形態では、カム機構54により上型42を上下動させるよう構成されているが、これに限らず、シリンダ等の他のアクチュエータを用いても差し支えない。
【0077】
同様に、成形プラグ49等をカム機構50により上下動させるよう構成されているが、これに限らず、シリンダ等の他のアクチュエータを用いても差し支えない。かかる構成においては、これらアクチュエータを制御する制御機構により突出量調整手段が構成される。
【0078】
(g)ポケット部形成装置14の上流側において加熱装置を備えた構成としてもよい。このような構成とすることで、PTP包装機8が、容器フィルム3をアルミニウム製のみならず、例えばPPやPVC等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によっても製造可能に構成された包装機(兼用機)となる。勿論、アルミニウム製の容器フィルム3を形成する場合には加熱装置は使用されない。
【符号の説明】
【0079】
1…PTPシート、2…ポケット部、2a…頂部、2b…凹部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、8…PTP包装機、14…ポケット部形成装置、16…錠剤投入装置、18…フィルム受けローラ、19…加熱ローラ、24…シート打抜装置、41…下型、42…上型、45…孔部、49…成形プラグ、49a…形成用凹部、53…孔部、55…プッシャ、55a…形成用凸部、56…コイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容するポケット部を帯状のフィルムに形成するポケット部形成装置であって、
前記フィルムを挟持する第1型及び第2型と、
前記第1型及び第2型において、前記ポケット部に対応する位置に形成された孔部と、
前記第1型の孔部内において当該孔部に沿って移動可能に設けられ、前記第1型の孔部から前記第2型の孔部内へ突出して前記フィルムを押圧することにより前記ポケット部を形成するポケット部形成型と、
前記ポケット部形成型の突出量を調整可能に構成され、少なくとも前記ポケット部形成型を第1位置まで突出させた後、第2位置まで後退させる制御を行う突出量調整手段と、
前記第2型の孔部内において当該孔部に沿って移動可能に設けられ、前記ポケット部の頂部に凹部を形成するための凹部形成型と、
前記凹部形成型を前記第1型側へ付勢する付勢手段とを備えることにより、
前記ポケット部の深さを変更可能とすると共に、前記凹部の深さを変更可能としたことを特徴とするポケット部形成装置。
【請求項2】
前記付勢手段が弾性部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポケット部形成装置。
【請求項3】
前記フィルムがアルミニウムを主材料として形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポケット部形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のポケット部形成装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−143892(P2012−143892A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2020(P2011−2020)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】