説明

ポジ型感光性樹脂組成物

【課題】硬化後の耐薬品性、金属材料に対する接着性に優れたポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマー、(b)キノンジアジド化合物、(c)アルコキシメチル基含有化合物および(d)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)アルコキシメチル基含有化合物が、特定の化合物からなる群より選ばれる2種以上を含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。


(一般式(1)中、RおよびRは炭素数2以上の2価〜8価の有機基を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20の1価の有機基を示す。nは10〜100,000の範囲、lおよびmは0〜2の整数、pおよびqは0〜4の整数を示す。ただしp+q>0である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物に関する。より詳しくは、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などに適した、紫外線で露光した部分がアルカリ現像液に溶解するポジ型の感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドやポリベンゾオキサゾールなどの耐熱性樹脂は、優れた耐熱性、電気絶縁性を有することから、LSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)などの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに用いられている。半導体素子の微細化に伴い、表面保護膜、層間絶縁膜などにも数μmの解像度が要求されている。このため、このような用途において、微細加工可能なポジ型の感光性ポリイミドやポリベンゾオキサゾールが用いられている。近年、LSIパッケージの実装面積を小型化するために、従来のQFP(Quad Flat Package)などのパッケージ外にピンを出し、これを基板と接合する方式から、パッケージにバンプを形成し、直接基板にパッケージを接合する方式が用いられるようになってきた。このため、パッケージを形成する時に半田バンプなどを形成する必要が生じ、LSIチップを保護するために使用されるポリイミドなどの絶縁材料に、耐熱性や耐薬品性が求められている。特に、半田バンプ形成ではフラックス処理と呼ばれる有機酸を用いた高温処理を行うため、従来以上の耐薬品性が求められている。さらに、ウェハレベルパッケージの配線層間の絶縁膜などの用途においては、前記特性に加えて、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性が求められている。
【0003】
耐薬品性を向上させる手段として、アルカリ可溶性ポリアミド酸(またはそのエステル)、キノンジアジド化合物と、有機基で置換されたメチロール基を有する熱架橋性化合物を含有する感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、環状構造を有する樹脂またはその前駆体と、フェノール系の特定構造を有する熱架橋剤を含有する樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの架橋剤を用いることにより耐薬品性を向上させることができるものの、これらに開示された樹脂組成物は金属材料との接着性が不十分であった。
【0004】
これに対し、金属材料との接着性を向上させる方法として、特定のアミノ化合物、ジスルフィド系化合物ないしはチオエーテル化合物を使用する方法が提案されている(例えば特許文献3〜4参照)。しかしながら、これらに開示された樹脂組成物は耐薬品性が不十分であった。
【特許文献1】特開2002−328472号公報
【特許文献2】特開2007−16214号公報
【特許文献3】特開2004−43779号公報
【特許文献4】特開2007−39486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、硬化後の耐薬品性、金属材料に対する接着性に優れたポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマー、(b)キノンジアジド化合物、(c)アルコキシメチル基含有化合物および(d)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)アルコキシメチル基含有化合物が、(c1)下記一般式(2)で表される基を有する化合物、(c2)下記一般式(3)で表される化合物および(c3)下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる2種以上を含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
【0007】
【化1】

【0008】
一般式(1)中、RおよびRは炭素数2以上の2価〜8価の有機基を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20の1価の有機基を示す。nは10〜100,000の範囲、lおよびmは0〜2の整数、pおよびqは0〜4の整数を示す。ただしp+q>0である。
【0009】
【化2】

【0010】
一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基を示す。iは2または3を示す。
【0011】
【化3】

【0012】
一般式(3)中、RおよびRは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示す。Rは単結合または2価〜4価の有機基を示す。jは2〜4の整数を示す。
【0013】
【化4】

【0014】
(一般式(4)中、R10〜R15は同じでも異なっていてもよく、水素原子またはCHOR16(R16は炭素数1〜6のアルキル基)を示す。ただし、R10〜R15中の5つ以上がCHOR16である)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、硬化後の耐薬品性、金属材料との接着性に優れたポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマーを含有する。一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマーは、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、その他の環状構造を有するポリマーとなり得るものである。好ましくはポリイミド前駆体のポリアミド酸またはポリアミド酸エステル、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリヒドロキシアミドである。環状構造となることで、耐熱性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。ここで、主成分とは、一般式(1)で表される構造のうちのn個の構造単位を、ポリマーの全構造単位の50モル%以上有することを意味する。70モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有することがより好ましい。
【0017】
【化5】

【0018】
上記一般式(1)中、Rは炭素数2以上の2価〜8価の有機基を示し、酸の構造成分を表している。Rが2価となる酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。Rが3価となる酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸などを挙げることができる。Rが4価となる酸としてはピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸、これらのカルボキシル基2個の水素原子をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物などを挙げることができる。また、ヒドロキシフタル酸、ヒドロキシトリメリット酸などの水酸基を有する酸も挙げることができる。これら酸成分を2種以上用いてもかまわないが、テトラカルボン酸の残基を1〜40モル%含むことが好ましい。また、アルカリ現像液に対する溶解性や感光性の点から、水酸基を有する酸の残基を50モル%以上含むことが好ましい。
【0019】
は、耐熱性の点から芳香族環を有することが好ましく、炭素数6〜30の3価または4価の有機基がさらに好ましい。一般式(1)のR(COOR(OH)の構造の好ましい例として、下記に示す構造が挙げられる。
【0020】
【化6】

【0021】
一般式(1)中、Rは炭素数2個以上の2価〜8価の有機基を示し、ジアミンの構造成分を表している。Rは、耐熱性の点から芳香族環を有することが好ましい。ジアミンの具体的な例としては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン、ジアミノフェノール、ジヒドロキシベンチジン、ジアミノ安息香酸、ジアミノテレフタル酸、これらの芳香族環の水素をアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、一般式(1)のR(COOR(OH)が下記構造のいずれかであるものを挙げることができる。これらの中でも、一般式(1)のR(COOR(OH)が下記構造で表されるものが好ましい。これらジアミン成分を2種以上用いてもかまわないが、アルカリ現像液に対する溶解性の点から、水酸基を有するジアミンの残基を60モル%以上含むことが好ましい。
【0022】
【化7】

【0023】
【化8】

【0024】
一般式(1)のRおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20の1価の有機基を示す。アルカリ現像液に対する溶解性と、得られる感光性樹脂組成物の溶液安定性の点から、RおよびRのそれぞれ10モル%〜90モル%が水素であることが好ましい。さらに、RおよびRがそれぞれ炭素数1〜16の1価の炭化水素基を少なくとも1つ以上含有し、その他は水素原子であることがより好ましい。
【0025】
また、一般式(1)のlおよびmはカルボキシル基またはエステル基の数を示し、0〜2の整数を示す。好ましくは1または2である。一般式(1)のpおよびqは0〜4の整数を示し、p+q>0である。一般式(1)のnはポリマーの構造単位の繰り返し数を示しており、10〜100,000の範囲である。nが10未満であると、ポリマーのアルカリ現像液への溶解性が大きくなり過ぎ、露光部と未露光部のコントラストが得られず所望のパターンが形成できない場合がある。一方、nが100,000より大きいと、ポリマーのアルカリ現像液への溶解性が小さくなり過ぎ、露光部が溶解せず、所望のパターンが形成できない。ポリマーのアルカリ現像液への溶解性の面から、nは1,000以下が好ましく、100以下がより好ましい。また、伸度向上の面から、nは20以上が好ましい。
【0026】
一般式(1)のnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)や光散乱法、X線小角散乱法などで重量平均分子量(Mw)を測定することで容易に算出できる。繰り返し単位の分子量をM、ポリマーの重量平均分子量をMwとすると、n=Mw/Mである。本発明における繰り返し数nは、最も簡便なポリスチレン換算によるGPC測定を用いて算出する値をいう。
【0027】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で一般式(1)のRおよび/またはRにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
【0028】
また、一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマーの末端に末端封止剤を反応させることができる。ポリマーの末端を水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれた官能基を有するモノアミンにより封止することで、樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解速度を好ましい範囲に調整することができる。また、ポリマーの末端を酸無水物、酸クロリド、モノカルボン酸で封止することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度を好ましい範囲に調整することができる。モノアミン、酸無水物、酸クロリド、モノカルボン酸などの末端封止剤の含有量は、全アミン成分に対して5〜50モル%が好ましい。
【0029】
ポリマー中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリマーを酸性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリマーを直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトル測定及び13C−NMRスペクトル測定することによっても検出できる。
【0030】
一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマーは、次の方法により合成される。ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの場合、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物、末端封止に用いるモノアミノ化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン化合物、モノアミノ化合物と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン化合物、モノアミノ化合物と反応させる方法などがある。ポリヒドロキシアミドの場合、例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸、モノアミノ化合物を縮合反応させる方法がある。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような脱水縮合剤と酸を反応させ、ここにビスアミノフェノール化合物、モノアミノ化合物を加える方法やピリジンなどの3級アミンを加えたビスアミノフェノール化合物、モノアミノ化合物の溶液にジカルボン酸ジクロリドの溶液を滴下する方法などがある。
【0031】
一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマーは、上記の方法で重合させた後、多量の水やメタノール/水の混合液などに投入し、沈殿させて濾別乾燥し、単離することが望ましい。この沈殿操作によって未反応のモノマーや、2量体や3量体などのオリゴマー成分が除去され、熱硬化後の膜特性が向上する。
【0032】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)成分のポリマー以外のポリマーを含有してもよく、例えば、ノボラック樹脂を挙げることができる。ノボラック樹脂を2種以上含有してもよい。ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを公知の方法で重縮合することによって得ることができる。
【0033】
上記フェノール類の好ましい例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等を挙げることができる。これらのフェノール類を2種以上用いてもよい。また、上記アルデヒド類の好ましい例としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒド等を挙げることができる。これらのアルデヒド類を2種以上用いてもよい。このアルデヒド類の使用量は、フェノール類1モルに対し、0.6モル以上が好ましく、0.7モル以上がより好ましい。
【0034】
ノボラック樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。また、20,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましい。この範囲であれば、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を基材へ塗布する際の作業性、アルカリ現像液への溶解性に優れる。
【0035】
ノボラック樹脂の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して、30重量部以上が好ましく、200重量部以下が好ましい。この範囲であれば、感度が向上する。
【0036】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(b)キノンジアジド化合物を含有する。キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくてもよいが、露光部と未露光部のコントラストの観点から、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。本発明において、キノンジアジドは5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましく、これらを2種以上含有してもよい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよい。
【0037】
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
キノンジアジド化合物の分子量は350以上1200以下が好ましい。
【0041】
本発明で用いるキノンジアジド化合物は、例えば、5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法などにより得ることができる。
【0042】
また、(b)キノンジアジド化合物の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上であり、また、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下である。
【0043】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(c)アルコキシメチル基含有化合物を含有する。アルコキシメチル基は150℃以上の温度領域で架橋反応を生じるため、後述する現像後加熱処理により架橋し、耐薬品性に優れた硬化膜を得ることができる。(c)成分はアルコキシメチル基を4以上有することが好ましく、耐薬品性をより向上させることができる。本発明においては、(c)アルコキシメチル基含有化合物が、(c1)下記一般式(2)で表される基を有する化合物、(c2)下記一般式(3)で表される化合物および(c3)下記一般式(4)で表される化合物からなる群より選ばれる2種以上であることが重要である。(c1)の化合物は、耐薬品性の向上に加え、ウレア残基が金属と強く相互作用するため、硬化後の金属材料に対する接着性を向上させることができる。しかしながら、(c1)のみでは十分な耐薬品性は得られない。(c2)の化合物は耐薬品性を大きく向上させることができるものの、(c2)のみでは金属材料に対する十分な接着性が得られない。(c3)の化合物は、耐薬品性の向上に加え、メラミン骨格が金属と非常に強く相互作用するため、(c1)より少量で硬化後の金属材料に対する接着性を向上させることができる。しかしながら、(c3)のみでは十分な耐薬品性は得られない。そこで、本発明においては(c1)〜(c3)を2種以上含有することにより、硬化後の耐薬品性と金属材料に対する接着性を両立させることができる。さらに、そのうち一種は(c3)であることが好ましく、少量でも金属に対する高い接着効果が得られる。また、耐薬品性をより向上させるためには(c2)を含むことが好ましい。
【0044】
【化9】

【0045】
一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基を示す。樹脂組成物中における溶解性の点から炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。iは2または3を示す。
【0046】
一般式(3)中、RおよびRは炭素数1〜6のアルキル基を示す。樹脂組成物中における溶解性の点から炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示す。Rは単結合または2価〜4価の有機基を示す。jは2〜4の整数を示す。Rの2価〜4価の有機基の例としては、次に示す構造が挙げられる。ここで、R17〜R34はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20の有機基、Cl、Br、IまたはFを示す。
【0047】
【化10】

【0048】
一般式(4)中、R10〜R15は同じでも異なっていてもよく、水素原子またはCHOR16(R16は炭素数1〜6のアルキル基)を示す。ただし、ただし、R10〜R15中の5つ以上がCHOR16である。
【0049】
(c1)一般式(2)で表される基を有する化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
【化11】

【0051】
(c2)一般式(3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
【化12】

【0053】
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
【化13】

【0055】
(c)アルコキシメチル基含有化合物の含有量は、架橋密度を上げ、耐薬品性をより向上させる観点から、(a)成分のポリマー100重量部に対して(c)の総量0.5重量部以上が好ましい。さらに10重量部以上であるとより高い耐薬品性が得られるため、260℃前後で加熱される鉛フリー半田用フラックス処理など、より厳しい処理条件に対しては10重量部以上が好ましい。また、硬化膜の機械特性の面からは100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。また、(c2)成分を含有する場合、耐薬品性の観点から(c2)の含有量は(a)成分のポリマー100重量部に対して5重量部以上が好ましく、より厳しい処理条件に対しては10重量部以上が好ましい。また、(c3)を含有する場合、感度を維持する観点から、(c3)の含有量は(a)成分のポリマー100重量部に対して0.5〜1.5重量部の範囲が好ましい。
【0056】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(d)溶剤を含有する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。本発明においては、これらの溶剤を2種以上含有してもよい。溶剤の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100重量部以上であり、また、好ましくは2000重量部以下、より好ましくは1500重量部以下である。
【0057】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに(e)シラン化合物を含有してもよい。シラン化合物としては、下記構造を有する化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン化合物、N−フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリエトキシシランなどのアミノシラン化合物、2−(3、4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基を有するシラン化合物、3−エチル−[(トリエトキシシリルプロポキシ)メチル]オキセタンなどのオキセタンを有するシラン化合物が好ましい。このようなシラン化合物を含有することにより、シリコン基板との接着性が向上する。これらのシラン化合物を2種以上含有してもよい。
【0058】
【化14】

【0059】
上記の(e)シラン化合物の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して0.005重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。
【0060】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(f)光酸発生剤を含有してもよい。光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩が好ましく、これらを2種以上含有してもよい。光酸発生剤を含有することにより、アルカリ現像液に対する溶解調整剤として作用する。なかでもスルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。トリアリールスルホニウム塩の具体例を次に示す。
【0061】
【化15】

【0062】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(f)光酸発生剤の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、さらに好ましくは0.05重量部以上であり、また、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
【0063】
また、必要に応じて上記、感光性樹脂組成物の感度を向上させる目的で、フェノール性水酸基を有する化合物を含有することができる。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、Bis−Z、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisRS−2P、BisRS−3P、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−Fを挙げることができる。フェノール性水酸基を有する化合物を含有することで、得られる樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。
【0064】
フェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、(a)成分のポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上であり、また、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下である。
【0065】
また、必要に応じて上記、感光性組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を含有してもよい。また、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを含有することもできる。
【0066】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法を例示する。例えば、(a)〜(d)成分、および必要によりその他成分をガラス製のフラスコやステンレス製の容器に入れてメカニカルスターラーなどによって撹拌溶解させる方法、超音波で溶解させる方法、遊星式撹拌脱泡装置で撹拌溶解させる方法などが挙げられる。組成物の粘度は1〜10000mPa・sが好ましい。また、異物を除去するために0.1μm〜5μmのポアサイズのフィルターで濾過してもよい。
【0067】
本発明においては、上記成分(e)をポリマーの重合終了後の組成物に添加することが好ましい。ポリマー重合時に上記成分(e)に該当する化合物を添加すると、ポリマー中に共有結合によってポリマー主鎖中に取り込まれて、Si基板との接着効果が低下するおそれがある。また、ポリマーを再沈する場合は、再沈時に上記化合物の未反応物等が除去されて接着効果が低下する、またアルコキシ基の縮合によってゲル化するなどの問題を防ぐため、再沈させたポリマーを他の成分とともに溶解する際、あるいは(a)〜(c)成分を(d)溶媒に溶解した後に、上記成分(e)を加えるのがよい。
【0068】
次に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
【0069】
感光性樹脂組成物を基板上に塗布する。基板はシリコンウエハ、金属でスパッタしたシリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、金属、ガラス、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素、ITOなどが用いられるが、これらに限定されない。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は金属材料に対する接着性に優れることから、特に金属基板や金属でスパッタしたシリコンウエハに用いることが好ましい。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スリットダイコーティングなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1〜150μmになるように塗布される。
【0070】
次に、感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃〜150℃の範囲で1分〜数時間行うことが好ましい。
【0071】
次に、この感光性樹脂膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。
【0072】
感光性樹脂膜から耐熱性樹脂のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去すればよい。現像液は、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
【0073】
現像後、200℃〜500℃の温度を加えて耐熱性樹脂被膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分〜5時間実施することが一般的である。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分ずつ熱処理する、あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0074】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物により形成した耐熱性樹脂被膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられる。特に、金属材料に対する接着性が優れることから、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜に好適に用いられる。
【実施例】
【0075】
以下実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性樹脂組成物の評価は以下の方法で行った。
【0076】
(1)感度評価
感光性樹脂膜の作製
6インチシリコンウエハ上に、感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が8μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Mark−7)を用いて、120℃で3分プリベークすることにより、感光性樹脂膜を得た。
【0077】
膜厚の測定方法
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、プリベーク後および現像後の膜は、屈折率1.629で測定し、キュア膜は屈折率1.773で測定した。
【0078】
露光
露光機(GCA社製i線ステッパーDSW−8570i)に、パターンの切られたレチクルをセットし、365nmの強度で露光時間を変化させて感光性樹脂膜をi線で露光した。
【0079】
現像
東京エレクトロン(株)製Mark−7の現像装置を用い、50回転で水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を10秒間、露光後の膜に噴霧した。この後、0回転で70秒間静置し、400回転で水にてリンス処理、3000回転で10秒振り切り乾燥した。
【0080】
感度の算出
露光および現像後、50μmのライン・アンド・スペースパターン(1L/1S)が、1対1の幅に形成される露光時間(以下、これを最適露光時間という)Eopを求めた。この値が600mJ/cm以下なら良好、600mJ/cmを超える場合は不良とした。
【0081】
(2)金属材料との接着性評価
銅をスパッタしたシリコンウエハ上に、スピンナを用いてプリベーク後の膜厚が10μmとなるようにワニスを塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置D−SPIN)を用いて、120℃で3分プリベークすることにより、感光性樹脂膜を得た。作製された感光性樹脂膜を露光、現像(ディップ現像)し、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINH−21CDを用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)、170℃で30分、その後320℃まで1時間で昇温して320℃で1時間熱処理をし、耐熱性樹脂被膜(キュア膜)を作製した。
【0082】
キュア膜を10質量%の硫酸水溶液に浸漬し、23℃で3分間処理した後、水洗した。光学顕微鏡でキュア膜とシリコンウエハの間に染み込みがないか観察した。染み込みが全く無ければ◎、わずかな染み込みであれば○、染み込みが多く見られれば×とし、○以上を合格とした。
【0083】
また、キュア膜のパターン上で“セロテープ(登録商標)”による引き剥がしテストを行った。その後、10質量%の硫酸水溶液で浸漬し、23℃で3分間処理した後、上記と同様に“セロテープ(登録商標)”による引き剥がしテストを行うことで、処理前後の接着性を評価した。引き剥がしテストで剥がれが全く無ければ◎、わずかな剥離であれば○、剥離が多く見られれば不良とし、○以上を合格とした。
【0084】
(3)耐薬品性評価
(1)でパターン加工したシリコンウエハを(2)に記載の条件でキュアし、剥離液106(東京応化工業(株)製)中に浸漬し、70℃で10分間処理した後、水洗した。光学顕微鏡でパターンにクラックなど異常がないか観察した。
【0085】
合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物(a)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)をガンマブチロラクトン(GBL)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1Lに投入して下記式で表されるヒドロキシル基含有酸無水物(a)を得た。
【0086】
【化16】

【0087】
合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0088】
固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)を得た。
【0089】
【化17】

【0090】
合成例3 ヒドロキシル基含有ジアミン(c)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン50mL、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド11.2g(0.055モル)をアセトン60mLに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0091】
この沈殿をGBL200mLに溶解させて、5%パラジウム−炭素3gを加えて、激しく撹拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで撹拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で撹拌した。撹拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン(c)の結晶を得た。
【0092】
【化18】

【0093】
合成例4 ヒドロキシル基含有ジアミン(d)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。この後、合成例2と同様にして下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン(d)の結晶を得た。
【0094】
【化19】

【0095】
合成例5 キノンジアジド化合物(e)の合成
乾燥窒素気流下、BisP−RS(商品名、本州化学工業(株)製)16.10g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(e)を得た。
【0096】
【化20】

【0097】
合成例6 キノンジアジド化合物(f)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)、15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.28g(0.15モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを用い、合成例5と同様にして下記式で表されるキノンジアジド化合物(f)を得た。
【0098】
【化21】

【0099】
合成例7 キノンジアジド化合物(g)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)、21.22g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.10モル)、4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン12.65gを用い、合成例5と同様にして下記式で表されるキノンジアジド化合物(g)を得た。
【0100】
【化22】

【0101】
合成例8 キノンジアジド化合物(h)の合成
乾燥窒素気流下、11.41g(0.05モル)のビスフェノールAと4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを用い、合成例5と同様にして下記式で表されるキノンジアジド化合物(h)を得た。
【0102】
【化23】

【0103】
合成例9 ポリマーAの合成
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノフェニルエーテル(DAE)4.40g(0.022モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA)1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有酸無水物(a)21.4g(0.030モル)をNMP14gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで40℃で2時間反応させた。その後、末端封止剤として、4−アミノフェノール0.65g(0.006モル)を加え、さらに40℃で1時間反応させた。その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.14g(0.06モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリイミド前駆体のポリマーAを得た。
【0104】
合成例10 ポリマーBの合成
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたヒドロキシル基含有ジアミン(b)13.6g(0.0225モル)をNMP50gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有酸無水物(a)17.5g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、40℃で2時間反応させた。その後、末端封止剤として、4−アミノフェニルアセチレン0.58g(0.005モル)を加え、さらに40℃で1時間反応させた。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリイミド前駆体のポリマーBを得た。
【0105】
合成例11 ポリマーCの合成
乾燥窒素気流下、合成例3で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)15.13g(0.040モル)、SiDA1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物(ODPA)15.51g(0.05モル)をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール14.7g(0.1モル)をNMP15gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリイミド前駆体のポリマーCを得た。
【0106】
合成例12 ポリマーDの合成
乾燥窒素気流下、合成例4で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(d)6.08g(0.025モル)とDAE4.51g(0.0225モル)とSiDA0.62g(0.0025モル)をNMP70gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有酸無水物(a)28.57g(0.040モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)4.41g(0.010モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリイミド前駆体のポリマーDを得た。
【0107】
合成例13 ポリマーEの合成
乾燥窒素気流下、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸ジクロライド(DEDC)1モルと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体19.70g(0.040モル)とBAHF18.31g(0.050モル)をNMP200gに溶解させ、75℃で12時間撹拌した。次に、末端封止剤として、NMP30gに溶解させた無水マレイン酸2.96g(0.020モル)を加え、さらに75℃で12時間撹拌し、反応を終了した。反応終了後、溶液を水/メタノール=3/1の溶液3Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリマーEを得た。
【0108】
合成例14 ポリマーFの合成
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物24.82g、s−ブチルアルコール11.86g、トリエチルアミン0.40g、NMP110.03gを仕込み、60℃で24時間撹拌し反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルを得た。次いで、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル18.08gを滴下し、1時間反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルジクロリドの溶液を得た。
【0109】
次いで、撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP47.97gを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.33g、3、5−ジアミノ安息香酸7.67gを添加し、撹拌溶解した後、ピリジン24.05gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下した後、1時間撹拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体のポリマーFを得た。
【0110】
合成例15 ノボラック樹脂Aの合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール70.2g(0.65モル)、p−クレゾール37.8g(0.35モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液75.5g(ホルムアルデヒド0.93モル)、シュウ酸二水和物0.63g(0.005モル)、メチルイソブチルケトン264gを仕込んだ後、油浴中に浸し、反応液を還流させながら、4時間重縮合反応を行った。その後、油浴の温度を3時間かけて昇温し、その後に、フラスコ内の圧力を4〜7kPaまで減圧し、揮発分を除去し、溶解している樹脂を室温まで冷却して、ノボラック樹脂Aのポリマー固体を得た。GPCから重量平均分子量は3,500であった。
【0111】
合成例16 ノボラック樹脂Bの合成
m−クレゾール70.2g(0.65モル)、p−クレゾール37.8g(0.35モル)の代わりに、m−クレゾール108g(1.00モル)を用いた他は合成例15と同様にして、ノボラック樹脂Bのポリマー固体を得た。GPCから重量平均分子量は4,000であった。
【0112】
実施例1
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.0gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0113】
実施例2
合成例10で得られたポリマーBの固体10gを計り、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)2.0gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL20gと乳酸エチル(EL)10gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0114】
実施例3
合成例11で得られたポリマーCの固体10gを計り、合成例7で得られたキノンジアジド化合物(g)2.0gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをNMP30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0115】
実施例4
合成例12で得られたポリマーDの固体10gを計り、合成例8で得られたキノンジアジド化合物(h)2.0gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0116】
実施例5
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.0gと“ニカラック”MW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0117】
実施例6
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.0gと“ニカラック”MW−390(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPPA(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0118】
実施例7
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.0gと“ニカラック”MW−100LM(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、HMOM−TPPHBA(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0119】
実施例8
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.5g、“ニカラック”MW−100LM(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0120】
実施例9
合成例9で得られたポリマーAの固体10gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.0gと“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)1.0g、TMOM−BP(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0121】
実施例10
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)を0.3gとした他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0122】
実施例11
“ニカラック”MW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル製)を0.15gとした他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0123】
実施例12
“ニカラック”MW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル製)を0.06gとした他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0124】
実施例13
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.5g添加した他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0125】
実施例14
ビニルトリメトキシシランを0.5g添加した他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0126】
実施例15
合成例9で得られたポリマーAを4gにして、ノボラック樹脂A6gを添加した他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0127】
実施例16
合成例9で得られたポリマーAを4gにして、ノボラック樹脂B6gを添加した他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0128】
実施例17
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gを添加した他は実施例15と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0129】
実施例18
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5gを添加した他は実施例15と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0130】
実施例19
ビニルトリメトキシシラン0.5gを添加した他は実施例15と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0131】
実施例20
m−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン0.5gを添加した他は実施例15と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0132】
比較例1
アルコキシメチル基含有化合物を用いない他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0133】
比較例2
HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)を除いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0134】
比較例3
ニカラックMX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)を除いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0135】
比較例4
HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)を除いた他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0136】
比較例5
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)の代わりに“ニカラック”MX−280(商品名、(株)三和ケミカル製)を用いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0137】
比較例6
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)の代わりに“ニカラック”MX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)を用いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0138】
比較例7
“ニカラック”MW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル製)を8.0g用い、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)を除いた他は実施例5と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0139】
比較例8
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)の代わりに1,3−ジフェニルウレアを用いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度評価、金属との接着性評価、耐薬品性評価を行った。
【0140】
比較例9
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)の代わりにN、N’−エチレンジアミンジアセテートを用い、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)を除いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度安定性評価、金属との接着性評価を行った。
【0141】
比較例10
“ニカラック”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)の代わりにビス(4―アセトアミドフェニル)ジスルフィドを用い、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)を除いた他は実施例1と同様にしてワニスを得、前記のように、感度安定性評価、金属との接着性評価を行った。
【0142】
各実施例、比較例に使用したアルコキシメチル基含有化合物、その他化合物を下記に示した。
【0143】
【化24】

【0144】
実施例1〜20および比較例1〜10の組成、評価結果を表1〜4に示す。
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマー、(b)キノンジアジド化合物、(c)アルコキシメチル基含有化合物および(d)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)アルコキシメチル基含有化合物が、(c1)下記一般式(2)で表される基を有する化合物、(c2)下記一般式(3)で表される化合物および(c3)下記一般式(4)で表される化合物からなる群より選ばれる2種以上を含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、RおよびRは炭素数2以上の2価〜8価の有機基を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20の1価の有機基を示す。nは10〜100,000の範囲、lおよびmは0〜2の整数、pおよびqは0〜4の整数を示す。ただしp+q>0である。)
【化2】

(一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基を示す。iは2または3を示す。)
【化3】

(一般式(3)中、RおよびRは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示す。Rは単結合または2価〜4価の有機基を示す。jは2〜4の整数を示す。)
【化4】

(一般式(4)中、R10〜R15は同じでも異なっていてもよく、水素原子またはCHOR16(R16は炭素数1〜6のアルキル基)を示す。ただし、R10〜R15中の5つ以上がCHOR16である。)
【請求項2】
前記(c)アルコキシメチル基含有化合物のうち、少なくとも1つが(c3)であることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(a)一般式(1)で表される構造を主成分とするポリマー100重量部に対し、(c)アルコキシメチル基含有化合物を0.5〜100重量部含有することを特徴とする請求項1または2記載のポジ型感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−258634(P2009−258634A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318130(P2008−318130)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】