説明

ポリフェノール生体前駆体

本発明は、化粧品、治療用、特に、皮膚科用の[A]n−PP−[B]mの化学式を有した生体前駆体に関するものであり、ここで、式中:PPは、各々の水酸基が基Aまたは基Bによって保護されているポリフェノール基であり;Aは、炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜4個有し、ポリフェノールと以下の(a)または(b)の方法によって結合している置換または非置換の飽和または不飽和アルキル鎖であり:(a)−前記のアルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;または(b)−スペーサーA’を介して結合する、ここで、Aはカルボン酸エステル基によりスペーサーA’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;nは整数で1または2以上であり、特に1、2、3、4、または5であり;Bは、ポリフェノールと以下の(c)または(d)の方法によって結合している生体活性分子の前駆体であり:(c)−前記アルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;または(d)−スペーサーB’を介して結合する、ここで、Bはカルボン酸エステル基によりスペーサーB’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;mは整数で1または2以上であり、特に1または2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、または、治療用の使用のための生体活性分子の生体前駆体に関する。特に、化粧品、または、皮膚科に使用する分子の前記生体前駆体の使用に関する。また、それら前駆体を含む組成物、および、関連する治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、および/または、皮膚科に使用する組成物は広範囲に渡る。それらの組成物の中で最も頻繁に使用される活性成分として、ビタミン(以下、Vitと示すこともある)A、B、C、D、E、およびFなどのビタミンが挙げられる。これらは、肥満、皮膚の老化、皮膚の乾燥、皮膚の色素沈着、にきび、乾癬のような皮膚病に対して使用され、または、皮膚の回復、または、再生に使用される。
【0003】
抗酸化剤はパーソナルケア製品に、幅広く使用されている。最も頻繁に使用される抗酸化剤は、トコフェロール、および、トコトリエノールであり、これらは、同じファミリーに属する化合物であり、一つかそれ以上のメチル基、および、ほぼ同量のイソプレン鎖により置換されたハイドロキノン基により構成される化合物である。最も頻繁に利用されるものは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノールである。dl-α-トコフェロールは、合成化合物であり、局所有標製品のビタミンEの通常の形である。
【0004】
現在、他の抗酸化剤として利用されているのは、レスベラトロル(以下、Resと示すこともある)、ケルセチン、ルテオリン、ガラート、ある種のエッセンシャルオイル、パルミチン酸アスコルビル、合成フェノール性抗酸化剤(ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、および、ブチルヒドロキシアニソール(BHA))などである。
【0005】
これらの抗酸化剤、特に、フェノール基の優れた化学反応性により、抗酸化剤は容易に酸化され、これにより、抗酸化剤の活性、および、処方物の存在、両方に関する組成物の不安定性と保存の問題、例えば、その色彩や、臭いの問題を止めることができる。ここで、保存中に活性分子を安定させ、皮膚の酵素と接触することで加水分解される保護基により、オキシダント基は保護されている。これらに関する知識は未だに限られたものであるが、一般的には、角質層には、リパーゼ、フォスファターゼ、グルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、および、スフィンゴミエリナーゼが存在し、表皮の顆粒層には、エステラーゼが存在すると考えられている(U.K. Jain他、Proceed. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 22,(1995)、Controlled Release Society, Inc.、702〜703ページ)。
【0006】
欧州特許出願公開第0487404号明細書には、皮膚科組成物中のアスコルビン酸グリコシル誘導体について開示していている。組成物が皮膚に適用される際、この誘導体は、皮膚の酵素により加水分解され、アスコルビン酸が放出される。しかしながら、このような誘導体を使用しても、皮膚の表面において、十分な量のアスコルビン酸を迅速に放出できるわけではない。
【0007】
欧州特許出願公開第0710478号明細書には、活性のある化粧品または皮膚科用の構成物(例えば、レチノールなどのビタミン、アスコルビン酸)の前駆体およびリパーゼを含んだ局所使用のための物質が開示されている。前駆体は、2〜25個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖または枝分かれした、飽和または不飽和のエステルを少なくとも一つ含んだエステルである。
【0008】
米国特許第2004/0202624号明細書において、著者らは、抗酸化剤、および、紫外線に対する保護をあたえる薬剤として作用する共役化合物について、提案している。フラボノイドは、紫外線を吸収する性質を有し、分子の基礎をなし、一つか二つ以上の分子と結合する。より正確には、フラボノイドは、-H、-OH、および-OAから選択されるR1〜R5官能基を有し、ここでAは抗紫外線剤である。本明細書においては、長波長/中波長紫外線(UVA/B)に対する保護の範囲が広い共役化合物を提供するために、長波長紫外線(UVA)に対するフラボノイドの保護効果を使用している。この明細書の示唆するところは、水中もしくは油中で溶解可能な様々な官能基が結合できる長波長紫外線(UVA)分子の質量共に、大きな可能性があるということである。また、この明細書の示唆するところは、共役化合物は、皮膚の深い層まで浸透させるために十分な親油性を有し、リポソームなどの輸送剤と経口投与の後の全身性の輸送の組み合わせによる、共役化合物の動態と投与に関し大きな可能性があるということである。共役とは関係のない遊離の-OH基は、油中の溶解性を上げるために、2-エチルヘキサンカルボン酸、2-エチルヘキサンブタン酸、2-エチルヘキサン吉草酸、2-エチルヘキサンヘキサン酸、2-エチルヘキサンアスコルビン酸、および、2-エチルヘキサンラウリン酸から選択されるカルボン酸によってエステル化することが可能であり、そのエステル官能基は細胞中でエステラーゼの効果により加水分解される。一方、この明細書は、皮膚の酵素に関する生体内(in situ)での異なる共役化合物の動態に関するものではない。最終的には、共役化合物はフラボノイドを含む構造式の安定性によって抗酸化活性を有しており、抗酸化活性は遊離の-OH基の存在によるものと仮定されている。
【0009】
これらの文献では、安定に保存できるが、しかしそれにも関わらず、皮膚表面で、もしくは、耐久性および効果の点で受け入れられる条件下でより下層で、例えば化粧品または皮膚科において、抗酸化効果、および/または、他の生物学的効果を有している生物活性化合物の問題については何も示唆されていない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0487404号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0710478号明細書
【特許文献3】米国特許第2004/0202624号明細書
【非特許文献1】U.K. Jain他、Proceed. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 22,(1995)、Controlled Release Society, Inc.、702〜703ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
もし、一つか、二つ以上の活性分子が例えば、表皮、真皮、および/または、皮下組織にまで輸送され組織に良好に浸透する浸透力、もしくは、皮膚の表面および、特に、角質層などのを含む皮膚の異なる層における効果的な抗酸化力、および、皮膚へ適用したときの即時かそれに近い抗酸化効果があれば、従来、解決されていない他の重要な問題についても、同時に、解決できる。
【0011】
それゆえ、安定に保存が可能で、皮膚に適用後も、皮膚表面(適用後短期もしくは長期にわたる保護効果)および、角質層などを含んだ皮膚の異なった場所において、下層の層にまで浸透する能力があり、抗酸化作用が持続させることができる組成物にアクセスすることは非常に興味深い。その性質またはその他の生物活性を例えば、角質層、顆粒層、および/または、皮膚の下層において、治療目的で、特に皮膚科もしくは化粧品として使用できるようにすることは非常に興味深い。
【0012】
したがって、本発明の目的は、上記目的を達成でき得るような成分を含んだ分子と組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、以下の構造を含んだ生体前駆体によって、達成される:
[A]n−PP−[B]m
式中、
−PPは、各々の水酸基が基Aまたは基Bによって保護されているポリフェノール基であり;
−Aは、炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜4個有し、ポリフェノールと以下の(a)または(b)の方法によって結合している置換または非置換の飽和または不飽和アルキル鎖であり、:
(a)−前記のアルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(b)−スペーサーA’を介して結合する、ここで、Aはカルボン酸エステル基によりスペーサーA’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−nは整数で1または2以上であり、特に1、2、3、4、または5であり;
−Bは、ポリフェノールと以下の(c)または(d)の方法によって結合している生体活性分子の前駆体であり、:
(c)−前記アルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(d)−スペーサーB’を介して結合する、ここで、Bはカルボン酸エステル基によりスペーサーB’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−mは整数で1または2以上であり、特に1または2である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
nが2以上である時、保護基Aは、同一でも異なるものであっても良く、また、同じく、mが2以上である時、B前駆体も、同一でも異なるものであっても良い。B前駆体は、保護基Aと同様に、ポリフェノールの水酸基を保護するが、Bによると、本発明の生体前駆体に、特に皮膚科用または化粧用活性などの治療用の活性を与えるという点で、保護基Aとは異なっている。
【0015】
生体前駆体は、水酸基を保持するために、もしくは前記ポリフェノール、および、生体前駆体中でそのB前駆体の形で存在する前記生体活性分子を放出するために、皮膚に存在する酵素の活性によって、生体中で加水分解される。したがって、本発明の生体前駆体は、ポリフェノールと少なくとも一つの生体活性分子Bを有し、「多機能生体前駆体」として知られるものである。
【0016】
本発明の生体前駆体は、予期しない形式で、特に皮膚の異なる層で、生体活性分子の放出を連続的に制御できることが明白である。それによって、生体前駆体の形で輸送される生体活性物質の生体利用性と改善することができる。実際、特にリパーゼの活性下で、角質層のような皮膚の上層部に存在する生体前駆体を通じて、ポリフェノール分子の水酸基が放出されていることは明白である。これにより、ポリフェノールの抗酸化活性を回復されることができる。したがって、生体前駆体は、表皮を全て、特に角質層などを通じて皮膚と接触した時には、抗酸化活性を示すことができる。生体活性物質が、特にエステラーゼの活性下の、顆粒層などの皮膚の深層にまたは上層の生体組織に浸透する時、ポリフェノール分子の他の水酸基の活性も、また、放出される。これにより、ポリフェノールおよび生体活性分子Bの完全な放出が可能となる。皮膚吸収の生理学に関する考察は、AgacheらのEncyclopedie Medico-Chirurgicale(パリ)12-235-C-30,(1995)に述べられている。
【0017】
より好ましい形態としては、生体活性分子が活動すべき条件にあり、本発明の生体前駆体がそこに存在する時にのみ、すなわち、その性質を最適に発揮することできる環境にある時のみ、ポリフェノールの保護基を外すと良い。生体前駆体の生体活性分子の連続的な放出によって、特定の場所の濃度が濃くなりすぎたり、活性物質の蓄積が生じることもなく、皮膚の炎症を生じさせるようなこともない。
【0018】
本発明の生体前駆体は、特に、優れた皮膚への浸透性を有する。
【0019】
ポリフェノールは、薬学的な活性成分を放出させるために、また、皮膚科以外へ適用するために生体利用性を与えるために、経皮的なベクターとして使用することもできる。特に、放出される薬学的な活性成分は、血液によって輸送される。
【0020】
本発明の生体前駆体は、化粧品、皮膚用またはその他治療用処方物としては、完全に安定であり、前記処方物として使用するとき、賦形剤および/または添加剤との相溶性の問題も生じない。
【0021】
保護基Aは、保存中の生体前駆体を安定化させるだけでなく、皮膚中の酵素によって、容易に加水分解され、その加水分解は皮膚との接触後即座に開始される。それにより、生体前駆体のポリフェノールおよび生体活性分子Bの抗酸化の性質を迅速に発揮することができる。さらに、保護基Aにより、生体前駆体の加水分解の動態を調製することができ、よって、それにより活性物質の放出を調製することができる。
【0022】
好ましくは、Aは、直鎖、枝分かれまたは環状カルボン酸由来であり、例えば、エタン酸、プロパン酸、直鎖または枝分かれブタン酸、カプロン酸、および、ラウリン酸から選択される。
【0023】
表現「生体活性分子」は、自然由来の分子、人工の分子、合成由来の分子、または、バイオテクノロジー由来の分子で生物学的に効果のある分子を意味する。化粧品分野では、例えば、皮膚の乾燥、皮膚の老化、色素沈着と戦い、皮膚を再構築し、皮膚の細胞を更新するような、皮膚にとって有利な効果を与えるために、生体活性分子は生物学的ターゲットを介して皮膚にとり効果を有する。
【0024】
前駆体Bは、生体活性分子中で酵素による加水分解により放出されることができる官能基である。
【0025】
本発明を、化粧品、治療用または、その他に利用する場合、生体活性分子は、槍学的な活性成分であり、結果的に前駆体Bが選択される。
【0026】
生物活性分子は、収斂性の分子、保湿分子、抗酸化分子、抗フリーラジカル、抗脂質過酸化および/またはしわ防止分子、再生または生体刺激分子、痩身分子、微少循環刺激および/または血管系保護のための分子、タンニング(tanning)活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、糖化阻害剤、免疫促進分子、光防護剤、抗紫外線分子、抗炎症剤および/または抗刺激剤、冷却分子、加温分子、フレーバー分子、芳香分子、から選択されると良い。
【0027】
好ましい実施例によると、生体活性分子は、抗酸化分子、抗フリーラジカル、タンニング活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、光防護剤、抗紫外線分子から選択される。
【0028】
好ましい発明の改良例によると、生体活性分子は、ポリフェノール、リポ酸、ビタミンA、B、D、E、F、不飽和またはポリ不飽和有機酸、レチノイン酸、ヒドロキシ酸、ポリオールから選択される。
【0029】
網羅することはないが、しかし、特に化粧品、皮膚科の分野で本発明から得られる生物学的機能を完全に述べるために、それらに関連する分子を以下に列挙する:
-タンニンなどの収斂剤;
-保湿剤であって、特に、皮膚の発汗を制御するサッカリド(グルコース, ソルビトール, ヒアルロン酸)だけでなく、グリセロール、α-ヒドロキシ酸、植物の中枢部分を保湿する植物由来のセラミド、ヒドロキシ酸(特に、乳酸);表皮分化を誘導する試薬、脂質合成を誘導する試薬;
-抗酸化剤、抗フリーラジカル、抗脂質過酸化、および/または、しわ防止剤:これらは、フリーラジカル阻害剤であり、フリーラジカルの活性、および、しわの形成を促進するその他の損傷脂質から、タンパク質、DNAの分解の防止と処理のために重要である。例としては、本発明はこれに限定されないが、トコフェロール(ビタミンE、トコール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール) 、カルテノイド、(ルテイン、ゼアキサンチン) 、ジテルペノイドおよびトリテルペノイド(例えば、カルノソール、オロロペイン) 、フラボノイド(例えば. ルテオリン, エピガロカテキン 没食子酸), アスコルビン酸, スチルベノイド(例えば、レスベラトロル) 、タンニン、フェノール酸、(例えば、クロロゲン酸、サリチル酸) 、レチノイド(例えば、ビタミンA、レチノール、レチニルパルミテート) 、リポ酸、ヒドロキシクマリン(例えば、アミノレソルシノール、エスクレチン) 、オーロン(例えば、オウレシン(aureusin))、カルコン、ヒドロキシアミノ酸(例えば、トリプトファン、チロシン、ヒドロキシチロシン) 、アルキルフェノール(例えば、カルドール)などが挙げられる;
-再生または生体刺激剤(しわ防止、老化防止効果を有するもの):細胞外マトリックス(MEC)の構成要素の合成を誘導する、より正確には、コラーゲンを分解する酵素の阻害(コラゲナーゼ)、および、コラーゲンの量を増やすグルコアミノグルカンを刺激し、それにより、皮膚の弾性を増加させる試薬(例:ビタミンC、ビタミンA、ペプチド);MECを保護し、MMPマトリックスの抗メタロプロテイナーゼ反応(活性および合成)、および/またはメタロプロテイナーゼTIMPの組織阻害剤(例: ルテオリン、ビタミンA)を促進する試薬;
-痩身剤:例えばカフェイン;
-微少循環を促進する試薬、および/または、ビタミンPなどの血管保護試薬(例としては、ルチン、ルトシドなどのフラボノイド);
-タンニング活性化剤、例えば、植物抽出液、およびメラニン形成に必要なペプチド;ペプチドの例としては:アセチル-ヘキサペプチド-1;
-美白および/または染み防止剤:メラニン形成減少させるように作用;例:レスベラトロル、ビタミンC、およびそれらの誘導体;
-自己タンニング剤、特にDHA(ジヒドロキシアセトン)のような皮膚表面の色素沈着のための試薬;
-グリケーション阻害剤、例えば、レスベラトロル、α-リポ酸;
-免疫促進剤、例えば:β-グルカン、レンチナン、深海生物由来多糖類(Deepsane);
-光防護剤、例えば、メトキシケイ皮酸、オクチルメトキシケイ皮酸、オクトクリレン、ヒドロキシベンゾフェノン、メチルまたはオクチルサリチラートなどの光防護サリチラート;
-抗炎症剤および/または抗刺激剤、例えば、レスベラトロル、THC、ルテオリン;
-芳香剤、例えば、バニリン、バニレート;
-冷却剤、例えば、メンソール;
-加温剤、例えば、バニリルブチルエーテル。
【0030】
特に、生体活性分子Bおよびポリフェノールは異なった組み合わせで、共役で、共同で化粧用、皮膚科用の効果を得るために、選択すれば良い。
【0031】
治療用分子としては、コルチゾールおよびアルドステロンなどの副腎により皮質に生産されるステロイドホルモンが挙げられる。これら2つの分子はグルコース代謝と塩の排出を制御している。また、抗炎症剤および抗喘息剤としては、プレドニゾロンおよびプレドニゾンが挙げられる。
【0032】
前駆体Bが、一つが二つ以上のOHアルコール基を有している場合、カルボン酸エステル基により、Aと同様の形で、特に炭化水素保護基により保護することができる。前駆体Bが、複数のOH基を有している場合、没食子酸の前駆体およびその誘導体の前駆体は好ましくなく;好ましくは、Bは没食子酸の前駆体およびその誘導体の前駆体でないほうが良い。
【0033】
使用するポリフェノールとしては、以下のように幅広いファミリーがある:
-スチルベノイド:例えば、レスベラトロル;
-フラボノイド:
・フラボノール、フラボン、イソフラボン、フラバノン、アントシアニジン、フラバノール、フラビリアム(flavillium)を含んだファミリー
・例:ケルセチン、ルテオリン、カテキン、エピガロカテキン;
-タンニン:
・加水分解されたタンニン:没食子酸およびエラグ酸ポリエステル;
・濃縮タンニン:プロアントシアニドール(proanthocyanidols);
・フロロタンニン(Phlorotannins):例えばフコフロエコール(fucofuroeckol);
-フェニルプロパノイド:例えば、クルクミン、カフェ酸およびその誘導体、特に、それらのエステル、例えば、[[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]オキソ]-3,4-ジヒドロキシベンゼンプロパン酸(ロスマリン酸);
-ジアリールヘプタノイド: クルクミノイド:例えば、テトラヒドロクルクミン;
-オーロン(例えば、オーロジン(aureusin));
-アルキルポリフェノール(例えば、カルドール);
-ジヒドロカルコン;
-ジヒドロキシクマリン;
-ポリヒドロキシフェニルアミノ酸(例えば、ヒドロキシチロシン)、又は、ポリヒドロキシフェニルアミノアルコール(例えば、アドレナリン);
-アンスロン(Anthracenone)(例えば、アロイン);
-ベンゼンジオール、ベンゼントリオール(例えば、ピロガロール);
-グリコシルポリフェノール:例えば、ヘスペリジン、ディオスミン。
【0034】
本発明においては、ポリフェノールとは、少なくとも一つのベンゼンタイプの芳香環を含み、可能ならば、一つか二つ以上のヘテロ原子、および、少なくとも二つ以上のOHアルコール基を有している。芳香環は、0、1または2以上のOHアルコール基を含むことができる。本発明の性質としては、ポリフェノールは2対以上のフェノール核を有している。
【0035】
したがって、その例としては以下の構造式に対応するもので良い:
【化1】

式中、
aは、1、2、3、4、または5;
bは、1、2、3、4、または5;
Xは、N、S、O、CH、CH2、CO、NH;

は、存在可能な分子鎖であり、Xを含んだ5員環または6員環を形成し、一重または二重結合を形成し、可能ならば、一つか二つ以上OHで置換され、および/または、N、S、Oから選択されるヘテロ原子であり、ヘテロ原子が環中に位置しているか、および/または、ヘテロ原子により置換されている。
【0036】
また、特に、ポリフェノールは以下の化学式を有する:
【化2】

式中、
aは、1、2、3、4、または5であり、bは、1、2、3、4、または5であり、
好ましくは、aは2であり、bは1である。
【0037】
また、ポリフェノールが下記の構造式を有する:
【化3】

式中、
Yは、HまたはOH、aは、1、2、3、または4であり、bは、1、2、3、4、または5であり、
好ましくは、aは2であり、bは2である。
【0038】
ポリフェノールとして好ましい例は、レスベラトロル、ルテオリン、ケルセチン、ハイドロキノン、ピロカテコール、没食子酸、ヒドロキシチロソール、テトラヒドロクルクミン、シリマリン、エラグ酸である。
【0039】
生体前駆体のスペーサーA’およびB’は、それぞれ独立に2つの酸基(特に、二酸)または少なくとも1つの酸基、および、少なくとも1つの水酸基(特に、ヒドロキシ酸)を有し、2〜13個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖であると良い。これらのスペーサーは、水酸基、酸、またはアミンを有していても良い。スペーサーは、特に、エステル化により水酸基を有する2つの分子を結合させることができる。また、スペーサーは、付加的な生体効果を有する、例えば、ヒドロキシ酸に対する保湿効果である。
【0040】
好ましくは、生体前駆体のスペーサーA’およびB’は、それぞれ独立に、コハク酸、アジピン酸、ブラシル酸、乳酸、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェルラ酸、酒石酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、または、4-ヒドロキシブタン酸基であって良い。
【0041】
本発明は、特に、以下の生体前駆体のひとつに関するものである:
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル)ペンタノエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-リポ酸 = Res(Ac)2-リポ酸);
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-スクシニルトコフェロール = Res(Ac)2-スクシネート-Vit E);
-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニル-(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エニル)ノナ-2,4,6,8-テトラエニル スクシネート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-スクシニルレチニル = Res(Ac)2-スクシネート-Vit A);
-(2E,4E,6E,8E,10E,12E)-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニルドコサ-2,4,6,8,10,12-ヘキサノエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-ドコサヘキサノエート,モノ-ω-3誘導体);
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-バニレート);
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-3,4-ジアセトキシベンゾエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-(3,4-ジアセトキシ)ベンゾエート);
-(E)-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニル-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート(または、3,5- レスベラトロルジアセタート-4'-フェルラート);
-(E)-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニル-3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート(または、3,5- レスベラトロルジアセタート-4'-アセチルフェルラート);
-(E)-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニル-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-(4-メトキシ)ケイ皮酸);
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2-アセトキシベンゾエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-アセチルサリシレート);
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル)ペンタノエート(または、ルテオリントリアセタートリポ酸);
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(または、ルテオリントリアセタートモノスクシニルトコフェロール);
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2−イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル)ペンタノエート(または、テトラヒドロクルクミンモノアセタート-モノリポ酸);
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2−イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イルスクシネート(または、テトラヒドロクルクミン モノアセタート-モノスクシニルトコフェロール)。
【0042】
上記で挙げた生体前駆体のうち、特に、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル)ペンタノエート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-リポ酸 Res(Ac)2-リポ酸)
および、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(または、3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-スクシニルトコフェロール= Res(Ac) 2-スクシネート-Vit E)であることが好ましい。
【0043】
一般に、本発明は、例えば皮膚科の治療用や化粧用に、上記の生体前駆体を利用することに関する。
【0044】
また、本発明は、上記の本発明の生体前駆体を少なくとも一種含んだ組成物の、治療用、皮膚科用、または、化粧用に適用できる局所用処方物中への使用に関する。また、本発明は上記の本発明の生体前駆体の治療、皮膚科、化粧品組成物の製造への使用に関する。
【0045】
ここでは、例示目的であり、発明を制限するものではないが、本発明の生体前駆体を少なくとも一種含んだ組成物は、例えば、顔や体のパーソナルケア用組成物、痩身用のパーソナルケア用組成物、日光遮断用の組成物、芳香組成物、ファンデーションやパウダーなどの化粧用組成物、バルム、リップスティックまたはグロス等の形態を有した唇用の組成物、マスカラ組成物、シャワージェルやデオドラントなどの身体衛生組成物などである。
【0046】
適用可能な媒体としては、水および/または脂肪質の物質との混合物、および/またはそれら混合物、および/または、水とシリコンの混合物が一般に挙げられる。当該技術分野において、局所用処方物の形態の選択の幅は広く、網羅することはできないが、エマルジョン(例えば、O/W、W/O、W/O/W、O/W/O、W/Si;ここでWは水、Oは油、Siはシリコンである)、懸濁液、溶液、ペースト、軟膏、水性ジェル、ハイドロアルコール性ジェル、クリーム、ローション、粉、石鹸、スプレー、ムースなどが挙げられる。
【0047】
これらの組成物は、化粧品や皮膚科用に適用可能な添加物を含んでも良い。それらの添加物は、界面活性剤、油などの脂肪質の物質、遊離した活性分子(例えば保湿または親水性、親油性活性成分)、防腐剤、芳香剤、キレート試薬、色素、フィルタ、金属キレーション剤、着色剤、フィラー、湿潤剤、増粘剤(例えばゲル化剤)、テクスチャリング試薬、調味料、溶媒などが挙げられ、これらには限定されない。
【0048】
また、本発明の組成物に使用する添加物としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない:
−油、特に以下のものから選択される:直鎖または環状で、揮発性または不揮発性のシリコン油で、例えば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ポリアルキルシクロシロキサン(シクロメチコン)、および、ポリアルキルフェニルシロキサン(フェニルジメチコン)など;合成油で、例えば、フッ素化油、アルキルベンゾエート、および、枝分かれ炭化水素(ポリイソブチレンなど)など;植物油で、例えば、特に大豆またはホホバ油;パラフィン油のようなミネラル油;
-オゾケライト、ポリエチレンワックス、蜜ろう、または、カルナバワックスなどのワックス;
-少なくとも一つの反応基(特に、水素およびビニル基)、および、少なくとも一つのアルキル基またはフェニル基を有機水素化ポリシロキサンなどの有機シリコンと共に触媒存在下で得られるシリコンエラストマー;
-非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤であり、特に脂肪酸とグリセロールのエステル、脂肪酸とソルビタンのエステル、脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、脂肪酸とスクロース;脂肪族アルコールとポリエチレングリコールのエーテル;アルキルポリグリコシド;ポリシロキサンで修飾されたポリエーテル;ベタイン、およびその誘導体;ポリクオタニウム;エトキシレート脂肪族アルコール硫酸塩;硫酸スクシネート;サルコシン;アルキルおよびジアルキルフォスフェイおよびその塩;および脂肪酸石けん;などの界面活性剤、好ましくは乳化剤;
-共界面活性剤、例えば、直鎖脂肪族アルコール、特に、セチルおよびステアリルアルコールなど;
-増粘剤および/またはゲル化剤、および、特に、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸(AMPS)および/またはアクリルアミドおよび/またはアクリル酸および/またはアクリル酸塩またはアクリル酸エステルなどの親水性または両親媒性ホモポリマーおよびコポリマーで架橋されていても、されていなくても良い;キサンタンまたはグアーガム;セルロース誘導体;およびシリコンガム(ジメチコノール(dimethiconol)) ;
-湿潤剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、および、糖質などのポリオール、および、ヒアルロン酸とその塩、および、そのエステルなどのグリコサミノグリカン;
-有機フィルタ、例えば、ジベンゾイルメタン誘導体(ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど)、桂皮酸誘導体(エチルヘキシルメトキシケイ皮酸など)、サリチラート、パラ-アミノ安息香酸、β-β'-ジフェニルアクリレート、ベンゾフェノン、、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール、トリアジン、フェニルベンゾトリアゾール、および、アントラニル誘導体;
-色素またはナノ色素の形態の鉱物酸化物由来の無機フィルタで、被膜していても、被膜していなくても良く、特に、二酸化チタンまたは酸化亜鉛由来の無機フィルタ;
-着色剤;
-防腐剤;
-フィラー、“ソフトフォーカス”効果を有する粉末であり、特に、ポリアミド、シリコン、タルカムパウダー、雲母、繊維(特にポリアミドまたはセルロース);
-金属キレーション剤、例えば、EDTA;
-芳香剤;
および、これらの混合物。
【0049】
添加剤の例は、CTFA辞典に(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, published by The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Associationが出版、第9版, 2002)に挙げられている。
【0050】
また、当然に、当業者であれば、本発明の化合物による本質的な有利な効果を、実質的に、添加剤により変化させられるかを判断して、添加物を選択することができる。
【0051】
本発明の生体前駆体および組成物は、有利なことに、光または熱、種々のpH、界面活性剤などの添加物、溶媒、金属触媒などに反応しないか、殆ど反応しない。この安定性により、組成物の求められる効果、外観、香りなどを保持することができる。
【0052】
組成物の異種成分の量は、化粧品および皮膚科などの関連する分野で一般に使用されている量で良い。
【0053】
本発明の組成物における生体前駆体の量は、様々な要因により決定される。それらの要因としては、処方物のタイプ、生体前駆体の性質、投与の方法、治療する病気の重篤度、必要な効果の強さ、などが挙げられ、これに限定されない。例えば、生体前駆体は、0.001%〜20%、好ましくは0.005%〜15%、より好ましくは0.01〜10%、さらにより好ましくは0.05%〜5%含まれていれば良く、例えば、0.08%および約2%含まれていれば良い。
【0054】
本発明は、ここで述べるように、ポリフェノールの使用に関するものであり、特に、A官能基により水酸基の一部または全部を保護されたものであり、ベクターとして、ここで述べるように、一種か二種以上の生体活性分子を利用可能にし、そして皮膚に、より詳しくは皮膚の一つか二つ以上の層に浸透する。
【0055】
本発明の生体前駆体は、本技術分野では既知のあらゆる方法で製造して良い。例えば、フェノール誘導体のアクリル化(Protective Groups in Organic Synthesis, T.W. Green, 第2版,(1991),162ページ)、酵素システムを利用したフェノールエステルの選択的脱保護などである。
【0056】
本発明は、特に、生体前駆体の製造に関するものであり、本発明によると、少なくとも以下のステップを含む:
a)ポリフェノールとAの間にエステル結合を生じさせるために、ポリフェノールのOH基に反応することができる基Zを有するA-Z化合物をパーエステル化によりポリフェノールの保護するステップ
b)ポリフェノール中に遊離のOH基を一つまたは二つ以上得られるように選択的に脱保護するステップ
c)ステップb)で得られた中間体を、すでに活性化されている生体活性分子Bとカップリングさせるステップ。
【0057】
ステップa)においては、パーアセタートは、H. Aft in Journal of Organic Chemistry、26、(1961)、1958-1963に記載の通り、過剰の無水酢酸中、ピリジン存在下の標準的な条件でレスベラトロルをパーアセチル化することで生成すれば良い。反応は、80℃で加熱しながら、数時間行う。合成は一般的なものであり、良好な収率で所望の生成物を得ることができる。
【0058】
ステップb)においては、パーエステル化(例、パーアセチル化)された化合物の選択的脱エステル化(例えば、脱アセチル化)は、Nicolosiらにより、Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic、16、(2002)、223-229に記載されている微生物性のリパーゼなどの酵素を利用して行われる。例えば、ポリプロピレン樹脂に固定したCandida antarctica由来のリパーゼを利用する。リパーゼは、Novozym SP435(登録商標)の名称で、Novo Nordiskより商品化されている。
【0059】
リパーゼを触媒とした、パーエステル化およびパーアセチル化は、水性溶媒中での加水分解反応または有機溶媒中でのアルコール分解によって行うと良い。しばしば、「アルコール」溶媒中で行われるので、アルコール分解と呼ばれている。反応は、「穏やかな」な温度(15〜75℃)とpH(水性溶媒の場合5〜8)中で行われる。
【0060】
生成物は、一般的に、簡単な酵素の濾過および減圧下で反応媒体を濃縮することで得られる。
【0061】
ステップc)においては、ステップb)で得られた中間体を、すでに活性化されている生体活性分子Bとカップリングは、当業者であれば既知のカップリング方法(DCC = ジシクロカルボジイミド、酸塩化物中での酸の塩素化など)によって行うことができる。
【0062】
形成した生成物を特に単離することなしに簡単に得られるので、チオニルクロライドによる塩素化が最もよく利用される(J.S. Pizey、Synthetic Reagents、1、(1974)、321参照)。
【0063】
アルコールと酸のカップリングは、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような無水物によって触媒される。反応条件は、M. Smithらによって、J. Am. Chem. Soc., 80,(1958), 6204に記載されている。
【0064】
本発明は、化粧品分野で活性を有する化合物の前駆体Bを含む生体前駆体を、上記のように組成物とする前記皮膚への適用を含めた皮膚の化粧方法のためのプロセスに関する。特に、本発明は、上記で定義した組成物の皮膚への局所使用によって角質層レベルで、または皮膚の生体組織においてポリフェノールと活性分子Bの放出を伴う化粧方法に関する。
【0065】
また、本発明は、皮膚科の観点から活性を有する化合物の前駆体Bを含む生体前駆体を上記のように含んだ組成物を皮膚に適用することを含めた皮膚科用の治療方法に関する。
【0066】
また、本発明は、特に全身性の活動で、皮膚に輸送される薬学的な化合物の前駆体Bを含む生体前駆体を上記のように含んだ組成物を皮膚に適用することを含めた治療方法に関する。
【0067】
ここで本発明の実施例について述べるが、本発明は、以下の実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0068】
実施例1:
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル)ペンタノエート(3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-リポ酸 = Res(Ac)2-リポ酸)の合成
0℃のテトラヒドロフラン(THF)中、トリエチルアミンおよびDMAP(ジメチルアミノピリジン)存在下、リポイルクロライドによってレスベラトロルジアセタートを4つのステップでエステル化を行い、混合エステル3,5-ジアセチル4'-リポイルレスベラトロル(1)を得た。
【0069】
a)3,5,4'-レスベラトロルトリアセタート(Res(Ac)3)の生成
無水酢酸(372 ml、6当量)中のレスベラトロル(156g、純度96%、0.66モル)溶液に、攪拌しながら、室温で、ピリジン(10当量)液滴を加えた。反応媒体は80℃で1時間熱した。生成物は3リットルの水中で沈殿として得られた。レスベラトロルトリアセタートは、HPLC 純度が99 %(300 nm)、プロトンNMRによるモル純度が98 %の定量的収率で得られた。
融点は120〜121℃であった。
NMR 1H(DMSO/HMDS;300 MHz)データは以下の通りである: 2.21(s, 3H);2.23(s, 6H);6.85(t, 2,2Hz, 1H);7.10(d, 8.5Hz, 2H);7.15(d, 16.5Hz, 1H);7.23(d, 2.2Hz, 2H);7.28(d, 16.5Hz, 1H);7.57(d, 8.5Hz, 2H)。
【0070】
b)3,5-レスベラトロルジアセタート(Res(Ac) 2)の合成
レスベラトロルジアセタートは、Nicolosiらによって(Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 16,(2002), 223-229)に記載されたNovozyme(登録商標)SP435を、t−ブチルメチルエーテル(TBME)をアセトニトリルによって置換し、酵素量を20%p/p減少させた、酵素によるレスベラトロルトリアセタート(1.1)のアルコール分解によって、得られる。レスベラトロルトリアセタートのアルコール分解は、レスベラトロルトリアセタートが200g/lのスケールで、アセトニトリル中Novozyme(登録商標)SP435が20%p/p存在下、n-ブタノールと共に、65℃で15時間行った。酵素を濾過し、減圧下で反応媒体を濃縮して、生成物のクルードが得られた。生成物のクルードは、88%のジアセタート(1.2)、および、12%のモノアセタートの混合物であった。溶離液としてシクロヘキサン/エチルアセタート(4/1 v/v)を利用したシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な生成物を、収率50%、プロトンNMRによるモル純度99%で得られた。
融点は134〜136℃であった。
NMR 1H(DMSO/HMDS;300 MHz)データは以下の通りである: 2.22(s, 6H);6.72(d, 8.5Hz, 2H);6.78(t, 2.2Hz, 1H);6.93(d, 16.2Hz, 1H);7.15(d, 16.2Hz, 1H);7.16(d, 2.2Hz, 2H);7.36(d, 8.5Hz, 2H);9.58(br s, OH)。
【0071】
c)3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-リポ酸(Res(Ac)2-リポ酸)の合成
リポ酸クロライド(DL-チオクト酸)の合成は、アルゴン雰囲気下、室温で、以下の一般的なプロトコールによって行われた:リポ酸(5g、24mmol)をジクロロメタン(40ml)中に溶解し、SOCl2(1.3当量)液滴を加えた。室温で1時間攪拌した後、形成されたリポ酸クロライドを、トリエチルアミン(3当量)およびDMAP(0.45当量)を含んだTHF(100ml)中のレスベラトロルジアセタート(1.2)(6g、19 mmol)に注いだ。一時間後、反応混合物を100mlのCH2Cl2で希釈し、90mlの5%(v/v)HClで2回洗浄した。有機相を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過して、その後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生成物のクルード(11.4g)を溶離液としてシクロヘキサン/エチルアセタート(4/1 v/v)を利用したシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な生成物を含むフラクションを濃縮し、5.95gの3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-リポ酸 1(収率49%)をプロトンNMRによるモル純度96%で得られた。
融点は79〜81℃であった。
NMR 1H(DMSO/HMDS;300 MHz)データは以下の通りである: 1.42(m, 2H);1.60(m, 4H);1.84(m, 1H);2.23(s, 6H);2.36(m, 1H);2.53(t, 7.4 Hz, 2H);3.09(m, 2H);3.54(m, 1H);6.85(t, 2.2 Hz, 1H);7.08(d, 8.5 Hz, 2H);7.15(d, 16.7 Hz, 1H);7.23(d, 2.2 Hz, 2H);7.28(d, 16.7 Hz, 1H) ;7.58(d, 85 Hz, 2H)。
【0072】
実施例2:
(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート(3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-アセチルフェルラート)の合成
0℃のテトラヒドロフラン(THF)中、トリエチルアミンおよびDMAP(ジメチルアミノピリジン)存在下、O-アセチルフェルラ酸クロライドによってレスベラトロルジアセタートを5つのステップでエステル化を行い、混合エステル3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-アセチルフェルラートを得た。
【0073】
a)(E)-3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリル酸(O-アセチルフェルラ酸)の合成
アルゴン雰囲気下、100mlの無水THF中に、フェルラ酸(10g、51mmol)を溶解した。トリエチルアミン(8.7ml、61mmol、1.2当量)を迅速に添加し、アルゴン雰囲気下、室温で、DMAP(3.34g、27mmol、0.5当量)を添加した。最後に、無水酢酸(5.9mL、61mmol、1.2当量)、室温で、3分で、添加した。18時間、室温で撹拌し、撹拌しつつ、媒体を分離用漏斗に移した。この媒体を100mlのTHFで希釈し、40mlHCl(5%v/v)で酸性化し、有機相を40mlH2Oで5回洗浄した。最後の有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、その後、ロータリーエバポレーターで濃縮した(40℃、30mbar)。収率79%で黄色の固体のクルードを、プロトンNMRによるモル純度86%で得られた。これを精製することなしに、以下のステップに使用した。
【0074】
b)(E)-4-(3-クロロ-3-オキソプロパ-1-エニル)-2-メトキシフェニルアセタート(O-アセチルフェルラ酸クロライド)
室温中で、30 mlクロロホルム中のO-アセチルフェルラ酸(6,24g、26 mmol)懸濁液に、DMF(200μl、26 mmol)、その後、チオニルクロライド(2.35ml、32 mmol、1.2当量)を加えた。媒体は、4時間還流しながら加熱し、室温に戻し、その後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。定量的収率で黄色の固体が得られた。これを精製することなしに、以下のステップに使用した。
【0075】
c)(E)-4-[(E)-3,5-ジアセトキシスチリル]フェニル 3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート(3,5- レスベラトロルジアセタート-4'-アセチルフェルラート)
10mlの無水THF中に、レスベラトロルジアセタート(1.92g、5mmol)を溶解した。トリエチルアミン(2.15ml、15mmol、3当量)を迅速に添加し、その後、DMAP(121mg、1mmol、0.2当量)を添加した。室温で、10ml無水THF+3 mlジクロロメタン中に溶解したO-アセチルフェルラ酸クロライド(1.27g、5mmol、1当量)を添加した。室温で4時間攪拌した後、媒体を濾過器に移し、この媒体を50mlのジクロロメタンで希釈し、HCl(5%v/v)で酸性化した。有機相を、飽和NaHCO3水溶液20mlで洗浄し、30mlH2Oで4回洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、その後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。2.84gのクルード状の固体を定量的収率で得られた。クルード状の生成物は、ジクロロメタンに溶解させ、ペンタンで沈殿させた。最終生成物は、50%の収率で、モル純度76%で、出発物質レスベラトロルジアセタートの24%で得られた。
NMR1H データ(CDCl3, HMDS, 300 MHz)は以下の通りである: 2.22(s, 9H);3.79(s, 3H);6,50(d, 15.9Hz, 1H);7.09(d, 8.5Hz, 2H);7.43(d, 8.5Hz, 2H);7.75(d, 15.9Hz, 2H)。
【0076】
実施例3:
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-モノスクシニルトコフィリル = Res(Ac) 2-スクシニル-Vit E)の合成
0℃のテトラヒドロフラン(THF)中、トリエチルアミンおよびDMAP(ジメチルアミノピリジン)存在下、トコフェロールスクシネート クロライドによって、レスベラトロルジアセタートを3つのステップでエステル化を行い、混合エステル3,5-ジアセタート-4'-スクシニルトコフェロールを得た。
【0077】
a)4-オキソ-4-(2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6−イルオキシ)ブタン酸(ビタミンE スクシネート)の合成
50mlのジクロロメタン中に、ラセミα-トコフェロール(10.2g、23mmol)、および、コハク酸無水物(1.5当量)を溶解した。DMAP(0.5 eq)、および、トリエチルアミン(1,05eq)を加え、反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)(エチルアセタート/シクロヘキサン50/50 v/v)でフォローした。反応混合物を、室温で、一晩、攪拌し、光を遮断した。その混合物を40mLのジクロロメタンで希釈し、5%(v/v)HClで洗浄し、その後H2Oで洗浄し、有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。クルード状の生成物を定量的収率で得られた。クルード状の生成物をジエチルエーテルに溶解し、その溶液をシリカで濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾燥させた。4℃で凝固するオイル状のものが得られた。生成物は収率70%、モル純度94%(NMR13Cで測定)で得られた。
NMR13Cデータ(CDCl3, TMS, 75 MHz)は以下の通りである:11.7(CH3Ph);11.9(CH3Ph);12.8(CH3Ph);19.6(2CH3 chain);20.5(CH2 ring);21.0(CH2 chain);22.5(CH3 chain);22.6(CH3 chain);23.8(CH3 ring);24.4(CH2 chain);24.7(CH2 chain);27.9(CH chain);28.5(CH2C=O);28.9(CH2C=O);31.0(CH2 ring);32.7(CH chain);32.7(CH chain);37.5(4 CH2 chain);39.3(CH2 chain);39.9(CH2 chain);75.0;Q ring);117.3(Q arom);123.0(Q arom);124.8(Q arom);126.7(Q arom);140.4(Q arom);149.4(Q arom);170.7(COOPh);177.8(COOH)。
【0078】
b) 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル-4-クロロ-4-オキソブタノアート(ビタミン E スクシネート クロライド)の合成
トコフェロールスクシネートクロライドの合成は、以下の標準的なプロトコール(少過剰のSOCl2、トリエチルアミン、ジクロロメタン、アルゴン雰囲気下、室温)に従い、アルゴン雰囲気下、室温で行われた。酸塩化物は単離せず、以下のエステル化のステップに使用した。
【0079】
c)(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-スクシニルトコフェロール = Res(Ac)2-スクシネート-Vit E)の合成
3,5-レスベラトロルジアセタート(1.2)(2.21g)、トリエチルアミン(1.1当量)およびDMAP(0.2当量)を含んだTHF(10ml)溶液を、ステップbで得られたCH2Cl2中のトコフェロールスクシネートクロライドに直接注ぎこんだ。クルード状の固体を定量的収率で得られた。溶離液としてエチルアセタート/シクロヘキサン(30/70v/v)の混合物を利用したシリカカラムで精製した後、収率55%のレスベラトロルジアセタート-スクシネート-Vit Eを、NMRでモル純度98%で得られた。
NMR 1H データ(CDCl3/HMDS;300 MHz)は以下の通りである: 0.80(m, 12H);1.04-1.49(m, 24H);1.72(m, 2H);1.92(s, 3H);1.96(s, 3H);2.03(s, 3H);2.24(s, 6H);2.53(t, 6.6Hz, 2H);2.97(m, 4H);6.77(t, 2.2Hz, 1H);6.89(d, 16.2Hz, 1H);6.99(d, 16.2Hz, 1H);7.03(d, 8.5Hz, 2H);7.05(d, 2.2Hz, 2H);7.41(d, 8.5Hz, 2H)。
NMR 13C データ(CDCl3/TMS;75 MHz)は以下の通りである: 11.7(CH3Ph);12.0(CH3Ph);12.9(CH3Ph);19.6(2CH3 chain);20.5(CH2 ring);21.0(CH2 chain);21.0(2CH3C=O);22.6(CH3 chain);22.6(CH3 chain);23.9(CH3 ring);24.4(CH2 chain);24.7(CH2 chain);((2.8 CH2 シクロヘキサン));27.9(CH chain);28.7(CH2C=O);29.2(CH2C=O);31.0(CH2 ring);32.6(CH chain);32.7(CH chain);37.5(4CH2 chain);39.3(CH2 chain);39.9(CH2 chain);75.0(Q ring);114.3(CH arom);116.8(2CH arom);117.3(Q arom);121.8(2CH arom);123.0(Q arom);124.9(Q arom);126.6(Q arom);127.1(CH ethylenic);127.6(CH arom);129.6(CH ethylenic);134.5(Q arom);1395(Q arom);140.4(Q arom);149.4(Q arom);150.3(Q arom);151.2(Q arom);168.9(2COCH3);170.7(COOPh);170.7(COOPh)。
【0080】
実施例4:
7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート(ルテオリントリアセタートスクシニルトコフェロール = Lut(Ac)3-スクシネート-Vit E)の合成
0℃のテトラヒドロフラン(THF)中、トリエチルアミンおよびDMAP(ジメチルアミノピリジン)存在下、ビタミンEスクシネートクロライドによって、ルテオリントリアセタートを4つのステップでエステル化を行い、ルテオリンおよびビタミンE(ルテオリントリアセタートモノスクシニルトコフェロール)の混合エステルを得た。
【0081】
a)3',4',7-ルテオリントリアセタート(Lut(Ac)3)の合成
t−ブチルメチルエーテル(1l、60当量)トリエチルアミン中のルテオリン(40.8g、0.14mol)懸濁液に、トリエチルアミン(3.5当量、68ml)を迅速に添加し、その後、アルゴン雰囲気下、室温で、無水酢酸(3.1当量、41ml)をゆっくり添加した。媒体を2時間、50℃で加熱した。反応媒体を濾過した後、ジクロロメタン中得られた生成物を取りだし、5%(v/v)HCl溶液で2度洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させた。溶液を揮発させた後、収率80%でルテオリントリアセタートを得て、プロトンNMRによるモル純度85.5%であった。
NMR1H データ(CDCl3, HMDS, 300 MHz)は以下の通りである: 2.25(s, 6H);2.27(s, 3H);6.51(d, 2.2Hz, 1H);6.60(s, 1H);6.78(d, 2.2Hz, 1H);7.30(d, 8.2Hz, 1H);7.66(m, 1H);7.68(dd, 8.2 and 2.2Hz, 1H);12.53(s)。
13C NMRデータ(CDCl3, TMS, 75 MHz)は以下の通りである: 20.5(CH3CO);20.6(CH3CO);21.1(CH3CO);100.9(CH arom);105.5(CH arom), 106.4(CHCO);108.7(Q arom);121.8(CH arom);124.3(CH arom);124.6(CH arom);129.4(Q arom);142.6(Q arom);145.1(Q arom);156.0(Q arom);156.5(Q arom);161.8(Q arom);162.7(Q arom);167.6(COAc);167.8(COAc);168.2(COAc)。
【0082】
b)ルテオリントリアセタートスクシニルトコフェロール(Lut(Ac)3-スクシネート-Vit E)の合成
トリエチルアミン(0.75ml、1.1当量)および4-DMAP(120mg、0.2当量)を50mlジクロロメタンのルテオリントリアセタート(2.28g、5.5mmol)懸濁液に添加した。次に、上記で得られた1当量のα-トコフェロールスクシネートクロライドを、アルゴン雰囲気下、室温で、ゆっくり添加した。17時間反応させた後、ジクロロメタン中得られた懸濁を取り出し、5%(v/v)HCl溶液で2度洗浄した。それから、有機相をMgSO4上で乾燥させた。溶液を揮発させた後、3.4gの生成物を、収率52%で得られた。
1H NMRデータ(CDCl3, HMDS, 300 MHz)は以下の通りである: 0.80(m, 12H);1.04-1.5(m, 24H);1.72(m, 2H);1,90(s, 3H);1.95(s, 3H);2.01(s, 3H);2.28(s, 9H);2.52(t, 6.8Hz, 2H);2.96(m, 4H);6.54(s, 1H);6.78(m-car 混合物, 1H);7.28(m-car 混合物, 2H);7.66(m, 2H)。
【0083】
比較のための実施例5(比較例1):
3,5,4'-レスベラトロルトリカプリレート (Res(caproate)3)の合成
室温のテトラヒドロフラン(THF)中、トリエチルアミン存在下、ヘキサノイル クロライドによって、レスベラトロルのエステル化を行い、レスベラトロルトリカプリレート(トリヘキサノエート)を得た。
室温で攪拌しながら、トリエチルアミン(8ml、3.3当量)を、THF(100ml)のレスベラトロル(4g、17.5mmol)の溶液に液滴で加えた。反応媒体を0℃に冷却し、ヘキサノイル クロライド(8.2ml、3当量)を液滴で加えた。反応媒体を72時間、その温度で、攪拌した。それから、媒体は、30mlの飽和重炭酸(pH11)溶液で3回洗浄した。ジクロロメタンにより水相を抽出し、有機相を無水MgSO4上で乾燥させた。減圧下で濃縮した後、5.2gの黄色のオイル状物質を、NMR測定で体積辺りの純度82%で得られた。エチルアセタート/シクロヘキサン(20/80v/v)を溶離液とした、シリカカラムクロマトグラフィーによる精製の後、収率80%で生成物は得られた。
1H NMRデータは以下の通りである(DMSO, HMDS, 300 MHz): 0.85(m, 9H);1.28(m, 12H);1.59(m, 6H);2.52(m, 6H);6.82(t, 2,2Hz, 1H);7.07(d, 8.8Hz, 2H);7.16(d, 16.7Hz, 1H);7.21(d, 2.2Hz, 2H);7.28(d, 16.7Hz, 1H);7.57(d, 8.8Hz, 2H)。
【0084】
実施例6
3,5-レスベラトロルジアセタート-4'-カプリレート(化合物6)の合成
化合物6は、実施例1に示したように、リポ酸クロライドをヘキサノイル(カプロイル)クロライドで置換することで合成する。60mlの無水THF中に溶解しているレスベラトロルジアセタート(4g、12.8mmol)を添加した。トリエチルアミン(1.5当量)を液滴で加え、その後、アイスバス中(0℃)で、ヘキサノイルクロライド(2.72ml、1.5当量)を添加した。室温で17時間攪拌した後、媒体を分離用漏斗に移し、10mlの飽和重炭酸溶液で洗浄し、その後、20mlのエチルアセタートで、3回抽出した。有機相を、3回、20mlの水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させた。減圧濃縮の後、クルード状の生成物を、収率90%、体積辺りの純度80%で得られた。
1H NMRデータ(CDCl3, HMDS, 300 MHz)は以下の通りである: 0.87(m, 3H), 1.2-1.3(m, 4H);1.69(m, 2H);2.23(s, 6H);2.48(t, 7.7Hz, 2H);6.75(t, 1.9Hz, 1H);6.89(d, 15.9Hz, 1H);6.99(d, 15.9Hz, 1H);7.01(d, 8.5Hz, 2H);7.04(d, 1.9Hz, 2H);7.41(d, 8.5Hz, 2H)。
【0085】
比較のための実施例7(比較例2):
3,5,4'-レスベラトロルトリリポ酸(Res(リポ酸)3)の合成
レスベラトロルトリリポ酸は、生体内のその場(in situ)で、ジクロロメタン中、室温アルゴン雰囲気下で生成されたリポ酸クロライドを介して得られる。アシル化反応によって、カップリング生成物の混合物(フェノリックおよびレコシニック(recorcinic)モノリポ酸、ジリポ酸およびトリリポ酸)が得られる。トリリポ酸は、シリカのカラムクロマトグラフィーの後、得られた。生成物は、その不溶性のため解析できなかった。同じ理由で、生体加水分解もできなかった(表1参照)。
【0086】
実施例8
酵素抽出液の生成
試験管(in vitro)での生体加水分解試験に使用する酵素は、文献(Anal. Biochem., 290、(2001)、179-185;Skin Pharmacol. Appl. Skin Physiol.、12、(1999)、182-192)に記載の「テープストリッピング(tape stripping)」法によって得られた。角質層のサンプルは、外科的な絆創膏と共に得られた(Blendermタイプ、3M Health Care、セントポール(St.Paul)、ミネソタ(Minnesota)、アメリカ合衆国)。生体加水分解試験に使用した緩衝液は、50mM Tris(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)pH 7.3およびpH 8 ;50mM Na-アセタート pH5.5 ;50 mM MES 2-[N-モルホリノ]-エタンスルホン酸 pH 6、および、50 mM フォスフェイト pH 6.5である。
【0087】
実施例9
a.テープストリッピング(tape stripping)により得られた皮膚の酵素による生体加水分解
アセトニトリル中に、前駆体を1g/lの濃度で溶解させた。生体加水分解試験のために、50μlの基質および50μlのアセトニトリルを、pHが選択された緩衝液中の900μl酵素抽出液に添加した。反応混合物は、撹拌ぜずに、暗所中で35℃中に置いた。生体加水分解の進行は、HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)の逆相により決定した。生成物の化学的安定性を決定するために、皮膚の酵素抽出液のない同じ溶液についても、コントロールとして調べた。
【0088】
b.動物由来のコレステロールエステラーゼの生体加水分解
使用した酵素は、牛の膵臓のコレステロールエステラーゼ(E.C. class 3.1.1.13(SIGMA C-3766))である。前駆体は実施例9aで述べた通り生成した。結果は以下の表1の通りである。
【0089】
【表1】

【0090】
顆粒層中にエステラーゼは自然に存在する。Res(Ac)2-スクシネート-Vit Eの実施例によれば、角質層の酵素のアセタート基の反応により皮膚において活性物質が放出される能力があり、アルコール基の抗酸化能力が迅速に発揮され、そして、活性物質を分離する顆粒層の酵素反応を可能にする。
【0091】
実施例10
水処方物中の油
本発明のRes(Ac)2-リポ酸(本発明の実施例1の化合物)を1%含んだ水処方物中の油タイプの処方物は以下の組成物を含む(%は重量%である):
【0092】
【表2】

ここで得られた処方物は、45℃以上56日後においても良好な安定性を示した。
【0093】
実施例11:
処方物の実施例
以下の処方物を純粋に以下の方法で得られた。%は組成物の総量に対する重量%である。
【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
【表6】

【0098】
【表7】

【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
【表10】

【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
【表13】

【0105】
【表14】

【0106】
【表15】

【0107】
【表16】

【0108】
本発明は、添付した特許請求の範囲によって定義されるものであり、上記の特定の実施例に限定されるものではなく、また、その発明の範囲と意図を超えない範囲でその変形は認めるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造を有する生体前駆体の使用であって、
[A]n−PP−[B]m
式中、
−PPは、各々の水酸基が基Aまたは基Bによって保護されているポリフェノール基であり;
−Aは、炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜4個有し、ポリフェノールと以下の(a)または(b)の方法によって結合している置換または非置換の飽和または不飽和アルキル鎖であり:
(a)−前記のアルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(b)−スペーサーA’を介して結合する、ここで、Aはカルボン酸エステル基によりスペーサーA’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−nは整数で1または2以上であり、特に1、2、3、4、または5であり;
−Bは、ポリフェノールと以下の(c)または(d)の方法によって結合している生体活性分子の前駆体であり:
(c)−前記アルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(d)−スペーサーB’を介して結合する、ここで、Bはカルボン酸エステル基によりスペーサーB’に結合し、そしてB’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−mは整数で1または2以上であり、特に1または2である
治療用、皮膚科用または化粧用組成物の製造のための生体前駆体の局所用処方物中での使用。
【請求項2】
ポリフェノールが少なくとも2つのフェノール核を有するタイプであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【化1】

(式中、
aは、1、2、3、4、または5;
bは、1、2、3、4、または5;
Xは、N、S、O、CH、CH2、CO、NH;

は、存在可能な分子鎖であり、Xを含んで5員環または6員環を形成し、一重または二重結合を形成し、可能ならば、一つか二つ以上OHで置換され、および/または、N、S、Oから選択されるヘテロ原子であり、ヘテロ原子が環中に位置しているか、および/または、ヘテロ原子により置換されている。)
【請求項4】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【化2】

(式中、
aは、1、2、3、4、または5であり、bは、1、2、3、4、または5である。)
【請求項5】
aが2であり、bが1であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【化3】

(式中、
Yは、HまたはOH、aは、1、2、3、または4であり、bは、1、2、3、4、または5である。)
【請求項7】
aが2であり、bが2である請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ポリフェノールがレスベラトロル、ルテオリン、ケルセチン、ハイドロキノン、ピロカテコール、没食子酸、ヒドロキシチロソール、テトラヒドロクルクミン、シリマリン、エラグ酸から選択されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項9】
生体活性分子が美容上の活性分子、製薬上の活性分子、皮膚科学的な活性分子から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
生体活性分子は、収斂性の分子、保湿分子、抗酸化分子、抗フリーラジカル、抗脂質過酸化および/またはしわ防止分子、再生または生体刺激分子、痩身分子、微少循環刺激および/または血管系保護のための分子、タンニング活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、糖化阻害剤、免疫促進分子、光防護剤、抗紫外線分子、抗炎症剤および/または抗刺激剤、芳香分子、冷却分子、加温分子から選択されることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項11】
生体活性分子は、抗酸化分子、抗フリーラジカル、タンニング活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、光防護剤、抗紫外線分子から選択されることを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
生体活性分子は、ポリフェノール、リポ酸、ビタミンA、B、D、E、F、不飽和またはポリ不飽和有機酸、レチノイン酸、ヒドロキシ酸、ポリオールから選択されることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項13】
生体前駆体の基Aがエタン酸、プロパン酸、直鎖または枝分かれブタン酸、カプロン酸、および、ラウリン酸から選択される直鎖、枝分かれまたは環状カルボン酸由来であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
生体前駆体のスペーサーA’およびB'は、それぞれ独立に2つの酸基または1つの酸基、および、1つの水酸基を有し、2〜13個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖であるのが好ましいことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
生体前駆体のスペーサーA’およびB'は、それぞれ独立に、コハク酸、アジピン酸、ブラシル酸、乳酸、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェルラ酸、酒石酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、または、4-ヒドロキシブタン酸基である請求項14に記載の使用。
【請求項16】
生体前駆体が、
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート;
-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エニル)ノナ-2,4,6,8-テトラエニル スクシネート;
-(2E,4E,6E,8E,10E,12E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニルドコサ-2,4,6,8,10,12-ヘキサノエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3,4-ジアセトキシベンゾエート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 2-アセトキシベンゾエート;
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル 5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート;
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2-イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル 5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
および
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2-イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項17】
生体前駆体が、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート、
および、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート.
から選択されることを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項18】
下記の構造を有する生体前駆体であって、
[A]n−PP−[B]m
式中、
−PPは、各々の水酸基が基Aまたは基Bによって保護されているポリフェノール基であり;
−Aは、炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜4個有し、ポリフェノールと以下の(a)または(b)の方法によって結合している置換または非置換の飽和または不飽和アルキル鎖であり:
(a)−前記のアルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(b)−スペーサーA’を介して結合する、ここで、Aはカルボン酸エステル基によりスペーサーA’に結合し、そしてA’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−nは整数で1または2以上であり、特に1、2、3、4、または5であり;
−Bは、ポリフェノールと以下の(c)または(d)の方法によって結合している生体活性分子の前駆体であり:
(c)−前記アルキル基は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基により結合する;
または
(d)−スペーサーB’を介して結合する、ここで、Bはカルボン酸エステル基によりスペーサーB’に結合し、そしてB’は、前記ポリフェノールの水酸基に対してカルボン酸エステル基によりポリフェノールと結合する;
−mは整数で1または2以上であり、特に1または2である生体前駆体。
【請求項19】
ポリフェノールが少なくとも2つのフェノール核を有するタイプであることを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【請求項20】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【化4】

(式中、
aは、1、2、3、4、または5;
bは、1、2、3、4、または5;
Xは、N、S、O、CH、CH2、CO、NH;

は、存在可能な分子鎖であり、Xを含んで5員環または6員環を形成し、一重または二重結合を形成し、可能ならば、一つか二つ以上OHで置換され、および/または、N、S、Oから選択されるヘテロ原子であり、ヘテロ原子が環中に位置しているか、および/または、ヘテロ原子により置換されている。)
【請求項21】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【化5】

(式中、
aは、1、2、3、4、または5であり、bは、1、2、3、4、または5である。)
【請求項22】
aが2であり、bが1であることを特徴とする請求項21に記載の生体前駆体。
【請求項23】
ポリフェノールが下記の構造式に従うことを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【化6】

(式中、
Yは、HまたはOH、aは、1、2、3、または4であり、bは、1、2、3、4、または5である。)
【請求項24】
aが2であり、bが2である請求項23に記載の生体前駆体。
【請求項25】
ポリフェノールがレスベラトロル、ルテオリン、ケルセチン、ハイドロキノン、ピロカテコール、没食子酸、ヒドロキシチロソール、テトラヒドロクルクミン、シリマリン、エラグ酸から選択されることを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【請求項26】
生体活性分子が美容上の活性分子、製薬上の活性分子、皮膚科学的な活性分子から選択されることを特徴とする請求項18〜25のいずれか一項に記載の生体前駆体。
【請求項27】
生体活性分子は、収斂性の分子、保湿分子、抗酸化分子、抗フリーラジカル、抗脂質過酸化および/またはしわ防止分子、再生または生体刺激分子、痩身分子、微少循環刺激および/または血管系保護のための分子、タンニング活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、糖化阻害剤、免疫促進分子、光防護剤、抗紫外線分子、抗炎症剤および/または抗刺激剤、芳香分子、冷却分子、加温分子から選択されること特徴とする請求項26に記載の生体前駆体。
【請求項28】
生体活性分子は、抗酸化分子、抗フリーラジカル、タンニング活性化剤、美白および/または染み防止分子、自己タンニング剤、光防護剤、抗紫外線分子から選択されること特徴とする請求項27に記載の生体前駆体。
【請求項29】
生体活性分子は、ポリフェノール、リポ酸、ビタミンA、B、D、E、F、不飽和またはポリ不飽和有機酸、レチノイン酸、ヒドロキシ酸、ポリオールから選択されること特徴とする請求項27に記載の生体前駆体。
【請求項30】
生体前駆体の基Aがエタン酸、プロパン酸、直鎖または枝分かれブタン酸、カプロン酸、および、ラウリン酸から選択される直鎖、枝分かれまたは環状カルボン酸由来であるのが好ましいことを特徴とする請求項18〜29のいずれか一項に記載の生体前駆体。
【請求項31】
生体前駆体のスペーサーA’およびB'は、それぞれ独立に2つの酸基または1つの酸基、および、1つの水酸基を有し、2〜13個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖であるのが好ましいことを特徴とする請求項18〜29のいずれか一項に記載の生体前駆体。
【請求項32】
生体前駆体のスペーサーA’およびB'は、それぞれ独立にコハク酸、アジピン酸、ブラシル酸、乳酸、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェルラ酸、酒石酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、または、4-ヒドロキシブタン酸基である請求項31に記載の生体前駆体。
【請求項33】
生体前駆体が、
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート;
-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エニル)ノナ-2,4,6,8-テトラエニル スクシネート;
-(2E,4E,6E,8E,10E,12E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル ドコサ-2,4,6,8,10,12-ヘキサノエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3,4-ジアセトキシベンゾエート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-((E)-3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 3-(4-メトキシフェニル)アクリレート;
-(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル 2-アセトキシベンゾエート;
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル 5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
-7-アセトキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-5-イル 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート;
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2-イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル 5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート;
および
-2-メトキシ-4-(7-(3-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-2-イルオキシ)フェニル)-3,5-ジオキソヘプチル)フェニル 2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イル スクシネート
から選択されることを特徴とする請求項18に記載の生体前駆体。
【請求項34】
生体前駆体が、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-5-(1,2-ジチオラン-3-イル) ペンタノエート、
および、
(E)-4-(3,5-ジアセトキシスチリル)フェニル-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-6-イルスクシネート
から選択されることを特徴とする請求項33に記載の生体前駆体。
【請求項35】
皮膚科学的または美容上の活性分子の前駆体Bを含有する請求項18〜34のいずれか一項の生体前駆体を少なくとも一種含む皮膚科用または化粧用に適用可能な局所用処方物中の組成物。
【請求項36】
治療用の活性分子の前駆体Bを含有する請求項18〜34のいずれか一項の生体前駆体を少なくとも一種含む治療に適用可能な局所用処方物中の組成物。
【請求項37】
請求項36に記載の化粧品組成物の皮膚への適用を含む化粧方法。
【請求項38】
少なくとも以下のステップを含む請求項18〜34のいずれか一項に記載の生体前駆体の製造方法:
a)ポリフェノールとAの間にエステル結合を生じさせるために、ポリフェノールのOH基に反応することができる基Zを有するA-Z化合物をパーエステル化によりポリフェノールの保護するステップ
b)ポリフェノール中に遊離のOH基を一つまたは二つ以上得られるように選択的に脱保護するステップ
c)ステップb)で得られた中間体を、すでに活性化されている生体活性分子Bとカップリングさせるステップ。

【公表番号】特表2008−546675(P2008−546675A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516380(P2008−516380)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001375
【国際公開番号】WO2006/134282
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【出願人】(506273087)シャネル パルファン ボーテ (20)
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F−92200 Neuilly sur Seine,France
【Fターム(参考)】