説明

マイクロ構造体の製造方法及び光パターン形成性犠牲膜形成用組成物

【解決手段】(i)基板上への犠牲膜パターン形成段階、(ii)犠牲膜パターン上への無機材料膜形成段階、(iii)犠牲膜パターンの形状を持つ空間を形成する段階を含むマイクロ構造体の製造方法において、(i)段階は、(A)クレゾールノボラック系樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物のいずれかと、架橋剤を含む光パターン形成性犠牲膜形成用組成物で犠牲膜を成膜する工程、(B)該犠牲膜に第1の高エネルギー線照射を行う工程(C)現像でポジ型犠牲膜パターン形成工程(D)該犠牲膜パターンに第2の高エネルギー線照射を行う操作及び加熱操作を含み、クレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成する工程、を含む。
【効果】高精度な平面形状及び適切な側壁形状を有し、熱耐性に優れる犠牲膜パターンが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された犠牲膜パターン(樹脂構造体)上に無機材料膜を成膜後、必要に応じて無機材料膜を所定の形状に加工し、更に、犠牲膜パターン(樹脂構造体)をエッチング除去する、いわゆる犠牲層エッチング法によって所望の空間を有する構造体を形成するマイクロ構造体の製造方法に関し、特に、いわゆるMEMS(Micro Electro−Mechanical System)素子の製造方法に関する。また、本発明は、かかる方法に用いる光パターン形成性犠牲膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微細技術の進展に伴い、半導体素子以外にも、いわゆるMEMS素子、及び、このようなMEMS素子を組み込んだ小型機器が注目されている。MEMS素子は、シリコン基板、ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成され、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を駆動する駆動機構と、駆動機構を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更には機械的に結合させた素子である。
【0003】
MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間のクーロン引力などを応用して電気的に行われる。例えば、MEMS素子の一例として、駆動体の動きを光の反射や回折に利用して光変調素子として機能させる光学MEMS素子が開発されている。
【0004】
MEMS素子の製造には、マイクロマシニング技術が用いられており、このようなマイクロマシニング技術は、大きく2種類に分類できる。
1つは、シリコンバルクエッチング(bulk etching)によるバルクマイクロマシニングである。この方法はシリコン自体を加工することによって3次元的な構造体を作製する技術であり、現在のマイクロマシニング技術の主流となっている。
もう1つは、表面マイクロマシニングである。この方法は、シリコン基板の表面側に互いに異なる材料からなる犠牲層及び薄膜を順に積層した後、最表面側の薄膜を所望の形状にパターニングし、犠牲層を選択的にエッチングすることにより、空洞部を有する構造体を作製する技術である。例えば、特許文献1には、このような方法を用いた圧力センサの製造方法が、特許文献2にはインクジェットプリントヘッドの製造方法が、更には特許文献3には中空層を有するMEMS素子の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−37875号公報
【特許文献2】特開2000−255072号公報
【特許文献3】特開2008−213061号公報
【特許文献4】特開2009−271101号公報
【特許文献5】特開2005−91497号公報
【特許文献6】特開平5−27446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の表面マイクロマシニングでは、犠牲層の材料として、特許文献1は酸化ケイ素を、特許文献2ではポジ型のノボラックレジストを、特許文献3ではポリイミドを用いているが、ポリイミドを用いた場合には微細加工性が低下する、酸化ケイ素等の無機材料ではエッチング後に形成される空洞部のスペースの十分な確保が難しい、ポジ型のノボラックレジストを用いた場合には、微細構造の形成には有利であるが、熱耐性が低いため、構造体の材料となる無機材料膜の選択が大幅に制限される等の問題があり、歩留まりの低下が問題になった。一方、微細構造の形成が有利であり、かつ熱耐性が比較的高い材料として特許文献4のように、ネガ型の感光性組成物を用いた犠牲層エッチング法も提案されているが、ネガ型レジストを使用した場合、そのパターン形状は、本質的に逆テーパー形状となる性質を持つため、その樹脂上にシリコンやメタルを形成する場合、逆テーパー部分への完全な埋め込みが難しいことから精密な構造体の形成ができず、精密な空間形状を作ることは難しかった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、MEMS素子製造の主要段階である犠牲層エッチング法において、高精度の微細構造の形成が可能であると共に、高温でのシリコン系材料やメタルの成膜に最適なパターン形状を有し、かつ、耐熱性の高い犠牲膜パターンを形成することができる、マイクロ構造体の製造方法及び光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
表面マイクロマシニングにおいて製品の歩留まりの向上を行うためには、上述のように、犠牲膜エッチング法において、高精度の犠牲膜のパターン形成、適切なパターン形状及び耐熱性がポイントになる。本発明者らは、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物として、まずは、高解像性が得られる材料を用いること、犠牲膜パターンの形状が逆テーパー状にならないものを選択し、これに熱耐性を与える工程の導入を試みたところ、下記の材料及びプロセスを用いることにより、目的の性能を持つ犠牲膜パターンを得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記マイクロ構造体の製造方法及び光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を提供する。
請求項1:
(i)基板上に成膜された犠牲膜を加工して犠牲膜パターンを形成する段階、
(ii)犠牲膜パターン上に無機材料膜を形成する段階、
(iii)上記無機材料膜の一部にエッチング用の開口部を設け、該開口部を通じてエッチングにより犠牲膜パターンを除去し、犠牲膜パターンの形状を持つ空間を形成する段階
を含むマイクロ構造体の製造方法において、
上記(i)段階である犠牲膜パターンを形成する段階は、
(A)
(A−1)一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂との混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、
(A−3)フェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
のいずれかを含むと共に、酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用い、2〜20μmの膜厚を持つ犠牲膜を成膜する工程、
(B)該光パターン形成性犠牲膜に第1の高エネルギー線によるパターン照射を行う工程、
(C)アルカリ性現像液による現像でポジ型の犠牲膜パターンを形成する工程、
(D)得られた該犠牲膜パターンに第2の高エネルギー線照射を行う操作及び該第2の高エネルギー線照射後に100〜220℃で加熱する操作を含み、上記犠牲膜パターン中のクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成する工程
を含むことを特徴とするマイクロ構造体の製造方法。
請求項2:
上記架橋剤はメラミン化合物であり、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中2〜30質量%含有する光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用いる請求項1記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項3:
上記メラミン化合物は、ヘキサメトキシメチロールメラミンの単量体を80質量%以上含有するメラミン化合物である請求項2記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項4:
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物に用いるクレゾールノボラック樹脂、又は上記フェノール性水酸基がエステル化されたクレゾールノボラック樹脂の製造原料であるクレゾールノボラック樹脂が、パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるクレゾールノボラック樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項5:
上記1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドにより一部又は全部のフェノール性水酸基がエステル化されたクレゾールノボラック樹脂は、該樹脂に含まれるフェノール性水酸基の1〜30モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドでエステル化されたクレゾールノボラック樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項6:
上記(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の含有量は、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%であり、かつ(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分中のエステル化されたクレゾールノボラック樹脂及びエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂の合計量が67質量%以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項7:
上記第2の高エネルギー線は、波長が350nm以上の紫外線である請求項1乃至6のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項8:
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物は、パターン形成を行った際、得られる犠牲膜パターンの側壁が順テーパーであり、かつ基板に対して80°以上90°未満の角度をなす犠牲膜パターンを与えるものである請求項1乃至7のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
請求項9:
(A−1)パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるクレゾールノボラック樹脂の一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とパラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂との混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、
(A−3)パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
のいずれかを含むと共に、酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
請求項10:
上記(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の含有量は、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%であり、かつ(1)、(2)又は(3)成分中のエステル化されたクレゾールノボラック樹脂及びエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂の合計量が67質量%以上である請求項9記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
請求項11:
上記架橋剤はメラミン化合物であり、該メラミン化合物を組成物の固形分総量中2〜30質量%含有する請求項9又は10記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
請求項12:
上記クレゾールノボラック樹脂に含まれるフェノール性水酸基の1〜30モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドでエステル化されたクレゾールノボラック樹脂を含有する請求項9乃至11のいずれか1項記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
【0010】
なお、本明細書において、マイクロ構造体とは、シリコン基板やガラス基板等の表面に各種の3次元構造物等が形成された構造体のことをいい、具体的には、例えば自動車に搭載される圧力センサやDMD(Digital Micromirror Device)等の各種デバイスを構成する部品等や、SAWフィルター(Surface Acoustic Wave Filter)、インクジェットプリンタのプリンタヘッド等が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマイクロ構造体の製造方法によれば、高精度な平面形状及び適切な側壁の形状を有し、かつ熱耐性に優れる犠牲膜パターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ポジ型レジストパターンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、表面マイクロマシニングによるMEMS素子の製造に有利に使用しうるマイクロ構造体の製造方法に関する。
表面マイクロマシニングでは、空洞あるいは空間を形成する際、
(i)基板上に成膜された犠牲膜を加工して犠牲膜パターンを形成する段階、
(ii)犠牲膜パターン上に無機材料膜を形成する段階、
(iii)上記無機材料膜の一部にエッチング用の開口部を設け、該開口部を通じてエッチングにより犠牲膜パターンを除去し、犠牲膜パターンの形状を持つ空間を形成する段階
を含む段階を経て目的とするマイクロ構造体を形成する。
【0014】
表面マイクロマシニングでは、上記のように、上記(ii)段階で、無機材料膜を(i)段階で形成した犠牲膜パターン上に形成してマイクロ構造体中の空洞あるいは空間の外壁構造を形成するが、この際、犠牲膜パターンが逆テーパー形状を持っていると無機材料の完全な充填が困難となり、空洞あるいは空間の外壁構造を精密に制御することができない。そこで、犠牲膜パターンは(ii)段階を行う際に順テーパーを持つ形状としておく必要がある。
【0015】
特許文献2で用いられているノボラック樹脂−ナフトキノンジアジド系のポジ型レジスト組成物を用いた犠牲膜パターン形成は、ポジ型であることから、犠牲膜の底部の溶解速度が表面の溶解速度よりも遅く制御することが容易であり、望ましい形状を容易に得るためには優れた方法である。しかし、ポジ型レジスト膜は、一般に加熱によって形状の変化を起こし易く、特に150℃以上、場合によっては200℃を超えるような条件を(ii)段階に用いる場合には、犠牲膜材料として選択できない。
【0016】
本発明者らは、(i)段階で、特定のポジ型の感光材料を用い、後述する工程から犠牲膜パターンを形成することで、(ii)段階での高温条件が適用可能な犠牲膜パターンを得ることができることを見出した。また、より微細かつ高精度なマイクロ構造体を製造する場合、犠牲膜パターンの側壁は垂直性が高いことが望ましいが、光感光材料膜を用いてパターン形成をするには、比較的膜厚の厚い2〜20μmの膜厚の感光性膜であっても、特定のものを選択することによって、図1に示されるパターン2の側壁角度αを80°以上90°未満という限定された側壁角度をもって基板1上に形成し、続く特定の処理によって、その側壁角度を80°以上90°未満に保持したまま、200℃以上の耐熱性を有する犠牲膜パターンとすることに成功した。
【0017】
以下、本発明における(i)段階を詳述する。
上述のように、本発明の(i)段階は、
(A)
(A−1)一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂とのノボラック樹脂混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、
(A−3)フェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
のいずれかを含むと共に、酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用い、2〜20μmの膜厚を持つ犠牲膜を成膜する工程、
(B)該光パターン形成性犠牲膜に第1の高エネルギー線によるパターン照射を行う工程、
(C)アルカリ性現像液による現像でポジ型の犠牲膜パターンを形成する工程、
(D)得られた該犠牲膜パターンに第2の高エネルギー線照射を行う操作及び該第2の高エネルギー線照射後に100〜220℃で加熱する操作を含み、上記犠牲膜パターン中のクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成する工程
を含む。
【0018】
(A)の工程で用いられるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物とクレゾールノボラック樹脂及び酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む光パターン形成性犠牲膜形成用組成物としては、基本的には、公知のi線やg線によるリソグラフィーに用いるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを光活性構造として含むポジ型ノボラックレジスト組成物をいずれもベースとして用いることができ、それに上記架橋剤を添加して調製される。上記(ii)段階で無機材料膜を犠牲膜上に形成する際、犠牲膜パターンの側壁が逆テーパーであると高精度に制御された空間を作ることができなくなるが、ポジ型感光材料を用いることで、逆テーパー形状となることを避けることができる。
【0019】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物のベースとして用いるポジ型ノボラックレジスト組成物は多数の公知例(例えば特許文献5や6)が知られており、主要成分は結合剤として用いられる樹脂としての、いわゆるクレゾールノボラック樹脂と、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである。ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルはクレゾールノボラック樹脂に一部あるいは全部がエステル結合で結合し、クレゾールノボラック樹脂とナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが一体となったものでもよく、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル全部が結合されている場合には、クレゾールノボラック樹脂材料はナフトキノンジアジドエステル材料でもある。即ち、クレゾールノボラック樹脂及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとしての材料の組み合わせは、
(A−1)一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライド(なお、ハライドとしては、クロライド、ブロマイド等が挙げられる。)によりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂との混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、又は
(A−3)フェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
の場合がありうる。
【0020】
上記(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の含有量は、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%、好ましくは70〜98質量%であり、かつ(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分中のエステル化されたクレゾールノボラック樹脂及びエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂の合計量が67質量%以上(67〜100質量%)であることが好ましい。また、(A−2)成分、(A−3)成分の場合は67〜99質量%、より好ましくは75〜99質量%が好ましい。なお、(A−1)、(A−2)、(A−3)成分のうちでは(A−1)成分を用いることが好ましい。
【0021】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物は、高解像性と架橋形成工程における形状変化が僅かであるという性質を同時に与えるものであることが必要であることから、上記で用いられるクレゾールノボラック樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2,000〜30,000であり、好ましくは3,000〜20,000である。また、このクレゾールノボラック樹脂は、該クレゾールノボラック樹脂の原料となるクレゾール原料のうち、パラクレゾールを40モル%以上含有する樹脂であり、より好ましくは45モル%以上含有する樹脂である。なお、ここで用いる樹脂は単一種類のものを用いてもよく、また、異なる種類のものを混合して使用してもよい。
【0022】
上記クレゾールノボラック樹脂において、樹脂の重量平均分子量が2,000より低い場合、次工程である、犠牲膜パターン中の樹脂に架橋を形成する工程での、光・熱処理操作中に、一部低分子成分の揮発によるパターン変形を生じる危険性がある。また、30,000を超える場合、リソグラフィー工程において、高精度なパターン形状が確保できない危険性がある。
【0023】
上記クレゾール原料のうちのパラクレゾールの含有量は、現像液に対する溶解性に影響を与え、得られるパターン形状を支配する因子の一つとなる。この量が40モル%より少ない場合、ポジ型の未露光部の現像液に対する耐性が不十分となり、リソグラフィーによるパターン形成工程中の現像工程で、膜厚を維持できないことがある。また、この樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性調節のため、樹脂のフェノール基の一部をメチルカルボキシル基のようなエステル基でエステル化することも可能である。
【0024】
一方、後述の犠牲膜パターン中の樹脂に架橋を形成させるための加熱操作を行う際、このクレゾール樹脂の溶融温度が130℃以上のものとすることが好ましく、より好ましくは135℃以上のものである。溶融温度が低い場合、熱処理操作において、樹脂パターンの熱変形の原因となる可能性がある。そこで、このクレゾール樹脂には、樹脂溶融温度調節のため、一部にキシレノールやトリメチルフェノール構造を含有することも可能である。
【0025】
光パターン形成性犠牲膜形成用組成物のもう一つの成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは、1,2,3−トリヒドロキシベンゾフェノンのような複数のフェノール性水酸基を持つ化合物に1,2−ナフトキノンアジド−5−スルホン酸塩化物のようなナフトキノンアジドスルホン酸塩化物を用いてエステル結合させた比較的低分子性のものでもよく、クレゾールノボラック樹脂にエステル結合させて使用してもよい。これらはすでに多数の化合物が知られており(例えば特許文献5,6)、基本的にはいずれも用いることができる。しかし、上記犠牲膜パターンの側壁の角度は、80°以上90°未満とすることで、より微細かつ高精度なマイクロ構造体を形成することができるが、この形状を2〜20μmの膜厚を持つ光パターン形成性犠牲膜から加工するためには、上述のクレゾールノボラック材料の最適化に加え、上記クレゾールノボラック樹脂のフェノール性水酸基がナフトキノンジアジドスルホン酸でエステル化されたものを用いると上記形状を得易くなる。
【0026】
低分子のナフトキノンジアジドスルホン酸エステルのみを用いる場合には、特に分子量1,500以下の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を用いることが好ましい。低分子ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物の配合量は、(A−2)又は(A−3)成分中1〜33質量%、特に1〜25質量%が好ましい。
【0027】
上記低分子のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0028】
一方、クレゾールノボラック樹脂にナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合させて用いる場合には、樹脂中、全フェノール性水酸基のうちの、1〜30モル%、より好ましくは2〜25モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸でエステル化されたものを用いると、より容易に、上記の80°以上90°未満の側壁を持った形状を得ることができる。このエステル化が1モル%よりも低いと、クレゾールノボラック樹脂自体の現像液に対する耐性が下がり、エステル結合させる効果が失われることがある。また、30モル%よりもエステル化率が高い場合には、パターン側壁角度がその樹脂透明性の低下により、80°以上を保持することが難しくなる。また、上述のような光透過性の問題を生じない範囲であれば、ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合させた樹脂と比較的低分子のナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを併用してもよい。
【0029】
なお、(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の配合量は、犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%、より好ましくは70質量%以上98質量%未満である。
【0030】
本発明のマイクロ構造体の製造方法に用いる光パターン形成性犠牲膜形成用組成物は、常用されるクレゾールノボラック−ナフトキノンジアジド系レジスト組成物に対し、更に酸触媒でクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成することができる架橋剤が添加される。この架橋剤は、化学増幅ネガ型レジスト組成物で用いるアルカリ可溶性樹脂を架橋してネガ化するための架橋剤をいずれも使用することができ、例えばメラミン類、アルコキシメチルウレア類、アルコキシメチルグリコールウリル類等を挙げることができる。この架橋剤は、犠牲膜パターンが形成された後、第2の光照射によってナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、あるいは別途添加された酸発生剤より発生した酸によって活性化され、クレゾールノボラック樹脂のフェノール性水酸基あるいは芳香環に求電子的に反応して架橋を形成することで、樹脂を高分子量化し、熱耐性を向上させるものである。
【0031】
なお、上記酸発生剤としては、後述するものを挙げることができ、その配合量は犠牲膜形成用組成物の固形分総量中0〜15質量%、配合する場合は0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.3〜7質量%である。
【0032】
光照射によってクレゾールノボラック樹脂より発生するラジカルによる樹脂の多量化や、ナフトキノンジアジドの熱反応によって樹脂間に架橋を形成できることは知られているが、本発明の目的である上記(ii)段階における耐熱条件を有意に上げるためには、上記架橋剤による架橋形成が効果が高く、よって、形状変化を強く抑制するためには必須である。
【0033】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物に対する上記架橋剤の添加量は、犠牲膜形成用組成物の固形分総量中2〜30質量%、より好ましくは3〜25質量%である。
【0034】
効果が高く、好ましい架橋剤としては、メラミン化合物が選ばれる。更にこのメラミン化合物は、ヘキサメトキシメチロールメラミンの単量体及びその縮合物からなることが好ましく、その単量体成分の質量が、全メラミン化合物中80質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。ヘキサメトキシメチロールメラミンの単量体を80質量%以上とすることで、形成された樹脂構造体の高い耐熱性が容易に確保され、(ii)段階において200℃を超える条件を用いることも可能になる。
なお、メラミン化合物の添加量が2質量%未満の場合には十分な添加効果が得られず、30質量%を超える場合は、そのリソグラフィー工程の現像工程中に未露光部の現像液耐性が十分ではなくなることがある。
【0035】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物には、上記主要成分の他、その他の公知の添加剤を加えることができる。
例えば、感度を調整する目的や、パターン側壁角度を調整する目的で、波長350〜450nmに有効な色素や上記以外の光酸発生剤を添加することができる。この場合の添加量は、通常組成物に含有される固形分総量中0〜10質量%、特に添加する場合は0.1〜5質量%である。色素としては、1,2,3−トリヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類、クルクミン、2−フェニル−アゾ−4−メチルフェノールのようなアゾ色素類が挙げられる。なお、犠牲膜パターンの側壁の角度が80°未満のものが望まれる場合にも、上記色素あるいはナフトキノンジアジドスルホン酸エステル量を調整することで、期待する角度を持つ犠牲膜パターンを得ることができる。
【0036】
本発明のパターン形成材料には、更に必要に応じて、塗布性を改良するために、ノニオン系、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加量は、一般に、犠牲膜形成用組成物の固形分総量中0〜0.5質量%、配合する場合は0.01〜0.5質量%、特に0.01〜0.3質量%が好ましい。
【0037】
また、必須ではないが、上記架橋剤の架橋形成反応を促進するため、補助的にナフトキノンジアジドスルホン酸エステル以外の光酸発生剤を加えてもよい。光酸発生剤は化学増幅型レジスト組成物に一般的に用いられるものをいずれも使用することができるが、このケースで有利に用いられるものの具体例として、4−メトキシ−α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−3−チエニルアセトニトリル等のオキシムスルホネート類、あるいは1,8−ナフタルイミド−10−カンファースルホネート、1,8−ナフタルイミド−10−p−トルエンスルホネート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート等のイミド−イル−スルホネート誘導体が挙げられる。
【0038】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物は、上述の固形分の他、固形分を溶解し、成膜することができる溶剤を含有する。溶剤の含有率は、一般に、本発明組成物全体の50〜90質量%である。溶剤としては、公知のレジスト用溶剤をいずれも使用することができるが、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート類、ジエチレングリコールモノもしくはジアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル等の酢酸エステル類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
本発明に用いる光パターン形成性犠牲膜は、上述した光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用いて成膜する。成膜法は多数が公知であり、特に限定されないが、通常、目的の基板上に当該のポジ型フォトレジスト組成物を含有する溶液をスピンコート法や印刷法等の公知の方法をいずれも適用し得る。更に、この塗布成膜をした後、ホットプレートやオーブンを用いて、80〜130℃程度の温度で熱処理することで、マイクロ構造体の空洞や空間に必要な膜厚である2〜20μmの光パターン形成性犠牲膜を形成する。
【0040】
(B)の工程である、光パターン形成性犠牲膜に第1の高エネルギー線によるパターン照射を行う工程は、上記(A)の工程で得られた光パターン形成性犠牲膜の不要な部分を次工程の現像で溶解除去されるように溶解性変化をさせる工程である。第1の高エネルギー線によるパターン照射に用いる高エネルギー線は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが感度を持つものであれば特に限定されないが、好ましくは350〜450nmの紫外線が用いられる。また、最適な照射量は用いる光パターン形成性犠牲膜に依存して決まるため、特許文献5や6に開示されているように、予めパターン形成に必要な最適な露光量を求め、得られたものをパターン照射に用いる。
【0041】
(C)の工程である、アルカリ性現像液による現像でポジ型の犠牲膜パターンを形成する工程は、水性アルカリ性現像液を用い、上記(B)の工程で高エネルギー線が照射された部分を溶解除去する工程である。水性アルカリ性現像液としては、例えば、1.0〜3.5質量%、好ましくは1.3〜3.0質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用い、現像処理を行って、紫外線を照射した部分の樹脂膜を溶解除去することで、目的とする犠牲膜パターンを得る。
【0042】
本発明において、(ii)段階における高温の条件も使用できるよう、犠牲膜パターンに熱耐性を与える工程が、(D)の工程である、犠牲膜パターンに第2の高エネルギー線照射を行う操作と該第2の高エネルギー線の照射後の加熱操作を含み、上記犠牲膜パターン中のクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成する工程である。
【0043】
上記第2の高エネルギー線の照射は、架橋剤の反応を触媒する酸の発生に利用される。第1の高エネルギー線によって露光されていない部分である犠牲膜パターン中のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、及び別途酸発生剤を添加した場合には酸発生剤から、第2の高エネルギー線の照射によって酸が発生する。この酸によってメラミン等の架橋剤が持つ複数の活性化部位にカチオンが発生し、クレゾールノボラック樹脂の水酸基あるいは芳香環に求電子置換反応を起こすことで、クレゾールノボラック樹脂間に架橋が形成される。
【0044】
この工程における第2の高エネルギー線照射は、基板全体に対して一括の照射によって行うことができ、従って、単色光を用いてもよいし、単色光でない光源を用いてもよい。この第2の高エネルギー線の照射に用いる光源は波長350〜450nmの紫外光を含むものや、その波長域の単色光、あるいは電子線等を用いることが好ましい。ここでの照射量は、第1の高エネルギー線の照射に用いたエネルギー量の好ましくは0.5〜20倍、より好ましくは1〜15倍のエネルギー量の照射を行う。
【0045】
更に、第2の高エネルギー線の照射後、架橋反応を促進するために、100〜220℃の温度で熱処理を行う。高エネルギー線照射後の加熱工程では、ホットプレートやオーブンのような装置による加熱が通常用いられるが、特段制約はない。また、この温度は、1段でもよいし、多段の加温を行ってもよく、例えば160℃以上の加熱を行う場合には、160℃未満の温度で加熱を行った後、160℃以上の加熱を行うと、パターン形状の変形をより強く抑制することができる。
【0046】
この架橋剤を用いた架橋形成を行うと、高効率に架橋が導入されるため、より容易に高い耐熱性が確保でき、上記(C)の工程で得られた構造体の側壁角度が90°未満でかつ80°以上である犠牲膜パターンの形状を、例えば200℃の熱に暴露した場合にも形状変化が抑制された犠牲膜パターンを容易に得ることができる。
【0047】
上記のようにして犠牲膜パターンを形成した後、犠牲膜パターン上に無機材料膜を被覆、形成する。無機材料膜としてはアモルファスシリコン膜やシリコン酸化膜等が挙げられる。また、無機材料膜を形成する方法としては、いわゆるスパッタ法のようなPVD法や、CVD法等を採用することができる。特に、アモルファスシリコンCVDは、容易に均一な無機材料膜を得ることができる好ましい方法であるが、この方法を採用した場合には基板表面の温度が200℃以上に上昇し易く、本発明が有利に採用される。また、上記無機材料膜の厚さは、目的とする装置にもよるが、0.1〜2μm、より一般的には0.3〜1μm程度の範囲が好ましく用いられる。
【0048】
なお、通常、上述の方法によって高い精度で形状が維持された犠牲膜パターン上に成膜された無機材料膜は、更に目的に応じて追加の加工や成形が行われるが、特許文献1〜4にもあるように、この段階で、上記無機材料膜の一部には犠牲膜パターンをエッチング除去するための開口部が設けられる。なお、開口部の形成に用いる方法は、目的とする装置の機能や形状によって好ましい方法を用いればよく、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィー方法による開口部形成や、CMPによる天井面の剥離等の公知の方法を用いることができる。
そして、この開口部を通じて犠牲膜パターンがエッチング除去されることで、犠牲膜パターンの形状を持つ空間が完成する。
【0049】
上述した犠牲膜パターン材料は、クレゾールノボラック樹脂系のものであるため、特に公知のクレゾールノボラック樹脂によるネガ型レジスト組成物の除去に用いるようなウエットあるいはドライのエッチング方法を用いることで、容易に除去することが可能であり、特に、酸素プラズマアッシングのような簡単でかつ無機膜等に影響を与えない方法で容易に除去することができる。
【実施例】
【0050】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0051】
[感光性樹脂合成例1]
撹拌機、窒素置換装置及び温度計を具備したフラスコ中に、p−クレゾール50モル%、m−クレゾール50モル%でその樹脂溶融温度が145℃である重量平均分子量4,500のクレゾールノボラック樹脂120g、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド21.5g(樹脂のフェノール性水酸基に対して8モル%)、及び1,4−ジオキサン500gを仕込み、均一になるまで混合した。得られた溶液に、室温で、トリエチルアミン8.5gを滴下して添加した。添加終了後、10時間撹拌を続け、その後、反応溶液を大量の0.1N塩酸水溶液中に投入して、析出した樹脂を回収した。回収した樹脂を減圧乾燥機で乾燥して、目的とする感光性樹脂である、部分的に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルエステル化されたノボラック樹脂(エステル化率:平均8モル%、重量平均分子量:4,750)(1)115gを得た。
なお、エステル化率は、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基1個当たりの分子量をOH当量と定義し、ここに導入する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の割合を仕込み時のモル数で考えた時の割合とした(以下、同様)。
【0052】
[感光性樹脂合成例2]
感光性樹脂合成例1の方法に従い、p−クレゾール55モル%、m−クレゾール45モル%でその樹脂溶融温度が149℃である重量平均分子量16,000のクレゾールノボラック樹脂120gと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド16.1g(樹脂のフェノール性水酸基に対して6モル%)からエステル化率平均6モル%で、重量平均分子量16,200の部分エステル化されたノボラック樹脂を得た。
【0053】
[感光性樹脂合成例3]
感光性樹脂合成例1の方法に従い、p−クレゾール45モル%、m−クレゾール55モル%でその樹脂溶融温度が143℃である重量平均分子量6,000のクレゾールノボラック樹脂120gと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド32.2g(樹脂のフェノール性水酸基に対して12モル%)からエステル化率平均12モル%で、重量平均分子量6,300の部分エステル化されたノボラック樹脂を得た。
【0054】
[実施例1]
〈光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の製造〉
感光性樹脂合成例1で得られたクレゾールノボラック樹脂35g、単量体濃度が97質量%であるヘキサメトキシメチロールメラミン3g及び1,2,3−トリヒドロキシベンゾフェノンの3つの水酸基が1,2−ナフトキノンアジド−5−スルホン酸とエステル結合を形成したナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(NT−300P、東洋合成工業(株)製)0.7g、フッ素シリコーン系界面活性剤であるX−70−093(商品名、信越化学工業(株)製)0.01gを、乳酸エチル60gに溶解した。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過して、目的とするパターン形成用組成物(1)を得た。
【0055】
〈光パターン形成性犠牲膜の成膜とパターンの形成〉
上記で得られた光パターン形成性犠牲膜形成用組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、その後、ホットプレート上で100℃,120秒間プリベークして、膜厚3μmの皮膜を形成した。これをi線ステッパーNSR−1755i7A(商品名、(株)ニコン製)で露光し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で90秒間現像し、その後、純水で30秒間リンスし、スピンドライした。このときの露光量は、400mJ/cm2で1.0μmのストライプパターンを形成することができた。また、上記と同様の方法で10μmのストライプパターンを形成した。また、このときの樹脂皮膜膜厚は2.7μmであった。更に、このときのストライプパターンの側壁角度は1.0μm、10μm共に87°であった。なお、側壁角度は電界放出型電子顕微鏡S−4700(商品名、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した(以下、同様)。
【0056】
これらのウエハーに対し、再度、i線ステッパーにて400mJ/cm2及び2,000mJ/cm2の2条件の露光を加えた後、オーブンで150℃,30分間、更に200℃,30分間の合計1時間の熱処理を加え、表面マイクロマシニング用ウエハーを作製した。
このとき、400mJ/cm2の露光量でi線露光したウエハーの1.0μmストライプパターン側壁角度は85°、10μmストライプパターンの側壁角度は83°であった。一方、露光量2,000mJ/cm2の場合には、1.0μmストライプパターンの側壁角度が87°、10μmストライプパターンの側壁角度が86°であった。
【0057】
これを、プラズマCVDによる無機膜の形成を想定し、250℃,30分間熱処理し、その膜厚を光学的膜厚測定装置により測定したところ、2.7μmを維持し、かつ、そのパターン側壁角度の変動も生じなかった。
【0058】
この熱処理を終えたパターンを有するウエハー上に、アモルファスシリコンを成膜するため、プラズマCVD装置(PD−220/サムコ(株)製)にて、上記で作製したストライプパターンを持つ基板上に0.4μmの膜厚のアモルファスシリコン膜を、250℃,30分間の熱処理によって形成した。この膜は、パターン側壁部分に欠陥もなく、良好に成膜できた。
【0059】
更に、上記犠牲膜パターン上のアモルファスシリコン膜の上に一般的なクレゾールノボラック樹脂を利用したi線露光用ポジ型レジストSIPR−9740(信越化学工業(株)製)を膜厚2μmでコートし、パターン形成を行い、次いで、このフォトレジストパターンをマスクとしてSF6によるフッ素系プラズマエッチングにより、アモルファスシリコンの一部に上記犠牲膜パターンにつながる開口部を設けた。その後、アセトンで上記SIPR−9740によるパターンを溶解除去した。次いで、RFプラズマ法による酸素プラズマにより10分間アッシングを行ったところ、上述のような250℃の熱処理を加えた樹脂皮膜であっても容易に剥離できた。
【0060】
この結果より、本発明の方法により形成された犠牲膜パターンは、無機膜等の犠牲層エッチング法による表面マイクロマシニングに好適な特性を有していることが確認された。
【0061】
[実施例2,3]
実施例1の方法に準じ、表1に示すパターン形成用組成物を作製した。更に、それぞれの組成物より光パターン形成性犠牲膜を成膜し、それぞれの膜にg線ステッパーNSR−1505g2A((株)ニコン製)を用い、それぞれ露光量2,000mJ/cm2及び700mJ/cm2で実施例1と同様のパターン露光を行った。また、現像後の第2の露光工程には、やはりg線ステッパーを使用し、それぞれ2,000mJ/cm2を照射した。
照射後オーブンで180℃,3時間熱処理を加え、目的とする耐熱性樹脂構造体を基板上に形成した。更にその耐熱性を調べるため、250℃,30分間熱処理を行い、その後のパターン側壁角度を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
【表1】

HMMM:ヘキサメトキシメチロールメラミン(純度97質量%)
X−70:フッ素シリコーン系界面活性剤(X−70−093、信越化学工業(株)製)
NT :ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(NT−300P、東洋合成工業(
株)製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(協和発酵社製)
【0063】
【表2】

【0064】
上記の結果、実施例2及び3も実施例1と同様、好ましい現像後側壁角度を持つと共に、加熱処理によっても側壁角度がほとんど変化せず、無機膜等の犠牲層エッチング法による表面マイクロマシニングに好適な特性を有していることが確認された。
【0065】
[比較例1]
実施例1にて得られたパターン形成用組成物(1)を用いて、実施例1と同一の方法で、i線ステッパーを用いて1.0μm及び10μmのストライプパターンをシリコン基板上に形成した。
このパターンに直接250℃,30分間の熱処理を加え、そのパターンの側壁角度を測定したところ、1.0μm、10μmのパターン共にその角度が40°以下となっており、かつ膜厚も2.3μmまで減少しており、表面マイクロマシニング工程用としては不適であった。
【0066】
[比較例2]
実施例1にて得られたパターン形成用組成物(1)を用いて、実施例1と同一の方法で、i線ステッパーを用いて1.0μm及び10μmのストライプパターンをシリコン基板上に形成した。
このパターンに4,000mJ/cm2のi線ステッパーによる照射のみを加え、その後、250℃,30分間の熱処理を加え、そのパターンの側壁角度を測定したところ、1.0μm、10μmのパターン共にその角度が60°以下となっており、かつ膜厚も2.4μmまで減少しており、表面マイクロマシニング工程用としては不適であった。
【0067】
[比較例3]
実施例1にて得られたパターン形成用組成物(1)を用いて、実施例1と同一の方法で、i線ステッパーを用いて1.0μm及び10μmのストライプパターンをシリコン基板上に形成した。
このパターンに紫外線の照射を加えることなく、オーブンで150℃,30分間及び200℃,30分間の合計1時間の熱処理を加えた。
この処理により、すでにこの熱処理工程中にそのパターン側壁角度は60°以下となっており、表面マイクロマシニング工程用としては不適であった。
【0068】
[比較例4]
p−クレゾール50モル%、m−クレゾール50モル%でその樹脂溶融温度が145℃である重量平均分子量4,500のクレゾールノボラック樹脂100質量部、その単量体純度が97質量%であるヘキサメトキシメチロールメラミン25質量部、光酸発生剤として1,8−ナフタルイミド−10−カンファースルホネート2質量部、界面活性剤としてX−70−093(信越化学工業(株)製)0.1質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート180質量部を加え、溶解させた後、0.2μmのフィルターで濾過し、目的とするネガ型レジスト組成物を得た。このネガ型レジスト組成物を基板上にスピンコート後、ホットプレート上で100℃,2分間ベークして、厚さ3μmの樹脂薄膜を形成した。
【0069】
このネガ型レジスト膜に、i線ステッパーにより、1.0μm、10μmのストライプを有するマスクを通して、500mJ/cm2の照射を行い、その後、120℃,2分間露光後、加熱処理を行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で2分間現像することで、目的とするストライプパターンを得た。
このパターンの側壁を観察したところ、現像後で、1.0μmストライプで103°、10μmストライプで101°となった。この皮膜に更にi線で2,000mJ/cm2の紫外光を照射した後、150℃,30分間、200℃,30分間の合計1時間のオーブンによる熱処理を加えた。
その結果、1.0μm、10μmのストライプパターンの側壁角度は1.0μmが105°、10μmが110°となり、逆テーパー状であった。
【0070】
このネガ型レジスト組成物によるネガプロファイルを有するパターンつきウエハーを用いて、実施例1と同様の方法で、このウエハー上にアモルファスシリコン膜の成膜を試みた。処理後のウエハーを観察すると、パターンのネガプロファイルのため、逆テーパー状になった側壁付近の陰になる部分でシリコン膜が成膜されておらず、実用に耐えなかった。
【0071】
以上説明した通り、本発明によれば、簡易な方法で、表面マイクロマシニングの重要技術である犠牲層エッチングに適した樹脂構造体を基板上に形成することができ、MEMS素子の製造工程等に好適に用いることができる。
【0072】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。上記実施例は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0073】
1 基板
2 犠牲膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)基板上に成膜された犠牲膜を加工して犠牲膜パターンを形成する段階、
(ii)犠牲膜パターン上に無機材料膜を形成する段階、
(iii)上記無機材料膜の一部にエッチング用の開口部を設け、該開口部を通じてエッチングにより犠牲膜パターンを除去し、犠牲膜パターンの形状を持つ空間を形成する段階
を含むマイクロ構造体の製造方法において、
上記(i)段階である犠牲膜パターンを形成する段階は、
(A)
(A−1)一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂との混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、
(A−3)フェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
のいずれかを含むと共に、酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用い、2〜20μmの膜厚を持つ犠牲膜を成膜する工程、
(B)該光パターン形成性犠牲膜に第1の高エネルギー線によるパターン照射を行う工程、
(C)アルカリ性現像液による現像でポジ型の犠牲膜パターンを形成する工程、
(D)得られた該犠牲膜パターンに第2の高エネルギー線照射を行う操作及び該第2の高エネルギー線照射後に100〜220℃で加熱する操作を含み、上記犠牲膜パターン中のクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成する工程
を含むことを特徴とするマイクロ構造体の製造方法。
【請求項2】
上記架橋剤はメラミン化合物であり、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中2〜30質量%含有する光パターン形成性犠牲膜形成用組成物を用いる請求項1記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項3】
上記メラミン化合物は、ヘキサメトキシメチロールメラミンの単量体を80質量%以上含有するメラミン化合物である請求項2記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項4】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物に用いるクレゾールノボラック樹脂、又は上記フェノール性水酸基がエステル化されたクレゾールノボラック樹脂の製造原料であるクレゾールノボラック樹脂が、パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるクレゾールノボラック樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項5】
上記1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドにより一部又は全部のフェノール性水酸基がエステル化されたクレゾールノボラック樹脂は、該樹脂に含まれるフェノール性水酸基の1〜30モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドでエステル化されたクレゾールノボラック樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項6】
上記(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の含有量は、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%であり、かつ(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分中のエステル化されたクレゾールノボラック樹脂及びエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂の合計量が67質量%以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項7】
上記第2の高エネルギー線は、波長が350nm以上の紫外線である請求項1乃至6のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項8】
上記光パターン形成性犠牲膜形成用組成物は、パターン形成を行った際、得られる犠牲膜パターンの側壁が順テーパーであり、かつ基板に対して80°以上90°未満の角度をなす犠牲膜パターンを与えるものである請求項1乃至7のいずれか1項記載のマイクロ構造体の製造方法。
【請求項9】
(A−1)パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるクレゾールノボラック樹脂の一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂(i)、又は該一部又は全部のフェノール性水酸基が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドによりエステル化されたクレゾールノボラック樹脂とパラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂との混合物(ii)、
(A−2)(A−1)のノボラック樹脂(i)又はノボラック樹脂混合物(ii)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、
(A−3)パラクレゾールを40モル%以上含有し、重量平均分子量が2,000〜30,000でかつ樹脂溶融温度が130℃以上であるフェノール性水酸基がエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
のいずれかを含むと共に、酸触媒によりクレゾールノボラック樹脂間に架橋を形成しうる架橋剤を含む表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
【請求項10】
上記(A−1)、(A−2)又は(A−3)成分の含有量は、光パターン形成性犠牲膜形成用組成物の固形分総量中45〜98質量%であり、かつ(1)、(2)又は(3)成分中のエステル化されたクレゾールノボラック樹脂及びエステル化されていないクレゾールノボラック樹脂の合計量が67質量%以上である請求項9記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
【請求項11】
上記架橋剤はメラミン化合物であり、該メラミン化合物を組成物の固形分総量中2〜30質量%含有する請求項9又は10記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。
【請求項12】
上記クレゾールノボラック樹脂に含まれるフェノール性水酸基の1〜30モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドでエステル化されたクレゾールノボラック樹脂を含有する請求項9乃至11のいずれか1項記載の表面マイクロマシニング用光パターン形成性犠牲膜形成用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−18390(P2012−18390A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113622(P2011−113622)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】