説明

ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法

【課題】解像性に優れたパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)と、下記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位(a3)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたフォトマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト組成物をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト組成物をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手段としては露光光の短波長化が一般的に行われており、具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が導入され、さらに、ArFエキシマレーザー(193nm)が導入され始めている。また、それより短波長のFエキシマレーザー(157nm)や、EUV(極紫外線)、電子線、X線などについても検討が行われている。
【0003】
微細な寸法のパターンを再現するためには、高解像性を有するレジスト材料が必要である。かかるレジスト材料として、ベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型のレジスト組成物が用いられている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ可溶性となる。
化学増幅型ポジ型レジスト組成物の樹脂成分としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)系樹脂の水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂や、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)のカルボキシ基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂などが一般的に用いられている。酸解離性溶解抑制基としては、1−エトキシエチル基に代表される鎖状エーテル基やテトラヒドロピラニル基に代表される環状エーテル基等のいわゆるアセタール基;tert−ブチル基に代表される第3級アルキル基;tert−ブトキシカルボニル基に代表される第3級アルコキシカルボニル基等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステルとは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
【特許文献1】特開2002−341538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、レジストパターンの微細化はますます進み、解像性のさらなる向上が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、解像性に優れたパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ベース樹脂として、特定の3種の構成単位を含有する樹脂を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)と、下記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位(a3)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
【0006】
【化1】

[式(a2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり;Yは低級アルキル基または1価の脂肪族環式基であり;n21は0〜3の整数である。式(a2−2)中、Rは前記と同じであり;RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり;Rはアルキレン基または2価の脂肪族環式基であり;Yは低級アルキル基または1価の脂肪族環式基であり;n22は0〜3の整数である。]
【0007】
【化2】

[式(a3−1)中、Rは前記と同じであって、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく;R11〜R14はそれぞれ独立して低級アルキル基であり;Aは(n31+1)価の有機基であり;n31は1〜4の整数である。式(a3−2)中、Rは前記と同じであって、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく;Aは(n32+1)価の有機基であり;n32は1〜4の整数である。]
【0008】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
【0009】
本明細書および特許請求の範囲において、「構成単位」とは、樹脂(重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、解像性に優れたパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が(A)成分に作用してそのアルカリ溶解性を増大させる。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、上記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)と、上記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位(a3)とを含有する。
[構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。(A)成分が構成単位(a1)後述する構成単位(a2)および(a3)とともに有することにより、本発明の効果が得られる。また、(A)成分が構成単位(a1)を有することにより、ドライエッチング耐性が向上し、さらに構成単位(a1)の原料であるヒドロキシスチレンが容易に入手可能で低価格である等の利点も有する。
ここで、「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、およびヒドロキシスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、ならびにそれらの誘導体を含む概念とする。「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a−1)で表される構成単位が例示できる。
【0013】
【化3】

[上記式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;Rは低級アルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
【0014】
一般式(a−1)中、Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rの低級アルキル基は炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。
ハロゲン化低級アルキル基は、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基であり、フッ素化低級アルキル基が好ましく、特に、水素原子の全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。フッ素化低級アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
Rとしては、水素原子または低級アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
【0015】
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0016】
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
の低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0017】
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。該範囲内であると、適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスが良好である。
【0018】
[構成単位(a2)]
構成単位(a2)は、前記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位である。以下、一般式(a2−1)で表される構成単位を構成単位(a2−1)と称する。また、一般式(a2−2)で表される構成単位を構成単位(a2−2)と称する。
一般式(a2−1)における式−C(R)(R)−O−(CHn21−Yで表される基、および一般式(a2−2)における式−C(R)(R)−O−(CHn22−Yで表される基は、いわゆるアセタール型の酸解離性溶解抑制基である。
構成単位(a2−1)および構成単位(a2−2)は、該アセタール型の酸解離性溶解抑制基がカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)末端の酸素原子に結合した構造を有する点で共通している。かかる構造においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により、当該酸解離性溶解抑制基と前記カルボニルオキシ基末端の酸素原子との間の結合が切断される。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「酸解離性」とは、露光時に(B)成分から発生する酸の作用により(A)成分から解離可能であることを意味する。「溶解抑制基」は、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
したがって、構成単位(a2)を含有する(A)成分は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
【0019】
一般式(a2−1)中のRとしては、上記一般式(a−1)中のRと同様のものが挙げられる。
およびRはそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。R、Rの低級アルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、工業上入手しやすい点で、メチル基、エチル基が好ましい。
およびRは、本発明の効果に優れることから、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
21は、0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
【0020】
は低級アルキル基または1価の脂肪族環式基である。
の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
の脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、親水性基等が挙げられる。親水性基としては、=O、−COOR(Rはアルキル基)、アルコール性水酸基、−OR(Rはアルキル基)、イミノ基、アミノ基等が挙げられ、入手が容易であることから、=Oまたはアルコール性水酸基が好ましい。
脂肪族環式基における置換基を除いた基本の環(基本環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であってもよく、また、炭化水素環を構成する炭素原子の一部が硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明の効果のためには、Yにおける基本環が、炭化水素環であることが好ましい。
炭化水素環としては、KrFレジスト、ArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができ、具体的には、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンが例示できる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、テトラシクロドデカンが工業上好ましく、アダマンタンがさらに好ましい。
【0021】
式−C(R)(R)−O−(CHn21−Yで表される基としては、例えば、下記式(4)〜(15)で表される基が挙げられる。
【0022】
【化4】

【0023】
一般式(a2−2)中のR,R,R,n22,Yは、それぞれ、一般式(a2−1)中のR,R,R,n21,Yと同じものが挙げられる。
はアルキレン基または2価の脂肪族環式基である。
のアルキレン基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
の脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
の脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。Rの脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
における脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
の脂肪族環式基としては、特に、下記一般式(y−1)で表される基が好ましい。
【0024】
【化5】

[式中、mは0または1であり、好ましくは1である。]
【0025】
一般式(a2−1)で表される構成単位(以下、構成単位(a2−1)という)として、具体的には、たとえば下記式(a1−2−1)〜(a1−2−43)で表される構成単位が挙げられる。
一般式(a2−2)で表される構成単位(以下、構成単位(a2−2)という)として、具体的には、たとえば下記式(a1−4−1)〜(a1−4−30)で表される構成単位が挙げられる。
【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
構成単位(a2)としては、特に、構成単位(a2−1)が、本発明の効果に優れ、好ましい。中でも、式(a1−2−9)、式(a1−2−10)、式(a1−2−13)、式(a1−2−14)、式(a1−2−15)、式(a1−2−16)で表される構成単位が、本発明の効果に優れる為好ましい。
【0033】
構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%がさらに好ましい。下限以上であると、ポジ型レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
【0034】
[構成単位(a3)]
構成単位(a3)は、前記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位である。以下、一般式(a3−1)で表される構成単位を構成単位(a3−1)と称する。また、一般式(a3−2)で表される構成単位を構成単位(a3−2)と称する。
構成単位(a3−1)は、その構造中に、1個の−CO−O−C(R11)(R12)−A−と、Aに結合したn31個の−CO−O−C(R13)(R14)−とを有する。かかる構造においては、(B)成分から発生した酸が作用すると、カルボニルオキシ基末端の酸素原子と、当該酸素原子に結合した第3級炭素原子(R11とR12とが結合した炭素原子、およびR13とR14が結合した炭素原子)との間の結合が切断される。
構成単位(a3−2)は、その構造中に、1個の−CO−O−CH−O−A−と、Aに結合したn32個の−CO−O−CH−O−とを有する。かかる構造においては、(B)成分から発生した酸が作用すると、カルボニルオキシ基末端の酸素原子と、当該酸素原子に結合した炭素原子(メチレン基の炭素原子)との間の結合が切断される。
つまり、構成単位(a3)は、(B)成分から発生した酸の作用により分解する。
【0035】
「構成単位(a3−1)」
一般式(a3−1)中、Rは前記と同じである。式(a3−1)中の複数のRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
11〜R14はそれぞれ独立して低級アルキル基であり、該低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。R11〜R14の低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
【0036】
31は1〜4の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
は(n31+1)価の有機基である。たとえばn31が1である場合は、Aは2価の有機基であり、n31が2である場合は、Aは3価の有機基である。
構成単位(a3−1)は、Aの価数が大きくなる程、Aに結合する基の数が多くなり、より密な放射状の構造をとる。たとえば、構成単位(a3−1)は、Aが2価の有機基である場合は、Aに2つの基が結合している構造となり、Aが3価である場合は、Aに3つの基が結合している構造となる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「有機基」は、炭素原子と、炭素原子以外の1種以上の原子とから構成される基である。有機基を構成する「炭素原子以外の原子」としては、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
有機基は、基本的に、炭素および水素を主たる構成元素として含有する基が好ましく、たとえば、炭素原子および水素原子からなる炭化水素基;炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された基;炭化水素基の炭素原子の一部が、炭素原子および水素原子以外の他の原子または基で置換された基等が挙げられる。
置換基としては、炭素原子および水素原子以外の他の原子または基であれば特に限定されず、たとえば酸素原子(=O)、ハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
炭化水素基の炭素原子の一部が置換されていてもよい他の原子または基としては、たとえば−O−、−NH−、−N=等が挙げられる。
【0037】
炭化水素基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよく、また、それらの組み合わせであってもよい。また、不飽和結合を有さない飽和炭化水素基であっても、不飽和結合を有する不飽和炭化水素基であってもよい。
炭化水素基としては、本発明の効果に優れることから、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数4〜15の環式基を有する炭化水素基がより好ましい。
炭素数1〜5の直鎖状の飽和炭化水素基は、工業上の入手が容易であることから好ましく、該飽和炭化水素基の炭素数は、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは2または3である。該飽和炭化水素基は、たとえばn31が1である場合はアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基が挙げられる。
【0038】
炭素数4〜15の環式基を有する炭化水素基は、エッチング耐性に優れることから好ましい。ここで、「炭素数4〜15の環式基を有する炭化水素基」とは、その基の構造内に、炭素数4〜15の環式基(環状炭化水素基)を有する炭化水素基であり、炭素数4〜15の環状炭化水素基のみから構成されていてもよく、また、該環状炭化水素基にメチレン基、エチレン基等の直鎖状の炭化水素基が結合した基であってもよい。該環式基の炭素数は、より好ましくは4〜10、さらに好ましくは4〜8である。
また、「炭素数4〜15の環式基を有する炭化水素基」の炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。
炭素数4〜15の環式基としては、脂肪族環式基であっても芳香族環式基であってもよい。また、単環式基であっても、多環式基であってもよい。これらの中でも、炭素数4〜15の環式基としては、エッチング耐性が良好である点で、脂肪族環式基が好ましい。
炭素数4〜15の脂肪族環式基としては、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、シクロアルカン、ビシクロアルカン、ビシクロアルケン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカン、メチルビシクロアルカン、メチルビシクロアルケン、メチルトリシクロアルカン、メチルテロラシクロアルカン、エチルビシクロアルカン、エチルビシクロアルケン、エチルトリシクロアルカン、エチルテロラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。特には、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン等の環状飽和炭化水素から2個以上の水素原子を除いた基(環状飽和炭化水素基)が、解像性等の点で好ましく、特に、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いた基であることが最も好ましい。
また、炭素数4〜15の芳香族環式基としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の環から2個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0039】
「炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された基」としては、たとえば、C−O−C構造を1つ有するエーテル基、C−O−C構造を2つ以上有するポリエーテル基、CO−O−C構造を有するエステル基等が挙げられる。
「炭化水素基の炭素原子の一部が、炭素原子および水素原子以外の他の原子または基で置換された基」としては、たとえば、環状の炭化水素基を構成する炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子等の異原子で置換された複素環式基などが挙げられる。
の有機基の具体例を以下に示す。
【0040】
【化12】

【0041】
【化13】

【0042】
【化14】

【0043】
これらの中で、Aとしては、特に、炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。すなわち、構成単位(a3−1)としては、下記一般式(a3−1−1)で表される構成単位が好ましい。
【0044】
【化15】

【0045】
式(a3−1−1)中、Rは前記と同じである。
16は2〜5の整数であり、2または3が好ましく、2が特に好ましい。
【0046】
構成単位(a3−1)は、下記一般式(a3−1’)で表される化合物(a3−1’)、すなわち、1個のCH=C(R)−CO−O−C(R11)(R12)−およびn31個のCH=C(R)−CO−O−C(R13)(R14)−がAに結合した構造の化合物から誘導される。
なお、「化合物(a3−1’)から誘導される」構成単位とは、化合物(a3−1’)のエチレン二重結合が開裂して形成される構成単位である。
【0047】
【化16】

[式中、R,R11〜R14,A,n31は前記と同じである。]
【0048】
「構成単位(a3−2)」
一般式(a3−2)中、Rは前記と同じである。式(a3−2)中の複数のRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
32は1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1が最も好ましい。
は(n32+1)価の有機基であり、該有機基としては、上述したAと同様のものが挙げられる。
は、特に、本発明の効果に優れることから、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記と同様、炭素数1〜4の直鎖状の飽和炭化水素基、または炭素数4〜15の環式基を有する炭化水素基が好ましい。
構成単位(a3−2)としては、特に、下記一般式(a3−2−1)または(a3−2−2)で表される構成単位が好ましい。
【0049】
【化17】

[式中、Rは前記と同じであり、n17は1〜3の整数であり、Rは炭素数4〜15の環状飽和炭化水素基である。]
【0050】
式中、n17は2または3が好ましく、2が特に好ましい。
としては、炭素数4〜8の環状飽和炭化水素基が好ましく、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、特に下記式(1’)で表される基が好ましい。
【0051】
【化18】

【0052】
構成単位(a3−2)は、下記一般式(a3−2’)で表される化合物(a3−2’)、すなわち、(n32+1)個のCH=C(R)−CO−O−CH−O−がAに結合した構造の化合物から誘導される。
なお、「化合物(a3−2’)から誘導される」構成単位とは、化合物(a3−2’)のエチレン二重結合が開裂して形成される構成単位である。
【0053】
【化19】

[式中、R,A,n32は前記と同じである。]
【0054】
化合物(a3−2’)は、公知の方法によって合成でき、たとえば、下記一般式(2’)で表されるハロゲン化メチルエーテル化合物を合成し、これと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造することができる。
Z−CH−O−A−[O−CH−Z]n32 …(2’)
[式中、A,n32は前記と同様であり、Zはハロゲン原子(塩素、臭素等)を表す。]
【0055】
前記ハロゲン化メチルエーテル化合物は、たとえば、HO−A−[OH]n32で表されるアルコール化合物にパラホルムアルデヒドを加え、前記アルコール化合物に対して2.0〜3.0当量のハロゲン化水素ガスを吹き込み、塩酸酸性下、40〜100℃にて反応させることにより得ることができる。
【0056】
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a3)としては、特に、構成単位(a3−1)が、本発明の効果に優れることから好ましく、式(a3−1)中のAが炭素数1〜20の炭化水素基である構成単位がより好ましく、特に、式(a3−1−1)で表される構成単位が好ましい。
(A)成分中、構成単位(a3)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜10モル%が好ましく、2〜8モル%がより好ましく、3〜7モル%がさらに好ましい。下限以上であると、本発明の効果が向上する。上限以下であると、他の構成単位とのバランスが良好であり、また、(A)成分の有機溶剤への溶解性が良好となる。
【0057】
「他の構成単位」
(A)成分は、前記構成単位(a1)、(a2)および(a3)のほかに、さらに、スチレンから誘導される構成単位(a4)を有していてもよい。
本発明において、構成単位(a4)は必須ではないが、これを含有させると、現像液に対する溶解性を調整できる。また、ドライエッチング耐性が向上する。
ここで、「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されていても良い。
構成単位(a4)としては、下記一般式(a4−1)で表される構成単位が例示できる。
【0058】
【化20】

[式中、Rは前記と同じであり;Rは低級アルキル基であり;rは0〜3の整数である。]
【0059】
式(a4−1)中、RおよびRは、それぞれ、上記式(a−1)中のRおよびRと同様である。
rは、0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、特に、工業上、0であることが好ましい。
rが1〜3である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、rが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0060】
構成単位(a4)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分が構成単位(a4)を有する場合、(A)成分中の構成単位(a4)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。下限以上であると、構成単位(a4)を有することによる効果が高く、上限以下であると、他の構成単位とのバランスも良好である。
【0061】
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a4)以外の他の構成単位(a5)を含んでいてもよい。
構成単位(a5)としては、上述の構成単位(a1)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
【0062】
本発明において、(A)成分は、下記一般式(A−11)に示される3種の構成単位を含有する共重合体であることが好ましい。
【0063】
【化21】

[式中、R,R11〜R14,n16は前記と同じであり;n15は0または1である。]
【0064】
式(A−11)中、Rは水素原子またはメチル基が好ましい。
11〜R14はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
15は、0が特に好ましい。
16は、2または3が好ましく、2が特に好ましい。
【0065】
(A)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、LWRの低減に有効である。また、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0066】
(A)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きい、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/数平均分子量(Mn))は、特に限定するものではないが、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
【0067】
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
【0068】
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−0)で表される酸発生剤が挙げられる。
【0069】
【化22】

[式中、R51は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、または直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキル基を表し;R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖若しくは分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、または直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基であり;R53は置換基を有していてもよいアリール基であり;u’’は1〜3の整数である。]
【0070】
一般式(b−0)において、R51は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、または直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0071】
52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖若しくは分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、または直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基である。
52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
【0072】
53は置換基を有していてもよいアリール基であり、置換基を除いた基本環(母体環)の構造としては、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基などが挙げられ、本発明の効果やArFエキシマレーザーなどの露光光の吸収の観点から、フェニル基が望ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u’’は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
一般式(b−0)で表される酸発生剤の好ましいものとしては、たとえば以下の化合物を挙げることができる。
【0073】
【化23】

【0074】
また一般式(b−0)で表される酸発生剤の他のオニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物も好適に用いられる。
【0075】
【化24】

[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;R”は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0076】
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
【0077】
”は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0078】
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
【0079】
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0080】
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0081】
【化25】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0082】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0083】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0084】
【化26】

(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0085】
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0086】
32の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0087】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0088】
【化27】

[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0089】
【化28】

[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p’’は2または3である。]
【0090】
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
【0091】
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントラセル(anthracyl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
【0092】
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0093】
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
【0094】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0095】
【化29】

【0096】
上記例示化合物の中でも、下記の4つの化合物が好ましい。
【0097】
【化30】

【0098】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0099】
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0100】
<(D)成分>
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上のために、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0101】
<任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、通常、(A)成分100質量部当り、0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0102】
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0103】
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0104】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、たとえば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに、露光装置などにより、EUV,KrFエキシマレーザー光等を所望のマスクパターンを介して照射するか、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射(描画)してレジスト膜を選択的に露光する。そして、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明は、特に、KrFエキシマレーザー、EUVまたはEBを用いたリソグラフィーに有効である。
【0105】
上記本発明のポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法によれば、解像性に優れたパターンを形成できる。
解像性の向上は、(A)成分において、アルカリ可溶性の構成単位である構成単位(a1)と、アクリル酸の側鎖部分にアセタール型の酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a2)と、(B)成分から発生した酸の作用により分解する構成単位(a3)とを有することにより、未露光部と露光部とのアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなることによると考えられる。
すなわち、構成単位(a2)の有するアセタール型の酸解離性溶解抑制基は、脱保護反応における活性化エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、露光時に、露光部に存在する酸解離性溶解抑制基の解離する割合(脱保護率)が高く、露光部のアルカリ溶解性が大幅に増大する。
また、構成単位(a3)は、実質的に、複数の構成単位(a1)および構成単位(a2)で構成される複数のポリマー鎖を連結する架橋構造を構成している。構成単位(a3)は、上述したように、(B)成分から発生した酸の作用により分解するため、レジストパターンの形成において、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成された膜を選択的に露光すると、露光部において、(B)成分から発生した酸が構成単位(a3)に作用し、構成単位(a3)が分解する。この分解により、複数のカルボキシ基が生成するとともに(A)成分の質量平均分子量が大きく減少し、露光部のアルカリ溶解性が増大する。一方、未露光部は、構成単位(a3)が分解せずに残っているため、アルカリ溶解性が低いままである。その結果、溶解コントラストが、構成単位(a3)を含まない場合と比べて大幅に大きくなり、このことが解像性の向上に寄与していると考えられる。
【0106】
また、本発明においては、形成されるレジストパターンの形状も良好であり、たとえばパターン表面の荒れ(ラフネス)の少ないレジストパターンが形成できる。ラフネスは、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがあり、たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となる。ラフネスの問題は、パターン寸法が小さいほど重大となり、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、ラフネスの改善は非常に重要となる。
さらに、本発明においては、形成されるレジストパターンに膜減りが少ない。膜減りは、現像前後のレジスト膜の膜厚の変化量であり、膜減りが少ないほど、当該レジストパターンをマスクとしてエッチングをするプロセスに有用である。
これらの効果は、上記と同様、溶解コントラストが向上していることによると考えられる。
【実施例】
【0107】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記実施例1および比較例1においては、以下のモノマー(1)〜(3)を公知の滴下重合法により共重合することによって合成された樹脂(A)−1および(A)−2を用いた。
すなわち、(A)−1を例にとって説明すると、窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、PGMEAを入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。次に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、モノマー(1)/モノマー(2)/モノマー(3)=7/2.5/0.5(モル比)とを仕込んだ単量体PGMEA溶液を、滴下装置を用い、一定速度で6時間かけてフラスコ中へ滴下し、その後、80℃で1時間保持した。その後、反応溶液を室温に戻した。次いで、得られた反応溶液を、約30倍量のメタノール中に攪拌しながら滴下し、無色の析出物の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、該沈殿を、重合に使用した単量体に対して約30倍量のメタノール中で洗浄した。そして、この沈殿を濾別し、THFに溶解したのち、該溶解液に80質量%ヒドラジン水溶液を滴下し、25℃で1時間撹拌した。反応終了後、大量の水中に滴下して析出物を得た。該析出物を濾別、洗浄、及び減圧下、50℃で約40時間乾燥することにより、(A)−1を得た。
(A)−2の合成は、上記(A)−1の合成方法において各構成単位を誘導するモノマーの種類と使用量とを変更した以外は、上記(A)−1の合成方法と同様の方法により合成した。
【0108】
【化31】

【0109】
(A)−1の構造を下記に示す。
【0110】
【化32】

[p1/q1/r1=70/25/5(モル比);Mw6000;Mw/Mn2.3]
【0111】
(A)−2の構造を下記に示す。
【0112】
【化33】

[p2/q2=75/25(モル比);Mw7000;Mw/Mn1.7]
【0113】
実施例1〜3,比較例1
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
【0114】
【表1】

【0115】
表2中の各略号は以下の意味を有し、[]内の数値は配合量(質量部)である。
(B)−1:下記式(B)−1で表される化合物。
(B)−2:下記式(B)−2で表される化合物。
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA。
【0116】
【化34】

【0117】
得られたポジ型レジスト組成物を、8インチシリコン基板上に均一に塗布し、100℃で90秒間のPAB処理を行って、膜厚100nmのレジスト膜を成膜した。
得られたレジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HM800D、加速電圧70kV)にて描画を行い、110℃で90秒間のPEB処理を行い、23℃で2.38質量%TMAH水溶液にて60秒間の現像処理を行い、純水にて30秒間のリンス、振り切り乾燥を行って、ラインアンドスペースのレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)を形成した。
このとき、ライン幅100nm、ピッチ200nmのL/Sパターンが形成される最適露光量EOP(μC/cm)を求め、該EOPにおける限界解像度を求めた。その結果を表2に示す。
【0118】
【表2】

【0119】
上記結果から明らかなように、実施例1〜3のポジ型レジスト組成物により、高解像性のレジストパターンが形成できた。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成されたL/Sパターンの断面形状を観察したところ、実施例1〜3のL/Sパターンは、ライン側壁やパターン上面の凹凸が少なく、良好な形状であった。一方、比較例1のL/Sパターンは、実施例1〜3に比べて、ライン側壁やパターン上面の凹凸が多かった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)と、下記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位(a3)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】

[式(a2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり;Yは低級アルキル基または1価の脂肪族環式基であり;n21は0〜3の整数である。式(a2−2)中、Rは前記と同じであり;RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり;Rはアルキレン基または2価の脂肪族環式基であり;Yは低級アルキル基または1価の脂肪族環式基であり;n22は0〜3の整数である。]
【化2】

[式(a3−1)中、Rは前記と同じであって、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく;R11〜R14はそれぞれ独立して低級アルキル基であり;Aは(n31+1)価の有機基であり;n31は1〜4の整数である。式(a3−2)中、Rは前記と同じであって、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく;Aは(n32+1)価の有機基であり;n32は1〜4の整数である。]
【請求項2】
前記一般式(a3−1)中のAが、炭素数1〜20の炭化水素基である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項3】
前記樹脂成分(A)中の前記構成単位(a3)の割合が、前記樹脂成分(A)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜10モル%である請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。


【公開番号】特開2008−9269(P2008−9269A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181564(P2006−181564)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】