説明

マイクロ化学チップ

【課題】
生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】
セラミックグリーンシート32の表面に、予め定める形状の型を押圧して溝部36を形成した後、溝部36を覆うように別のセラミックグリーンシート31を積層し、積層したセラミックグリーンシート31,32を所定の温度で焼結させることによって、被処理流体を流通させる流路が形成されたセラミック材料から成る基体を形成し、マイクロ化学チップを得る。このマイクロ化学チップは、生産性が高く、また製造原価も低いので、安価である。また、耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な流路を流通する基質や試薬などの被処理流体に対して、反応や分析などの予め定める処理を施すことのできるマイクロ化学チップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学技術やバイオ技術の分野では、試料に対する反応や試料の分析などを微小な領域で行うための研究が行われており、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro Electro Mechanical Systems;略称:MEMS)技術を用いて化学反応や生化学反応、試料の分析などのシステムを小型化したマイクロ化学システムが研究開発されている。
【0003】
マイクロ化学システムにおける反応や分析は、マイクロ流路、マイクロポンプおよびマイクロリアクタなどが形成されたマイクロ化学チップと呼ばれる1つのチップを用いて行われる。たとえば、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る1つの基体に、試料や試薬などの流体を供給するための供給口と、処理後の流体を導出するための採取口とを形成し、この供給口と採取口とを断面積が微小なマイクロ流路で接続し、マイクロ流路の適当な位置に送液のためのマイクロポンプを配置したマイクロ化学チップが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。また、送液の手段として、マイクロポンプに代えて、電気浸透現象を利用したキャピラリ泳動型のものも提案されている(特許文献3参照)。これらのマイクロ化学チップでは、マイクロ流路は所定の位置で合流または分岐しており、合流部で流体の混合が行われ、または分岐部で流体の分離が行われる。
【0004】
マイクロ化学システムでは、従来のシステムに比べ、機器や手法が微細化されているので、試料の単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減することができる。また流量の精密な制御が可能であるので、反応や分析を効率的に行うことができる。
【0005】
さらに反応や分析に必要な試料や試薬の量を少なくすることができる。
【0006】
このような利点を有することから、マイクロ化学システムの医療分野への応用が期待されている。たとえば、血液検査にマイクロ化学チップを用いることによって、検体である血液の量を少なくすることができるので、患者への負担を軽減することができる。また検査に必要な試薬の量を少なくすることができるので、検査の費用を下げることができる。
【0007】
さらに医療分野では、マイクロ化学チップに半導体技術を組合せることが検討されている。たとえば、自宅や外出先の患者の血液を検査し、その検査結果を医療機関に送信するためのデバイスとして、シリコンから成る1つの基体に、マイクロ流路、マイクロポンプおよびマイクロリアクタに加えて、血液を採取するための針、血液をろ過するためのろ過器および血液を分析するためのマイクロ分光器、マイクロプラズマ電源、集積回路、検出回路が搭載された「ヘルスケアデバイス」の概念が示されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−214241号公報(第4−5頁,第1図)
【特許文献2】特開2002−233792号公報(第5−6頁,第1図,第3図)
【特許文献3】特開2001−108619号公報(第5頁,第1図,第2図)
【非特許文献1】「日経マイクロデバイス(NIKKEI MICRODEVICES) 2000年7月号」,日経BP社,2000年7月,p.88−97
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のマイクロ化学チップの基体は、シリコン、ガラスまたは樹脂から成るので、流路を形成する際には、MEMS技術を用いたエッチング加工が必要である。
【0009】
たとえば、特許文献2に記載の技術では、シリコン基板に対するエッチングを何度も行うことによって流路内に突起部を有するマイクロチップを製造している。したがって、生産性が悪く、また製造原価も高いので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体を用いたマイクロ化学チップは高価である。また、エッチング加工では、流路の側壁の表面形状までは制御できないので、側壁が所望の表面形状を有する流路を形成することは困難である。
【0010】
また、樹脂から成る基体を用いたマイクロ化学チップは、耐薬品性の問題から、使用条件が制限される。
【0011】
本発明の目的は、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、被処理流体を流通させる流路が形成された基体を有し、前記流路を流通する被処理流体に予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、前記基体は、セラミック材料から成るとともに、前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部と、前記処理を施す処理部とを有し、前記処理部には、所定の物質が仮固定され、前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させて、流入された該被処理流体を前記物質と反応させた後に、前記採取部から反応後の流体を外部に導出することを特徴とするマイクロ化学チップである。
【0013】
本発明に従えば、検体や基質などの被処理流体は、セラミック材料から成る基体に形成された流路を流通し、流路を流通している被処理流体に、分析や反応などの予め定める処理が施される。基体はセラミック材料から成るので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要なエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけで流路を有する基体を形成することができる。したがって、本発明のマイクロ化学チップは、生産性が高く、また製造原価が低いので、安価である。またセラミック材料は、樹脂などに比べ、耐薬品性に優れるので、本発明のマイクロ化学チップは、種々の条件で使用することができる。
【0014】
すなわち、基体がセラミック材料から成ることによって、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0015】
また本発明は、前記基体は、前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部とを有し、
前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させ、流入された被処理流体に予め定める処理を施した後に、前記採取部から処理後の流体を外部に導出することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、被処理流体を供給部から流路に流入させると、流入された被処理流体に予め定める処理が施された後に、処理後の流体が採取部から外部に導出される。したがって、たとえば、供給部から流路に基質を含む流体を流入させ、流路内の所定の位置で基質を反応させた後、採取部から反応生成物を取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0017】
また本発明は、一表面に溝部が形成されたセラミック材料から成る基体本体と、該基体本体の前記一表面を被覆部で覆うことにより、被処理流体を流通させる流路を形成する被覆部とを有し、前記流路を流通する被処理流体に予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部と、前記処理を施す処理部とを有し、前記処理部には、所定の物質が仮固定され、前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させて、流入された該被処理流体を前記物質と反応させた後に、前記採取部から反応後の流体を外部に導出することを特徴とするマイクロ化学チップである。
【0018】
本発明に従えば、基体はセラミック材料から成る基体本体と被覆部とを含み、検体や基質などの被処理流体は、一表面に溝部が形成された基体本体の前記一表面を被覆部で覆うことによって形成される流路を流通し、流路を流通している被処理流体に、分析や反応などの予め定める処理が施される。基体本体はセラミック材料から成るので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体本体に流路を形成する際に必要なエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけで流路を有する基体本体を形成することができる。したがって、本発明のマイクロ化学チップは、生産性が高く、また製造原価が低いので、安価である。またセラミック材料は、樹脂などに比べ、耐薬品性に優れるので、本発明のマイクロ化学チップは、種々の条件で使用することができる。すなわち、基体本体がセラミック材料から成ることによって、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0019】
また本発明は、前記基体は、前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部とを有し、前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させ、流入された被処理流体に予め定める処理を施した後に、前記採取部から処理後の流体を外部に導出することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、被処理流体を供給部から流路に流入させると、流入された被処理流体に予め定める処理が施された後に、処理後の流体が採取部から外部に導出される。したがって、たとえば、供給部から流路に基質を含む流体を流入させ、流路内の所定の位置で基質を反応させた後、採取部から反応生成物を取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0021】
また本発明のマイクロ化学チップは、例えば、以下の製造方法、すなわち、セラミックグリーンシートの表面に、予め定める形状の型を押圧して溝部を形成し、溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、前記溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、積層したセラミックグリーンシートを、所定の温度で焼結させることによって前記基体を形成することを特徴とするマイクロ化学チップの製造方法により製造することができる。
【0022】
上述の方法に従えば、セラミックグリーンシートの表面に、型を押圧して溝部を形成した後、溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、積層したセラミックグリーンシートを焼結させることによって、流路を有する基体が形成される。したがって、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップを製造することができる。また上述のマイクロ化学チップの製造方法では、流路となる溝部には、押圧された型の形状が転写されるので、型の表面形状を調整することによって、底面および側壁が所望の表面形状を有する流路を容易に形成することができる。
【0023】
また上述の方法において、前記基体を、3枚以上のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼成して硬化させることによって形成するにあたっては、
2枚以上のセラミックグリーンシートの表面に、予め定める形状の型をそれぞれ押圧して溝部を形成するとともに、異なるセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を必要に応じて形成し、
溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、前記溝部を覆うように、別のセラミックグリーンシートを積層し、
積層されたセラミックグリーンシートを、所定温度で焼結させることによって前記基体を形成することを特徴とする。
【0024】
上述の方法に従えば、3枚以上のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼結させることによって基体を形成する場合には、2枚以上のセラミックグリーンシートの表面に型をそれぞれ押圧して溝部を形成するとともに、異なるセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を必要に応じて形成し、溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを焼結させることによって、立体的な流路を有する基体を形成する。
【0025】
たとえば、マイクロ化学チップの基体を、3枚のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼結させることによって形成する場合には、以下のようにして基体を形成する。
【0026】
まず、2枚のセラミックグリーンシートの表面に、それぞれ予め定める形状の型を押圧し、溝部を形成するとともに、溝部の形成された2枚のセラミックグリーンシートのうちの1枚に、2枚のセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を形成する。次に、溝部のみが形成されたセラミックグリーンシートの表面に、このセラミックグリーンシートの溝部を覆うように、溝部および貫通孔の形成されたセラミックグリーンシートを積層する。さらに、溝部および貫通孔の形成されたセラミックグリーンシートの表面に、このセラミックグリーンシートの溝部を覆うように、別のセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを、所定温度で焼結させることによって基体を形成する。このようにして基体を形成することによって、流路が立体的に形成されたマイクロ化学チップを製造することができる。
【0027】
また本発明のマイクロ化学チップは、例えば、以下の製造方法、すなわち、
セラミックグリーンシートの表面に、予め定める形状の型を押圧して溝部を形成し、
溝部が形成されたセラミックグリーンシートを、所定の温度で焼結させることによって基体本体を形成し、
該基体本体の表面の前記溝部を被覆部で覆うことによって前記基体を形成することを特徴とするマイクロ化学チップの製造方法により製造することができる。
【0028】
上述の製造方法に従えば、セラミックグリーンシートの表面に型を押圧して溝部を形成し、溝部が形成されたセラミックグリーンシートを所定の温度で焼結させることによって基体本体を形成し、該基体本体の表面の前記溝部を被覆部で覆うことによって、流路を有する基体が形成される。
【0029】
したがって、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップを製造することができる。
【0030】
また上述のマイクロ化学チップの製造方法では、流路となる溝部には、押圧された型の形状が転写されるので、型の表面形状を調整することによって、底面および側壁が所望の表面形状を有する流路を容易に形成することができる。
【0031】
また上述の製造方法において、前記基体本体を、複数枚のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼結させることによって形成するにあたっては、
2枚以上のセラミックグリーンシートの表面に、予め定める形状の型をそれぞれ押圧して溝部を形成するとともに、異なるセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を必要に応じて形成し、
溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、前記溝部を覆うように、別のセラミックグリーンシートを積層し、
積層されたセラミックグリーンシートを、所定温度で焼結させることによって前記基体本体を形成することができる。
【0032】
上述の方法に従えば、複数枚のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼成して硬化させることによって基体本体を形成する場合には、2枚以上のセラミックグリーンシートの表面に型をそれぞれ押圧して溝部を形成するとともに、異なるセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を必要に応じて形成し、溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを焼結させることによって基体本体を形成する。
【0033】
そして、基体本体上で露出している溝部を被覆部で覆うことによって、立体的な流路を有する基体を形成することができる。
【0034】
たとえば、2枚のセラミックグリーンシートが積層されたものを焼結させることによって基体本体を形成する場合には、以下のようにして基体を形成する。
【0035】
まず、2枚のセラミックグリーンシートの表面に、それぞれ予め定める形状の型を押圧し、溝部を形成するとともに、溝部の形成された2枚のセラミックグリーンシートのうちの1枚に、2枚のセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を形成する。
【0036】
次に、溝部のみが形成されたセラミックグリーンシートの表面に、このセラミックグリーンシートの溝部を覆うように、溝部および貫通孔の形成されたセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを、所定温度で焼結させることによって基体本体を形成する。
【0037】
このようにして形成された基体本体上で露出している溝部を被覆部で覆うことによって、流路が立体的に形成されたマイクロ化学チップを製造することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように本発明によれば、基体がセラミック材料から成るので、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0039】
また本発明によれば、基体を構成する基体本体がセラミック材料から成るので、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0040】
また本発明によれば、供給部から流路に流入された被処理流体に予め定める処理を施した後に採取部から外部に導出するので、たとえば供給部から流路に基質を含む流体を流入させ、流路内の所定の位置で基質を反応させた後、採取部から反応生成物を取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1(a)は、本発明の実施の形態によるマイクロ化学チップ1の基本的な構成を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すマイクロ化学チップ1の切断面線I−Iにおける断面構成を示す断面図である。
【0042】
マイクロ化学チップ1は、被処理流体を流通させる流路12が形成されたセラミック材料から成る基体11を有し、流路12を流通する被処理流体に予め定める処理を施す。
【0043】
基体11には、さらに流路12に被処理流体を流入させる供給部13と、処理部14と、処理後の流体を外部に導出する採取部15とが設けられる。
【0044】
供給部13は、外部から流路12に被処理流体を注入することができるように開口で実現されている。
【0045】
また採取部15は、流路12から被処理流体を外部に取り出すことができるように開口で実現されている。
【0046】
マイクロ化学チップ1では、供給部13から流路12に被処理流体を流入させ、流入された被処理流体に処理部14において予め定める処理を施した後、採取部15から処理後の流体を外部に導出する。
【0047】
たとえば、処理部14に試薬を仮固定しておき、供給部13から基質を含む流体を流入させると、処理部14において基質と試薬とを反応させることができるので、採取部15から反応生成物を取り出すことができる。
【0048】
さらに、処理部14の流路12の下方にヒータなどの加熱手段を設け、処理部14の流路12を加熱すれば、基質と試薬とをより確実に反応させることができる。
【0049】
前述のように、基体11はセラミック材料から成るので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要なエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけで流路12を有する基体11を形成することができる。
【0050】
したがって、マイクロ化学チップ1は、生産性が高く、また製造原価が低いので、安価である。
【0051】
またセラミック材料は、樹脂などに比べ、耐薬品性に優れるので、マイクロ化学チップ1は、種々の条件で使用することができる。
【0052】
すなわち、基体11がセラミック材料から成ることによって、生産性が高く、安価で、かつ耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップ1を得ることができる。
【0053】
基体11を構成するセラミック材料としては、たとえば酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体などを用いることができる。
【0054】
なお、マイクロ化学チップ1では、供給部13から被処理流体を注入する際に、マイクロシリンジなどで被処理流体を押込むことによって、被処理流体を供給部13から採取部15まで送液することができる。
【0055】
また注入する際に、外部に設けられるポンプなどで被処理流体に圧力を加えながら注入することによって送液することもできる。
【0056】
また供給部13から被処理流体を注入した後に、採取部15からマイクロシリンジなどで吸引することによって送液することもできる。
【0057】
次に、本発明の実施の形態によるマイクロ化学チップの構成を具体的に説明する。
【0058】
図2(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ2の構成を簡略化して示す平面図である。
【0059】
図2(b)は、図2(a)に示すマイクロ化学チップ2の切断面線II−II、III−IIIおよびIV−IVにおける断面構成を示す断面図である。
【0060】
なお、図2(b)では、切断面線II−II、III−IIIおよびIV−IVにおける断面構成を並べて示す。
【0061】
マイクロ化学チップ2は、セラミック材料から成る基体21を有し、基体21には、流路22と、2つの供給部23a,23bと、処理部24と、採取部25とが設けられる。
【0062】
供給部23aは、供給流路27aと、供給流路27aの端部に設けられる供給口26aと、供給流路27aの上方に設けられるマイクロポンプ28aとを含む。
【0063】
同様に、供給部23bは、供給流路27bと、供給流路27bの端部に設けられる供給口26bと、供給流路27bの上方に設けられるマイクロポンプ28bとを含む。
【0064】
供給口26a,26bは、外部から供給流路27a,27bに被処理流体を注入することができるように開口されている。
【0065】
また採取部25は、流路22から被処理流体を外部に取り出すことができるように開口で実現されている。
【0066】
基体21の内部であって、処理部24の流路22の下方には、ヒータ29が設けられる。
【0067】
処理部24の流路22は、ヒータ29の上方を複数回数通過するように折り返して形成される。
【0068】
基体21の表面には、ヒータ29と外部電源とを接続するための図示しない配線がヒータ29から導出されている。
【0069】
この配線は、ヒータ29よりも抵抗値の低い金属材料で形成される。
【0070】
マイクロ化学チップ2では、2つの供給部23a,23bから流路22に被処理流体をそれぞれ流入させて合流させ、必要に応じて処理部24においてヒータ29を用いて流路22を所定の温度で加熱し、流入された2種類の被処理流体を反応させ、得られた反応生成物を採取部25から導出させる。
【0071】
たとえば、供給部23aから原料となる化合物を含む流体を流入させ、供給部23bから試薬を含む流体を流入させ、処理部24の流路22をヒータ29で加熱すれば、化合物の合成を行うことができ、得られた化合物を採取部25から取り出すことができる。
【0072】
また、本実施形態とは異なるが、採取部25または採取部25よりも被処理流体の流通方向上流側に検出部を設ければ、化学反応や抗原抗体反応、酵素反応などの生化学反応の反応物を検出することができる。
【0073】
なお、使用後のマイクロ化学チップ2は、供給部23a,23bから洗浄液を流入させて洗浄すれば、再度使用することができる。
【0074】
流路22および供給流路27a,27bの断面積は、供給部23a,23bから流入される検体、試薬または洗浄液などを効率よく送液し混合するために、2.5×10−3mm2以上1mm2以下であることが好ましい。
【0075】
流路22および供給流路27a,27bの断面積が1mm2を超えると、送液される検体、試薬または洗浄液の量が多くなり過ぎるので、単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減させるというマイクロ化学チップの効果を充分に得ることができない。
【0076】
また流路22および供給流路27a,27bの断面積が2.5×10−3mm2未満であると、マイクロポンプ28a,28bによる圧力の損失が大きくなり、送液に問題が生じる。
【0077】
したがって、流路22および供給流路27a,27bの断面積を2.5×10−3mm2以上1mm2以下とした。
【0078】
また、流路22および供給流路27a,27bの幅wは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。
【0079】
また流路22および供給流路27a,27bの深さdは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmであって、上記断面積の範囲となるようにすればよい。
【0080】
そして、幅と深さの関係は、短辺長/長辺長≧0.4が好ましく、より好ましくは短辺長/長辺長≧0.6である。
【0081】
短辺長/長辺長<0.4では、圧力損失が大きくなり、送液に問題が生じる。
【0082】
マイクロ化学チップ1の外形寸法は、たとえば、幅Aが約40mmであり、奥行きBが約70mmであり、高さCが1〜2mmであるが、これにかかわらず、必要に応じて適切な外形寸法とすればよい。
【0083】
上述の構成において、前記基体は、前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させる複数の供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部とを有し、前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させて予め定める処理を施した後に、前記採取部から処理後の流体を外部に導出することを特徴とする。
【0084】
上述の構成に従えば、複数の被処理流体を複数の供給部から流路にそれぞれ流入させると、流入された複数の被処理流体を合流させてから予め定める処理が施された後に、処理後の流体が採取部から外部に導出される。したがって、たとえば2つの供給部を有し、一方の供給部から原料となる化合物を含む流体を流入させ、他方の供給部から試薬を含む流体を流入させ、化合物を含む流体と試薬を含む流体とを合流させて反応させた後、得られた化合物を採取部から取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0085】
次に、図2に示すマイクロ化学チップ2の製造方法を説明する。
【0086】
図3は、セラミックグリーンシート31,32,33の加工状態を示す平面図である。
【0087】
図4は、セラミックグリーンシート31,32,33を積層した状態を示す断面図である。
【0088】
まず、原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を混合し、必要に応じて可塑剤または分散剤などを添加して泥漿にし、これをドクターブレード法またはカレンダーロール法などによってシート状に成形することによって、セラミックグリーンシート(別称:セラミック生シート)を形成する。
【0089】
原料粉末としては、たとえば、基体21が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムなどを用いる。
【0090】
本実施形態では、このようにして形成されるセラミックグリーンシートを3枚用いる。
【0091】
まず、図3(a)に示すように、1枚目のセラミックグリーンシート31の供給口26a,26bおよび採取部25となるべく予め定められる位置に、図3(b)に示す2枚目のセラミックグリーンシート32に形成される溝部36に連通する貫通孔34a,34b,35を形成する。
【0092】
次に、図3(b)に示すように、2枚目のセラミックグリーンシート32の表面に型を押圧し、溝部36を形成する。
【0093】
このとき、型には、所望の溝部36の形状が転写された形状の型を用いる。
【0094】
また型を押圧する際の押圧力は、セラミックグリーンシートに成形される前の泥漿の粘度に応じて調整される。
【0095】
たとえば、泥漿の粘度が1〜4Pa・sである場合には、2.5〜7MPaの押圧力で押圧する。
【0096】
なお、型の材質は特に制限されるものではなく、金型であっても木型であってもよい。
【0097】
次に、図3(c)に示すように、3枚目のセラミックグリーンシート33の表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法などによって所定の形状に塗布することによって、ヒータ29および外部電源接続用の配線パターン37を形成する。
【0098】
導電性ペーストは、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、ニッケル、パラジウムまたは金などの金属材料粉末に、適当な有機バインダおよび溶剤を混合して得られる。
【0099】
なお、ヒータ29を形成する導電性ペーストには、焼成後に所定の抵抗値になるように、前述の金属材料粉末にセラミック粉末が5〜30重量%添加されたものが用いられる。
【0100】
図4に示すように、ヒータ29の形成されたセラミックグリーンシート33の表面に、溝部36の形成されたセラミックグリーンシート32を積層し、さらにセラミックグリーンシート32の表面に、溝部36を覆うように貫通孔34a,34b,35の形成されたセラミックグリーンシート31を積層する。
【0101】
積層されたセラミックグリーンシート31,32,33を温度約1600℃で焼成して焼結一体化させる。
【0102】
次いで、貫通孔34a,34b,35が形成された表面側の予め定められる位置に、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;組成式:Pb(Zr,Ti)O3)などの圧電材料を貼り付け、マイクロポンプ28a,28bを形成する。圧電材料は、印加された電圧に応じて伸縮することによって流路22の上方の基体21を振動させることができるので、送液を行うマイクロポンプ28a,28bとして機能する。
【0103】
以上のようにして、図2に示す基体21を形成し、マイクロ化学チップ2を得る。
【0104】
このように、本実施形態のマイクロ化学チップ2の製造方法では、セラミックグリーンシート32の表面に、溝部36を形成した後、溝部36を覆うようにセラミックグリーンシート31を積層し、積層したセラミックグリーンシート31,32,33を焼成して焼結一体化させることによって、流路22を有する基体21を形成する。すなわち、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップ2を製造することができる。したがって、マイクロ化学チップ2は、生産性が高く、また製造原価も低いので、安価である。また本実施形態のマイクロ化学チップ2の製造方法では、流路22となる溝部36には、押圧された型の形状が転写されるので、型の表面形状を調整することによって、底面および側壁が所望の表面形状を有する流路22を容易に形成することができる。
【0105】
以上に述べたように、本実施形態のマイクロ化学チップ2は、2つの供給部23a,23bを有するけれども、これに限定されることなく、3つ以上の供給部を有してもよい。
【0106】
供給部が2つ以上設けられる場合、供給部の供給流路は、1点で合流するように設けられる必要はなく、流路22の異なる位置に接続されるように設けられてもよい。またヒータ29は、1箇所に設けられる構成であるけれども、これに限定されることなく、2箇所以上に設けられてもよい。このように、3つ以上の供給部を設け、ヒータを2箇所以上に設けることによって、複雑な反応を制御することができる。
【0107】
なお、ヒータ29は、加熱しなくても反応が進行するような場合には、設ける必要はない。
【0108】
また、本実施形態では、送液手段として、マイクロポンプ28a,28bを設ける構成であるけれども、図1に示すマイクロ化学チップ1のように、マイクロポンプ28a,28bを設けない構成も可能である。この場合には、マイクロ化学チップ1と同様に、供給口26a,26bから被処理流体を注入する際に、マイクロシリンジなどで被処理流体を押込むことによって、被処理流体を供給口26a,26bから採取口25まで送液することができる。また注入する際に、外部に設けられるポンプなどで被処理流体に圧力を加えながら注入することによって送液することもできる。また供給口26a,26bから被処理流体を注入した後に、採取口25からマイクロシリンジなどで吸引することによって送液することもできる。
【0109】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ2の製造方法では、基体21を形成する際には、溝部36が形成されたセラミックグリーンシート32の表面に、溝部36を覆うように、別のセラミックグリーンシート31を積層した後、積層されたセラミックグリーンシート31,32,33を焼成するけれども、これに限定されることなく、溝部を露出させたまま焼成し、その後溝部を被覆部で覆うことによって基体を形成してもよい。
【0110】
このようにして形成された基体では、溝部の形成された基体本体と溝部を覆う被覆部とによって流路が形成される。
【0111】
被覆部としては、ガラスまたはセラミック材料から成る蓋体を用いることができる。蓋体は、溝部の形成されたセラミックグリーンシートの焼成後に、形成された基体本体に接着される。蓋体と基体本体とは、たとえば蓋体がガラスから成る場合には加熱および加圧によって接着され、蓋体がセラミック材料から成る場合にはガラス接着剤などによって接着される。なお、蓋体は、必ずしも基体本体に接着されている必要はなく、基体本体から取外し可能に取り付けられていてもよい。たとえば、基体本体と蓋体との間にシリコーンゴムなどを挟み、マイクロ化学チップ全体に圧力を加えるような構成であってもよい。このように蓋体を基体本体から取り外せるようにすることによって、再利用する際の洗浄が容易になる。
【0112】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ2の製造方法では、基体21の流路22の部分は、溝部36の形成されたセラミックグリーンシート32と溝部36を覆うように積層されるセラミックグリーンシート31の2枚のセラミックグリーンシートから形成されるけれども、これに限定されることなく、3枚以上のセラミックグリーンシートから形成されてもよい。この場合には、2枚以上のセラミックグリーンシートに溝部を形成し、異なるセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を形成する。
【0113】
たとえば、流路の部分を3枚のセラミックグリーンシートから形成する場合には、以下のようにして基体を形成する。まず、1枚目のセラミックグリーンシートに図3(a)に示すセラミックグリーンシート31と同様に、2枚目のセラミックグリーンシートに形成される溝部に連通する貫通孔を形成する。次に、2枚目および3枚目のセラミックグリーンシートの表面に、それぞれ予め定める形状の型を押圧し、溝部を形成する。また2枚目のセラミックグリーンシートに、2枚目および3枚目のセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を形成する。
【0114】
次に、溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に、溝部を覆うように、別のセラミックグリーンシートを積層する。
【0115】
すなわち、3枚目のセラミックグリーンシートの表面に、3枚目のセラミックグリーンシートに形成された溝部を覆うように2枚目のセラミックグリーンシートを積層し、2枚目のセラミックグリーンシートの表面に、2枚目のセラミックグリーンシートに形成された溝部を覆うように1枚目のセラミックグリーンシートを積層する。
【0116】
このとき、2枚目のセラミックグリーンシートに形成された溝部と3枚目のセラミックグリーンシートに形成された溝部とが、2枚目のセラミックグリーンシートに形成された貫通孔で連通するように、各セラミックグリーンシートを積層する。
【0117】
このように積層されたセラミックグリーンシートを、前述の基体21を形成する場合と同様に、所定の温度で焼結させることによって基体を形成する。
【0118】
このようにして形成された基体では、流路が立体的に形成される。
【0119】
マイクロ化学チップにおける流路を流れる被処理流体は層流になるため、複数の被処理流体を混合するために流路を平面的に合流させた場合、被処理流体の混合は拡散によってのみ起こり、完全に混合するまで長い距離が必要になるが、合流部の下流部近傍の流路を立体的に形成することで、乱流を発生させ複数の被処理流体を容易に混合することが可能になる。
【0120】
なお、流路の部分を4枚のセラミックグリーンシートから形成する場合には、2枚目および4枚目のセラミックグリーンシートに溝部を形成するとともに、2枚目および3枚目のセラミックグリーンシートに、2枚目および4枚目のセラミックグリーンシートにそれぞれ形成された溝部を連通するための貫通孔を形成し、4枚目のセラミックグリーンシートの表面に、3枚目、2枚目および1枚目の順にセラミックグリーンシートを積層して焼成すればよい。
【0121】
また、マイクロポンプ28a,28bとして機能する圧電材料は、積層されたセラミックグリーンシートの焼成後に貼り付けられるけれども、前述のPZTのようなセラミック圧電材料を用いる場合には、セラミックグリーンシート31の予め定められる位置にセラミック圧電材料を取り付けた後、同時に焼成することもできる。
【0122】
さらに、セラミックグリーンシートに代えて、樹脂材料から成るシートを用いてマイクロ化学チップを製造することもできる。
【0123】
上述のマイクロ化学チップの製造方法によれば、セラミックグリーンシートの表面に、型を押圧して溝部を形成した後、溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、焼結させることによって、流路を有する基体を形成するので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップを製造することができるとともに、底面および側壁が所望の表面形状を有する流路を容易に形成することができる。
【0124】
また上述のマイクロ化学チップの製法によれば、セラミックグリーンシートの表面に型を押圧して溝部を形成し、焼結させることによって基体本体を形成した後、基体本体の表面の溝部を被覆部で覆うことによって、流路を有する基体を形成するので、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップを製造することができるとともに、底面および側壁が所望の表面形状を有する流路を容易に形成することができる。
【0125】
また上述のマイクロ化学チップの製造方法によれば、2枚以上のセラミックグリーンシートの表面に溝部を形成するとともに、異なるセラミックグリーンシートの溝部を連通するための貫通孔を必要に応じて形成し、溝部が形成されたセラミックグリーンシートの表面に溝部を覆うように別のセラミックグリーンシートを積層し、焼結させることによって、立体的な流路を有する基体または基体本体を形成するので、流路が立体的に形成されたマイクロ化学チップを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態によるマイクロ化学チップ1の基本的な構成を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すマイクロ化学チップ1の切断面線I−Iにおける断面構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ2の構成を簡略化して示す平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すマイクロ化学チップ2の切断面線II−II、III−IIIおよびIV−IVにおける断面構成を示す断面図である。
【図3】セラミックグリーンシート31,32,33の加工状態を示す平面図である。
【図4】セラミックグリーンシート31,32,33を積層した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0127】

1,2 マイクロ化学チップ11,21 基体12,22 流路13,23a,23b 供給部14,24 処理部15,25 採取部26a,26b 供給口27a,27b 供給流路28a,28b マイクロポンプ29 ヒータ31,32,33 セラミックグリーンシート34a,34b,35 貫通孔36 溝部37 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体を流通させる流路が形成された基体を有し、前記流路を流通する被処理流体に予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、
前記基体は、セラミック材料から成るとともに、前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部と、前記処理を施す処理部とを有し、
前記処理部には、所定の物質が仮固定され、前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させて、流入された該被処理流体を前記物質と反応させた後に、前記採取部から反応後の流体を外部に導出することを特徴とするマイクロ化学チップ。
【請求項2】
一表面に溝部が形成されたセラミック材料から成る基体本体と、該基体本体の前記一表面を被覆部で覆うことにより、被処理流体を流通させる流路を形成する被覆部とを有し、前記流路を流通する被処理流体に予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、
前記流路に被処理流体を流入させる供給部と、処理後の流体を外部に導出する採取部と、前記処理を施す処理部とを有し、
前記処理部には、所定の物質が仮固定され、前記供給部から前記流路に被処理流体を流入させて、流入された該被処理流体を前記物質と反応させた後に、前記採取部から反応後の流体を外部に導出することを特徴とするマイクロ化学チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−260678(P2007−260678A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160545(P2007−160545)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【分割の表示】特願2003−114820(P2003−114820)の分割
【原出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】