説明

ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及びそれを含有する外用剤組成物

【課題】皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪のダメージ防止効果を有する新規な構造のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及びそれを含有する医薬品、化粧品などの外用剤組成物を提供すること。
【解決手段】ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、それらの効果が顕著に優れることを見出した。これらを利用することにより、皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有する、医薬品や化粧品などの皮膚外用組成物を簡便に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及びそれを含有する外用剤組成物に関する。更に詳しくは、油剤、溶解剤、分散剤として利用可能な肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有する新規な構造のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及びそれを含有してなる医薬用外用剤、化粧料等に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロールは細胞、細胞間脂質の構成成分であり、皮膚バリア機能を増強することから、皮膚や毛髪を健常にする成分として使用されている。ステロール類は、毛髪との馴染みが良く、毛髪、皮膚に分子サイズで供給すると肌荒れ修復効果、毛髪修復効果を奏することが期待されているが、例えば、代表的なステロールであるコレステロールの融点は130℃を超え、また、結晶性も高く、化粧品や医薬品に利用される油性成分との相溶性が低いことから、皮膚用又は毛髪用の外用組成物に配合することが困難であった。
【0003】
そのような課題を解決すべく、ステロール類の皮膚や毛髪への供給方法や各種ステロール誘導体が検討されてきた。
【0004】
ステロール類を皮膚や毛髪へ供給するために、例えばステロールを配合した可溶化、エマルション、ナノエマルション、ベシクルなどの製剤化方法がある。しかしながら、ステロール類が130℃付近の融点を有し、又結晶化し易いために、容易に又は長期間結晶を析出しない製品を作ることが非常に困難である。
【0005】
ステロール誘導体としては、コレステロールやフィトステロールなどと脂肪酸、有機酸などのエステルが皮膚、毛髪用油性成分として使用されている。具体的には、12−ヒドロキシステアリン酸コレステロール、12−ヒドロキシステアリン酸フィトステロール、オレイン酸コレステロール、イソステアリン酸コレステロールなどである(特許文献1〜2)。
【0006】
また、ステロール類を親油基とする乳化可溶化剤として、ポリオキシエチレン付加体が使われている。具体的なステロール類由来の乳化可溶化剤としてはポリオキシエチレン付加体が医薬化粧品用乳化可溶化剤(BPSシリーズ、DHCシリーズ、日光ケミカルズ社製)として、またラノステロール含むラノリンアルコールのポリオキシエチレン付加体(BWAシリーズ、日光ケミカルズ社製)が知られているほか、フィトステロールにポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンを付加して合成した化合物は多価アルコールのべたつき感を低減することができることが報告されている(特許文献3)。
【0007】
ところで、本発明者らは、すでにポリオキシアルキレンステロールエーテルの融点が低いことを見出している。例えば、ポリオキシプロピレン(5)フィトステロールエーテルの融点は28℃である。
【0008】
本発明者らは上述の事情に鑑み、適切なポリオキシアルキレンステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスタノールエーテルを原料とした誘導物であれば、上記課題が解決できるのではないかと想定し、ポリオキシアルキレンステロール誘導体及び/又はポリオキシアルキレンスタノール誘導体について鋭意研究の結果、ポリオキシアルキレンステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスタノールエーテルの脂肪酸エステルは、皮膚や毛髪に効率的に作用する肌あれ改善効果や毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果が顕著に優れることを見出した。
【0009】
なお、ポリオキシアルキレンステロールエーテルの脂肪酸エステルとしては、カーボンナノチューブの分散水溶液に利用しているステロイド骨格を有する非イオン性界面活性剤(特許文献4)が知られているが、これは、カーボンナノチューブの分散剤としての報告であり、ポリオキシエチレンの付加モル数が10〜40モルかつ炭素数が2〜4の脂肪酸残基を有する化合物を対象にした報告である。また、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル誘導体に類似する化合物として、末端アルケニル基含有ポリオキシアルキレンステロール誘導体(特許文献5)、ポリオキシエタニル−シトステロールセバケート(特許文献6)、エーテルカルボン酸のステロールエステル又はスタノールエステル(特許文献7)、コレステロール等のグリセリルエーテル誘導体(特許文献8)等が知られているが、これらの報告では、ポリオキシアルキレン付加モル数が1〜10のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルの外用組成物における肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果等の効能は十分に明らかにされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭52−79030号公報
【特許文献2】特開平05−017317号公報
【特許文献3】特開2008−31074号公報
【特許文献4】特開2009−242126号公報
【特許文献5】特開2007−204509号公報
【特許文献6】特開2004−521900号公報
【特許文献7】特開2006−520349号公報
【特許文献8】特開平2−311407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有するポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及びそれを含有する医薬品、化粧品などの外用剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本課題に対し、皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有する化合物を見出すために鋭意研究を行った結果、ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、それらの効果が顕著に優れることを見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを利用することにより、皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有する、医薬品や化粧品などの皮膚外用組成物や頭髪用組成物を簡便に製造することができる。また、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、単独で油に溶解するので、医薬品や化粧品等の外用剤組成物に簡便に利用できる。更には、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、油剤、溶解剤、分散剤としても利用可能であるだけでなく、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルと、カチオン性化合物と、より好ましくは高級アルコール類とを併用することで、ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを効率的に毛髪に吸着させることができるため、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ダメージ毛髪束の走査電子顕微鏡写真である(実施例10)。
【図2】処理毛髪束の走査電子顕微鏡写真である(実施例10)。
【図3】未処理毛髪束の走査電子顕微鏡写真である(実施例10)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、化学式(1)で示すポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル及びそれを含有する外用組成物に関する。
RO−(XO)n−Y (1)
[式中、Rはコレステロール、フィトステロール、ラノステロール、エルゴステロール及びこれらの水素添加物であるコレスタノール、フィトスタノール、ラノスタノール、エルゴスタノールから選択されるステロール骨格を示し、Xはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドから選択される1種以上を共重合、ブロック重合又はランダム重合させたポリオキシアルキレン基を示し、nは、1〜10の整数を表す。また、Yは、炭素数が8〜24の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、二塩基酸から選ばれる1種または2種以上からなる脂肪酸残基を表す。]
【0016】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルの中間生成物であるポリオキシアルキレンステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスタノールエーテルとは、上記ステロール類に任意に上記のアルキレンオキシド単位、即ち化学式(1)のXOを含むものであり、具体的には、上記ステロール類に低級アルキレングリコールであるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールを付加させるか、又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドから選択される2種以上を共重合、ブロック重合又はランダム重合させたポリオキシアルキレン基を通常の方法で付加したものである。本中間生成物では、好ましくは特殊な金属系触媒を用いて合成して、ポリオキシアルキレン鎖の分布の狭いことが望ましい。このポリオキシアルキレンオキシド付加モル数、即ち化学式(1)のnは10以下、好ましくは5以下である。
【0017】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルの構成要素である脂肪酸は、炭素数が8〜24の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、二塩基酸から選ばれる1種または2種以上からなり、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、エチルヘキサン酸、イソノナン酸、ブチルオクタン酸、ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、オクチルドデカン酸、18−メチルエイコサン酸、デシルテトラデカン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、エイコサン二酸、8−エチルオクタデカン二酸、8,12−イコサジエン二酸、12−ビニル−8−オクタデセン二酸、8,13−ジメチルエイコサン二酸、8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。これらの中で特に好ましい脂肪酸は、炭素数が12〜22の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、二塩基酸であり、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ブチルオクタン酸、ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、オクチルドデカン酸、18−メチルエイコサン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン二酸である。
【0018】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、中間生成物であるポリオキシアルキレンステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスタノールエーテルに脂肪酸をエステル化した化合物である。
【0019】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは公知の方法で容易に合成が可能である。
【0020】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、原料ポリオキシアルキレンステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスタノールエーテルと脂肪酸を、酸またはアルカリの触媒存在下、あるいは無触媒下、加熱混合撹拌し、生成する水を留去しながら反応させることにより得られる。または、ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステルをパラジウムやニッケルなどの金属触媒存在下、水素添加反応することにより、ポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルが得られる。製造法に関しては、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、後述する通り、皮膚刺激性が確認されず、優れた肌あれ改善効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を示す。本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを利用することにより、皮膚や毛髪に効率的に作用することで優れた肌荒れ修復効果、毛髪修復効果、毛髪のダメージ防止効果、毛髪の感触改良効果を有する、医薬品や化粧品などの外用組成物を簡便に製造することができる。
【0022】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを医薬品や化粧品等の外用剤組成物に配合する場合、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルの配合量は、外用剤の用途や形態により異なり、制限されるものではないが、通常0.01〜40質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。この範囲であれば、本発明の効果をより発揮できる。
【0023】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを配合した外用剤組成物においては、通常医薬品、医薬部外品、化粧品に用いられる各種の成分、例えば、流動パラフィンなどの炭化水素、植物油脂、ロウ類、合成エステル油、シリコーン系の油相成分、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸、界面活性剤、保湿剤、生理活性成分、紫外線吸収剤、粉体、高分子化合物、溶剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、香料、色素等を配合できる。これらを例示すると、油性原料としては、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、牛脂などの動物油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソオクチルなどのエステル類、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、シクロメチコンなどのシリコーン類などがある。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどがある。アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール及びそれらの脂肪酸エステルなどがある。脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸などがある。界面活性剤としては、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノステアレートなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレートなどのPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレート、POEモノイソステアレートなどのPOE脂肪酸エステル類、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEステアリルエーテル、POEフィトステリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸セッケン類、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウムなどのアシル化アミノ酸塩類、モノラウリルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤、レシチン及びその誘導体などの天然界面活性剤などがある。保湿成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アミノ酸などのNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの高分子化合物がある。生理活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノールなどの美白剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール及びそれらの誘導体、ビタミンA酸およびそれらの誘導体などの抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体などがある。紫外線吸収剤としては、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、安息香酸系化合物、サリチル酸系化合物、メトキシケイ皮酸系化合物などがある。粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカなどがある。pH調整剤、中和剤としては、乳酸、クエン酸、エデト酸ナトリウムなどがある。酸化防止剤としては、α−トコフェロール、没食子酸などがある。防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ソルビン酸などが挙げられる。
【0024】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを配合した外用剤組成物の剤型は任意であり、ローション、乳液、クリーム、パック、軟膏、分散液、固形物、ムース等の任意の剤型をとることができる。また、用途としては、化粧料の他、皮膚外用剤、医薬用軟膏等に好適に使用できる。
【0025】
本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、単独で油に溶解するので、医薬品や化粧品等の外用剤組成物に簡便に利用できる。更には、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、油剤、溶解剤、分散剤としても利用可能である。
【0026】
本発明の(A)ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルについては、(B)カチオン性化合物と、より好ましくは(C)高級アルコール類とを併用することで、(A)成分であるポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを効率的に皮膚や毛髪に吸着させることができる。そのため、(A)成分であるポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを単独で用いるよりも、上記成分と併用することでそれらの効果が更に向上する。
【0027】
本発明の(A)ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルと、(B)カチオン性化合物と、より好ましくは(C)高級アルコール類との併用について詳述する。
【0028】
この混合物の比率(質量比)は特に規定されるものではないが、本発明の(A)ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルと(B)カチオン性化合物の質量比(A)/(B)は、100/1〜1/10、好ましくは10/1〜1/10である。また、(C)高級アルコール類を併用する場合は、(B)カチオン性化合物/(C)高級アルコール類の質量比(B)/(C)は1/20〜20/1で、好ましくは1/10〜10/1である。
【0029】
この混合物に使用される(B)カチオン性化合物としては、カチオン性を有している化合物であれば特に限定されるものではないが、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウムなどのカチオン界面活性剤、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、18―メチルエイコ酸ジエチルアミノエチルアミド、18−メチルエイコ酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのアミドアミン系化合物、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、カチオン化デキストラン、カチオン化プルラン、カチオン化フェヌグリークガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体、四級化ビニルピロリドン・アミノエチルメタクリレート共重合体、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン縮合物、アジピン酸ジメチル−アミノヒドロキシプロピルジエチルトリアミン共重合体、第四級窒素含有スターチ、カチオン化ポリペプタイドなどのカチオン化高分子が上げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。アミドアミン系化合物は、通常、リン酸、乳酸、クエン酸、塩酸、アミノ酸などで中和して使用される。これらの中で特に好ましいカチオン性化合物は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド及びその塩、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド及びその塩、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド及びその塩である。
【0030】
この混合物に使用される(C)高級アルコール類としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、コレスタノール、フィトステロール、フィとスタノールなどの高級アルコール、POE(2)セチルエーテル、POE(3)フィトステリルエーテルなどの高級アルコールのPOE付加物、POP(4)セチルエーテル、POP(5)フィトステリルエーテルなどの高級アルコールのPOP付加物、POE(1)POP(4)セチルエーテルなどの高級アルコールのPOE・POP付加物などの高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、キミルアルコール、バチルアルコール、セラキルアルコールなどのモノアルキルグリセリルエーテルなどを挙げることができる。これらの中で特に好ましいのは、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールである。
【0031】
(A)ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル、及び、(B)カチオン性化合物に加えて、(C)高級アルコール類を併用することで、その相乗効果により、(A)成分であるポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを効率的に皮膚や毛髪に吸着させる効果がより向上する。
【0032】
なお、(C)の高級アルコール類に代えて、炭素数が8〜24の脂肪酸及びその塩、炭素数が8〜24の脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステルから選択される成分を利用しても同様に(A)成分であるポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを効率的に皮膚や毛髪に吸着させる効果がより向上する。
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。配合量は質量%である。
【実施例1】
【0034】
(製造例1)POP(3)フィトステロールラウレートの合成
ガラス製反応容器に、POP(3)フィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)88.35g、ラウリン酸30.05gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、200℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、ろ過をしてPOP(3)フィトステロールラウレート104gを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1735.6cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例2】
【0035】
(製造例2)POP(5)フィトステロールイソステアレートの合成
ガラス製反応容器に、POP(5)フィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)84.63g、イソステアリン酸34.14g、水酸化カリウム0.10gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、230℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、42.5%リン酸水溶液で中和し、減圧下、100℃で脱水し、ろ過をして塩を除き、POP(5)フィトステロールイソステアレート105gを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例3】
【0036】
(製造例3)POP(3)フィトステロールベヘネートの合成
ガラス製反応容器に、POP(3)フィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)76.57g、ベヘン酸44.28g、パラトルエンスルホン酸一水和物0.10gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、140℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、減圧下、100℃で脱水し、ろ過をして塩を除き、POP(3)フィトステロールベヘネート106gを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1108.8cm−1)。
【実施例4】
【0037】
(製造例4)POP(5)フィトスタノールヒドロキシステアレートの合成
ガラス製反応容器に、POP(5)フィトスタノールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)77.57g、12−ヒドロキシステアリン酸33.06g、炭酸カリウム0.10gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、230℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、42.5%リン酸水溶液で中和し、減圧下、100℃で脱水し、ろ過をして塩を除き、POP(5)フィトスタノールヒドロキシステアレート97gを得た。IR分析(3427.6cm−1、2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例5】
【0038】
(製造例5)POE(3)POP(7)フィトステロールイソステアレートの合成
ガラス製反応容器に、POE(3)POP(7)フィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)85.81g、イソステアリン酸25.61g、水酸化ナトリウム0.10gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、230℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、42.5%リン酸水溶液で中和し、減圧下、100℃で脱水し、ろ過をして塩を除き、POE(3)POP(7)フィトステロールイソステアレート110gを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例6】
【0039】
(製造例6)POP(3)フィトステロールイソステアレートの合成
実施例2のPOP(5)フィトステロールエーテルをPOP(3)フィトステロールエーテルに変えて、同様に合成し、POP(3)フィトステロールイソステアレートを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例7】
【0040】
(製造例7)POP(7)フィトステロールイソステアレートの合成
実施例2のPOP(5)フィトステロールエーテルをPOP(7)フィトステロールエーテルに変えて、同様に合成し、POP(7)フィトステロールイソステアレートを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例8】
【0041】
(製造例8)POP(10)フィトステロールイソステアレートの合成
実施例2のPOP(5)フィトステロールエーテルをPOP(10)フィトステロールエーテルに変えて、同様に合成し、POP(10)フィトステロールイソステアレートを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例9】
【0042】
(製造例9)ビス[POP(5)フィトステロール]エイコジエートの合成
ガラス製反応容器に、POP(5)フィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製)70.52g、エイコサン二酸17.13g、水酸化ナトリウム0.10gを仕込んだ。窒素雰囲気下、徐々に昇温させ、230℃で生成する水を反応系外に除きながら反応させ、酸価が5以下になったところで、反応を終了した。80℃まで冷却後、42.5%リン酸水溶液で中和し、減圧下、100℃で脱水し、ろ過をして塩を除き、ビス[POP(5)フィトステロール]エイコジエート110gを得た。IR分析(2929.3cm−1、2855.1cm−1、1736.5cm−1、1462.7cm−1、1375.0cm−1、1107.9cm−1)。
【実施例10】
【0043】
(ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルの毛髪ダメージ抑制効果)
同一人物に由来する毛髪束をブリーチ処理し、人為的にダメージ毛髪を作成した。このダメージ毛髪束に、本発明のPOP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)の5%エタノール溶液を処理し、ブラシで100回ブラッシングした毛髪束を処理毛髪束とした。また比較として、ダメージ毛髪束をブラシで100回ブラッシングした毛髪束を未処理毛髪束とした。ダメージ毛髪束(図1)、処理毛髪束(図2)、未処理毛髪束(図3)を、白金蒸着処理の後、走査電子顕微鏡(JSM-5800LVC、日本電子株式会社)により1000倍にて観察した。
【0044】
(結果)
図1〜3に示すように、未処理毛髪束(図3)では、ブラッシングによる毛髪のダメージが観察されたのに対し、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル(図2)で処理した毛髪は、毛髪ダメージを抑制する効果に優れることが確認された。
【実施例11】
【0045】
(ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを配合したクリームの荒れ肌改善効果)
本発明のPOP(3)フィトステロールベヘネート(製造例3)又はPOP(5)フィトスタノールヒドロキシステアレート(製造例4)を配合した表1に示す処方のクリームを調製し、30代の男性ボランティア3名を用いて連用(2週間)による皮膚表面水分量測定試験を実施した。試料の塗布部位は脹脛とし、塗布回数は2回/日とした。塗布開始1、2週間経過後の塗布部位の皮膚コンダクタンスの変化を皮膚表面水分量測定装置SKICON200を用いて測定した。
【0046】
(結果)
表2に示すように、1週間及び2週間の連用において、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを含むクリームは比較例のクリームと比較して皮膚コンダクタンスを上昇させることが確認された。従って、本発明品のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを含むクリームの保湿効果が確認された。
【表1】

(調製方法)
A相を80℃に加温して均一に溶解し、攪拌しながら、同温度に加温したB相を加えて、乳化した。40℃まで攪拌しながら冷却して試料とした。
【表2】

【実施例12】
【0047】
(ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを配合した毛髪用トリートメントの感触改良効果及び毛髪修復効果)
本発明のPOP(3)フィトステロールイソステアレート(製造例6)、POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)、POP(7)フィトステロールイソステアレート(製造例7)又はPOP(10)フィトステロールイソステアレート(製造例8)を配合した表3に示す毛髪用のトリートメントを調製し、毛髪に処理したときの美容師による感触評価試験をおこなった。比較として、POP(3)フィトステロール、POP(5)フィトステロール、POP(7)フィトステロール又はPOP(10)フィトステロールを用いて同様の試験をおこなった。
【0048】
(結果)
表4に示すように、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステルを配合したトリートメントは、トリートメント塗布時も滑らかで、リンス後も良好な柔軟感、スベリ感を毛髪に与え、毛髪の修復効果を実感できることが確認された。この効果は、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステルのステロール骨格部分が、毛髪に効率的に浸透し、傷ついた毛髪を修復し、さらに、脂肪酸由来のアルキル鎖が、スベリ感を与えたためと考えられた。また、その効果は、ポリオキシアルキレン付加モル数が5以下の場合に特に顕著に優れることが示された。一方、ポリオキシアルキレンステロールを配合したトリートメントは、トリートメント塗布時の感触が重すぎたりした。ポリオキシアルキレンステロールは、本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステルと同様に、ステロール骨格部分が毛髪に効率的に浸透するが、脂肪酸由来のアルキル鎖をもたないため、毛髪に充分なスベリ感を与えることができず、ポリオキシアルキレン基の末端のOH基に起因するべたつきが発生したためと考えられた。本発明のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルは、ポリオキシアルキレン基の末端のOH基を脂肪酸残基で封鎖しているためべたつきがなく、しかも、毛髪にスベリ感や柔軟感を毛髪に付与できるものである。
【表3】

【表4】

【実施例13】
【0049】
(化粧水)
エチルアルコール 5.0(%)
グリセリン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
POE(20)POP(4)セチルエーテル
1.0
POP(3)フィトステロールイソステアレート(製造例6)
0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03
トリメチルグリシン 1.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1
テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
EDTA−2Na 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、可溶化状態も良好であった。
【実施例14】
【0050】
(乳液)
スクワラン 5.0(%)
2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
ジメチルポリシロキサン 0.5
パルミチン酸セチル 0.5
ベヘニルアルコール 1.5
ステアリン酸 0.5
セラミド2 0.1
水素添加トコフェロール 0.1
キミルアルコール 0.1
親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン
1.0
テトラオレイン酸POE(40)ソルビタン
1.5
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
0.2
POE(30)フィトステロール 0.1
プロピレングリコール 7.0
キサンタンガム 0.1
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。
【実施例15】
【0051】
(保湿クリーム)
3−O−ヘキサデシル−L−アスコルビン酸
0.3(%)
トリヘキシルデカン酸ピリドキシン 0.5
dl−α−トコフェロール 0.2
パルミチン酸レチノール 0.1
水添レチノール 0.1
スクワラン 10.0
ミリスチン酸イソセチル 6.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
マカデミアナッツ油 1.0
ジメチルポリシロキサン 0.2
セタノール 5.0
POE(20)セチルエーテル 1.0
テトラオレイン酸POE(40)ソルビット
0.5
モノステアリン酸グリセリル 1.0
水素添加大豆レシチン 0.2
POP(3)フィトステロールラウレート(製造例1)
0.2
1,3−ブチレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。
【実施例16】
【0052】
(日焼け止めクリーム)
流動パラフィン 7.0(%)
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
セチルアルコール 4.0
縮合リシノール酸ヘキサグリセリル 0.5
POE(20)セチルエーテル 1.0
パラメトキシ桂皮酸オクチル 7.0
酸化チタン 3.0
ビス[POP(5)フィトステロール]エイコジエート
(製造例9) 0.5
dl−α−トコフェロール 0.2
1,3−ブチレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.3
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.1
クワエキス 0.1
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。
【実施例17】
【0053】
(ファンデーションクリーム)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5(%)
サリチル酸エチルヘキシル 5.0
酸化チタン 8.0
酸化亜鉛 5.0
ジメチコン6mm/s 4.0
フェニルメチルシリコーン 3.0
トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 2.0
パルミチン酸エチルヘキシル 5.0
モノステアリン酸ポリグリセリル−2 0.8
ステアリルアルコール 1.4
ベヘニルアルコール 1.6
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
0.3
POP(3)フィトステロールベヘネート(製造例3)
0.2
1,3−ブチレングリコール 7.0
グリセリン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
キサンタンガム 0.3
EDTA−2Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。
【実施例18】
【0054】
(クレンジングクリーム)
グリチルレチン酸ステアリル 0.1(%)
セタノール 1.0
ステアリルアルコール 2.0
酢酸トコフェロール 0.3
オリーブスクワラン 5.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10.0
水添ポリデセン 15.0
シクロメチコン 25.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
グリセリン 2.0
POE(3)POP(7)フィトステロールイソステア
レート(製造例5) 0.2
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
1.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
パネルを用いて官能評価を実施したところ、肌荒れしにくく、洗い上がりの肌の状態が良好であった。また、乳化状態も良好であった。
【実施例19】
【0055】
(スクラブ剤配合洗顔クリーム)
ラウリン酸 3.0
ミリスチン酸 15.0
パルミチン酸 3.0
ステアリン酸 3.0
POE(80)硬化ヒマシ油 2.0
モノステアリン酸グリセリル 2.0
ジステアリン酸PEG−3 2.0
硬化ヒマシ油 1.0
POP(5)フィトスタノールヒドロキシステアレート
(製造例4) 1.0
ココイルメチルタウリンナトリウム(30%水溶液)
4.0
POE(3)アルキル(12,13)エーテル硫酸ナト
リウム(27%水溶液) 10.0
コカミドプトピルベタイン(30%水溶液) 9.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.0
グリセリン 残部
水酸化カリウム 5.4
精製水 8.25
EDTA−4Na 0.05
スクラブ剤 8.0
防腐剤 適量
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
パネルを用いて官能評価を実施したところ、肌荒れしにくく、洗い上がりの肌の状態が良好であった。
【実施例20】
【0056】
(コンディショニングシャンプー)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(27%水溶液) 30.0(%)
カルボキシル化POE(4.5)ラウリルエー
テルナトリウム(25%水溶液) 25.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%)
10.0
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
ジステアリン酸ポリエチレングリコール 2.0
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
2.0
フィトステロール 0.1
水酸化レシチン 0.5
大豆蛋白加水分解物 0.2
リン酸 0.4
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例12の毛髪感触試験の評価を実施したところ、柔軟感、すべり感、毛髪修復効果、が優れており、毛髪に効果的に浸透していた。
【実施例21】
【0057】
(ヘアコンディショナー)
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
2.0(%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
カチオン化セルロース 0.1
POE(10)コレスタノール 1.0
水素添加大豆レシチン 1.0
リゾレシチン 0.1
ステアリン酸 2.0
ベヘニルアルコール 8.0
ジメチコン6mm/s 8.0
イソステアリルアルコール 2.0
ジメチルポリシロキサン(シリコーンゴム) 1.0
流動パラフィン 1.0
ステアリン酸ポリグリセリル 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.4
グルタミン酸 0.8
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
実施例12の毛髪感触試験の評価を実施したところ、柔軟感、すべり感、毛髪修復効果、が優れており、毛髪に効果的に浸透していた。
【実施例22】
【0058】
(ヘアリンス)
POP(3)フィトステロールイソステアレート(製造例6)
1.0(%)
ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド 1.0
ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.5
ステアリルアルコール 5.0
オクチルドデカノール 1.5
高重合ジメチコン・低重合ジメチコンの混合物
5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
L−グルタミン酸 0.8
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
乳剤組成物の製造方法の常法に従い、乳化組成物を調製した。
(結果)
実施例12の毛髪感触試験の評価を実施したところ、柔軟感、すべり感、毛髪修復効果、が優れており、毛髪に効果的に浸透していた。
【実施例23】
【0059】
(入浴剤)
テトラオレイン酸POE(30)ソルビタン 7.0(%)
POE(2)オレイルエーテル 2.0
セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
水酸化レシチン 0.5
グリセリン 0.5
混合植物エキス 1.4
ホホバ油 1.0
POP(5)フィトステロールイソステアレート(製造例2)
1.0
POE(3)フィトステロール 0.3
dl−α―トコフェロール 0.1
防腐剤 適量
流動パラフィン(#70) 残部
(調製方法)
常法に従い、調製した。
(結果)
パネルを用いて官能評価を実施したところ、入浴後は肌荒れしにくく、肌の状態が良好であった。
【実施例24】
【0060】
(外用剤(軟膏製剤))
POP(3)フィトステロールイソステアレート(製造例6)
5.0(%)
POE(30)セチルエーテル 2.0
モノステアリン酸グリセリル 10.0
流動パラフィン 10.0
白色ワセリン 5.0
セタノール 6.0
プロピレングリコール 10.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
軟膏組成物の製造方法の常法に従い、乳化組成物を調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。
【実施例25】
【0061】
(外用剤(乳剤))
POP(3)フィトステロールベヘネート(製造例3)
1.0(%)
リン酸化グリセリルエーテル 1.0
白色ワセリン 1.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
フィトステロール 0.2
ラノリン 10.0
モノオレイン酸ソルビタン 4.75
モノオレイン酸POE(20)ソルビタン 0.25
グリセリン 5.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
乳剤組成物の製造方法の常法に従い、乳化組成物を調製した。
(結果)
実施例11の荒れ肌改善効果の評価試験を実施したところ、保湿効果が優れており、乳化状態も良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)で示すポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル。
RO−(XO)n−Y (1)
[式中、Rはコレステロール、フィトステロール、ラノステロール、エルゴステロール及びこれらの水素添加物であるコレスタノール、フィトスタノール、ラノスタノール、エルゴスタノールから選択されるステロール骨格を示し、Xはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドから選択される1種以上を共重合、ブロック重合又はランダム重合させたポリオキシアルキレン基を示し、nは、1〜10の整数を表す。また、Yは、炭素数が8〜24の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上からなる脂肪酸残基を表す。]
【請求項2】
前記nが、1〜5の整数であることを特徴とする請求項1に記載のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル。
【請求項3】
前記Yの脂肪酸残基が、炭素数が12〜22の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分枝脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、二塩基酸から選ばれる1種または2種以上からなる脂肪酸残基である請求項1又は2に記載のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステルを含有する外用剤組成物。
【請求項5】
次の成分(A)、(B)を含有する外用剤組成物。
(A)前記ポリオキシアルキレンステロール脂肪酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンスタノール脂肪酸エステル
(B)カチオン性化合物
【請求項6】
前記成分(B)のカチオン性化合物が、第4級アンモニウム塩、アミドアミン系化合物、カチオン性高分子から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の外用剤組成物。
【請求項7】
更に成分(C)として高級アルコール類を含有する請求項5又は6に記載の外用剤組成物。
【請求項8】
前記成分(C)の高級アルコール類が、高級アルコール、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、モノアルキルグリセリルエーテルから選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の外用剤組成物。
【請求項9】
前記外用剤組成物が、皮膚用化粧料である請求項4〜8のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
【請求項10】
前記外用剤組成物が、毛髪用化粧料である請求項4〜8のいずれか1項に記載の外用剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−193140(P2012−193140A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57421(P2011−57421)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【Fターム(参考)】