説明

ポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】現像欠陥の問題が改善され、優れた線幅の面内均一性が得られ、かつ、LWR性能にも優れたポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】特定構造のノルボルナンラクトン構造をもつ繰り返し単位と特定の脂環炭化水素構造をもつ繰り返し単位とを有する酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、および、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷板やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。特に本発明は、遠紫外線(エキシマレーザ等を含む)、電子線、X線又は放射光のような高エネルギーの放射線によって作用し、半導体集積回路の製作に好適なポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行なわれている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになっている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザ光に、というように短波長化の傾向が見られる。現在では、エキシマレーザ光を用いるリソグラフィがこの分野における重要な加工技術となっており、かかるエキシマレーザリソグラフィプロセスに適したレジストとして化学増幅型レジストが採用されている。
【0003】
化学増幅型レジスト組成物は、遠紫外光などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させることにより基板上にパターンを形成させる材料である。化学増幅型レジスト組成物は、高い感度と解像性を有し、少量の放射線放射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」という)で像形成できるという利点を有している。
【0004】
上記化学増幅型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤、及び酸分解性基を有しアルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止化合物から成る3成分系と、酸との反応により分解しアルカリ可溶となる基を有する樹脂と光酸発生剤からなる2成分系、さらに酸との反応により分解しアルカリ可溶となる基を有する樹脂、酸分解性基を有する低分子溶解阻止化合物、及び光酸発生剤から成るハイブリッド系に大別できる。これら2成分系、3成分系、ハイブリッド系のポジ型化学増幅レジストにおいては、いずれも露光により光酸発生剤からの酸を介在させて、熱処理後現像してレジストパターンを得るものである。
【0005】
化学増幅型レジストを用いたリソグラフィにおいては、一般的に、感度、解像力、プロファィル、塗布性、耐熱性、ドライエッチング耐性、密着性、基板依存性、耐環境安定性(例えば、引き置き時間変動によるレジスト寸法安定性)、及び焦点深度(例えば、放射線照射時の焦点ずれに対するパターン形成性)等の諸特性に優れたフォトレジストが求められ、添加剤による性能改良のための工夫がこれまでに多く開示されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2001−109154号公報)、特許文献2(特開2002−296783号公報)には、ノルボルナンラクトンを含むレジスト組成物が開示されいる。しかしながら、これらのノルボルナンラクトンを含むレジスト組成物は溶剤に対する溶解性が乏しく、現像欠陥を引き起こすことがあった。また、線幅ラフネス(LWR)等の画像性能も更なる改善が望まれていた。
【0007】
また、特許文献3(特開2002−212174号公報)においては、特定構造のノルボルナンラクトン化合物が開示されている。さらに、特許文献4(特開2000−159758号公報)等にも様々なレジスト組成物が開示されている。しかしながら、上記各諸要求に答えるレジスト組成物は見出されていなかった。
【特許文献1】特開2001−109154号公報
【特許文献2】特開2002−296783号公報
【特許文献3】特開2002−212174号公報
【特許文献4】特開2000−159758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、現像欠陥の問題が改善され、優れた線幅の面内均一性が得られ、かつ、LWR性能にも優れたポジ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、ポジ型レジスト組成物の構成材料を鋭意検討した結果、下記構成により上記目的が達成されることを知り、本発明に至った。即ち、上記目的は、下記構成によって達成される。
【0010】
1. (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、および、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式(1)および(2)中、
1は水素原子またはアルキル基を表す。
2はアルキル基またはアルコキシ基を表す。
3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基または−COOR7で表される基を表す。R7は炭化水素基を表す。
4は水素原子またはアルキル基を表す。
Xはメチレン基または酸素原子を表す。
6は水素原子またはアルキル基を表す。
1は単結合又は2価の連結基を表す。
3は単結合、又は2価の連結基を表す。
ALGは下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を表す。
【0013】
【化2】

【0014】
式(pI)〜(pV)中、
11は、アルキル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0015】
2. 樹脂(A)が更に下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする、上記1.に記載のポジ型レジスト組成物。
【0016】
【化3】

【0017】
一般式(3)中、
5は水素原子またはアルキル基を表す。
1はm+1価の脂環式炭化水素基を表す。
2は単結合又は2価の連結基を表す。
mは1〜3の整数を表す。
【0018】
3. 樹脂(A)が、ALGで表される基が互いに異なる2種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記1.または2.に記載のポジ型レジスト組成物。
【0019】
4. 上記1.〜3.のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、現像欠陥の問題が改善され、優れた面内均一性が得られ、かつ、LWR性能にも優れたポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0022】
〔1〕酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(A成分)
本発明のポジ型レジスト組成物に用いられる、酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)と下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)とを有する樹脂である。
【0023】
【化4】

【0024】
一般式(1)および(2)中、
1は水素原子またはアルキル基を表す。
2はアルキル基またはアルコキシ基を表す。
3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基または−COOR7で表される基を表す。R7は炭化水素基を表す。
4は水素原子またはアルキル基を表す。
Xはメチレン基または酸素原子を表す。
6は水素原子またはアルキル基を表す。
1は単結合又は2価の連結基を表す。
3は単結合、又は2価の連結基を表す。
ALGは後述する一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を表す。
【0025】
上記一般式(1)および(2)において、炭化水素基としては、鎖状でも環状でもよく、例えば、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)であり、置換基を有していてもよく、また、アルキル基の鎖中に酸素原子などのヘテロ原子を有していてもよい。例えば、メチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基、直鎖、分岐又は環状ヘキシル基、アダマンチル、ノルボルニル、ブチロラクトン、シクロヘキサンラクトン、ノルボルナンラクトンなどを挙げることができる。
アルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
また、上記アルキル基は置換されていてもよく、有していてもよい更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものである。
【0026】
2価の連結基としては、好ましくはアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。上記アルキレン基としては、下記式で表される基等を挙げることができる。
−〔C(Rb )(Rc )〕r
式中、Rb 、Rcは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0027】
【化5】

【0028】
式(pI)〜(pV)中、
11は、アルキル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0029】
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基は置換されていてもよく、有していてもよい更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0030】
11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環部分(脂環構造)の構造例を示す。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
【化8】

【0034】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
【0035】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
【0036】
尚、一般式(2)で表される繰り返し単位においては、Aが単結合であり、ALGが一般式(pI)又は(pII)で表される基であるものが好ましい。
尚、走査型電子顕微鏡で観察時のパターンサイズの変動が少ない点(SEM耐性)から、一般式(2)において、Aが単結合であり、ALGが下記で表される基である繰り返し単位が特に好ましい。
【0037】
【化9】

【0038】
26及びR27は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。
【0039】
以下、一般式(1)で示される繰り返し単位(a)の具体例を示す。本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
【化10】

【0041】
以下、一般式(2)で示される繰り返し単位(b)に相当するモノマーの具体例を示す。本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化11】

【0043】
【化12】

【0044】
【化13】

【0045】
【化14】

【0046】
【化15】

【0047】
【化16】

【0048】
樹脂(A)は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位および上記一般式(2)で表される繰り返し単位に加え、下記一般式(3)で表される脂肪族環状炭化水素基に置換した部分構造を有する繰り返し単位(c)を含有することが、LWR特性を更に向上する上で好ましい。
【0049】
【化17】

【0050】
一般式(3)中、
5は水素原子またはアルキル基を表す。
1はm+1価の脂環式炭化水素基を表す。
2は単結合又は2価の連結基を表す。
mは1〜3の整数を表す。
即ち、−Z1−(OH)mは、脂肪族環状炭化水素基に水酸基がm個置換した基を表す。
【0051】
2の2価の連結基は、上記式(1)および(2)においける2価の連結基と同様のものがあげられる。
【0052】
1の脂肪族環状炭化水素基(脂環基)は、前述した脂肪族環状炭化水素基(脂環基)と同様である。
m個の水酸基は、Z3の脂環自体、及び、脂環が有する置換基部分のいずれで置換していてもよい。
【0053】
尚、一般式(3)で表される繰り返し単位として、下記一般式(Ia)で表される繰り返し単位が、ラインパターンの形成における、解像力、プロファイルの点で好ましい。
【0054】
【化18】

【0055】
一般式(Ia)中、R30は、水素原子又はメチル基を表す。
31〜R33は、各々独立に、水素原子、水酸基又はアルキル基を表し、但し少なくとも一つは水酸基を表す。
【0056】
また、一般式(Ia)で表される繰り返し単位において、R31〜R33のうちの二つが水酸基であることが更に好ましい。
【0057】
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
【0058】
【化19】

【0059】
【化20】

【0060】
【化21】

【0061】
<その他の脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位>
樹脂(A)は、上記各繰り返し単位のほかに、さらに脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位(d)を含有していてもよい。これにより、パターン倒れ抑止性能の向上やSEMシュリンク(走査型電子顕微鏡で観察時のパターンサイズの収縮)を抑制する効果が期待できる。
脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、例えば、シクロヘキサンラクトン、ノルボルナンラクトン、又はアダマンタンラクトンを有する繰り返し単位を挙げることができる。
【0062】
例えば、ノルボルナンラクトンを有する繰り返し単位としては、下記一般式(a−1)〜(a−3)で表される基を有する(メタ)アクリル繰り返し単位、シクロヘキサンラクトンを有する繰り返し単位としては下記一般式(a−4)及び(a−5)で表される基を有する(メタ)アクリル繰り返し単位、アダマンタンラクトンを有する繰り返し単位としては、下記一般式(VI)で表される基を有する(メタ)アクリル繰り返し単位を挙げることができる。
特に、下記一般式(a−1)〜(a−3)のいずれかで表される基を有する(メタ)アクリル繰り返し単位が特に好ましい。
【0063】
【化22】

【0064】
一般式(a−1)〜(a−5)において、R1〜R6は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又は−COORaを表す。ここでRaはアルキル基を表す。R1〜R6の内の2つは、結合して環を形成してもよい。
尚、R1〜R6の各々について、水素原子である場合とは、無置換であることを意味する。例えば、一般式(a−1)における環状構造は、R1〜R5として、最大で5つの置換基(アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基)を有しうる。
【0065】
1〜R6またはRaとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖又は分岐アルキル基である。
直鎖又は分岐アルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖又は分岐アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
【0066】
1〜R6としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
1〜R6としてのアルケニル基は、置換基を有していてもよく、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1〜R6の内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(a−1)〜(a−5)におけるR1〜R6は、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0067】
また、上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0068】
一般式(a−1)〜(a−5)で表される基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0069】
【化23】

【0070】
一般式(V)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。
b0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(a−1)〜(a−5)におけるR1としてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。
b0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
A'は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
2は、一般式(a−1)〜(a−5)のうちのいずれかで示される基を表す。A'において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0071】
【化24】

【0072】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0073】
以下に、一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0074】
【化25】

【0075】
【化26】

【0076】
【化27】

【0077】
【化28】

【0078】
【化29】

【0079】
【化30】

【0080】
【化31】

【0081】
【化32】

【0082】
アダマンタンラクトンを有する繰り返し単位としては、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0083】
【化33】

【0084】
一般式(VI)において、A6は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
6aは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0085】
一般式(VI)において、A6のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rnf)(Rng)〕r−
上記式中、Rnf、Rngは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数である。
【0086】
一般式(VI)において、A6のシクロアルキレン基としては、炭素数3〜10個のものが挙げられ、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等を挙げることができる。
【0087】
6を含む有橋式脂環式環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜5)、アシル基(例えば、ホルミル基、ベンゾイル基)、アシロキシ基(例えば、プロピルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4)、カルボキシル基、水酸基、アルキルスルホニルスルファモイル基(−CONHSO2CH3等)が挙げられる。尚、置換基としてのアルキル基は、更に水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等で置換されていてもよい。
【0088】
一般式(VI)において、A6に結合しているエステル基の酸素原子は、Z6を含む有橋式脂環式環構造を構成する炭素原子のいずれの位置で結合してもよい。
【0089】
以下に、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
【化34】

【0091】
【化35】

【0092】
<メタクリル酸繰り返し単位>
本発明の樹脂(A)は、さらに、メタクリル酸繰り返し単位(e)を含有していてもよい。本発明における、メタクリル酸繰り返し単位とは、下記式で示される繰り返し単位である。
【0093】
【化36】

【0094】
樹脂(A)は、更に下記一般式(IV)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することができる。
【0095】
【化37】

【0096】
一般式(IV)中、R1aは、水素原子又はメチル基を表す。
1は、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
a1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0097】
a1〜Re1の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0098】
一般式(IV)において、W1のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rf)(Rg)〕r1
上記式中、Rf、Rgは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数である。
【0099】
上記アルキル基、アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基における更なる置換基としては、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アセチルアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。
【0100】
以下、一般式(IV)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0101】
【化38】

【0102】
【化39】

【0103】
【化40】

【0104】
上記一般式(IV)の具体例において、露光マージンがより良好になるという点から(IV−17)〜(IV−36)が好ましい。
【0105】
その他、更に、特開2004−101642号、特開2003−113174号、特開2003−147023号、特開2002−308866号、特開2002−371114号、2003−64134号、特開2003−270787号などに記載のラクトン環を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
このような繰り返し単位としては、より具体的には以下の一般式で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を挙げることができる。
【0106】
【化41】

【0107】
一般式(i)〜(iv)において、R1e〜R7eは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。Xeは炭素数1〜8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基もしくはエチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。neは0又は正の整数である。
【0108】
一般式(i)〜(iv)において、R1e〜R7eとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の炭素数は通常1〜20、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1または2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、及びメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0109】
【化42】

【0110】
式(v)において、ここで、R1fは水素原子又はメチル基を示す。R2fは水素原子、又は炭素数8以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等を例示できる。R3fはCO24fを示す。R4fは炭素数15以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は該アルキル基及びシクロアルキル基の任意の炭素−炭素結合間に1個又は複数個の酸素原子が挿入された基を示す。アルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基等を例示でき、炭素−炭素結合間に1個又は複数個の酸素原子が挿入された基として具体的にはメトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基等を例示できる。
【0111】
【化43】

【0112】
式(vi)及び(vii)中、R1g及びR2gは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシカルボニル基を示す。R3gないしR7gは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。Xgはメチレン基、エチレン基、酸素原子又は硫黄原子を示す。
【0113】
1g〜R7gとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の炭素数は通常は8以下であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。またR1g及びR2gのいずれかがアルコキシカルボニル基である場合には、その炭素数は通常は2〜9であり、アルコキシ基のアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。好ましくは、R1gは水素原子であり、R2gは水素原子又はメチル基である。またR3gは水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましく、R4g〜R7gはいずれも水素原子であるのが好ましい。
【0114】
下記一般式(viii)で表される(メタ)アクリレート化合物。
【0115】
【化44】

【0116】
式(viii)中、R1gは水素原子又はメチル基、R2g及びR3gは、各々独立に、水素原子、又は炭素数15以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し、R2gとR3gは結合して環を形成してもよく、その場合には、R2gとR3gで炭素数2〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。R4g〜R7gは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。Xgは−CH2−、−CH2CH2−もしくは−O−又は互いに分離した2個の−Hであることを表す。
【0117】
【化45】

【0118】
式(ix)又は(x)中、R1hは水素原子又はメチル基、R2h及びR3hは、各々独立に、水素原子、又は炭素数15以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し、R2hとR3hは結合して環を形成してもよく、その場合には、R2hとR3hで炭素数2〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。Xhは−CH2−、−CH2CH2−もしくは−O−又は互いに分離した2個の−Hであることを表す。
【0119】
【化46】

【0120】
式(xi)中、R1hは水素原子又はメチル基、R2h及びR3hは、各々独立に、水素原子、又は炭素数15以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し、R2hとR3hは結合して環を形成してもよく、その場合には、R2hとR3hで炭素数2〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。Xhは−CH2−、−CH2CH2−もしくは−O−又は互いに分離した2個の−Hであることを表す。
【0121】
【化47】

【0122】
式(xii)中、R1iは水素原子又はメチル基を示す。R2iは水素原子又は炭素数8以下のアルキル基もしくはシクロアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等を例示できる。R3iはCO24iを示す。R4iは炭素数15以下のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基等を例示できる。
【0123】
【化48】

【0124】
式(xiii)において、R1jは、炭化水素基または酸素含有炭化水素基である。Xjは、(メタ)アクリル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位等からなる主鎖に連結するための基である。
【0125】
炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環族骨格を有する炭化水素基、芳香族骨格を有する炭化水素基が挙げられる。例えば、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、またはシクロアルキル基が例示できる。酸素含有炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキルカルボニル基、ヒドロキシアルキル基等が例示できる。上記直鎖アルキル基を例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基があり、上記分岐アルキル基を例示すれば、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基があり、上記シクロアルキル基を例示すれば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペプチル基があり、上記アルキルカルボニル基を例示すれば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基があり、上記ヒドロキシアルキル基を例示すれば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基がある。上記の中で、本発明に好適なR1jの具体例としては、メチル基、エチル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基が挙げられる。
【0126】
置換基−OR1jの置換位置はラクトン環を除いた部位であればよい。好ましくは、ラクトン環のアルカリに対する溶解機能を損なわないために、主鎖と連結する基であるXjに隣接する部位である。
jは、好ましくはエーテル結合またはエステル結合である。
【0127】
上記一般式で表されるラクトン環を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
【化49】

【0129】
樹脂(A)は、更に、他のアクリル酸エステル類による繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)が有しうる他のアクリル酸エステル類による繰り返し単位としては、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルアクリレートによる繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等による繰り返し単位を挙げることができる。
【0130】
樹脂(A)は、更に、他のメタクリル酸エステル類による繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)が有しうる他のメタクリル酸エステル類による繰り返し単位としては、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルメタアクリレートによる繰り返し単位であり、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等による繰り返し単位を挙げることができる。
【0131】
上記各繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。特に、一般式(2)で表される繰り返し単位(b)について、異なるALG基で表される基を有する2種以上の繰り返し構造単位を含むことが、線幅の面内均一性が更に向上するため特に好ましい。
また、本発明において、樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0132】
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような、各種モノマーを溶解させ得る溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。この際、必要に応じて連鎖移動剤(メルカプタン化合物等)を同時または別々に混合する。これらはモノマーと混合して、または別々に反応容器に添加する。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応濃度は通常10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。反応温度は通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0133】
樹脂(A)中、
一般式(1)で表される繰り返し単位(a)の含有率は、全繰り返し単位中、総量として、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは10〜50モル%、更に好ましくは15〜50モル%である。
一般式(2)で表される繰り返し単位(b)の含有率は、全繰り返し単位中、総量として15〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜55モル%、更に好ましくは25〜50モル%である。
一般式(3)で表される繰り返し単位(c)の含有率は、全繰り返し単位中、5〜40モル%が好ましく、より好ましくは10〜35モル%、更に好ましくは15〜30モル%である。
その他の脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位(d)の含有率は、全繰り返し単位中、30モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
メタクリル酸繰り返し単位(e)の含有率は、全繰り返し単位中、1〜25モル%が好ましく、より好ましくは3〜20モル%、更に好ましくは5〜15モル%である。
その他のラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中30モル%以下が好ましく、より好ましくは25モル%、更に好ましくは20モル%である。
【0134】
本発明に係る樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000である。重量平均分子量が上記範囲であることは、耐熱性やドライエッチング耐性と、現像性や製膜性とを両立させる上で好ましい。
【0135】
分子量分布(Mw/Mn)は通常1〜5であり、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3の範囲のものが使用される。分子量分布が上記範囲にあることは、解像度、レジスト形状劣化防止、及びレジストパターンの側壁の荒れ防止、ラフネス性の劣化防止などの点から好ましい。
【0136】
本発明のポジ型レジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0137】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B成分)
本発明のポジ型レジスト組成物は活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する。そのような光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0138】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0139】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0140】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0141】
使用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0142】
【化50】

【0143】
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
【0144】
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4-、PF6-、SbF6-などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
【0145】
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
【0146】
【化51】

【0147】
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として炭素数1−30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
【0148】
Rd1は、水素原子、アルキル基を表す。
【0149】
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1−4のパーフロロアルキル基である。
【0150】
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2−4のパーフロロアルキレン基である。
【0151】
Rc1、Rc3−Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
【0152】
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
【0153】
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0154】
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0155】
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0156】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0157】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0158】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
【0159】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
【0160】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0161】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0162】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0163】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6−から14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0164】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0165】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖、分岐2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
【0166】
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
【0167】
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0168】
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0169】
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0170】
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0171】
【化52】

【0172】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0173】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
【0174】
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
【0175】
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
【0176】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
【0177】
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0178】
x及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
Rx及びRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
【0179】
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
【0180】
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。X-は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0181】
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
【0182】
使用してもよい活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0183】
【化53】

【0184】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0185】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
【0186】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0187】
【化54】

【0188】
【化55】

【0189】
【化56】

【0190】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物のポジ型レジスト組成物中の含量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0191】
〔3〕含窒素塩基性化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、含窒素塩基性化合物を含有することが好ましい。含窒素塩基性化合物としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられ、昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。
【0192】
これらの含窒素塩基性化合物の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。
【0193】
例えば特開昭63-149640号、特開平5-249662号、特開平5-127369号、特開平5-289322号、特開平5-249683号、特開平5-289340号、特開平5-232706号、特開平5-257282号、特開平6-242605号、特開平6-242606号、特開平6-266100号、特開平6-266110号、特開平6-317902号、特開平7-120929号、特開平7-146558号、特開平7-319163号、特開平7-508840号、特開平7-333844号、特開平7-219217号、特開平7-92678号、特開平7-28247号、特開平8-22120号、特開平8-110638号、特開平8-123030号、特開平9-274312号、特開平9-166871号、特開平9-292708号、特開平9-325496号、特表平7-508840号、USP5525453号、USP5629134号、USP5667938号等に記載の塩基性化合物を用いることができる。
【0194】
含窒素塩基性化合物としては、好ましくは、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。
【0195】
これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機アミンが好ましい。
【0196】
含窒素塩基性化合物の含有量は、ポジ型レジスト組成物(固形分)100質量部に対し、通常、0.001〜10質量部、好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.001〜0.5質量部である。
【0197】
〔4〕 フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、更にフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0198】
本発明のポジ型レジスト組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
【0199】
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0200】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0201】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0202】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0203】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0204】
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0205】
〔5〕 溶剤
本発明に於いては、各成分を溶剤に溶解させてポジ型レジスト組成物を調製する。尚、本発明に於いて、溶剤とは、25℃、760mmHgの条件下で、液体であり、且つ沸点が250℃以下のものを指す。
【0206】
本発明のポジ型レジスト組成物は、溶剤として単一溶剤又は混合溶剤を使用することができる。単一溶剤としては、乳酸アルキル又はプロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、シクロヘキサノン、乳酸アルキルの群から選択される少なくとも2種類の溶剤を含有する混合溶剤が好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、乳酸アルキルの群(A群の溶剤ともいう)から選択される少なくとも1種類の溶剤と、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、シクロヘキサノンの群(B群の溶剤ともいう)から選択される少なくとも1種類の溶剤との混合溶剤及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートと乳酸アルキルとの混合溶剤がより好ましい。
【0207】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネートを好ましく挙げることができる。
【0208】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げることができる。
【0209】
乳酸アルキルとしては、乳酸メチル、乳酸エチルを好ましく挙げることができる。
【0210】
上記A群の溶剤とB群の溶剤との使用質量比率(A:B)は、90:10〜15:85が好ましく、より好ましくは85:15〜20:80であり、更に好ましくは80:20〜25:75である。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートと乳酸アルキルとの使用質量比率(プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート:乳酸アルキル)は、90:10〜10:90が好ましく、より好ましくは85:15〜15:85であり、更に好ましくは80:20〜20:80である。
【0211】
本発明において、上記各成分を含む組成物の固形分を、上記混合溶剤に固形分濃度として3〜25質量%溶解することが好ましく、より好ましくは5〜22質量%であり、更に好ましくは7〜20質量%である。
【0212】
本発明における混合溶剤の好ましい組み合わせとしては、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+プロピレングリコールモノエチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+シクロヘキサノン
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+乳酸エチル
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+乳酸メチル
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート+プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート+プロピレングリコールモノエチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート+シクロヘキサノン
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート+乳酸エチル
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート+乳酸メチル
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート+プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート+プロピレングリコールモノエチルエーテル
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート+シクロヘキサノン
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート+乳酸エチル
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート+乳酸メチル
プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート+プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート+プロピレングリコールモノエチルエーテル
プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート+シクロヘキサノン
プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート+乳酸エチル
プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート+乳酸メチル
乳酸エチル+プロピレングリコールモノメチルエーテル
乳酸エチル+プロピレングリコールモノエチルエーテル
乳酸メチル+プロピレングリコールモノメチルエーテル
乳酸メチル+プロピレングリコールモノエチルエーテル
乳酸エチル+シクロヘキサノン
乳酸メチル+シクロヘキサノン
である。
【0213】
特に好ましい溶剤の組み合わせとしては、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+シクロヘキサノン
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート+乳酸エチル
乳酸エチル+プロピレングリコールモノメチルエーテル
である。
【0214】
上記の各混合溶剤は、他の溶剤を添加してもよい。このような他の溶剤の添加量は、一般的には、本発明の各混合溶剤100質量部に対し、30質量部以下である。他の溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0215】
<その他の成分>
本発明のポジ型レジスト組成物は、必要に応じて、分子量が2000以下であって、酸の作用により分解し得る基を有し、アルカリ溶解性が酸の作用により増大する低分子酸分解性化合物を含むことができる。
【0216】
例えばProc.SPIE,2724, 355(1996)、特開平8-15865号、USP5310619号、USP−5372912号、J.Photopolym.Sci.,Tech.,Vol.10,No.3,511(1997))に記載されている酸分解性基を含有する、コール酸誘導体、デヒドロコール酸誘導体、デオキシコール酸誘導体、リトコール酸誘導体、ウルソコール酸誘導体、アビエチン酸誘導体等の脂環族化合物、酸分解性基を含有するナフタレン誘導体などの芳香族化合物を上記低分子酸分解性化合物として用いることができる。
【0217】
さらに、特開平6-51519号記載の低分子の酸分解性溶解阻止化合物も220nmの透過性を悪化させないレベルの添加範囲で用いることもできるし、1,2−ナフトキノンジアジト化合物も使用できる。
本発明のレジスト組成物に上記低分子酸分解性溶解阻止化合物を使用する場合、その含有量はレジスト組成物の100質量部(固形分)を基準として、通常0.5〜50質量部の範囲で用いられ、好ましくは0.5〜40質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部、特に好ましくは0.5〜20.0質量部の範囲で使用される。
【0218】
これらの低分子酸分解性溶解阻止化合物を添加すると、前記現像欠陥がさらに改良されるばかりか耐ドライエッチング性が改良される。
【0219】
本発明のポジ型レジスト組成物には、必要に応じて、さらに現像液に対する溶解促進性化合物、ハレーション防止剤、可塑剤、界面活性剤、光増感剤、接着助剤、架橋剤、光塩基発生剤等を含有することができる。
【0220】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物の例としては、例えば特開平3-206458号記載のフェノール性水酸基を2個以上含有する化合物、1−ナフトールなどのナフトール類又はカルボキシル基を1個以上有する化合物、カルボン酸無水物、スルホンアミド化合物やスルホニルイミド化合物などの分子量1000以下の低分子化合物等を挙げることができる。
【0221】
これらの溶解促進性化合物の配合量としては、組成物全質量(固形分)に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0222】
好適なハレーション防止剤としては、照射する放射線を効率よく吸収する化合物が好ましく、フルオレン、9−フルオレノン、ベンゾフェノンのような置換ベンゼン類;アントラセン、アントラセン−9−メタノール、アントラセン−9−カルボキシエチル、フェナントレン、ペリレン、アジレンのような多環式芳香族化合物などが挙げられる。なかでも、多環式芳香族化合物が特に好ましい。これらのハレーション防止剤は基板からの反射光を低減し、レジスト膜内の多重反射の影響を少なくさせることで、定在波改良の効果を発現する。
【0223】
また露光による酸発生率を向上させるために、光増感剤を添加することができる。好適な光増感剤として、ベンゾフェノン、p,p'−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、ピレン、フェノチアジン、ベンジル、ベンゾフラビン、アセトフェノン、フェナントレン、ベンゾキノン、アントラキノン、1,2−ナフトキノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの光増感剤は前記ハレーション防止剤としても使用可能である。
【0224】
<使用方法>
【0225】
本発明のこのようなポジ型レジスト組成物は基板上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布し、適宜加熱してレジスト膜を形成する。この塗膜の膜厚は0.2〜1.2μmが好ましい。
使用することができる基板としては、通常のBareSi基板、SOG基板、あるいは次に記載の無機の反射防止膜を有する基板等を挙げることができる。
また、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。
【0226】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、ARC25、シプレー社製のAC−2、AC−3、AR19、AR20等を使用することもできる。
【0227】
基板上にレジスト膜を形成した次に、所定のマスクを通して露光し、加熱を行い現像する。このようにすると、良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
【0228】
ポジ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
【0229】
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0230】
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0231】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0232】
合成例 樹脂(1)の合成
9−メタクリロイルオキシ−5−メチル−2−オキサトリシクロ〔4.2.1.04.8〕ノナン−3−オン、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、メタクリル酸を44/50/6(モル比)の割合で仕込み、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=60/40(質量比)に溶解し、固形分濃度22質量%の溶液450gを調製した。この溶液に重合開始剤として和光純薬社製V−601(ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート))を8mol加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて80℃に加熱したPGMEA/PGME=60/40(質量比)の混合溶液50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサン/酢酸エチル=9/1(質量比)の混合溶媒5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(1)を回収した。
13CNMR及び滴定から求めたポリマー組成比(モル比)は48/42/10であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は8900、分散度は1.77であった。
以下、上記合成法に準じて、下記(2)〜(13)の樹脂を合成した。用いた重合開始剤、連鎖移動剤、重合触媒、および得られた樹脂の分子量、分散度は表1に示す。
【0233】
【化57】

【0234】
【化58】

【0235】
【化59】

【0236】
【表1】

【0237】
実施例1〜13及び比較例1〜3 ポジ型レジスト組成物の調製と評価
<レジスト組成物の調製>
樹脂100g、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤を下記表に記載した種類、量を、表に記載の溶媒1.4kgに溶解して調液し、孔径0.03μmのポリエチレンフィルターを使用し濾過し、各レジストを得た。
【0238】
<レジスト評価>
スピンコーターにてシリコンウエハ上にブリューワ―サイエンス社製ARC29Aを78nm均一に塗布し、205℃で60秒間加熱乾燥を行い、反射防止膜を形成させた。その後、調製直後の各感光性組成物をスピンコーターで塗布し、表中に示す温度(PB温度)で90秒乾燥を行い200nmのレジスト膜を形成させた。
【0239】
このレジスト膜に対し、マスクを通じてArFエキシマレーザーステッパー(ASML社製 PAS5500/1100 NA=0.75(2/3輪帯照射))で露光し、露光後直ちに表中に示す温度(PEB温度)で、90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、レジストパターンを得た。
【0240】
・LWR(Line Width Roughness)評価
90nm(ピッチ180nm)のLine and Spaceパターンが再現する露光量で露光し得られたレジストパターンを、日立ハイテクノロジー社製S−9260を用いて観察、50ヵ所の線幅を測長し、その同一パターン内における3σをLWRと定義した。
【0241】
・線幅面内均一性評価
90nm(ピッチ180nm)のLine and Spaceパターンが再現する露光量で8inchウエハー全面を露光し得られたレジストパターンを、ウエハー全面ランダムに50ヵ所測長し、その3σを面内均一性と定義した。
【0242】
・現像欠陥評価
90nm(ピッチ180nm)のLine and Spaceパターンが再現する露光量で8inchウエハー全面を露光しレジストパターンを得た。これをKLA Tencor社製 インテリジェント ラインモニタ 2360を使用し現像欠陥測定した。
【0243】
【表2】

【0244】
表中、各略号は上記した具体例および下記のものを示す。
樹脂A:特開2002−296783号公報記載の樹脂A11
樹脂B:特開2000−159758号公報記載の樹脂13
樹脂C:下記構造
【0245】
【化60】

【0246】
PAG−A:p-トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート
(公開特許公報 2002−296783号公報記載の酸発生剤B1)
PAG−B:下記構造(特開2000−159758号公報記載のPAG2)
【0247】
【化61】

【0248】
〔界面活性剤〕
1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコーン系)
3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔塩基性化合物〕
1:N,N−ジヒドロキシエチルアニリン
2:N,N−ジブチルアニリン
3:トリオクチルアミン
4:下記構造
【化62】

5:下記構造
【化63】

【0249】
表2から、本発明のポジ型レジスト組成物は、現像欠陥の問題が改善され、優れた線幅の面内均一性が得られ、かつ、LWR性能にも優れていることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、および、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】

一般式(1)および(2)中、
1は水素原子またはアルキル基を表す。
2はアルキル基またはアルコキシ基を表す。
3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基または−COOR7で表される基を表す。R7は炭化水素基を表す。
4は水素原子またはアルキル基を表す。
Xはメチレン基または酸素原子を表す。
6は水素原子またはアルキル基を表す。
1は単結合又は2価の連結基を表す。
3は単結合、又は2価の連結基を表す。
ALGは下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を表す。
【化2】

式(pI)〜(pV)中、
11は、アルキル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【請求項2】
樹脂(A)が更に下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
【化3】

一般式(3)中、
5は水素原子またはアルキル基を表す。
1はm+1価の脂環式炭化水素基を表す。
2は単結合又は2価の連結基を表す。
mは1〜3の整数を表す。
【請求項3】
樹脂(A)が、ALGで表される基が互いに異なる2種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2006−91830(P2006−91830A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68921(P2005−68921)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】