説明

ポリアミドベースの複合物品の製造方法

本発明は、複合材料の製造のために、工業的織物生地の形態を有する強化材料の含浸に利用される高流動性のポリアミドの利用に関する。本発明の利用分野は複合材料、液体成形LCM法、この方法で得られる製品等である。本発明は、強化布を予熱した金型に挿入し、金型の温度を上昇し、場合によりついでその温度を維持し、溶融状態のポリアミド組成物を金型に射出してその樹脂を強化布に流通させ、ついで冷却して得られた物品を取り出す工程を含む射出成型法によりポリアミド複合物品を製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的織物生地の形態を有する強化材料の含浸に利用される高流動性のポリアミドを用いて複合材料を製造する技術に関する。本発明の利用分野は複合材料、液体成形LCM法、及びこの方法で得られる製品である。より詳しくは、本発明は少なくとも次の複数の工程、すなわち、強化布を予熱した金型に挿入し、金型の温度を上昇し、場合によりその温度を維持し、溶融状態のポリアミド組成物を金型に射出してその樹脂を強化布に流通させ、ついで冷却して得られた物品を取り出す工程を含む射出成型法によりポリアミド複合物品を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
高性能材料の分野では、複合材はそれが可能にする性能及び重量節約のために重要な地位を占めている。現在までにもっとも知られている高性能複合材は熱硬化性樹脂から得られているが、その利用は主に航空、モータスポーツ等における少量から中量の用途に限定されており、製造時間は数十分から数時間の範囲に限られている。これ等の材料の価格及び/又は製造時間は、大量生産での利用を困難にしている。さらに、熱硬化性樹脂の使用はしばしば溶剤や単量体を残在させる。最後に、これ等の複合材はリサイクルが困難である。
【0003】
熱可塑性重合体は熱硬化性樹脂に比していくつかの利点を有する。これらの利点は、熱可塑性重合体が特に自動車、エネルギー、レジャー、スポーツ又はより限定された市場例えば航空技術のような分野での構造用複合体の開発に対する非常に興味深い機会を与えるものと思われる。これ等の利点の中でも特に、固有の良好な機械的性能、特に、展延性、耐衝撃性、耐疲労性、良好な化学安定性(特に溶剤に対し)、及び成形不合格品の全リサイクル性などを挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続した強化熱可塑性樹脂に基づく物品の開発は、方法の持つ問題特にはコストのため、現在のところ制限がある。実際、市場で入手できる重合体は溶融状態で高い粘度(典型的には200Pa.s以上)を示し、織布への含浸、特に繊維比率が高いときに(特に50重量%以上のときに)織布への含浸が困難となる。このため、市販の熱可塑性基材の使用をすることになるが、含浸の困難性のため、長時間の含浸時間と高い加工圧力が必要であって、大きい寸法の部材にはいくつかの問題がある。大部分の場合、これらの基材から得られる複合材料はび微細な空孔と含浸不良を有する問題がある。これらの空孔は機械特性を低下させ、材料の早期の劣化を生じ、材料が複数の強化層からなるとき層間剥離の問題を生じる。この機械的特性が失われる現象は複合物品の製造サイクル時間が短い時に顕著である。これらの重合体の高い粘度は成形技術に関する制限を課し、複雑な形状の物品の実現を阻害する。
【0005】
この粘度の問題を抑制するために種々の方法が開発された。例えば、繊維片を混入する(commingling)、含浸(又は被覆)する、正確な一体化を得るために重合体を強化材の直近に配置する、含浸後に強化材中で現場重合する際に低粘度の単量体(例えばカプロラクタム、ラウリルラクタム、CBT樹脂)を使用する、などの技術がある。
【0006】
しかし、これらの方法には処理性、最終性能、或いはコスト等の若干の不具合があり、特に大きい市場に対する応用を制限している。
【0007】
従って、本発明の目的は、これ等の欠点を改良し、短時間で製造でき、良好な機械特性等の良好な利用性能を有する複合製品を提供することにある。本発明の他の目的は、顕著な二重曲率のような比較的複雑な形態を有する複合製品を提供することである。
【0008】
本発明により、機械的性能を維持するために分子構造が変性された重合体であって、その溶融粘度が大きく減少され、それにより特に通常では熱硬化性樹脂をベースとする複合体に使用されている閉鎖金型LCM成形(液体複合成形)を利用して複合物品を得ることを可能にする重合材料が見出された。かかる物品の機械的性能は従来の熱成形により得られる物品、例えば薄層積層型のもの、と同等である。
【0009】
LCM成形法は、低圧の樹脂を、あらかじめ長い又は連続した強化繊維(ガラス、炭素又はアラミド繊維等)が配置されている閉鎖金型内に射出することよりなる。
【0010】
金型内に置かれた強化繊維を通る樹脂の流動特性は、透過率Kで特徴づけられる。この透過率は強化材に含浸される樹脂の流量を次のダルシーの法則に従って規制する。
【数1】

ここに K=透過率(m2
Q=流量(m3/s)
η=粘度(Pa.s)
Δl=流路長(m)
A=断面積(m2
ΔP=圧力降下(Pa)
【0011】
この簡単なダルシーの法則は、樹脂の流量を、強化材の透過率、装置の圧力変動に対応する圧力降下、樹脂の粘度、流路断面及び流路長と関連付ける。
【0012】
製造しようとする複合部材の寸法を増大することにより、流路長及び金型内の圧力が上昇する。材料の厚さの増大はその断面に直角な射出方向の圧力を実質的に減じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、予期しないことに、高流動性のポリアミドを閉鎖金型成形LCM(液体複合成形)を用いる複合物品の製造に使用すると、良好な機械特性を有する物品が得られることを見出した。こうして得られる物品は、すぐれた含浸性を有するので、良好な剛性と引き裂き抵抗と、良好な耐衝撃性と、良好な疲労挙動と、比較的低い射出圧力(代表的には15bar以下、好ましくは10bar以下)と、含浸される強化材の体積に対応するサイクル時間とを提供し、他に事前又は事後成形を要しない。これは製造コストを低減し、低圧で短いサイクル時間の装置を使用して比較的複雑な形状の部材を製造することを可能にする。
【0014】
本発明の物品は特に剛性、軽量、及びリサイクル性の利点を提供し、また、良好な外観と、大きく曲がった二重曲面を提供しうる。
【0015】
本発明は、強化材があらかじめ切断した複数の層の集合体又は所望の幾何形状を得る目的で予成形体の形で導入される、比較的複雑な形状の物品を製造する方法を提供する。
【0016】
本発明の主たる目的は、射出成型法によりポリアミド複合物品を製造する方法を提供することである。この方法は、
a)強化布を温度120〜350℃に予熱した金型に装入して金型を閉じ、
b)前記金型の温度を半結晶性のポリアミドの溶融温度よりも10℃以上高く且つ無定形ポリアミドのガラス転移温度よりも10℃以上高い温度に上昇させ、
c)場合により、ポリアミド組成物の射出前にこの金型温度を維持し、
d)0.5〜30Pa.sの溶融粘度ηを有する溶融状態のポリアミド組成物を前記金型に射出して前記ポリアミド組成物を前記強化布に流通させ、この温度と0.1〜10barの圧力を、特に製造される物品の形状に従って10秒ないし15分間の十分な時間維持し
e)20〜150℃の温度に30秒〜10分間で冷却し、そして、
f)得られた複合物品を回収する、各工程からなる。
【0017】
本発明による複合物品は、機械強度を確保する強化材と、強化材に対する応力の再分散を行う熱可塑性基材とから構成される。
【0018】
「布」の語は任意の方法で得られる糸や繊維を集めて得られる織物や、繊維を任意の手段例えば接着、フェルト化、編成、機織等により一体に保持したものを意味する。これ等の布は繊維またはフィラメントのネットを含む。糸には単繊維糸、連続した多繊維糸、繊維ネット、単一種又は親密に混合した複数種の繊維から得られた紡錘糸が含まれる。連続糸は複数種の多繊維の集合体からも得られる。繊維には単繊維又は切断、破砕、又は変性した繊維が含まれる。
【0019】
本発明の強化糸及び/又は繊維は好ましくは炭素、ガラス、アラミド、ポリアミド、麻、大麻、シサル麻、ココヤシ皮、ジュート、カナフ及び/又はそれらの混合物の糸及び/又は繊維から選択される。特に好ましくは、強化布は、炭素、ガラス、アラミド、ポリアミド、麻、大麻、シサル麻、ココヤシ皮、ジュート、カナフ及び/又はそれらの混合物の糸及び/又は繊維から構成される。
【0020】
これらの布は好ましくは100〜1200g/m2、より好ましくは100〜1000g/m2の坪量を有する。
【0021】
それらの構造はランダム、単方向性(1次元)、多方向性(2次元、2.5次元、3次元、その他)でありうる。
【0022】
含浸を容易にするためには、強化布のレベルで樹脂の流通を容易にするドレイン組織を利用し、ダルシーの法則により課される限界をひろげることが重要であろう。
【0023】
強化布は熱硬化性又は熱可塑性の接着剤を用いて予め整形されうる。
【0024】
本発明で使用するポリアミドは0.5〜30Pa.s、好ましくは0.5〜12Pa.sさらに好ましくは0.5〜10Pa.sの溶融粘度ηを有する。この溶融粘度ηは直径50mmの平面―平面粘度計により1〜160s-1の走査せん断速度で測定できる。重合体は厚さ150μmのフィルム又は粒子の形態を有する。ポリアミドは半結晶質である場合には融点より30℃高い温度にもたらされ、測定される。ポリアミドは無定形の場合には250℃の温度にもたらされ、測定される。
【0025】
ポリアミド
ポリアミドは、少なくとも直鎖状脂肪族ジカルボン酸を脂肪族又は環状ジアミン又は芳香族ジアミンと重縮合させて得られるもの、又は少なくとも芳香族脂肪ジカルボン酸を脂肪族又は芳香族ジアミンと重縮合させることにより得られるもの、少なくともアミノ酸又はラクトンを単独で重縮合させることにより得られるもの、又はそれらの混合物及び(コ)ポリアミドなどから選択できる。ポリアミドは特に半結晶性又は無定形でありうる。半結晶ポリアミドは特に好ましい。
【0026】
本発明のポリアミドは、特に脂肪族ジカルボン酸を脂肪族又は環状ジアミン又は芳香族ジアミンと重縮合させたものの群、例えばPA 6.6、PA 6.10、PA 6.12、PA 12.12、PA 4.6、MXD 6;又は少なくとも芳香族脂肪ジカルボン酸を脂肪族ジアミン又は芳香族ジアミンと重縮合させることにより得られるものの群、例えばポリテレフタルアミド、ポリイソフタルアミド、ポリアラミド、またはそれらの混合物又は(コ)ポリアミドの群、などから選択できる。本発明のポリアミドはまたアミノ酸又はラクトンを単独で重縮合させることにより得られるものからも選択できる。アミノ酸は環状ラクタムの加水開環により生成できる。これ等の例にはPA 6、PA 7、PA 11、PA 12又はそれらの混合物又は(コ)ポリアミドがある。
【0027】
高い流動性のポリアミドは特にその合成時に、例えばポリアミドの単量体の重合の前又は重合中にポリアミドの単量体を添加することにより分子量を制御するか、例えばジアミン、ジカルボン酸、モノアミン及び/又はカルボン酸等の鎖長を変性する単量体を添加することにより得られる。また、重合の際に多官能性の化合物を添加することもできる。
【0028】
本発明のポリアミドはまた、特に溶融状態のポリアミドを、鎖長変性モノマー例えばジアミン、ジカルボン酸、モノアミン及び/又はカルボン一酸と混合することにより得られる。
【0029】
本発明の組成物は同様に特に上に述べたポリアミドから誘導されるコポリアミド、又はポリアミドの混合物、又は(コ)ポリアミドを含みうる。
【0030】
本発明のポリアミドの重合は特には連続又は不連続的なポリアミド重合方法の公知の動作条件に従って製造される。
【0031】
本発明に従う溶融粘度を有する種々のポリアミドを利用できる。
【0032】
例えば数平均分子量Mnが8000g/mol以上、より好ましくは8000〜20000g/molを有し、且つ十分な機械的強度と、種々の成形処理時に十分な安定性を有するポリアミドが使用できる。
【0033】
また種々の方法で得られた低い分子量の非成長性のポリアミド樹脂、例えば、ポリアミド樹脂の重合または重縮合の際に単量体を化学当量からずらし及び/又はブロック成分(末端ブロック基(GTB)濃度の鎖制限剤とも言われる単官能性分子)を添加するとか、或いは、例えば押出し成型時に単量体またはブロック成分を添加するなど、種々の方法で得ることができるポリアミド樹脂が利用できる。これ等のポリアミド樹脂の重量平均分子量Mwは5000〜25000g/mol、好ましくは10000〜15000g/molである。重量平均分子量は、無水トリフルオロ酢酸によるアミド基の加水分解後に、ジクロロメタン中でポリアミドのサイズ排除クロマトグラフSECまたはGPC分析を行うことにより測定できる。絶対質量の分布は粘度計による測定により得られる。これ等のポリアミドは末端アミノ基(GTA)及び/又は末端カルボキシ基(GTC)の濃度が20meq/kg以下である。これらの樹脂は、複合物品の製造作業の際、つまり分子量の増大に都合の良い温度及び圧力条件下において、それらの分子量又は重合度の有意な増大を観察しない点で実質的に変化しない。この分子量は酸又はアミン末端基が不存在またはほぼ不存在の複合物品の製造工程で実質的に増加しない。この意味で、これ等の樹脂は従来の部分重合された重合体やプレポリマーとは異なる。
【0034】
これらのポリアミド樹脂は、好ましくはその末端アミン基(GTA)及び/又は末端カルボキシル基(GTC)濃度が、20meq/kg以下、好ましくは15meq/kg以下、より好ましくは10meq/kg以下、さらに好ましくは5meq/kg以下、最も好ましくは0meq/kgを有する。本発明に適したポリアミドは例えば0meq/kgのGTAと500meq/kgのGTCを有することができる。本発明に適したポリアミドはまた例えば400meq/kgのGTAと0meq/kgのGTCを有することができる。5meq/kg以下の末端アミン基(GTA)濃度を有するポリアミドは、一般に100〜1000meq/kgの末端カルボキシル基(GTC)濃度を有する。5meq/kgの末端カルボキシル基(GTC)濃度を有するポリアミドは、一般に100〜1000meq/kg以下の末端アミン基(GTA)濃度を有する。
【0035】
最後に、本発明のポリアミドはGTA=400meq/kg、GTC=0meq/kgで、末端ブロック基濃度GTB=100meq/kgを有することができる。
【0036】
末端アミン基(GTA)及び/又は酸基(GTC)は、例えばトリフルオロエタノールへのポリアミドの完全な溶解後に、ポテンシオメータによる滴定及び過剰な強塩基の添加により決定できる。塩基性物質は次いで強酸の水溶液により滴定できる。
【0037】
本発明で用いるこれ等の樹脂は種々の方法で製造できることは当業者に広く知られている。
【0038】
これ等の樹脂は、例えば重合中(初期、中期又は終期)に、ポリアミドの単量体を二官能性及び/又は単官能性単量体の存在下で付加重合することにより製造できる。これ等の二官能性及び/又は単官能性の化合物は、ポリアミドの単量体と反応することができるアミン又はカルボン酸の基を供給するもので、得られるポリアミド樹脂が好ましくは20meq/kg以下のGTA及び/又はGTCとなる割合で使用される。
【0039】
また、ポリアミドに、二官能性及び/又は単官能性の化合物を、例えば押出し、一般的には本発明に従って使用されるポリアミド樹脂を得るような反応性押出により、混合することもできる。
【0040】
全ての型の脂肪族または芳香族モノ又はジカルボン酸、又は全ての型の脂肪族または芳香族モノ又はジアミンが利用できる。特に、単官能性化合物として、n−ドデシルアミン及び4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ラウリル酸、ベンジルアミン、ベンゾイック酸、酢酸、及びプロピオン酸が使用できる。特に、二官能性化合物として、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオイン酸、デカンジオイン酸、プリメリン酸、スベリン酸、脂肪酸ダイマー、ジ(β−エチルカルボキシ)シクロヘキサノン、ヘキサメチレンジアミン、5−メチル−ペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ブタンジアミン、イソフォロンジアミン、1,4ジアミノシクロヘキサン、3,3’,5−トリメチル−ヘキサメチレンジアミンが使用できる。
【0041】
また、高い溶融流動性とアミン末端基(GTA)及び/又はカルボン酸末端基(GTC)濃度(好ましくは20meq/kg未満)とを有する66型のポリアミドの製造には、過剰量のアジピン酸又は過剰量のヘキサメチレンジアミンが使用できる。
【0042】
ポリアミドの酸又はアミン末端基の濃度は、全ての又はほとんど全ての末端基を消尽するために重合工程の終端で真空処理することにより大きく低下することができ、これにより、樹脂は複合体の特に加圧又は減圧処理のような処理条件に拘わらず、分子量を増大する方向には最早変化しないことが保証される。
【0043】
また、本発明の製造法工程において、低分子量を生じないブロックされたポリアミド樹脂であって、数平均分子量Mnが8000g/mol未満、アミン末端基(GTA)の濃度が25meq/kg以上、酸末端基(GTC)の濃度が25meq/kg以上、そしてブロックされた末端基(GTB)が2000000/(GTA+GTC+GTB)<8000g/molの式で規定されるポリアミド樹脂を使用できる。これらのポリアミドは特にポリアミドの重合工程で種々の単官能性又は二官能性の各種モノマーを添加することにより製造できる。
【0044】
さらに、高い流動性のポリアミドとして、星形マクロ分子鎖を有する星形ポリアミド、及び場合により線状マクロ分子鎖を有するポリアミドを使用することができる。星形ポリアミドは星形マクロ分子鎖を含み、場合によりさらに線状マクロ分示鎖を有する。これらの星形マクロ分子鎖を有する重合体は、例えば特許公報FR2743077、FR2779730、EP0682057及びEP0832149に記載されている。これらの化合物は線状ポリアミドに比して向上した流動性を示すことが知られている。
【0045】
星形マクロ分子鎖は芯部と少なくとも3個のポリアミド分岐鎖を有する。これらの分岐鎖は共有結合、アミド基の介在、又は他の性質の基により、芯部に結合されている。芯部は有機化合物又は有機金属化合物、好ましくはヘテロ原子を含むことがある炭化水素化合物であって、そこに分岐鎖が結合している。分岐鎖はポリアミド鎖である。分岐鎖を構成するポリアミド鎖は好ましくはラクタム又はアミノ酸の重合により得られる形態のもので、例えばポリアミド6である。
【0046】
本発明による星形構造のポリアミドは、場合により、星形鎖の他に線状ポリアミド鎖を含む。この場合、星形鎖の量の星形鎖及び線状鎖の合計量に対する比は0.5〜1であり、好ましくは0.6〜0.9である。
【0047】
本発明の好ましい実施の形態では、星形構造のポリアミド、すなわち星形マクロ分子鎖を含むポリアミドは、少なくとも下記の単量体の混合物の共重合により得られる。
a)下記の一般式(I)の単量体
【化1】

b)下記の一般式(IIa)と一般式(IIb)の単量体
【化2】

c)場合により、下記の一般式(III)
Z−R3−Z (III)
ここに
・R1は、鎖状又は環状の、芳香族又は脂肪族の少なくとも2個の炭素原子を含む炭化水素基であり、ヘテロ原子を含みうる。
・Aは共有結合又は脂肪族炭化水素化した基であって、ヘテロ原子を含むことができ、1〜20個の炭素原子を含むものである。
・Zは一級アミン基又はカルボン酸基である。
・Yは、Xがカルボン酸基の場合は一級アミン基であり、Xが一級アミン基を示すときはカルボン酸基である。
・R2、R3は、同一又は異なる脂肪族、脂環族又は芳香族の基であって、置換されていても良く、2〜20個の炭素原子を有し、そしてヘテロ原子を含むことができる。
・mは3〜8の整数である。
【0048】
カルボン酸には、カルボン酸又はそれらの誘導体、例えば無水酸、酸の塩化物、それらのエステルを含む。
【0049】
これらの星形ポリアミドを製造する方法はFR2743077及びFR2779730に記載されている。これらの方法は星形マクロ分子鎖の形成に導き、場合により線状マクロ鎖との混合物を生成する。
【0050】
もしも式(III)のコモノマーを使用する場合には、重合反応は熱力学的平衡が達成されるまで行うのが有利である。
【0051】
式(I)の単量体は押し出し操作中において溶融状態の重合体に混合してもよい。
【0052】
また、本発明の他の実施形態に従い、星形ポリアミドは、例えば押出し装置の助けにより、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合により得られるポリアミドと式(I)の単量体との溶融混合により得られる。かかる取得方法のいくつかはEP0682070及び EP0672703に記載されている。
【0053】
本発明の特定の特徴に従い、基R1は、例えば4価のシクロヘキサノイル基のような環状脂肪族基、又はプロパン1,1,1−トリイル、プロパン1,2,3−トリイル基などである。本発明に好適な他の基R1は、例えばフェニルの3価の基、置換または非置換シクロヘキサノイル、例えばEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)のようなメチレン基の数が2〜12個のジアミノポリメチレンの4価の基、シクロヘキサノイル又はシクロヘキサジノイルの8価の基、或いはグリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール又はマンニトールとアクリロニトリルを反応させて生成される化合物に由来する基、等である。
【0054】
有利には、少なくとも2つの異なった基R2は式(II)のモノマー中で使用できる。
【0055】
基Aは好ましくはエチル、プロピル又はブチル基のようなメチレン基又はポリメチレン基、或いはポリオキシエチレン基のようなポリオキシアルキレン基である。
【0056】
本発明の実施形態では、数mは3以上、好ましくは3〜4である。
【0057】
記号Zで示される多官能性化合物の反応基はアミド基を形成できる基である。
【0058】
好ましくは、式(I)の化合物は2,2,6,6−テトラ−(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン、及び4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択される。
【0059】
星形マクロ分子鎖の原料モノマーの混合物には他の化合物、例えば連鎖制限剤、触媒、
及び光安定剤、熱安定剤等の添加剤を含むことができる。
【0060】
本発明のポリアミドはさらにポリアミド鎖に化学結合した水酸化芳香族単位を含むことができる。これを行うために、少なくとも水酸化芳香族基を含む化合物である有機水酸化芳香族化合物と、ポリアミドの酸基又はアミン基に化学的に結合できる官能基(一旦ポリアミド鎖に化学的に結合されると水酸化芳香族単位となりうる)を有する化合物とを用いることができる。この化合物は好ましくは、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、L−チロシン、3,5−ジアミノフェノール、5−ヒドロキシ−m−キシレンジアミン、3−アミノフェニル、3−アミノ−4−メチルフェニル酸、及び3−ヒドロキシ−5−アミノ安息香酸から選択できる。
【0061】
ポリアミド組成
本発明によるポリアミド組成物及び/又は複合物品は、物品の製造に使用されるポリアミドベースの組成物において通常使用される全ての添加物を含むことができる。また、添加剤の例として、熱安定剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、潤滑剤、顔料、着色剤、可塑剤、強化充填剤、耐燃剤、耐衝撃抵抗改良剤等を含みうる。
【0062】
組成物は特にノボラック樹脂を含有することができる。ポリアミド組成物は全組成物を基準として5〜25重量%のノボラック樹脂を含有できる。ノボラック樹脂は一般にフェノール化合物とアルデヒド又はケトン又はそれらの誘導体(例えばケタールまたはヘミケタール)との縮合製品である。これらの縮合反応は一般に酸又は塩基により触媒される。
【0063】
ポリアミド強化布の界面の品質を改善するための添加剤も使用できる。これらの添加剤は例えば強化布の繊維又は糸に導入されて該強化布の繊維及び/又は糸に表面に存在するポリアミド組成物に合体されるか、又は強化布の素材の繊維に付着されうる。これらの添加剤はガラスの場合にはアミノシラン又はクロロシラン等のカップリング剤であり、炭素の場合には例えばクロロシラン無水マレイン酸、またはエポキシであり、或いはまた流動化剤、湿潤剤、又はそれらの組合せである。
【0064】
強化充填材特に微細なものはポリアミド組成物に混入できる。これらの充填材は例えば短いガラス繊維等の繊維質充填材、カオリン、タルク、シリカ、マイカ又は珪灰石等の非繊維質充填材等から選択できる。それらの長さは一般に0.1〜50μm、好ましくは0.1〜25μm、さらに好ましくは0.1〜20μm、最も好ましくは0.1〜5μmである。サブミクロン又はナノメートルサイズの充填材も単独で又は他の充填材に加えて使用できる。
【0065】
本発明は本発明の方法により得られる物品にも関する。この物品はポリアミド強化布を含む複合物品である。この場合、ポリアミドは0.5〜30Pa.s、好ましくは0.5〜12Pa.s、さらに好ましくは0.5〜10Pa.sの溶融粘度ηを有する。
【0066】
本発明の物品は好ましくは全体積に対して25〜65体積%、好ましくは35〜65体積%の強化布を含むことが好ましい。
【0067】
製造方法
本発明による低圧射出成形による複合物品の製造サイクルは、a)少なくとも一種の強化布を一般的には予熱された金型に導入する工程、b)金型の温度を重合体の融点以上の温度に昇温する工程、c)場合により温度を維持する工程、d)低圧の金型に樹脂を射出し強化布に含浸を行う工程、e)急冷する工程、及びf)最後に得られた複合物品を回収する工程より構成される。耐熱マトリックスで複合物品を低圧射出成するこれらの工程は成形分野の技術者にはよく知られている。これらの工程は加圧により、或いはさらに減圧の助けにより、又は押圧なしで溶融樹脂を強化布を通して吸引することにより実施できる。溶融重合体の流は強化布の層面に平行にでき、或いは層面に直角にできる。射出点や排気点は物品の形状及び金型の構造に依存して調整される。ガス抜き手段を備えることも同様に可能である。
【0068】
第1工程a)では、強化布は予熱された金型又は成型室内に配置され、次いで閉鎖される。一枚又は複数枚の強化布が同じ金型に挿入される。複数個の金型を同時に使用しても良い。本発明の方法により適正な温度を得るために強化布は予熱された後に金型に挿入されても良い。また強化布と同時に金属挿入物又は複合物を金型に配置しても良い。
【0069】
金型は一般に公知の各種の方法により重合体の溶融温度より高い温度にもたらされ且つ維持される。この加熱は例えばジュール効果(抵抗又は加熱カートリッジ)、熱媒流体の循環、又は高周波磁気誘導によるなど公知の各種手段で実施できる。この工程は成形樹脂トランスファー法(RTM法)として知られる、樹脂を強化繊維が予め配置された閉鎖金型に射出する方法である。この工程は一般に減圧又は零圧下に実施できる。
【0070】
例えば、溶融ポリアミド組成物を少なくとも一又は複数の強化布を配置した金型室内に射出することができる。
【0071】
金型温度を上昇する工程b)は、30秒〜30分間、好ましくは、30秒〜10分、さらに好ましくは30秒〜5分間で行われる。温度は半結晶ポリアミド融点より10〜50℃、好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは20〜40℃だけ高い。温度は無定形ポリアミドのガラス転移点より10〜50℃、好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは20〜40℃高い。この温度は工程c)とd)の間で維持される。工程b)は使用する加熱技術によりできるだけ短時間で行われる。
【0072】
ポリアミド組成物の低圧射出成形前に金型温度を維持する工程c)は利用する方法に依存する。好ましくはこの工程の時間は10秒から数分である。
【0073】
工程d)は好ましくは製造される物品の形状と金型に依存する時間に依存するもので、特には15秒〜2分間、或いは1分〜15分間実施される。樹脂の流量は工程の条件、特に加えられる圧力及び強化布の透過率に適合するように調整すべきである。この工程は強化布に微細孔や巨大孔がないように、完全な含浸を達成するために行われ、場合により強化布を通して樹脂を圧入する。気泡や多孔の除去を容易にするために金型を減圧することも利用できる。
【0074】
高い流動性のポリアミドと強化布の含浸工程は可能な種々の成形法に従って種々の方法で実施できる。例えば、単一スクリュー押出し機を利用して制御された流量で直接的に低圧射出成形を行うか、或いは押出し機により溶融重合体を予め装入した室から加圧した溶融重合体を金型に間接的に供給する。用いられる圧力範囲は15bar以下、好ましくは10bar以下である。他の全く異なる方法として、例えばポンプ特に所望の圧力範囲を有するギヤポンプにより、ポリアミドを金型内で溶融状態にもたらすことができる。
【0075】
強化布を通して溶融状態の樹脂を流動させるには好ましくは5〜350cm3/minの範囲の流量を用いる。
【0076】
物品は、強化布をポリアミドで含浸したのちに全体を冷却して基質の固化を行わせることにより得られる。冷却は、特に物品の特性を維持するために、急冷してポリアミドの結晶化を回避するのが有利である。金型は例えば低温流体回路により冷却される。
【0077】
冷却工程e)は好ましくは1〜10分間行う。
【0078】
物品
本発明はまた本発明の方法に従って製造された複合物品に関する。本発明の物品は最終製品の場合もあり、またインサート成形におけるインサートのような半製品の場合もあり得る。
【0079】
本発明による複合物品は航空機、自動車、エネルギー産業、スポーツやレジャー産業等の多くの分野で使用できる。これ等の構造物品はスポーツ用品、床、壁、自動車車体、パネル等の種々の表面を実現するために利用できる。航空の分野ではこれ等の構造物品は機体(胴体、翼、尾部)等に利用できる。自動車の分野ではこれらは床や前部板や荷物棚等の板材或いは支持材に使用できる。
【0080】
本明細書では本発明の原理を理解するために具体的な用語を用いた。しかし、これ等の具体的用語は本発明の範囲を制限するために使用したものではないことを理解されたい。一般知識に基づいて修正、改良等が可能なことは当業者には明らかであろう。
【0081】
本発明の他の詳細および効果は例示を目的とする以下の実施例を参照すればより明らかになるであろう。
【実施例】
【0082】
実施例1
下記の複合体を利用した。
・ガラス繊維製の強化布Taffetas:重量600g/m2(平衡0/90)
・溶融粘度2.5Pa.sのポリアミド66 IV 50(ISO 307ギ酸)
目標繊維割合は50体積%である。
【0083】
直径22/25Dの単一スクリュー押出し機HpBと、200×300×2mm及び200×300×5mmの寸法を有する板を成形可能な金型とを用いて低圧射出成型を実施した。架台に取り付けた直径22/25Dの押出し機は、材料を分配ブロックと溶融ラインにより接続された250cm3の容積の移送ポットに供給する。移送ポットは、変速器付の減速ギヤーモータによりウオーム歯車を介して駆動されるピストンを備えていて、押出し機の直接出力では可能でなかった制御された流量で金型(絶縁され計測されるTechniModul金型)に材料を供給する。すべての加熱部分は良好な断熱と温度制御のために完全に絶縁されている。
【0084】
単一スクリュー押出し機は移送ポットを動作に必要な量の材料で満たし、そして移送ポットは自動制御の下に、材料を射出条件(流量、圧力、及び温度)で金型に射出する。
【0085】
金型は加熱装置(4kWの発熱体を挿入したカートリッジ)と、冷却回路(加圧した冷却水の回路)を備えている。プロセス制御(入圧力、出圧力、温度、流量等)のために各種のセンサが使用される。
【0086】
第1の試行では、布を予熱された金型内に配置し、次いで数分間かけて290℃の温度まで加熱する(工程b)。ついで290℃の温度に1分間維持する(工程c)。次に重合体を約5barの圧力と60cm3/分の流量で、布を配置した金型の空洞が完全に充填されるまで射出する(工程d)。重合体の射出を停止し、金型の温度を90秒間維持する。加熱を止め、次いで冷却水を数分間流すことにより、温度を100℃の程度の温度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0087】
第2の試行では、布を予熱された金型内に配置し、次いで数分間かけて290℃の温度まで加熱する(工程b)。工程c)は行わない。次に重合体を8barの圧力と105cm3/分の流量で、ポリアミド組成物を金型に射出し、金型の温度を290℃に1分間維持する。加熱を止め、次いで冷水を2分間で温度を100℃の程度の温度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0088】
第3の試行で、布を予熱された金型内に配置し、次いで数分間かけて290℃の温度まで加熱する(工程b)。ついで290℃の温度に5分間維持する(工程c)。次に重合体を8barの圧力と105cm3/分の流量で金型に射出し、金型の温度を2分間維持する。加熱を止め、次いで冷水を2分間で温度を100℃の程度の温度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0089】
このようにして強化布がポリアミドの基質で完全に含浸され、優れた機械特性と表面性状を有するた複合物品が得られた。これ等の物品には気泡が見れらなかった。
【0090】
実施例2
下記の材料を使用した。
・適正な透過率を有する強化布:Injectex粉末ガラスエポキシ
・溶融粘度が3〜5Pa.sでIV 51(ISO 307ギ酸)の粘度指数を有するポリアミド66
目標の繊維割合は50体積%である。
【0091】
単一スクリュー押出し機と、200×300×4mm及び200×300×6mmの寸法を有する板を成形可能な金型を用いて低圧射出成型を実施した。押出し機は、材料分配ブロックと、溶融ラインにより接続された250cm3の容積の移送ポットに供給する。移送ポットは変速ギヤーモータによりウオーム歯車を介して駆動されるピストンを備えていて、押出し機の直接出力では可能でなかった制御された流量で動力を金型(絶縁され計測される金型)に供給する。すべての加熱部分は良好な断熱と温度制御のために完全に絶縁されている。
【0092】
単一スクリュー押出し機は移送ポットを動作に必要な量の材料で満たし、そして移送ポットは制御器の制御の下に、材料を射出条件(流量、圧力、及び温度)で金型に射出する。
【0093】
金型は加熱装置(5kWの発熱体を挿入したカートリッジ)と冷却回路(水冷)を備えている。プロセス制御(入圧力、出圧力、温度、流量等)のために各種のセンサが使用される。
【0094】
第1の試行では、布を予熱された金型内に配置して閉じ、次いで数分間かけて275℃の温度まで加熱する(工程b)。ついで275℃の温度に1分間維持する(工程c)。次に重合体を約5barの圧力と60cm3/分の流量で、布を配置した金型の空洞が完全に充填されるまで射出する(工程d)。重合体の射出を停止し、金型の温度を90秒間維持する。加熱を止め、次いで冷水を数分間流すことにより、温度を125℃の程度の温度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0095】
第2の試行では、布を予熱された金型内に配置し、次いで数分間かけて280℃の温度まで加熱する(工程b)。工程c)は行わない。次に重合体を8barの圧力と105cm3/分の流量で、ポリアミド組成物を金型に射出し、金型の温度を280℃に1分間維持する。加熱を止め、迅速に温度を125℃の温度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0096】
第3の試行で、布を予熱された金型内に配置し、次いで数分間かけて280℃の温度まで加熱する(工程b)。ついで280℃の温度に5分間維持する(工程c)。次に重合体を8barの圧力と105cm3/分の流量で金型に射出し、金型の温度を2分間維持する。加熱を止め、迅速に温度を125℃の程度にする(工程e)。ついで複合物品を回収する。
【0097】
このようにして強化布がポリアミドの基質で完全に含浸され、優れた機械特性と表面性状を有するた複合物品が得られた。走査電子顕微鏡観察により、非常に少ない残留細孔、特には0.5体積%未満の残留細孔が観測された。流れに平行な布繊維の含浸は完璧であり、流れに直角な方向の含浸はポリアミド樹脂の流れに敏感であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)強化布を120〜350℃の温度に予熱したた金型に装入して金型を閉じ、
b)前記金型の温度を半結晶性ポリアミドの溶融温度よりも10℃以上高く且つ無定形ポリアミドのガラス転移温度よりも10℃以上高い温度に上昇させ、
c)場合により、ポリアミド組成物の射出前に金型の温度を維持し、
d)0.5〜30Pa.sの溶融粘度ηを有する溶融状態のポリアミド組成物を前記金型内に射出して該組成物を前記強化布を通して流通させ、ついで前記温度と圧力0.1〜10barを、10秒〜15分間の範囲で製造される物品の幾何形状に従って十分な時間連続的に維持し、
e)20〜150℃の温度に30秒〜10分間で冷却し、そして、
f)得られた複合物品を回収する、各工程からなる、
射出成型によりポリアミド複合物品を製造する方法。
【請求項2】
強化布は前記工程a)で金型に導入される前に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)において、予熱される金型の温度上昇は30秒〜10分間行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)は15秒〜2分間行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複合物品は全体積の25〜65%の強化布を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミドは数平均分子量Mnが8,000g/mol以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリアミドは重量平均分子量Mwが5,000〜25,000g/molである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミドはアミン末端基(GTA)及び/又はカルボキシ末端基(GTC)の濃度が20meq/kg以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミドはアミン末端基(GTA)の濃度が25meq/kgより大きく、酸末端基(GTC)の濃度が25meq/kgより大きく、ブロックされた末端基(GTB)の濃度が次式2000000/(GTA+GTC+GTB)<8000g/molを満足するブロックされたポリアミドである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリアミドは星形マクロ分子鎖を有する星形ポリアミド、又は線状マクロ分子鎖を有するポリアミドである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法で得られた複合物品。

【公表番号】特表2013−513500(P2013−513500A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543692(P2012−543692)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069648
【国際公開番号】WO2011/073198
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】