説明

マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置

【課題】 マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【解決手段】 マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は複数個の垂直駆動有機発光トランジスターを含み、第一コレクタ極、第一グリッド/ベース極及び第一エミッタ極を備え、該第一コレクタ極は電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第一走査ユニットを形成し、該第一グリッド/ベース極もまた電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第二走査ユニットを形成し、また、該第一エミッタ極は共電極であり、該第一走査ユニットは該第二走査ユニットと相互に交差し垂直に配列し、垂直式発光トランジスターを直接垂直結合し有機発光ダイオードを駆動する。これにより有機発光ダイオード表示装置中各画素の発光面積を拡大し、各画素の開口率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置に関する。特に垂直駆動有機発光トランジスターに応用するマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置に係る。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード表示装置は現在最も潜在力のある平面表示装置の一つである。それが採用する発光原理は、これまでの液晶を光スイッチ媒介として採用する液晶ディスプレーとは異なる。液晶そのものは発光しないため、バックライトを設置する必要があり、電圧を加えることで、液晶を回転させ、そのバックライトの光透過率を制御するが、有機発光ダイオードは電流が通じ導電すると自ら発光するため、バックライトを設置する必要がない。よって、有極発光ダイオードの特性を利用すれば表示装置にコンパクトで薄いという長所を持たせることができる。
図1は公知の受動式有機発光ダイオード表示装置駆動回路の同等効果回路指示図で、図2は公知の受動式有機発光ダイオード表示装置の回路指示図である。
図1に示すように、公知の受動式有機発光ダイオード表示装置駆動回路の同等効果回路は複数個の第一トランジスター(TS11〜TS1m、TS21〜TS2m、…、TSn1〜TSnm)、複数個の第二トランジスター(TD11〜TD1m、TD21〜TD2m、…、TDn1〜TDnm)、及び複数個の有機発光ダイオード11を含む。
公知の受動式有機発光ダイオード表示装置の回路レイアウトの多くは、液晶表示装置が使用する回路レイアウトの方式を採用する。それは主にデータ信号線(D1、D2、…、Dm)及び走査信号線(S1、S2、…、Sn)により相互に垂直設置し形成し、各一組の交差するデータ信号線及び走査信号線はそれぞれ一個の画素ユニット12の制御に用いられる。該画素ユニット12は第一トランジスターTS11、第二トランジスターTD11及び有機発光ダイオード11を含む。
【0003】
例えば、該第一トランジスターTS11はゲート極を供え、走査信号線S1及びソース極に電気的に連接し、データ信号線D1に電気的に連接する。それは影像データが保存スイッチ及びアドレスに進入するために用いられる。該第二トランジスターTD11はゲート極を備え、第一トランジスターTS11のドレイン極に電気的に連接し、ソース極は電源供給電圧VDDに電気的に連接する。
該有機発光ダイオード11の陽極は第二トランジスターTD11のドレイン極に電気的に連接し、陰極はアース電位GNDに電気的に連接する。よって、データドライバー13及びゲート極ドライバー14を利用し、それぞれデータ信号線(D1、D2、…、Dm)及び走査信号線(S1、S2、…、Sn)を制御し、こうして各画素ユニット12のオン/オフを制御する。
しかし、図2に示すように、第一トランジスター(TS11〜TS1m、TS21〜TS2m、…、TSn1〜TSnm)及び第二トランジスター(TD11〜TD1m、TD21〜TD2m、…、TDn1〜TDnm)は実際には、有機発光ダイオード表示装置上において一定の面積を占有するため、各画素ユニット12の開口率を縮小してしまっており、これにより各画素ユニット12の出光面積に影響を及ぼしている。よって、有機発光ダイオード表示装置は第一トランジスター(TS11〜TS1m、TS21〜TS2m、…、TSn1〜TSnm)及び第二トランジスター(TD11〜TD1m、TD21〜TD2m、…、TDn1〜TDnm)の面積の制限を受け、その画面解析度を上方へとさせることができない。
【特許文献1】特開2007−173235公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数個の垂直駆動有機発光トランジスターによりマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置を構成し、垂直駆動有機発光トランジスターの構造は有機発光ダイオードのトランジスターと有機発光ダイオードを駆動し直接垂直結合させるため、トランジスターが有機発光ダイオードディスプレーの面積を占有することを回避可能で、こうして各画素の開口率を向上させ、しかも有機発光ダイオード表示装置全体の出光面積及び輝度を改善することができるマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は下記のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置を提供する。
即ち、請求項1の発明は、マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は複数個の垂直駆動有機発光トランジスターを含み、それは第一コレクタ極、第一グリッド/ベース極、第一エミッタ極を備え、該第一コレクタ極は電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第一走査ユニットを形成し、該第一グリッド/ベース極もまた電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第二走査ユニットを形成し、該第一エミッタ極もまた電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第三走査ユニットを形成し、該第一走査ユニットは該第二走査ユニットと相互に交差し垂直に配列し、しかも該第二走査ユニットはまた該第三走査ユニットと相互に交差し垂直に配列することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記各第三走査ユニットは相互に結合し共電極となることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記垂直駆動有機発光トランジスターは第一垂直式トランジスター、第一有機層、第二電極、第一有機発光ダイオード、第三電極を備え、該第一垂直式トランジスターは第一電極を備え、該第一有機層は該第一電極において重なり、該第二電極は該第一有機層に結合し、
該第一有機発光ダイオードは第二有機層を備え、該第一垂直式トランジスターに垂直に重なり、該第三電極は該第二有機層に重なることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第一電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、及び該第三電極は陰極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする。
請求項5に発明は、請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第一電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、及び該第三電極は陽極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記有機発光ダイオード表示装置はさらに第四電極を備え、それは該第一有機層と該第二有機層の間に設置することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第一電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、該第三電極は陰極で、該第一コレクタ極とし、及び該第四電極は陽極であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第一電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、該第三電極は陽極で、該第一コレクタ極とし、及び該第四電極は陰極であることを特徴とする。
【0007】
請求項9の発明は、請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記垂直駆動有機発光トランジスターは第二垂直式トランジスター、第三有機層、絶縁層、第六電極、第二有機発光ダイオード、第七電極を備え、該第二垂直式トランジスターは第五電極を備え、第三有機層は該第五電極に重なり、該絶縁層は該第三有機層に重なり、該第六電極は該絶縁層に重なり、該第二有機発光ダイオード第四有機層を備え、該第二垂直式トランジスターに垂直に重なり、該第七電極は該第四有機層に重なることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第五電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、及び該第七電極は陰極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第五電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、及び該第七電極は陽極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第二垂直式トランジスターはさらに第五有機層を備え、それは該第六電極と該第四有機層の間に設置することを特徴とする。
請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【0008】
請求項13の発明は、請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第二垂直式トランジスターはさらに第五有機層、及び第八電極を備え、該第五有機層は該第六電極と該第八電極の間に設置し、しかも該第八電極は該第五有機層と該第四有機層の間に設置することを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項13記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第五電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、該第七電極は陰極で、該第一コレクタ極とし、及び該第八電極は陽極であることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項13記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置において、前記第五電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、該第七電極は陽極で、該第一コレクタ極とし、及び該第八電極は陰極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のような本発明によれば、少なくとも以下の効果を達成することができる。
1.垂直駆動有機発光トランジスターにより構成するマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は、各画素の開口率を高めることができる。
2.マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置全体の出光面積及び輝度を、向上させることができる。
3.マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の画面解析度を、上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の技術内容を当業者が理解し実施できるよう、しかも本説明書が掲示する内容、特許申請範囲及び図式に基づき、該項技術の習熟者が本発明の目的及び長所を簡単に理解できるよう、以下に本発明の詳細な特徴及び長所について実施例を用い説明する。
図3は、本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の立体図一で、図4は、本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の俯瞰透視図で、図5は本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の立体図二で、図6は図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図一で、図7は図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図二で、図8は図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図三で、図9は図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図四で、図10は図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図五である。
【0011】
図3に示すように、本実施例のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は、複数個の垂直駆動有機発光トランジスター20を含む。該各垂直駆動有機発光トランジスター20はすべて第一コレクタ極21、第一グリッド/ベース極22、第一エミッタ極23を備える。該複数個の垂直駆動有機発光トランジスター20はまた相互に配列し、マトリックス構造を形成する。図3に示すように、それは3×3個の垂直駆動有機発光トランジスター20を配列するマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置である。
各列に位置する有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21は相互に電気的に連接し複数本の第一走査ユニット30を形成し、該各第一走査ユニット30もまた相互に平行である。各行に位置する有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一グリッド極22或いは第一ベース極22もまた相互に電気的に連接し複数本の第二走査ユニット40を形成する。また該各第二走査ユニット40もまた相互に平行である。同様に、各列に位置する有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23もまた相互に電気的に連接し複数本の第三走査ユニット50を形成し、しかも該各第三走査ユニット50もまた相互に平行である。
【0012】
図4に示すように、該第一走査ユニット30間はみな相互に平行で、しかも該第二走査ユニット40と相互に交差し垂直に配列する。同様に、該第三走査ユニット50も該第二走査ユニット40と相互に交差し垂直に配列し、つまり該第三走査ユニット50も該第一走査ユニット30と相互に平行である。これによりマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置を形成する。しかも、外部回路によりそれぞれ該第一走査ユニット30、該第二走査ユニット40及び該第三走査ユニット50をそれぞれ制御し、こうしてそれぞれ任意の垂直駆動有機発光トランジスター20を駆動する。
例えば、第一列の第一走査ユニット30と第三走査ユニット50及び第二行の第二走査ユニット40に同時に導通することにより、第二行第一列に位置する垂直駆動有機発光トランジスター20を駆動し、或いは第二列及び第三列の第一走査ユニット30と第三走査ユニット50及び第一行の第二走査ユニット40に同時に導通することにより、第二行第二列及び第一行第三列に位置する垂直駆動有機発光トランジスター20を同時に駆動することができる。よって、外部回路の設計により、それぞれ各垂直駆動有機発光トランジスター20を制御することができる。
【0013】
図5に示すように、各列の第三走査ユニット50はまた相互に結合し共電極となるため、第三走査ユニット50に導通する時には、第一走査ユニット30及び第二走査ユニット40だけを制御することができ、任意の垂直駆動有機発光トランジスター20に導通することができる。例えば、第一列の第一走査ユニット30及び第二行の第二走査ユニット40に導通し、第二行第一列に位置する垂直駆動有機発光トランジスター20を駆動し、或いは第二列及び第三列の第一走査ユニット30及び第一行の第二走査ユニット40に同時に導通し、第二行第二列及び第一行第三列に位置する垂直駆動有機発光トランジスター20を同時に駆動することができる。
【0014】
図6はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施形態の断面図一である。該各垂直駆動有機発光トランジスター20は第一垂直式トランジスター60及び第一有機発光ダイオード70を備える。該第一垂直式トランジスター60は第一電極61、第一有機層62、第二電極63を備える。
該第一有機層62は該第一電極61上に重なり、該第二電極63は該第一有機層62に結合し、該第二電極63は該第一有機層62中のあらゆる位置に結合することができ、しかも該第一有機層62の上方に設置される。該第二電極63はホール/電子通過の数量を制御することができ、これにより第一有機発光ダイオード70の出光輝度を調整することができる。
該第一有機層62はホール注入層(Hole Injection Layer, HIL)、ホール伝送層(Hole Transport Layer, HTL)、ホールブロック層(Hole Blocking Layer, HBL)、電子ブロック層(Electron Blocking Layer, EBL)、電子伝送層(Electron Transport Layer, ETL)、及び電子注入層(Hole Electron Layer, HIL)により組成するグループから選択する。
該第一有機発光ダイオード70は第二有機層71及び第三電極72を備える。該第二有機層71は発光層(EMission Layer, EML)を備え、或いはさらにホール注入層、ホール伝送層、ホールブロック層、電子ブロック層、電子伝送層、及び電子注入層が組成するグループの内の少なくとも一つを含む。これにより各層間のバンドギャップを低下させることができ、該第一有機発光ダイオード70の発光効率を向上させることができる。該第二有機層71は該第一垂直式トランジスター60上に垂直に重なる。例えば、該第一有機層62或いは該第二電極63上に垂直に重なり、該第三電極72は該第二有機層71上に垂直に重なる。
【0015】
該第一垂直式トランジスター60の第一電極61は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができる。該第一電極61の材質は酸化インジウムスズ等の透明電極で、金、白金、酸化モリブデウム/アルミニウム、PEDOT/酸化モリブデウム/アルミニウム或いはその組合せとすることもできる。該第一有機層62はホール注入層及びホール伝送層を含むことができ、該ホール注入層は該第一電極61上に重なり、該ホール伝送層はさらに該ホール注入層上に重なることができる。
該第一垂直式トランジスター60の第二電極63はグリッド極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一グリッド極22とすることができる。該第二電極63はホール伝送層中のホール伝送層の上方を含むあらゆる位置に結合可能である。該第一有機発光ダイオード70の第三電極72は陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とすることができる。該第三電極72の材質はカルシウム/アルミニウム、フッ化リチウム/アルミニウム、フッ化セシウム/アルミニウム、バリウム/アルミニウム或いはその組合せである。
【0016】
上記の第一垂直式トランジスター60の第二電極63はホールが該第一有機発光ダイオード70に進入する数量を制御することができる。ホールは適当な第二電極63及び第三電極72の電圧調整においては、該第二電極63を透過し該第一有機発光ダイオード70に進入することができる。ホールは第一有機発光ダイオード70に進入後、該第二有機層71位置において、該第三電極72が注入する電子と結合し、該第二有機層71の発光層において発光する。
この他、第一垂直式トランジスター60の第一電極61もまた陰極で、該有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができる。該第一電極61の材質はカルシウム/アルミニウム、フッ化リチウム/アルミニウム、フッ化セシウム/アルミニウム、バリウム/アルミニウム或いはその組合せである。該第一有機層62は電子伝送層を含み、電子伝送層は第一電極61上に重なる。該第一垂直式トランジスター60の第二電極63はグリッド極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一グリッド極22とすることができ、電子伝送層中の、電子伝送層の上方を含むあらゆる位置に結合することができる。
【0017】
該第一有機発光ダイオード70の第三電極72は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とすることができる。該第三電極72の材質は酸化インジウムスズ等の透明電極で、これにより該第一有機発光ダイオード70が発出する光線は該第三電極72を透過し上方へと射出される。この他、該第三電極72の材質もまた金、白金、酸化モリブデウム/アルミニウム、PEDOT/酸化モリブデウム/アルミニウム或いはその組合せとすることができる。
上記の第二電極63は電子が第一有機発光ダイオード70に進入する数量を制御可能で、電子は適当な第二電極63及び第三電極72の電圧調整下において、第二電極63を透過し、第一有機発光ダイオード70に進入することができる。電子は第一有機発光ダイオード70に進入後、第二有機層71位置において該第三電極72が注入するホールと結合し、第二有機層71の発光層において発光する。
【0018】
図7はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施形態の断面図二である。図7が示すように、図6の断面実施形態図一中の第一垂直式トランジスター60の第一有機層62及び第一有機発光ダイオード70の第二有機層71間にはさらに第四電極73を設置することができる。該第四電極73の材質はアルミニウム或いは銀等の金属である。この他、第四電極73の材質は例えば、PEDOTの高導電高分子或いは金属とアルミニウム/酸化モリブデウム、アルミニウム/酸化モリブデウム/PEDOT、金/PEDOT等の他の材料との多層構造とすることができる。
上記のように、第一垂直式トランジスター60の第一電極61が陽極である時には、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とし、第一垂直式トランジスター60の第二電極63がグリッド極であれば、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一グリッド極22とする。しかも第一有機発光ダイオード70の第三電極72は陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とする時には、第四電極73は陽極である。
同様に、第一垂直式トランジスター60の第一電極61が陰極であれば、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができる。第一垂直式トランジスター60の第二電極63がグリッド極であれば、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一グリッド極22とすることができる。しかも第一有機発光ダイオード70の第三電極72は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とする時、第四電極73は陰極である。
【0019】
図8はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施形態の断面図三である。該各垂直駆動有機発光トランジスター20構造は第二垂直式トランジスター80、第二有機発光ダイオード90を備える。該第二垂直式トランジスター80は第五電極81、第三有機層82、絶縁層83、第六電極84を備える。
該第三有機層82は該第五電極81上に重なり、該絶縁層83は該第三有機層82及び第六電極84の間に重なる。該第三有機層82はホール注入層、ホール伝送層、ホールブロック層、電子ブロック層、電子伝送層、及び電子注入層が組成するグループから選択する。
該第二有機発光ダイオード90は第四有機層91、第七電極92を備える。該第四有機層91は発光層を含み、或いはさらにホール注入層、ホール伝送層、ホールブロック層、電子ブロック層、電子伝送層、及び電子注入層が組成するグループから少なくとも一つを選択する。各種異なる組合せにより各層間のバンドギャップを低下させることができ、第二有機発光ダイオード90の発光効率を高めることができる。該第四有機層91は第二垂直式トランジスター80上に垂直に重なり、例えば、第六電極84上に垂直に重なり、第七電極92は第四有機層91上に重なる。
【0020】
第二垂直式トランジスター80の第五電極81は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができる。該第五電極81の材質は酸化インジウムスズ等の透明電極、或いは金、白金、酸化モリブデウム/アルミニウム、PEDOT/酸化モリブデウム/アルミニウム或いはその組合せである。第三有機層82はホール注入層及びホール伝送層を含み、該ホール注入層は第五電極81上に重なり、該ホール伝送層はさらに該ホール注入層上に重なる。該絶縁層83は先ず該ホール伝送層上に重なり、さらに該第六電極84を該絶縁層83上に積み重ね、該第六電極84はベース極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一ベース極22とすることができる。該第二有機発光ダイオード90の第四有機層91は発光層を含み、該第七電極92は陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とすることができる。該第七電極92の材質はカルシウム/アルミニウム、フッ化リチウム/アルミニウム、フッ化セシウム/アルミニウム、バリウム/アルミニウム或いはその組合せである。
【0021】
該絶縁層83及び該第六電極84の厚度が適当である時、該第五電極81から注入したホールは、該絶縁層83を透過後、弾道式の方式で第六電極84を通過し、しかも該第六電極84の電流の大きさを制御することで、大多数のホールは第六電極84から第四有機層91まで透過し、第六電極84に向うことはない。ホールが第六電極84から第四有機層91まで透過した後、第四有機層91位置において、第七電極92が注入した電子と結合し、該第四有機層91の発光層において発光する。よって、第六電極84の電流を調整しホールが第二有機発光ダイオード90に進入する数量を制御することで、第二有機発光ダイオード90発光強度の制御という機能を達成することができる。
【0022】
この他、第二垂直式トランジスター80の第五電極81もまた陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができる。該第五電極81の材質はカルシウム/アルミニウム、フッ化リチウム/アルミニウム、フッ化セシウム/アルミニウム、バリウム/アルミニウム或いはその組合せである。該第三有機層82は電子伝送層を含み、該電子伝送層は第五電極81上に重なる。絶縁層83は先ず電子伝送層上に重なり、さらに第六電極84を該絶縁層83上に重ねる。該第六電極84はベース極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一ベース極22とすることができる。該第二有機発光ダイオード90の第四有機層91は発光層を含み、該第七電極92は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とすることができる。該第七電極92の材質は酸化インジウムスズ等の透明電極で、これにより該第二有機発光ダイオード90が発する光線は第七電極92を透過し上方へと射出される。この他、該第七電極92もまた金、白金、酸化モリブデウム/アルミニウム、PEDOT/酸化モリブデウム/アルミニウム或いはその組合せである。
【0023】
同様に、該絶縁層83及び第六電極84の厚度が適当である時、第五電極81から注入された電子は該絶縁層83を透過後、弾道式の方式で、第六電極84を通過し、しかも該第六電極84の電流の大きさを制御することで、大多数の電子を第六電極84から第四有機層91まで通過させ、第六電極84に向うことはない。電子が第六電極84から第四有機層91まで透過後、第四有機層91位置において第七電極92が注入するホールと結合し、第四有機層91の発光層において発光する。よって、第六電極84の電流を調整し、電子の第二有機発光ダイオード90に進入する数量を制御することで、第二有機発光ダイオード90の発光強度制御の機能を達成することができる。
【0024】
図9はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施形態断面図三である。図9に示すように、図8に示す実施形態の断面図二中の第二垂直式トランジスター80の第六電極84及び第二有機発光ダイオード90の第四有機層91間には、さらに第五有機層85を設置する。該第五有機層85は電子伝送層、電子ブロック層、ホール伝送層或いはホールブロック層で、こうして各層間のバンドギャップを低下させ、第二有機発光ダイオード90の発光効率を向上させることができる。
図10はマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施形態の断面図四である。図10に示すように、図9の断面実施形態図三中にはさらに第八電極86を加えることができる。該第五有機層85は第六電極84上に重なり、該第八電極86は該第五有機層85上に重なる。こうして該第八電極86は第四有機層91及び第五有機層85の間に設置される。該第八電極86の材質はアルミニウム或いは銀等の金属で、またPEDOTの高導電高分子或いは金属とアルミニウム/酸化モリブデウム、アルミニウム/酸化モリブデウム/PEDOT、金/PEDOT等の他の材料との多層構造とすることができる。
【0025】
上記のように、第二垂直式トランジスター80の第五電極81は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができ、第六電極84はベース極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一ベース極22とすることができ、しかも第七電極92は陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とすることができる時、第八電極86は陽極である。同様に、第二垂直式トランジスター80の第五電極81は陰極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一エミッタ極23とすることができ、第六電極84はベース極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一ベース極22とすることができ、しかも第七電極92は陽極で、有機発光トランジスター20を垂直駆動する第一コレクタ極21とする時、第八電極86は陰極である。
【0026】
各種設計上の必要に対応するため、垂直駆動の有機発光トランジスター20は正設置或いは逆設置とし、これにより垂直駆動有機発光トランジスター20は上方へと発光し、或いは下方へと発光することができる。或いは適当な材料を選択し、垂直駆動有機発光トランジスター20の上下両側の電極共に光透過可能とし、こうして垂直駆動有機発光トランジスター20は同時に上下両側が発光可能となる。この他、垂直駆動有機発光トランジスター20により構成するマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は、各画素の開口率を向上させることで、マトリックス受動式有機発光トランジスター表示装置の発光面積及び輝度を高めることができる。また、これにより各画素の面積を縮小し、マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の画面解析度を高めることができる。
上記各実施例は本発明の特徴を説明するために用いるもので、その目的は当業者が本発明の内容を理解し、これに基づき実施可能とすることで、本発明の特許範囲を限定するものではない。よって、本発明が特徴を離脱せずに行われる同等効果の修飾或いは修正は本特許の均等の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】公知の受動式有機発光ダイオード表示装置駆動回路の同等効果回路指示図である。
【図2】公知の受動式有機発光ダイオード表示装置の回路指示図である。
【図3】本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の立体図一である。
【図4】本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の俯瞰透視図である。
【図5】本発明のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置の実施例の立体図二である。
【図6】図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図一である。
【図7】図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図二である。
【図8】図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図三である。
【図9】図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図四である。
【図10】図3中A−A断面線に沿った実施形態の断面図五である。
【符号の説明】
【0028】
11 有機発光ダイオード
12 画素ユニット
TS11 第一トランジスター
TD11 第二トランジスター
S1 走査信号線
D1 データ信号線
VDD 電源供給電圧
GND アース電位
13 データドライバー
14 ゲート極ドライバー
20 垂直駆動有機発光トランジスター
21 第一コレクタ極
22 第一グリッド/ベース極
23 第一エミッタ極
30 第一走査ユニット
40 第二走査ユニット
50 第三走査ユニット
60 第一垂直式トランジスター
61 第一電極
62 第一有機層
63 第二電極
70 第一有機発光ダイオード
71 第二有機層
72 第三電極
73 第四電極
80 第二垂直式トランジスター
81 第五電極
82 第三有機層
83 絶縁層
84 第六電極
85 第五有機層
86 第八電極
90 第二有機発光ダイオード
91 第四有機層
92 第七電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置は複数個の垂直駆動有機発光トランジスターを含み、それは第一コレクタ極、第一グリッド/ベース極、第一エミッタ極を備え、
該各第一コレクタ極は電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の 第一走査ユニットを形成し、
該各第一グリッド/ベース極もまた電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第二走査ユニットを形成し、
該各第一エミッタ極もまた電気的に連接し、しかも相互に平行に複数本の第三走査ユニットを形成し、
該第一走査ユニットは該第二走査ユニットと相互に交差し垂直配列し、しかも該第二走査ユニットは該第三走査ユニットと相互に交差し垂直配列することを特徴とするマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項2】
前記各第三走査ユニットは相互に結合し共電極となることを特徴とする請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項3】
前記垂直駆動有機発光トランジスターは第一垂直式トランジスター、第一有機層、第二電極、第一有機発光ダイオード、第三電極を備え、
該第一垂直式トランジスターは第一電極を備え、
該第一有機層は該第一電極において重なり、
該第二電極は該第一有機層に結合し、
該第一有機発光ダイオードは第二有機層を備え、該第一垂直式トランジスターに垂直に重なり、
該第三電極は該第二有機層に重なることを特徴とする請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項4】
前記第一電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、及び該第三電極は陰極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項5】
前記第一電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、及び該第三電極は陽極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項6】
前記有機発光ダイオード表示装置はさらに第四電極を備え、それは該第一有機層と該第二有機層の間に設置することを特徴とする請求項3記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項7】
前記第一電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、該第三電極は陰極で、該第一コレクタ極とし、及び該第四電極は陽極であることを特徴とする請求項6記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項8】
前記第一電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第二電極はグリッド極で、該第一グリッド極とし、該第三電極は陽極で、該第一コレクタ極とし、及び該第四電極は陰極であることを特徴とする請求項6記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項9】
前記垂直駆動有機発光トランジスターは第二垂直式トランジスター、第三有機層、絶縁層、第六電極、第二有機発光ダイオード、第七電極を備え、
該第二垂直式トランジスターは第五電極を備え、
第三有機層は該第五電極に重なり、
該絶縁層は該第三有機層に重なり、
該第六電極は該絶縁層に重なり、
該第二有機発光ダイオード第四有機層を備え、該第二垂直式トランジスターに垂直に重なり、
該第七電極は該第四有機層に重なることを特徴とする請求項1記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項10】
前記第五電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、及び該第七電極は陰極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項11】
前記第五電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、及び該第七電極は陽極で、該第一コレクタ極とすることを特徴とする請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項12】
前記第二垂直式トランジスターはさらに第五有機層を備え、それは該第六電極と該第四有機層の間に設置することを特徴とする請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項13】
前記第二垂直式トランジスターはさらに第五有機層、及び第八電極を備え、該第五有機層は該第六電極と該第八電極の間に設置し、しかも該第八電極は該第五有機層と該第四有機層の間に設置することを特徴とする請求項9記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項14】
前記第五電極は陽極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、該第七電極は陰極で、該第一コレクタ極とし、及び該第八電極は陽極であることを特徴とする請求項13記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。
【請求項15】
前記第五電極は陰極で、該第一エミッタ極とし、該第六電極はベース極で、該第一ベース極とし、該第七電極は陽極で、該第一コレクタ極とし、及び該第八電極は陰極であることを特徴とする請求項13記載のマトリックス受動式有機発光ダイオード表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−223272(P2009−223272A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117258(P2008−117258)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(503077109)国立交通大学 (34)
【Fターム(参考)】