説明

ポジ型感光性樹脂組成物

【課題】本発明の目的は、高解像性、高感度等の優れた感光特性を有した良好なポジ型感光性樹脂組成物等を提供することにある。
【解決手段】(1)(A)分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)
【化11】


(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成するか、またはRとRが、隣接するC−C−Oと一緒になって含酸素複素環を形成してもよい)で表される基で置換されたポリイミド前駆体、および(B)キノンジアジド構造を有する化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド前駆体を含有するポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器における耐熱絶縁材料としてポリイミドの重要性が益々高まっている。ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質等の特性を併せ持つことから、フレキシブルプリント配線回路(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、チップオンフィルム(COF)用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な用途に広く利用されている。
【0003】
従来、ポリイミド膜の微細加工は、ポリイミド膜上にフォトレジスト層を形成し、現像により露出した部分をヒドラジンや強アルカリでエッチングして行っていたが、ポリイミドあるいはその前駆体自身に感光性能を付与した感光性ポリイミドを用いることで、ポリイミドの微細加工工程が大幅に短縮され、半導体製造速度と歩留率を飛躍的に高めることが可能となる。
【0004】
この目的のため、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸膜中にジアゾナフトキノン系感光剤(以下、DNQと称することもある)を分散させたアルカリ現像可能なポジ型感光性ポリイミドが検討されている。しかしながら、ポリアミド酸中のカルボキシル基はpKa値が4〜5と低く、半導体製造工程で現像液として通常、使用されているテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下TMAHと称する)水溶液に対してポリアミド酸のアルカリ溶解性が高すぎるために露光部と未露光部との間の十分な溶解度差が得られにくい。それゆえ高解像度の微細加工には適さないといった問題が指摘されている。
【0005】
ポリアミド酸のアルカリ溶解性を制御して微細加工を可能にするいくつかの方法が提案されている。例えば、疎水性の高いフッ素化モノマーを使用する方法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながらこの方法では多くの場合、ポリアミド酸のアルカリ溶解性を精密に制御することが難しく、また金属基板との密着性が極端に低下する恐れがある。
【0006】
また、ポリアミド酸を部分的にイミド化してカルボキシル基含有量を下げる方法もアルカリ溶解性制御に有効である(特許文献1参照)。しかしながら、部分イミド化によりポリマーの有機溶媒溶解性が低下して製膜工程が困難になる恐れがある。
ポリアミド酸中のカルボキシル基含有率を低下させることによりアルカリ溶解性を制御する方法も有効である。例えば、ポリアミド酸中のカルボキシル基をメトキシメチル基、2-エトキシ−エチル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基等でブロックしたものが開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、解像度が低かったり、保存安定性が不十分であるなど、実用上、満足されるものではない。
【特許文献1】特許第3895945号
【特許文献2】特開平4−120171号公報
【非特許文献1】J.Photopolym. Sci.Technol.14,37(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高解像性、高感度等の優れた感光特性を有した良好なポジ型感光性樹脂組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)(A)分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成するか、またはRとRが、隣接するC−C−Oと一緒になって含酸素複素環を形成してもよい)で表される基で置換されたポリイミド前駆体、および(B)キノンジアジド構造を有する化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
(2)(A)分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)で表される基で置換されたポリイミド前駆体が、一般式(II)
【0011】
【化4】

【0012】
[式中、Rは、1つもしくは複数の芳香族環の4つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の芳香族環を含む4価の基、1つもしくは複数の脂環式炭化水素環の4つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の脂環式炭化水素環を含む4価の基または4価の脂肪族炭化水素基であり、Rは、1つもしくは複数の芳香族環の2つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で結合された1つもしくは複数の芳香族環を含む2価の基、1つもしくは複数の脂環式炭化水素環の2つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の脂環式炭化水素環を含む2価の基または2価の脂肪族炭化水素基であり、XおよびX’は、同一または異なって、−OHまたは一般式(I)で表される基を示すが、同時に−OHでない]で表される構造単位を有する重合体である(1)記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(3)(2)記載のポジ型感光性樹脂組成物において、一般式(II)で示される構造単位を有するポリイミド前駆体中のXまたはX’が一般式(I)で示される基である割合がXとX’全体に対して60モル%以上であるポジ型感光性樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、次いで加熱処理する工程を含むパターンの製造法。
(5)(4)記載の製造法により得られるパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有する電子部品。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、高解像性、高感度等の優れた感光特性を有した良好なポジ型感光性樹脂組成物等を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本願においては、ポリイミド前駆体とは、ポリアミド酸またはそのエステル等のポリアミド酸誘導体(例えば、一般式(II)でXおよびX’が−OHの化合物)等を表し、これらは熱処理や触媒使用等による環化反応により、イミド化してポリイミドを生成する。
以下、分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、R、RおよびRは、前記と同義である)で表される基で置換されたポリイミド前駆体を、重合体(I)と表現することもある。
また、重合体(I)の中で、一般式(II)
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体が好ましく、その中でも該ポリイミド前駆体のXとX’の全体の5モル%以上が一般式(I)
【0019】
【化7】

【0020】
(式中、R、RおよびRは、前記と同義である)で表されている基であることが好ましい。該ポリイミド前駆体において、XとX’全体の10モル%以上が一般式(I)で表されている基であることがさらに好ましく、XとX’全体の60モル%以上が一般式(I)で表されている基であることがより好ましい。
一般式中の各基の定義において、アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜18のアルキルがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられるが、中でも、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、さらには炭素数1〜3のアルキルがより好ましい。
【0021】
とRが隣接する炭素原子と一緒になって形成するシクロアルキルとしては、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
アリールとしては、例えば、炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的には、フェニル、ナフチル等があげられる。
【0022】
アラルキルとしては、例えば、炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的には、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
とRが隣接するC−C−Oと一緒になって形成する含酸素複素環としては、例えば、5〜8員のものがあげられ、具体的には、オキソラン環、オキサン環、オキセパン環等があげられる。
【0023】
アルキルの置換基としては、例えば、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。
アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分は、前記のアルキルと同義である。
アルカノイルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイルがあげられ、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
【0024】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられる。
アリールおよびアラルキルの置換基としては、例えば、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、アルキル、アルカノイル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分ならびにハロゲン原子は、それぞれ前記と同義である。
【0025】
芳香族環としては、例えば、炭素数6〜40のベンゼン環、ナフタレン環等があげられる。
脂環式炭化水素環としては、例えば、炭素数6〜40のシクロへキサン環、ジシクロヘキサン環等があげられる。
が1つもしくは複数の芳香族環の4つの水素原子が単結合で置換された1つもしくは複数の芳香族環を含む4価の基である場合、重合体(I)が優れた剛直性を有するので好ましい。
【0026】
4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜10のアルキル基から水素原子を4つ除いたものがあげられ、該アルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等があげられる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜10のアルキル基から水素原子を2つ除いたものがあげられ、該アルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等があげられる。
【0027】
複数の芳香族環において、複数とは、2〜6の整数であるのが好ましい。
複数の脂環式炭化水素環において、複数とは、2〜6の整数であるのが好ましい。
重合体(I)の重量平均分子量は、2,000〜200,000であることが好ましく、3,000〜100,000であることがより好ましい。
また、Rが複数の芳香族環を含む4価の基である場合、これら複数の芳香族環は、単結合、エーテル結合、メチレン結合、エチレン結合、2,2−プロピレン結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、スルホン結合、スルホキシド結合、チオエーテル結合およびカルボニル結合から選択される1または2の結合を介して互いに結合していることが、加熱処理後等に形成されるポリイミド樹脂の耐熱性、機械特性の向上の点から好ましい。
【0028】
一般式(II)
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、R、R、XおよびX’ は、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体は、例えば、一般式(III)
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、R、Rは、それぞれ前記と同義である。)で表される構造単位を有する重合体と一般式(IV)
【0033】
【化10】

【0034】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ、前記と同義である)で表されるアルケニルエーテル化合物の塩化物との反応により合成することができる(WO03/06407等)。
一般式(III)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体は、例えば、高分子学会編 新高分子実験学3 高分子の合成・反応(2) P155−P171(1996)等に記載されている方法に準じて、例えば、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを溶媒中で反応させて得ることができる。
【0035】
例えば、ジアミンをN−メチル−2−ピロリドン等の重合溶媒に溶解し、テトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラー等を用いて室温で好ましくは1〜120時間攪拌する。
上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミンは、等モルで使用するのが好ましいが、使用目的や分子量、溶液粘度によって、0.5〜1.5の範囲で調整して使用する。
【0036】
芳香族ジアミンを使用する重合系では、溶液中の原料(ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物)濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、脂肪族ジアミンを使用する重合系では溶液中の原料の濃度は5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲で行うことにより均一で高重合度の一般式(III)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体(ポリイミド酸等)の溶液を得ることができる。
【0037】
ジアミンの具体例としては、例えば、芳香族ジアミンとして、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデゥレン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、ジアミノテレフタル酸、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′,6,6′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジトリフルオロメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビスアニリンフルオレン、ビス(4−アミノ−カルボキシフェニル)メチレン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、3,3´−ジアミノ−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,5−ジアミノレゾルシノール、p−ターフェニレンジアミン等があげられ、脂肪族ジアミンとして、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(3−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(3−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジエチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、シス−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等があげられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
【0038】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−コハク酸等があげられ、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]ヘプタンテトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロヘキシル−3,3’ ,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3c−カルボキシメチルシクロペンタン−1r,2c,4c−トリカルボン酸1,4:2,3−二無水物、シス、シス、シス−1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸等があげられる。
これらは単独または、2種類以上を混合して使用することができる。
【0039】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて一般式(III)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を合成するために使用される溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく、特にその構造には限定されない。具体的に例示するならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチルーγ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、0−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、プチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒等も添加して使用できる。
【0040】
一般式(III)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体はその重合溶液を、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。また、単離したポリアミド酸を再度溶媒に溶解してワニス(樹脂溶液)とすることもできる。
重合体(I)は、例えば、以下のように製造することができる。
【0041】
重合体(I)は、一般式(III)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体と対応するアルケニルエーテルの塩化物とを反応させることにより得ることができる。一般式(III)で表される構造単位を有する樹脂中のカルボキシル基と、対応するアルケニルエーテルの塩化物の当量比(モル比)は、1:0.1〜1:10であるのが好ましく、さらには1:0.2〜1:5であるのが好ましい。
【0042】
反応温度は、−5℃〜50℃であるのが好ましく、さらには0℃〜30℃であるのが好ましい。反応温度が50℃よりも高いと副反応が起こり易くなり、所望する反応率のポリイミド先駆体が得られない恐れがあり、反応温度が−5℃より低い場合には、反応終了までに長時間が必要であったり、反応が進まない。
反応の際に生成する塩素分を酸受容剤で取り除くことが好ましい。使用される酸受容剤としては特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機の塩基性物質およびプロピレンオキシド等のエポキシ化合物を用いることができる。これらの酸受容剤の使用量は、好ましくはポリアミド酸のカルボキシル基に対して1〜30当量、より好ましくは1〜20当量である。
【0043】
また、反応の際に、必要に応じて有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、ポリアミド酸および反応により生成する一般式(II)で表されるポリアミド酸が溶解し、且つアルケニルエーテルの塩化物や酸受容剤と反応しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N′−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のようなアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドのような含イオウ溶媒、ヘキサメチルホスホルアミドのような含リン溶媒、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒があげられ、これらは、1種でまたは2種以上混合して用いてもよい。また、これらの溶媒は十分に脱水されたものを用いることが好ましい。
【0044】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、その一部に一般式(II)で表される構造単位以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない程度、含有していてもよい。
アルケニルエーテルの塩化物の具体例としては、例えば、1−メトキシ−2−メチルプロペン、1−エトキシ−2−メチルプロペン、1−プロポキシ−2−メチルプロペン、1−イソプロポキシ−2−メチルプロペン、1−ブトキシ−2−メチルプロペン、1−イソブトキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチルプロペン、1−ペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチルプロペン、1−ヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチルプロペン、1−ヘプチルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ノニルオキシ−2−メチルプロペン、1−デカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−ドデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−メトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−メトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン等の塩化物が挙げられ、1種でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
キノンジアジド構造を有する化合物としては、放射線または活性エネルギー線の照射により変化する感光剤としての作用を有するものであれば、特に限定されない。
キノンジアジド構造を有する化合物としては、例えば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール,3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン 、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン類またはそのメチル置換体、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、 ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、 ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、 ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、 ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等の、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類またはそのメチル置換体、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等の水酸基またはアミノ基をもつ化合物、ノボラック、ピロガロール−アセトン樹脂、p−ヒドロキシスチレンのホモポリマーまたはこれと共重合しうるモノマーとの共重合体等と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基含有スルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物または部分アミド化物等をあげることができ、単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0046】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、光増感剤、例えば、アントラセン類、アントラキノン類、クマリン類、ピロメテン類等の色素を必要に応じて、含有していてもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルメチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン)、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルエチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン)等の直鎖または分枝状のエーテル類、ジオキサン等の環状エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、β−メトキシイソ酪酸メチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。なお、上記有機溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その含有量は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物中、0.1〜80重量%であるのが好ましい。
【0047】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、酢酸フェニルセロソルブ等の高沸点溶剤を含有していてもよい。
【0048】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(いずれもトーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F172、F173(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、FC431(いずれも住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004,KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(いずれも旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(いずれも信越化学工業社製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(いずれも共栄社油脂化学工業社製)等があげられる。界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部であるのがより好ましい。
【0049】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、解像度をより向上させるために、溶解阻止剤を含有していてもよい。
溶解阻止剤としては、分子内にフェノール性ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の該フェノール性ヒドロキシル基の水素原子がtert−ブチル、tert−ブトキシカルボニル、ブトキシカルボニルメチル、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、エトキシエチル、エトキシプロピル等の酸不安定基により全体として平均10〜100モル%の割合で置換された化合物が好ましい。前記の化合物の重量平均分子量は、100〜1,000であるのが好ましく、150〜800であるのがより好ましい。溶解阻止剤の配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜50重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0050】
溶解阻止剤としては、具体的には、ビス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、トリス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、トリス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]エタン等があげられる。
【0051】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、ハレーションの防止等を目的として、紫外線吸収剤、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン、1,7−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、5−ヒドロキシ−4−(4−メトキシフェニルアゾ)−3−メチル−1−フェニルピラゾール等を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.01〜1重量部であるのがより好ましい。
【0052】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて保存安定剤、消泡剤等を含有していてもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の組成物の塗膜あるいは加熱処理後の樹脂膜と下地基板との接着性を向上させるために、接着促進剤を用いることもできる。接着促進剤としては、有機シラン化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、珪素含有ポリアミド酸等があげられる。
【0053】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液で現像可能であり、感度、解像度、耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られる。さらに、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用することにより、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供することができる。該電子部品は、前記パターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有する。
【0054】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いたポジ型レジストパターンの好適な形成方法について、以下に例を示す。
半導体デバイスへ適用した場合、まず、重合体(I)、感光剤として放射線または活性エネルギー線の照射により変化するキノンジアジド構造を有する化合物、有機溶剤を均一に溶かして得られる溶液を、対象とする支持基板上にスピンコーターもしくはスリットコーター等の塗布機やアプリケーターを用いてコーティングし、次に70〜150℃で塗膜を乾燥させる(支持基板上に塗布し、乾燥する工程)。次いで放射線または活性エネルギー線(例えば、365nm、436nm等)を発光する光源、例えばi線ステッパ、g線ステッパ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ミラープロジェクション露光装置等を用い、所望のマスクパターンを介して選択的露光を行う(露光を行なう工程)。次に、塗膜をアルカリ性水溶液にて溶解現像し(アルカリ水溶液を用いて現像する工程)、純水によってリンス洗浄する。支持基板としては、例えば、シリコンまたはガラス基板、さらに表面が金、銀、銅、ニッケル、ハンダ等の金属処理をされた基板を用途に応じて選択することができる。
【0055】
放射線または活性エネルギー線としては、例えば、X線、電子線、極端紫外線、極紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線等があげられる。
アルカリ水溶液(現像液)としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ水溶液やエチルアミン、n−プロピルアミン等の一級アミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の二級または三級アミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アミン、コリン、ピロール、ピペリジン等を水に溶解して得られるアルカリ性水溶液等が使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。多くの電子機器では残留金属が電気特性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、有機アルカリが好適に用いられ、半導体プロセスで使用されているTMAH水溶液が好適に用いられる。この際、TMAH水溶液の濃度は0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは2.0〜2.5重量%水溶液を使用する。
【0056】
現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式があげられる。これによって、対象とするウェーハ上には所望するポジ型パターンを得ることができる。
さらに、例えば、重合体(I)を含む塗膜を空気中、窒素等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中、好ましくは180〜450℃、より好ましくは250〜400℃の温度で熱処理することで鮮明なポリイミド膜を得ることができる。加熱温度は180℃以上であるとイミド化の閉環反応が速やかに進行し、また450℃以下であるとポリイミドフィルムの安定性の点で好ましい。また、イミド化は真空中または不活性ガス中で行うことが好ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行ってもよい。
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<固有粘度>
0.5重量%のポリアミド酸の溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<エステル化率>
1−メトキシ−2−メチルプロペンの塩化物によるポリアミド酸のエステル化率は、重ジメチルスルホキシド中で測定したH−NMRスペクトルにおける、カルボキシル基プロトン(ICOOH)とアミドプロトン(INHCO)の積分強度より次式に従って算出した。
【0058】
エステル化率(%)=(1−ICOOH/INHCO)×100
【実施例1】
【0059】
窒素導入管を備えたフラスコに、p−フェニレンジアミン(以下PDAと称する)1.081g(10mmol)とN−メチル−2−ピロリドン36.2gを加えて室温で溶解させた後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと称する)2.942g(10mmol)を室温にて徐々に加え、24時間、等モル重付加反応させ、固有粘度2.90dL/gのポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液3.18gを反応容器に秤りとり、セプタムラバーキャップでシールした。これにプロピレンオキサイド1.1mL(ポリアミド酸のカルボキシル基に対して10当量)をシリンジにて加えた。次に1−メトキシ−2−メチルプロペンの塩化物0.407mL(ポリアミド酸のカルボキシル基に対して2当量)をシリンジにてゆっくりと加え、室温で18時間攪拌してエステル化を行った。その後、反応溶液を大量の水中に滴下してポリイミド前駆体(重合体(I))を沈殿させた。この際、沈殿浴中の水は中性であることを確認した。沈殿物をさらに水でよく洗浄した後、濾別し、60℃で12時間真空乾燥して粉末を得た。H−NMRスペクトルの積分強度から見積もられたエステル化率は82%であった。
【0060】
<ポジ型パターン形成>
得られたポリイミド前駆体1.0gをNMP9.0gに溶解して10重量%の樹脂溶液とし、これに感光剤としてキノンジアジド構造を含む化合物2,3,4−トリス(1−オキソ−2−ジアゾナフトキノン−5−スルフォキシ)ベンゾフェノン0.3gを添加・溶解させた。これをシランカップリング剤で表面処理したガラス基板上に塗布し、60℃で2時間、熱風乾燥器中で乾燥させて、膜厚10μmの感光性樹脂組成物フィルムを得た。この膜を100℃で10分間プリベイク後、フォトマスクを介し、落射式高圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング社製トスキュア251)のi線(365nm、照射光強度=約150mW/cm)を20秒間照射した。これをTMAH2.38重量%水溶液にて20℃で1分間現像を行い、エタノールおよび水で洗浄後、60℃で数分乾燥し、図1に示す線幅30μmの鮮明なレリーフパターンが得られた。熱イミド化後もパターンの崩れはみられなかった。
【実施例2】
【0061】
PDAの代わりに2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下TFMBと称する)を用いた以外は実施例1に記載した方法に準じてポリイミド前駆体(重合体(I))を得た。実施例1に記載した方法と同様に見積もったエステル化率は81%であった。
<ポジ型パターン形成>
得られたポリイミド前駆体を用いて実施例1に記載した方法に従って感光性樹脂組成物フィルムを作製して光照射を行った後、10重量%のイソプロパノールを含むTMAH2.38重量%水溶液にて20℃で20〜30秒間現像を行い、30重量%イソプロパノール水溶液で洗浄後、60℃で数分乾燥し、図2に示す線幅30μmの鮮明なレリーフパターンが得られた。熱イミド化後もパターンの崩れはみられなかった。
【実施例3】
【0062】
PDAの代わりにトランス−1,4−シクロヘキサンジアミン(以下CHDAと称する)を用いた以外は実施例1に記載した方法に準じてポリイミド前駆体(重合体(I))を得た。実施例1に記載した方法と同様に見積もったエステル化率は90%であった。
<ポジ型パターン形成>
得られたポリイミド前駆体を用いて実施例1に記載した方法に従って感光性樹脂組成物フィルムを作製して光照射を行った後、TMAH2.38重量%水溶液にて20℃で20〜30秒間現像を行い、水で洗浄後、60℃で数分乾燥し、線幅30μmの鮮明なレリーフパターンが得られた。熱イミド化後もパターンの崩れはみられなかった。
比較例1
<ポジ型パターン形成>
実施例1に記載の1−メトキシ−2−メチルプロペンの塩化物を反応させる前のポリアミド酸を用いて、実施例1に記載した方法に従って感光性樹脂組成物フィルムを作製し、同様な条件で現像を行った。しかしながら、露光部と同様に未露光部もTMAH水溶液に溶解したため、パターン形成不能であった。
比較例2
実施例2において得られたポリアミド溶液2.11gに、エチルビニルエーテル0.101mLおよび触媒として燐酸を3滴加えて、20℃で3時間攪拌してエステル化を行った。その後、反応溶液を大量の水中に滴下してポリイミド前駆体(重合体(I))を沈殿させた。濾別し、60℃で12時間真空乾燥して粉末を得た。H−NMRスペクトルの積分強度から見積もられたエステル化率は80%であった。
【0063】
<ポジ型パターン形成>
実施例1に記載した方法に従って感光性樹脂組成物フィルムを作製し、同様な条件で現像を行った。しかしながら、露光部と同様に未露光部もTMAH水溶液に一部溶解しており、エステル化率が高いにも関わらず実施例1で得られたような鮮明なパターン形成はできなかった。これはこのポリアミド酸エステルの加水分解安定性が低く、現像工程中に一部加水分解されて一部元のアミド酸構造に戻り、アルカリ溶解性が増加したためである。
比較例3
反応容器中、1,4−シクロヘキサンジアミン(CHDA) 0.571g(5mmol)をN−メチル−2−ピロリドン11.6gに溶解し、セプタムキャップでシールした。この溶液に1.29g(5mmol)のN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドをシリンジにて滴下して室温で1時間攪拌し、CHDAのアミノ基をトリアルキルシリル化した。この溶液に1.471g(5mmol)のBPDA粉末を添加し、室温で24時間攪拌することによりポリアミド酸のトリアルキルシリルエステルを得た。
【0064】
<ポジ型パターン形成>
得られたポリイミド前駆体を用いて、実施例1に記載した方法に従って感光性樹脂組成物フィルムを作製し、同様な条件で現像を行った。しかしながら、露光部と同様に未露光部もTMAH水溶液に溶解したため、パターン形成不能であった。これは用いたポリアミド酸のトリアルキルシリルエステルの加水分解安定性が低く、現像工程中に一部脱シリル化したことに加え、このポリアミド酸系のアルカリ溶解性が元々非常に高いためである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、高解像性、高感度等の優れた感光特性を有した良好なポジ型感光性樹脂組成物等を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成するか、またはRとRが、隣接するC−C−Oと一緒になって含酸素複素環を形成してもよい)で表される基で置換されたポリイミド前駆体、および(B)キノンジアジド構造を有する化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)分子中に含まれるヒドロキシル基の一部が、一般式(I)で表される基で置換されたポリイミド前駆体が、一般式(II)
【化2】

[式中、Rは、1つもしくは複数の芳香族環の4つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の芳香族環を含む4価の基、1つもしくは複数の脂環式炭化水素環の4つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の脂環式炭化水素環を含む4価の基または4価の脂肪族炭化水素基であり、Rは、1つもしくは複数の芳香族環の2つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で結合された1つもしくは複数の芳香族環を含む2価の基、1つもしくは複数の脂環式炭化水素環の2つの水素原子が単結合、−O−、−CH−、―C−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−SO−、−S−もしくは−CO−で置換された1つもしくは複数の脂環式炭化水素環を含む2価の基または2価の脂肪族炭化水素基であり、XおよびX’は、同一または異なって、−OHまたは一般式(I)で表される基を示すが、同時に−OHでない]で表される構造単位を有する重合体である請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2記載のポジ型感光性樹脂組成物において、一般式(II)で示される構造単位を有するポリイミド前駆体中のXまたはX’が一般式(I)で示される基である割合がXとX’全体に対して60モル%以上であるポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、次いで加熱処理する工程を含むパターンの製造法。
【請求項5】
請求項4記載の製造法により得られるパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有する電子部品。

【公開番号】特開2009−192760(P2009−192760A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32577(P2008−32577)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】